説明

椅子式マッサージ機

【課題】 本発明の目的は、リラックスした状態で手指をマッサージでき、且つ装置のコンパクト化が可能な椅子式マッサージ機を提供することである。
【解決手段】 左右のアームレスト50の上面の前方寄りに、夫々アームレスト50を左右に横切るように、下方に向かう凹部51を形成し、この凹部51内の前後の壁面には、凹部に挿入した手指を前後方向から押圧する膨張、収縮する前後一対のエアバッグ53、53を設ける。
【効果】 アームレストに前腕を置き、手指を下向きの凹部51に挿入する姿勢はリラックスした自然に近い状態となるので、リラックスした状態で手指をエアバッグ53によりマッサージすることができ、マッサージ効果が上がる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の腰掛ける座部と、座部の後端側に配置され被施療者の背中が当たる背凭れ部と、座部の左右両側より立設され被施療者の前腕を置くアームレストとを具えた椅子式マッサージ機で、被施療者の手指のマッサージを可能にしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被施療者の手指をマッサージできるものとして、特許文献1に記載のように、被施療者の前腕を置くアームレストの上面適所に、人体の手指を含む前腕を出入自在に収納し得るよう袋状の収納体を設け、この収納体に、圧縮空気給排装置により膨張収縮するエアバッグを設け、このエアバッグにより収納体に挿入した手指を含む前腕をマッサージできるようにしたものが知られている。
【0003】
また特許文献2に記載のように、アームレストの上方に間隔を隔てて壁を設け、アームレストの上面と壁の下面に夫々エアバッグを設け、アームレストと壁との間に手指を含む前腕を挿入して、エアバッグで手指を含む前腕をマッサージするものも知られている。
【特許文献1】特開平10−243891号公報
【特許文献2】特開2005−349130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のマッサージ機では、収納体に手指を含む前腕を挿入すると、前腕から指先がアームレストに沿って伸びた状態となり、自然でリラックスした状態ではない。又、袋状の収納体に手指を含む前腕挿入しなければならないので、使い難い。
【0005】
特許文献2のマッサージ機も、アームレストと壁との間に手指を含む前腕を挿入すると、前腕から指先がアームレストに沿って伸びた状態となり、自然でリラックスした状態ではなく、また装置が大掛かりになる。
【0006】
本発明の目的は、リラックスした状態で手指をマッサージでき、且つ装置のコンパクト化が可能な椅子式マッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、被施療者の腰掛ける座部と、座部の後端側に配置され被施療者の背中が当たる背凭れ部と、座部の左右両側より立設され被施療者の前腕を置くアームレストとを具え、アームレストの上面に下方に向かって被施療者の手指が挿入できる凹部を形成し、該凹部の内壁面に、凹部に挿入した手指を前後方向より押圧する押圧手段を配設したものである。
【0008】
具体的には、押圧手段として、膨張・収縮するエアバッグを例示できる。また 凹部は、アームレストを左右に横切るように形成し、この凹部の内壁面の前後少なくとも一方に、エアバッグを配設する。
【発明の効果】
【0009】
アームレストに前腕を置いたときのように、前腕がほぼ水平状態であると、人体の手先(手指)はリラックスした自然な状態では、前腕に対し下向きに軽く曲がる。従ってアームレストに前腕を置き、手先を下向きの凹部に挿入する姿勢はリラックスした自然に近い状態となり、この状態で手指を押圧手段により前後方向に押圧するので、リラックスした状態で手指をマッサージすることができる。
【0010】
又凹部の内壁面にエアバッグ等の押圧手段を配備するので、アームレスト上に手指をマッサージする手段が突出することはなく、見映えがよくコンパクト化が可能になる。またマッサージする際は、手指を下向きの凹部に挿入するだけでよく、またマッサージが終了すれば、凹部より簡単に手指を抜くことができ、使い易い。また椅子から立ち上がる場合、凹部に手指を入れたまま立ち上がれば、踏ん張りが利き、容易に立ち上がることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の椅子式マッサージ機を図に基づき説明する。なお、以下の説明において、椅子に座った人から見てお腹側を前方、背中側を後方という。図1は椅子式マッサージ機の斜め前方から見た斜視図で、マッサージ機10は、被施療者の腰掛ける座部20と、座部20の後端側において起倒自在で任意の角度で位置決め可能に取り付けられた背凭れ部30と、座部20の前端側において揺動自在で任意の角度で位置決め可能に取り付けられたフットレスト40と、座部20の左右両側に立設されたアームレスト50を具える。
【0012】
背凭れ部30内には、左右一対の施療子により叩きや揉みを行なう周知のマッサージ手段(図示せず)が、背凭れ部に沿って昇降自在に設けられている。フットレスト40は、前方及び上方が開放された左右一対の凹状受部41が形成され、凹状受部41の底面や側面には、圧縮空気の供給、排出により膨張、収縮するエアバッグ(図示せず)が配備されて、凹状受部41に挿入したふくらはぎと足先の側面や裏面を押圧してマッサージを施すようになっている。
【0013】
而して、左右アームレスト50の上面の前方寄りには、夫々アームレスト50を左右に横切るように、下方に向かう凹部51が形成されている。この凹部51は、アームレスト50に前腕を置いた際、手先である手指が挿入できるようになっている。この凹部51内の前後の壁面には、凹部51に挿入した手指を前後方向から押圧する押圧手段52が配備されている。押圧手段52としては、圧縮空気の供給、排出により膨張、収縮する前後一対のエアバッグ53、53が用いられている。
【0014】
図3は凹部51の拡大断面図で、凹部51内の前後内壁に沿ってエアバッグ53、53が配備され、各エアバッグ53は、配管54を介して座部20の下方の適所に配置されたエアポンプ(図示せず)に接続される。各配管54中には、図示しない電磁弁が介在され、電磁弁の操作により、エアポンプからの圧縮空気をエアバッグ53へ供給したり、エアバッグ53内の空気を排気する。前後のエアバッグ53、53は夫々独立して膨張、収縮できる。エアバッグ53は、布製のカバー55により覆われている。なお、エアポンプからの圧縮空気は、フットレスト40に設けたエアバッグにも供給される。
【0015】
そこで手指をマッサージする場合、図2乃至図4のように、アームレスト50上に前腕を置き、手指Fを凹部51内に挿入して、エアバッグ53を膨張、収縮させることにより、手指を前後方向から押圧したり、押圧を解除してマッサージすることができる。図3はエアバッグ53が収縮した状態、図4は膨張した状態を夫々示す。
【0016】
ここで、アームレスト50に前腕を置いたときのように、前腕がほぼ水平状態であると、人体の手先(手指)はリラックスした自然な状態では、前腕に対し下向きに軽く曲がる。従ってアームレストに前腕を置き、手指を下向きの凹部51内に挿入する姿勢はリラックスした自然に近い状態となるので、リラックスした状態で手指をエアバッグ53によりマッサージすることができ、マッサージ効果が上がる。
【0017】
またマッサージする際は、手指を下向きの凹部51に挿入するだけでよく、またマッサージが終了すれば、凹部51より簡単に手指を抜くことができ、使い易い。さらに、椅子から立ち上がる場合、凹部51に手指を入れたまま立ち上がれば、踏ん張りが利き、容易に立ち上がることもできる。
【0018】
又凹部51の前後の壁面に押圧手段であるエアバッグ53を配備しているので、アームレスト50上に手指を押圧する手段が突出することはなく、見映えもよく、コンパクト化が可能になる。
【0019】
エアバッグ53は、上記のように前後で独立して膨張収縮できるようにようにしてもよいが、前後のエアバッグ53、53をその下部で連通して、同時に膨張、収縮できるようにしてもよい。この場合、エアバッグは、連通した下部を、凹部51の底面に取り付けることにより、エアバッグを凹部51の前後壁面に沿って配備することができる。
【0020】
以上の実施例では、手指を押圧するのにエアバッグ53を用いたが、手指を押圧する手段としてはエアバッグに限定されることはない。例えば、凹部51の下方にモータにより回転される前後に延びる駆動軸を設け、駆動軸に前後に間隔をおいて、軸心に対して互いに反対方向に傾斜した一対の揺動板を装着し、駆動軸の回転により一対の揺動板の間隔を狭めたり広げたりし、この揺動板を凹部の前後の側面より凹部内に臨ましめ、一対の揺動板にて手指を前後方向より押圧マッサージすることもできる。
【0021】
また、背凭れ部30内には、上記のように、一対の施療子により叩きや揉みを行なう周知のマッサージ手段を背凭れ部に沿って昇降自在に設ける他に、図5に示すように、モータ61により回転される駆動筒62の外周に、スパイラル状に突部63を形成した施療子60用いてもよい。図1の破線及び図6は、施療子60を左右の腰に相当する部分に縦向きに配置した例を示し、スパイラルの向きを左右で互いに逆方向にしている。
【0022】
かかる構成により、突部63が腰部を単に圧迫するだけではなく、駆動筒62の回転により、圧迫箇所が軸方向(縦方向)にも移動するので、腰部を効果的に揉み解すことができる。また左右の突部63のスパイラルの向きが互いに逆方向なので、左右の施療子60により、駆動筒62の回転方向によって揉み上げや揉み下げの効果を得ることができる。また施療子60は、縦方向に配置する他、図7のように横方向に配置することもできる。
【0023】
また、背凭れ部30や座部20に、フットレスト40に設けたエアバッグと同様、エアバッグを配置して、大腿部や背中をエアバッグによりマッサージすることもできるが、エアバッグによるマッサージは、ゆったりとした大きな動きのマッサージは可能であるが、素早い動きのマッサージはできない。そこで、図8のように、エアバッグ70の下方にソレノイド71を配置して、エアバッグ70の大きな動きに、ソレノイド71の振動に似た素早い動きを組み合わせ、変化に富んだマッサージを行なうこともできる。図1の破線は、座部20にこのエアバッグ70を4個配備した例を示す。
【0024】
以上の如く本発明によれば、リラックスした状態で手指をマッサージできるので、マッサージ効果が向上し、且つ装置のコンパクト化が可能な椅子式マッサージ機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の椅子式マッサージ機を斜め前方から見た斜視図である。
【図2】同マッサージ機の側面図で、アームレストの凹部に手指を挿入した状態を示す。
【図3】アームレストの凹部の拡大断面図で、エアバッグが収縮状態した状態を示す。
【図4】アームレストの凹部の拡大断面図で、エアバッグが膨張状態した状態を示す。
【図5】施療子の他の実施例を示す側面図である。
【図6】同施療子を用いて腰部をマッサージする様子を示す。
【図7】同施療子の異なる配置を示す。
【図8】マッサージ手段としてエアバッグとソレノイドを組み合わせた例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0026】
20 座部
30 背凭れ部
50 アームレスト
51 凹部
53 エアバッグ(押圧手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の腰掛ける座部と、該座部の後端側に配置され被施療者の背中が当たる背凭れ部と、座部の左右両側より立設され被施療者の前腕を置くアームレストとを具え、アームレストの上面に下方に向かって被施療者の手指が挿入できる凹部を形成し、該凹部の内壁面に、凹部に挿入した手指を前後方向より押圧する押圧手段を配設してなる椅子式マッサージ機。
【請求項2】
前記押圧手段は、膨張・収縮するエアバッグから構成した請求項1に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項3】
前記凹部は、アームレストを左右に横切るように形成し、該凹部の内壁面の前後少なくとも一方に、エアバッグを配設した請求項2に記載の椅子式マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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