説明

植物抽出物ならびに該抽出物の医薬品および化粧品における使用

本発明は、シサンドラ・チネンシス果実の抽出物に関する。本発明は、さらに、薬剤の製造のための該抽出物の使用および化粧品調製物の製造のための該抽出物の使用およびヒト身体の化粧処置のための該抽出物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シサンドラ・チネンシス果実の抽出物に関する。さらに本発明は、薬剤の製造のための該抽出物の使用、化粧品調製物の製造のための該抽出物の使用、ならびに、ヒト身体の化粧処置のための該抽出物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
シサンドラ・チネンシス(Schisandra chinensis)とは、詳しくは、Schisandra chinensis (Turcz.) Baillと称される植物を意味する。「Turcz.」および「Baill」は、使用した命名系を示す。
【0003】
シサンドラ・チネンシス(以下において、シサンドラと短縮することもある)は、Schisandraceae科に属する。これは、小さな明赤色の液果からなる多数の房を有する、木のような這性つる植物であり、中国北部ならびにロシアおよび韓国の隣接地域が原産である。古代中国において、シサンドラは、部族を集め、求めるための主要食物として使用されていた。伝統的な薬草として、シサンドラ(中国ではウー-ウェイ-ツーと称される)は、空咳、喘息、寝汗、夢精および慢性下痢を処置するための収斂薬として使用されている。また、これは伝統的に慢性疲労の処置のための強壮薬としても使用されている。シサンドラは、Magnolia Vine、Japanese Gomishi、Korean Omicha、およびFruit Of Five Flavoursの名称によっても知られている。一般名称であるシサンドラ(Schizandraと綴られることもある)には、シサンドラ・フルクタス(Schisandra fructus)種が含まれ、これをシサンドラ・チネンシスと交換可能に使用する。
【0004】
1980年代の初期に、中国の医師らは、シサンドラの肝臓保護作用の潜在性ならびにその活性成分の性質に基づいて、肝炎の可能性ある治療剤としてシサンドラの研究を始めた。この研究の結果として、シサンドラは、現在では、病気、ストレス、および他の衰弱過程に対する身体の抵抗力を増大させうる「強壮薬」として認められている。既知の活性成分には、セスキカレン、リグナン(シザンドリン、ゴミシン)、シザンドロール、シトラール、植物ステロール(スチグマステロール、β-シトステロール)、ならびにビタミンCおよびEが含まれる。
【0005】
アジアにおいて、この強壮特性は、「免疫防御を刺激し、身体機能の平衡を保ち、身体系を正常化し、術後の回復を促進し、放射線から保護し、糖の作用を中和し、ストレス時のエネルギーを最適化し、スタミナを増大させ、乗物酔いから保護し、血糖および血圧を正常化し、高コレステロールを低下させ、感染を遮断し、副腎の健康を改善し、RNA-DNA分子に活力を与えて細胞を再建し、若い運動選手と同等のエネルギーを生じる」と言われている。
【0006】
シサンドラの作用について行った研究により、この薬草は、低用量で刺激作用を有するが、この作用は比較的多い用量で消失することがわかった。シサンドラの肝臓保護作用の原因と考えられる化合物は、2つのフェニルプロパノイドからなるリグナンである。これらの30以上がシサンドラにおいて単離され、これらの一部である22種が、1984年に日本の科学者 H.Hikinoにより、培養ラット肝細胞においてガラクトサミンおよび四塩化炭素の細胞毒性作用を軽減する能力について試験された[Hikino H.ら(1984)、「Schisandra chinensis果実からのリグノイドの抗肝毒性作用」、Planta Medica Volume 50(3)、p.213-218]。
【0007】
ほとんどのリグナンは有効であることがわかり、その一部は極めて高活性であった(シザンドリンAおよびB、ゴミシンA、B-bisabolne)。続く日本の研究により、2つのリグナン、即ちwuweizisu CおよびゴミシンAは、四塩化炭素などの有害物質によって生じる脂質過酸化を妨げる酸化防止剤として機能することによって、その肝臓保護作用を発揮することがわかった。脂質過酸化は肝臓損傷の生成を導くので、これら2つの化合物は正に保護的作用を発揮した。
【0008】
西洋の薬草学者は、一般に、シサンドラを、肺、肝臓および腎臓を支援するものとして、およびアドレナリン作動性の極度の疲労による減退を助けるために勧める。ロシアにおいては、シサンドラを、眼の疲労を処置し、視力を高めるために使用する。
【0009】
刊行物[J.L.Hancke、R.A.BurgosおよびF.Ahumada、Fitoterapia、1999、No.70、p.451-471]は、シサンドラ・チネンシス果実およびこの植物からのジベンゾ-[a,c]-シクロオクテン リグナンの薬理学の異なる側面を開示する。抗肝毒性、酸化防止および抗腫瘍活性ならびに身体能力および中枢神経系に対する効果が開示されている。
【0010】
インターネット-データベース「Duke data base」(これは植物化学および民族植物学のデータベースである)によれば、シサンドラは以下の化合物を含有する:
リグナン、ベンゾイルイソゴミシン-O、エピゴミシン-O、アンゲロイルゴミシン-O、アンゲロイルゴミシン-P、アンゲロイルゴミシン-Q、アンゲロイルイソゴミシン-O、γ-シザンドリン、ゴミシン-A〜J、K1、L1、M1、M2、N、O、R、プレゴミシン、シサンテリン-D、チグロイルゴミシン-P、WUWEIZISU-C、タンパク質、アスコルビン酸、炭水化物、油脂(リノレン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、ステロイド、トコフェロール、繊維。
【0011】
これらの化合物に関して、以下の情報が利用可能である。
シザンドリン(schizandrin)の情報:
同義語:5,6,7,8-テトラヒドロ-1,2,3,10,11,12-ヘキサメトキシ-6,7-ジメチルジベンゾ[a,c]シクロオクテン-6-オール、9CI;8-ヒドロキシ-3,3',4,4',5,5'-ヘキサメトキシ-2,2'-シクロリグナン;Wuweizichun A;Wuweizi alcohol A;シサンドリン(Schisandrin);シサンドロール(Schisandrol)A;シザンドロール(Schizandrol)。
CAS登録番号:7432-28-2;分子式:C2432;分子量:432.513;生物学的用途/重要性:ミクロソームシトクロムP450誘導物質;抗肝毒性剤;フリーラジカル捕捉剤;RTECS受入番号:HP1626000。
RTECS受入番号は、NIOSH Registry of Toxic Effects of Chemical Substances(これは、文献から得られる毒性データを要約したものである)の毒性データの利用を可能にする。
【0012】
ゴミシン(gomisin)Aの情報:
同義語:3,3',4,5-テトラメトキシ-4',5'-メチレンジオキシ-2,2'-シクロリグナン-8-オール;Wuweizisu B;Wuweizichum B;シサンドロールB;シザンドロールB;Wuweizi alcohol B;Besigomsin;TJN。
CAS登録番号:58546-54-6;関連のCAS登録番号:61281-39-8;分子式:C2328;分子量:416.47;生物学的用途/重要性:抗新生物剤;肝保護剤;RTECS受入番号:DE8396900。
【0013】
デオキシシザンドリン(deoxyschizandrin)の情報:
同義語:3,3',4,4',5,5'-ヘキサメトキシ-2,2'-シクロリグナン;デオキシシサンドリン(Deoxyschisandrin);シザンドリン(Schizandrin)A;シサンドリン(Schisandrin)A;Wuweizisu A;ジメチルゴミシン。
CAS登録番号:61281-38-7;分子式:C2432;分子量:416.513;RTECS受入番号:HP1595000。
【0014】
ゴミシン(gomisin)Nの情報:
CAS登録番号:69176-52-9;分子式:C2328;分子量:400.471;用途/重要性:殺虫特性。
【0015】
wuweizisu Cの情報:
同義語:シサンドリン(Schisandrin)C;Schizandrin。
CAS登録番号:61301-33-5;分子式:C2224;分子量:384.428;生物学的用途/重要性:ACATを阻害;キチンシンターゼII阻害剤;RTECS受入番号:GX9500000。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明が解決しようとする課題は、化粧品用途に使用しうる物質の必要性である。ヒト皮膚に対して再生および活力付与効果を有する物質が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この課題は、シサンドラ・チネンシス果実の抽出物によって、ならびに、以下の成分を含有する組成物によって解決される:
(a)請求項1に記載の抽出物、シザンドリン(schizandrin)、デオキシシザンドリン(deoxyschizandrin)、シサンドリン(schisandrin)C、ゴミシン(gomisin)A、ゴミシン(gomisin)N、プレゴミシン(pregomisin)およびノルジヒドログアイアレチン酸(nordihydroguaiaretic acid)からなる群から選択される物質、ならびに、
(b)化粧品目的に一般的な助剤および/または添加剤。
【0018】
シサンドラ・チネンシス果実の抽出物を、本発明の抽出物と称する。前の段落において規定した組成物を、本発明の組成物と称する。
【0019】
本発明の1つの態様は、成分(b)が、油成分、界面活性剤、乳化剤、油脂、ワックス、真珠色化ワックス、増粘剤、濃厚剤、超脂肪化剤、安定剤、ポリマー、シリコーン化合物、レシチン、リン脂質、生物起源の活性成分、脱臭剤、抗微生物剤、発汗防止剤、皮膜形成剤、ふけ防止剤、膨潤剤、防虫剤、ヒドロトロープ剤、可溶化剤、防腐剤、芳香油および染料からなる群から選択される本発明の組成物である。
【0020】
本発明の他の対象は、本発明の抽出物の製造方法であって、以下の工程を含んでなる方法である:
(a)シサンドラ・チネンシス果実を、水、アルコール、エステル、炭化水素、ケトン、ハロゲン化炭化水素および超臨界流体、好ましくは超臨界二酸化炭素からなる群から選択される溶媒(好ましくは、75重量%のエタノールと25重量%の水の混合物を溶媒として使用する)で抽出して、抽出物と溶媒を含有する混合物を得る工程、ならびに、
(b)このようにして得た混合物から溶媒を除去する工程。
超臨界二酸化炭素による抽出は、好ましくは、100〜280バールの圧力および50〜60℃の温度で行う。
【0021】
本発明の他の対象は、UV-A放射によって損傷したヒト皮膚の処置のための薬剤を製造するための、または、ヒト皮膚におけるメラニン合成の抑制のための薬剤を製造するための、本発明の抽出物、シザンドリン、デオキシシザンドリン、シサンドリンC、ゴミシンA、ゴミシンN、プレゴミシンおよびノルジヒドログアイアレチン酸からなる群から選択される物質の使用である。この使用は、上記の物質が、上記のような薬剤の製造に有用であることを見い出したことに基づくものである。この使用により解決しようとする課題は、上記のような薬剤の製造に使用しうるさらなる物質を提供することである。
【0022】
本発明の他の対象は、化粧品調製物を製造するための、請求項1に記載の抽出物、請求項2または3に記載の組成物、シザンドリン、デオキシシザンドリン、シサンドリンC、ゴミシンA、ゴミシンN、プレゴミシンおよびノルジヒドログアイアレチン酸からなる群から選択される物質の使用である。
【0023】
本発明の他の対象は、ヒト身体の化粧処置のための、請求項1に記載の抽出物、請求項2または3に記載の組成物、シザンドリン、デオキシシザンドリン、シサンドリンC、ゴミシンA、ゴミシンN、プレゴミシンおよびノルジヒドログアイアレチン酸からなる群から選択される物質の使用である。
【0024】
本発明の1つの態様は、ヒト皮膚の美白を対象とするヒト身体の化粧処置である。
本発明の1つの態様は、UV-A放射からのヒト皮膚の保護を対象とするヒト身体の化粧処置である。
本発明の1つの態様は、ヒト皮膚におけるメラニン形成の阻害またはヒト皮膚におけるしみの処置またはヒト皮膚の色素沈着の軽減を対象とするヒト身体の化粧処置である。
【0025】
本発明の1つの態様は、抗老化効果を対象とするヒト身体の化粧処置である。
本発明の1つの態様は、抽出物がリグナンを含有するように行う本発明の抽出物の製造方法である。
本発明の1つの態様は、抽出物の乾燥をさらに含む本発明の抽出物の製造方法である。
【0026】
本発明の抽出物を精製することができる。例えば、それを分画によって精製することができる(例えば、ポリメタクリレートもしくはポリマー吸着剤での低圧クロマトグラフィーによって、あるいは、逆相C18クロマトグラフィーによって)。超臨界液を、この精製に使用することができる。
【0027】
本発明の抽出物は多くの利点を有する。それは多くの生物学的活性を有する。例えば、それはUV-AおよびUV-B放射ならびにIR放射から保護し、それはGAG合成を刺激し[GAGはグリコサミノグリカンの短縮形であり、GAGは重合した糖(例えばグルコサミン)からなる巨大分子であり、GAGはヒト真皮の重要成分である]、それは収斂性であり、それはニューロンによる刺激を受けたヒト筋肉細胞の収縮の頻度を減少させ、それはプロテオグリカン(例えばシンデカンおよびルミカン)の合成を刺激する。国際特許出願公開WO2004/054532(出願人の内部ファイル番号:C2720)は、少なくとも1つのプロテオグリカン調節剤を使用する、ヒト皮膚の改善および/または保護のための化粧処置法を開示している。
【0028】
本発明のヒト身体の化粧処置は、皮膚および/または毛髪および/または皮膚付属物の処置を包含する。皮膚付属物とは、爪、脂腺、汗腺などを意味する。
【0029】
化粧品目的に一般的な助剤および添加剤は、油成分、界面活性剤、乳化剤、油脂、ワックス、真珠色化ワックス、増粘剤、濃厚剤、超脂肪化剤、安定剤、ポリマー、シリコーン化合物、レシチン、リン脂質、生物起源の活性成分、脱臭剤、抗微生物剤、発汗防止剤、皮膜形成剤、ふけ防止剤、膨潤剤、防虫剤、ヒドロトロープ剤、可溶化剤、防腐剤、芳香油および染料からなる群から選択することができる。
【0030】
本発明の1つの態様において、化粧品目的に一般的な助剤および添加剤は、界面活性剤、乳化剤、油脂、ワックス、安定剤、脱臭剤、発汗防止剤、ふけ防止剤および芳香油からなる群から選択される。
【0031】
助剤および添加剤の合計含量は、化粧品および/または医薬品調製物を基準に、1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%であってよい。調製物は、通常の冷間法または熱間法によって製造することができる。相反転温度法を使用するのが好ましい。
【0032】
本発明の目的のために、化粧品調製物はケア剤を意味することができる。ケア剤は、皮膚および毛髪のためのケア剤を意味するものと解される。これらのケア剤は、特に、皮膚および毛髪に対して洗浄および回復作用を有する。
【0033】
適用は、錠剤、糖衣錠、カプセル、ジュース、溶液および顆粒の形態で経口または局所であってよい。
【0034】
本発明に係る組成物および化粧品調製物を、例えば、下記の化粧品および/または皮膚薬調製物の製造に使用することができる:毛髪シャンプー、毛髪ローション、発泡浴剤、シャワー浴剤、クリーム、ゲル、ローション、アルコール性および水性/アルコール性溶液、エマルジョン、ワックス/油脂組成物、スティック調製物、粉末または軟膏。さらに、本発明に係る口腔適用のための調製物を、錠剤、糖衣錠、カプセル、ジュース、溶液および顆粒に導入することもできる。
【0035】
また、これらの調製物は、化粧品目的に一般的な追加の助剤および添加剤として、油成分、界面活性剤、乳化剤、油脂、ワックス、真珠色化ワックス、増粘剤、濃厚剤、超脂肪化剤、安定剤、ポリマー、シリコーン化合物、レシチン、リン脂質、生物起源の活性成分、脱臭剤、抗微生物剤、発汗防止剤、ふけ防止剤、皮膜形成剤、膨潤剤、防虫剤、ヒドロトロープ剤、可溶化剤、防腐剤、芳香油、染料ならびに化粧品目的に一般的な他の助剤および添加剤を含有することもできる。
【0036】
存在していてよい界面活性剤(または界面活性物質)は、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性および/または両性または双性イオン性界面活性剤である。組成物中のこれらの含有量は、通常は約1〜70重量%、好ましくは5〜50重量%、特に10〜30重量%である。
【0037】
陰イオン性界面活性剤の代表例は、石鹸、アルキルベンゼンスルホネート、アルカンスルホネート、オレフィンスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、グリセロールエーテルスルホネート、α-メチルエステルスルホネート、スルホ脂肪酸、アルキルスルフェート、脂肪アルコールエーテルスルフェート、グリセロールエーテルスルフェート、脂肪酸エーテルスルフェート、ヒドロキシ混合エーテルスルフェート、モノグリセリド(エーテル)スルフェート、脂肪酸アミド(エーテル)スルフェート、モノおよびジアルキルスルホスクシネート、モノおよびジアルキルスルホスクシナメート、スルホトリグリセリド、アミド石鹸、エーテルカルボン酸およびその塩、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、N-アシルアミノ酸(例えば、アシルラクチレート、アシルタルトレート、アシルグルタメートおよびアシルアスパルテート)、アルキルオリゴグルコシドスルフェート、タンパク質脂肪酸縮合物(特に、コムギに基づく植物生成物)、および、アルキル(エーテル)ホスフェートである。陰イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含有しているときには、これらは通常の同族体分布を有していてよいが、好ましくは狭い同族体分布を有する。
【0038】
非イオン性界面活性剤の代表例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエーテル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪アミンポリグリコールエーテル、アルコキシル化トリグリセリド、混合エーテルおよび混合ホルマール、所望により部分的に酸化したアルキル(アルケニル)オリゴグリコシドまたはグルクロン酸誘導体、脂肪酸-N-アルキルグルカミド、タンパク質加水分解物(特に、コムギに基づく植物生成物)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベートおよびアミンオキシドである。非イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含有しているときには、これらは通常の同族体分布を有していてよいが、好ましくは狭い同族体分布を有する。
【0039】
陽イオン性界面活性剤の代表例は、第四アンモニウム化合物、例えばジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、およびエステルクォート(ester quat)、特に第四級化した脂肪酸トリアルカノールアミンエステル塩である。
両性または双性イオン性界面活性剤の代表例は、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタインおよびスルホベタインである。
上記した界面活性剤は既知の化合物である。これら物質の構造および製造については、関連の総説を参照してよい。
【0040】
特に適する穏やかな(即ち、特に皮膚に適合する)界面活性剤の代表例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート、モノおよび/またはジアルキルスルホスクシネート、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、脂肪酸グルタメート、α-オレフィンスルホネート、エーテルカルボン酸、アルキルオリゴグルコシド、脂肪酸グルカミド、アルキルアミドベタイン、アンホアセタールおよび/またはタンパク質脂肪酸縮合物(好ましくは、コムギタンパク質に基づく)である。
【0041】
適する油成分は、例えば、6〜18個(好ましくは8〜10個)の炭素原子を含む脂肪アルコールに基づくゲルベアルコール、直鎖C6-22脂肪酸と直鎖または分岐鎖C6-22脂肪アルコールとのエステル、分岐鎖C6-13カルボン酸と直鎖または分岐鎖C6-22脂肪アルコールとのエステル、例えば、ミリスチルミリステート、ミリスチルパルミテート、ミリスチルステアレート、ミリスチルイソステアレート、ミリスチルオレエート、ミリスチルベヘネート、ミリスチルエルケート、セチルミリステート、セチルパルミテート、セチルステアレート、セチルイソステアレート、セチルオレエート、セチルベヘネート、セチルエルケート、ステアリルミリステート、ステアリルパルミテート、ステアリルステアレート、ステアリルイソステアレート、ステアリルオレエート、ステアリルベヘネート、ステアリルエルケート、イソステアリルミリステート、イソステアリルパルミテート、イソステアリルステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソステアリルオレエート、イソステアリルベヘネート、イソステアリルエルケート、オレイルミリステート、オレイルパルミテート、オレイルステアレート、オレイルイソステアレート、オレイルオレエート、オレイルベヘネート、オレイルエルケート、ベヘニルミリステート、ベヘニルパルミテート、ベヘニルステアレート、ベヘニルイソステアレート、ベヘニルオレエート、ベヘニルベヘネート、ベヘニルエルケート、エルシルミリステート、エルシルパルミテート、エルシルステアレート、エルシルイソステアレート、エルシルオレエート、エルシルベヘネートおよびエルシルエルケートである。
【0042】
また適するのは、直鎖C6-22脂肪酸と分岐鎖アルコール(特に2-エチルヘキサノール)とのエステル、C18-38アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖または分岐鎖C6-22脂肪アルコールとのエステル(特にジオクチルマレエート)、直鎖および/または分岐鎖脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ダイマージオールまたはトリマートリオール)および/またはゲルベアルコールとのエステル、C6-10脂肪酸に基づくトリグリセリド、C6-18脂肪酸に基づく液体のモノ/ジ/トリグリセリド混合物、C6-22脂肪アルコールおよび/またはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸(特に安息香酸)とのエステル、C2-12ジカルボン酸と1〜22個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖アルコールまたは2〜10個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシル基を含むポリオールとのエステル、植物油、分岐鎖の第一アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖および分岐鎖のC6-22脂肪アルコールカーボネート(例えば、ジカプリリルカーボネート;Cetiol CC)、6〜18個(好ましくは8〜10個)の炭素原子を含む脂肪アルコールに基づくゲルベカーボネート、安息香酸と直鎖および/または分岐鎖C6-22アルコールとのエステル(例えば、Finsolv TN)、アルキル基あたりに6〜22個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の対称または非対称のジアルキルエーテル(例えば、ジカプリリルエーテル;Cetiol OE)、エポキシ化脂肪酸エステルのポリオールによる開環生成物、シリコーン油(シクロメチコーン、特にケイ素メチコーン型)および/または脂肪族またはナフテン系炭化水素(例えば、スクアラン、スクアレンまたはジアルキルシクロヘキサン)である。
【0043】
適する乳化剤は、例えば、下記の群の少なくとも1つに由来する非イオン性界面活性剤である:
・8〜22個の炭素原子を含む直鎖脂肪アルコールへの、12〜22個の炭素原子を含む脂肪酸への、アルキル基に8〜15個の炭素原子を含むアルキルフェノールへの、および、アルキル基に8〜22個の炭素原子を含むアルキルアミンへの、エチレンオキシド2〜30モルおよび/またはプロピレンオキシド0〜5モルの付加生成物;
・アルキル(アルケニル)基に8〜22個の炭素原子を含むアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド、ならびに、そのエトキシル化類似体;
・ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油へのエチレンオキシド1〜15モルの付加生成物;
・ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油へのエチレンオキシド15〜60モルの付加生成物;
・グリセロールおよび/またはソルビタンと、12〜22個の炭素原子を含む不飽和、直鎖または飽和、分岐鎖の脂肪酸および/または3〜18個の炭素原子を含むヒドロキシカルボン酸との部分エステル、ならびに、エチレンオキシド1〜30モルを含むその付加生成物;
・ポリグリセロール(平均の自己縮合度2〜8)、ポリエチレングリコール(分子量400〜5000)、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、糖アルコール(例えばソルビトール)、アルキルグルコシド(例えば、メチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)およびポリグルコシド(例えばセルロース)と、12〜22個の炭素原子を含む飽和および/または不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の脂肪酸および/または3〜18個の炭素原子を含むヒドロキシカルボン酸との部分エステル、ならびに、エチレンオキシド1〜30モルを含むその付加生成物;
・ペンタエリトリトール、脂肪酸、クエン酸および脂肪アルコールの混合エステルおよび/または6〜22個の炭素原子を含む脂肪酸、メチルグルコースおよびポリオール(好ましくは、グリセロールまたはポリグリセロール)の混合エステル;
・モノ、ジおよびトリアルキルホスフェートならびにモノ、ジおよび/またはトリ-PEG-アルキルホスフェートおよびその塩;
・羊毛ワックスアルコール;
・ポリシロキサン/ポリアルキル/ポリエーテルコポリマーおよび対応する誘導体;
・ブロックコポリマー、例えば、ポリエチレングリコール-30 ジポリヒドロキシステアレート;
・ポリマー乳化剤、例えば、GoodrichのPemulenグレード(TR-1、TR-2);
・ポリアルキレングリコール;および
・グリセロールカーボネート。
【0044】
脂肪アルコール、脂肪酸、アルキルフェノールへの、またはヒマシ油への、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物は、既知の市販生成物である。これらは同族体混合物であり、その平均のアルコキシル化度は、付加反応を行う基質とエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドとの量比に対応する。グリセロールへのエチレンオキシドの付加生成物のC12/18脂肪酸モノエステルおよびジエステルは、化粧品調製物のための再脂肪化剤として知られている。
【0045】
アルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド、その製造およびその使用は、従来技術から既知である。これらは、特に、グルコースまたはオリゴ糖と8〜18個の炭素原子を含む第一アルコールとを反応させることによって製造される。グリコシド基に関して、モノグリコシド(環状の糖基がグリコシド結合によって脂肪アルコールに結合している)ならびにオリゴマーグリコシド(好ましくは約8までのオリゴマー化度を有する)の両方が適している。このオリゴマー化度は統計学的平均値であり、この値は、上記のような工業用製品に一般的な同族体分布に基づいている。
【0046】
適する部分グリセリドの代表例は、ヒドロキシステアリン酸モノグリセリド、ヒドロキシステアリン酸ジグリセリド、イソステアリン酸モノグリセリド、イソステアリン酸ジグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、オレイン酸ジグリセリド、リシノール酸モノグリセリド、リシノール酸ジグリセリド、リノール酸モノグリセリド、リノール酸ジグリセリド、リノレン酸モノグリセリド、リノレン酸ジグリセリド、エルカ酸モノグリセリド、エルカ酸ジグリセリド、酒石酸モノグリセリド、酒石酸ジグリセリド、クエン酸モノグリセリド、クエン酸ジグリセリド、リンゴ酸モノグリセリド、リンゴ酸ジグリセリド、ならびに、これらの工業用混合物(これらは、製造方法に由来する副生成物として少量のトリグリセリドを含んでいることもある)である。同様に適するのは、これら部分グリセリドへのエチレンオキシド1〜30モル、好ましくは5〜10モルの付加生成物である。
【0047】
適するソルビタンエステルは、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンセスキイソステアレート、ソルビタンジイソステアレート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノエルケート、ソルビタンセスキエルケート、ソルビタンジエルケート、ソルビタントリエルケート、ソルビタンモノリシノレエート、ソルビタンセスキリシノレエート、ソルビタンジリシノレエート、ソルビタントリリシノレエート、ソルビタンモノヒドロキシステアレート、ソルビタンセスキヒドロキシステアレート、ソルビタンジヒドロキシステアレート、ソルビタントリヒドロキシステアレート、ソルビタンモノタルトレート、ソルビタンセスキタルトレート、ソルビタンジタルトレート、ソルビタントリタルトレート、ソルビタンモノシトレート、ソルビタンセスキシトレート、ソルビタンジシトレート、ソルビタントリシトレート、ソルビタンモノマレエート、ソルビタンセスキマレエート、ソルビタンジマレエート、ソルビタントリマレエートならびにこれらの工業用混合物である。同様に適するのは、これらのソルビタンエステルへのエチレンオキシド1〜30モル、好ましくは5〜10モルの付加生成物である。
【0048】
適するポリグリセロールエステルの代表例は、ポリグリセリル-2 ジポリヒドロキシステアレート(Dehymuls PGPH)、ポリグリセリル-3 ジイソステアレート(Lameform TGI)、ポリグリセリル-4 イソステアレート(Isolan GI 34)、ポリグリセリル-3 オレエート、ジイソステアロイル ポリグリセリル-3 ジイソステアレート(Isolan PDI)、ポリグリセリル-3 メチルグルコース ジステアレート(Tego Care 450)、ポリグリセリル-3 蜜蝋(Cera Bellina)、ポリグリセリル-4 カプレート(Polyglycerol Caprate T2010/90)、ポリグリセリル-3 セチルエーテル(Chimexane NL)、ポリグリセリル-3 ジステアレート(Cremophor GS 32)、ポリグリセリル ポリリシノレエート(Admul WOL 1403)、ポリグリセリル ジメレート イソステアレートおよびこれらの混合物である。他の適するポリオールエステルの例は、トリメチロールプロパンまたはペンタエリトリトールと、ラウリン酸、ヤシ油脂肪酸、獣脂脂肪酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸などとの、モノ、ジおよびトリエステルである(これらを、所望によりエチレンオキシド1〜30モルと反応させてもよい)。
【0049】
さらに、双性イオン性界面活性剤を乳化剤として使用することもできる。用語「双性イオン性界面活性剤」とは、分子中に少なくとも1つの第四アンモニウム基および少なくとも1つのカルボキシレート基および1つのスルホネート基を保持する界面活性化合物を意味する。特に適する双性イオン性界面活性剤は、ベタインであり、例えばN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばヤシ油アルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばヤシ油アシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート、および2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン(アルキル基またはアシル基にそれぞれ8〜18個の炭素原子を含む)、およびヤシ油アシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。コカミドプロピルベタイン(Cocamidopropyl Betaine)のCTFA名称のもとで既知である脂肪酸アミド誘導体が特に好ましい。
同様に適する乳化剤は両性界面活性剤である。用語「両性界面活性剤」とは、分子中にC8/18アルキル基またはアシル基に加えて、少なくとも1つの遊離アミノ基および少なくとも1つの−COOH基または−SOH基を含有し、内部塩を形成することができる界面活性化合物を意味する。適する両性界面活性剤の例は、N-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸(アルキル基にそれぞれ約8〜18個の炭素原子を含む)である。特に好ましい両性界面活性剤は、N-ヤシ油アルキルアミノプロピオネート、ヤシ油アシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12/18アシルサルコシンである。
最後に、陽イオン性界面活性剤も適する乳化剤であり、エステルクォート(ester quat)型の乳化剤、好ましくはメチルで第四級化したジ脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩が特に好ましい。
【0050】
使用しうる油脂およびワックスを以下で説明する。
油脂の代表例は、グリセリド、即ち、高級脂肪酸の混合グリセロールエステルから本質的になる固体または液体の植物または動物産物である。
適するワックスは、特に天然ワックス、例えばカンデリラワックス、カルナバワックス、木蝋、アフリカハネガヤワックス、コルクワックス、グアルマ(guaruma)ワックス、コメ胚油ワックス、サトウキビワックス、オウリキュリー(ouricury)ワックス、モンタンワックス、蜜蝋、セラックワックス、鯨蝋、ラノリン(羊毛ワックス)、尾羽脂、セレシン、オゾケライト(地蝋)、ペトロラタム、パラフィンワックス、微結晶ワックス;化学修飾したワックス(硬ワックス)、例えばモンタンエステルワックス、サゾール(sasol)ワックス、水素化ジョジョバワックス、ならびに、合成ワックス、例えばポリアルキレンワックスおよびポリエチレングリコールワックスである。
油脂に加えて、他の適する添加剤は、油脂様の物質、例えばレシチンおよびリン脂質である。用語「レシチン」とは、脂肪酸、グリセロール、リン酸およびコリンからエステル化によって生成するグリセロリン脂質を意味するものと当業者に理解されている。従って、レシチンは、ホスファチジルコリン(PC)と称されることも多い。天然レシチンの例はケファリンであり、これは、ホスファチジン酸とも称され、1,2-ジアシル-sn-グリセロール-3-リン酸の誘導体である。対照的に、リン脂質は、リン酸とグリセロールとのモノエステル、好ましくはジエステル(グリセロホスフェート)を意味するものと通常は理解されており、これは、一般的には油脂であると考えられている。さらに、スフィンゴシンおよびスフィンゴ脂質も適している。
【0051】
適する真珠色化ワックスの例は、アルキレングリコールエステル、特にエチレングリコールジステアレート;脂肪酸アルカノールアミド、特にヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド;部分グリセリド、特にステアリン酸モノグリセリド;多塩基性の所望によりヒドロキシ置換されたカルボン酸と、6〜22個の炭素原子を含む脂肪アルコールとのエステル、特に酒石酸の長鎖エステル;合計して少なくとも24個の炭素原子を含む脂肪化合物、例えば、脂肪アルコール、脂肪ケトン、脂肪アルデヒド、脂肪エーテルおよび脂肪カーボネート、特にラウロンおよびジステアリルエーテル;脂肪酸、例えばステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸またはベヘン酸;12〜22個の炭素原子を含むオレフィンエポキシドの、12〜22個の炭素原子を含む脂肪アルコールおよび/または2〜15個の炭素原子および2〜10個のヒドロキシル基を含むポリオールによる開環生成物;およびこれらの混合物である。
【0052】
使用しうる増粘剤および濃厚剤を以下に記載する。
適する増粘剤は、主に、12〜22個、好ましくは16〜18個の炭素原子を含む脂肪アルコールまたはヒドロキシ脂肪アルコール、さらに部分グリセリド、脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸である。これらの物質と、アルキルオリゴグルコシドおよび/または脂肪酸N-メチルグルカミド(同じ鎖長)および/またはポリグリセロール ポリ-12-ヒドロキシステアレートとの組合せが好ましい。
適する濃厚剤は、例えば、Aerosilグレード(親水性シリカ)、多糖、特にキサンタンゴム、グアール、寒天、アルギネートおよびチロース(tylose)、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース、さらに比較的高分子量の脂肪酸ポリエチレングリコールモノエステルおよびジエステル、ポリアクリレート[例えば、CarbopolおよびPemulenグレード(Goodrich);Synthalen(Sigma);Keltrolグレード(Kelco);Sepigelグレード(Seppic);Salcareグレード(Allied Colloids)]、ポリアクリルアミド、ポリマー、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドン、界面活性剤(例えば、エトキシル化脂肪酸グリセリド)、脂肪酸とポリオール(例えば、ペンタエリトリトールまたはトリメチロールプロパン)とのエステル、狭い同族体分布を有する脂肪アルコールエトキシレートまたはアルキルオリゴグルコシド、ならびに、電解質(例えば、塩化ナトリウムおよび塩化アンモニウム)である。
【0053】
使用しうる超脂肪化剤は、例えば、ラノリンおよびレシチン、さらにポリエトキシル化またはアシル化したラノリンおよびレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリドおよび脂肪酸アルカノールアミドなどの物質である。脂肪酸アルカノールアミドは、発泡安定剤としても働く。
使用しうる安定剤は、脂肪酸の金属塩、例えばステアリン酸またはリシノール酸のマグネシウム、アルミニウムおよび/または亜鉛塩である。
【0054】
使用しうるポリマーを以下に記載する。
適する陽イオン性ポリマーは、例えば、陽イオン性セルロース誘導体、例えば第四級化したヒドロキシエチルセルロース(AmercholからPolymer JR 400の名称で入手できる)、陽イオン性デンプン、ジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドのコポリマー、第四級化したビニルピロリドン/ビニルイミダゾールポリマー、例えばLuviquat(BASF)、ポリグリコールとアミンの縮合生成物、第四級化したコラーゲンポリペプチド、例えばラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン(Lamequat L、Gruenau)、第四級化したコムギポリペプチド、ポリエチレンイミン、陽イオン性シリコーンポリマー、例えばアミドメチコーン、アジピン酸とジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンのコポリマー(Cartaretins、Sandoz)、アクリル酸とジメチルジアリルアンモニウムクロリドのコポリマー(Merquat 550、Chemviron)、ポリアミノポリアミドおよびその架橋した水溶性ポリマー、陽イオン性キチン誘導体、例えば第四級化したキトサン(所望により、微結晶分散している)、ジハロアルキル(例えばジブロモブタン)とビス-ジアルキルアミン(例えばビス-ジメチルアミノ-1,3-プロパン)との縮合生成物、陽イオン性グアールゴム(例えば、CelaneseからのJaguar CBS、Jaguar C-17、Jaguar C-16)、第四級化したアンモニウム塩ポリマー(例えば、MiranolからのMirapol A-15、Mirapol AD-1、Mirapol AZ-1)である。
【0055】
適する陰イオン性、双性イオン性、両性および非イオン性ポリマーは、例えば、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、ビニルピロリドン/アクリル酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル/マレイン酸ブチル/アクリル酸イソボルニルコポリマー、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマーおよびそのエステル、未架橋のポリアクリル酸およびポリオール架橋したポリアクリル酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、オクチルアクリルアミド/メタクリル酸メチル/tert-ブチルアミノエチルメタクリレート/2-ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタムターポリマーおよび所望により誘導体化したセルロースエーテルおよびシリコーンである。
【0056】
適するシリコーン化合物は、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環式シリコーン、ならびに、アミノ-、脂肪酸-、アルコール-、ポリエーテル-、エポキシ-、フッ素-、グリコシド-および/またはアルキル-修飾したシリコーン化合物である(これらは、室温で液体または樹脂形態のいずれかであることができる)。また適するのはシメチコーンである(これは、水素化シリケートおよび200〜300のジメチルシロキサン単位の平均鎖長を有するジメチコーンの混合物である)。
【0057】
使用しうる脱臭剤および抗微生物剤を以下に記載する。
化粧品用脱臭剤は、体臭を相殺するか、遮蔽するか、または除去する。体臭は、アポクリン発汗における皮膚細菌の作用の結果として生じ、これにより不快臭を有する分解生成物が生成することになる。従って、脱臭剤は、抗微生物剤、酵素阻害剤、臭気吸収剤または臭気遮蔽剤として作用する活性成分を含有する。
【0058】
基本的に、適する抗微生物剤は、グラム陽性細菌に対して有効な全ての物質であり、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸およびその塩およびエステル、N-(4-クロロフェニル)-N'-(3,4-ジクロロフェニル)尿素、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、2,2'-メチレン-ビス-(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(1-メチルエチル)フェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、3-(4-クロロフェノキシ)-1,2-プロパンジオール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、クロロヘキシジン、3,4,4'-トリクロロカルバニリド(TTC)、抗細菌芳香物質、チモール、タイム油、オイゲノール、チョウジ油、メントール、ミント油、ファルネソール、フェノキシエタノール、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノラウレート(GML)、ジグリセロールモノカプレート(DMC)、サリチル酸-N-アルキルアミド(例えば、n-オクチルサリチルアミドまたはn-デシルサリチルアミド)などである。
【0059】
適する酵素阻害剤は、好ましくは、例えばエステラーゼ阻害剤である。これらは、好ましくはクエン酸トリアルキル、例えばクエン酸トリメチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリブチル、特にクエン酸トリエチル(Hydagen CAT)である。これらの物質は、酵素活性を阻害し、これによって臭気の生成を減少させる。適するエステラーゼ阻害剤である他の物質は、ステロールのスルフェートまたはホスフェート、例えばラノステロール、コレステロール、カンペステロール、スチグマステロールおよびシトステロールのスルフェートまたはホスフェート、ジカルボン酸およびそのエステル、例えばグルタル酸、グルタル酸モノエチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸、アジピン酸モノエチル、アジピン酸ジエチル、マロン酸およびマロン酸ジエチル、ヒドロキシカルボン酸およびそのエステル、例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸または酒石酸ジエチル、およびグリシン酸亜鉛である。
【0060】
適する臭気吸収剤は、臭気生成化合物を吸収することができ、その大部分を保持することができる物質である。これらは、個々の成分の分圧を低下させ、こうしてその拡散速度を低下させる。この過程で芳香物質が損なわれないままであることが重要である。臭気吸収剤は、細菌に対して有効ではない。これらは、例えば主成分として、ラブダナムもしくはエゴノキの抽出物またはある種のアビエチン酸誘導体などの「保留剤」として当業者に知られている特定のほぼ臭気中性の芳香物質またはリシノール酸の錯亜鉛塩を含有する。
【0061】
臭気遮蔽剤は、その臭気遮蔽剤としての機能に加えて、そのそれぞれの芳香を脱臭剤に与える芳香物質または芳香油である。挙げうる芳香油は、例えば、天然および合成の芳香物質の混合物である。天然の芳香物質は、花、茎および葉、果実、果皮、根、木、ハーブおよび草、針状葉および枝、樹脂およびバルサムの抽出物である。また、動物原料、例えばジャコウおよびビーバーも適している。通常の合成芳香化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の生成物である。エステル型の芳香化合物は、例えば、酢酸ベンジル、酢酸p-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、プロピオン酸スチラリルおよびサリチル酸ベンジルである。エーテルには、例えばベンジルエチルエーテルが含まれ、アルデヒドには、例えば8〜18個の炭素原子を含む直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアルおよびボルゲオナールが含まれる。ケトンには、例えばイオノンおよびメチルセドリルケトンが含まれ、アルコールには、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールが含まれる。炭化水素には、主にテルペンおよびバルサムが含まれる。
【0062】
しかし、異なる芳香物質の混合物(これらは一緒になって快い芳香を生じる)を使用するのが好ましい。また、比較的低揮発性のエーテル油(これらのほとんどは芳香成分として使用される)も、芳香油として適している。これらは、例えば、セージ油、カミツレ油、チョウジ油、メリッサ油、ミント油、シナモン葉油、シナノキ花油、ビャクシン果実油、ベチベルソウ油、オリバヌム油、ガルバヌム油、ラブダナム油およびラベンジン油である。以下のものを、単独でまたは混合物で使用するのが好ましい:即ち、ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアル、ライラール(lyral)、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイサムブレン・フォルテ(boisambrene forte)、アムブロキサン(ambroxan)、インドール、ヘジオン(hedione)、サンデリス(sandelice)、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコレート、シクロベルタール(cyclovertal)、ラベンジン油、サルビア油、β-ダマスコーン、ゼラニウム油バーボン、サリチル酸シクロヘキシル、ベルトフィックス・ケウアー(Vertofix coeur)、イソ-E-スーパー(iso-E-super)、フィクソリド(Fixolide)NP、エベルニル(evernyl)、イラルデイン(iraldein)ガンマ、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキシド、ロミラット(romilat)、イロチル(irotyl)およびフロラマット(floramat)。
【0063】
発汗防止剤は、エクリン汗腺の活性に影響を及ぼすことによって発汗を減少させ、こうして腋下の湿気および体臭を中和する。通常、水性または無水の発汗防止剤配合物は、1またはそれ以上の次の成分を含有する:収斂性の活性成分、油成分、非イオン性乳化剤、共乳化剤、増粘剤、助剤(例えば、濃厚剤または錯生成剤)および/または非水性溶媒(例えば、エタノール、プロピレングリコールおよび/またはグリセロール)。
【0064】
適する収斂性の発汗防止活性成分は、主に、アルミニウム、ジルコニウムまたは亜鉛の塩である。この種の適する抗ヒドロ(antihydrotic)活性成分は、例えば、アルミニウムクロリド、アルミニウムクロロヒドレート、アルミニウムジクロロヒドレート、アルミニウムセスキクロロヒドレート、および、これらと例えば1,2-プロピレングリコールとの複合化合物、アルミニウムヒドロキシアラントイネート、アルミニウムクロリドタルトレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロヒドレート、および、これらと例えばアミノ酸(グリシンなど)との複合化合物である。さらに、通常の油溶性および水溶性の助剤が、発汗防止剤中に比較的少量で存在していてもよい。このような油溶性の助剤は、例えば、抗炎症性、皮膚保護性または芳香性のエーテル油、合成の皮膚保護活性成分および/または油溶性の芳香油であってよい。
【0065】
通常の水溶性の添加剤は、例えば、防腐剤、水溶性芳香物質、pH調節剤、例えば緩衝混合物、水溶性濃厚剤、例えば水溶性の天然または合成ポリマー、例えばキサンタンゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたは高分子量ポリエチレンオキシドである。
【0066】
使用しうる皮膜形成剤を以下に記載する。通常の皮膜形成剤は、例えば、キトサン、微結晶キトサン、第四級化キトサン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸系列のポリマー、第四セルロース誘導体、コラーゲン、ヒアルロン酸およびその塩および同様の化合物である。
【0067】
適するふけ防止活性成分は、ピロクトン オラミン(pirocton olamin)[1-ヒドロキシ-4-メチル-6-(2,4,4-トリメチルペンチル)-2-(1H)-ピリジノン モノエタノールアミン塩]、Baypival(クリムバゾール;climbazole)、Ketoconazol(4-アセチル-1-{4-[2-(2,4-ジクロロフェニル) r-2-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)-1,3-ジオキシラン-c-4-イルメトキシフェニル}ピペラジン、ケトコナゾール、エルビオール、セレンジスルフィド、コロイド状イオウ、イオウポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート、イオウリシノールポリエトキシレート、イオウタールジスチレート、サリチル酸(または、ヘキサクロロフェンと組合せて)、ウンデシレン酸 モノエタノールアミド スルホスクシネートNa塩、Lamepon UD(タンパク質/ウンデシレン酸縮合物)、亜鉛ピリチオン、アルミニウムピリチオンおよびマグネシウムピリチオン/ジピリチオンマグネシウムスルフェートである。
【0068】
水相のための膨潤剤は、モンモリロナイト、粘土無機物質、ペムレン(Pemulen)およびアルキル修飾したカルボポール(Carbopol)グレード(Goodrich)であってよい。
適する防虫剤は、N,N-ジエチル-m-トルアミド、1,2-ペンタンジオールまたはブチルアセチルアミノプロピオン酸エチルである。
【0069】
流れ挙動を改善するために、ヒドロトロープ剤、例えばエタノール、イソプロピルアルコールまたはポリオールを使用することができる。ここで適するポリオールは、好ましくは2〜15個の炭素原子および少なくとも2個のヒドロキシル基を有する。これらポリオールは、他の官能基、特にアミノ基を含有することもでき、また、窒素で修飾することもできる。その代表例は、以下の通りである:
・グリセロール;
・アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、および、ポリエチレングリコール(100〜1000ダルトンの平均分子量を有する);
・1.5〜10の自己縮合度を有する工業用グレードのオリゴグリセロール混合物、例えば40〜50重量%のジグリセロール含量を有する工業用グレードのジグリセロール混合物;
・メチロール化合物、例えばトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリトリトールおよびジペンタエリトリトール;
・低級アルキルグルコシド、特にアルキル基に1〜8個の炭素原子を含むもの、例えばメチルおよびブチルグルコシド;
・5〜12個の炭素原子を含む糖アルコール、例えばソルビトールまたはマンニトール;
・5〜12個の炭素原子を含む糖、例えばグルコースまたはスクロース;
・アミノ糖、例えばグルカミン;
・ジアルコールアミン、例えばジエタノールアミンまたは2-アミノ-1,3-プロパンジオール。
【0070】
適する防腐剤は、例えば、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、ペンタンジオールまたはソルビン酸、ならびに、Cosmetics Directive(化粧品指針)の付属書6のパートAおよびBに挙げられている他の群の物質である。
【0071】
使用しうる芳香油は、好ましくは、天然および合成の芳香物質の混合物である。天然の芳香物質は、花(ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、ネロリ、イランイラン)、茎および葉(ゼラニウム、パチョリ、プチグレイン)、果実(アニス、コエンドロ、ヒメウイキョウ、ビャクシン)、果皮(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根(ニクズク、アンゼリカ、セロリ、カルダモン、コスタス、アイリス、カルムス)、木(マツ、ビャクダン、ユソウボク、シーダー材、シタン)、ハーブおよび草(タラゴン、レモングラス、セージ、タイム)、針状葉および枝(トウヒ、モミ、マツ、低マツ)、樹脂およびバルサム(ガルバヌム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、オリバヌム、オポパナクス)の抽出物である。また、動物原料、例えばジャコウおよびビーバーも適している。通常の合成芳香化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の生成物である。エステル型の芳香化合物は、例えば、酢酸ベンジル、イソ酪酸フェノキシエチル、酢酸p-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、エチルメチルフェニルグリシネート、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、プロピオン酸スチラリルおよびサリチル酸ベンジルである。エーテルには、例えばベンジルエチルエーテルが含まれ、アルデヒドには、例えば8〜18個の炭素原子を含む直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアルおよびボルゲオナールが含まれる。ケトンには、例えばイオノン、α-イソメチルイオノンおよびメチルセドリルケトンが含まれ、アルコールには、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールが含まれる。炭化水素には、主にテルペンおよびバルサムが含まれる。
【0072】
しかし、異なる芳香物質の混合物(これらは一緒になって快い芳香を生じる)を使用するのが好ましい。また、比較的低揮発性のエーテル油(これらのほとんどは芳香成分として使用される)も、芳香油として適している。これらは、例えば、セージ油、カミツレ油、チョウジ油、メリッサ油、ミント油、シナモン葉油、シナノキ花油、ビャクシン果実油、ベチベルソウ油、オリバヌム油、ガルバヌム油、ラブダナム油およびラベンジン油である。以下のものを、単独でまたは混合物で使用するのが好ましい:即ち、ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアル、ライラール(lyral)、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイサムブレン・フォルテ(boisambrene forte)、アムブロキサン(ambroxan)、インドール、ヘジオン(hedione)、サンデリス(sandelice)、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコレート、シクロベルタール(cyclovertal)、ラベンジン油、サルビア油、β-ダマスコーン、ゼラニウム油バーボン、サリチル酸シクロヘキシル、ベルトフィックス・ケウアー(Vertofix coeur)、イソ-E-スーパー(iso-E-super)、フィクソリド(Fixolide)NP、エベルニル(evernyl)、イラルデイン(iraldein)ガンマ、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキシド、ロミラット(romilat)、イロチル(irotyl)およびフロラマット(floramat)。
【0073】
使用しうる染料は、化粧品目的に認められかつ適している物質である。通常、これらの染料は、混合物全体を基準に、0.001〜0.1重量%の濃度で使用される。
【実施例】
【0074】
エタノール/水抽出物の製造(「抽出物」)
以下の実施例において、シサンドラ・チネンシス果実の抽出物を使用した(「抽出物」と称する)。これは、シサンドラ・チネンシスの果実を、75重量%のエタノールと25重量%の水の混合物で抽出することによって得た。
抽出物比=5:1(=収率20%)(5gの果実が1gの抽出物を与えた)
【0075】
超臨界二酸化炭素による抽出物の製造(「SC-抽出物」)
5kgのシサンドラ・チネンシスの乾燥果実(「原料」)(原料の水分含量は20.75重量%であった)を、超臨界二酸化炭素を用いて抽出した。原料を、超臨界二酸化炭素の存在下の容器に入れた。適用した圧力は130バールであり、温度は55℃であり、超臨界二酸化炭素の流速は25kg/時であり、184kgの超臨界二酸化炭素が、486gの原料の抽出に必要であった。
【0076】
実施例1:UV-A放射からのヒト線維芽細胞の保護
この試験の目的は、インビトロでヒト線維芽細胞の細胞培養物において試験することにより、酸化ストレスに対する抽出物の能力を評価することである。このインビトロでの試験は、UV-A放射に対するヒト線維芽細胞の細胞光保護能力を評価する。UV-A放射は次の理由で選択した。即ち、それは表皮を貫通し、真皮に到達し(ヒト皮膚は、表皮と称される上部層と、それを支える真皮と称される下部層を有する)、そこで酸化ストレスを誘発し、これが特に細胞膜の脂質過酸化となって現れるために選択した。生成した過酸化脂質は、多くの生物学的分子の網状化の原因となるマロンジアルデヒドに分裂する。これらの生物学的分子は、例えば、タンパク質(酵素の阻害)および核塩基(突然変異誘発)である。
【0077】
線維芽細胞を、ウシ胎仔血清(FCS)を含む規定の培養培地に播種した。抽出物(またはSC-抽出物)を、培養した線維芽細胞と共に、37℃およびCO=5%(空気中に5容量%の二酸化炭素を含む大気)で1〜2日間インキュベートし、次いで、培養培地を塩溶液に交換し、線維芽細胞にUV-Aを照射した(20J/cm;MAZDA FLUOR TFWN40管;MAZDA FLUOR TFWN40は既知の市販の太陽灯である)。照射の終了時に、MDA(マロンジアルデヒド)のレベルを、上清において、MDAとチオバルビツール酸との化学反応(これにより着色化合物が生成し、その濃度を光学密度の測定によって決定した)によって測定し、タンパク質のレベルを、細胞ホモジネートにおいてBradford法によって測定した。Bradford法は、タンパク質レベルを定量するための既知の方法である[Bradford MM.、「タンパク質-色素結合の原理を利用するマイクログラム量のタンパク質の定量のための迅速かつ高感度の方法」、Anal.Biochem.、Vol.72、p.248-254、1976]。
【0078】
結果を、MDAについては照射した対照に対する%として、タンパク質については未照射の対照に対する%として表した(3回行った2つの試験の平均値として)。
【表1】

これらの結果は、抽出物が、照射された線維芽細胞から放出されるMDAの割合を、細胞タンパク質の割合に対してどのような毒性作用もなく、明らかに減少させることを示す(細胞タンパク質の割合は、培養細胞中に含有されるタンパク質の割合を意味する)。
【0079】
【表2】

【0080】
実施例2:メラニン合成の阻害;美白活性
抽出物の美白活性を、メラニン細胞セルラインにおいて評価した(メラニン細胞B16を使用した;これは当業者に既知のセルラインである)。メラニン細胞を、抽出物に37℃で3日間暴露し、次いで、メラニン細胞を1N NaOH中でホモジナイズし、メラニンのレベルを、475nmでの光学密度を測定することによって評価した。細胞中のタンパク質のレベルをBradford法によって測定した。
結果を、対照に対する%で表し、美白の潜在力を、試験化合物の非毒性濃度に対して、メラニンレベルとタンパク質レベルの比(即ち、メラニン/タンパク質の比)によって特性化した。
【0081】
【表3】

これらの結果は、抽出物が、合成されるメラニンの割合を、細胞タンパク質の割合に対してどのような毒性作用もなく、明らかに減少させることを示す(0.01%の濃度で−54%)。
【0082】
実施例3:ヒト線維芽細胞における生存効果試験
これらの試験の目的は、インビトロ培養したヒト線維芽細胞に対する毒性、次いで再生および活力付与活性を評価することであった。
ヒト線維芽細胞を、ウシ胎仔血清(FCS)を含む細胞培養標準培地に接種した。3日間のインキュベート後に、細胞が静止期になり、次いで増殖培地を、試験する各成分について一定範囲の濃度を有する標準培地と交換した。3日間のインキュベート後に、生存細胞の数を、細胞DNA(蛍光プローブ)、ATP(酵素法)、タンパク質(Bradford法)およびGSH{これは、Hissinの方法[Hissin P.J.、Hilf R.A、「組織中の酸化および還元グルタチオンを測定するための蛍光法」、Analytical Biochemistry (1977)、Vol.74、p.214-226]に従って評価した}のレベルおよび割合を評価することによって調べた。
【0083】
ATP(またはアデノシン三リン酸)は、エネルギーに富む化合物である。これは、主にミトコンドリアによって産生される。細胞は、細胞骨格、イオンチャンネル、栄養物の取込み、および多数の他の生物学的過程を制御する多くの酵素の活性のためにATPを必要とする。
グルタチオン(GSH)は、酸化ストレスまたはある種の汚染物質(水銀または鉛など)から細胞を保護するために、細胞によって産生されるペプチドである。還元された形態のGSHに関係する3個のアミノ酸が、特異的な細胞質酵素(これがATPを使用する)によって結合される。GSHレベルの増加は、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(解毒酵素)の活性を高める。
【0084】
試験結果を以下の表に示す。
【表4】

SC-抽出物は、インビトロ培養したヒト線維芽細胞のDNA、ATP、タンパク質の割合を明らかに刺激した。
【0085】
実施例4:リポキシゲナーゼに対する阻害試験
リポキシゲナーゼを、特異的基質(不飽和脂肪酸)および試験物質と共にインキュベートした。次いで、放出されたスーパーオキシド・アニオンの割合を、ルミノール発光プローブによって評価した。
0.03%(w/v)のSC-抽出物によるスーパーオキシド・アニオンの対照に対する阻害率は89%であった。この抽出物は、リポキシゲナーゼ活性により生成されるスーパーオキシド・アニオンなどの反応性酸素種を安定化する明らかな潜在力を誘発した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シサンドラ・チネンシス果実の抽出物。
【請求項2】
以下の成分を含有する組成物:
(a)請求項1に記載の抽出物、シザンドリン、デオキシシザンドリン、シサンドリンC、ゴミシンA、ゴミシンN、プレゴミシンおよびノルジヒドログアイアレチン酸からなる群から選択される物質、ならびに、
(b)化粧品目的に一般的な助剤および/または添加剤。
【請求項3】
成分(b)が、油成分、界面活性剤、乳化剤、油脂、ワックス、真珠色化ワックス、増粘剤、濃厚剤、超脂肪化剤、安定剤、ポリマー、シリコーン化合物、レシチン、リン脂質、生物起源の活性成分、脱臭剤、抗微生物剤、発汗防止剤、皮膜形成剤、ふけ防止剤、膨潤剤、防虫剤、ヒドロトロープ剤、可溶化剤、防腐剤、芳香油および染料からなる群から選択される請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の抽出物の製造方法であって、以下の工程を含んでなる方法:
(a)シサンドラ・チネンシス果実を、水、アルコール、エステル、炭化水素、ケトン、ハロゲン化炭化水素および超臨界流体、好ましくは超臨界二酸化炭素からなる群から選択される溶媒(好ましくは、75重量%のエタノールと25重量%の水の混合物を溶媒として使用する)で抽出して、抽出物と溶媒を含有する混合物を得る工程、ならびに、
(b)このようにして得た混合物から溶媒を除去する工程。
【請求項5】
UV-A放射によって損傷したヒト皮膚の処置のための薬剤を製造するための、または、ヒト皮膚におけるメラニン合成の抑制のための薬剤を製造するための、請求項1に記載の抽出物、シザンドリン、デオキシシザンドリン、シサンドリンC、ゴミシンA、ゴミシンN、プレゴミシンおよびノルジヒドログアイアレチン酸からなる群から選択される物質の使用。
【請求項6】
化粧品調製物を製造するための、請求項1に記載の抽出物、請求項2または3に記載の組成物、シザンドリン、デオキシシザンドリン、シサンドリンC、ゴミシンA、ゴミシンN、プレゴミシンおよびノルジヒドログアイアレチン酸からなる群から選択される物質の使用。
【請求項7】
ヒト身体の化粧処置のための、請求項1に記載の抽出物、請求項2または3に記載の組成物、シザンドリン、デオキシシザンドリン、シサンドリンC、ゴミシンA、ゴミシンN、プレゴミシンおよびノルジヒドログアイアレチン酸からなる群から選択される物質の使用。

【公表番号】特表2007−510000(P2007−510000A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538717(P2006−538717)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012278
【国際公開番号】WO2005/044289
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(502021660)コグニス・フランス・ソシエテ・パール・アクシオン・サンプリフィエ (21)
【氏名又は名称原語表記】COGNIS FRANCE, S.A.S
【Fターム(参考)】