説明

植物性及び動物性脂肪廃棄物からの燃料取得方法及びその方法を実行するためのプラント

本発明は、脂肪及び/若しくは油に加えて、遊離脂肪酸を含む植物性及び/若しくは動物性脂肪廃棄物から燃料を得るための方法に関する。本発明は、脂肪廃棄物に含まれる遊離脂肪酸が、220℃より高い反応温度で、少なくとも一種類の多価アルコールと、酵素及び固体中性触媒なしに反応し、遊離脂肪酸のエステル化を達成するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物性脂肪及び動物性脂肪に基づく脂肪廃棄物から燃料を取得するための方法及びそこから生じる燃料及びその使用に関する。
【0002】
さらに、本願発明は、本願発明に係る方法を実行するためのプラントに関する。
【背景技術】
【0003】
脂肪及び油は、多少のビスコースを含む化学的に高い脂肪酸を有するグリセロールエステルからなる植物又は動物の本体からの固体、半固体又は液体の生成物の総称である。そのため、脂肪及び油は、いわゆる種々の脂肪酸、特により高い脂肪酸を有するグリセロールのエステル化合物であるトリグリセリドである。一般的に、それらの脂肪酸は、分子内に12以上の炭素原子を含むより高い脂肪酸と言われている。通常のトリグリセリドにおいて、1つのグリセロール分子は、3つの脂肪酸分子と結合している。それぞれのトリグリセリドに含まれる脂肪酸は、大きく変化し且つ核種依存性である。植物性油及び脂肪において、不飽和及びポリ不飽和脂肪酸の分画は、これらが例えばオレイン酸又はリノール酸である場合に優位をしめるのに対して、飽和脂肪酸、主にパルミチル酸である場合は単に従属的な役目を果たすだけである。これに対して、動物性脂肪において、優勢な分画は、単不飽和脂肪酸であり、原理的におレイン酸及びステアリン酸であり、そこから植物性脂肪及び油と比較して動物性脂肪の溶解点が高くなるという結果が生じる。脂肪及び油に関するさらに詳しい説明については、例えば、非特許文献1を参照可能である。
【0004】
原則的に、脂肪及び油は、再生された生物エネルギー蓄積であるので、燃料として適切である。本願発明に係る絞り出し燃料は、要約して記載すれば、自然な形又は精製によってそこから生じた形のいずれが、大気中の酸素で経済的に燃焼することができ、利用可能な熱を放出する固体、液体又は気体状の物質である(非特許文献2、参照)。
【0005】
その結果として、脂肪及び油は、例えば内燃機関を作動させるための燃料として使用可能である。しかしながら、脂肪及び油の多くの付随する物質は、工業的使用には望まれないものである。純粋な脂肪及び油は、無味無臭である。しかしながら、比較的長い間貯蔵される間、光及び/若しくは空気に晒された場合、それらは、自動酸化及び分解、悪臭を生じさせる酵素又は酸化による破壊、短いケトン及びアルデヒドとなる結果として、悪臭を発するようになる。さらに、グリセロールの除去を有する分解工程が生じ、そこで単−及びジグリセリド且つ特に遊離脂肪酸が形成される。動物性脂肪において優れているように、食事の摂取量の結果として、重金属が、大変低い濃度で存在し、それが触媒作用として脂肪及び油の分解を促進する。脂肪及び油の上述した望まれない付随的な物質、特に遊離脂肪酸は、特に植物性又は動物性に由来する脂肪廃棄物に見いだされる。
【0006】
脂肪及び/若しくは油が燃焼し且つエンジン源の燃料として使用される場合、上述した破壊及び分解生成物が結合において燃焼するが、それらは、排気ガスにおける不都合な効果を有し、特に、内燃機関について腐食作用を行う。特に、高い脂肪酸含有量は、内燃機関の高い腐食摩耗を生じる原因となる。
【0007】
この結果として、特に脂肪廃棄物の形の植物性及び動物性脂肪及び/若しくは油は、内燃機関に使用させる前に適当な処理をされなければならない。
【0008】
エンジン工程、特にそれらを内燃機関で燃焼させるためには、脂肪を処理するための複数の工程が存在する。破壊された生成物として存在する粘質物及びそこに存在する少量の重金属は、酸水溶液で洗浄されることによって除去されるが、腐食性遊離脂肪酸はこの方法によっては除去されない。これらはむしろ、例えば水酸化ナトリウム溶液のようなアルカリ溶液で洗浄されることによって除去される。このような工程は、アルカリ処理薬剤の高い消費の結果として非経済的であり且つ利益に薄いものである。
【0009】
脂肪及び油の酸性度を減少させるために、さらに、上記による蒸留によって(Lurgi)又は選択された抽出剤によって(例えば、イソプロパノール/ヘキサン又は基礎抽出剤、特許文献1参照)によって分離される可能性がある。
【0010】
特許文献2は、脱酸された脂肪及び油を製造する工程を記載する。そこで、60までの酸価を有する人為的なトリグリセリドが、リパーゼが存在する低い脂肪族アルコールで、0.5〜10の範囲内の酸価を有するプレエステル化された生成物が結果として生じ、反応生成物が、水又は未反応のアルコールの除去の後、低い脂肪酸アルコールが繰り返し付加されることで、再エステル化に向かうように処理され、その再エステル化の過程で、開始材料の酸価は、0.1〜0.5の範囲内の値まで減少する。この工程は複雑であり、プレエステル化及び再エステル化の2度のエステル化が実行されるので、大きな工業的規模が必要となるため、不経済である。さらに、この工程は、リバーゼの形の酵素触媒を使用することが要求されるので、工業的状態下で脱酸された脂肪及び/若しくは油を比較的長期で貯蔵する場合には、それらが、脂肪及び油の要求されない破壊且つ/又は要求されない分解を生じるという不具合を有する。
【0011】
さらに、特許文献3は、タワー装置の触媒エステル化反応によって遊離脂肪酸を含有する賛成の植物性又は動物性脂肪から寝量を製造する工程を記載し、そこで酸性脂肪に含まれる遊離脂肪酸は、高温で且つ固定層の反応システム内に存在する中性金属触媒の存在において多価アルコールを有する真空下で、エステル化され、さらに酸性脂肪が、上部から底までの反応システムにおいて、アルコールに逆流して、真空の作用下で処理され、水が前記反応システムの上部部分から取り出されるものである。そこに記載された工程は、いくつかの不利益点を有する。第1に、その工程は、金属触媒の使用が必ず要求される。この金属触媒は、固定層に存在するが、ある量の金属触媒は、常に処理された脂肪に排出され、処理された脂肪の燃焼前に酸洗浄によって必ず排除されなければならない。さらに、触媒活性は、触媒表面に堆積する反応副産物としての粘質物形成物により急速に消耗するので、これらは頻繁に再生し又は交換しなければならない。さらに、特許文献3に記載された工程は、一方で酸性脂肪が、他方でエステル化アルコールが逆流によって処理されるので、複雑なタワー装置及び複雑な工程作業を要求する。
【特許文献1】DE 199 18 097 A1
【特許文献2】DE 199 56 599 A1
【特許文献3】DE 101 55 241 C1
【非特許文献1】ロンプ レクシコン ケミエ 第10編、第2巻、1997年、ゲオルクシーメ出版 シュタットガルト/ニューヨーク 1320頁〜1322頁、キーワード「脂肪及び油」
【非特許文献2】ロンプ レクシコン ケミエ 第1巻、1996年、 513頁〜514頁、キーワード「燃料」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そのため、本願発明の目的は、燃料が、脂肪及び/若しくは油に加えて、遊離脂肪酸を有する植物性及び/若しくは動物性脂肪廃棄物から得られ工程又はプラントを有する工程及び対応するプラント、及び/若しくは遊離脂肪酸が、植物性且つ/又は動物性脂肪及び/若しくは油、特に脂肪廃棄物から分離され又は反応される工程又はプラントを提供することにある。
【0013】
本出願人は、酸性脂肪及び油の場合、特に遊離脂肪酸を含む植物性及び/若しくは動物性脂肪廃棄物の場合、遊離脂肪酸が、酵素及び固体中性触媒なしに、特に金属触媒なしに、エステル化反応において、対応するエステルを与える多価アルコールと反応すること、220℃以上の反応温度が選択されることを見いだした。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本願発明は、請求項1による工程及び請求項24記載のプラントを提案する。さらに、本願発明に係る工程及び本願発明に係るプラントの利益的な具体例は、それぞれの従属請求項の主題である。
【0015】
本願発明の第1の様相は、脂肪及び/若しくは油に加えて遊離脂肪酸を含む植物性及び/若しくは動物性脂肪廃棄物から始まる燃料を得るための工程であり、それによって脂肪廃棄部に含まれる前記遊離脂肪酸は、遊離脂肪酸のエステル化が実行される方法において、酵素及び固体中性触媒なしに、少なくとも1種類の多価アルコールで、220℃より大きい(Treaction>220℃)反応温度で反応されるものである。
【0016】
本願発明に係る工程の重要な特徴は、反応温度が220℃より大きく選択されることであり(Treaction>220℃、220℃の下限は、含まれない)、これらの条件下で、遊離脂肪酸の少なくとも実質的に完全な反応又は対応するエステルに対する遊離脂肪酸の少なくとも実質的に完全なエステル化が実行され、これが適切な触媒なしに、且つこのように処理された脂肪及び油の十分な分解又は変性が起こることなしに、達成されることである。
【0017】
原則的に、植物及び/若しくは動物から生じる脂肪廃棄物は、本願発明に係る工程に従って使用される。この場合、圧搾された脂肪廃棄物が本願発明によって使用される。簡単に言えば、脂肪及び/若しくは油に基づく廃棄物の総称である。これらは、例えば動物性脂肪、古い脂肪、皮下脂肪、工業的残余脂肪、オイル分離器からの脂肪、汚水処理プラントからの脂肪、なめし革工場からの脂肪及び酸性植物性脂肪及び油を含む。例えば、家畜脂肪に基づく廃棄脂肪、特に豚の脂肪、牛の獣脂、羊の獣脂、馬の脂肪又はガチョウ及び鶏の脂肪、さらに酸性魚油に基づく廃棄脂肪が使用可能である。
【0018】
本願発明によって使用される酸性脂肪及び油は、例えば、排水の導入以前に遮断される低密度物質と関連するドイツ水質管理条例(WHG)によって義務づけられる食品加工会社によって使用される特別なモニタリングを要求されない脂肪廃棄物であり、遊離脂肪酸の高い含有量を有する他の動物性及び植物性脂肪及び油である。
【0019】
脂肪廃棄物に基づいて5〜80重量%、特に10〜75重量%、好ましくは25〜75重量%の遊離脂肪酸の該流量を有する脂肪廃棄物が使用することが好ましい。これは、10〜160の範囲内、特には20〜150の範囲内、好ましくは50〜150の範囲内の酸価を有する脂肪廃棄物に対応する。ここで、酸価(AV)はそれぞれの試料又は脂肪廃棄物の1gを中和するのに要求される水酸化カリウム(KOH)のmg数を与えるもので、脂肪及び油の中の遊離有機酸の含有量を測定するために使用されるものである(ロンプ レクシコン ケミエ、loc.cit.,第5巻、1998年、3903頁、キーワード「酸価」及びDIN 標準63169;1991−03及びそこで参照される53402;1990−09)。
【0020】
本発明による方法において、25重量%の遊離脂肪酸を含有する脂肪廃棄物が使用される。これは、少なくとも50の酸価を有する脂肪廃棄物に対応する。原則的に、遊離脂肪酸の低い含有量を有する脂肪廃棄物も、使用可能である。しかしながら、遊離脂肪酸含有量が25重量%より小さい場合、特に無機水酸化物の形の基礎スタータ触媒を加えることが望ましいが、この基準は任意のものであり、本願発明によれば少ないとも言える。
【0021】
上述したように、本発明による方法の利点は、酵素及び固体中性触媒なしに、反応が実行されることが考えられることである。特に、処理される脂肪廃棄物に噴射され、且つ排除される金属触媒が使用されることがない。一般的に、本願発明による方法は、触媒無しに達成されるもので、言い換えると触媒無しに実行されるものである。
【0022】
驚くべきことに、本発明の方法は、触媒を省略したにもかかわらず、対応する脂肪酸エステルを得るために、少なくとも実質的に完全な脂肪廃棄物に含まれる遊離脂肪酸の反応を導くものである。
【0023】
相対的に高い反応温度が、最終的に得られる中和された脂肪及び/若しくは油の量に、逆に影響しないこと、特に十分な範囲で、熱分解生成物を生じないことは驚くべきことである。
【0024】
本願発明による方法に関連して、前記多価アルコールは、少なくとも二価アルコールであり、特に少なくとも三価アルコールであり、言い換えると二価から四価アルコールであることが好ましい。前記多価アルコールは、エチレングリコールのようなジオール、グリセロールのようなトリオール、ペンタエリトリオール及びペンチトールの群から選択され、特にエチレングリコール及び/若しくはグリセロールの群から選択されることが望ましい。異なる多価アルコールの混合物も、本発明において考慮することができる。
【0025】
本発明による方法において、前記多価アルコールは、グリセロールであることが望ましい。これは、複数の利点に結合する。第1に、三価アルコールとしてのグリセロールは、多くの量の心房さんと結合することができ、これによって最適な質量終止を達成する。第2に、グリセロールは、脂肪酸が処理されるべき脂肪廃棄物の主要な質量に化学的に等しいトリグリセリドに変換されるという利点を有する。しかしながら、トリグリセリドに加えて、モノグリセリド及びジグリセリドも形成されるので、一般的に異なるグリセロールエステル、特にモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドの混合物が形成される。ここで、一般的にトリグリセリドが主な構成要素を形成する。
【0026】
グリセロールは、付加的に、工業的形成において、相対的に安価に利用できるという利点を有する。工業的グリセロールは、相対的に高い水性留分を有するが、これは、問題なく反応前に、例えば反応されるべき混合物から反応前に水を蒸発又は抜くことによって、排除される。しかしながら、工業的グリセロールを使用する場合には、これが実質的にメタノール及び/若しくはエタノールから遊離され、反応されるべき遊離脂肪酸のメタノール及び/若しくはエタノールとのエステル化反応と競合することを防止することに注意しなければならない。
【0027】
一般的に、遊離脂肪酸の反応は、脂肪廃棄物に含まれる遊離脂肪酸に基づく多価アルコールの超過物で実行される。特に、この方法は、脂肪廃棄物に含まれる遊離脂肪酸に対する多価アルコールの5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%、特に好ましくは15〜20重量%の超過分で実行される。前記多価アルコールの超過分の数字は、使用される多価アルコールの合計質量に関する。この目的のために、反応前に処理されるべき脂肪廃棄物の遊離脂肪酸含有量を測定し、使用されるべき超過分を決定することができることに利点がある。加工経済の理由から、超過非反応多価アルコールは、再び分離され、反応の後に再生され、さらに再利用される。反応後の超過多価アルコール、特にグリセロールの分離は、反応混合物が冷却された後、二相混合物が結果として生じる(多価アルコール、特にグリセロールが、脂肪及び油と混合することができない)ので、相対的に問題が生じない。そのため、非反応多価アルコールは、容易に分離される。この方法において分離された超過非反応多価アルコールは、次の反応処理にフィードバックされる。
【0028】
上述したように、反応又はエステル化反応は、一般的に220℃(下限は含まない)より高く270℃まで、特に225℃から265℃まで、好ましくは225℃から250℃まで、特に好ましくは230℃から240℃までの範囲内の反応温度Treactionで実行される。前記反応は、使用される多価アルコールの沸点より低い温度で実行されることに注意しなければならない。
【0029】
一般的に、前記反応は、反応混合物を撹拌するための対応する撹拌装置を備えた撹拌反応器において実行される。前記撹拌装置に加えて、前記撹拌反応器が、少なくとも1つの噴霧、言い換えると反応混合物の霧状化又は微細分散のためのノズルを有する場合、ノズルを使用することによって、反応混合物は、反応の間、連続して噴霧、特に霧状化及び/若しくは微細に分散されるという利点を有する。その結果として、前記反応は促進される。定義された理論に結びつけることは難しいが、この方法において、促進された反応は、反応表面領域の拡大によって説明されるかもしれない。例えば、前記ノズルは、反応混合物に漬すという方法において配置され、撹拌反応器の低い部分に位置する線を介して、噴霧を目的として、反応混合物の一部が連続して反応混合物に沈められたノズルヘッドに導かれ且つ供給される。言い換えると、反応混合物は、反応の間、対応する撹拌装置又は撹拌具で撹拌されて混合され、さらに付加的に存在するノズル(「エステル化ノズル」)によって噴霧され、すなわち霧状化され又は微細に分散される。
【0030】
一般的に、前記反応は、いわゆるチャージ的に、又はバッチ的に不連続に実行される。
【0031】
反応の完了及び/若しくは促進に関して、反応において形成される反応水が連続した排水される特に利点がある。これは、作業が水の沸点以上の温度で実行されることから、形成された反応水の連続的な蒸発又は排水によって実行される。この目的のために、少し減少した圧力が、特に100mbarから300mbar、特に150〜250mbarの範囲で付加される。
【0032】
一般的に、前記反応は、全体的に大気圧で又は減圧した圧力で、特に100mbarから300mbarの範囲内、特に150〜250mbarの範囲内の減圧された圧力で実行される。
【0033】
一般的に、前記反応は、特にその時間にわたって、対応するエステルに対する脂肪酸の反応が、少なくとも95%、特には少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%、特に好ましくは少なくとも99%(変換度)まで進むような方法において達成される。
【0034】
この場合、一般的に前記反応は、特にその時間にわたって、反応後の遊離脂肪酸の含有量が、反応後に得られる生成混合物(いわゆる中和された脂肪及び/若しくは油)に基づいて、約2重量%、特に約1重量%、好ましくは0.5重量%、特に好ましくは約0.1重量%、さらに好ましくは0.05重量%であるという方法において達成される。一般的に反応後に得られる反応混合物は、約4、特には約2、好ましくは約1、特に好ましくは約0.2、さらに好ましくは約0.1の酸価を有するものである。
【0035】
一般的に、そのような反応は、0.1〜5時間、特には0.5〜4時間、好ましくは0.75〜1.5時間の間で実行される。
【0036】
中和され又はエステル交換された前記脂肪廃棄物は、一般的に、多価アルコールとの実際の反応前に、物理的処理が施される。物理的処理は、特に、例えばデカントによる脂肪廃棄物に含まれる水の(物理的)分離を具備し、残りの水が、脂肪廃棄物に基づいて0.5重量%以下の含有量に設定される。同様に、物理的処理は、好ましくは篩にかけること及び/若しくは濾過することによる固体の機械的分離を具備し、その脂肪廃棄物は、脂肪廃棄物に基づいて0.1重量%以下の残余固体含有量に設定される。実際の反応の上流側の物理的処理に関連して、脂肪廃棄物は、第1に超過水から遊離され、第2に固体及び沈殿物から遊離される。この方法において処理された脂肪廃棄物は(それらが多価アルコールと反応する前に)、その後の反応に対して十分な量がバッファタンクに集められるまで、一時的にバッファタンクに貯蔵される。
【0037】
反応の完了後、反応生成物は、冷却の後、物理的後処理(次処理)が施される。前記後処理(次処理)は、一般的に、反応における反応生成物において形成される固体、特に特に、脂肪及び油の変性による粘質物の物理的分離を具備する。固体、特に粘質物は、好ましくは濾過(「精製濾過」)によって、特にフィルタ補助を使用して分離される(例えば、セルロース、シリカゲル、珪藻土、パーライト、木炭又は木屑)。さらに、後処理(次処理)は、特に相分離による反応生成物に存在する超過非反応多価アルコールの分離を具備する(多価アルコールは、一般的に脂肪及び/若しくは油の生成混合物に混合しない)。上述したように、超過非反応多価アルコールは、結果として再利用されることに利点がある。
【0038】
本発明による方法の後に得られる反応生成物(例えば、脂肪酸から遊離された中和され精製された脂肪及び/若しくは油混合物)は、バッファタンクにおける中間貯蔵の後、熱機関、特に内燃機関に燃料として供給される。そして、それらは、例えば船等のある種の乗り物の推進力として、また電力を得るための発電所に供給され働く。
【0039】
それ故に、本発明の方法は、特に脂肪廃棄物である酸性の脂肪酸含有開始脂肪混合物から中性化された脂肪及び/若しくは油混合物の十分な生成物、さらにはバイオ燃料を可能にする。本発明による方法は、触媒無しに、達成されるので、第1に安価に作業でき、且つ触媒を用いる方法よりもあまり複雑でない工程において作業でき、第2に最終工程まで触媒を持ち越すというリスクを排除できるという効果を有する。
【0040】
特に、開始原材料として、少なくとも25重量%の遊離脂肪酸含有量、又は少なくとも50の酸価を有する酸性の脂肪及び/若しくは油混合物を使用するとき、且つ/又は前記方法が、遊離脂肪酸に関する多価アルコールの超過分を使用して実行されるとき、この場合、反応が特に短い時間で、且つ良好は変換率で実施されるので、良好な結果物を得ることができる。
【0041】
さらに、本発明は、本発明の第2の様相によれば、酸性(いわゆる遊離脂肪酸含有物から始まる)植物性及び/若しくは動物性脂肪廃棄物から得られる中性化された脂肪及び/若しくはオイル、又は植物性及び/若しくは動物性脂肪に基づく燃料に関する。本発明に係る方法によって得られる中性化された脂肪及び/若しくは油又は燃料は、それらの全重量に対して、約2重量%、特には約1重量%、好ましくは0.5重量%、特に好ましくは0.1重量%、さらに好ましくは0.05重量%の遊離脂肪酸の低い含有量によって特徴づけられ、さらには、約2の酸価、好ましく約1の酸価、特に好ましくは約0.2の酸価、さらに好ましくは約0.1の酸価に対応することによって特徴づけられる。本発明に係る方法によって得ることができる生成物は、グリセロールが、多価アルコール、一般的にモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリド脂肪及び/若しくは油の混合物として使用されるときに、主としてトリグリセリドによって構成される。
【0042】
さらに、本発明は、本発明の第3の様相によれば、熱機関、特に内燃機関を作動させるために、又は発電所を操作するために、又は発電及び/若しく熱の発生にために、本発明による方法によって得られる中性化された脂肪及び/若しくは油又は(バイオ)燃料に関する。
【0043】
最後に、本発明は、本願発明の第4の様相によれば、本発明に係る上述した方法を実行するためのプラントに関し、そのプラントが、実行される連続した方法ステップを行い、それぞれが連続して接続される下記するユニットからなるプラントに関する:
a) 脂肪及び/若しくは油に加えて、遊離脂肪酸且つ水及び固体の留分を有する植物性及び/若しくは動物性脂肪廃棄物の物理的処理を行うための処理ユニット(処理ユニットは、水の物理的分離のための装置、特にデカントを行う装置、及び/若しくは固体を分離する装置、特に篩及び/若しくはフィルタ装置を具備する);
b) 前記処理ユニットの下流側の製造ラインにあり、処理ユニットから生じた物理的に処理された脂肪廃棄物を受容し及び/若しくは中間貯蔵するためのバッファタンク;
c) 前記処理ユニット又は前記バッファタンクの下流側の製造ラインにあり、前記処理ユニット又は前記バッファタンクから供給される物理処理された脂肪廃棄物のエステル化反応を実行するための反応混合物を撹拌する撹拌具を有する撹拌反応器の形の反応器ユニット(反応器ユニットは、加熱媒体を介して加熱されるように構成され、この反応器ユニットには、貯蔵タンクからのエステル化アルコール及び処理ユニット若しくはバッファタンクからの物理処理された脂肪廃棄物が供給原材料として供給される);
d) 反応器ユニットの下流側の製造ラインにあり、受容及び/若しくは中間貯蔵のための、特に冷却のための中間タンクであって、反応器ユニットからの生じる半加工の生成混合物のための中間タンク(中間タンクは、前記熱媒体、特に熱交換器と結合され、熱を取り除いて反応器ユニットにそれを循環させるもの)。
【0044】
さらに、本発明に係るプラントは、
e) 前記反応器ユニット及び/若しくは中間タンクの下流側の製造ラインにあり、反応器ユニット及び/若しくは中間タンクから生じる半加工の生成混合物の物理的後処理(次処理)を行う後処理(次処理)ユニットを具備する(後処理ユニットは、特に反応において形成された固体、特に粘質物の物理的分離を行うための装置、好ましくは濾過装置、及び/若しくは水の物理的分離のための装置、特にデカントする装置及び/若しくは遠心分離装置を具備する)。
【0045】
さらに、本発明に係るプラントは;
f) 後処理(次処理)ユニットの下流側の製造ラインにあり、後処理ユニットから生じた後処理され、特に精製された生成混合物を受容及び/若しくは中間貯蔵するためのタンクを具備する(タンクは、その下方部分で、特にタンクの足部付近で、タンクの足部に据えられた非反応エステル化アルコールを取り出し、それを再利用するために貯蔵タンクに戻すためのラインを具備する)。
【0046】
映像ラインに沿って直列に接続されるそれぞれのユニット、タンク、容器等は、お互いラインによって接続されている。この場合、それぞれのラインは、お互いに独立して遮断可能なように、及び/若しくはお互いに独立して制御可能なように構成されている。
【0047】
本発明に係るプラントの反応器ユニットは、反応混合物の噴霧及び/若しくは微細分散のためのノズルを有することが望ましい。この場合、ノズルは、反応器ユニットの作動状況において、反応器ユニットの下方部分に、特に反応器ユニットの足部に据えられるライン(「ループ」)を介して、反応混合物に浸かるように配され、反応混合物が取り出され、ノズルに供給される。
【0048】
本発明の実施例によれば、本発明に係るプラントは、発電所、特に火力発電所(BHKW)に一体に構成され、又はその構成要素である。この例において、本発明に係るプラントの下流側は、少なくとも1つの熱機関、特に少なくとも1つの内燃機関に接続され、これらは特に本発明によるプラントにおいて処理された脂肪廃棄物の燃料によって生じる電力及び/若しくは熱について下流側に接続される。
【0049】
本発明に係るプラントのさらなる詳細な説明は、本発明の方法においてなされたそれぞれの詳細な説明において、本発明のプラントに関して必要な変更を加えて提供されるものである。
【0050】
本発明に関するさらなる利点、特徴、特質及び様相は、以下の図面を参照した好ましい実施例の説明から生じるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
1で、脂肪/油の原材料(脂肪廃棄物)、水及び沈殿物が処理される。処理される脂肪廃棄物は、ドイツ水質管理条例(WHG)によって義務づけられた食品加工会社からの使用に関する特別なモニタリングを要求されない廃棄物であり、水又は上述した遊離脂肪酸の高い含有量を有する動物性及び植物性の脂肪に基づく廃棄物を導入する前に、上流側に軽材料分離器を設けるものである。遊離脂肪酸の含有量が高ければ高いほど腐食性が高くなり、バーナだけでなく内燃機関を短い間で破壊する可能性があることから、これらの脂肪酸は、これらの脂肪及び油を例えばブロック型の火力発電所(BHKW)において電力に変換することを不可能にする。
【0052】
機械的且つ物理的処理1において、搬送される原材料又は脂肪廃棄物は、最初に水が、次に沈殿物が排除される。この場合の残留水含有量は、原材料に対して0.5重量%より小さい値が設定されることが望ましく、且つ残留固体含有量又は残留沈殿物含有量は、それぞれの場合で、原材料に基づいて、50μmの粒径カットで0.1重量%より小さい値が設定されることが望ましい。これらは、下流側の化学的処理又は反応のために最適な初期状態である。
【0053】
水及び固体又は沈殿物から物理的処置1において精製された脂肪廃棄物は、バッファタンク2に一時的に蓄積され、そこからそれらは、それらの遊離脂肪酸のエステル化のために、蓄積タンク4から生じる多価アルコール、好ましくはグリセロールと共に化学処理プラント又は反応器3に供給される。化学的処理プラント(反応器)3において、原材料脂肪及び油において含まれ、一般的に脂肪廃棄物に基づいて25重量%より大きい脂肪酸含有量を有する遊離脂肪酸が、酵素及び固体中性触媒なしに、本願発明に係る方法において、化学式通りの理論超過分において、220度より高い反応温度で、アルコール又はグリセロールと反応し、対応するグリセロールエステルに変換される。そこで、モノグリセリド、ジグリセリドは副産物として形成される。この方法において生じる遊離脂肪酸の含有量の減少又は排除の利点は、大量の遊離脂肪酸を有する原材料は、アルカリ洗浄による遊離脂肪酸を排除する従来技術の方法と比較して、質量損失なしに処理される。前記反応器3には、対応する熱媒体5を介して対応する反応温度がもたらされる。この具体例において、反応器3において、撹拌装置に加えて、少なくとも1つのノズル(「エステル化ノズル」)6が、反応混合物のスプレー、特に噴霧又は微細分散のために存在する。前記ノズル6に供給されスプレーされる反応混合物は、反応器3の下方部分、特に反応器3の脚部のライン又はラインループを介して取り出される。
【0054】
エステル化反応が終わった後、生成物は、冷却を目的としてタンク7に供給される。そこで、冷却で取り出された熱は、熱媒体又は熱交換器8を介してエステル化にフィードバックされる。冷却された生成物は、符号9にある精製フィルタによって、一般的にフィルタ部材(例えば、パーライト)を使用して粘質物から分離される。そこで、結果として生じるプレスケーキは、例えば水密容器において、適当な廃棄まで一時的に貯蔵される。この方法において精製された生成物、例えば中和化され、精製された脂肪及び/若しくは油は、燃料タンク10内に、例えば二重壁加熱配管システムを介して移動され、そこから発電機の重油に最適である内燃機関に送られる。
【0055】
本発明のさらなる具体例、改良例及び変形例は、本発明の内容から外れることなしに記載された内容を読み込むことで、当業者には問題なく認識及び達成される。
【0056】
しかしながら、本発明は、本発明に関して制限するいかなる方法もない典型的な具体例を参照することでさらに詳細に記載される。
【実施例】
【0057】
図1に概略的に示された図面に対応する本発明の方法は、ブロック型火力発電所(BHKW)を操作することに関する最適な実施例において用いられる。
【0058】
以下で記載される発明に係るプラントは、少なくとも20MWの燃焼熱出力を有するブロック型発電所であり、このブロック型発電所において、処理された動物性及び/若しくは植物性脂肪に基づくバイオ燃料が、再生エネルギー(EEG)の促進のドイツ条例又はバイオマスの規制(BiomaseV)にしたがった電力及び熱の発生に使用される。
【0059】
ポンプでくみ上げ可能な酸性脂肪廃棄物、特に平均して20重量%の酸性脂肪及び/若しくは油、75重量%の水及び5重量%の沈殿物を含む脂肪セパレータ含有物が、例えば閉鎖吸引トラックから閉鎖システムにおいて受容される。気密ラインを吸引トラックに接続した後、これは、約1barの通常圧力で、ポンプ可能な脂肪セパレータ含有物を積極的にマニフォールドに押し込み、マニフォールドの後で、粗い材料の分離が、10mmのメッシュ幅を有する篩において実行される。そこで、篩圧が測定される。篩のブロックが、2つの異なる圧力測定且つ降下する流量の測定によって指摘される。この粗篩は、就業日の基本作業として手動により行われ、分離された粗物質は、管理された利用に供給される。分離された粗物質の貯蔵は、しっかりと閉鎖された蓋付きコンテナにおいて実行される。
【0060】
粗篩の下流では、脂肪セパレータ含有物は、バランス又は真空容器に送られる。ここで、そのレベルが測定される。そこから、半加工物質は、スクリューポンプによって均質化され、前記搬送された脂肪セパレータ含有物が加工されるまで、一時的に貯蔵されるタンクガーデンに送られる。前記タンクガーデンは、それぞれ400mの使用容積を有する2つの常備タンクからなり、2つのタンクは、発電所の熱回路を使用して、35℃の温度に加熱される。前記タンクは、受容領域を介して交互に充填される。タンク内包物の加熱及び連続した混合は、熱交換器を使用して実行される。半加工物質は、前記タンクの底部から排出され、熱交換器を介して通過し、前記タンクの上部に戻される。
【0061】
加熱された脂肪/水混合物は、その後、タンクから加熱された配管システムを介して物理的処理に送られる。前記物理的処理は、三相デカンタと分離器とによって構成される。前記脂肪は、前記タンクガーデンから加熱された配管システムを介して前記デカンタに直接送られる。前記脂肪/水混合物は、BHKWの加熱回路を介して、80℃の温度に加熱される。デカンタで分離された水は、廃水処理に送られ、分離された沈殿物は、圧縮スクリューによって排出され、適当な廃棄まで水密コンテナ内に一時的に貯蔵される。得られた脂肪は、さらに発電所の加熱回路によって95℃まで加熱される。ここで分離された水相は、再び廃水処理に送られ、沈殿物は、一時的に適当な廃棄まで、水密コンテナ内に貯蔵される。沈殿物を貯蔵するコンテナは、積極的なガス抜きを有し、排気は、対応するバイオフィルタを介して純化され、悪臭の放出をできる限り防止するものである。
【0062】
物理的処理において得られた脂肪は、50m3の容積を有するバッファタンクに、次の化学的処理まで、一時的に貯蔵される。
【0063】
前記脂肪の化学的処理は、バッチ形式で実行される。4において、この燃料(モノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドの混合物及びグリセロールエステル混合物)生成物60tが、24時間でバッチ(充填)される。この脂肪は、物理的処理のバッファタンク2から配管システムを介して反応器3に送られ、発電所の高温回路を使用して約220℃、特には約230℃から245℃に加熱されるものである。貯蔵タンクからの工業グリセロールの付加で、脂肪廃棄物に含まれる遊離脂肪酸は、触媒なしに、再エステル化される。この再エステル化は、1時間半の時間内で、大気圧で実行される。前記反応器は、反応混合物を混合させる撹拌具と、反応混合物をスプレーするために反応混合物に浸かっている1又は複数の付加的なエステル化ノズルとを有する撹拌反応器である。
【0064】
バッチ作業が終了した後、その生成物は、フィルタ補助具を使用した精製濾過に関連して、室圧搾濾過器によって、粘着質から遊離される。プレスケーキは、適当な廃棄まで、水密コンテナに一時的に貯蔵される。純化された生成物は、二重壁加熱配管システムを介して燃料タンクに送られる。
【0065】
前記処理の下流側には、遊離脂肪酸から分離された結果として生じた脂肪及び/若しくは油混合物に基づいて得られる燃料が、燃焼まで一時的に貯蔵される。燃料貯蔵は、それぞれ400mの容積を有する2つのタンクからなるタンクガーデンとして実行される。タンクは、単一壁を有する構造であり、真空底、レベル調整器及び漏れインジケータを備えている。さらに、それらは、衝突防護として高い縁部によって安全ガードされている。
【0066】
BHKWの内燃機関は、上述されたようにして得られる燃料で排他的に操作される。この燃料は、30℃より低い温度で結晶化する特性を有する。そのため、発電所の通常操作では、燃料貯蔵及び燃料ラインは、発電所の加熱回路によって加熱され、燃料の最適な粘度を維持するものである。もし発電所がシャットダウンした場合、ライン及び機械に燃料が残らず、そこで固まらないことを確保しなければならない。このため、従来のディーゼルは、発電機の開始及び停止のための燃料として使用される。
【0067】
発電所の内燃機関は、それぞれが3.257MWの電力を供給する2つのディーゼル機関である。機関は、過給及び過給空気冷却を有する9シリンダ/4ストロークのインラインエンジンである。それらは、もともと船の推進力用に設計されたもので、本発明によって製造されたバイオ燃料で動作するために備えられたものである。それぞれのエンジンは、交流同期発電機に連結されている。発生した電力は、10KVのスイッチングシステムを介して10KVの電力供給グリッドに供給される。
【0068】
それぞれのモータ発電機ユニットの下流側は、結果として生じた煙道ガスを純化するためのNOx減少ユニットに接続される。
【0069】
排気ガス導管において、ディーゼル機関の熱い燃焼ガスは、高温回路と呼ばれるもののために、250℃まで熱油を加熱するために用いられる。
【0070】
前記発電所は、長時間操業で電力を発生させるように設計されている。操業時間の間、充填された燃料の化学エネルギーは、燃焼によって熱エネルギーに変換される。2つの機関は、8.6MWの熱出力を送出する。この熱エネルギーは、排気ガス導管への熱い排気ガスを介して供給される。熱のほとんどは、上述したように、キャリヤ媒体としての熱オイルによって受けられる。
【0071】
燃料処理の間に生じる廃水は、脂肪分離器、貯水タンク及び浮力装置を具備する水処理プラントにおいて純化される。水処理プラントは、分離ユニットによる前処理の後、乳化された炭化水素及び重金属の残留分離物をもたらす。廃水の浄化によって、pH、炭化水素、親油性物質及び重金属に関する閾値の維持が、確保される。COD及びBOD値は、大きい範囲で減少される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本願発明に係る簡略化された一連の方法及び本願発明に係るプラントの簡略化された構造を示した概略図である。
【符号の説明】
【0073】
1 処理ユニット
2 バッファタンク
3 反応器ユニット
4 貯蔵タンク
5 熱交換媒体
6 ノズル
7 中間タンク
8 熱交換器
9 後処理ユニット
10 燃料タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪及び/若しくは油に加えて、遊離脂肪酸を含む植物性及び/若しくは動物性脂肪廃棄物から開始して燃料を獲るための方法において、
脂肪廃棄物に含まれる遊離脂肪酸は、少なくとも1つの多価アルコールと、酵素及び固体中性触媒なしに、遊離脂肪酸のエステル化を実行するように、220℃より高い反応温度(Treaction>220℃)で、反応されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記脂肪廃棄物に基づいて、5〜80重量%、特には10〜75重量%、好ましくは25〜75重量%の遊離脂肪酸含有量を有する脂肪廃棄物が使用されること、且つ/又は、10〜160、特には20〜150、好ましくは50〜150の酸価を有する脂肪廃棄物が使用されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記脂肪廃棄物に基づいて、少なくとも25重量%の遊離脂肪酸含有量を有する脂肪廃棄物が使用されること、且つ/又は、少なくとも50の酸価を有する脂肪廃棄物が使用されることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
多価アルコールは、少なくとも二価アルコール、三価アルコールであり、二価アルコールから4価アルコールであり、エチレングリコールのようなジオール、グリセロールのようなトリオール、ペンタエリトリトール及びペンティトールの群から選択され、エチレングリコール及び/若しくはグリセロールの群から選択されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記多価アルコールは、グリセロールであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記反応は、多価アルコールの超過分、特に前記脂肪廃棄物に含まれる遊離脂肪酸に対する多価アルコールの5〜40重量%の超過分、好ましくは10〜30重量%の超過分、特に好ましくは15〜20重量%の超過分と実行され、超過した非反応多価アルコールは回収されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記反応は、220℃より大きく270℃までの範囲内、特には225℃から265℃までの範囲内、好ましくは225℃から250℃までの範囲内、特に好ましくは230℃から240℃の範囲内の反応温度Treactionで実行されること、且つ/又は、前記反応は、使用される多価アルコールの沸点より低い温度で実行されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記反応は、撹拌反応器において実行され、該撹拌反応器は、撹拌装置に加えて、反応混合物の霧状化及び/若しくは微細分散を行う少なくとも1つのノズルを有し、そのノズルによって、反応の間、前記反応混合物は、連続的に霧状化され及び/若しくは微細に分散されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記反応は、非連続的に実行されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記反応において形成される反応水は、連続的に取り出されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記反応は、大気圧若しくは減圧された圧力、特に100mbar〜300mbar、好ましくは150mbar〜250mbarの範囲内の減圧された圧力で実行されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記反応は、対応するエステルに対する脂肪酸の反応が、少なくとも95%、特には少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%、特に好ましくは少なくとも99%まで実行されるように、特にその時間まで実行されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
前記反応は、該反応後に得られる生成混合物に基づいて、反応後の遊離脂肪酸の含有量が、約2重量%、特には約1重量%、好ましくは約0.5重量%、特に好ましくは0.1重量%、さらに好ましくは0.05重量%であるように、特にその時間まで実行されること、且つ/又は、反応後に得られる生成混合物は、約4、特には約2、好ましくは約1、特に好ましくは約0.2、さらに好ましくは約0.1の酸価を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
前記反応は、0.1〜5時間、特には0.5〜4時間、好ましくは0.75〜1.5時間の間実行されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
前記反応前の脂肪廃棄物は、物理的処理に晒されると共に、該物理的処理は、好ましくはデカントにより脂肪廃棄物に基づいて残留水含有量が0.5重量%以下となるまで実行される脂肪廃棄物に含まれる水の物理的分離、且つ/又は、好ましくは篩及び/若しくは濾過により、脂肪廃棄物に基づいて残留固体含有量が0.1%以下となるまで実行される固体の機械的分離を具備することを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
前記反応後及び場合によっては冷却後の反応生成物は、物理的後処理(次処理)に晒されると共に、該後処理(次処理)は、反応の反応生成物において形成された固体、特に粘質物の、特にフィルタ部材を使用した濾過による物理的分離、且つ/又は反応生成物に含まれる超過非反応多価アルコールの分離を具備することを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
反応生成物、特に中間貯蔵後の反応生成物は、熱機関、特に内燃機関に燃料として供給されることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
請求項1〜17に記載された方法によって遊離脂肪酸を含む植物性及び/若しくは動物性脂肪廃棄物から開始して取得可能な植物性及び/若しくは動物性脂肪に基づく燃料。
【請求項19】
燃料に基づいて、約2重量%、特には約1重量%、好ましくは0.5重量%、特に好ましくは0.1重量%、さらに好ましくは0.05重量%の遊離脂肪酸の含有量によって、且つ/又は、約4、特に約2、好ましくは約1、特に好ましくは約0.2、さらに好ましくは約0.1の酸価によって特徴付けられる請求項18記載の燃料。
【請求項20】
グリセロールエステル混合物、特にモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリド脂肪及び/若しくは油からなることを特徴とする請求項18又は19に記載の燃料。
【請求項21】
熱機関、特に内燃機関を作動させるための請求項18〜20のいずれか1つに記載の燃料の使用。
【請求項22】
熱出力ユニット、特に内燃機関のための代替え燃料としての請求項18〜20のいずれか1つに記載の燃料の使用。
【請求項23】
発電所を操業するための、且つ/又は、発電機のための、且つ/又は、発熱のための請求項18〜20のいずれか1つに記載の燃料の使用。
【請求項24】
請求項1〜17のいずれか1つに記載された脂肪及び/若しくは油に加えて遊離脂肪酸を含む植物性及び/若しくは動物性脂肪及び/若しくは油から始める燃料を製造する方法を実行するためのプラントにおいて、
前記プラントは、実行される前記方法の一連のステップであり、順番に接続される下記するユニットを具備することを特徴とするプラント:
a) 脂肪及び/若しくは油に加えて、遊離脂肪酸を含む植物性及び/若しくは動物性脂肪廃棄物の物理的処理を行う処理ユニット(1)であって、該処理ユニット(1)が、水の物理的分離のための装置、特にデカント装置及び/若しくは固体を分離するための装置、特に篩及び/若しくはフィルタ装置を具備するもの;
b) 前記処理ユニット(1)の下流側の製造ラインにおいて、前記処理ユニット(1)から生じる物理的処理された思慕廃棄物を受容し及び/若しくは中間貯蔵するバッファタンク(2);
c) 前記処理ユニット(1)及び/若しくはバッファタンク(2)の下流側の製造ラインにおいて、前記処理ユニット(1)又バッファタンク(2)から供給される物理的処理された脂肪廃棄物のエステル化反応を実行するための反応器ユニット(3)であって、該反応器ユニット(3)が、熱媒体(5)を介して加熱可能なように構成され、貯蔵タンク(4)からのエステル化アルコールと、処理ユニット(1)及び/若しくはバッファタンク(2)からの物理的に処理された脂肪廃棄物が、独立した供給原料流として前記反応器ユニット(3)に供給されるもの;及び
d) 反応器ユニット(3)の下流側の製造ラインにおいて、反応器ユニット(3)から生じる半加工生成混合物を、冷却のために、受容及び/若しくは中間貯蔵する中間タンク(7)であって、該中間タンク(7)が、熱媒体(8)、特に熱交換器と連結され、熱を排除してそれを反応器ユニット(3)に再循環させるもの。
【請求項25】
前記プラントは、さらに、
e) 前記反応器ユニット(3)及び/若しくは中間タンク(7)の下流側の製造ラインにおいて、反応器ユニット(3)及び/若しくは中間タンク(7)から生じる半加工生成混合物の物理的後処理を行う後処理ユニット(9);
を具備し、
該後処理ユニット(9)は、固体、特に前記反応器ユニットにおいて形成される粘質物を物理的に分離する装置、好ましくは濾過装置、且つ/又は、水を物理的に分離する装置、好ましくはデカント装置及び/若しくは遠心分離装置を具備することを特徴とする請求項24記載のプラント。
【請求項26】
前記プラントは、さらに、
f) 前記後処理ユニット(9)の下流側の製造ラインにおいて、後処理ユニット(9)から生じる後処理され、特に精製された生成混合物の受容及び/若しくは中間貯蔵を行うタンク(10)を具備し、
該タンク(10)が、その下方部分、特にタンク(10)の脚部に、非反応エステル化アルコールを取り除き、前記貯蔵タンク(4)に再循環させるためのラインを具備することを特徴とする請求項25記載のプラント。
【請求項27】
製造ラインに直列に接続される種々のユニット、タンク、容器等(1,2,3,4,7,9)は、配管を介してお互いに接続され、それぞれのラインは、お互いに独立して遮断可能であり、且つ/又は、お互いに独立して制御可能であるように構成されることを特徴とする請求項24〜26のいずれか1つに記載のプラント。
【請求項28】
前記反応器ユニット(3)は、反応混合物の霧状化及び/若しくは微細分散のためのノズル(6)を有し、該ノズル(6)は、反応器ユニット(3)の操業状態において、該ノズル(6)は反応混合物に浸けられ、且つ/又は、反応器ユニット(3)の下方部分、特に反応器ユニット(3)の脚部に位置決めされるラインを介して、反応混合物は、取り除かれ且つノズル(6)に供給されることを特徴とする請求項24〜27のいずれか1つに記載のプラント。
【請求項29】
発電所、特にブロックタイプの火力発電所に一体に形成されることを特徴とする請求項24〜28のいずれか1つに記載のプラント。
【請求項30】
請求項24〜29に記載のプラントの下流側で、少なくとも1つの熱機関、特に少なくとも1つの内燃機関は、請求項24〜29に記載のプラントで処理される脂肪廃棄物の燃焼による電力及び/若しくは発熱のために下流側に接続される請求項29に記載のプラント。

【図1】
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【公表番号】特表2009−523866(P2009−523866A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550641(P2008−550641)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009544
【国際公開番号】WO2007/087838
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(508217618)ヴルフェニア ベタイリグングス ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】