説明

植物栽培装置

【課題】簡易な構造で植物に対する栽培用照明具の位置を調整自在として成長に応じた植物への光照射を達成する植物栽培装置を提供すること。
【解決手段】植物を栽培可能な栽培トレイ130と、複数段に配置されて栽培トレイ130を各々収容可能なトレイ載置棚120と、このトレイ載置棚120のそれぞれの上方に設けられて植物Pに光を照射する栽培用照明具110と、栽培用照明具110またはトレイ載置棚120を支持する天井板とを有していて、栽培用照明具110またはトレイ載置棚120の最下段と天井板161との間に張設されて上下多段の栽培用照明具またはトレイ載置棚を吊下する吊下ワイヤ170と、栽培用照明具110の間またはトレイ載置棚120の間に介挿されて栽培用照明具110またはトレイ載置棚120の上下の間隔を規定するスペーサ140を備えている植物栽培装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜類、果菜類または花類などの植物を、屋内で人工光源を用いて栽培する植物の栽培装置に関し、特に、上下複数段に配置されて植物を栽培可能な栽培トレイを各々収容可能な複数のトレイ載置棚と該トレイ載置棚のそれぞれの上方に配置されて前記植物に光を照射する栽培用照明具とを有する植物栽培装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、野菜類、果菜類等の植物を栽培可能な栽培トレイを収容可能で複数段および複数列に配置されたトレイ載置棚に配置するとともに、各トレイ収容棚の上方に蛍光ランプ、高圧ナトリウムランプなどの栽培用照明具を配置してこの人工光源から植物に光を照射して、効率的に植物を栽培する植物栽培装置が周知であった。
【0003】
また、栽培トレイ載置棚と栽培用照明具との間に昇降機構を設けて、栽培用照明具を栽培トレイ載置棚に載置された栽培トレイ中の植物に対して昇降自在として、栽培する植物の種類や生育状況に応じた照明を行えるようにすることも既に提案されている(例えば、特許文献1または特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−110241号公報(全文、全図)
【特許文献2】特開2010−088425号公報(段落
【0005】
、図4、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来周知の植物栽培装置のような、栽培用照明具を栽培トレイに対して固定した位置に設置したものでは、常に一定の条件で照明具から光を照射するものとなって、日々成長してゆく植物の生育状態、栽培されている植物の種類などに適合した光の照射を実現することはできないという問題があった。
【0007】
また、近年提案されている、栽培用照明具を昇降自在としたものの場合には、それぞれのトレイ載置棚毎にネジ式の間隔調整機構およびコイルスプリングなどの部品からなる昇降装置を設けるものであり、機構も複雑で組立作業も煩雑でコストが高くなるという問題があった。
【0008】
本発明は前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、簡易な構造で植物に対する栽培用照明具の位置を調整自在として成長に応じた植物への光照射を達成できる植物栽培装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本請求項1に係る発明は、植物を栽培可能な栽培トレイと、上下複数段に配置されて前記栽培トレイを各々収容可能なトレイ載置棚と、該トレイ載置棚のそれぞれの上方に設けられて植物に光を照射する栽培用照明具と、該栽培用照明具またはトレイ載置棚の一方を支持する支持ラックと、該支持ラックの最上部に設置されて前記栽培用照明具またはトレイ載置棚の他方を支持する天井板とを備えている植物栽培装置であって、前記栽培用照明具またはトレイ載置棚の最下段と前記天井板との間に張設されて上下複数段の栽培用照明具またはトレイ載置棚を吊下する吊下手段と、前記栽培用照明具の間またはトレイ載置棚の間に介挿されて前記栽培用照明具またはトレイ載置棚の上下の間隔を規定するスペーサを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0010】
本請求項2に係る発明は、請求項1に記載された植物栽培装置の構成に加えて、前記スペーサが、略円筒形状を呈して一定の径および一定の厚さを有する複数のスペーサブロックの一つまたは組合せから構成されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0011】
本請求項3に係る発明は、請求項1に記載された植物栽培装置の構成に加えて、前記スペーサが、略円筒形状を呈して一定の径および異なる厚さを有する複数種類のスペーサブロックのいずれか一つまたは組合せから構成されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0012】
本請求項4に係る発明は、請求項1または請求項2に記載された植物栽培装置の構成に加えて、前記スペーサが、略円筒形状を呈して異なる径および一定の厚さを有する複数種類のスペーサブロックのいずれか一つまたは組合せから構成されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0013】
本請求項5に係る発明は、請求項2乃至請求項4のいずれかに記載された植物栽培装置の構成に加えて、前記スペーサが、略円筒形状に換えて多角形状を呈する複数のスペーサブロックのいずれか一つまたは組合せから構成されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0014】
本請求項6に係る発明は、請求項2乃至請求項4のいずれかに記載された植物栽培装置の構成に加えて、前記スペーサが、略円筒形状に換えてそろばん玉形状を呈する複数種類のスペーサブロックのいずれか一つまたは組合せから構成されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0015】
本請求項7に係る発明は、請求項1乃至至請求項6のいずれかに記載された植物栽培装置の構成に加えて、前記スペーサが、異なる色に着色された複数種類のスペーサブロックのいずれか一つまたは組合せから構成されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0016】
本請求項8に係る発明は、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載された植物栽培装置の構成に加えて、前記スペーサが、スペーサカバーにより被覆されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0017】
本請求項9に係る発明は、請求項8に記載された植物栽培装置の構成に加えて、前記スペーサカバーが、蛇腹状を呈する形状で伸縮自在であることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0018】
本請求項10に係る発明は、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載された植物栽培装置の構成に加えて、前記吊下手段が吊下げワイヤであり、該吊下ワイヤが前記天井板に設置したワイヤ巻取機構と栽培用照明具またはトレイ載置棚との間に張設されていて、該ワイヤ巻取機構により前記吊下ワイヤを巻取りまたは巻戻すことにより前記栽培用照明具またはトレイ載置棚が昇降自在であることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0019】
本請求項1に係る発明は、植物を栽培可能な栽培トレイと、上下複数段に配置されて栽培トレイを各々収容可能なトレイ載置棚と、トレイ載置棚のそれぞれの上方に設けられて植物に光を照射する栽培用照明具と、栽培用照明具またはトレイ載置棚の一方を支持する支持ラックと、支持ラックの最上部に設置されて栽培用照明具またはトレイ載置棚の他方を支持する天井板とを備えている植物栽培装置であって、栽培用照明具またはトレイ載置棚の最下段と天井板との間に張設されて上下多段の栽培用照明具またはトレイ載置棚を吊下する吊下手段と、栽培用照明具の間またはトレイ載置棚の間に介挿されて栽培用照明具またはトレイ載置棚の上下の間隔を規定するスペーサとを備えていることにより、栽培用照明具相互の間隔またはトレイ載置棚相互の間隔をスペーサの大きさに応じて決定して植物栽培用照明具と栽培トレイとの間隔を適宜に設定するため、植物の生育状態または種類に応じた好適な位置に栽培用照明具と栽培トレイを相対的に位置づけて植物の生育状態に応じた光照射を達成して効率的な育成を図ることができるとともに、単にスペーサを介挿するというだけの極めて簡便な方法で栽培用照明具の配置位置を設定するので、栽培用照明具の位置調整機構としてネジ機構のような機構を使用することがなく、機構を著しく簡易化してその製作を簡易、低コストにできるとともに、メンテナンスにおいても大幅なコストダウンを達成することができる。
【0020】
本請求項2に係る発明の植物栽培装置は、請求項1に係る植物栽培装置が奏する効果に加えて、スペーサが略円筒形状を呈して一定の径および一定の厚さを有する複数のスペーサブロックの一つまたは組合せから構成されていることにより、栽培用照明具の間またはトレイ載置棚の間に介挿される単一の寸法、形状のスペーサブロックの数を適宜変更するのみで栽培トレイと栽培用照明具との相対位置を適宜に調整するため、多種類の大きさのスペーサを準備しておくことなく一種類のスペーサブロックを複数準備しておくだけで、栽培する植物の生育状態に適合した栽培用照明具の位置調整を極めて簡易に達成することができて、メンテナンスコストを大幅に軽減することができる。
【0021】
本請求項3に係る発明の植物栽培装置は、請求項1に係る植物栽培装置が奏する効果に加えて、スペーサが略円筒形状を呈して一定の径および異なる厚さを有する複数種類のスペーサブロックのいずれか一つまたは組合せから構成されていることにより、厚薄のスペーサブロックを組み合わせて使用することで介挿するスペーサブロックの数を減少するため、スペーサの介挿・離脱作業の作業数を軽減して栽培トレイと栽培用照明具との位置調整の作業負担を簡易化できるとともに、複数種類のスペーサブロックの組合せ態様に応じて栽培用照明具の間隔または栽培トレイの間隔を把握し易くなり、これに対応した栽培トレイと栽培用照明具との相対位置の把握も容易となるため、栽培用照明具またはトレイ載置棚の位置調整作業の作業能率を向上することができる。
【0022】
本請求項4に係る発明の植物栽培装置は、請求項1または請求項2に係る植物栽培装置が奏する効果に加えて、スペーサが略円筒形状を呈して異なる径および一定の厚さを有する複数種類のスペーサブロックのいずれか一つまたは組合せから構成されていることにより、径の異なるスペーサブロックの組合せ態様に基づいて栽培用照明具の間隔またはトレイ載置棚の間隔を把握し易くなり、これに対応した栽培トレイと栽培用照明具との相対位置の把握も容易となるため、栽培用照明具またはトレイ載置棚の位置調整作業の作業能率を向上することができる。
【0023】
本請求項5に係る発明の植物栽培装置は、請求項2乃至請求項4のいずれかに係る植物栽培装置が奏する効果に加えて、スペーサが略円筒形状に換えて多角形状を呈する複数種類のスペーサブロックのいずれか一つまたは組合せから構成されていることにより、保管状態にあるスペーサブロックが転動してゆく虞が著しく軽減されるため、スペーサブロックの介挿・離脱作業において、例えば落下して転がって行ってしまったスペーサブロックを捜索して介挿し直すというような余計な負担が生ずる虞を大幅に軽減し、スペーサブロックの介挿・離脱作業が容易化して栽培用照明具またはトレイ載置棚の位置調整作業の作業能率をさらに向上することができる。
【0024】
本請求項6に係る発明の植物栽培装置は、請求項1乃至請求項5のいずれかに係る植物栽培装置が奏する効果に加えて、スペーサが、略円筒形状に換えてそろばん玉形状を呈する複数種類のスペーサブロックのいずれか一つまたは組合せから構成されていることにより、スペーサブロックの形状を挿脱し易い形状としたため、スペーサブロックの介挿、除去作業を容易化して栽培用照明具またはトレイ載置棚の位置調整作業の作業能率をさらに向上することができる。
【0025】
本請求項7に係る発明の植物栽培装置は、請求項1乃至請求項6のいずれかに係る植物栽培装置が奏する効果に加えて、スペーサが異なる色に着色された複数種類のスペーサブロックのいずれか一つまたは組合せから構成されていることにより、異なる色彩の組合せでスペーサブロックの組合せ態様を判別し易くなって栽培用照明具の間隔またはトレイ載置棚の間隔が一層把握し易くなり、これに対応した栽培トレイと栽培用照明具との相対位置の把握も容易となるため、栽培用照明具またはトレイ載置棚の位置調整作業の作業能率をさらに向上することができる。
【0026】
本請求項8に係る発明の植物栽培装置は、請求項1乃至請求項7のいずれかに係る植物栽培装置が奏する効果に加えて、スペーサがスペーサカバーにより被覆されていることにより、スペーサブロックが保護されて何らかの原因で栽培用照明具またはトレイ載置棚に振動が加わったとしても装着されたスペーサブロックのいずれかが落下するというようなことが予防されるため、スペーサブロックを使用した栽培用照明具と栽培トレイとの相対位置調整をより確実なものにできるとともに、スペーサブロック、吊下ワイヤ等を養液などにより汚したり、腐食・劣化したりすることを防止することができる。
【0027】
本請求項9に係る発明の植物栽培装置は、請求項8に係る植物栽培装置が奏する効果に加えて、スペーサカバーが蛇腹状を呈する形状で伸縮自在であることにより、介挿するスペーサブロックの数を変更して栽培用照明具の間隔またはトレイ載置棚の間隔が変更された場合にも、スペーサカバーが変更された間隔に応答して伸縮するため、長さの異なる多数のスペーサカバーを用意する必要がなく一つのスペーサカバーのみで足りてコストを節減することができる。
【0028】
本請求項10に係る発明の植物栽培装置は、請求項1乃至請求項9のいずれかに係る植物栽培装置が奏する効果に加えて、吊下手段が吊下ワイヤであり、吊下ワイヤが天井板に設置したワイヤ巻取機構と栽培用照明具またはトレイ載置棚との間に張設されていてワイヤ巻取機構により吊下ワイヤを巻取りまたは巻戻すことにより栽培用照明具またはトレイ載置棚が昇降自在であることにより、例えば、栽培した植物の収穫、播種などの際には個々の栽培用照明具またはトレイ載置棚を昇降させることなくワイヤ巻取機構により全ての栽培用照明具またはトレイ載置棚を一斉に昇降させるため、スペーサブロックの使用と併用することにより栽培用照明具またはトレイ載置棚の位置調整作業の作業性をさらに向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施例である植物栽培装置の全体側面図。
【図2】本発明の第2実施例である植物栽培装置の全体側面図。
【図3】第1実施例で使用されるスペーサブロックを示すものであって、(a)は、その平面図、(b)は、その側面図。
【図4】第2実施例で使用される厚駒スペーサブロックを示すものであって、(a)は、その平面図、(b)は、その側面図。
【図5】本発明の第3実施例である植物栽培装置の要部側面図。
【図6】本発明の第4実施例である植物栽培装置の要部側面図。
【図7】第4実施例で使用されるそろばん玉型スペーサブロックを示すものであって、(a)は、その平面図、(b)は、その側面図。
【図8】本発明の第5実施例である植物栽培装置の全体側面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、植物を栽培可能な栽培トレイと、上下複数段に配置されて栽培トレイを各々収容可能なトレイ載置棚と、トレイ載置棚のそれぞれの上方に設けられて植物に光を照射する栽培用照明具と、栽培用照明具またはトレイ載置棚の一方を支持する支持ラックと、支持ラックの最上部に設置されて栽培用照明具またはトレイ載置棚の他方を支持する天井板とを備えている植物栽培装置であって、栽培用照明具またはトレイ載置棚の最下段と天井板との間に張設されて上下複数段の栽培用照明具またはトレイ載置棚を吊下する吊下手段と、栽培用照明具の間またはトレイ載置棚の間に介挿されて栽培用照明具またはトレイ載置棚の上下の間隔を規定するスペーサとを備えていて、簡易な構造で植物に対する栽培用照明具の位置を調整自在として成長に応じた植物への光照射を達成するものであれば、その具体的な実施態様は如何なるものであっても何ら構わない。
【0031】
すなわち、本発明の植物栽培装置は、野菜、穀物、豆類、果実、観賞用植物等のいかなる植物を栽培するものであってもよく、種、苗等のいかなる状態から生育を開始するもののでも、いかなる状態で生育を完了するものであってもよい。
また、本発明の植物栽培装置において、潅水、施肥等はいかなる方法で行われるものであってもよい。
【0032】
また、本発明の植物栽培装置に用いる栽培トレイは、直接土壌を保持するものでもよく、ポット状の土壌や栽培地を保持するものであってもよく、水耕栽培、噴霧栽培等の栽培地となるものであってもよい。
また、本発明の植物栽培装置の作業ステーションにおける栽培に必要な作業は、養液のpH、EC、溶存酸素濃度などのセンシングを行って必要に応じて施肥、灌水等の作業を自動的に行うものであってもよい。
【0033】
栽培用照明具の間またはトレイ載置棚の間に介挿されるスペーサブロックは、人手により装着・離脱が可能な程度の大きさ、重量のものであれば、合成樹脂、木、金属など何れの材料で形成してもよいし、厚さを一定に維持するものであれば内部に空気を充填して膨らませたバルーン状のものでもよい。
【0034】
また、栽培照明具またはトレイ載置棚を天井板から吊下する吊下手段は、ワイヤ、チェーン、鎖などの手段を使用してもよいし、また棒状部材を使用してもなんら構わない。
また、棒状部材の場合、天井板から吊下するのみならず、床に立設した棒状部材に、栽培用照明具またはトレイ載置棚を、スペーサあるいはスペーサブロックを介在させて載置して、これらの間隔を規定するようにしてもよい。
【実施例1】
【0035】
以下に、本発明の第1実施例である植物栽培装置100について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施例である植物栽培装置100の全体側面図である。
本発明の第1実施例である植物栽培装置100は、図1に示されるように、複数の植物Pを栽培可能な栽培トレイ130と、上下方向に複数段配置されて栽培トレイ130を各々収容可能なトレイ載置棚120と、それぞれのトレイ載置棚120の上方に設けられてトレイ載置棚120に載置された栽培トレイ130に植えられた植物Pに光を照射する複数段の栽培用照明具110と、載置トレイ120を支持する支持ラック160と、支持ラック160の最上部に設置されて栽培用照明具110を支持する天井板161と、天井板161と最下段の栽培用照明具110との間に張設される吊下ワイヤ170と、栽培用照明具110の間に介挿されて栽培用照明具110の上下の間隔を規定するスペーサ140とを備えている。
なお、本発明の内容を分かりやすく説明するため、図においてはスペーサ140を構成するスペーサブロック141、142を強調して大きく記載しているが、実際に使用される植物栽培装置においては必ずしもこの大きさで使用されるものではない。
【0036】
本第1実施例では、トレイ載置棚120は植物栽培装置100の支持ラック160に略等間隔に3段固定されていて、また、図示されてはいないが、側面に灌水等の機構を備えていて、栽培トレイ130に水分、液肥などを供給している。
また、支持ラック160の側方には、栽培用照明具110に電流を供給する配電機構191が配置され、配電機構191から各栽培用照明具110に給電線192が接続されている。
トレイ載置棚120には栽培トレイ130が並べて配置されて、この中で水耕栽培あるいは土壌を詰めた容器による固形培地栽培を使用して、植物を栽培、育成する。
栽培用照明具110は各トレイ載置棚120の上方に配置されていて、下方に位置する栽培トレイ130中の植物Pに対して蛍光管、高圧ナトリウムランプ、LEDなどの人工照明により光を照射して、植物を育成している。
【0037】
本第1実施例では、3段の栽培用照明具110が植物栽培装置100の最上部に位置する天井板140から吊下げ手段である吊下ワイヤ170により吊下されていて、より具体的には最下段の栽培用照明具110が吊下ワイヤ170により吊下されている。
また中段の栽培用照明具110は、最下段の栽培用照明具110の上に載置されたスペーサブロック141および異なる色のスペーサブロック142を組み合わせて構成されるスペーサ140の上に載置して位置決めされている。
最上段の栽培用照明具110も、中段の栽培用照明具110と同様に、中段の栽培用照明具110の上に載置されたスペーサブロック141およびスペーサブロック142を組み合わせて構成されるスペーサ140の上に載置して位置決めされている。
【0038】
本第1実施例において重要な点は、この、介在させるスペーサブロック141、142の数を適宜に変更することにより、下段側の栽培用照明具110と上段側の栽培用照明具110との間隔を適宜に調整することである。
トレイ載置棚120は植物栽培装置100に固定されているので、栽培用照明具110相互の相対位置を変更することにより、トレイ載置120に載置された栽培トレイ130内の植物Pと栽培用照明具110との間の距離を変更することができる。
したがって、栽培用照明具110の間に介挿するスペーサブロック141、142の数を適宜に変更することにより栽培用照明具110を移動させて、栽培されている植物Pの生育状態に応じた好適な光照射を実現することが可能となる。
その際、複雑な位置調整機構を使用することなく、人手によりスペーサブロック141、142を挿入ないし除去するだけで位置調整ができるため、植物栽培装置100が大規模になったとしても低コストで位置調整を行うことができる。
【0039】
また、スペーサブロック141とスペーサブロック142とは、異なる色に着色されていて、例えば、図1に示されるように、1乃至4番目までは白色のスペーサブロック141を使用して、5番目および10番目は赤色のスペーサブロック142を使用する、というように色分けして使用されている。
これにより、介挿されたスペーサブロック141、142の数を色の違いにより一目で認識できるので、現時点での栽培用照明具110の間隔が速やかに把握できて、スペーサブロック141、142を追加装着、除去して栽培用照明具の位置を調整する作業の効率化が可能となる。
【0040】
次に、図1の右側には、第1実施例の変形として、スペーサブロック141、142を、蛇腹状のスペーサカバー150で被覆したことが示されている。
このようなスペーサカバー150を使用すると、介挿したスペーサブロック141、142が落下することが防止されるので、これに派生する、スペーサブロックの捜索、回収、再装着というような余計な作業や、落下したスペーサブロックに起因する作業員の事故、というような問題を防止して、植物栽培装置100の確実な稼働を図ることが可能である。
また、このようにスペーサカバー150で被覆しておくことにより、スペーサブロック141、142および吊下ワイヤ170に、飛散した養液、散水などが付着して、汚れ、腐食による劣化などが発生することを予防することができる。
【0041】
また、図1に一点鎖線で示されるように、吊下ワイヤ170を天井板161に固定するのではなく、天井板161に設置したワイヤ巻取機構180により巻取り、巻戻し自在に接続しておくと、複数段の栽培用照明具110を一斉に上昇、下降させることが可能となって、例えば栽培した植物を収穫した際の栽培用トレイ120の入替え等に起因する栽培用照明具110の一括した位置変更が可能となり、本第1実施例の植物栽培装置100をさらに有用なものとすることができる。
【実施例2】
【0042】
次に、本発明の第2実施例である植物栽培装置200について、図2の記載に基づいて以下に説明する。
図2は、本発明の第2実施例である植物栽培装置200の全体側面図である。
なお、第2実施例の植物栽培装置200は、第1実施例と比べて、スペーサ240におけるスペーサブロック241、242の組合せ形態を異にするのみでその他の点は第1実施例と同様であるから、第1実施例と同様の部分については下2けたを共通の番号とした200番台の符号を付して記載するのみとし、詳しい説明は省略する。
【0043】
本第2実施例の植物栽培装置200においては、スペーサ240として、第1実施例において使用したスペーサブロック141と同様のスペーサブロック241と、その5倍の幅とした厚駒スペーサブロック242とを組み合わせて使用するものである。
なお、第2実施例では、厚駒スペーサブロック242をスペーサブロック241と異なる色としているが、同色として使用することも可能である。
【0044】
第2実施例で使用される植物栽培装置200では、スペーサブロック241を5個介挿することとなる場合には、これに換えて厚駒スペーサブロック242を介挿することとして、使用するスペーサブロック241、242の総数を低減したものである。
例えば、図2において、上段側では、通常のスペーサブロック241であれば7個必要となるところを、1個の厚駒スペーサブロック242と2個のスペーサブロック241の3個のスペーサブロックを装着すれば済むようにして、下段側では、通常のスペーサブロック241を10個装着することに換えて2個の厚駒スペーサブロック242を装着すれば済むようにしている。
これにより、下段側では薄幅のスペーサブロック241であれば10回の装着作業を必要とするところを厚駒スペーサブロック242を使用することで2回の装着作業で済ますことができ、上段側であれば、7回必要であった装着作業を3回で済ますことができる、というように、使用するスペーサブロック241の数を減少させて装着あるいは除去の作業の回数を大きく低減させることができる。
【0045】
また、多数のスペーサブロック241が装着されていると、現時点における装着数を把握するのに、逐一スペーサブロック241の数を数える必要があるが、第2実施例のように通常の薄型と厚駒型とを併用することで装着数が減少した結果、一目で、装着数あるいは装着された厚さ、すなわち栽培用照明具210の間隔を把握することが可能となり、次にいずれのスペーサブロック241、242をどのように使用するかなどの判断が容易となり、栽培用照明具210の位置調整作業の効率化を図ることが可能となる。
【0046】
本第2実施例の植物栽培装置に関しても、右側に図示したように蛇腹状のスペーサカバー250により被覆すると、介挿したスペーサブロック241、242が落下することが防止され、これに派生するような事故を防止して装置の確実な稼働を図ることが可能であること、およびスペーサブロック241、242および吊下ワイヤ270に、飛散した養液、散水などが付着して発生する汚れ、腐食による劣化などを予防することができることは、前述した第1実施例の場合と同様である。
【0047】
これら第1実施例および第2実施例において使用されるスペーサブロックの概略を図3および図4に基づいて説明する。
図3は、第1実施例で使用されるスペーサブロック141、241の(a)平面図、および(b)側面図であり、図4は、第2実施例で使用される厚駒スペーサブロック242の(a)平面図、および(b)側面図である。
スペーサブロック141、241は、図3(a)に示されるように略円筒形状を呈していて、薄型のものである。
図3(b)に示されるように吊下ワイヤ170へ装着するための溝143が周面の所望箇所から中心に向けて形成されていて、この溝143は中央部がやや大径の円柱状の溝となっている。
【0048】
厚駒スペーサブロック242は、図4(a)に示されるように略円筒形状を呈していて、スペーサブロック141、241と比して厚幅のものである。
スペーサブロック242もまた、図4(b)に示されるように、吊下ワイヤ170へ装着するための溝243が形成されている。
何れのスペーサブロック141、241、242も、適宜の色に着色して使用可能である。
【実施例3】
【0049】
本発明の第3実施例である植物栽培装置300について、図5に基づいて以下に説明する。
図5は、本発明の第3実施例である植物栽培装置300について、前述した第1実施例と異なる部分のみが示される要部側面図である。
なお、第3実施例の植物栽培装置300は、第1実施例と比べて、スペーサ300におけるスペーサブロック341、342の組合せ形態を異にするのみでその他の箇所は第1実施例と同様であるから、第1実施例と同様の部分については下2けたを共通の番号とした300番台の符号を付して記載するのみとし、詳しい説明は省略する。
【0050】
本第3実施例の植物栽培装置300に使用されるスペーサ340は、前述した第1実施例において使用されるスペーサブロック141と同様のスペーサブロック341と、これより径の大きな大径スペーサブロック342とを組み合わせて使用するものである。
それぞれのスペーサブロック341、342の厚さは同一であるから、前述した第1実施例の植物栽培装置100の場合と同様のやり方で栽培用照明具310の位置調整を行なうことができる。
【0051】
また、図5に示されるように、例えば、1乃至4番目までは小径のスペーサブロック341を使用して、5番目および10番目は大径スペーサブロック342を使用するというように、径の大小を組み合わせて使用することにより介挿されたスペーサブロック341、342の総数を一目で認識できるので、現時点での栽培用照明具310の間隔を迅速に把握できて、スペーサブロック341、342を追加装着、離脱して栽培用照明具310の位置を調整する作業の効率化が可能となる。
このような形状の相違によりスペーサブロック341、342の組合せ態様を把握するやり方は、周囲が薄暗い環境にある場合や、赤色LED、青色LEDなどを使用した自然光とは異なる状況で植物を栽培している場合などのように、肉眼ではスペーサブロックの色を判別し辛い状況において特に有効である。
とはいえ、もちろん色分けによる組み合わせと併用することも可能である。
【実施例4】
【0052】
本発明の第4実施例である植物栽培装置400について、図6および図7に基づいて以下に説明する。
図6は、本発明の第4実施例である植物栽培装置400について、前述した第1実施例乃至第3実施例と異なる部分のみが示される要部側面図であり、図7は、第4実施例で使用されるそろばん玉型スペーサブロック441の(a)平面図、および(b)同側面図である。
なお、第4実施例の植物栽培装置400は、第1実施例乃至第3実施例と比べて、スペーサにおけるスペーサブロックの組合せ形態を異にするのみでその他の箇所は第1実施例と同様であるから、第1実施例と同様の部分については下2けたを共通の番号とした400番台の符号を付して記載するのみとし、詳しい説明は省略する。
【0053】
本第4実施例の植物栽培装置400に使用されるスペーサ440は、前述した第1実施例乃至第3実施例の植物栽培装置では、略円筒形状を呈するスペーサブロックを使用していたのに対し、本第4実施例では、所謂、そろばん玉形状を呈するそろばん玉型スペーサブロック441、442を使用するものである。
第2実施例の場合と類似して、第4実施例の植物栽培装置400においては、スペーサ440として、薄型のそろばん玉型スペーサブロック441と、これの5倍の厚さを有する厚駒そろばん玉型スペーサブロック442とを組み合わせて使用するものである。
そろばん玉型スペーサブロック441、442の場合、スペーサブロック441、442の間に手を差し込むことができるので、略円筒形状のスペーサブロック141の場合に比べてスペーサブロック441、442を装着または除去する作業が容易となる。
そろばん玉型スペーサブロック441、442を使用する場合は、第1実施例の場合のように同一径、同一厚さのそろばん玉型スペーサブロック441の組合せとして使用することも可能であるが、図6に示されるように、第2実施例の場合のように同一径、異なる厚さのそろばん玉型スペーサブロック441、442を組み合わせて使用することもできるし、また、第3実施例の場合のように、異なる径、同一厚さのそろばん玉型スペーサブロック441を組み合わせて使用することもできる。
また、異なる色のスペーサブロック441、442の組合せとして使用することもできるし、前述したようなスペーサカバーを使用することもできる。
したがって、以上のどのような使用形態をとるにしても、そろばん玉型スペーサブロック441、442を使用したことにより、前述した第1実施例乃至第3実施例の植物栽培装置100乃至300と同様の効果を奏するとともに、取扱いが容易となったことにより作業能率を一段と改善することができる。
【0054】
スペーサブロックの形状としては、前述した略円筒形状、そろばん玉型の他に、正6角形、正8角形というような多角形状としてもよい。
多角形状のスペーサブロックとした場合の利点は、略円筒形状、そろばん玉型の場合と異なり、落下した場合などに転がってゆくことを予防できることである。
略円筒形状、そろばん玉型、いずれも外形が円形であると、スペーサブロックが落下した場合など、転がって行ったスペーサブロックを見つけ出し、もとの場所に装着し直すのに手間取ったり、足元に寄ってきたスペーサブロックに足を取られて転倒するというような作業者の事故が発生する虞があるが、スペーサブロックを多角形状にして転動し難くすることにより、そうした落下、転動に派生するような余計な作業、事故を未然に防止することが可能となる。
多角形状のスペーサブロックとを使用する場合も、第1実施例乃至第3実施例の場合と同様に、大きさ、厚さ、色の異なるものを用意してこれらを組み合わせて使用することで、前述した第1実施例乃至第3実施例において説明したと同様の作用、効果を奏することができる。
【0055】
以上のようにして得られた第1実施例乃至第4実施例の植物栽培装置100乃至400は、植物Pを栽培可能な栽培トレイ130乃至430と上下複数段に配置されて栽培トレイ130乃至430を各々収容可能なトレイ載置棚120乃至420とトレイ載置棚120乃至420のそれぞれの上方に設けられて植物に光を照射する栽培用照明具110乃至410とトレイ載置棚120乃至420を支持する支持ラック160乃至460と、支持ラック160乃至460の最上部に設置されて栽培用照明具110乃至410を支持する天井板161乃至461とを備えていて、栽培用照明具110乃至410の最下段と天井板161乃至461との間に張設されて上下複数段の栽培用照明具110乃至410を吊下する吊下ワイヤ170乃至470と、栽培用照明具110乃至410の間に介挿されて栽培用照明具110乃至410の上下の間隔を規定する複数のスペーサブロック141乃至442の組合せから構成されているスペーサ140乃至440を備えていることにより、簡易な構造で植物Pに対する栽培用照明具110乃至410の位置を調整自在として植物Pの成長に応じた光照射を達成することができるとともに、スペーサブロック141乃至442の組合せ態様を、同径で複数の異なる厚さのものの組合せ、複数の異なる径で同一の厚さのものの組合せ、多色に塗り分けたものの組合せ、あるいはこれらを併用したりすることにより、栽培用照明具110乃至410の位置調整の作業能率を著しく改善するものであり、その効果は甚大である。
【実施例5】
【0056】
本発明の第5実施例である植物栽培装置500について、図8に基づいて以下に説明する。
図8は、本発明の第5実施例である植物栽培装置500の全体側面図である。
第5実施例の植物栽培装置500は、前述した各実施例と比べて、栽培用照明具510を支持ラック560に固定して、トレイ載置棚520を支持ラック560最上部に配置した天井板561から吊下ワイヤ570により吊下支持するようにしたものであって、その他の箇所は第2実施例と同様であるから、前述した各実施例と同様の部分については下2けたを共通の番号とした500番台の符号を付して記載するのみとし、詳しい説明は省略する。
【0057】
本第5実施例では、3段の栽培用照明具510は支持ラック560に固定して装着されていて、最上段の栽培用照明具510は天井板に接して設置されている。
これに対し、3段のトレイ載置棚120が、植物栽培装置500の最上部に位置する天井板から吊下ワイヤ570により吊下されていて、より具体的には、最下段のトレイ載置棚520が吊下ワイヤ570により吊下されている。
また、中段のトレイ載置棚520は、最下段のトレイ載置棚520の上に装着されたスペーサブロック541、542を組み合わせて構成されるスペーサ540の上に載置されて位置決めされている。
最上段のトレイ載置棚520も、中段のトレイ載置棚520と同様に、中段のトレイ載置棚の上に装着されたスペーサブロック541、542を組み合わせて構成されるスペーサ540の上に載置されて位置決めされている。
【0058】
本第5実施例において重要な点は、栽培用照明具510を植物栽培装置500の支持ラック560に固定して設置するとともに、栽培トレイ530を載置するトレイ載置棚520を天井板561から吊下して、各トレイ載置棚の間に複数のスペーサブロック541、542の組み合わせから構成されるスペーサ540を適宜に介挿することにより、それぞれのトレイ載置棚520を、各栽培用照明具510の下方に位置調整自在に配置したことである。
栽培トレイ530中にある植物Pと栽培用照明具510との距離は栽培用照明具510とトレイ載置棚520との相対位置により調整されるものであるから、本第5実施例のようにトレイ載置棚520を位置調整自在に吊下しても、前述した第1実施例乃至第4実施例と同様に、栽培される植物Pと栽培用照明具510との相対位置を適宜に調整することが可能である。
このような観点に基づいて、本第5実施例の植物栽培装置を構成したものであるが、それぞれのトレイ載置棚520の位置調整は、前述した第1実施例乃至第4実施例における栽培用照明具110乃至410の間隔調整方法と全く同様に、同径同厚のスペーサブロックの組合せ、同径で異なる厚さのスペーサブロックの組合せ、異なる径で同厚のスペーサブロックの組合せ、異なる色のスペーサブロックの組合せなどを活用して達成することができる。
また、図8の右側に示されるように、スペーサブロック541、542をスペーサカバー550で被覆することにより、スペーサブロック541、542の落下防止や、吊下ワイヤ570、スペーサブロック541、542の汚れ、腐食の防止が可能となることは、前述した第1実施例の場合と同様である。
【0059】
第5実施例の植物栽培装置500のように構成したことにより、前述した第1実施例乃至第4実施例の植物栽培装置と同様に、トレイ載置棚520の間に介挿するスペーサブロック541、542の数を適宜に変更してトレイ載置棚520および栽培トレイ530中の植物Pを移動させることにより、栽培用照明具510と栽培している植物Pとの距離を適宜に変更して、植物Pに対する生育状態に応じた好適な光照射を実現することが可能となる。
【0060】
以上のようにして得られた第5実施例は、植物Pを栽培可能な栽培トレイ530と上下複数段に配置されて栽培トレイ530を各々収容可能なトレイ載置棚520とトレイ載置棚520のそれぞれの上方に設けられて植物Pに光を照射する栽培用照明具510と栽培用照明具510を支持する支持ラック560と支持ラックの最上部に設置されてトレイ載置棚520を支持する天井板561とを備える植物栽培装置500であって、トレイ載置棚520の最下段と天井板561との間に張設されて上下多段のトレイ載置棚520を吊下する吊下ワイヤ570とトレイ載置棚520の間に介挿されてトレイ載置棚520の上下の間隔を規定する複数のスペーサブロック541、542の組合せから構成されるスペーサ540を備えていることにより、簡易な構造で植物Pに対する栽培用照明具の位置を調整自在として成長に応じた植物Pへの光照射を実現することができるとともに、スペーサブロック541、542の組合せ態様を、同径で複数の異なる厚さのものの組合せ、複数の異なる径で同一の厚さのものの組合せ、多色に塗り分けたものの組合せ、あるいはこれらを併用したりすることにより、栽培用照明具110乃至410の位置調整の作業性を著しく改善するものである。
また、トレイ載置棚520を位置調整可能として栽培用照明具510を固定して設置したことにより、栽培用照明具510に付属する給電線592等を併せて移動する必要がなくなり、給電線192の断線等に起因する照明不良のリスクを軽減することができるなど、その効果は甚大である。
【符号の説明】
【0061】
100、200、300、400、500 ・・・植物栽培装置
110、210、310、410、510 ・・・栽培用照明具
120、220、320、420、520 ・・・トレイ載置棚
130、230、330、430、530 ・・・栽培トレイ
140、240、340、440、540 ・・・スペーサ
141、241、341、 541 ・・・スペーサブロック
242 ・・・厚駒スペーサブロック
342 ・・・大径スペーサブロック
441 ・・・そろばん玉型スペーサブロック
442 ・・・厚駒そろばん玉型スペーサブロック
143、243、 443 ・・・装着溝
150、250 ・・・スペーサカバー
160、260、360、460、560 ・・・支持ラック
161、261、261、461、561 ・・・天井板
170、270、370、470、570 ・・・吊下ワイヤ
180、280、 580 ・・・ワイヤ巻取機構
191、291、 591 ・・・配電機構
192、292、 592 ・・・給電線
P ・・・植物



【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を栽培可能な栽培トレイと、上下複数段に配置されて前記栽培トレイを各々収容可能なトレイ載置棚と、該トレイ載置棚のそれぞれの上方に設けられて前記植物に光を照射する栽培用照明具と、該栽培用照明具またはトレイ載置棚の一方を支持する支持ラックと、該支持ラックの最上部に設置されて前記栽培用照明具またはトレイ載置棚の他方を支持する天井板とを備えている植物栽培装置であって、
前記栽培用照明具またはトレイ載置棚の最下段と前記天井板との間に張設されて上下複数段の栽培用照明具またはトレイ載置棚を吊下する吊下手段と、
前記栽培用照明具の間またはトレイ載置棚の間に介挿されて前記栽培用照明具またはトレイ載置棚の上下の間隔を規定するスペーサを備えていることを特徴とする植物栽培装置。
【請求項2】
前記スペーサが、略円筒形状を呈して一定の径および一定の厚さを有する複数のスペーサブロックの一つまたは組合せから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培装置。
【請求項3】
前記スペーサが、略円筒形状を呈して一定の径および異なる厚さを有する複数種類のスペーサブロックのいずれか一つまたは組合せから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培装置。
【請求項4】
前記スペーサが、略円筒形状を呈して異なる径および一定の厚さを有する複数種類のスペーサブロックのいずれか一つまたは組合せから構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の植物栽培装置。
【請求項5】
前記スペーサが、略円筒形状に換えて多角形状を呈する複数種類のスペーサブロックのいずれか一つまたは組合せから構成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の植物栽培装置。
【請求項6】
前記スペーサが、略円筒形状に換えてそろばん玉形状を呈する複数種類のスペーサブロックのいずれか一つまたは組合せから構成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の植物栽培装置。
【請求項7】
前記スペーサが、異なる色に着色された複数種類のスペーサブロックのいずれか一つまたは組合せから構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の植物栽培装置。
【請求項8】
前記スペーサが、スペーサカバーにより被覆されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載の植物栽培装置。
【請求項9】
前記スペーサカバーが、蛇腹状を呈する形状で伸縮自在であることを特徴とする請求項8に記載の植物栽培装置。
【請求項10】
前記吊下手段が吊下げワイヤであり、該吊下げワイヤが前記天井板に設置したワイヤ巻取機構と栽培用照明具またはトレイ載置棚との間に張設されていて、該ワイヤ巻取機構により前記吊下ワイヤを巻取りまたは巻戻すことにより前記栽培用照明具またはトレイ載置棚が昇降自在であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の植物栽培装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−90583(P2012−90583A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241468(P2010−241468)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】