検像装置及び検像システム
【課題】検像専門の技師による検像の強化を図り得る検像装置又は検像システムを提供する。
【解決手段】オーダ情報d1とオーダ情報d1に基づいて撮影された医用画像d2との整合性をチェックし、医用画像d2の画質が診断において許容範囲内であるか否かをチェックするための検像装置3において、情報処理システム11から、オーダ情報d1、医用画像d2及び当該医用画像d2の撮影状況に基づいて作成された撮影評価に関する情報d3を受信する通信部34と、PACS4への送信を保留する医用画像の設定に関する送信保留情報d5を記憶する記憶部35と、撮影評価に関する情報d3と送信保留情報d5とに基づいて、PACSへ医用画像d2の送信を行うか保留するかを判断し、送信を行う場合には医用画像d2をチェック済みの医用画像d4としてPACS4へ送信する制御を行う制御部31と、を備える検像装置3。
【解決手段】オーダ情報d1とオーダ情報d1に基づいて撮影された医用画像d2との整合性をチェックし、医用画像d2の画質が診断において許容範囲内であるか否かをチェックするための検像装置3において、情報処理システム11から、オーダ情報d1、医用画像d2及び当該医用画像d2の撮影状況に基づいて作成された撮影評価に関する情報d3を受信する通信部34と、PACS4への送信を保留する医用画像の設定に関する送信保留情報d5を記憶する記憶部35と、撮影評価に関する情報d3と送信保留情報d5とに基づいて、PACSへ医用画像d2の送信を行うか保留するかを判断し、送信を行う場合には医用画像d2をチェック済みの医用画像d4としてPACS4へ送信する制御を行う制御部31と、を備える検像装置3。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検像装置及び検像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院や診療所では、モダリティを用いた検査が行われる。「モダリティ」とは、例えばX線撮影装置、MRI撮影装置、CT撮影装置等の医療機器をいう。通常、モダリティは、撮影業務を専門に行う技師により操作され、撮影専門の技師の操作により患者を撮影して医用画像を生成する。撮影により生成された医用画像は、この後、検像装置に送信される。
【0003】
「検像装置」とは、モダリティにより撮影された医用画像を画面上に表示して検像するための装置である。「検像」とは、(1)画面上に表示された医用画像が診断において許容される範囲内であるか否かチェックすること、又は、許容範囲内でない場合にはそれを修正すること、(2)画像に付帯された情報の真正性を確認し、問題があった時修正を行うことをいう。「真正性」とは、医師の依頼内容、検査の予約内容、検査の実施内容、検査を受けた患者の情報などは何れも正確であることをいう。
【0004】
検像が行われる場所は、ダブルチェックによる安全確保、情報に関する責任の所在、画質の再現性確保等の観点から、モダリティによる撮影が行われる場所とは異なる場所であることが望ましく、また異なる場所であるのが一般的である。すなわち、多くの病院や診療所では、撮影室にて撮影専門の技師によりモダリティによる撮影が行われ、撮影により生成された医用画像はネットワークを介して撮影室とは異なる場所に設置された検像装置に集中送信される。そして、そこで検像専門の技師により検像が行われることになる。
【0005】
検像専門の技師は、迅速かつ適切に、例えば医用画像の画質低下についてチェックし、画質低下があった場合にはそれが通常の診断において許容できる範囲内か否かチェックし、許容範囲内でない場合には撮影専門の技師に対して再度の撮影を依頼するか、或いは許容範囲内になるよう画像処理等を施す。
【0006】
診断において許容範囲内であると判断された、又は許容範囲内になるよう画像処理が施された検像済み医用画像は、画像管理装置に送信され、その後医師による診断に供されることになる。なお、ここでいう画像管理装置は一般に、PACS(Picture Archiving and Communication System)と呼ばれる。
検像装置又は検像装置を含むシステムについては、例えば下記に示す特許文献1に記載の技術が存在する。
【0007】
特許文献1には、他の装置(モダリティ)から医用画像を受信して画像処理を行い、画像処理された医用画像を他の装置(PACS)に送信する医用画像処理装置(検像装置)であって、受信された医用画像の統計的性質を解析してその結果が適正範囲から外れているとき、適正範囲外であることを警告する検像装置又はシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−290329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に記載の技術では、撮影専門の技師による撮影評価を検像専門の技師が把握することができないために、万全なチェックが図れるとはいえない。具体的には、以下の通りである。
【0010】
検像専門の技師は、上述したように、ダブルチェックによる安全性確保等の観点から撮影専門の技師とは異なり、また異なる場所で業務を行っている場合が多い。そのため、検像専門の技師は、例えば呼吸を一定期間停止する撮影時に患者がどの程度動いたか、或いは、造影剤が特定使用量分だけ適切に注射されたか否か等の撮影状況について、把握することができない。すなわち、検像専門の技師は、撮影専門の技師による評価を把握することなく検像を行うことになる。よって、検像専門の技師は、撮影評価に応じて個別に必要なチェックを行うことはできず、同一オーダに基づいて生成された医用画像であれば全て同様に検像することしかできない。これでは、万全なチェックが図れるとはいえない。
【0011】
また、一つのモダリティに対して一つの検像装置が設けられることは稀であり、通常は、複数のモダリティにより生成された医用画像は、一つの検像装置にて集中的に検像されることが多い。このような場合、検像専門の技師は、全ての医用画像を日々チェックすることとなるが、検像業務がルーティン化するため、検像業務の負担増加と共に、画質低下等のチェックの見落としが発生しやすくなり、万全なチェックが図れるとはいえない。
【0012】
本発明の課題は、検像専門の技師による検像の強化を図り得る検像装置又は検像システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、オーダ情報と当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像との整合性をチェックし、当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像の画質が診断において許容範囲内であるか否かをチェックするための検像装置において、第1の外部機器から、前記オーダ情報、当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像及び当該医用画像の撮影状況に基づいて作成された撮影評価に関する情報を受信する通信部と、前記撮影評価に関する情報に基づいて設定された第2の外部機器への送信を保留する医用画像の設定に関する送信保留情報を記憶する記憶部と、前記撮影評価に関する情報と前記送信保留情報とに基づいて、前記第2の外部装置へ前記医用画像の送信を行うか保留するかを判断し、送信を行う場合には前記通信部により前記医用画像をチェック済みの医用画像として前記第2の外部装置へ送信する制御を行う制御部と、を備える検像装置が提供される。
【0014】
また、本発明によれば、オーダ情報及び当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像を送信する情報処理システムと、前記オーダ情報と前記医用画像との整合性をチェックし、前記医用画像の画質が診断において許容範囲内であるか否かをチェックするための検像装置と、前記検像装置によるチェック済みの医用画像を記憶し管理する画像管理装置と、を含む検像システムにおいて、前記情報処理システムは、前記オーダ情報及び前記医用画像とともに、前記医用画像の撮影状況に基づいて作成された撮影評価に関する情報を前記検像装置に送信し、前記検像装置は、前記情報処理システムから、前記オーダ情報、当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像及び当該医用画像の撮影状況に基づいて作成された撮影評価に関する情報を受信する通信部、前記撮影評価に関する情報に基づいて設定された前記画像管理装置への送信を保留する医用画像の設定に関する送信保留情報を記憶する記憶部、前記撮影評価に関する情報と前記送信保留情報とに基づいて、前記画像管理装置へ前記医用画像の送信を行うか保留するかを判断し、送信を行う場合には前記医用画像を前記チェック済みの医用画像として前記画像管理装置へ送信する制御を行う制御部、を有する検像システムが提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、撮影評価に関する情報と送信保留情報とに基づく判断結果に応じて、医用画像をチェック済みの医用画像として送信できる。よって、検像専門の技師は、送信が保留と判断された医用画像のみを検像すればよく、検像業務の軽減を図ることができ、当該医用画像について迅速かつ適切なチェックを行うことができる。従って、検像専門の技師による検像の強化を図る検像装置及び検像システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】検像システムの全体構成を示す図である。
【図2】RISの画面に表示される撮影評価に関する情報の一例を示す図である。
【図3】検像装置の画面に表示される撮影評価に関する情報の一例を示す図である。
【図4】検像装置に表示される送信保留情報の設定を受け付ける画面の一例を示す図である。
【図5】検像装置の機能ブロック図を示す図である。
【図6】検像装置の表示処理を示す図である。
【図7】検像装置の画面例を示す図である。
【図8】検像装置の自動送信処理を示す図である。
【図9】撮影評価に関する情報の利用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態における検像装置又は検像システムの構成及び動作について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本実施形態は本発明の一例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
図1に、検像システム10の全体構成を示す。
検像システム10は、RIS1、モダリティ2、検像装置3、PACS4等を備えて構成される。各装置(1〜4)はLANやWANにより通信可能に接続されており、通信規格は例えばHL7(Health Level 7)又はDICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)等が採用される。
【0019】
RIS1は、患者情報又は検査情報を登録して一元管理するための端末である。
なお、「RIS」とは、本来、「Radiology Information System」の略であり放射線情報システムを意味するが、ここでは放射線情報システムを利用して患者情報又は検査情報を一元管理する端末として説明する。
【0020】
「患者情報」とは、患者を特定するための情報であり、例えば患者ID、氏名、性別、生年月日等が含まれる。また、「検査情報」とは、検査を特定するための情報であり、例えば検査ID、モダリティ情報、撮影情報等が含まれる。
【0021】
以下の説明では、RIS1により一元管理される患者情報又は検査情報を総称して「オーダ情報」と表現する。なお、オーダ情報は、図示しない受付端末からHIS(Hospital Information System)によりRIS1に送信されるか、或いはRIS1にて撮影専門の技師に直接入力される。
【0022】
RIS1は、登録されたオーダ情報d1をモダリティ2又は検像装置3に送信する。また、本実施形態では、RIS1は、撮影評価に関する情報d3を検像装置3に送信する。なお、撮影評価に関する情報d3は、後述するように、医用画像d2と直接には関係のない情報であることから、RIS1と検像装置3との間における撮影評価に関する情報d3のやりとりは、必ずしもDICOM通信である必要はなく、通常のTCP/IP通信であってもよい。
【0023】
図2に、RIS1の画面に表示される撮影評価に関する情報d3の一例を示す。
「撮影評価に関する情報」とは、撮影専門の技師が撮影状況を踏まえた上で、撮影状況を示す項目ごとに評価した情報又は撮影を総合評価した情報を含むものであり、撮影評価の対象である医用画像と対応付けられている。
【0024】
「撮影状況を示す項目」とは、検査内容ごとに異なるフォーマットにて予め定められた項目(例えば、「IV良好」、「造影剤漏れなし」、「撮影タイミング良好」…等)である。フォーマットは、RIS1にて記憶されている。
【0025】
「撮影状況を示す項目ごとに評価した情報」とは、フォーマットにて予め定められた項目についてのチェックの有無に関する情報をいう。
【0026】
「撮影を総合評価した情報」とは、現場で実際に撮影を行った撮影専門の技師による総合的な自己評価に関する情報であり、図2では、「撮影評価」に対する数値である。この「撮影を総合評価した情報」とは、例えば、1〜5までの範囲のうちの何れかの数値で示される。数値は、撮影専門の技師が自己評価に基づいてRIS1にて入力する。
撮影専門の技師は、撮影は上出来きであると判断した場合は「5」、通常通りと判断した場合は「4」、やや気になると判断した場合は「3」、あまり上手くできず撮影画像の確認が必要であると判断した場合は「2」、再撮影が必要な程度に全くできず撮影画像の確認が必要であると判断した場合は「1」、のいずれかの数値を「撮影を総合評価した情報」としてRIS1にて入力する。
【0027】
一般に、RIS1とモダリティ2は比較的近い場所に設置されており、同一の撮影専門の技師がRIS1とモダリティ2とを操作する。撮影専門の技師は、RIS1からのオーダ情報d1をモダリティ2に送信する作業を行い、モダリティ2に送信されたオーダ情報d1に基づいて、モダリティ2を操作して患者を実際に撮影する作業を行う。患者の撮影は、オーダ情報d1に忠実に基づいて行われることが望ましいが、実際の撮影現場では患者の状態や検査の難易度等によりオーダ情報d1に忠実とはいえない状況下で撮影される場合がある。撮影専門の技師は、こうした実際の撮影状況を踏まえた上で、RIS1にて図2に示すようなフォーマット上で撮影を評価する。RIS1は、撮影専門の技師により作成された撮影評価を「撮影評価に関する情報」として検像装置3に送信する。
【0028】
モダリティ2は、患者を撮影して医用画像d2を生成する医療機器であり、例えばX線撮影装置、MRI装置、CT装置、超音波診断装置等がある。モダリティ2は、RIS1からのオーダ情報d1に基づいて医用画像d2を生成し、生成された医用画像d2を検像装置3に送信する。送信される医用画像d2にはオーダ情報d1が付帯される。
【0029】
なお、既述の説明又は図1において、撮影評価に関する情報d3はRIS1により生成されて検像装置3に送信されるとしたがこれに限らず、モダリティ2により生成されて検像装置3に送信されるとしてもよい。この場合、撮影評価に関する情報d3は、医用画像d2と別にして個別に送信されるとしてもよいし、医用画像d2に付帯して送信されるとしてもよい。
【0030】
また、モダリティ2は、図1においては1つだけしか表記されていないがこれに限らず、モダリティ2及びこれに対応するRIS1を複数備えるとしてもよい。
また、RIS1及びモダリティ2は、検像装置3からすれば、各種医用情報(オーダ情報d1、医用画像d2及び撮影評価に関する情報d3)を検像装置3に対して送信する一つのシステムとしてとらえることができる。よって以下の説明では、RIS1及びモダリティ2を総称して「情報処理システム11」と表現する。なお、大規模医療機関の多くは、例えばX線撮影装置、MRI装置、CT装置等のモダリティを複数備えており、複数の情報処理システム11を備える。
【0031】
検像装置3は、モダリティ2により生成された医用画像d2を検像するための端末である。検像装置3は、撮影専門の技師とは異なる検像専門の技師により操作され、検像専門の技師によるチェックのためRIS1からのオーダ情報d1及びモダリティ2からの医用画像d2を画面上に表示する。検像装置3では、検像専門の技師により、主として(1)RIS1からのオーダ情報d1とモダリティ2からの医用画像d2とが一致しているか否か、及び、(2)モダリティ2からの医用画像d2の画質が診断において許容できる範囲内であるか否か、についてチェックされる。
本実施形態では、検像装置3は更に、撮影評価に関する情報d3を画面に表示する。
【0032】
図3に、検像装置3の画面に表示される撮影評価に関する情報d3の一例を示す。
なお、図3に示す撮影評価に関する情報d3の内容は、図2に示す撮影評価に関する情報d3の内容と同様であり対応している。また、図3では、撮影評価に関する情報d3はオーダ情報d1と合わせて画面に表示されている。
【0033】
図3に示す撮影評価に関する情報d3は、基本的には図2に示す撮影評価に関する情報d3の内容と同様であるが、検像するに際して特に注意してチェックすべき項目については識別標識(例えば、「!」マーク等)が付される。識別標識が付される箇所は、撮影専門の技師が撮影評価に関する情報d3を作成する際にチェックを入れた項目、又は入れなかった項目である。具体的には、図2において「IV良好」の項目にチェックが入れられていないため、図3においては「IV不良」として表示され、識別標識が付される(E1)。また、図2において「息止め良好」の項目にチェックが入れられていないため、図3においては「息止め不良」として表示され、識別標識が付される(E2)。また、撮影専門の技師による総合評価を一見して把握容易とするため、撮影評価にも識別標識(例えば、図2において「撮影評価」に対する数値が「5」であることから、図3においては5つの「☆」マーク等)が付される(E3)。
【0034】
検像装置3の画面に図3に示すような撮影評価に関する情報d3が表示されることで、検像専門の技師は撮影評価に応じて個別に医用画像d2を検像することができ、生成された医用画像d2について万全なチェックを図ることができる。更には、注意すべき箇所が明確であるから迅速かつ適切なチェックを図ることができる。
【0035】
また本実施形態では、検像装置3は、PACS4への送信を保留する医用画像の設定に関する情報(以下、送信保留情報と略す)の設定を受け付ける画面を表示する。
図4に、検像装置3の画面に表示される送信保留情報d5の設定を受け付ける画面の一例を示す。送信保留情報d5は、モダリティ2から受信した医用画像に対する撮影評価に関する情報d3に基づき、PACS4への医用画像の「送信を保留する条件の情報」を含むものである。
【0036】
「送信を保留する条件」とは、撮影評価に関する情報d3に基づいて予め定められた条件である。例えば、図4においては「撮影状況を示す全ての項目に対するチェックが存在しない」、「撮影評価が3以下」…等)である。なお、「送信を保留する条件」としては、撮影評価に関する情報が存在しない、チェックの有る撮影状況を示す項目数がN以上(Nは予め設定された数値)、撮影状況を示す項目それぞれのチェックの有無等、撮影評価に関する情報d3に含まれる各種情報を組み合わせることも可能である。
【0037】
「送信を保留する条件の情報」とは、「送信を保留する条件」についてのチェックの有無に関する情報であり、検像専門の技師により、図4に示す画面においてチェックが入れられ、保存終了ボタンB1が押下されることにより設定される。
従って、送信保留情報の設定を受け付ける画面を表示する検像装置3の後述する表示部及び当該画面上のボタンを操作する後述する操作部は、送信保留情報の設定を受け付ける入力部を実現する。
【0038】
図5に、検像装置3の機能ブロック図を示す。
検像装置3は、制御部31、操作部32、表示部33、通信部34、記憶部35等を備えて構成される。
【0039】
制御部31は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成され、CPUがROMに記憶されている各種プログラムをRAMに展開し、RAMに展開された各種プログラムとの協働により検像装置3の動作を集中制御する。
【0040】
操作部32は、キーボードやマウス等を備えて構成され、検像専門の技師の操作により操作信号を生成してこれを制御部31に出力する。
【0041】
表示部33は、LCDや有機EL等のディスプレイを備えて構成され、制御部31からの制御信号に基づいて、医用画像d2や各種操作画面を表示する。本実施形態では、表示部33は、医用画像d2とともに、オーダ情報d1及び撮影評価に関する情報d3(図3参照)、送信保留情報d5(図4参照)を表示する。
【0042】
通信部34は、通信用インターフェイス等を備えて構成され、情報処理システム11からオーダ情報d1、医用画像d2及び撮影評価に関する情報d3を受信する。また、通信部34は、検像済み医用画像d4をPACS4に送信する。
【0043】
記憶部35は、ROM等の不揮発性メモリを備えて構成され、システムプログラム、各種処理プログラム等を記憶する。また、記憶部35は、オーダ情報d1、医用画像d2、撮影評価に関する情報d3、検像済み医用画像d4、送信保留情報d5等を記憶する。
【0044】
PACS4は、検像装置3により検像された検像済み医用画像d4を記憶して一元管理する画像管理装置である。なお、「PACS」とは、本来、「Picture Archiving and Communication System」の略であり放射線画像情報システムを意味するが、ここでは放射線画像情報システムを利用して検像済み医用画像d4を一元管理する端末として説明する。
【0045】
図6を参照して、検像装置3の表示処理について説明する。
検像装置3の表示処理は、検像専門の技師が検像装置3を用いて検像する際に行われる処理である。
【0046】
制御部31は、モダリティ2から医用画像d2を受信したか否か判断する(ステップS1)。制御部31は、医用画像d2を受信するまで待機し(ステップS1;N)、受信した場合に次のステップに移行する(ステップS1;Y)。
【0047】
制御部31は、RIS1からステップS1において受信した医用画像d2に対するオーダ情報d1を受信したか否か判断する(ステップS2)。RIS1からオーダ情報d1を受信した場合(ステップS2;Y)、制御部31は、オーダ情報d1及び医用画像d2を表示部33に表示する(ステップS3)。その後、制御部31はステップS5に移行する。
【0048】
RIS1からオーダ情報d1を受信していない場合(ステップS2;N)、制御部31は、医用画像d2を表示部33に表示する(ステップS4)。その後、制御部31はステップS5に移行する。
【0049】
制御部31は、RIS1からステップS1において受信した医用画像d2に対応する撮影評価に関する情報d3を受信したか否か判断する(ステップS5)。撮影評価に関する情報d3を受信していない場合(ステップS5;N)、制御部31は、ステップS9に移行する。
【0050】
撮影評価に関する情報d3を受信した場合(ステップS5;Y)、制御部31は、項目ごとにNG項目があるか否か判断する(ステップS6)。
【0051】
「NG項目」とは、図3の説明で既述したように、検像するに際して特に注意してチェックすべき項目であって、識別標識(例えば、「!」マーク等)を付すべき項目をいう。
例えば制御部31は、撮影評価に関する情報d3を受信した場合、「IV良好」、「造影剤漏れなし」、「撮影タイミング良好」、「息止め良好」、…等の項目ごとに、NG項目があるか否か判断し、「IV良好」や「息止め良好」の項目にチェックがない場合、制御部31は、これらの項目をNG項目として判断する(図2及び図3参照)。
【0052】
NG項目がある場合(ステップS6;Y)、制御部31は、撮影評価に関する情報d3に識別標識を付して、これを表示部33に表示する(ステップS7)。
なお、識別標識を付して表示することにより、検像専門の技師に対して警告を行い、検像するに際して注意を促すことができる。検像専門の技師は、識別標識による警告を一見して容易に把握することができるため、特に注意して検像することになる。
【0053】
NG項目がない場合(ステップS6;N)、制御部31は、撮影評価に関する情報d3をそのまま表示部33に表示する(ステップS8)。
なお、識別標識を付さずにそのまま表示することにより、検像専門の技師は、識別標識による警告がないため通常どおりの検像を行えばよいと容易に把握する事ができ、検像するに際しては撮影評価に関する情報d3を参考資料として利用することができる。
【0054】
制御部31は、医用画像d2は検像済みであるか否か判断する(ステップS9)。
検像済みでない場合(ステップS9;N)、制御部31は、ステップS5に移行する。
【0055】
検像済みである場合(ステップS9;Y)、制御部31は、本表示処理を終了する。
なお、本処理終了後、制御部31は検像済み医用画像d4をPACS4に送信する等の処理を行うとしてもよい。
【0056】
図7に、検像装置3の表示部33により表示される画面例を示す。
図7に示す画面例は、表示処理(図5参照)が行われた場合の画面例である。
【0057】
リストL1は、医用画像d2に付帯されたオーダ情報d1をリスト表示する領域である。また、その他にも、検像済みであるか否か、NG項目があるか否か、PACS4に送信済みであるか否か等の情報を表示する領域である。
網掛け部分C1は、操作部32により選択された部分である。操作部32により選択されると、選択された部分が網掛けに切り替わって表示される。
【0058】
領域R2は、モダリティ2からの医用画像d2を表示する領域である。操作部32により網掛け部分C1が選択されると、選択された患者の医用画像d2が領域R2に表示される。
【0059】
領域R1は、RIS1からのオーダ情報d1を表示する領域である。操作部32により網掛け部分C1が選択されると、選択された患者のオーダ情報d1が領域R1に表示される。
【0060】
領域R3は、RIS1からの撮影評価に関する情報d3を表示する領域である。操作部32により網掛け部分C1が選択されると、選択された患者の撮影評価に関する情報d3が領域R3に表示される。
【0061】
以上のように、表示処理によれば、検像装置3の画面上に撮影評価に関する情報d3を表示することができ、検像専門の技師は撮影評価に関する情報d3を参照して検像することができるため、生成された医用画像d2について万全なチェックを図ることができる。
【0062】
また、撮影評価に関する情報d3に注意を喚起する識別標識(E1〜E3)を付して、これを検像装置3の画面上に表示することができる。検像専門の技師は撮影評価に関する情報d3を参照することで注意してチェックすべきか否かを容易に把握することができ、生成された医用画像d2について万全なチェックを図ることができる。
【0063】
また、撮影評価に関する情報d3は撮影専門の技師が予め定められたフォーマット上にて作成した情報であって、撮影状況を示す項目ごとに評価した情報又は総合評価した情報を含むものであり、項目ごとに識別標識を付すことができる。検像専門の技師は撮影評価に関する情報d3を閲覧することで注意してチェックすべき項目を容易に把握することができ、生成された医用画像d2について万全なチェックを図ることができる。
【0064】
また、オーダ情報d1、医用画像d2及び撮影評価に関する情報d3を検像装置3に送信する情報処理システム11と、撮影評価に関する情報d3を画面上に表示する検像装置3と、を含んで構成される検像システムにより、生成された医用画像d2について万全なチェックを図ることができる。
【0065】
図8を参照して、検像装置3の自動送信処理について説明する。
検像装置3の自動送信処理は、モダリティ2から医用画像d2を受信した際に行われる処理である。
【0066】
制御部31は、モダリティ2から医用画像d2、RIS1から当該医用画像d2に対するオーダ情報d1、をそれぞれ受信し(ステップS11)、受信したオーダ情報d1及び医用画像d2を表示部33に表示する(ステップS12)。
【0067】
制御部31は、R1S1に対して、ステップS11において受信した医用画像d2に対応する撮影評価に関する情報d3を問い合わせ(ステップS13)、RIS1から撮影評価に関する情報d3を受信したか否かを判断する(ステップS14)。
【0068】
制御部31は、撮影評価に関する情報d3を受信するまで待機し(ステップS14;N)、受信した場合に次のステップに移行する(ステップS14;Y)。
【0069】
制御部31は、送信保留情報d5を記憶部35から読み出し、当該送信保留情報d5と撮影評価に関する情報d3とを照合する(ステップS15)。
【0070】
送信保留情報d5と撮影評価に関する情報d3との照合では、撮影評価に関する情報d3が、送信保留情報d5に含まれる送信を保留する条件の情報に該当するか否かが判断される。例えば制御部31は、「撮影状況を示す全ての項目に対するチェックが存在しない」、「撮影評価が3以下」にチェックがある場合、撮影評価に関する情報d3の「IV良好」や「息止め良好」等の項目全てにチェックがないか、「撮影評価」の数値が「3」以下であるかを判断する(図2及び図4参照)。
【0071】
制御部31は、ステップS16においての照合の結果、医用画像d2を検像済み医用画像d4としてPACS4へ自動的に送信できるか否かを判断する(ステップS16)。
【0072】
医用画像を自動送信できるか否かの判断では、例えば制御部は、「撮影状況を示す全ての項目に対するチェックが存在しない」、「撮影評価が3以下」にチェックがある場合、撮影評価に関する情報d3の「IV良好」や「息止め良好」等の項目全てにチェックがない、又は、「撮影評価」の数値が「3」以下である場合、自動送信できないと判断する。
なお、本実施形態では、送信保留情報d5に含まれる「送信を保留する条件の情報」のうち少なくともいずれか一つに該当する場合には、自動送信できないと判断する例を挙げて説明するが、これに限らず、「送信を保留する条件の情報」全てに該当する場合に、自動送信できないと判断してもよい。
【0073】
医用画像d2を検像済み医用画像d4としてPACS4へ自動的に送信できる場合(ステップS16;Y)、制御部31は、医用画像d2を検像済み医用画像d4としてPACS4へ自動的に送信し(ステップS17)、本自動送信処理を終了する。
送信保留情報d5に含まれる「送信を保留する条件の情報」に該当しない撮影評価に関する情報d3に対応する医用画像d2は、正常な医用画像であるものとして、検像専門の技師による検像済みの医用画像d4として扱われ、自動的にPACS4へ送信される。
従って、検像専門の技師が正常な医用画像を検像するという無駄な業務を省くことができる。
【0074】
医用画像d2を検像済み医用画像d4としてPACS4へ自動的に送信できない場合(ステップS16;N)、制御部31は、医用画像d2のPACS4への送信を保留して送信せず(ステップS18)、本自動送信処理を終了する。
送信保留情報d5に含まれる「送信を保留する条件の情報」に該当する撮影評価に関する情報d3に対応する医用画像d2は、検像の必要性がある要注意な医用画像であり、検像専門の技師による検像が必要な医用画像として扱われるため、PACS4への送信が保留される。従って、像専門の技師は、要注意な医用画像をPACS4へ送信する前に確実に検像することができる。
【0075】
以上のように、自動送信処理によれば、撮影評価に関する情報と送信保留情報とに基づく判断結果に応じて、モダリティ2から受信した医用画像を検像済みの医用画像としてPACS4へ送信できる。よって、検像専門の技師は、送信が保留と判断された医用画像のみを検像すればよく、検像業務の軽減を図ることができ、当該医用画像について迅速かつ適切なチェックを行うことができる。従って、検像専門の技師による検像の強化を図る検像装置及び検像システムを提供することができる。
【0076】
また、撮影評価に関する情報に基づいて設定された送信を保留する条件の情報に該当する医用画像を、PACS4に送信せずに保留することができるため、検像すべき要注意な医用画像の誤送信を防止できる。
【0077】
また、検像専門の技師が図4に示す画面により送信保留情報を設定することができる。
【0078】
また、情報処理システム11は、撮影評価に関する情報d3をDICOM通信又はTCP/IP通信により検像装置3に送信することができる。
【0079】
また、情報処理システム11は、撮影評価に関する情報d3を医用画像d2に付帯させ、これをDICOM通信により検像装置3に送信することができる。
【0080】
また、情報処理システム11は、オーダ情報d1及び撮影評価に関する情報d3を検像装置3に送信するRIS1と、医用画像d2を生成して検像装置3に送信するモダリティ2と、から構成することができる。
【0081】
なお、本実施形態では、表示処理と自動送信処理とを独立した処理として説明しているが、これらの処理を組み合わせて実行してもよい。例えば、自動送信処理を実行した後、PACSへ送信していない医用画像を対象にして、表示処理のステップS5〜S9の処理を実行してもよい。
【0082】
図9を参照して、撮影評価に関する情報d3をCSV(Comma Separated Values)形式にて利用する例について説明する。
【0083】
制御部31は、例えば画面T1を表示部33に表示する。操作部32により、画面T1にて検査日付が入力され「保存」ボタンが押下された場合、制御部31は、入力された検査日付期間中にRIS1から受信した撮影評価に関する情報d3をCSV形式にて記憶部35に記憶する。記憶されたCSV形式のデータは、汎用性が高く異なる種類のアプリケーションソフト間のデータ交換に利用することができる。なお、データ形式は必ずしもCSV形式である必要はなく、他の汎用形式であってもよい。表示する端末側では、例えば画面T2のように表示される。
【0084】
以上のように、図7に示す利用例によれば、RIS1からの撮影評価に関する情報d3を汎用性の高いデータに変換して記憶することができる。よって、撮影評価に関する情報d3を検像装置3から他の端末(例えば、PACS4やその他外部端末)に送信することができ、又は撮影評価に関する情報d3を他の端末で受信して管理することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 RIS
2 モダリティ
3 検像装置
4 PACS
10 検像システム
11 情報処理システム
31 制御部
32 操作部
33 表示部
34 通信部
35 記憶部
B1 保存終了ボタン
d1 オーダ情報
d2 医用画像
d3 撮影評価に関する情報
d4 医用画像
d5 送信保留情報
【技術分野】
【0001】
本発明は、検像装置及び検像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院や診療所では、モダリティを用いた検査が行われる。「モダリティ」とは、例えばX線撮影装置、MRI撮影装置、CT撮影装置等の医療機器をいう。通常、モダリティは、撮影業務を専門に行う技師により操作され、撮影専門の技師の操作により患者を撮影して医用画像を生成する。撮影により生成された医用画像は、この後、検像装置に送信される。
【0003】
「検像装置」とは、モダリティにより撮影された医用画像を画面上に表示して検像するための装置である。「検像」とは、(1)画面上に表示された医用画像が診断において許容される範囲内であるか否かチェックすること、又は、許容範囲内でない場合にはそれを修正すること、(2)画像に付帯された情報の真正性を確認し、問題があった時修正を行うことをいう。「真正性」とは、医師の依頼内容、検査の予約内容、検査の実施内容、検査を受けた患者の情報などは何れも正確であることをいう。
【0004】
検像が行われる場所は、ダブルチェックによる安全確保、情報に関する責任の所在、画質の再現性確保等の観点から、モダリティによる撮影が行われる場所とは異なる場所であることが望ましく、また異なる場所であるのが一般的である。すなわち、多くの病院や診療所では、撮影室にて撮影専門の技師によりモダリティによる撮影が行われ、撮影により生成された医用画像はネットワークを介して撮影室とは異なる場所に設置された検像装置に集中送信される。そして、そこで検像専門の技師により検像が行われることになる。
【0005】
検像専門の技師は、迅速かつ適切に、例えば医用画像の画質低下についてチェックし、画質低下があった場合にはそれが通常の診断において許容できる範囲内か否かチェックし、許容範囲内でない場合には撮影専門の技師に対して再度の撮影を依頼するか、或いは許容範囲内になるよう画像処理等を施す。
【0006】
診断において許容範囲内であると判断された、又は許容範囲内になるよう画像処理が施された検像済み医用画像は、画像管理装置に送信され、その後医師による診断に供されることになる。なお、ここでいう画像管理装置は一般に、PACS(Picture Archiving and Communication System)と呼ばれる。
検像装置又は検像装置を含むシステムについては、例えば下記に示す特許文献1に記載の技術が存在する。
【0007】
特許文献1には、他の装置(モダリティ)から医用画像を受信して画像処理を行い、画像処理された医用画像を他の装置(PACS)に送信する医用画像処理装置(検像装置)であって、受信された医用画像の統計的性質を解析してその結果が適正範囲から外れているとき、適正範囲外であることを警告する検像装置又はシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−290329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に記載の技術では、撮影専門の技師による撮影評価を検像専門の技師が把握することができないために、万全なチェックが図れるとはいえない。具体的には、以下の通りである。
【0010】
検像専門の技師は、上述したように、ダブルチェックによる安全性確保等の観点から撮影専門の技師とは異なり、また異なる場所で業務を行っている場合が多い。そのため、検像専門の技師は、例えば呼吸を一定期間停止する撮影時に患者がどの程度動いたか、或いは、造影剤が特定使用量分だけ適切に注射されたか否か等の撮影状況について、把握することができない。すなわち、検像専門の技師は、撮影専門の技師による評価を把握することなく検像を行うことになる。よって、検像専門の技師は、撮影評価に応じて個別に必要なチェックを行うことはできず、同一オーダに基づいて生成された医用画像であれば全て同様に検像することしかできない。これでは、万全なチェックが図れるとはいえない。
【0011】
また、一つのモダリティに対して一つの検像装置が設けられることは稀であり、通常は、複数のモダリティにより生成された医用画像は、一つの検像装置にて集中的に検像されることが多い。このような場合、検像専門の技師は、全ての医用画像を日々チェックすることとなるが、検像業務がルーティン化するため、検像業務の負担増加と共に、画質低下等のチェックの見落としが発生しやすくなり、万全なチェックが図れるとはいえない。
【0012】
本発明の課題は、検像専門の技師による検像の強化を図り得る検像装置又は検像システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、オーダ情報と当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像との整合性をチェックし、当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像の画質が診断において許容範囲内であるか否かをチェックするための検像装置において、第1の外部機器から、前記オーダ情報、当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像及び当該医用画像の撮影状況に基づいて作成された撮影評価に関する情報を受信する通信部と、前記撮影評価に関する情報に基づいて設定された第2の外部機器への送信を保留する医用画像の設定に関する送信保留情報を記憶する記憶部と、前記撮影評価に関する情報と前記送信保留情報とに基づいて、前記第2の外部装置へ前記医用画像の送信を行うか保留するかを判断し、送信を行う場合には前記通信部により前記医用画像をチェック済みの医用画像として前記第2の外部装置へ送信する制御を行う制御部と、を備える検像装置が提供される。
【0014】
また、本発明によれば、オーダ情報及び当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像を送信する情報処理システムと、前記オーダ情報と前記医用画像との整合性をチェックし、前記医用画像の画質が診断において許容範囲内であるか否かをチェックするための検像装置と、前記検像装置によるチェック済みの医用画像を記憶し管理する画像管理装置と、を含む検像システムにおいて、前記情報処理システムは、前記オーダ情報及び前記医用画像とともに、前記医用画像の撮影状況に基づいて作成された撮影評価に関する情報を前記検像装置に送信し、前記検像装置は、前記情報処理システムから、前記オーダ情報、当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像及び当該医用画像の撮影状況に基づいて作成された撮影評価に関する情報を受信する通信部、前記撮影評価に関する情報に基づいて設定された前記画像管理装置への送信を保留する医用画像の設定に関する送信保留情報を記憶する記憶部、前記撮影評価に関する情報と前記送信保留情報とに基づいて、前記画像管理装置へ前記医用画像の送信を行うか保留するかを判断し、送信を行う場合には前記医用画像を前記チェック済みの医用画像として前記画像管理装置へ送信する制御を行う制御部、を有する検像システムが提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、撮影評価に関する情報と送信保留情報とに基づく判断結果に応じて、医用画像をチェック済みの医用画像として送信できる。よって、検像専門の技師は、送信が保留と判断された医用画像のみを検像すればよく、検像業務の軽減を図ることができ、当該医用画像について迅速かつ適切なチェックを行うことができる。従って、検像専門の技師による検像の強化を図る検像装置及び検像システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】検像システムの全体構成を示す図である。
【図2】RISの画面に表示される撮影評価に関する情報の一例を示す図である。
【図3】検像装置の画面に表示される撮影評価に関する情報の一例を示す図である。
【図4】検像装置に表示される送信保留情報の設定を受け付ける画面の一例を示す図である。
【図5】検像装置の機能ブロック図を示す図である。
【図6】検像装置の表示処理を示す図である。
【図7】検像装置の画面例を示す図である。
【図8】検像装置の自動送信処理を示す図である。
【図9】撮影評価に関する情報の利用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態における検像装置又は検像システムの構成及び動作について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本実施形態は本発明の一例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
図1に、検像システム10の全体構成を示す。
検像システム10は、RIS1、モダリティ2、検像装置3、PACS4等を備えて構成される。各装置(1〜4)はLANやWANにより通信可能に接続されており、通信規格は例えばHL7(Health Level 7)又はDICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)等が採用される。
【0019】
RIS1は、患者情報又は検査情報を登録して一元管理するための端末である。
なお、「RIS」とは、本来、「Radiology Information System」の略であり放射線情報システムを意味するが、ここでは放射線情報システムを利用して患者情報又は検査情報を一元管理する端末として説明する。
【0020】
「患者情報」とは、患者を特定するための情報であり、例えば患者ID、氏名、性別、生年月日等が含まれる。また、「検査情報」とは、検査を特定するための情報であり、例えば検査ID、モダリティ情報、撮影情報等が含まれる。
【0021】
以下の説明では、RIS1により一元管理される患者情報又は検査情報を総称して「オーダ情報」と表現する。なお、オーダ情報は、図示しない受付端末からHIS(Hospital Information System)によりRIS1に送信されるか、或いはRIS1にて撮影専門の技師に直接入力される。
【0022】
RIS1は、登録されたオーダ情報d1をモダリティ2又は検像装置3に送信する。また、本実施形態では、RIS1は、撮影評価に関する情報d3を検像装置3に送信する。なお、撮影評価に関する情報d3は、後述するように、医用画像d2と直接には関係のない情報であることから、RIS1と検像装置3との間における撮影評価に関する情報d3のやりとりは、必ずしもDICOM通信である必要はなく、通常のTCP/IP通信であってもよい。
【0023】
図2に、RIS1の画面に表示される撮影評価に関する情報d3の一例を示す。
「撮影評価に関する情報」とは、撮影専門の技師が撮影状況を踏まえた上で、撮影状況を示す項目ごとに評価した情報又は撮影を総合評価した情報を含むものであり、撮影評価の対象である医用画像と対応付けられている。
【0024】
「撮影状況を示す項目」とは、検査内容ごとに異なるフォーマットにて予め定められた項目(例えば、「IV良好」、「造影剤漏れなし」、「撮影タイミング良好」…等)である。フォーマットは、RIS1にて記憶されている。
【0025】
「撮影状況を示す項目ごとに評価した情報」とは、フォーマットにて予め定められた項目についてのチェックの有無に関する情報をいう。
【0026】
「撮影を総合評価した情報」とは、現場で実際に撮影を行った撮影専門の技師による総合的な自己評価に関する情報であり、図2では、「撮影評価」に対する数値である。この「撮影を総合評価した情報」とは、例えば、1〜5までの範囲のうちの何れかの数値で示される。数値は、撮影専門の技師が自己評価に基づいてRIS1にて入力する。
撮影専門の技師は、撮影は上出来きであると判断した場合は「5」、通常通りと判断した場合は「4」、やや気になると判断した場合は「3」、あまり上手くできず撮影画像の確認が必要であると判断した場合は「2」、再撮影が必要な程度に全くできず撮影画像の確認が必要であると判断した場合は「1」、のいずれかの数値を「撮影を総合評価した情報」としてRIS1にて入力する。
【0027】
一般に、RIS1とモダリティ2は比較的近い場所に設置されており、同一の撮影専門の技師がRIS1とモダリティ2とを操作する。撮影専門の技師は、RIS1からのオーダ情報d1をモダリティ2に送信する作業を行い、モダリティ2に送信されたオーダ情報d1に基づいて、モダリティ2を操作して患者を実際に撮影する作業を行う。患者の撮影は、オーダ情報d1に忠実に基づいて行われることが望ましいが、実際の撮影現場では患者の状態や検査の難易度等によりオーダ情報d1に忠実とはいえない状況下で撮影される場合がある。撮影専門の技師は、こうした実際の撮影状況を踏まえた上で、RIS1にて図2に示すようなフォーマット上で撮影を評価する。RIS1は、撮影専門の技師により作成された撮影評価を「撮影評価に関する情報」として検像装置3に送信する。
【0028】
モダリティ2は、患者を撮影して医用画像d2を生成する医療機器であり、例えばX線撮影装置、MRI装置、CT装置、超音波診断装置等がある。モダリティ2は、RIS1からのオーダ情報d1に基づいて医用画像d2を生成し、生成された医用画像d2を検像装置3に送信する。送信される医用画像d2にはオーダ情報d1が付帯される。
【0029】
なお、既述の説明又は図1において、撮影評価に関する情報d3はRIS1により生成されて検像装置3に送信されるとしたがこれに限らず、モダリティ2により生成されて検像装置3に送信されるとしてもよい。この場合、撮影評価に関する情報d3は、医用画像d2と別にして個別に送信されるとしてもよいし、医用画像d2に付帯して送信されるとしてもよい。
【0030】
また、モダリティ2は、図1においては1つだけしか表記されていないがこれに限らず、モダリティ2及びこれに対応するRIS1を複数備えるとしてもよい。
また、RIS1及びモダリティ2は、検像装置3からすれば、各種医用情報(オーダ情報d1、医用画像d2及び撮影評価に関する情報d3)を検像装置3に対して送信する一つのシステムとしてとらえることができる。よって以下の説明では、RIS1及びモダリティ2を総称して「情報処理システム11」と表現する。なお、大規模医療機関の多くは、例えばX線撮影装置、MRI装置、CT装置等のモダリティを複数備えており、複数の情報処理システム11を備える。
【0031】
検像装置3は、モダリティ2により生成された医用画像d2を検像するための端末である。検像装置3は、撮影専門の技師とは異なる検像専門の技師により操作され、検像専門の技師によるチェックのためRIS1からのオーダ情報d1及びモダリティ2からの医用画像d2を画面上に表示する。検像装置3では、検像専門の技師により、主として(1)RIS1からのオーダ情報d1とモダリティ2からの医用画像d2とが一致しているか否か、及び、(2)モダリティ2からの医用画像d2の画質が診断において許容できる範囲内であるか否か、についてチェックされる。
本実施形態では、検像装置3は更に、撮影評価に関する情報d3を画面に表示する。
【0032】
図3に、検像装置3の画面に表示される撮影評価に関する情報d3の一例を示す。
なお、図3に示す撮影評価に関する情報d3の内容は、図2に示す撮影評価に関する情報d3の内容と同様であり対応している。また、図3では、撮影評価に関する情報d3はオーダ情報d1と合わせて画面に表示されている。
【0033】
図3に示す撮影評価に関する情報d3は、基本的には図2に示す撮影評価に関する情報d3の内容と同様であるが、検像するに際して特に注意してチェックすべき項目については識別標識(例えば、「!」マーク等)が付される。識別標識が付される箇所は、撮影専門の技師が撮影評価に関する情報d3を作成する際にチェックを入れた項目、又は入れなかった項目である。具体的には、図2において「IV良好」の項目にチェックが入れられていないため、図3においては「IV不良」として表示され、識別標識が付される(E1)。また、図2において「息止め良好」の項目にチェックが入れられていないため、図3においては「息止め不良」として表示され、識別標識が付される(E2)。また、撮影専門の技師による総合評価を一見して把握容易とするため、撮影評価にも識別標識(例えば、図2において「撮影評価」に対する数値が「5」であることから、図3においては5つの「☆」マーク等)が付される(E3)。
【0034】
検像装置3の画面に図3に示すような撮影評価に関する情報d3が表示されることで、検像専門の技師は撮影評価に応じて個別に医用画像d2を検像することができ、生成された医用画像d2について万全なチェックを図ることができる。更には、注意すべき箇所が明確であるから迅速かつ適切なチェックを図ることができる。
【0035】
また本実施形態では、検像装置3は、PACS4への送信を保留する医用画像の設定に関する情報(以下、送信保留情報と略す)の設定を受け付ける画面を表示する。
図4に、検像装置3の画面に表示される送信保留情報d5の設定を受け付ける画面の一例を示す。送信保留情報d5は、モダリティ2から受信した医用画像に対する撮影評価に関する情報d3に基づき、PACS4への医用画像の「送信を保留する条件の情報」を含むものである。
【0036】
「送信を保留する条件」とは、撮影評価に関する情報d3に基づいて予め定められた条件である。例えば、図4においては「撮影状況を示す全ての項目に対するチェックが存在しない」、「撮影評価が3以下」…等)である。なお、「送信を保留する条件」としては、撮影評価に関する情報が存在しない、チェックの有る撮影状況を示す項目数がN以上(Nは予め設定された数値)、撮影状況を示す項目それぞれのチェックの有無等、撮影評価に関する情報d3に含まれる各種情報を組み合わせることも可能である。
【0037】
「送信を保留する条件の情報」とは、「送信を保留する条件」についてのチェックの有無に関する情報であり、検像専門の技師により、図4に示す画面においてチェックが入れられ、保存終了ボタンB1が押下されることにより設定される。
従って、送信保留情報の設定を受け付ける画面を表示する検像装置3の後述する表示部及び当該画面上のボタンを操作する後述する操作部は、送信保留情報の設定を受け付ける入力部を実現する。
【0038】
図5に、検像装置3の機能ブロック図を示す。
検像装置3は、制御部31、操作部32、表示部33、通信部34、記憶部35等を備えて構成される。
【0039】
制御部31は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成され、CPUがROMに記憶されている各種プログラムをRAMに展開し、RAMに展開された各種プログラムとの協働により検像装置3の動作を集中制御する。
【0040】
操作部32は、キーボードやマウス等を備えて構成され、検像専門の技師の操作により操作信号を生成してこれを制御部31に出力する。
【0041】
表示部33は、LCDや有機EL等のディスプレイを備えて構成され、制御部31からの制御信号に基づいて、医用画像d2や各種操作画面を表示する。本実施形態では、表示部33は、医用画像d2とともに、オーダ情報d1及び撮影評価に関する情報d3(図3参照)、送信保留情報d5(図4参照)を表示する。
【0042】
通信部34は、通信用インターフェイス等を備えて構成され、情報処理システム11からオーダ情報d1、医用画像d2及び撮影評価に関する情報d3を受信する。また、通信部34は、検像済み医用画像d4をPACS4に送信する。
【0043】
記憶部35は、ROM等の不揮発性メモリを備えて構成され、システムプログラム、各種処理プログラム等を記憶する。また、記憶部35は、オーダ情報d1、医用画像d2、撮影評価に関する情報d3、検像済み医用画像d4、送信保留情報d5等を記憶する。
【0044】
PACS4は、検像装置3により検像された検像済み医用画像d4を記憶して一元管理する画像管理装置である。なお、「PACS」とは、本来、「Picture Archiving and Communication System」の略であり放射線画像情報システムを意味するが、ここでは放射線画像情報システムを利用して検像済み医用画像d4を一元管理する端末として説明する。
【0045】
図6を参照して、検像装置3の表示処理について説明する。
検像装置3の表示処理は、検像専門の技師が検像装置3を用いて検像する際に行われる処理である。
【0046】
制御部31は、モダリティ2から医用画像d2を受信したか否か判断する(ステップS1)。制御部31は、医用画像d2を受信するまで待機し(ステップS1;N)、受信した場合に次のステップに移行する(ステップS1;Y)。
【0047】
制御部31は、RIS1からステップS1において受信した医用画像d2に対するオーダ情報d1を受信したか否か判断する(ステップS2)。RIS1からオーダ情報d1を受信した場合(ステップS2;Y)、制御部31は、オーダ情報d1及び医用画像d2を表示部33に表示する(ステップS3)。その後、制御部31はステップS5に移行する。
【0048】
RIS1からオーダ情報d1を受信していない場合(ステップS2;N)、制御部31は、医用画像d2を表示部33に表示する(ステップS4)。その後、制御部31はステップS5に移行する。
【0049】
制御部31は、RIS1からステップS1において受信した医用画像d2に対応する撮影評価に関する情報d3を受信したか否か判断する(ステップS5)。撮影評価に関する情報d3を受信していない場合(ステップS5;N)、制御部31は、ステップS9に移行する。
【0050】
撮影評価に関する情報d3を受信した場合(ステップS5;Y)、制御部31は、項目ごとにNG項目があるか否か判断する(ステップS6)。
【0051】
「NG項目」とは、図3の説明で既述したように、検像するに際して特に注意してチェックすべき項目であって、識別標識(例えば、「!」マーク等)を付すべき項目をいう。
例えば制御部31は、撮影評価に関する情報d3を受信した場合、「IV良好」、「造影剤漏れなし」、「撮影タイミング良好」、「息止め良好」、…等の項目ごとに、NG項目があるか否か判断し、「IV良好」や「息止め良好」の項目にチェックがない場合、制御部31は、これらの項目をNG項目として判断する(図2及び図3参照)。
【0052】
NG項目がある場合(ステップS6;Y)、制御部31は、撮影評価に関する情報d3に識別標識を付して、これを表示部33に表示する(ステップS7)。
なお、識別標識を付して表示することにより、検像専門の技師に対して警告を行い、検像するに際して注意を促すことができる。検像専門の技師は、識別標識による警告を一見して容易に把握することができるため、特に注意して検像することになる。
【0053】
NG項目がない場合(ステップS6;N)、制御部31は、撮影評価に関する情報d3をそのまま表示部33に表示する(ステップS8)。
なお、識別標識を付さずにそのまま表示することにより、検像専門の技師は、識別標識による警告がないため通常どおりの検像を行えばよいと容易に把握する事ができ、検像するに際しては撮影評価に関する情報d3を参考資料として利用することができる。
【0054】
制御部31は、医用画像d2は検像済みであるか否か判断する(ステップS9)。
検像済みでない場合(ステップS9;N)、制御部31は、ステップS5に移行する。
【0055】
検像済みである場合(ステップS9;Y)、制御部31は、本表示処理を終了する。
なお、本処理終了後、制御部31は検像済み医用画像d4をPACS4に送信する等の処理を行うとしてもよい。
【0056】
図7に、検像装置3の表示部33により表示される画面例を示す。
図7に示す画面例は、表示処理(図5参照)が行われた場合の画面例である。
【0057】
リストL1は、医用画像d2に付帯されたオーダ情報d1をリスト表示する領域である。また、その他にも、検像済みであるか否か、NG項目があるか否か、PACS4に送信済みであるか否か等の情報を表示する領域である。
網掛け部分C1は、操作部32により選択された部分である。操作部32により選択されると、選択された部分が網掛けに切り替わって表示される。
【0058】
領域R2は、モダリティ2からの医用画像d2を表示する領域である。操作部32により網掛け部分C1が選択されると、選択された患者の医用画像d2が領域R2に表示される。
【0059】
領域R1は、RIS1からのオーダ情報d1を表示する領域である。操作部32により網掛け部分C1が選択されると、選択された患者のオーダ情報d1が領域R1に表示される。
【0060】
領域R3は、RIS1からの撮影評価に関する情報d3を表示する領域である。操作部32により網掛け部分C1が選択されると、選択された患者の撮影評価に関する情報d3が領域R3に表示される。
【0061】
以上のように、表示処理によれば、検像装置3の画面上に撮影評価に関する情報d3を表示することができ、検像専門の技師は撮影評価に関する情報d3を参照して検像することができるため、生成された医用画像d2について万全なチェックを図ることができる。
【0062】
また、撮影評価に関する情報d3に注意を喚起する識別標識(E1〜E3)を付して、これを検像装置3の画面上に表示することができる。検像専門の技師は撮影評価に関する情報d3を参照することで注意してチェックすべきか否かを容易に把握することができ、生成された医用画像d2について万全なチェックを図ることができる。
【0063】
また、撮影評価に関する情報d3は撮影専門の技師が予め定められたフォーマット上にて作成した情報であって、撮影状況を示す項目ごとに評価した情報又は総合評価した情報を含むものであり、項目ごとに識別標識を付すことができる。検像専門の技師は撮影評価に関する情報d3を閲覧することで注意してチェックすべき項目を容易に把握することができ、生成された医用画像d2について万全なチェックを図ることができる。
【0064】
また、オーダ情報d1、医用画像d2及び撮影評価に関する情報d3を検像装置3に送信する情報処理システム11と、撮影評価に関する情報d3を画面上に表示する検像装置3と、を含んで構成される検像システムにより、生成された医用画像d2について万全なチェックを図ることができる。
【0065】
図8を参照して、検像装置3の自動送信処理について説明する。
検像装置3の自動送信処理は、モダリティ2から医用画像d2を受信した際に行われる処理である。
【0066】
制御部31は、モダリティ2から医用画像d2、RIS1から当該医用画像d2に対するオーダ情報d1、をそれぞれ受信し(ステップS11)、受信したオーダ情報d1及び医用画像d2を表示部33に表示する(ステップS12)。
【0067】
制御部31は、R1S1に対して、ステップS11において受信した医用画像d2に対応する撮影評価に関する情報d3を問い合わせ(ステップS13)、RIS1から撮影評価に関する情報d3を受信したか否かを判断する(ステップS14)。
【0068】
制御部31は、撮影評価に関する情報d3を受信するまで待機し(ステップS14;N)、受信した場合に次のステップに移行する(ステップS14;Y)。
【0069】
制御部31は、送信保留情報d5を記憶部35から読み出し、当該送信保留情報d5と撮影評価に関する情報d3とを照合する(ステップS15)。
【0070】
送信保留情報d5と撮影評価に関する情報d3との照合では、撮影評価に関する情報d3が、送信保留情報d5に含まれる送信を保留する条件の情報に該当するか否かが判断される。例えば制御部31は、「撮影状況を示す全ての項目に対するチェックが存在しない」、「撮影評価が3以下」にチェックがある場合、撮影評価に関する情報d3の「IV良好」や「息止め良好」等の項目全てにチェックがないか、「撮影評価」の数値が「3」以下であるかを判断する(図2及び図4参照)。
【0071】
制御部31は、ステップS16においての照合の結果、医用画像d2を検像済み医用画像d4としてPACS4へ自動的に送信できるか否かを判断する(ステップS16)。
【0072】
医用画像を自動送信できるか否かの判断では、例えば制御部は、「撮影状況を示す全ての項目に対するチェックが存在しない」、「撮影評価が3以下」にチェックがある場合、撮影評価に関する情報d3の「IV良好」や「息止め良好」等の項目全てにチェックがない、又は、「撮影評価」の数値が「3」以下である場合、自動送信できないと判断する。
なお、本実施形態では、送信保留情報d5に含まれる「送信を保留する条件の情報」のうち少なくともいずれか一つに該当する場合には、自動送信できないと判断する例を挙げて説明するが、これに限らず、「送信を保留する条件の情報」全てに該当する場合に、自動送信できないと判断してもよい。
【0073】
医用画像d2を検像済み医用画像d4としてPACS4へ自動的に送信できる場合(ステップS16;Y)、制御部31は、医用画像d2を検像済み医用画像d4としてPACS4へ自動的に送信し(ステップS17)、本自動送信処理を終了する。
送信保留情報d5に含まれる「送信を保留する条件の情報」に該当しない撮影評価に関する情報d3に対応する医用画像d2は、正常な医用画像であるものとして、検像専門の技師による検像済みの医用画像d4として扱われ、自動的にPACS4へ送信される。
従って、検像専門の技師が正常な医用画像を検像するという無駄な業務を省くことができる。
【0074】
医用画像d2を検像済み医用画像d4としてPACS4へ自動的に送信できない場合(ステップS16;N)、制御部31は、医用画像d2のPACS4への送信を保留して送信せず(ステップS18)、本自動送信処理を終了する。
送信保留情報d5に含まれる「送信を保留する条件の情報」に該当する撮影評価に関する情報d3に対応する医用画像d2は、検像の必要性がある要注意な医用画像であり、検像専門の技師による検像が必要な医用画像として扱われるため、PACS4への送信が保留される。従って、像専門の技師は、要注意な医用画像をPACS4へ送信する前に確実に検像することができる。
【0075】
以上のように、自動送信処理によれば、撮影評価に関する情報と送信保留情報とに基づく判断結果に応じて、モダリティ2から受信した医用画像を検像済みの医用画像としてPACS4へ送信できる。よって、検像専門の技師は、送信が保留と判断された医用画像のみを検像すればよく、検像業務の軽減を図ることができ、当該医用画像について迅速かつ適切なチェックを行うことができる。従って、検像専門の技師による検像の強化を図る検像装置及び検像システムを提供することができる。
【0076】
また、撮影評価に関する情報に基づいて設定された送信を保留する条件の情報に該当する医用画像を、PACS4に送信せずに保留することができるため、検像すべき要注意な医用画像の誤送信を防止できる。
【0077】
また、検像専門の技師が図4に示す画面により送信保留情報を設定することができる。
【0078】
また、情報処理システム11は、撮影評価に関する情報d3をDICOM通信又はTCP/IP通信により検像装置3に送信することができる。
【0079】
また、情報処理システム11は、撮影評価に関する情報d3を医用画像d2に付帯させ、これをDICOM通信により検像装置3に送信することができる。
【0080】
また、情報処理システム11は、オーダ情報d1及び撮影評価に関する情報d3を検像装置3に送信するRIS1と、医用画像d2を生成して検像装置3に送信するモダリティ2と、から構成することができる。
【0081】
なお、本実施形態では、表示処理と自動送信処理とを独立した処理として説明しているが、これらの処理を組み合わせて実行してもよい。例えば、自動送信処理を実行した後、PACSへ送信していない医用画像を対象にして、表示処理のステップS5〜S9の処理を実行してもよい。
【0082】
図9を参照して、撮影評価に関する情報d3をCSV(Comma Separated Values)形式にて利用する例について説明する。
【0083】
制御部31は、例えば画面T1を表示部33に表示する。操作部32により、画面T1にて検査日付が入力され「保存」ボタンが押下された場合、制御部31は、入力された検査日付期間中にRIS1から受信した撮影評価に関する情報d3をCSV形式にて記憶部35に記憶する。記憶されたCSV形式のデータは、汎用性が高く異なる種類のアプリケーションソフト間のデータ交換に利用することができる。なお、データ形式は必ずしもCSV形式である必要はなく、他の汎用形式であってもよい。表示する端末側では、例えば画面T2のように表示される。
【0084】
以上のように、図7に示す利用例によれば、RIS1からの撮影評価に関する情報d3を汎用性の高いデータに変換して記憶することができる。よって、撮影評価に関する情報d3を検像装置3から他の端末(例えば、PACS4やその他外部端末)に送信することができ、又は撮影評価に関する情報d3を他の端末で受信して管理することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 RIS
2 モダリティ
3 検像装置
4 PACS
10 検像システム
11 情報処理システム
31 制御部
32 操作部
33 表示部
34 通信部
35 記憶部
B1 保存終了ボタン
d1 オーダ情報
d2 医用画像
d3 撮影評価に関する情報
d4 医用画像
d5 送信保留情報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーダ情報と当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像との整合性をチェックし、当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像の画質が診断において許容範囲内であるか否かをチェックするための検像装置において、
第1の外部機器から、前記オーダ情報、当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像及び当該医用画像の撮影状況に基づいて作成された撮影評価に関する情報を受信する通信部と、
前記撮影評価に関する情報に基づいて設定された第2の外部機器への送信を保留する医用画像の設定に関する送信保留情報を記憶する記憶部と、
前記撮影評価に関する情報と前記送信保留情報とに基づいて、前記第2の外部装置へ前記医用画像の送信を行うか保留するかを判断し、送信を行う場合には前記通信部により前記医用画像をチェック済みの医用画像として前記第2の外部装置へ送信する制御を行う制御部と、
を備えること、を特徴とする検像装置。
【請求項2】
前記撮影評価に関する情報は、
前記医用画像を撮影したユーザが撮影状況を踏まえて予め定められたフォーマット上にて作成した情報であって、撮影状況を示す項目ごとに評価した情報又は撮影を総合評価した情報を含み、
前記送信保留情報は、
前記撮影状況を示す項目ごとに評価した情報又は前記撮影を総合評価した情報に基づいて設定された送信を保留する条件の情報を含み、
前記制御部は、
前記撮影評価に関する情報が前記送信を保留する条件の情報に該当する場合、前記第2の外部装置への前記医用画像の送信を保留すると判断すること、
を特徴とする請求項1に記載の検像装置。
【請求項3】
前記送信保留情報の設定を受け付ける入力部を備えること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の検像装置。
【請求項4】
オーダ情報及び当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像を送信する情報処理システムと、前記オーダ情報と前記医用画像との整合性をチェックし、前記医用画像の画質が診断において許容範囲内であるか否かをチェックするための検像装置と、前記検像装置によるチェック済みの医用画像を記憶し管理する画像管理装置と、を含む検像システムにおいて、
前記情報処理システムは、
前記オーダ情報及び前記医用画像とともに、前記医用画像の撮影状況に基づいて作成された撮影評価に関する情報を前記検像装置に送信し、
前記検像装置は、
前記情報処理システムから、前記オーダ情報、当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像及び当該医用画像の撮影状況に基づいて作成された撮影評価に関する情報を受信する通信部、
前記撮影評価に関する情報に基づいて設定された前記画像管理装置への送信を保留する医用画像の設定に関する送信保留情報を記憶する記憶部、
前記撮影評価に関する情報と前記送信保留情報とに基づいて、前記画像管理装置へ前記医用画像の送信を行うか保留するかを判断し、送信を行う場合には前記医用画像を前記チェック済みの医用画像として前記画像管理装置へ送信する制御を行う制御部、を有すること、
を特徴とする検像システム。
【請求項5】
前記情報処理システムは、
前記撮影評価に関する情報をDICOM通信又はTCP/IP通信により前記検像装置に送信すること、
を特徴とする請求項4に記載の検像システム。
【請求項6】
前記情報処理システムは、
前記オーダ情報及び前記撮影評価に関する情報を検像装置に送信するRISと、
前記医用画像を検像装置に送信するモダリティと、
から構成されること、
を特徴とする請求項4又は5に記載の検像システム。
【請求項1】
オーダ情報と当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像との整合性をチェックし、当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像の画質が診断において許容範囲内であるか否かをチェックするための検像装置において、
第1の外部機器から、前記オーダ情報、当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像及び当該医用画像の撮影状況に基づいて作成された撮影評価に関する情報を受信する通信部と、
前記撮影評価に関する情報に基づいて設定された第2の外部機器への送信を保留する医用画像の設定に関する送信保留情報を記憶する記憶部と、
前記撮影評価に関する情報と前記送信保留情報とに基づいて、前記第2の外部装置へ前記医用画像の送信を行うか保留するかを判断し、送信を行う場合には前記通信部により前記医用画像をチェック済みの医用画像として前記第2の外部装置へ送信する制御を行う制御部と、
を備えること、を特徴とする検像装置。
【請求項2】
前記撮影評価に関する情報は、
前記医用画像を撮影したユーザが撮影状況を踏まえて予め定められたフォーマット上にて作成した情報であって、撮影状況を示す項目ごとに評価した情報又は撮影を総合評価した情報を含み、
前記送信保留情報は、
前記撮影状況を示す項目ごとに評価した情報又は前記撮影を総合評価した情報に基づいて設定された送信を保留する条件の情報を含み、
前記制御部は、
前記撮影評価に関する情報が前記送信を保留する条件の情報に該当する場合、前記第2の外部装置への前記医用画像の送信を保留すると判断すること、
を特徴とする請求項1に記載の検像装置。
【請求項3】
前記送信保留情報の設定を受け付ける入力部を備えること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の検像装置。
【請求項4】
オーダ情報及び当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像を送信する情報処理システムと、前記オーダ情報と前記医用画像との整合性をチェックし、前記医用画像の画質が診断において許容範囲内であるか否かをチェックするための検像装置と、前記検像装置によるチェック済みの医用画像を記憶し管理する画像管理装置と、を含む検像システムにおいて、
前記情報処理システムは、
前記オーダ情報及び前記医用画像とともに、前記医用画像の撮影状況に基づいて作成された撮影評価に関する情報を前記検像装置に送信し、
前記検像装置は、
前記情報処理システムから、前記オーダ情報、当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像及び当該医用画像の撮影状況に基づいて作成された撮影評価に関する情報を受信する通信部、
前記撮影評価に関する情報に基づいて設定された前記画像管理装置への送信を保留する医用画像の設定に関する送信保留情報を記憶する記憶部、
前記撮影評価に関する情報と前記送信保留情報とに基づいて、前記画像管理装置へ前記医用画像の送信を行うか保留するかを判断し、送信を行う場合には前記医用画像を前記チェック済みの医用画像として前記画像管理装置へ送信する制御を行う制御部、を有すること、
を特徴とする検像システム。
【請求項5】
前記情報処理システムは、
前記撮影評価に関する情報をDICOM通信又はTCP/IP通信により前記検像装置に送信すること、
を特徴とする請求項4に記載の検像システム。
【請求項6】
前記情報処理システムは、
前記オーダ情報及び前記撮影評価に関する情報を検像装置に送信するRISと、
前記医用画像を検像装置に送信するモダリティと、
から構成されること、
を特徴とする請求項4又は5に記載の検像システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−133424(P2012−133424A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282578(P2010−282578)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】
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