説明

植物栽培ハウス用二酸化炭素供給システム及び二酸化炭素供給装置

【課題】着火、消火時などの不完全燃焼によって発生する高濃度のCOを含んだ燃焼ガスをハウス内に供給することなく、植物の成長に必要な二酸化炭素を供給する。
【解決手段】燃焼バーナー1と、燃焼バーナーに連結された暖房機2と、暖房機に連結された煙道3と、燃焼気をバイパスさせるバイパス路4と、バイパス路から分岐すると共に栽培ハウス内へ連通され、切り替え弁5の切り替えによってバイパス路内の二酸化炭素を植物栽培ハウスPHへ分岐供給しうる分岐供給管6とからなる。燃焼バーナーの着消火状態が状態変更されてから一定の禁止時間内においては、「強制禁止時間制御」として、切り替え弁をOFFの状態に強制制御し、栽培ハウス内への不完全燃焼ガスの流入を強制遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培用温室である植物栽培ハウスにおいて、木質系バイオマスを燃料とする燃焼バーナーの燃焼気(排ガス)(排ガス)を用いて植物の成長に必要なCO2を供給する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メロン等の果物は一般に植物栽培ハウス内で栽培するのが普通である。この植物栽培ハウス内ではCO2濃度を高くすると植物の栽培に有効であることが知られているが、植物栽培ハウス内は密閉状態となって充分な外気が供給されず、特に冬期は昼間の暖かい時間を除いて植物栽培ハウスを開放しないため、CO2が不足し、植物の成長に悪影響を与えている。
【0003】
従来、植物栽培ハウス内のCO2濃度を高める方法として、植物栽培ハウス用暖房機の煙突より排出される燃焼気(排ガス)の一部又は全部をそのまま植物栽培ハウス内へ導入して利用する方法が知られているが、植物栽培ハウス用暖房機の燃料として一般に用いられている重油では燃焼気(排ガス)中に植物に有害であるSOが多量に含まれることが問題となる。
【0004】
木質系バイオマスを燃料とした場合、燃焼気(排ガス)中のSOを大幅に低減することが可能であるが、化石燃料に比べて着火、消火に時間がかかるため、その間の不完全燃焼によって発生する高濃度のCOを含んだ燃焼気(排ガス)が植物栽培ハウス内に供給されることが問題であった。
【0005】
この点に関し、従来、植物栽培ハウス暖房用燃焼装置の煙突より排出される燃焼気(排ガス)の中に含まれるCOと、SOをあわせて除去することにより、燃焼気(排ガス)をクリーンとし、そのガスを植物栽培ハウス内に戻す装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。しかしこの装置では燃焼気(排ガス)の処理に新たな熱源と触媒が必要となるなど大掛かりであり、また追加的にエネルギーが必要となる。このため、完全燃焼時の燃焼気(排ガス)のみを植物栽培ハウス内に供給する方法が求められている。
【特許文献1】実用新案登録第3025591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明では、木質系バイオマスを燃料とする植物栽培ハウス暖房用燃焼装置の燃焼気(排ガス)を用いて、着火、消火時などの不完全燃焼によって発生する高濃度のCOを含んだ燃焼気(排ガス)を植物栽培ハウス内に供給することなく、植物の成長に必要なCO2を供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明では下記(1)〜(4)の手段を講じている。
【0008】
(1)本発明の植物栽培ハウス用二酸化炭素供給システムは、
木質系バイオマスを燃料とし、バーナー燃焼によって燃焼気を発生させる燃焼バーナー1と、
燃焼バーナー1に連結されると共に燃焼バーナー1によって供給される燃焼気を熱交換して得た温風空気を植物栽培ハウスPH内に供給する温風供給装置2と、
温風供給装置2に連結されて燃焼バーナー1の燃焼気を外部へ排出する煙道3と、
温風供給装置2または煙道3にバイパス接続され、燃焼バーナー1による燃焼気をバイパスさせるバイパス路4と、
バイパス路4から分岐すると共に切り替え弁5を介して植物栽培ハウスPH内へ連通され、切り替え弁5の切り替えによってバイパス路4内の燃焼気(排ガス)を二酸化炭素ガスとして植物栽培ハウスPHへ分岐供給しうる分岐供給管6と、
植物栽培ハウスPHとからなる植物栽培ハウス用二酸化炭素供給システムであって、
切り替え弁5をON/OFFに切り替えて植物栽培ハウスPHへの燃焼気(排ガス)の分岐供給を開始/停止させうる切り替え手段bと、
燃焼バーナー1を着消火させうる着消火制御手段cとを有してなり、
着消火制御手段cによって燃焼バーナー1の着消火状態が状態変更されてから一定の禁止時間内においては、「強制禁止時間制御」として、切り替え手段bによって切り替え弁5をOFFの状態に強制制御し、分岐供給管6から植物栽培ハウスPH内への不完全燃焼気(排ガス)の流入を強制遮断することを特徴とする。
【0009】
木質系バイオマスを燃料とする燃焼バーナー1においては、着火、消火後の一定の時間は燃焼状態が不安定であり、排気ガスに必ず不完全燃焼気(排ガス)が混入してしまう。この禁止時間は燃焼バーナー1において常に一定であるから、上記のように切り替え弁5を強制遮断することで機械的手段によって確実に不完全燃焼気(排ガス)の流入を強制遮断することができる。
【0010】
また燃焼バーナー1の排気ガスを再利用する上記植物栽培ハウス用二酸化炭素供給システムにおいては、所定の間欠時間毎に着消火状態を識別し、着火状態であって着火から禁止時間が経過した安定燃焼時にのみ二酸化炭素供給を行なうことが好ましい。このシステムにおいては、消火時の切り替え弁5の遮断対応の機会が時に得られ、消火時の不完全燃焼気(排ガス)の流入を確実に遮断することができる。
【0011】
また着火命令が発せられたときは、着火から禁止時間経過後に自動的に切り替えON状態となるため、二酸化炭素の分岐供給の機会を、簡易な制御方式によって容易に得ることができる。例えば後述の実施例1において、着消火識別手段aによって識別された燃焼バーナー1の着消火から一定の禁止時間内は、切り替え手段bによって切り替え弁5を閉状態に強制制御することで、分岐供給管6から植物栽培ハウスPH内への不完全燃焼気(排ガス)の流入を強制遮断する。
【0012】
(2)前記植物栽培ハウス用二酸化炭素供給システムにおいては、
煙道3内に設けられて煙道3内の燃焼排気の温度を検知する排気温検知手段eを有してなり、
切り替え手段bによる切り替え弁5の切り替えON動作によって植物栽培ハウスPHへの二酸化炭素の分岐供給を許可される許可時間が、
排気温検知手段eによって検知された排気温度が所定の閾値を超えている時間内に設定されたものであることが好ましい。
【0013】
上記のものであれば、煙道3内の排気温度が閾値を超えている時間内は分岐供給許可となる。煙道3内の排気温度は、燃焼バーナー1の安定燃焼時に上昇し安定するものであり、このときには必然的に燃焼排気内の不完全燃焼気(排ガス)が含まれないものとなる。着火消火時の禁止時間を越えてもなお一酸化炭素等の不完全燃焼気(排ガス)が含まれている場合に、上記のような制御を行なうシステムであれば、排気温度の検知という簡易な手段をもってバルブ遮断要求を簡易に判別することができる。
【0014】
(3)前記いずれかの二酸化炭素供給システムにおいて、
植物栽培ハウスPH内に設置されて植物栽培ハウスPH内の一酸化炭素濃度を検知する室内一酸化炭素濃度検知手段Sg1を有してなり、
切り替え手段bによる切り替え弁5の切り替えOFF動作によって植物栽培ハウスPHへ二酸化炭素の分岐供給を禁止される禁止時間が、
室内一酸化炭素濃度検知手段Sg1によって検知された植物栽培ハウスPH内の一酸化炭素濃度が所定の閾値を超えている時間内に設定されたものであることが好ましい。
【0015】
上記システムにおいては、植物栽培ハウスPH内の一酸化炭素濃度が閾値を超えている時間内は分岐供給禁止となる。
【0016】
さらに上記システムと組み合わせて、植物栽培ハウスPH内の二酸化炭素濃度を検知する室内二酸化炭素濃度検知手段Sg2を有してなり、切り替え手段bによる切り替え弁5の切り替えON動作によって植物栽培ハウスPHへ二酸化炭素の分岐供給を許可される時間が、室内二酸化炭素濃度検知手段Sg2によって検知された植物栽培ハウスPH内の二酸化炭素濃度が所定の閾値未満となっている状態の時間内に設定されたものとすることができる。
【0017】
(4)また、本発明の二酸化炭素供給装置MDは、
燃焼バーナー1によるバーナー熱を熱交換して得た供給気を植物栽培ハウスPH内ヘ温風供給する温風供給装置2、及び燃焼バーナー1の排煙の煙道3に付属し、燃焼バーナー1の排煙を、温風供給装置2を通じて二酸化炭素ガスとして植物栽培ハウスPH内に供給する二酸化炭素供給装置MDであって、
煙道3に設けられて煙道3内の排煙をバイパスさせるバイパス路4と、バイパス路4に介設された切り替え弁5と、切り替え弁5及び温風供給装置2に連通接続される分岐供給管6とから構成されてなり、
前記バイパス路4は、煙道3途中の分岐口41hから分岐し、煙道3の周囲の一部を廻って切り替え弁5の一側方へ連通接続される第二バイパス管42を有し、分岐供給管6は、切り替え弁5のうち前記第二バイパス管42側と反対側の他側方へ連通接続されることを特徴とする。
【0018】
このようなものであれば、切り替えON状態のとき排煙が、分岐供給管6を通じて切り替え弁5の一側方から他側方へ略直線状に流通することとなる。そして排煙の流通路は、第二バイパス管42から分岐供給管6まで滑らかに連なることで、分岐部の排煙流通がよどみの少ない滑らかなものとなる。
【0019】
また第二バイパス管42が煙道3の一部外周を巻回することで、バイパス路4の距離を稼ぎ、バイパスを流通する間に排煙温度を下げることができる。これにより、切り替え弁5以降の分岐路乃至植物栽培ハウスPH、及び各種検知手段への温度負担を低減しうる。
【0020】
この二酸化炭素供給装置MDはさらに、前記(1)ないし(3)の植物栽培ハウス用二酸化炭素供給システムにおいて用いられることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
この発明の植物栽培ハウス用二酸化炭素供給システムないし二酸化炭素供給装置は、上記のような構成を有しており、植物栽培ハウスへの温風供給装置のために発生させた燃焼バーナーの燃焼気(排ガス)を用いて、植物の成長に必要なCO2を供給することができる。また着火、消火時などの不完全燃焼によって発生する高濃度のCOを含んだ燃焼気(排ガス)を植物栽培ハウスPH内に供給することなく、二酸化炭素ガスを安定して供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の好適な実施形態を実施例として示す図面と共に説明する。図1は、実施例1の植物栽培ハウス用二酸化炭素供給システムの正面視全体構成の説明図であり、図2は図1のうち温風ファン22付近及び二酸化炭素供給装置MD付近を示す正面視部分拡大説明図である。図3及び図4はそれぞれ図2のA−A線側面視断面説明図及び平面視部分拡大説明図であり、共に二酸化炭素供給装置MDの取り付け状態を示す。図5は図3の側面視中央断面説明図であり、切り替え弁5の断面構造を示す。また図6は切り替え弁5の背面視構造の説明図である。
【0023】
また図11は、本発明の植物栽培ハウス用二酸化炭素供給システムにおける排気温度と一酸化炭素ガス濃度との関係を示すグラフであり、これに基づいて本発明では排気温検知手段eによる許可時間の制御を行なっている。図12、図13はそれぞれ、植物栽培ハウス用二酸化炭素供給システムによる実施例1及び実施例2の制御フローを示すフロー図である。
【0024】
(植物栽培ハウス用二酸化炭素供給システムの構成)
この発明の植物栽培ハウス用二酸化炭素供給システムは、基本構成として、植物栽培ハウスPH内の室温を加温調節する植物栽培ハウス用暖房設備と、これに組み込まれた植物栽培ハウス用二酸化炭素供給装置MDとからなる。
【0025】
先ず、植物栽培ハウス用暖房設備は、少なくとも下記燃焼バーナー1、温風供給装置2、および煙道3の構成からなる。
・木質系バイオマスを燃料とし、燃焼によってバーナー熱を発生させる燃焼バーナー1
・燃焼バーナー1に連結されてバーナー熱を供給気に熱交換し、熱交換した供給気を温風ファン22とこれに接続された温風ダクト21によって植物栽培ハウスPH内ヘ温風供給する温風供給装置2
・温風供給装置2に連結されて燃焼バーナー1の燃焼排気を外部へ排出する煙道3
そして前記植物栽培ハウス用暖房設備に付属する植物栽培ハウス用二酸化炭素供給装置MDは、下記バイパス路4、排気ファン32、分岐供給管6および切り替え弁5の構成からなる。
・煙道3に2箇所以上で貫通し、煙道3内の気流をバイパスさせるバイパス路4
・バイパス路4内に介設され、煙道3内の排ガスを吸引流通させる排気ファン32
・バイパス路4から分岐し、切り替え弁5を介して植物栽培ハウスPH内へ連通され、バイパス路4内の排ガスを植物栽培ハウスPHへ分岐供給しうる分岐供給管6
・バイパス路4と分岐供給管6との分岐部または分岐供給管6内に介設され、分岐供給のON/OFFを切り替える切り替え弁5
そして上記構成からなる植物栽培ハウス用二酸化炭素供給システムは暖房用制御装置および二酸化炭素供給用制御装置が組み込まれてなり、植物栽培ハウスPH内への暖房機能と二酸化炭素供給機能とを兼用し、更に組み込まれた暖房/二酸化炭素供給の切り替え制御によって、いずれかの機能を優先して行なうものとしている。このうち二酸化炭素供給機能は、二酸化炭素供給用制御装置内に制御優先順位とともに設定された各制御内容の実行によって、木質系バイオマスを燃料とする植物栽培ハウス用暖房設備の燃焼気(排ガス)を用いて植物の成長に必要なCO2を植物栽培ハウスPHに供給する。以下、各構成につき詳述する。
【0026】
(燃焼バーナー1)
燃焼バーナー1は木質バイオマス燃料を主燃焼材として燃焼し、バーナー燃焼によって温風供給装置2のバーナー噴出室24内に燃焼気を発生させるものである。図1に示すようにガンタイプのものが好ましい。具体的には一次燃焼室を内部に有したバーナー本体10と、バーナー本体10の前方開口に接続されたバーナーノズル11と、バーナーの着消火を制御する着消火制御手段c及びバーナー本体10の後部に内装された着消火装置12とを具備する。
【0027】
バーナー本体10の上部にはペレット供給管13に接続するための上部接続口が設けられ、木質バイオマス燃料であるペレットが、ペレット貯留庫14の下部の排出口14eからペレット供給管13内に供給され、ペレット供給管13内を管内送給されたのち、バーナー本体10の上部接続口から一次燃焼室内に落下投入される。
【0028】
バーナー本体10の前方には前方開口が設けられ、ここにバーナー噴出のためのバーナーノズル11が水平方向前方を向けて固定される。バーナーノズル11は、部分円錐状の先端縮径部の先に円筒部が固設された内部のガンノズル111と、その周囲に隙間を設けてその周囲を覆うカバーノズル112とから構成される。ガンノズル111の先端は温風供給装置2のバーナー接続口2cからバーナー噴出室24内に挿入されており、このバーナー噴出室24内にバーナー噴出して燃焼気を発生させる。
【0029】
バーナー本体10の後部には、一次燃焼室内の着消火状態を識別する着消火識別手段aと、一次燃焼室での着火及び消火を行なう着消火装置12と、着消火識別手段aによる着火状態か消火状態かの識別内容に応じて着消火装置12による消火または着火あるいは状態維持の制御を行なう着消火制御手段cとを具備する。
【0030】
(温風供給装置2)
温風供給装置2は、燃焼バーナー1によって内部へバーナー噴出されるバーナー噴出室24を有し、図1に示すように、バーナー噴出室24は、後側面下部が燃焼バーナー1に接続され、前側面上部が煙道3に接続され、さらに天面が熱交換器23の熱交換体に接触するように接続される。具体的にはバーナー噴出室24の後壁面の下部に燃焼バーナー1が接続するバーナー接続口2cが設けられ、このバーナー接続口2cから、所定の隙間を開けて燃焼バーナー1のバーナーノズル11のガンノズル111が挿入される。バーナー噴出室24内のバーナーノズル11のガンノズル111の周囲に所定の隙間を空けて室内ノズルが設けられ、前記所定の隙間を通じてバーナー接続口2cからさらに燃焼空気が取り入れられ、バーナー噴出室24内で、燃焼バーナー1内の燃焼に続く後次燃焼が行なわれる。
【0031】
バーナー噴出室24の上部には、燃焼気の燃焼熱を熱交換する熱交換器23が設けられ、燃焼気の一部はこの熱交換器23の熱交換体からなる熱交換チャンバー内へ取り込まれ、熱交換体と接触することで熱交換される。熱交換器23によって、バーナー熱から熱媒体空気へ熱交換され、加温された熱媒体空気が温風ファン22によって温風ダクト21先の植物栽培ハウスPH内に送出される。熱交換器23の熱交換方式は温水、温風を問わない。
【0032】
バーナー噴出室24の前壁面の上部、すなわちバーナー噴出室24のうち燃焼バーナー1接続側と反対側の壁面上方には、排気チャンバー31と接続するための排気口が設けられ、この排気口に排気チャンバー31が連通固定される。
【0033】
(排気チャンバー31、煙道3)
温風供給装置2内のバーナー噴出室24に連通して温風供給装置2側面に排気チャンバー31が設けられ、この排気チャンバー31の上面から円柱状の煙道3が上方伸長する。煙道3は次述する二酸化炭素供給装置MDの第一乃至第三バイパス管41〜43によってバイパスされ、このうち第一バイパス管41と第二バイパス管42との間に排気ファン32が介設されている。この排気ファン32によって、バーナー噴出室24からの燃焼気(排煙)を煙道3上方の排出先へ吸引排出する。
【0034】
(二酸化炭素供給装置MD)
そして前記煙道3、温風供給装置2のバーナー噴出室24または熱交換器23、或いは排気チャンバー31のいずれかに、バイパス管によって二酸化炭素供給装置MDが介設され、この二酸化炭素供給装置MDによって、燃焼気又は排煙の一部を取り込み、取り込んだ燃焼気又は排煙を、温風供給装置2の熱交換器23、温風ファン22または温風ダクト21或いは植物栽培ハウスPH内に分岐供給する。但し、各検知手段及び各制御手段によって、燃焼機又は排煙の一部が二酸化炭素を多く含み、栽培植物施肥用の二酸化炭素ガスとして供給可能な状態の場合にのみ分岐供給するものとしている。
【0035】
実施例では煙道3の途中に二酸化炭素供給装置MDのバイパス管が接続されるが、他に、バイパス管の少なくとも一方は、バーナー噴出室24内や熱交換器23の一部熱交換体と代替した部分、或いは排気チャンバー31に接続されてもよい。
【0036】
また実施例では二酸化炭素供給装置MDによる分岐供給先として分岐供給管6の先が温風供給装置2の温風ファン22に接続されるが、他に分岐供給管6の接続先は、熱交換器23内や温風ダクト21、或いは植物栽培ハウスPHとしても良い。
【0037】
実施例の二酸化炭素供給装置MDは下記基本構成を具備する。以下、各構成につき詳述する。
・煙道3に設けられて煙道3内の排煙をバイパスさせるバイパス路4
・バイパス路4間に介設された排気ファン32
・バイパス路4間の排気ファン32よりも後方に介設された切り替え弁5
・基端側が切り替え弁5に分岐接続されると共に先端側が温風供給装置2に設けられた温風ファン22に連通接続された分岐供給管6
(バイパス路4)
煙道3の排気チャンバー31付近には、下方から順に分岐口41hおよび煙道接続口43hが形成され、これら分岐口41hおよび煙道接続口43h間を下方から上方へ気流バイパスするバイパス路4が設けられる。
【0038】
バイパス路4は具体的には、第一バイパス口41hから排気ファン32までを連通接続する第一バイパス管41、排気ファン32から切り替え弁5までを連通接続する第二バイパス管42、切り替え弁5から煙道接続口43hまでを連通接続する第三バイパス管43とからなる。そして第一バイパス管41と第二バイパス管42の間に排気ファン32が介設され、接続管42と第三バイパス管43の間に切り替え弁5が介設される。
【0039】
第一バイパス管41は、図1の正面側に水平に伸びる断面円形の部分短管ダクトからなり、一端が斜め方向に切断された切断口を第一バイパス口41hとして煙道3に繋がると共に、他端の円形接続口が排気ファン32の吸気口に繋がる。
【0040】
第二バイパス管42は図1の正面側から側面側を廻って背面側へ連なる断面円形のスパイラルダクトからなり、一端が正面側にある排気ファン32の噴出し口に繋がり、煙道3の外側に沿って半周余りを巻回して横方向に周回し、他端が背面側にある切り替え弁5に繋がる。
【0041】
第二バイパス管42が切り替え弁5の一側方へ連通接続されると共に分岐供給管6が切り替え弁5のうち前記第二バイパス管42側と反対側の他側方へ連通接続されることで、切り替えON状態すなわち分岐流通のとき排煙は、切り替え弁5の対向両側方を通じて、分岐供給管6へ向かって略水平方向へ直線状に流通することとなる。排煙の流通速度が必要以上に上がることなく、また第二バイパス管42から分岐供給管6まで滑らかに連なることで、分岐流通がよどみの少ない滑らかなものとなる。
【0042】
また第二バイパス管42が煙道3の周囲の一部を廻って繋がれることで、バイパス路4の距離を稼ぎ、且つ略水平方向の緩速流通によって、バイパスを流通する間に排煙温度が自然冷却される。上下バイパスのような上方向への流通と異なり、熱対流の影響を受けることが無いため、切り替え弁5への温度負担、ないしは切り替え弁5以降の分岐路乃至植物栽培ハウスPHや各種検知手段への温度負担を低減しうる。
【0043】
また第二バイパス管42のうち、排気ファン32の噴出し口付近には、一酸化炭素濃度センサSf(排気濃度検知手段f)が設けられる。
【0044】
第三バイパス管43は図1の背面側において切り替え弁5の上部からベンド形成されたベンド管ダクト431と、ベンド管から連なって煙道3へ斜めに伸長した直管ダクト432とからなり、ベンド管ダクト431の一端が切り替え弁5の弁板51によって仕切られる弁室50に上方接続すると共に、鉛直上方向ないし傾斜上方向に連通して、直管ダクト432の他端である上端部が斜め方向に切断された切断口を煙道接続口43hとして煙道3に繋がる(図3)。 切り替え弁5が切り替えOFFの状態すなわち分岐流通禁止の状態では、バイパス路4は、煙道3の外周の一部を囲う水平方向に気流バイパスしたのちに切り替え弁5の前記弁室50の一側面に連通し、さらに弁室50の上面から連通して煙道3にバイパス返通する。ここで煙道接続口43hは、前記煙道3途中の分岐口41hよりも高位置にあるため、第一バイパス管41から排気ファン32、第二バイパス管42及び第三バイパス管43へ向かって、上方流通することとなる。熱上昇と排気ファン32の排風とによって滑らかな排煙流通が可能となる。
【0045】
(排気ファン32)
排気ファン32は、切り替え弁5が切り替えON状態のとき分岐供給管6を通じて排煙を横方向へ分岐吸送し、切り替え弁5が切り替えOFF状態のときバイパス路4を通じて排煙を上方へバイパス吸送する。
【0046】
上記のような二酸化炭素供給装置MDでは、排気ファン32の運転によって、通常バイパス時(分岐禁止時)、分岐時のいずれにおいても排煙が強制排出される。特に燃焼バーナー1の燃焼中には排気ファン32を常時運転させることで、排煙ガスを温風供給装置2から効率的に排出し、排気効率を向上させることができる。この排気効率の向上に伴って新鮮空気が効率的に取り込まれ、燃焼状態が安定したまま保たれる。このことは二酸化炭素ガスの分岐供給の禁止時間を短くし、効率的な二酸化炭素施肥を行なうことに繋がる。
【0047】
(切り替え弁5)
実施例1の切り替え弁5を図4〜図7に、実施例2の切り替え弁5を図8〜図10に、それぞれ示す。いずれの切り替え弁も、流入側、第一流出側、第二流出側からなる三方向に開口した弁室内に、可動軸52で回転しうる弁体を有し、可動軸52の先に連結された切り替え手段bによって、可動軸52を回転駆動させる。可動軸52の回転によって、弁体は弁室の開口のうち第一流出側か第二流出側のいずれかを閉塞し、流入側からの燃焼気を第二流出側、第一流出側のいずれかのみへ流出させる。
【0048】
(実施例1の切り替え弁5)
実施例1の切り替え弁5は、一側部の流入口、前記流入口に対向する他側部の流出口、および上部流出口を有した弁室50と、
弁室50内にて略水平の可動軸52に回動可能に取り付けられた弁板51と、
弁室50外の側部にて、延軸させた可動軸52の先にカップリングジョイント53を介して接続され、可動軸52の回転駆動によって弁板51を回動させるロータリーソレノイド54(切り替え手段b)と、
弁室50内に斜方向壁部を有して固定され、弁室50内を一の流出口側と他の流出口側とに区切る内部隔壁55と、
内部隔壁55の斜方向壁部に形成され、弁板51の回動によって閉塞または解放される隔壁開口55hを有する。
【0049】
そして本実施例の弁板51は、可動軸52を中心として約45度の範囲を回動する弁板からなり、弁室50内に突出したベンド管ダクト431の下端に当接する水平位置、乃至、斜方向壁部に当接する傾斜位置の各位置間をフラップ回動する。これにより、水平位置で上部流出口を閉塞して分岐供給の切り替えON状態となり、傾斜位置で隔壁開口55hを閉塞して分岐供給切り替えOFF状態となる。
【0050】
弁室50は直方体形状の内部空間であり、直方体形状の両側面が側部流入口、側部流出口として開口され、それぞれ第二バイパス管42および分岐供給管6に接続されるとともに、上面が上部流出口として開口され、第三バイパス管43の下部を構成するベンド管ダクト431に接続される。また弁室50内には、内部隔壁55の上方であって側部流出口寄りの位置に、可動軸52が水平貫通形成され、この可動軸52に係止して弁板51が回動可能に収容される。
【0051】
なお弁室50内の下面であって側部流入口付近には、一酸化炭素濃度センサSf(排気濃度検知手段f)が貫通設置されていてもよい(図示せず)。この貫通設置位置は、第一、第二バイパス管41、42内を燃焼気(排ガス)が流通してある程度の温度低下が生じる位置であり、また分岐供給される直前の位置であるため、燃焼気の分岐供給の可否を確実に検知しうる。
【0052】
なお上記のほか、排気温センサSe(排気温検知手段e)を煙道3内ではなく、図6、図7の二点鎖線で示す一酸化炭素濃度センサSfの位置に設けたものとしてもよい。このとき、より耐熱性に優れた排気温センサSe(排気温検知手段e)を一酸化炭素濃度センサSfの代わりに使用するので、燃焼気の高温化によるセンサ異常の問題が生じにくい。
【0053】
ベンド管ダクト431の下部は、弁室50の上部を貫通し、弁室50の上面から可動軸52と略同一高さまで円筒状に突出した突出下端431tを有する。突出下端431tには、ベンド管ダクト431の管内空間である上部流出口55uが形成される。
【0054】
内部隔壁55は側部流出口側から弁室50内を斜方向に区切る傾斜板を有し、この傾斜板に矩形の隔壁開口55hが形成される。内部隔壁55にはまた、隔壁開口55hの開口縁に沿う矩形枠状に、上方突出した枠突出部55tが形成される。枠突出部55tは、内部隔壁55の傾斜板から上面側へ等高に突出固定された筒状矩形枠からなる。
【0055】
弁板51の裏面には、枠突出部55tの形状に沿って、断熱材からなる枠状のパッキン51pが固定される。
【0056】
切り替えONの状態では、弁板51が上限の水平位置まで回動し、ベンド管ダクト431の突出下端431tに当接して上部流出口55uを閉塞するとともに、隔壁開口55hが解放状態となる。
切り替えOFFの状態では、弁板51が下限の傾斜位置まで回動し、内部隔壁55に枠状突出形成された枠突出部55tに当接して上部流出口55uを閉塞するとともに、隔壁開口55hが解放状態となる。このとき、弁板51のパッキン51pが枠突出部55tに当接し、弁板51の表側にあたる燃焼気(排ガス)によって風密されることで、側部流出口への流出を確実に遮蔽する。また燃焼気(排ガス)は側部流入口から水平流通して弁室50内に入ったのち、傾斜位置の弁板51の表側の面にあたって上方に流通方向を変える。つまり弁板51が燃焼気のベンド部の一部を構成し、大きなよどみを生じさせることなく切り替えOFF状態の燃焼気の流通を円滑化させている。
【0057】
分岐供給管6は、前記弁室50と対向した他側面に連通し、水平方向に伸びて暖房供給装置2の温風ファン22に連通接続される。
【0058】
(実施例2の切り替え弁5)
実施例1の切り替え弁5は、図8〜図10に示すように、一側部の流入口、前記流入口に対向する他側部の流出口、および上部流出口を有して内部に弁室が確保されたケーシング59と、
ケーシング59内に略水平の中央可動軸52で回動可能に収容され、側面三方向にバルブ開口56hが設けられた、横長円筒状のバルブ体56と、
ケーシング59外の側部にて、延軸させた可動軸52の先にカップリングジョイント53を介して接続され、可動軸52の回転駆動によってバルブ体56を回動させるロータリーソレノイド54(切り替え手段b)と、
前記延軸させた可動軸52のうち、カップリングジョイント53のカップリング部に固定され、一放射方向に延伸する棒体からなるスイッチドグ57と、
ケーシング59外の側部であって、前記スイッチドグ57の取付位置の上下にそれぞれ取り付けられ、スイッチドグ57の可動軸52の回動に伴ってスイッチドグ57の変位した先端が接触しうる接触型の上リミットスイッチ58A,下リミットスイッチ58Bとから構成される。
【0059】
バルブ体56は、断面円形の周側面のうち、対向する2つの位置と、これらの間にある一つの位置にバルブ孔56hを有する。ケーシング59で囲われた弁室は、両側面と上部の3つの位置に、第二バイパス管42に接続された流入側、第三バイパス管43に接続された第一流出側、分岐管6に接続された第二流出側からなる三つのダクト接続開口を有する。この弁室内でバルブ孔56hを有するバルブ体56が回動することで、バルブ体56のバルブ孔の位置が回転してずれることで、第一流出側、第二流出側のいずれか一方の流通が遮断され、他方のみ流通が可能となる。このバルブ体56の回動によって切り替えON/OFF状態が切り替えられる。
【0060】
たとえば図9、図10は、切り替えON状態であって第二流通側(out2方向)への分岐供給を行う状態を示している。このとき、バルブ体56の3つのバルブ孔のうち、対向する2つのバルブ孔56hが水平方向を向き、それぞれケーシング59の流入側、第二流通側の開口と共通することで、燃焼気の内部水平流通が可能となる。また弁室の上面側にある第一流通側の開口は、バルブ体56の側面によって閉塞される。このときバルブ体56の三つ目のバルブ孔56hは鉛直下方を向いており、ケーシング59によって閉塞される(図9、図10)。
【0061】
また切り替えOFF状態では、バルブ体56が、切り替えON状態から中央の可動軸52を中心に、図9にて右回り方向へ略90度回転した状態となる。このとき、切り替えON状態で第二流通側に配されていたバルブ孔56hはケーシング59の下面側に移動して遮蔽される。また共に、切り替えON状態でケーシング59の流入側に配されていたバルブ孔56hはケーシング59上面の第一流出側の開口位置に移動して開口し、切り替えON状態でケーシング59の下面に配されて閉塞されていたバルブ孔56hは流入側の開口位置に移動して開口する。これにより一側方の流入側の開口と、上方の第一流出側の開口のみが開口されて燃焼気が相互流通し、バイパス管6への流通が遮断される。
【0062】
また、スイッチドグ57およびこれに先端当接する上下それぞれのリミットスイッチ58は、このバルブ体56の回転臨界位置を制御し、スイッチドグ57と上下いずれかのリミットスイッチが接触時に導電することでタッチスイッチの役割を果たす。
【0063】
なお実施例2では第二バイパス管42の下流側であって弁室50内の側部流入口付近には、一酸化炭素濃度センサSf(排気濃度検知手段f)が貫通設置されている(図9)。また第二バイパス管の上流側であって排気ファン32の出口付近には、排気温センサSe(e)が貫通設置される(図8)。
<制御手段>
植物栽培ハウス用二酸化炭素供給制御は、下記各手段によって行なわれる。
【0064】
・一定の禁止時間外において燃焼バーナー1の着消火状態を所定間欠時間毎に識別する着消火識別手段a
・切り替え弁5をON/OFFに切り替えて植物栽培ハウスPHへの分岐供給を開始/停止させうる切り替え手段b
・燃焼バーナー1を着消火させうる着消火制御手段c
・煙道3内に設けられて煙道3内の燃焼排気の温度を検知する排気温検知手段e
・植物栽培ハウスPH内の一酸化炭素濃度を検知する室内一酸化炭素濃度検知手段Sg1
・植物栽培ハウスPH内の二酸化炭素濃度を検知する室内二酸化炭素濃度検知手段Sg2
・植物栽培ハウスPH内に設置されて植物栽培ハウスPH内の温度を検知する室温検知手段d(Sd)
(着消火識別手段a)
着消火識別手段aは、一定の禁止時間外において燃焼バーナー1の着消火状態を所定間欠時間毎に識別する手段である。着消火識別手段aによる識別内容に応じて下記状態制御条件1、2からなる「状態制御」を、前記「強制禁止時間制御」よりも優先度の低い非優先的制御として行なう。
【0065】
・状態制御条件1:着消火識別手段aが着火状態を識別した場合には、切り替え手段bによって切り替え弁5をON状態に状態維持するとともに、着消火制御手段cによって着火状態のまま状態維持する。
【0066】
・状態制御条件2:着消火識別手段aが消化状態を識別した場合には、切り替え手段bによって切り替え弁5を切り替えOFF状態に状態変更するとともに、着消火制御手段cによる燃焼バーナー1の着火から一定の禁止時間経過後に、切り替え手段bによって切り替え弁5を自動的に切り替えON状態に状態変更する。
【0067】
(切り替え手段b)
切り替え手段bによる切り替え弁5の切り替えON動作によって植物栽培ハウスPHへ二酸化炭素の分岐供給を許可される許可時間が、時刻タイマー制御によって所定の時刻間/照度計によって所定の照度間に制限され、前記許可時間外では、切り替え手段bによって強制的に切り替えOFF状態とする。
【0068】
(排気濃度検知手段f)
排気濃度検知手段fは煙道3と連通した経路内であって植物栽培ハウスPH内以外の個所に設けられ、バイパス路4内の燃焼排気の一酸化炭素濃度を検知する。排気濃度検知手段fは例えば第二バイパス管42内に設けられる。
【0069】
切り替え手段bによる切り替え弁5の切り替えOFF動作によって植物栽培ハウスPHへの二酸化炭素の分岐供給を禁止される禁止時間が、排気濃度検知手段fによって検知された燃焼排気の一酸化炭素濃度が所定の閾値を超えている時間内に設定される。
【0070】
上記システムにおいては、バイパス路4内の燃焼排気の一酸化炭素濃度が閾値を超えている時間内は分岐供給禁止となる。比較的細いバイパス路4を通る燃焼排気は、一酸化炭素濃度を確実に検知しうる。特に排気濃度検知手段fをバイパス路4の切り替え弁5より手前の第二バイパス管42内に設けることで、切り替え弁5の切り替えON動作によって分岐供給されることとなる一酸化炭素濃度が確実に認識され、二酸化炭素供給量の制御をも容易に行なうことができる。
【0071】
(室内一酸化炭素濃度検知手段Sg1)
上記システムと組み合わせて、室内のガス濃度検知手段G2として、植物栽培ハウスPH内の一酸化炭素濃度を検知する室内一酸化炭素濃度検知手段Sg1を有してなり、切り替え手段bによる切り替え弁5の切り替えOFF動作によって植物栽培ハウスPHへ二酸化炭素の分岐供給を禁止される禁止時間が、室内一酸化炭素濃度検知手段Sg1によって検知された植物栽培ハウスPH内の一酸化炭素濃度が所定の閾値を超えている時間内に設定されたものとすることができる。
【0072】
(室内二酸化炭素濃度検知手段Sg2)
さらに上記システムと組み合わせて、植物栽培ハウスPH内に設置され、植物栽培ハウスPH内の二酸化炭素濃度を検知する室内二酸化炭素濃度検知手段Sg2を有してなり、前記タイマー制御による許可時間内において、切り替え手段bによる切り替え弁5の切り替えON動作によって植物栽培ハウスPHへ二酸化炭素の分岐供給を許可される時間が、室内二酸化炭素濃度検知手段Sg2によって検知された植物栽培ハウスPH内の二酸化炭素濃度が所定の閾値未満となっている状態の時間内に設定されたものとすることができる。
<制御方法>
上記制御手段によって行なわれる主な制御内容として、少なくとも「強制禁止時間制御」、「状態制御」、「排気温制御」、「時刻タイマー制御」又は「照度計制御」、並びに必要により「照度計制御」を組み合わせたものが挙げられる。
【0073】
制御手順の一例を説明する。先ず「時刻タイマー制御」として、燃焼バーナー1の着消火の制御方法を、予め設定した時間に到達したことによって、温度管理からCO2管理へ変更するように、プログラムする。つまり予め設定した時刻(たとえば午前4時から12時)においてのみ、燃焼バーナー1の着火、消火の制御方法が温度管理によるものからCO2管理によるものへ切り替わる。次に「ハウス内ガス濃度制御」により、室内に設定された室内二酸化炭素濃度検知手段Sg2たるCO2センサが、CO2濃度を検出する。この時、植物栽培ハウスPH内のCO2濃度が予め設定した閾値(CO2要求量)以下であれば、燃焼バーナー1及び二酸化炭素供給装置MDが運転を開始して、安定燃焼状態の燃焼気(排ガス)を植物栽培ハウスPHに供給する。
【0074】
なお、この「時刻タイマー制御」の代わりに、植物栽培ハウスPH内に設定した照度計によって所定の照度間にのみ運転を開始する「照度計制御」を行なっても良い。これは夜明け時の照度の緩上昇を検知して温度管理から二酸化炭素濃度管理に切り替わるものであり、一定の照度以上または照度の下降を検知して二酸化炭素濃度管理から温度管理に切り替わるものである。
【0075】
次に、「状態制御」として、燃焼バーナー1の着火運転にあわせて、煙道3内又はバイパス路4内に取り付けた排気温度検知手段eたる排気温センサSeが、煙突から排出される排気(燃焼気)中の温度計測を開始する。この計測結果から、排気温度が予め設定した下限閾値を超えたことをもって、CO濃度が設定濃度以下になったものとして、燃焼気(排ガス)供給装置の運転を開始する。これは図11に示すように排気温度とCO2濃度が相関関係にあり、さらにCO2濃度とCO濃度とが逆相関関係にあることに基づいた制御方法であり、確実な「排気温制御」によって、排気ガス濃度を代替制御したものである。
【0076】
図11は、実施例1の植物栽培ハウス用暖房設備において、燃焼バーナー1の着火、消火を含む継続運転をおこなったときの煙道の燃焼気(排気)について、測定開始時(13:50)の下線側から順に、排煙の一酸化炭素濃度、および排煙のガス温度の経時変化をグラフ化したものである。測定値はそれぞれ、一酸化炭素濃度センサSf(排気濃度検知手段f)、および、排気温センサSe(排気温検知手段e)による検出値である。グラフにおいて、燃焼バーナー1は、13:50頃着火したのち14:05頃に安定燃焼状態となり、その後15:00頃燃焼が一時的に弱燃焼となり、すぐに通常燃焼状態に戻ったのち、15:20頃消火された。その後15:35頃再着火されて10分ほどで安定燃焼状態となり、安定燃焼状態を経て16:35頃再び消火された。これら一連の着火、消火状態において、ガス温度とガス内に含まれる一酸化炭素濃度の両グラフはほぼ逆の挙動を示し、安定燃焼状態においては常に温度が180℃を超えると共に一酸化炭素濃度が180ppmを超えていることが読み取られる(図11)。このことから排気温度が一定の排気温下限閾値(例えば180℃)以下であれば、COがほどんど含まれない、すなわち二酸化炭素濃度の高い安定燃焼状態であり、このとき過剰なCOがほとんど含まれていないことが判明した。この結果を利用して、本発明ではCO濃度の測定の代わりに排気温度検知手段eたる排気温センサによってバイパス内の排気温度を代替測定し、排気温下限閾値を超えたか否かによって安定燃焼状態か否かを判別することとしている。これにより、ガス濃度計よりも耐熱性、耐久性に優れた温度センサを、分岐供給ガスのCO濃度、CO2濃度センサとして使用することができ、確実な安定燃焼状態の判別が可能となった。すなわち本発明で肝要なのは、排ガスに含まれるCO濃度の監視方法であって、排ガスを二酸化炭素ガスとして分岐供給する際に、排気温で安定燃焼判別を行うことである。
【0077】
(「供給気温度制御」)
なお排気温センサSeによって、前記燃焼状態の安定性とともに、温風供給装置2による供給気の温度制御を行なうことも可能である。すなわち、植物栽培ハウスPH内の温度管理に基づいて燃焼バーナー1を制御する温度管理状態においても、排気温度や燃焼気温度が低すぎて設定値を下回る場合には、温風供給装置2による供給空気の温度低下を識別することができる。このときの制御として例えば、排気温センサSeが予め設定した閾値未満になったことをもって、着火状態を所定時間継続させる制御を行なうか、或いは燃焼バーナー1に投入するペレット量を増加する制御を行なうことが挙げられる。
【0078】
ただし「状態制御」中に燃焼バーナー1の着消火制御によって着消火装置12を作動させた場合には、「強制禁止時間制御」として、切り替えからの経過時間(CO濃度、あるいは上記制御方法の切り替えからの経過時間の両方を計測してもよい)を計測し、所定の禁止時間経過までは強制的に燃焼気(排ガス)(排煙)の分岐供給をOFFとし、上記着消火装置12の作動からの経過時間が所定の設定時間に達したことをもって、燃焼気(排ガス)供給装置の運転を開始する(「強制禁止時間制御」)。
【0079】
そして最後に、「暖房/二酸化炭素供給の切り替え制御」として、植物栽培ハウスPH内に設置されたCO2センサ(室内二酸化炭素濃度検知手段Sg2)によって、植物栽培ハウスPH内のCO2濃度が設定濃度以上に達したことをもって燃焼気(排ガス)供給装置の運転が終了し、これをもって燃焼バーナー1の制御方法もCO2管理から温度管理に変更するものとする(「暖房/二酸化炭素供給の切り替え制御」)。
【0080】
そして、木質系バイオマス燃料の燃焼による完全燃焼時の燃焼気(排ガス)のみを植物栽培ハウスPH内に取り入れることで、植物栽培ハウスPH内において急激なCO濃度の上昇を起こすことなくCO2施用を行う。このようなものであれば、木質系バイオマス燃料を燃料とした燃焼バーナー1における完全燃焼時の燃焼気(排ガス)のみが植物栽培ハウスPH内に供給され、不完全燃焼時の燃焼気(排ガス)の植物栽培ハウスPH内への供給を防止することができる。これによりCO2施用中および長時間施用をおこなったのちも植物栽培ハウスPH内のCO濃度を安全な水準で保つことができる。以下、主な制御内容に付き詳述する。
【0081】
(「強制禁止時間制御」)
「強制禁止時間制御」として、着消火制御手段cによって燃焼バーナー1の着消火状態が状態変更されてから一定の禁止時間内においては、切り替え手段bによって切り替え弁5をOFFの状態に強制制御し、分岐供給管6から植物栽培ハウスPH内への不完全燃焼気(排ガス)の流入を強制遮断する。
【0082】
(「状態制御」)
「状態制御」として、着消火識別手段aによる識別内容に応じて下記状態制御条件1、2からなる制御を、前記「強制禁止時間制御」よりも優先度の低い非優先的制御として行なう。
【0083】
・状態制御条件1:着火が必要な場合であって着消火識別手段aが着火状態を識別した場合には、切り替え手段bによって切り替え弁5をON状態に状態維持するとともに、着消火制御手段cによって着火状態のまま状態維持する。
【0084】
・状態制御条件2:着火が必要な場合であって着消火識別手段aが消化状態を識別した場合には、切り替え手段bによって切り替え弁5を切り替えOFF状態に状態変更するとともに、着消火制御手段cによる燃焼バーナー1の着火から一定の禁止時間経過後に、切り替え手段bによって切り替え弁5を自動的に切り替えON状態に状態変更する。
【0085】
(排気温制御)
排気温制御として、植物栽培ハウスPHへの二酸化炭素の分岐供給を許可される許可時間が、排気温検知手段eによって検知された排気温度が所定の排気温下限閾値を超えている時間内に設定される。所定の排気温下限閾値を超えていない時間は植物栽培ハウスPHへの二酸化炭素の分岐供給を禁止する禁止時間となり、禁止時間中の分岐供給は絶対的に禁止される。禁止時間にあることを認識したときは切り替え手段bによる切り替え弁5の切り替えOFF動作が行われる。排気が排気温下限閾値を超えていること、すなわち許可時間にあることを認識したときは、他の制御事項による分岐供給禁止指令が出ていない限り、切り替えON状態を維持するか、切り替えON状態に状態変更して分岐供給させる。
【0086】
また排気が排気温下限閾値以下であること、すなわち禁止時間にあることを認識したときは、切り替えOFF状態を維持するか、切り替えOFF状態に状態変更する。この禁止時間中の切り替えOFF制御は、他の制御事項による分岐供給許可指令の有無に拘わらず優先的に実行される制御事項である。
【0087】
(時刻タイマー制御)
時刻タイマー制御によって、予め設定した時刻に到達したことによって、温風供給装置2の制御方法を温度管理からCO2管理、あるいは時間管理に変更する。具体的には、切り替え手段bによる切り替え弁5の切り替えON動作によって植物栽培ハウスPHへ二酸化炭素の分岐供給を許可される許可時間が、照度計又は時刻タイマーによって所定の時刻間に制限され、前記許可時間外では、切り替え手段bによって強制的に切り替えOFF状態とされる。二酸化炭素の施肥供給の要求は日照時間帯に限られるため、バルブ開閉を日照時間帯に合わせて制御することで、例えば日の出前に二酸化炭素の放出を完了させるなど、栽培植物の二酸化炭素要求に応じた簡易制御が可能となる。
【0088】
(照度計制御)
照度計制御によって、予め設定した照度の緩やかな上昇速度を検知すること、あるいは予め設定した下限閾値に到達したことによって、温風供給装置2の制御方法を温度管理からCO2管理、あるいは時間管理に変更する。
(制御の優先要求例)
制御の優先順序としては例えば、
・一次優先制御として、先ず時刻タイマーによって所定の日照時刻間内か否かを判別し、禁止時間内は切り替え弁5を閉状態に強制する「時刻タイマー制御」または「照度計制御」を行ない、
・一次優先制御の次に優先させる二次優先制御として、植物栽培ハウスPH濃度検知手段によって植物栽培ハウスPH内の二酸化炭素濃度を所定の間欠時間毎に検知し、検知した二酸化炭素量が所定の下限閾値よりも低い場合は燃焼バーナー1を着火させ、所定の上限閾値よりも高い場合は燃焼バーナー1を消火させる「ハウス内ガス濃度制御」を行い、
・二次優先制御の次に優先させる三次優先制御として、燃焼バーナー1の着消火から一定の禁止時間内か否かを判別し、禁止時間内は切り替え弁5を閉状態に強制する「強制禁止時間制御」を行ない、
・三次優先制御の次に優先させる四次優先制御として、排気温度検知手段e(Se)によって排気温度(排煙のガス温度)が所定の閾値を超えているか否かを判別し、ガス温度が下限閾値を超えている場合にのみ切り替え弁5を開状態にする「排気温制御」、或いは排気濃度検知手段f(Sf)によって燃焼排気の一酸化炭素濃度が所定のCO濃度上限閾値を超えているか否かを判別し、閾値を超えている場合にのみ切り替え弁5を開状態にする、排気濃度に基づく「状態制御」のいずれかを行なうものとしている。
【0089】
上記の一次優先制御が最も優先性の高い制御であり、次に二次優先制御、次に三次優先制御、そして最後に四次優先制御を行なう。これにより、高感度センサの設置や、複雑な制御システムの構築の必要が無く、簡易な制御手段によって要求に沿った二酸化炭素施肥を確実に行なうことができる。
【0090】
なお作物保護の観点から、ある一定以上(危険温度)に植物栽培ハウスPH内温度が上昇した場合、燃焼バーナー1を消火する制御を行うことが好ましい。自動開閉天窓を有さない植物栽培ハウスPHでは、天候によっては(雨の日など)想定以上に室内温度が上がる可能性があるからである。
【0091】
切り替え手段bにより切り替え弁5の分岐供給管6への管路が開状態となった後は、タイマー制御により「バルブ開からの,あらかじめ設定したバルブ開時間を経過したか」どうかを判断する。バルブ開時間の経過後には再び切り替え手段bにより切り替え弁5が制御され、切り替え弁5の分岐供給管6への管路が閉状態とされる。
【0092】
これにより、多少植物栽培ハウスPH内の温度が高くなっても,切り替え弁5の切り替えON状態及び燃焼バーナー1の着火状態をしばらく維持し、CO2施用を優先する。これにより、日照によって植物栽培ハウスPH温度が急激に上昇した場合でも十分な二酸化炭素量の供給を確保しうる。
【0093】
但し、室温センサSd(室温検知手段d)によって植物栽培ハウスPH内が予め設定された上限温度超状態が所定温度以上続いた/続くことを検知/予知すると、着消火制御手段c(着消火装置12)により燃焼バーナー1が消火され、これと共に切り替え手段bにより、切り替え弁5の分岐供給管6への管路が閉状態とされる。
【実施例1】
【0094】
図12は、実施例1の制御方法による、植物栽培ハウスPH内へのCO2供給方法の実施手順を図示したものである。図12に示すように、実施例1の制御方法は、まず「時刻タイマー制御」により、予め設定した時間に到達したことによって、燃焼バーナー1及びこれに接続された温風供給装置2の制御方法を温度管理からCO2管理に変更し、続けて「ハウス内ガス濃度制御」および「状態制御」により、植物栽培ハウスPH内のCO2濃度に応じて燃焼バーナー1の着火または消火を制御する。このときハウス内の二酸化炭素濃度が不足していても、「強制禁止時間制御」により、燃焼バーナー1の運転開始から設定時間を経過するまでは燃焼気(排ガス)の供給を禁止する。そして「排気温制御」により、煙突から排出される燃焼気(排ガス)のCO濃度が設定濃度以下になったことを排気温検知手段eで代替的に検知して、植物栽培ハウスPH内へ二酸化炭素ガス施肥として燃焼気(排ガス)の供給を行うものである。
【0095】
具体的には例えば、下記(イ)(ロ)制御方法を行う。
【0096】
(イ)着消火識別手段aによって識別された燃焼バーナー1の着消火から一定の禁止時間内においては、切り替え手段bによって切り替え弁5を閉状態に強制制御し、かつ分岐供給管6から植物栽培ハウスPH内への不完全燃焼気(排ガス)の流入を強制遮断する。
【0097】
(ロ)前記一定の禁止時間外、すなわち植物栽培ハウスPHへ二酸化炭素の分岐供給を行なう時間においては、着消火識別手段aが着消火状態を所定間欠時間毎に識別して、
(ロ−1)着消火識別手段aが着火状態を識別した場合には、切り替え手段b(54)によって切り替え弁5を開状態にするとともに、植物栽培ハウスPH内温度検知手段Eによって検知される植物栽培ハウスPH内温度による消火の優先要求がない限り、着消火制御手段c(12)及び切り替え手段bは着火状態及び開状態を保持する。
【0098】
(ロ−2)着消火識別手段a(Sa)が消化状態を識別した場合には、切り替え手段bによって切り替え弁5を閉状態に強制制御するとともに、着消火制御手段c(12)による燃焼バーナー1の着火から一定の禁止時間経過後に、切り替え手段bによって切り替え弁5を自動的に切り替えON状態にさせる。
【0099】
「ハウス内ガス濃度制御」によって、切り替え弁5が切り替えON状態となって燃焼気が分岐供給されたのちは、再び「ハウス内ガス濃度制御」によって、植物栽培ハウスPH内が必要な二酸化炭素濃度となっているかどうかを判別し、室内の二酸化炭素濃度があらかじめ設定された必要値以上であることを検知したとき、切り替え弁5が切り替えOFF状態とされ、燃焼気(排ガス)の分岐供給を終了する。あるいは燃焼気(排ガス)の分岐供給中であっても、「時刻タイマー制御」により、あらかじめ設定された二酸化炭素制御終了時刻に到達したことによって、切り替え弁5が切り替えOFF状態とされ、燃焼気(排ガス)の分岐供給を終了する。このようにして燃焼気(排ガス)の分岐供給を終了したのちは、「暖房/二酸化炭素供給の切り替え制御」として、ハウス内の温度管理による暖房の制御に切り替えられる。
【0100】
実施例1の制御方法は、植物栽培ハウスPH内の二酸化炭素濃度が予め設定された必要量以上となったことをもって、二酸化炭素供給制御を終了して温度管理の制御に切り替えるものである。また燃焼気の分岐供給途中であっても温度管理制御に強制的に切り替わるものとしており、時刻タイマー制御による分岐供給の開始および終了を一次優先制御事項として行い、温度管理制御を二酸化炭素供給制御よりも優先して行う制御方法となっている。
【実施例2】
【0101】
実施例2は、予め設定した時間に到達したことによって、木質系バイオマスを燃料とする植物栽培ハウス用暖房設備の制御方法を温度管理から時間管理に変更し、植物栽培ハウス用暖房設備の運転を時間で制御する。すなわち、燃焼バーナー1及び温風供給装置2の制御方法の切り替えをもって、植物栽培ハウス用二酸化炭素供給装置MDは燃焼気(排ガス)の分岐供給運転を開始する。
【0102】
図13は、実施例2の制御方法による、植物栽培ハウスPH内へのCO2供給方法の実施手順を図示したものである。実施例2の制御方法は、まず「時刻タイマー制御」により、予め設定した時間に到達したことによって、燃焼バーナー1及びこれに接続された温風供給装置2の制御方法を温度管理からCO2管理に変更し、続けて制御の第一判別項目として「時刻タイマー制御」による、二酸化炭素制御終了時刻に到達したか否かを判別する。
【0103】
二酸化炭素制御終了時刻に到達していない場合には、まず「状態制御」により二酸化炭素供給に必要な燃焼バーナー1の着火制御を行い、着火後は下記イロハの3項目を、切り替え手段bによる切り替え弁5の分岐供給切り替えON指令を出すまでの禁止項目としてチェックする。
【0104】
イ:「ハウス内ガス濃度制御」による室内一酸化炭素濃度のチェック(室内の一酸化炭素濃度が上限閾値を超えていないか)
ロ:「排気温制御」による燃焼気(排ガス)ガス濃度の代替チェック(排煙のガス温度が下限閾値を超えているか)
ハ:「強制禁止時間制御」による安定燃焼到達のチェック(燃焼バーナー1の運転開始から設定時間を経過しているか)
そして、上記イ:「ハウス内ガス濃度制御」ロ:「排気温制御」ハ:「強制禁止時間制御」のすべての制御によるチェック内容を満たした場合にのみ、切り替え手段bによる切り替え弁5の分岐供給を行う。植物栽培ハウスPH内への燃焼気(排ガス)の供給は、予め設定した制御方法の切り替えからの経過時間の到達をもって終了し、これをもって該暖房機の制御方法も時間管理から温度管理に変更する。
【0105】
実施例2の制御方法は、時刻タイマー制御による分岐供給の開始および終了を一次優先制御事項として行い、燃焼気の分岐供給途中であっても温度管理の制御に切り替えるものとしており、温度管理制御を二酸化炭素供給制御よりも優先して行う制御方法である。
【0106】
(二酸化炭素供給システムの他の実施例)
なお、植物栽培ハウスPH内に設置されて植物栽培ハウスPH内の温度を検知する室温検知手段dたる室温センサSdを有したものとしても良い。この場合、室温検知手段dによって検知される植物栽培ハウスPH内の温度が所定の閾値を所定時間以上超えた場合、着消火制御手段cによって燃焼バーナー1を消火させると共に、切り替え手段bによって強制的に切り替え弁5の切り替えOFF動作とする。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、植物栽培ハウスにおいて木質系バイオマスを燃料とする植物栽培ハウス用暖房機の燃焼気(排ガス)を用いて植物の成長に必要なCO2を供給する方法について利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の実施例1の植物栽培ハウス用二酸化炭素供給システムの正面視装置構成説明図。
【図2】図1のうち、実施例1の二酸化炭素供給装置MD付近を示す正面視部分拡大説明図。
【図3】実施例1の二酸化炭素供給装置MDを示す図2のA−A線側面視断面説明図。
【図4】図1のうち、実施例1の二酸化炭素供給装置MD付近を示す平面視部分拡大説明図。
【図5】図4のうち、切り替えOFF状態の切り替え弁5付近の構造を示す平面視部分拡大説明図(図7のB−B線断面図)。
【図6】図4のうち、切り替えON状態の切り替え弁5付近の構造を示す平面視部分拡大説明図(図7のB−B線断面図)。
【図7】切り替えOFF状態の切り替え弁5の構造を示す図5のC−C線断面説明図。
【図8】実施例2の二酸化炭素供給装置MD付近を示す平面視説明図。
【図9】切り替えON状態にある実施例2の二酸化炭素供給装置MD付近を示す図8のD−D線背面視断面説明図。
【図10】切り替えON状態にある実施例2の二酸化炭素供給装置MD付近を示す図9のE−E線左側面視断面説明図。
【図11】本発明の植物栽培ハウス用二酸化炭素供給システムにおける排気温度と一酸化炭素ガス濃度との関係を示すグラフ。
【図12】本発明の実施例1の植物栽培ハウス用二酸化炭素供給システムによる制御フローを示すフロー図。
【図13】本発明の実施例2の植物栽培ハウス用二酸化炭素供給システムによる制御フローを示すフロー図。
【符号の説明】
【0109】
1 燃焼バーナー
10 バーナー本体
11 バーナーノズル
12 着消火装置(着消火制御手段c)
13 ペレット供給管
14 ペレット貯留庫
2 温風供給装置
2c バーナー接続口
21 温風ダクト
22 温風ファン
23 熱交換器
24 バーナー噴出室
3 煙道
31 排気チャンバー
32 排気ファン
32s ファン吸気口
32e ファン排気口
4 バイパス路
41 第一バイパス管
41h 分岐口
42 第二バイパス管
43 第三バイパス管
431 ベンド管ダクト
432 直管ダクト
43h 煙道接続口
5 切り替え弁
50 弁室
50u 上部流出口
51 弁板
52 可動軸
53 カップリング
54 ロータリーソレノイド(切り替え手段b)
55 内部隔壁
6 分岐供給管
6h 分岐供給口
PH 植物栽培ハウス
MD 二酸化炭素供給装置
着消火識別センサSa(着消火識別手段a)
室温センサSd(室温検知手段d)
排気温センサSe(排気温検知手段e)
一酸化炭素濃度センサSf(排気濃度検知手段f)
室内一酸化炭素濃度検知手段Sg1(室内濃度検知手段g)
室内二酸化炭素濃度検知手段Sg2(室内濃度検知手段g)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質系バイオマスを燃料とし、バーナー燃焼によって燃焼気を発生させる燃焼バーナー1と、
燃焼バーナー1に連結されると共に燃焼バーナー1によって供給される燃焼気を熱交換して得た温風空気を植物栽培ハウスPH内ヘ供給する暖房機2と、
暖房機2に連結されて燃焼バーナー1の燃焼気を外部へ排出する煙道3と、
暖房機2または煙道3にバイパス接続され、燃焼バーナー1による燃焼気をバイパスさせるバイパス路4と、
バイパス路4から分岐すると共に切り替え弁5を介して栽培ハウスP内へ連通され、切り替え弁5の切り替えによってバイパス路4内の二酸化炭素を植物栽培ハウスPHへ分岐供給しうる分岐供給管6と、
植物栽培ハウスPHとからなる植物栽培ハウス用二酸化炭素供給システムであって、
切り替え弁5をON/OFFに切り替えて植物栽培ハウスPHへの分岐供給を開始/停止させうる切り替え手段bと、
燃焼バーナー1を着消火させうる着消火制御手段cとを有してなり、
着消火制御手段cによって燃焼バーナー1の着消火状態が状態変更されてから一定の禁止時間内においては、「強制禁止時間制御」として、切り替え手段bによって切り替え弁5をOFFの状態に強制制御し、分岐供給管6から栽培ハウスP内への不完全燃焼ガスの流入を強制遮断することを特徴とする植物栽培ハウス用二酸化炭素供給システム。
【請求項2】
煙道3内の燃焼排気の温度を検知する排気温検知手段eを有してなり、
切り替え手段bの切り替えON動作によって植物栽培ハウスPHへの二酸化炭素の分岐供給を許可される許可時間が、
排気温検知手段eによって検知された排風温度が所定の閾値を超えている時間内に設定されたものである請求項1記載の植物栽培ハウス用二酸化炭素供給システム。
【請求項3】
植物栽培ハウスPH内の一酸化炭素濃度を検知するハウス内濃度検知手段Gを有してなり、
切り替え手段bの切り替えOFF動作によって植物栽培ハウスPHへ二酸化炭素の分岐供給を禁止される禁止時間が、
ハウス内濃度検知手段Gによって検知された植物栽培ハウスPH内の一酸化炭素濃度が所定の閾値を超えている時間内に設定されたものである1、2、3または4のいずれか記載の植物栽培ハウス用二酸化炭素供給システム。
【請求項4】
燃焼バーナー1によるバーナー熱を熱交換して得た供給気を植物栽培ハウスP内ヘ温風供給する温風供給装置、及び燃焼バーナー1の排煙の煙道3に付属し、燃焼バーナー1の排煙を、温風供給装置を通じて二酸化炭素ガスとして植物栽培ハウス内に供給する二酸化炭素供給装置MDであって、
煙道3に設けられて煙道3内の排煙をバイパスさせるバイパス路4と、バイパス路4に介設された切り替え弁5と、切り替え弁5及び温風供給装置に連通接続される分岐供給管6とから構成されてなり、
前記バイパス路4は、煙道3途中の分岐口から分岐し、煙道3の周囲の一部を廻って切り替え弁5の一側方へ連通接続される第二バイパス管42を有し、分岐供給管6は、切り替え弁5のうち前記第二バイパス管42側と反対側の他側方へ連通接続される二酸化炭素供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−124802(P2010−124802A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305710(P2008−305710)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(304045077)株式会社相愛 (11)
【Fターム(参考)】