説明

植物病原菌類の防除のためのジチイン−テトラカルボキシミドの使用

本発明は、新規かつ既知のジチイン−テトラカルボキシミドの植物病原菌類の防除のための使用、並びに、植物保護における植物病原菌類の防除方法、並びに、これらジチイン−テトラカルボキシミドを含有する植物保護剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規かつ既知のジチイン−テトラカルボキシミドの植物病原菌類の防除のための使用、並びに、植物保護における植物病原菌類の防除方法、並びに、このジチイン−テトラカルボキシミドを含有する植物保護剤に関する。
【0002】
ジチイン−テトラカルボキシミド自体は既に知られている。同様に知られているのは、このジチイン−テトラカルボキシミドが動物の内部寄生体、特に線虫類に対する駆虫剤として使用されることができること、かつ、殺虫作用を有することである(参照、US3,364,229)。さらに知られているのは、所定のジチイン−テトラカルボキシミドが抗菌(antibakteriell)作用を有し、かつ、ヒトの真菌症に対してある程度の作用を有することである(参照、Il Farmaco,2005,60,944−947)。さらに知られているのは、ジチイン−テトラカルボキシミドが電子写真フォトレセプターにおいて顔料として又は塗料及びポリマーにおいて着色剤として使用されることができることである(参照、JP−A10−251265、PL−B143804)。
【0003】
例えば、作用スペクトル、毒性、選択性、適用量、残留物形成及び有利な製造性に関する、現在の殺菌剤に対する生態学的及び経済的な要求は絶えず高まっているので、また、さらに、例えば、抵抗性に関連した問題も生じ得るので、少なくとも一部の領域で、上述の要求をより良好に満たす新規殺菌剤を開発するという恒常的な課題が存在する。
【0004】
一般式(I)
【化1】

[式中、
1及びR2は、同じか又は異なり、水素か、場合により1回又は複数回ハロゲン、−OR3、−COR4により置換されたC1〜C8−アルキル、場合により1回又は複数回ハロゲン、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−ハロゲンアルキルにより置換されたC3〜C7−シクロアルキル、それぞれ場合により1回又は複数回ハロゲン、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−ハロゲンアルキル、−COR4又はスルホニルアミノにより置換されたアリール又はアリール−(C1〜C4−アルキル)である、
3は、水素、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキルカルボニルか、又は場合により1回又は複数回ハロゲン、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−ハロゲンアルキルにより置換されたアリールである、
4は、ヒドロキシ、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシである、
nは、0又は1である]
のジチイン−テトラカルボキシミドが、植物病原菌類の防除のために極めて良好に使用可能であることが見出された。
【0005】
本発明による式(I)のジチイン−テトラカルボキシミド並びに場合によりその塩は、植物病原有害菌類の防除のために極めて良好に適する。前述の本発明による化合物は、とりわけ殺菌性の有効性を示し、かつ、植物保護において、家庭及び衛生学の分野においても、また同様に材料保護においても使用される。
【0006】
本発明により使用可能なジチイン−テトラカルボキシミドは、式(I)に一般的に定義される。好ましく使用できるのは、基が以下の意味合いを有する式(I)のカルボキサミドである。
【0007】
1及びR2は、好ましくは、同じか又は異なり、かつ、好ましくは、水素か、場合により1回又は複数回フッ素、塩素、臭素、−OR3、−COR4により置換されたC1〜C6−アルキル、場合により1回又は複数回塩素、メチル又はトリフルオロメチルにより置換されたC3〜C7−シクロアルキルか、それぞれ場合により1回又は複数回フッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチル、−COR4、スルホニルアミノにより置換されたフェニル又はフェニル−(C1〜C4−アルキル)である。
【0008】
1及びR2は、特に好ましくは、同じか又は異なり、かつ、特に好ましくは、水素か、場合により1回又は複数回フッ素、塩素、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、メチルカルボニルオキシ、カルボキシルにより置換されたC1〜C4−アルキル、場合により1回又は複数回塩素、メチル又はトリフルオロメチルにより置換されたC3〜C7−シクロアルキルか、それぞれ場合により1回から3回フッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチル、−COR4、スルホニルアミノにより置換されたフェニル、ベンジル、1−フェネチル、2−フェネチル又は2−メチル−2−フェネチルである。
【0009】
1及びR2は、特にとりわけ好ましくは、同じか又は異なり、特にとりわけ好ましくは、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、それぞれ場合により塩素、メチル又はトリフルオロメチルにより置換されたシクロプロピル又はシクロヘキシルである。
【0010】
1及びR2は、とりわけ好ましくは、同時にメチルである。
【0011】
3は、好ましくは、水素、メチル、エチル、メチルカルボニル、エチルカルボニルか、又は場合により1回又は複数回フッ素、塩素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル又はトリフルオロメチルにより置換されたフェニルである。
【0012】
3は、特に好ましくは、水素、メチル、メチルカルボニルか、又はフェニルである。
【0013】
4は、好ましくは、ヒドロキシ、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである。
【0014】
4は、とりわけ好ましくは、ヒドロキシ又はメトキシである。
【0015】
nは、好ましくは、0である。
【0016】
nは、好ましくは、1でもある。
【0017】
nは、特に好ましくは、0である。
【0018】
詳細には以下の化合物が挙げられる:
(1)2,6−ジメチル−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(2)2,6−ジエチル−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(3)2,6−ジプロピル−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(4)2,6−ジ(プロパン−2−イル)−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(5)2,6−ジシクロプロピル−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(6)2,6−ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(7)2,6−ビス[1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル]−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(8)1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(9)2,6−ビス(3,5−ジクロロフェニル)−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(10)2,6−ジフェニル−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(11)2,6−ジベンジル−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(12)2,6−ビス(3,5−メトキシエチル)−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(13)2,6−ビス(2−ヒドロキシブチル)−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(14)2,6−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(15)2,6−ビス(2−フェノキシエチル)−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(16)2,6−ビス(2−エトキシエチル)−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(17)2,6−ビス(2−フェニルプロパン−2−イル)−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(18)2,6−ビス(1−フェニルエチル)−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(19)2,6−ビス(2−メトキシ−2−メチルプロピル)−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(20)2,6−ジ−tert−ブチル−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(21)(1,3,5,7−テトラオキソ−1,3,5,7−テトラヒドロ−2H,6H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−2,6−ジイル)ジエタン−2,1−ジイル−ジアセタート
(22)4,4′−(1,3,5,7−テトラオキソ−1,3,5,7−テトラヒドロ−2H,6H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−2,6−ジイル)ジベンゼンスルホンアミド
(23)2,2′−(1,3,5,7−テトラオキソ−1,3,5,7−テトラヒドロ−2H,6H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−2,6−ジイル)二酢酸
(24)2,2′−(1,3,5,7−テトラオキソ−1,3,5,7−テトラヒドロ−2H,6H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−2,6−ジイル)ジプロパン酸
(25)2,2′−(1,3,5,7−テトラオキソ−1,3,5,7−テトラヒドロ−2H,6H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−2,6−ジイル)ジブタン酸
(26)2,2′−(1,3,5,7−テトラオキソ−1,3,5,7−テトラヒドロ−2H,6H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−2,6−ジイル)ジヘキサン酸
(27)2,2′−(1,3,5,7−テトラオキソ−1,3,5,7−テトラヒドロ−2H,6H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−2,6−ジイル)ビス(3,3−ジ−メチルブタン酸)
(28)3,3′−(1,3,5,7−テトラオキソ−1,3,5,7−テトラヒドロ−2H,6H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−2,6−ジイル)ジブタン酸
(29)5,5′−(1,3,5,7−テトラオキソ−1,3,5,7−テトラヒドロ−2H,6H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−2,6−ジイル)ジペンタン酸
(30)2,6−ビス[3−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(31)2,6−ビス[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(32)2,2′−(1,3,5,7−テトラオキソ−1,3,5,7−テトラヒドロ−2H,6H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−2,6−ジイル)ビス(3−フェニルプロパン酸)
(33)2,6−ビス(2−ヒドロキシエチル)−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(34)2,6−ビス(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(35)(1,3,5,7−テトラオキソ−1,3,5,7−テトラヒドロ−2H,6H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−2,6−ジイル)ジブタン酸−1,2−ジイル−ジアセタート
(36)(1,3,5,7−テトラオキソ−1,3,5,7−テトラヒドロ−2H,6H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−2,6−ジイル)ジプロパン−1,2−ジイル−ジアセタート
(37)2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(38)2,6−ジメチル−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン−4−オキシド
(39)2−エチル−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン
(40)ジエチル−2,2′−(1,3,5,7−テトラオキソ−1,3,5,7−テトラヒドロ−2H,6H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−2,6−ジイル)ジヘキサノアート
(41)2−[2−(1−エトキシ−1−オキソブタン−2−イル)−1,3,5,7−テトラオキソ−2,3,5,7−テトラヒドロ−1H,6H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−6−イル]ブタン酸。
【0019】
特に好ましく使用できるのは、化合物(1)、(2)及び(3)である。
【0020】
新規なのは、式(I−a)
【化2】

[式中、
1a及びR2aは、同じか又は異なり、1回又は複数回フッ素、−OR3a、−COR4aにより置換されたC1〜C8−アルキル、場合により1回又は複数回ハロゲン、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−ハロゲンアルキルにより置換されたC3〜C7−シクロアルキルか、又は1回アルキル部分中で−COR4aにより置換されたアリール−(C1〜C4−アルキル)である、
3aは、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキルカルボニルか、又は場合により1回又は複数回ハロゲン、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−ハロゲンアルキルにより置換されたアリールである、
4aは、ヒドロキシ、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシである、
rは、0又は1である、
その際、R1a及びR2aは同時にアセトキシメチル又はメトキシメチルでない]
のジチイン−テトラカルボキシミドである。
【0021】
1a及びR2aは、好ましくは、同じか又は異なり、好ましくは、1回又は複数回フッ素、−OR3a、−COR4aにより置換されたC1〜C6−アルキル、場合により1回又は複数回塩素、メチル又はトリフルオロメチルにより置換されたC3〜C7−シクロアルキルか、又は1回アルキル部分中で−COR4aにより置換されたフェニル−(C1〜C4−アルキル)である。
【0022】
1a及びR2aは、特に好ましくは、同じか又は異なり、特に好ましくは、1回又は複数回フッ素、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、メチルカルボニルオキシ、カルボキシルにより置換されたC1〜C4−アルキル、場合により1回又は複数回塩素、メチル又はトリフルオロメチルにより置換されたC3〜C7−シクロアルキルか、又は1回アルキル部分中で−COR4aにより置換された1−フェネチル又は2−フェネチルである。
【0023】
1a及びR2aは、特にとりわけ好ましくは、同じか又は異なり、特にとりわけ好ましくは、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、それぞれ場合により塩素、メチル又はトリフルオロメチルにより置換されたシクロプロピル又はシクロヘキシルである。
【0024】
3aは、好ましくは、メチル、エチル、メチルカルボニル、エチルカルボニルか、又は場合により1回又は複数回フッ素、塩素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル又はトリフルオロメチルにより置換されたフェニルである。
【0025】
3aは、特に好ましくは、メチル、メチルカルボニルか、又はフェニルである。
【0026】
4aは、好ましくは、ヒドロキシ、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである。
【0027】
4aは、とりわけ好ましくは、ヒドロキシ又はメトキシである。
【0028】
rは、好ましくは、0である。
【0029】
rは、好ましくは、1でもある。
【0030】
rは、特に好ましくは、0である。
【0031】
上で定義した置換基の種類に応じて、式(I)の化合物は酸性又は塩基性の特性を有してよく、かつ、無機又は有機の酸を用いて又は塩基を用いて又は金属イオンを用いて、塩、場合により、内塩又はアダクトを形成してよい。
【0032】
金属イオンとして、とりわけ、第2主族の元素、特にカルシウム及びマグネシウムの、第3及び第4主族の元素、特にアルミニウム、スズ及び鉛の、並びに、第1〜第8副族の元素、特にクロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛及びその他のイオンが考慮される。特に好ましいのは、第4周期の元素の金属イオンである。この金属は、この場合に、様々なその適した原子価にあってよい。
【0033】
式(I)の化合物が、ヒドロキシ、カルボキシ又は他の、酸性の特性を誘導する基を有する場合には、この化合物は塩基を用いて塩へと変換させることができる。
【0034】
適した塩基は、例えば、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、カーボナート、ヒドロゲンカーボナート、特にナトリウム、カリウム、マグネシウム及びカルシウムからのもの、さらに、アンモニア、第一級、第二級及び第三級アミンであって(C1〜C4)−アルキル基を有するもの、(C1〜C4)−アルカノールのモノ−、ジ−及びトリアルカノールアミン、コリン並びにクロロコリンである。
【0035】
式(I)の化合物が、アミノ、アルキルアミノ又は他の、塩基性の特性を誘導する基を有する場合には、この化合物は酸を用いて塩へと変換させることができる。
【0036】
無機酸のための例は、ハロゲン水素酸、例えばフッ化水素、塩化水素、臭化水素及びヨウ化水素、硫酸、リン酸及び硝酸及び酸性の塩、例えばNaHSO4及びKHSO4である。
【0037】
有機酸として、例えば、ギ酸、炭酸及びアルカン酸、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸及びプロピオン酸並びにグリコール酸、チオシアン酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、シュウ酸、アルキルスルホン酸(1〜20個の炭素原子を有する直鎖状の又は分枝鎖状のアルキル鎖を有するスルホン酸)、アリールスルホン酸又は−ジスルホン酸(芳香族基、例えばフェニル及びナフチルであって、1又は2のスルホン酸基を有するもの)、アルキルホスホン酸(1〜20個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を有するホスホン酸)、アリールホスホン酸又は−ジホスホン酸(芳香族基、例えばフェニル及びナフチルであって、1又は2のホスホン酸基を有するもの)が考慮され、その際、このアルキル基又はアリール基は更なる置換基を有してよく、例えばp−トルエンスルホン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、2−フェノキシ安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、その他である。
【0038】
このようにして得られる塩は、同様に、殺菌性の特性を有する。
【0039】
本発明により使用可能な式(I)のジチイン−テトラカルボキシミドは、知られた手法で製造されることができる(参照、US3,364,229,Synthetic Commun.2006.36,3591−3597及びIl Farmaco 2005.60,944−947)。
【0040】
例えば、第1の方法において(参照、Il Farmaco 2005,60,944−947)、第1の工程において式(II)の無水コハク酸を式(III)のアミンと場合により希釈剤の存在下で反応させる。引き続き、次いで、このように得られた式(IV)のコハク酸モノアミドを硫黄源(例えば、塩化チオニル)と反応させる。反応条件に応じて、式(V)のジチイン−ジイソイミドが、これを式(I−b)のジチイン−テトラカルボキシミドに移行する前に、単離されることができる。この式(I)のジチイン−テトラカルボキシミドの製造は、以下の図式により詳説されることができる(Rはここでは、R1又はR2を示す):
【化3】

【0041】
植物病原菌類の防除のために、式(V)
【化4】

[式中、R1及びR2は、上述の意味合いを有する]
のジチイン−ジイソイミドも適する。
【0042】
1及びR2は、この場合に、上で挙げた好ましい、特に好ましい、特にとりわけ好ましいか、又はとりわけ好ましい意味合いを有する。
【0043】
新規なのは、式(V−a)
【化5】

[式中、R1a及びR2aは、上で挙げた意味合いを有する]
のジチイン−ジイソイミドである。
【0044】
1a及びR2aは、この場合に、上で挙げた好ましい、特に好ましい、特にとりわけ好ましいか又はとりわけ好ましい意味合いを有する。
【0045】
例えば、第2の方法において(参照、US3,364,229、Synthetic Commun 2006,36,3591−3597)、第1の工程において式(VI)のジクロロマレイン酸無水物を式(III)のアミンと場合により希釈剤の存在下で反応させる。引き続き、次いで、このように得られた式(VII)のマレイン酸イミドを硫黄源(例えば、硫化水素又はチオ尿素)と反応させる。式(I−b)のこの発生したジチイン−テトラカルボキシミドは、場合により、引き続き硫酸で酸化されることができる。この式(I)のジチイン−テトラカルボキシミドの製造は、以下の図式により詳説されることができる(RはここではR1又はR2を示す):
【化6】

【0046】
本発明は、さらに、少なくとも1の式(I)のジチイン−テトラカルボキシミド又は式(V)のジチイン−ジイソイミドを含有する、不所望な菌類の防除のための植物保護剤に関する。好ましくは、これは、農学的に使用可能な助剤、溶剤、担体物質、表面活性物質又は増量剤を含有する殺菌剤である。
【0047】
さらに、本発明は、本発明により式(I)のジチイン−テトラカルボキシミド又は式(V)のジチイン−ジイソイミドを植物病原菌類及び/又はその生息空間に施用することを特徴とする不所望な微生物の防除方法に関する。
【0048】
本発明により、担体物質とは、天然の又は合成の、有機の又は無機の物質を意味し、これと一緒に、作用物質は、より良好な適用性のために、特に植物又は植物の部分又は種子へ設けるために、混合又は結合されている。この担体物質は、固形又は液状であることができ、一般的には不活性であり、農学において使用可能であるべきである。
【0049】
固形の又は液状の担体物質として、例えば、アンモニウム塩及び天然の岩石粉、例えばカオリン、アルミナ、タルク、チョーク、石英、アパタルジャイト、モンモリロナイト又は珪藻土及び合成の岩石粉、例えば高分散性ケイ酸、酸化アルミニウム及び天然の又は合成のシリカート、樹脂、ロウ、固形の肥料、水、アルコール、特にブタノール、有機溶剤、鉱油及び植物油並びにこの誘導体が考慮される。このような担体物質の混合物が同様に使用可能である。顆粒のための固形の担体物質として、例えば、破砕されかつ分画された天然の岩石、例えば方解石、大理石、軽石、海泡石、ドロマイト、並びに、無機の及び有機の粉(Mehl)からの合成の顆粒、並びに、有機の材料、例えばおがくず、ココナツ皮、トウモロコシの穂軸及びタバコ茎からの顆粒が考慮される。
【0050】
液化した気状の増量剤又は担体物質として、常温及び常圧で気状である液体が考慮され、例えば、エアロゾル噴射ガス(Aerosol-Traibgas)、例えばハロゲン炭化水素、並びにブタン、プロパン、窒素及び二酸化炭素が考慮される。
【0051】
この製剤(Formulierung)においては、付着剤、例えばカルボキシメチルセルロース、天然の及び合成の、粉末状の、粒状の又はラテックス形状のポリマーが使用されることができ、例えば、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタート、並びに、天然のリン脂質、例えばケファリン及びレシチン、及び、合成のリン脂質が使用されることができる。更なる添加剤は、鉱油及び野菜油であることができる。
【0052】
増量剤としての水の利用の場合には、例えば、有機溶媒も補助溶媒として使用されることができる。液状の溶媒として本質的に、芳香族化合物、例えばキシレン、トルエン又はアルキルナフタレン、塩素化芳香族化合物又は塩素化脂肪族炭化水素、例えばクロロベンゼン、クロロエチレン又はジクロロメタン、脂肪族炭化水素、例えばシクロヘキサン又はパラフィン、例えば石油フラクション、鉱油及び植物油、アルコール、例えばブタノール又はグリコール並びにそのエーテル及びエステル、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はシクロヘキサノン、強極性溶媒、例えばジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシド、並びに水が考慮される。
【0053】
本発明による剤は、付加的に更なる成分を含有でき、これは例えば表面活性物質である。表面活性物質として、乳化−及び/又はフォームを生じる剤、分散剤又は湿潤剤であってイオン性又は非イオン性特性を有するもの又はこの表面活性物質の混合物が考慮される。このための例は、ポリアクリル酸の塩、リグノスルホン酸の塩、フェノールスルホン酸又はナフタレンスルホン酸の塩、エチレンオキシドと脂肪アルコールの重縮合物又は脂肪酸で又は脂肪アミンで置換したフェノール(好ましくはアルキルフェノール又はアリールフェノール)、スルホコハク酸エステルの塩、タウリン誘導体(好ましくはアルキルタウラート)、ポリエトキシ化アルコール又はフェノールのリン酸エステル、ポリオールの脂肪酸エステル、及び、スルファート、スルホナート及びホスファートを含有するこの化合物の誘導体、例えばアルキルアリールポリグリコールエーテル、アルキルスルホナート、アルキルスルファート、アリールスルホナート、タンパク質加水分解物、リグニン−スルフィット廃液(Lignin-Sulfitablauge)及びメチルセルロースである。この作用物質の1つ及び/又は不活性担体物質の1つが水溶性でない場合及びこの適用が水中で行われる場合に、表面活性物質の存在は必要である。表面活性物質の割合は、本発明による剤の5〜40質量パーセントである。
【0054】
着色剤、例えば、無機顔料、例えば酸化鉄、酸化チタン、フェロシアンブルー及び有機着色剤、例えばアリザリン−、アゾ−及び金属フタロシアニン着色剤及び微量栄養素、例えば鉄、マンガン、ホウ素、銅、コバルト、モリブデン及び亜鉛の塩が使用されることができる。
【0055】
場合により、他の付加的な成分も含有されていることができ、例えば、これは、保護コロイド、バインダー、接着剤、増粘剤、チキソトロープ物質、浸透促進剤、安定化剤、金属イオン遮蔽剤、錯形成剤である。一般的には、この作用物質は、製剤(Formulierung)目的のために慣用される、全ての固形の又は液状の添加剤と組み合わせられることができる。
【0056】
この製剤は、一般的には、作用物質を0.05〜99質量%、0.01〜98質量%、好ましくは0.1〜95質量%、特に好ましくは0.5〜90質量%、特にとりわけ好ましくは10〜70質量%含有する。
【0057】
本発明による作用物質又は剤は、自体で又はそのそれぞれの物理学的及び/又は化学的な特性に依存して、その製剤の形又はそこから準備される適用形態、例えば、エアロゾル、カプセル懸濁物、コールドフォグ濃縮物(Kaltnebelkonzentrate)、ホットフォグ濃縮物、カプセル化顆粒、微細顆粒、種子の処置のためのフロアブル濃縮物、使用準備の整った溶液、散布可能な(verstaeubbar)粉末、乳化可能な濃縮物、水中油エマルション、油中水エマルション、マクロ顆粒、ミクロ顆粒、油分散可能な粉末、油混合可能なフロアブル濃縮物、油混合可能な液体、フォーム、ペースト、農薬で被われた種子、懸濁濃縮物、懸濁−エマルション−濃縮物、溶解性濃縮物、懸濁物、スプレー粉末(Spritzpulver)、溶解性粉末、粉剤(Staeubemittel)及び顆粒、水溶性顆粒又はタブレット、種子処置のための水溶性粉末、湿潤可能な粉末、作用物質−含浸した天然の及び合成の物質、並びに、種子のためのポリマー物質中及びシェル物質中の超微細カプセル化物、並びに、ULV−コールド−及びホットミスト−製剤において使用されることができる。
【0058】
上述の製剤は、自体で知られた様式において製造されることができ、例えば作用物質と少なくとも1の通常の増量剤、溶媒又は希釈剤、乳化剤、分散剤及び/又は結合剤又は固定剤、湿潤剤、撥水剤、場合により乾燥剤及びUV安定剤及び場合により染料及び顔料、消泡剤、保存剤、二次的増粘剤、接着剤、ギベレリン並びに更なる加工助剤との混合により製造されることができる。
【0059】
本発明による剤は、既に適用準備が整っており、かつ、適した装置を用いて植物又はこの種子に施用されることができる製剤のみでなく、使用前に水で希釈されなくてはならない市販の濃縮物も含む。
【0060】
本発明による作用物質は、自体で又はその(慣用の)製剤において、並びに、この製剤から準備される適用形態において、他の(知られている)作用物質、例えば殺虫剤、誘引剤、不妊剤(Sterilantien)、殺細菌剤(Bakterizid)、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、成長調節物質、除草剤、肥料、薬害軽減剤(Safener)又は情報化学物質との混合物において存在することができる。
【0061】
作用物質又は剤を用いた植物及び植物の部分の本発明による処置は、直接的に、又はその周囲、生息環境又は貯蔵室への作用により、通常の処置方法に応じて、例えば浸漬、吹付け((Ver-)Spritzen)、スプレー((Ver-)Spruehen)、灌水(Berieseln)、蒸発、噴霧(Zerstauben)、霧化(Vernebeln)、散布、フォーム化、塗りつけ、塗布、注ぎ(灌注(drenchen))、液滴灌漑(Tropfchenbewasserung)により、そして、繁殖器では、特に種子では、さらに、乾式消毒、湿式消毒、スラリー消毒(Schlaemmbeizen)、外被形成、1又は複数層の被覆その他により、行われる。さらに、この作用物質を、超低体積(Ultra-Low-Volume)法に応じて施用するか、又はこの作用物質調製物又は作用物質自体を土壌中に注入することが可能である。
【0062】
本発明は、さらに、種子の処置方法を含む。
【0063】
本発明は、さらに、先の段落の1に記載の方法に応じて処置された種子に関する。本発明による種子は、不所望な菌類からの種子の保護のための方法において適用される。この方法では、少なくとも1の本発明による作用物質で処置された種子が使用される。
【0064】
本発明による作用物質又は剤は、種子の処置のために適してもいる。有害生物により引き起こされる、作物植物に対する害の大部分は、貯蔵の間の又は播種の後の並びにこの植物の発芽の間及び後に、種子の攻撃により誘発される。この相は、特に重要であり、というのも、この成長する植物の根及び若芽は特に敏感であり、かつ、わずかな損傷だけでもこの植物の死を生じることがあるからである。したがって、種子及び発芽する植物を、適した剤の使用により保護することについて大きな関心がもたれている。
【0065】
植物の種子の処置による植物病原菌類の防除は、長い間知られており、かつ、恒常的な改善の対象である。それにもかかわらず、種子の処置では、一連の問題が生じ、これはいまだに満足して解決されることができない。したがって、種蒔き後又は植物の発芽後の、植物保護剤の付加的な施用を不要にするか又は少なくとも顕著に減少させる、種子及び発芽する植物の保護のための方法を開発することは追求するに値する。さらに、使用される作用物質の量を、この植物自体を使用される作用物質により損なうことなく、この種子及び発芽する植物が植物病原菌類による攻撃から可能な限り保護されるように最適化することは追求するに値する。特に、種子の処置のための方法は、種子及び発芽する植物の最適な保護を植物保護剤に関する最小限の消費で達成するために、トランスジェニック植物の内在的な殺菌特性も含むものである。
【0066】
本発明は、したがって、種子を本発明による剤で処置することにより、植物病原菌類の攻撃から種子及び発芽する植物を保護するための方法にも関する。本発明は、同様に、植物病原菌類から種子及び発芽する植物を保護するための種子の処置のための本発明による剤の使用にも関する。さらに、本発明は、植物病原菌類からの保護のために本発明による剤で処置された種子に関する。
【0067】
発芽後に植物を損なう植物病原菌類の防除は、第一に、この土壌及び地上部の植物の部分を植物保護剤で処置することにより行われる。環境及びヒト及び動物の健康に対する植物保護剤の可能性のある影響に関する懸念のために、この施用される作用物質の量を減少させる努力が存在する。
【0068】
本発明の利点の1つは、本発明による作用物質又は剤のこの特別な浸透移行性(systemisch)の特性のために、この作用物質又は剤を用いた種子の処置は、種子自体だけでなく、ここから生じる植物も、発芽後に植物病原菌類から保護することである。このようにして、この作物(Kultur)の直接的な処置は、この播種の時間点に又はこのすぐ後に行われないことができる。
【0069】
同様に利点としてみなすべきは、本発明による作用物質又は剤が、特にトランスジェニックな種子でも使用されることができることであり、この場合に、この種子から成長する植物は、有害物に対して作用するタンパク質を発現することができる。このような種子の、本発明による作用物質又は剤を用いた処置により既に、例えば殺虫性タンパク質の発現により所定の有害物が防除されることができる。意外なことに、この場合に、有害物攻撃に対する保護のための効率性を付加的に増大させる、更なる相乗効果が観察されることができる。
【0070】
本発明による剤は、農業において、温室において、森林において又は園芸及びブドウ栽培において使用される全ての植物の品種の種子の保護に適している。特に、この場合に、これは、穀物(例えば、コムギ、オオムギ、ライムギ、ライコムギ、キビ及びカラスムギ)、トウモロコシ、ワタ、ダイズ、イネ、ジャガイモ、ヒマワリ、マメ、コーヒー、カブ(例えばサトウダイコン及び飼料用ビート)、落花生、セイヨウアブラナ(Raps)、ケシ、オリーブ、ココナツ、カカオ、サトウキビ、タバコ、野菜(例えば、トマト、キュウリ、タマネギ及びレタス)、芝生及び観賞用植物(下記も参照のこと)の種子である。特に重要なのは、穀物(例えば、コムギ、オオムギ、ライムギ、ライコムギ及びカラスムギ)、トウモロコシ及びイネの種子の処置である。
【0071】
さらに以下にも記載されるとおり、本発明による作用物質又は剤を用いたトランスジェニック種子の処置は特に重要である。これは、殺虫特性を有するポリペプチド又はタンパク質の発現を可能にする少なくとも1の異種遺伝子を含有する植物の種子に関する。トランスジェニック種子中の異種遺伝子は、例えば、バチルス(Bacillus)、リゾビウム(Rhizobium)、シュードモナス(Pseudomonas)、セラチア(Serratia)、トリコデルマ(Trichoderma)、クラビバクター(Clavibacter)、グロモス(Glomus)又はグリオクラジウム(Gliocladium)の種の微生物に由来することができる。好ましくは、この異種遺伝子は、バチルス属種(Bacillus sp.)に由来し、その際、この遺伝子産物は、アワノメイガ(European corn borer)及び/又はウエスタン・コーン・ルートワーム(Western Corn Rootworm)に対する作用を有する。特に好ましくは、この異種遺伝子は、バチルス・スリジエンシス(Bacillus thuringiensis)由来である。
【0072】
本発明の範囲において、本発明による剤は、単独で又は適した製剤において種子に設けられる。好ましくは、この種子は、安定であるため処置の際に害が生じない状態で処置される。一般的には、この種子の処置は、この収穫と播種の間の任意の時間点で行われることができる。通常は、植物と分離され、そして、肉穂花序、外皮、茎、鞘(Huelle)、毛又は果肉を取り除いた種子が使用される。したがって、例えば、収穫され、精製され、15質量%未満の湿分含量まで乾燥された種子が使用されることができる。代替的に、乾燥後に、例えば水で処理され、次いで新たに乾燥された種子も使用されることができる。
【0073】
一般的には、この種子の処置では、この種子に設けられる本発明による剤及び/又は更なる添加物質の量が、この種子の発芽を損なわないか又はここから生じる植物を害しないように選択されることに注意すべきである。これは、特に、所定の適用量において植物毒学的な作用を示すことがある作用物質で注意すべきである。
【0074】
本発明による剤は直接的に設けられることができ、すなわち、更なる成分を含むことなく、かつ、希釈されないでいることができる。通常は、この剤が、適した製剤の形において種子に施用されることが好まれる。適した製剤及び種子処置のための方法は、当業者に知られており、かつ、例えば以下の文献に記載されている:US 4,272,417 A、US 4,245,432 A、US 4,808,430 A、US 5,876,739 A、US 2003/0176428 A1、WO 2002/080675 A1、WO 2002/028186 A2。
【0075】
本発明により使用可能な作用物質は、通常の消毒剤−製剤(Beizmittel-Formulierung)に移行されることができ、これは例えば、溶液、エマルション、懸濁物、粉末、フォーム、スラリー又は他の、種子のための被覆材、並びにULV−製剤である。
【0076】
この製剤は、この作用物質を通常の添加物質、例えば通常の増量剤並びに溶媒又は希釈剤、着色剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、消泡剤、保存剤、二次的増粘剤、接着剤、ギベレリン及び、また水と混合することにより、知られている様式で製造される。
【0077】
本発明により使用可能な消毒剤−製剤において含有されていることができる着色剤として、この種の目的のために通常の全ての着色剤が考慮される。この場合に、水中にあまり溶解しない顔料もまた同様に水中に溶解性の染料も使用可能である。例として、名称ローダミンB、C.I.ピグメントレッド112及びC.I.ソルベントレッド1で知られている着色剤が挙げられる。
【0078】
本発明により使用可能な消毒剤−製剤において含有されていることができる湿潤剤として、農薬作用物質の製剤化のために通常の、湿潤を促進する全ての物質が考慮される。好ましくは、アルキル−ナフタレン−スルホナート、例えばジイソプロピル−又はジイソブチル−ナフタレン−スルホナートが使用可能である。
【0079】
本発明により使用可能な消毒剤−製剤において含有されていることができる分散剤及び/又は乳化剤として、農薬作用物質の製剤化のために通常の、非イオン性、アニオン性及びカチオン性の全ての分散剤が考慮される。好ましくは使用可能であるのは、非イオン性又はアニオン性の分散剤又は非イオン性又はアニオン性の分散剤の混合物である。適した非イオン性分散剤として、特に、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマー、アルキルフェノールポリグリコールエーテル並びにトリスチリルフェノールポリグリコールエーテル及びそのホスファート化(phosphatieren)又はスルファート化した誘導体を挙げることができる。適したアニオン性分散剤としては、特にリグニンスルホナート、ポリアクリル酸塩及びアリールスルホナート−ホルムアルデヒド縮合物である。
【0080】
消泡剤として、本発明により使用可能な消毒剤−製剤において、農薬作用物質の製剤化のために通常の全ての消泡性物質が含有されていることができる。好ましくは、シリコーン消泡剤及びステアリン酸マグネシウムが使用可能である。
【0081】
保存剤として、本発明により使用可能な消毒剤−製剤において、この種の目的のために、農薬剤において使用可能な全ての物質が存在していることができる。例示的に、ジクロロフェン及びベンジルアルコールヘミホルマールが挙げられる。
【0082】
本発明により使用可能な消毒剤−製剤において含有されていることができる二次的増粘剤として、この種の目的のために農薬剤において使用可能な全ての物質が考慮される。好ましくは、セルロース誘導体、アクリル酸誘導体、キサンタン、改質粘土及び高分散性ケイ酸が考慮される。
【0083】
本発明により使用可能な消毒剤−製剤において含有されていることができる接着剤として、消毒剤において使用可能な全ての通常の結合剤が考慮される。好ましくは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタート、ポリビニルアルコール及びチロースが挙げられる。
【0084】
本発明により使用可能な消毒剤−製剤において含有されていることができるギベレリンとして、好ましくは、ギベレリンA1、A3(=ギベレリン酸)、A4及びA7が考慮され、特に好ましくは、ギベレリン酸が使用される。このギベレリンは知られている(R. Wegler "Chemie der Pflanzenschutz− und Schaedlingsbekaempfungsmittel", 第2版, Springer Verlag, 1970, 第401−412頁参照のこと)。
【0085】
本発明により使用可能な消毒剤−製剤は、直接的に又は水を用いた事前の希釈後に、様々な種類の種子の、またトランスジェニック植物の種子の処置のためにも使用されることができる。この場合に、発現により形成される物質との関連において、付加的な相乗作用が生じることもできる。
【0086】
本発明により使用可能な消毒剤−製剤又はここから水の添加により製造される調製物を用いた種子の処置のために、全ての通常の、消毒のために使用可能な混合装置が考慮される。詳細には、この消毒の際に、種子を混合機中に添加し、このそのつどの所望される量の消毒剤−製剤をそのまま又は水を用いた事前の希釈後に添加し、そして、種子に対するこの製剤の均質な分布まで混合するように進行される。場合により乾燥工程が引き続き行われる。
【0087】
本発明による作用物質又は剤は、強力な殺菌作用を有し、かつ、植物保護における、及び、材料保護における、不所望な菌類の防除のために使用されることができる。
【0088】
本発明によるジチイン−テトラカルボキシミドは、植物保護において、ネコブカビ類(Plasmodiophoromycetes)、卵菌類(Oomycetes)、ツボカビ類(Chytridiomycete)、接合菌類(Zygomycete)、子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)及び不完全菌類(Deuteromycete)の防除のために使用される。
【0089】
本発明による殺菌剤は、植物病原菌類の防除のために治療的に又は保護的に使用されることができる。したがって、本発明は、種子、植物又は植物の部分、果実、又は植物が成長する土壌に施用される本発明の作用物質又は剤の使用による植物病原菌類の防除のための、治療的及び保護的な方法に関する。
【0090】
植物の保護における植物病原菌類の防除のための本発明による剤は、有効だが、非植物毒性の量の本発明による作用物質を含む。「有効だが、非植物毒性の量」とは、植物の菌類疾病を十分に制御するか又は完全に死滅させるのに十分であり、かつ、同時に、植物毒性のさほどの症状を伴わない本発明による剤の量を意味する。この適用量は、一般的には極めて広い範囲で変動できる。これは、複数の因子に依存し、例えば、防除すべき菌類、植物、気候的挙動及び本発明による剤の内容物質に依存する。
【0091】
この作用物質の良好な植物相容性は、植物疾病の防除のために必要な濃度で、地上部の植物の部分、植物−及び種子、及び土壌の処置を可能にする。
【0092】
本発明により、全ての植物及び植物の部分が処置されることができる。植物とは、ここで、全ての植物及び植物集団が理解され、例えば、所望される及び所望されない野生植物又は作物植物が理解される(天然に存在する作物植物を含む)。作物植物は、慣用の育種方法及び最適化方法により又はバイオテクノロジー的方法及び遺伝子工学的方法により又はこの方法の組み合わせにより得られることができる植物であることができ、トランスジェニック動物を含み、かつ、品種保護法により保護可能な又は保護可能でない植物の品種を含む。植物の部分は、植物の地上部及び地下部の部分及び器官全て、例えば、シュート、葉、花及び根が理解され、その際、例示的に挙げることができるのは、葉、針状葉(Nadeln)、葉柄(Staengel)、茎、花、子実体、果実及び種子、並びに、根、塊茎及び根茎である。植物の部分には、収穫物、並びに、栄養繁殖器及び生殖繁殖器(vegetatives und generatives Vermehrungsmaterial)、例えば、挿木、塊茎、根茎、挿木用枝(Ableger)及び種も属する。
【0093】
本発明による作用物質は、良好な植物相容性、好ましい温血動物毒性及び良好な環境相容性でもって、植物及び植物の器官を保護するのに適しており、収穫高を増大させるのに適しており、収穫物の品質を改善させるのに適している。これは好ましくは、植物保護剤として使用されることができる。これは、通常の感受性及び抵抗性の種に対して並びに全ての又は個々の発達状態に対して有効である。
【0094】
本発明により処置されることができる植物として、次のものが言及されることができる:ワタ、アマ、ブドウ(Weinrebe)、果物、野菜、例えばバラ科属種(Rosaceae sp)(例えば、ナシ状果類(Kernfruecht)、例えばリンゴ及びナシだけでなく、石果類、例えば、アンズ、サクランボ、アーモンド及びモモ及びベリー果実、例えばイチゴ)、リベシオイダエ科属種(Ribesioidae sp.)、クルミ科属種(Juglandaceae sp.)、カバノキ科属種(Betulaceae sp.)、ウルシ科属種(Anacardiaceae sp.)、ブナ科属種(Fagaceae sp.)、クワ科属種(Moraceae sp.)、モクセイ科属種(Oleaceae sp.)、マタタビ科属種(Actinidaceae sp.)、クスノキ科属種(Lauraceae sp.)、バショウ科属種(Musaceae sp.)(例えば、バナナの木及び−農園(plantage))、アカネ科属種(Rubiaceae sp.)(例えば、コーヒー)、ツバキ科属種(Theaceae sp.)、アオギリ科属種(Sterculiceae sp.)、ミカン科属種(Rutaceae sp.)(例えば、レモン、オレンジ及びグレープフルーツ);ナス科属種(Solanaceae sp.)(例えば、トマト)、ユリ科属種(Liliaceae sp.)、キク科属種(Asteraceae sp.)(例えば、レタス)、セリ科属種(Umbelliferae sp.)、十字花科属種(Cruciferae sp.)、アカザ科属種(Chenopodiaceae sp.)、ウリ科属種(Cucurbitaceae sp)(例えば、キュウリ)、ネギ科属種(Alliaceae sp.)(例えば、ネギ、タマネギ)、マメ科属種(Papilionaceae sp.)(例えば、エンドウマメ);主要有用植物、例えばイネ科属種(Gramineae sp.)(例えば、トウモロコシ、芝生、穀物、例えば、コムギ、ライムギ、イネ、オオムギ、カラスムギ、キビ及びライコムギ)、キク科属種(Asteraceae sp.)(例えば、ヒマワリ)、アブラナ科属種(Brassicaceae sp.)(例えば、キャベツ、紫キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ、パクチョイ、コールラビ、ハツカダイコン並びにセイヨウアブラナ、カラシ、セイヨウワサビ及びクレソン)、マメ科属種(Fabacae sp.)(例えば、マメ、落花生)、マメ科属種(Papilionaceae sp.)(例えば、ダイズ)、ナス科属種(Solanaceae sp.)(例えば、ジャガイモ)、アカザ科属種(Chenopodiaceae sp.)(例えば、サトウダイコン、飼料用ビート、フダンソウ、赤ビート);庭及び森中の有用植物及び観賞用植物;並びにこの植物のそれぞれ遺伝子改変した種。
【0095】
上述のとおり、本発明により全ての植物及びその部分が処理されることができる。好ましい一実施態様においては、野生で存在するか又は慣用の生物学的な育種方法、例えば交雑又はプロトプラスト融合により得られる植物の種及び植物の品種並びにその部分が処置される。さらに好ましい一実施態様においては、遺伝子工学的方法により場合により慣用の方法と組み合わせて得られたトランスジェニック植物及び植物の品種(Genetically Modified Organisms)及びその部分が処置される。概念「部分」又は「植物の部分」又は「植物部分」は、上で説明されている。特に好ましくは、本発明により、このそのつどの市販の又は使用されている植物の品種の植物が処理される。植物の品種とは、慣用の育成により、突然変異により、又は組み換えDNA技術により育種されている、新規特性(「形質(Traits)」)を有する植物が理解される。これは、品種、レース、生物型及び遺伝子型であることができる。
【0096】
本発明による処置方法は、遺伝子改変した生物(GMOs)、例えば、植物又は種の処置のために使用されることができる。遺伝子改変した植物(又はトランスジェニック植物)は、異種遺伝子がゲノム中に安定して組み込まれている植物である。「異種遺伝子」との概念は、本質的に、植物の外側で準備されるか又はアセンブリーされ、かつ、形質転換される植物の、細胞核ゲノム、クロロプラストゲノム又はハイポコンドリアゲノム(Hypochondnengenom)中への導入の際に、興味をもたれるタンパク質又はポリペプチドを発現するか、又は、植物中に存在する他の一の遺伝子又は植物中に存在する他の複数の遺伝子を下方制御又は遮断することにより(例えば、アンチセンス−技術、コサプレッション技術又はRNAi−技術[RNAi干渉]を用いる)、新規の又は改善された農学的な又はその他の特性を付与する遺伝子を意味する。ゲノム中に存在する異種遺伝子は、同様にトランス遺伝子と呼ばれる。植物のゲノム中でのその特殊な存在により定義されているトランス遺伝子は、形質転換−又はトランスジェニック事象と呼ばれる。
【0097】
植物の種類又は植物の品種、その場所及びその成長条件(土壌、気候、生育期間、栄養)に依存して、本発明による処置は、相加効果を超える(相乗)効果を生じることもできる。したがって、例えば、以下の効果が可能であり、これは、本来予期すべき効果を超える;本発明により使用されることができる作用物質及び組成物の、適用量の減少及び/又は作用スペクトルの拡大及び/又は有効性の向上、より良好な植物の成長、高温又は低温に対する高められた寛容性、乾燥性又は水−又は土壌塩含有量に対する高められた寛容性、高められた開花能力、容易になった収穫、成熟の促進、より高い収穫高、より多い果実、より高い植物高さ、葉のより濃い緑色、より早期の開花、収穫産物のより高い品質及び/又はより高い栄養価、果実中のより高い糖濃度、収穫産物のより高い貯蔵能及び/又は加工能。
【0098】
所定の適用量においては、本発明による作用物質組み合わせは、植物に対して増強性の作用を発揮することもできる。したがって、これは、不所望な植物病原菌類及び/又は微生物及び/又はウィルスによる攻撃に対する植物の防衛システムの活発化(Mobilisierung)のために適している。これは、場合により、本発明による組み合わせの、向上した有効性、例えば菌類に対する向上した有効性のための理由の1つであることができる。植物増強性(抵抗性誘導性)の物質は、本願の関連において、この処置される植物が、これに続いて不所望な植物病原菌類で接種された場合に、相当の抵抗性の程度をこの不所望な植物病原菌類に対して有するように植物の防衛システムを刺激することができるような物質又は物質組み合わせも意味する。したがって、本発明による物質は、この処置の後のある程度の時間内に、言及した病原体による攻撃に対して植物を保護するために使用される。保護作用が達成される期間は、一般的に、この作用物質を用いた植物の処置後1〜10日間、好ましくは1〜7日間に及ぶ。
【0099】
好ましく本発明により処置される植物及び植物の品種には、この植物に特別に有利な、有用な特徴を付与する遺伝素質(Erbgut)を提供する全ての植物が属する(これが、育種及び/又はバイオテクノロジーにより達成されたかは関係ない)。
【0100】
同様に好ましく本発明により処置される植物及び植物の品種は、1又は複数の生物学的ストレス因子に対して抵抗性であり、すなわち、この植物は、改善された防衛を、動物的及び微生物的な有害物、例えば、線虫類、昆虫、ダニ、植物病原菌類、細菌、ウィルス及び/又はウィロイドに対して有する。
【0101】
同様に本発明により処置されることができる植物及び植物の品種は、1又は複数の非生物学的ストレス因子に対して抵抗性である植物である。非生物学的ストレス条件には、例えば、乾燥(Duerre)、低温及び高温条件、浸透圧、湛水(Staunaesse)、高められた土壌塩濃度、ミネラルへの高められた曝露、オゾン条件、強光条件(Starklichtbedingung)、窒素栄養素の制限された利用能、リン栄養素の制限された利用能又は陰の回避(Vermeidung von Schatten)が属することができる。
【0102】
同様に本発明により処置されることができる植物及び植物の品種は、向上した収穫特性により特徴付けられる植物である。この植物では、向上した収穫は、例えば、改善された植物生理、改善された植物成長及び改善された植物発達、例えば水の利用効率、水保持効率、改善された窒素使用、高められた炭素放出、改善された光合成、増強された発芽力及び促進された成熟に基づくことができる。この収穫は、さらに、改善された植物構造(ストレス条件及び非ストレス条件下で)により影響されることができ、ここにはより早期の開花、ハイブリッド種子の製造のための開花の制御、発芽植物成長性、植物の大きさ、節間成長数及び−間隔、根の成長、種の大きさ、果実の大きさ、長角果の大きさ、長角果−又は穂(Ahre)の数、長角果又は穂あたりの種の数、種の質量、増強された種の充填度(Samenfuellung)、減少した種子の脱落、減少した長角果間隔並びに安定性(Standfestigkeit)を含む。さらなる収穫特性には、種組成、例えば、炭水化物含量、タンパク質含量、油含量及び油組成、栄養価、抗栄養化合物の減少、改善した加工性及び改善した貯蔵安定性が属する。
【0103】
本発明により処置されることができる植物は、既に、ヘテロシス又はハイブリッド作用の特性を発現するハイブリッド植物であり、これは、一般的には、より高い収穫高、より高い成長性、より良好な健康、及び、生物学的及び非生物学的なストレス因子に対してより良好な抵抗性を生じる。このような植物は、典型的には、同系交配による花粉不稔親株(雌性交雑パートナー)と、他の同系交配による花粉稔性親株(雄性交雑パートナー)を交雑させることにより作製される。このハイブリッド種子は、典型的には、花粉不稔性植物から収穫され、繁殖者で販売される。花粉不稔性植物は、しばしば、(例えばトウモロコシでは)、旗弁除去(Entfahnen)(すなわち、機械的に雄性生殖器又は雄花を除去する。)により作製され得るが、より一般的には、花粉不稔性は、植物ゲノムにおける遺伝的決定要素に基づく。この場合には、これがハイブリッド植物から収穫したいという所望される生成物が種である場合には特に、花粉不稔性を担う遺伝的決定要素を含むハイブリッド植物中での花粉稔性が完全に回復されることを確実にすることが通常好ましい。これは、雄性交雑パートナーが相応する稔性回復遺伝子を有することを確実にすることにより達成されることができ、これは、花粉不稔性を担う遺伝的決定要素を含むハイブリッド植物中の花粉稔性を回復することができる。花粉不稔性のための遺伝的決定要素は細胞質において局在化していることができる。細胞質花粉不稔性(CMS)のための例は、例えばアブラナ(Brassica)種のために記載されている。しかし、花粉不稔性のための遺伝的決定要素は細胞核ゲノムにおいて局在化していることもできる。花粉不稔性植物は、植物バイオテクノロジーの手法、例えば遺伝子工学によっても得ることができる。花粉不稔性植物の作製のための特に好ましい剤は、WO89/10396に記載され、その際、例えば、リボヌクレアーゼ、例えばバルナーゼ(Barnase)が選択的に、雄ずい中でタペータム細胞中に発現される。この稔性は、次いで、リボヌクレアーゼ阻害剤、例えばバルスター(Barstar)の発現により、タペータム細胞中で回復されることができる。
【0104】
本発明により処置されることができる植物又は植物の品種(植物バイオテクノロジーの手法、例えば遺伝子工学を用いて得られる)は、除草剤寛容植物、すなわち、1又は複数の設定された除草剤に対して寛容性にされている植物である。このような植物は、遺伝学的形質転換により、又は、除草剤寛容性を付与する突然変異を含む植物の選択により得られることができる。
【0105】
除草剤寛容性植物は、例えば、グリホサート寛容性植物、すなわち、除草剤グリホサート又はその塩に対して寛容性にされている植物である。したがって、例えば、グリホサート寛容性植物は、酵素5−エノールピルビルシキマート−3−ホスファート合成酵素(EPSPS)をコードする遺伝子を用いた植物の形質転換により得られることができる。このようなEPSPS遺伝子のための例は、細菌サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)のAroA遺伝子(突然変異CT7)、細菌アグロバクテリウム属種(Agrobactenum sp)のCP4遺伝子、ペチュニアからのEPSPS、トマトからのEPSPS又はオヒシバ(Eleusine)からのEPSPSをコードする遺伝子である。これは、突然変異したEPSPSであることもできる。グリホサート寛容性植物は、グリホサート−オキシドレダクターゼ−酵素をコードする遺伝子を発現させることによって得ることもできる。グリホサート寛容性植物は、グリホサート−アセチルトランスフェラーゼ−酵素をコードする遺伝子を発現させることによって得ることもできる。グリホサート寛容性植物は、上述の遺伝子の天然に存在する突然変異を選択することによっても、得ることができる。
【0106】
その他の除草剤抵抗性植物は、例えば、酵素グルタミン合成酵素を阻害する除草剤、例えばビアラホス、ホスフィノトリシン又はグルホシネートに対して寛容性にされている植物である。このような植物は、除草剤又は酵素グルタミン合成酵素の突然変異体(これは阻害に対して抵抗性である)を解毒する酵素を発現させることにより得られることができる。このように有効な解毒性の酵素は、例えば、ホスフィノトリシン−アセチルトランスフェラーゼ(例えば、bar−又はpat−タンパク質、ストレプトマイセス(Streptomyces)種から)をコードする酵素である。外来ホスフィノトリシン−アセチルトランスフェラーゼを発現する植物は記載されている。
【0107】
更なる除草剤寛容性植物は、酵素ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)を阻害する除草剤に対して寛容性にされている植物でもある。ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼは、パラ−ヒドロキシフェニルピルビン酸(HPP)がホモゲンチジン酸に変換される反応を触媒する酵素である。天然に存在する抵抗性HPPD酵素をコードする遺伝子、又は突然変異したHPPD酵素をコードする遺伝子を用いて、HPPD−阻害剤に対して寛容性のある植物が形質転換されることができる。HPPD−阻害剤に対する寛容性はまた、HPPD−阻害剤による天然HPPD−酵素の阻害にもかかわらずホモゲンチジン酸の形成を可能にする、ある種の酵素をコードする遺伝子を用いて植物を形質転換することによっても達成することができる。HPPD−寛容性酵素をコードする遺伝子に加えて、酵素プレフェン酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子を用いて植物を形質転換することによって、HPPD−阻害剤に対する植物の寛容性を改善させることもできる。
【0108】
更なる除草剤抵抗性植物は、アセト乳酸合成酵素(ALS)−阻害剤に対して寛容性にされている植物である。知られているALS−阻害剤には、例えば、スルホニル尿素、イミダゾリノン、トリアゾロピリミジン、プリミジニルオキシ(チオ)ベンゾエート及び/又はスルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン除草剤が属する。ALS酵素(アセトヒドロキシ酸合成酵素、AHASとしても知られる)における様々な突然変異は、様々な除草剤又は除草剤群に対する寛容性を付与することが知られている。スルホニル尿素寛容性植物及びイミダゾリノン寛容性植物の作製は、国際公開第WO1996/033270号に記載されている。更なるスルホニル尿素及びイミダゾリノン寛容性植物は、例えばWO2007/024782号にも記載されている。
【0109】
誘導された突然変異生成、除草剤存在下での細胞培養における選択又は突然変異育種によって、イミダゾリノン及び/又はスルホニル尿素に対して寛容性である更なる植物が得られることができる。
【0110】
(植物バイオテクノロジー手法、例えば遺伝子工学によって得た)本発明により同様に処置されることができる植物又は植物の品種は、昆虫抵抗性トランスジェニック植物、すなわち、ある種の標的昆虫での攻撃に抵抗性となるようにされた植物である。このような植物は、遺伝学的形質転換によって又はこのような昆虫抵抗性を付与する突然変異を含む植物の選択によって得られることができる。
【0111】
本願に関連して、概念「昆虫抵抗性トランスジェニック植物」には、次のものをコードするコード配列を含む少なくとも1つのトランス遺伝子を含有するあらゆる植物が含まれる:
1)バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)由来の殺虫性結晶タンパク質又はその殺虫性部分、例えば、オンライン:http://www.lifesci.sussex.ac.uk/Home/Neil_Crickmore/Bt/
で記載されている殺虫性結晶タンパク質、又はその殺虫性部分、例えばCryタンパク質クラスCry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry2Ab、Cry3Ae又はCry3Bbのタンパク質又はその殺虫性部分;又は
2)バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)由来の結晶タンパク質又はバチルス・チューリンゲンシスとしての第二のその他の結晶タンパク質又はその部分の存在下で殺虫性に作用するその部分、例えば、結晶タンパク質Cry34及びCry35から構成されるバイナリートキシン(binaere Toxin);又は
3)バチルス・チューリンゲンシス由来の2つの様々な殺虫性結晶タンパク質の部分を含む殺虫性ハイブリッドタンパク質、例えば、上記1)のタンパク質からのハイブリッド又は上記2)のタンパク質からのハイブリッド、例えば、トウモロコシ・イベント(Mais-Event)MON98034により産生される(WO2007/027777)Cry1A.105タンパク質;又は
4)上記1)から3)の何れか1つのタンパク質(標的昆虫種に対するより高い殺虫的有効性を達成するために、及び/又は、相応する標的昆虫種のスペクトルを拡大するために、及び/又はクローニングもしくは形質転換中にコードDNAに導入された変更ゆえに、いくつか、特に1から10の、アミノ酸が別のアミノ酸により置換されている)、例えば、トウモロコシ・イベントMON863又はMON88017におけるCry3Bb1タンパク質又はトウモロコシ・イベントMIR604におけるCry3Aタンパク質;
5)バチルス・チューリンゲンシス又はバチルス・セレウス(Bacillus cereus)由来の殺虫性分泌タンパク質又はその殺虫性部分、例えば、http://www.lifesci.sussex.ac.uk/Home/Neil_Crickmore/Bt/vip.htmlで列挙される植物性に作用する(vegetativ wirkend)昆虫毒性タンパク質(vegetative insekticidal proteins、VIP)、例えば、VIP3Aaタンパク質クラスのタンパク質;又は
6)バチルス・チューリンゲンシス又はバチルス・セレウス(Bacillus cereus)由来の、バチルス・チューリンゲンシス又はB.セレウス由来の第二の分泌タンパク質存在下で殺虫性に作用する分泌タンパク質、例えば、VIP1A及びVIP2Aタンパク質から構成されるバイナリートキシン、
7)バチルス・チューリンゲンシス又はバチルス・セレウス由来の異なる分泌タンパク質の部分を含む殺虫性ハイブリッドタンパク質、例えば、上記1)のタンパク質のハイブリッド又は上記2)のタンパク質のハイブリッド;又は
8)上記1)から3)の何れか1つのタンパク質(標的昆虫種に対するより高い殺虫的有効性を達成するために、及び/又は、相応する標的昆虫種のスペクトルを拡大するために、及び/又は、クローニングもしくは形質転換中にコードDNAに導入された変更ゆえに、いくつか、特に1から10の、アミノ酸が別のアミノ酸により置換されている)(その際、殺虫性タンパク質のコード化は維持されたままである)、例えば、コットン・イベントCOT102におけるVIP3Aaタンパク質。
【0112】
言うまでもなく、本願の関連においては、昆虫抵抗性トランスジェニック植物には、上記のクラス1から8の何れか1つのタンパク質をコードする遺伝子の組み合わせを含むすべての植物も属する。一実施態様において、昆虫抵抗性植物は、相応する標的昆虫種のスペクトルを拡大するために、又は、同じ標的昆虫種に対して殺虫性があるが様々な作用様式(例えば、昆虫において様々な受容体結合部位に結合すること)を有する様々なタンパク質を使用することによって、植物に対する昆虫の抵抗性の発達を遅延させるために、上記クラス1から8の何れか1つのタンパク質をコードする、1より多いトランス遺伝子を含有する。
【0113】
(植物バイオテクノロジー手法、例えば遺伝子工学によって得た)本発明により同様に処置されることができる植物又は植物の品種は、非生物ストレス因子に対して寛容性がある。このような植物は、遺伝学的形質転換により又は、ストレス抵抗性を付与する突然変異を含む植物の選択により得られることができる。ストレス寛容性を有する特に有用な植物には以下のものが属する:
a.植物細胞又は植物においてポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)のための遺伝子の発現及び/又は活性を低下させることができるトランス遺伝子を含む植物、
b.植物又は植物細胞のPARGコード遺伝子の発現及び/又は活性を低下させることができるストレス寛容性促進トランス遺伝子を含む植物、
c.ニコチンアミダーゼ、ニコチネートホスホリボシルトランスフェラーゼ、ニコチン酸モノヌクレオチドアデニルトランスフェラーゼ、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド合成酵素又はニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼを含む、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドサルベージ生合成経路の、植物で機能的な酵素をコードするストレス寛容性促進トランス遺伝子を含む植物。
【0114】
(植物バイオテクノロジー手法、例えば遺伝子工学によって得た)本発明により同様に処置されることができる植物又は植物の品種は、収穫産物の減少した量、品質及び/又は貯蔵安定性及び/又は収穫産物の所定の成分の変化した特性を示す、例えば:
1)改質したデンプンを合成するトランスジェニック植物(その物理化学的特性、特にアミロース含量又はアミロース/アミロペクチン比、分枝度、平均鎖長、側鎖分布、粘性挙動、ゲル化強度、デンプン粒度及び/又はデンプン粒子形態が、この改質したデンプンが所定の適用に対してより良好に適するように、野生型植物細胞又は−植物中での合成したデンプンと比較して変化している)、
2)非デンプン炭水化物ポリマーを合成する、又はその特性が野生型植物と比較して遺伝的改変なしで変更されている非デンプン炭水化物ポリマーを合成するトランスジェニック植物。例としては、ポリフルクトース、特にイヌリン−及びレバン型のポリフルクトースを産生する植物、α−1,4−グルカンを産生する植物、α−1,6分枝したα−1,4−グルカンを産生する植物、及びアルテルナン(Alternan)を産生する植物、
3)ヒアルロナン(Hyaluronan)を産生するトランスジェニック植物。
【0115】
(植物バイオテクノロジー手法、例えば遺伝子工学によって得た)本発明により同様に処置されることができる植物又は植物の品種は、植物、例えば、変更した繊維特性を有するワタ植物である。このような植物は、遺伝学的形質転換により又はこのような変更した繊維特性を付与する突然変異を含む植物の選択により得られることができる;これには次のものが属する:
a)植物、例えばワタ植物であってセルロース合成酵素遺伝子の変更した形を含むもの;
b)植物、例えばワタ植物であってrsw2−又はrsw3−の相同性核酸の変更した形を含むもの;
c)植物、例えばワタ植物であってサッカロースリン酸合成酵素の高められた発現を有するもの;
d)植物、例えばワタ植物であってサッカロース合成酵素の高められた発現を有するもの;
e)植物、例えばワタ植物であってプラスモデスムの透過制御の時間点が繊維細胞を基礎として変更されているもの、例えば、これは繊維選択的なβ−1,3−グルカナーゼの下方制御による;
f)植物、例えばワタ植物であって変更した反応性を有する繊維を有するもの、例えば、これは、N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ遺伝子、特にnodC及びキチン合成遺伝子の発現による。
【0116】
(植物バイオテクノロジー手法、例えば遺伝子工学によって得た)本発明により同様に処置されることができる植物又は植物の品種は、植物、例えば、セイヨウアブラナ(Raps)又は類するアブラナ(Brassica)−植物であって油組成の変更した特性を有するものである。このような植物は、遺伝学的形質転換により又はこのような変更した油特性を付与する突然変異を含む植物の選択により得られることができる;これには次のものが属する:
a)植物、例えばセイヨウアブラナ植物であって高い油酸含量を有する油を生産するもの;
b)植物、例えばセイヨウアブラナ植物であって低いリノレン酸酸含量を有する油を生産するもの;
c)植物、例えばセイヨウアブラナ植物であって低い飽和脂肪酸含量を有する油を生産するもの。
【0117】
本発明により処置されることができる特に有用なトランスジェニック植物は、1又は複数の毒素をコードする1又は複数の遺伝子を有する植物であり、これは、以下に挙げる市販名で販売されているトランスジェニック植物である:YIELD GARD(R)(例えば、トウモロコシ、ワタ、ダイズ)、KnockOut(R)(例えば、トウモロコシ)、BiteGard(R)(例えば、トウモロコシ)、BT-Xtra(R)(例えば、トウモロコシ)、StarLink(R)(例えば、トウモロコシ)、Bollgard(R)(ワタ)、Nucotn(R)(ワタ)、Nucotn 33B(R)(ワタ)、NatureGard(R)(例えば、トウモロコシ)、Protecta(R)及びNewLeaf(R)(ジャガイモ)。言及すべき除草剤寛容性植物は、例えばトウモロコシの品種、ワタの品種及びダイズの品種であり、これは、以下の市販名で販売されている:Roundup Ready(R)(グリホサート寛容性、例えば、トウモロコシ、ワタ、ダイズ)、Liberty Link(R)(ホスフィノトリシン寛容性、例えば、セイヨウアブラナ)、IMI(R)(イミダゾリノン寛容性)及びSCS(R)(スルホニル尿素寛容性)、例えば、トウモロコシ。言及すべきである除草剤抵抗性植物(典型的には、除草剤寛容性に育種された植物)は、名称Clearfield(R)で販売されている品種が属する(例えば、トウモロコシ)。
【0118】
本発明により処置されることができる特に有用なトランスジェニック植物は、形質転換事象、又は形質転換事象の組み合わせを含み、かつ、例えば、様々な国際的な又は地域的な官庁のデータに挙げられている植物である(例えば、http://gmoinfo.jrc.it/gmp_browse.aspx及びhttp://www.agbios.com/dbase.phpを参照のこと)。
【0119】
本発明による作用物質又は剤は、さらに、材料保護において、工業的材料を、不所望な微生物、例えば菌類による攻撃及び分解に対して保護するために使用されることができる。
【0120】
工業的材料とは、本願の関連において、工業において使用のために準備されている非生物材料を理解することができる。例えば、本発明による作用物質により菌類による変更又は分解から保護すべきである工業的材料は、接着剤、のり(Leim)、紙、壁用板紙(Wandpappe)及び厚紙、テキスタイル、カーペット、皮革、木材、塗料及びプラスチック物品、冷却潤滑物質及び他の材料であることができ、これは微生物により攻撃されるか又は分解されることがある。この保護すべき材料の範囲内では、製造設備及び構造物の部分、例えば、冷却回路、冷却−及び加熱システム及び換気−及び気候調節設備も挙げられ、これは、微生物の増殖により損なわれることがある。本発明の範囲内において、工業的材料として、好ましくは、接着剤、のり、紙及び厚紙、皮革、木材、塗料、冷却潤滑物質及び伝熱液体が挙げられ、特に好ましくは木材である。本発明による作用物質又は剤は、不利な作用、例えば、腐朽、劣化、変色、着色又はかび形成を妨げることができる。さらに、本発明による化合物は、塩水又は汽水と接触した物品、特に船体、スクリーン、ネット、建築物、港湾施設及びシグナル施設を汚損(Bewuchs)から保護するために使用されることができる。
【0121】
不所望な菌類の防除のための本発明による方法は、いわゆる貯蔵物品(Storage Goods)の保護のために使用されることもできる。「貯蔵物品」には、この場合に、天然から取得され、かつ長期保護のために所望されている、植物由来の又は動物の由来の天然の物質又はその加工産物が理解される。植物由来の貯蔵物品、例えば、植物又は植物の部分、例えば、柄、葉、塊茎、種、果実、穀果(Korn)は、新規に収穫された状態で又は(前)乾燥、湿潤、破砕、粉砕、プレス又は焙焼(Roest)による加工後に保護されることができる。貯蔵物品は、材木も含み、これは、加工されていない、例えば建築木材、電柱及び遮断機(Schrank)か、又は完成製品、例えば家具の形にあることができる。動物由来の貯蔵物品は、例えば、獣皮、皮革、毛皮及び毛髪である。本発明による作用物質は、不利な作用、例えば、腐朽、劣化、変色、着色又はかび形成を妨げることができる。
【0122】
本発明により処置されることができる菌類疾病のいくつかの病原体として、以下のものを例示的に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0123】
例えば、以下のようなうどん粉病(Echten Mehltaus)の病原体によって引き起こされる疾病、ブルメリア種(Blumeria-Art)、例えば、ブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis);ポドスファエラ種(Podosphaera-Art)、例えば、ポドスファエラ・ロイコトリカ(Podosphaera leucotricha);スファエロセカ種(Sphaerotheca-Art)、例えば、スファエロセカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea);ウンシヌラ種(Uncinula-Art)、例えば、ウンシヌラ・ネケータ(Uncinula necator);
例えば、以下のようなさび病(Rostkrankheit)の病原体によって引き起こされる疾病、ギムノスポランギウム種(Gymnosporangium-Art)、例えば、ギムノスポランギウム・サビナエ(Gymnosporangium sabinae);ヘミレイア種(Hemileia-Art)、例えば、ヘミレイア・バスタトリックス(Hemileia vastatrix);ファコスプソラ種(Phakopsora-Art)、例えば、ファコプソラ・パチライジ(Phakopsora pachyrhizi)及びファコプソラ・マイボミアエ(Phakopsora meibomiae);プッシニア種(Puccinia-Art)、例えば、プッシニア・レコンディタ(Puccinia recondita)又はプッシニア・トリチシナ(Puccinia triticina);ウロミセス種(Uromyces-Art)、例えば、ウロミセス・アッペンディキュラタス(Uromyces appendiculatus);
例えば、以下のような卵菌類(Oomycete)群の病原体によって引き起こされる疾病、ブレミア種(Bremia-Art)、例えば、ブレミア・ラクチュカエ(Bremia lactucae);ペロノスポラ種(Peronospora-Art)、例えば、ペロノスポラ・ピシ(Peronospora pisi)又はP.ブラッシカエ(P. brassicae);フィトフソラ種(Phytophthora-Art)、例えば、フィトフソラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans);プラスモパラ種(Plasmopara-Art)、例えば、プラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola);シュードペロノスポラ種(Pseudoperonospora-Art)、例えば、シュードペロノスポラ・フムリ(Pseudoperonospora humuli)又はシュードペロノスポラ・キュベンシス(Pseudoperonospora cubensis);ピチウム種(Pythium-Art)、例えば、ピチウム・ウルティマム(Pythium ultimum);
例えば、以下のものによって引き起こされる葉斑点病(Blattfleckenkrankheit)及び葉枯れ病(Blattwelken)、アルテルナリア種(Altemaria-Art)、例えば、アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani);セルコスポラ種(Cercospora-Art)、例えば、セルコスポラ・ベチコラ(Cercospora beticola);クラジオスポリウム種(Cladiosporum-Art)、例えば、クラジオスポリウム・キュキュメリナム(Cladiosporium cucumerinum);コクリオボラス種(Cochliobolus-Art)、例えば、コクリオボラス・サティブス(Cochliobolus sativus)(分生子型:ドレクスレラ(Drechslera)、同義語:ヘルミントスポリウム(Helminthosporium))コレトトリカム種(Colletotrichum-Art)、例えば、コレトトリカム・リンデムサニウム(Colletotrichum lindemuthanium);シクロコニウム種(Cycloconium-Art)、例えば、シクロコニウム・オレアギナム(Cycloconium oleaginum);ディアポルテ種(Diaporthe-Art)、例えば、ディアポルテ・シトリ(Diaporthe citri);エルシノエ種(Elsinoe-Art)、例えば、エルシノエ・フォーセッティイ(Elsinoe fawcettii);グレオスポリウム種(Gloeosporium-Art)、例えば、グレオスポリウム・ラエティカラー(Gloeosporium laeticolor);グロメレラ種(Glomerella-Art)、例えば、グロメレラ・シンギュラータ(Glomerella cingulata);ギニャルディア種(Guignardia-Art)、例えば、ギニャルディア・ビドウェリ(Guignardia bidwelli)など;レプトスファエリア種(Leptosphaeria-Art)、例えば、レプトスファエリア・マキュランス(Leptosphaeria maculans);マグナポルテ種(Magnaporthe-Art)、例えば、マグナポルテ・グリージー(Magnaporthe grisea);ミクロドチウム種(Microdochiumu-Art)、例えば、ミクロドチウム・ニバル(Microdochiumu nivale)、マイコスファエレラ種(Mycosphaerella-Art)、例えば、マイコスファエレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)及びM.フィジエンシス(M. fijiensis);フェオスファエリア種(Phaeosphaeria-Art)、例えば、フェオスファエリア・ノドラム(Phaeosphaeria nodorum);ピレノフォラ種(Pyrenophora-Art)、例えば、ピレノフォラ・テレス(Pyrenophora teres);ラムラリア種(Ramularia-Art)、例えば、ラムラリア・コロシグニ(Ramularia collo-cygni);リンコスポリウム種(Rhynchosporium-Art)、例えば、リンコスポリウム・セカリス(Rhynchosporium secalis);セプトリア種(Septoria-Art)、例えば、セプトリア・アピイ(Septoria apii);チフラ種(Typhula-Art)、例えば、チフラ・インカルナータ(Typhula incarnata);ベンチュリア種(Venturia-Art)、例えば、ベンチュリア・イナエキュアリス(Venturia inaequalis);
例えば、以下のものによって引き起こされる根及び茎の疾病、コルチシウム種(Corticium-Art)、例えば、コルチシウム・グラミネアラム(Corticium graminearum);フサリウム種(Fusarium-Art)、例えば、フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum);ゲウマノミセス種(Gaeumannomyces-Art)、例えば、ゲウマノミセス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis);リゾクトニア種(Rhizoctonia-Art)、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani);タペシア種(Tapesia-Art)、例えば、タペシア・アキュフォルミス(Tapesia acuformis);チエラビオプシス種(Thielaviopsis-Art)、例えば、チエラビオプシス・バシコラ(Thielaviopsis basicola);
例えば、以下のものによって引き起こされる穂及び円錐花序の疾病(トウモロコシの穂軸を含む。)、アルテルナリア種(Alternaria-Art)、例えば、アルテルナリア属種(Alternaria spp.);アスペルギルス種(Aspergillus-Art)、例えば、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus);クラドスポリウム種(Cladosporium-Art)、例えば、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioides);クラビセプス種(Claviceps-Art)、例えば、クラビセプス・パープレア(Claviceps purpurea);フサリウム種(Fusarium-Art)、例えば、フサリウム・カルモラム(Fusarium culmorum);ギッベレラ種(Gibberella-Art)、例えば、ギッベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae);モノグラフェラ種(Monographella-Art)、例えば、モノグラフェラ・ニバリス(Monographella nivalis);セプトリア種(Septoria-Arten)、例えばセプトリア・ノドラム(Septoria nodorum);
例えば、以下のような、黒穂菌類(Brandpilz)によって引き起こされる疾病、スファセロセカ種(Sphacelotheca-Art)、例えば、スファセロセカ・ライリアナ(Sphacelotheca reiliana);ティレチア種(Tilletia-Art)、例えば、ティレチア・カリエス(Tilletia caries)、T.コントロベルサ(T.controversa);ウロシスティス種(Urocystis-Art)、例えば、ウロシスティス・オキュラータ(Urocystis occulta);ウスティラゴ種(Ustilago-Art)、例えば、ウスティラゴ・ヌーダ(Ustilago nuda)、U.ヌーダ・トリチシ(U. nuda tritici);
例えば、以下のものによって引き起こされる果実腐敗、アスペルギルス種(Aspergillus-Art)、例えば、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus);ボトリティス種(Botrytis-Art)、例えば、ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea);ペニシリウム種(Penicillium-Art)、例えば、ペニシリウム・エクスパンサム(Penicillium expansum;)及びP.プルプロゲナム(P.purpurogenum);スクレロティニア種(Sclerotinia-Art)、例えば、スクレロティニア・スクレロティオラム(Sclerotinia sclerotiorum);ベルティシリウム種(Verticilium-Art)、例えば、ベルティシリウム・アルボアトラム(Verticilium alboatrum);
例えば、以下のものによって引き起こされる種及び土壌伝染性の腐敗及び枯れ、並びに苗木(Saemling)疾病、フサリウム種(Fusarium-Art)、例えば、フサリウム・カルモラム(Fusarium culmorum);フィトフソラ種(Phytophthora Art)、例えば、フィトフソラ・カクトラム(Phytophthora cactorum);ピチウム種(Pythium-Art)、例えば、ピチウム・ウルティマム(Pythium ultimum);リゾクトニア種(Rhizoctonia-Art)、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani);スクレロティウム種(Sclerotium-Art)、例えば、スクレロティウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii);
例えば、以下のものによって引き起こされる癌疾病、えい瘤及び叢生。ネクトリア種(Nectria-Art)、例えば、ネクトリア・ガリゲナ(Nectria galligena);
例えば、以下のものによって引き起こされる枯れ病(Welkeerkrankung)、モニリニア種(Monilinia-Art)、例えば、モニリニア・ラクサ(Monilinia laxa);
例えば、以下のものによって引き起こされる葉、花及び果実の奇形、タフリナ種(Taphrina-Art)、例えば、タフリナ・デフォルマンス(Taphrina deformans);
例えば、以下のものによって引き起こされる木性植物の変性疾病、エスカ種(Esca-Art)、例えば、ファエモニエラ・クラミドスポラ(Phaemoniella clamydospora)及びファエオアクレモニウム・アレオフィラム(Phaeoacremonium aleophilum)及びフォミチポリタ・メジテラネア(Fomitiporia mediterranea);
例えば、以下のものによって引き起こされる花及び種子の疾病、ボトリティス種(Botrytis-Art)、例えば、ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea);
例えば、以下のものによって引き起こされる植物塊茎の疾病、リゾクトニア種(Rhizoctonia-Art)、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani);ヘルミントスポリウム種(Helminthosporium-Art)、例えば、ヘルミントスポリウム・ソラニ(Helminthosporium solani);
例えば、以下のような、細菌性病原体によって引き起こされる疾病、キサントモナス種(Xanthomonas-Art)、例えば、キサントモナス・キャンペストリスpv.オリザエ(Xanthomonas campestris pv. oryzae);シュードモナス種(Pseudomonas-Art)、例えば、シュードモナス・シリンガエpv.ラクリマンス(Pseudomonas syringae pv. lachrymans);エルウィニア種(Erwinia-Art)、例えば、エルウィニア・アミロボラ(Erwinia amylovora)。
【0124】
好ましくは、ダイズの以下の疾病を駆除することができる:
例えば、以下のものによって引き起こされる、葉、茎、長角果及び種子に対する真菌疾病、アルテルナリア葉斑点病(Alternaria leaf spot)(アルテルナリア属種アトランス・テニュイッシマ(Alternaria spec. atrans tenuissima))、炭疽病(コレトトリカム・グロエオスポロイデス・デマティウムvar.トランケイタム(Colletotrichum gloeosporoides dematium var. truncatum))、褐斑病(Brown spot)(セプトリア・グリシネス(Septoria glycines))、セルコスポラ葉斑点病及び焼枯れ病(Cercospora leaf spot and blight)(セクロスポラ・キクチイ(Cercospora kikuchii))、コアネフォラ葉焼枯れ病(Choanephora leaf blight)(コアネフォラ・インファンディブリフェラ・トリスポラ(Choanephora infundibulifera trispora)(同義))、ダクチュリオフォラ葉斑点病(Dactuliophora leaf spot)(ダクチュリオフォラ・グリシネス(Dactuliophora glycines))、べと病(Downy MiIdew)(ペロノスポラ・マンシュリカ(Peronospora manshurica))、ドレクスレラ焼枯れ病(Drechslera blight)(ドレクスレラ・グリシニ(Drechslera glycini))、葉輪紋病(Frogeye Leaf spot)(セルコスポラ・ソジナ(Cercospora sojina))、レプトスファエルリナ葉斑点病(Leptosphaerulina Leaf Spot)(レプトスファエルリナ・トリフォリイ(Leptosphaerulina trifolii))、フィロスティカ葉斑点病(Phyllostica Leaf Spot)(フィロスティカ・ソジャエコラ(Phyllosticta sojaecola))、さや及び茎焼枯れ病(Pod and Stem Blight)(フォモプシス・ソジャエ(Phomopsis sojae))、うどんこ病(Powdery Mildew)(ミクロスファエラ・ディフューザ(Microsphaera diffusa))、ピレノチャエタ葉斑点病(Pyrenochaeta Leaf Spot)(ピレノチャエタ・グリシネス(Pyrenochaeta glycines))、リゾクトニア・エリアル(Rhizoctonia Aerial)、葉(Foliage)及びくもの巣焼枯れ病(Web Blight)(リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani))、さび病(Rust)(ファコプソラ・パチライジ(Phakopsora pachyrhizi)、ファコプソラ・メイドミエ(Phakopsora meidomiae)、)、瘡痂病(Scab)(スファセロマ・グリシネス(Sphaceloma glycines))、ステムフィリウム葉焼枯れ病(Stemphylium Leaf Blight)(ステムフィリウム・ボトリオサム(Stemphylium botryosum))、紫斑点病(Target Spot)(コリネスポラ・カッシイコラ(Corynespora cassiicola))、
例えば、以下のものによって引き起こされる、根及び茎基部に対する菌性疾病、黒根腐病(Black Root Rot)(カロネクトリア・クロタラリアエ(Calonectria crotalariae))、炭腐病(Charcoal Rot)(マクロフォミナ・ファセオリナ(Macrophomina phaseolina))、フザリウム焼枯病又は萎凋病(Fusarium Blight or WiIt)、根腐(Root Rot)並びにさや及び頸領腐れ(Pod and Collar Rot)(フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フサリウム・オルトセラス(Fusarium orthoceras)、フサリウム・セミテクタム(Fusarium semitectum)、フサリウム・エクイセチ(Fusarium equiseti)、マイコレプトディスカス根腐(Mycoleptodiscus Root Rot)(マイコレプトディスカス・テレストリス(Mycoleptodiscus terrestris))、ネオコスモスポラ(Neocosmospora)(ネオコスモスポラ・バスインフェクタ(Neocosmopspora vasinfecta))、さや及び茎焼枯病(Pod and Stem Blight)(ディアポルセ・ファセオロラム(Diaporthe phaseolorum))、茎胴枯れ(Stem Canker)(ディアポルセ・ファセオロラムvar.カウリボラ(Diaporthe phaseolorum var. caulivora))、フィトフトラ腐れ(Phytophthora Rot)(フィトフトラ・メガスペルマ(Phytophthora megasperma))、褐色茎腐れ(Brown Stem Rot)(フィアロフォラ・グレガータ(Phialophora gregata))、ピチウム腐れ(Pythium Rot)(ピチウム・アファニデルマタム(Pythium aphanidermatum)、ピチウム・イレギュラーレ(Pythium irregulaere)、ピチウム・デバリアナム(Pythium debaryanum)、ピチウム・ミリオチラム(Pythium myriotylum)、ピチウム・ウルティマム(Pythium ultimum))、リゾクトニア根腐れ(Rhizoctonia Root Rot)、茎腐敗(Stem Decay)及び立枯病(Damping-Off)(リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani))、スクレロティニア茎腐敗(Sclerotinia Stem Decay)(スクレロティニア・スクレロティオラム(Sclerotinia sclerotiorum))、スクレロティニア白絹病(Sclerotinia Southern Blight)(スクレロティニア・ロルフシイ(Sclerotinia rolfsii))、チエラビオプシス根腐れ(Thielaviopsis Root Rot)(チエラビオプシス・バシコラ(Thielaviopsis basicola))。
【0125】
工業的材料の分解又は変更を引き起こすことができる生物として、菌類が挙げられる。好ましくは、本発明による作用物質は、菌類、特にかび、木材を変色させる及び木材を分解する菌類(担子菌類)に対して作用する。例えば、以下の属の菌類が挙げられる:アルタナリア(Alternaria)、例えばアルタナリア・テヌイス(Alternaria tenuis);アスペルギルス(Aspergillus)、例えばアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger);ケトミウム(Chaetomium)、例えばケトミウム・グロボーサム(Chaetomium globosum);コニオホーラ(Coniophora)、例えばコニオホーラ・プエタナ(Coniophora puetana);レンティナス(Lentinus)、例えばレンティナス・チグリヌス(Lentinus tigrinus);ペニシリウム(Penicillium)、例えばペニシリウム・グラウクム(Penicillium glaucum);ポリポルス(Polyporus)、例えばポリポルス・バージカラー(Polyporus versicolor);アウレオバシジウム(Aureobasidium)、例えばアウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans);スクレロフォーマ(Sclerophoma)、例えばスクレロフォーマ・ピティオフィラ(Sclerophoma pityophila);トリコデルマ(Trichoderma)、例えばトリコデルマ・ヴィリデ(Trichoderma viride)。
【0126】
さらに、本発明による作用物質は、極めて良好な抗真菌性作用も有する。これは、極めて幅広い抗真菌性作用スペクトルを有し、特に皮膚真菌類及びエンドマイセテス(Sprosspilz)、かび及び2相性菌類(例えば、カンジダ属種(Candida-Spezies)、例えばカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata))並びにエピデルモフィトン・フロッコズム(Epidermophyton floccosum)、アスペギルス属種(Aspergillus-Spezies)、例えば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)及びアスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、トリコフィトン属種(Trichophyton-Spezies)、例えば、トリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、小胞子菌属種(Microsporon-Spezies)、例えば、マイクロスポロン・カニス(Microsporon canis)及びオードアン(audouinn)に対して極めて幅広い抗真菌性スペクトルを有する。この菌類の列記は、この把握可能な真菌性スペクトルを限定するのでなく、むしろ、説明する特性だけを有する。
【0127】
殺菌剤としての本発明による作用物質の使用の際には、この適用量は、適用場所に応じて、極めて広い範囲内で変動されることができる。この本発明による作用物質の適用量は次のとおりである;
・植物の部分、例えば葉の処置の場合に、0.1〜10000g/ha、好ましくは10〜1000g/ha、特に好ましくは50〜300g/ha(注ぎ又は滴加による適用の場合には、この適量量は減少されることさえでき、これは特に不活性な基材、例えば、岩綿又はパーライトが使用される場合である);
・種子処置の場合に、種子100kgあたり2〜200g、好ましくは種子100kgあたり3〜150g、特に好ましくは種子100kgあたり2.5〜25g、特にとりわけ好ましくは種子100kgあたり2.5〜12.5g;
・土壌処置の場合に、0.1〜10000g/ha、好ましくは1〜5000g/ha。
【0128】
この適用量は、本発明の意味合いにおいて、例示的にだけ挙げられており、限定的に挙げられるものでない。
【0129】
本発明による作用物質又は剤は、こうして、植物を、処置後の所定の期間内に上述の有害病原体による攻撃に対して保護するために使用されることができる。この保護が引き起こされる期間は、一般的には、この作用物質を用いた処置後1〜28日間、好ましくは1〜14日間、特に好ましくは1〜10日間、特にとりわけ好ましくは1〜7日間、又は種子処置後200日間にまで及ぶ。
【0130】
さらに、本発明による処置により、収穫物及びここから製造される食品及び飼料中の真菌毒素含量は減少されることができる。特に、しかし、排他的でなく、この場合に以下の真菌毒素を挙げることができる:デオキシニバレノール(DON)、ニバレノール、15−Ac−DON、3−Ac−DON、T2−及びHT2−毒素、フモニシン、ゼアラレノン、モニリホルニン、フザリン、ジアセトキシスシルペノール(DAS)、ボーベリシン、エンニアチン、フザロプロリフェリン、フザレノール、オクラトキシン、パツリン、麦角アルカロイド及びアフラトキシン、これは、例えば以下の菌類により引き起こされることができる。フザリウム属種(Fusarium spec)、例えば、フザリウム・アクミナツム(Fusarium acuminatum)、フザリウム・アベナセウム(F. avenaceum)、フザリウム・クロオクウェレンセ(F. crookwellense)、フザリウム・クルモルム(F. culmorum)、フザリウム・グラミネアルム(F. graminearum)(ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae))、フザリウム・エクイセチ(F. equiseti)、フザリウム・フジコロイ(F. fujikoroi)、フザリウム・ムサルム(F. musarum)、フザリウム・オキシスポルム(F. oxysporum)、フザリウム・プロリフェラツム(F. proliferatum)、フザリウム・ポアエ(F. poae)、フザリウム・プセウドグラミネアルム(F. pseudograminearum)、フザリウム・サムブシヌム(F. sambucinum)、フザリウム・シルピ(F. scirpi)、フザリウム・セミテクツム(F. semitectum)、フザリウム・ソラニ(F. solani)、フザリウム・スポロトリコイデス(F. sporotrichoides)、フザリウム・ラングセチアエ(F. langsethiae)、フザリウム・セブグルチナンス(F. subglutinans)、フザリウム・トリシンクツム(F. tricinctum)、フザリウム・ベルチシリオイデス(F. verticillioides)など、並びに、アスペルギルス属種(Aspergillus spec)、ペニシリウム属種(Penicillium spec)、クラビセプス・プルプレア(Claviceps purpurea)、スタキボトリス種(Stachybotrys spec)など。
【0131】
この記載の植物は、特に好ましくは本発明により、一般式(I)の化合物又は式(V)のジチイン−ジイソイミド本発明による剤で処理されることができる。この作用物質又は剤で挙げた上記した好ましい範囲内は、この植物の処置のためにも該当する。特に強調すべきは、本願のテキストにおいて記載された化合物又は剤を用いた植物の処置である。
【0132】
製造実施例
2,6−ビス[1−(トロフルオロメチル)シクロプロピル]−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7−(2H,6H)−テトロン[化合物番号(7)]の製造
【化7】

【0133】
2mlのジオキサン中の4−オキソ−4−{[1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル]アミノ}ブタン酸(IV−1)0.8g(3.55mmol)の溶液に氷冷下(15℃)でゆっくりと塩化チオニル7.57ml(103.75mmol)を滴加した。一晩室温で加熱し、この溶液を濃縮した。この残留物を氷上に注ぎ、酢酸エチルエステルで抽出し、乾燥及び濃縮する。シリカゲルでのクロマトグラフィ(シクロヘキサン/酢酸エチルエステル1:1)後にこの所望の化合物284mg(理論値の34%)が得られる。
【0134】
(1,3,5,7−テトラオキソ−1,3,5,7−テトラヒドロ−2H,6H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−2,6−ジイル)ジプロパン−1,2−ジイルジアセタート[化合物番号(36)]の製造
【化8】

【0135】
10mlのエタノール中の1−(3,4−ジクロロ−2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパン−2−イル−アセタート1.1g(3.72mmol)の溶液にチオ尿素0.283g(3.72mmol)を添加し、5時間40℃で後撹拌する。室温に冷却後、緑色の結晶を吸引し、これを水/エタノールで後洗浄する。この濾過物を水及び酢酸エチルエステルで抽出し、乾燥及び濃縮する。この母液をシリカゲル(勾配 シクロヘキサン/酢酸エチルエステル 0%→100%)でクロマトグラフィする。所望される化合物0.334g(理論値の39.5%)が得られる。
【0136】
2,6−ジメチル−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン−4−オキシド[化合物番号(38)]の製造
【化9】

【0137】
氷冷した(5℃)の煙を出している硝酸20mLに撹拌下で2,6−ジメチル−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c′]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン[化合物番号(1)]3g(10.63mmol)を添加する。完全な溶解後に5分間さらに撹拌し、引き続き氷水に流し、この黄色の結晶を吸引する。所望される化合物2.56g(理論値の80.8%)が得られる。
【0138】
先立つ実施例と同様に、並びに、この方法の一般的な説明に応じて、以下の第1表に挙げる式(I)の化合物が得られることができる。
【0139】
第1表
【化10】

【表1】

【表2】

【表3】

【0140】
式(IV)の出発物質の製造
4−オキソ−4−{[1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル]アミノ}ブタン酸(IV−1)の製造
【化11】

【0141】
10mLのジオキサン中の無水コハク酸496mg(4.96mmol)の溶液に氷冷(10℃)下でゆっくりと1−(トリフルオロメチル)シクロプロパンアミン800.7mg(4.96mmol)及びジイソプロピルエチルアミン0.85mL(4.96mmol)を添加する。室温で20分間後撹拌し、一晩この温度で放置する。新たに80℃で20分間後撹拌し、室温に冷却し、この溶液を濃縮する。複数回酢酸エチルエステル及び水で交互に洗浄する。この一緒にした有機相を乾燥及び濃縮する。所望される化合物815.8mg(理論値の73%)が得られる。
【0142】
前述の表及び製造実施例に挙げたLog P値の測定を、相逆転カラム(C18)でEEC指令79/831アネックスV.A8に応じてHPLC(High Performance Liquid Chromatography)により行う。温度:43℃。
【0143】
この測定を、酸性範囲でpH2.7で0.1%の水性ギ酸及びアセトニトリル(0.1%のギ酸を含有する)を溶出剤として用いて行う;10%アセトニトリル及び95%アセトニトリルの線形勾配。
【0144】
この校正を、Log P値が知られている非分枝のアルカン−2−オン(3〜16個の炭素原子を有する)を用いて行う(このLog P値の測定は、保持時間に基づいて2の連続するアルカノンの間の線形補間による)。
【0145】
適用実施例
実施例A:疫病菌−試験(トマト)/保護的
溶媒: アセトン 24.5質量部
ジメチルアセトアミド 24.5質量部
乳化剤: アルキル−アリール−ポリグリコールエーテル 1質量部。
【0146】
目的に応じた作用物質調製物の製造のために、作用物質1質量部を、記載の量の溶媒及び乳化剤と混合し、この濃縮物を水でこの所望の濃度に希釈する。
【0147】
保護的な有効性の検証のために、記載の適用量においてこの作用物質調製物を幼植物に吹きかける。この吹付け被覆物の乾燥後にこの植物をフィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)の水性胞子懸濁物で接種する。次いで、この植物を約20℃及び100%の相対湿分でインキュベーション室中に設置する。この接種3日後にこの評価を行う。この場合に、0%は、このコントロールに相当する作用度を意味し、その一方で、攻撃が観察されない作用度が100%を意味する。
【0148】
この試験において、本発明により化合物1、2及び3が、作用物質の濃度250ppmで作用度70%以上を示す。
【0149】
実施例B:タンジクツユカビ(Plasmopara)試験(ブドウ)/保護的
溶媒: アセトン 24.5質量部
ジメチルアセトアミド 24.5質量部
乳化剤: アルキル−アリール−ポリグリコールエーテル 1質量部。
【0150】
目的に応じた作用物質調製物の製造のために、作用物質1質量部を、記載の量の溶媒及び乳化剤と混合し、この濃縮物を水でこの所望の濃度に希釈する。
【0151】
保護的な有効性の検証のために、記載の適用量においてこの作用物質調製物を幼植物に吹きかける。この吹付け被覆物の乾燥後にこの植物をプラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)の水性胞子懸濁物で接種し、次いで、約20℃及び100%の相対湿分でインキュベーション室中に1日間放置する。引き続き、この植物を4日間温室で約21℃及び約90%の空気湿分に設置する。次いで、この植物を湿らし、1日間インキュベーション室中に置く。この接種6日後にこの評価を行う。この場合に、0%は、このコントロールに相当する作用度を意味し、その一方で、攻撃が観察されない作用度が100%を意味する。
【0152】
この試験において、本発明により化合物1、2及び3が、作用物質の濃度250ppmで作用度70%以上を示す。
【0153】
実施例C:ベンツリア(Venturia)試験(リンゴ)/保護的
溶媒: アセトン 24.5質量部
ジメチルアセトアミド 24.5質量部
乳化剤: アルキル−アリール−ポリグリコールエーテル 1質量部。
【0154】
目的に応じた作用物質調製物の製造のために、作用物質1質量部を、記載の量の溶媒及び乳化剤と混合し、この濃縮物を水でこの所望の濃度に希釈する。
【0155】
保護的な有効性の検証のために、記載の適用量においてこの作用物質調製物を幼植物に吹きかける。この吹付け被覆物の乾燥後にこの植物をリンゴ瘡痂病病原体(Apfelschorferreger)ベンツリア・インアクアリス(Venturia inaequalis)の水性分生子懸濁物で接種し、次いで、インキュベーション室中で約20℃及び100%の相対湿分で1日間放置する。次いで、この植物を温室で約21℃及び約90%の空気湿分に設置する。この接種10日後にこの評価を行う。この場合に、0%は、このコントロールに相当する作用度を意味し、その一方で、攻撃が観察されない作用度が100%を意味する。
【0156】
この試験において、本発明により化合物1、2及び3が、作用物質の濃度250ppmで作用度70%以上を示す。
【0157】
実施例D:アルテナリア(Alternaria)試験(トマト)/保護的
溶媒: アセトン 24.5質量部
ジメチルアセトアミド 24.5質量部
乳化剤: アルキル−アリール−ポリグリコールエーテル 1質量部。
【0158】
目的に応じた作用物質調製物の製造のために、作用物質1質量部を、記載の量の溶媒及び乳化剤と混合し、この濃縮物を水でこの所望の濃度に希釈する。
【0159】
保護的な有効性の検証のために、記載の適用量においてこの作用物質調製物を幼植物に吹きかける。この吹付け被覆物の乾燥後にこの植物をアルテナリア・ソラニ(Alternaria solani)の水性胞子懸濁物で接種する。次いで、この植物を、約20℃及び100%の相対湿分でインキュベーション室中に設置する。この接種3日後にこの評価を行う。この場合に、0%は、このコントロールに相当する作用度を意味し、その一方で、攻撃が観察されない作用度が100%を意味する。
【0160】
この試験において、本発明により化合物1、2及び3が、作用物質の濃度250ppmで作用度70%以上を示す。
【0161】
実施例E:ボトリティス(Botrytis)試験(キュウリ)/保護的
溶媒: N,N−ジメチルホルムアミド 49質量部
乳化剤: アルキルアリールポリグリコールエーテル 1質量部。
【0162】
目的に応じた作用物質調製物の製造のために、作用物質1質量部を、記載の量の溶媒及び乳化剤と混合し、この濃縮物を水でこの所望の濃度に希釈する。
【0163】
保護的な有効性の検証のために、記載の適用量においてこの作用物質調製物をキュウリ幼植物に吹きかける。この処置1日後に、この植物をボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)の胞子懸濁物で接種し、次いで、48時間100%の相対湿分及び22℃で放置する。引き続き、この植物を、96%の相対湿分及び14℃の温度で放置する。この接種5〜6日後にこの評価を行う。この場合に、0%は、このコントロールに相当する作用度を意味し、その一方で、攻撃が観察されない作用度が100%を意味する。
【0164】
この試験において、本発明により化合物1、2及び3が、作用物質の濃度500ppmで作用度70%以上を示す。
【0165】
実施例F:ピレノフォラ・テレス(Pyrenophora teres)試験(オオムギ)/保護的
溶媒: N,N−ジメチルアセトアミド 50質量部
乳化剤: アルキルアリールポリグリコールエーテル 1質量部。
【0166】
目的に応じた作用物質調製物の製造のために、作用物質1質量部を、記載の量の溶媒及び乳化剤と混合し、この濃縮物を水でこの所望の濃度に希釈する。
【0167】
保護的な有効性の検証のために、記載の適用量においてこの作用物質調製物を幼植物に吹きかける。この吹付け被覆物の乾燥後にこの植物をピレノフォラ・テレス(Pyrenophora teres)の胞子懸濁物で吹付ける。この植物を、インキュベーション室中で20℃及び100%の相対湿分で48時間放置する。この植物を、約20℃の温度及び約80%の相対湿分で温室中に設置する。この接種8日後にこの評価を行う。この場合に、0%は、このコントロールに相当する作用度を意味し、その一方で、攻撃が観察されない作用度が100%を意味する。
【0168】
この試験において、本発明により化合物1が、作用物質の濃度1000ppmで作用度70%以上を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物病原菌類の防除のための、一般式(I)
【化1】

[式中、
1及びR2は、同じか又は異なり、水素か、場合により1回又は複数回ハロゲン、−OR3、−COR4により置換されたC1〜C8−アルキル、場合により1回又は複数回ハロゲン、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−ハロゲンアルキルにより置換されたC3〜C7−シクロアルキル、それぞれ場合により1回又は複数回ハロゲン、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−ハロゲンアルキル、−COR4又はスルホニルアミノにより置換されたアリール又はアリール(C1〜C4−アルキル)である、
3は、水素、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキルカルボニルか、又は場合により1回又は複数回ハロゲン、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−ハロゲンアルキルにより置換されたアリールである、
4は、ヒドロキシ、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシである、
nは、0又は1である]
のジチイン−テトラカルボキシミドの使用。
【請求項2】
1及びR2は、同じか又は異なり、水素か、場合により1回又は複数回フッ素、塩素、臭素、−OR3、−COR4により置換されたC1〜C6−アルキル、場合により1回又は複数回塩素、メチル又はトリフルオロメチルにより置換されたC3〜C7−シクロアルキルか、それぞれ場合により1回又は複数回フッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチル、−COR4、スルホニルアミノにより置換されたフェニル又はフェニル−(C1〜C4−アルキル)である、
3は、水素、メチル、エチル、メチルカルボニル、エチルカルボニルか、又は場合により1回又は複数回フッ素、塩素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル又はトリフルオロメチルにより置換されたフェニルである、
4は、ヒドロキシ、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである、
nは、0又は1である
ことを特徴とする請求項1記載の使用。
【請求項3】
1及びR2は、同じか又は異なり、水素か、場合により1回又は複数回フッ素、塩素、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、メチルカルボニルオキシ、カルボキシルにより置換されたC1〜C4−アルキル、場合により1回又は複数回塩素、メチル又はトリフルオロメチルにより置換されたC3〜C7−シクロアルキルか、それぞれ場合により1回から3回フッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチル、−COR4、スルホニルアミノにより置換されたフェニル、ベンジル、1−フェネチル、2−フェネチル又は2−メチル−2−フェネチルである、
3は、水素、メチル、メチルカルボニルか、又はフェニルである、
4は、ヒドロキシ又はメトキシである、
nは、0又は1である
ことを特徴とする請求項1記載の使用。
【請求項4】
1及びR2は、同時にメチルであることを特徴とする請求項1記載の使用。
【請求項5】
増量剤及び/又は界面活性物質の他に、請求項1に記載の式(I)のジチイン−テトラカルボキシミド少なくとも1の含分を特徴とする、植物病原菌類を防除するための剤。
【請求項6】
請求項1に記載の式(I)のジチイン−テトラカルボキシミドを、菌類及び/又はその生息環境に施用することを特徴とする、植物病原菌類を防除するための方法。
【請求項7】
式(I−a)
【化2】

[式中、
1a及びR2aは、同じか又は異なり、1回又は複数回フッ素、−OR3a、−COR4aにより置換されたC1〜C8−アルキル、場合により1回又は複数回ハロゲン、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−ハロゲンアルキルにより置換されたC3〜C7−シクロアルキルか、又は1回アルキル部分中で−COR4aにより置換されたアリール−(C1〜C4−アルキル)である、
3aは、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキルカルボニルか、又は場合により1回又は複数回ハロゲン、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−ハロゲンアルキルにより置換されたアリールである、
4aは、ヒドロキシ、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシである、
rは、0又は1である、
その際、R1a及びR2aは、同時にアセトキシメチル又はメトキシメチルでない]
のジチイン−テトラカルボキシミド。
【請求項8】
請求項8に記載の、式(I−a)
[式中、
1a及びR2aは、同じか又は異なり、1回又は複数回フッ素、−OR3a、−COR4aにより置換されたC1〜C6−アルキル、場合により1回又は複数回塩素、メチル又はトリフルオロメチルにより置換されたC3〜C7−シクロアルキルか、又は1回アルキル部分中で−COR4aにより置換されたフェニル−(C1〜C4−アルキル)である、
3aは、メチル、エチル、メチルカルボニル、エチルカルボニルか、又は場合により1回又は複数回フッ素、塩素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル又はトリフルオロメチルにより置換されたフェニルである、
4aは、ヒドロキシ、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシである、
rは、0又は1である、
その際、R1a及びR2aはアセトキシメチルでない]
のジチイン−テトラカルボキシミド。
【請求項9】
請求項8又は9に記載の、式(I−a)
[式中、
1a及びR2aは、同じか又は異なり、1回又は複数回フッ素、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、メチルカルボニルオキシ、カルボキシルにより置換されたC1〜C4−アルキル、場合により1回又は複数回塩素、メチル又はトリフルオロメチルにより置換されたC3〜C7−シクロアルキルか、又は1回アルキル部分中で−COR4aにより置換された1−フェネチル又は2−フェネチルである、
3aは、メチル、メチルカルボニルか、又はフェニルである、
4aは、ヒドロキシ又はメトキシである、
rは、0である、
その際、R1a及びR2aはアセトキシメチルでない]
のジチイン−テトラカルボキシミド。
【請求項10】
植物病原菌類の防除のための、式(V)
【化3】

[式中、R1及びR2は、請求項1に記載の意味合いを有する]
のジチイン−ジイソイミドの使用。
【請求項11】
式(V−a)
【化4】

[式中、R1a及びR2aは、請求項7に記載の意味合いを有する]
のジチイン−ジイソイミド。

【公表番号】特表2012−505845(P2012−505845A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531378(P2011−531378)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007149
【国際公開番号】WO2010/043319
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(507203353)バイエル・クロップサイエンス・アーゲー (172)
【氏名又は名称原語表記】BAYER CROPSCIENCE AG
【Fターム(参考)】