説明

植物栽培袋

【課題】少なくとも底部に透水性の良好な不織布製シートが設けられ、折りたたみ可能で取り扱い性に優れた植物栽培袋を提供する。
【解決手段】スタンディングパウチタイプあるいはガゼット袋タイプの袋の底部に、パルプ繊維と合成樹脂とからなり中央部に折り目を設けた不織布製シート2を用いることによって、この不織布製シート2をヒートシールして、平面状に折りたたんだ状態で多数を保管、運搬することができ、不織布製シート2の全体に水を浸み込ませて浸み込ませた水を外部に逃がすことなく袋の内部に収容した土や植物の種に効果的に水を供給することができる植物栽培袋1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り扱い性に優れ、水やり管理が容易な袋状の植物栽培袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から不織布を用いた植物栽培用容器として、特許文献1に開示されているものが知られている。この特許文献1には、軽量で取り扱い性を向上させるために、不織布を用いて形成した植物栽培用容器が記載されている。この植物栽培用容器は、直方体の上部が開口した箱状、あるいは上方に向かって拡径し上部が開口した逆円錐台状に形成されており、植物栽培用容器の内部に土や種などが収容されて植物が栽培されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−252032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の植物栽培用容器は、直方体形状や逆円錐台形状を呈しており、この状態で保管され、あるいは運搬されるには嵩張るという問題があった。
本発明の目的は、このような課題を解決するもので、少なくとも底部に透水性の良好な不織布製シートが設けられ、折りたたみ可能で取り扱い性に優れた植物栽培袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載の植物栽培袋は、パルプ繊維と合成繊維とを材料に用いて作られた不織布製シートで少なくとも底部を形成したものである。請求項2に記載の植物栽培袋は、スタンディングパウチの形態を呈するものである。請求項3に記載の植物栽培袋は、ガゼット袋の形態を呈するものである。
【発明の効果】
【0006】
以上のように本発明によれば、少なくとも底部がパルプ繊維と合成繊維とで作られ透水性の優れた不織布製シートで形成され、折りたたみ可能で取り扱い性に優れた植物栽培袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施形態の植物栽培袋の正面図である。
【図2】同不織布の繊維の拡大断面図である。
【図3】同植物栽培袋に土を入れて正面から見た斜視図である。
【図4】同植物栽培袋に土を入れて下方から見た斜視図である。
【図5】同植物栽培袋の上端を閉じた状態を示す斜視図である。
【図6】同植物栽培袋の使用状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の植物栽培袋に土を入れて上端を閉じた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の第1の実施の形態について図1〜図6に基づいて説明する。植物栽培袋1は、スタンディングパウチタイプの袋の底部に不織布製シート2が用いられたものである。底部を除く部分は樹脂フィルムで作られている。本実施の形態では、不織布製シート2の材料としてパルプ繊維と合成繊維とを含んだ不織布繊維3が使用される。合成繊維は不織布全体の約85重量%を占めており、残りがパルプ繊維である。
【0009】
図2に示す不織布繊維3の断面図において、不織布繊維3は3層構造となっており、不織布繊維3の最内層4から中間層5、最外層6に向かって合成繊維が多く含まれており、不織布繊維3の最外層6から中間層5、最内層4に向かってパルプ繊維が多く含まれている。植物栽培袋1の表側および裏側を形成する樹脂製シート7a,7bの最内層は、ポリエチレンあるいはポリプロピレンで形成されており、ポリエチレンとポリプロピレンとを混合したもの、またはポリエチレンあるいはポリプロピレンを単独で含んだ不織布製シート2と容易にヒートシールされる。これによって上端に開口部8を備えた植物栽培袋1が形成される。底面を形成する不織布製シート2の中央部には植物栽培袋1の幅方向に沿って折り目9が設けられており、不織布製シート2は折り目9が上方に凸となるように折り曲げ可能である。不織布製シート2が折り曲げられた植物栽培袋1は、図1に示すように平面状となるので、植物栽培袋1を多数枚重ねて保管、運搬することができる。
【0010】
上端の開口部8から植物栽培袋1内に土などが収容されると、折り曲げられた不織布製シート2が土などの重みで平面状となり、不織布製シート2は略円弧状に拡がり、植物栽培袋1は自立可能な状態となる。なお、植物栽培袋1内に土などが収容された後に開口部8はヒートシールされ、図5に示す状態となる。植物栽培袋1は、この状態で小売店の店頭に並ぶ。
【0011】
植物栽培袋1の使用者は、両側のヒートシール部10a,10bに形成されたノッチ部11a,11bの何れかから上部のヒートシール部12を切り取るように、植物栽培袋1の上部を開口させ、収容された土に植物の種を蒔き、蒔いた種に水を与える。植物の種は、植物栽培袋1を開口した後に収容された土に蒔くが、予め土とともに植物の種を植物栽培袋1の内部に収容しておくものでも良い。植物栽培袋1は、水が蓄えられた鉢状の容器13に不織布製シート2が浸かった状態で設置され、不織布製シート2のパルプ繊維に水が染み込み、さらに毛細管現象によって不織布製シート2全体に水が浸み込んでいく。パルプ繊維は不織布繊維3の中心部に近いほど多く含まれているので、水は不織布繊維3の中心部寄りを多く通って浸み込んでいくことになる。このようにして不織布製シート2の全面に水を浸透させることができる。不織布製シート2に蓄えられた水は順次土に浸み込んでいき、植物の種または根に効果的に水分を与えることができる。このように、使用者は、植物栽培袋1を設置する容器13に水が蓄えられているか否かの確認をするだけで水やり管理をすることができる。
【0012】
本実施の形態では、不織布製シート2の合成繊維としてポリエチレンとポリプロピレンとを混合したもの、またはポリエチレンあるいはポリプロピレンを単独で含んだものが用いられ、この不織布製シート2がポリエチレンあるいはポリプロピレンで形成された樹脂製シート7a,7bにヒートシールされるが、ヒートシールに限定されるものではなく、不織布製シート2が樹脂製シート7a,7bに超音波シールあるいは高周波シールされるものでもよい。超音波シールの場合には、合成繊維としてポリプロピレンあるいはポリエチレンテレフタレートなどが好適である。高周波シールの場合には、合成繊維としてポリ塩化ビニルあるいはポリ塩化ビニリデンが好適である。
【0013】
本実施の形態では、植物栽培袋1がスタンディングパウチのものについて説明したが、これに限定されるものではなく、たとえばガゼット袋タイプのものでもよい。この場合不織布製シート2をシールしたガゼット袋の一側面を底部として、底部と対向する上面側に開口部が形成される。底部の不織布製シート2に幅方向に沿った折り目を設けることによって底面シートは上方に凸となるように折り曲げ可能となり、植物栽培袋を多数重ねて保管、運搬することができる。また、水が蓄えられた容器にガゼット袋の不織布製シート2が浸かった状態で設置して水やり管理を簡素化することができる。
【0014】
植物栽培袋1では不織布製シート2を植物栽培袋1の一部に用いているが、これに限定されるものではなく、植物栽培袋の全体を不織布製シート2で形成したものでも良い。この場合には不織布製シート2と土などとの接触する面積が増えるので植物の種や根に効果的に水を与えることができる。
【0015】
次に本発明の第2の一実施の形態について図7に基づいて説明する。この第2の実施の形態に係る植物栽培袋21の両側部22a,22bは全域に亘ってジグザグ状にカットされている。使用者はジグザグ状部の任意の位置から容易に開口して、使用時における植物栽培袋21の高さを自由に選択することができる。
【符号の説明】
【0016】
1,21 植物栽培袋
2 不織布製シート
3 不織布繊維
4 最内層
5 中間層
6 最外層
7a,7b 樹脂製シート
8 開口部
9 折り目
10a,10b,12 ヒートシール部
11a,11b ノッチ部
13 容器
22a,22b 両端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプ繊維と合成繊維とを材料に用いて作られた不織布製のシートで少なくとも底部を形成したことを特徴とする植物栽培袋。
【請求項2】
スタンディングパウチの形態を呈することを特徴とする請求項1記載の植物栽培袋。
【請求項3】
ガゼット袋の形態を呈することを特徴とする請求項1記載の植物栽培袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−125193(P2012−125193A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279980(P2010−279980)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000208226)大和グラビヤ株式会社 (48)
【Fターム(参考)】