説明

検体検出のための比色バイオバーコード増幅アッセイ

本発明は、バイオバーコードアッセイを介して対象となる検体を検出する方法を提供する。本発明は、1つの粒子当たり多数のバーコードDNAの充填を可能にする多孔質粒子によって微量濃度の検体を検出することができる比色バイオバーコード方法、及び金属粒子に基づく比色バーコード検出方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプルにおいて1つ又は複数の標的検体の存在の有無について検出する感度のよいスクリーニング方法に関する。特に、本発明は、溶液の中の1つ又は複数の検体の検出のための生化学的なバーコードとしてレポーターオリゴヌクレオチドを利用する方法に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2005年9月16日に出願された米国仮特許出願第60/717,851号に対する優先権の利益を主張するものであり、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に援用される。
【0003】
[政府支援の記載]
本発明は、契約番号DE−AC02−05CH11231下でローレンス・バークレー国立研究所の米国エネルギー省(U.S. Department of Energy at Lawrence Berkeley National Laboratory)によって支援された研究中に行なわれた。政府は本発明において一定の権利を有する。
【0004】
[配列表に対する参照]
本出願は、紙及び電子的形態で見出される添付する配列表を参照により援用する。
【背景技術】
【0005】
多数の高感度生体分子検出方法が開発されているが、ほとんどがポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の感度を達成していない。バイオバーコード増幅アッセイは、酵素的な増幅の必要性を伴わない、タンパク質標的及び核酸標的の両方についてPCR様の感度を有する唯一の生物学的検出方法である。しかしながら、最新のバイオバーコード検出スキームは、マイクロアレイヤーに基づいたガラスチップ上のオリゴヌクレオチドの固定化、非特異的結合を最小限にする表面安定化ケミストリー、チップ上に固定された金ナノ粒子の銀増感、光散乱測定、及び定量化工程を依然として必要とする。そのようなスクリーニング方法及び検出スキームは、米国特許第20050037397号として公開された米国特許出願第10/877,750号、米国特許第20050009206号として公開された米国特許出願第10/788,414号、及び米国特許第6,974,669号として発行された米国特許出願第10/108211号に、本発明者らのうちの1人によって記述され、それのすべてはすべての目的のために参照により本明細書に援用される。
【0006】
重要なことには、マイクロアレイヤー及びチップ画像化ツールのような高度な機器は可搬性を限定し、アッセイ費用は高価にならざるをえない。バイオバーコードアッセイのアトモルの感度を犠牲にせずに、上記の条件を回避するか又は最小限にすることができれば有益であろう。
【0007】
他の当業者は、オリゴヌクレオチドでキャップされた金ナノ粒子プローブを使用する比色アッセイを記述しており、これにはRobert Elghanian, et al.著「金ナノ粒子の距離依存性の光学特性に基づくポリヌクレオチドの選択的比色検出(Selective Colorimetric Detection of Polynucleotides Based on the Distance-Dependent Optical Properties of Gold Nanoparticles)」, Science 22 August 1997; 277: 1078-1081(in Reports)、James J. Storhoff, et al著「金ナノ粒子プローブを使用する、単一塩基が不完全なポリヌクレオチドのワンポット比色アッセイによる識別(One-Pot Colorimetric Differentiation of Polynucleotides with Single Base Imperfections Using Gold Nanoparticle Probes)」, J. Am. Chem. Soc;(Article); 1998; 120(9); 1959-1964が挙げられる。しかし、金ナノ粒子に基づく比色検出法の一般的な検出限界は〜nMである。
【0008】
バイオバーコード増幅アッセイは、全サンプル中のタンパク質及び核酸のような数十から数百もの生物学的標的の検出における強力なツールとなった。しかしながら、最新のバイオバーコード検出スキームは、ガラスチップ上のオリゴヌクレオチドのマイクロアレイヤーに基づいた固定化、チップ上に固定された金ナノ粒子の銀増感、及び光散乱測定を含む多くの実験工程を未だ必要とする。したがって、アトモルの感度を達成し、上記の条件を最小限にすることができるバイオバーコードアッセイを開発する必要がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、サンプル中の検体の検出のための方法を提供する。1つの実施の形態において、本方法は、対象となる検体を含むと疑われるサンプルを準備すること、サンプルと多孔質粒子プローブ及び磁気プローブ粒子を接触させること、並びに多孔質粒子プローブ及び磁気プローブ粒子の両方が対象となる検体に結合することを可能にすることから成る。多孔質ミクロ粒子プローブは、対象となる検体を特異的に結合する第1のリガンド及びバーコードオリゴヌクレオチドを含む。磁気ナノ粒子プローブは、さらに対象となる標的検体を特異的に結合する第2のリガンドを含む。対象となる検体がサンプル中に存在する場合、複合体が、対象となる検体、多孔質ミクロ粒子プローブ及び磁気ナノ粒子プローブの間で形成される。複合体はサンプルから分離され、バーコードオリゴヌクレオチドは複合体から遊離され回収され、バーコードオリゴヌクレオチドは検出される。
【0010】
いくつかの実施の形態において、対象となる検体が、核酸、タンパク質、ペプチド、金属イオン、ハプテン、薬剤、代謝物質、殺虫剤又は汚染物質である。
【0011】
いくつかの実施の形態において、対象となる検体が、サイトカインである。
【0012】
いくつかの実施の形態において、対象となる検体が、ケモカインである。
【0013】
いくつかの実施の形態において、多孔質ミクロ粒子プローブが、ポリスチレン、セルロース、シリカ、酸化鉄、ポリアクリルアミド、又は様々な多糖、デキストラン、アガロース、セルロース並びにそれらの誘導体及び組み合わせから成る。
【0014】
いくつかの実施の形態において、多孔質ミクロ粒子プローブが、アミンにより修飾される。
【0015】
いくつかの実施の形態において、ミクロ粒子が、約0.1マイクロメートル〜約5000マイクロメートルのサイズ、好ましくは、約0.5マイクロメートル〜約10マイクロメートルのサイズ、及びさらにより好ましくは、約3マイクロメートル〜約5マイクロメートルのサイズを有する。
【0016】
いくつかの実施の形態において、多孔質ミクロ粒子プローブが、約50オングストローム〜約150オングストローム、及びより好ましくは、約90オングストローム〜約110オングストロームの孔径を有する。
【0017】
いくつかの実施の形態において、多孔質ミクロ粒子プローブが、約300m/g〜約500m/gの表面積、及びより好ましくは約400m/g〜約450m/gの表面積を有する。
【0018】
いくつかの実施の形態において、バーコードオリゴヌクレオチドが、遺伝子、ウィルスRNA若しくはウィルスDNA、細菌DNA、真菌DNA、哺乳類DNA、哺乳類cDNA、哺乳類mRNA、哺乳類RNA又は哺乳類DNA断片、天然核酸及び合成核酸、或いはアプタマーである。
【0019】
いくつかの実施の形態において、バーコードオリゴヌクレオチドが、検出可能な標識により修飾される。検出可能な標識が、ビオチン、放射標識、蛍光標識、発色団、レドックス活性基、電気的シグネチャーを伴う基、触媒基、又はラマン標識であり得る。
【0020】
いくつかの実施の形態において、バーコードオリゴヌクレオチド及びミクロ粒子が、ユニバーサルプローブのメンバーである。
【0021】
いくつかの実施の形態において、リガンドが、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体である。
【0022】
いくつかの実施の形態において、バーコードオリゴヌクレオチドの検出が比色アッセイによって行われる。いくつかの実施の形態において、比色アッセイが、第1の粒子プローブ及び第2の粒子プローブを含む溶液を準備すること、第1の粒子プローブがバーコードオリゴヌクレオチドの1つの末端に相補的な捕捉オリゴヌクレオチドを含み、第2の粒子プローブがバーコードオリゴヌクレオチドの反対の末端に相補的な捕捉オリゴヌクレオチドを含み、溶液とバーコードオリゴヌクレオチドを接触すること、並びに第1の粒子プローブ及び第2の粒子プローブへのバーコードオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを可能にすること、第1の粒子プローブ及び第2の粒子プローブはそれにより凝集体を集合させる、ここで溶液の色変化が凝集体の形成を示す、並びに当該溶液の色変化を検出することによりバーコードオリゴヌクレオチドを検出することを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
I.序論
本発明は、対象となる検体を検出する単純で極めて感度の高いバイオバーコード方法を提供する。検体検出に対するこのバイオバーコードのアプローチは、以下の理由のために重要である。第1に、この新規の方法は、バーコードプローブの表面及びサイズの調整によって、1つのプローブ当たりのバーコードDNAの数を劇的に増加することができることを示した。これは、様々な実施形態においてバーコードDNAを検出することを可能にする。1つの実施形態において、実施例中で示されるように、比色アッセイが使用される。第2に、このアッセイについての検出限界は他の従来の免疫測定法よりも桁違いに良いものである。第3に、このバイオバーコード方法は複雑な機器又は実験工程を必要としない。プローブ溶液の単純な混合及び分離は、マイクロアレイヤー、酵素による増幅及び銀増感のような複雑なシグナル増幅工程、又は高度なシグナル測定ツールを使用せずに、アトモルの感度をもたらすだろう。読み出しが色変化に基づくので、アッセイを実行するためには最小限の専門的技術しか必要としない。第4に、グラフィックソフトウェアを使用する定量化方法は、従来の金ナノ粒子に基づいた比色DNA検出スキームでは不可能だった、定量的比色バーコードDNA検出アッセイのために開発された。最終的にこのアッセイは、プローブ溶液及びTLCプレートのみが必要とされるので、ポイントオブケア(point-of-care)での適用に適切である必要がある。
II.定義
本発明を通じて使用されるように、「バーコード」、「生化学的バーコード」、「バイオバーコード」、「バーコードオリゴヌクレオチド」、「バーコードDNA」、「DNAバーコード」、「レポーターバーコード」及び「レポーターバーコードDNA」等は、互いにすべて交換可能で、同じ意味を有している。DNAバーコードは、デオキシリボ核酸又はリボ核酸のような核酸であってもよい。好ましくは、DNAバーコードはあらかじめ定められた配列のオリゴヌクレオチドである。所望の場合、DNAバーコードは、例えばビオチン、放射標識、又は蛍光標識により標識されてもよい。
【0024】
用語「粒子」は、好ましくは金属、シリカ、酸化ケイ素、又はポリスチレンから構成され得る物質の小片を指す。「粒子」は、球状又は棒型のような任意の形状になり得る。本明細書において使用されるような用語「粒子」は、具体的にはナノ粒子及びミクロ粒子の両方を包含する。
【0025】
用語「複合体」又は「プローブ複合体」又は「粒子複合体プローブ」は、標的検体を両方のリガンドに結合させて、レポーターオリゴヌクレオチド及び同じ標的検体に対して特異的なリガンドを含む磁気プローブ粒子に結合した標的検体に対して特異的なリガンドを含む多孔質ミクロ粒子から成る結合体を指す。
【0026】
用語「検体」、「対象となる検体」、又は「標的検体」は、薬剤、代謝物質、殺虫剤、汚染物質等を含む、検出される化合物又は組成物を指す。検体は、特異的結合対(sbp)のメンバーから成り、一価(モノエピトープ)又は多価(ポリエピトープ)、好ましくは抗原性又はハプテン性であり、且つ単一の化合物又は複数の化合物であり、少なくとも1つの共通のエピトープ部位又は決定基を共有するリガンドであり得る。検体は、細菌若しくはA、B、D等のような血液型抗原又はHLA抗原を有する細胞のような細胞の一部、或いは微生物(例えば細菌、真菌、原生動物、又はウィルス)であり得る。検体がモノエピトープである場合、検体はさらに例えば、化学的に修飾し、1つ又は複数の付加的な結合部位を提供することができる。本発明の実行において、検体には少なくとも2つの結合部位がある。
【0027】
用語「リガンド」は、受容体が自然に存在又は調製することができる任意の有機化合物を指す。用語リガンドは、修飾されたリガンドであるリガンドアナログ、通常100より大きい分子量の通常は有機基又は検体のアナログも含み、類似したリガンドと受容体を競合することができ、修飾は他の分子にリガンドアナログを結合する手段を提供する。リガンドアナログは、通常は結合を伴う水素の置換(リガンドアナログを中心(hub)又は標識へ連結する)以外でリガンドとは異なるであろうが、そうである必要はない。リガンドアナログはリガンドに類似する様式で受容体に結合することができる。アナログは、例えば、リガンドへの抗体のイディオタイプに対する抗体であり得る。
【0028】
用語「受容体」又は「アンチリガンド」は、分子の特定の空間的構造及び特定の極性構造(例えば、エピトープ部位又は決定基)を認識することができる任意の化合物又は組成物を指す。例示的な受容体は、天然に存在する受容体、例えばチロキシン結合グロブリン、抗体、酵素、Fabフラグメント、レクチン、核酸、核酸アプタマー、アビジン、プロテインA、バーサー(barsar)、補体成分C1q等を含む。アビジンは、ストレプトアビジンのような他のソース由来の卵白アビジン及びビオチン結合タンパク質を含むことが意図される。
【0029】
用語「特異的結合対(sbp)メンバー」は、2つの異なる分子のうちの1つを指し、それは他の分子の特定の空間的構造及び/又は特定の極性構造と特異的に結合し、相補的なものとして定義することができる。特異的結合対のメンバーはリガンド及び受容体(アンチリガンド)と呼ぶことができる。これらは、通常は抗原−抗体のような免疫学的対のメンバーになるだろうが、ビオチン−アビジン、酵素−基質及び酵素−アンタゴニスト及び酵素−アゴニスト、薬剤−標的分子及びホルモン−ホルモン受容体及び核酸二重鎖及びIgG−プロテインA/プロテインG、DNA−DNA、DNA−RNAのようなポリヌクレオチド対、タンパク質−DNA、脂質−DNA、脂質−タンパク質、多糖−脂質、タンパク質−多糖、核酸アプタマー及び関連する標的リガンド(例えば、低分子有機化合物、核酸、タンパク質、ペプチド、ウィルス、細胞等)のような他の特異的結合対等は、免疫学的対でないが、本発明及びsbpメンバーの定義に含まれる。特異的結合対のメンバーは、分子全体、又はメンバーが特異的結合対を形成するために標的検体上の結合部位に特異的に結合する限り、分子の一部のみであり得る。
【0030】
用語「特異的結合」は、他の分子の実質的に少ない認識と比較して、他の分子に対して2つの異なる分子のうちの1つの特異的認識を指す。一般に分子は、表面上に又はくぼみ(cavities)の中に、2つの分子間に特異的認識を生じさせる領域を有する。特異的結合の例示的なものは、抗体−抗原相互作用、酵素−基質相互作用及びポリヌクレオチド相互作用等である。
【0031】
BLASTN(Altschul, S.F., Gish, W., Miller, W., Myers, E.W. & Lipman, D. J.著(1990) 「基本的な局所的アライメント検索ツール。(Basic local alignment search tool.)」J. Mol. Biol. 215:403-410)を使用し、他のポリヌクレオチド(又はその相補鎖)と(適切なヌクレオチド挿入又はヌクレオチド欠失により)最適にアライメントさせたとき、ヌクレオチド塩基の少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、及びより好ましくは少なくとも約95〜98%のヌクレオチド配列の同一性があれば、本明細書において使用されるように、ポリヌクレオチド又はその断片は、他のものに「実質的に相同」(「実質的に類似」)である。2つの異なるポリヌクレオチド間の相同性を求めるために、相同性パーセントは、BLASTNプログラム「BLAST2配列」のようなアライメントプログラムを使用して求められる。このプログラムは、インターネット上で全米バイオテクノロジー情報センター(National Center for BIotechnolgoy Information)(NCBI)から公共で利用可能である(Tatiana A. Tatusova, Thomas L. Madden著(1999)、「Blast2配列−タンパク質配列及びヌクレオチド配列の比較のための新規のツール(Blast 2 sequences - a new tool for comparing protein and nucleotide sequences)」、FEMS Microbiol Lett. 174:247-250)。使用することができるパラメーターは、カッコの中に示される初期設定パラメーターにより計算された最も高い相同性パーセント(以下で計算されるように)をもたらす以下の組み合わせすべてである:
プログラム − blastn
マッチに対するリワード(Reward:獲得点) − 0又は1(1)
ミスマッチに対するペナルティー(Penalty:減得点)− 0、−1又は−2又は−3(−2)
オープンギャップペナルティー − 0、1、2、3、4又は5(5)
エクステンションギャップペナルティー − 0又は1(1)
ギャップx_ドロップオフ − 0又は50(50)
期待値 − 10
文字列サイズ − 11
フィルター − 低複雑度。
【0032】
用語「抗体」は、特異的に結合する免疫グロブリンを指し、それにより他の分子の特定の空間的構造及び特定の極性構造に相補的なものとして定義される。抗体はモノクローナル又はポリクローナルであってもよく、当該技術分野において周知の宿主の免疫処置及び血清(ポリクローナル)の回収等の技法によって、又は継続的なハイブリッド細胞株の調製及び分泌タンパク質(モノクローナル)の回収によって、又は少なくとも自然抗体の特異的結合に必要なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列若しくはその変異型のクローニング及び発現によって調製することができる。抗体は、完全な免疫グロブリン又はその断片を含んでいてもよく、その免疫グロブリンは、IgA、IgD、IgE、IgG1、IgG2a、IgG2b及びIgG3、IgM等のような、様々なクラス及びアイソタイプを含む。その断片はFab、Fv及びF(ab’)2、Fab’等を含んでもよい。さらに、特定の分子への結合親和性が維持される限り、適切な場合には、免疫グロブリン又はそれらの断片の凝集体、重合体、及び結合体を使用することができる。
III.サンプル中の検体を検出する方法
これより図1Bを参照して、本発明の1つの実施形態は、サンプルから対象となる検体を検出する方法を提供する。本方法は、対象となる検体を含むと疑われるサンプルを準備すること、サンプルと多孔質粒子プローブ及び磁気プローブ粒子を接触させること、並びに多孔質粒子プローブ及び磁気プローブ粒子の両方が対象となる検体に結合することを可能にすることを含む。多孔質粒子(すなわち、ミクロ粒子又はナノ粒子)プローブは、対象となる検体を特異的に結合する第1のリガンド及びバーコードオリゴヌクレオチドを含む。磁気プローブ粒子(すなわちナノ粒子)は、さらに対象となる標的検体を特異的に結合する第2のリガンドを含む。対象となる検体がサンプルにおいて存在する場合、複合体が、対象となる検体、多孔質粒子プローブ及び磁気プローブ粒子の間で形成される。複合体はサンプルから分離され、バーコードオリゴヌクレオチドは複合体から遊離し回収され、バーコードオリゴヌクレオチドが検出される。
【0033】
図1Bにおいて示されるように、多孔質ミクロ粒子プローブ及び磁気プローブ粒子(両方とも対象となる検体を捕捉するためにリガンドにより官能化される)は、対象となる検体を含むと疑われるサンプルに混合される。混合に際して、対象となる検体に結合されたリガンドによって、ともに連結された磁気プローブ粒子及び多孔質ミクロ粒子プローブを含むプローブ複合体を形成するために、存在する場合対象となる検体は、磁気プローブ粒子及び多孔質ミクロ粒子プローブの両方の上のリガンドに結合する。
【0034】
1つの実施形態において、本方法は、オリゴヌクレオチドにより標識された粒子への対象となる検体の結合事象、及び引き続くそれらの結合事象の検出を利用する。本明細書において記述された方法の最終的な工程は、通常のDNAの界面化学に依存する。したがって、それは、最先端技術の粒子DNA検出方法の高感度な態様の多くを組み込むことができるが、むしろ検出事象の間に存在するタンパク質のないDNAではなく、タンパク質のような様々な生体分子を検出することを可能にする。表面のアッセイについては、タンパク質は固体支持体に対するより大きな非特異的結合を示す傾向があり、しばしばより高いバックグラウンドシグナルをもたらすので、タンパク質で行うのは、短いオリゴヌクレオチドよりも典型的には困難である。最終的には、均質なアッセイについては、これらのナノ粒子構造に関連した非常に急な融解プロファイルは、正常且つ広範囲なDNA融解挙動を示すプローブにより可能な設計よりも多くのバイオバーコードの設計を可能にするだろう。
【0035】
本発明は、検出アッセイの使用に適切な、粒子に結合されたオリゴヌクレオチドを有する任意の適切な粒子の使用を意図する。本明細書において説明されるように、ミクロ粒子、磁気プローブ粒子及びナノ粒子は各々、複数のオリゴヌクレオチドを結合するだろう。その結果、粒子−オリゴヌクレオチド結合体は各々、相補的な配列を有する複数のオリゴヌクレオチド又は核酸へ結合することができる。
【0036】
オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドのうちの少なくともいくつかが官能基によってナノ粒子へ結合することを可能にするのに十分な時間、水溶液中の粒子と接触する。そのような時間は経験的に決定することができる。例えば、約12〜24時間の時間が良好な結果を与えることが見いだされている。検出が診療所で行われるいくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションについては、好ましい時間は10分〜12時間であり得る。オリゴヌクレオチドの結合に適切な他の条件も経験的に決定することができる。例えば、約10〜20nM濃度のナノ粒子、及び室温でのインキュベーションは良好な結果を与える。
【0037】
プローブ複合体は、プローブ複合体の形成後にサンプルから分離される。好ましい実施形態において、このことはプローブ複合体中の磁性粒子を引きつけてサンプルからの単離又は分離を可能にする磁界(例えば磁気的分離装置による)へのサンプルの曝露により容易になされる磁気的分離によって行なわれる。したがって、本発明の1つの態様において、粒子プローブ複合体は、バーコードオリゴヌクレオチドを有するミクロ粒子及びリガンドを含み、このリガンドは対象となる特異的な検体へ結合され、対象となる検体も磁気プローブ粒子上の他のリガンドへ結合される。
【0038】
サンプルからの分離後に、プローブ複合体中の多孔質ミクロ粒子へ結合されたバーコードオリゴヌクレオチドは遊離され、さらなる検出又はアッセイのために捕捉される。バーコードは、粒子の表面へのバーコードの結合を崩壊させる化学的な遊離剤によって結合されている粒子を遊離することができる。そのような薬剤は、これらに限定されないが、他のチオール又はジスルフィド含有分子、ジチオトレイトール(DTT)、ジチオエリスリトール(DTE)、メルカプトエタノール等のようなチオール結合を通して粒子へ優先的に結合する任意の分子、並びにそれらが結合されている粒子からバーコードを遊離して、その結果としてジスルフィド結合を切断する水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤を含む。バーコードが粒子へ結合されることにより、バーコードがオリゴヌクレオチドから脱ハイブリダイズする条件にバーコードを曝露することにより、バーコードも粒子から遊離することができる。
【0039】
次に、バーコード又はレポーターのオリゴヌクレオチドは任意の適切な手段によっても検出されてもよい。一般に、バーコードは検出前に脱ハイブリダイゼーションを介して複合体から遊離される。複合体からバーコードを脱ハイブリダイズによって遊離する、任意の適切な溶液又は媒体が使用されてもよい。代表的な媒体は水である。
【0040】
a.対象となる検体
対象となる検体は、核酸分子、タンパク質、ペプチド、ハプテン、金属イオン、薬剤、代謝物質、殺虫剤又は汚染物質であってもよい。本方法は、毒素、ホルモン、酵素、レクチン、タンパク質、シグナル伝達分子、無機分子若しくは有機分子、抗体、混入物、ウィルス、細菌、他の病原性生物、イディオトープ又は他の細胞表面マーカーのような検体の存在を検出するために使用することができる。対象となる検体を含むと疑われているサンプル中の対象となる検体の存在の有無を検出するために、本方法を使用できることが意図される。
【0041】
いくつかの実施形態において、標的検体は核酸から成り、特異的結合相補物はオリゴヌクレオチドである。或いは、標的検体はタンパク質又はハプテンであり、特異的結合相補物はモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を含む抗体である。或いは、標的検体はゲノムDNAサンプル由来の配列であり、特異的結合相補物がオリゴヌクレオチドであり、このオリゴヌクレオチドはゲノム配列の少なくとも一部に相補的な配列を有する。ゲノムDNAは、真核生物DNA、細菌DNA、真菌DNA又はウィルスDNAであってもよい。
【0042】
1つの実施形態において、特定のサイトカインの検出は、癌の診断に使用することができる。対象となる具体的な検体は、実施例中に示されるようなIL−2のようなサイトカインを含む。サイトカインは、サイトカインが造血の調節に中心的な役割を果たすという点で対象となる重要な検体であり、多様な表現型の細胞の分化、移動、活性化及び増殖を媒介する。ヒトが異種抗原により感染する場合、サイトカインがシグネチャーバイオマーカーであるので、サイトカインの改良された検出限界は、癌及び免疫不全関連疾患のより迅速で且つより正確な診断及び治療を可能にし、サイトカイン関連の疾患及び生物学の理解の向上をもたらすだろう。
【0043】
ケモカインは他の重要なクラスの対象となる検体である。ケモカインは、細菌感染、ウィルス、及びシリカ又は尿酸結晶のような物理的な損傷を引き起こす薬剤に応じて様々な細胞から放出される。それらは、血液から感染部位又は損傷部位に単球、好中球及び他のエフェクター細胞を動員して、白血球のための化学誘引物質として主に機能する。それらは多くの様々な細胞型によって放出され、先天免疫に関与する細胞及び適応免疫系のリンパ球の誘導にも役立ち得る。したがって、ケモカインの改良された検出限界は、すなわち細菌感染及びウィルス感染のための、より迅速で且つより正確な診断及び治療を可能にするだろう。
【0044】
いくつかの実施形態において、標的検体は、HIV、クラミジア、ナイセリア属髄膜炎菌(Neisseria meningitides:ナイセリア・メニンギチジス)、ブタ連鎖球菌(Streptococcus suis)、サルモネラ菌、流行性耳下腺炎、ニューカッスル病、並びにレオウイルス、センダイウイルス、及びミクソウイルスを含む様々なウィルスを検出するためのシアル酸、並びにコロナウイルス、脳脊髄炎ウィルス及びロタウイルスを検出するための9−OACシアル酸、サイトメガロウィルス及びはしかウィルスを検出するための非シアル酸糖タンパク質、HIVを検出するためのCD4、脈管活性腸管ペプチド、及びペプチドT、牛痘を検出するための表皮増殖因子、狂犬病を検出するためのアセチルコリン受容体、エプスタイン−バーウィルスを検出するためのCd3補体受容体、レオウイルスを検出するためのβ−アドレナリン受容体、ライノウイルスを検出するためのICAM−1、N−CAM及びミエリン関連糖タンパク質MAb、ポリオウイルスを検出するためのポリオウイルス受容体、ヘルペスウィルスを検出するための線維芽細胞増殖因子受容体、大腸菌(Escherichia coli)を検出するためのオリゴマンノース、ナイセリア属髄膜炎菌を検出するためのガングリオシドGM1、及び広範囲に様々な病原菌(例えば淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、ビブリオ・バルニフィカス(V.vulnificus)、腸炎ビブリオ(V.parahaemolyticus)、コレラ菌(V.cholerae)、及びビブリオ・アルギノリチカス(V.alginolyticus))を検出するための抗体を含むが、これらに限定されない様々な病原性生物であってもよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、複数の対象となる検体は、異なる対象となる検体に対して特異的な複数のリガンドの利用、及び対象となる各々の検体に対応する別のバーコードオリゴヌクレオチドの利用により検出することができる。
【0046】
b.サンプル
対象となる検体は、宿主由来の体液のようなサンプルにおいて直接見出され得る。宿主は、哺乳類、爬虫類、鳥類、両生類、魚類又は昆虫類であってもよい。好ましい実施形態において、宿主はヒトである。体液は、例えば、尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、便、痰、脳脊髄液、涙液、粘液、膿、粘液等であり得る。粒子は生細胞又は生細胞を含むサンプルに混合することができる。
【0047】
サンプルが生細胞又は生細胞を含むサンプルである場合には、細胞の表面のタンパク質又は他の分子は対象となる検体として役立ち得る。このことは、細胞活性化事象及び細胞増殖事象、細胞間相互作用、多重化、並びに他の生理的に関連する事象の検出を可能にする。
【0048】
c.多孔質ミクロ粒子プローブ
好ましい実施形態において、本方法は多孔質ミクロ粒子、及び直接的な読み出しのための金属ナノ粒子に基づいた比色DNA検出スキームを利用する(図1)。好ましい実施形態において、多孔質ミクロ粒子プローブは、標的検体及び特異的なバーコードDNA配列であるバーコードオリゴヌクレオチドを捕捉するためのリガンドが特徴である必要がある。
【0049】
1つの実施形態において、バーコードオリゴヌクレオチドがミクロ粒子の孔の中に浸透する、ミクロ粒子は定義された多孔率を有しており、定義されたサイズ範囲を有する孔から成る多孔質粒子である。多孔質ミクロ粒子の使用は、1つの粒子当たり何百万ものバーコードDNAを格納し、したがってアトモルの感度を備えた比色バーコードDNA検出スキームの使用を可能にする。このスキームは、バイオバーコード増幅方法のアトモルの(10−18M)感度、並びに金ナノ粒子に基づいた比色検出方法の単純性、可搬性及び低コスト性を有するので、これは重要な進歩である。
【0050】
いくつかの実施形態において、多孔質ミクロ粒子プローブはシリカ及び酸化鉄を含む材料から成り得る。本明細書において使用されるような用語「ミクロ粒子」は、生物分解性又は非生物分解性であるか、天然に存在するもの又は合成されたものから成るか、有機材料又は無機材料であるかにかかわらず多孔質である、任意の微粒子ビーズ、球体、粒子又は担体を包含するように意図される。特に、ミクロ粒子は、約0.1マイクロメートル〜約5000マイクロメートル、より好ましくは約1〜5μmの直径、及びさらにより好ましくは約3〜4μmの直径を有する任意の微粒子ビーズ、球体、粒子又は担体を含む。用語「約」は、本明細書において使用されるように提供される範囲の±1単位以内を含むことを意味する。他の実施形態において、多孔質シリカミクロ粒子(1.57×10/ml直径:3.53±0.49μm)が使用される。
【0051】
本発明のミクロ粒子は、ポリスチレン、シリカ、酸化鉄、ポリアクリルアミド、及びデキストラン、アガロース、セルロースを含む様々な多糖類、並びに修飾され、架橋され及び誘導体化されたその実施形態から成る。本発明のミクロ粒子の具体的な例は、ポリスチレン、セルロース、ビスアクリルアミド(バイオゲル(Biogel)(商標)、Bio-Rad、アメリカ合衆国)により架橋されたデキストラン、アガー、ガラスビーズ及びラテックスビーズを含む。誘導体化されたミクロ粒子は、カルボキシメチル基、フォスフォリル基及び置換フォスフォリル基のようなカルボキシアルキル基、硫酸基、スルフヒドリル基及びスルホニル基、並びにアミノ基及び置換アミノ基により誘導体化されたミクロ粒子を含む。
【0052】
粒子のサイズ、形状及び化学組成は、バーコードDNAを含む結果として生じるプローブの特性に寄与するだろう。これらの特性は、光学的特性、光電子工学的特性、電気化学的特性、電子的特性、様々な溶液における安定性、フィルターとして作用しながら生物活性分子を分離する能力等を含む。異なるサイズ、形状及び/又は化学組成を有する粒子の混合物の使用、並びに均一のサイズ、形状及び化学組成を有する粒子の使用が検討される。
【0053】
いくつかの実施形態において、ミクロ粒子はアミノ官能化され、次に、リガンド及びバーコードオリゴヌクレオチドと共に反応させた。好ましい実施形態において、多孔質ミクロ粒子プローブはシリカ及び酸化鉄から成り、他の生体分子によるさらなる修飾のためにアミン基により官能化される。例えば、そのような粒子はPHENOMENEX(カリフォルニア州トランス)から得ることができる。アミノ官能化された粒子に結合するタンパク質に作用するために、類似したグルタルアルデヒドリンカーケミストリーが他の研究者によって広く使用された。
【0054】
他の実施形態において、以下に記述されるようなナノ粒子を官能化する方法が、多孔質ミクロ粒子プローブを官能化するために使用されてもよい。いくつかの実施形態において、シリカコートされた磁性粒子は、アミンによりシリカ表面を官能化する官能化されたアミノ−シラン分子である。
【0055】
プローブ上に組み込むことができるバーコードオリゴヌクレオチドの数、及びしたがって感度に影響する多孔質ミクロ粒子の他の特性は、表面積、孔径、孔の相互連結性、親水性及び孔分布を含む。
【0056】
i.表面積
1つのプローブ当たりのバーコードオリゴヌクレオチドの数は、様々な実施形態が2つ以上のバーコードオリゴヌクレオチドを検出することも可能にする、バーコードプローブの表面及びサイズの調製により劇的に増加する。バイオバーコードアプローチにおいて、最終的な検出シグナルが捕捉されたバーコードDNAの量に比例するので、1つのプローブ当たりのバーコードオリゴヌクレオチドの数は重要である。
【0057】
いくつかの実施形態において、多孔質粒子の表面積は、約300m/g〜約500m/g、より好ましくは約400m/g〜約450m/gである。
【0058】
好ましい実施形態において、プローブのサイズ(数マイクロメートル)及び多孔率(porosity)を大きくすると、過去のアプローチ(孔を有しない数十ナノメートルの粒子)に比べて有意に増加したバーコードオリゴヌクレオチドの充填をもたらす。UV−Vis分光法(一本鎖DNAについてUV吸収ピークは260nmにある)を使用して、約3.5マイクロメートルのビーズ当たりバーコードオリゴヌクレオチドの平均総数が、約3.6×10個であると決定された。1つのナノ粒子プローブ当たり何百のバーコードDNAだけしか保持することができない他のナノ粒子に基づいたバーコードプローブと比較して、本ミクロ粒子は、1つのバーコードプローブ当たりのバーコードオリゴヌクレオチドの数の点で、数桁分多い増幅をもたらす。
【0059】
ii.孔径
孔径はさらに多孔質粒子の重要な態様である。バーコードオリゴヌクレオチドが、バーコードの粒子への結合の時に孔に入ることができ、検出のためにバーコードオリゴヌクレオチドを遊離する場合、孔を出ることができるように、孔径は十分に大きくなくてはならない。
【0060】
したがって、いくつかの実施形態において、孔径は約50オングストローム〜約150オングストローム、より好ましくは約90オングストローム〜約110オングストロームである。
【0061】
iii.相互連結性
多孔質粒子中の孔の相互連結性は、サンプル又は流出物が多孔質粒子を通じて流出することを可能にする。これらの「チャンネル」は、孔内からのバーコードDNAの調製及び遊離のための手段を提供する。さらに、チャンネルを有することによって、バーコードDNAの流入及び遊離を妨害することができる孔内のエアポケットの形成を阻害する。
【0062】
したがって、好ましい実施形態において、多孔質粒子は、バーコードDNAのより大きな格納能力、並びに粒子からのバーコードDNAのより良好な結合及び遊離が可能であるチャンネルを有する。
【0063】
iv.親水性
好ましい実施形態において、多孔質粒子は親水性であり、全くかそれに近い疎水性しか有しない。親水性の多孔質粒子は、検出のためのバーコードDNAの有効なプローブ調製及び有効な遊離を可能にする。
【0064】
v.孔分布
好ましい実施形態において、多孔質粒子は、各粒子の構造的な完全性に否定的に影響せずに、粒子上に組み込むことができる最大数の孔を有するだろう。
【0065】
孔分布又は1つの粒子当たりの孔の数は、粒子上に格納することができるバーコードDNAの数にも影響し得る。孔の数は各粒子の表面積に直接的な効果を有している。しかしながら、粒子が有することができる孔の数には制限がある。あまりにも多くの孔が各粒子へ組み込まれる場合、粒子の構造的な完全性が損なわれるかもしれない。
【0066】
d.リガンド
対象となる検体を捕捉するために結合されたリガンドは、多孔質粒子プローブ及び磁性粒子プローブに、結合されるか、除去できるように結合されるか、共有結合されるか、又は非共有結合されてもよい。
【0067】
多孔質粒子プローブに結合されたリガンド及び磁性粒子プローブに結合されたリガンドの両方は、対象となる検体に特異的に結合する。したがって、好ましい実施形態において、対象となる検体は各々のリガンドが特異的に結合することを可能にする少なくとも2つの結合部位を有する。
【0068】
リガンドは、特定の結合対メンバーとして既知の検体を有する任意の分子又は物質であり得る。したがって、特定の結合対のそれぞれのメンバーは、核酸、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸、ポリペプチド、抗原、炭水化物、アミノ酸、ホルモン、ステロイド、ビタミン、ウイルス、多糖、脂質、リポ多糖、糖タンパク質、リポタンパク質、核タンパク質、アルブミン、ヘモグロビン、凝固因子、ペプチドホルモン、非ペプチドホルモン、ビオチン、ストレプトアビジン、サイトカイン、ケモカイン、腫瘍特異的エピトープを含むペプチド、細胞、細胞表面分子、微生物、小分子、酵素、受容体、チャンネル、発色団、キレート化合物、リン酸及び反応性基(a phosphate and reactive group)、分子認識複合体、ジニトロフェノール、電子供与基又は電子受容基、疎水性化合物、親水性化合物、有機分子、及び無機分子であってもよい。
【0069】
いくつかの実施形態において、対象となる検体がタンパク質、ハプテン又はペプチドである場合には、リガンドはモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体である。抗体がリガンドとして使用される場合には、磁気プローブ粒子を官能化するために使用される抗体のエピトープは、異なるカップリングケミストリーの使用によってミクロ粒子プローブを調製するために使用される抗体のエピトープとは異なる。したがって、好ましい実施形態において、リガンドとして選択された抗体は2つの異なるエピトープを有する既に作製された抗体である。重要な疾病マーカーについては、異なるエピトープを有する多くの高品質抗体が、学術的及び市販の手段によって容易に入手可能である。さらに、当業者によってリガンドに対する抗体を作製することができることは当技術分野において認識される。
【0070】
いくつかの実施形態において、対象となる検体が核酸である場合には、リガンドは少なくとも核酸の配列の少なくとも一部に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドである。
【0071】
いくつかの実施形態において、対象となる検体がゲノムDNAサンプル由来のものである場合には、リガンドはゲノムの配列に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドである。
【0072】
アミノ官能化された磁性粒子は、標的検体に対してリガンドへ連結された。好ましい実施形態において、抗体がリガンドとして使用される場合には、抗体のエピトープは、グルタルアルデヒド−アミンカップリングケミストリーを使用してバーコードDNAを調製するために使用される抗体のエピトープとは異なる。
【0073】
e.バーコードオリゴヌクレオチド
好ましい実施形態において、標的検体を捕捉するために多孔質ミクロ粒子プローブへ結合されたバーコードオリゴヌクレオチドは、結合されるか、除去できるように結合されるか、共有結合されるか、又は非共有結合されてもよい。
【0074】
ナノスフェア表面上へのオリゴヌクレオチドの結合に対して、任意の適切な方法が使用されてもよい。表面上にオリゴヌクレオチドを結合する特に好ましい方法は、1999年6月25日に出願された米国特許出願第09/344,667号、2000年6月26日に出願された同第09/603,830号、2001年1月12日に出願された同第09/760,500号、2001年3月28日に出願された同第09/820,279号、2001年8月10日に出願された同第09/927,777号、及び1997年7月21日に出願された国際出願番号PCT/US97/12783、2000年6月26日に出願されたPCT/US00/17507、2001年1月12日に出願されたPCT/US01/01190、2001年3月28日に出願されたPCT/US01/10071に記述されるエージング過程(aging process)に基づき、これらの開示はそれらの全体において参照により援用される。エージング過程はナノ粒子−オリゴヌクレオチド結合体に意外な促進された安定性及び選択性を提供する。
【0075】
1つの実施形態において、本方法はナノ粒子へ結合することができる官能基を含む部分を、好ましくは共有結合させたバーコードオリゴヌクレオチドを提供することを含む。この部分及び官能基は、ナノ粒子へのオリゴヌクレオチドの結合(すなわち化学吸着又は共有結合による)を可能にするものである。例えば、アルカンチオール、アルカンジスルフィド又は環状ジスルフィドを5’末端又は3’末端へ共有結合するオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドを金ナノ粒子を含む様々なナノ粒子へ結合するために使用することができる。ナノ粒子へオリゴヌクレオチドを結合する方法は、米国特許第20050037397号として公開された米国特許出願第10/877,750号にさらに記述されており、参照により本明細書に援用される。
【0076】
いくつかの実施形態において、バーコードオリゴヌクレオチドはリンカーによってミクロ粒子へ結合されている。市販の多くのアミン反応性リンカー(共有結合のため)がある。したがって、ミクロ粒子はアミンにより一般に修飾されることが検討される。好ましくは、リンカーは、環状ジスルフィドへ結合される炭化水素部分をさらに含む。適切な炭化水素は市販されており、環状ジスルフィドへ結合されている。好ましくは、炭化水素部分はステロイド残基である。環状ジスルフィドへ結合されたステロイド残基を含むリンカーを使用して調製されたオリゴヌクレオチド−粒子結合体は、リンカーとしてアルカンチオール又は非環式ジスルフィドを使用して調製された結合体と比較して、チオール類(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)溶液において使用されるジチオスレイトール)に対して著しく安定であることが予想外に見出された。実際、他の研究により、本発明のオリゴヌクレオチド−粒子結合体が300倍安定していることが見出された。米国特許出願第10/877,750号を参照されたい。この安定性は、おそらく各々のオリゴヌクレオチドが、単一の硫黄原子ではなく、2つの硫黄原子によってミクロ粒子につなぎ留められるという事実のためである。特に、環状ジスルフィドの2つの近接する硫黄原子はオリゴヌクレオチド−ミクロ粒子結合体の安定化に有利なキレート効果があるだろうと考えられる。リンカーの大きい疎水性ステロイド残基は、さらにナノ粒子の表面への水溶性分子の接近からミクロ粒子をスクリーニングすることにより、結合体の安定性に寄与すると思われる。
【0077】
他の実施形態において、バーコードオリゴヌクレオチドは硫黄に基づく官能基を使用して、ミクロ粒子へ結合される。米国特許出願第09/760,500号及び同第09/820,279号、及び国際出願番号PCT/US01/01190及びPCT/US01/10071は、本発明を実行するのに役立つ環状ジスルフィドにより官能化されたオリゴヌクレオチドを記述する。環状ジスルフィドは、好ましくはその環中に2つの硫黄原子を含む5つの原子又は6つの原子を有する。適切な環状ジスルフィドは市販されているか、又は既知の手順により合成されてもよい。環状ジスルフィドの還元型も使用することができる。
【0078】
1つの実施形態において、エタノールアミンはミクロ粒子上の未反応の反応部位をすべて不動態化するために使用される。ウシ血清アルブミンのようなタンパク質も、ミクロ粒子表面上の不活性領域をさらに不動態化するために、加えて又は代わりに使用することができる。
【0079】
定義に記述されているように、DNAバーコードはデオキシ核酸又はリボ核酸のような核酸であってもよい。好ましくは、DNAバーコードはあらかじめ定められた配列のオリゴヌクレオチドである。DNAバーコードオリゴヌクレオチドは、遺伝子、ウィルスRNA及びウイルスDNA、細菌DNA、真菌DNA:哺乳類DNA、哺乳類cDNA、哺乳類mRNA、哺乳類RNA及び哺乳類DNA断片、オリゴヌクレオチド、合成オリゴヌクレオチド、修飾されたヌクレオチド、一本鎖核酸及び二本鎖核酸、天然核酸及び合成核酸、並びにアプタマーを含み得る。
【0080】
前もって定義した配列のオリゴヌクレオチドを作製する方法は周知である。例えばSambrook et al.、モレキュラークローニング:実験手引き書(Molecular Cloning :A Laboratory Manual)(第2版1989)、並びにF. Eckstein(編)オリゴヌクレオチド及びアナログ(Oligonucleotides and Analogues)、第1版(Oxford University Press、ニューヨーク、1991)を参照されたい。固相合成方法は、オリゴリボヌクレオチド及びオリゴデオキシリボヌクレオチドの両方に対して好ましい(DNAを合成する周知の方法は、RNAを合成するのにも有用である)。オリゴヌクレオチドは酵素によっても調製することができる。結合された標的検体への特異的結合相補物を有するオリゴヌクレオチドについては、タンパク質のような特異的結合相補物をオリゴヌクレオチドへ結合する任意の適切な方法が使用されてもよい。
【0081】
本発明は、アニーリング温度のための最適化、鋳型に対する配列の特異性、及び配列の長さを含む、当業者に公知の技術により設計された配列を使用することを意図する。配列の設計は、オリゴ6(Oligo6)(Molecular Biology Insights, Inc.、コロラド州カスケード)のようなプライマー予測ソフトウェアを使用して行うことができる。プライマー設計のためのカスタムされたスクリプト及びソフトウェアも使用することができる。
【0082】
任意の特有のオリゴヌクレオチド配列及びその相補的な配列もバーコードオリゴヌクレオチドに使用することができる。バーコードオリゴヌクレオチドとして使用されるオリゴヌクレオチド配列は、ストリンジェントな条件下でそれらの相補的な配列をハイブリダイズすることが好ましい。本明細書において使用される用語「ストリンジェントな条件」は、配列がその標的部分配列又は相補物にハイブリダイズするが、他の配列にはハイブリダイズしない条件を指す。ストリンジェントな条件は配列依存的であり、異なる状況では異なるだろう。より長い配列はより高い温度で特異的にハイブリダイズする。一般に、ストリンジェントな条件は定義されたイオン強度及びpHで特異的配列に対して熱融解点(Tm)よりも約15℃低いように選択されている。Tmは、標的配列に相補的なプローブの50%が平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度(定義されたイオン強度、pH、及び核酸濃度下で)である(一般に標的配列が過剰に存在するので、Tmでは、プローブの50%は平衡状態で占められる)。
【0083】
いくつかの実施形態において、バーコードオリゴヌクレオチドは検出可能な標識により修飾される。検出可能な標識の例は、ビオチン、放射標識、蛍光標識、発色団、レドックス活性基、電子的シグネチャーを有する基、触媒基及びラマン標識を含んでいる。
【0084】
このような特定のバーコードDNA配列の例は、例えばバイオバーコード化ナノ粒子プローブによるタンパク質癌マーカーの多重検出(Multiplexed Detection of Protein Cancer Markers with Biobarcoded Nanoparticle Probes), Stoeva et al., 128 J. Am. Chem. Soc. 8378-8379(2006)、PCR様感度を有する、PCRバイオバーコードに基づくDNA検出(Bio-Bar-Code-Based DNA Detection with PCR-like Sensitivity), Nam et al. 126 J. Am. Chem. Soc. 5932-5933(2004)、及びバイオバーコード化ナノ粒子プローブによる多重DNA検出(Multiplexed DNA Detection with Biobarcoded Nanoparticle Probes), Soteva et al., 45 Angew. Chem. Int. Ed. 3303-3306(2006)(これらは参照により本明細書中で援用される)で見出され得る。
【0085】
好ましい実施形態において、バーコードDNAは、特異的な標的検体を検出するために使用されるようなミクロ粒子を同定するために定義された配列(例えば、識別タグとして)を有する、3’アミノ官能化されたバーコードDNA相補物であり、その結果としてサンプル中の複数の標的検体の検出を可能にする。
【0086】
1つの実施形態において、本方法はサンプル中の単一の検体又は複数の検体の検出のために、生化学的なバーコードとしてオリゴヌクレオチドを利用する。このアプローチは、ナノ粒子により直接又は間接的に官能化された認識要素(例えば、タンパク質又は核酸)、及び金ナノ粒子の凝集をもたらすハイブリダイゼーション事象がそれらの物理的性質(例えば、光学的、電気的、機械的)を有意に変えることができるという従来の所見を利用する。一般的な見解は、各々の認識要素は、個別に調整できるハイブリダイゼーションによる異なるオリゴヌクレオチド配列(すなわち、DNAバーコード)、並びに融解特性及び多重検体アッセイ中の一連の検体を解読するための融解の際に変化するナノ粒子に関連した物理的シグネチャーに関連しているかもしれないということである。したがって、DNAを連結する凝集体の融解温度、及び多重検体アッセイ中の一連の検体を解読するための融解の際に変化するナノ粒子に関連した物理的特性を使用できる。本明細書においてバーコードは、解読する情報があらかじめ設計されたオリゴヌクレオチド配列で保存された化学的情報の形態であるという点において、ナノロッド、蛍光分子標識ビーズ、及び量子ドットのような物理的な診断マーカーに基づいたものとは異なる。
【0087】
f.磁気プローブ粒子
磁気プローブ粒子は、酸化鉄及び他の強磁性材料を含む磁性材料から成ることができる。磁気プローブ粒子は、多孔質ミクロ粒子について記述されたように官能化された表面を有するシリカ、又はポリアクリルアミド、ポリスチレン等のような重合体で覆うことができる。
【0088】
好ましい実施形態において、磁気プローブ粒子は、直径が約0.1ナノメートル〜約5000マイクロメートルであるナノ粒子又はミクロ粒子であり得る。適切な磁性粒子は、当技術分野において広く使用され、Dynal Biotech (最近Invitrogenに合併された)のような供給業者から得ることができる。
【0089】
1つの実施形態において、グルタルアルデヒド−アミンカップリングケミストリーを使用して、実施例に記述されているように磁性粒子は調製される。
【0090】
本発明の実施に有用なミクロ粒子及びナノ粒子としては、金属(例えば、金、銀、銅及び白金)、半導体(例えば、CdSe、CdS及びCdS又はZnSで被覆したCdSe)及び磁性(例えば、フェロマグネタイト)コロイド物質が挙げられる。本発明の実施に有用な他のナノ粒子としては、ZnS、ZnO、TiO、AgI、AgBr、HgI、PbS、PbSe、ZnTe、CdTe、In、InSe、Cd、CdAs、InAs、及びGaAsが挙げられる。ナノ粒子の大きさは好ましくは、約5nm〜約150nm(平均径)、より好ましくは約5〜約50nm、最も好ましくは約10〜約30nmである。ナノ粒子は、ロッド、プリズム又は四面体であってもよい。
【0091】
金属ナノ粒子、半導体ナノ粒子及び磁性ナノ粒子を製造する方法は当該技術分野で周知である。例えば、Schmid, G.(編)クラスター及びコロイド(Clusters and Colloids)(VCH, Weinheim, 1994)、Hayat, M. A.(編)コロイド金:原理、方法及び用途(Colloidal Gold: Principles, Methods, and Applications)(Academic Press, San Diego, 1991)、Massart, R., IEEE Taransactions On Magnetics, 17, 1247(1981)、Ahmadi, T. S. et al., Science, 272, 1924(1996)、Henglein, A. et al., J. Phys. Chem., 99, 14129(1995)、Curtis, A. C., et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 27, 1530(1988)を参照されたい。
【0092】
ZnS、ZnO、TiO、AgI、AgBr、HgI、PbS、PbSe、ZnTe、CdTe、In、InSe、Cd、CdAs、InAs、及びGaAsナノ粒子も当該技術分野で公知である。例えば、Weller, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 32, 41(1993)、Henglein, Top. Curr. Chem., 143, 113(1988)、Henglein, Chem. Rev., 89, 1861(1989)、Brus, Appl. Phys. A., 53, 465(1991)、Bahncmann太陽エネルギーの光化学変換及び貯蔵(Photochemical Conversion and Storage of Solar Energy)(Pelizetti及びSchiavello編(1991))の中の251頁、Wang and Herron, J. Phys. Chem., 95, 525(1991)、Olshavsky et al., J. Am. Chem. Soc., 112, 9438(1990)、Ushida et al., J. Phys. Chem., 95, 5382(1992)を参照されたい。
【0093】
好適なナノ粒子は、例えば、Ted Pella, Inc.(金)、Amersham Corporation(金)及びNanoprobes, Inc.(金)でも市販されている。
【0094】
現在、金ナノ粒子が核酸検出での使用に対して好ましい。金コロイド粒子は、美しい色を生じさせるバンドの高い吸光係数(extinction coefficient)を有する。これらの強い色は、粒子サイズ、濃度、粒子間の距離、及び凝集の程度及び凝集体の形状(幾何学的形状)とともに変化し、これらの材料を比色アッセイにとって特に好ましいものにする。例えば、オリゴヌクレオチド及び核酸による金ナノ粒子に結合されたオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、肉眼的に可視である迅速な色の変化をもたらす。
【0095】
粒子若しくはオリゴヌクレオチド、又はその両方が、オリゴヌクレオチドを粒子に付着させるために官能化される。このような方法は当該技術分野で公知である。例えば、これらの3’末端又は5’末端でアルカンチオールにより官能化されたオリゴヌクレオチドは金ナノ粒子と容易に付着する。Whitesides, Proceedings of the Robert A. Welch Foundation 39th Conference on Chemical Research Nanophase Chemistry, Houston, Tex., pages 109-121 (1995)を参照されたい。また、Mucic et al. Chem. Commun. 555-557 (1996)(金平面に3’チオールDNAを付着させる方法を記述しており、この方法はオリゴヌクレオチドをナノ粒子に付着させるのに用いることができる)を参照されたい。アルカンチオール法は、オリゴヌクレオチドを他の金属、半導体及び磁性コロイドに、及び上記で挙げられた他のナノ粒子に付着させるのに用いることができる。オリゴヌクレオチドを固体表面に付着させるための他の官能基としてはホスホロチオエート基(例えば、金表面へのオリゴヌクレオチド−ホスホロチオエートの結合に関する米国特許第5,472,881号を参照されたい)、置換アルキルシロキサン(例えば、Burwell, Chemical Technology, 4, 370-377(1974)、並びにシリカ表面及びガラス表面へのオリゴヌクレオチドの結合に関するMatteucci and Caruthers, J. Am. Chem. Soc., 103, 3185-3191(1981)、並びにアミノアルキルシロキサンの結合及びメルカプトアルキルシロキサン(mercaptoaklylsiloxanes)の同様の結合に関するGrabar et al., Anal. Chem., 67, 735-743を参照されたい)が挙げられる。5’チオヌクレオシド又は3’チオヌクレオシドで末端化されたオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドを固体表面に付着させるのに用いてもよい。以下の参考文献は、オリゴヌクレオチドをナノ粒子に付着させるのに用いてもよい他の方法を記述している:Nuzzo et al., J. Am. Chem. Soc., 109, 2358(1987)(金上のジスルフィド)、Allara and Nuzzo, Langmuir, 1, 45(1985)(アルミニウム上のカルボン酸)、Allara and Tompkins, J. Colloid Interface Sci., 49, 410-421(1974)(銅上のカルボン酸)、Iler, The Chemistry Of Silica, Chapter 6,(Wiley 1979)(シリカ上のカルボン酸)、Timmons and Zisman, J. Phys. Chem., 69, 984-990(1965)(白金上のカルボン酸)、Soriaga and Hubbard, J. Am. Chem. Soc., 104, 3937(1982)(白金上の芳香環化合物)、Hubbard, Acc. Chem. Res., 13, 177(1980)(白金上のスルホラン、スルホキシド及び他の官能性溶媒)、Hickman et al., J. Am. Chem. Soc., 111, 7271(1989)(白金上のイソニトリル)、Maoz and Sagiv, Langmuir, 3, 1045(1987)(シリカ上のシラン)、Maoz and Sagiv, Langmuir, 3, 1034(1987)(シリカ上のシラン)、Wasserman et al., Langmuir, 5, 1074(1989)(シリカ上のシラン)、Eltekova and Eltekov, Langmuir, 3, 951(1987)(二酸化チタン及びシリカ上の芳香族カルボン酸、アルデヒド、アルコール及びメトキシ基)、Lec et al., J. Phys. Chem., 92, 2597(1988)(金属上の堅いホスフェート)。
【0096】
g.ユニバーサルプローブ
いくつかの実施形態において、バーコードオリゴヌクレオチド及び多孔質粒子は、少なくとも2つの部分を含む任意の標的核酸に対するアッセイにおいて使用されてもよいユニバーサルプローブのメンバーである。この「ユニバーサルプローブ」は、レポーターオリゴヌクレオチド(例えば、バーコードDNA)の少なくとも一部、及び標的認識オリゴヌクレオチドの一部に相補的な単一の「捕捉」配列のオリゴヌクレオチドを含み、標的認識オリゴヌクレオチドは、少なくとも2つの部分を有する配列を含む、第1の部分は多孔質粒子に結合された捕捉配列に相補的な配列を含み、第2の部分は特定の標的核酸配列の第1の部分に相補的な配列を含む。様々な種類の標的認識オリゴヌクレオチドは、標的認識オリゴヌクレオチドのライブラリーが特定の試験液中の特定の標的核酸配列を選択するために切り替えられ得るか又は交換できるように、ユニバーサルプローブと共に大いに有利に用いることができる。標的核酸の第2の部分に相補的な配列を含む捕捉オリゴヌクレオチドは、磁気プローブ粒子に結合されている。
【0097】
これらのユニバーサルプローブは、行われる特定のアッセイに依存して、有利性を増して扱うことができる。プローブは、単純に標的認識オリゴヌクレオチドを置換又は交換することにより、ユニバーサルプローブの第2の部分が、対象となる異なる標的核酸に相補的な配列を含むように、様々な単一の標的核酸配列に「合わせる(tuned)」ことができる。同様に、複数の標的核酸配列が単一の試験液でアッセイされるならば、レポーターオリゴヌクレオチドは各標的核酸に対して特異的な配列を含むことができ、それによって既知で特異的な配列のレポーターオリゴヌクレオチドの検出は、試験液中の特定の標的核酸の存在を示すであろう。標的核酸の第2の部分に相補的な配列を含む捕捉オリゴヌクレオチドは、ナノ粒子に結合されている。
【0098】
h.デンドリマー
本発明のこの実施形態の一態様において、少なくとも2つの種類のオリゴヌクレオチドで標識したデンドリマーと結合する粒子が提供される。樹状分子は、複数の分岐単位モノマーから構成される構造体であり、様々な用途に用いられる。例えば、Barth et al., Bioconjugate Chemistry 5:58-66(1994)、Gitsov & Frechet, Macromolecules 26:6536-6546(1993)、Lochmann et al., J. Amer. Chem. Soc. 115:7043-7044(1993)、Miller et al., J. Amer. Chem. Soc. 114:1018-1025(1992)、Mousy et al., Macromolecuels 25:2401-2406(1992)、Naylor et al., J. Amer. Chem Soc. 111:2339-2341(1989)、Spindeler & Frechet, Macromolecules 26:4809-4813(1993)、Turner et al., Macromolecules 26:4617-4623 (1993)、Wiener et al., Magnetic Resonance Med. 31(1):1-8(1994)、Service, 267:458-459(1995)、Tomalia, Sci Amer. 62-66(1995)、及びTomaliaに対する米国特許第4,558,120号、同第4,507,466号、同第4,568,737号、同第4,587,329号、同第4,857,599号、同第5,527,524号、同第5,338,532号、及びNilsenに対する米国特許第6,274,743号(これらは全て、あらゆる目的のために参照によりその全体において援用される)を参照されたい。樹状分子は、他の種類の超分子アーキテクチャを超える重要な利点、例えば最大量を最小の構造単位に接触させること、より簡単に大きさ、重量及び成長特性を制御する能力を提供し、複数の末端は誘導体化して、ラベル間に所定の空隙(spacing)を有する高度に標識された分子を得るか、又は他の分子若しくはそれらの混合物に対する付着部位を提供することができる。一般的に、米国特許第6,274,723号及び合成方法に関して上記された参考文献を参照されたい。本発明の方法に有用な核酸デンドリマーは、核酸で官能化することができるか、又は核酸/オリゴヌクレオチドから発生させることができる当該技術分野で既知のもののいずれかである。このようなデンドリマーは、公開文献(disclosures)、例えば「核酸デンドリマー:新規のバイオポリマー構造(Nucleic Acid Dendrimers: Novel Biopolymer Structures)」 Am. Chem. Soc. 115:2119-2124(1993)、米国特許第6,274,723号、及びCantorに対する米国特許第5,561,043号に従って合成することができる。
IV.比色法
好ましい実施形態において、本発明は単純で超高感度な比色バイオバーコードアッセイを提供する。本発明のスクリーニング方法及び検出スキームは、本発明者らのうちの1人及び他のものにより、米国特許第20050037397号として公開された米国特許出願第10/877,750号、米国特許第20050009206号として公開された米国特許出願第10/788,414号、及び米国特許第20020192687号として公開された米国特許出願第10/108211号中に記述されるものに基づき、さらにそれらのすべては、すべての目的のために参照により本明細書に援用される。好ましい実施形態において、本バイオバーコードアッセイは、バイオバーコードDNAの改良された増幅を有する比色アッセイ、並びに定量化及び多重化能力の提供により、検体検出に対して改良されたバイオバーコードアプローチを提供する。
【0099】
1つの実施形態において、実施例において示されるように、比色アッセイは複雑な機器又は実験工程を必要としないので、比色アッセイはバーコードDNAを検出するために使用される。プローブ溶液の単純な混合及び分離は、マイクロアレイヤー、酵素による増幅及び銀増感のような複雑なシグナル増幅工程又は高度なシグナル測定ツールを使用せずに、アトモルの感度をもたらすだろう。読み出しが色変化に基づくので、アッセイを実行するために、最小限の専門的技術しか必要としない。
【0100】
いくつかの実施形態において、色変化は、画像分析手段の使用により検出及び定量することができる。他の実施形態において、色変化は、視覚的に肉眼により検出することができる。
【0101】
いくつかの実施形態において、バーコードオリゴヌクレオチドの検出は比色アッセイにより実行される。いくつかの実施形態において、比色アッセイは、第1の粒子プローブ及び第2の粒子プローブを含む溶液の準備すること(ここで、第1の粒子プローブがバーコードオリゴヌクレオチドの1つの末端に相補的な捕捉オリゴヌクレオチドを含み、第2の粒子プローブがバーコードオリゴヌクレオチドの反対の末端に相補的な捕捉オリゴヌクレオチドを含む)、溶液とバーコードオリゴヌクレオチドを接触させること並びに第1の粒子プローブ及び第2の粒子プローブへバーコードオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを可能にすること(それにより、第1の粒子プローブ及び第2の粒子プローブが凝集体を集合させ、溶液の色変化が凝集体の形成を示す)並びに当該溶液の色変化を検出することによりバーコードオリゴヌクレオチドを検出することを含む。
【0102】
バーコードDNAの比色検出は凝集したナノ粒子の視覚的検出により行なわれる。各種類のナノ粒子は、特定の標的検体に特異的なバーコードオリゴヌクレオチドに相補的な前もって定められた捕捉オリゴヌクレオチドを含んでいる。標的検体の存在下において、プローブ複合体は、ミクロ粒子、磁性粒子及び標的検体の間の結合相互作用の結果として産生される。バーコードオリゴヌクレオチドは複合体から遊離され、1つ又は複数の異なる種類のレポーターオリゴヌクレオチドの存在を検出するために、任意の適切な手段(例えば、熱変性)によって単離及び分析することができる。しかしながら、さらなる増幅は比色検出には必要ではないことが予測される。
【0103】
好ましい実施形態において、本方法は、オリゴヌクレオチド間の特異的結合の相互作用がサンプル中の標的検体の存在を示すような凝集複合体を形成することを可能にするのに効果的な条件下で、バーコードオリゴヌクレオチドと粒子捕捉プローブを含む溶液を接触すること、及び色変化の有無を検出することをさらに含む。1つの実施形態において、粒子プローブは、プローブ複合体から分離されたバーコードDNAを検出する工程で使用される。
【0104】
現在は、金ナノ粒子又は銀ナノ粒子が核酸の検出における使用で好ましい。金コロイド粒子及び銀コロイド粒子は、それらの美しい色を生じさせるバンドの高い吸光係数を有する。これらの強い色は、粒子サイズ、濃度、粒子間の距離、及び凝集の程度及び凝集体の形状(幾何学的形状)とともに変化し、これらの材料を比色アッセイにとって特に魅力的なものにする。例えば、オリゴヌクレオチド及び核酸による金ナノ粒子に結合されたオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、肉眼的に可視である迅速な色の変化をもたらす(例えば、実施例及び図4Bを参照)。適切なナノ粒子は、例えば、Ted Pella, Inc.(金)、Amersham Corporation (金)、Nanoprobes, Inc. (金)から市販もされている。
【0105】
比色検出にこのようなナノ粒子を使用する方法は、Chad A. Mirkin, Robert L. Letsinger, Robert C. Mucic, James J. Storhoff著、ナノ粒子をマクロ材料に合理的に集合させるDNAに基づく方法(A DNA-based method for rationally assembling nanoparticles into macroscopic materials), Nature 382, 607-609(15 Aug 1996)及び「金ナノ粒子の距離依存性の光学特性に基づくポリヌクレオチドの選択的比色検出(Selective Colorimetric Detection of Polynucleotides Based on the Distance-Dependent Optical Properties of Gold Nanoparticles)」, Science 22 August 1997; 277: 1078-1081にも記述されている。金ナノ粒子プローブが用いられる好ましい実施形態では、赤色から紫色への色の変化が見られる。
【0106】
図4Bを参照して、本方法は多重化することができる。本明細書において、多重化は1つの溶液中の多くの様々な標的の同時検出を指す。この多重化は、図4Aにおいて示されるように行うことができる。一種類のナノ構造体(例えば13nmの金ナノ粒子)は、異なるスポット位置(これはより単純なフォーマットである)により使用することができる。しかしながら、複数の標識による多重化はより有利であろう(1つの実験の実行により1つの試験管から数個のマーカーを検出し、目に見える色の読み出しにより標的を区別することができるので、これは真の多重化である)。本明細書での主要な概念は、異なる光学的性質を示す異なるナノ構造体(形状、組成及びサイズは可変である)を使用することであり、これらの特性は多くの様々な色を示す異なるナノ構造体による標的分子を標識することを可能にする。
【0107】
さらに、図4Bを参照して、本方法は銀ナノ粒子及び他の量子ドットを読み出しのために使用して実行することもできる。銀ナノ粒子プローブが使用される実施形態において、色変化は、オレンジ色、黄色又は緑色から、粒子のサイズ、形状等によって、一般により暗い色合いの黄色がかった色又は緑がかった色になり得る。
【0108】
a.バーコードオリゴヌクレオチドの比色検出
次に、脱ハイブリダイゼーションによりプローブ複合体中の多孔質ミクロ粒子からいったん遊離されたDNAバーコード又はレポーターオリゴヌクレオチドは、任意の適切な手段によって検出されてもよい。一般に、DNAバーコードは検出前に脱ハイブリダイゼーションを介して複合体から遊離される。複合体からDNAバーコードを脱ハイブリダイズ及び遊離する、任意の適切な溶液又は媒体が使用されてもよい。代表的な媒体は水である。
【0109】
好ましい実施形態において、バーコードDNAオリゴヌクレオチドは、(a)第1のナノ粒子プローブ及び第2のナノ粒子プローブを含む溶液を準備すること(第1のナノ粒子プローブが当該バーコードオリゴヌクレオチドの上記特異的なDNA配列の1つの末端に相補的な捕捉オリゴヌクレオチドで官能化され、第2のナノ粒子プローブが当該バーコードオリゴヌクレオチドの当該特異的なDNA配列の反対の末端に相補的な捕捉オリゴヌクレオチドで官能化される)、(b)当該ナノ粒子プローブへの当該バーコードオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション、及び当該ナノ粒子プローブへの凝集体の集合を可能にするために、プローブ複合体から分離された当該バーコードオリゴヌクレオチドを当該溶液に混合すること(溶液の色変化が当該凝集体の形成を反映する)、(c)基板上の当該溶液をスポットすること、(d)対照と比較して当該溶液中の色変化を検出すること、により検出される。
【0110】
他の実施形態において、検出可能な変化(シグナル)は増幅することができ、アッセイの感度は、それに結合又は付着したナノ粒子プローブを有する基板の使用により増大した。次に、バーコードオリゴヌクレオチドを含む溶液は、その後の検出のために基板の上に堆積される。
【0111】
好ましい実施形態において、上記特異的なDNA配列の一部に相補的な捕捉オリゴヌクレオチドで官能化されたナノ粒子プローブは、溶液中で提供される。2組のナノ粒子プローブが提供され、各々は、プローブ複合体から遊離されたバーコードオリゴヌクレオチドの特異的なDNA配列の2つの末端のうちの1つに相補的な捕捉オリゴヌクレオチドで官能化されている。したがって、1組のナノ粒子プローブへ結合された捕捉オリゴヌクレオチドは、検出されるバーコードオリゴヌクレオチドの配列の5’末端に相補的な配列を有するが、他の組のナノ粒子プローブは、検出されるバーコードオリゴヌクレオチドの配列の3’末端に相補的な配列を有する。バーコードオリゴヌクレオチドは、次にナノ粒子プローブ上でバーコードオリゴヌクレオチドと捕捉オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを可能にするのに効果的な条件下で、2組のナノ粒子プローブと接触する。この様式において、バーコードオリゴヌクレオチドは、ナノ粒子プローブの凝集体の集合を可能にする少なくとも2つのナノ粒子プローブに結合するようになる。ナノ粒子プローブの凝集体の形成は、その結果として捕捉ナノ粒子プローブ凝集体を含む溶液の比色変化に反映されている。次に、その溶液をスポットするか、又はその後の検出のために基板に移すことができる。
【0112】
十分な複合体が溶液で存在する場合、複合体は、バックグラウンドの基板の有無に関わらず視覚的に観察することができる。検出可能な変化の観察を可能にする任意の基板を使用することができる。適切な基板は、透明固体表面(例えば、ガラス、石英、プラスチック及び他のポリマー類)、不透明固体表面(例えば、TLCシリカプレート、ろ紙、グラスファイバーフィルター、硝酸セルロース膜、ナイロン膜のような白色固形物表面)、及び導電性固体表面(例えば、インジウム−スズ−オキシド(ITO))を含む。基板は任意の形状又は厚さになり得るが、一般に平坦で薄いだろう。ガラス(例えばスライドグラス)又はプラスチック(例えばマイクロタイタープレートのウェル)のような透明基板が好ましい。好ましい実施形態において、基板はTLCプレートである。
【0113】
比色変化の検出が患者の病状の診断のために使用される1つの実施形態において、偽陽性発生率に対する保険のために、複数のパネル又はアレイが試験に提供されるべきである。例えば、ハイスループットマイクロプレートは、標的検体を同定するために、特異的なバーコード及び磁性粒子プローブの同じ溶液を有する各々の複数のウェルを含んで提供される。他の実施形態において、本方法の検出工程は、各々の単一のマーカー又は検体で複数回実行される。例えば、臨床医は、バーコード分析のために5つのスポットを作製し、最高スポット強度及び最低スポット強度のスポットを取り除き、他の3つのスポットを最終的な定量化及び診断のために使用するだろう。
【0114】
検出のために提供される2組のナノ粒子プローブは、同じ種類又は異なる種類のナノ粒子であり得ることも意図される。これは、さらにサンプル中に存在する多くの様々な標的検体に対して1つ又は複数の同定のための多重化を可能にし得る。図4Aを参照して、1つのサンプルウェル中の数個の標的検体の検出を可能にする、複数の標識による多重化はさらに有利であろう。当技術分野において公知であり実行されているように、ナノ粒子の不均質混合物での多重化は、各ナノ粒子の特異的な光学的シグネチャー又は波長の検出のために、レイリー光散乱又はラマン分光法を使用する検出を必要とし得る。
【0115】
本発明は、さらにサンプル中に存在する2つ以上の標的検体を検出するために、アレイを提供することを意図する。例えば、標的検体を同定するために、特異的プローブを含む溶液を各々有する複数のウェルを含んでいるハイスループットマイクロプレートを提供する。
【0116】
他の実施形態において、マイクロ流体は自動化し、大規模にパラレルアレイを製作するために使用される。適切なマイクロ流体装置は、本発明者らのうちの1人及び他のものにより記述されたProc. Natl. Acad. Sci. USA, 102, 9745 (2005)に基づき、その全体の参照により本明細書に援用される。
【0117】
ここで図2を参照して、本発明は、従来の金ナノ粒子に基づいた比色DNA検出スキームでは可能ではなかった、定量的比色バーコードDNA検出アッセイのための定量化方法をさらに提供する。この定量化方法は、(a)基板上の凝集体スポットのデジタル画像を獲得する工程と、(b)分析のためのスポットを選択する工程と、(c)対照スポットと比較して、スポット強度を計算する工程とを含む方法を使用して開発されたグラフィックソフトウェアを使用して行なうことができる。1つの実施形態において、工程(b)は、より良好な視覚化及び特性評価のためにコントラストを調整する工程をさらに含む。好ましい実施形態において、金ナノ粒子が使用される場合には、凝集体の定量化及びその結果としてのサンプル中にある検体の量は以下に従って計算される:
スポット強度=
(対照スポットについてREDチャンネルを通したヒストグラムの平均値)/
(与えられたスポットについてREDチャンネルを通したヒストグラムの平均値)
スポット強度はバーコードDNAオリゴヌクレオチドの数に比例する、すなわち、凝集したナノ粒子が多いほど、出現した赤色は少なく、バーコードDNAオリゴヌクレオチドの数は存在する標的タンパク質の量に比例する。
【0118】
好ましい実施形態において、金ナノ粒子プローブへバーコードDNAを追加した後に、溶液はTLCプレート上にスポットされ乾燥される。プレートをプレートのディジタルスキャンを得るためにスキャンする。スキャンされた画像コントラストはアドビフォトショップ(ADOBE PHOTOSHOP)ソフトウェアのようなグラフィックプログラムを使用して調整される。次に各々のナノ粒子スポットを選択し、選択された領域は赤色チャンネルオプションによりフォトショップのヒストグラム機能のような定量化機能を使用して定量される。ヒストグラムウィンドウからの平均値は各スポットのスポット強度を計算するために使用される。
【0119】
最終的に、このアッセイはプローブ溶液及びTLCプレートについてのみ必要とするのでポイントオブケア適用に適切であるべきである。より良好な定量化のために検出系の最適化及び他のサイトカインでの系の多重化に対する努力は、現在進行中である。記述された本実施形態は、より多くの単分散の多孔質ミクロ粒子の合成、又は多重化のために交差反応性を最小限にすることにより、プローブ溶液の濃度、プローブサイズ、反応時間に従って変更又は最適化することができることが意図される(例えば、さらなるプローブの不動態化又は反応時間の調整により)。
V.検体の検出のためのキット
1つの実施形態において、本発明は、各ウェルが対象となる検体を同定するために特異的なバーコード及び磁性粒子プローブの同じ溶液又は異なる溶液を有する、アレイウェルを含むハイスループットマイクロプレートで構成される本方法を行なうためのキットを提供する。サンプルの分割量はアレイの各ウェルで混合され、それによって、アッセイを同時にウェルにおいて実行することを可能にする。他の実施形態において、本方法の検出工程は、各々の単一のマーカー又は検体のために複数回実行される。例えば、臨床医は、バーコード分析のために5つのスポットを作製し、最高スポット強度及び最低スポット強度のスポットを除外して、他の3つのスポットを最終的な定量化及び診断のために使用するであろう。
【0120】
任意で、1つの実施形態において、本発明はフラットベッドスキャナー又はCCDカメラのようなデジタル信号を得るための手段、及びピクセル強度を分析できるグラフィックソフトウェアを備えるコンピューターのような分析のための手段から成る画像分析を行なう装置を提供する。好ましい実施形態において、この装置はピクセル強度を分析するために、アドビフォトショップ(Adobe Systems、カリフォルニア州サンホセ)のようなソフトウェアを備える、単純なフラットベッドスキャナー及びコンピューターから成る。
[実施例]
【0121】
以下の実施例は例示及び例証を意図し、本発明の限定は意図しない。
【実施例1】
【0122】
材料及び方法
電子顕微鏡写真。UCバークレーのマイクロラボ施設(UC Berkeley Microlab facility)でLEO 1550走査電子顕微鏡(SEM)を使用した。サンプル上へ約3nmクロミウムの蒸着後に3mmの作動距離で3kVの加速電圧を使用して画像を撮影した。
【0123】
バーコードプローブ調製。バーコードプローブを調製するために、アミノ官能化された多孔質シリカミクロ粒子(1.57×10/ml直径:3.53±0.49μm、Phenomenex、カリフォルニア州トランスから得られた)の1mlの水性懸濁液を、10000rpmで5分間の遠心分離機にかけ、上清を除去した。粒子をPBS溶液中に再懸濁し、遠心分離工程をもう一度繰り返した。結果として生じるポリスチレン粒子ペレットを、1mlのpH7.4で8%のグルタルアルデヒドのPBS溶液中に再懸濁した。溶液をロッキングシェーカーで5時間混合した。10000rpmで5分間の遠心分離が後続し、上清を廃棄した(この工程は、さらに2回繰り返された)。結果として生じるペレットをPBS中に再懸濁し、5μgのIL−2に対するモノクローナル抗体を溶液へ添加した。抗体の量(5μg)は、Polysciences Inc.によって推奨された、完全に粒子表面を修飾する抗体の量よりもはるかに少ない(抗体はAbcam, Inc、マサチューセッツ州ケンブリッジから購入された)。抗IL−2を活性化ポリスチレン粒子へ連結するために、溶液をシェーカーに一晩放置した。アミノ官能化された粒子へ結合するタンパク質をもたらす、類似したグルタルアルデヒドリンカーケミストリーは、他の研究者によって広く使用されてきた。次に、3’アミノ官能化されたバーコードDNA相補物(100μMで1ml、5’CGTCGCATTCAGGATTCTCAACTCGTAGCT−A10−C6アミン3’(配列番号1))を、モノクローナル抗体で修飾されたシリカ粒子へ添加し、遠心分離工程を2回繰り返した。ミクロ粒子上の反応しないグルタルアルデヒド部位をすべて不動態化するために、結果として生じるペレットを1mlの0.2Mエタノールアミン中で室温で30分間再懸濁した。上清を除去するために遠心分離を実行した。さらに粒子表面のタンパク質−不活性領域を不動態化するために、ウシ血清アルブミン溶液(10%のBSA)を続いて加えた。遠心分離工程を2回繰り返し、上清を除去した。結果として生じるペレットを、1mlの0.15MのPBSの溶液中に再懸濁した。
【0124】
磁気プローブ調製。アミノ官能化された磁性粒子(Dynal Biotech、ウイスコンシン州ブラウンディア)は、IL−2に対するモノクローナル抗体へ連結された。これらの抗体のエピトープは、グルタルアルデヒドアミンカップリングケミストリーを使用して、バーコードプローブ(Abcam、マサチューセッツ州ケンブリッジ)を調製するために使用される抗体のエピトープとは異なる。0.05mMのEDTA溶液(1mg/mlで5mlの溶液)中のアミノ官能化された磁性粒子を、10mlのピリジン洗浄バッファーにより洗浄した。結果として生じる溶液を磁気的に分離し、上清を除去した(さらに2回繰り返した)。次に磁性粒子を、5mlのピリジン洗浄バッファー中の5%グルタルアルデヒドにより室温で3時間活性化した。次に活性化された磁性粒子を磁気的に分離し、上清を除去した。この磁気的分離工程を2回繰り返し、磁性粒子を10mlのピリジン洗浄バッファー中に再懸濁した。次にピリジン洗浄バッファー(750μg/mlで1ml)中のモノクローナルの抗IL−2を、磁性粒子へ添加し、溶液を室温で10時間混合した。次に1mgのBSAを磁性粒子溶液へ添加し、溶液を室温でさらに10時間混合した。磁気的分離工程を2回繰り返し、磁性粒子を5mlのピリジン洗浄バッファー中に再懸濁した。次に未反応のアルデヒド部位をすべてクエンチングするために、3mlのグリシン溶液(pH8.0で1M)を結果として生じる溶液へ添加し、結果として生じる溶液を30分間撹拌した。磁気的分離工程後に、5mlの洗浄バッファーをモノクローナル抗体に官能化された磁性粒子へ添加し、力強く混合した(この工程をさらに2回繰り返す)。次に磁性粒子を磁気的に分離し、上清を除去した。この洗浄工程をさらに3回繰り返した。最終的に磁気プローブを0.15MのPBS溶液中に再懸濁した。
【0125】
バーコードDNA定量化。金ナノ粒子プローブへバーコードDNAを添加した後に、溶液をTLCプレート上にスポットし乾燥した。プレートをフラットベッドスキャナーを使用してスキャンし、スキャンした画像をアドビフォトショップソフトウェアを使用して調整した(スポットをすべて一緒に調整した)。次に各々のナノ粒子スポットを選択し、選択された領域は、アドビフォトショップ(Adobe Systems Incorporated、カリフォルニア州サンホセ)の赤色チャンネルオプションによりヒストグラム機能を使用して定量された。ヒストグラムウィンドウからの平均値を各スポットのスポット強度を計算するために使用した(図2)。
【実施例2】
【0126】
サイトカインのための比色バイオバーコード増幅アッセイ
この研究において、本発明者らのアッセイ標的はインターロイキン−2(IL−2)である。IL−2は、炎症及び免疫応答時に白血球間の局所相互作用を媒介する分泌されるヒトサイトカインタンパク質である。サイトカインは造血の調節の中心的な役割を果たし、多様な表現型の細胞の分化、移動、活性化及び増殖を媒介する。21、22ヒトが異種抗原に感染する場合サイトカインがシグネチャーバイオマーカーであるので、サイトカインの改良された検出限界は、癌及び免疫不全関連疾患の迅速でより正確な診断及び治療を可能にし、サイトカイン関連の疾患及び生物学の理解向上をもたらすであろう。従来のサイトカイン検出分析は約50fMの検出限界であり、酵素に基づくローリングサークル増幅方法の検出限界は約500aMである。
【0127】
典型的なバイオバーコード比色バイオバーコードアッセイにおいて、2種類のプローブが調製された(図1A)。第1はバーコードプローブ(抗IL−2により修飾された3μmの多孔質シリカ粒子、及び標的分子に対して特有の識別タグであるバーコード配列(5’AGCTACGAGTTGAGAATCCTGAATGCGACG3’(配列番号2))に相補的なオリゴヌクレオチド)である。第2のプローブは、アミン修飾シランコーティング(Dynal Biotech、ウイスコンシン州ブラウンディア)を伴う酸化鉄磁性体コアを有する、2.8μmの酸化鉄磁気プローブ粒子である。これらの粒子は、IL−2標的を捕捉することができる抗IL−2分子により官能化された。
【0128】
このアッセイに対する検出限界は、他の従来の免疫測定法よりも桁違いに感度がよい。1つの実施形態において、このアッセイはIL−2の検出において3桁分感度がよい(例えば、PBSバッファー溶液中で30aMのIL−2)。有意に、この実施形態において、検出限界は、IL−2の検出における酵素に基づく増幅方法よりも約15倍感度がよい。
【0129】
IL−2検出アッセイ(図1B)において、15μLの磁気プローブ溶液(1.5×l0個のビーズ/ml)を20μlのIL−2溶液へ添加し、15μlのバーコードプローブ溶液(1×10個のビーズ/ml)の添加が後続した。結果として生じた溶液を、旋回シェーカーで50分間37℃でインキュベートした。次に、その溶液を磁気的分離機(Dynal Biotech、ウイスコンシン州ブラウンディア)中に置き、上清を除去した。次にプローブ複合体溶液を0.15MのPBS溶液にさらに3回洗浄した。最終的に、バーコードDNAを遊離するために、50μlのナノピュア(NANOpure)水(18メグオーム)を磁気的に分離された複合体へ添加し、複合体を10分間70℃でロッキングシェーカーに保持した。磁気的分離後に、遊離したバーコードDNA鎖を含む上清をバーコードDNA検出のために回収した。バーコードDNAを検出するために、バーコードDNA捕捉(バーコード捕捉プローブ1: 5’TCTCAACTCGTAGCTAAAAAAAAAA−トリエチレングリコール−SH3’(配列番号3)、バーコード捕捉プローブ2: 5’SH−トリエチレングリコール−AAAAAAAAAACGTCGCATTCAGGAT3’(配列番号4))に対して官能化された30nmの金ナノ粒子プローブ(プローブ1及びプローブ2の両方に対して1nMで25μl)を、0.15MのバーコードDNAのPBS溶液中に添加した。結果として生じる溶液を1.5時間室温で保持した。次にその溶液を、プローブ複合体の濃度を増加させ、且つ低分子ナノ粒子凝集体を回収するために遠心分離機にかけ(5分間10000rpm)、上清を廃棄した。本明細書で遠心分離工程を使用するが、この工程はさらなる最適化の後に、アッセイの実際の実施には必須ではないかもしれない。最終的に、濃縮ナノ粒子溶液からのナノ粒子プローブ溶液の5μlを、標的の確認及び定量化のために逆相シリカTLCプレート(EMD Chemicals, Inc.、ニュージャージー州ギブスタウン)上にスポットした(図2A)。スポット試験は30aM〜300fMの範囲であり、IL−2が存在しない対照サンプルを含んでいた。このアッセイは、バックグラウンドのタンパク質の存在下において、30aMのIL−2標的と同じ程度の低い濃度を検出することができる(1つのサンプル当たり、1μlの5μM抗ビオチン及び1μlの5μM抗フィブロネクチン)。スポットされたドットは異なる色だけでなく異なる強度も示す。各々のスポット強度は、金ナノ粒子の凝集を反映する赤色の強度に基づいた画像分析ソフトウェアを使用して定量された(アドビフォトショップ、Adobe Systems Incorporated、カリフォルニア州サンホセ)。この比色アッセイは赤色(バーコードDNA無し)から紫色(バーコードDNA有り)までの色変化に基づくので、より低い平均赤色のチャンネル値は、溶液中に存在するより多いバーコードDNAを示す(図2)。本明細書におけるスポット強度は、与えられたサンプルスポットの平均赤色チャンネル値で割った、対照スポットの平均赤色チャンネル値によって定義される。これらのスポット強度値は図3A中にプロットされる(実験を5回反復し、最高値及び最低値は最終スポット強度計算に使用しなかった)。30aMの標的溶液のスポット強度は、対照のスポット強度よりも高く、このアッセイのダイナミックレンジは30aM〜300fMにわたる(図3A)。
【0130】
実際のサンプルに対してこの比色バイオバーコード系を確認するために、ヒト血清サンプル(Cambrex Corp.、ニュージャージー州イースト・ラザフォード)中のIL−2分子を、PBSバッファー溶液中のIL−2検出に使用されたプロトコルと同じプロトコルにより試験した。300aM、3fM、30fM、及び300fMのIL−2サンプルに対するナノ粒子に基づいたバーコード検出スポットは、対照スポットとは際立って異なっていた(図3B)。スポット強度は、30fMより後で迅速に飽和する。
【0131】
本明細書中に引用された任意の特許、特許公報、公報、又はGenBankアクセッション番号は、本発明が属する当業者のレベルを示し、各々が参照により具体的且つ個別に援用されるのと同程度に、参照により本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】比色バイオバーコードアッセイ。A.アミン修飾された多孔質シリカビーズのプローブ調製品及び電子顕微鏡写真画像(挿入図)。B.インターロイキン−2の検出スキーム。
【図2】TLCプレート上にスポットされた金ナノ粒子凝集体についての定量化方法。スポット強度値はバーコードDNAの数に比例し(より多くの金ナノ粒子が凝集すれば、色はより薄く見える)、バーコードDNAの数は存在する標的タンパク質の量に比例する。
【図3】金ナノ粒子に基づいた比色バーコードDNAIL−2検出。(上部:定量データ、下:TLCプレート上の金ナノ粒子スポット)。A.バッファー中。B.ヒト血清サンプル中。
【図4A】多重化比色バイオバーコードアッセイ。アッセイ工程を示すスキームである。
【図4B】多重化比色バイオバーコードアッセイ。アッセイに使用することができる複数の種類のナノ粒子である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象となる検体を検出する方法であって、
(a)対象となる前記検体を含むことを疑われるサンプルを準備する工程と、
(b)(I)対象となる前記標的検体を特異的に結合する第1のリガンドを含む多孔質ミクロ粒子プローブ、及びバーコードオリゴヌクレオチド、並びに(II)対象となる該標的検体を特異的に結合する第2のリガンドを含む磁性粒子プローブを前記サンプルと接触する工程と、該多孔質ミクロ粒子プローブ及び該磁性粒子プローブが対象となる該検体へ結合し、該サンプル中に存在するならば、該多孔質ミクロ粒子プローブと該磁性粒子プローブとの間の複合体を形成することを可能にする工程と、
(c)前記サンプルから前記複合体を分離する工程と、
(d)前記複合体から前記バーコードオリゴヌクレオチドを遊離し回収する工程と、
(e)前記バーコードオリゴヌクレオチドを検出する工程と
を含む方法。
【請求項2】
対象となる前記検体が、核酸、タンパク質、ペプチド、金属イオン、ハプテン、薬剤、代謝物質、殺虫剤及び汚染物質から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
対象となる前記検体が、サイトカインである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
対象となる前記検体が、ケモカインである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記多孔質ミクロ粒子プローブが、ポリスチレン、セルロース、シリカ、酸化鉄、ポリアクリルアミド、多糖、デキストラン、アガロース、及びセルロースから成る群から選択される材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記多孔質ミクロ粒子プローブが、アミンにより修飾される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ミクロ粒子が、約0.1マイクロメートル〜約5000マイクロメートルのサイズを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ミクロ粒子が、約0.5マイクロメートル〜約10マイクロメートルのサイズを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ミクロ粒子が、約3マイクロメートル〜約5マイクロメートルのサイズを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記多孔質ミクロ粒子プローブが、約50オングストローム〜約150オングストロームの孔径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記多孔質ミクロ粒子プローブが、約90オングストローム〜約110オングストロームの孔径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記多孔質ミクロ粒子プローブが、約300m/g〜約500m/gの表面積を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記多孔質ミクロ粒子プローブが、約400m/g〜約450m/gの表面積を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記バーコードオリゴヌクレオチドが、遺伝子、ウィルスRNA及びウィルスDNA、細菌DNA、真菌DNA、哺乳類DNA、哺乳類cDNA、哺乳類mRNA、哺乳類RNA及び哺乳類DNA断片、天然核酸及び合成核酸、並びにアプタマーから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記バーコードオリゴヌクレオチドが、検出可能な標識により修飾されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記検出可能な標識が、ビオチン、放射標識、蛍光標識、発色団、レドックス活性基、電気的シグネチャーを伴う基、触媒基、及びラマン標識から成る群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記バーコードオリゴヌクレオチド及び前記ミクロ粒子が、ユニバーサルプローブのメンバーである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記リガンドが、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
工程(e)が比色アッセイである、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記比色アッセイが、
(i)第1の粒子プローブ及び第2の粒子プローブを含む溶液を準備すること(該第1の粒子プローブが前記バーコードオリゴヌクレオチドの1つの末端に相補的な捕捉オリゴヌクレオチドを含み、該第2の粒子プローブが前記バーコードオリゴヌクレオチドの反対の末端に相補的な捕捉オリゴヌクレオチドを含む)、
(ii)工程(i)の前記溶液と前記バーコードオリゴヌクレオチドを接触すること、及び前記第1の粒子プローブ及び前記第2の粒子プローブへの該バーコードオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを可能にすること(該第1の粒子プローブ及び該第2の粒子プローブが凝集体を集合させ、溶液の色変化が前記凝集体の形成を示す)、
(iii)前記溶液の前記色変化を検出すること
により該バーコードオリゴヌクレオチドを検出することを含む、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2009−513948(P2009−513948A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531376(P2008−531376)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/036101
【国際公開番号】WO2007/084192
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(304056899)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (9)
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF CALIFORNIA
【住所又は居所原語表記】1111 Franklin Street, Oakland, CA 94607−5200, United States of America
【Fターム(参考)】