説明

検出装置

【課題】複数の検知エリアを有する検出装置を提供する。
【解決手段】送信部1が送信した電磁波を受信する受信部4と、受信部が受信した電磁波に応じた受信信号を検波する第1・第2検波器15,16と、与えられる制御信号に応じて第1・第2検波器の応答速度を制御する第1・第2AGC回路21,22と、第1検波器が検波した検波信号を第1基準信号と比較する第1比較器28と、第2検波器が検波した検波信号を第2基準信号と比較する第2比較器29と、制御信号と第1・第2基準信号を供給することで複数の異なる検知エリアA1,A2において被検体を検出する制御部24をもつ検出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、人や車両の侵入検知を行う検出装置に関し、特に、複数の検知エリアを有する検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外の第一警戒線における人や車両の侵入検知には赤外線センサが多く用いられてきている。また、最近は小電力無線が認められ、マイクロ波センサが用いられてきている。赤外線センサは、検知範囲の断面積は検出対象の人や車両に比較すると小さい一方、マイクロ波センサは、対向線上の周りに発達するフレネルゾーンにエネルギー分布するので、検知範囲の断面積は大きくなるという特徴があり、従来のマイクロ波センサは、最も安定して信号を識別可能な第1フレネルゾーンを検知エリア幅としており、警報アラームも1つのものが主流である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−266212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術による検出装置によれば、人や車両の検知エリアの横断のみ警報出力可能となり、検知エリアに近づいた人などは、警報をあげることはできない。また、検知エリアを匍匐で横切る人なども安定して検出することができない。また、フレネルゾーンのエネルギー分布は、ほぼ第1フレネルゾーンに密集されるため、環境変動に安定なマイクロ波センサの検知エリア設計において、他のフレネルゾーンにエリアを設定することは、環境変化に非常に弱くなり、誤報が問題となる。
【0005】
本発明は、複数の検知エリアを有する検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するための一実施形態は、
送信部が送信した電磁波を受信する受信部と、
前記受信部が受信した電磁波に応じた受信信号を検波する第1および第2検波器と、
与えられる制御信号に応じて、前記第1および第2検波器の応答速度を制御する第1および第2AGC回路と、
前記第1検波器が検波した検波信号を第1基準信号と比較する第1比較器と、
前記第2検波器が検波した検波信号を第2基準信号と比較する第2比較器と、
前記第1および第2AGC回路に前記制御信号を供給し、前記第1および第2比較器に前記第1および第2基準信号を供給して、複数の異なる検知エリアにおいて被検体を検出する制御部と、を具備することを特徴とする検出装置である。
【発明の効果】
【0007】
この発明の実施形態によれば、複数の検知エリアおよびアラームを設定することにより、複数のセキュリティーレベルに応じた報知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態であるマイクロ波検出装置の概要を説明するシステム図。
【図2】本発明の一実施形態であるマイクロ波検出装置の詳細の一例を示すブロック図。
【図3】本発明の一実施形態であるマイクロ波検出装置の動作の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照してこの発明に係る実施形態であるマイクロ波検出装置を詳細に説明する。マイクロ波検出装置Mは、図1に示すように、一例としてマイクロ波を送信する送信部1と、送信部1に接続される送信用アンテナ2と、送信用アンテナ2に対抗させて設けられる受信用アンテナ3と、受信用アンテナ3が接続され被検体からのマイクロ波を受信する受信部4を有している。また、このマイクロ波検出装置Mは、第1検知エリアA1と、第1検知エリアA1よりも広い第2検知エリアA2と、第2検知エリアA2よりもさらに広い領域である第3検知エリアA3を有している。
【0010】
さらに、マイクロ波検出装置Mは、図2に詳細に示すように、全体の動作を制御する制御部24と、受信部4が受信した電波を受けてこれを増幅するLNA(Low Noise Amplifier)8と、指定の中間周波数IF(Intermediate Frequency)を発振するローカル発振器9と、ローカル発振器9からの中間周波数IFを合成するミキサ10と、ミキサ10の出力を複数に(図2においては3つに)分配する分配器11を有している。さらに、マイクロ波検出装置Mは、分配器11からの出力をそれぞれ増幅する増幅器12,13,14と、増幅された中間周波数IFをそれぞれ検波してRSSI(Received Signal Strength Indication)信号をそれぞれ出力する検波器15,16,17と、制御部24からの基準信号により任意の検知感度がそれぞれ設定され増幅器12,13,14のAGC応答速度をそれぞれ制御する第1AGC回路21,第2AGC回路22,第3AGC回路23と、各検波器15,16,17の出力をそれぞれ増幅する各増幅器18,19,20と、各増幅器18,19,20の出力と制御部からの第1検知基準電圧VR1,第2検知基準電圧VR2,第3検知基準電圧VR3とをそれぞれ比較する各比較器28,29,30と、各比較器28,29,30の比較結果を受けて、各検知基準電圧よりも各増幅器18,19,20の出力が低くなったら警報信号をそれぞれ出力するリレー回路34、35、36を有している。
【0011】
このような構成をもったマイクロ波検出装置Mは、以下のように複数の検知エリアにおいて被検体を検知するものである。すなわち、送信用アンテナ2と受信用アンテナ3の間に路程差が半波長の整数倍ごとに円形上な集合領域である第1検知エリアA1、第2検知エリアA2、第3検知エリアA3が生じる。この領域(フレネルゾーン)を伝わる電波を受信用アンテナ3で受け、LNA(Low Noise Amplifier)8で増幅して、ミキサ10に入力する。一方、受信部4は指定の中間周波数となるようローカル発振器9を備え、ミキサ10から出力された中間周波数IFは、それぞれ規定レベルで分配器11により電力分配されて、各増幅器12,13,14にて増幅されたのち、検波器15,16,17でRSSI信号として出力する。
【0012】
RSSI信号は、AGC回路21,22,23に入力され、各AGC回路21,22,23は、制御部24により基準信号を設定され、これによりそれぞれ異なるAGC応答速度が制御され、それぞれ異なる検知感度が実現する。すなわち、RSSI信号は、各々異なるAGC信号で制御され、その後、増幅器18,19,20で何十倍にも増幅され、検知電圧としてそれぞれ各比較器28,29,30に入力される。比較器28,29,30は、制御部24より各検知基準電圧VR1、VR2、VR3が供給され、これらの検知基準電圧よりも検知電圧が低くなった場合に警報信号を出力する。これらの警報信号を受けて、リレー回路34、35、36は、接点信号として第1警報アラーム乃至第3警報アラームを出力する。
【0013】
また、図3は、AGCループ設定の異なる3つの検知電圧波形の例をそれぞれ示している。例えば、第1AGC回路21は、制御部24からの制御信号により、最もAGC応答速度が速い設定とする。これにより、図3に示すように、第1検知エリアA1が形成される。同様に、制御部24からの制御信号により、第2AGC回路22は、応答速度を中程度に設定することで、第2検知エリアA2が形成される。同様に、制御部24からの制御信号により、第3AGC回路23は、応答速度を遅く設定することで、第3検知エリアA3が形成される。
【0014】
また、人などが侵入した場合、第2検知エリアA2および第3検知エリアA3で位相の乱れが生じ、変化量は少ないが電界が強弱する。第1AGC回路21では、AGC応答を速くとっているので、人などが第2検知エリアA2及び第3検知エリアA3に侵入しても、第1検知電圧は変動をきたすことはない。逆に、第3AGC回路23は、応答速度が最も遅いので、第3検知エリアA3に人などが侵入した場合、第3検知電圧が大きく変動することになる。
【0015】
制御部24から、それぞれの比較器28,29,30に、第1検知基準電圧VR1、第2検知基準電圧VR2、第3検知基準電圧VR3がそれぞれ任意の大きさで与えられることにより、ユーザは、どれぐらいの範囲の検知エリアに、どれぐらいの電圧の乱れを検出した場合に警告を与えるかを、任意に設定することができる。
【0016】
これにより、本発明の実施形態に係る検出装置は、送信用アンテナ2および受信用アンテナ3の間に形成されるゲートを人や車両等が通過したかどうかで警報アラームを出力するだけではなく、このゲートの近傍のどの範囲にどの程度の物理量の被検体が近づいたかどうかに対応して、異なる警報アラームを出力させることができる。従って、例えば、人がゲートの下を匍匐した場合も、通常の人のゲートの通過による第1警報アラームとは異なる、例えば、第3警報アラームで通知することが可能となる。
【0017】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0018】
M…マイクロ波検出装置、1…送信部、2…送信用アンテナ、3…受信用アンテナ、4…受信部、15…検波器、16…検波器、17…検波器、21…第1AGC回路、22…第2AGC回路、23…第3AGC回路、28…比較器、29…比較器、30…比較器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信部が送信した電磁波を受信する受信部と、
前記受信部が受信した電磁波に応じた受信信号を検波する第1および第2検波器と、
与えられる制御信号に応じて、前記第1および第2検波器の応答速度を制御する第1および第2AGC回路と、
前記第1検波器が検波した検波信号を第1基準信号と比較する第1比較器と、
前記第2検波器が検波した検波信号を第2基準信号と比較する第2比較器と、
前記第1および第2AGC回路に前記制御信号を供給し、前記第1および第2比較器に前記第1および第2基準信号を供給して、複数の異なる検知エリアにおいて被検体を検出する制御部と、を具備することを特徴とする検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−53018(P2012−53018A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197998(P2010−197998)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000166650)株式会社日立国際電気エンジニアリング (100)
【Fターム(参考)】