説明

棚出し管理システム、棚出し管理方法及び棚出し管理用プログラム

【課題】物品の棚出し作業において、棚から物品を出し入れする作業を正確かつ効率的に行うことができるようにする。
【解決手段】棚出し管理システムは、棚に付与された発光/スピーカ機能付きICタグ1と、物品に付与されたICタグ2と、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3と、棚出し業務を管理する管理サーバ4とを備える。携帯端末3は、管理サーバ4からダウンロードした棚出しリストに基づいて、棚出し対象の物品が置かれている棚を特定する。そして、携帯端末3は、特定した棚に付随するICタグ1に、発光及び音声の出力を指示する指示情報を書き込む。すると、ICタグ1は、発光部を発光させ、スピーカ部にブザー音を出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管棚から物品を棚出しする棚出し作業を管理する棚出し管理システム、棚出し管理方法及び棚出し管理用プログラムに関し、特に、ICタグとICタグリーダライタ機能付き携帯端末とを活用し、物品等の棚出し作業の効率化を図る棚出し管理システム、棚出し管理方法及び棚出し管理用プログラムに関する。また、本発明は、棚出し管理システムが含む作業者端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物品にメモリ付き集積回路を有するICタグ(一般に、非接触データキャリアや、無線ICタグ、非接触IC、非接触ICラベル、非接触ICタグ、RFIDタグ等と表現される場合もある)を実装し、各種の情報をICタグに記録して、商品情報表示や物流の合理化、又は物品の管理を行うことが増えている。このようなICタグは、一般に、メモリを有し、個体識別符号等の情報を記憶する。そして、ICタグリーダライタを用いて、ICタグが記憶する情報を読み取ったり、ICタグに情報を書き込んだりできる。
【0003】
また、ICタグリーダライタの機能を有する携帯電話機やPDA等の携帯端末も開発されている。更に、近年では、ICタグの技術も進化し、LEDを用いた表示機能やスピーカを用いた音声出力機能を有するICタグも開発されている。このようなICタグは、ICタグリーダライタからの指示に従って、ICタグが搭載するLEDを発光する。また、ICタグは、ICタグリーダライタからの指示に従って、ICタグが搭載するスピーカからブザー音を鳴らす。
【0004】
また、特許文献1には、物品に付されたICタグからデータを読み取り、読み取ったデータに基づいて物品を保管管理する保管管理システムが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−170616号公報(段落0024−0036、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、物品を保管棚から棚出しする作業を行う場合、物品の置かれている棚から棚出し対象の物品を出し入れするために、棚の番地を示す番号札を棚に貼ることが行われている。この場合、作業員は、出し入れすべき物品が置かれた棚番号や、物品そのものの番号等が書かれたリストを見ながら、棚出し作業を行う。例えば、作業員は、棚番号と物品に貼り付けられたバーコード上に書かれた物品番号等とをチェックしながら、棚出し作業を行う。
【0007】
しかし、人の目視による確認によって棚出し作業を行うと、棚出し対象の物品が置かれている棚の棚番号が他の棚の棚番号と似通っていた場合、作業員は、間違えて物品を出し入れしてしまうことがある。また、棚出し対象の物品の物品番号が他の物品の物品番号と似通っていた場合、作業員は、間違えて物品を出し入れしてしまうことがある。また、棚出し作業における作業ミスを防ぐためには、作業員は、リストの内容と、棚の棚番号や物品番号等を何度も見て確認しながら作業を行う必要がある。そのため、棚出し作業に時間がかかり、作業を効率的に行うことができない。
【0008】
また、特許文献1に記載された保管管理システムでは、ICタグが記憶するデータに基づいて物品の保管管理を行うことができる。しかし、物品の棚出し作業を行う際に、間違えて物品を出し入れしまうことを防止したり、作業を効率的に行ったりすることはできない。
【0009】
そこで、本発明は、物品の棚出し作業において、棚から物品を出し入れする作業を正確かつ効率的に行うことができる棚出し管理システム、作業者端末、棚出し管理方法及び棚出し管理用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による棚出し管理システムは、物品の棚出し作業を管理する棚出し管理システムであって、作業者端末(例えば、携帯端末3)と、物品を格納する棚に付随するデータキャリアである棚側データキャリア(例えば、ICタグ1)とを備え、作業者端末は、棚出し対象の物品が格納されている棚を特定する棚特定手段(例えば、制御部41によって実現される)と、所定の出力方法による出力を指示する旨の出力指示情報(例えば、発光及びブザー音の出力を指示する指示情報)を、棚特定手段が特定した棚に付随する棚側データキャリアに書き込む指示情報書込手段(例えば、制御部41の指示に従って動作するICタグリーダライタ44によって実現される)とを含み、棚側データキャリアは、作業者端末から出力指示情報を受信したことに基づいて、所定の出力方法に従って出力する出力手段(例えば、発光部25やスピーカ部26によって実現される)を含むことを特徴とする。
【0011】
また、棚出し管理システムにおいて、出力手段は、作業者端末から出力指示情報を受信したことに基づいて発光するものであってもよい。
【0012】
また、棚出し管理システムにおいて、出力手段は、作業者端末から出力指示情報を受信したことに基づいて音声を出力するものであってもよい。
【0013】
また、棚出し管理システムにおいて、指示情報書込手段は、棚特定手段が特定した棚に付随する棚側データキャリアを識別するための識別情報(例えば、個体識別符号)を含む出力指示情報を、棚特定手段が特定した棚に付随する棚側データキャリアに書き込み、棚側データキャリアは、当該棚側データキャリアを識別するための識別情報を記憶する棚側識別情報記憶手段(例えば、記憶部22によって実現される)と、作業者端末から受信した出力指示情報に含まれる識別情報が、識別情報記憶手段が記憶する識別情報と合致するか否かを判定する識別情報判定手段(例えば、制御部21によって実現される)とを含み、出力手段は、識別情報判定手段によって識別情報が合致すると判定されると、所定の出力方法に従って出力するものであってもよい。
【0014】
また、棚出し管理システムは、物品の棚出し作業を管理する棚出し管理サーバ(例えば、管理サーバ4)を備え、棚出し管理サーバは、棚出し対象の物品を含むリストである棚出しリストを記憶するリスト記憶手段(例えば、棚出しリストデータベース54によって実現される)と、作業者端末からの要求に応じて、リスト記憶手段が記憶する棚出しリストを、通信ネットワークを介して作業者端末に送信するリスト送信手段(例えば、棚出しリスト送信手段51によって実現される)とを含み、棚特定手段は、棚出し管理サーバから受信した棚出しリストに基づいて、棚出し対象の物品が格納されている棚を特定するものであってもよい。
【0015】
また、棚出し管理システムは、物品に付随するデータキャリアである物品側データキャリア(例えば、ICタグ2)を備え、物品側データキャリアは、当該物品側データキャリアを識別するための識別情報(例えば、個体識別符号)を記憶する物品側識別情報記憶手段(例えば、記憶部32によって実現される)を含み、作業者端末は、物品側データキャリアから識別情報を読み込む識別情報読込手段(例えば、制御部41の指示に従って動作するICタグリーダライタ44によって実現される)と、識別情報読込手段が読み込んだ識別情報に基づいて、棚出し管理サーバから受信した棚出しリストを更新する端末側リスト更新手段(例えば、制御部41によって実現される)とを含むものであってもよい。
【0016】
また、棚出し管理システムにおいて、作業者端末は、端末側リスト更新手段が更新した棚出しリストを、通信ネットワークを介して棚出し管理サーバに送信する更新リスト送信手段(例えば、制御部41の指示に従って動作する無線部42によって実現される)を含み、棚出し管理サーバは、作業者端末から受信した棚出しリストに基づいて、リスト記憶手段が記憶する棚出しリストを更新するサーバ側リスト更新手段(例えば、棚出しリスト更新手段53によって実現される)を含むものであってもよい。
【0017】
また、棚出し管理システムにおいて、棚特定手段は、棚出し対象の物品が格納されている複数の棚を特定し、指示情報書込手段は、棚特定手段が特定した各棚に付随する棚側データキャリアに、それぞれ出力指示情報を書き込むものであってもよい。
【0018】
本発明による作業者端末は、物品の棚出し作業を管理する棚出し管理システムが含む作業者端末であって、物品の棚出し作業を管理する棚出し管理サーバから、棚出し対象の物品を含むリストである棚出しリストを、通信ネットワークを介して受信するリスト受信手段(例えば、制御部41の指示に従って動作する無線部42によって実現される)と、棚出し管理サーバから受信した棚出しリストに基づいて、棚出し対象の物品が格納されている棚を特定する棚特定手段と、所定の出力方法による出力を指示する旨の出力指示情報を、棚特定手段が特定した棚に付随するデータキャリアに書き込む指示情報書込手段とを備えたことを特徴とする。
【0019】
本発明による棚出し管理方法は、物品の棚出し作業を管理する棚出し管理方法であって、作業者端末が、棚出し対象の物品が格納されている棚を特定するステップと、作業者端末が、所定の出力方法による出力を指示する旨の出力指示情報を、特定した棚に付随するデータキャリア(例えば、ICタグ1)に書き込むステップと、データキャリアが、作業者端末から出力指示情報を受信したことに基づいて、所定の出力方法に従って出力するステップとを含むことを特徴とする。
【0020】
本発明による棚出し管理用プログラムは、物品の棚出し作業を管理するための棚出し管理用プログラムであって、コンピュータに、物品の棚出し作業を管理する棚出し管理サーバから、棚出し対象の物品を含むリストである棚出しリストを、通信ネットワークを介して受信する処理と、棚出し管理サーバから受信した棚出しリストに基づいて、棚出し対象の物品が格納されている棚を特定する処理と、所定の出力方法による出力を指示する旨の出力指示情報を、特定した棚に付随するデータキャリアに書き込む処理とを実行させるためのものである。
【0021】
本発明では、工場や物流倉庫等で、棚に置いてある物品を効率的に棚から出し入れする必要がある場合に、棚出し作業を効率的にかつ正確に行う方法を提案する。
【0022】
本発明では、棚そのものに、棚を特定するための個体識別符号等を記憶し、かつ発光部とスピーカ部とを内蔵する情報記憶送受信機として、発光/スピーカ機能付きICタグが内臓又は付与される。また、物品を特定するための個体識別符号等を記憶した情報記憶送受信機として、ICタグが内臓又は付与される。
【0023】
また、本発明では、携帯端末にICタグリーダライタ機能を備えた携帯端末装置を用いる。携帯端末装置は、無線通信手段を用いて、棚や物品に付与された情報記憶発信機から情報を取得する機能を備える。また、携帯端末装置は、情報記憶送受信機に情報を書き込む機能を備える。また、携帯端末装置は、該当する情報記憶送受信機に、スピーカ部から音を出力させる機能を備える。また、携帯端末装置は、該当する情報記憶送受信機に、発光部を発光させる機能を備える。また、携帯端末装置は、管理装置との間で情報を送受信する機能を備える。
【0024】
なお、携帯端末装置として、携帯電話機にICタグリーダライタ機能を備えた装置を用いてもよく、携帯電話機に限らず、PDA等の携帯端末にICタグリーダライタ機能を備えた装置を用いてもよい。
【0025】
また、本発明では、管理用のサーバ(管理装置)を用いる。管理用のサーバは、棚出し作業をする順番、棚を示す個体識別符号情報である棚番号、物品の名前を示す物品名、物品の個体識別符号情報である物品番号、作業を行う作業者名、作業の進捗を示す作業状況、及び作業を完了した時間である作業時間等の情報を登録し管理する機能を備える。また、管理用のサーバは、携帯端末装置と情報を送受信する機能を備える。
【0026】
以上のような構成によって、本発明では、棚に付与された個体識別符号と、物品に付与された個体識別符号と、携帯端末を用いて棚出しに関する情報を管理するサーバと、サーバが管理する管理情報とを用いて、棚から物品を出す作業を効率化し、正しい物品を取り出したか否かをチェックするシステムを提案する。従来の方法では、物品を棚から出し入れする際に、棚や物品を識別する作業を人の目視作業に頼って行っていたため作業が効率化できていなかったが、上記のような構成を用いることによって、自動認識システムを用いて効率的に棚出し作業を行うことができる。
【0027】
例えば、本発明では、発光機能が付与されたデータキャリアを、物品を格納する棚に付与する。また、そのデータキャリアに記憶された個体識別符号と、物品に付与されたデータキャリアの個体識別符号と、それらのデータキャリアと情報を読み書きする機能及びそれらのデータキャリアの発光機能を、無線通信手段を用いて制御できる装置とを用いて、特定の物品が入っている1つの棚の位置を、棚に付与されたデータキャリアの発光機能を作用させて作業者に指し示す。
【0028】
また、例えば、本発明では、スピーカ機能が付与されたデータキャリアを、物品を格納する棚に付与する。また、そのデータキャリアに記憶された個体識別符号と、物品に付与されたデータキャリアの個体識別符号と、それらのデータキャリアと情報を読み書きする機能及びそれらのデータキャリアのスピーカ機能を、無線通信手段を用いて制御できる装置とを用いて、特定の物品が入っている1つの棚の位置を、棚に付与されたデータキャリアのスピーカ機能を作用させて作業者に指し示す。
【0029】
また、例えば、本発明では、発光機能とスピーカ機能とが付与されたデータキャリアを、物品を格納する棚に付与する。また、そのデータキャリアに記憶された個体識別符号と、物品に付与されたデータキャリアの個体識別符号と、それらのデータキャリアと情報の読み書きする機能、それらのデータキャリアの発光機能及びスピーカ機能を、無線通信手段を用いて制御できる装置とを用いて、特定の物品が入っている1つの棚の位置を、棚に付与されたデータキャリアの発光機能とスピーカ機能とを同時に作用させて作業者に指し示す。
【0030】
また、例えば、本発明では、発光機能とスピーカ機能とが付与されたデータキャリアを、物品を格納する棚に付与する。また、そのデータキャリアに記憶された個体識別符号と、物品に付与されたデータキャリアの個体識別符号と、それらのデータキャリアと情報を読み書きする機能、それらのデータキャリアの発光機能及びスピーカ機能を、無線通信手段を用いて制御できる装置とを用いて、物品が入っている複数の棚の位置を、各棚に付与されたデータキャリアの発光機能とスピーカ機能とを同時に作用させて作業者に指し示す。
【0031】
また、例えば、本発明では、物品を格納する棚に付与されたデータキャリアと、その記憶部に記憶された個体識別符号と、物品に付与されたデータキャリアと、その記憶部に記憶された個体識別符号と、データキャリアと無線通信手段を用いて情報を読み書きする機能をもつ装置とを用いて、複数の物品に付与された複数データキャリアから一括して物品の個体識別符号情報を取得する。そして、予め用意された棚と物品の個体識別符号とを1対1で対応付けたリストの情報を参照することで、リストにある全ての物品の個体識別符号と合致するか否かを判定する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、作業者端末は、棚出し対象の物品が格納されている棚を特定し、特定した棚に付随するデータキャリアに出力指示情報を書き込む。また、データキャリアは、作業者端末から受信した出力指示情報に基づいて、所定の出力方法に従って出力する。棚出し対象の物品が格納されている棚に付随するデータキャリアに所定の出力方法に従って出力させることができるので、棚出し対象の物品が置かれている棚の位置を作業者に知らせることができる。従って、物品の棚出し作業において、棚から物品を出し入れする作業を正確かつ効率的に行うことができる。
【0033】
また、本発明において、棚に付随するデータキャリアに発光させ又は音声を出力させるように構成すれば、視覚的又は聴覚的に他なの位置を作業者に知らせることができ、棚出し作業の効率化と正確化とを図ることができる。
【0034】
また、本発明において、物品に物品側データキャリアを付随させ、作業者端末が物品側データキャリアから読み込んだ識別情報に基づいて棚出しリストを更新するように構成すれば、棚から出した物品が棚出し対象の物品であるか否かを確認することができ、棚出し作業の効率化と正確化とを図ることができる。
【0035】
また、本発明において、棚出し対象の物品が格納されている複数の棚を特定し、特定した各棚に付随するデータキャリアに出力指示情報を書き込むように構成すれば、棚出し作業を一括して行うことができ、棚出し作業の効率を更に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
実施の形態1.
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態では、物品の棚出し作業の効率化と正確化とを実現する方法について説明する。本実施の形態では、データキャリアを利用して、物品の棚出し作業の効率化と正確化を図る。なお、本実施の形態では、データキャリアとして、RFIDタグや非接触ICタグが用いられる。
【0037】
図1は、本発明による棚出し管理システムの一例を示す説明図である。図1に示すように、棚出し管理システムは、棚に付与された発光/スピーカ機能付きICタグ1と、物品に付与されたICタグ2と、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3と、棚出し業務を管理する管理サーバ4とを含む。また、棚出し管理システムにおいて、携帯端末3と管理サーバ4とは、無線通信網(例えば、携帯電話網)やインターネット等の通信ネットワークを介して接続される。
【0038】
なお、本実施の形態において、棚出し管理システムは、例えば、製造メーカ等で製品を製造する際に、物品(製品)を保管しておく物品棚から物品の棚出し作業を行う用途に適用できる。また、例えば、物流業者において倉庫の棚に置かれた品物を取り出す作業を行う用途に適用できる。また、例えば、リースやレンタル業者の場合、物品を保管している棚から貸出し対象の物品を取り出す作業を行う用途に適用できる。また、例えば、小売業において在庫を保管している店舗の棚から在庫品を取り出す作業を行う用途に適用できる。
【0039】
ICタグ1は、物品を保管する保管棚に棚毎に予め付随している。なお、「付随する」とは、ICタグが保管棚や物品に内蔵していたり、保管棚や物品の表面に貼り付けられていたり、保管棚や物品の表面から吊り下げられていたりする等、ICタグが保管棚や物品に付属していることが明らかな状態をいう。
【0040】
図2は、棚に付与される発光/スピーカ機能付きICタグ1の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、発光/スピーカ機能付きICタグ1は、制御部21、記憶部22、電力生成部23、アンテナ部24、発光部25及びスピーカ部26を含む。
【0041】
アンテナ部24は、所定の周波数の電波を放射する機能を備える。本実施の形態では、アンテナ部24は、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3から、情報の取得を要求する旨の信号を、無線信号として受信する。
【0042】
電力生成部23は、アンテナ部24が電波として無線信号を受信すると、誘導起電力により電力を発生させる機能を備える。電力生成部23は、例えば、ICタグ1が備えるアンテナのコイル部によって実現される。この場合、携帯端末3が搭載するICタグリーダライタからの電波によって、コイル部を貫く磁束の変化が生じ電磁誘導が発生する。そして、発生した電磁誘導によって電力が発生し、ICタグ1の各部に供給される。なお、ICタグ1は、発光部25やスピーカ部26に電力を供給するための電力供給手段を別に備える。例えば、ICタグ1は、電池を搭載し、電池による電力を発光部25やスピーカ部26に供給する。また、例えば、ICタグ1は、商用電源に接続され、商用電源からの電力を発光部25やスピーカ部26に供給する。
【0043】
制御部21は、記憶部22に予め記憶されている個体識別符号情報等の情報を読み出す機能を備える。また、制御部21は、読み出した情報を、アンテナ部24を用いて、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3に送信する機能を備える。また、制御部21は、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3からの指示に従って、発光部25を発光させたり、スピーカ部26にブザー音等の音を発生させる機能を備える。
【0044】
記憶部22は、具体的には、メモリ等の記憶素子である。記憶部22は、ICタグ1を識別するための個体識別符号情報を予め記憶する。なお、記憶部22が記憶する個体識別符号情報(例えば、符号「H150」)は、図3に示すように、管理サーバ4によって、棚を一意に特定するための棚番号(例えば、番号「1」)と対応づけて管理される。
【0045】
発光部25は、具体的には、LED等の表示器である。発光部25は、制御部21の指示に従って発光する機能を備える。スピーカ部26は、具体的には、スピーカ等の音声出力器である。スピーカ部26は、制御部21の指示に従って、ブザー音等の音声を出力する機能を備える。
【0046】
図4は、物品に付与されるICタグ2の構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、ICタグ2は、制御部31、記憶部32、電力生成部33及びアンテナ部34を含む。
【0047】
アンテナ部34は、所定の周波数の電波を放射する機能を備える。本実施の形態では、アンテナ部34は、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3からの、情報の取得を要求する旨の信号を、無線信号として受信する。
【0048】
電力生成部33は、アンテナ部34が電波として無線信号を受信すると、誘導起電力により電力を発生させる機能を備える。電力生成部33は、例えば、ICタグ2が備えるアンテナのコイル部によって実現される。この場合、携帯端末3が搭載するICタグリーダライタからの電波によって、コイル部を貫く磁束の変化が生じ電磁誘導が発生する。そして、発生した電磁誘導によって電力が発生し、ICタグ2の各部に供給される。
【0049】
制御部31は、記憶部32に予め記憶されている個体識別符号情報(検査箇所を示す情報)等の情報を読み出す機能を備える。また、制御部31は、読み出した情報を、アンテナ部34を用いて、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3に送信する機能を備える。
【0050】
記憶部32は、具体的には、メモリ等の記憶素子である。記憶部32は、ICタグ2を識別するための個体識別符号情報を予め記憶する。なお、記憶部32が記憶する個体識別符号情報(例えば、符号「H151」)は、図5に示すように、管理サーバ4によって、物品を一意に特定するための物品番号(例えば、番号「A324」)と対応づけて管理される。
【0051】
携帯端末3は、棚出し作業を行う作業者が使用する端末であり、具体的には、携帯電話機やPDA等の情報処理端末である。なお、図1では、1つの携帯端末3を示しているが、棚出し管理システムは、複数の携帯端末3を含んでもよい。
【0052】
図6は、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3の構成の一例を示すブロック図である。図6に示すように、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3は、制御部41、無線部42、表示部43、ICタグリーダライタ44、アンテナ部45、記憶部46及びスピーカ部47を含む。
【0053】
制御部41は、プログラムに従って動作し、携帯端末3の各部(無線部42や表示部43、ICタグリーダライタ44、記憶部46、スピーカ部47)を制御する機能を備える。
【0054】
無線部42は、具体的には、アンテナ及び送受信回路によって実現される。無線部42は、制御部41の指示に従って、通信ネットワークを介して、管理サーバ4と各種情報を送受信する機能を備える。
【0055】
表示部43は、具体的には、携帯端末3の液晶表示部等である。表示部43は、制御部41の指示に従って、棚出しに関する情報(例えば、棚出し対象の物品を示すリスト)を表示したり、棚出しの作業結果の登録等の指示を行うための表示画面を表示する機能を備える。
【0056】
ICタグリーダライタ44は、アンテナ部45を介して、電波を発信させ、棚に付与される発光/スピーカ機能付きICタグ1や、物品に付与されるICタグ2から、情報を読み取る機能を備える。また、ICタグリーダライタ44は、アンテナ部45を介して、ICタグ1やICタグ2に情報を書き込む機能を備える。この場合、棚に付与される発光/スピーカ機能付きICタグ1、及び物品に付与されるICタグ2は、アンテナ部45から放射される電波を受けて、誘電起電力を発生し応答する。
【0057】
記憶部46は、具体的には、メモリ等の記憶素子である。記憶部46は、携帯端末3を個体識別するための端末IDや、端末ID以外の各種情報を記憶する。また、記憶部46は、例えば、制御部41が実行する各種プログラムを記憶してもよい。この場合、制御部41は、記憶部46が記憶するプログラムに従って処理を実行し、携帯端末3の各部を制御する。なお、記憶部46が記憶する情報は、制御部41によって取り出される。そして、制御部41は、記憶部46から読み出した情報を、無線部42を用いて、通信ネットワークを介して、管理サーバ4等の外部装置と送受信する。
【0058】
スピーカ部26は、具体的には、スピーカ等の音声出力器である。スピーカ部47は、ブザー音を発生する機能を備え、棚出し作業を行う作業者にアラーム等を出力する際に使用される。
【0059】
管理サーバ4は、物品の棚出し作業を管理する棚出し管理サービスを提供するサービス事業者が運営するサーバであり、具体的には、ワークステーションやパーソナルコンピュータ等の情報処理装置によって実現される。管理サーバ4は、所定の無線通信記憶手段を用いて、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3との間で情報の送受信を行う機能を備える。
【0060】
図7は、管理サーバ4の構成の一例を示すブロック図である。図7に示すように、管理サーバ4は、棚出しリスト送信手段51、棚出しリスト受信手段52、棚出しリスト更新手段53及び棚出しリストデータベース54を含む。
【0061】
棚出しリスト送信手段51は、具体的には、プログラムに従って動作する情報処理装置のCPU及びネットワークインタフェース部によって実現される。棚出しリスト送信手段51は、携帯端末3のダウンロード要求に従って、棚出しリストデータベース54から棚出しリストを抽出する機能を備える。また、棚出しリスト送信手段51は、抽出した棚出しリストを、通信ネットワークを介して携帯端末3に送信する機能を備える。
【0062】
棚出しリスト受信手段52は、具体的には、プログラムに従って動作する情報処理装置のCPU及びネットワークインタフェース部によって実現される。棚出しリスト受信手段52は、更新後の棚出しリストを、通信ネットワークを介して携帯端末3から受信する機能を備える。
【0063】
棚出しリスト更新手段53は、具体的には、プログラムに従って動作する情報処理装置のCPUによって実現される。棚出しリスト更新手段53は、棚出しリスト受信手段52が受信した棚出しリストに基づいて、棚出しリストデータベース54が蓄積する棚出しリストを更新する機能を備える。
【0064】
棚出しリストデータベース54は、具体的には、磁気ディスク装置や光ディスク装置等のデータベース装置によって実現される。棚出しリストデータベース54は、保管棚から棚出しすべき物品のリストである棚出しリストを記憶する。
【0065】
図8は、管理サーバ4が管理する棚出しリストの例を示す説明図である。本実施の形態では、図8に示す棚出しリストは、棚出しリストデータベース54に記憶される。図8に示すように、棚出しリストは、棚出し順番と、棚番号と、物品名と、物品番号と、作業者名と、作業状況と、作業時間とを対応づけて含む。
【0066】
図8において、「棚出し順番」は、作業者が棚から物品を出す作業を行うべき順番である。「棚番号」は、物品を取り出すべき棚を示す個体識別符号である。「物品名」は、取り出すべき物品の名前である。「物品番号」は、物品を一意に特定するための個体識別符号である。「作業者名」は、作業を実施すべき担当者名である。「作業状況」は、正しく棚から物品を取り出したか出していないかの状況である。例えば、棚出しリストは、「作業状況」として、棚出し済みであるか否かを示す情報を含む。「作業時間」は、正しく棚から物品を取り出した時間である。例えば、棚出しリストは、「作業時間」として、物品を棚から棚出した時刻を含む。
【0067】
また、棚出しリストデータベース54は、ICタグ1の個体識別符号情報と棚番号とを対応づけて記憶する。また、棚出しリストデータベース54は、ICタグ2の個体識別符号情報と物品番号とを対応づけて記憶する。
【0068】
図8に示す棚出しリストは、棚出し作業を行う時に、作業者の操作に従って、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3によってダウンロードされる。また、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3は、ダウンロードした棚出しリストを表示部43に表示する。そして、作業者は、携帯端末3が表示する棚出しリストをチェックしながら、棚出し作業を行う。
【0069】
なお、携帯端末3の記憶装置は、物品の棚出し作業を管理するための各種プログラムを記憶している。例えば、携帯端末3の記憶装置は、コンピュータに、物品の棚出し作業を管理する棚出し管理サーバから、棚出し対象の物品を含むリストである棚出しリストを、通信ネットワークを介して受信する処理と、棚出し管理サーバから受信した棚出しリストに基づいて、棚出し対象の物品が格納されている棚を特定する処理と、所定の出力方法による出力を指示する旨の出力指示情報を、特定した棚に付随するデータキャリアに書き込む処理とを実行させるための棚出し管理用プログラムを記憶している。
【0070】
次に、動作について説明する。本実施の形態では、物品の保管管理や棚出しを行う店舗や企業は、棚出し管理サービスを提供するサービス事業者と予め契約を締結している。また、店舗や企業は、棚出し対象の物品の物品名や物品番号、作業者名、保管されている棚の棚番号等の情報を、予め管理サーバ4に登録している。また、サービス事業者は、登録された情報に基づいて棚出しリストを作成し、作成した棚出しリストを予め管理サーバ4に登録している。また、サービス事業者は、棚出し対象の各物品や各棚に対してICタグを発行し、店舗や企業は、発行されたICタグ1やICタグ2を保管棚や物品に予め取り付けている。
【0071】
図9は、物品の棚出し作業を管理する処理の一例を示す流れ図である。まず、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3は、棚出し作業開始時に、作業者の操作に従って、管理サーバ4から、通信ネットワークを介して、これから棚出し作業をする物品に対応する棚出しリストをダウンロードする(ステップS101)。この場合、管理サーバ4の棚出しリスト送信手段51は、携帯端末3からのダウンロード要求に応じて、棚出しリストデータベース54から棚出しリストを抽出する。また、棚出しリスト送信手段51は、抽出した棚出しリストを、通信ネットワークを介して携帯端末3に送信する。すると、携帯端末3は、受信した棚出しリストを保存する。例えば、携帯端末3は、受信した棚出しリストを記憶部46に保存する。なお、携帯端末3は、棚出しリストとともに、棚出しリストに含まれる各棚番号及び物品番号に対応する個体識別符号も受信し保存する。
【0072】
ダウンロードを完了すると、携帯端末3は、作業者の操作に従って、棚出しリストを表示部43に表示する。そして、作業者は、ダウンロードした棚出しリストを確認しながら、棚出し作業を開始する(ステップS102)。
【0073】
次に、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3は、棚出しリストをリストの上位から順に検索し、「作業状況」が「済」となっていない物品の棚番号を1つ特定する(ステップS103)。すなわち、携帯端末3は、棚出しリストに基づいて、棚出し対象の物品を1つ特定する。
【0074】
次に、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3は、棚出し対象の物品が置かれている棚に貼付されている発光/スピーカ機能付きICタグ1を発光させるとともにブザー音を鳴動させる(ステップS104)。
【0075】
例えば、作業員が携帯端末3のICタグリーダライタ44を保管棚の各ICタグ1にかざすと、携帯端末3は、ICタグリーダライタ44を用いて、発光及びブザー音の出力を指示する指示情報をICタグ1に書き込む。この場合、携帯端末3は、例えば、棚出し対象の物品が置かれている棚のICタグ1を識別するための個体識別符号を含む指示情報をICタグ1に書き込む。ICタグ1の制御部21は、携帯端末3から受信した指示情報に含まれる個体識別符号が、記憶部22が記憶する個体識別符号と合致するか否かを判断する。個体識別符号が合致すると判断すると、制御部21は、発光部25を発光させ、スピーカ部26にブザー音を出力させる。
【0076】
発光部25が発光及びスピーカ部26がブザー音を出力したことに従い、作業者は、棚出し対象の物品が置かれている棚に行き物品を棚から取り出す。また、作業員は、物品に貼付されているICタグ2をICタグリーダライタ機能付き携帯端末3で読ませ、正しい物品を棚出ししたか否かをチェックする。
【0077】
例えば、作業員が携帯端末3のICタグリーダライタ44を棚出しした物品のICタグ2にかざすと、携帯端末3は、ICタグリーダライタ44を用いて、ICタグ2から個体識別符号(ICタグ2の記憶部32が記憶する個体識別符号)を読み込む。また、携帯端末3の制御部41は、読み込んだ個体識別符号が、棚出し対象の物品の個体識別符号に合致するか否かを判断する。個体識別符号が合致すると判断すると、制御部41は、正しい物品を棚出ししたと判定する。個体識別符号が合致しないと判断した場合には、制御部41は、正しい物品を棚出ししなかった(棚出し対象以外の物品を棚出ししてしまった)と判定する。
【0078】
携帯端末3は、正しい物品を棚出ししたと判定すると、棚出しリストの対応する「作業状況」の欄を「済」に更新するとともに、「作業時間」の欄に現在の時刻を登録する。また、正しくない物品を棚出ししたと判定した場合には、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3は、アラームを出力し、物品を棚に戻すように作業者に促す(ステップS105)。そのようにすることによって、棚出し作業における作業ミスをなくすことができる。
【0079】
なお、ステップS105において、携帯端末3は、例えば、所定のアラーム表示を表示部43の画面上に表示させてもよい。また、携帯端末3は、スピーカ部47にブザー等の音を出力させることによって、作業者に通報してもよい。
【0080】
次に、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3は、棚出しが終わった棚の発光/スピーカ機能付きICタグ1に発光及びブザー音の出力を止めさせる(ステップS106)。この場合、例えば、作業員が携帯端末3のICタグリーダライタ44をICタグ1にかざすと、携帯端末3は、ICタグリーダライタ44を用いて、発光及びブザー音の出力を停止する旨の指示情報をICタグ1に書き込む。すると、ICタグ1の制御部21は、受信した指示情報に基づいて、発光部25に発光を停止させるとともに、スピーカ部26にブザー音の出力を停止させる。
【0081】
また、携帯端末3の制御部41は、棚出しリストをリストの上位から順に検索し、「作業状況」が全て「済」となっているか否かを判定する(ステップS107)。「済」となっていない「作業状況」がある場合(ステップS107でNOの場合)、携帯端末3は、ステップS103に戻り、ステップS103以降の処理を繰り返し実行する。
【0082】
「作業状況」が全て「済」である場合(ステップS107でYESの場合)、携帯端末3は、棚出し作業が全て完了したと判断する。そして、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3は、棚出し作業完了後の棚出しリストを、通信ネットワークを介して管理サーバ4に送信する(ステップS108)。
【0083】
管理サーバ4の棚出しリスト受信手段52は、棚出しリストを、通信ネットワークを介して携帯端末3から受信する。すると、管理サーバ4の棚出しリスト更新手段53は、受信した棚出しリストに基づいて、棚出しリストデータベース54が記憶する棚出しリストを更新する。また、棚出しリスト更新手段53は、棚出し作業が完了したことを示す作業完了情報を、棚出しリストに対応づけて棚出しリストデータベース54に登録する(ステップS109)。
【0084】
以上の処理を実行することにより、棚に付与された発光/スピーカ機能付きICタグ1と、物品に付与されたICタグ2と、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3と、棚出し業務を管理する管理サーバ4とを用いて、棚出し作業の効率化と正確化とを図ることができる。
【0085】
以上のように、本実施の形態によれば、棚に発光/スピーカ機能付きICタグ1を付与し、ICタグ1は、予め個体識別符号情報を記憶する。また、携帯端末3のICタグリーダライタ機能を用いて、その個体識別符号情報を、無線通信手段によりICタグ1と送受信する。そのようにすることにより、棚出し対象の物品が置かれている棚に付与された発光機能とスピーカ機能とを用いて、棚出し対象の物品が置かれている棚の位置を作業者に知らせることができる。
【0086】
また、本実施の形態によれば、棚に保管されている物品にICタグ2を付与し、ICタグ2は、予め個体識別符号情報を記憶する。また、携帯端末3のICタグリーダライタ機能を用いて、その個体識別符号情報を、無線通信手段によりICタグ2と送受信する。そのようにすることにより、棚から出した物品が正しいものであるか否かを識別することが可能となり、作業の効率化と正確化とを図ることができる。従って、棚から物品を取り出す棚出し作業を効率的かつ正確に行うことができる。また、棚出し作業の履歴等を効率的に管理することができる。
【0087】
また、本実施の形態によれば、取り出したい物品が入っている棚を発光させ、かつスピーカ機能も用いて作業者に棚位置を知らせることができる。そのため、間違った棚から間違った物品を棚出ししてしまうリスクを大幅に低減することができる。
【0088】
また、本実施の形態によれば、棚出し作業をする順番、棚を示す個体識別符号情報である棚番号、物品の名前を示す物品名、物品の個体識別符号情報である物品番号、作業を行う作業者名、作業の進捗を示す作業状況、及び作業を完了した時間である作業時間等の情報を、管理サーバ4に登録し管理する。そのため、管理サーバ4の管理情報に基づいて、棚出しした物品が正しいものであるか否かを、目視ではなく、ICタグ1,2の個体識別符号情報に基づいて、無線通信手段を用いてチェックすることができる。そのため、棚出し作業の正確性を向上させることができる。
【0089】
また、本実施の形態によれば、棚出し管理システムを実現するために、無線通信手段を用いているので、保管棚に配線等を行う必要がなくなる。そのため、棚出し管理システムを実現するための設備を構築する労力を削減することができる。また、棚出し管理システムを低コストで実現することができる。
【0090】
本実施の形態によれば、上記に示した棚出し管理システムを用いることにより、熟練した作業者の経験や、人手による物品や棚番号の識別に全面的に頼ることなく、物品や棚に付与されたICタグの個体識別符号を用いて棚出し対象の物品をチェックするができる。そのため、棚出しの作業の効率化と正確化と図ることができる。
【0091】
なお、本実施の形態では、作業員が持つICタグリーダライタ機能付き携帯端末3は、作業開始時に棚出しリストを管理サーバ4からダウンロードして棚出し、作業員は、ダウンロードしたリストを用いて棚出し作業のチェックを行う場合を説明した。そして、全ての棚出し作業が終わると、携帯端末3は、管理サーバ4にチェック済みの棚出しリストを登録するようにしていた。このようにしたのは、管理サーバ4とICタグリーダライタ機能付き携帯端末3との間の通信にかかる時間を考慮したためである。仮に、管理サーバ4とICタグリーダライタ機能付き携帯端末3との間の通信速度が速く、通信がスムーズに行われるような状態であれば、個々の物品を棚出しする毎に、携帯端末3は、管理サーバ4にチェック結果を送信するようにしてもよい。そして、管理サーバ4は、個々の物品の棚出しが行われる毎に、棚出しリストを更新し作業完了情報を登録するようにしてもよい。
【0092】
また、本実施の形態では、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3を用いて、管理サーバ4にアクセスし棚出しリストを入手したり登録したりする場合を説明したが、作業員が使う端末は携帯端末に限られない。例えば、作業員は、据え置き型のICタグリーダライタとパーソナルコンピュータ等の情報処理端末とを用いて、棚出しに関する情報(例えば、棚出しリスト)を管理サーバ4に登録してもよい。
【0093】
また、本実施の形態では、「棚出し順番」、「棚番号」、「物品名」、「物品番号」、「作業者名」、「作業状況」及び「作業時間」を含む棚出しリストが予め管理サーバ4に登録されている場合を説明したが、管理サーバ4を用いずに、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3が、予め記憶部46に棚出しリストを記録し管理するようにしてもよい。そのようにすれば、管理サーバ4を不要とすることができる。
【0094】
実施の形態2.
次に、本発明の第2の実施の形態を図面を参照して説明する。図10は、棚出し管理システムの他の例を示す説明図である。
【0095】
第1の実施の形態では、物品の棚出し作業の際に棚出し対象の物品を1つずつチェックしながら作業を行う場合を説明したが、本実施の形態では、ICタグの特性を生かして、棚出し対象の物品を一括してチェックしながら棚出し作業を行う。図10に示すように、本実施の形態では、棚出しすべき物品が置かれている棚に貼付されている発光/スピーカ機能付きICタグ1を、棚出し作業を行う際に全て一括して発光させる。また、作業者は、全ての棚出し対象の物品を棚から棚出しすると、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3を用いて、棚出しした物品に貼付されてい各ICタグ2から一括して個体識別符号を読み込ませる。そして、携帯端末3は、全ての物品を正しく棚出ししたか否かを一括してチェックし、更新後の棚出しリストを管理サーバ4に登録する。
【0096】
なお、本実施の形態において、ICタグ1、ICタグ2、携帯端末3及び管理サーバ4の基本的な機能は、第1の実施の形態で示したそれらの機能と同様である。
【0097】
次に、動作について説明する。図11は、物品の棚出し作業を管理する処理の他の例を示す流れ図である。まず、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3は、棚出し作業開始時に、第1の実施の形態で示したステップS101と同様の処理に従って、作業者の操作に従って、管理サーバ4から、通信ネットワークを介して、これから作業をする物品に対応する棚出しリストをダウンロードする(ステップS201)。
【0098】
次に、ダウンロードを完了すると、携帯端末3は、作業者の操作に従って、棚出しリストを表示部43に表示する。そして、作業者は、ダウンロードした棚出しリストを確認しながら、棚出し作業を開始する(ステップS202)。
【0099】
次に、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3は、棚出しリストをリストの上位から順に検索し、「作業状況」が「済」になっていない物品の棚番号を全て特定する(ステップS203)。すなわち、携帯端末3は、棚出しリストに基づいて、棚出し対象の物品を全て特定する。
【0100】
次に、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3は、ステップS203で特定した棚出し対象の物品が置かれている全ての棚に貼付されている発光/スピーカ機能付きICタグ1を発光させるとともにブザー音を鳴動させる(ステップS204)。
【0101】
例えば、作業員が携帯端末3のICタグリーダライタ44を保管棚の全ての棚のICタグ1にかざすと、携帯端末3は、ICタグリーダライタ44を用いて、発光およびブザー音の出力を指示する指示情報をICタグ1に書き込む。この場合、携帯端末3は、例えば、棚出し対象の物品が置かれている棚のICタグ1を識別するための個体識別符号を全て含む指示情報をICタグ1に書き込む。ICタグ1の制御部21は、携帯端末3から受信した指示情報に含まれる各個体識別符号のうち、記憶部22が記憶する個体識別符号と合致するものがあるか否かを判断する。合致する個体識別符号があると判断すると、制御部21は、発光部25を発光させ、スピーカ部26にブザー音を出力させる。
【0102】
次に、作業者は、発光及びブザー音が鳴っている全ての棚から物品を取り出し、一箇所にまとめる。また、作業員は、物品に貼付されているICタグ2をICタグリーダライタ機能付き携帯端末3で一括して読ませ、正しい物品を棚出ししたか否かをチェックする。
【0103】
例えば、作業員が携帯端末3のICタグリーダライタ44を棚出しした各物品のICタグ2にかざすと、携帯端末3は、ICタグリーダライタ44を用いて、ICタグ2から個体識別符号(ICタグ2の記憶部32が記憶する個体識別符号)を読み込む。また、携帯端末3の制御部41は、読み込んだ個体識別符号が、棚出しリストに含まれるいずれかの物品の個体識別符号に合致するか否かを判断する。いずれかの物品の個体識別符号に合致すると判断すると、制御部41は、正しい物品を棚出ししたと判定する。棚出しリストに含まれるいずれの物品とも個体識別符号が合致しないと判断した場合には、制御部41は、正しい物品を棚出ししなかった(棚出し対象以外の物品を棚出ししてしまった)と判定する。
【0104】
携帯端末3は、正しい物品を棚出ししたと判定すると、棚出しリストの対応する「作業状況」の欄を全て「済」に更新するとともに、「作業時間」の欄にそれぞれ現在の時刻を登録する。また、正しくない物品を棚出ししたと判定した場合には、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3は、アラームを出力し、物品を棚に戻すように作業者に促す(ステップS205)。そのようにすることによって、棚出し作業における作業ミスをなくすことができる。
【0105】
なお、ステップS205において、携帯端末3は、例えば、所定のアラーム表示を表示部43の画面上に表示させてもよい。また、携帯端末3は、スピーカ部47にブザー等の音を出力させることによって、作業者に通報してもよい。
【0106】
次に、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3は、棚出しが終わった全ての棚の発光/スピーカ機能付きICタグ1に発光及びブザー音の出力を止めさせる(ステップS206)。この場合、例えば、作業員が携帯端末3のICタグリーダライタ44を取り出した全ての棚のICタグ1にかざすと、携帯端末3は、ICタグリーダライタ44を用いて、発光及びブザー音の出力を停止する旨の指示情報を各ICタグ1に書き込む。すると、ICタグ1の制御部21は、受信した指示情報に基づいて、発光部25に発光を停止させるとともに、スピーカ部26にブザー音の出力を停止させる。
【0107】
また、携帯端末3の制御部41は、棚出しリストをリストの上位から順に検索し、「作業状況」が全て「済」となっているか否かを判定する(ステップS207)。「済」となっていない「作業状況」がある場合(ステップS207でNOの場合)、携帯端末3は、ステップS203に戻り、ステップS203以降の処理を繰り返し実行する。
【0108】
「作業状況」が全て「済」である場合(ステップS207でYESの場合)、携帯端末3は、棚出し作業が全て完了したと判断する。そして、ICタグリーダライタ機能付き携帯端末3は、棚出し作業完了後の棚出しリストを、通信ネットワークを介して管理サーバ4に送信する(ステップS208)。
【0109】
管理サーバ4の棚出しリスト受信手段52は、棚出しリストを、通信ネットワークを介して携帯端末3から受信する。すると、管理サーバ4の棚出しリスト更新手段53は、受信した棚出しリストに基づいて、棚出しリストデータベース54が記憶する棚出しリストを更新する。また、棚出しリスト更新手段53は、棚出し作業が完了したこと示す作業完了情報を、棚出しリストに対応づけて棚出しリストデータベース54に登録する(ステップS209)。
【0110】
以上のように、本実施の形態によれば、棚出し作業を一括して行えるので、第1の実施の形態の場合と比較して、棚出し作業の効率を更に向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、棚から物品を取り出す作業が発生する業務全般の効率化と正確性の向上とを図る用途に適用できる。例えば、製造メーカ等で製品を製造する際に、物品(製品)を保管しておく物品棚から物品の棚出し作業を行う用途に適用できる。また、例えば、物流業者において倉庫の棚に置かれた品物を取り出す作業を行う用途に適用できる。また、例えば、リースやレンタル業者の場合、物品を保管している棚から貸出し対象の物品を取り出す作業を行う用途に適用できる。また、例えば、小売業において在庫を保管している店舗の棚から在庫品を取り出す作業を行う用途に適用できる。そのように、多岐にわたる業務において、作業の効率化と正確性の向上とを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明による棚出し管理システムの一例を示す説明図である。
【図2】棚に付与される発光/スピーカ機能付きICタグの構成の一例を示すブロック図である。
【図3】管理サーバが管理する個体識別符号と棚番号の例を示す説明図である。
【図4】物品に付与されるICタグの構成の一例を示すブロック図である。
【図5】管理サーバが管理する個体識別符号と物品番号の例を示す説明図である。
【図6】ICタグリーダライタ機能付き携帯端末の構成の一例を示すブロック図である。
【図7】管理サーバの構成の一例を示すブロック図である。
【図8】管理サーバが管理する棚出しリストの例を示す説明図である。
【図9】物品の棚出し作業を管理する処理の一例を示す流れ図である。
【図10】棚出し管理システムの他の例を示す説明図である。
【図11】物品の棚出し作業を管理する処理の他の例を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0113】
1,2 ICタグ
3 携帯端末
4 管理サーバ
21 制御部
22 記憶部
23 電力生成部
24 アンテナ部
25 発光部
26 スピーカ部
31 制御部
32 記憶部
33 電力生成部
34 アンテナ部
41 制御部
42 無線部
43 表示部
44 ICタグリーダライタ
45 アンテナ部
46 記憶部
47 スピーカ部
51 棚出しリスト送信手段
52 棚出しリスト受信手段
53 棚出しリスト更新手段
54 棚出しリストデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の棚出し作業を管理する棚出し管理システムであって、
作業者端末と、
物品を格納する棚に付随するデータキャリアである棚側データキャリアとを備え、
前記作業者端末は、
棚出し対象の物品が格納されている棚を特定する棚特定手段と、
所定の出力方法による出力を指示する旨の出力指示情報を、前記棚特定手段が特定した棚に付随する棚側データキャリアに書き込む指示情報書込手段とを含み、
前記棚側データキャリアは、前記作業者端末から出力指示情報を受信したことに基づいて、所定の出力方法に従って出力する出力手段を含む
ことを特徴とする棚出し管理システム。
【請求項2】
出力手段は、作業者端末から出力指示情報を受信したことに基づいて発光する請求項1記載の棚出し管理システム。
【請求項3】
出力手段は、作業者端末から出力指示情報を受信したことに基づいて音声を出力する請求項1又は請求項2記載の棚出し管理システム。
【請求項4】
指示情報書込手段は、棚特定手段が特定した棚に付随する棚側データキャリアを識別するための識別情報を含む出力指示情報を、前記棚特定手段が特定した棚に付随する棚側データキャリアに書き込み、
棚側データキャリアは、
当該棚側データキャリアを識別するための識別情報を記憶する棚側識別情報記憶手段と、
作業者端末から受信した出力指示情報に含まれる識別情報が、前記識別情報記憶手段が記憶する識別情報と合致するか否かを判定する識別情報判定手段とを含み、
出力手段は、前記識別情報判定手段によって識別情報が合致すると判定されると、所定の出力方法に従って出力する
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の棚出し管理システム。
【請求項5】
物品の棚出し作業を管理する棚出し管理サーバを備え、
前記棚出し管理サーバは、
棚出し対象の物品を含むリストである棚出しリストを記憶するリスト記憶手段と、
作業者端末からの要求に応じて、前記リスト記憶手段が記憶する棚出しリストを、通信ネットワークを介して前記作業者端末に送信するリスト送信手段とを含み、
棚特定手段は、前記棚出し管理サーバから受信した棚出しリストに基づいて、棚出し対象の物品が格納されている棚を特定する
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の棚出し管理システム。
【請求項6】
物品に付随するデータキャリアである物品側データキャリアを備え、
前記物品側データキャリアは、当該物品側データキャリアを識別するための識別情報を記憶する物品側識別情報記憶手段を含み、
作業者端末は、
前記物品側データキャリアから識別情報を読み込む識別情報読込手段と、
前記識別情報読込手段が読み込んだ識別情報に基づいて、棚出し管理サーバから受信した棚出しリストを更新する端末側リスト更新手段とを含む
請求項5記載の棚出し管理システム。
【請求項7】
作業者端末は、端末側リスト更新手段が更新した棚出しリストを、通信ネットワークを介して棚出し管理サーバに送信する更新リスト送信手段を含み、
前記棚出し管理サーバは、前記作業者端末から受信した棚出しリストに基づいて、リスト記憶手段が記憶する棚出しリストを更新するサーバ側リスト更新手段を含む
請求項6記載の棚出し管理システム。
【請求項8】
棚特定手段は、棚出し対象の物品が格納されている複数の棚を特定し、
指示情報書込手段は、前記棚特定手段が特定した各棚に付随する棚側データキャリアに、それぞれ出力指示情報を書き込む
請求項1から請求項7のうちのいずれか1項に記載の棚出し管理システム。
【請求項9】
物品の棚出し作業を管理する棚出し管理システムが含む作業者端末であって、
物品の棚出し作業を管理する棚出し管理サーバから、棚出し対象の物品を含むリストである棚出しリストを、通信ネットワークを介して受信するリスト受信手段と、
前記棚出し管理サーバから受信した棚出しリストに基づいて、棚出し対象の物品が格納されている棚を特定する棚特定手段と、
所定の出力方法による出力を指示する旨の出力指示情報を、前記棚特定手段が特定した棚に付随するデータキャリアに書き込む指示情報書込手段とを
備えたことを特徴とする作業者端末。
【請求項10】
物品の棚出し作業を管理する棚出し管理方法であって、
作業者端末が、棚出し対象の物品が格納されている棚を特定するステップと、
前記作業者端末が、所定の出力方法による出力を指示する旨の出力指示情報を、特定した棚に付随するデータキャリアに書き込むステップと、
前記データキャリアが、前記作業者端末から出力指示情報を受信したことに基づいて、所定の出力方法に従って出力するステップとを含む
ことを特徴とする棚出し管理方法。
【請求項11】
物品の棚出し作業を管理するための棚出し管理用プログラムであって、
コンピュータに、
物品の棚出し作業を管理する棚出し管理サーバから、棚出し対象の物品を含むリストである棚出しリストを、通信ネットワークを介して受信する処理と、
前記棚出し管理サーバから受信した棚出しリストに基づいて、棚出し対象の物品が格納されている棚を特定する処理と、
所定の出力方法による出力を指示する旨の出力指示情報を、特定した棚に付随するデータキャリアに書き込む処理とを
実行させるための棚出し管理用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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