説明

検体分注処理方法及び装置

【課題】マイクロプレート形状測定容器での用手分注処理において、分注処理が的確に行える作業方法及び必要最小限の設置空間で作業効率良い装置を提供する。また、提供すべき装置は、容器固有情報が異なっても容器に合わせて機能するものであり、単一の装置で複種類容器の分注作業管理が実施できる。
【解決手段】分注位置を案内表示できる出力装置を有したコンピュータを用いて、分注作業前に対象となる容器、試料情報を登録し、分注作業時、容器および分注試料に貼られたバーコードを読み込み、先に登録された情報より分注位置を検索する、その検索分注位置情報を出力装置に表示することにより、作業者に分注位置と作業工程案内を行う。分注位置を案内表示する出力装置に液晶ディスプレイなどに代表される汎用表示装置を使い、容器毎に分注管理プログラムを使い分けることで、単一装置で多様な容器の分注管理が可能。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、用手作業によりデバイス上の指定箇所に検査体および検査試薬を分注させることにおいて、その分注箇所を案内する処理方法及び装置に関し、特に分注間違いの防止を図る技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療現場では、マイクロプレートと呼ばれるデバイス(1デバイスに複数の試料保持部位があるものあり、マクロプレートでは1デバイスに縦8、12の96試料保持部位がある)に検査体・試薬等を分注して医療測定作業を行っている。この作業は、マイクロプレート形状のデバイスを使用して分析作業を行っているところでは、測定前作業として、医療現場に限らず一般的に行われるものである。
【0003】
マイクロプレート形状のデバイスに必要試料を指定位置に分注する作業は、検査測定装置と連動した自動分注処理装置を使用することにより誤りなく分注処理がされている。しかし、小規模な検査施設、分注装置とは連動できない簡易小型な測定装置、装置を導入するには対象測定物が少なく自動分注装置を準備するには至らない分注作業の場合、用手作業により分注作業が実施される。分注対象デバイスには分注位置を示す指標はなくウェルの位置だけで分注位置を認識しているので、運用者の経験と確認能力を頼りに分注作業が実施されている。マイクロプレート形状のデバイスでは、試料分注位置が測定結果の属性を表すのが一般的である。測定検体Xを第n番目のウェル(試料保持部位)に分注するべきものを第n+1番目に分注した場合、その測定値は、検体Xのものとされず別測定検体の値として取り扱われ、医療現場では、医療ミスとして法的な事件に発展することもある。ウェルの位置でのみ分注位置を認識する作業条件では、そのような事故が発生しても知ることができず、測定作業完了後に事故が発覚することもない。そのため、分注担当者は大変な精神的集中力をもって当該作業を処理するが、人為的な作業である以上、誤りを完全に回避することはできない。また、ひとつのウェルに一種類以上の試料を複数回分注しなければならいこともあるため、分注担当者は位置、試料の種類、回数とを確認記憶して分注作業を進める必要があり、作業内容によっては誤りの可能性が何通りも存在することになる。
【0004】
検査デバイスは、デバイス単位では統一されているが測定方法・測定機の違いにより形状は異なる。分注作業を支援する装置が存在したとして、デバイス毎にその装置が必要となると機器設置空間はデバイス種類分の広さが必要となる。1日の特定の時間内のみ動作する装置のために設置空間を確保するには無駄がある。また、デバイス毎に装置が必要とするならばデバイスが変わるたびに装置準備が必要となり作業効率が良くない。
【0005】
デバイスとは、少なくとも二つの試料保持部位をひとつに集合させたものであり、医療業界では、マイクロプレート、分析器測定ラックが知られている。
ここで述べられる分注とは、試料保持部位に試料を入れることを示し、その試料は、
液体、固体、気体と区別される物質の状態を限定しないものとする。医療業界において、試料とは検査体もしくは検査試薬であり、その物質状態は液体もしくは固体が一般的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、上記の不都合、非効率を解決することであり、用手作業による分注処理を行うにあたり、分注すべき試料の位置、回数、試料の内容を明示し事前に分注内容を作業者に伝え、分注処理が的確に行われるような作業方法及びそれに用いる装置を提供することにある。また、提供するべき装置は、デバイス個別情報が異なっても、その情報に合わせて機能するものであり、単一の装置で複種類のデバイスに対して分注作業管理が実施できることにより最小限度の設置空間で効率良い分注作業を提供できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の手段からなる。試料をデバイス上の指定位置に分注する場合は、分注作業前に情報媒体から、分注対象デバイス、試料の分注位置と識別情報を演算記憶装置に登録する。デバイスを分注作業処理装置に設置するにあたりデバイスに取り付けた識別表示部材から情報を読み取り、分注対象デバイスであるか演算記憶装置に判定させる。分注対象外であれば、運用者に正しいデバイスを選択するように情報を出力する。分注対象であれば、分注可能であることを情報出力しデバイスを設置するように案内する。分注対象となるデバイスを作業案内する装置上に設置する。試料に取り付けた識別表示部材から情報を読み取り、分注対象試料であるか演算記憶装置に判定させる。分注対象外であれば、運用者に正しい試料を選択するように情報出力する。分注対象であれば、分注可能であることを情報出力し事前に登録された分注位置に認識できる情報と、試料を識別できる情報を表示する。作業者は、その情報の示す位置に識別情報に合致した試料を分注させる。試料を同一位置に複数回もしくは複数種類分注する必要がある場合は、分注工程毎に作業者は作業完了入力を行い演算記憶装置に工程状況を登録、作業者に現在までの工程状況、次の工程内容を示す情報を出力する。対象となる分注処理、分析機がデバイスを複数使用しないときは、デバイスの作業対象確認は省略することができる。
【0008】
定められた方法に従い分注位置を算出し試料を分注する場合は、デバイスを分注作業処理装置に設置するにあたりデバイスに取り付けた識別表示部材から情報を読み取り分注デバイスの情報を演算記憶装置に登録する。分注対象となるデバイスを作業案内する装置上に設置する。試料に識別表示部材から情報を読み取り、定められた方法に従い分注位置を算出し位置を認識できる情報と、試料を識別できる情報を出力する。作業者は、その情報の示す位置に識別情報に合致した試料を分注させる。試料を同一位置に複数回、もしくは複数種類分注する必要がある場合は、各分注工程毎に作業者は作業完了入力を行い演算記憶装置に工程状況を登録、作業者に現在までの工程状況、次の工程内容を示す情報を出力する。作業完了に伴い、デバイス識別、分注位置、試料属性を演算記憶装置に登録する。登録された情報から、デバイス識別、分注位置、試料属性からデバイス識別、分注位置、試料属性が検索・参照できるようにする。こちらの手段でも、確認情報を演算記憶装置に事前に登録しておき、デバイス・試料の作業対象の判定をさせても良い。分注位置の出力は、試料に取り付けられた識別表示部材の読み取り前、後どちらでも良い。デバイス、試料には必ずしも取り付けられた識別表示部材は必要としない、それが存在しない場合は、開始数値から始まり作業毎に数取りを行うカウント処理に代表される演算記憶装置による代用情報で登録管理しても良い。対象となる分注作業、分析機がデバイスを複数使用し各デバイスを区別する必要性があるときは、デバイスを分注作業処理装置に設置する段階でデバイスの作業対象確認処理を実施しても良い。
【0009】
本発明は以下の構成からなる。
(1)少なくとも二つの試料保持部位を有するひとつのデバイスに、用手作業で各試料保持部位へ試料を分注する方法において、試料保持部位と分注試料を照合するための情報を分注作業管理装置に登録させる工程(第一工程)、分注対象デバイスに取り付けられた識別表示部材から情報を読み取る工程(第二工程)、第二工程で読み取られた情報より、そのデバイスが分注対象であるか否か判定を行う工程(第三工程)、第三工程が分注対象外判定であれば作業者が誤りを示す情報を確認して分注対象デバイスを再選択して第三工程に戻り、第三工程が分注対象判定であれば分注位置出力装置上の指定位置に分注対象デバイスを設置する工程(第四工程)、選択した試料に取り付けられた識別表示部材から情報を読み取る工程(第五工程)、第五工程で読み取られた情報より分注対象試料であるか否か判定を行う工程(第六工程)、第六工程が分注対象外判定であれば作業者が誤りを示す情報を確認して分注対象試料を再選択して第五工程に戻り、第六工程が分注対象判定であれば装置上に出力された分注位置案内情報に従い分注作業を行う工程(第七工程)からなることを特徴とする分注処理方法。
(2)少なくとも二つの試料保持部位を有するひとつのデバイスに、用手作業で各試料保持部位へ試料を分注する装置において、試料保持部位と分注試料を照合するための情報を分注作業管理装置に登録する工程(第一工程)、分注対象デバイスに取り付けられた識別表示部材から情報を読み取る工程(第二工程)、第二工程で読み取られた情報より、そのデバイスが分注対象であるか否か判定を行う工程(第三工程)、第三工程が分注対象外判定であれば誤りを示す情報出力を行い、第三工程が分注対象判定であれば試料保持位置出力装置上に分注対象デバイス設置位置の案内情報を出力する工程(第四工程)、選択された試料に取り付けられた識別表示部材から情報を読み取る工程(第五工程)、第五工程で読み取られた情報より分注対象試料であるか否か判定を行う工程(第六工程)、第六工程で分注対象外判定であれば誤りを示す情報を出力し、分注対象判定であれば第一工程で登録された照合情報より試料保持位置を検索して分注案内情報を出力する工程(第七工程)を連動させることを特徴とする分注作業管理装置。
(3)少なくとも二つの試料保持部位を有するデバイスに、用手作業による分注毎に分注した試料保持位置と試料識別情報の登録を行う方法において、試料保持部位と分注試料を照合するための情報を分注作業管理装置に登録させる工程(第一工程)、分注対象デバイスに取り付けられた識別表示部材から情報を読み取る工程(第二工程)、第二工程で読み取られた情報より、そのデバイスが分注対象であるか否か判定を行う工程(第三工程)、第三工程が分注対象外判定であれば作業者が誤りを示す情報を確認して分注対象デバイスを再選択して第三工程に戻り、第三工程が分注対象判定であれば試料保持位置出力装置上の指定位置に分注対象デバイスを設置する工程(第四工程)、選択した試料に取り付けられた識別表示部材から情報を読み取る工程(第五工程)、第五工程で読み取られた情報より分注対象試料であるか否か判定を行う工程(第六工程)、第六工程が分注対象外判定であれば作業者が誤りを示す情報を確認して分注対象試料を再選択して第五工程に戻り、第六工程が分注対象判定であれば装置上に出力された分注位置案内情報に従い分注作業を行う工程(第七工程)、分注対象デバイス情報と第七工程の試料情報を分注作業管理装置に登録させる工程(第八工程)からなることを特徴とする分注作業処理方法。
(4)少なくとも二つの試料保持部位を有するデバイスに、用手作業による分注毎に分注した試料保持位置と試料識別情報の登録を行う装置において、試料保持部位と分注試料を照合するための情報を分注作業管理装置に登録する工程(第一工程)、分注対象デバイスに取り付けられた識別表示部材から情報を読み取る工程(第二工程)、第二工程で読み取られた情報より、そのデバイスが分注対象であるか否か判定を行う工程(第三工程)、第三工程が分注対象外判定であれば誤りを示す情報出力を行い、第三工程が分注対象判定であれば試料保持位置出力装置上に分注対象デバイス設置位置の案内情報を出力する工程(第四工程)、選択された試料に取り付けられた識別表示部材から情報を読み取る工程(第五工程)、第五工程で読み取られた情報より分注対象試料であるか否か判定を行う工程(第六工程)、第六工程が分注対象外判定であれば誤りを示す情報を出力し、第六肯定が分注対象判定であれば、試料分注位置を指定された算出もしくは位置情報検索処理で求め、その結果を分注案内情報として出力する工程(第七工程)、分注対象デバイス情報と第7工程の試料情報を分注作業管理装置に登録する工程(第八工程)を連動させることを特徴とする分注作業管理装置。
(5)対象デバイスの個別情報と分注処理工程情報に基づき、試料分注位置を表す位置案内情報と分注位置出力装置の情報出力機能とを修正、決定できる機能を有することを特徴とする前記述2または4の何れか1つに記載された分注作業処理装置。
(6)試料分注位置を示す出力装置に、コンピュータの汎用表示装置を利用することを特徴とする前記述2、4または5の何れか1つに記載された分注作業処理装置。
(7)デバイスの試料保持部位の底部から光源照射することで試料分注位置を目視確認できる機能を有することを特徴とする前記述2、4、5または6の何れか1つに記載された分注作業管理装置。
(8)請求項7の装置を用いる分注作業処理方法において、デバイスへの分注作業状況と工程を試料色と位置表示色の合成色により目視確認することができることを特徴とする前記述1または3の何れか1つに記載された分注作業処理方法。
(9)デバイスへの分注作業状況と工程を試料色と位置表示色の合成色により目視確認することができる機能を有することを特徴とする前記述2、4,5,6または7の何れか1つに記載された分注作業管理装置。
(10)事前に登録された試料分注位置情報に基づき、試料分注位置と試料情報を出力することにより、分注作業の案内と工程管理をすることができる機能を有することを特徴とする前記述2、4、5,6、7または9の何れか1つに記載された分注作業装置に具備されるプログラム。
(11)分注対象デバイスの個別情報または分注処理工程に基づき、試料分注位置を示す位置案内情報と、その位置案内情報を出力する装置の情報出力機能とを修正、決定できる機能を有することを特徴とする前記述2、4、5,6、7または9の何れか1つに記載された分注作業装置に具備されるプログラム。
【0010】
位置案内情報とは、試料保持部位の物理位置を示す情報と分注すべき試料を識別できる情報である分注処理内容を作業者に認知させる情報を示す。分注位置出力装置の情報出力機能とは、出力装置が液晶ディスプレイに代表される汎用表示装置であれば、表示文字・グラフィック、大きさ、色、点滅の有無、音量もしくは音質であり、その装置が持ちうる出力能力を示す。
【0011】
この発明に係る分注作業処理装置は、デバイス、試料の分注対象確認と、分注位置を明示する情報が出力でき、その分注作業工程を登録・閲覧できる装置であり、デバイス、試料の識別表示部材を読み取る第1入力部と、デバイス・試料の基本情報を情報媒体から読み取る第2入力部と、第2入力部より読み取った情報を登録・閲覧を行うための記憶部、分注位置を明示するための出力部、作業対象確認・分注位置の算出・判定を行う制御部を備えている。
【0012】
この発明では、分注作業処理装置に汎用コンピュータを使用することができプログラムにより管理動作の作成、変更が可能であることを特徴としている。したがって、作業別に対応するプログラムを入れ替えることにより、装置の機械部分の変更をすることなく、デバイスの種類に対応した分注作業ができる。
【0013】
この発明では、分注位置を明示する出力装置にコンピュータの汎用表示装置を使用することができる、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイに代表される汎用表示装置を使用することにより、分注位置、明示情報(色、輝度、大きさなど)を自由に設定変更できることを特徴としている。したがって、プログラムの制御により1台の分注作業処理装置でも2種類以上のデバイスに対して分注管理作業が可能できる。
【0014】
この発明では、試薬保持部位の底部が透明材質でできているものに対して、底部から光源照射することで分注位置を目視確認できることを特徴としている。したがって、分注作業者に対して分注位置を的確に知らせることができる。
【0015】
この発明では、試薬保持部位の底部が光を透過できる材質できているものに対して、底部から光源照射することで分注位置を目視確認できることを特徴としている。したがって、分注液が透明である場合、位置を知らせる表示色を変えることで、分注状況と次の分注工程を知らせることができる。
【0016】
この発明では、試薬保持部位の底部が光を透過できる材質できているものに対して、底部から光源照射することで分注位置を目視確認できるので、分注液が半透明有色である場合、底部からの位置を知らせる光源色との合成色により情報を明示することを特徴としている。したがって、2種類以上の試料の分注作業が必要で試料が有色であれば、どれが、いつ分注されたかの工程を知ることができる。
【0017】
この発明に係る分注作業管理プログラムは、デバイス、試料の分注対象確認と、分注位置を明示する情報が出力でき、デバイス形状に合わせて明示情報の形式を変更できるものであって、外部入力装置から取り込まれたデバイス・試料情報について記憶判定を行う管理部と、入力装置からの情報に基づき分注位置を明示する情報を出力装置に対して情報出力を行う出力部、デバイス形状に合わせて出力内容を修正登録する保守部を備えている。
【0018】
この発明に係る分注作業管理プログラムは、事前に登録された出力定義情報ファイルの定義データにより、試料の数、分注物理位置、分注位置の配置、出力装置の情報出力機能の自由設定が可能なことを特徴としている。したがって、定義データの準備により、ハードウェアの変更をすることなく、2つ以上のデバイス種類の分注作業管理が同一ハードウェア上で実施できる。
【0019】
この発明に係る分注作業管理プログラムの分注位置を管理する機能は、試料に対して事前に決められた位置を案内する管理機能と、分注作業毎に事前に決められた方法で分注位置を決め案内を行い、各分注作業後に対象試料情報と分注位置を登録していく管理機能を備えている。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、用手作業で実施される分注処理において、対象デバイスの試薬保持部位に対象となる試料を誤りなく分注でき、複数回、複数種類の分注作業のときは、その作業工程が管理運用でき、人為的誤りを回避する効果をもたらす。
【0021】
本発明の装置は、分注位置を表す位置案内情報と、表示色、表示形、大きさ、点滅、音などに代表される出力装置の情報出力機能を、分注対象となるデバイス固有情報と分注処理工程情報により修正、決定することができる機能を有するので、デバイス別の分注管理装置が不要なため、設置空間の節約、購入経費の節約、デバイス毎の運用動作切り替え不要による作業効率向上、認識しやすい分注位置情報の選択による作業者負担の軽減といった効果をもたらす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明における分注処理方法と分注作業管理装置は、デバイスの試薬保持位置と分注試料が一対になっていれば、特に使用対象が限定されるものではないが、とりわけ、医療・研究機関などの検査・研究作業における検査体、試薬の分注作業が対象となる。なかでも、マイクロプレートに代表される少なくとも二つの試薬保持位置を有するデバイスの用手分注作業には好適である。
【0023】
マイクロプレートに代表される少なくとも二つの試薬保持位置を有するデバイスを使用した測定作業では、測定結果値をデバイスの分注位置で管理するため、デバイスの分注位置と測定検体・試薬は一対のものとして結び付け管理する必要がある。その管理方法は二種類あり、分注位置と分注対象検体・試薬とを結び付る事前情報に従い分注を行うことにより結び付け管理するものと、デバイス分注位置は汎用コンピュータにより分注作業毎に算出して、算出結果での分注作業後に分注実施位置と分注実施検体・試薬情報を登録することにより結び付け管理するものがある。本発明は上記の結び付け管理の実施をするため、処理方法及び装置を提供する。
【0024】
(1)装置の全体構成と動作概要。
図1には、この発明の実施形態である分注作業管理装置の全体構成を示す。第1入力部1は、情報媒体より分注作業基本情報を読み取るためのものである。第2入力部2は、デバイス・試料に取り付けられた識別表示部材を読み取るためのものである。制御部3は、デバイス・試料の作業対象判定、試料の分注位置の検索もしくは算出、分注位置、試料属性情報などの出力情報を出力部5に対して引き渡しを行うためのものである。記憶部4は、分注作業管理プログラムの登録と、デバイス・試料の作業判定情報と、管理情報が後振りされる場合は、その管理情報を登録するためのものである。出力部5は、試料の分注位置、試料属性の出力、作業工程など作業支援のための情報を出力するためのものである。
【0025】
デバイス・試料に取り付けられた識別表示部材とは、医療業界において、一般的にはバーコードシールが知られている。他に、ICチップなどの利用が可能である。
【0026】
分注作業基本情報とは、デバイスを識別する情報とデバイスの分注位置に対応する分注試料を識別する情報であり、試料の色・形状・分注回数に代表される分注試料情報であり、分注作業工程の中で検索、閲覧すべき情報である。
【0027】
マイクロプレートに代表される少なくとも二つの試薬保持位置を有するデバイスに対して試料を分注する場合の装置動作は、図1の第1入力部1より、分注作業前にフロッピディスクに代表される情報媒体よりデバイス情報、試料情報を読み込む、読み込まれた情報は、図1の制御部3を経由して作業上使用しやすい状態に整えて、図1の記憶部4に登録保存する。デバイスに取り付けられた識別表示情報を図1の第2入力部2より読み込み、図1の記憶部4に登録されている情報より図1の制御部3が検索照合作業を行い作業可否の判定を行う。作業対象であれば、デバイスを図1の出力部5に設置する。試料を取り出し、図1の第2入力部2より試料に取り付けられた識別表示情報を読み込み図1の記憶部4に登録されている情報より図1の制御部3が検索照合作業を行い作業可否の判定を行う。作業対象であれば、図1の制御部3は図1の記憶部4に登録されている情報から分注すべき位置と明示すべき情報を読み取り図1の出力部5に出力情報を伝える。図1の出力部5は図1の制御部3より伝えられた情報を出力する。それに従い作業者は分注手作業を実施する。
【0028】
分注作業前に、図1の第1入力部1より情報媒体より読み込まれた情報を図1の制御部3を経由して作業上使用しやすい状態に整理して、図1の記憶部4に登録保存するとは、分注作業基本情報を照合判定・出力表示・分注位置計算の作業別に情報の分類、並び換えを行い情報の登録をする作業を示す。処理情報のデータベース化が、それに対応する。
【0029】
(2)ハードウェア構成。
図1の分注作業管理装置を汎用コンピュータで実施した場合のハードウェア構成を図2に示す。図2において、図1の第1入力部1は、USBインターフェス型携帯用フラッシュメモリーを用いるが、フロッピディスクに代表される磁気媒体もしくはネットワークを経由した仮想記憶装置も使用可能である。図1の第2入力部2は、バーコードリーダを用いるが、ICリーダ、磁気カードリーダなどデバイス・試料に取り付けられる識別表示部材に合わせた装置を準備すべきである。図1の制御部3は、汎用コンピュータ本体になる、演算・記憶・情報入出力機能を持ち、プログラムを実行できる能力があれば特に指定するものではない。但し、出力制御機能の表現能力(色、表示の大きさなど)に制限がある場合、分注位置の明示が曖昧になる可能性があるので、分注管理作業を満たす能力を持つものか注意が必要である。図1の記憶部4は、固定ディスクを用いるが、光ディスクに代表される読み書き可能な大容量記憶装置もしくはネットワークを経由した仮想記憶装置も使用可能である。図1の出力部5は、液晶ディスプレイを用いるが、汎用的な出力が可能で、分注管理作業を満たすものであれば、特に指定をするものではない。デバイスがガラス、プラスチックに代表される光源を分注する材質であれば、CRT、プラズマディスプレイに代表される汎用表示装置が使用できる、出力機能の表現能力(色、表示の大きさなど)に制限がある場合、分注位置の明示が曖昧になる可能性があるので、分注管理作業を満たす能力を持つものか注意が必要である。光源を通過させない木、瀬戸物のような材質であれば、レーザポインタに類した機器が使用できる。出力部5は、この装置の中心的存在であり、対象となるデバイス材質に最適な出力装置を選択する必要がある。これに基づき分注管理装置を作成する場合、図1の第1入力部1、制御部3、記憶部4、出力部5が一体化したノートパソコンなどが最適である。図1の第2入力部2であるバーコードリーダは、装置に接続可能なものであれば特に機器の型式は問わない。
【0030】
(3)分注箇所の明示方法。
液晶ディスプレイに代表されるコンピュータ汎用表示装置を使用した分注位置の明示方法を図3、図4に示す。図3は、対象デバイスの試料保持部位底部が透明材質である場合、底部から光源で照らし分注位置を明示するものである。常にデバイスの試料保持位置が表示装置の同じ表示位置になるようにデバイスを装置の表示原点に合わせて設置する。分注管理プログラムの実施により試料の属性情報からデバイス上の分注位置を物理値で割り出し、割り出し値を表示点(dot)情報に換算して、分注位置を認識させる情報を表示させる。光源の光がデバイスの試料保持部位底部を透過して分注口から確認できるので、作業者は的確に分注位置を知ることができる。
【0031】
図4は、対象デバイスが透明材質でなく、かつ試料保持部位が3列以上でない場合、デバイスのまわりから分注位置情報を出力するものである。常にデバイスの試料保持位置が表示装置の同じ表示位置になるように、デバイスを表示装置の表示原点に合わせて設置する。分注管理プログラムの実施により試料の属性情報からデバイス上の分注位置を物理値で割り出し、割り出し値を表示点(dot)情報に換算して、分注位置を認識させる情報を表示させる。分注位置情報が試料保持部位を認識できる近辺で表示されるので、作業者は的確に分注位置を知ることができる。
【0032】
図4の場合で分注口が3列以上でも処理は可能である。分注口を示す情報は、最も近辺位置に表示させ、補足情報として行・列位置を数字値で表示させ作業者に知らせることで対応できる。しかし、この方法では、間接的に作業内容を認知させることになるので、誤作業を誘発する恐れがある。根本的な解決方法としては、レーザポインタのようなもので上部から位置情報を照射することが望ましい。
【0033】
図3、図4の明示方法において、分注対象デバイスを汎用表示装置に設置する位置は重要である。分注対象の物理位置と、分注表示位置を結ぶものは、汎用表示装置上の表示点である。分注対象デバイスの某分注位置は、汎用表示装置上の同一位置表示点に位置しなければならない。作業毎に分注位置を示す表示点が異なることがあれば、管理プログラムは作業者に正しい分注位置を知らせることはできない。そのため、デバイス設置位置は、原点座標のように同一固定位置でなければならない。もし、分注対象デバイスが設置後移動する恐れがあるのであれば、移動空間を埋めるようなもので分注対象デバイスを固定しなければならない。
【0034】
図3、図4の明示方法は、汎用表示装置上にデバイスを直接設置するので、試料の誤分注による汎用表示装置の破損の恐れがある。この方法を実施する場合、誤分注による破損対策を考慮する必要がある。作業者が分注作業中に誤って対象デバイス外に試料を分注する場合、デバイスに接地している汎用表示装置の破損が発生する。それを回避するため汎用表示装置上には装置を保護する保護材で覆う必要がある。保護材とは、ガラス、プラスチックに代表される透明材質で破損防止可能な硬度を持つものであり、分注位置情報が読み取れ、かつ試料による破損を防護するものである。また、保護材で装置を覆うことによる蓄熱による破損が予想される場合は、装着の範囲を、破損の恐れのある箇所に限定されるべきである。
【0035】
(4)分注箇所の明示を利用して分注工程の確認。
図3の明示方法で分注工程の確認が可能である。分注工程の確認とは、分注作業が少なくとも2回ある場合、作業者に現在の分注作業状況を知らせ作業の誤りを回避させることである。実施方法には、試料色と位置表示色との混合方法と位置表示色での認識方法がある。試料色と位置表示色との混合方法とは、試料が半透明有色で個々に色が異なるとき対応するもので、試料1が黄色で、試料2が青色で位置表示色を赤色の場合、作業者が確認する色の展開は、赤→オレンジ→黒もしくは、赤→紫→黒と展開する。これにより、試料作業の順序、現在の試料を認識できる。位置表示色での認識方法とは、分注対象の各試料が透明もしくは同色のときに対応するもので、分注作業工程毎に入力装置からコンピュータに作業状況を記憶させて分注作業管理プログラムにより分注位置表示色を変えていくことで、試料作業の順序と現在の分注試料を認識させることができる。
【0036】
上記の方法を実施するにあたり、分注工程数が増えるたびに光の透過が難しくなるので、分注作業管理プログラムは、表示部の輝度を作業工程数にあわせて制御する必要がある。(暗色→明色) また、上記方法はデバイス、試料が光の透過をすることを前提に考えられているので、どちらかが光源を透過できなければ、この方法は使用できない。
【0037】
(5)ソフトウェア全体構成。
図1、図2の分注作業管理装置には、図6で示される分注作業管理プログラムが具備される。図6の出力書式出力処理12とは、作業開始時に図1の記憶部4に登録されている出力書式定義ファイルよりデバイス設置原点位置情報、デバイス分注口数、間隔および分注口算出情報を読み出し、デバイス設置位置と作業情報を図1の出力部5へ初期出力を行い、試料の位置算出の基本データ設定を行うためのものである。図6の分注作業基本情報の分類、並べ替えと登録処理10とは、図1の第1入力部1から情報媒体の分注作業基本情報を読み取り、照合判定・出力表示・分注位置計算の作業別に情報の分類、並び換えを行い、情報の登録作業をするためのものである。作業は分注作業の前処理として実施するためのものである。図6のデバイス・試料確認、作業出力処理11とは、図1の第2入力部2よりデバイス・試料に取り付けられたバーコードシールなどの識別表示部材を読み込み、図1の記憶部4に登録されている図6の分注作業基本情報ファイル14より照合情報を読み込み作業対象の判定を行う、分注試料の識別表示部材を読み込んだ場合は、分注位置、試料情報を図1の出力部5に出力するためのものである。図6の出力書式登録、修正処理13とは、作業対象となるデバイスの物理情報を出力書式定義ファイルに登録するためのものである。
【0038】
図6で示される分注作業管理プログラムは、分注作業管理装置の図1記憶部4に登録されているのが一般的ではあるが、外部記憶媒体もしくは、ネットワーク上の仮想記憶装置に登録させていても良い。
【0039】
図6の分注作業管理プログラムにおいて、試料情報よりデバイス上の分注位置を求め、その値から出力装置上の出力位置を求める機能はプログラム上必須である。この機能を有するプログラムを出力位置換算プログラムと呼ぶ。
【0040】
(6)出力位置換算プログラム。
出力位置換算プログラムは、図6のデバイス・試料確認、作業出力処理11の一部であり、物理的な位置を表示位置データに変換するための係数設定(第1工程)、試料に貼られたバーコードシールなどの識別表示部材情報と分注作業基本情報の照合からデバイスの分注位置を求める(第2工程)、第2工程で求められた分注位置より出力装置上の出力位置の算出をする(第3工程)、第3工程で求められた分注表示位置にて出力部5に表示情報を出力する(第4工程)で構成される。
【0041】
第2工程には、上の記述以外に分注作業毎に規定方法により分注位置を後決めするものがある。規定の方法とは、作業毎に1づつ加算して順番に位置を決めていく方法に代表される算出方法と、事前に作業回数と分注位置を設定した照合表に従い決めることに代表される表引き方法がある、どちらかの方法を採用した場合、デバイス・試料を識別できる情報と分注位置を作業毎に記録していく必要がある。
【0042】
出力位置換算プログラムの識別表示部材情報と分注作業基本情報の照合方法の実施例を、図7の表示装置例、図8のデバイス例にて示す。以下の実施例は、照合部分を他の方法に入れ替えることで、他の方法にも適応できる。
【0043】
図7の表示装置例は、液晶ディスプレイを代表とする汎用表示装置で表示面が平坦で表示面を水平、上向きに設置できる装置である。この実施例では、表示面の大きさを縦384ミリメートル、横512ミリメートルとして、表示能力は、縦768dot、横1024dot、最低でも8色の表示ができ、文字、グラフィック情報が表示可能なものとする。表示最小単位のdotは物理的に縦横同じの正方形とする。表示原点は、X,Y座標1dot目とする。
【0044】
図8のデバイス例は、マイクロプレートを代表とする少なくとも二つの試料保持部位を有するデバイスである。この実施例では、デバイス形状が長方形であり、大きさは、縦90ミリメートル、横128ミリメートルとして、外周余白は、縦5ミリメートル、横4ミリメートルとする。デバイスの分注口は円形で、分注口内径は、8ミリメートルとして、分注口間隔は、縦3ミリメートル、横2ミリメートルとする。分注口の並びは、縦8口、横12口で合計96口として、分注口の配置は、デバイスを横方向にして、左上より下方向に1づつ加算していくものとする。したがって、分注口横5縦3の位置は、分注口35番となる。図7の表示装置の条件により、表示画面の左上隅が設置デバイス原点位置16となる。表示装置の設置デバイス原点位置には、デバイスの4隅のうちどれかが合わさっていなければならない。そのデバイス隅は作業毎に固定されていなければならない。どの隅を原点位置にするかにより、第3工程の算出方法が変わる。実施例では、デバイスの左上を設置表示装置原点位置17と決める。
【0045】
この発明の実施にあたり、図7の表示装置例の設置デバイス原点位置16は、表示原点である左上のX,Y座標1dot目(OS・装置によっては、0dot目と表現される場合もある)が望ましい。それ以外は位置算出時にX、Y座標に対して下駄上げ値を考慮する必要があるのでプログラムのステップ数、管理データが増えることが予想される。
【0046】
デバイスが円形に代表される四隅がない形状の場合は、隅をもつアダプタを作成して汎用装置面に取り付け、該当デバイスをアダプタ内に設置することにより対応可能となる。この場合、設置表示装置原点位置17は、そのアダプタの隅となる。
【0047】
物理的な位置を表示データに変換するための係数設定(第1工程)は、以下の関数で求められる。
縦変換係数=汎用表示装置の縦長さ÷汎用表示装置の縦表示dot数
横変換係数=汎用表示装置の横長さ÷汎用表示装置の横表示dot数
【0048】
実施例では、表示最小単位のdotが物理的に縦横同じの正方形であるため、縦もしくは横の実際の長さ÷表示dot数で求めることができる。したがって実施例では、1024÷512もしくは、768÷384となり、変換係数は2となる。もし、表示dotの縦横の大きさが異なる場合は、個々に変換係数を求める必要がある。
【0049】
試料に貼られたバーコードシールに代表される識別表示部材情報と分注作業基本情報からデバイスの分注位置を求める(第2工程)は、分注作業の内容により異なるので作業に合わせたプログラミングができるが、分注すべき試料保持位置を求めることは必須である。求める方法は、既登録のファイルより検索する、作業数をカウントする、規定の関数より算出することが考えられる。実施例は、既登録のファイルより検索する場合であり、試料のバーコードシールの内容を0001で、事前に図1の記憶部4に登録されている図6の分注作業基本情報ファイル14を値0001で検索することにより、登録分注位置を26番目の分注口と求めることにする。分注口とは、デバイス上の試料保持位置の試料を入れる口部を示すものである。
【0050】
求められた縦・横位置より、表示点位置の算出をする(第3工程)とは、第2工程で求められた値に対して、物理的位置であるミリメートル値を算出することである。求める位置は、分注口の中心点である。以下の関数で求めることができる。
変数A=INT((分注口順番号+(分注口縦数−1))÷分注口縦数)
変数B=分注縦数−変数A
変数C=分注口横の長さ+分注口横間隔
変数D=分注口横の長さ÷2
分注口の横物理位置(ミリメートル)=(変数B×変数C)+変数D+横余白の長さ
変数E=分注口順番号−INT(分注口順番号÷分注口横数)×分注口横数
変数F=変数E−1
変数G=分注口縦の長さ+分注口縦間隔
変数H=分注口横の長さ÷2
分注口の縦物理位置(ミリメートル)=(変数F×変数G)+変数H+縦余白の長さ
【0051】
INT()はBASIC言語で用いられる小数点以下切捨て関数である、計算結果値に対して小数点以下切捨てを行うものであれば、別関数、プログラムサブルーチンでも問題ない。
【0052】
変数Aは、デバイスにおける分注口の横方向位置。変数Bは、設置表示装置原点位置17から横方向に数え自分注口を除いた分注口数。変数Cは、横方向算出における1分注口にかかる長さ。変数Dは分注口の横方向の中心までの長さ。横余白の長さとは、設置表示装置原点位置17から横方向に進み、始めの分注口に当たるまでの長さのことである。
【0053】
変数Eは、デバイスにおける分注口の縦方向位置。変数Fは、設置表示装置原点位置17から縦方向に数え自分注口を除いた分注口数。変数Gは、縦方向算出における1分注口にかかる長さ。変数Hは分注口の縦方向の中心までの長さ。縦余白の長さとは、設置表示装置原点位置17から縦方向に進み、始めの分注口に当たるまでの長さのことである。
【0054】
実施例は、分注口26番目の物理位置を求める。
4[変数A]=INT((26[分注口順番号]+(8[分注口縦数]−1))÷8
[分注口縦数])
8[変数B]=12[分注口横の長さ]−4[変数A]
10[変数C]=8[分注口横の長さ]+2[分注口横間隔]
4[変数D]=8[分注口横の長さ]÷2
88ミリメートル[分注口の横物理位置]=(8[変数B]×10[変数C])+4
[変数D]+4[横余白の長さ]
2[変数E]=26[分注口順番号]−INT(26[分注口順番号]÷12[投
下口縦数])×12[分注口縦数]
1[変数F]=2[変数E]−1
11[変数G]=8[分注口縦の長さ]+3[分注口縦間隔]
4[変数H]=8[分注口横の長さ]÷2
20ミリメートル[分注口の横物理位置]=(1[変数F]×11[変数G])+4
[変数H]+5[縦余白の長さ]
したがって、縦20ミリメートル、横88ミリメートルが物理位置となる。
【0055】
第3工程で求められた分注口物理位置にて出力部5に表示情報を出力とは、算出された物理位置ミリメートルから表示位置換算を行い、記憶部4に登録されている出力書式定義の内容に従い出力部5に分注位置明示出力を行うことである。最終的に出力される位置は、表示する大きさ、出力装置の出力開始位置を考慮する必要がある。以下の関数で出力位置を求めることができる。
変数J=縦物理位置(ミリメートル)×縦変換係数
分注口の縦明示表示位置(dot)=変数J−((分注口縦の長さ÷2)×縦変換係数)
変数K=横物理位置(ミリメートル)×横変換係数
分注口の横明示表示位置(dot)=変数K−((分注口縦の長さ÷2)×横変換係数)
【0056】
変数Jは、縦表示位置の換算値である。分注口の縦明示表示位置は、出力部5の装置仕様に合わせ調整した値である。変数Kは、横表示位置の換算値である。分注口の横明示表示位置は、出力部5の装置仕様に合わせ調整した値である。変数Mは、出力部5の装置仕様に合わせ調整した値であり、実際に出力すべきX座標(横)位置である。一般的な汎用表示装置は、出力物の左上が表示開始位置になるので変数K、Mの調整処理は、中心点から左上に移動させるため実際の大きさの1/2に変換係数を掛け、その値で引くことにより調整を行っている。この換算式は装置仕様により変更する必要がある。
【0057】
実施例は、第3工程での算出結果、縦20ミリメートル、横88ミリメートルの物理位置を換算処理により表示位置に変換する。
40[変数J]=20[縦物理位置(ミリメートル)]×2[縦変換係数]
32dot[分注口の縦明示表示位置]=
40[変数J]−((8[分注口縦の長さ]÷2)×2[縦変換係数])
176[変数K]=88[横物理位置(ミリメートル)]×2[横変換係数]
168[分注口の横明示表示位置]=
176[変数K]−((8[分注口横の長さ]÷2)×2[横変換係数])
表示位置X座標168dot、Y座標32dotに出力書式定義に指定された色、大きさ、点滅有無、表示文字・グラフィック情報を出力する。
【0058】
前記述の測定試料分注位置を汎用表示装置位置への換算するプログラムは、測定試料分注位置をミリメートル値に変換後、ミリメートル値から表示位置を換算処理させていることにより、算出元データの統一を行っている。したがって、各換算処理をプログラム部品で持つことにより、デバイス、出力装置の組み合わせは、プログラム部品の組み合わせにより自由に行えることができる。
【0059】
(7)出力書式定義の登録修正。
図6の分注作業管理プログラムの構成要素である図6のデバイス・試料確認、作業出力処理11と図6の作業開始時、出力書式出力処理12は、図6の出力書式定義ファイル15に連動することによりデバイスの種類に応じて分注口を明示する出力書式を変更することができる機能を特徴としている。したがって、デバイスの種類が変わってもハードウェアの変更なく分注管理作業が実施できる。この機能を実現するには、連動する図6のデバイス・試料確認、作業出力処理11と図6の作業開始時、出力書式出力処理12は、プログラムを実行するのに必要なデバイスに関する固定情報は外部データ扱いとして、図6の出力書式定義ファイル15から取り込むように作成しなければならない。前記述の出力位置換算プログラムの固定情報である縦・横変換係数、分注口の配置・数・間隔、デバイスの大きさは、外部データからの取り込み対象となる。
【0060】
図6の出力書式定義登録、修正処理13は、図6の出力書式定義ファイル15に対して情報の登録、修正を行うためにある。これにより、図6のデバイス・試料確認、作業出力処理11と図6の作業開始時、出力書式出力処理12の特徴である汎用機能を実現することができる。図6の出力書式定義登録、修正処理13の実施は、デバイスそのものを表す基本的情報を実際に計測し数字データとして登録を行う、出力装置の微調整、分注口の間隔など基本的な要素が変わらない近似デバイスの調整作業は、作業者の修正入力操作に連動させて仮想的に分注関連情報を図1の出力部5に逐次出力を行い、その出力内容と実物のデバイスとを照合することにより適値を導き出し、修正を行うことで可能である。
【0061】
実施例では、実測すべき基本情報は、デバイスの縦・横の長さ、余白部の長さであり、デバイスの分注口の縦・横の長さ、間隔、配置数であり、出力装置の縦・横の変換係数、表示単位数(dot)である。調整方法は、図1の出力部5に分注口全部の明示位置とデバイスの設置位置を示す情報を仮想的に出力させ、作業者の修正入力操作により、図8の設置表示装置原点位置17のX、Y座標移動、出力装置の縦・横の変換係数、デバイスの分注口の縦・横の長さ、間隔、配置数が逐次確認しながら修正できるようにする。
【0062】
前記述の調整方法に対応するプログラムは、キーボードに代表される作業者が逐次入力可能な入力装置からデータを取り込み、出力位置換算プログラムを取り込みデータで実行し、入力装置に同期して図1の出力部5に仮想的に全分注位置情報を出力させていくもので、作業者の指示で適値とされる情報を図6の出力書式定義ファイル15に登録するものである。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、医療機関などで使用されている検査測定機の検査体・試薬の用手分注処理方法及び装置として利用させる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】この発明の実施形態による分注作業管理装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明を汎用コンピュータで実施した場合のハードウェア構成を示す図である。
【図3】作業対象デバイスが光源を透過する場合、分注位置を明示する実践方法を示す図である。
【図4】作業対象デバイスが光源を透過しない場合、分注位置を明示する実践方法を示す図である。
【図5】作業対象デバイスが光源を透過する場合、分注位置を明示する実践方法に対応した汎用コンピュータシステム例を示す図である。
【図6】この発明の実施形態による分注作業管理プログラムのソフトウェア全体構成を示す図である。
【図7】分注位置を算出するプログラム実施例のための表示装置例を示す図である。
【図8】分注位置を算出するプログラム実施例のためのデバイス例を示す図である。
【図9】実施例の換算プログラム部品の組み合わせ例を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1 ・・・ 第1入力部
2 ・・・ 第2入力部
3 ・・・ 制御部
4 ・・・ 記憶部
5 ・・・ 出力部
6 ・・・ 汎用コンピュータ表示装置
7 ・・・ 汎用コンピュータ表示装置の表示点 ( dot )
8 ・・・ マイクロプレート形状デバイス
10 ・・・ 分注作業基本情報の分類、並べ替えと登録処理
11 ・・・ 分注位置、試料属性出力処理
12 ・・・ 作業開始時、出力書式出力処理
13 ・・・ 出力書式定義修正、変更処理
14 ・・・ 分注作業基本情報ファイル
15 ・・・ 出力書式定義ファイル
16 ・・・ 表示装置、設置デバイス原点位置
17 ・・・ デバイス、設置表示装置原点位置
18 ・・・ 試料の分注口
19 ・・・ 光源非透過デバイス





















【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二つの試料保持部位を有するひとつのデバイスに、用手作業で各試料保持部位へ試料を分注する方法において、試料保持部位と分注試料を照合するための情報を分注作業管理装置に登録させる工程(第一工程)、分注対象デバイスに取り付けられた識別表示部材から情報を読み取る工程(第二工程)、第二工程で読み取られた情報より、そのデバイスが分注対象であるか否か判定を行う工程(第三工程)、第三工程が分注対象外判定であれば作業者が誤りを示す情報を確認して分注対象デバイスを再選択して第三工程に戻り、第三工程が分注対象判定であれば分注位置出力装置上の指定位置に分注対象デバイスを設置する工程(第四工程)、選択した試料に取り付けられた識別表示部材から情報を読み取る工程(第五工程)、第五工程で読み取られた情報より分注対象試料であるか否か判定を行う工程(第六工程)、第六工程が分注対象外判定であれば作業者が誤りを示す情報を確認して分注対象試料を再選択して第五工程に戻り、第六工程が分注対象判定であれば装置上に出力された分注位置案内情報に従い分注作業を行う工程(第七工程)からなることを特徴とする分注処理方法。
【請求項2】
少なくとも二つの試料保持部位を有するひとつのデバイスに、用手作業で各試料保持部位へ試料を分注する装置において、試料保持部位と分注試料を照合するための情報を分注作業管理装置に登録する工程(第一工程)、分注対象デバイスに取り付けられた識別表示部材から情報を読み取る工程(第二工程)、第二工程で読み取られた情報より、そのデバイスが分注対象であるか否か判定を行う工程(第三工程)、第三工程が分注対象外判定であれば誤りを示す情報出力を行い、第三工程が分注対象判定であれば試料保持位置出力装置上に分注対象デバイス設置位置の案内情報を出力する工程(第四工程)、選択された試料に取り付けられた識別表示部材から情報を読み取る工程(第五工程)、第五工程で読み取られた情報より分注対象試料であるか否か判定を行う工程(第六工程)、第六工程で分注対象外判定であれば誤りを示す情報を出力し、分注対象判定であれば第一工程で登録された照合情報より試料保持位置を検索して分注案内情報を出力する工程(第七工程)を連動させることを特徴とする分注作業管理装置。
【請求項3】
少なくとも二つの試料保持部位を有するデバイスに、用手作業による分注毎に分注した試料保持位置と試料識別情報の登録を行う方法において、試料保持部位と分注試料を照合するための情報を分注作業管理装置に登録させる工程(第一工程)、分注対象デバイスに取り付けられた識別表示部材から情報を読み取る工程(第二工程)、第二工程で読み取られた情報より、そのデバイスが分注対象であるか否か判定を行う工程(第三工程)、第三工程が分注対象外判定であれば作業者が誤りを示す情報を確認して分注対象デバイスを再選択して第三工程に戻り、第三工程が分注対象判定であれば試料保持位置出力装置上の指定位置に分注対象デバイスを設置する工程(第四工程)、選択した試料に取り付けられた識別表示部材から情報を読み取る工程(第五工程)、第五工程で読み取られた情報より分注対象試料であるか否か判定を行う工程(第六工程)、第六工程が分注対象外判定であれば作業者が誤りを示す情報を確認して分注対象試料を再選択して第五工程に戻り、第六工程が分注対象判定であれば装置上に出力された分注位置案内情報に従い分注作業を行う工程(第七工程)、分注対象デバイス情報と第七工程の試料情報を分注作業管理装置に登録させる工程(第八工程)からなることを特徴とする分注作業処理方法。
【請求項4】
少なくとも二つの試料保持部位を有するデバイスに、用手作業による分注毎に分注した試料保持位置と試料識別情報の登録を行う装置において、試料保持部位と分注試料を照合するための情報を分注作業管理装置に登録する工程(第一工程)、分注対象デバイスに取り付けられた識別表示部材から情報を読み取る工程(第二工程)、第二工程で読み取られた情報より、そのデバイスが分注対象であるか否か判定を行う工程(第三工程)、第三工程が分注対象外判定であれば誤りを示す情報出力を行い、第三工程が分注対象判定であれば試料保持位置出力装置上に分注対象デバイス設置位置の案内情報を出力する工程(第四工程)、選択された試料に取り付けられた識別表示部材から情報を読み取る工程(第五工程)、第五工程で読み取られた情報より分注対象試料であるか否か判定を行う工程(第六工程)、第六工程が分注対象外判定であれば誤りを示す情報を出力し、第六肯定が分注対象判定であれば、試料分注位置を指定された算出もしくは位置情報検索処理で求め、その結果を分注案内情報として出力する工程(第七工程)、分注対象デバイス情報と第7工程の試料情報を分注作業管理装置に登録する工程(第八工程)を連動させることを特徴とする分注作業管理装置。
【請求項5】
対象デバイスの個別情報と分注処理工程情報に基づき、試料分注位置を表す位置案内情報と分注位置出力装置の情報出力機能とを修正、決定できる機能を有することを特徴とする請求項2又は4の何れか1項に記載された分注作業処理装置。
【請求項6】
試料分注位置を示す出力装置に、コンピュータの汎用表示装置を利用することを特徴とする請求項2、4又は5の何れか1項に記載された分注作業処理装置。
【請求項7】
デバイスの試料保持部位の底部から光源照射することで試料分注位置を目視確認できる機能を有することを特徴とする請求項2、4〜6の何れか1項に記載された分注作業管理装置。
【請求項8】
請求項7の装置を用いる分注作業処理方法において、デバイスへの分注作業状況と工程を試料色と位置表示色の合成色により目視確認することができることを特徴とする請求項1又は3の何れか1項に記載された分注作業処理方法。
【請求項9】
デバイスへの分注作業状況と工程を試料色と位置表示色の合成色により目視確認することができる機能を有することを特徴とする請求項2、4〜7の何れか1項に記載された分注作業管理装置。
【請求項10】
事前に登録された試料分注位置情報に基づき、試料分注位置と試料情報を出力することにより、分注作業の案内と工程管理をすることができる機能を有することを特徴とする請求項2、4〜7又は9の何れか1項に記載された分注作業装置に具備されるプログラム。
【請求項11】
分注対象デバイスの個別情報または分注処理工程に基づき、試料分注位置を示す位置案内情報と、その位置案内情報を出力する装置の情報出力機能とを修正、決定できる機能を有することを特徴とする請求項2、4〜7又は9の何れか1項に記載された分注作業装置に具備されるプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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