説明

検出ユニットの検出器エネルギー重み関数を決定する装置及び方法

本発明は、検出ユニット(6)の検出器エネルギー重み関数を決定する装置に関する。当該装置は、検出ユニット(6)のスペクトル応答関数を決定する決定ユニット(21)、及び、検出ユニット(6)のスペクトル応答関数と所与の理想検出器エネルギー重み関数との積を積分することによって検出器エネルギー重み関数を決定する計算ユニット(22)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出ユニットの検出器エネルギー重み関数を決定する装置及び方法に関する。本発明は更に、決定された検出器エネルギー重み関数を用いる撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、非特許文献1から、検出器エネルギー重み関数を用いることによって、検出器ユニットに突き当たる放射線のスペクトルを測定による検出信号に関係付けることが知られている。この関係は、例えば、次式:
【0003】
【数1】

によって定式化され得る。ただし、Mは測定された測定検出信号、cは既知の比例定数、f(E)は検出器エネルギー重み関数、D(E)は検出器ユニットに付き当たる放射線のスペクトルを表す。測定検出信号は既知であり、検出器エネルギー重み関数は一般的に、理想的な検出器の検出器エネルギー重み関数として定められる。故に、測定検出信号、及び理想検出器の検出器エネルギー重み関数すなわち理想検出器エネルギー重み関数が既知となり、検出器ユニットに突き当たる放射線のスペクトルの検査による検査対象に材料特性を再計算するために等式(1)を使用することができる。
【0004】
しかしながら、現実には、理想的な検出器ユニットは存在しない。上述の手法は、信号処理に関して、検出器ユニットの画素同士の間の電荷の共有又はクロストークのような物理的な検出器効果を考慮していない。これは、しかしながら、測定検出信号の誤った解釈をもたらす。例えば、光子計数式の複数閾値CZT画素検出器という特別な事例においては、多数の物理効果が光子の誤った分類を生じさせる。特に、クロストーク効果は全エネルギーを部分的に、隣接する画素へと広げ(電荷の共有又はK蛍光)得るものであり、それにより、例えば、1つの画素ではなく2つの画素で、双方が元々の光子のエネルギーより低いエネルギーを有する2つの光子計数がもたらされ得る。また、光子エネルギーの一部が蛍光又は散乱過程によって逃げ出ることにより、光子エネルギーの過小評価が生じ得る。また、2つの同時入射光子が1つの光子として検出されてしまうこと(エネルギーの過大評価となる“パイルアップ”効果)が生じ得る。さらに、電荷検出の統計効果はエネルギー拡がり(ブロードニング)につながる。光子計数式の複数閾値CZT検出器は、例えば、非特許文献2に開示されている。
【0005】
現実の検出器のこれらの効果は測定検出信号を変化させるため、検出器ユニットに突き当たる放射線のスペクトルが理想検出器エネルギー重み関数を用いて再計算される場合、検出器ユニットに突き当たる放射線に対して決定されるスペクトルは、検出器ユニットに突き当たる放射線の実際のスペクトルとは異なったものとなる。さらに、例えば、検出器ユニットがコンピュータ断層撮影(CT)システムの検出器である場合など、このように決定された放射線スペクトルが関心領域の画像を再構成するために使用されると、再構成画像は、汚染された決定放射線スペクトルに起因するアーチファクトを有することになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】R.E.Alvarez、A.Macovski、Phys.Med.Biol.、1976年、第21巻、第5号、p.733
【非特許文献2】V.B.Cajipe、R.Calderwood、M.Clajus、B.Grattan、S.Hayakawa、R.Jayaraman、T.O.Turner、O.Yossifor、「Multi-Energy X-ray Imaging with Linear CZT Pixel Arrays and Integrated Electronics」、14th Intl. Workshop on Room-Temperature Semiconductor X-Ray and Gamma-Ray Detectors、2004年10月18−22日、イタリア、ローマ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、特に、検出器ユニットに突き当たる放射線のスペクトルを改善された品質で決定することを可能にするため、電荷の共有又はクロストークのような検出器効果を考慮に入れる、検出ユニットの検出器エネルギー重み関数を決定する装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様において、検出ユニットの検出器エネルギー重み関数を決定する装置が提示される。当該装置は:
− 検出ユニットのスペクトル応答関数を決定する決定ユニット、
− 検出ユニットのスペクトル応答関数と所与の理想検出器エネルギー重み関数との積を積分することによって、検出器エネルギー重み関数を決定する計算ユニット、
を有する。
【0009】
本発明は、決定されたスペクトル応答関数は、特には電荷の共有及びクロストークのような上述の物理効果に関する情報である、検出ユニットの効果に関する情報を含んでおり、故に、検出ユニットの決定されたスペクトル応答関数と所与の理想検出器エネルギー重み関数との積の積分により、これらの効果を考慮した検出器エネルギー重み関数が生成される、すなわち、本発明に従って決定された検出器エネルギー重み関数は現実的な検出器エネルギー重み関数になるという考えに基づく。
【0010】
好ましくは、決定ユニットは、調整可能な波長を有する単色放射線で検出ユニットを照射することが可能な放射線源を有し、決定ユニットは、放射線源の相異なる波長の単色放射線で順次、検出ユニットを照射するように適応され、決定ユニットは、検出ユニットが相異なる波長の単色放射線で順次照射されるときの検出ユニットの検出信号を検出することによって、スペクトル応答関数を決定するように適応される。斯くして決定されたスペクトル応答関数は、検出ユニットの上述の効果を高い信頼性で含んでおり、このスペクトル応答関数を用いて計算された検出器エネルギー重み関数は改善された品質を有する。
【0011】
また、好ましくは、決定ユニットは、検出ユニットが相異なる波長の単色放射線で順次照射される場合に検出されるであろう検出ユニットの検出信号をシミュレーションすることによって、スペクトル応答関数を決定するように適応される。このシミュレーションは、電荷共有又はクロストークのような検出ユニットの物理効果及び電子効果を現実的に考慮する。このシミュレーションは、故に、多色放射線を必要とすることなくスペクトル応答関数を決定することを可能にする。また、このシミュレーションは、スペクトル応答関数の品質、ひいては、計算される検出器エネルギー重み関数の品質を更に高めるために、スペクトル応答関数の上述の実験的な決定と併せて、すなわち、相異なる波長の単色放射線による検出ユニットの順次照射、及び対応する検出信号の検出と併せて、使用され得る。
【0012】
一実施形態において、検出ユニットは、複数のエネルギー瓶のエネルギー分解検出信号を提供するように適応され、当該装置は、エネルギー瓶ごとに検出器エネルギー重み関数を決定するように適応され、計算ユニットは、検出ユニットのスペクトル応答関数とそれぞれのエネルギー瓶の所与の理想検出器エネルギー重み関数との積を積分することによって、検出器エネルギー重み関数をエネルギー瓶ごとに決定するように適応される。好ましくは、計算ユニットは、エネルギー瓶の所与の理想検出器エネルギー重み関数が、該エネルギー瓶内のエネルギーに対して1であり、該エネルギー瓶の外のエネルギーに対して0であるように適応される。エネルギー瓶ごとに、それぞれのエネルギー瓶の効果を考慮に入れた検出器エネルギー重み関数が決定されるので、決定された検出器エネルギー重み関数は、それぞれのエネルギー瓶各々の効果を考慮したものとなり、決定される検出器エネルギー重み関数の品質を更に高めることになる。
【0013】
本発明は、関心領域の再構成画像の品質を向上させるよう電荷共有又はクロストークのような検出ユニット効果を考慮に入れる、関心領域を撮像する撮像システムを提供することを更なる1つの目的とする。
【0014】
本発明の一態様において、関心領域を撮像する撮像システムが提示される。当該撮像システムは:
− 放射線を放射する放射ユニットと、関心領域を通過した後の放射線を検出する検出ユニットとを有する放射・検出ユニットであり、該放射・検出ユニットは、相異なる成分を含む複数のエネルギー依存検出信号を生成するように適応され、当該撮像システムは検出器エネルギー重み関数を備え、検出器エネルギー重み関数は、検出ユニットのスペクトル応答関数を決定すること、及び検出ユニットのスペクトル応答関数と所与の理想検出器エネルギー重み関数との積を積分することによって決定される、放射・検出ユニット、
− 検出器エネルギー重み関数と、対応する減衰成分で検出信号に寄与する相異なる減衰特性と、の組み合わせとして検出信号を記述する検出信号のモデルを用いて、前記複数のエネルギー依存検出信号の連立方程式を解くことによって、少なくとも1つの減衰成分を決定する計算ユニット、
− 決定された前記少なくとも1つの減衰成分から関心領域の画像を再構成する再構成ユニット、
を有する。
【0015】
計算ユニットによって使用される検出器エネルギー重み関数は電荷共有又はクロストークのような検出ユニットの効果を考慮したものであるので、前記少なくとも1つの減衰成分は高い品質で決定される。故に、再構成ユニットは関心領域の画像を再構成することにこの少なくとも1つの高品質減衰成分を使用するので、再構成画像は高い品質を有する。すなわち、特に、電荷共有又はクロストークのような検出ユニットの効果に起因するアーチファクトが抑制され、あるいは、もはや存在しないようにされる。
【0016】
一実施形態において、放射ユニットは、多色放射線を放射する多色放射線源であり、検出ユニットは、関心領域を通過した後の放射線を検出し、且つ複数のエネルギー瓶に関する複数のエネルギー分解検出信号を提供することによってエネルギー依存検出信号を提供するエネルギー分解検出器であり、当該撮像システムは、エネルギー瓶ごとに検出器エネルギー重み関数を備えており、それぞれのエネルギー瓶の検出器エネルギー重み関数は、検出ユニットのスペクトル応答関数を決定すること、及び検出ユニットのスペクトル応答関数と該エネルギー瓶の所与の理想検出器エネルギー重み関数との積を積分することによって該エネルギー瓶の検出器エネルギー重み関数を決定すること、によって決定される。エネルギー瓶ごとに検出器エネルギー重み関数が決定されるので、検出ユニットの各エネルギー瓶の効果がそれぞれの検出器エネルギー重み関数によって考慮され、それにより、検出器エネルギー重み関数を用いて計算される前記少なくとも1つの減衰成分の品質、ひいては、再構成画像の品質が更に高められる。
【0017】
更に好ましくは、放射ユニットは、多色放射線を放射する多色放射線源であり、多色放射線のスペクトルは可変であり(例えば、管電圧切替え、又は切替えフィルタ)、放射・検出ユニットは、多色放射線の相異なるスペクトルで関心領域を照射し且つ関心領域を通過した後の、多色放射線の相異なるスペクトルを有する放射線を検出することによって、エネルギー依存検出信号を提供するように適応される。多色放射線の相異なるスペクトルで関心領域を照射することによってエネルギー依存検出信号が提供され得るように可変スペクトルの多色放射線を有する放射ユニットは、エネルギー分解検出ユニットを必要とすることなくエネルギー依存検出信号を提供することを可能にする。これにより、標準的な非エネルギー分解式の検出ユニットを用いることが可能になる。この場合、スペクトル応答関数は好ましくは、このスペクトル応答関数を用いて本発明に従った検出器エネルギー重み関数を決定するために、シミュレーションによって決定される。
【0018】
減衰成分は好ましくは、Kエッジ成分、光電成分及びコンプトン成分である。故に、検出信号は好ましくは、対象物又は関心領域内の物質のKエッジ効果、光電効果及びコンプトン効果と、検出器エネルギー重み関数との組み合わせとしてモデル化される。故に、計算ユニットは好ましくは、Kエッジ成分、光電成分、及びコンプトン成分を決定することができる。これらの成分の各々は、関心領域の画像を再構成するために用いられ得る。好ましくは、Kエッジ成分が関心領域の画像の再構成に用いられる。これにより、光電効果及びコンプトン効果のような他の効果によって乱されることなく、関心領域内の対象物又は造影剤のような物質のKエッジ成分のみを再構成することが可能になる。
【0019】
更に好ましくは、関心領域内に相異なるスペクトル吸収を有する複数の物質が存在する場合、検出信号は、検出器エネルギー重み関数と、複数の物質の相異なるスペクトル吸収に関する減衰効果との組み合わせとして記述されることが可能であり、この減衰効果は、対応する減衰成分で検出信号に寄与する。これら複数の物質は、例えば、患者の骨と軟組織、そして場合により造影剤である。この好適実施形態において、例えば骨である第1の物質に由来する減衰成分は、例えば造影剤である第2の物質による減衰成分から区別されることが可能であるので、この実施形態は、検出信号に含まれるそれぞれの減衰成分のみを用いることによって、造影剤のみを示す画像を再構成することや、骨のみを示す更なる画像を再構成することを可能にする。
【0020】
撮像システムは好ましくは、スペクトルコンピュータ断層撮影システムである。本発明に従ったスペクトルコンピュータ断層撮影システムの使用により、フィルタ補正逆投影法のような既知のコンピュータ断層撮影再構成法によって、少なくとも1つの減衰成分に対応する画像を決定することが可能になる。
【0021】
本発明の更なる一態様において、検出ユニットの検出器エネルギー重み関数を決定する方法が提示される。当該方法は:
− 決定ユニットにより、検出ユニットのスペクトル応答関数を決定する段階、
− 計算ユニットにより、検出ユニットのスペクトル応答関数と所与の理想検出器エネルギー重み関数との積を積分することによって、検出器エネルギー重み関数を決定する段階、
を有する。
【0022】
本発明の更なる一態様において、関心領域を撮像する撮像方法が提示される。当該撮像方法は:
− 放射・検出ユニットの放射ユニットにより放射線を放射し、且つ放射・検出ユニットの検出ユニットにより、関心領域を通過した後の放射線を検出する放射・検出段階であり、放射・検出ユニットにより、相異なる成分を含む複数のエネルギー依存検出信号を生成し、撮像システムは検出器エネルギー重み関数を備え、検出器エネルギー重み関数は、検出ユニットのスペクトル応答関数を決定すること、及び検出ユニットのスペクトル応答関数と所与の理想検出器エネルギー重み関数との積を積分することによって決定される、放射・検出段階、
− 計算ユニットにより、検出器エネルギー重み関数と、対応する減衰成分で検出信号に寄与する相異なる減衰特性と、の組み合わせとして検出信号を記述する検出信号のモデルを用いて、前記複数のエネルギー依存検出信号の連立方程式を解くことによって、少なくとも1つの減衰成分を決定する段階、
− 再構成ユニットにより、決定された前記少なくとも1つの減衰成分から関心領域の画像を再構成する段階、
を有する。
【0023】
本発明の更なる一態様において、検出ユニットの検出器エネルギー重み関数を決定するためのコンピュータプログラムが提示される。当該コンピュータプログラムは、請求項1に記載の装置を制御するコンピュータ上で実行されるときに、該コンピュータに請求項9に記載の方法の段階群を実行させるプログラムコードを有する。
【0024】
本発明の更なる一態様において、関心領域を撮像するためのコンピュータプログラムが提示される。当該コンピュータプログラムは、請求項6に記載の撮像システムを制御するコンピュータ上で実行されるときに、該コンピュータに請求項10に記載の撮像方法の段階群を実行させるプログラムコードを有する。
【0025】
理解されるように、請求項1に係る検出ユニットの検出器エネルギー重み関数を決定する装置、請求項6に係る関心領域を撮像する撮像システム、請求項9に係る検出ユニットの検出器エネルギー重み関数を決定する方法、請求項10に係る関心領域を撮像する撮像方法、請求項11に係る検出ユニットの検出器エネルギー重み関数を決定するためのコンピュータプログラム、及び請求項12に係る関心領域を撮像するためのコンピュータプログラムは、従属請求項にて規定されるのと同様且つ/或いは同一の好適実施形態を有する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明のこれら及び更なる態様は、以下にて説明する実施形態を参照することにより明らかになる。
【図1】本発明に従った撮像システムを概略的に示す図である。
【図2】本発明に従った関心領域の撮像方法を概略的に例示するフローチャートである。
【図3】多色X線源の(フィルタリングされた)スペクトル(フィルタリングされた制動放射線スペクトル)を概略的に示す図である。
【図4】光電効果、一般的にコンプトン効果、の減衰係数、及び関心領域内の2つの物質、のエネルギー挙動(スペクトル)を概略的に示す図である。
【図5】本発明に従った、検出器ユニットの検出器エネルギー重み関数を決定する装置を概略的に示す図である。
【図6】本発明に従った、検出器ユニットの検出器エネルギー重み関数を決定する方法を概略的に例示するフローチャートである。
【図7】スペクトル応答関数を概略的に示す図である。
【図8】理想検出器エネルギー重み関数、及び本発明に従った検出器エネルギー重み関数を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示す撮像システムはスペクトルコンピュータ断層撮影システム(CTシステム)である。このCTシステムは、z方向に平行に延在する回転軸Rの周りを回転することが可能なガントリー1を含んでいる。ガントリー1には、この実施形態においては多色X放射線を発するX線管である多色放射線源2が取り付けられている。X線源2は、X線管2によって生成された放射線から円錐状の放射線ビーム4を形成するコリメータ及びフィルタ装置3を備えている。放射線は、この実施形態においては円筒形である検査区画5内の関心領域内で、例えば患者などの対象物(図示せず)を横切る。X線ビーム4は、検査区画5を横切った後、この実施形態においては2次元の検出面を有するエネルギー分解検出ユニット6に入射する。エネルギー分解検出ユニット6はガントリー1に取り付けられている。X線源2及びエネルギー分解検出ユニット6は、複数のエネルギー依存検出信号を生成する放射・検出ユニットを形成する。
【0028】
この撮像システムは、2つのモータ7、8を有する駆動装置を含んでいる。ガントリー1は、モータ7によって、好ましくは一定であるが調整可能な角速度で駆動される。モータ8は、検査区画5内の患者台上に配置された例えば患者といった対象物を、回転軸Rすなわちz軸の方向に平行に変位させるために設けられている。これらのモータ7、8は、例えば、放射線源2と検査区画5とが螺旋軌道に沿って相対的に移動するよう、制御ユニット9によって制御される(螺旋CT)。しかしながら、対象物又は検査区画5は移動されずにX線源2が回転されるのみとすること、すなわち、放射線源が対象物に対して円形軌道に沿って移動することも可能である。また、他の一実施形態においては、コリメータ及びフィルタ装置3は扇状ビームを形成するように適合されてもよく、エネルギー分解検出ユニット6は1次元検出器であってもよい。
【0029】
エネルギー分解検出ユニットは、例えば、入射光子を計数するという原則に基づいて動作し、或る一定のエネルギー領域(ウィンドウ、瓶(bin))内にある光子数を示す信号を出力する。このようなエネルギー分解検出ユニットは、例えば、Llopart,X等の「First test measurements of a 64k pixel readout chip working in a single photon counting mode」、2003年、Nucl. Inst, and Meth. A、第509巻、第1-3号、p.157-163、及びLlopart,X等の「Medipix2:A 64-k pixel readout chip with 55 μm square elements working in a single photon counting mode」、2002年、IEEE Trans. Nucl. Sci.、第49巻、第5号、p.2279-2283に記載されている。好ましくは、エネルギー分解検出ユニットは、例えば光効果、コンプトン効果及び/又はエッジ画像などの再構成を可能にするよう、少なくとも2つの相異なるエネルギー瓶に関する少なくとも2つのエネルギー分解された検出信号を提供するように適応される。しかしながら、CT撮像システムの感度及びノイズ耐性を向上させるためには、更に高いエネルギー分解能を有することが有利である。
【0030】
検出ユニット6によって収集されたデータは、関心領域の画像を生成する画像生成装置10に与えられる。画像生成装置10は、少なくとも1つの減衰成分を決定する計算ユニット12と、決定された少なくとも1つの減衰成分を用いて関心領域の画像を再構成する再構成ユニット13とを有する。
【0031】
再構成された画像は、最終的に、画像を表示するディスプレイ11に提供され得る。好ましくは、画像生成装置10も制御ユニット9によって制御される。
【0032】
続いて、図2を参照して、本発明に従った関心領域を撮像するための撮像方法の一実施形態を更に詳細に説明する。
【0033】
段階101にて、X線源2が回転軸Rすなわちz方向軸の周りを回転し、対象物は移動されない。すなわち、X線源2は対象物の周りの円形軌道に沿って進行する。他の一実施形態においては、X線源は対象物に対して例えば螺旋軌道といった別の軌道に沿って移動することが可能である。X線源2は、関心領域内の対象物を横切る多色X放射線を放射する。対象物は、例えば患者のヒト心臓であり、その場合、ヨウ素又はガドリニウムをベースとする造影剤のような造影剤が前もって注入される。対象物及び対象物内の物質を通過したX放射線は検出ユニット6によって検出され、検出ユニット6は検出信号を生成する。対象物に対して同一位置にあるX線源2及び検出ユニット6に対応する検出信号が1つの投影を形成する。
【0034】
収集された検出信号は画像生成装置10の計算ユニット12に入力される。段階102にて、計算ユニット12は検出信号の少なくとも1つの減衰成分を決定する。
【0035】
検出信号は、対象物の相異なる複数の減衰特性に関する相異なる複数の減衰成分についての情報を含んでいる。対象物のこれら相異なる減衰特性は、例えば、光電効果、コンプトン効果若しくはKエッジ効果のような相異なる減衰効果、及び/又は関心領域内の相異なる物質の相異なる吸収特性に起因する。従って、減衰成分は、例えば、Kエッジ成分、光電成分、及びコンプトン成分である。また、関心領域内に、例えば軟組織と骨のような相異なる吸収特性を有する物質など、相異なる種類の物質が存在する場合、減衰成分は、例えば軟組織による減衰、骨による減衰、そして場合により造影剤による減衰といった、関心領域内に存在する相異なる種類の物質の減衰を記述する。後者の場合、検出信号は、軟組織成分、骨成分、及び造影剤成分の組み合わせとして記述されることが可能である。一般に、検出信号は、関心領域内に存在する相異なる物質の一組の減衰成分の組み合わせ(減衰係数の基底関数としても知られる)として記述され得る。
【0036】
計算ユニット12への入力は、この実施形態においては最少で4である複数のエネルギー瓶bのエネルギー分解検出信号Mである。各エネルギー瓶bは、スペクトル感度と呼ぶこともある検出器エネルギー重み関数f(E)を有する。検出器エネルギー重み関数f(E)は、更に後述する検出ユニットの検出器エネルギー重み関数を決定する装置によって提供されて、計算ユニット12内に記憶されている。エネルギー分解検出信号Mは次式:
【0037】
【数2】

によってモデル化することができる。
【0038】
i番目のエネルギー瓶の比例定数cは、例えばファントムなしでの校正測定から、既知である。E及びEは、それぞれ、検出ユニットに突き当たる放射線のスペクトルを限定する上側及び下側の閾値エネルギーである。
【0039】
項D(E)は、検出ユニット6に突き当たる放射線のスペクトルを表し、次式:
【0040】
【数3】

によって記述することができる。ただし、D(E)は多色X線管2の放射スペクトルを表し、A=∫ρ(s)dsはパラメータsによって記述される投影線に沿った減衰成分jの積分質量密度を表し、μ(E)は減衰成分jに対応するエネルギー依存減衰係数を表し、Nは減衰成分の数を表す。減衰係数μ(E)は、例えば、光電効果の減衰係数、コンプトン効果の減衰係数、及びKエッジを示す関心領域内の相異なる物質の減衰係数である。
【0041】
等式(2)及び(3)の組み合わせにより、エネルギー分解検出信号Mに関して次式:
【0042】
【数4】

が得られる。
【0043】
多色X線管2の放射スペクトルD(E)は一般的に(例えば、シミュレーションにより)既知であるか、前もって測定され得る。このような多色X線管2の放射スペクトルD(E)の一例を図3に概略的に示す。この実施形態における減衰係数μ(E)である、光電効果P(E)、コンプトン効果C(E)、第1の物質のKエッジ効果K(E)、及び第2の物質のKエッジ効果K(E)の減衰係数の既知であり、図4に例示する。
【0044】
検出ユニット6は、少なくとも減衰成分の数と同じ多さのエネルギー瓶bを有するように適応される。すなわち、この実施形態においては、検出ユニット6は少なくとも4つのエネルギー瓶b、・・・、bの検出信号を提供する。一般に、検出ユニット6は、N≧2として、少なくともN個のエネルギー瓶を有する。等式(4)に従って、複数の減衰成分の積分質量密度A、これは以下では密度と長さとの積(密度長さ積)として記述される、であるN個の未知数を有する少なくともN個の非線形方程式のシステムが形成される。この連立方程式は、計算ユニット12により、既知の数値演算法を用いて解くことができる。4つより多いエネルギー瓶が利用可能である場合、測定値のノイズ統計を考慮に入れる最尤法を用いることが好ましい。一般的に、減衰成分と同数のエネルギー瓶、すなわち、この実施形態においては4つのエネルギー瓶で十分である。しかしながら、感度及びノイズに対する堅牢性を向上するため、より多くのエネルギー瓶の、より多くの検出信号を有することが好ましい。
【0045】
各エネルギー瓶は、別の検出器エネルギー重み関数f(E)を有する。決定された減衰成分、すなわち、決定された密度長さ積は再構成ユニット13に転送される。X線源2は関心領域に対して移動し、検出信号ひいては決定された密度長さ積は、異なる角度方向で関心領域を横切ったX線に対応する。故に、相異なる減衰成分の質量密度ρの画像は、複数の密度長さ積のうちの1つのフィルタ補正逆投影のような既知のCT再構成法を用いることによって再構成され得る。例えば、関心領域の画像の再構成に、関心領域内のKエッジを有する第1の物質の成分を表す密度長さ積AK1−エッジのみが用いられる場合、その他の減衰成分によって影響を受けることなく、関心領域内の第1の物質の画像が再構成されるのみである。加えて、光電成分の質量密度であるρフォトからの画像、コンプトン成分の質量密度であるρコンプトンからの画像、又は関心領域内の第2の物質のKエッジ成分の質量密度であるρK2−エッジからの画像を、その他の密度長さ積Aフォト、Aコンプトン、又はAK2−エッジのうちのそれぞれの1つのみを用いることによって再構成することができる。このとき、生成されるそれぞれの画像は、それぞれの効果、すなわち、光電効果、コンプトン効果、又は関心領域内の第2の物質のKエッジ効果、に寄与した関心領域の部分のみを示す。
【0046】
次に、本発明に従った、検出ユニットの検出器エネルギー重み関数を決定する装置、及びそれに対応する方法を説明する。
【0047】
図5は、検出ユニットの検出器エネルギー重み関数を決定する装置20を概略的に示している。装置20は、検出ユニットのスペクトル応答関数を決定する決定ユニット21と、検出ユニットのスペクトル応答関数と所与の理想検出器エネルギー重み関数との積を積分することによって検出器エネルギー重み関数を決定する計算ユニット22とを有する。
【0048】
装置20は、検出ユニットの検出器エネルギー重み関数を決定する方法を実行する。この決定方法について、図6に示すフローチャートを参照して更に詳細に説明する。
【0049】
段階301にて、決定ユニット21が検出ユニット6のスペクトル応答関数を決定する。
【0050】
スペクトル応答関数の決定のため、決定ユニット21は、調整可能な波長を有する単色放射線で検出ユニット6を照射することが可能な放射線源23を有する。放射線源23は、例えば、単色放射線を供給し該単色放射線の波長を変化させるために、シンクロトロン放射線源及び結晶格子のような回折格子を有する。決定ユニット21は、検出ユニット6が放射線源の相異なる波長の単色放射線で順次照射されるように、すなわち、検出ユニット6が放射線源の相異なる波長の単色放射線によって次から次へと照射されるように適応される。また、決定ユニット21は、検出ユニット6に接続されており、検出ユニット6が相異なる波長の単色放射線で順次照射されるときに、検出ユニット6から検出信号を受信する。故に、決定ユニット21は、複数のエネルギー瓶b及び検出器画素(特に、隣接し合うもの)の検出信号Mを、波長ごとに受信する。検出ユニットが相異なる波長によって順次照射されたときに検出された検出信号は、検出ユニット6のスペクトル応答関数を形成する。スペクトル応答関数は、好ましくは、検出ユニット6に突き当たる単色放射線の強度によって正規化される。
【0051】
他の一実施形態において、検出ユニットは、検出ユニットが相異なる波長の単色放射線で順次照射される場合に検出されるであろう検出ユニットの検出信号をシミュレーションすることによって、スペクトル応答関数を決定するように適応される。このようなシミュレーションは、検出ユニット6の電荷共有及びクロストークのような既知の物理効果及び/又は電子効果を考慮に入れるものであり、例えば、A.Zumbiehl等、「Modelling and 3D optimization of CdTe pixels detector array geometry ― Extension to small pixels」、2001年、Nucl. Instr. and Meth.、A469、p.227-239に開示されている。
【0052】
検出ユニット6のスペクトル応答関数の決定にシミュレーションが用いられる場合、スペクトル応答関数は、或る特定の波長の単色放射線が検出ユニット6に突き当たるように模擬されるときの、シミュレーションされる複数のエネルギー瓶の検出信号に対応する。
【0053】
決定されたスペクトル応答関数は次の特性を有する。或る特定の波長の単色放射線が検出ユニット6に入射される場合、複数のエネルギー瓶の検出信号は検出ユニット6のスペクトル応答関数の出力である。
【0054】
図7は、100keVの入射エネルギーを有するX線光子のスペクトル応答関数を概略的に示している。横軸は、1keVのエネルギー幅を有する複数のエネルギー瓶を示している。縦軸は、それぞれのエネルギー瓶内での出現確率を示している。出現確率は入射光子数によって正規化されている。
【0055】
検出ユニットが理想検出ユニットである場合、正規化された出現確率は100keVで1.0になり、その他のエネルギー瓶で0になる。しかし、現実には、図7に示すように、検出器効果により、スペクトル応答関数はエネルギー領域A及びBに不所望な光子を示している。これらの変化は、例えば、K蛍光又はクロストークに起因する。エネルギー領域Aでは、関心画素の外部(近傍内)での光吸収事象に由来するK蛍光光子が記録されている。領域Bでは、元々は100keVであった光子がK蛍光によりエネルギーの一部を失い、失った部分が同一の関心画素では記録されていない。現実の検出ユニット6においては、これらの物理効果や、“パイルアップ”効果又は統計効果のような更なる物理効果が存在し、スペクトル応答関数の形態を決定する。
【0056】
更なる一実施形態において、決定ユニット21は、決定するスペクトル応答関数の品質を向上させるために、スペクトル応答関数の実験的決定と、スペクトル応答関数のシミュレーションによる理論的決定とを組み合わせるように適応され得る。これは、例えば、所定のエネルギー範囲にわたって分布された例えば10波長といった幾つかの波長に関してのみスペクトル応答関数を測定することと、これら幾つかの波長においてシミュレーションによるスペクトル応答値が測定によるスペクトル応答値と一致するように、これら幾つかの波長の間のスペクトル応答関数の値をシミュレーションすることとによって達成され得る。
【0057】
段階302にて、計算ユニット22は、好ましくは次式:
【0058】
【数5】

に従って、検出ユニットのスペクトル応答関数と所与の理想検出器エネルギー重み関数との積を積分することによって、検出器エネルギー重み関数を決定する。ただし、fid(E’)は理想検出ユニットの理想検出器エネルギー重み関数であり、fSR(E’,E)はスペクトル応答関数、すなわち、入射光子がE’の単色エネルギーを有する場合に検出ユニット6によって測定されたスペクトルである。
【0059】
他の実施形態において検出ユニットが唯一のエネルギー瓶を有する場合、エネルギー依存検出信号は、例えばX線管の放出スペクトルを変化させること(管電圧切替え)又はフィルタを用いることによって、関心領域に突き当たるスペクトルを変化させることにより達成され得る。関心領域に突き当たる放射線のスペクトルが変化される場合、エネルギー依存検出信号Mを検出するために、エネルギー分解式でない共通の検出ユニットが用いられ得る。この場合、等式(4)は次式:
【0060】
【数6】

に変化する。
【0061】
各検出信号Mは、関心領域に突き当たるスペクトルD0,i(E)に対応する。故に、等式(6)は、少なくとも未知の密度長さ積すなわち減衰成分と同数の相異なるスペクトルD0,i(E)が関心領域に突き当たる場合に相異なる減衰成分の密度長さ積を計算するために使用することが可能な連立方程式を記述する。従って、等式(6)で記述される例においては、関心領域に突き当たる少なくともN個の相異なるスペクトルが用いられなければならない。密度長さ積を決定するため、等式(4)に関連して説明した方法を用いて、この連立方程式を解くことができる。
【0062】
等式(6)において、検出器エネルギー重み関数f(E)は、等式(4)にて定義された本発明に従った検出器エネルギー重み関数であり、スペクトル応答関数fSR(E’,E)はシミュレーションによって決定される。
【0063】
図8は、理想検出器エネルギー重み関数fid(E)と、決定された本発明に従った現実的な検出器エネルギー重み関数f(E)とを概略的に示している。“C”で示された領域において、理想検出器エネルギー重み関数のエッジはエネルギーブロードニングによって滑らかにされている。“D”で示された領域において、検出器エネルギー重み関数はエネルギー損失(Kエスケープ、クロストーク)によって低くなっており、K蛍光放出後の一層高い光子エネルギーによって、“G”で示された検出器エネルギー重み関数の部分が生じている。また、検出ユニットの更なる効果(例えば、特別な電子特性に起因するもの)が現実の重み関数に寄与し得る。
【0064】
スペクトルCTシステムに関連して本発明の好適実施形態を説明したが、本発明はスペクトルCTシステムの用途に限定されない。例えば、その他のスペクトルX線用途も用いられ得る。また、本発明は、例えば検出器物理のコンピュータシミュレーション及びスペクトル応答関数の決定によって、エネルギー分解式でない検出ユニットの検出器エネルギー重み関数を決定することにも使用され得る。
【0065】
特別な減衰係数μ(E)及び減衰成分を説明したが、対象物の減衰を構成する任意の減衰係数及び対応する減衰成分が用いられ得る。特には積分された質量密度である減衰成分を決定するために、少なくとも2つの基底関数を少なくとも2つのエネルギー瓶とともに用いることができ、特には決定された積分質量密度である決定された減衰成分が再構成に使用される。再構成は、例えば、上述の方法、又はP.Sukovic等の「Basis Material Decomposition Using Triple-Energy X-ray computed tomography」、1999年、IEEE IMTC 1999に記載された方法を用いることによって実行され得る。なお、この文献をここに援用する。
【0066】
用語“積分する”は、積分に相当する、例えば積分に用いられる値が離散値であるために実行される加算をも含む。
【0067】
図面、この開示及び従属請求項の教示を受けて請求項に係る発明を実施する際、当業者は、開示の実施形態への他の変形を理解し実現することができる。特許請求の範囲において、用語“有する”はその他の要素又は段階を排除するものではなく、不定冠詞“a又はan”は複数であることを排除するものではない。
【0068】
単一のユニットが、特許請求の範囲に記載された複数の品目の機能を果たしてもよい。特定の複数の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、それらの手段の組み合わせが有利に用いられ得ないということを指し示すものではない。
【0069】
コンピュータプログラムは、その他のハードウェアとともに、あるいはその他のハードウェアの一部として提供される、例えば光記憶媒体又は半導体媒体などの、好適な媒体に格納あるいはそれ上で流通されてもよいし、例えばインターネット又はその他の有線若しくは無線の電気通信システムを介して等、その他の形態で流通されてもよい。
【0070】
請求項中の如何なる参照符号も請求項の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出ユニットの検出器エネルギー重み関数を決定する装置であって:
− 前記検出ユニットのスペクトル応答関数を決定する決定ユニット、
− 前記検出ユニットの前記スペクトル応答関数と所与の理想検出器エネルギー重み関数との積を積分することによって、前記検出器エネルギー重み関数を決定する計算ユニット、
を有する装置。
【請求項2】
前記決定ユニットは、調整可能な波長を有する単色放射線で前記検出ユニットを照射することが可能な放射線源を有し、前記決定ユニットは、前記放射線源の相異なる波長の単色放射線で順次、前記検出ユニットを照射するように適応されており、
前記決定ユニットは、前記検出ユニットが前記相異なる波長の単色放射線で順次照射されるときの前記検出ユニットの検出信号を検出することによって、前記スペクトル応答関数を決定するように適応されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記決定ユニットは、前記検出ユニットが相異なる波長の単色放射線で順次照射される場合に検出されるであろう前記検出ユニットの検出信号をシミュレーションすることによって、前記スペクトル応答関数を決定するように適応されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記検出ユニットは、複数のエネルギー瓶のエネルギー分解検出信号を提供するように適応されており、
当該装置は、エネルギー瓶ごとに検出器エネルギー重み関数を決定するように適応されており、
前記計算ユニットは、前記検出ユニットの前記スペクトル応答関数とそれぞれのエネルギー瓶の所与の理想検出器エネルギー重み関数との積を積分することによって、前記検出器エネルギー重み関数をエネルギー瓶ごとに決定するように適応されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記計算ユニットは、エネルギー瓶の前記所与の理想検出器エネルギー重み関数が、該エネルギー瓶内のエネルギーに対して1であり、該エネルギー瓶の外のエネルギーに対して0であるように適応されている、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
関心領域を撮像する撮像システムであって:
− 放射線を放射する放射ユニットと、前記関心領域を通過した後の前記放射線を検出する検出ユニットとを有する放射・検出ユニットであり、該放射・検出ユニットは、相異なる成分を含む複数のエネルギー依存検出信号を生成するように適応され、当該撮像システムは検出器エネルギー重み関数を備え、前記検出器エネルギー重み関数は、前記検出ユニットのスペクトル応答関数を決定すること、及び前記検出ユニットの前記スペクトル応答関数と所与の理想検出器エネルギー重み関数との積を積分することによって決定される、放射・検出ユニット、
− 前記検出器エネルギー重み関数と、対応する減衰成分で前記検出信号に寄与する相異なる減衰特性と、の組み合わせとして検出信号を記述する前記検出信号のモデルを用いて、前記複数のエネルギー依存検出信号の連立方程式を解くことによって、少なくとも1つの減衰成分を決定する計算ユニット、
− 決定された前記少なくとも1つの減衰成分から前記関心領域の画像を再構成する再構成ユニット、
を有する撮像システム。
【請求項7】
前記放射ユニットは、多色放射線を放射する多色放射線源であり、
前記検出ユニットは、前記関心領域を通過した後の前記放射線を検出し、且つ複数のエネルギー瓶に関する複数のエネルギー分解検出信号を提供することによってエネルギー依存検出信号を提供するエネルギー分解検出器であり、
当該撮像システムは、エネルギー瓶ごとに検出器エネルギー重み関数を備えており、それぞれのエネルギー瓶の検出器エネルギー重み関数は、前記検出ユニットのスペクトル応答関数を決定すること、及び前記検出ユニットの前記スペクトル応答関数と該エネルギー瓶の所与の理想検出器エネルギー重み関数との積を積分することによって該エネルギー瓶の検出器エネルギー重み関数を決定すること、によって決定される、
請求項6に記載の撮像システム。
【請求項8】
前記放射ユニットは、多色放射線を放射する多色放射線源であり、前記多色放射線のスペクトルは可変であり、前記放射・検出ユニットは、多色放射線の相異なるスペクトルで前記関心領域を照射し且つ前記関心領域を通過した後の、多色放射線の相異なるスペクトルを有する放射線を検出することによって、エネルギー依存検出信号を提供するように適応されている、
請求項6に記載の撮像システム。
【請求項9】
検出ユニットの検出器エネルギー重み関数を決定する方法であって:
− 決定ユニットにより、前記検出ユニットのスペクトル応答関数を決定する段階、
− 計算ユニットにより、前記検出ユニットの前記スペクトル応答関数と所与の理想検出器エネルギー重み関数との積を積分することによって、前記検出器エネルギー重み関数を決定する段階、
を有する方法。
【請求項10】
関心領域を撮像する撮像方法であって:
− 放射・検出ユニットの放射ユニットにより放射線を放射し、且つ前記放射・検出ユニットの検出ユニットにより、前記関心領域を通過した後の前記放射線を検出する放射・検出段階であり、前記放射・検出ユニットにより、相異なる成分を含む複数のエネルギー依存検出信号を生成し、撮像システムは検出器エネルギー重み関数を備え、前記検出器エネルギー重み関数は、前記検出ユニットのスペクトル応答関数を決定すること、及び前記検出ユニットの前記スペクトル応答関数と所与の理想検出器エネルギー重み関数との積を積分することによって決定される、放射・検出段階、
− 計算ユニットにより、前記検出器エネルギー重み関数と、対応する減衰成分で前記検出信号に寄与する相異なる減衰特性と、の組み合わせとして検出信号を記述する前記検出信号のモデルを用いて、前記複数のエネルギー依存検出信号の連立方程式を解くことによって、少なくとも1つの減衰成分を決定する段階、
− 再構成ユニットにより、決定された前記少なくとも1つの減衰成分から前記関心領域の画像を再構成する段階、
を有する撮像方法。
【請求項11】
検出ユニットの検出器エネルギー重み関数を決定するためのコンピュータプログラムであって、請求項1に記載の装置を制御するコンピュータ上で実行されるときに、該コンピュータに請求項9に記載の方法の段階群を実行させるプログラムコードを有するコンピュータプログラム。
【請求項12】
関心領域を撮像するためのコンピュータプログラムであって、請求項6に記載の撮像システムを制御するコンピュータ上で実行されるときに、該コンピュータに請求項10に記載の撮像方法の段階群を実行させるプログラムコードを有するコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−510514(P2010−510514A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537728(P2009−537728)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【国際出願番号】PCT/IB2007/054692
【国際公開番号】WO2008/062360
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】