検体処理システム
【課題】使用者による起動操作を簡略化することができる検体処理システムを提供する。
【解決手段】検体送出ユニット23に配された一括起動ボタンが押下されると、検体送出ユニット23と通信可能に接続された検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、3つの検体搬送ユニット3の検体リレー部3aと、検体搬送ユニット5と、搬送コントローラ7が起動される。これにより、3つの検体搬送ユニット3の検体リレー部3aと通信可能に接続された情報処理ユニット42が起動され、3つの測定ユニット41と3つの検体搬送ユニット3の検体供給部3bが使用可能となる。さらに、検体搬送ユニット5と通信可能に接続された塗沫標本作製装置6が起動される。このように一括起動ボタンが押下されると、検体処理システム1の各装置が起動されるため、使用者は、各装置に対して個別に起動の操作を行う必要がなくなる。
【解決手段】検体送出ユニット23に配された一括起動ボタンが押下されると、検体送出ユニット23と通信可能に接続された検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、3つの検体搬送ユニット3の検体リレー部3aと、検体搬送ユニット5と、搬送コントローラ7が起動される。これにより、3つの検体搬送ユニット3の検体リレー部3aと通信可能に接続された情報処理ユニット42が起動され、3つの測定ユニット41と3つの検体搬送ユニット3の検体供給部3bが使用可能となる。さらに、検体搬送ユニット5と通信可能に接続された塗沫標本作製装置6が起動される。このように一括起動ボタンが押下されると、検体処理システム1の各装置が起動されるため、使用者は、各装置に対して個別に起動の操作を行う必要がなくなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の検体処理装置とこれら複数の検体処理装置に検体を搬送する搬送装置とを備える検体処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や尿等の検体を分析する複数の検体分析装置と、これら複数の検体分析装置に検体を搬送する搬送装置とを備える検体処理システムが知られている。このような検体処理システムでは、起動の際、各装置に対して個別に起動の操作を行う必要があった。
【0003】
これに対し、特許文献1には、複数の分析装置と搬送装置とが、一つの全体制御用コンピュータに接続された検体分析システムが開示されている。また、特許文献1には、各分析装置に対し、それぞれの運転の起動を操作部のキイ操作によって指示することができることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−316236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1には、搬送装置の起動については記載がない。また、特許文献1には、操作部のキイ操作によって各分析装置を起動するための具体的な構成が記載されておらず、使用者による起動操作を簡略化することができなかった。
【0006】
本発明は、使用者による起動操作を簡略化することができる検体処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主たる態様に係る検体処理システムは、複数の検体処理ユニットと、前記複数の検体処理ユニットに検体を搬送する搬送装置とを備える。ここで、前記搬送装置は、外部からの通信を受け付ける通信部と、前記通信部を介して外部から起動指令が入力されると当該搬送装置を起動状態に設定する制御部とを有する。
【0008】
本態様に係る検体処理システムによれば、搬送ユニットの通信部に起動指令を送信することにより、搬送装置を起動することができる。これにより、搬送装置の起動操作が簡略化され得る。
【0009】
本態様に係る検体処理システムは、使用者からの起動指示を受け付けるとともに、前記起動指示の入力に応じて、前記起動指令を前記搬送装置の通信部に入力するための通信制御を行う起動指示受付部をさらに備える構成とされ得る。こうすると、使用者は、起動指示受付部に起動指示を入力するだけで、搬送装置を起動することができる。
【0010】
本態様に係る検体処理システムにおいて、前記搬送装置は、複数の前記検体処理ユニットにそれぞれ対応して配された複数の搬送ユニットを備え、各搬送ユニットには、それぞれ、前記通信部と前記制御部が個別に配される構成とされ得る。
【0011】
この場合、前記起動指示受付部は、前記起動指示の入力に応じて、全ての前記搬送ユニ
ットの前記通信部に前記起動指令を入力するための通信制御を行う。あるいは、前記起動指示受付部は、前記起動指示の入力に応じて、複数の前記搬送ユニットの何れかの前記通信部に前記起動指令を入力するための通信制御を行い、前記起動指示受付部から前記起動指令の送信を受けた前記搬送ユニットは、前記起動指令の送信を受けていない予め対応付けられた前記搬送ユニットの前記通信部に前記起動指令を送信する。
【0012】
こうすると、使用者は、起動指示受付部に起動指示を入力するだけで、全ての搬送ユニットを一括して起動することができる。
【0013】
なお、上記において「通信部に入力するための通信制御を行う」とは、起動指示受付部から直接、搬送装置または搬送ユニットの通信部に起動指令を入力する形態の他、他の装置を介して間接的に起動指令を搬送装置または搬送ユニットの通信部に入力する形態をも含むものである。
【0014】
また、本態様に係る検体処理システムは、前記検体処理ユニットを制御するとともに前記起動指令の入力を受け付け可能な検体処理制御ユニットをさらに備える。ここで、前記検体処理制御ユニットは、前記起動指令の入力を受け付けると前記検体処理ユニットを起動状態に設定する構成とされ得る。こうすると、検体処理制御部に起動指令を送信することにより、検体処理ユニットを起動することができる。
【0015】
また、本態様に係る検体処理システムにおいて、前記検体処理ユニットを制御するとともに前記起動指令の入力を受け付け可能な検体処理制御ユニットをさらに備える。ここで、前記検体処理制御ユニットは、前記起動指令の入力を受け付けると前記検体処理ユニットを起動状態に設定し、前記起動指示受付部は、前記起動指示の入力に応じて、前記検体処理制御ユニットに前記起動指令を入力するための通信制御を行う構成とされ得る。こうすると、使用者は、起動指示受付部に起動指示を入力するだけで、搬送ユニットの他、検体処理ユニットを一括して起動することができる。
【0016】
なお、「通信部に入力するための通信制御を行う」とは、起動指示受付部から直接、検体処理制御部に起動指令を入力する形態の他、他の装置を介して間接的に起動指令を検体処理制御部に入力する形態をも含むものである。
【0017】
また、本態様に係る検体処理システムにおいて、前記搬送ユニットによる搬送動作を制御するとともに前記起動指令の入力を受け付け可能な搬送制御ユニットをさらに備える。ここで、前記搬送制御ユニットは、前記起動指令の入力を受け付けたとき、複数の前記検体処理ユニットの動作状況を取得し、動作中の前記検体処理ユニットを経由せずに前記検体を搬送するよう、前記搬送ユニットを制御する構成とされ得る。こうすると、搬送制御部の起動時に、既に動作中である検体処理ユニットは、個別に使用可能な状態に維持される。これにより、使用者は、この検体処理ユニットを、検体処理システム全体を用いた自動処理以外の目的で自由に使用できる。また、検体処理システムの起動前には個別に使用可能な状態であった検体処理ユニットが、検体処理システムの起動により個別使用不能になってしまうことがない。従って、使用者を混乱させることがなくなる。
【0018】
また、この場合の検体処理システムは、前記検体の搬送対象から除かれている前記検体処理ユニットを前記検体の搬送対象に含めるための使用者からの指示入力を受け付ける切替受付部をさらに備える構成とされ得る。こうすると、使用者は、搬送制御部の起動時に、既に動作中であったために自動処理の対象から除外されていた検体処理ユニットを、任意に自動処理の対象に含めることができる。
【0019】
また、本態様の検体処理システムにおいて、起動状態に設定された前記搬送装置は、前
記搬送装置が起動状態に設定されたときに動作中であった前記検体処理ユニットを経由せずに前記検体を搬送する構成とされ得る。こうすると、検体処理システムの起動前には個別に使用可能な状態であった検体処理ユニットが、検体処理システムの起動により個別使用不能になってしまうことがない。従って、使用者を混乱させることがなくなる。
【0020】
また、本態様の検体処理システムにおいて、前記検体処理ユニットを制御するとともに前記起動指令の入力を受け付け可能な検体処理制御ユニットと、前記搬送装置を制御するとともに前記起動指令の入力を受け付け可能な搬送制御ユニットと、をさらに備え、前記検体処理制御ユニットは、前記起動指令の入力を受け付けると前記検体処理制御ユニットおよび前記検体処理ユニットを起動状態に設定し、前記搬送制御ユニットは、前記起動指令の入力を受け付けると前記搬送制御ユニットを起動状態に設定する構成とされ得る。こうすると、各ユニットに起動指令を送信することにより、各ユニットを一括して起動することができる。これにより、検体処理システムの起動操作がより簡略化される。
【0021】
また、本態様の検体処理システムにおいて、複数の前記検体処理ユニットは、前記検体に第1の処理を施す第1の検体処理ユニットと、前記検体に前記第1の処理とは異なる第2の検体処理を施す第2の検体処理ユニットとを含む構成とされ得る。
【0022】
本発明の別の態様に係る検体処理システムは、複数の検体処理ユニットと、前記複数の検体処理ユニットの少なくとも1つを制御する検体処理制御ユニットと、前記複数の検体処理ユニットに検体を搬送する搬送装置と、を備え、前記検体処理制御ユニットは、外部からの通信を受け付ける通信部と、前記通信部を介して外部から起動指令が入力されると当該検体処理制御ユニットを起動状態に設定する制御部と、を有する。
【0023】
本態様に係る検体処理システムによれば、検体処理制御ユニットの通信部に起動指令を送信することにより、検体処理制御ユニットを起動することができる。これにより、検体処理制御ユニットの起動操作が簡略化され得る。
【0024】
また、この場合の検体処理システムは、前記検体処理制御ユニットの制御部は、前記通信部を介して外部から起動指令が入力されると当該検体処理制御ユニットおよび制御対象である前記検体処理ユニットを起動状態に設定する構成とされ得る。
【0025】
こうすると、検体処理制御ユニットに起動指令を送信することにより、検体処理ユニットを起動することができる。これにより、検体処理ユニットの起動操作が簡略化される。
【0026】
本発明の別の態様に係る検体処理システムは、複数の検体処理ユニットと、前記複数の検体処理ユニットに検体を搬送する搬送装置と、前記搬送装置を制御する搬送制御ユニットと、を備え、前記搬送制御ユニットは、外部からの通信を受け付ける通信部と、前記通信部を介して外部から起動指令が入力されると当該搬送制御ユニットを起動状態に設定する制御部と、を有する。
【0027】
本態様に係る検体処理システムによれば、搬送制御ユニットの通信部に起動指令を送信することにより、搬送制御ユニットを起動することができる。これにより、搬送制御ユニットの起動操作が簡略化され得る。
【発明の効果】
【0028】
以上のとおり、本発明によれば、使用者による起動操作を簡略化することができる検体処理システムを提供することができる。
【0029】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。
ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態により何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態に係る検体処理システムの構成を示す図である。
【図2】実施形態に係る検体容器と検体ラックの外観を示す斜視図である。
【図3】実施形態に係る検体搬送ユニットの構成を示す平面図である。
【図4】実施形態に係る検体処理システムの各ユニット(装置)の相互の接続関係を模式的に示す図である。
【図5】実施形態に係る検体投入ユニット、検体送出ユニットおよび搬送コントローラの回路構成の概要を示す図である。
【図6】実施形態に係る検体搬送ユニット、測定ユニットおよび情報処理ユニットの回路構成の概要を示す図である。
【図7】実施形態に係る検体搬送ユニットおよび塗沫標本作製装置の回路構成の概要を示す図である。
【図8】実施形態に係る検体搬送ユニットの設定部を示す図である。
【図9】実施形態に係る検体送出ユニット、検体投入ユニットおよび検体回収ユニットの起動処理を示すフローチャートである。
【図10】実施形態に係る検体搬送ユニットの起動処理を示すフローチャートである。
【図11】実施形態に係る搬送コントローラ、情報処理ユニットおよび塗沫標本作製装置の起動処理を示すフローチャートである。
【図12】実施形態に係る検体ラックの搬送先を決定するための処理を示すフローチャートおよびモード切替時の処理を示すフローチャートである。
【図13】実施形態に係る検体送出ユニットと搬送コントローラの起動処理を示すフローチャートの変更例である。
【図14】実施形態に係る検体送出ユニットと情報処理ユニットの起動処理を示すフローチャートの変更例である。
【図15】実施形態に係る検体搬送ユニットの起動処理を示すフローチャートの変更例である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本実施形態は、血液に関する検査および分析を行うための検体処理システムに本発明を適用したものである。本実施形態に係る検体処理システムは、3つの測定ユニットと、1つの塗沫標本作製装置を備えている。3つの測定ユニットでは、血液分析が並行して行われ、その分析結果に基づき塗沫標本の作製が必要である場合に、塗沫標本作製装置により塗沫標本が作製される。
【0032】
以下、本実施形態に係る検体処理システムについて、図面を参照して説明する。
【0033】
図1は、検体処理システム1を上側から見た場合の構成を示す平面図である。本実施形態に係る検体処理システム1は、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、検体送出ユニット23と、3つの検体搬送ユニット3と、血球分析装置4と、検体搬送ユニット5と、塗沫標本作製装置6と、搬送コントローラ7から構成されている。また、本実施形態の検体処理システム1は、通信ネットワークを介してホストコンピュータ8と通信可能に接続されている。
【0034】
検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、検体送出ユニット23は、それぞれ、複数の検体ラックが載置可能となるよう構成されている。
【0035】
図2は、検体容器Tと検体ラックLの構成を示す図である。同図(a)は、検体容器Tの外観を示す斜視図であり、同図(b)は、検体ラックLの正面図である。
【0036】
同図(a)を参照して、検体容器Tは、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成された管状容器であり、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。バーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。
【0037】
同図(b)を参照して、検体ラックLには、10本の検体容器Tを垂直状態(立位状態)で並べて保持することが可能となるよう10個の保持位置が形成されている。また、検体ラックLの正面側には、図示の如く、バーコードラベルBL2が貼付されている。バーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0038】
図1に戻って、検体回収ユニット21は、分析が終了した検体ラックLを収容する。検体投入ユニット22は、オペレータが投入した検体ラックLを収容し、収容している検体ラックLを検体送出ユニット23に送出する。また、検体回収ユニット21と検体投入ユニット22は、検体送出ユニット23と搬送コントローラ7に通信可能に接続されている。
【0039】
検体送出ユニット23は、バーコード読取部23aを備えている。バーコード読取部23aにより、検体投入ユニット22から送出される検体ラックLのラックIDと、検体ラックLの保持位置に対応付けられた検体容器Tの検体IDが読み取られる。検体送出ユニット23は、バーコードの読み取りが完了した検体ラックLを検体搬送ユニット3に送出する。また、検体送出ユニット23は、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、3つの検体搬送ユニット3と、検体搬送ユニット5と、搬送コントローラ7に通信可能に接続されており、検体送出ユニット23によって読み取られたラックIDと検体IDは、搬送コントローラ7に送信される。
【0040】
また、検体送出ユニット23には、後述する一括起動ボタンが備えられている。一括起動ボタンがオペレータにより押下されると、検体処理システム1の各ユニット(装置)が起動される。かかる一括起動ボタンについては、追って図5を参照して説明する。
【0041】
3つの検体搬送ユニット3は、図示の如く、それぞれ、3つの測定ユニット41の前方に配置されている。隣り合う2つの検体搬送ユニット3は、検体ラックLの受け渡しが可能となるよう互いに接続されている。右側の検体搬送ユニット3の右端は、検体ラックLの受け渡しが可能となるよう検体送出ユニット23に接続されており、左側の検体搬送ユニット3の左端は、検体ラックLの受け渡しが可能となるよう検体搬送ユニット5に接続されている。また、3つの検体搬送ユニット3は、それぞれ、検体送出ユニット23と、情報処理ユニット42と、搬送コントローラ7に通信可能に接続されている。
【0042】
これら3つの検体搬送ユニット3には、図示の如く、それぞれに対応する測定ユニット41において検体の測定が行われる場合と行われない場合とに分けて、検体ラックLを搬送するための2通りの搬送ラインL1、L2が設定されている。すなわち、測定ユニット41で検体の測定が行われる場合は、後方のコの字型の矢印で示された搬送ラインL1に沿って検体ラックLが搬送される。測定ユニット41で検体の測定が行われず、下流側(左側)の測定ユニット41で検体の測定が行われる場合は、当該測定ユニット41をスキップするよう、中段の左向きの矢印で示された搬送ラインL2に沿って検体ラックLが搬送される。
【0043】
なお、各検体搬送ユニット3は、対応する測定ユニット41において検体の測定が行われる場合、搬送コントローラ7から測定オーダを受信する。かかる測定オーダは、情報処理ユニット42に送信される。
【0044】
また、各検体搬送ユニット3には、図示の如く、検体ラックLを検体回収ユニット21に搬送するための搬送ラインL3が設定されている。すなわち、測定済み、あるいは、塗沫標本作製済みの検体ラックLは、前方の右向きの矢印で示された搬送ラインL3に沿って搬送され、検体回収ユニット21に回収される。なお、検体搬送ユニット3の構成については、追って図3を参照して説明する。
【0045】
血球分析装置4は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、3つの測定ユニット41と、情報処理ユニット42を備えている。情報処理ユニット42は、3つの測定ユニット41と通信可能に接続されており、3つの測定ユニット41の動作を制御する。また、情報処理ユニット42は、3つの検体搬送ユニット3にも通信可能に接続されている。
【0046】
3つの測定ユニット41は、情報処理ユニット42によって受信された測定オーダに基づいて、検体容器Tに収容されている血液検体を測定する。かかる測定において、各測定ユニット41は、それぞれ前方に配置された検体搬送ユニット3の搬送ラインL1上の所定の位置において、検体ラックLから検体容器Tを抜き出す。かかる検体容器Tに収容されている血液検体は、測定ユニット41内で測定される。測定ユニット41内での測定が完了すると、かかる検体容器Tは再び元の検体ラックLの保持位置に戻される。
【0047】
検体搬送ユニット5は、塗沫標本作製装置6の前方に配置されている。検体搬送ユニット5には、検体搬送ユニット3と同様、搬送ラインL1、L2、L3が設定されている。また、検体搬送ユニット5は、検体送出ユニット23と、塗沫標本作製装置6と、搬送コントローラ7とに通信可能に接続されている。
【0048】
塗沫標本作製装置6では、血液検体の塗沫標本が作製される。すなわち、まず、塗沫標本作製装置6は、検体搬送ユニット5の搬送ラインL1上の所定の位置において、検体容器Tに収容されている血液検体を吸引する。続いて、吸引された血液検体が、スライドガラス上に滴下され、スライドガラス上で薄く引き延ばされ、乾燥させられる。しかる後、かかるスライドガラスに染色液が供給されることにより、スライドガラス上の血液が染色され、塗沫標本が作製される。また、塗沫標本作製装置6は、検体搬送ユニット5と通信可能に接続されており、検体搬送ユニット5の指示に応じて駆動制御される。
【0049】
なお、塗沫標本の作製の要否は、3つの測定ユニット41での測定結果をもとに、情報処理ユニット42で行われる分析結果に基づいて、搬送コントローラ7によって判定される。情報処理ユニット42で行われる分析結果は、検体搬送ユニット3を介して搬送コントローラ7に送信される。搬送コントローラ7により塗沫標本の作製が必要と判定されると、対象となる検体を収容する検体ラックLは、検体搬送ユニット5の搬送ラインL1に沿って搬送され、塗沫標本作製装置6において塗沫標本の作製が行われる。
【0050】
搬送コントローラ7は、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、検体送出ユニット23と、3つの検体搬送ユニット3と、検体搬送ユニット5と通信可能に接続されており、各ユニットの駆動を制御する。搬送コントローラ7として、たとえば、別付のパーソナルコンピュータあるいはシステムに組み込まれたコンピュータが用いられる。
【0051】
搬送コントローラ7は、検体ラックLのラックIDと、検体容器Tの検体IDと、検体容器Tの保持位置とを検体送出ユニット23から受信すると、ホストコンピュータ8へ測
定オーダの問い合わせを行う。搬送コントローラ7は、ホストコンピュータ8から測定オーダを受信すると、ラックIDと、検体IDと、保持位置とに対応付けて測定オーダを記憶する。
【0052】
また、搬送コントローラ7は、検体送出ユニット23から送出される検体ラックLを、3つの測定ユニット41の何れに搬送するかを決定する。搬送コントローラ7は、この検体ラックLを、搬送先として決定された測定ユニット41まで搬送するよう各検体搬送ユニット3を制御する。搬送コントローラ7は、搬送先として決定された測定ユニット41に対応する検体搬送ユニット3に対して、記憶した測定オーダを送信する。
【0053】
ホストコンピュータ8は、通信ネットワークに接続されており、搬送コントローラ7と通信することが可能となっている。ホストコンピュータ8の記憶部には、測定オーダが格納されている。ホストコンピュータ8は、搬送コントローラ7から検体IDを含む測定オーダを要求されたときには、この検体IDに対応する測定データを記憶部から読み出し、搬送コントローラ7へ送信する。
【0054】
ここで、3つの測定ユニット41は、“単独モード”と“システムモード”の何れかの動作モードが設定される。測定ユニット41の動作モードが“システムモード”に設定されると、上記のように、検体送出ユニット23から送出される検体ラックLは、“システムモード”に設定された測定ユニット41の何れか1つに搬送される。測定ユニット41の動作モードが“単独モード”に設定されると、この測定ユニット41は、検体送出ユニット23から送出される検体ラックLの搬送先に含められない。すなわち、測定ユニット41の動作モードが“単独モード”に設定されると、検体送出ユニット23から送出される検体ラックLは、搬送ラインL2に沿って搬送され、この測定ユニット41の手前に位置付けられない。
【0055】
測定ユニット41の動作モードが“単独モード”に設定されると、この測定ユニット41の搬送ラインL1上にある検体ラックLは、検体送出ユニット23から送出される検体ラックLとは別に、単独に搬送ラインL1上で搬送される。これにより、オペレータは、搬送ラインL1上の検体ラックLに対する測定を、独立して行うことができる。
【0056】
なお、検体搬送ユニット5も、“単独モード”と“システムモード”の何れかの動作モードが設定される。検体搬送ユニット5の動作モードが“システムモード”に設定されて、上記のように、測定ユニット41の測定結果に基づいて塗沫標本の作成が必要と判定されると、検体ラックLは、検体搬送ユニット5の搬送ラインL1に沿って、塗沫標本作製装置6の手前に位置付けられる。検体搬送ユニット5の動作モードが“単独モード”に設定されると、塗沫標本の作成の要否に拘わらず、測定ユニット41で測定された検体ラックLは、検体搬送ユニット5に搬入される前に検体回収ユニット21に向けて搬送され、塗沫標本作製装置6の手前に位置付けられない。これにより、オペレータは、搬送ラインL1上の検体ラックLに対する塗沫標本の作成を、独立して行うことができる。
【0057】
図3は、検体搬送ユニット3を上側から見た場合の構成を示す平面図である。検体搬送ユニット3は、分析前ラック保持部310と、ラック搬送部320と、分析後ラック保持部330と、ラック搬送部340、350とを備えている。
【0058】
この検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作モードが“システムモード”であり、上流側(右側)から送出された検体ラックLに対する測定が、対応する測定ユニット41で行われない場合、この検体ラックLは、ラック搬送部340のベルト341a、341bにより、ラック搬送部340の右端から左端へと搬送ラインL2に沿って直線的に送られる。
【0059】
この検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作モードが“システムモード”であり、上流側(右側)から送出された検体ラックLに対する測定が、対応する測定ユニット41で行われる場合、この検体ラックLは、同図右下の破線で示すラック搬送部340の右端位置に送られる。すなわち、図中に示す反射型のセンサ342により、検体ラックLが同図右下の破線の位置に搬送されたことが検出されると、このタイミングでベルト341aが停止される。しかる後、ラック押出し機構343が後方に移動することにより、検体ラックLが、分析前ラック保持部310の搬送路311の前端に押し出される。
【0060】
発光部と受光部とからなる光学式のセンサ312a、312bにより、搬送路311上にある検体ラックLが検出されると、ラック送込機構313が検体ラックLの前端に係合した状態で後方に移動し、検体ラックLが後方に送られる。こうして、検体ラックLがラック搬送部320の右端位置まで送られると、ベルト321a、321bが駆動され、検体ラックLが左方向に送られる。
【0061】
その後、検体ラックLは、検体容器センサ322の位置へと到達する。検体容器センサ322は接触式のセンサである。検体容器センサ322の真下位置を検体ラックLに保持された検出対象の検体容器Tが通過すると、検体容器センサ322の接触片がかかる検出容器Tにより屈曲されて、検体容器Tの存在が検出される。
【0062】
検体容器センサ322による検体容器Tの検出位置から検体容器2つ分だけ左側の検体供給位置において、後述する測定ユニット41のハンド部が、検体容器Tを把持して検体ラックLから検体容器Tを取り出す。取り出された検体容器Tは、測定ユニット41において測定に用いられた後、再び検体ラックLに戻される。検体容器Tが検体ラックLへ戻されるまでの間、検体ラックLの搬送は待機される。
【0063】
こうして、検体ラックLに保持された全ての検体容器Tの検体に対する測定が終了すると、検体ラックLは、ベルト321a、321bによって、同図に破線で示すラック搬送部320の左端位置まで送られ、ベルト321a、321bの駆動が停止される。しかる後、検体ラックLは、ラック押出し機構323により、分析後ラック保持部330の搬送路331の後端に送られる。発光部と受光部とからなる光学式センサ332a、332bにより、搬送路331上にある検体ラックLが検出されると、ラック送込機構333が検体ラックLの後端に係合した状態で前方に移動し、検体ラックLが前方に送られる。このとき、分析後ラック保持部330の前方にあって、ラック搬送部340と350の間にある仕切り部360が開閉制御され、検体ラックLが、ラック搬送部340、350の何れかに位置付けられる。
【0064】
測定ユニット41による測定の結果、検体ラックLに保持されている何れかの検体容器Tについて、下流側にある塗沫標本作製装置6による塗沫標本作製の必要があると判定されると、仕切り部360により、ラック搬送部340、350が仕切られた状態で、検体ラックLが、ラック送込機構333によりラック搬送部340の左端位置まで移動される。しかる後、かかる検体ラックLは、ラック搬送部340のベルト341bによって下流側の検体搬送ユニットに送出される。
【0065】
他方、測定ユニット41による測定の結果、検体ラックLに保持されている検体容器Tについて、いずれも下流側にある塗沫標本作製装置6による塗沫標本作製の必要がないと判定されると、仕切り部360の上面が、ラック搬送部340のベルト341bの上面と同じ高さまで下げられ、検体ラックLが、ラック送込機構333によりラック搬送部350の左端位置まで移動される。こうして、検体ラックLが、ラック送込機構333によって、分析後ラック保持部330からラック搬送部340を横切って、同図左下に破線で示
すラック搬送部350の左端位置まで移動される。しかる後、かかる検体ラックLは、ラック搬送部350のベルト351によって搬送ラインL3に沿って右方向に移動される。こうして、搬送ラインL3に沿って搬送された検体ラックLは、検体回収ユニット21に収容される。
【0066】
この検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作モードが“単独モード”である場合、オペレータは、対応する測定ユニット41で測定が行われるよう、検体ラックLを直接搬送路311上にセットすることができる。この場合も、検体ラックLがセンサ312a、312bにより検出されると、この検体ラックLは搬送ラインL1に沿って搬送され、検体供給位置において、検体ラックLに保持された全ての検体容器Tの検体に対する測定が行われる。しかる後、検体ラックLは、分析後ラック保持部330の搬送路331の後端に位置付けられる。この場合、検体ラックLは、ラック送込機構333により搬送部340または350まで送り込まれることはなく、搬送路331上に留められる。
【0067】
なお、検体搬送ユニット3には、ラック押出し機構343、323と、ラック送込機構313、333と、ベルト321a、321b、341a、341b、351と、仕切り部360をそれぞれ駆動するためのステッピングモータ(図示せず)が配されている。また、検体搬送ユニット3には、センサ342、312a、312b、332a、332bと、検体容器センサ322の他、搬送経路上の検体ラックLの位置を検出するためのセンサ(図示せず)が、対応する位置に配されている。
【0068】
なお、検体搬送ユニット5についても、検体搬送ユニット3と略同様の構成とされる。この場合、塗沫標本の作成が必要と判断された検体を含む検体ラックLが、検体搬送ユニット5に搬送されると、搬送ラインL1に沿って検体供給位置に位置付けられ、測定ユニット41による測定と同様に、塗沫標本作製装置6による塗沫標本の作成が行われる。しかる後、搬送ラインL3に沿って、検体回収ユニット21に向けて右方向に搬送される。
【0069】
図4は、検体処理システム1の各ユニット(装置)の相互の接続関係を模式的に示す図である。
【0070】
ここで、3つの検体搬送ユニット3は、それぞれ、検体リレー部3a、検体供給部3bに分けて図示されている。具体的には、検体リレー部3aは、図3の分析後ラック保持部330と、ラック搬送部340、350を含む部分であり、隣り合う2つの検体搬送ユニット3のうちの一方から検体ラックLを受け取り、他方の検体搬送ユニット3に搬送する。検体供給部3bは、図3の分析前ラック保持部310とラック搬送部320を含む部分であり、測定ユニット41による検体の測定のために検体ラックLを検体供給位置に搬送する。
【0071】
集線装置11には、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、検体送出ユニット23と、3つの検体リレー部3aと、検体搬送ユニット5と、搬送コントローラ7が、通信可能となるよう接続されている。集線装置12には、3つの検体リレー部3aと、情報処理ユニット42が通信可能となるよう接続されている。
【0072】
集線装置13には、3つの検体供給部3bと、情報処理ユニット42が通信可能となるよう接続されている。集線装置14には、3つの測定ユニット41と情報処理ユニット42が通信可能となるよう接続されている。
【0073】
図5は、検体投入ユニット22と、検体送出ユニット23と、搬送コントローラ7の回路構成の概要を示す図である。
【0074】
検体送出ユニット23は、電源ユニット231と、電力供給スイッチ232と、制御部233と、通信部234と、駆動部235と、センサ部236と、単独起動ボタン237と、一括起動ボタン238とを備える。
【0075】
電源ユニット231には外部から電源が供給されている。電力供給スイッチ232がON状態のとき、電源ユニット231は、図示の如く、検体送出ユニット23の各部に電力を供給することができる。以下の説明では、電力供給スイッチ222は常にON状態となっているものとする。
【0076】
制御部233は、制御部233内のCPU233aにより、メモリ233bに記憶されているコンピュータプログラムを実行し、単独で、または、搬送コントローラ7の制御部に従って、各部を制御する。なお、後述する他の制御部もCPUおよびメモリを備えている。通信部234は、Ethernet(登録商標)規格に基づいて外部の装置とデータ通信を行うための通信インターフェースを備え、集線装置11との間でデータ通信を行う。
【0077】
駆動部235は、制御部233により制御される。駆動部235には、検体送出ユニット23に収容された検体ラックLを搬送するための機構と、この機構を駆動するためのステッピングモータが含まれる。センサ部236は、検出信号を制御部233に出力する。センサ部236には、検体送出ユニット23に収容された検体ラックLを検体するためのセンサの他、バーコード読取部23aが含まれる。
【0078】
単独起動ボタン237は、検体送出ユニット23を単独で起動させるためのボタンである。単独起動ボタン237が押下されると、起動処理が行われて、検体送出ユニット23が起動する。
【0079】
一括起動ボタン238は、検体送出ユニット23に加えて、集線回路11に直接的または間接的に接続された他の全てのユニット(装置)を起動させる。すなわち、一括起動ボタン238が押下されると、まず、単独起動ボタン237が押下された場合と同様に、検体送出ユニット23が起動する。しかる後に、制御部233は、通信部234を介して集線装置11に起動のためのデータを送信する。かかるデータが、集線回路11に接続された検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、3つの検体リレー部3aと、検体搬送ユニット5と、搬送コントローラ7によって受信されると、これらユニット(装置)において起動処理が行われ、これらのユニット(装置)が起動する。また、3つの検体供給部3bと、情報処理ユニット42と、3つの測定ユニット41と、塗抹標本作製装置6は、起動した検体搬送ユニット3の検体リレー部3aから送信される起動のためのデータ、または起動した検体搬送ユニット5から送信される起動のための信号に基づいて起動する。
【0080】
なお、請求項2における“起動指示受付部”は、本実施の形態では、一括起動ボタン238と、制御部233と、通信部234が対応する。
【0081】
検体投入ユニット22は、図示の如く、検体送出ユニット23から一括起動ボタン238が除かれた回路構成となっている。
【0082】
電源ユニット221には外部から電源が供給されている。電力供給スイッチ222は常にON状態となっており、電源ユニット221は、検体投入ユニット22の各部に電力を供給することができる。
【0083】
ここで、検体投入ユニット22が起動していない状態とは、電源ユニット221から制御部223と通信部224のみに電源が供給されている状態である。この状態で、検体送
出ユニット23の一括起動ボタン238が押下されると、検体投入ユニット22が起動することとなる。すなわち、検体送出ユニット23の一括起動ボタンが押下されて、集線装置11に起動のためのデータが送信されると、検体投入ユニット22の制御部223は、通信部224を介して、かかる起動のためのデータを受信する。制御部223は、かかる起動のためのデータを受信すると、単独起動ボタン227が押下された場合と同様に、検体投入ユニット22を起動させる。
【0084】
なお、検体投入ユニット22が起動しているときに、起動のためのデータが受信された場合、または、単独起動ボタン227が押下された場合は、検体投入ユニット22は、そのまま起動状態を維持する。
【0085】
搬送コントローラ7は、図示の如く、検体投入ユニット22から駆動部225とセンサ部226が除かれた回路構成となっている。この場合も、検体投入ユニット22と同様、検体送出ユニット23の一括起動ボタン238が押下されると、起動のためのデータが集線装置11を介して搬送コントローラ7に送信され、搬送コントローラ7は起動していない状態から起動することとなる。
【0086】
なお、検体回収ユニット21も、検体投入ユニット22と同様の回路構成となっており、検体送出ユニット23の一括起動ボタン238が押下されると、起動のためのデータが集線装置11を介して検体回収ユニット21に送信される。検体回収ユニット21の制御部は、検体回収ユニット21が起動していない状態で、かかる起動のためのデータを受信すると、単独起動ボタンが押下された場合と同様に、検体回収ユニット21を起動させる。こうして、検体回収ユニット21は起動していない状態から起動することとなる。
【0087】
図6は、検体搬送ユニット3と、測定ユニット41と、情報処理ユニット42の回路構成の概要を示す図である。なお、同図には、便宜上、検体搬送ユニット3と測定ユニット41がそれぞれ1つのみ示されているが、他の検体搬送ユニット3と測定ユニット41も同様に構成される。
【0088】
検体搬送ユニット3は、図5の検体投入ユニット22から、通信部304bと、駆動部305bと、センサ部306bと、設定部308が追加された回路構成となっている。
【0089】
通信部304aは、集線装置11と12との間でデータ通信を行い、通信部304bは、集線装置13との間でデータ通信を行う。駆動部305aは、制御部303により制御され、駆動部305bは、通信部304bを介して、情報処理ユニット42により制御される。センサ部306aは、検出信号を制御部303に出力し、センサ部306bは、検出信号を、通信部304bを介して、情報処理ユニット42に出力する。
【0090】
通信部304bと、駆動部305bと、センサ部306bは、図4の検体供給部3bに含まれており、通信部304bと、駆動部305bと、センサ部306b以外の図6に示す検体搬送ユニット3の各部は、図4の検体リレー部3aに含まれている。駆動部305aとセンサ部306aは、図3の分析後ラック保持部330と、ラック搬送部340、350上にある検体ラックLを、それぞれ搬送および検出するための機構を含んでいる。駆動部305bとセンサ部306bは、図3の分析前ラック保持部310とラック搬送部320上にある検体ラックLを、それぞれ搬送および検出するための機構を含んでいる。
【0091】
電源ユニット301は、検体搬送ユニット3の各部に電力を供給することができる。また、検体搬送ユニット3が起動していないとき、電源ユニット301から検体供給部3bには、電力は供給されていない。
【0092】
ここで、検体送出ユニット23の一括起動ボタン238が押下されると、検体投入ユニット22と同様、制御部303は集線装置11から起動のためのデータを受信し、検体搬送ユニット3の検体リレー部3aが起動することとなる。また、制御部303が起動のためのデータを受信すると、検体供給部3bには電源ユニット301から電力が供給され、検体供給部3bは、情報処理ユニット42からの指示を受け付けることができる状態となる。検体搬送ユニット3が起動すると、制御部303は、集線装置12を介して、情報処理ユニット42に対して起動のためのデータを送信する。
【0093】
他方、単独起動ボタン307が押下されて検体搬送ユニット3が起動すると、この検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作モードは、“単独モード”に設定される。また、検体搬送ユニット3が起動すると、検体リレー部3aが起動することとなり、検体供給部3bは、情報処理ユニット42からの指示を受け付けることができる状態となる。この場合も、検体搬送ユニット3の制御部303は、集線装置12を介して情報処理ユニット42に対して起動のためのデータを送信する。
【0094】
設定部308は、LEDやボタン(図示せず)を含んでいる。オペレータは、設定部308に配されたボタンを操作することにより、検体搬送ユニット3と、この検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作を設定することができる。なお、設定部308については、追って図8を参照して説明する。
【0095】
測定ユニット41は、通信部411と、駆動部412と、センサ部413と、電源ユニット414とを備える。通信部411は、集線装置14との間でデータ通信を行う。駆動部412とセンサ部413は、検体容器Tを測定ユニット41内で、それぞれ搬送および検出するための機構を含んでいる。電源ユニット414には外部から電源が供給されている。電源ユニット414は、測定ユニット41が起動していない状態にあるとき、通信部411のみに電力を供給する。また、電源ユニット414は、通信部411、集線装置14および通信部424を介して情報処理ユニット42の制御部423から起動のための信号を受信すると、駆動部412とセンサ部413に電力を供給して、測定ユニット41を起動する。
【0096】
情報処理ユニット42は、図5の搬送コントローラ7と同様の回路構成となっている。情報処理ユニット42の制御部423は、集線装置12を介して、検体搬送ユニット3の制御部303から起動のためのデータを受信すると、情報処理ユニット42を起動していない状態から起動させる。
【0097】
情報処理ユニット42が起動すると、制御部423は、通信部424と集線装置13を介して、検体搬送ユニット3の検体供給部3bを制御し、センサ部306bの検出信号を受信する。また、制御部423は、通信部424と集線装置14を介して、測定ユニット41の駆動部412を制御し、センサ部413の検出信号を受信する。
【0098】
図7は、検体搬送ユニット5と塗沫標本作製装置6の回路構成の概要を示す図である。検体搬送ユニット5は、図5の検体投入ユニット22から、設定部508が追加された回路構成となっており、塗沫標本作製装置6は、図5の検体投入ユニット22と同様の回路構成となっている。
【0099】
検体搬送ユニット5の通信部504は、集線装置11との間でデータ通信を行う。これにより、検体送出ユニット23の一括起動ボタン238が押下されると、制御部503は、集線装置11を介して起動のためのデータを受信し、検体搬送ユニット5を起動させる。
【0100】
また、通信部504は、塗沫標本作製装置6の通信部604と信号線により接続され、通信部604との間でもデータ通信を行う。検体搬送ユニット5が起動すると、通信部504から通信部604に起動のための信号が送信される。塗沫標本作製装置6の制御部603は、通信部604を介して、検体搬送ユニット5から起動のための信号を受信すると、塗沫標本作製装置6を起動させる。
【0101】
設定部508は、図6の検体搬送ユニット3の設定部308と同様の構成となっている。オペレータは、設定部508に配されたボタンを操作することにより、検体搬送ユニット5と塗沫標本作製装置6の動作を設定することができる。
【0102】
図8は、検体搬送ユニット3の設定部308を示す図である。
【0103】
設定部308は、動作状態表示領域308aと、スタートボタン308bと、中断ボタン308cと、モード切替ボタン308dと、エラーリセットボタン308fとを備えている。また、設定部308は、検体搬送ユニット3の手前側に設置されている。
【0104】
動作状態表示領域308aは、この検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作状態を示す。動作状態表示領域308aには、動作状態として、“動作中”、“スタンバイ”、“エラー”の何れかの文字が枠付きで表示される。また、この検体搬送ユニット3が起動していない場合は、何れの文字も枠付きで表示されない。図示の例では、この設定部308が設置されている検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作状態が、動作中であることを示している。動作状態は、各検体搬送ユニット3の制御部内にあるメモリに記憶されており、随時更新されている。
【0105】
ここで、“動作中”とは、検体搬送ユニット3と、対応する測定ユニット41が正常に動作しており、且つ、検体搬送ユニット3の分析前ラック保持部310と、ラック搬送部320と、分析後ラック保持部330の何れかの領域内に検体ラックLが位置付けられている状態をいう。また、“スタンバイ”とは、検体搬送ユニット3と、対応する測定ユニット41が正常に動作しており、且つ、検体搬送ユニット3の分析前ラック保持部310と、ラック搬送部320と、分析後ラック保持部330の何れの領域内にも検体ラックLが位置付けられていない状態をいう。また、“エラー”とは、検体搬送ユニット3、または、対応する測定ユニット41が正常に動作していない状態をいう。
【0106】
なお、検体搬送ユニット3の制御部303は、検体搬送ユニット3の分析前ラック保持部310とラック搬送部320に検体ラックLが位置付けられているか否かを取得するために、センサ部306b(図6参照)による検体ラックLの検出の有無を取得する。この場合、制御部303は、センサ部306bから出力された検出信号を受信する情報処理ユニット42の制御部423に問い合わせることにより、センサ部306bによる検体ラックLの検出の有無を取得する。
【0107】
この検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作モードが“単独モード”であるときに、スタートボタン308bが押下されると、分析前ラック保持部310の搬送路311上にセットされた検体ラックLが搬送ラインL1に沿って搬送され、対応する測定ユニット41で測定が開始される。
【0108】
中断ボタン308cが押下されると、この検体搬送ユニット3の分析前ラック保持部310と、ラック搬送部320と、分析後ラック保持部330の領域内にある検体ラックLの搬送が中断される。また、中断中に再度中断ボタン308cが押下されると、中断が解除される。
【0109】
モード切替ボタン308dが押下されると、この検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作モードが、“単独モード”と“システムモード”の間で切り替えられる。また、モード切替ボタン308dには、LED308eが配されている。LED308eは、現在の動作モードが“単独モード”である場合に赤色に点灯し、現在の動作モードが“システムモード”である場合に消灯される。なお、測定ユニット41の動作モードは、対応する検体搬送ユニット3の制御部303内にあるメモリに記憶されている。
【0110】
エラーリセットボタン308fが押下されると、この検体搬送ユニット3、または、対応する測定ユニット41が“エラー”状態であるときに、アラームが解除される。
【0111】
以下、検体送出ユニット23の一括起動ボタン238が押下されたときの処理(以下、単に「起動処理」という)について説明する。なお、本実施の形態では、一括起動ボタン238が複数回押下された場合にも、2回目以降の押下が有効とされ、起動処理が実行される。また、各装置またはユニットの単独起動ボタンが押下された場合には、上記の如く、当該装置またはユニットが単独で起動される。検体搬送ユニット3が単独で起動されたとき、当該検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41は単独モードに設定される。また、各装置またはユニットが起動状態にあるときに単独起動ボタンが押下されても、当該押下操作は無効とされる。
【0112】
図9(a)は、検体送出ユニット23の起動処理を示すフローチャートである。
【0113】
検体送出ユニット23の一括起動ボタン238が押下されると(S11:YES)、制御部233は、検体送出ユニット23が既に起動状態にあるかを判定する(S12)。検体送出ユニット23が起動状態にないとき(S12:YES)、制御部233は、検体送出ユニット23を起動させる(S13)。他方、検体送出ユニット23が起動状態にあると(S12:NO)、制御部233は起動状態を維持する。しかる後に、制御部233は、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、3つの検体搬送ユニット3と、検体搬送ユニット5と、搬送コントローラ7に、起動のためのデータ(起動指令)を送信し(S14)、処理が終了する。
【0114】
図9(b)は、検体投入ユニット22の起動処理を示すフローチャートである。
【0115】
検体投入ユニット22が検体送出ユニット23から送信された起動のためのデータ(起動指令)を受信すると(S21:YES)、検体投入ユニット22の制御部223は、検体投入ユニット22が既に起動状態にあるかを判定する(S22)。検体投入ユニット22が起動状態にないとき(S22:YES)、制御部223は、検体投入ユニット22を起動させる(S23)。他方、検体投入ユニット22が起動状態にあると(S22:NO)、制御部223は起動状態を維持する。こうして、処理が終了する。
【0116】
図9(c)は、検体回収ユニット21の起動処理を示すフローチャートである。
【0117】
検体回収ユニット21が検体送出ユニット23から送信された起動のためのデータ(起動指令)を受信すると(S31:YES)、検体回収ユニット21の制御部は、検体回収ユニット21が既に起動状態にあるかを判定する(S32)。検体回収ユニット21が起動状態にないとき(S32:YES)、検体回収ユニット21の制御部は、検体回収ユニット21を起動させる(S33)。他方、検体回収ユニット21が起動状態にあると(S32:NO)、検体回収ユニット21の制御部は起動状態を維持する。こうして、処理が終了する。
【0118】
図10(a)は、検体搬送ユニット3の起動処理を示すフローチャートである。
【0119】
この検体搬送ユニット3が検体送出ユニット23から送信された起動のためのデータ(起動指令)を受信すると(S41:YES)、検体搬送ユニット3の制御部303は、この検体搬送ユニット3が既に起動状態にあるかを判定する(S42)。検体搬送ユニット3が起動していないとき(S42:YES)、制御部303は、この検体搬送ユニット3を起動させ(S43)、対応する測定ユニット41の動作モードを“システムモード”に設定する(S44)。しかる後、制御部303によって、情報処理ユニット42に起動のためのデータ(起動指令)が送信される(S45)。他方、検体搬送ユニット3が起動していると判定されると(S42:NO)、“モード設定と通知”の処理が行われる(S46)。
【0120】
なお、S45において、起動のためのデータ(起動指令)は、3つの検体搬送ユニット3によってそれぞれ情報処理ユニット42に送信されても良いし、何れかの検体搬送ユニット3のみによって情報処理ユニット42に送信されるようにしても良い。
【0121】
なお、上記の如く、検体搬送ユニット3の単独起動ボタン307が押下されることによって検体搬送ユニット3が起動されると、対応する測定ユニット41の動作モードが“単独モード”に設定される。
【0122】
図10(b)は、“モード設定と通知”を示す処理フローチャートである。
【0123】
検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作モードが、“単独モード”であるとき(S101:YES)、この検体搬送ユニット3の制御部303は、対応する測定ユニット41の動作状態を取得する(S102)。すなわち、S102では、対応する測定ユニット41の動作状態が、“動作中”、“スタンバイ”、“エラー”の何れの状態であるかが取得される。他方、検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作モードが、“システムモード”であるとき(S101:NO)、処理がS107に進められる。
【0124】
次に、この検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作状態が“スタンバイ”でないとき(S103:NO)、単独モードが維持される(S104)。この場合、設定部308のLED308eの状態が“単独モード”であることを示す赤色の点灯状態に維持される。また、制御部303は、対応する測定ユニット41の動作モードが“単独モード”であることを示すデータを、搬送コントローラ7に送信する(S105)。
【0125】
他方、この検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作状態が“スタンバイ”であるとき(S103:YES)、制御部303は、対応する測定ユニット41の動作モードを“システムモード”に変更し(S106)、設定部308のLED308eが、対応する測定ユニット41の動作モードが“システムモード”であることを示すよう消灯される(S107)。続いて、制御部303は、対応する測定ユニット41の動作モードが“システムモード”であることを示すデータを、搬送コントローラ7に送信する(S108)。こうして、“モード設定と通知”の処理が終了する。
【0126】
なお、図10(a)、(b)に示したフローチャートは、検体搬送ユニット5の起動処理においても適用される。この場合、図10(a)のS45において、検体搬送ユニット5の制御装置503は、塗沫標本作製装置6に起動のための信号を送信する。これにより、塗沫標本作製装置6が起動状態になる。また、図10(b)のS102において、塗沫標本作製装置6の動作状態を取得し、S103において、塗沫標本作製装置6がスタンバイであるかが判定される。
【0127】
図11(a)は、搬送コントローラ7の起動処理を示すフローチャートである。
【0128】
搬送コントローラ7が検体送出ユニット23から送信された起動のためのデータ(起動指令)を受信すると(S51:YES)、搬送コントローラ7の制御部703は、搬送コントローラ7が既に起動状態にあるかを判定する(S52)。搬送コントローラ7が起動状態にないとき(S52:YES)、制御部703は搬送コントローラ7を起動させる(S53)。他方、搬送コントローラ7が起動状態にあると(S52:NO)、制御部703は起動状態を維持する。
【0129】
次に、搬送コントローラ7が、図10(b)のS105またはS108で送信された動作モードの情報を3つの検体搬送ユニット3から受信すると(S54:YES)、制御部703は、受信した動作モードの情報に基づいて、対応する測定ユニット41の動作モードを制御部703内のメモリに記憶する(S55)。こうして、処理が終了する。なお、所定時間内に全ての測定ユニット41の動作モードを受信しない場合、制御部703は、受信した測定ユニット41の動作モードのみを制御部703内のメモリに記憶する。
【0130】
図11(b)は、情報処理ユニット42の起動処理を示すフローチャートである。
【0131】
情報処理ユニット42が検体搬送ユニット3から送信された起動のためのデータ(起動指令)を受信すると(S61:YES)、情報処理ユニット42の制御部423は、情報処理ユニット42が既に起動状態にあるかを判定する(S62)。情報処理ユニット42が起動状態にないとき(S62:YES)、制御部423は情報処理ユニット42を起動させる(S63)。他方、情報処理ユニット42が起動状態にあると(S62:NO)、制御部423は起動状態を維持する。
【0132】
しかる後、制御部423は、測定ユニット41を起動するための信号(起動指令)を各測定ユニット41に送信する(S64)。このとき、既に起動状態にある測定ユニット41には、起動状態が維持される。これにより、全ての測定ユニット41が起動状態になる。こうして、処理が終了する。
【0133】
図11(c)は、塗沫標本作製装置6の起動処理を示すフローチャートである。
【0134】
塗沫標本作製装置6が検体搬送ユニット5から送信された起動のための信号(起動指令)を受信すると(S71:YES)、塗沫標本作製装置6の制御部603は、塗沫標本作製装置6が既に起動状態にあるかを判定する(S72)。塗沫標本作製装置6が起動状態にないとき(S72:YES)、制御部603は塗沫標本作製装置6を起動させる(S73)。他方、塗沫標本作製装置6が起動状態にあると(S72:NO)、制御部603は起動状態を維持する。こうして、処理が終了する。
【0135】
次に、搬送コントローラ7による検体ラックLの搬送制御について説明する。
【0136】
図12(a)は、検体送出ユニット23から送出される検体ラックLの搬送先を決定するフローチャートである。
【0137】
搬送コントローラ7の制御部703は、制御部703内に記憶された各測定ユニット41の動作モードを読み出し、動作モードが“システムモード”である測定ユニット41を選択する(S201)。続いて、制御部703は、S201で選択した測定ユニット41の検体ラックLの受入状況を確認する(S202)。かかる受入状況の確認は、この測定ユニット41に対応する検体搬送ユニット3の分析前ラック保持部310のセンサ312a、312bの検出信号に基づいて行われる。すなわち、分析前ラック保持部310の搬
送路311上に検体ラックLがあれば、この測定ユニット41は検体ラックLを受入できないと判断される。分析前ラック保持部310の搬送路311上に検体ラックLがなければ、この測定ユニット41は検体ラックLを受入可能と判断される。
【0138】
S202の受入状況の確認により、制御部703は、S201で選択した測定ユニット41の何れかが検体ラックLを受入可能と判定すると(S203:YES)、選択した測定ユニット41のうち受入可能な測定ユニット41を検体ラックLの搬送先として決定し(S204)、処理が終了する。他方、制御部703は、S201で選択した測定ユニット41の全てが検体ラックLを受入可能でないと判定すると(S203:NO)、処理をS201に戻して、S201で選択した測定ユニット41の何れかが検体ラックLを受入可能になるのを待つ。なお、S202で複数の測定ユニット41が受入可能と判定された場合には、下流側(左側)の測定ユニット41を搬送先として決定する。
【0139】
図12(b)は、動作モードの切り替え操作があったときの検体搬送ユニット3における処理を示すフローチャートである。なお、この処理フローチャートは、検体搬送ユニット5にも同様に適用される。
【0140】
検体搬送ユニット3の設定部308に配されたモード切替ボタン308dが押下されると(S301:YES)、検体搬送ユニット3の制御部303は、LED308eの表示を切り替え(S302)、さらに、動作モードを切り替える(S303)。すなわち、動作モードが“システムモード”であるときにモード切替ボタン308dが押下されると、LED308eが点灯されるとともに、動作モードが“単独モード”に切り替えられ、また、動作モードが“単独モード”であるときにモード切替ボタン308dが押下されると、LED308eが消灯されるとともに、動作モードが“システムモード”に切り替えられる。さらに、制御部303は、切り替え後の動作モードを通知するためのデータ(モード変更通知)を搬送コントローラ7に送信する(S304)。こうして、搬送ユニット3における処理が終了する。
【0141】
図12(c)は、動作モードの切り替え操作があったときの搬送コントローラ7における処理を示すフローチャートである。
【0142】
搬送コントローラ7は、検体搬送ユニット3から、モード変更通知(図12(b)のS304参照)を受信すると(S401)、当該通知の送信元の検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作モードを、受信したモード変更通知に対応する動作モードに更新する(S402)。
【0143】
こうして、動作モードが変更されると、変更後の動作モードに基づいて、図12(a)のS201における処理が行われる。したがって、所定の測定ユニット41の動作モードが“単独モード”に切り替えられると、この測定ユニット41を除いた測定ユニット41を対象に、S202〜S204の搬送制御が行われる。また、所定の測定ユニット41の動作モードが“システムモード”に切り替えられると、この測定ユニット41を含めた測定ユニット41を対象に、S202〜S204の搬送制御が行われる。こうして、オペレータは、適宜、モード切替ボタン308dを操作することにより、対応する測定ユニット41を、自動搬送か、個別使用かに設定することができる。
【0144】
以上、本実施形態によれば、オペレータは、検体送出ユニット23の一括起動ボタン238を押下することにより、各ユニット(装置)を一括して起動させることができる。これにより、検体処理システム1の各ユニット(装置)に対して個別に起動の操作を行う必要がなくなり、オペレータの起動操作が簡略化され得る。
【0145】
また、本実施形態によれば、検体送出ユニット23から送出される検体ラックLは、動作モードが“単独モード”となっている測定ユニット41と塗沫標本作製装置6には位置付けられない。これにより、動作モードが“単独モード”となっている測定ユニット41と塗沫標本作製装置6は、個別に使用可能な状態に維持される。よって、緊急を要する検体の測定または塗沫標本の作成が、動作モードが“単独モード”となっている測定ユニット41と塗沫標本作製装置6において行われ得る。
【0146】
また、本実施形態によれば、設定部のモード切替ボタンが押下されると、測定ユニット41と塗沫標本作製装置6の動作モードが、“単独モード”と“システムモード”との間で切り替えられる。これにより、オペレータは、動作モードが何れかに設定されている測定ユニット41と塗沫標本作製装置6の動作モードを、再起動等させることなく、容易に変更することができる。
【0147】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態はこれらに限定されるものではない。
【0148】
たとえば、上記実施形態では、測定対象として血液を例示したが、尿についても測定対象とされ得る。すなわち、尿を検査する検体処理装置にも本発明を適用することができ、さらに、他の臨床検体を検査する臨床検体検査装置に本発明を適用することもできる。
【0149】
また、上記実施形態では、検体送出ユニット23の一括起動ボタン238が押下されることにより、各ユニット(装置)が起動したが、これに限らず、検体送出ユニット23以外のユニット(装置)に一括起動のためのボタンが配されるようにしても良い。また、検体処理システム1外から送信された起動のためのデータ(起動指令)が、何れかのユニット(装置)によって受信されることにより、各ユニット(装置)が起動されるようにしても良い。
【0150】
また、上記実施形態では、検体送出ユニット23の一括起動ボタン238が押下されると、検体送出ユニット23から、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、3つの検体搬送ユニット3と、検体搬送ユニット5と、搬送コントローラ7に、起動のためのデータ(起動指令)が送信され、これ以外のユニット(装置)には、これらのユニット(装置)を介して起動のためのデータ(起動指令)が送信された。しかしながら、これに限らず、検体送出ユニット23から、全てのユニット(装置)に直接、起動指示のデータが送信されるようにしても良い。
【0151】
また、上記実施形態では、検体送出ユニット23の一括起動ボタン238が押下されると、検体送出ユニット23から、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、3つの検体搬送ユニット3と、検体搬送ユニット5と、搬送コントローラ7に、起動のためのデータ(起動指令)が送信された。しかしながら、これに限らず、検体送出ユニット23から搬送コントローラ7に起動のためのデータ(起動指令)が送信され、搬送コントローラ7から、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、3つの検体搬送ユニット3と、検体搬送ユニット5に起動のためのデータ(起動指令)が送信されるようにしても良い。
【0152】
図13(a)は、この場合の検体送出ユニット23の起動処理を示すフローチャートである。このフローチャートでは、図9(a)に示したフローチャートのS14がS15に変更されている。S15では、検体送出ユニット23から搬送コントローラ7に起動のためのデータ(起動指令)が送信される。
【0153】
図13(b)は、この場合の搬送コントローラ7の起動処理を示すフローチャートであ
る。このフローチャートでは、図11(a)に示したフローチャートのS53の下にS56が追加されている。S56では、搬送コントローラ7から、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、3つの検体搬送ユニット3と、検体搬送ユニット5に、起動のためのデータ(起動指令)が送信される。
【0154】
また、上記実施形態では、図4に示したように各ユニット(装置)が互いに通信可能となるよう接続されたが、これに限らず、検体送出ユニット23と情報処理ユニット42が直接、通信可能となるよう接続されて、検体送出ユニット23から情報処理ユニット42に起動のためのデータ(起動指令)が送信されるようにしても良い。この場合、情報処理ユニット42から検体搬送ユニット3に起動のためのデータ(起動指令)が送信されて、検体搬送ユニット3から、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、検体搬送ユニット5と、搬送コントローラ7に、起動のためのデータ(起動指令)が送信される。
【0155】
図14(a)は、この場合の検体送出ユニット23の起動処理を示すフローチャートである。このフローチャートでは、図9(a)に示したフローチャートのS14がS16に変更されている。S16では、検体送出ユニット23から情報処理ユニット42に起動のためのデータ(起動指令)が送信される。
【0156】
図14(b)は、この場合の情報処理ユニット42の起動処理を示すフローチャートである。このフローチャートでは、図11(b)に示したフローチャートのS64の下にS65が追加されている。S65では、情報処理ユニット42から、3つの検体搬送ユニット3に起動のためのデータ(起動指令)が送信される。
【0157】
図15(a)は、この場合の検体搬送ユニット3の起動処理を示すフローチャートである。このフローチャートでは、図10(a)に示したフローチャートのS45の下にS47が追加されている。S47において、この検体搬送ユニット3の制御部303は、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、検体搬送ユニット5と、搬送コントローラ7に起動のためのデータ(起動指令)を送信する。
【0158】
なお、S47において、起動のためのデータ(起動指令)は、3つの検体搬送ユニット3によってそれぞれ送信されても良いし、何れかの検体搬送ユニット3のみによって送信されるようにしても良い。
【0159】
また、上記実施形態では、検体送出ユニット23から、3つの検体搬送ユニット3と検体搬送ユニット5に、起動のためのデータ(起動指令)が送信されたが、これに限らず、3つの検体搬送ユニット3と検体搬送ユニット5のうち、予め対応づけられた1以上の検体搬送ユニットに、起動のためのデータ(起動指令)が送信されても良い。この場合、起動のためのデータ(起動指令)を受信した検体搬送ユニットは、起動のためのデータ(起動指令)を受信していない他の検体搬送ユニットに対して、起動のためのデータ(起動指令)を送信する。
【0160】
図15(b)は、この場合の、起動のためのデータ(起動指令)を受信する検体搬送ユニット3の起動処理を示すフローチャートである。このフローチャートでは、図10(a)に示したフローチャートのS45の下にS48が追加されている。S48において、この検体搬送ユニット3の制御部303は、他の検体搬送ユニット3と検体搬送ユニット5に起動のためのデータ(起動指令)を送信する。この場合、他の検体搬送ユニット3と検体搬送ユニット5は、図10(a)に示したフローチャートに基づいて起動処理が行われる。
【0161】
また、上記実施形態では、図10(a)のS45において、3つの検体搬送ユニット3
が、それぞれ、情報処理ユニット42に起動のためのデータ(起動指令)を送信したが、これに限らず、3つの検体搬送ユニット3のうち何れか1つの検体搬送ユニット3から、情報処理ユニット42に起動のためのデータ(起動指令)が送信されるようにしても良い。
【0162】
また、上記実施形態では、搬送コントローラ7は、検体ラックLのラックIDと、検体容器Tの検体IDと、検体容器Tの保持位置とを検体送出ユニット23から受信すると、ホストコンピュータ8へ測定オーダの問い合わせを行った。しかしながら、これに限らず、検体IDに対応する測定データを搬送コントローラ7の記憶部702bに記憶させておき、搬送コントローラ7が検体送出ユニット23から上記データを受信すると、搬送コントローラ7は、受信した検体IDに対応する測定データを記憶部702bから読み出し、検体送出ユニット23へ送信するようにしても良い。
【0163】
また、上記実施形態では、検体回収ユニット21が、検体投入ユニット22の右側に配されたが、検体搬送ユニット5の左側に配されても良い。この場合、分析または塗沫標本の作製が終了した検体ラックLは、搬送ラインL2に沿って検体搬送ユニット5の左側に送出され、検体回収ユニット21に回収される。
【0164】
また、上記実施形態では、各検体搬送ユニット3に制御部233が設けられているが、1つの制御部233により全ての搬送ユニット3および5を制御するようにしてもよいし、1つの制御部233により、さらに検体回収ユニット21、検体投入ユニット22および検体送出ユニット23を制御するようにしてもよい。
【0165】
また、上記実施形態では、検体送出ユニット23の一括起動ボタン238が押下されることにより、全てのユニット(装置)が起動したが、これに限らず、一部のユニットのみが起動し、残りのユニットは使用者が単独起動ボタンを押下して起動するようにしてもよい。
【0166】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0167】
1 … 検体処理システム
3 … 検体搬送ユニット(搬送装置、搬送ユニット)
5 … 検体搬送ユニット(搬送装置、搬送ユニット)
6 … 塗沫標本作製装置(検体処理ユニット、第2の検体処理ユニット)
7 … 搬送コントローラ(搬送制御ユニット)
41 … 測定ユニット(検体処理ユニット、第1の検体処理ユニット)
42 … 情報処理ユニット(検体処理制御ユニット)
238 … 一括起動ボタン
303 … 制御部
304a … 通信部
308 … 設定部(切替受付部)
503 … 制御部
504 … 通信部
508 … 設定部(切替受付部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の検体処理装置とこれら複数の検体処理装置に検体を搬送する搬送装置とを備える検体処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や尿等の検体を分析する複数の検体分析装置と、これら複数の検体分析装置に検体を搬送する搬送装置とを備える検体処理システムが知られている。このような検体処理システムでは、起動の際、各装置に対して個別に起動の操作を行う必要があった。
【0003】
これに対し、特許文献1には、複数の分析装置と搬送装置とが、一つの全体制御用コンピュータに接続された検体分析システムが開示されている。また、特許文献1には、各分析装置に対し、それぞれの運転の起動を操作部のキイ操作によって指示することができることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−316236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1には、搬送装置の起動については記載がない。また、特許文献1には、操作部のキイ操作によって各分析装置を起動するための具体的な構成が記載されておらず、使用者による起動操作を簡略化することができなかった。
【0006】
本発明は、使用者による起動操作を簡略化することができる検体処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主たる態様に係る検体処理システムは、複数の検体処理ユニットと、前記複数の検体処理ユニットに検体を搬送する搬送装置とを備える。ここで、前記搬送装置は、外部からの通信を受け付ける通信部と、前記通信部を介して外部から起動指令が入力されると当該搬送装置を起動状態に設定する制御部とを有する。
【0008】
本態様に係る検体処理システムによれば、搬送ユニットの通信部に起動指令を送信することにより、搬送装置を起動することができる。これにより、搬送装置の起動操作が簡略化され得る。
【0009】
本態様に係る検体処理システムは、使用者からの起動指示を受け付けるとともに、前記起動指示の入力に応じて、前記起動指令を前記搬送装置の通信部に入力するための通信制御を行う起動指示受付部をさらに備える構成とされ得る。こうすると、使用者は、起動指示受付部に起動指示を入力するだけで、搬送装置を起動することができる。
【0010】
本態様に係る検体処理システムにおいて、前記搬送装置は、複数の前記検体処理ユニットにそれぞれ対応して配された複数の搬送ユニットを備え、各搬送ユニットには、それぞれ、前記通信部と前記制御部が個別に配される構成とされ得る。
【0011】
この場合、前記起動指示受付部は、前記起動指示の入力に応じて、全ての前記搬送ユニ
ットの前記通信部に前記起動指令を入力するための通信制御を行う。あるいは、前記起動指示受付部は、前記起動指示の入力に応じて、複数の前記搬送ユニットの何れかの前記通信部に前記起動指令を入力するための通信制御を行い、前記起動指示受付部から前記起動指令の送信を受けた前記搬送ユニットは、前記起動指令の送信を受けていない予め対応付けられた前記搬送ユニットの前記通信部に前記起動指令を送信する。
【0012】
こうすると、使用者は、起動指示受付部に起動指示を入力するだけで、全ての搬送ユニットを一括して起動することができる。
【0013】
なお、上記において「通信部に入力するための通信制御を行う」とは、起動指示受付部から直接、搬送装置または搬送ユニットの通信部に起動指令を入力する形態の他、他の装置を介して間接的に起動指令を搬送装置または搬送ユニットの通信部に入力する形態をも含むものである。
【0014】
また、本態様に係る検体処理システムは、前記検体処理ユニットを制御するとともに前記起動指令の入力を受け付け可能な検体処理制御ユニットをさらに備える。ここで、前記検体処理制御ユニットは、前記起動指令の入力を受け付けると前記検体処理ユニットを起動状態に設定する構成とされ得る。こうすると、検体処理制御部に起動指令を送信することにより、検体処理ユニットを起動することができる。
【0015】
また、本態様に係る検体処理システムにおいて、前記検体処理ユニットを制御するとともに前記起動指令の入力を受け付け可能な検体処理制御ユニットをさらに備える。ここで、前記検体処理制御ユニットは、前記起動指令の入力を受け付けると前記検体処理ユニットを起動状態に設定し、前記起動指示受付部は、前記起動指示の入力に応じて、前記検体処理制御ユニットに前記起動指令を入力するための通信制御を行う構成とされ得る。こうすると、使用者は、起動指示受付部に起動指示を入力するだけで、搬送ユニットの他、検体処理ユニットを一括して起動することができる。
【0016】
なお、「通信部に入力するための通信制御を行う」とは、起動指示受付部から直接、検体処理制御部に起動指令を入力する形態の他、他の装置を介して間接的に起動指令を検体処理制御部に入力する形態をも含むものである。
【0017】
また、本態様に係る検体処理システムにおいて、前記搬送ユニットによる搬送動作を制御するとともに前記起動指令の入力を受け付け可能な搬送制御ユニットをさらに備える。ここで、前記搬送制御ユニットは、前記起動指令の入力を受け付けたとき、複数の前記検体処理ユニットの動作状況を取得し、動作中の前記検体処理ユニットを経由せずに前記検体を搬送するよう、前記搬送ユニットを制御する構成とされ得る。こうすると、搬送制御部の起動時に、既に動作中である検体処理ユニットは、個別に使用可能な状態に維持される。これにより、使用者は、この検体処理ユニットを、検体処理システム全体を用いた自動処理以外の目的で自由に使用できる。また、検体処理システムの起動前には個別に使用可能な状態であった検体処理ユニットが、検体処理システムの起動により個別使用不能になってしまうことがない。従って、使用者を混乱させることがなくなる。
【0018】
また、この場合の検体処理システムは、前記検体の搬送対象から除かれている前記検体処理ユニットを前記検体の搬送対象に含めるための使用者からの指示入力を受け付ける切替受付部をさらに備える構成とされ得る。こうすると、使用者は、搬送制御部の起動時に、既に動作中であったために自動処理の対象から除外されていた検体処理ユニットを、任意に自動処理の対象に含めることができる。
【0019】
また、本態様の検体処理システムにおいて、起動状態に設定された前記搬送装置は、前
記搬送装置が起動状態に設定されたときに動作中であった前記検体処理ユニットを経由せずに前記検体を搬送する構成とされ得る。こうすると、検体処理システムの起動前には個別に使用可能な状態であった検体処理ユニットが、検体処理システムの起動により個別使用不能になってしまうことがない。従って、使用者を混乱させることがなくなる。
【0020】
また、本態様の検体処理システムにおいて、前記検体処理ユニットを制御するとともに前記起動指令の入力を受け付け可能な検体処理制御ユニットと、前記搬送装置を制御するとともに前記起動指令の入力を受け付け可能な搬送制御ユニットと、をさらに備え、前記検体処理制御ユニットは、前記起動指令の入力を受け付けると前記検体処理制御ユニットおよび前記検体処理ユニットを起動状態に設定し、前記搬送制御ユニットは、前記起動指令の入力を受け付けると前記搬送制御ユニットを起動状態に設定する構成とされ得る。こうすると、各ユニットに起動指令を送信することにより、各ユニットを一括して起動することができる。これにより、検体処理システムの起動操作がより簡略化される。
【0021】
また、本態様の検体処理システムにおいて、複数の前記検体処理ユニットは、前記検体に第1の処理を施す第1の検体処理ユニットと、前記検体に前記第1の処理とは異なる第2の検体処理を施す第2の検体処理ユニットとを含む構成とされ得る。
【0022】
本発明の別の態様に係る検体処理システムは、複数の検体処理ユニットと、前記複数の検体処理ユニットの少なくとも1つを制御する検体処理制御ユニットと、前記複数の検体処理ユニットに検体を搬送する搬送装置と、を備え、前記検体処理制御ユニットは、外部からの通信を受け付ける通信部と、前記通信部を介して外部から起動指令が入力されると当該検体処理制御ユニットを起動状態に設定する制御部と、を有する。
【0023】
本態様に係る検体処理システムによれば、検体処理制御ユニットの通信部に起動指令を送信することにより、検体処理制御ユニットを起動することができる。これにより、検体処理制御ユニットの起動操作が簡略化され得る。
【0024】
また、この場合の検体処理システムは、前記検体処理制御ユニットの制御部は、前記通信部を介して外部から起動指令が入力されると当該検体処理制御ユニットおよび制御対象である前記検体処理ユニットを起動状態に設定する構成とされ得る。
【0025】
こうすると、検体処理制御ユニットに起動指令を送信することにより、検体処理ユニットを起動することができる。これにより、検体処理ユニットの起動操作が簡略化される。
【0026】
本発明の別の態様に係る検体処理システムは、複数の検体処理ユニットと、前記複数の検体処理ユニットに検体を搬送する搬送装置と、前記搬送装置を制御する搬送制御ユニットと、を備え、前記搬送制御ユニットは、外部からの通信を受け付ける通信部と、前記通信部を介して外部から起動指令が入力されると当該搬送制御ユニットを起動状態に設定する制御部と、を有する。
【0027】
本態様に係る検体処理システムによれば、搬送制御ユニットの通信部に起動指令を送信することにより、搬送制御ユニットを起動することができる。これにより、搬送制御ユニットの起動操作が簡略化され得る。
【発明の効果】
【0028】
以上のとおり、本発明によれば、使用者による起動操作を簡略化することができる検体処理システムを提供することができる。
【0029】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。
ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態により何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態に係る検体処理システムの構成を示す図である。
【図2】実施形態に係る検体容器と検体ラックの外観を示す斜視図である。
【図3】実施形態に係る検体搬送ユニットの構成を示す平面図である。
【図4】実施形態に係る検体処理システムの各ユニット(装置)の相互の接続関係を模式的に示す図である。
【図5】実施形態に係る検体投入ユニット、検体送出ユニットおよび搬送コントローラの回路構成の概要を示す図である。
【図6】実施形態に係る検体搬送ユニット、測定ユニットおよび情報処理ユニットの回路構成の概要を示す図である。
【図7】実施形態に係る検体搬送ユニットおよび塗沫標本作製装置の回路構成の概要を示す図である。
【図8】実施形態に係る検体搬送ユニットの設定部を示す図である。
【図9】実施形態に係る検体送出ユニット、検体投入ユニットおよび検体回収ユニットの起動処理を示すフローチャートである。
【図10】実施形態に係る検体搬送ユニットの起動処理を示すフローチャートである。
【図11】実施形態に係る搬送コントローラ、情報処理ユニットおよび塗沫標本作製装置の起動処理を示すフローチャートである。
【図12】実施形態に係る検体ラックの搬送先を決定するための処理を示すフローチャートおよびモード切替時の処理を示すフローチャートである。
【図13】実施形態に係る検体送出ユニットと搬送コントローラの起動処理を示すフローチャートの変更例である。
【図14】実施形態に係る検体送出ユニットと情報処理ユニットの起動処理を示すフローチャートの変更例である。
【図15】実施形態に係る検体搬送ユニットの起動処理を示すフローチャートの変更例である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本実施形態は、血液に関する検査および分析を行うための検体処理システムに本発明を適用したものである。本実施形態に係る検体処理システムは、3つの測定ユニットと、1つの塗沫標本作製装置を備えている。3つの測定ユニットでは、血液分析が並行して行われ、その分析結果に基づき塗沫標本の作製が必要である場合に、塗沫標本作製装置により塗沫標本が作製される。
【0032】
以下、本実施形態に係る検体処理システムについて、図面を参照して説明する。
【0033】
図1は、検体処理システム1を上側から見た場合の構成を示す平面図である。本実施形態に係る検体処理システム1は、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、検体送出ユニット23と、3つの検体搬送ユニット3と、血球分析装置4と、検体搬送ユニット5と、塗沫標本作製装置6と、搬送コントローラ7から構成されている。また、本実施形態の検体処理システム1は、通信ネットワークを介してホストコンピュータ8と通信可能に接続されている。
【0034】
検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、検体送出ユニット23は、それぞれ、複数の検体ラックが載置可能となるよう構成されている。
【0035】
図2は、検体容器Tと検体ラックLの構成を示す図である。同図(a)は、検体容器Tの外観を示す斜視図であり、同図(b)は、検体ラックLの正面図である。
【0036】
同図(a)を参照して、検体容器Tは、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成された管状容器であり、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。バーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。
【0037】
同図(b)を参照して、検体ラックLには、10本の検体容器Tを垂直状態(立位状態)で並べて保持することが可能となるよう10個の保持位置が形成されている。また、検体ラックLの正面側には、図示の如く、バーコードラベルBL2が貼付されている。バーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0038】
図1に戻って、検体回収ユニット21は、分析が終了した検体ラックLを収容する。検体投入ユニット22は、オペレータが投入した検体ラックLを収容し、収容している検体ラックLを検体送出ユニット23に送出する。また、検体回収ユニット21と検体投入ユニット22は、検体送出ユニット23と搬送コントローラ7に通信可能に接続されている。
【0039】
検体送出ユニット23は、バーコード読取部23aを備えている。バーコード読取部23aにより、検体投入ユニット22から送出される検体ラックLのラックIDと、検体ラックLの保持位置に対応付けられた検体容器Tの検体IDが読み取られる。検体送出ユニット23は、バーコードの読み取りが完了した検体ラックLを検体搬送ユニット3に送出する。また、検体送出ユニット23は、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、3つの検体搬送ユニット3と、検体搬送ユニット5と、搬送コントローラ7に通信可能に接続されており、検体送出ユニット23によって読み取られたラックIDと検体IDは、搬送コントローラ7に送信される。
【0040】
また、検体送出ユニット23には、後述する一括起動ボタンが備えられている。一括起動ボタンがオペレータにより押下されると、検体処理システム1の各ユニット(装置)が起動される。かかる一括起動ボタンについては、追って図5を参照して説明する。
【0041】
3つの検体搬送ユニット3は、図示の如く、それぞれ、3つの測定ユニット41の前方に配置されている。隣り合う2つの検体搬送ユニット3は、検体ラックLの受け渡しが可能となるよう互いに接続されている。右側の検体搬送ユニット3の右端は、検体ラックLの受け渡しが可能となるよう検体送出ユニット23に接続されており、左側の検体搬送ユニット3の左端は、検体ラックLの受け渡しが可能となるよう検体搬送ユニット5に接続されている。また、3つの検体搬送ユニット3は、それぞれ、検体送出ユニット23と、情報処理ユニット42と、搬送コントローラ7に通信可能に接続されている。
【0042】
これら3つの検体搬送ユニット3には、図示の如く、それぞれに対応する測定ユニット41において検体の測定が行われる場合と行われない場合とに分けて、検体ラックLを搬送するための2通りの搬送ラインL1、L2が設定されている。すなわち、測定ユニット41で検体の測定が行われる場合は、後方のコの字型の矢印で示された搬送ラインL1に沿って検体ラックLが搬送される。測定ユニット41で検体の測定が行われず、下流側(左側)の測定ユニット41で検体の測定が行われる場合は、当該測定ユニット41をスキップするよう、中段の左向きの矢印で示された搬送ラインL2に沿って検体ラックLが搬送される。
【0043】
なお、各検体搬送ユニット3は、対応する測定ユニット41において検体の測定が行われる場合、搬送コントローラ7から測定オーダを受信する。かかる測定オーダは、情報処理ユニット42に送信される。
【0044】
また、各検体搬送ユニット3には、図示の如く、検体ラックLを検体回収ユニット21に搬送するための搬送ラインL3が設定されている。すなわち、測定済み、あるいは、塗沫標本作製済みの検体ラックLは、前方の右向きの矢印で示された搬送ラインL3に沿って搬送され、検体回収ユニット21に回収される。なお、検体搬送ユニット3の構成については、追って図3を参照して説明する。
【0045】
血球分析装置4は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、3つの測定ユニット41と、情報処理ユニット42を備えている。情報処理ユニット42は、3つの測定ユニット41と通信可能に接続されており、3つの測定ユニット41の動作を制御する。また、情報処理ユニット42は、3つの検体搬送ユニット3にも通信可能に接続されている。
【0046】
3つの測定ユニット41は、情報処理ユニット42によって受信された測定オーダに基づいて、検体容器Tに収容されている血液検体を測定する。かかる測定において、各測定ユニット41は、それぞれ前方に配置された検体搬送ユニット3の搬送ラインL1上の所定の位置において、検体ラックLから検体容器Tを抜き出す。かかる検体容器Tに収容されている血液検体は、測定ユニット41内で測定される。測定ユニット41内での測定が完了すると、かかる検体容器Tは再び元の検体ラックLの保持位置に戻される。
【0047】
検体搬送ユニット5は、塗沫標本作製装置6の前方に配置されている。検体搬送ユニット5には、検体搬送ユニット3と同様、搬送ラインL1、L2、L3が設定されている。また、検体搬送ユニット5は、検体送出ユニット23と、塗沫標本作製装置6と、搬送コントローラ7とに通信可能に接続されている。
【0048】
塗沫標本作製装置6では、血液検体の塗沫標本が作製される。すなわち、まず、塗沫標本作製装置6は、検体搬送ユニット5の搬送ラインL1上の所定の位置において、検体容器Tに収容されている血液検体を吸引する。続いて、吸引された血液検体が、スライドガラス上に滴下され、スライドガラス上で薄く引き延ばされ、乾燥させられる。しかる後、かかるスライドガラスに染色液が供給されることにより、スライドガラス上の血液が染色され、塗沫標本が作製される。また、塗沫標本作製装置6は、検体搬送ユニット5と通信可能に接続されており、検体搬送ユニット5の指示に応じて駆動制御される。
【0049】
なお、塗沫標本の作製の要否は、3つの測定ユニット41での測定結果をもとに、情報処理ユニット42で行われる分析結果に基づいて、搬送コントローラ7によって判定される。情報処理ユニット42で行われる分析結果は、検体搬送ユニット3を介して搬送コントローラ7に送信される。搬送コントローラ7により塗沫標本の作製が必要と判定されると、対象となる検体を収容する検体ラックLは、検体搬送ユニット5の搬送ラインL1に沿って搬送され、塗沫標本作製装置6において塗沫標本の作製が行われる。
【0050】
搬送コントローラ7は、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、検体送出ユニット23と、3つの検体搬送ユニット3と、検体搬送ユニット5と通信可能に接続されており、各ユニットの駆動を制御する。搬送コントローラ7として、たとえば、別付のパーソナルコンピュータあるいはシステムに組み込まれたコンピュータが用いられる。
【0051】
搬送コントローラ7は、検体ラックLのラックIDと、検体容器Tの検体IDと、検体容器Tの保持位置とを検体送出ユニット23から受信すると、ホストコンピュータ8へ測
定オーダの問い合わせを行う。搬送コントローラ7は、ホストコンピュータ8から測定オーダを受信すると、ラックIDと、検体IDと、保持位置とに対応付けて測定オーダを記憶する。
【0052】
また、搬送コントローラ7は、検体送出ユニット23から送出される検体ラックLを、3つの測定ユニット41の何れに搬送するかを決定する。搬送コントローラ7は、この検体ラックLを、搬送先として決定された測定ユニット41まで搬送するよう各検体搬送ユニット3を制御する。搬送コントローラ7は、搬送先として決定された測定ユニット41に対応する検体搬送ユニット3に対して、記憶した測定オーダを送信する。
【0053】
ホストコンピュータ8は、通信ネットワークに接続されており、搬送コントローラ7と通信することが可能となっている。ホストコンピュータ8の記憶部には、測定オーダが格納されている。ホストコンピュータ8は、搬送コントローラ7から検体IDを含む測定オーダを要求されたときには、この検体IDに対応する測定データを記憶部から読み出し、搬送コントローラ7へ送信する。
【0054】
ここで、3つの測定ユニット41は、“単独モード”と“システムモード”の何れかの動作モードが設定される。測定ユニット41の動作モードが“システムモード”に設定されると、上記のように、検体送出ユニット23から送出される検体ラックLは、“システムモード”に設定された測定ユニット41の何れか1つに搬送される。測定ユニット41の動作モードが“単独モード”に設定されると、この測定ユニット41は、検体送出ユニット23から送出される検体ラックLの搬送先に含められない。すなわち、測定ユニット41の動作モードが“単独モード”に設定されると、検体送出ユニット23から送出される検体ラックLは、搬送ラインL2に沿って搬送され、この測定ユニット41の手前に位置付けられない。
【0055】
測定ユニット41の動作モードが“単独モード”に設定されると、この測定ユニット41の搬送ラインL1上にある検体ラックLは、検体送出ユニット23から送出される検体ラックLとは別に、単独に搬送ラインL1上で搬送される。これにより、オペレータは、搬送ラインL1上の検体ラックLに対する測定を、独立して行うことができる。
【0056】
なお、検体搬送ユニット5も、“単独モード”と“システムモード”の何れかの動作モードが設定される。検体搬送ユニット5の動作モードが“システムモード”に設定されて、上記のように、測定ユニット41の測定結果に基づいて塗沫標本の作成が必要と判定されると、検体ラックLは、検体搬送ユニット5の搬送ラインL1に沿って、塗沫標本作製装置6の手前に位置付けられる。検体搬送ユニット5の動作モードが“単独モード”に設定されると、塗沫標本の作成の要否に拘わらず、測定ユニット41で測定された検体ラックLは、検体搬送ユニット5に搬入される前に検体回収ユニット21に向けて搬送され、塗沫標本作製装置6の手前に位置付けられない。これにより、オペレータは、搬送ラインL1上の検体ラックLに対する塗沫標本の作成を、独立して行うことができる。
【0057】
図3は、検体搬送ユニット3を上側から見た場合の構成を示す平面図である。検体搬送ユニット3は、分析前ラック保持部310と、ラック搬送部320と、分析後ラック保持部330と、ラック搬送部340、350とを備えている。
【0058】
この検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作モードが“システムモード”であり、上流側(右側)から送出された検体ラックLに対する測定が、対応する測定ユニット41で行われない場合、この検体ラックLは、ラック搬送部340のベルト341a、341bにより、ラック搬送部340の右端から左端へと搬送ラインL2に沿って直線的に送られる。
【0059】
この検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作モードが“システムモード”であり、上流側(右側)から送出された検体ラックLに対する測定が、対応する測定ユニット41で行われる場合、この検体ラックLは、同図右下の破線で示すラック搬送部340の右端位置に送られる。すなわち、図中に示す反射型のセンサ342により、検体ラックLが同図右下の破線の位置に搬送されたことが検出されると、このタイミングでベルト341aが停止される。しかる後、ラック押出し機構343が後方に移動することにより、検体ラックLが、分析前ラック保持部310の搬送路311の前端に押し出される。
【0060】
発光部と受光部とからなる光学式のセンサ312a、312bにより、搬送路311上にある検体ラックLが検出されると、ラック送込機構313が検体ラックLの前端に係合した状態で後方に移動し、検体ラックLが後方に送られる。こうして、検体ラックLがラック搬送部320の右端位置まで送られると、ベルト321a、321bが駆動され、検体ラックLが左方向に送られる。
【0061】
その後、検体ラックLは、検体容器センサ322の位置へと到達する。検体容器センサ322は接触式のセンサである。検体容器センサ322の真下位置を検体ラックLに保持された検出対象の検体容器Tが通過すると、検体容器センサ322の接触片がかかる検出容器Tにより屈曲されて、検体容器Tの存在が検出される。
【0062】
検体容器センサ322による検体容器Tの検出位置から検体容器2つ分だけ左側の検体供給位置において、後述する測定ユニット41のハンド部が、検体容器Tを把持して検体ラックLから検体容器Tを取り出す。取り出された検体容器Tは、測定ユニット41において測定に用いられた後、再び検体ラックLに戻される。検体容器Tが検体ラックLへ戻されるまでの間、検体ラックLの搬送は待機される。
【0063】
こうして、検体ラックLに保持された全ての検体容器Tの検体に対する測定が終了すると、検体ラックLは、ベルト321a、321bによって、同図に破線で示すラック搬送部320の左端位置まで送られ、ベルト321a、321bの駆動が停止される。しかる後、検体ラックLは、ラック押出し機構323により、分析後ラック保持部330の搬送路331の後端に送られる。発光部と受光部とからなる光学式センサ332a、332bにより、搬送路331上にある検体ラックLが検出されると、ラック送込機構333が検体ラックLの後端に係合した状態で前方に移動し、検体ラックLが前方に送られる。このとき、分析後ラック保持部330の前方にあって、ラック搬送部340と350の間にある仕切り部360が開閉制御され、検体ラックLが、ラック搬送部340、350の何れかに位置付けられる。
【0064】
測定ユニット41による測定の結果、検体ラックLに保持されている何れかの検体容器Tについて、下流側にある塗沫標本作製装置6による塗沫標本作製の必要があると判定されると、仕切り部360により、ラック搬送部340、350が仕切られた状態で、検体ラックLが、ラック送込機構333によりラック搬送部340の左端位置まで移動される。しかる後、かかる検体ラックLは、ラック搬送部340のベルト341bによって下流側の検体搬送ユニットに送出される。
【0065】
他方、測定ユニット41による測定の結果、検体ラックLに保持されている検体容器Tについて、いずれも下流側にある塗沫標本作製装置6による塗沫標本作製の必要がないと判定されると、仕切り部360の上面が、ラック搬送部340のベルト341bの上面と同じ高さまで下げられ、検体ラックLが、ラック送込機構333によりラック搬送部350の左端位置まで移動される。こうして、検体ラックLが、ラック送込機構333によって、分析後ラック保持部330からラック搬送部340を横切って、同図左下に破線で示
すラック搬送部350の左端位置まで移動される。しかる後、かかる検体ラックLは、ラック搬送部350のベルト351によって搬送ラインL3に沿って右方向に移動される。こうして、搬送ラインL3に沿って搬送された検体ラックLは、検体回収ユニット21に収容される。
【0066】
この検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作モードが“単独モード”である場合、オペレータは、対応する測定ユニット41で測定が行われるよう、検体ラックLを直接搬送路311上にセットすることができる。この場合も、検体ラックLがセンサ312a、312bにより検出されると、この検体ラックLは搬送ラインL1に沿って搬送され、検体供給位置において、検体ラックLに保持された全ての検体容器Tの検体に対する測定が行われる。しかる後、検体ラックLは、分析後ラック保持部330の搬送路331の後端に位置付けられる。この場合、検体ラックLは、ラック送込機構333により搬送部340または350まで送り込まれることはなく、搬送路331上に留められる。
【0067】
なお、検体搬送ユニット3には、ラック押出し機構343、323と、ラック送込機構313、333と、ベルト321a、321b、341a、341b、351と、仕切り部360をそれぞれ駆動するためのステッピングモータ(図示せず)が配されている。また、検体搬送ユニット3には、センサ342、312a、312b、332a、332bと、検体容器センサ322の他、搬送経路上の検体ラックLの位置を検出するためのセンサ(図示せず)が、対応する位置に配されている。
【0068】
なお、検体搬送ユニット5についても、検体搬送ユニット3と略同様の構成とされる。この場合、塗沫標本の作成が必要と判断された検体を含む検体ラックLが、検体搬送ユニット5に搬送されると、搬送ラインL1に沿って検体供給位置に位置付けられ、測定ユニット41による測定と同様に、塗沫標本作製装置6による塗沫標本の作成が行われる。しかる後、搬送ラインL3に沿って、検体回収ユニット21に向けて右方向に搬送される。
【0069】
図4は、検体処理システム1の各ユニット(装置)の相互の接続関係を模式的に示す図である。
【0070】
ここで、3つの検体搬送ユニット3は、それぞれ、検体リレー部3a、検体供給部3bに分けて図示されている。具体的には、検体リレー部3aは、図3の分析後ラック保持部330と、ラック搬送部340、350を含む部分であり、隣り合う2つの検体搬送ユニット3のうちの一方から検体ラックLを受け取り、他方の検体搬送ユニット3に搬送する。検体供給部3bは、図3の分析前ラック保持部310とラック搬送部320を含む部分であり、測定ユニット41による検体の測定のために検体ラックLを検体供給位置に搬送する。
【0071】
集線装置11には、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、検体送出ユニット23と、3つの検体リレー部3aと、検体搬送ユニット5と、搬送コントローラ7が、通信可能となるよう接続されている。集線装置12には、3つの検体リレー部3aと、情報処理ユニット42が通信可能となるよう接続されている。
【0072】
集線装置13には、3つの検体供給部3bと、情報処理ユニット42が通信可能となるよう接続されている。集線装置14には、3つの測定ユニット41と情報処理ユニット42が通信可能となるよう接続されている。
【0073】
図5は、検体投入ユニット22と、検体送出ユニット23と、搬送コントローラ7の回路構成の概要を示す図である。
【0074】
検体送出ユニット23は、電源ユニット231と、電力供給スイッチ232と、制御部233と、通信部234と、駆動部235と、センサ部236と、単独起動ボタン237と、一括起動ボタン238とを備える。
【0075】
電源ユニット231には外部から電源が供給されている。電力供給スイッチ232がON状態のとき、電源ユニット231は、図示の如く、検体送出ユニット23の各部に電力を供給することができる。以下の説明では、電力供給スイッチ222は常にON状態となっているものとする。
【0076】
制御部233は、制御部233内のCPU233aにより、メモリ233bに記憶されているコンピュータプログラムを実行し、単独で、または、搬送コントローラ7の制御部に従って、各部を制御する。なお、後述する他の制御部もCPUおよびメモリを備えている。通信部234は、Ethernet(登録商標)規格に基づいて外部の装置とデータ通信を行うための通信インターフェースを備え、集線装置11との間でデータ通信を行う。
【0077】
駆動部235は、制御部233により制御される。駆動部235には、検体送出ユニット23に収容された検体ラックLを搬送するための機構と、この機構を駆動するためのステッピングモータが含まれる。センサ部236は、検出信号を制御部233に出力する。センサ部236には、検体送出ユニット23に収容された検体ラックLを検体するためのセンサの他、バーコード読取部23aが含まれる。
【0078】
単独起動ボタン237は、検体送出ユニット23を単独で起動させるためのボタンである。単独起動ボタン237が押下されると、起動処理が行われて、検体送出ユニット23が起動する。
【0079】
一括起動ボタン238は、検体送出ユニット23に加えて、集線回路11に直接的または間接的に接続された他の全てのユニット(装置)を起動させる。すなわち、一括起動ボタン238が押下されると、まず、単独起動ボタン237が押下された場合と同様に、検体送出ユニット23が起動する。しかる後に、制御部233は、通信部234を介して集線装置11に起動のためのデータを送信する。かかるデータが、集線回路11に接続された検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、3つの検体リレー部3aと、検体搬送ユニット5と、搬送コントローラ7によって受信されると、これらユニット(装置)において起動処理が行われ、これらのユニット(装置)が起動する。また、3つの検体供給部3bと、情報処理ユニット42と、3つの測定ユニット41と、塗抹標本作製装置6は、起動した検体搬送ユニット3の検体リレー部3aから送信される起動のためのデータ、または起動した検体搬送ユニット5から送信される起動のための信号に基づいて起動する。
【0080】
なお、請求項2における“起動指示受付部”は、本実施の形態では、一括起動ボタン238と、制御部233と、通信部234が対応する。
【0081】
検体投入ユニット22は、図示の如く、検体送出ユニット23から一括起動ボタン238が除かれた回路構成となっている。
【0082】
電源ユニット221には外部から電源が供給されている。電力供給スイッチ222は常にON状態となっており、電源ユニット221は、検体投入ユニット22の各部に電力を供給することができる。
【0083】
ここで、検体投入ユニット22が起動していない状態とは、電源ユニット221から制御部223と通信部224のみに電源が供給されている状態である。この状態で、検体送
出ユニット23の一括起動ボタン238が押下されると、検体投入ユニット22が起動することとなる。すなわち、検体送出ユニット23の一括起動ボタンが押下されて、集線装置11に起動のためのデータが送信されると、検体投入ユニット22の制御部223は、通信部224を介して、かかる起動のためのデータを受信する。制御部223は、かかる起動のためのデータを受信すると、単独起動ボタン227が押下された場合と同様に、検体投入ユニット22を起動させる。
【0084】
なお、検体投入ユニット22が起動しているときに、起動のためのデータが受信された場合、または、単独起動ボタン227が押下された場合は、検体投入ユニット22は、そのまま起動状態を維持する。
【0085】
搬送コントローラ7は、図示の如く、検体投入ユニット22から駆動部225とセンサ部226が除かれた回路構成となっている。この場合も、検体投入ユニット22と同様、検体送出ユニット23の一括起動ボタン238が押下されると、起動のためのデータが集線装置11を介して搬送コントローラ7に送信され、搬送コントローラ7は起動していない状態から起動することとなる。
【0086】
なお、検体回収ユニット21も、検体投入ユニット22と同様の回路構成となっており、検体送出ユニット23の一括起動ボタン238が押下されると、起動のためのデータが集線装置11を介して検体回収ユニット21に送信される。検体回収ユニット21の制御部は、検体回収ユニット21が起動していない状態で、かかる起動のためのデータを受信すると、単独起動ボタンが押下された場合と同様に、検体回収ユニット21を起動させる。こうして、検体回収ユニット21は起動していない状態から起動することとなる。
【0087】
図6は、検体搬送ユニット3と、測定ユニット41と、情報処理ユニット42の回路構成の概要を示す図である。なお、同図には、便宜上、検体搬送ユニット3と測定ユニット41がそれぞれ1つのみ示されているが、他の検体搬送ユニット3と測定ユニット41も同様に構成される。
【0088】
検体搬送ユニット3は、図5の検体投入ユニット22から、通信部304bと、駆動部305bと、センサ部306bと、設定部308が追加された回路構成となっている。
【0089】
通信部304aは、集線装置11と12との間でデータ通信を行い、通信部304bは、集線装置13との間でデータ通信を行う。駆動部305aは、制御部303により制御され、駆動部305bは、通信部304bを介して、情報処理ユニット42により制御される。センサ部306aは、検出信号を制御部303に出力し、センサ部306bは、検出信号を、通信部304bを介して、情報処理ユニット42に出力する。
【0090】
通信部304bと、駆動部305bと、センサ部306bは、図4の検体供給部3bに含まれており、通信部304bと、駆動部305bと、センサ部306b以外の図6に示す検体搬送ユニット3の各部は、図4の検体リレー部3aに含まれている。駆動部305aとセンサ部306aは、図3の分析後ラック保持部330と、ラック搬送部340、350上にある検体ラックLを、それぞれ搬送および検出するための機構を含んでいる。駆動部305bとセンサ部306bは、図3の分析前ラック保持部310とラック搬送部320上にある検体ラックLを、それぞれ搬送および検出するための機構を含んでいる。
【0091】
電源ユニット301は、検体搬送ユニット3の各部に電力を供給することができる。また、検体搬送ユニット3が起動していないとき、電源ユニット301から検体供給部3bには、電力は供給されていない。
【0092】
ここで、検体送出ユニット23の一括起動ボタン238が押下されると、検体投入ユニット22と同様、制御部303は集線装置11から起動のためのデータを受信し、検体搬送ユニット3の検体リレー部3aが起動することとなる。また、制御部303が起動のためのデータを受信すると、検体供給部3bには電源ユニット301から電力が供給され、検体供給部3bは、情報処理ユニット42からの指示を受け付けることができる状態となる。検体搬送ユニット3が起動すると、制御部303は、集線装置12を介して、情報処理ユニット42に対して起動のためのデータを送信する。
【0093】
他方、単独起動ボタン307が押下されて検体搬送ユニット3が起動すると、この検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作モードは、“単独モード”に設定される。また、検体搬送ユニット3が起動すると、検体リレー部3aが起動することとなり、検体供給部3bは、情報処理ユニット42からの指示を受け付けることができる状態となる。この場合も、検体搬送ユニット3の制御部303は、集線装置12を介して情報処理ユニット42に対して起動のためのデータを送信する。
【0094】
設定部308は、LEDやボタン(図示せず)を含んでいる。オペレータは、設定部308に配されたボタンを操作することにより、検体搬送ユニット3と、この検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作を設定することができる。なお、設定部308については、追って図8を参照して説明する。
【0095】
測定ユニット41は、通信部411と、駆動部412と、センサ部413と、電源ユニット414とを備える。通信部411は、集線装置14との間でデータ通信を行う。駆動部412とセンサ部413は、検体容器Tを測定ユニット41内で、それぞれ搬送および検出するための機構を含んでいる。電源ユニット414には外部から電源が供給されている。電源ユニット414は、測定ユニット41が起動していない状態にあるとき、通信部411のみに電力を供給する。また、電源ユニット414は、通信部411、集線装置14および通信部424を介して情報処理ユニット42の制御部423から起動のための信号を受信すると、駆動部412とセンサ部413に電力を供給して、測定ユニット41を起動する。
【0096】
情報処理ユニット42は、図5の搬送コントローラ7と同様の回路構成となっている。情報処理ユニット42の制御部423は、集線装置12を介して、検体搬送ユニット3の制御部303から起動のためのデータを受信すると、情報処理ユニット42を起動していない状態から起動させる。
【0097】
情報処理ユニット42が起動すると、制御部423は、通信部424と集線装置13を介して、検体搬送ユニット3の検体供給部3bを制御し、センサ部306bの検出信号を受信する。また、制御部423は、通信部424と集線装置14を介して、測定ユニット41の駆動部412を制御し、センサ部413の検出信号を受信する。
【0098】
図7は、検体搬送ユニット5と塗沫標本作製装置6の回路構成の概要を示す図である。検体搬送ユニット5は、図5の検体投入ユニット22から、設定部508が追加された回路構成となっており、塗沫標本作製装置6は、図5の検体投入ユニット22と同様の回路構成となっている。
【0099】
検体搬送ユニット5の通信部504は、集線装置11との間でデータ通信を行う。これにより、検体送出ユニット23の一括起動ボタン238が押下されると、制御部503は、集線装置11を介して起動のためのデータを受信し、検体搬送ユニット5を起動させる。
【0100】
また、通信部504は、塗沫標本作製装置6の通信部604と信号線により接続され、通信部604との間でもデータ通信を行う。検体搬送ユニット5が起動すると、通信部504から通信部604に起動のための信号が送信される。塗沫標本作製装置6の制御部603は、通信部604を介して、検体搬送ユニット5から起動のための信号を受信すると、塗沫標本作製装置6を起動させる。
【0101】
設定部508は、図6の検体搬送ユニット3の設定部308と同様の構成となっている。オペレータは、設定部508に配されたボタンを操作することにより、検体搬送ユニット5と塗沫標本作製装置6の動作を設定することができる。
【0102】
図8は、検体搬送ユニット3の設定部308を示す図である。
【0103】
設定部308は、動作状態表示領域308aと、スタートボタン308bと、中断ボタン308cと、モード切替ボタン308dと、エラーリセットボタン308fとを備えている。また、設定部308は、検体搬送ユニット3の手前側に設置されている。
【0104】
動作状態表示領域308aは、この検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作状態を示す。動作状態表示領域308aには、動作状態として、“動作中”、“スタンバイ”、“エラー”の何れかの文字が枠付きで表示される。また、この検体搬送ユニット3が起動していない場合は、何れの文字も枠付きで表示されない。図示の例では、この設定部308が設置されている検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作状態が、動作中であることを示している。動作状態は、各検体搬送ユニット3の制御部内にあるメモリに記憶されており、随時更新されている。
【0105】
ここで、“動作中”とは、検体搬送ユニット3と、対応する測定ユニット41が正常に動作しており、且つ、検体搬送ユニット3の分析前ラック保持部310と、ラック搬送部320と、分析後ラック保持部330の何れかの領域内に検体ラックLが位置付けられている状態をいう。また、“スタンバイ”とは、検体搬送ユニット3と、対応する測定ユニット41が正常に動作しており、且つ、検体搬送ユニット3の分析前ラック保持部310と、ラック搬送部320と、分析後ラック保持部330の何れの領域内にも検体ラックLが位置付けられていない状態をいう。また、“エラー”とは、検体搬送ユニット3、または、対応する測定ユニット41が正常に動作していない状態をいう。
【0106】
なお、検体搬送ユニット3の制御部303は、検体搬送ユニット3の分析前ラック保持部310とラック搬送部320に検体ラックLが位置付けられているか否かを取得するために、センサ部306b(図6参照)による検体ラックLの検出の有無を取得する。この場合、制御部303は、センサ部306bから出力された検出信号を受信する情報処理ユニット42の制御部423に問い合わせることにより、センサ部306bによる検体ラックLの検出の有無を取得する。
【0107】
この検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作モードが“単独モード”であるときに、スタートボタン308bが押下されると、分析前ラック保持部310の搬送路311上にセットされた検体ラックLが搬送ラインL1に沿って搬送され、対応する測定ユニット41で測定が開始される。
【0108】
中断ボタン308cが押下されると、この検体搬送ユニット3の分析前ラック保持部310と、ラック搬送部320と、分析後ラック保持部330の領域内にある検体ラックLの搬送が中断される。また、中断中に再度中断ボタン308cが押下されると、中断が解除される。
【0109】
モード切替ボタン308dが押下されると、この検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作モードが、“単独モード”と“システムモード”の間で切り替えられる。また、モード切替ボタン308dには、LED308eが配されている。LED308eは、現在の動作モードが“単独モード”である場合に赤色に点灯し、現在の動作モードが“システムモード”である場合に消灯される。なお、測定ユニット41の動作モードは、対応する検体搬送ユニット3の制御部303内にあるメモリに記憶されている。
【0110】
エラーリセットボタン308fが押下されると、この検体搬送ユニット3、または、対応する測定ユニット41が“エラー”状態であるときに、アラームが解除される。
【0111】
以下、検体送出ユニット23の一括起動ボタン238が押下されたときの処理(以下、単に「起動処理」という)について説明する。なお、本実施の形態では、一括起動ボタン238が複数回押下された場合にも、2回目以降の押下が有効とされ、起動処理が実行される。また、各装置またはユニットの単独起動ボタンが押下された場合には、上記の如く、当該装置またはユニットが単独で起動される。検体搬送ユニット3が単独で起動されたとき、当該検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41は単独モードに設定される。また、各装置またはユニットが起動状態にあるときに単独起動ボタンが押下されても、当該押下操作は無効とされる。
【0112】
図9(a)は、検体送出ユニット23の起動処理を示すフローチャートである。
【0113】
検体送出ユニット23の一括起動ボタン238が押下されると(S11:YES)、制御部233は、検体送出ユニット23が既に起動状態にあるかを判定する(S12)。検体送出ユニット23が起動状態にないとき(S12:YES)、制御部233は、検体送出ユニット23を起動させる(S13)。他方、検体送出ユニット23が起動状態にあると(S12:NO)、制御部233は起動状態を維持する。しかる後に、制御部233は、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、3つの検体搬送ユニット3と、検体搬送ユニット5と、搬送コントローラ7に、起動のためのデータ(起動指令)を送信し(S14)、処理が終了する。
【0114】
図9(b)は、検体投入ユニット22の起動処理を示すフローチャートである。
【0115】
検体投入ユニット22が検体送出ユニット23から送信された起動のためのデータ(起動指令)を受信すると(S21:YES)、検体投入ユニット22の制御部223は、検体投入ユニット22が既に起動状態にあるかを判定する(S22)。検体投入ユニット22が起動状態にないとき(S22:YES)、制御部223は、検体投入ユニット22を起動させる(S23)。他方、検体投入ユニット22が起動状態にあると(S22:NO)、制御部223は起動状態を維持する。こうして、処理が終了する。
【0116】
図9(c)は、検体回収ユニット21の起動処理を示すフローチャートである。
【0117】
検体回収ユニット21が検体送出ユニット23から送信された起動のためのデータ(起動指令)を受信すると(S31:YES)、検体回収ユニット21の制御部は、検体回収ユニット21が既に起動状態にあるかを判定する(S32)。検体回収ユニット21が起動状態にないとき(S32:YES)、検体回収ユニット21の制御部は、検体回収ユニット21を起動させる(S33)。他方、検体回収ユニット21が起動状態にあると(S32:NO)、検体回収ユニット21の制御部は起動状態を維持する。こうして、処理が終了する。
【0118】
図10(a)は、検体搬送ユニット3の起動処理を示すフローチャートである。
【0119】
この検体搬送ユニット3が検体送出ユニット23から送信された起動のためのデータ(起動指令)を受信すると(S41:YES)、検体搬送ユニット3の制御部303は、この検体搬送ユニット3が既に起動状態にあるかを判定する(S42)。検体搬送ユニット3が起動していないとき(S42:YES)、制御部303は、この検体搬送ユニット3を起動させ(S43)、対応する測定ユニット41の動作モードを“システムモード”に設定する(S44)。しかる後、制御部303によって、情報処理ユニット42に起動のためのデータ(起動指令)が送信される(S45)。他方、検体搬送ユニット3が起動していると判定されると(S42:NO)、“モード設定と通知”の処理が行われる(S46)。
【0120】
なお、S45において、起動のためのデータ(起動指令)は、3つの検体搬送ユニット3によってそれぞれ情報処理ユニット42に送信されても良いし、何れかの検体搬送ユニット3のみによって情報処理ユニット42に送信されるようにしても良い。
【0121】
なお、上記の如く、検体搬送ユニット3の単独起動ボタン307が押下されることによって検体搬送ユニット3が起動されると、対応する測定ユニット41の動作モードが“単独モード”に設定される。
【0122】
図10(b)は、“モード設定と通知”を示す処理フローチャートである。
【0123】
検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作モードが、“単独モード”であるとき(S101:YES)、この検体搬送ユニット3の制御部303は、対応する測定ユニット41の動作状態を取得する(S102)。すなわち、S102では、対応する測定ユニット41の動作状態が、“動作中”、“スタンバイ”、“エラー”の何れの状態であるかが取得される。他方、検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作モードが、“システムモード”であるとき(S101:NO)、処理がS107に進められる。
【0124】
次に、この検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作状態が“スタンバイ”でないとき(S103:NO)、単独モードが維持される(S104)。この場合、設定部308のLED308eの状態が“単独モード”であることを示す赤色の点灯状態に維持される。また、制御部303は、対応する測定ユニット41の動作モードが“単独モード”であることを示すデータを、搬送コントローラ7に送信する(S105)。
【0125】
他方、この検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作状態が“スタンバイ”であるとき(S103:YES)、制御部303は、対応する測定ユニット41の動作モードを“システムモード”に変更し(S106)、設定部308のLED308eが、対応する測定ユニット41の動作モードが“システムモード”であることを示すよう消灯される(S107)。続いて、制御部303は、対応する測定ユニット41の動作モードが“システムモード”であることを示すデータを、搬送コントローラ7に送信する(S108)。こうして、“モード設定と通知”の処理が終了する。
【0126】
なお、図10(a)、(b)に示したフローチャートは、検体搬送ユニット5の起動処理においても適用される。この場合、図10(a)のS45において、検体搬送ユニット5の制御装置503は、塗沫標本作製装置6に起動のための信号を送信する。これにより、塗沫標本作製装置6が起動状態になる。また、図10(b)のS102において、塗沫標本作製装置6の動作状態を取得し、S103において、塗沫標本作製装置6がスタンバイであるかが判定される。
【0127】
図11(a)は、搬送コントローラ7の起動処理を示すフローチャートである。
【0128】
搬送コントローラ7が検体送出ユニット23から送信された起動のためのデータ(起動指令)を受信すると(S51:YES)、搬送コントローラ7の制御部703は、搬送コントローラ7が既に起動状態にあるかを判定する(S52)。搬送コントローラ7が起動状態にないとき(S52:YES)、制御部703は搬送コントローラ7を起動させる(S53)。他方、搬送コントローラ7が起動状態にあると(S52:NO)、制御部703は起動状態を維持する。
【0129】
次に、搬送コントローラ7が、図10(b)のS105またはS108で送信された動作モードの情報を3つの検体搬送ユニット3から受信すると(S54:YES)、制御部703は、受信した動作モードの情報に基づいて、対応する測定ユニット41の動作モードを制御部703内のメモリに記憶する(S55)。こうして、処理が終了する。なお、所定時間内に全ての測定ユニット41の動作モードを受信しない場合、制御部703は、受信した測定ユニット41の動作モードのみを制御部703内のメモリに記憶する。
【0130】
図11(b)は、情報処理ユニット42の起動処理を示すフローチャートである。
【0131】
情報処理ユニット42が検体搬送ユニット3から送信された起動のためのデータ(起動指令)を受信すると(S61:YES)、情報処理ユニット42の制御部423は、情報処理ユニット42が既に起動状態にあるかを判定する(S62)。情報処理ユニット42が起動状態にないとき(S62:YES)、制御部423は情報処理ユニット42を起動させる(S63)。他方、情報処理ユニット42が起動状態にあると(S62:NO)、制御部423は起動状態を維持する。
【0132】
しかる後、制御部423は、測定ユニット41を起動するための信号(起動指令)を各測定ユニット41に送信する(S64)。このとき、既に起動状態にある測定ユニット41には、起動状態が維持される。これにより、全ての測定ユニット41が起動状態になる。こうして、処理が終了する。
【0133】
図11(c)は、塗沫標本作製装置6の起動処理を示すフローチャートである。
【0134】
塗沫標本作製装置6が検体搬送ユニット5から送信された起動のための信号(起動指令)を受信すると(S71:YES)、塗沫標本作製装置6の制御部603は、塗沫標本作製装置6が既に起動状態にあるかを判定する(S72)。塗沫標本作製装置6が起動状態にないとき(S72:YES)、制御部603は塗沫標本作製装置6を起動させる(S73)。他方、塗沫標本作製装置6が起動状態にあると(S72:NO)、制御部603は起動状態を維持する。こうして、処理が終了する。
【0135】
次に、搬送コントローラ7による検体ラックLの搬送制御について説明する。
【0136】
図12(a)は、検体送出ユニット23から送出される検体ラックLの搬送先を決定するフローチャートである。
【0137】
搬送コントローラ7の制御部703は、制御部703内に記憶された各測定ユニット41の動作モードを読み出し、動作モードが“システムモード”である測定ユニット41を選択する(S201)。続いて、制御部703は、S201で選択した測定ユニット41の検体ラックLの受入状況を確認する(S202)。かかる受入状況の確認は、この測定ユニット41に対応する検体搬送ユニット3の分析前ラック保持部310のセンサ312a、312bの検出信号に基づいて行われる。すなわち、分析前ラック保持部310の搬
送路311上に検体ラックLがあれば、この測定ユニット41は検体ラックLを受入できないと判断される。分析前ラック保持部310の搬送路311上に検体ラックLがなければ、この測定ユニット41は検体ラックLを受入可能と判断される。
【0138】
S202の受入状況の確認により、制御部703は、S201で選択した測定ユニット41の何れかが検体ラックLを受入可能と判定すると(S203:YES)、選択した測定ユニット41のうち受入可能な測定ユニット41を検体ラックLの搬送先として決定し(S204)、処理が終了する。他方、制御部703は、S201で選択した測定ユニット41の全てが検体ラックLを受入可能でないと判定すると(S203:NO)、処理をS201に戻して、S201で選択した測定ユニット41の何れかが検体ラックLを受入可能になるのを待つ。なお、S202で複数の測定ユニット41が受入可能と判定された場合には、下流側(左側)の測定ユニット41を搬送先として決定する。
【0139】
図12(b)は、動作モードの切り替え操作があったときの検体搬送ユニット3における処理を示すフローチャートである。なお、この処理フローチャートは、検体搬送ユニット5にも同様に適用される。
【0140】
検体搬送ユニット3の設定部308に配されたモード切替ボタン308dが押下されると(S301:YES)、検体搬送ユニット3の制御部303は、LED308eの表示を切り替え(S302)、さらに、動作モードを切り替える(S303)。すなわち、動作モードが“システムモード”であるときにモード切替ボタン308dが押下されると、LED308eが点灯されるとともに、動作モードが“単独モード”に切り替えられ、また、動作モードが“単独モード”であるときにモード切替ボタン308dが押下されると、LED308eが消灯されるとともに、動作モードが“システムモード”に切り替えられる。さらに、制御部303は、切り替え後の動作モードを通知するためのデータ(モード変更通知)を搬送コントローラ7に送信する(S304)。こうして、搬送ユニット3における処理が終了する。
【0141】
図12(c)は、動作モードの切り替え操作があったときの搬送コントローラ7における処理を示すフローチャートである。
【0142】
搬送コントローラ7は、検体搬送ユニット3から、モード変更通知(図12(b)のS304参照)を受信すると(S401)、当該通知の送信元の検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41の動作モードを、受信したモード変更通知に対応する動作モードに更新する(S402)。
【0143】
こうして、動作モードが変更されると、変更後の動作モードに基づいて、図12(a)のS201における処理が行われる。したがって、所定の測定ユニット41の動作モードが“単独モード”に切り替えられると、この測定ユニット41を除いた測定ユニット41を対象に、S202〜S204の搬送制御が行われる。また、所定の測定ユニット41の動作モードが“システムモード”に切り替えられると、この測定ユニット41を含めた測定ユニット41を対象に、S202〜S204の搬送制御が行われる。こうして、オペレータは、適宜、モード切替ボタン308dを操作することにより、対応する測定ユニット41を、自動搬送か、個別使用かに設定することができる。
【0144】
以上、本実施形態によれば、オペレータは、検体送出ユニット23の一括起動ボタン238を押下することにより、各ユニット(装置)を一括して起動させることができる。これにより、検体処理システム1の各ユニット(装置)に対して個別に起動の操作を行う必要がなくなり、オペレータの起動操作が簡略化され得る。
【0145】
また、本実施形態によれば、検体送出ユニット23から送出される検体ラックLは、動作モードが“単独モード”となっている測定ユニット41と塗沫標本作製装置6には位置付けられない。これにより、動作モードが“単独モード”となっている測定ユニット41と塗沫標本作製装置6は、個別に使用可能な状態に維持される。よって、緊急を要する検体の測定または塗沫標本の作成が、動作モードが“単独モード”となっている測定ユニット41と塗沫標本作製装置6において行われ得る。
【0146】
また、本実施形態によれば、設定部のモード切替ボタンが押下されると、測定ユニット41と塗沫標本作製装置6の動作モードが、“単独モード”と“システムモード”との間で切り替えられる。これにより、オペレータは、動作モードが何れかに設定されている測定ユニット41と塗沫標本作製装置6の動作モードを、再起動等させることなく、容易に変更することができる。
【0147】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態はこれらに限定されるものではない。
【0148】
たとえば、上記実施形態では、測定対象として血液を例示したが、尿についても測定対象とされ得る。すなわち、尿を検査する検体処理装置にも本発明を適用することができ、さらに、他の臨床検体を検査する臨床検体検査装置に本発明を適用することもできる。
【0149】
また、上記実施形態では、検体送出ユニット23の一括起動ボタン238が押下されることにより、各ユニット(装置)が起動したが、これに限らず、検体送出ユニット23以外のユニット(装置)に一括起動のためのボタンが配されるようにしても良い。また、検体処理システム1外から送信された起動のためのデータ(起動指令)が、何れかのユニット(装置)によって受信されることにより、各ユニット(装置)が起動されるようにしても良い。
【0150】
また、上記実施形態では、検体送出ユニット23の一括起動ボタン238が押下されると、検体送出ユニット23から、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、3つの検体搬送ユニット3と、検体搬送ユニット5と、搬送コントローラ7に、起動のためのデータ(起動指令)が送信され、これ以外のユニット(装置)には、これらのユニット(装置)を介して起動のためのデータ(起動指令)が送信された。しかしながら、これに限らず、検体送出ユニット23から、全てのユニット(装置)に直接、起動指示のデータが送信されるようにしても良い。
【0151】
また、上記実施形態では、検体送出ユニット23の一括起動ボタン238が押下されると、検体送出ユニット23から、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、3つの検体搬送ユニット3と、検体搬送ユニット5と、搬送コントローラ7に、起動のためのデータ(起動指令)が送信された。しかしながら、これに限らず、検体送出ユニット23から搬送コントローラ7に起動のためのデータ(起動指令)が送信され、搬送コントローラ7から、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、3つの検体搬送ユニット3と、検体搬送ユニット5に起動のためのデータ(起動指令)が送信されるようにしても良い。
【0152】
図13(a)は、この場合の検体送出ユニット23の起動処理を示すフローチャートである。このフローチャートでは、図9(a)に示したフローチャートのS14がS15に変更されている。S15では、検体送出ユニット23から搬送コントローラ7に起動のためのデータ(起動指令)が送信される。
【0153】
図13(b)は、この場合の搬送コントローラ7の起動処理を示すフローチャートであ
る。このフローチャートでは、図11(a)に示したフローチャートのS53の下にS56が追加されている。S56では、搬送コントローラ7から、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、3つの検体搬送ユニット3と、検体搬送ユニット5に、起動のためのデータ(起動指令)が送信される。
【0154】
また、上記実施形態では、図4に示したように各ユニット(装置)が互いに通信可能となるよう接続されたが、これに限らず、検体送出ユニット23と情報処理ユニット42が直接、通信可能となるよう接続されて、検体送出ユニット23から情報処理ユニット42に起動のためのデータ(起動指令)が送信されるようにしても良い。この場合、情報処理ユニット42から検体搬送ユニット3に起動のためのデータ(起動指令)が送信されて、検体搬送ユニット3から、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、検体搬送ユニット5と、搬送コントローラ7に、起動のためのデータ(起動指令)が送信される。
【0155】
図14(a)は、この場合の検体送出ユニット23の起動処理を示すフローチャートである。このフローチャートでは、図9(a)に示したフローチャートのS14がS16に変更されている。S16では、検体送出ユニット23から情報処理ユニット42に起動のためのデータ(起動指令)が送信される。
【0156】
図14(b)は、この場合の情報処理ユニット42の起動処理を示すフローチャートである。このフローチャートでは、図11(b)に示したフローチャートのS64の下にS65が追加されている。S65では、情報処理ユニット42から、3つの検体搬送ユニット3に起動のためのデータ(起動指令)が送信される。
【0157】
図15(a)は、この場合の検体搬送ユニット3の起動処理を示すフローチャートである。このフローチャートでは、図10(a)に示したフローチャートのS45の下にS47が追加されている。S47において、この検体搬送ユニット3の制御部303は、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、検体搬送ユニット5と、搬送コントローラ7に起動のためのデータ(起動指令)を送信する。
【0158】
なお、S47において、起動のためのデータ(起動指令)は、3つの検体搬送ユニット3によってそれぞれ送信されても良いし、何れかの検体搬送ユニット3のみによって送信されるようにしても良い。
【0159】
また、上記実施形態では、検体送出ユニット23から、3つの検体搬送ユニット3と検体搬送ユニット5に、起動のためのデータ(起動指令)が送信されたが、これに限らず、3つの検体搬送ユニット3と検体搬送ユニット5のうち、予め対応づけられた1以上の検体搬送ユニットに、起動のためのデータ(起動指令)が送信されても良い。この場合、起動のためのデータ(起動指令)を受信した検体搬送ユニットは、起動のためのデータ(起動指令)を受信していない他の検体搬送ユニットに対して、起動のためのデータ(起動指令)を送信する。
【0160】
図15(b)は、この場合の、起動のためのデータ(起動指令)を受信する検体搬送ユニット3の起動処理を示すフローチャートである。このフローチャートでは、図10(a)に示したフローチャートのS45の下にS48が追加されている。S48において、この検体搬送ユニット3の制御部303は、他の検体搬送ユニット3と検体搬送ユニット5に起動のためのデータ(起動指令)を送信する。この場合、他の検体搬送ユニット3と検体搬送ユニット5は、図10(a)に示したフローチャートに基づいて起動処理が行われる。
【0161】
また、上記実施形態では、図10(a)のS45において、3つの検体搬送ユニット3
が、それぞれ、情報処理ユニット42に起動のためのデータ(起動指令)を送信したが、これに限らず、3つの検体搬送ユニット3のうち何れか1つの検体搬送ユニット3から、情報処理ユニット42に起動のためのデータ(起動指令)が送信されるようにしても良い。
【0162】
また、上記実施形態では、搬送コントローラ7は、検体ラックLのラックIDと、検体容器Tの検体IDと、検体容器Tの保持位置とを検体送出ユニット23から受信すると、ホストコンピュータ8へ測定オーダの問い合わせを行った。しかしながら、これに限らず、検体IDに対応する測定データを搬送コントローラ7の記憶部702bに記憶させておき、搬送コントローラ7が検体送出ユニット23から上記データを受信すると、搬送コントローラ7は、受信した検体IDに対応する測定データを記憶部702bから読み出し、検体送出ユニット23へ送信するようにしても良い。
【0163】
また、上記実施形態では、検体回収ユニット21が、検体投入ユニット22の右側に配されたが、検体搬送ユニット5の左側に配されても良い。この場合、分析または塗沫標本の作製が終了した検体ラックLは、搬送ラインL2に沿って検体搬送ユニット5の左側に送出され、検体回収ユニット21に回収される。
【0164】
また、上記実施形態では、各検体搬送ユニット3に制御部233が設けられているが、1つの制御部233により全ての搬送ユニット3および5を制御するようにしてもよいし、1つの制御部233により、さらに検体回収ユニット21、検体投入ユニット22および検体送出ユニット23を制御するようにしてもよい。
【0165】
また、上記実施形態では、検体送出ユニット23の一括起動ボタン238が押下されることにより、全てのユニット(装置)が起動したが、これに限らず、一部のユニットのみが起動し、残りのユニットは使用者が単独起動ボタンを押下して起動するようにしてもよい。
【0166】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0167】
1 … 検体処理システム
3 … 検体搬送ユニット(搬送装置、搬送ユニット)
5 … 検体搬送ユニット(搬送装置、搬送ユニット)
6 … 塗沫標本作製装置(検体処理ユニット、第2の検体処理ユニット)
7 … 搬送コントローラ(搬送制御ユニット)
41 … 測定ユニット(検体処理ユニット、第1の検体処理ユニット)
42 … 情報処理ユニット(検体処理制御ユニット)
238 … 一括起動ボタン
303 … 制御部
304a … 通信部
308 … 設定部(切替受付部)
503 … 制御部
504 … 通信部
508 … 設定部(切替受付部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検体処理ユニットと、
前記複数の検体処理ユニットに検体を搬送する搬送装置と、を備え、
前記搬送装置は、
外部からの通信を受け付ける通信部と、
前記通信部を介して外部から起動指令が入力されると当該搬送装置を起動状態に設定する制御部と、を有する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検体処理システムにおいて、
使用者からの起動指示を受け付けるとともに、前記起動指示の入力に応じて、前記起動指令を前記搬送装置の通信部に入力するための通信制御を行う起動指示受付部をさらに備える、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の検体処理システムにおいて、
前記搬送装置は、複数の前記検体処理ユニットにそれぞれ対応して配された複数の搬送ユニットを備え、各搬送ユニットには、それぞれ、前記通信部と前記制御部が個別に配され、
前記起動指示受付部は、前記起動指示の入力に応じて、全ての前記搬送ユニットの前記通信部に前記起動指令を入力するための通信制御を行う、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項4】
請求項2に記載の検体処理システムにおいて、
前記搬送装置は、複数の前記検体処理ユニットにそれぞれ対応して配された複数の搬送ユニットを備え、各搬送ユニットには、それぞれ、前記通信部と前記制御部が個別に配され、
前記起動指示受付部は、前記起動指示の入力に応じて、複数の前記搬送ユニットの何れかの前記通信部に前記起動指令を入力するための通信制御を行い、
前記起動指示受付部から前記起動指令の送信を受けた前記搬送ユニットは、前記起動指令の送信を受けていない予め対応付けられた前記搬送ユニットの前記通信部に前記起動指令を送信する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の検体処理システムにおいて、
前記検体処理ユニットを制御するとともに前記起動指令の入力を受け付け可能な検体処理制御ユニットをさらに備え、
前記検体処理制御ユニットは、前記起動指令の入力を受け付けると前記検体処理ユニットを起動状態に設定する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項6】
請求項2ないし4の何れか一項に記載の検体処理システムにおいて、
前記検体処理ユニットを制御するとともに前記起動指令の入力を受け付け可能な検体処理制御ユニットをさらに備え、
前記検体処理制御ユニットは、前記起動指令の入力を受け付けると前記検体処理ユニットを起動状態に設定し、
前記起動指示受付部は、前記起動指示の入力に応じて、前記検体処理制御ユニットに前記起動指令を入力するための通信制御を行う、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項7】
請求項3ないし6の何れか一項に記載の検体処理システムにおいて、
前記搬送ユニットによる搬送動作を制御するとともに前記起動指令の入力を受け付け可能な搬送制御ユニットをさらに備え、
前記搬送制御ユニットは、前記起動指令の入力を受け付けたとき、複数の前記検体処理ユニットの動作状況を取得し、動作中の前記検体処理ユニットを経由せずに前記検体を搬送するよう、前記搬送ユニットを制御する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項8】
請求項7に記載の検体処理システムにおいて、
前記検体の搬送対象から除かれている前記検体処理ユニットを前記検体の搬送対象に含めるための使用者からの指示入力を受け付ける切替受付部をさらに備える、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項9】
請求項1に記載の検体処理システムにおいて、
起動状態に設定された前記搬送装置は、前記搬送装置が起動状態に設定されたときに動作中であった前記検体処理ユニットを経由せずに前記検体を搬送する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項10】
請求項1に記載の検体処理システムにおいて、
前記検体処理ユニットを制御するとともに前記起動指令の入力を受け付け可能な検体処理制御ユニットと、
前記搬送装置を制御するとともに前記起動指令の入力を受け付け可能な搬送制御ユニットと、をさらに備え、
前記検体処理制御ユニットは、前記起動指令の入力を受け付けると前記検体処理制御ユニットおよび前記検体処理ユニットを起動状態に設定し、
前記搬送制御ユニットは、前記起動指令の入力を受け付けると前記搬送制御ユニットを起動状態に設定する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項11】
請求項1ないし10の何れか一項に記載の検体処理システムにおいて、
複数の前記検体処理ユニットは、前記検体に第1の処理を施す第1の検体処理ユニットと、前記検体に前記第1の処理とは異なる第2の検体処理を施す第2の検体処理ユニットとを含む、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項12】
複数の検体処理ユニットと、
前記複数の検体処理ユニットの少なくとも1つを制御する検体処理制御ユニットと、
前記複数の検体処理ユニットに検体を搬送する搬送装置と、を備え、
前記検体処理制御ユニットは、
外部からの通信を受け付ける通信部と、
前記通信部を介して外部から起動指令が入力されると当該検体処理制御ユニットを起動状態に設定する制御部と、を有する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項13】
請求項12に記載の検体処理システムにおいて、
前記検体処理制御ユニットの制御部は、前記通信部を介して外部から起動指令が入力されると当該検体処理制御ユニットおよび制御対象である前記検体処理ユニットを起動状態に設定する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項14】
複数の検体処理ユニットと、
前記複数の検体処理ユニットに検体を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置を制御する搬送制御ユニットと、を備え、
前記搬送制御ユニットは、
外部からの通信を受け付ける通信部と、
前記通信部を介して外部から起動指令が入力されると当該搬送制御ユニットを起動状態に設定する制御部と、を有する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項1】
複数の検体処理ユニットと、
前記複数の検体処理ユニットに検体を搬送する搬送装置と、を備え、
前記搬送装置は、
外部からの通信を受け付ける通信部と、
前記通信部を介して外部から起動指令が入力されると当該搬送装置を起動状態に設定する制御部と、を有する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検体処理システムにおいて、
使用者からの起動指示を受け付けるとともに、前記起動指示の入力に応じて、前記起動指令を前記搬送装置の通信部に入力するための通信制御を行う起動指示受付部をさらに備える、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の検体処理システムにおいて、
前記搬送装置は、複数の前記検体処理ユニットにそれぞれ対応して配された複数の搬送ユニットを備え、各搬送ユニットには、それぞれ、前記通信部と前記制御部が個別に配され、
前記起動指示受付部は、前記起動指示の入力に応じて、全ての前記搬送ユニットの前記通信部に前記起動指令を入力するための通信制御を行う、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項4】
請求項2に記載の検体処理システムにおいて、
前記搬送装置は、複数の前記検体処理ユニットにそれぞれ対応して配された複数の搬送ユニットを備え、各搬送ユニットには、それぞれ、前記通信部と前記制御部が個別に配され、
前記起動指示受付部は、前記起動指示の入力に応じて、複数の前記搬送ユニットの何れかの前記通信部に前記起動指令を入力するための通信制御を行い、
前記起動指示受付部から前記起動指令の送信を受けた前記搬送ユニットは、前記起動指令の送信を受けていない予め対応付けられた前記搬送ユニットの前記通信部に前記起動指令を送信する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の検体処理システムにおいて、
前記検体処理ユニットを制御するとともに前記起動指令の入力を受け付け可能な検体処理制御ユニットをさらに備え、
前記検体処理制御ユニットは、前記起動指令の入力を受け付けると前記検体処理ユニットを起動状態に設定する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項6】
請求項2ないし4の何れか一項に記載の検体処理システムにおいて、
前記検体処理ユニットを制御するとともに前記起動指令の入力を受け付け可能な検体処理制御ユニットをさらに備え、
前記検体処理制御ユニットは、前記起動指令の入力を受け付けると前記検体処理ユニットを起動状態に設定し、
前記起動指示受付部は、前記起動指示の入力に応じて、前記検体処理制御ユニットに前記起動指令を入力するための通信制御を行う、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項7】
請求項3ないし6の何れか一項に記載の検体処理システムにおいて、
前記搬送ユニットによる搬送動作を制御するとともに前記起動指令の入力を受け付け可能な搬送制御ユニットをさらに備え、
前記搬送制御ユニットは、前記起動指令の入力を受け付けたとき、複数の前記検体処理ユニットの動作状況を取得し、動作中の前記検体処理ユニットを経由せずに前記検体を搬送するよう、前記搬送ユニットを制御する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項8】
請求項7に記載の検体処理システムにおいて、
前記検体の搬送対象から除かれている前記検体処理ユニットを前記検体の搬送対象に含めるための使用者からの指示入力を受け付ける切替受付部をさらに備える、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項9】
請求項1に記載の検体処理システムにおいて、
起動状態に設定された前記搬送装置は、前記搬送装置が起動状態に設定されたときに動作中であった前記検体処理ユニットを経由せずに前記検体を搬送する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項10】
請求項1に記載の検体処理システムにおいて、
前記検体処理ユニットを制御するとともに前記起動指令の入力を受け付け可能な検体処理制御ユニットと、
前記搬送装置を制御するとともに前記起動指令の入力を受け付け可能な搬送制御ユニットと、をさらに備え、
前記検体処理制御ユニットは、前記起動指令の入力を受け付けると前記検体処理制御ユニットおよび前記検体処理ユニットを起動状態に設定し、
前記搬送制御ユニットは、前記起動指令の入力を受け付けると前記搬送制御ユニットを起動状態に設定する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項11】
請求項1ないし10の何れか一項に記載の検体処理システムにおいて、
複数の前記検体処理ユニットは、前記検体に第1の処理を施す第1の検体処理ユニットと、前記検体に前記第1の処理とは異なる第2の検体処理を施す第2の検体処理ユニットとを含む、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項12】
複数の検体処理ユニットと、
前記複数の検体処理ユニットの少なくとも1つを制御する検体処理制御ユニットと、
前記複数の検体処理ユニットに検体を搬送する搬送装置と、を備え、
前記検体処理制御ユニットは、
外部からの通信を受け付ける通信部と、
前記通信部を介して外部から起動指令が入力されると当該検体処理制御ユニットを起動状態に設定する制御部と、を有する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項13】
請求項12に記載の検体処理システムにおいて、
前記検体処理制御ユニットの制御部は、前記通信部を介して外部から起動指令が入力されると当該検体処理制御ユニットおよび制御対象である前記検体処理ユニットを起動状態に設定する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項14】
複数の検体処理ユニットと、
前記複数の検体処理ユニットに検体を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置を制御する搬送制御ユニットと、を備え、
前記搬送制御ユニットは、
外部からの通信を受け付ける通信部と、
前記通信部を介して外部から起動指令が入力されると当該搬送制御ユニットを起動状態に設定する制御部と、を有する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−158303(P2011−158303A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18819(P2010−18819)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
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