説明

植立用ピンおよびピン付き印刷配線板

【課題】ピン付き印刷配線板の植立用ピンの棒状部へ過大に半田がはい上がらないようにしつつ、かつ、ネイルヘッドを強固に半田フィレットで支えるピン付き印刷配線板を提供する。
【解決手段】ピン付き印刷配線板100において、前記ピン付き印刷配線板100の外部電極パッド2に植立用ピンのネイルヘッド1bの先端接合面1cが半田付けされ、前記植立用ピンの棒状部1aが設置される前記ネイルヘッド1bの棒設置面1dに溝1eを有し、前記棒設置面1dと前記先端接合面1cの間のネイルヘッド1bの側壁面に前記溝の入り口1gを有し、前記先端接合面1cに接する半田フィレット7の端部が前記溝の入り口1gまで引き上げられ前記溝1e内に半田が充填され、前記溝1e内の半田と前記先端接合面1cの半田が前記ネイルヘッド1bを包んで支えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージ用の印刷配線板の植立用植立用ピンおよび、その植立用ピンを植立したピン付き印刷配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から3では、半導体パッケージ用の印刷配線板に植立用ピンを半田付けして植立し半田フィレット7を形成する技術が知られていた。特に、その植立用ピンの棒状部の一端に円板状のネイルヘッドを接続し、ネイルヘッドの先端接合面を球面状の凸面にして半田フィレットで印刷配線板の外部電極パッドに半田付けしていた。しかし、特許文献1では、半田フィレットがネイルヘッドの上面にまで乗りあがっていないので半田フィレットがネイルヘッドを保持する力が弱いと考えられた。
【0003】
ネイルヘッドを強く保持するには、植立用ピンの棒状部を設置するネイルヘッドの棒設置面の全面に棒状部に達するまで半田がはい上がり濡れ広がった半田フィレットを形成することが望ましいが、この状態を実現させようとして半田量を増やせば、図6のように、植立用ピン1の棒状部1aへ半田フィレット7が過大にはい上がるようになり、植立用ピン1の棒状部1aを差し込むソケットに半田フィレット7が触れる問題があった。そのため、特許文献2と3では、半田フィレット7が、ネイルヘッド1bの上面の棒設置面1dにまで乗り上がり、しかも乗り上がった半田フィレット7が棒状部1aには触れないようにする技術が開示されていた。
【0004】
以下に公知文献を記す。
【特許文献1】特開昭63−316464号公報
【特許文献2】特開2001−217341号公報
【特許文献3】特開2001−291790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2と3のように、植立用ピン1のネイルヘッド1bの上面である棒設置面1dの全面に半田が塗れ広がらないようにすると、図7のように、はんだ付け条件のばらつきによって、棒設置面1dの片端のみが半田で濡れて支えられ、棒設置面1dの他端には半田が濡れず支えられない場合を生じる。その場合は、ネイルヘッド1bが、半田で濡れていない棒設置面1d側の半田フィレット7から剥がれ始める問題があった。このように、棒状部1aへ過大に半田がはい上がらないようにしつつ、かつ、ネイルヘッド1bを強固に半田フィレット7で支えるように半田付けすることは困難である問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、この課題を解決するために、ピン付き印刷配線板において、前記ピン付き印刷配線板の外部電極パッドに植立用ピンのネイルヘッドの先端接合面が半田付けされ、前記植立用ピンの棒状部が設置される前記ネイルヘッドの棒設置面に溝を有し、前記棒設置面と前記先端接合面の間のネイルヘッドの側壁面に前記溝の入り口を有し、前記先端接合面に接する半田フィレットの端部が前記溝の入り口まで引き上げられ前記溝内に半田が充填され、前記溝内の半田と前記先端接合面の半田が前記ネイルヘッドを包んで支えることを特徴とするピン付き印刷配線板である。
【0007】
また、本発明は、上記の印刷配線板において、上記溝が上記棒状部に交差する直線状に
形成され、上記棒設置面の両端から上記棒状部に達することを特徴とするピン付き印刷配線板である。
【0008】
また、本発明は、上記の印刷配線板において、上記溝が上記棒状部に交差する複数の直線状に形成されたことを特徴とするピン付き印刷配線板である。
【0009】
また、本発明は、ピン付き印刷配線板の外部電極パッドにネイルヘッドの先端接合面が半田付けされる植立用ピンであって、前記植立用ピンの棒状部が設置される前記ネイルヘッドの棒設置面に溝を有し、前記棒設置面と前記先端接合面の間のネイルヘッドの側壁面に前記溝の入り口を有し、前記先端接合面に接する半田フィレットの端部が前記溝の入り口まで引き上げられ前記溝内に半田が充填され、前記溝内の半田と前記先端接合面の半田により前記ネイルヘッドが包まれ支えられることを特徴とする植立用ピンである。
【0010】
また、本発明は、上記の植立用ピンにおいて、上記溝が上記棒状部に交差する直線状に形成され、上記棒設置面の両端から上記棒状部に達することを特徴とする植立用ピンである。
【0011】
また、本発明は、上記の植立用ピンにおいて、上記溝が上記棒状部に交差する複数の直線状に形成されたことを特徴とする植立用ピンである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、植立用ピン1のネイルヘッド1bの棒設置面1dに溝1eを形成することで、ネイルヘッド1bの側壁面1fの溝入り口1gの断面が表面張力で半田を吸い上げ、棒設置面1dに形成した溝1eの棒状部1a側の端まで半田フィレット7の端部が引き上げられる。そうして半田フィレット7の端部が溶融半田の表面張力によりネイルヘッド1bの側壁面1fの溝入り口1gまで引き上げられ、棒設置面1dの溝1e内に充填された半田フィレット7がネイルヘッド1bを上からも包んで支えることで、ネイルヘッド1bを強固に支えることができる効果がある。一方、半田フィレット7の溶融半田は表面張力によって棒状部1aの壁面から溝1e内に引き込まれるため、フィレット7が棒状部1aの壁面へはい上がる半田の長さが最小限に限定される効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<第1の実施形態>
本発明のピン付き印刷配線板の第1の実施形態を図1から図5を参照して詳細に説明する。本発明の植立用ピン1は、図1のように、棒状部1aと円板状のネイルヘッド1bから成り、植立用ピン1のネイルヘッド1bの先端接合面1cが印刷配線板100の外部電極パッド2に半田付けされる。図1は、ピン付き印刷配線板100の外部電極パッド2への植立用ピン1の接合部分を示す図である。図1(a)は、植立用ピン1を、棒状部1aの軸方向から観察した平面図であり、図1(b)は、棒状部1aの軸方向に垂直な側面から観察した断面図である。植立用ピン1のネイルヘッド1bの先端接合面1cの反対側の面で棒状部1aを設置する面は棒設置面1dである。棒設置面1dには溝1eが形成されている。溝1eは、棒状部1aに交差する直線上に形成し、その直線のネイルヘッド1bの側壁面1fとの交差点に溝入り口1gを有する。図1では、棒状部1aまで達する溝1eを示す。図2は、図1(b)の半田付け部分を軸方向に垂直な方向から観察した側面図であり、図2(a)は、植立用ピン1の溝1eに垂直な方向から観測した側面図であり、図2(b)は、溝1eの方向から観測した側面図である。溝1eに半田フィレット7の半田が充填され、半田が棒状部1aに達し棒状部1aの壁面にはい上がる。
【0014】
このピン付き印刷配線板100は、図3のように、例えば、銅の配線パターン3と、厚さ50μmから200μmのエポキシ樹脂材やポリイミド樹脂材、またはガラス繊維入り
エポキシ樹脂材やガラス繊維入りポリイミド樹脂材等のガラス繊維入り絶縁樹脂などから成る絶縁樹脂層4が積層された印刷配線板100である。印刷配線板100の上主面101には、搭載する半導体素子10のバンプ11を接続する外部電極パッド5が配線パターン3上の厚さが約10μmから40μmのソルダーレジスト6の開口により形成されている。また、下主面102には、植立用ピンを接続する外部電極パッド2が配線パターン3上の厚さが約10μmから40μmのソルダーレジスト6の開口によって形成されている。配線パターン3の、ソルダーレジスト6の開口から露出した面には、3μm程度の厚さのニッケルめっき層と0.03μmから1μm程度の金めっき層を形成して外部電極パッド5と2を形成する。
【0015】
外部電極パッド5には、半導体素子10のバンプ11を半田付けするための準備として、固相点が235℃以下のプリコート半田をプリコートしておく。このプリコート半田は半導体素子10のバンプ11を外部電極パッド5に半田付けする際に再溶融させる。すなわち、固相点が217〜227℃程度のSn−Ag−Cu半田や固相点が213℃程度のSn−Bi−Ag半田やSnPb半田等をプリコートする。このプリコート半田の固相点は、230℃以下であることがより望ましい。また、外部電極パッド5と2には、ニッケル−金などの金属めっき層のかわりに、イミダゾール化合物やベンズイミダゾール化合物等から成る水溶性プリフラックスによる水溶液有機防錆皮膜を形成して外部電極パッド5と2にすることも可能である。
【0016】
外部電極パッド2には、植立用ピン1のネイルヘッド1bの先端接合面1cを、半導体素子10の印刷配線板100への半田付け温度より高い固相点と液相点を有する半田で半田付けする。すなわち、固相点が240℃以上で液相点が270℃以下の半田で半田付けしてピングリッドアレイ構造を形成する。外部電極パッド2へのネイルヘッド1bの先端接合面1cの半田付けは、半導体素子10を絶縁樹脂層4上に設置する以前に行う。すなわち、ネイルヘッド1bの先端接合面1cを、固相点が240℃以上で液相点が270℃以下の半田で、印刷配線板100の外部電極パッド2に半田付けする。半田組成は、Pbが80%以上で残りが他元素である二元または三元半田、例えばPbが80%でSnが20%の半田、又は、Pbが82%でSnが18%の半田、又は、Pbが80%でSnが10%、Sbが10%の半田、あるいは、Pbが82%でSnが10%でSbが8%の半田などを用いることができる。また、Pbフリーの高温半田を用いることもできる。
【0017】
植立用ピン1のネイルヘッド1bを印刷配線板100の外部電極パッド2に半田付けする半田の液相点が270℃を超えるとその半田付け温度が絶縁樹脂層4を劣化させる問題がある。また、固相点が240℃未満の場合は、後に半導体素子10のバンプ11を外部電極パッド5へ半田付けする際の加熱処理により、半田フィレット7のネイルヘッド1bの先端接合面1cとの接合部分の強度が劣化したり外れる問題が発生する。そのため、印刷配線板100の外部電極パッド2に固相点が240℃以上で液相点が270℃以下の半田を用いて、植立用ピン1のネイルヘッド1bを半田付けする。
【0018】
植立用ピン1の材料は、例えばコバールや42アロイ、194アロイなどニッケル系合金または銅合金を用いる。植立用ピン1の表面は電解金めっきで覆うことが望ましく、その金めっきの下地にニッケルめっきをする。めっき厚は例えば金めっき厚が0.3μm、ニッケルめっき厚が4.0μmにする。めっきの対象が微小なピンであるため、めっき工法はバレルめっきが適切である。
【0019】
植立用ピン1の棒状部1aの断面形状は円で、直径は例えば0.3mmにする。棒状部1aの直径0.3mmは、ピン付き印刷配線板100の主要用途であるPGAパッケージのピンピッチが1.27mmの場合に適する。植立用ピン1のネイルヘッド1bは、円板状で、円板の一方の面が球面状の凸面の先端接合面1cであり、円板の他方の面が平面状
の棒設置面1dである。ネイルヘッド1bの円板の直径は例えば0.75mmにする。そのネイルヘッド1bの棒設置面1dに垂直に棒状部1aを接続する。植立用ピン1のネイルヘッド1bの先端接合面1cは、球面状の凸面に形成する。その先端接合面1cを、溶融半田で外部電極パッド2へ半田付けする。この半田付けは、外部電極パッド2に設置した半田ペーストを加熱して溶融させ、その溶融半田に植立用ピン1のネイルヘッド1bを押し当てて半田付けすることができ、又は、先に先端接合面1cに溶融半田を設置してその溶融半田を外部電極パッド2に押し当てて半田付けすることができる。この半田付けの際に、球面状の凸面の先端接合面1cを印刷配線板100の外部電極パッド2と接触させるか40μm以下の狭い間隙を外部電極パッド2との間にあけて半田付けする。先端接合面1cを球面状の凸面にしたため、その面が最も外部電極パッド2に近接する先端点以外の面は、外部電極パッド2の面から所定の間隔を隔て、また、傾斜した面を成す。そのため、外部電極パッド2と先端接合面1cの間の溶融半田の中に気泡が存在する場合に、気泡が先端接合面1cの傾斜に沿って上昇して溶融半田の外に排出されるため、外部電極パッド2と先端接合面1cの間の半田に気泡が混入せず、強固な半田フィレット7が形成される効果がある。
【0020】
ネイルヘッド1bの棒設置面1dには、図1に示すように、棒状部1aに交差する溝1eを、棒設置面1dの両端から形成する。溝1eの断面形状は三角形や半円に形成する。植立用ピン1作成に用いる金型の寿命を考慮すると、溝1eの断面には鋭角を形成せず、例えば半円の断面の溝1eを形成することが望ましい。溝1eの寸法は、溶融半田が表面張力で流れられる寸法に形成し、例えば幅50μm、深さ50μm程度に形成する。半田フィレット7の溶融半田は、図2に示すように、先端接合面1cからネイルヘッド1bの側壁面1fの溝入り口1gの断面に浸入し、表面張力で棒設置面1dの溝1e内に濡れ広がり、棒状部1aに達し、溶融半田が棒状部1aの壁面に濡れ上がった半田フィレット7を形成する。半田フィレット7の溝1eを充填した半田は、電極パッド2の反対方向からネイルヘッド1bを支えるため、ネイルヘッド1bが半田フィレット7で両面から包まれて、強く支えられ、先端接合面1cから半田フィレット7が剥離することを防ぐ効果がある。
【0021】
円板状のネイルヘッド1bの厚さは例えば0.15mmにする。深さ50μmの溝1eは、このネイルヘッド1bの厚さの3割程度の深さである。ネイルヘッド1bの先端接合面1cと棒設置面1dの接続する部分である円板の外周縁部では、先端接合面1cの面の方向をなだらかに変えて、急な変曲点無しで、棒設置面1dの面に接続するようにする。その先端接合面1cが棒設置面1dに接続するまでなだらかに面の向きを変える。そのようにネイルヘッド1bの外周縁部の面を、なだらかに面の向きを変えて棒設置面1dに変曲点無しで接続することで、その部分の円板の外周縁部に半田フィレット7が乗り上がる。また、ネイルヘッド1bの側壁面1fの溝入り口1gの断面が表面張力で半田を吸い上げることで、棒設置面1dに形成した溝1eの棒状部1a側の端まで半田フィレット7の端部が引き上げられる。そうして半田フィレット7の端部が溶融半田の表面張力によりネイルヘッド1bの側壁面1fの溝入り口1gまで引き上げられ、棒設置面1dに形成した溝1e内に充填され、ネイルヘッド1bを上からも半田で包んで支えることで、ネイルヘッド1bを強固に支えることができる効果がある。また、半田フィレット7の溶融半田は表面張力によって棒状部1aの壁面から溝1e内に引き込まれるため、フィレット7が棒状部1aの壁面へはい上がる半田の長さが最小限に限定される効果がある。
【0022】
ネイルヘッド1bの円板の直径は、それを半田付けする印刷配線板100の外部電極パッド2の大きさに合わせて定める。外部電極パッド2の大きさは、外部電極パッド2がソルダーレジストで覆われていないランドで形成される場合はそのランド径、外部電極パッド2がランドを覆うソルダーレジスト6の開口部で形成される場合はその開口部の直径であり、その直径が1.0mmから1.1mm程度の場合は、ネイルヘッド1bの直径を0.75mmに設定する。これにより、ネイルヘッド1bの先端接合面1cと外部電極パッド2との間の空間を半田で充填して形成される半田フィレット7の形が、ネイルヘッド1bの円板の外周縁部からなだらかな斜面の山の裾野状に外部電極パッド2の外周縁まで広がる形状に形成され、植立用ピン1のネイルヘッド1bと半田フィレット7を高い信頼性で安定して接合できる効果が得られる。
【0023】
<変形例>
また、ネイルヘッド1bの棒設置面1dに、棒状部1aに交差させるように形成した溝1eは、以上の実施形態の図1のように1本の直線上に形成しても良いが、図4のように2本またはそれ以上の直線上に溝1eを形成することが望ましい。そうすることで、溶融半田がネイルヘッド1bの側壁面1fの溝入り口1gまで引き上げられる箇所が多くなり、多くの箇所で半田フィレット7がネイルヘッド1bの側壁面1fを包み、溝1eを充填した半田がネイルヘッド1bを電極パッド2とは反対側からも支える箇所が増すことで強固にネイルヘッド1eを保持できる効果がある。
【0024】
この植立用ピン1を印刷配線板100に植立すると、溶融半田が表面張力で、植立用ピン1のネイルヘッド1bの棒設置面1dに形成された溝1eにまで容易に引き上げられ、また、棒状部1aに達するまで濡れ広がって棒状部1aの壁面にまで濡れ上がる。溝1eの内壁面全体が溝入り口1gの断面から半田フィレット7の溶融半田を引き上げるので、半田フィレット7の溶融半田は、最小の場合でも図1と図2のように、溝1eを通って棒状部1aまで到達する。こうして半田を棒状部1aまで引き上げることで、半田フィレット7がネイルヘッド1bの側壁面1fまで確実に引き上げられ、ネイルヘッド1bとの接着面積が広げられ、接合強度を安定して高くできる。また、図4のように溝1eを2本またはそれ以上の直線上に形成することで、半田フィレット7が溝入り口1gに引き上げられることで確実に棒設置面1dまで達する箇所を増すことができる。図5のように半田フィレット7が溝入り口1gから棒設置面1dの上面まで広がって乗り上げる場合は、より強固にネイルヘッド1bを支えることができる。図4や図5のように、ネイルヘッド1bの側壁面1fの溝入り口1gまで持ち上げられた半田フィレット7がネイルヘッド1bを支えることでネイルヘッド1bの保持強度を向上させる。
【0025】
以上では、植立用ピン1のネイルヘッド1bの先端接合面1cを球面状の凸面に形成したが、先端接合面1cを平面の棒設置面1dに平行な平面状に形成することも可能である。また、ネイルヘッド1bの形状は、円板に限定されず、外周縁が多角形で棒設置面1dに溝1eが形成されたネイルヘッド1b、あるいは外周縁が矩形のネイルヘッド1bに、その棒設置面1dに溝1eを形成して用いることで、同様に半田フィレット7のネイルヘッド1bへの接合強度を向上させることが可能である。
【0026】
なお、以上の実施形態では、ネイルヘッド1bの側壁面1fに溝入り口1gを有する溝1eを棒設置面1dに形成し、棒状部1eまで達する場合を示したが、溝1eは、ネイルヘッド1bの側壁面1fに溝入り口1gがあれば、棒状部1eまで達さない形に形成しても良い。そのように溝1eの長さが短い場合も、ネイルヘッド1bの側壁面1fの溝入り口1gから半田接合面1cの溶融半田を表面張力で溝1e内に引き込み、溝1eの内面全体の表面張力によって溶融半田を引き上げる効果がある。また、例えば厚さ150μmのネイルヘッド1bに形成する溝1eを、棒設置面1dからの深さを80μmに深くし、幅は40μmにしてアスペクト比を高くした溝1eを形成することもできる。こうして、厚さ150μmのネイルヘッド1bに深さ80μmの溝1eを形成すると、溝入り口1gがネイルヘッド1bの側壁面1fのみならず、先端接合面1cにまで達する。そのため、半田付けのバラツキによりネイルヘッド1bの外周縁までは溶融半田で濡れない場合にも、溶融半田がネイルヘッド1bの先端接合面1cから表面張力で溝1eに吸い上げられて溝1eが充填されるので、ネイルヘッド1bを確実に半田で保持することができる効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態の植立用ピンを印刷配線板に半田付けした構造の平面図と側断面図である。
【図2】本発明の実施形態の植立用ピンを印刷配線板に半田付けした構造の側面図である。
【図3】本発明の実施形態のピン付き印刷配線板の断面図である。
【図4】本発明の実施形態の変形例1の、植立用ピンを印刷配線板に半田付けした構造の平面図と側断面図である。
【図5】本発明の実施形態の変形例1の、植立用ピンの他の半田付け状態を示す平面図である。
【図6】従来技術の植立用ピンを印刷配線板に半田付けした第1の状態を示す平面図と側断面図である。
【図7】従来技術の植立用ピンを印刷配線板に半田付けした第2の状態を示す平面図と側断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1・・・植立用ピン
1a・・・棒状部
1b・・・ネイルヘッド
1c・・・先端接合面
1d・・・棒設置面
1e・・・溝
1f・・・側壁面
1g・・溝入り口
2、5・・・外部電極パッド
3・・・配線パターン
4・・・絶縁樹脂層
6・・・ソルダーレジスト
7・・・半田フィレット
10・・・半導体素子
11・・・バンプ
100・・・印刷配線板
101・・・上主面
102・・・下主面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピン付き印刷配線板において、前記ピン付き印刷配線板の外部電極パッドに植立用ピンのネイルヘッドの先端接合面が半田付けされ、前記植立用ピンの棒状部が設置される前記ネイルヘッドの棒設置面に溝を有し、前記棒設置面と前記先端接合面の間のネイルヘッドの側壁面に前記溝の入り口を有し、前記先端接合面に接する半田フィレットの端部が前記溝の入り口まで引き上げられ前記溝内に半田が充填され、前記溝内の半田と前記先端接合面の半田が前記ネイルヘッドを包んで支えることを特徴とするピン付き印刷配線板。
【請求項2】
請求項1記載のピン付き印刷配線板において、前記溝が前記棒状部に交差する直線状に形成され、前記棒設置面の両端から前記棒状部に達することを特徴とするピン付き印刷配線板。
【請求項3】
請求項2記載のピン付き印刷配線板において、前記溝が前記棒状部に交差する複数の直線状に形成されたことを特徴とするピン付き印刷配線板。
【請求項4】
ピン付き印刷配線板の外部電極パッドにネイルヘッドの先端接合面が半田付けされる植立用ピンであって、前記植立用ピンの棒状部が設置される前記ネイルヘッドの棒設置面に溝を有し、前記棒設置面と前記先端接合面の間のネイルヘッドの側壁面に前記溝の入り口を有し、前記先端接合面に接する半田フィレットの端部が前記溝の入り口まで引き上げられ前記溝内に半田が充填され、前記溝内の半田と前記先端接合面の半田により前記ネイルヘッドが包まれ支えられることを特徴とする植立用ピン。
【請求項5】
請求項4記載の植立用ピンにおいて、前記溝が前記棒状部に交差する直線状に形成され、前記棒設置面の両端から前記棒状部に達することを特徴とする植立用ピン。
【請求項6】
請求項5記載の植立用ピンにおいて、前記溝が前記棒状部に交差する複数の直線状に形成されたことを特徴とする植立用ピン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−272417(P2009−272417A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120996(P2008−120996)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(000236931)株式会社トッパンNECサーキットソリューションズ (54)
【Fターム(参考)】