説明

植物栽培システム

【課題】棚それぞれの位置決めを容易ならしめることにより、栽培作業の効率を向上させる。
【解決手段】収納棚10それぞれが左右方向に並べられた状態でガイドレール20にガイドされつつ移動するため、容易に位置決めすることができる。及び初期位置を中心に左右方向に移動可能な状態で天井からつり下げるつり下げ部20と収納棚10それぞれの上方から収納棚10における最上段の設置部に向けて給水するホース30を設けて、収納棚10における左右方向の移動を一定範囲にわたって許容する長さとしている。これにより、建物内により多くの棚を設置したとしても、種苗の配置、水やり、収穫、といった栽培作業時のスペース確保が迅速に行うことができ、栽培作業の効率が著しく向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建物内において植物の栽培を行うシステムとして、例えば、床に沿って移動可能な多段ラック式の棚を複数並べたものが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3105482号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記システムは、棚それぞれが床側に設けられた車輪にて自走する構成であるため、棚それぞれの位置決めが難しく、作業性が非常に悪い。具体的には、建物内において植物を栽培する関係上、建物内により多くの棚を設置することが必要とされるところ、位置決めが難しいために、種苗の配置、水やり、収穫、といった栽培作業時のスペース確保に時間と手間を要してしまうからである。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、棚それぞれの位置決めを容易ならしめることにより、栽培作業の効率を向上させるための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため第1の構成(請求項1)は、それぞれに栽培トレイを設置するための設置部が上下方向に形成されてなる収納棚と、複数の前記収納棚を左右方向に並べた位置関係で、かつ、初期位置を中心に左右方向に移動可能な状態で天井からつり下げるつり下げ部と、前記収納棚それぞれの上方から、該収納棚における最上段の設置部に向けて給水するホースであり、該収納棚における左右方向の移動を一定範囲にわたって許容する長さとなっている給水ホースと、を備えている。
【0007】
また、前記収納棚において、前記設置部それぞれは、該設置部に設置された栽培トレイを浸水させられる程度の深さを有するトレイ状となっており、最上段の設置部には、前記給水ホースからの給水箇所から前後方向および左右方向のいずれか一方の方向を給水方向とした場合に、該給水方向の一端側から他端側に向けて傾斜する通水路が形成され、かつ、該給水方向の他端から下方に向けて給水する給水路が形成されており、それ以外の設置部には、上段の設置部からの給水箇所における前記給水方向の一端側から他端側または他端側から一端側に向けて傾斜する通水路が形成され、かつ、該給水方向の前記給水方向の他端側または一端側から下方に向けて給水する給水路が形成されている。
【0008】
そして、前記つり下げ部は、前記収納棚の上端部それぞれを保持した状態で、該上端部の左右方向への移動をガイドするガイドレールを備えている。
このように構成された植物栽培システムによれば、収納棚それぞれが左右方向に並べられた状態でガイドレールにガイドされつつ移動するため、容易に位置決めすることができる。これにより、建物内により多くの棚を設置したとしても、種苗の配置、水やり、収穫、といった栽培作業時のスペース確保が迅速に行うことができ、栽培作業の効率が著しく向上する。
【0009】
さらに、給水ホースが、収納棚における左右方向の移動を一定範囲にわたって許容する長さとなっているため、作業時のスペースとして必要な範囲に応じた長さを設定しておくことにより、給水が妨げられることなく、栽培作業時のスペースを確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】植物栽培システムの全体構成を示す上面図および正面図である。
【図2】植物栽培システムの詳細を示す正面図である。
【図3】植物栽培システムの詳細を示す側面図である。
【図4】別の実施形態における植物栽培システムの詳細を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(1)全体構成
植物栽培システム1は、図1に示すように、建物内において植物の栽培を行うシステムである。この植物栽培システム1は、図2,図3に示すように、それぞれに栽培トレイを設置するための設置部12が上下方向に形成されてなる収納棚10と、複数の収納棚10を左右方向に並べた位置関係で、かつ、初期位置を中心に左右方向に移動可能な状態で天井からつり下げるつり下げ部20と、収納棚10それぞれの上方から、該収納棚10における最上段の設置部12に向けて給水する給水ホース30と、を備えている。
【0012】
これらのうち、給水ホース30は、対応する収納棚10における左右方向の移動を一定範囲にわたって許容する長さとなっている。
また、収納棚10は、前後方向に延びる矩形の構造体となっており、設置部12それぞれの上方に、この設置部12に設置された栽培トレイへの投光を行う光源(本実施形態では、特定波長の蛍光灯またはLED)40が配置されている。
【0013】
また、収納棚10における設置部12それぞれは、該設置部12に設置された栽培トレイを浸水させられる程度の深さを有するトレイ状となっている。
また、最上段の設置部12には、給水ホース30からの給水箇所である給水方向の一端側から他端側に向けて傾斜する通水路が形成されており、該給水方向の他端から下方に向けて給水する給水路14が形成されている。また、それ以外の設置部12には、上段の設置部12からの給水箇所である給水方向の一端側から他端側または他端側から一端側に向けて傾斜する通水路が形成され、該給水方向の給水方向の他端側または一端側から下方に向けて給水する給水路16が形成されている。
【0014】
また、つり下げ部20は、収納棚10を構成する支柱それぞれの上端部に設けられた車輪22と、車輪22それぞれを保持した状態で、この車輪22の左右方向への移動をガイドするガイドレール24と、を備えている。
(2)作用,効果
このように構成された植物栽培システム1によれば、収納棚10それぞれが左右方向に並べられた状態でガイドレール24にガイドされつつ移動するため、容易に位置決めすることができる。これにより、建物内により多くの棚を設置したとしても、種苗の配置、水やり、収穫、といった栽培作業時のスペース確保が迅速に行うことができ、栽培作業の効率が著しく向上する。
【0015】
さらに、給水ホース30が、収納棚10における左右方向の移動を一定範囲にわたって許容する長さとなっているため、作業時のスペースとして必要な範囲に応じた長さを設定しておくことにより、給水が妨げられることなく、栽培作業時のスペースを確保できる。
【0016】
本実施形態における植物栽培システム1は、建物内において植物を栽培する関係上、建物内により多くの収納棚10を設置することが必要とされるため、全ての収納棚10それぞれに対して作業スペースを確保することはできない。
【0017】
この課題に対し、本実施形態では、各収納棚10を順次左右方向に移動させていくことにより、この作業スペースを収納棚10と共に移動させていくことができるため、全体で1つの収納棚10に対応する作業スペースだけを確保しておけばよく、その結果、建物内により多くの収納棚10を設置することが可能になる。
(3)変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0018】
例えば、上記実施形態においては、単体の収納棚10が天井からつり下げられる構成を例示したが、天井からつり下げられた収納棚10の下端側に、さらに別の収納棚10を取り付けた構成としてもよい。この場合、図4に示すように、建物における天井から床面までの高さに応じて収納棚10全体の高さを調整できるように調整部材50を設けておくことが望ましい。
【符号の説明】
【0019】
1…植物栽培システム、10…収納棚、12…設置部、14…給水路、16…給水路、20…つり下げ部、22…車輪、24…ガイドレール、30…給水ホース、40…光源、50…調整部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに栽培トレイを設置するための設置部が上下方向に形成されてなる収納棚と、
複数の前記収納棚を左右方向に並べた位置関係で、かつ、初期位置を中心に左右方向に移動可能な状態で天井からつり下げるつり下げ部と、
前記収納棚それぞれの上方から、該収納棚における最上段の設置部に向けて給水するホースであり、該収納棚における左右方向の移動を一定範囲にわたって許容する長さとなっている給水ホースと、を備え、
前記収納棚において、
前記設置部それぞれは、該設置部に設置された栽培トレイを浸水させられる程度の深さを有するトレイ状となっており、
最上段の設置部には、前記給水ホースからの給水箇所から前後方向および左右方向のいずれか一方の方向を給水方向とした場合に、該給水方向の一端側から他端側に向けて傾斜する通水路が形成され、かつ、該給水方向の他端から下方に向けて給水する給水路が形成されており、
それ以外の設置部には、上段の設置部からの給水箇所における前記給水方向の一端側から他端側または他端側から一端側に向けて傾斜する通水路が形成され、かつ、該給水方向の前記給水方向の他端側または一端側から下方に向けて給水する給水路が形成されており、
前記つり下げ部は、
前記収納棚の上端部それぞれを保持した状態で、該上端部の左右方向への移動をガイドするガイドレールを備えている
ことを特徴とする植物栽培システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−139206(P2012−139206A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1297(P2011−1297)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(511006203)株式会社中央グリーンシステム (3)
【Fターム(参考)】