説明

椅子型マッサージ機

【課題】簡単な構成且つ安価にマッサージ目的に応じて複数のエアセルの膨張・収縮タイミングを異ならせることができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】膨張・収縮することにより使用者をマッサージする複数のエアセル5A-1、から5D-2と、前記複数のエアセルにエアを供給するためのエア供給装置7とエア供給配管100と、前記複数のエアセルの動作を制御する制御部9とを備えたマッサージ機である。前記エア供給配管100は一方側が前記エア供給装置7に接続され、他方側は少なくとも二以上に分岐して前記複数のエアセルに接続されており、前記他方側のエア供給配管100は前記複数のエアセルへのエア供給速度がそれぞれ異なるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張・収縮することにより使用者をマッサージする複数のエアセルと、前記複数のエアセルにエアを供給するためのエア供給装置とエア供給配管と、前記複数のエアセルの動作を制御する制御部とを備えたマッサージ機において、前記エア供給配管は一方側が前記エア供給装置に接続され、他方側は少なくとも二以上に分岐して前記複数のエアセルに接続されており、前記他方側のエア供給配管は前記複数のエアセルへのエア供給速度がそれぞれ異なるように形成されているマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、膨張・収縮することにより使用者をマッサージする複数のエアセルと、複数のエアセルに空気を供給するエア供給装置とエア供給配管を備えたマッサージ機において、エア供給配管の一方側がエア供給装置に接続され、他方側が切替弁(電磁弁やロータリ弁等)を介して分岐して複数のエアセルに接続されたマッサージ機が多数提案されている。このようなマッサージ機は、切替弁の開閉を制御することにより複数のエアセルにエアを供給するタイミングを制御することができる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−257083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のマッサージ機では、切替弁(ロータリ弁)を制御することにより、マッサージ目的に合わせて複数のエアセルの膨張・収縮タイミングを異ならせることができる。しかし、複数のエアセルの膨張・収縮タイミングを異ならせるためには、ロータリ弁等の切替弁を動作制御する必要があり回路が複雑になり、且つコストが高くなるとういう問題があった。
【0004】
そこで本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成且つ安価にマッサージ目的に応じて複数のエアセルの膨張・収縮タイミングを異ならせることができるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、膨張・収縮することにより使用者をマッサージする複数のエアセルと、前記複数のエアセルにエアを供給するためのエア供給装置とエア供給配管と、前記複数のエアセルの動作を制御する制御部とを備えたマッサージ機において、前記エア供給配管は一方側が前記エア供給装置に接続され、他方側は少なくとも二以上に分岐して前記複数のエアセルに接続されており、前記他方側のエア供給配管は前記複数のエアセルへのエア供給速度がそれぞれ異なるように形成されていることを特徴とする。このような構成とすることにより、前記エア供給配管が分岐して接続されたそれぞれのエアセルの膨張・収縮タイミングを異ならせることができる。
【0006】
また、前記複数のエアセルは少なくとも第1エアセルと第2エアセルとを有し、前記他方側のエア供給配管は前記第1エアセルへエアを供給するための第1エア供給配管と前記第2エアセルへエアを供給するための第2エア供給配管とに分岐し、前記第2エア供給配管は前記第2エアセルへのエア供給速度が前記第1エアセルへのエア供給速度よりも遅くなるよう形成されていることが好ましい。このような構成とすることにより、マッサージ目的に応じて膨張速度の速い第1エアセルと、第1エアセルより膨張速度の遅い第2エアセルをマッサージ機に設けることができる。
【0007】
また、前記第2エア供給配管は前記第1エア供給配管よりも流路が絞られていることが好ましい。このような構成とすることにより、第1エア供給配管と第2エア供給配管とに圧力差が生じて第1エア供給配管側へエアが流れやすくなり、第1エアセルの膨張速度を第2エアセルの膨張速度よりも早くすることができる。
【0008】
また、前記第2エア供給配管には連通孔が設けられたコネクタが接続され、前記コネクタに設けられた連通孔の内径を調整することにより前記第2エアセルへのエア供給速度を前記第1エアセルへのエア供給速度よりも遅くすることが好ましい。このような構成とすることにより、第2エア供給配管に接続するコネクタを変更するだけで第1エアセルと第2エアセルの膨張・収縮タイミングを変更することができ、且つ第1及び第2エア供給配管は共通部品とすることができる。
【0009】
また、前記第2エア供給配管には連通孔が設けられたコネクタが接続され、前記コネクタに設けられた連通孔の孔数を調整することにより前記第2エアセルへのエア供給速度を前記第1エアセルへのエア供給速度よりも遅くすることが好ましい。このような構成とすることにより、第2エア供給配管に接続するコネクタを変更するだけで第1エアセルと第2エアセルの膨張・収縮タイミングを変更することができ、且つ第1及び第2エア供給配管は共通部品とすることができる。さらに、連通孔の孔数に比例して第2エアセルへのエア供給速度が速くなるため、エア供給速度の調節を容易に行うことができる。
【0010】
また、前記第2エア供給配管に前記第2エアセルに供給したエアを強制排気するための排気弁が設けられていることが好ましい。また、前記排気弁は前記第2エアセルよりも上流側且つ、前記コネクタよりも下流側の位置の前記第2エア供給配管に設けられていることが好ましい。このような構成とすることにより、エア給排気速度が第1エアセルよりも遅い第2エアセルに供給されたエアを迅速に排気することができる。これにより、第2エアセルが次の膨張動作を行う際には、第2エアセルは収縮状態としておくことができ、連続的な第2エアセルの膨張を防止でき、メリハリのあるマッサージを行うことができる。
【0011】
また、複数の異なるマッサージモードを有したマッサージ機において、エアの給排気を繰り返すことによって前記複数のエアセルの膨張・収縮動作を行う第1マッサージモードと、前記第1マッサージモードよりも短時間でエアの給排気を繰り返すことによって前記複数のエアセルの膨張・収縮動作を行う第2マッサージモードとを有していることが好ましい。このような構成とすることにより、エア供給装置や切替弁等を制御してエア供給速度を変化させずとも、エア給排気速度の異なる複数のマッサージモードを備えたマッサージ機を実現することができる。
【0012】
また、前記第2マッサージモードは音響信号の変化に基づいて前記複数のエアセルの膨張・収縮動作を行うマッサージモードであることが好ましい。このような構成とすることにより、第2マッサージモードは頻繁に変化する音響信号に追従してエアセルを短時間で膨張・収縮させるモードとすることができ、音楽のリズムに同期したマッサージを行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単な構成且つ安価にマッサージ目的に応じて複数のエアセルの膨張・収縮タイミングを異ならせることができるマッサージ機を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すマッサージ機1は、座部2及び背もたれ部3を備えた椅子型マッサージ機として構成されている。なお、脚を載せるフットレストを座部2の前部に備えていてもよい。また、マッサージ機1は、マッサージ機1への各種操作を行う操作装置4を備えている。また、CD、MD、DVD、ハードディスク等の記録媒体に記録された音響信号(楽曲信号)を再生するための楽曲再生器8を備えている(図5も参照)。なお、楽曲再生器8は、操作装置4と一体的に設けても良いし、操作装置4とは別に設けても良い。なお、音響信号は、マッサージ機に備わった楽曲再生器8から得るのではなく、マッサージ機1に設けられた外部入力端子に接続された音源装置(オーディオ装置、マイク等)から得ても良い。 なお、本明細書において、前記背凭れ部3の幅方向を「左右方向」、高さ方向を「上下方向」、奥行き方向を「前後方向」といい、その他の場合は適宜説明するものとする。
【0015】
背もたれ部3には、複数のマッサージ部5と2個のスピーカ6が備わっている。本実施形態のマッサージ部5は、マッサージアクチュエータとして、エア供給装置7(図2も参照)からのエアの給排気によって膨張収縮して使用者の身体を押圧する5A,5B,5C,5Dが背もたれ部3に上下方向に4列設けられ、左右で対をなす第1エアセル5A−1,5B−1,5C−1,5D−1と、第2エアセル5A−2,5B−2,5C−2,5D−2が採用されている。第1エアセル5A−1は、第2エアセル5A−2よりも容積が十分小さく構成され、第2エアセル5A−2の前側に設けられている。第2エアセル5A−2が膨張すると、第2エアエセル5A−2の前側に設けられた第1エアセル5A−1は、第2エアセル5A−2に押出され前側に移動するように配置されている。エアセル5B,5C,5Dについても第1エアセルと第2エアセルの配置関係はエアセル5Aと同様であるため説明は省略する。なお、マッサージ部5は、背もたれ部3以外に、座部2に設けても良い。また、使用者の脚又は腕をマッサージするマッサージ部をフットレストや肘掛けに備えても良い。
【0016】
図2は、マッサージ機1の給排気系統を示すブロック図である。
図2に示すように、軟質ビニル管等の可撓性を有するエアチューブ等からなるエア供給配管(流路)100の一方側が電磁弁(切替弁)SVに接続され、更に前記電磁弁SVを介してエアポンプ等からなるエア供給装置7に接続されている。電磁弁SVは、エアセル5Aの給排切替を行う第1電磁弁SV−A、エアセル5Bの給排切替を行う第2電磁弁SV−B、エアセル5Cの給排切替を行う第3電磁弁SV−C、エアセル5Dの給排切替を行う第4電磁弁SV−Dで構成されている。マッサージ機1は、この電磁弁SV及びエア供給装置7の駆動を制御する制御部9を有している。電磁弁SV、エア供給装置7、制御部9は全てユニット化されて座部2の下方に配置されている。
【0017】
以下に、エアセル5A(対の第1エアセル5A−1及び第2エアセル5A−2)に接続されているエア供給配管100について説明する。他のエアセル5B〜5Dに接続されたエア供給配管100もエアセル5Aに接続されたエア供給配管100と同様の構成であるので説明は省略する。
エア供給配管100の一方側は第1電磁弁SV−Aに接続されており、エア供給配管100の他方側は、第1エア供給配管100aと第2エア供給配管100bに分岐して、以下の通り第1エアセル5A−1と第2エアセル5A−2にそれぞれ接続されている。第1エア供給配管100aは、更に2本の分岐エア供給配管100c,100dに分岐し、対の第1エアセル5A−1にそれぞれ接続されている。第2エア供給配管100bは、第2エア供給配管の流路を絞る流路絞り部材としてのコネクタ101と、後述する排気弁102を介して第2エアセル5A−2に接続されている。
それぞれの第1エアセル5A−1に供給されるエアの流量に比べて第2エアセル5A−2に供給されるエアの流量を少なくするためには、流路絞り部材としてのコネクタ101を第2エア供給配管100bに設けることによって、前記コネクタ101よりも下流側に位置する第2エア供給配管100bの流路を絞り、第2エアセル5A−2へ供給されるエアの流量を低下させればよい。
【0018】
以下に、エア供給配管の流路を絞る流路絞り部材としてのコネクタ101の構造について説明する。
図3(a)は、コネクタ101の軸方向(エアが流れる方向)と直交する方向の断面図である。コネクタ101は樹脂等からなるコネクタ本体部101aと、エア供給装置7から第2エアセル5A−2へ送られるエアの流量を所定量に調節した(絞った)連通孔101bによって形成されている。エアの流量を調節する方法としては、連通孔101bの内径を適宜設定することにより可能となる。本実施形態のコネクタ101は、連通孔101bの内径を第1エア供給配管100aの内径よりも小さくなるように形成されている。なお、エアの流量を調節する他の方法としては、図3(b)に示すようにコネクタ101に形成される複数の連通孔101bの孔数を変化させる方法がある。この場合、連通孔101bの内径を所定の大きさに統一すれば、連通孔101bの孔数に比例してエアの流量が増加するため、第2エアセル5A−2へのエア供給速度の調節を容易に行うことができる。また、コネクタ101を設けずに、第2エア供給配管100b自体の内径を第1エア供給配管100aの内径よりも小さく形成してもよい。
【0019】
前述したとおり、第2エア供給配管100bに設けられたコネクタ101によって、前記コネクタ101よりも下流側に位置する第2エア供給配管の流路が絞られているため、エア供給装置7から供給されるエアは第1エア供給配管100a側へ流れやすくなる。つまり、第1エアセル5A−1へのエア供給が促進され、エア供給速度が第2エアセル5A−2へのエア供給速度よりも速くなり、第1エアセル5A−1が第2エアセル5A−2よりも先に膨張が完了するように構成されている。
【0020】
第2エア供給配管100bには、第2エアセル5A−2と流路絞り部材としてのコネクタ101の間(第1エアセル5A−2の上流側且つコネクタ101の下流側)に急速排気手段としての排気弁102が設けられている。以下に排気弁102の構造について説明する。図4(a)は、排気弁102の軸方向(エアが流れる方向)の断面図である。図4(a)に示すように、排気弁102はバルブハウジング103と、弁体104と、突起部105と、排気口106とを有している。
【0021】
バルブハウジング103は、短い円筒状周壁及びこの周壁の一端に連なる側壁を有したハウジング本体103aと、このハウジング本体103aにその円筒状周壁の開口を蓋して連結されたハウジング蓋103bとからなる。図4(b)はハウジング本体103aの軸方向と直交する方向の断面図であり、図4(c)はハウジング蓋103bの軸方向と直交する方向の断面図である。図4(b)及び図4(c)に示すように、ハウジング蓋103bの側壁の縁寄りには第1ポート107が突設され、この第1ポート107に対応してハウジング本体103aの中央部には第2ポート108が突設されている。第1ポート107はハウジング蓋103bの中心部から偏心した位置に設けられており、第2ポート108とはその軸方向において同一直線上にない。第2ポート108は第2エア供給配管100bを介して第2エアセル5A−2に接続され、第1ポート107は第2エア供給配管100bを介してコネクタ101を経由して電磁弁SV(第1電磁弁SV−A)に接続されている。
【0022】
第2ポート108を開閉する弁体104は塩化ビニル等により円板状に形成され、その中央部に開閉部109が設けられており、開閉部109は展開基部109aを支点として展開端部109bが第2ポート側に展開自在に構成されている。開閉部109の展開端部109bには、開閉部109が第1ポート側に展開することを防止するためのストッパ109cが設けられている。弁体104はバルブハウジング103内にその軸方向(エアが流れる方向)に沿って移動自在に収納されている。この弁体104は図4に示されるようにバルブハウジング103の内径よりも小径な円板からなる。突起部105はハウジング蓋103bの側壁内面の中心部に1つと、縁部に中心部回りに複数突設されている。この突起部105は、第2エアセル5A−2からエアを排気する際に、弁体104がハウジング蓋103bの側壁内面に張り付くことを防止する役目を持つ。ハウジング本体103aの周方向には、その軸方向に貫通する排気口106が複数形成されている。これら排気口106は弁体104の移動により開閉されるようになっている。
【0023】
前記構成の排気弁102は次のように動作する。すなわち、エア供給装置7の運転下において第1ポート107からエアが導入されるエア供給時には、その圧力により弁体104が、ハウジング本体103aの側壁側に移動されて各排気口106を閉じる。この状態で弁体104の開閉部109が開き、第1ポート107は第2ポート108に連通されて第2エアセル5A−2へエアの流通を可能とする。
【0024】
また、エア供給装置7の停止下においてエアが第2エアセル5A−2から第2ポート108に導入されるエア非供給時には、第2エアセル5A−2内の圧力により弁体104が、ハウジング蓋103bの側壁側に移動されて各排気口106を開放するとともに、ハウジング蓋103bの側壁内面に突起部105を介して押付けられて第1ポート107を閉じる。そして、大気圧よりも第2エアセル5A−2内の圧力が大きいため、第2ポート108からバルブハウジング103内に逆流したエアは、各排気口106を通ってバルブハウジング103外へ排出される。それにより、大量のエアを一挙に排出する急速排気がなされる。そして、こうした急速排気動作をなす排気弁102での排気効率は、前記電磁弁SV(第1電磁弁SV−A)での排気効率よりも大である。
【0025】
マッサージ機1の給排気系統を上述したとおり構成することにより、対の第1エアセル5A−1と、対の第1エアセルの後側に配置された第2エアセル5A−2の膨張収縮タイミングを、1つの電磁弁SV(第1電磁弁SV−A)の給排切替のみで異ならせることができる。具体的には、第1エアセル5A−1への給排気速度を第2エアセル5A−2への給排気速度よりも速くすることができる。また、第2エアセル5A−2に接続されている第2エア供給気管100bに急速排気手段としての排気弁102を設けることにより、第2エアセル5A−2へ供給されたエアの排気を促すことができ、第2エアセル5A−2を次の膨張に備えることができるため、メリハリのある膨張収縮動作を行うことができる。つまり、第2エアセル5A−2への給気速度は第1エアセル5A−1よりも遅くすることができ、且つ排気速度は第1エアセル5A−1と略同等の速度とすることができる。
【0026】
本発明の実施形態では、第2エア供給配管100bの流路を絞る流路絞り部材(コネクタ101)と急速排気手段としての排気弁102を別体で構成しているが、流路絞り部材と急速排気手段をユニット化した弁ユニットを第2エア供給配管100bに設けてもよい。前記弁ユニットは、前述したバルブハウジング103内の弁体104に代えて、流路絞り機能付弁体110を設けている。図4(d)は、流路絞り機能付弁体110の軸方向の断面図である。流路絞り機能付弁体110は塩化ビニル等により円板状に形成され、その中央部に小孔111が設けられている。配管経路である前記小孔111の直径は、他の全ての配管経路(エア供給配管100や電磁弁SVのオリフィス等)の直径よりも小さく形成されている。弁ユニットのその他の構造は、前記排気弁102の構造と同一であるため説明を省略する。この弁ユニットを、電磁弁SV(第1電磁弁SV−A)と第2エアセル5A−2の間の第2エア供給配管100bに設けることにより配管構造を簡素化することができる。
【0027】
図5は、マッサージ機1の制御ブロック図である。
マッサージ機1は、スピーカ6、エア供給装置7、電磁弁SV、楽曲再生器8、遅延回路10を備え、第1制御回路11、第2制御回路12、駆動回路13、動作モード設定装置14及び動作モード記憶装置15からなる制御部9を備えている。駆動回路13は、第1電磁弁SV−Aを駆動する第1駆動回路13A、第2電磁弁SV−Bを駆動する第2駆動回路13B、第3電磁弁SV−Cを駆動する第3駆動回路13C、第4電磁弁SV−Dを駆動する第4駆動回路13Dで構成されている(図7も参照)。動作モード設定装置14は操作装置4とCPU16から構成されている。また動作モード記憶装置15には、複数の異なるマッサージモード(本発明の実施形態では2つ)が記憶されている。具体的には、予め設定された動作パターンでエアセル5の膨張収縮動作を行う第1マッサージモードである「通常マッサージモード」と、楽曲再生器8から出力される音響信号に基づいてエアセル5にエアの給排気を短時間に繰り返し行う第2マッサージモードである「音楽シンクロモード」が動作モード記憶装置15に記憶されている。更に、前記各マッサージモードに対応した複数のマッサージコース(本発明の実施形態ではモード毎に3つずつ)が動作モード記憶装置15に記憶されている。各マッサージモードの詳細については後述する。なお、第2マッサージモードは、音響信号とは無関係であって第1マッサージモードよりも短時間でエアセル5へのエアの給排気を行うマッサージモードであってもよい。
【0028】
操作装置4には、図6に示すように操作部としての電源スイッチ4a、急停止スイッチ4b、第1コース選択スイッチ4dと第2コース選択スイッチ4eからなる動作モード選択部4c、エア強さ調節手段と感度調節手段とを兼用する強弱調節スイッチ4f等が設けられている。強弱調節スイッチ4fは、第1マッサージモードが選択されているときにはエア強さ調節手段として機能し、第2マッサージモードが選択されているときには感度調節手段として機能するように設定されている。また、マッサージ動作の内容等を表示するLEDや液晶表示部が操作装置4に設けられていてもよい。
【0029】
図7に基づき、第1制御回路11及び第2制御回路12の詳細について説明する。
第1制御回路11は、入力された音響信号の増幅を行う増幅器121、音響信号のうち低音域を取り出すための周波数フィルタ(アクティブフィルタ)122、音響信号を整流する整流部123、音響信号の信号レベルの第1しきい値(Lowしきい値)を設定する第1しきい値設定部124、音響信号の信号レベルの第2しきい値(Highしきい値)を設定する第2しきい値設定部125、第1しきい値を超えた場合にパルスを生成する第1パルス発生部126、第2しきい値を超えた場合にパルスを生成する第2パルス発生部第127、第1パルス発生部126によって発生したパルスをラッチする第1ラッチ部128、第2パルス発生部127によって発生したパルスをラッチする第2ラッチ部129等を有している。
第2制御回路12は、第1パルス発生部126によって発生したパルス信号に基づいて第1マッサージ動作制御信号を生成する第1マッサージ動作制御信号生成部131、第2パルス発生部127によって発生したパルス信号に基づいて第2マッサージ動作制御信号を生成する第2マッサージ動作制御信号生成部132、音響信号とは無関係に第3マッサージ動作制御信号を生成する第3マッサージ動作制御信号生成部133、マッサージ動作制御信号を与える駆動回路13A〜13D(マッサージ部5)を選択する選択回路(選択部)134等を有している。
【0030】
前記増幅器121は、音響信号の増幅度を調整自在とされており、音源によって異なる音響信号の信号レベル(電圧)に応じて増幅度を調整することにより、適切にマッサージ開始制御信号ないしマッサージ動作制御信号を生成することができる。なお、増幅度の調整は、操作装置4の感度調節手段としての強弱調節スイッチ4fを操作することによって行える。
【0031】
周波数フィルタ122は、ローパスフィルタによって構成されており、音響信号(音楽信号)のリズムを構成する低音域を検出するためのものである。周波数フィルタ122は、特定の周波数のみを通過させるローパスフィルタで構成されている。なお、この周波数フィルタ122は、例えば、カットオフ周波数が約20Hz、50Hz、100Hz、200Hzの複数のローパスフィルタを備え、操作装置4の周波数域切替スイッチ(図示せず)を操作することによってフィルタを選択して、カットオフ周波数を調整することができるようにしてもよい。カットオフ周波数を下げると、低音域だけに追従したマッサージ動作が得られ、カットオフ周波数を上げると、比較的高音域にも追従したマッサージ動作を得ることができる。
【0032】
整流部123は、音響信号を半波整流するためのものであり、ダイオードによって構成されている。
第1及び第2しきい値設定部124,125は、それぞれ、可変抵抗によって構成されており、Low側しいき値及びHigh側しきい値を調整自在に構成されている。
【0033】
第1パルス発生部126は、入力された音響信号が、第1しきい値設定部124によって設定されたLow側しきい値を超えたことを検出するとパルスを発生するコンパレータ(比較器)によって構成されている。
第2パルス発生部127は、入力された音響信号が、第2しきい値設定部125によって設定されたHigh側しきい値を超えたことを検出するとパルスを発生するコンパレータ(比較器)によって構成されている。
【0034】
本実施形態では、音響信号が所定のしきい値を超えた場合を、マッサージ動作が開始する状態としており、各パルス発生部126,127によって発生するパルスが発生しているときは、音響信号がマッサージ開始状態になったことを示している。すなわち、パルス発生部126,127によって発生するパルスが、マッサージ開始制御信号となっている。
ただし、各パルス発生部126,127によって発生するパルスは、音響信号の信号レベルが極めて頻繁に変化することから、短時間にON/OFFを繰り返す振動的なパルスとなる(図8(b)(c)参照)。
【0035】
第1及び第2ラッチ部128,129は、音響信号の信号レベルの変化に応じて頻繁に変化する第1及び第2パルス発生部126,127の出力を、それぞれラッチするためのものでありDフリップフロップによって構成されている。ラッチ部128,129は、パルス発生部126,127によって発生するパルスが振動的であることから、パルス発生部126,127において一旦、パルスが発生すれば、CPU16によってラッチ部出力がリセットされるまで、出力のHigh状態を維持する(図8(d)(e)参照、詳細は後述)。
ラッチ部128,129によってパルスのHigh状態を維持することで振動的なパルスが安定的なパルスとなり、音響信号がマッサージ開始状態になったことを、CPU16が検出し易くなる。
【0036】
CPU16は、図示しないメモリに格納されたコンピュータプログラムによって各種処理を行う。CPU16は、例えば、ラッチ部128,129の出力に基づき、音響信号がしきい値(Low側しきい値、High側しきい値)を超えているか否かの判定処理を行い、音響信号のレベル(HighかLowか)に応じた信号を出力する(図8(f)(g)参照)。
より具体的には、CPU16は、音響信号がLow側しきい値未満、音響信号がLow側しきい値以上でHigh側しきい値未満、音響信号がHigh側しきい値以上、のいずれであるかを判定する。CPU16は判定の結果、音響信号がLow側しきい値以上でHigh側しきい値未満であればLow判定信号を出力し、第1マッサージ動作時間制御信号生成部131に与えられ、音響信号がHigh側しきい値以上であればHigh判定信号を出力し、第2マッサージ動作時間制御信号生成部132に与えられる。第3マッサージ動作信号生成部133には、CPU16から音響信号とは無関係の予め定められた信号が与えられる。
【0037】
第1マッサージ動作制御信号生成部131は、パルス長を外付け抵抗及びコンデンサによって調整できるワンショットマルチバイブレータ(74LS123)によって構成されている。この第1マッサージ動作制御信号生成部131に、CPU16からLow判定信号が与えられると、パルス長(時間長さ)が第1パルス長(例えば、0.08[s])に設定された第1マッサージ動作制御信号が発生する(図8(i)参照)。
第2マッサージ動作制御信号生成部132も、パルス長を外付け抵抗及びコンデンサによって調整できるワンショットマルチバイブレータ(74LS123)によって構成されている。この第2マッサージ動作制御信号生成部132に、CPU16からHigh判定信号が与えられると、パルス長(時間長さ)が第2パルス長(例えば、0.12[s])に設定された第2マッサージ動作制御信号が発生する(図8(h)参照)。なお、マッサージ動作制御信号生成部131,132のパルス長は、操作装置4に設けられた図示しない給気時間切替スイッチによって、その長さを調整自在にしてもよい。
【0038】
両マッサージ動作制御信号の時間長さが異なることで、音響信号の信号レベルに応じて、エアセルへの給気時間(マッサージ動作時間)を異ならせることができる。すなわち、音響信号の信号レベルが比較的低い場合(Low)には、エアセルへの給気時間が比較的短く、音響信号の信号レベルが比較的高い場合(High)には、エアセルへの給気時間が比較的長くなる。
この結果、音響信号の信号レベルが比較的低い場合には、弱い押圧マッサージが発生し、音響信号の信号レベルが比較的高い場合には、強い押圧マッサージが発生する。
なお、第1エアセル5A−1〜5D−1は、1つのマッサージ動作制御信号によるマッサージ動作時間(0.12[s]又は0.08[s])中における空気の供給でほぼ完全な膨張状態が得られるように、従来のマッサージ用エアセルに比べて小さく形成されている。
【0039】
選択回路134は、CPU16から出力される選択信号(詳細は後述)に基づいて、発生した第1マッサージ動作制御信号又は第2マッサージ動作制御信号を、いずれの駆動回路13A〜13Dに与えるかの選択を行う。選択回路134によって選択された駆動回路13A〜13Dには、前記第1マッサージ動作制御信号又は第2マッサージ動作制御信号が与えられ、各動作制御信号のパルス長に応じた時間ほど、選択された電磁弁SV−A〜SV−Dが給気状態に切り替わり、選択されたエアセル群5−A〜5−Dが膨張動作する。
【0040】
以下、図5、6を参照しつつ、第1マッサージモードである「通常マッサージモード」の動作制御処理の流れを説明する。まず、操作装置4によって電源スイッチ4aをONにし、動作モード選択部4cである第1マッサージコース選択スイッチ4dにて第1マッサージモードに対応したマッサージコースを選択する。また、必要に応じてエア強さ調節手段としての強弱調節スイッチ4fによって押圧力(エアセル5へのエア給気時間)を調節する。なお、通常マッサージモードでは、第2コース選択スイッチ4eは使用しない。
【0041】
動作モード選択部4cによって第1マッサージモードが選択されると、動作モード設定装置14のCPU16は、以下の通りプログラムを実行する。
第1コース選択スイッチ4dの状態はCPU16に入力され、選択されたマッサージコースの情報を動作モード記憶装置15から読み出す。CPU16は、選択されたマッサージコース情報に基づいて信号を出力し、第3マッサージ動作信号生成部133が第3マッサージ動作制御信号を生成する。第3マッサージ動作信号は選択回路134に与えられ、選択回路134が予め設定された駆動回路13A〜13Dの選択パターンに基づいて駆動回路13A〜13Dを選択して動作させる。この結果、動作モード記憶装置15に予め設定された動作パターンでエアセル5A〜5Dの膨張収縮動作が行われる。この第1マッサージモードは、後述する第2マッサージモードに比べてエアセル5の膨張時間が長く設定されており、使用者に十分な押圧時間を与えることができるマッサージモードである。なお、第1エアセル5A−1〜5D−1は、第2エアセル5A−2〜5D−2よりも十分容積が小さく形成されているため、使用者に作用するマッサージ部としては、主に第2エアセル5A−2〜5D−2である。
【0042】
次に、図5、6を参照しつつ、第2マッサージモードである「音楽シンクロモード」の動作制御処理の流れを説明する。まず、電源スイッチ4aをONにし、動作モード選択部4cである第2マッサージコース選択スイッチ4eにて第2マッサージモードに対応したマッサージコースを選択し、楽曲再生器8にて音響信号を発生させる。また、必要に応じて感度調節手段としての強弱調節スイッチ4fによって音楽に同調する感度を選択する。感度調節手段としての強弱調節スイッチ4fは、増幅器121による音響信号の増幅度合いを調節するためのものであり、感度は7段階まで設定されている。感度を高く(強度を強く)設定するほど音響信号の信号レベルが全体的に高くなってマッサージ動作数が増える。なお、音楽シンクロモードでは、第1コース選択スイッチ4dは使用しない。
【0043】
動作モード選択部4cによって第2マッサージモードが選択されると、動作モード設定装置14のCPU16は、以下の通りプログラムを実行する。
楽曲再生器8から出力された音響信号(アナログ信号又はデジタル信号)は、遅延装置10及び第1制御回路11に与えられる。遅延装置10は、第1制御回路11と第2制御回路12における音響信号処理の際に生じる遅延(例えば,60msec)分に応じて、楽曲再生器8の音響信号を遅延させて、スピーカ6に出力するものである。この遅延により、スピーカ6から出力される音とマッサージ動作の時間的ズレとを解消することができる。
【0044】
音響信号が入力される第1制御回路11は、音響信号に基づいてマッサージ動作制御信号を生成するためのパルス信号を生成するものである。また第1制御回路11は、動作モード設定装置14(操作装置4及びCPU)に接続されている。第2コース選択スイッチ4eは、第2マッサージモードに対応した音響信号に基づいてエアセル5を膨張収縮させるマッサージコースを切替選択するためのものである。第2コースとしては、動作するマッサージ部5の選択ルールが異なるものが複数(本実施形態では3種)用意されている。
【0045】
第2コース選択スイッチ4eの状態は、CPU16に入力される。第1制御回路11が生成したパルス信号がCPU16に入力され、CPU16が後述する各処理を行い、第2制御回路12の第1マッサージ動作信号生成部131又は第2マッサージ制御信号生成部132がマッサージ動作制御信号を生成する。生成したマッサージ動作制御信号は第2制御回路12の選択回路134に与えられ、動作させるマッサージ部5を選択し、選択された第1エアセル5A−1〜5D−1及び第2エアセル5A−2〜5D−2を駆動する駆動回路13に与えられる。
【0046】
以下、図7、8も参照しつつ、第2マッサージモードの動作制御処理の流れを更に詳細に説明する。
楽曲再生器8から第1制御回路11に音響信号が与えられると、増幅器121にて信号増幅が行われる。そして、周波数フィルタ122によって、増幅された音響信号から低周波数域の信号が抽出され、楽曲のリズム部分の信号等が取り出される。
【0047】
フィルタリングが施された音響信号は整流部123によって半波整流される。半波整流された音響信号を図8(a)に示す。
また、図8(a)には、第1しきい値設定部124によって設定されたLow側しきい値と、第2しきい値設定部125によって設定されたHigh側しきい値も示している。
【0048】
図8(a)の音響信号は、第1及び第2パルス発生部126,127に入力される。
まず、図8(a)の音響信号のうちW1の部分が入力された場合について説明する。図8(b)に示すように、第1パルス発生部126では、音響信号のW1の部分がLow側しきい値を超えている間がHighで、Low側しきい値未満のきはLowとなるパルスを発生する。
また、図8(c)に示すように、第2パルス発生部127では、音響信号のW1の部分がHigh側しきい値を超えている間がHighで、High側しきい値未満のときはLowとなるパルスを発生する。
【0049】
前述のように、本実施形態では、音響信号がしきい値を超えた状態にあるときをマッサージ開始状態としており、図8(b)(c)においてパルスが振動的であることから明らかなように、音響信号は、マッサージ開始状態になった直後に、非マッサージ開始状態となってしまうことが頻繁に起こることがわかる。
【0050】
第1ラッチ部128の出力がLowの状態で、図8(b)のパルスが第1ラッチ部128に入力されると、第1ラッチ部128の出力は、Highにラッチされる(図8(d)参照)。
また、第2ラッチ部129の出力がLowの状態で、図8(c)のパルスが第2ラッチ部129に入力されると、第2ラッチ部129の出力は、Highにラッチされる(図8(e)参照)。
【0051】
CPU16の第1入力部P1は第1ラッチ部128の出力に、CPU16の第2入力部P2は第2ラッチ部129の出力に接続されており、第1入力部P1及び第2入力部P2への入力信号に基づき、音響信号の信号レベル判定処理を行う。
信号レベル判定処理は、まず、第2入力部P2への入力信号がHighであるか、すなわち、音響信号の信号レベルがhigh側しきい値を超えているか否かを判定し、第2入力部P2の入力信号がHighであれば、High判定信号を出力する。
もし、第2入力部P2への入力信号がLowであれば、続いて、第1入力部P1への入力信号がHighであるか、すなわち、音響信号の信号レベルがLow側しきい値を超えているか否かを判定し、第1入力部の入力信号がHighであれば、Low判定信号を出力する。
もし、第1入力部P1への入力信号もLowであれば、なにも出力しない。
【0052】
ここでは、音響信号のW1の部分に関しては、第2入力部P2への入力信号がHighであるため、CPU16の判定処理によって、High判定信号が出力される(図8(f)参照)。
CPU16からHigh判定信号(パルス)が出力されると、第2マッサージ動作制御信号生成部132は、当該High判定信号の立ち上がりをワンショットトリガとして、パルス長が0.12[s]の第2マッサージ動作制御信号を生成する(図8(h)参照)。
第2マッサージ動作制御信号は、図示しないOR回路を介して選択回路134に与えられ、選択回路134によって選択された駆動回路13A〜13Dを動作させる。なお、OR回路の出力を図8(j)に示す。
この結果、音響信号の比較的信号レベルの高いW1の部分に対応して、0.12[s]の間続く第2マッサージ動作制御信号が生成され、選択されたエアセル5A〜5Dが0.12[s]の間膨張して使用者を押圧する。そして、第2マッサージ動作制御信号が終了すると、膨張したエアセルは収縮する。
【0053】
さらに、CPU16は、前記OR回路の出力(第1マッサージ動作制御信号と第2マッサージ動作制御信号の論理和をとったもの)を受け付け、第1ラッチ部128及び第2ラッチ部129の出力をリセットする(Lowにする)ためのリセット(RS)信号発生処理を行う。
リセット信号は、前記OR回路の出力の立ち下がり(第1マッサージ動作制御信号の立ち下がり、又は第2マッサージ動作制御信号の立ち下がり)をトリガとし、当該トリガから所定時間Dほど遅延して発生する(図8(k)参照)。
【0054】
リセット信号が、マッサージ動作制御信号の終了より遅れて発生することで、ラッチ部128,129の出力のHigh状態が、マッサージ動作制御信号よりも長く継続する。
ここで、CPU16は、ラッチ部128,129の出力がLowからHighへ変化したときにHigh判定信号又はLow判定信号を出力するよう構成されているため、ラッチ部128,129の出力がHighに維持されていると、音響信号が変化しても、CPU16において音響信号レベルの判定処理は行われない。
つまり、ラッチ部128,129の出力がHighのときは、音響信号の変化に対して、処理装置たるCPU16は不感状態にある。
【0055】
本実施形態では、第1マッサージ動作制御信号又は第2マッサージ動作制御信号が発生しているときだけでなく、マッサージ動作制御信号が終了したあとの所定遅延時間Dも、不感状態となっている。
この不感状態では、音響信号がマッサージ開始状態(しきい値を超えた状態)になっても、マッサージ動作制御信号が生成されず、したがって、マッサージ動作も行われない。すなわち、所定のマッサージ動作時間(0.12[s]又は0.008[s])を持つマッサージ動作制御信号が終了した直後の遅延時間D相当分の時間は、マッサージ部5が動作しない非動作時間帯Dとなっている。
【0056】
さて、音響信号のW1の部分の後に続いて、W2の部分がきた場合について説明する。W2の部分は、ラッチ部128,129の出力がリセットされた状態で出現するため(図8(d)(e)参照)、ラッチ部128,129によるラッチの対象となる。
すなわち、音響信号のW2の部分は、Low側しきい値を超えるもののHigh側しきい値は超えていないので(図8(a)参照)、第1ラッチ部128の出力だけがHighとなり(図8(d)参照)、CPU16の判定処理によって、Low判定信号が出力される(図8(g)参照)。
【0057】
Low判定信号を受けた第1マッサージ動作制御信号生成部131は、当該Low判定信号の立ち上がりをワンショットトリガとして、パルス長が0.08[s]の第1マッサージ動作制御信号を生成する(図8(i)参照)。
第1マッサージ動作制御信号は、前記図示しないOR回路を介して選択回路134に与えられ、選択された駆動回路13A〜13Dを動作させる。
この結果、音響信号の比較的信号レベルの低いW2の部分に対応して、比較的短い0.08[s]の間続く第1マッサージ動作制御信号が生成され、選択されたエアセル5A〜5Dが0.08[s]の間膨張する。
【0058】
第1マッサージ動作制御信号の場合は、第2マッサージ動作制御信号に比べて、時間が短いため、エアセルへの給気時間が短く、比較的小さな膨張しか得られず、より弱い押圧マッサージが発生する。逆に、第2マッサージ動作制御信号の場合は、時間が長いため、第1マッサージ動作制御信号よりも強い押圧マッサージが発生する。
【0059】
さらに、音響信号のW2の部分の後に続いて、W3、W4,W5の部分がきた場合について説明する。
図8に示すように、音響信号のW3の部分によって、第1ラッチ部128及び第2ラッチ部129の出力がいずれもHighになるため、CPU16は、音響信号がHigh側しきい値を超えていると判定して、High判定信号を出力し、第2マッサージ動作制御信号を出力する。
そして、この第2マッサージ動作制御信号発生中に音響信号の次の山の部分W4がくるが、ラッチ部128,129の出力がラッチされているため、CPU16は、信号判定処理を行わなず、マッサージ動作時間の延長はされない。
【0060】
さらに、音響信号の山の部分W5は、第2マッサージ動作制御信号の終了後において、Low側しきい値を超える信号(マッサージ開始状態)となっているが、W5は、ラッチ部128,129の出力がリセットされる前の非動作時間帯に出現しているため、CPU16は、信号判定処理を行わない。したがって、W5があっても、マッサージ動作制御信号は発生しない。
このように、マッサージ動作制御信号終了(マッサージ動作時間の終了)直後に、音響信号がしきい値を超えても(マッサージ開始状態となっても)、非動作時間帯Dの間は、マッサージ部5が動作しない。すなわち、非動作時間帯Dにおいて、エアセル5からの排気時間(マッサージ部後退時間)を確保でき、メリハリのある押圧動作が行える。
【0061】
上述したように、第2マッサージモードは極めて頻繁に変化する音響信号レベルに対応して、エアセル5A〜5Dの膨張収縮動作が比較的短時間(本実施形態では0.12[s]や0.08[s])に繰り返されるマッサージモードである。
第1エアセル5A−1〜5D−1は、第2エアセル5A−2〜5D−2よりも容積が十分小さく形成され、更に第2エア供給配管100bが第1エア供給配管100aよりも流路絞り部材としてのコネクタ101によって流路が絞られているため、短時間で膨張が完了し、音楽のリズムに同調したたたきマッサージを使用者に与えることができる。
一方、第2エアセル5A−2〜5D−2は、第1エアセル5A−1〜5D−1よりも容積が十分大きく形成され、更に第2エア供給配管100bの流路が絞られているため、マッサージ動作としての十分な膨張収縮動作が行われることがない。つまり、第2マッサージモード実行中においては、第2エアセルはマッサージ動作としてほとんど影響を及ぼさない。
【0062】
以上、説明したようにエアセル5を比較的長時間膨張(給気)又は収縮(排気)させる第1マッサージモードと、第1モードよりもエアセル5を短時間の間に膨張(給気)又は収縮(排気)させる第2マッサージモードを単一の電磁弁(切替弁)SVで実現することができる。
【0063】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
マッサージ機は、マット状、ブーツ状等の様々な形態のマッサージ機を採用できる。
また、マッサージ部としては、エアセルやソレノイドによる押圧タイプだけではなく、揉み・叩き・振動等のマッサージ動作を行うものや、体を揺らしてリラクゼーション効果を与えるものであっても良い。
音響信号としては、音楽に限らず、どのような音響信号であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】マッサージ機の斜視図である。
【図2】マッサージ機の給排気系統を示すブロック図である。
【図3】コネクタの断面図である。
【図4】排気弁の断面図である。
【図5】マッサージ機のブロック図である。
【図6】操作装置の平面図である。
【図7】制御回路を中心としたブロック図である。
【図8】波形図である。
【符号の説明】
【0065】
1 マッサージ機
2 座部
3 背もたれ部
4 操作装置
5 マッサージ部(エアセル)
7 エア供給装置
8 楽曲再生器
9 制御部
11 第1制御回路
12 第2制御回路
13 駆動回路
14 動作モード設定装置
15 動作モード記憶装置
16 CPU
100a 第1エア供給配管
100b 第2エア供給配管
101 コネクタ(流路絞り部材)
102 排気弁
126 第1パルス発生部(マッサージ開始制御信号生成部)
127 第2パルス発生部(マッサージ開始制御信号生成部)
131 第1マッサージ動作制御信号生成部
132 第2マッサージ動作制御信号生成部
133 第3マッサージ動作制御信号生成部
SV 電磁弁(切替弁)
D 非動作時間帯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張・収縮することにより使用者をマッサージする複数のエアセルと、
前記複数のエアセルにエアを供給するためのエア供給装置とエア供給配管と、
前記複数のエアセルの動作を制御する制御部とを備えたマッサージ機において、
前記エア供給配管は一方側が前記エア供給装置に接続され、他方側は少なくとも二以上に分岐して前記複数のエアセルに接続されており、
前記他方側のエア供給配管は前記複数のエアセルへのエア供給速度がそれぞれ異なるように形成されていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記複数のエアセルは少なくとも第1エアセルと第2エアセルとを有し、
前記他方側のエア供給配管は前記第1エアセルへエアを供給するための第1エア供給配管と前記第2エアセルへエアを供給するための第2エア供給配管とに分岐し、
前記第2エア供給配管は前記第2エアセルへのエア供給速度が前記第1エアセルへのエア供給速度よりも遅くなるよう形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記第2エア供給配管は前記第1エア供給配管よりも流路が絞られていることを特徴とする請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記第2エア供給配管には連通孔が設けられたコネクタが接続され、
前記コネクタに設けられた連通孔の内径を調整することにより前記第2エアセルへのエア供給速度を前記第1エアセルへのエア供給速度よりも遅くすることを特徴とする請求項2〜3のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記第2エア供給配管には連通孔が設けられたコネクタが接続され、
前記コネクタに設けられた連通孔の孔数を調整することにより前記第2エアセルへのエア供給速度を前記第1エアセルへのエア供給速度よりも遅くすることを特徴とする請求項2〜3のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記第2エア供給配管に前記第2エアセルに供給したエアを強制排気するための排気弁が設けられていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記排気弁は前記第2エアセルよりも上流側且つ、前記コネクタよりも下流側の位置の前記第2エア供給配管に設けられていることを特徴とする請求項6に記載のマッサージ機。
【請求項8】
複数の異なるマッサージモードを有したマッサージ機において、
エアの給排気を繰り返すことによって前記複数のエアセルの膨張・収縮動作を行う第1マッサージモードと、
前記第1マッサージモードよりも短時間でエアの給排気を繰り返すことによって前記複数のエアセルの膨張・収縮動作を行う第2マッサージモードとを有していることを特徴とする請求項1〜7に記載のマッサージ機。
【請求項9】
前記第2マッサージモードは音響信号の変化に基づいて前記複数のエアセルの膨張・収縮動作を行うマッサージモードであることを特徴とする請求項8に記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−125299(P2009−125299A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303431(P2007−303431)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】