説明

椅子型マッサージ機の操作装置とそれを備えた椅子型マッサージ機

【課題】 椅子型マッサージ機において、施療動作スイッチの選択による施療動作の選択と、ジョイスティックによる施療位置の変更や施療強さの変更を容易に行えるようにして、種々の施療動作を行わせることができる操作装置を提供すること。
【解決手段】 施療子を備えたマッサージ機構の移動を操作可能なジョイスティック20と、施療子による施療動作を選択可能な複数の施療動作スイッチ37〜41とを備え、この施療動作スイッチ37〜41で選択した施療動作に加えて前記ジョイスティック20の操作に応じてマッサージ機構を移動させる機能を備えさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の身体を施療する椅子型マッサージ機の操作装置と、その操作装置を備えた椅子型マッサージ機に関し、詳しくは、操作具と施療動作スイッチとを備えた操作装置と、それを備えた椅子型マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被施療者の身体に、もみ、たたき、指圧、ローリング等の刺激を与える椅子型マッサージ機が知られている。この椅子型マッサージ機の多くは、主として被施療者の腰、背中及び肩に対して施療子で前記刺激を与える構成や、空気袋で脹脛部や腿部、尻部等に刺激を与える構成が備えられている。
【0003】
前記施療子は、被施療者の腰、背中及び肩に対して刺激を与えるように、被施療者の背中の上下方向に位置変更が可能なように構成されている。この施療子は、一般的に施療子を被施療者の腰、背中に対して直交する方向から支持するアームにもみ動作やたたき動作を与えることにより、被施療者に対して種々の施療を行うマッサージ機構に設けられている。
【0004】
このマッサージ機構は、一般的に、被施療者の身体中心の左右両側に施療子を備えたアームがそれぞれ設けられ、これらの施療子を被施療者の腰から背中、肩にかけて身長方向に移動させながら被施療者の身体に、もみ、たたき、指圧、ローリング等の刺激を与えて種々のマッサージを行っている。
【0005】
また、前記空気袋は、被施療者の脹脛部や腿部、尻部等を押圧して刺激を与えるように、被施療者の脹脛部や腿部、尻部で膨張・収縮が可能なように構成されている。この空気袋を膨張・収縮させる構成としては、エアー供給源から供給される圧縮空気の供給・排出を制御することによって行われる。
【0006】
この空気袋や前記施療子は、マッサージ機に備えられた操作装置を被施療者が操作することによって動作内容を決定することができる。この操作装置としては、これら施療子や空気袋の動作、及び背凭れ部やフットレストの傾倒角度等を被施療者が選択的に操作するリモートコントロール装置が一般的であるが、例えば、前記肘掛け部に設けられたジョイスティック型の操作装置もある。
【0007】
この種のジョイスティック型の操作装置を備えたマッサージ装置として、例えば、ジョイスティック機構によって複数の動作モードの中からシフトレバー感覚で所望の動作モードを選択できるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
なお、他の操作装置を備えたマッサージ機として、片手で操作して施療子の位置を微量調節可能としたグリップを備えた操作装置を設け、グリップの頭部に設けた操作部を、親指でグリップの軸方向へ押圧する操作と、グリップの軸を中心に揺動させる操作とで施療子の位置を微量調節するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2004−16428号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】特開2005−6735号公報(第5頁、図1−4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、前記特許文献1に記載されたジョイスティック型の操作装置の場合、被施療者がジョイスティックを握り、その状態で前後方向や左右方向に傾けることによって予め設定された動作モードから所望の動作モードを選択することとなる。そのため、このジョイスティック型の操作装置では、予め設定された複数の動作モードから所望の動作モードを選択するような、限られた選択肢しかない。
【0010】
一方、被施療者がその日の体調や気分に応じて個別の施療(施療動作)を選択したい場合がある。例えば、肩が疲れている場合には肩のみを集中的に施療し、腰が疲れている場合には腰や背中を集中的に施療したい場合がある。
【0011】
しかしながら、前記したように、特許文献1のジョイスティック型の操作装置の場合には選択できる動作モードが限られているため、このような個別の施療動作を選択することができない。仮に、ジョイスティックの傾倒位置や傾倒角度ごとに動作モードを設定して増やすとすると、操作が非常に煩雑になるとともに、微少な操作で異なる動作になる場合もあり、安定した操作が困難になる。また、前記特許文献2は、椅子型マッサージ機で所望の施療動作を行うものではない。
【0012】
そこで本発明は、椅子型マッサージ機において、施療動作スイッチの選択による施療動作の選択と、操作具による施療位置の変更や施療強さの変更を容易に行えるようにして、種々の施療動作を行わせることができる操作装置と、それを備えたマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明の椅子型マッサージ機の操作装置は、被施療者の背部を施療する施療子を設けたマッサージ機構を背凭れ部に備えた椅子型マッサージ機の操作装置であって、前記マッサージ機構の移動を操作可能な操作具と、前記施療子による施療動作を選択可能な複数の施療動作スイッチとを備え、該施療動作スイッチで選択した施療動作に加えて前記操作具の操作に応じてマッサージ機構を移動させる機能を備えている。これにより、椅子型マッサージ機において、被施療者は施療動作スイッチの選択と操作具の操作との組合わせ操作によって、所望の施療動作を容易に行わせることができる。
【0014】
また、前記操作具は前記被施療者により把持可能な把持部を備え、該把持部に前記椅子型マッサージ機のリクライニング操作スイッチを備えれば、リクライニング動作も前記操作具のみで行うことができる。
【0015】
さらに、前記操作具と施療動作スイッチとによる操作履歴を記録する記録手段を備えれば、後日、被施療者の好みに応じた施療動作を容易に呼び出すことができる。
【0016】
一方、本発明の椅子型マッサージ機は、これらいずれか1項に記載の操作装置を肘掛け部に備え、該操作装置の操作に応じて施療動作を行うように駆動制御する制御装置を設けている。この椅子型マッサージ機によれば、前記施療動作スイッチと前記操作具との操作によって、被施療者の好みに応じた施療を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上説明したような手段により、椅子型マッサージ機において、施療動作スイッチと操作具との組合わせ操作により、施療動作スイッチで選択した施療動作に加えて操作具の操作で被施療者の好みに応じた施療動作を行わせることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の全体の構成を示す斜視図であり、図2は、同椅子型マッサージ機のマッサージ機構の移動状態を模式的に示す側面図である。以下の実施の形態では、操作具の一例としてジョイスティックを例に説明する。まず、本発明の椅子型マッサージ機の操作装置が用いられた椅子型マッサージ機の全体構成の一例を説明する。なお、この明細書及び特許請求の範囲の書類中では、椅子型マッサージ機1に着座した被施療者から見たときの方向を基準として前後左右を用いる。例えば、前側は着座した被施療者の前方、左側は同被施療者の左方、右側は同被施療者の右方をいう。
【0019】
図1に示すように、この実施の形態に係る椅子型マッサージ機1は、座部2、背凭れ部3、フットレスト部4(脚載置台)、及び肘掛け部5から主として構成されている。座部2は、基台18の上部に配置されており、この基台18は、両側に設けられた脚部18aで支持されている。また、肘掛け部5の近傍にリモートコントロール装置6が設けられている。このリモートコントロール装置6には、前記椅子型マッサージ機1の動作状態などを表示する表示部が設けられている。19は、基台18に設けられた制御装置である。
【0020】
前記座部2の後部に設けられた背凭れ部3は、その前面視が縦長の略長方形に形成され、下端部が座部2の後部横方向に設けられた支持軸10によって前記基台18に支持されている。背凭れ部3は、この支持軸10を中心に回動して、前後にリクライニングが可能なように構成されている。そして、この背凭れ部3の内部に、着座した被施療者の背中側に刺激を与える施療子8を備えたマッサージ機構7が設けられている。
【0021】
このマッサージ機構7は、被施療者の身体に機械的刺激を与える複数(この図では左右各1つで、合計2つ)のローラ状の施療子8を備えている。これらの施療子8は、マッサージ機構7の前方に位置するように設けられた左右のアーム9の先端にそれぞれ取り付けられている。それぞれのアーム9は、マッサージ機構7に設けられた駆動機構によって、施療子8にもみ動作及びたたき動作をさせるように構成されている。また、このアーム9には、バイブレータ11が設けられており、このバイブレータ11で施療子8を振動させるように構成されている。このマッサージ機構7は、図1に示すように、背凭れ部3の左右端部に設けられたレール12上をガイドローラ13aによって上下移動する昇降台13に設けられている。これにより、施療子8を備えたマッサージ機構7は上下移動が可能となっている。また、図2のようにマッサージ機構7は、昇降台13の支点13bを中心に前方へ揺動可能なように構成されており、これにより、施療子8を前方へ押し出すことが可能となっている。
【0022】
図1に示すように、前記フットレスト部4は、上端が座部2の前端下部に設けられた支持軸14に支持され、下端が基台18側に接近又は離間するように構成されている。これにより、フットレスト4の下端を前方に傾けて角度調節可能なように構成されている。また、このフットレスト4の下端は、支持軸14に対し接近又は離間するように、例えばスライド機構を備えている。これにより、フットレスト部4は、支持軸14からフットレスト部4の下端までの距離を調節することができる。なお、フットレスト部4の下端部には、被施療者の足裏部に施療効果を与えることができる施療手段、例えば振動を与えて施療する図示しないバイブレータが設けられている。
【0023】
さらに、座部2には、腿部や尻部を押圧するように膨張/収縮自在の空気袋15が設けられ、フットレスト部4には、脹脛部を押圧するように膨張/収縮自在の空気袋16と、足部を押圧するように膨張/収縮自在の空気袋17とがそれぞれ設けられている。これらの空気袋15,16,17を設ける構成は一例であり、個数や配置はこの実施の形態に限定されるものではない。
【0024】
図3は、椅子型マッサージ機の操作装置の操作具の一例である図1に示すジョイスティックを表す図面であり、(a) は背面側からの斜視図、(b) は正面図である。図4は、同ジョイスティックの内部機構を模式的に示す縦断面図である。
【0025】
図4に示すように、ジョイスティック20には、肘掛け部5に設けられた支持軸21に回動可能に設けられたガイド部材22と、このガイド部材22にガイドローラ23aで上下方向に案内されるジョイスティック本体23とが設けられている。このジョイスティック本体23には、前記ガイド部材22の上部に設けられた段違いの当接板22a,22bに当接するリミットスイッチ24,25が設けられている。図4に実線で示す状態は、ジョイスティック本体23が下端に位置した状態であり、リミットスイッチ24が当接板22aに当接している。図4に点線で示す状態は、ジョイスティック本体23が上端に位置した状態であり、リミットスイッチ25が当接板22bに当接している。図4に一点鎖線で示す状態は、ジョイスティック本体24の中立位置である。これらのリミットスイッチ24,25により、ジョイスティック本体23の昇降動の上端と下端とが検出されている。なお、これらのリミットスイッチ24,25に代えて、ポテンショメータで昇降位置を検出するようにしてもよい。なお、二点鎖線で示す状態はジョイスティック20を最大に前傾させた状態を示している。
【0026】
また、前記ガイド部材22の下端には、このガイド部材22と一体的に回動する半円状の歯車26が設けられている。この歯車26は、肘掛け部5に設けられたポテンショメータ27のピニオンギア27aと噛合している。このポテンショメータ27により、ジョイスティック20の回動角が検出されている。
【0027】
さらに、ジョイスティック本体23の上部には、前後方向に回動させる円形のスピードコントロール部材28,29が設けられている。この実施の形態では、図3(a) に示す右側にもみスピードコントロール部材28が、左側にたたきスピードコントロール部材29が設けられている。これらのスピードコントロール部材28,29の回動量は、ポテンショメータ28a,29aによってそれぞれ検出されている。なお、これらのポテンショメータ28a,29aに代えて、ロータリーエンコーダで回転量を検出するようにしてもよい。
【0028】
その上、この実施の形態では、ジョイスティック本体23の前面に、ジョイスティック本体23を握る手でリクライニング操作を行うことが可能なリクライニング操作スイッチ30,31が設けられている。このリクライニング操作スイッチ30,31は、例えば人差し指と中指とで操作できる位置に設けられる。この場合、図示する上側のリクライニング操作スイッチ30を人差し指で操作すれば背凭れ部3(図1)が起きあがるとともにフットレスト部4が下降し、下側のリクライニング操作スイッチ31を中指で操作すれば背凭れ部3(図1)が倒れるとともにフットレスト部4が上昇するように構成されている。上側のリクライニング操作スイッチ30の操作によるリグライニング動作と、下側のリクライニング操作スイッチ31の操作によるリクライニング動作とは、逆になるように構成してもよい。
【0029】
また、このジョイスティック本体23の被施療者側上部には、LED32が設けられている。このLED32は、ジョイスティック20が、例えば電源をON操作した時の初期状態において中立位置にない場合には点滅して、マッサージ機を動作させる前に被施療者に対しジョイスティック20を中立位置に戻すように注意を促すためのものである。ジョイスティック20を中立位置に戻すとLED32が常時点灯状態に変化して、被施療者にジョイスティック20の操作が可能になったことを知らせる。このジョイスティック20の中立位置の検出は、前記ポテンショメータ27などからの信号によって検出される。なお、ジョイスティック20を中立位置に戻すように促す手段としては、電源をON操作した時にジョイスティック20が中立位置にない場合は、それを検知して「ジョイスティックを中立位置まで戻してください。」などの音声案内が流れるようにしてもよい。
【0030】
図5は、本発明の一実施の形態に係る椅子型マッサージ機の操作装置を示す平面図である。操作装置は椅子型マッサージ機の任意の場所に設けることができるが、被施療者の操作し易さを考慮すると左右どちらかの肘掛け部に設けることが好ましい。この図5は、図1に示す右側の肘掛け部に設けた例であり、紙面上部がマッサージ機に対し前側、紙面下部が後側を示している。図6は、図5に示す操作装置の制御回路と椅子型マッサージ機1のリモートコントロール装置6の制御回路とを含む制御回路のブロック図である。
【0031】
図5に示すように、肘掛け部5に設けられた操作装置33の操作パネル34(サブリモートコントローラ)には、各種の機能を選択するためのスイッチ35〜46が設けられている。これら複数のスイッチ35〜46の各機能を以下に説明する。なお、スイッチ37〜41は、施療動作を選択する施療動作スイッチであり、スイッチ42〜46は、操作履歴を記録する記録手段の構成要素のスイッチである。
【0032】
まず、図5において、スイッチ35が、ジョイスティック20と各施療動作スイッチ37〜41との組合わせ操作によって、被施療者による任意の施療を可能にする自由選択コーススイッチ35である。この自由選択コーススイッチ35を操作することによってリモートコントロール装置6による操作モードから、操作装置33(ジョイスティック20及び操作パネル34)による操作も可能な状態となる。また操作パネル34にはリクライニングスイッチ36が設けられている。このリクライニングスイッチ36は、後側を押すと背凭れ部3が後に倒れるとともにフットレスト部4が上昇し、前側を押すと背凭れ部3が前に起きあがるとともにフットレスト部4が下降する。
【0033】
そして、このリクライニングスイッチ36と前記ジョイスティック20との後側には、横方向に並設された複数のスイッチ37〜46が上下2段で設けられている。上段の施療動作スイッチ37〜41の、図示する右端に設けられた部分ローラスイッチ37は、被施療者の背部、例えば背中の一部分で施療子8(図2)が上下方向にローリングするように設定されている。この部分ローラスイッチ37の隣の背筋ローラスイッチ38は、被施療者の背部全体、例えば背中の全体で施療子8(図2)が上下方向にローリングするように設定されている。この背筋ローラスイッチ38の隣には、施療子8によるもみ動作方向を逆転させる、もみ逆転スイッチ39が設けられている。
【0034】
図の左端の、技もみ1スイッチ40は、施療子8(図2)による「もみ」動作を所定のパターンで行うように設定されている。例えば、「もみ」動作を3回早く行った後、1回遅く行うようなパターンが予め設定されている。この技もみ1スイッチ40の隣の、技もみ2スイッチ41には、他のパターンが予め設定されている。
【0035】
また、下段の記録手段の構成要素であるスイッチ42〜46は、中央部から右側に、メモリ1スイッチ42、メモリ2スイッチ43、メモリ3スイッチ44が設けられ、左側には、記録スイッチ45と再生/停止スイッチ46とが設けられている。
【0036】
図6に示すように、図5に示すスイッチ37〜46とジョイスティック20はジョイスティック制御部47に接続されており、ジョイスティック20からの操作信号がジョイスティック制御部47に入力され、操作パネル34(図5)からの操作信号も同様にジョイスティック制御部47に入力される。このジョイスティック制御部47の信号は、制御装置19の主制御部49に入力されるとともに、椅子型マッサージ機1を動作させるための制御信号に変換させる。
【0037】
一方、椅子型マッサージ機1に設けられたメインのリモートコントロール装置6(図1)を操作することによってリモートコントローラ制御部48に入力された信号も、制御装置19(図1)の主制御部49に入力されるとともに、椅子型マッサージ機1を動作させるための制御信号に変換される。また主制御部49からも、ジョイスティック制御部47及びリモートコントローラ制御部48に対し制御信号が出力されている。この場合、操作装置33(ジョイスティック20,操作パネル34)からの入力信号をジョイスティック制御部47及び主制御部49を介してリモートコントロール装置6(図1)に送信することにより、リモートコントロール装置6に設けられた表示部に、操作装置33からの入力信号に応じた表示をさせることもできる。
【0038】
これらの制御部47〜49は、一般には、CPU、ROM、RAM、及び入出力インタフェース等で構成される。特に主制御部49は、多くのデータを記録できるフラッシュメモリ、ハードディスク等が備えられている。
【0039】
以上のように構成された椅子型マッサージ機1の操作装置33による操作の動作例を、以下に説明する。なお、以下の組合わせは一例であり、他の組合わせでもよい。また、以下の説明での、図1〜4に示す構成には、図1〜4の符号を付して説明する。
【0040】
まず、図5に示す操作パネル34上段の施療動作スイッチ(部分ローラスイッチ37、背筋ローラスイッチ38、もみ逆転スイッチ39、技もみ1スイッチ40、技もみ2スイッチ41)とジョイスティック20との組合わせ操作について説明する。
【0041】
<部分ローラスイッチ37とジョイスティック20との組合わせ操作>
部分ローラスイッチ37を選択して施療子8が所定範囲内で上下に移動している時にジョイスティック20を上方へ操作すると、前記範囲の中心点が上に移動し、施療したい部分を含むように施療子8の移動範囲を変更させることができる。この施療動作時に、ジョイスティック20を下方へ操作すると、施療子8が移動している範囲の中心点を下へ移動させることができる。このような操作をジョイスティック20で行うので、被施療者の直感によりスムーズに施療子8の中心点を変えて「もみ」位置を変えることができる。
【0042】
<背筋ローラスイッチ38とジョイスティック20との組合わせ操作>
背筋ローラスイッチ38を選択して施療子8が上から下に移動している時にジョイスティック20を上方へ操作すると、施療子8の移動方向が反転し、施療子8が下から上に移動する動作となる。逆に、施療子8が下から上に移動している時にジョイスティック20を下方へ操作すると、施療子8は上から下に移動する動作に変更される。
【0043】
また、施療子8が上下方向に移動している時に、ジョイスティック20を前に傾斜させると、前記マッサージ機構13が被施療者側へ進出し、施療子8が被施療者側へ押し出されて、施療子8による押しを強めることでもみ強さを強くすることができる。逆にジョイスティック20を後に傾斜させると、マッサージ機構13とともに施療子8が被施療者側から後退し、施療子8による押しを弱めることでもみ強さを弱くすることができる。このような操作をジョイスティック20で行うので、被施療者の直感によりスムーズに施療子8の方向及び押しの強さを変えることで「もみ」方向及び強さを変えることができる。
【0044】
<スピードコントロール部材28,29(図3,4)による操作>
ジョイスティック本体23の上面に設けられたスピードコントロール部材28,29は、前記したようにもみスピードコントロール部材28の操作によって施療子8によるもみスピードをコントロールし、たたきスピードコントロール部材29の操作によって施療子8によるたたきスピードをコントロールする。スピードコントロール部材はジョイスティック本体23を中立位置に保ったままでも操作することが可能で、ジョイスティック本体23を上下方向又は前後方向に操作している状態においても操作することが可能であり、それぞれ施療子8の動作速度をコントロールすることができる。この操作も、被施療者の直感による操作により、スムーズに「もみ」「たたき」のスピードを変えることができる。
【0045】
<技もみスイッチ40,41とジョイスティック20との組合わせ操作>
技もみ1スイッチ40及び技もみ2スイッチ41は、前記背筋ローラスイッチ38とジョイスティック20との組合わせ操作、又は部分ローラスイッチ37とジョイスティック20との組合わせ操作と同様に、技もみ1又は技もみ2として予め設定してある施療プログラムを実行中に、ジョイスティック本体23を上方へ操作すれば施療子8が上昇し、ジョイスティック本体23を前方へ倒せば施療子8が前方へ出て強く施療するように操作することができる。この場合も、ジョイスティック20を使用して被施療者の直感によってスムーズに「もみ」位置を変えることができる。
【0046】
図7は、図5に示す椅子型マッサージ機の操作装置による操作例を示す説明図である。この図に基いて、図5に示す操作パネル34下段のスイッチ(メモリ1スイッチ42、メモリ2スイッチ43、メモリ3スイッチ44、記録スイッチ45、再生/停止スイッチ46)とジョイスティック20との組合わせ操作について説明する。メモリ1スイッチ42、メモリ2スイッチ43、メモリ3スイッチ44は、操作することによって、前記制御部47又は主制御部49の記録部(例えば、フラッシュメモリ、ハードディスク等であり記録手段の構成要素である。)の所定領域に操作履歴データが記録される。また、これらのメモリ1スイッチ42、メモリ2スイッチ43、メモリ3スイッチ44は、いずれも同一の機能であるため、以下の説明ではメモリ1スイッチ42を例に説明する。
【0047】
図7の上側に示すように、メモリ選択としてメモリ1スイッチ42を選択した後、記録スイッチ45を操作して記録を開始する。その後、被施療者の所望する施療動作を行うようにジョイスティック20などが操作される。そして、再生/停止スイッチ46を操作して記録を停止するか、メモリの最長記録時間(5分)に達するまで、施療動作の履歴が記録される。この実施の形態では、メモリ1スイッチ42〜メモリ3スイッチ44への施療動作の履歴の記録は互いに独立して行うことができる。また、これらの記録部への施療動作履歴データの上書きも可能である。
【0048】
このようにしてメモリ1スイッチ42によって記録した施療動作の履歴は、図7の下側に示すように、メモリ1スイッチ42を操作した後、再生/停止スイッチ46を操作して再生することにより、実行される。メモリ1スイッチ42〜メモリ3スイッチ44によって記録することが可能な施療動作履歴は最長5分間であり、施療動作は最長15分に設定されている。例えば5分間の施療操作履歴が記録されたメモリ1スイッチ42の操作の後、再生/停止スイッチ46を操作した場合、メモリ1スイッチ42に記録された施療動作履歴に対応する施療動作が3回繰り返し実行される(5分×3回=15分)。なお、この時間配分に限定されるものではなく、例えば、3分の施療操作履歴の場合は、最大5回繰り返して再生させることができる(3分×5回=15分)。
【0049】
図8(a),(b) は、図5に示す椅子型マッサージ機の操作装置による他の操作例を示す説明図である。この操作例は、前記記録部に記録した施療動作履歴の組み直しを行う一例である。この例では、前記メモリ1スイッチ42によって記録された施療動作履歴を例にして説明する。
【0050】
図8(a) に示すように、メモリ1スイッチ42に記録した施療動作履歴を最長の5分とし、この5分の施療動作履歴が、例えば、A(背筋押し)、B(腰部分もみ)、C(背筋上下)、D(腰押し)、E(肩部分もみ)で構成されているとする。そして、図8(b) に示すように、この構成された施療動作履歴を組み直す一例としては、A(背筋押し)、C(背筋上下)、C(背筋上下)、D(腰押し)、E(肩部分もみ)の順で施療動作を行うように組み直すことができる。この施療動作の組み直し操作は、例えば、施療動作履歴を再生しながらその都度不要な構成を削除する操作又は繰り返す操作を行うことや、図1に示すリモートコントロール装置6の表示部に例えば図8のように視覚的に表現された状態で行えるようにすることができる。
【0051】
なお、前記各施療動作スイッチ37〜41とジョイスティック20とによる操作例は一例であり、また、施療動作スイッチ37〜41の機能も一例であり、これらの組合わせや施療動作スイッチ37〜41の機能等は、前記実施の形態に限定されるものではない。
【0052】
また、前記操作パネル34に設けられた各スイッチの操作時に音声案内を流すようにしてもよい。例えば、メモリ1スイッチ42〜メモリ3スイッチ44の操作時には、既に記録されているスイッチを操作すると「既に登録されています。上書きしますか。」などの案内が流れ、前記記録スイッチ45、再生/停止スイッチ46の操作時には、次にどのスイッチを操作したらよいかについて、音声案内が流れるようにしてもよい。この場合、音声内容と同一の内容をリモートコントロール装置6の表示部に表示してもよい。これらの機能は適宜採用することができ、制御装置19に機能を付加すればよい。
【0053】
さらに、前述した実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る椅子型マッサージ機の操作装置は、施療動作スイッチで選択した施療を行いながら、施療位置の変更や施療強さをジョイスティックによって容易に変化させたい椅子型マッサージ機に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の全体の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す椅子型マッサージ機のマッサージ機構の移動状態を模式的に示す側面図である。
【図3】図1に示す椅子型マッサージ機の操作装置の操作具の一例であるジョイスティックを示す図面であり、(a) は背面側からの斜視図、(b) は正面図である。
【図4】図3に示すジョイスティックの内部機構を模式的に示す縦断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る椅子型マッサージ機の操作装置を示す平面図である。
【図6】図5に示す操作装置の制御回路と椅子型マッサージ機1のリモートコントロール装置6の制御回路とを含む制御回路のブロック図である。
【図7】図5に示す椅子型マッサージ機の操作装置による操作例を示す説明図である。
【図8】(a),(b) は、図5に示す椅子型マッサージ機の操作装置による他の操作例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1 椅子型マッサージ機
2 座部
3 背凭れ部
4 フットレスト
5 肘掛け部
6 リモートコントロール装置
7 マッサージ機構
8 施療子
9 アーム
10 支持軸
11 バイブレータ
12 レール
13 昇降台
14 支持軸
15,16,17 空気袋
18 脚部
19 制御装置
20 ジョイスティック
21 支持軸
22 ガイド部材
23 ジョイスティック本体
24,25 リミットスイッチ
26 歯車
27 ポテンショメータ
28 もみスピードコントロール部材
29 たたきスピードコントロール部材
30,31 リクライニング操作スイッチ
32 LED
33 操作装置
34 操作パネル
35 自由選択コーススイッチ
36 リクライニングスイッチ
37 部分ローラスイッチ
38 背筋ローラスイッチ
39 逆転スイッチ
40 技もみ1スイッチ
41 技もみ2スイッチ
42 メモリ1スイッチ
43 メモリ2スイッチ
44 メモリ3スイッチ
45 記録スイッチ
46 再生/停止スイッチ
47 ジョイスティック制御部
48 リモートコントローラ制御部
49 主制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の背部を施療する施療子を設けたマッサージ機構を背凭れ部に備えた椅子型マッサージ機の操作装置であって、
前記マッサージ機構の移動を操作可能な操作具と、前記施療子による施療動作を選択可能な複数の施療動作スイッチとを備え、該施療動作スイッチで選択した施療動作に加えて前記操作具の操作に応じてマッサージ機構を移動させる機能を備えた椅子型マッサージ機の操作装置。
【請求項2】
前記操作具は前記被施療者により把持可能な把持部を備え、該把持部に前記椅子型マッサージ機のリクライニング操作スイッチを備えた請求項1記載の操作装置。
【請求項3】
前記操作具と施療動作スイッチとによる操作履歴を記録する記録手段を備えた請求項1記載の操作装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の操作装置を肘掛け部に備え、該操作装置の操作に応じて施療動作を行うように駆動制御する制御装置を設けた椅子型マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−29225(P2007−29225A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213804(P2005−213804)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】