椅子型マッサージ機
【課題】椅子型マッサージ機において、被施療者の尻と背を支える座部及び脊凭れ部が、エアバッグの膨縮によってリクライニング可能なマッサージ機において、被施療者の体重の違いに拘わらず、倒す、起こすのリクライニング速度を一定に制御する。
【解決手段】マッサージ機には、被施療者がマッサージ機に乗り込むことによって受ける圧力を測定する測定センサー7から測定値に応じて、エアバッグ40への単位時間当たりのエアーの供給量及び/又はエアバッグからの単位時間当たりのエアーの排出量を決定して、リクライニングの倒し速度及び/又は起し速度を制御整可能な制御手段8が設けられている。
【解決手段】マッサージ機には、被施療者がマッサージ機に乗り込むことによって受ける圧力を測定する測定センサー7から測定値に応じて、エアバッグ40への単位時間当たりのエアーの供給量及び/又はエアバッグからの単位時間当たりのエアーの排出量を決定して、リクライニングの倒し速度及び/又は起し速度を制御整可能な制御手段8が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
被施療者の尻と背を支える座部及び背凭れ部が、エアバッグの膨縮によってリクライニング可能なマッサージ機において、被施療者の体重の違いに拘わらず、倒し及び/又は起しのリクライニング速度を一定に制御可能な椅子型マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種椅子型マッサージ機には、エアバッグの膨縮によってマッサージを行うもの、即ち、エアーポンプを具えたものがある。そこで出願人は以前に、このエアーポンプを利用して、マッサージ用のエアバックとは別個のリクライニング用エアバッグを膨縮させて座部及び脊凭れ部の「リクライニング倒し/起し」を行うことを試みた(特願2009−69268号)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記マッサージ機は、リクライニング機構を動作させるためのモータは不要であり、メカニズムも簡素化できる効果がある反面、マッサージ機に乗り込む被施療者の体重の個人差によって、リクライニング倒し及び起しの速度が変わる。これはリクライニング用エアバッグに単にエアーを供給し、或いはエアーを排出するだけの制御であれば、該エアバックに作用する被施療者の体重差による負荷の違いによって、当然に起こる現象である。
本発明は、リクライニング用のエアバッグへのエアー供給とエアー排出の制御に工夫を施すことにより、上記問題を解決できる椅子式マッサージ機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ベース部(1)上に、被施療者の尻と背を支える座部(2)及び背凭れ部(4)を該座部の後側に位置する傾動支点(20)を中心にリクライニング可能に配備し、座部(2)の下方に前記傾動支点(20)より前側にて座部傾動用の補助脚(51)を起伏可能に配備し、該補助脚にリクライニング用エアバッグ(50)の膨縮によって補助脚(51)を起伏させて座部(2)及び背凭れ部(4)の傾き角度を変えることが可能であるリクライニング手段(5)を具えた椅子型マッサージ機において、
椅子型マッサージ機は、被施療者がマッサージ機に乗り込むことによって受ける負荷を測定する測定センサー(7)からその測定値に応じて、リクライニング用エアバッグ(50)への単位時間当たりのエアーの供給量及び/又はエアバッグからの単位時間当たりのエアーの排出量を決定して、リクライニングの倒し速度及び/又は起し速度を制御調整可能な制御手段(8)が設けられている。
【発明の効果】
【0005】
制御手段(8)は、被施療者がマッサージ機に乗り込むことによって受ける圧力を測定する測定センサー(7)からその測定値に応じて、リクライニング用エアバッグ(50)への単位時間当たりのエアーの供給量及び/又は該エアバッグからの単位時間当たりのエアーの排出量を決定する。従って、被施療者の体重に応じて、リクライニングの倒し速度及び/又は起し速度を一定に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】椅子型マッサージ機の斜視図である。
【図2】同上のリクライニング起し状態の側面図である。
【図3】同上のリクライニング倒し状態の側面図である。
【図4】制御のフローチャートである。
【図5】他の実施例の制御のフローチャートである。
【図6】a図はエアーマッサージ用電磁弁のON−OFFとマッサージの関係を示し、b図はリクライニング用電磁弁のON−OFFとリクライニング状態の関係を示している。
【図7】マッサージ使用時のリクライニングの動作のフローチャートである。
【図8】リクライニング使用時のマッサージの動作のフローチャートである。
【図9】制御手段のブロック図である。
【図10】椅子型マッサージ機の他の実施例の側面図である。
【図11】同上のリクライニング倒し状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1乃至図3に示す如く、マッサージ機は、被施療者の尻を載せる座部(2)の後端から斜め後方上向きに背凭れ部(4)が延び、座部(2)の前端に斜め前方下向きに短く膝下載せ部(28)が延び、座部(2)の左右両側に肘掛け部(3)(3)を具えている。
マッサージ機は、座部(2)と背凭れ部(4)が一体にリクライニングできるリクライニング手段(5)を具え、図2に示すリクライニング起し状態(リクライニングリセット状態)では、座部(2)は床面Fに対して略平行となる。
図3に示すリクライニング倒し状態では、座部(2)の前部が後部よりも高く持ち上がる様に傾く。この傾き角度はリクライニング手段(5)によって任意に調節できる。
【0008】
図1に示す如く、座部(2)、背凭れ部(4)及び肘掛け部(3)の内面側にマッサージ手段(6)(61)(62)(63)が配備されている。マッサージ手段(6)(61)(62)(63)は、エアバッグ(6a)(61a)(62a)(63a)を膨縮させて患部を加圧するものである。
マッサージ手段(6)(61)(62)(63)は、エアバッグ式に限らず、揉み玉を機械的に揺動させて、患部に揉みや叩きの加圧を与えるもの等、種々の形態で実施可能である。
【0009】
座部(2)は、その後側に位置する傾動支点(20)を中心にリクライニング可能にベース部(1)に取り付けられている。
【0010】
ベース部(1)に、前記マッサージ用エアバッグ(6a)(61a)(62a)(63a)及び後記するリクライニング用エアバッグ(50)を膨らませるためのエアーポンプ(12)を設けている。
ベース部(1)から前方に向けて2本の平行なレール(11)(11)が前方に突設されている。
レール(11)は凹溝状に形成されており、溝の前端が閉じてストッパ(13)となっている。
【0011】
座部(2)の下面の前部両側にブラケット(23)を設け、両ブラケット(23)に補助脚(51)(51)の上端を枢支して下端を前後に回動可能に取り付けると共に、両補助脚(51)(51)を受け板(22)で連結する。
補助脚(51)(51)の下端にキャスター(26)(26)を取り付けて、前記溝状のレール(11)(11)に転動可能に嵌める。
【0012】
座部(2)とレール(11)との間に、補助脚(51)を起伏(回動)させて座部(2)及び背凭れ部(4)をリクライニングさせるリクライニング手段(5)を配備する。
実施例のリクライニング手段(5)はエアバッグ(50)であって、該リクライニング用エアバッグ(50)は、座部(2)の下面に設けたスペーサ(24)と前記補助脚(51)(51)に跨って設けた受け板(22)との間に介装される。
【0013】
図2に示す如く、マッサージ機のリセット状態、即ち、リクライニング用エアバッグ(50)が縮んだ状態で、スペーサ(24)の該エアバッグ(50)に対する受け面(25)は、補助脚(51)、即ち受け板(22)に対して略平行となる。
エアバッグ(50)は、互いに連通する複数の袋体(52)(52)からなり、各袋体(52)(52)は夫々前記ブラケット(23)に回動可能に支持された枠金(53)(53)に支持されており、スペーサ(24)と受け板(22)との間にて位置ズレすることなく安定して膨縮する。
【0014】
実施例の場合、リクライニング用エアバッグ(50)が膨らむと、「リクライニング倒し」、該エアバッグ(50)が縮むと「リクライニング起し」となる。
本発明は、被施療者の体重の違いに拘わらずリクライニング速度を制御手段(8)によって略一定にできることを特徴とするものである。
制御手段(8)は、被施療者がマッサージ機に乗り込むことによって受ける負荷を測定する測定センサー(7)の測定値に応じて、リクライニング用エアバッグ(50)への単位時間当たりのエアーの供給量及び/又は該エアバッグ(50)からの単位時間当たりのエアーの排出量を決定して、リクライニングの倒し速度及び/又は起し速度を制御する。
【0015】
図9に示す、上記制御手段(8)は、前記ベース部(1)内等の適所に収容されている。
制御手段(8)は、マイコン(81)と、該マイコン(81)に接続されたマッサージ用電磁弁駆動回路(82)、リクライニング用電磁弁駆動回路(83)、エアーポンプ駆動回路(84)、リモコン操作部(85)、前記測定センサー(7)及びマッサージ用電磁弁駆動回路(82)をON−OFFするリレー回路(87)が接続されている。
マッサージ用電磁弁駆動回路(82)とエアーリクライニング用電磁弁駆動回路(83)は、別電源となっている。
【0016】
前記測定センサー(7)は、座部(2)上に配備されて測定センサー(7)に加わる負荷(被施療者の体重)を測定し、測定値を上記マイコン(81)に送信する。
マイコン(81)の種々の役割の内の1つのは、上記測定値に応じて、予め記憶している測定センサー(7)に対する負荷値別の、リクライニング倒し/起しに対するエアーの送出し速度、排出速度(何れも単位時間当たりの流量)を決定し、エアーポンプ駆動回路(84)やエアーリクライニング用電磁弁駆動回路(83)に指令を送り、該エアーポンプ(12)の出力やリクライニング倒し用電磁弁E、リクライニング起し用電磁弁Fの開閉を制御することである。
【0017】
マッサージ用電磁弁駆動回路(82)には電磁弁A、B、C、Dが接続され、電磁弁A、B、C、Dには、夫々前記マッサージ用エアバッグ(6a)(61a)(62a)(63a)が接続されている。
マッサージ用電磁弁駆動回路(82)の働きにより、該エアバッグ(6a)(61a)(62a)(63a)を個別に膨縮させることができる。
図6(a)に示す如く、各マッサージ用エアバッグ(6a)(61a)(62a)(63a)は対応する電磁弁A〜DがONでマッサージ開始、OFFでマッサージ停止となる。
【0018】
エアーリクライニング用電磁弁駆動回路(83)には、リクライニング倒し用電磁弁Eとリクライニング起し用電磁弁Fが接続され、両電磁弁E、Dは前記リクライニング用エアバッグ(50)の流路を開閉する。
図6(b)に示す如く、リクライニング倒し用電磁弁EがON、リクライニング起し用電磁弁FがOFFのとき、リクライニング用エアバッグ(50)にエアーが供給されてリクライニング倒れとなる。
リクライニング倒し用電磁弁E及びリクライニング起し用電磁弁Fの両方がOFFのとき、リクライニング用エアバッグ(50)内のエアー圧は現状維持となって、座部(2)及び背凭れ部(4)の角度は現状保持される。
リクライニング倒し用電磁弁EがOFF、リクライニング起し用電磁弁FがONのとき、エアバッグ(50)からエアーが排出されてリクライニング起しとなる。
【0019】
リクライニング用電磁弁駆動回路(83)は、前記マイコン(81)から該駆動回路ON信号及びエアーの排出量信号を受けると、リクライニング起し用電磁弁Fの開閉を繰り返し、単位時間当たりの開閉頻度を制御して、エアーの排出量を起し速度が前記測定センサー(7)への負荷の値に拘わらず略一定となる様に制御できる。
【0020】
エアーポンプ駆動回路(84)は、エアーポンプ(12)のON−OFF及びエアーポンプ(12)の出力を制御する。
リレー駆動回路(87)は、リモコン操作部(85)等の適所に設けた非常停止ボタン(88)をONにすると、リレー駆動回路(87)のリレー(89)がOFFとなって、前記マッサージ用電磁弁駆動回路(82)の電源をOFF(遮断)する。
【0021】
次に図4のフローチャートに基づいて、リクライニング倒し/起しのリクライニング用エアバッグ(50)に対するエアー供給、排出の制御について説明する。
マイコン(81)のリセット状態(リクライニング倒し用電磁弁E及びリクライニング起し用電磁弁Fは共に閉じている)で主電源がONされ、被施療者が座部(2)に坐ると、測定センサー(7)が該測定センサー(7)に掛かる負荷(被施療者の体重)を検出して、検出値に応じたリセット倒し/起しのエアー送り速度、エアー排出速度を決定する(S1)。
リクライニングONにし(S2)、「リクライニング倒す」を選択すると(S3)、リクライニング倒し用電磁弁Eが開き、同時にマイコン(81)からエアーポンプ駆動回路(84)にエアーポンプ(12)ON指令と、前記(S1)で決定されたリクライニング倒しのエアー送り速度に対応する様にエアーポンプ(12)の出力を制御する指令を送る(S4)。具体的には、測定センサー(7)の検出値が大きいほど(被施療者の体重が重いほどエアーポンプ(12)の出力を大きくする。その結果、リクライニング用エアバッグ(50)に適正速度でエアーが供給され、該エアバッグ(50)の膨らみによって座部(2)及び背凭れ部(4)が被施療者の体重に拘わらず一定速度で倒れる。
リクライニング倒れを途中で停止し、或いはリクライニング倒しを完了すると(S5)、リクライニング倒し用電磁弁Eも閉じて、前記(S1)と(S2)の間に戻る。
【0022】
前記リクライニングON(S2)から、「リクライニング起し」を選択すると(S6)、リクライニング起し用電磁弁Fが開いて、同時にマイコン(81)からは、S1で決定されたエアー排出速度に対応する速度でリクライニング用エアバッグ(50)からエアーが排出される様にリクライニング用電磁弁駆動回路(83)に制御信号を送る(S7)。
リクライニング起し用電磁弁FがS1で決定されたエアー排出速度に対応して開閉を繰り返して、エアバッグ(50)内のエアーを排出する。具体的には、測定センサー(7)の検出値が大きい(被施療者の体重が重い)ほどリクライニング起し用電磁弁Fの開いている時間が短くなる様にする。この結果、エアバッグ(50)の縮みにより座部(2)及び背凭れ部(4)は被施療者の体重に拘わらず一定の速度で起きる。
リクライニング起しを途中で停止し、或いはリクライニング起しを完了すると(S5)、リクライニング起し用電磁弁Fも閉じ状態のままとなり、前記(S1)と(S2)の間に戻る。
【0023】
以上の説明では「リクライニング倒す」の場合のエアー送り速度をエアーポンプ(12)の出力を制御することで調整したが、エアーポンプ(12)の出力は一定でリクライニング倒し用電磁弁Eが開閉を繰り返す際に、開時間と閉じ時間を調整することで、制御することもできる。即ち、測定センサー(7)の検出値が大きい(被施療者の体重が重い)ほど該電磁弁Eが開いている時間を長くすることで、体重に拘わらずリクライニング倒し速度をほぼ一定にすることができる。
【0024】
上記リクライニング速度制御は、被施療者が座部(2)に腰掛けたときの負荷を測定センサー(7)が検出することによって行うものであるが、図5フローチャートによるリクライニング速度制御は、リクライニング用エアバッグ(50)の内圧を測定して、該内圧に応じてエアーポンプ(12)の出力を制御して行うものである。この場合、測定センサー(7)は、リクライニング用エアバッグ(50)又は該エアバッグ(50)への流路に連繋した圧力計である。
【0025】
図5に示す如く、マイコン(81)のリセット状態(リクライニング倒し用電磁弁E及びリクライニング起し用電磁弁Fは共に閉じている)で主電源がONされ、被施療者が座部(2)に坐り、リクライニングONにし(S1)、「リクライニング倒す」を選択すると(S2)、エアーリクライニング用電磁弁駆動回路(83)がリクライニング倒し用電磁弁Eを開き、エアーポンプ(12)が作動して、エアバッグ(50)にエアーの供給を開始する。測定センサー(7)がエアー供給開始時のエアー流路の圧力を測定する。これは、被施療者による荷重を間接的に測定してることになる。測定数値をマイコン(81)に送信し、測定値に応じたリクライニング用エアバッグ(50)に対するエアー供給速度を決定し、該速度に応じる様にエアーポンプ(12)の出力を制御して、エアーポンプ(12)を駆動する。具体的には、エアー流路の圧力が高位(被施療者の体重が重い)ほどエアーポンプ(12)の出力を大きくする。
その結果、リクライニング用エアバッグ(50)に適正速度でエアーが供給され、該エアバッグ(50)の膨らみによって座部(2)及び背凭れ部(4)が、被施療者の体重に拘わらず一定速度で倒れる。
リクライニング倒れを途中で停止し、或いはリクライニング倒しを完了すると(S4)、リクライニング倒し用電磁弁Eも閉じて、前記(S1)の直前に戻る。
【0026】
前記リクライニングON(S1)から、「リクライニング起し」を選択すると(S5)、リクライニング起し用電磁弁Fが開いて、リクライニング用エアバッグ(50)からエアーが排出される。エアー排出開始から一定時間のエアバッグ(50)内の内圧を測定センサー(7)によって測定し、測定値をマイコン(81)に送信する。マイコンは、該測定値に応じたエアー排出速度を決定し、リクライニング用電磁弁駆動回路(83)に制御信号を送る(S6)。
リクライニング起し用電磁弁Fが前記(S6)で決定されたエアー排出速度に対応して開閉を繰り返して、エアバッグ(50)内のエアーを排出する。具体的には、エアー排出開始から一定時間のリクライニング用エアバッグ(50)の内圧が低いほど(被施療者の体重が重いほど)、リクライニング起し用電磁弁Fの開いている時間が短くなる。電磁弁
その結果、エアバッグ(50)の縮みにより座部(2)及び背凭れ部(4)は被施療者の体重に拘わらず一定の速度で起きる。
リクライニング起しを途中で停止し、或いはリクライニング起しを完了すると(S4)、リクライニング起し用電磁弁Fも閉じ状態のままとなり、前記(S1)の直前に戻る。
【0027】
以上の実施例では、被施療者の体重に拘わらず、「リクライニング倒し」と「リクライニング起し」の両方の速度が一定になるようにしているが、何れか一方の速度が一定になるようにしてもよい。
【0028】
又、実施例では、共通のエアーポンプ(12)で、エアーマッサージとエアーリクライニングを行うから、上記制御手段(8)は、図7、図8のフローチャートに示す如く、エアーマッサージ使用時は、エアーリクライニングが停止し、エアーリクライニング使用時は、エアーマッサージが停止する様に、前記マッサージ用電磁弁駆動回路(82)とエアーリクライニング用電磁弁駆動回路(83)を制御する。
【0029】
エアーマッサージを行なったまま、エアーリクライニングを動作させた場合、リクライニング用エアバッグ(50)へのエアーの流量が変化して、エアバッグ(50)を十分に膨らませることができなくなり、又、マッサージ用のエアバッグ(6a)(61a)(62a)(63a)へのエアーの流量も変化して、マッサージ感も悪くなる問題が生じるが、上記制御により、この問題は解決できる。
【0030】
マッサージ機能に異常が生じた場合、被施療者がエアバッグ(6a)(61a)(62a)(63a)で異常に挟圧されることがあり、マッサージ用電磁弁駆動回路(82)の電源を遮断しなければならない。マッサージ用電磁弁駆動回路(82)とリクライニング用電磁弁駆動回路(83)が共通の電源であった場合、マッサージ用電磁弁駆動回路(82)の電源を遮断すると、エアーリクライニング用電磁弁駆動回路(83)も遮断されて、座部(2)及び背凭れ部(4)は、そのままの姿勢の姿勢となる。
座部(2)及び背凭れ部(4)が倒れ状態であると、マッサージ機から降りることが困難である。
【0031】
実施例では、マッサージ用電磁弁駆動回路(82)とリクライニング用電磁弁駆動回路(83)を別電源とし、非常停止ボタン(88)をONすることで、リレー駆動回路(87)の働きによって、前記マッサージ用電磁弁駆動回路(82)の電源だけをOFF(遮断)できる。
従って、マッサージ機能に異常が生じて、マッサージ用電磁弁駆動回路(82)の電源をOFFにしても、リクライニング用電磁弁駆動回路(83)は動作できる。従って、リクライニングを起こして、安全にマッサージ機から降りることができる。
【0032】
図10、図11は、マッサージ機の外観の異なる他の実施例を示している。
前記のマッサージ機からレール(11)を省略した。又、座部(2)の前部の膝下載せ部(28)の傾斜角度を緩やかにして、前方へ長くした。又、補助脚(51)を枢支するブラケット(23)を更に前側に変更し、補助脚(51)を膝下載せ部(28)の下側に位置させて、補助脚(51)と膝下載せ部(28)の間にリクライニング用のエアバッグ(50)を配備した。
前記実施例よりも、座部(2)の傾動支点(20)からエアバッグ(50)までの位置が遠くなるので、エアバッグ(50)の膨らみに対する負荷は小さくなる。
【符号の説明】
【0033】
1 ベース部
2 座部
4 背凭れ部
5 リクライニング手段
50 リクライニング用エアバッグ
6 マッサージ手段
6a 座部傾動用エアバッグ
【技術分野】
【0001】
被施療者の尻と背を支える座部及び背凭れ部が、エアバッグの膨縮によってリクライニング可能なマッサージ機において、被施療者の体重の違いに拘わらず、倒し及び/又は起しのリクライニング速度を一定に制御可能な椅子型マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種椅子型マッサージ機には、エアバッグの膨縮によってマッサージを行うもの、即ち、エアーポンプを具えたものがある。そこで出願人は以前に、このエアーポンプを利用して、マッサージ用のエアバックとは別個のリクライニング用エアバッグを膨縮させて座部及び脊凭れ部の「リクライニング倒し/起し」を行うことを試みた(特願2009−69268号)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記マッサージ機は、リクライニング機構を動作させるためのモータは不要であり、メカニズムも簡素化できる効果がある反面、マッサージ機に乗り込む被施療者の体重の個人差によって、リクライニング倒し及び起しの速度が変わる。これはリクライニング用エアバッグに単にエアーを供給し、或いはエアーを排出するだけの制御であれば、該エアバックに作用する被施療者の体重差による負荷の違いによって、当然に起こる現象である。
本発明は、リクライニング用のエアバッグへのエアー供給とエアー排出の制御に工夫を施すことにより、上記問題を解決できる椅子式マッサージ機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ベース部(1)上に、被施療者の尻と背を支える座部(2)及び背凭れ部(4)を該座部の後側に位置する傾動支点(20)を中心にリクライニング可能に配備し、座部(2)の下方に前記傾動支点(20)より前側にて座部傾動用の補助脚(51)を起伏可能に配備し、該補助脚にリクライニング用エアバッグ(50)の膨縮によって補助脚(51)を起伏させて座部(2)及び背凭れ部(4)の傾き角度を変えることが可能であるリクライニング手段(5)を具えた椅子型マッサージ機において、
椅子型マッサージ機は、被施療者がマッサージ機に乗り込むことによって受ける負荷を測定する測定センサー(7)からその測定値に応じて、リクライニング用エアバッグ(50)への単位時間当たりのエアーの供給量及び/又はエアバッグからの単位時間当たりのエアーの排出量を決定して、リクライニングの倒し速度及び/又は起し速度を制御調整可能な制御手段(8)が設けられている。
【発明の効果】
【0005】
制御手段(8)は、被施療者がマッサージ機に乗り込むことによって受ける圧力を測定する測定センサー(7)からその測定値に応じて、リクライニング用エアバッグ(50)への単位時間当たりのエアーの供給量及び/又は該エアバッグからの単位時間当たりのエアーの排出量を決定する。従って、被施療者の体重に応じて、リクライニングの倒し速度及び/又は起し速度を一定に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】椅子型マッサージ機の斜視図である。
【図2】同上のリクライニング起し状態の側面図である。
【図3】同上のリクライニング倒し状態の側面図である。
【図4】制御のフローチャートである。
【図5】他の実施例の制御のフローチャートである。
【図6】a図はエアーマッサージ用電磁弁のON−OFFとマッサージの関係を示し、b図はリクライニング用電磁弁のON−OFFとリクライニング状態の関係を示している。
【図7】マッサージ使用時のリクライニングの動作のフローチャートである。
【図8】リクライニング使用時のマッサージの動作のフローチャートである。
【図9】制御手段のブロック図である。
【図10】椅子型マッサージ機の他の実施例の側面図である。
【図11】同上のリクライニング倒し状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1乃至図3に示す如く、マッサージ機は、被施療者の尻を載せる座部(2)の後端から斜め後方上向きに背凭れ部(4)が延び、座部(2)の前端に斜め前方下向きに短く膝下載せ部(28)が延び、座部(2)の左右両側に肘掛け部(3)(3)を具えている。
マッサージ機は、座部(2)と背凭れ部(4)が一体にリクライニングできるリクライニング手段(5)を具え、図2に示すリクライニング起し状態(リクライニングリセット状態)では、座部(2)は床面Fに対して略平行となる。
図3に示すリクライニング倒し状態では、座部(2)の前部が後部よりも高く持ち上がる様に傾く。この傾き角度はリクライニング手段(5)によって任意に調節できる。
【0008】
図1に示す如く、座部(2)、背凭れ部(4)及び肘掛け部(3)の内面側にマッサージ手段(6)(61)(62)(63)が配備されている。マッサージ手段(6)(61)(62)(63)は、エアバッグ(6a)(61a)(62a)(63a)を膨縮させて患部を加圧するものである。
マッサージ手段(6)(61)(62)(63)は、エアバッグ式に限らず、揉み玉を機械的に揺動させて、患部に揉みや叩きの加圧を与えるもの等、種々の形態で実施可能である。
【0009】
座部(2)は、その後側に位置する傾動支点(20)を中心にリクライニング可能にベース部(1)に取り付けられている。
【0010】
ベース部(1)に、前記マッサージ用エアバッグ(6a)(61a)(62a)(63a)及び後記するリクライニング用エアバッグ(50)を膨らませるためのエアーポンプ(12)を設けている。
ベース部(1)から前方に向けて2本の平行なレール(11)(11)が前方に突設されている。
レール(11)は凹溝状に形成されており、溝の前端が閉じてストッパ(13)となっている。
【0011】
座部(2)の下面の前部両側にブラケット(23)を設け、両ブラケット(23)に補助脚(51)(51)の上端を枢支して下端を前後に回動可能に取り付けると共に、両補助脚(51)(51)を受け板(22)で連結する。
補助脚(51)(51)の下端にキャスター(26)(26)を取り付けて、前記溝状のレール(11)(11)に転動可能に嵌める。
【0012】
座部(2)とレール(11)との間に、補助脚(51)を起伏(回動)させて座部(2)及び背凭れ部(4)をリクライニングさせるリクライニング手段(5)を配備する。
実施例のリクライニング手段(5)はエアバッグ(50)であって、該リクライニング用エアバッグ(50)は、座部(2)の下面に設けたスペーサ(24)と前記補助脚(51)(51)に跨って設けた受け板(22)との間に介装される。
【0013】
図2に示す如く、マッサージ機のリセット状態、即ち、リクライニング用エアバッグ(50)が縮んだ状態で、スペーサ(24)の該エアバッグ(50)に対する受け面(25)は、補助脚(51)、即ち受け板(22)に対して略平行となる。
エアバッグ(50)は、互いに連通する複数の袋体(52)(52)からなり、各袋体(52)(52)は夫々前記ブラケット(23)に回動可能に支持された枠金(53)(53)に支持されており、スペーサ(24)と受け板(22)との間にて位置ズレすることなく安定して膨縮する。
【0014】
実施例の場合、リクライニング用エアバッグ(50)が膨らむと、「リクライニング倒し」、該エアバッグ(50)が縮むと「リクライニング起し」となる。
本発明は、被施療者の体重の違いに拘わらずリクライニング速度を制御手段(8)によって略一定にできることを特徴とするものである。
制御手段(8)は、被施療者がマッサージ機に乗り込むことによって受ける負荷を測定する測定センサー(7)の測定値に応じて、リクライニング用エアバッグ(50)への単位時間当たりのエアーの供給量及び/又は該エアバッグ(50)からの単位時間当たりのエアーの排出量を決定して、リクライニングの倒し速度及び/又は起し速度を制御する。
【0015】
図9に示す、上記制御手段(8)は、前記ベース部(1)内等の適所に収容されている。
制御手段(8)は、マイコン(81)と、該マイコン(81)に接続されたマッサージ用電磁弁駆動回路(82)、リクライニング用電磁弁駆動回路(83)、エアーポンプ駆動回路(84)、リモコン操作部(85)、前記測定センサー(7)及びマッサージ用電磁弁駆動回路(82)をON−OFFするリレー回路(87)が接続されている。
マッサージ用電磁弁駆動回路(82)とエアーリクライニング用電磁弁駆動回路(83)は、別電源となっている。
【0016】
前記測定センサー(7)は、座部(2)上に配備されて測定センサー(7)に加わる負荷(被施療者の体重)を測定し、測定値を上記マイコン(81)に送信する。
マイコン(81)の種々の役割の内の1つのは、上記測定値に応じて、予め記憶している測定センサー(7)に対する負荷値別の、リクライニング倒し/起しに対するエアーの送出し速度、排出速度(何れも単位時間当たりの流量)を決定し、エアーポンプ駆動回路(84)やエアーリクライニング用電磁弁駆動回路(83)に指令を送り、該エアーポンプ(12)の出力やリクライニング倒し用電磁弁E、リクライニング起し用電磁弁Fの開閉を制御することである。
【0017】
マッサージ用電磁弁駆動回路(82)には電磁弁A、B、C、Dが接続され、電磁弁A、B、C、Dには、夫々前記マッサージ用エアバッグ(6a)(61a)(62a)(63a)が接続されている。
マッサージ用電磁弁駆動回路(82)の働きにより、該エアバッグ(6a)(61a)(62a)(63a)を個別に膨縮させることができる。
図6(a)に示す如く、各マッサージ用エアバッグ(6a)(61a)(62a)(63a)は対応する電磁弁A〜DがONでマッサージ開始、OFFでマッサージ停止となる。
【0018】
エアーリクライニング用電磁弁駆動回路(83)には、リクライニング倒し用電磁弁Eとリクライニング起し用電磁弁Fが接続され、両電磁弁E、Dは前記リクライニング用エアバッグ(50)の流路を開閉する。
図6(b)に示す如く、リクライニング倒し用電磁弁EがON、リクライニング起し用電磁弁FがOFFのとき、リクライニング用エアバッグ(50)にエアーが供給されてリクライニング倒れとなる。
リクライニング倒し用電磁弁E及びリクライニング起し用電磁弁Fの両方がOFFのとき、リクライニング用エアバッグ(50)内のエアー圧は現状維持となって、座部(2)及び背凭れ部(4)の角度は現状保持される。
リクライニング倒し用電磁弁EがOFF、リクライニング起し用電磁弁FがONのとき、エアバッグ(50)からエアーが排出されてリクライニング起しとなる。
【0019】
リクライニング用電磁弁駆動回路(83)は、前記マイコン(81)から該駆動回路ON信号及びエアーの排出量信号を受けると、リクライニング起し用電磁弁Fの開閉を繰り返し、単位時間当たりの開閉頻度を制御して、エアーの排出量を起し速度が前記測定センサー(7)への負荷の値に拘わらず略一定となる様に制御できる。
【0020】
エアーポンプ駆動回路(84)は、エアーポンプ(12)のON−OFF及びエアーポンプ(12)の出力を制御する。
リレー駆動回路(87)は、リモコン操作部(85)等の適所に設けた非常停止ボタン(88)をONにすると、リレー駆動回路(87)のリレー(89)がOFFとなって、前記マッサージ用電磁弁駆動回路(82)の電源をOFF(遮断)する。
【0021】
次に図4のフローチャートに基づいて、リクライニング倒し/起しのリクライニング用エアバッグ(50)に対するエアー供給、排出の制御について説明する。
マイコン(81)のリセット状態(リクライニング倒し用電磁弁E及びリクライニング起し用電磁弁Fは共に閉じている)で主電源がONされ、被施療者が座部(2)に坐ると、測定センサー(7)が該測定センサー(7)に掛かる負荷(被施療者の体重)を検出して、検出値に応じたリセット倒し/起しのエアー送り速度、エアー排出速度を決定する(S1)。
リクライニングONにし(S2)、「リクライニング倒す」を選択すると(S3)、リクライニング倒し用電磁弁Eが開き、同時にマイコン(81)からエアーポンプ駆動回路(84)にエアーポンプ(12)ON指令と、前記(S1)で決定されたリクライニング倒しのエアー送り速度に対応する様にエアーポンプ(12)の出力を制御する指令を送る(S4)。具体的には、測定センサー(7)の検出値が大きいほど(被施療者の体重が重いほどエアーポンプ(12)の出力を大きくする。その結果、リクライニング用エアバッグ(50)に適正速度でエアーが供給され、該エアバッグ(50)の膨らみによって座部(2)及び背凭れ部(4)が被施療者の体重に拘わらず一定速度で倒れる。
リクライニング倒れを途中で停止し、或いはリクライニング倒しを完了すると(S5)、リクライニング倒し用電磁弁Eも閉じて、前記(S1)と(S2)の間に戻る。
【0022】
前記リクライニングON(S2)から、「リクライニング起し」を選択すると(S6)、リクライニング起し用電磁弁Fが開いて、同時にマイコン(81)からは、S1で決定されたエアー排出速度に対応する速度でリクライニング用エアバッグ(50)からエアーが排出される様にリクライニング用電磁弁駆動回路(83)に制御信号を送る(S7)。
リクライニング起し用電磁弁FがS1で決定されたエアー排出速度に対応して開閉を繰り返して、エアバッグ(50)内のエアーを排出する。具体的には、測定センサー(7)の検出値が大きい(被施療者の体重が重い)ほどリクライニング起し用電磁弁Fの開いている時間が短くなる様にする。この結果、エアバッグ(50)の縮みにより座部(2)及び背凭れ部(4)は被施療者の体重に拘わらず一定の速度で起きる。
リクライニング起しを途中で停止し、或いはリクライニング起しを完了すると(S5)、リクライニング起し用電磁弁Fも閉じ状態のままとなり、前記(S1)と(S2)の間に戻る。
【0023】
以上の説明では「リクライニング倒す」の場合のエアー送り速度をエアーポンプ(12)の出力を制御することで調整したが、エアーポンプ(12)の出力は一定でリクライニング倒し用電磁弁Eが開閉を繰り返す際に、開時間と閉じ時間を調整することで、制御することもできる。即ち、測定センサー(7)の検出値が大きい(被施療者の体重が重い)ほど該電磁弁Eが開いている時間を長くすることで、体重に拘わらずリクライニング倒し速度をほぼ一定にすることができる。
【0024】
上記リクライニング速度制御は、被施療者が座部(2)に腰掛けたときの負荷を測定センサー(7)が検出することによって行うものであるが、図5フローチャートによるリクライニング速度制御は、リクライニング用エアバッグ(50)の内圧を測定して、該内圧に応じてエアーポンプ(12)の出力を制御して行うものである。この場合、測定センサー(7)は、リクライニング用エアバッグ(50)又は該エアバッグ(50)への流路に連繋した圧力計である。
【0025】
図5に示す如く、マイコン(81)のリセット状態(リクライニング倒し用電磁弁E及びリクライニング起し用電磁弁Fは共に閉じている)で主電源がONされ、被施療者が座部(2)に坐り、リクライニングONにし(S1)、「リクライニング倒す」を選択すると(S2)、エアーリクライニング用電磁弁駆動回路(83)がリクライニング倒し用電磁弁Eを開き、エアーポンプ(12)が作動して、エアバッグ(50)にエアーの供給を開始する。測定センサー(7)がエアー供給開始時のエアー流路の圧力を測定する。これは、被施療者による荷重を間接的に測定してることになる。測定数値をマイコン(81)に送信し、測定値に応じたリクライニング用エアバッグ(50)に対するエアー供給速度を決定し、該速度に応じる様にエアーポンプ(12)の出力を制御して、エアーポンプ(12)を駆動する。具体的には、エアー流路の圧力が高位(被施療者の体重が重い)ほどエアーポンプ(12)の出力を大きくする。
その結果、リクライニング用エアバッグ(50)に適正速度でエアーが供給され、該エアバッグ(50)の膨らみによって座部(2)及び背凭れ部(4)が、被施療者の体重に拘わらず一定速度で倒れる。
リクライニング倒れを途中で停止し、或いはリクライニング倒しを完了すると(S4)、リクライニング倒し用電磁弁Eも閉じて、前記(S1)の直前に戻る。
【0026】
前記リクライニングON(S1)から、「リクライニング起し」を選択すると(S5)、リクライニング起し用電磁弁Fが開いて、リクライニング用エアバッグ(50)からエアーが排出される。エアー排出開始から一定時間のエアバッグ(50)内の内圧を測定センサー(7)によって測定し、測定値をマイコン(81)に送信する。マイコンは、該測定値に応じたエアー排出速度を決定し、リクライニング用電磁弁駆動回路(83)に制御信号を送る(S6)。
リクライニング起し用電磁弁Fが前記(S6)で決定されたエアー排出速度に対応して開閉を繰り返して、エアバッグ(50)内のエアーを排出する。具体的には、エアー排出開始から一定時間のリクライニング用エアバッグ(50)の内圧が低いほど(被施療者の体重が重いほど)、リクライニング起し用電磁弁Fの開いている時間が短くなる。電磁弁
その結果、エアバッグ(50)の縮みにより座部(2)及び背凭れ部(4)は被施療者の体重に拘わらず一定の速度で起きる。
リクライニング起しを途中で停止し、或いはリクライニング起しを完了すると(S4)、リクライニング起し用電磁弁Fも閉じ状態のままとなり、前記(S1)の直前に戻る。
【0027】
以上の実施例では、被施療者の体重に拘わらず、「リクライニング倒し」と「リクライニング起し」の両方の速度が一定になるようにしているが、何れか一方の速度が一定になるようにしてもよい。
【0028】
又、実施例では、共通のエアーポンプ(12)で、エアーマッサージとエアーリクライニングを行うから、上記制御手段(8)は、図7、図8のフローチャートに示す如く、エアーマッサージ使用時は、エアーリクライニングが停止し、エアーリクライニング使用時は、エアーマッサージが停止する様に、前記マッサージ用電磁弁駆動回路(82)とエアーリクライニング用電磁弁駆動回路(83)を制御する。
【0029】
エアーマッサージを行なったまま、エアーリクライニングを動作させた場合、リクライニング用エアバッグ(50)へのエアーの流量が変化して、エアバッグ(50)を十分に膨らませることができなくなり、又、マッサージ用のエアバッグ(6a)(61a)(62a)(63a)へのエアーの流量も変化して、マッサージ感も悪くなる問題が生じるが、上記制御により、この問題は解決できる。
【0030】
マッサージ機能に異常が生じた場合、被施療者がエアバッグ(6a)(61a)(62a)(63a)で異常に挟圧されることがあり、マッサージ用電磁弁駆動回路(82)の電源を遮断しなければならない。マッサージ用電磁弁駆動回路(82)とリクライニング用電磁弁駆動回路(83)が共通の電源であった場合、マッサージ用電磁弁駆動回路(82)の電源を遮断すると、エアーリクライニング用電磁弁駆動回路(83)も遮断されて、座部(2)及び背凭れ部(4)は、そのままの姿勢の姿勢となる。
座部(2)及び背凭れ部(4)が倒れ状態であると、マッサージ機から降りることが困難である。
【0031】
実施例では、マッサージ用電磁弁駆動回路(82)とリクライニング用電磁弁駆動回路(83)を別電源とし、非常停止ボタン(88)をONすることで、リレー駆動回路(87)の働きによって、前記マッサージ用電磁弁駆動回路(82)の電源だけをOFF(遮断)できる。
従って、マッサージ機能に異常が生じて、マッサージ用電磁弁駆動回路(82)の電源をOFFにしても、リクライニング用電磁弁駆動回路(83)は動作できる。従って、リクライニングを起こして、安全にマッサージ機から降りることができる。
【0032】
図10、図11は、マッサージ機の外観の異なる他の実施例を示している。
前記のマッサージ機からレール(11)を省略した。又、座部(2)の前部の膝下載せ部(28)の傾斜角度を緩やかにして、前方へ長くした。又、補助脚(51)を枢支するブラケット(23)を更に前側に変更し、補助脚(51)を膝下載せ部(28)の下側に位置させて、補助脚(51)と膝下載せ部(28)の間にリクライニング用のエアバッグ(50)を配備した。
前記実施例よりも、座部(2)の傾動支点(20)からエアバッグ(50)までの位置が遠くなるので、エアバッグ(50)の膨らみに対する負荷は小さくなる。
【符号の説明】
【0033】
1 ベース部
2 座部
4 背凭れ部
5 リクライニング手段
50 リクライニング用エアバッグ
6 マッサージ手段
6a 座部傾動用エアバッグ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部上に、被施療者の尻と背を支える座部及び脊凭れ部を該座部の後側に位置する傾動支点を中心にリクライニング可能に配備し、座部の下方に前記傾動支点より前側にて座部傾動用の補助脚を起伏可能に配備し、該補助脚にエアバッグの膨縮によって補助脚を起伏させて座部及び脊凭れ部の傾き角度を変えることが可能であるリクライニング手段を具えた椅子型マッサージ機において、
マッサージ機には、被施療者がマッサージ機に乗り込むことによって受ける圧力を測定する測定センサーからの測定値に応じて、エアバッグへの単位時間当たりのエアーの供給量及び/又はエアバッグからの単位時間当たりのエアーの排出量を決定して、リクライニングの倒し速度及び/又は起し速度を制御調整可能な制御手段が設けられている、椅子型マッサージ機。
【請求項2】
エアバックが膨らんだときに、リクライニング倒しとなり、エアバッグが縮んだときに、リクライニング起しとなり、制御手段は、座部に設けられた検出センサーが被施療者の体重が掛かることによって検出した値に応じて、リクライニング倒しの場合は、エアバッグへエアーを供給するポンプの出力を制御し、リクライニング起こしの場合は、エアバッグからエアーを抜く速度を制御する、請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項3】
エアバックが膨らんだときにリクライニング倒しとなり、エアバッグが縮んだときにリクライニング起しとなり、制御手段は、リクライニング倒しの場合は、被施療者が座部に腰掛けた状態でのリクライニング倒しの動作開始時のエアバッグへのエアー供給時の送圧を一定時間測定し、この測定値に応じてエアー供給ポンプの出力を制御し、リクライニング起しの場合は、リクライニング起し動作開始時のエアーの排圧を一定時間測定し、測定値に応じて、エアバッグからエアーを抜く速度を制御する、請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
座部の傾動支点よりも前側にて、座部に補助脚の上端部が枢支され、補助脚の自由端が前後に移動可能である、請求項1乃至3の何れかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項5】
ベース部に座部の下方位置にて前後方向に延びるレールを具え、補助脚の自由端はレールに案内されて移動可能である、請求項1乃至4の何れかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項6】
補助脚の自由端にキャスターが配備されている、請求項1乃至5の何れかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項7】
座部及び/又は背凭れ部に施療手段であるエアバッグを具え、該エアバッグと、座部傾動用のエアバッグを共通のエアーポンプに連繋している、請求項1乃至6の何れかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項1】
ベース部上に、被施療者の尻と背を支える座部及び脊凭れ部を該座部の後側に位置する傾動支点を中心にリクライニング可能に配備し、座部の下方に前記傾動支点より前側にて座部傾動用の補助脚を起伏可能に配備し、該補助脚にエアバッグの膨縮によって補助脚を起伏させて座部及び脊凭れ部の傾き角度を変えることが可能であるリクライニング手段を具えた椅子型マッサージ機において、
マッサージ機には、被施療者がマッサージ機に乗り込むことによって受ける圧力を測定する測定センサーからの測定値に応じて、エアバッグへの単位時間当たりのエアーの供給量及び/又はエアバッグからの単位時間当たりのエアーの排出量を決定して、リクライニングの倒し速度及び/又は起し速度を制御調整可能な制御手段が設けられている、椅子型マッサージ機。
【請求項2】
エアバックが膨らんだときに、リクライニング倒しとなり、エアバッグが縮んだときに、リクライニング起しとなり、制御手段は、座部に設けられた検出センサーが被施療者の体重が掛かることによって検出した値に応じて、リクライニング倒しの場合は、エアバッグへエアーを供給するポンプの出力を制御し、リクライニング起こしの場合は、エアバッグからエアーを抜く速度を制御する、請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項3】
エアバックが膨らんだときにリクライニング倒しとなり、エアバッグが縮んだときにリクライニング起しとなり、制御手段は、リクライニング倒しの場合は、被施療者が座部に腰掛けた状態でのリクライニング倒しの動作開始時のエアバッグへのエアー供給時の送圧を一定時間測定し、この測定値に応じてエアー供給ポンプの出力を制御し、リクライニング起しの場合は、リクライニング起し動作開始時のエアーの排圧を一定時間測定し、測定値に応じて、エアバッグからエアーを抜く速度を制御する、請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
座部の傾動支点よりも前側にて、座部に補助脚の上端部が枢支され、補助脚の自由端が前後に移動可能である、請求項1乃至3の何れかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項5】
ベース部に座部の下方位置にて前後方向に延びるレールを具え、補助脚の自由端はレールに案内されて移動可能である、請求項1乃至4の何れかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項6】
補助脚の自由端にキャスターが配備されている、請求項1乃至5の何れかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項7】
座部及び/又は背凭れ部に施療手段であるエアバッグを具え、該エアバッグと、座部傾動用のエアバッグを共通のエアーポンプに連繋している、請求項1乃至6の何れかに記載の椅子型マッサージ機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−10695(P2011−10695A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154999(P2009−154999)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】
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