説明

植物栽培展示装置

【課題】 主として強度が充分とはいえない住宅の壁面やビルの中低層部の壁面を多種多様な植物で飾ることができ、植物を飾った後も装置の改造や模様替え、植物の交換、追加、配置換えが容易にでき、植物間の間隔を広げることも容易にでき、水やり、剪定、給肥、害虫除去などの世話も容易な植物栽培展示装置を提供する。
【解決手段】 植物栽培展示装置に、支持枠のほぼ垂直に立設される一対の支柱2と、該支柱2に上下方向に摺動自在に嵌合した全面に多数の開口部を有する平面体5と、該平面体5の適宜の開口部に取付手段8によって着脱自在に取り付けた植物栽培容器10の収納手段9と、前記平面体5を支柱2の上下方向に昇降させる移動手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面などに対峙して設置するのに最適で、複数の植物栽培容器を多段に、かつ、ほぼ垂直に支持し、植物の栽培、手入れ、展示を容易に、かつ、安価にすることができる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の壁面を植物で飾る方法としては、つる性の植物を地植えし、壁面を登攀させる方法がとられ、この方法は、木造住宅にも採用されていた。しかし、この方法は、緑化の達成が植物の成長まかせで時間がかかる上、外観も緑一色で単調であり、葉は必ずしも美しいとは言えず、しばしば不潔感を伴い、街の景観に寄与するとは必ずしも言えない問題があった。
【0003】
より多種多様な植物を飾るために、特開2003−134927号公報に記載のように、培土を入れたネット層又は囲板からなる植栽部と、この植栽部を着脱自在に保持する多数の保持枠体を並べて設けた植栽部ホルダーから成り、上記保持枠体は植栽部の仰角が角度自在に同一方向になるように設けたものが提案されている。これは、一つまたは複数の植栽部ホルダーを次々と壁面に直接取り付けるものであるが、これら重量物を取り付けるためには、壁は耐力壁でなければならず、耐力壁でない場合には柱や梁を探してこれに緊結しなければならず、設置費用が高く、設置後の枯死対応、剪定などの維持の費用が高く、コスト面から敬遠されるし、耐力壁を持たないことの多い木造住宅向きではない。
【0004】
また、特開2004−141174公報に記載のように、植物および培土を保持するポケットまたは巾着状の袋体を具備するシートと、このシートを張る、例えば単管足場に固定される鋼製枠状体等のシート張体とを備えたものも提案されている。これは、ポケットまたは袋体の容積に限度があるので、草花主体の、それも、短期の植栽に適しており、樹木には向いているとは言えない。さらに、シート張体は張力に耐えられる強度を必要とするので木造住宅壁面には使いづらい。
【0005】
また、特開平10−292401号公報、特開平10−248395号公報、特開平7−222526号公報に記載のように、一つまたは複数の培器を吊り下げた状態で昇降させるようにしたものも提案されている。これらは、培器を昇降させることができるので、地上に降ろして水やりや剪定を行うことができるが動揺するので昇降には慎重な操作が必要であり維持管理が容易とはいえないし、培器が頭上にぶら下がっているので、風で動揺し落下する危険があり、人が近づくことの多い住宅向きとはいえない。
【0006】
さらに、特開平9−23772号公報に記載のように、植物栽培容器を載置できる複数段の昇降棚を順次連結するとともに、昇降棚の少なくとも四隅が棚保持用アングルのガイド杆に沿うように設けてあり、最上段の昇降棚はチェーンブロックによって吊設されているものも提案されている。これは、装置全体が壁面外に大きく張出し、壁面直下を専有するのでわずかな土地しかないのが通常である木造住宅には不向きである。
【0007】
総じてこれらの従来提供されている装置は、初期投資額や維持コストが高く、設備費に厳しい制限のある住宅には使用しにくいものであった。そして、日本の伝統的な軸組構造のモルタル壁やタイル壁の住宅には強度的に取付困難であった。このため、ブロック塀などに多彩な植物、花、木を吊り下げて葉ぶり枝ぶり彩りを楽しんでいる人が、さらに植物を増やす際、培器の設置場所を塀からベランダ、窓手摺りの内側からさらに発展させて、住宅の外壁の高所へとひろげることは、従来提供されている装置ではあきらめる他になかった。
【特許文献1】特開2003−134927号公報(要約、代表図等)
【特許文献2】特開2004−141174公報(要約、代表図等)
【特許文献3】特開平10−292401号公報(要約、代表図等)
【特許文献4】特開平10−248395号公報(要約、代表図等)
【特許文献5】特開平7−222526号公報(要約、代表図等)
【特許文献6】特開平9−23772号公報(要約、代表図等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、上記のような問題点を解決しようとするもので、主として強度が充分とはいえない住宅の壁面やビルの中低層部の壁面を多種多様な植物で飾ることができ、植物を飾った後も装置の改造や模様替え、植物の交換、追加、配置換えが容易にでき、成長につれて植物間の間隔を広げることも容易にでき、水やり、剪定、給肥、害虫除去などの世話が容易で、個々人の好みの花壇を、壁面沿いに高くも低くも、低コストで手軽につくることのできる装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の構成は、垂直若しくはほぼ垂直に立設された一対の支柱と、適位置に適数個の開口部を有し、該支柱に上下方向に摺動自在に嵌合される平面体と、該平面体の適宜の開口部に取付手段によって着脱自在に取り付けた植物栽培容器の収納手段と、前記平面体を支柱上下方向に昇降させる移動手段とを備えた植物栽培展示装置である。
【0010】
また、上記課題を解決するための本発明の構成は、垂直若しくはほぼ垂直に立設された一対の支柱を備えた門型の支持枠と、支持枠に上下方向に張設された一対の索条と、適位置に適数個の開口部を有し、両側に突設した挿通部に前記索条を挿通した上下方向に移動可能な平面体と、該平面体の適宜の開口部に取付手段によって着脱自在に取り付けた植物栽培容器の収納手段と、前記平面体を支持枠上下方向に昇降させる移動手段とを備えた植物栽培展示装置である。
【0011】
上記平面体の開口部は、取付手段を取付けるために、一つ一つが一定以上の大きさを有することが必要であるが、規則的な配列のものでも、不規則な配列のものでも必要に応じて選択することができる。
【0012】
そして、本発明の植物栽培展示装置には、開口部を有する平面体として、金網、エクスパンドメタル、パンチングメタル、木製若しくは金属製の菱形格子、木製若しくは金属製の横格子、木製若しくは金属製の十字格子のいずれか1つ、もしくは、これらの2種以上を選択することができる。
【0013】
また、本発明の植物栽培展示装置は、前記平面体の幅を支柱間隔より幅狭に形成し、平面体の上下左右の隅部に支柱に摺動自在に嵌合し得る嵌合ガイド部を設けることができる。
【0014】
また、本発明の植物栽培展示装置は、前記平面体の最下部もしくは適宜箇所に排水孔を有する横樋を備えることができ、該排水孔にはさらに可撓性の排水チューブを連結することができる。
【0015】
また、本発明の植物栽培展示装置は、前記平面体の上の前記収納手段を覆い、若しくは前記収納手段を露出させることのできるシート状もしくはネット状遮光材、または、シート状もしくはネット状防寒材を設けることができる。
【0016】
また、本発明の植物栽培展示装置は、植物栽培容器の収納手段の平面体への取付手段が、収納手段と一体に形成されているようにすることができる。
【0017】
また、本発明の植物栽培展示装置は、植物栽培容器の収納手段の平面体への取付手段が、収納手段および平面体から取付取り外し自在とすることができる。
【0018】
また、本発明の植物栽培展示装置は、植物栽培容器の収納手段を、線状材料で形成されたバスケット型容器とすることができる。
【0019】
また、本発明の植物栽培展示装置は、植物栽培容器の収納手段の底部に水受け皿を備え、必要に応じ、水受け皿には排水孔を設けておくことができる。
【0020】
また、本発明の植物栽培展示装置は、前記平面体に設けた索条などの吊り下げ手段と、該吊り下げ手段の巻取り手段と、該巻取り手段の駆動手段を備えた平面体の移動手段を用いることができる。
【0021】
また、本発明の植物栽培展示装置は、植物栽培容器の収納手段の平面体への取付手段に、平面体から取付手段が脱落することを防止する手段と、取付手段から収納手段が脱落することを防止する手段を設けることができる。
【0022】
また、本発明の植物栽培展示装置は、前記取付手段とは別に、植物栽培容器の収納手段の落下防止手段を設けることができる。
【0023】
また、本発明の植物栽培展示装置は、前記平面体上に灌水手段を有し、該灌水手段には給水源側に可撓管を配管することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、上記の通り構成したから、対峙する建造物の壁面を傷つけることはないし、対峙する壁面に強度も耐力も要求されないので設置上有利である。そして、垂直若しくはほぼ垂直な壁面である平面体に設けられた収納手段に、常緑、落葉を問わず使用者の好みの樹木や草花を植え込んである植物栽培容器、所望の装飾品、造形品などを納めることができるので、個人住宅などの壁面の中高所を、あるいは、ビルの中低層の壁面を手軽に好みの小樹木や草花で飾ることができる。また、植物栽培容器は収納手段に収納されるので、プラスチックその他所望の材質、形状の植物栽培容器を選択することができる。植物栽培容器の収納手段は、平面体の適宜の開口部に、取付手段によって取り付けられているから、その取付位置を適宜変更することができるし、植物栽培容器の間隔を適宜広げて成長や植え替えにつれて植物の間隔を広げることもできる。逆に、剪定した時は狭めることもできる。さらに、平面体は移動手段により設置高さを変えられるので、季節、場所、時間に応じて日照時間を増減できる。また、植物栽培容器を収納した収納手段を下降させることにより人が地上にいて水やり、剪定、給肥、害虫除去などの植物の世話を簡単にすることができるのであって、高所作業がなく、安全であるばかりでなく、台風時などには植物栽培容器を収納した収納手段を下降させ、あるいは、下降させた収納手段から植物栽培容器を取り出して植物を安全に守ることもできる。しかも、壁面に対峙した個々人の好みの花壇を、低コストで手軽につくることができる。
【0025】
また、本発明は、開口部を有する平面体として、金網、エクスパンドメタル、パンチングメタル、木製若しくは金属製の菱形格子、木製若しくは金属製の横格子、木製若しくは金属製の十字格子のいずれか一つ、もしくは、これらの2種以上を選択し、例えば、表側を木製の十字格子とし裏側を金網というように配置し、或いは、木製若しくは金属製の菱形格子を中心に配して周囲を木製若しくは金属製の十字格子に配置することができる。平面体として、前記金網、エクスパンドメタル、パンチングメタル、木製若しくは金属製の菱形格子、木製若しくは金属製の横格子、木製若しくは金属製の十字格子のいずれか2種以上を表裏にして使用すると、収納手段の位置は、平面体上の好みの位置に変更可能となり、収納手段の配置を多種多様とすることができ、模様替え、植物の交換、追加、配置換えもすこぶる容易にできる。
【0026】
また、本発明は、前記平面体の幅を支柱間隔より幅狭に形成し、平面体の上下左右の隅部に支柱に摺動自在に嵌合し得る嵌合ガイド部を設けることにより、平面体の周囲を補強して堅牢なものとすることができ、しかも、平面体、および、植物栽培容器を収納した収納手段の安定性が高くなり、平面体、および、植物栽培容器を収納した収納手段の昇降動作の安定性を高くすることができる。
【0027】
また、本発明は、前記平面体の最下部もしくは適宜箇所に排水孔を有する横樋を備えることができ、該排水孔には必要があれば可撓性の排水チューブを連結することにより、排水による周囲の汚れ、発錆、腐朽を防止することができる。
【0028】
また、本発明は、前記平面体の上の前記収納手段を覆い、若しくは前記収納手段を露出させることのできるシート状もしくはネット状遮光材、または、シート状もしくはネット状防寒材を設けることにより、適当な光量を確保し、あるいは、適当な防寒を図ることができる。その際、シート状の材料、或いは、寒冷紗のような目の細かいネット状の材料を用いれば、植物が雨に当たることを制限できることは言うまでもない。
【0029】
また、本発明は、植物栽培容器の収納手段の平面体への取付手段を収納手段と一体に形成することにより、平面体からの収納手段の脱落の危険を極めて小さいものとすることができる。
【0030】
また、本発明は、植物栽培容器の収納手段の平面体への取付手段を、収納手段および平面体から取付取り外し自在とすることにより、収納手段の平面体への取り付け取り外しをしごく容易に行うことができる。
【0031】
また、本発明は、植物栽培容器の収納手段を、線状材料で形成されたバスケット型容器とすることにより、収納手段を軽量化することができ、植物栽培容器と植物栽培容器の植物および背景を透視することができ、種々の形態の取付手段を選択することができ、植物の手入れにも便宜である。
【0032】
また、本発明は、植物栽培容器の収納手段の底部に水受け皿を備え、必要があれば、水受け皿に排水孔を設けておくことにより、排水孔を塞いで植物栽培容器に底面灌水式の鉢の役割を果たさせることができ、汚水による人や周囲への汚染を相当に防止できる。
【0033】
また、本発明の植物栽培展示装置は、前記平面体に設けた索条などの吊り下げ手段と、該吊り下げ手段の巻取り手段と、該巻取り手段の駆動手段を備えた平面体の移動手段を用いることができ、この巻取り手段を、例えば、電動或いは手動の駆動手段軸の回動手段を駆動することにより平面体、収納手段、植物栽培容器を昇降させることができるのであって、構造が単純であるからスムースな昇降を確保できる。
【0034】
また、本発明の植物栽培展示装置は、植物栽培容器の収納手段の平面体への取付手段に、平面体から取付手段が脱落することを防止する手段と、取付手段から収納手段が脱落することを防止する手段を設けることにより、取付手段が平面体から、収納手段が取付手段から外れて脱落することを防止することができ、安全、かつ、安心な装置とすることができる。
【0035】
また、本発明の植物栽培展示装置は、取付手段とは別に、平面体と植物栽培容器の収納手段とをチェインを介して連結するなど、収納手段の落下防止手段を設けることにより、万一、平面体から取付手段が脱落しても、また、植物栽培容器の収納手段が取付手段から外れても、該収納手段が落下することを防止し、落下によるその毀損や人体の損傷をほぼ完全に防止することができるのであって、より安全、かつ、安心な装置とすることができる。
【0036】
また、本発明の植物栽培展示装置は、前記平面体上に灌水手段を有し、該灌水手段には給水源側に可撓管を配管することにより、外部からのホースなどによる散水を行うことなしに、植物の水やりを適切に、かつ、容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、 図を参照して,本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0038】
本発明の第1の実施形態は、図1、および、図2において、壁面1に対峙して一対の支柱2が、アンカーボルト3により土地に固定されたベース4によって垂直に支持されている。支柱2の間隔は80cm〜150cm、支柱2の高さは2m〜6mである。支柱2は、少しく傾きを持たせて立設することもあり、あるいは、支柱2の上部に向かって少しく曲率をもたせて立設することもある。支柱2の間には、支柱2間隔よりも幅狭に形成された全面に多数の開口部を有する金網製の平面体5が、平面体5周囲に設けた木製枠5aにより嵌め込まれている。支柱2の最上部には、横梁6が設けられており、支柱2と横梁6とにより門型の支持枠を形成している。平面体5の木製枠5aの表裏両面の上下左右の四隅には、板材から成る嵌合ガイド部7が設けられており、該嵌合ガイド部7は支柱2を表裏両面から挟み込んでおり、これにより、平面体5は支柱2に上下方向に摺動自在に嵌合している。平面体5の適宜の開口部には、取付手段8によって線状材料で形成されたバスケット型容器である収納手段9が着脱自在に取り付けてあり、それぞれの収納手段9には植木鉢である植物栽培容器10が一個あるいは複数個納められている。平面体5の最上部には、吊り下げ用チェーン11が固定されており、吊り下げ用チェーン11は支柱2の横梁6、横梁6の一側部に設けた張出部12を経由し、支柱2下部に設けた軸に取り付けられており、この軸に付けた手回しハンドル13の回動操作によって吊り下げ用チェーン11は軸に巻き取られ、あるいは、巻き戻され、平面体5は昇降する。手回しハンドル13は、図示しないが、逆転防止ストッパを備える。
【0039】
収納手段9は、図1、および、図2に示したような線状材料で形成されたバスケット型容器以外にも、任意の形態、任意の材質の容器を用いることができるが、平面体5の開口部に着脱自在に取り付ける関係上、線状材料で形成された容器が望ましく、例えば、図3(a)に示したように、一本の線状材料で形成したリング状部、及び、該リング状部から平面体5に当接するように突設された収納手段9の回転防止部を備えたもの、図3(b)に示したように、三本の線状材料で形成した次第に小径となる3つのリング状部、及び、該リング状部の接続体、並びに、最下段のリング状部から平面体5に当接するように突設された収納手段9の回転防止部を備えたもの、図3(c)に示したように、一本の線状材料で形成したらせん状部、及び、らせん状部の最下部から平面体5に当接するように突設された収納手段9の回転防止部を備えたものなど、簡便な形態が望ましい。
【0040】
また、平面体5の開口部に収納手段9を着脱自在に取り付ける取付手段8は、収納手段9と収納手段9に納めた植物栽培容器10が、風や地震に対しても平面体5から脱落しにくいものであれば任意のものを用いることができるが、好ましくは、図4(a)に示した如く、外れ止め付き小フックや、図4(b)に示した如く、屈曲部に平面体5の線条と収納手段9の線条を納める倒S字形棒金具、あるいは、図4(c)に示した如く、屈曲部に平面体5の線条と収納手段9の線条を納める倒S字形帯金具のように、簡便な形態で脱落しにくいものが望まれる。
【0041】
図中符号14は、何らかの理由で手回しハンドル13のストッパが外れるなどして平面体5が滑り落ちてくる事態となったとき、平面体5を途中で止めるため、支柱2の適宜高さ位置に横架した落下防止杆で、平面体5を昇降させる際には、回転させて支柱2の外方に配置しておく。15は植物栽培容器10に植え込まれた植物である。
【0042】
前記の通り、平面体5として、図示した金網の他、エクスパンドメタル、パンチングメタル、木製若しくは金属製の菱形格子、木製若しくは金属製の横格子、木製若しくは金属製の十字格子のいずれか1つ、もしくは、これらの2種以上を選択して使用することができる。また、平面体5の最下部もしくは適宜箇所に排水孔を有する横樋を備えることができ、該排水孔にはさらに可撓性の排水チューブを連結することができる。また、図2に示した如く、平面体5の最上部に庇16を突設し、この庇16上に、例えば、巻取り軸17を設置し、この巻取り軸17を回転してシート状もしくはネット状遮光材18、或いは、シート状もしくはネット状防寒材を巻き上げ巻き下げ自在に設けることもできる。また、植物栽培容器10の収納手段9の平面体5への取付手段8を収納手段9と一体に形成することもできる。さらに、植物栽培容器10の収納手段9の底部に水受け皿を備え、水受け皿には排水孔を設けておくこともできる。
【0043】
そして、必要に応じて、取付手段8に、平面体5から取付手段8が脱落をすることを防止し、取付手段8から収納手段9が脱落をすることを防止するために、図5(a)に示した通り、前記した屈曲部に平面体5の線条と収納手段9の線条を納める部分を十二分に深く形成すると共に開口部を幅狭に形成した倒S字形棒金具を用いたり、図5(b)に示した通り、2方向にリングを有する外れ止め付き小フックを用いることができる。また、図5(c)に示した通り、平面体5の線条と収納手段9の線条を納める屈曲部を備えた倒S字形帯金具の平面体5の線条と収納手段9の線条を納める部分の上方にボルト19を螺合することにより、一層確実な脱落防止手段とすることができる。
【0044】
必要に応じて、図6に示した通り、植物栽培容器10の収納手段9が落下することを防止するため、取付手段8とは別に、平面体5と収納手段9を結ぶ両端に連結具20を備えたチェーン21のような落下防止手段を設けることができる。
【0045】
次に、上記した植物栽培展示装置の使用を説明する。
【0046】
まず、落下防止杆14を回転させて支柱2の外方に配置しておく。次に、手回しハンドル13のストッパを外して平面体5を土地につくまで下降させ、平面体5の開口部に取付手段8によって適宜の大きさの収納手段9を着脱自在に取り付ける。次いで、所望の植物15を植え込んだ植物栽培容器10を収納手段9にそれぞれ納める。そして、手回しハンドル13を回すと、平面体5は嵌合ガイド部7に案内されて支柱2を上方向に上昇する。平面体5が所望高さまで上昇したら手回しハンドル13にストッパをかけて平面体5の高さを固定する。
【0047】
台風時などには手回しハンドル13のストッパを外して平面体5と植物栽培容器10を収納した収納手段9を下降させ、下降させた収納手段9から植物栽培容器10を取り出して植物を安全に守る。また、水やり、剪定、給肥、害虫除去などの世話をする際にも、平面体5と植物栽培容器10を収納した収納手段9を下降させる。従って、人が地上にいて水やり、剪定、給肥、害虫除去などの世話を簡単にできるし、高所作業がなく、安全であり、壁面に対峙した個々人の好みの花壇を、低コストで手軽につくることができる。
【0048】
尚、本発明の実施に際しては、平面体5の開口部の形状を矩形、菱形、円形など適宜なものを選ぶことにより適宜形状の取付手段8を幅広く選択できる。これらを適切に選択することにより、植物栽培容器10の収納手段9の着脱を短時間で行うことができるようにすることができ、模様替え、植物15の交換、追加、配置換えをすこぶる容易なものとすることができる。そして、平面体5の裏面に薄膜、板状体を重ねることにより、植物栽培容器10を収納した収納手段9の背景を植物15を引き立てる多種多様なデザインとすることができるし、平面体5の裏面に重ねる薄膜、板状体に絵柄をプリントしてあるものを使えば、植物15の背景を、例えば、レンガ壁、御影石壁、芝生面などと多様な外観にデザインできるし、平面体5の裏面に不織布など保水性のある薄膜を重ねれば、冬季はそのままで保温の役割りを果たし、夏期はこれに水を滴下すれば冷却効果を果たし、植物15の適切な生育条件に近づけることができる。
【実施例2】
【0049】
次に、本発明の第2の実施形態を、図7乃至図9を参照して説明する。尚、上記実施例1と構成上同一の箇所には、同一符号を用いる。
【0050】
図7、および、図9に示した如く、壁面1に隣接して一対の支柱2が、アンカーボルト3により土地に固定されたベース4によってほぼ垂直に支持されている。支柱2の最上部には、横梁6が設けられており、支柱2と横梁6とにより門型の支持枠を形成している。横梁6からは一対の索条28が平行に垂下され、索条28の末端はベース4に確りと固定され、索条28は適当な緊張状態となっている。この索条28は、平面体5の周囲の木製枠5aの両側に突設した挿通部29に挿通されており(図9参照)、平面体5は索条28に沿って上下方向に移動可能となっている。平面体5が適位置に適数個の開口部を有することは上記第1の実施形態と同様である。そして、平面体5の適宜の開口部に取付手段8によって着脱自在に取り付けた植物栽培容器10の収納手段9と、前記平面体5を支持枠上下方向に昇降させる移動手段として上記第1の実施形態と同様に、平面体5の最上部には、手回しハンドルなどに接続された吊り下げ用チェーン11が固定されている。
【0051】
第2の実施形態は、上記第1の実施形態が平面体5が木製枠5aを介して支柱2に嵌合しているのに対し、平面体5が支柱2に嵌合していないこと、平面体5が支持枠に上下方向に張設された一対の索条28に案内されて支持枠上下方向に昇降するようになっている点に、上記第1の実施形態との大きな相違が見られる。
【0052】
もとより、支持枠、平面体5、取付手段8、収納手段9、植物栽培容器10の構成は、上記実施例1と同様とすることができる。必要に応じて、平面体5に金網の他、エクスパンドメタル、パンチングメタル、木製若しくは金属製の菱形格子、木製若しくは金属製の横格子、木製若しくは金属製の十字格子のいずれか1つ、もしくは、これらの2種以上を選択して使用することができること、平面体5の最下部もしくは適宜箇所に排水孔を有する横樋を設けて該排水孔にはさらに可撓性の排水チューブを連結することができること、平面体5の上に、シート状もしくはネット状遮光材、或いは、シート状もしくはネット状防寒材を巻き上げ巻き下げ自在に設けることができること、取付手段8に脱落防止手段を設けることができること、植物栽培容器10の収納手段9に取付手段8とは別に落下防止手段を設けることができることも、上記第1の実施形態と同様である。使用方法も上記第1の実施形態と同様である。
【0053】
また、必要に応じて、図8に示した通り、前記平面体上5に灌水手段を設け、該灌水手段には給水源側に可撓管27を配管することができる。具体的に説明すると、平面体5の裏面側に給水管22を配置し、該給水管22を平面体5の上方に設置した灌水パイプ23に接続し、該灌水パイプ23に平面体5の表面側に配置した点滴用細管24を接続する。点滴用細管24には複数個の点滴ノズル25を設けて水滴が平面体5最上段に位置する植物栽培容器10から平面体5最下段に位置する植物栽培容器10にまでかかるようにする。前記給水管22には水道の蛇口26などに接続した可撓管27を接続する。必要に応じて電磁弁とタイマーを使用して可撓管27への給水を自動化、リモコン化する。この灌水手段は前記実施例1に付加することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る植物栽培展示装置の正面図である。
【図2】図1の植物栽培展示装置にシート状もしくはネット状遮光材を設けた実施形態の側面図である。
【図3】植物栽培容器の収納手段の別の形態の例を示す側面略図で、(a)は一本の線状材料でリング状に形成した収納手段、(b)は三本の線状材料でリング状に形成した収納手段、(c)は一本の線状材料でらせん状に形成した収納手段である。
【図4】取付手段の例を示し、(a)は外れ止め付き小フックの斜視図、(b)は倒S字形棒金具の側面略図、(c)は倒S字形帯金具の斜視図である。
【図5】脱落防止手段を備えた取付手段の例を示し、(a)は倒S字形棒金具の側面略図、(b)は外れ止め付き小フックの斜視図、(c)は倒S字形帯金具にボルトを螺合した倒S字形帯金具の斜視図である。
【図6】収納手段の落下防止手段の例の説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る植物栽培展示装置の正面図である。
【図8】図7の実施形態に、灌水手段を設けた植物栽培展示装置の側面図である。
【図9】図7のA線位置における矢視拡大断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 壁面
2 支柱
3 アンカーボルト
4 ベース
5 平面体
6 横梁
7 嵌合ガイド部
8 取付手段
9 収納手段
10 植物栽培容器
11 吊り下げ用チェーン
12 張出部
13 手回しハンドル
14 落下防止杆
15 植物
16 庇
17 巻取り軸
18 シート状もしくはネット状遮光材
19 ボルト
20 連結具
21 チェーン
22 給水管
23 灌水パイプ
24 点滴用細管
25 点滴ノズル
26 蛇口
27 可撓管
28 索条
29 挿通部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直若しくはほぼ垂直に立設された一対の支柱と、適位置に適数個の開口部を有し、該支柱に上下方向に摺動自在に嵌合される平面体と、該平面体の適宜の開口部に取付手段によって着脱自在に取り付けた植物栽培容器の収納手段と、前記平面体を支柱上下方向に昇降させる移動手段とを備えた植物栽培展示装置。
【請求項2】
垂直若しくはほぼ垂直に立設された一対の支柱を備えた門型の支持枠と、支持枠に上下方向に張設された一対の索条と、適位置に適数個の開口部を有し、両側に突設した挿通部に前記索条を挿通した上下方向に移動可能な平面体と、該平面体の適宜の開口部に取付手段によって着脱自在に取り付けた植物栽培容器の収納手段と、前記平面体を支持枠上下方向に昇降させる移動手段とを備えた植物栽培展示装置。
【請求項3】
開口部を有する平面体として、金網、エクスパンドメタル、パンチングメタル、木製若しくは金属製の菱形格子、木製若しくは金属製の横格子、木製若しくは金属製の十字格子のいずれか1つ、若しくは、これらの2種以上を選択した請求項1または請求項2に記載された植物栽培展示装置。
【請求項4】
前記平面体の幅を支持枠の支柱間隔より幅狭に形成し、平面体の上下左右の隅部に支柱に摺動自在に嵌合し得る嵌合ガイド部を設けた請求項1から請求項3のいずれかの請求項に記載された植物栽培展示装置。
【請求項5】
前記平面体の最下部もしくは適宜箇所に排水孔を有する横樋を備え、必要に応じて、該排水孔にはさらに可撓性の排水チューブが連結されている請求項1から請求項4のいずれかの請求項に記載された植物栽培展示装置。
【請求項6】
前記平面体の上の前記収納手段を覆い、若しくは前記収納手段を露出することのできるシート状もしくはネット状遮光材またはシート状もしくはネット状防寒材を設けた請求項1から請求項5のいずれかの請求項に記載された植物栽培展示装置。
【請求項7】
植物栽培容器の収納手段の平面体への取付手段が、収納手段と一体に形成されている請求項1から請求項6のいずれかの請求項に記載された植物栽培展示装置。
【請求項8】
植物栽培容器の収納手段の平面体への取付手段が、収納手段および平面体から取付取り外し自在とした請求項1から請求項7のいずれかの請求項に記載された植物栽培展示装置。
【請求項9】
植物栽培容器の収納手段が、線状材料で形成されたバスケット型容器である請求項1から請求項8のいずれかの請求項に記載された植物栽培展示装置。
【請求項10】
植物栽培容器の収納手段の底部に水受け皿を備え、必要に応じて、水受け皿には排水孔を設けてある請求項1から請求項9のいずれかの請求項に記載された植物栽培展示装置。
【請求項11】
前記平面体に設けた索条などの吊り下げ手段と、該吊り下げ手段の巻取り手段と、該巻取り手段の駆動手段とから成る平面体の移動手段を備えた請求項1から請求項10のいずれかの請求項に記載された植物栽培展示装置。
【請求項12】
植物栽培容器の収納手段の平面体への取付手段に、平面体から取付手段が脱落をすることを防止する手段と、取付手段から収納手段が脱落をすることを防止する手段とを設けた請求項1から請求項11のいずれかの請求項に記載された植物栽培展示装置。
【請求項13】
取付手段とは別に収納手段の落下防止手段を設けた請求項1から請求項12のいずれかの請求項に記載された植物栽培展示装置。
【請求項14】
前記平面体上に灌水手段を有し、該灌水手段には給水源側に可撓管を配管した請求項1から請求項13のいずれかの請求項に記載された植物栽培展示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−204205(P2006−204205A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−21435(P2005−21435)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(500005701)
【Fターム(参考)】