説明

植物栽培具

【課題】 植物の生育が可能な栽培層に対し容易且つ確実性高く給水を行うことができる植物栽培具の提供。
【解決手段】 上部箱状部50b1の底板50b1Aの中央位置である下部角筒部50b2の上端中央部に、上端部が尖頭状に形成された細板状の挿入基体50b3を上向きに突設する。挿入基体50b3は、支持棒50b7により支持さする。挿入基体50b3の上部のスリット部50b5に紐状体54を掛止して挿入基体50b3に紐状体54を添設することにより、刺入導水部59が構成する。紐状体54の下部は下部角筒部50b2内における貯水部60の底部に垂下され、補給部62を構成する。栽培層58を形成するロックウールは、刺入導水部59が中央部下方から刺入された状態で、内容器50b内の底板50b1A上に支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜等の植物の栽培を簡便に行うための植物栽培具に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜等の植物の栽培を家庭で手軽に行うことができる植物栽培具として、特開2009−165460には、使用済みのペットボトルを半分に切断して下半分を外側容器とし、出入口のある上半分を内側容器とした植物栽培容器が記載されている。
【0003】
この植物栽培容器は、内側容器に脱着自在に挿入可能な本体と、該本体に保持され前記外側容器内の水を前記本体の上面側に導く吸水部材とを備え、前記本体を、前記内側容器の出入口にガタのない状態で挿入するのに適した形状の脚部と、該脚部の上部に結合し前記内側容器の出入口の近傍の内壁面に嵌合するのに適した形状の前記出入口の横断面積よりも広い遮蔽用の面積を有する蓋部とより構成し、前記蓋部の上に植物栽培用の土壌を載せるようにしたものである。
【0004】
この植物栽培容器においては、本体の周囲と内側容器の内壁面との隙間から土壌が落ちるのを阻止するための吸水性を備えた素材から成る土止め部材を設け、該土止め部材の前記内側容器を遮蔽する方向の面積を前記蓋部の遮蔽用の面積より大きく設定し、該土止め部材を前記吸水部材に接触させて前記蓋部の上面に固着し、蓋部と土止め部材に多数の孔を形成し、孔を通じて植物の根が外側の容器の底部に伸びるようにしてある。
【0005】
この植物栽培容器は土壌を用いるものであるが、土壌に代えてロックウールやマット状の繊維集合体等の栽培層を用いて栽培を行う場合、吸水部材を介して栽培層に対し確実に給水を行うことができないおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−165460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的とするところは、植物の生育が可能な栽培層に対し容易且つ確実性高く給水を行うことができる植物栽培具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明の植物栽培具は、
上方に突起し、毛管現象により水系液体を導き得る1又は2以上の刺入導水部と、
植物の生育が可能な栽培層を、下方から前記刺入導水部を刺入された状態で支持し得る支持部と、
給水源から前記刺入導水部へ水系液体を導く補給部を有し、
前記補給部によって給水源から前記刺入導水部へ導かれた水系液体が、前記刺入導水部を通じて前記栽培層内に導入されるものであることを特徴とする。
【0009】
植物の生育が可能な栽培層に、その下方から、上方に突起する刺入導水部が刺入された状態とすることにより、栽培層を支持部により容易に支持し得ると共に、補給部によって給水源から刺入導水部へ水系液体(水又は肥料を含んだ水溶液等の植物の生育を害しない水溶液)を導き、その水系液体を刺入導水部を通じ栽培層内に導入して給水を確実性高く行うことができる。
【0010】
また、栽培層を刺入導水部から離脱させ、別の栽培層に、その下方から、上方に突起する刺入導水部が刺入された状態とすることにより、栽培層を交換することもできる。
【0011】
(2) 本発明の植物栽培具は、上記刺入導水部の上端部が尖頭状であるものとすることができる。
【0012】
この場合、刺入導水部の上端部が尖頭状であることにより、栽培層に対する刺入導水部の刺入を容易に行うことができる。
【0013】
(3) 本発明の植物栽培具は、上記給水源から、上記補給部を経て刺入導水部へと、毛管現象により連続して水系液体が導かれることにより、その水系液体が上記栽培層内に導入されるものとすることができる。
【0014】
(4) 本発明の植物栽培具は、上記刺入導水部が上記支持部に設けられているものとすることができる。
【0015】
(5) 本発明の植物栽培具は、上記支持部が、上記栽培層の下側を支持し得るものであると共に、上下方向の透水性及び通気性を有するものとすることができる。
【0016】
(6) 本発明の植物栽培具は、上記栽培層の下側に防根層を有するものとすることができる。
【0017】
この場合、栽培層において栽培された野菜等の植物の根は防根層を通過し得ないので、栽培層において野菜等の植物を栽培した後、根が絡まって栽培層を新しいものに交換することに支障を来すことが防がれ、保水層を再利用して野菜等の植物の栽培を繰り返し行う上で好適である。
【0018】
(7) 本発明の植物栽培具は、
上記支持部を備えた栽培容器を有し、
その栽培容器内において、前記支持部上に上記栽培層の下側が支持されているものとすることができる。
【0019】
(8) 本発明の植物栽培具は、上記栽培容器内に給水源としての貯水部を有するものとすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の植物栽培具においては、植物の生育が可能な栽培層に、その下方から、上方に突起する刺入導水部が刺入された状態とすることにより、栽培層を支持部により容易に支持し得ると共に、補給部によって給水源から刺入導水部へ水系液体を導き、その水系液体を刺入導水部を通じ栽培層内に導入して給水を確実性高く行うことができる。
【0021】
また、栽培層を刺入導水部から離脱させ、別の栽培層に、その下方から、上方に突起する刺入導水部が刺入された状態とすることにより、栽培層を交換することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】植物栽培具の模式的断面図である。
【図2】別の植物栽培具の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(1) 本発明の植物栽培具の実施の形態の例を図1を参照しつつ説明する。
【0024】
(1-1) 図1に表わされた植物栽培具は、主として、合成樹脂製の栽培容器50、毛管現象により水系液体を導き得る紐状体54、及びロックウールからなる栽培層58よりなる。
【0025】
栽培容器50は、底面正方形状をなし上方に開口する箱状の外容器50aと、その外容器50a内に挿入される内容器50bからなる。
【0026】
内容器50bは、上端部外周に鍔状部50b4を有する正方形断面(この形状に限らない)の上方開口の上部箱状部50b1の底板50b1Aの中央部下側に、正方形断面(この形状に限らない)の下部角筒部50b2が下方に向かって突設されてなる。内容器50bは、外容器50a内に挿入されて内容器50bの鍔状部50b4の外周部が外容器50aの内周面にほぼ接する状態において、下部角筒部50b2の下端において外容器50aの内底面上に支持されている。下部角筒部50b2の周壁の相対する2箇所には、下端から上方に向かって略倒立U字状に形成された切欠部50b6を有する。
【0027】
下部角筒部50b2は上下に貫通し、上部箱状部50b1の底板50b1Aの中央位置である下部角筒部50b2の上端中央部には、上端部が尖頭状に形成された細板状の挿入基体50b3が上向きに突設されている。挿入基体50b3は、その基部が、底板50b1Aの下部角筒部50b2に臨む内周部から内方に伸びた支持棒50b7により支持されている。
【0028】
挿入基体50b3の上部には、上下方向のスリット部50b5が形成され、このスリット部50b5に紐状体54が掛止されて挿入基体50b3に紐状体54が添設されることにより、刺入導水部59が構成されている。
【0029】
外容器50a内における上部箱状部50b1よりも下方の部分が、水を貯留する貯水部60であり、貯水部60に水Wが貯留されている。
【0030】
紐状体54の下部は下部角筒部50b2内における貯水部60の底部に垂下され、補給部62を構成している。
【0031】
栽培層58を形成するロックウールは、刺入導水部59が中央部下方から刺入され、紐状体54が栽培層58の内部に接した状態で、内容器50b内の底板50b1A上に支持されている。
【0032】
栽培層58の外側面部は、実質上全面が全周にわたり上部箱状部50b1の内側面部に接している。
【0033】
上部箱状部50b1の底板50b1Aには、透水及び通気用の透孔Jを(好ましくは複数偏りなく、或いは多数満遍なく)有する。栽培層58において保持しきれない水は、透孔Jを通じて貯水部60に流下する。また栽培層58の下部は、透孔J及び貯水部60上の空間を通じて外部との通気性を有する。
【0034】
栽培層58上には、蒔いた種が水で流れることなどを防ぐための細かい砂利を配することができる。栽培層58の下側には、内容器50b内の底板50b1Aとの間に、通水性及び通気性を有し根の侵入を防ぐ防根層を配することができる。
【0035】
(1-2) この植物栽培具は、例えば、貯水部60に水を貯留し、栽培層58上に栽培する植物の種を蒔き、栽培層58に対し上方から水を供給してその植物の栽培に用いることができる。
【0036】
補給部62を構成する紐状体54の下部により毛管現象によって貯水部60から導びかれる水は、更に、刺入導水部59における紐状体54を通じて栽培層58の内部へ確実性高く給水され得る。栽培層58において野菜等の植物を栽培すると、上方からの水の供給が行われずに(又は、十分に行われずに)栽培層58において水分が低減しても、貯水部60に貯留された水系液体が栽培層58の内部に導かれ、栽培に要する水分等が補給される。
【0037】
(2) 本発明の植物栽培具の実施の形態の別の例を図2を参照しつつ説明する。
【0038】
(2-1) 図2に表わされた植物栽培具は、主として、合成樹脂製の栽培容器30、天然繊維および/または合成繊維が不規則に集合したマット状の保水層32、毛管現象により水系液体を導き得る織物製の帯状体34、合成繊維製の織物からなる防根層36、及びロックウールからなる栽培層38よりなる。マット状の保水層32と、その上側の防根層36は一体に接合されている。
【0039】
栽培容器30は、底面正方形状をなし上方に開口する箱状の外容器30aと、その外容器30a内に挿入される内容器30bからなる。
【0040】
内容器30bは、上端部外周に鍔状部30b4を有する正方形断面(この形状に限らない)の上方開口の上部箱状部30b1の底板30b1Aの中央部下側に、正方形断面(この形状に限らない)の下部角筒部30b2が下方に向かって突設されてなる。内容器30bが外容器30a内に挿入されて内容器30bの鍔状部30b4の下面が外容器30aの上端部により支持された状態において、内容器30bの下端部は外容器30aの内底面よりやや上方に位置する。
【0041】
上部箱状部30b1の底板30b1Aの中央位置には、上端部が尖頭状に形成された細板状の挿入基体30b3が、底板30b1Aと一体をなして上向きに突設されている。挿入基体30b3の上部に掛止孔30b5が形成され、この掛止孔30b5に帯状体34が挿通されて挿入基体30b3に帯状体34が添設されることにより、刺入導水部39が構成されている。
【0042】
上部箱状部30b1の底板30b1Aにおける挿入基体30b3の基端に沿う位置には、上部箱状部30b1内と下部角筒部30b2内を連通する帯状体挿通孔30b7が形成されている。
【0043】
外容器30a内における上部箱状部30b1よりも下方の部分が、水を貯留する貯水部40であり、貯水部40に水Wが貯留されている。
【0044】
帯状体34の下部は帯状体挿通孔30b7を通じて下部角筒部30b2内における貯水部40の底部に垂下され、補給部42を構成している。
【0045】
一体をなすマット状の保水層32と防根層36は、中央部に形成された上下貫通のスリットに刺入導水部39が貫通した状態で内容器30b内の底板30b1A上に配置され、その上に、刺入導水部39の上半部が下方から刺入された状態で栽培層38を形成するロックウールが配置されている。
【0046】
帯状体34は、保水層32内において保水層32に接すると共に栽培層38内において栽培層38に接する。
【0047】
栽培層38及び保水層32の各外側面部は、実質上全面が全周にわたり上部箱状部30b1の内側面部に接している。
【0048】
防根層36上には、例えば植物育成用の肥料を配することができ、栽培層38上には、蒔いた種が水で流れることなどを防ぐための細かい砂利を配することができる。
【0049】
上部箱状部30b1の底板30b1Aには、透水及び通気用の透孔Jを(好ましくは複数偏りなく、或いは多数満遍なく)有する。保水層32において保持しきれない水は、透孔Jを通じて貯水部40に流下する。また保水層32は、透孔J及び貯水部40上の空間を通じて外部との通気性を有する。
【0050】
(2-2) この植物栽培具は、例えば、貯水部40に水を貯留し、栽培層38上に栽培する植物の種を蒔き、栽培層38に対し上方から水を供給してその植物の栽培に用いることができる。
【0051】
上方から供給されて栽培層38に保持しきれない水は、防根層36を通じて保水層32に達し、保水層32に保持される。
【0052】
この植物栽培具においては、栽培層38の下方に、防根層36を介して保水層32を有し、防根層36は、栽培層38において生育する植物の根が保水層32へ侵入することを防ぐと共に、その防根層36を通じて、保水層32に保持された水が栽培層38に浸透し得る。
【0053】
また、保水層32に保持された水は、刺入導水部39の帯状体34により、毛管現象によって栽培層38の内部に補給される。
【0054】
そのため、保水層32に水を保持させた状態で栽培層38において野菜等の植物を栽培すると、上方からの水の供給が行われずに(又は、十分に行われずに)栽培層38において水分が低減しても、保水層32に保持された水系液体が、防根層36を通じて栽培層38に浸透すると共に刺入導水部39の帯状体34により栽培層38の内部に導かれ、栽培に要する水分が補給される。
【0055】
一方において、栽培層38において栽培された野菜等の植物の根は防根層36を通過し得ないので、栽培層38において野菜等の植物を栽培した後、栽培層38を形成するロックウールを刺入導水部39から抜き取って新しいものに交換して刺入導水部39を刺入させれば、栽培層38以外を再利用して野菜等の植物の栽培を容易に繰り返し行うことができる。
【0056】
また、栽培層38及び保水層32の各外側面部は、実質上全面が全周にわたり上部箱状部30b1の内側面部に接しているので、栽培層38において栽培された野菜等の植物の根が栽培層38の側方へ突出することや、栽培層38の側方へ根が突出したとしてもその根が側方から保水層32に侵入することが、可及的に防がれる。
【0057】
保水層32に対しては、補給部42を構成する帯状体34の下部により毛管現象によって貯水部40から導びかれる水が補給される。貯水部40から導びかれる水は、帯状体34を通じて栽培層38の内部へも補給され得る。
【0058】
(3) 栽培層は、植物の生育が可能なものである必要があり、保水性を有するものであることが望ましい。特に、植物の根が栽培層内で生育し、その植物の茎・葉部が栽培層上において生育し得るものとすることができる。栽培層は、例えば、主として各種繊維(ロックウール等の無機繊維、各種合成又は天然繊維等)からなるマット状物や各種塊状物、不規則に集合した若しくは絡み合った繊維から主としてなるマット状物や各種塊状物により構成し得、植物の種類に応じて生育に適したものを選択することが望ましい。プラスチックシート若しくはフィルム製又はその他のポットに栽培土やその他の栽培材を収容したものやその栽培土や栽培材に苗等の植物が植えられたポット苗を栽培層とすることもできる。
【0059】
(4) 刺入導水部は、上方に突起し、栽培層に対し下側から刺入し得、その全体又は部分が毛管現象により水系液体を導き得るものであり、1又は2以上有するものとすることができる。
【0060】
刺入導水部は、例えば、比較的硬質の材料からなる棒状又は細板状のもの、好適には尖頭状のものであって、栽培層(例えば繊維を主とする材料からなる栽培層或いはプラスチックシート等により覆われた栽培層)に突き刺して挿入することが可能なものとすることができる。
【0061】
刺入導水部の具体例としては、比較的硬質の合成樹脂等の棒状又は細板状の挿入基体に、帯状、紐状又はシート状の毛管現象を生じる材料を、挿入基体に形成したスリット部に掛止したり掛止孔(例えば上下位置に複数形成した掛止孔)に挿通する等により添設して刺入導水部が部分的に毛管現象を生じるものや、フェルト等の繊維材料を合成樹脂等により固めて棒状又は細板状に形成し、刺入導水部全体が毛管現象を生じるものを挙げることができる。
【0062】
また刺入導水部は、補給部によって給水源から導かれた水系液体を、刺入導水部を通じて栽培層内に導入するものであり、給水源から、補給部を経て刺入導水部へと、毛管現象により連続して水系液体が導かれることにより、その水系液体が上記栽培層内に導入されるものとすることができる。その例として、刺入導水部と補給部が一体状なすものとすることができ、具体的には、刺入導水部のうち上記挿入基体に添設されて毛管現象を生じる帯状部、紐状部又はシート状部等の毛管現象を生じる部分が、そのまま給水源へ延びて補給部をも構成するものや、刺入導水部が全体として毛管現象を生じ、そのまま給水源へ延びて補給部をも構成するものを挙げることができる。
【0063】
(5) 支持部は、栽培層を、下方から刺入導水部を刺入された状態で支持し得るものである。支持部は、例えば厚さ方向(上下方向)に透水可能な板状体(例えば複数又は多数の透孔を備えた板状体)、格子状体、網状体等とすることができる。
【0064】
刺入導水部は、支持部に設けられたものとすることができる。例えば、刺入導水部は支持部に対し上向きに突設されているものとすることができる。
【0065】
(6) 刺入導水部に給水源(例えば支持部の下方において水系液体を貯留する貯水部)から水系液体を導いて補給する補給部は、一方の側を刺入導水部に結合させ、他方の側を給水源の水系液体内に位置させて毛管現象により水系液体を導くもの(例えば、帯状体、紐状体又はシート状体、或いは、管内に繊維製の充填材が充填された管等)であることが好ましいが、水分含有量を検知し、水分含有量が所定値より低下した際に作動するポンプや開閉弁等により水系液体を給水源から保水層へ導くものとすることもできる。
【0066】
(7) 栽培容器は、栽培層を直接又は他の層を介して下方から支持し得る支持部をその栽培容器内に備えるものとすることができ、栽培層の各外側面部は、全周にわたり(好ましくは周方向に全周にわたり連続して)或いは全外側面が栽培容器の内側面部に接しているものとすることができる。
【0067】
栽培容器は、栽培層の下側に外部に通じ得る空間を有する状態で支持部が栽培層の下側を支持し得るものとして、栽培層に対する通気性を確保し得るものであることが好ましい。
【0068】
(8) 貯水部は、栽培容器内に有するものとすることができる他、栽培容器とは別に貯水部を設けることも可能である。
【0069】
(9) 栽培層上には、蒔いた種が水で流れることなどを防ぐための細かい砂利や砂又はこれらに相当するものを配することができる。
【0070】
(10) 粒状又はその他の形態の植物育成用の肥料を、栽培層内、又はその他の箇所に配することができる。
【0071】
(11) 防根層は、栽培層において生育する植物の根が下方部へ侵入することを防ぐものであり、水系液体の透水性を有し、通気性を有することが好ましい。防根層としては、例えば、各種合成若しくは天然繊維又は無機繊維からなる織物等の布地、各種合成樹脂シート等を用いることができる。防根層は、栽培層の下側の実質上全部(例えばそれらの層の厚さ方向に直交する方向における実質上全部)にわたり設けることができる。
【0072】
(12) 保水層は、栽培層の下側に直接又は防根層を介して積層して水系液体を保持し得、保持した水系液体が、直接又は防根層が間に位置する場合は防根層を通じて栽培層へ浸透し得るものとすることができる。保水層は、各種繊維(ロックウール等の無機繊維、各種合成又は天然繊維等)からなるマット状物や各種塊状物、不規則に集合した若しくは絡み合った繊維から主としてなるマット状物や各種塊状物により構成し得、保水性に優れるものが好ましい。保水層は、上面部が防根層により覆われたものとすることもできる。
【0073】
保水層は、支持部の下側にも設けることができる。支持部の上下の保水層は、補給部、刺入導水部、又はその他の毛管現象を示す材料により連結したものとすることができる。また、刺入導水部が上下の保水層における水系液体を栽培層に毛管現象により導くものとすることもできる。
【0074】
(13) また栽培層は、下面部が防根層により覆われると共に、栽培層の側面部のうち少なくとも下方部(根が栽培層から側面部外方へ突出しても保水層に達しない程度の側面部上方部を除く下方部としてもよいが、好ましくは側面部の全部である)が、栽培層から側方へ根が突出することを防ぐ防根側部により覆われており、防根層と防根側部が隙間なく接合して防根層と防根側部の境界から根が突出し得ないもの、例えば、防根層と防根側部が、方形若しくは円形等の各種底面形状の箱形状をなすものとすることができる。
【0075】
防根側部は、栽培層において生育した植物の根が外方へ貫通しないものであることを要し、透水性および/または通気性を有するものとすることができる。防根側部としては、例えば、各種合成若しくは天然繊維又は無機繊維からなる織物等の布地、各種合成樹脂シート等を用いることができる。
【0076】
(14) また保水層は、上面部が防根層により覆われると共に、保水層の側面部のうち少なくとも上方部(根が栽培層から出ても保水層に達しない程度の側面部下方部を除く上方部としてもよいが、好ましくは側面部の全部である)が、根が保水層内に侵入することを防ぐ防根側部により覆われており、防根層と防根側部が隙間なく接合して防根層と防根側部の境界から根が突出し得ないもの、例えば、防根層と防根側部が、方形若しくは円形等の各種底面形状の、下方開口の箱形状をなすものとすることができる。防根側部は上記と同様である。
【符号の説明】
【0077】
30 栽培容器
30a 外容器
30b 内容器
30b1 上部箱状部
30b1A 底板
30b2 下部角筒部
30b3 挿入基体
30b4 鍔状部
30b5 掛止孔
30b6 切欠部
30b7 帯状体挿通孔
32 保水層
34 帯状体
36 防根層
38 栽培層
39 刺入導水部
40 貯水部
42 補給部
50 栽培容器
50a 外容器
50b 内容器
50b1 上部箱状部
50b1A 底板
50b2 下部角筒部
50b3 挿入基体
50b4 鍔状部
50b5 スリット部
50b6 切欠部
50b7 支持棒
54 紐状体
56 防根層
58 栽培層
59 刺入導水部
60 貯水部
62 補給部
J 透孔
W 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に突起し、毛管現象により水系液体を導き得る1又は2以上の刺入導水部と、
植物の生育が可能な栽培層を、下方から前記刺入導水部を刺入された状態で支持し得る支持部と、
給水源から前記刺入導水部へ水系液体を導く補給部を有し、
前記補給部によって給水源から前記刺入導水部へ導かれた水系液体が、前記刺入導水部を通じて前記栽培層内に導入されるものであることを特徴とする植物栽培具。
【請求項2】
上記刺入導水部の上端部が尖頭状である請求項1記載の植物栽培具。
【請求項3】
上記給水源から、上記補給部を経て刺入導水部へと、毛管現象により連続して水系液体が導かれることにより、その水系液体が上記栽培層内に導入される請求項1又は2記載の植物栽培具。
【請求項4】
上記刺入導水部が上記支持部に設けられている請求項1、2又は3記載の植物栽培具。
【請求項5】
上記支持部が、上記栽培層の下側を支持し得るものであると共に、上下方向の透水性及び通気性を有する請求項1乃至4の何れか1項に記載の植物栽培具。
【請求項6】
上記栽培層の下側に防根層を有する請求項1乃至5の何れか1項に記載の植物栽培具。
【請求項7】
上記支持部を備えた栽培容器を有し、
その栽培容器内において、前記支持部上に上記栽培層の下側が支持されている請求項1乃至6の何れか1項に記載の植物栽培具。
【請求項8】
上記栽培容器内に給水源としての貯水部を有する請求項7記載の植物栽培具。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−13379(P2013−13379A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149602(P2011−149602)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000178583)山崎産業株式会社 (77)
【Fターム(参考)】