植物育成装置
【課題】植物工場において植物の根に間歇的に水分及び肥料を供給すると同時に、植物における夜間時間の設定を容易にし初期投資コストを下げることを課題とする。
【解決手段】 回転する筐体の周囲に根を外側にした植物の育成床を設け、その下部に上面を開放した液体肥料槽を設置することで給肥を可能にすると同時に、回転軸の中心部に光源を設け、そこから放射方向に伸びる２枚の遮光板を取り付けることにより、その間の光源を消すことにより任意の長さの夜間状態を可能にした植物育成装置を提供することによって解決する。
【解決手段】 回転する筐体の周囲に根を外側にした植物の育成床を設け、その下部に上面を開放した液体肥料槽を設置することで給肥を可能にすると同時に、回転軸の中心部に光源を設け、そこから放射方向に伸びる２枚の遮光板を取り付けることにより、その間の光源を消すことにより任意の長さの夜間状態を可能にした植物育成装置を提供することによって解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は天候に左右されず、無農薬で安全安心に安定的に野菜等を育成する植物工場に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
天候に左右されずに安定的に野菜等を育成することができる装置としていわゆる植物工場と呼ばれる植物育成装置は多数知られているが、従来提案されている植物育成装置は液肥の中に植物の根を浸漬させた状態で植物を育成するものである。しかし、液肥の中に育成する植物の根を漬けた状態のままであると液中の酸素濃度が不足して生育を阻害し、滞留した液体肥料の中にアオコが発生するという問題がある。また液体肥料の循環装置等大掛かりな装置を必要とすることが多い。
【０００３】
また植物工場においても光源を照らし続けるのでは無く、植物を順調に育成する為に適度な夜間状態を作り出す必要があるが、簡便な装置で一日における夜間状態の比率をも任意に設定できる植物育成装置は知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
本発明はこれらの問題を解決する為に、容易かつ間歇的に液体肥料を供給すると同時に定期的に根が空気に触れることにより酸素を供給することができる植物育成装置を提供することを課題とするものである。また、簡便な装置で夜間状態を設定できると同時に一日における夜間の比率をも任意に決めることを可能にする植物育成装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明は、水平に支持軸を設けた多角形の筐体の内側に光源を持ち、多角形の各面に育成床を設け内側に葉が、外面に根が生えるように設置した状態で筐体を回転させることにより下部に設けた、上面が開放された状態の液体肥料槽に順次、根の部分が漬かり肥料を供給出来るようにした植物育成装置を提供することにより上記の課題を解決する。
【０００６】
また、本発明は、任意に夜間状態を設定できることについては光源から円周方向に伸びる、任意の角度で設けられた複数の遮光板を設け、その遮光板に挟まれた間の、光源を消灯することにより、装置が回転すると共に育成床に夜間の状態を作り出すようにした植物育成装置を提供することにより解決する。
【発明の効果】
【０００７】
本発明の植物育成装置によれば、容易かつ間歇的に液体肥料を供給すると同時に定期的に根が空気に触れることにより酸素を供給することができるという利点が得られる。また、本発明の植物育成装置によれば、簡便な装置で夜間状態を設定できると同時に一日における夜間の比率をも任意に決めることができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【０００８】
【図１】は本発明の植物育成装置の一例を示す正面図である。
【図２】は本発明の植物育成装置の一例を示す側面図である。
【実施例】
【０００９】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明するが、本発明が図示のものに限られるわけではないことは勿論である。
【００１０】
図１は本発明の植物育成装置の一例を示す正面図で多角形の筐体１に複数の育成床２が設置され植物３は内向きに植生されている。植物の根４は外向き伸びている状態である。筐体１は支持軸５で支持され矢付Ａのように回転する構造であり、支持軸５の周りには光源６が設置された状態である。本説明では筐体１を多角形で説明しているが円形でも良いことは勿論である。また多角形は４角形から１２角形までが最適である。
【００１１】
回転する筐体１の下部には上面が開放された液体肥料槽７が設けられ、その中には液体肥料８が注入されており、筐体１と共に回転する育成床２から伸びた植物の根４が液体肥料８に漬かることにより、植物３は肥料等有効成分と水分を吸収することが出来る。
【００１２】
このことから筐体１が回転する速度を調整することにより植物３に対する施肥量を調整することも可能である。筐体１を回転させるのは支持軸５を電動機により回転させ、また回転速度の調整は電動機の回転速度を変えることによって行うことが出来る。
【００１３】
また支持軸５の周りに支持軸と同様に回転することなく光源６を取り付けた場合において、支持軸５に対して支持軸５の円周方向の任意の位置に着脱自在に取り付けられるようになっている遮光板９及び遮光板１０を、図１に示すように、支持軸５から放射方向に設置しその間の光源６を消灯することにより植物３に対して夜間の状態を作ることが出来る。
【００１４】
遮光板９及び１０の角度と筐体１の回転数を任意に設定することにより栽培する植物に最適な夜間の時間を設けることが出来る。本説明では光源６を固定した状態で説明したが、光源６を支持軸５とともに回転させ、光源６が回転する状態で遮光板９，１０の間だけ消灯する構造でも良いことは言うまでもない。
【００１５】
本発明において、植物における固有の夜間時間を設定するのであれば遮光板９、１０の間の光源を取り除くことも可能で、このような場合は光源６の数を少なく出来、植物工場における初期投資を削減出来る利点も合わせ持つことを可能にするものである。
【００１６】
図２は図１の植物育成装置の側面図で支持軸５は支持軸ベース１１により支えられている。
【産業上の利用可能性】
【００１７】
本発明の植物育成装置は上述のとおりに構成されているので、容易かつ間歇的に液体肥料を供給すると同時に定期的に根が空気に触れることにより酸素を供給することができ、安定的かつ衛生的に植物を育成することができる。また、本発明の植物育成装置によれば、簡便な装置で夜間状態を設定できると同時に一日における夜間の比率をも任意に決めることができるので、各植物の特性に合わせた育成環境を容易に実現することができる。このように優れた利点を備えた本発明の植物育成装置は、多大なる産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【００１８】
１ 筐体
２ 育成床
３ 植物
４ 植物の根
５ 支持軸
６ 光源
７ 液体肥料槽
８ 液体肥料
９ 遮光板
１０ 遮光板
１１ 支持軸ベース
【技術分野】
【０００１】
本発明は天候に左右されず、無農薬で安全安心に安定的に野菜等を育成する植物工場に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
天候に左右されずに安定的に野菜等を育成することができる装置としていわゆる植物工場と呼ばれる植物育成装置は多数知られているが、従来提案されている植物育成装置は液肥の中に植物の根を浸漬させた状態で植物を育成するものである。しかし、液肥の中に育成する植物の根を漬けた状態のままであると液中の酸素濃度が不足して生育を阻害し、滞留した液体肥料の中にアオコが発生するという問題がある。また液体肥料の循環装置等大掛かりな装置を必要とすることが多い。
【０００３】
また植物工場においても光源を照らし続けるのでは無く、植物を順調に育成する為に適度な夜間状態を作り出す必要があるが、簡便な装置で一日における夜間状態の比率をも任意に設定できる植物育成装置は知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
本発明はこれらの問題を解決する為に、容易かつ間歇的に液体肥料を供給すると同時に定期的に根が空気に触れることにより酸素を供給することができる植物育成装置を提供することを課題とするものである。また、簡便な装置で夜間状態を設定できると同時に一日における夜間の比率をも任意に決めることを可能にする植物育成装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明は、水平に支持軸を設けた多角形の筐体の内側に光源を持ち、多角形の各面に育成床を設け内側に葉が、外面に根が生えるように設置した状態で筐体を回転させることにより下部に設けた、上面が開放された状態の液体肥料槽に順次、根の部分が漬かり肥料を供給出来るようにした植物育成装置を提供することにより上記の課題を解決する。
【０００６】
また、本発明は、任意に夜間状態を設定できることについては光源から円周方向に伸びる、任意の角度で設けられた複数の遮光板を設け、その遮光板に挟まれた間の、光源を消灯することにより、装置が回転すると共に育成床に夜間の状態を作り出すようにした植物育成装置を提供することにより解決する。
【発明の効果】
【０００７】
本発明の植物育成装置によれば、容易かつ間歇的に液体肥料を供給すると同時に定期的に根が空気に触れることにより酸素を供給することができるという利点が得られる。また、本発明の植物育成装置によれば、簡便な装置で夜間状態を設定できると同時に一日における夜間の比率をも任意に決めることができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【０００８】
【図１】は本発明の植物育成装置の一例を示す正面図である。
【図２】は本発明の植物育成装置の一例を示す側面図である。
【実施例】
【０００９】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明するが、本発明が図示のものに限られるわけではないことは勿論である。
【００１０】
図１は本発明の植物育成装置の一例を示す正面図で多角形の筐体１に複数の育成床２が設置され植物３は内向きに植生されている。植物の根４は外向き伸びている状態である。筐体１は支持軸５で支持され矢付Ａのように回転する構造であり、支持軸５の周りには光源６が設置された状態である。本説明では筐体１を多角形で説明しているが円形でも良いことは勿論である。また多角形は４角形から１２角形までが最適である。
【００１１】
回転する筐体１の下部には上面が開放された液体肥料槽７が設けられ、その中には液体肥料８が注入されており、筐体１と共に回転する育成床２から伸びた植物の根４が液体肥料８に漬かることにより、植物３は肥料等有効成分と水分を吸収することが出来る。
【００１２】
このことから筐体１が回転する速度を調整することにより植物３に対する施肥量を調整することも可能である。筐体１を回転させるのは支持軸５を電動機により回転させ、また回転速度の調整は電動機の回転速度を変えることによって行うことが出来る。
【００１３】
また支持軸５の周りに支持軸と同様に回転することなく光源６を取り付けた場合において、支持軸５に対して支持軸５の円周方向の任意の位置に着脱自在に取り付けられるようになっている遮光板９及び遮光板１０を、図１に示すように、支持軸５から放射方向に設置しその間の光源６を消灯することにより植物３に対して夜間の状態を作ることが出来る。
【００１４】
遮光板９及び１０の角度と筐体１の回転数を任意に設定することにより栽培する植物に最適な夜間の時間を設けることが出来る。本説明では光源６を固定した状態で説明したが、光源６を支持軸５とともに回転させ、光源６が回転する状態で遮光板９，１０の間だけ消灯する構造でも良いことは言うまでもない。
【００１５】
本発明において、植物における固有の夜間時間を設定するのであれば遮光板９、１０の間の光源を取り除くことも可能で、このような場合は光源６の数を少なく出来、植物工場における初期投資を削減出来る利点も合わせ持つことを可能にするものである。
【００１６】
図２は図１の植物育成装置の側面図で支持軸５は支持軸ベース１１により支えられている。
【産業上の利用可能性】
【００１７】
本発明の植物育成装置は上述のとおりに構成されているので、容易かつ間歇的に液体肥料を供給すると同時に定期的に根が空気に触れることにより酸素を供給することができ、安定的かつ衛生的に植物を育成することができる。また、本発明の植物育成装置によれば、簡便な装置で夜間状態を設定できると同時に一日における夜間の比率をも任意に決めることができるので、各植物の特性に合わせた育成環境を容易に実現することができる。このように優れた利点を備えた本発明の植物育成装置は、多大なる産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【００１８】
１ 筐体
２ 育成床
３ 植物
４ 植物の根
５ 支持軸
６ 光源
７ 液体肥料槽
８ 液体肥料
９ 遮光板
１０ 遮光板
１１ 支持軸ベース
【特許請求の範囲】
【請求項１】
水平な支持軸の回りに回転可能に支持された多角形の筐体と、その内側に配置された光源を持ち、前記筐体の多角形の各面に育成床を設け内側に葉が、外面に根が生えるように設置した状態で筐体を回転させることにより下部に設けた、上面が開放された状態の液体肥料槽に順次、根の部分が漬かり肥料を供給することを特徴とした植物育成装置。
【請求項２】
支持軸に対して支持軸の円周方向の任意の位置に着脱自在に取り付けられ、光源から放射方向に伸びる、複数の遮光板を設け、その遮光板に挟まれた間の光源を消灯することにより、支持軸に支持された筐体が回転すると共に育成床に夜間の状態を作り出すことを特徴とする請求項１記載の植物育成装置。
【請求項１】
水平な支持軸の回りに回転可能に支持された多角形の筐体と、その内側に配置された光源を持ち、前記筐体の多角形の各面に育成床を設け内側に葉が、外面に根が生えるように設置した状態で筐体を回転させることにより下部に設けた、上面が開放された状態の液体肥料槽に順次、根の部分が漬かり肥料を供給することを特徴とした植物育成装置。
【請求項２】
支持軸に対して支持軸の円周方向の任意の位置に着脱自在に取り付けられ、光源から放射方向に伸びる、複数の遮光板を設け、その遮光板に挟まれた間の光源を消灯することにより、支持軸に支持された筐体が回転すると共に育成床に夜間の状態を作り出すことを特徴とする請求項１記載の植物育成装置。
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開２０１２−９５６３６（Ｐ２０１２−９５６３６Ａ）
【公開日】平成２４年５月２４日（２０１２．５．２４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−２５９４８４（Ｐ２０１０−２５９４８４）
【出願日】平成２２年１１月１日（２０１０．１１．１）
【出願人】（５０９３０４９２２）両備ホールディングス株式会社 (4)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年５月２４日（２０１２．５．２４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年１１月１日（２０１０．１１．１）
【出願人】（５０９３０４９２２）両備ホールディングス株式会社 (4)
【Ｆターム（参考）】
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