説明

検査オーダー管理システム

【課題】 プリセット値の管理負担を軽減するとともに、柔軟な運用を図ることができる検査オーダー管理システムおよび検査オーダー管理方法を提供する。
【解決手段】 プリセット値登録手段101は、検査内容が同一の検査には同一のプリセット値を割り当てるように、プリセット値と検査情報とを対応付ける。検査オーダー登録手段102は、個々の検査とプリセット値を対応付ける。特定情報登録手段103は、プリセット値で表現されない特定情報を個々の検査に対応付ける。出力手段104は、プリセット値登録手段101による対応付け、検査オーダー登録手段102による対応付けおよび特定情報登録手段103による対応付けを参照して、個々の検査、検査情報、および特定情報を対応付けて出力する。受付手段105は、特定情報登録手段103による対応付けに対するユーザによる指示を受け付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査とプリセット値とを対応付けて検査オーダーを管理する検査オーダー管理システムおよび検査オーダー管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関では、検査オーダーの管理業務の効率化を図るために、各検査に対応する詳細な検査情報をプリセット値として登録する方法がとられている。例えば、放射線科における検査実施時には、プリセット値を介して検査情報を呼び出すことによって、検査装置の撮影パラメータ、使用する造影剤や薬剤、感光フィルムの種類や枚数等の検査情報を一括して取得することができる。
【0003】
【特許文献1】特開平08−007013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、プリセット値はすべての検査情報を一組ずつ登録するため、検査情報の一部が異なる場合でも別のプリセット値を用意する必要がある。例えば、放射線科の業務では、同種の検査で使用する同一成分の造影剤であっても、在庫、その他の種々の理由から、日によって別メーカーの製品へ切り替える場合がある。その場合、例えば検査部門への指示として、個々の製品を指定する情報を含める必要がある。したがって、同一検査にもかかわらず、使用する造影剤のメーカーが複数あれば、その分だけ新たなプリセット値を追加登録しなければならない。
【0005】
このため、プリセット値の登録、保守作業の負担が増えるとともに、プリセット値と検査内容との対応関係が複雑となるため検査内容が把握しにくくなるという問題がある。また、例えば新たなメーカーの造影剤を追加する場合や、使用する造影剤が変更される場合、新たなプリセット値を発番するしかなく、造影剤の追加や変更に対し柔軟に対応できない。
【0006】
本発明の目的は、プリセット値の管理負担を軽減するとともに、柔軟な運用を図ることができる検査オーダー管理システムおよび検査オーダー管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の検査オーダー管理システムは、検査とプリセット値とを対応付けて検査オーダーを管理する検査オーダー管理システムにおいて、検査内容が同一の検査には同一のプリセット値を割り当てるように、プリセット値と検査情報とを対応付けるプリセット値登録手段と、個々の検査と前記プリセット値を対応付ける検査オーダー登録手段と、前記プリセット値で表現されない特定情報を個々の検査に対応付ける特定情報登録手段と、前記プリセット値登録手段による対応付け、前記検査オーダー登録手段による対応付けおよび前記特定情報登録手段による対応付けを参照して、個々の検査、前記検査情報、および前記特定情報を対応付けて出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
この検査オーダー管理システムによれば、検査内容が同一の検査には同一のプリセット値を割り当て、別途、プリセット値で表現されない特定情報を個々の検査に対応付けたので、プリセット値を減らすことができるとともに、プリセット値と検査内容とを対応付けることができる。このため、検査オーダーの管理負担が軽減されるとともに、柔軟な運用を図ることができる。
【0008】
前記特定情報登録手段による対応付けに対するユーザによる指示を受け付ける受付手段を備えてもよい。
この場合には、ユーザによる指示によって特定情報を自由に指定できる。
【0009】
前記特定情報は検査に使用する物品を指定する情報であってもよい。
【0010】
前記特定情報は前記物品の供給元を指定する情報であってもよい。
【0011】
本発明の検査オーダー管理方法は、検査とプリセット値とを対応付けて検査オーダーを管理する検査オーダー管理方法において、検査内容が同一の検査には同一のプリセット値を割り当てるように、プリセット値と検査情報とを対応付けるステップと、個々の検査と前記プリセット値を対応付けるステップと、前記プリセット値で表現されない特定情報を個々の検査に対応付けるステップと、前記プリセット値と前記検査情報との対応付け、前記検査と前記プリセット値との対応付けおよび前記特定情報と個々の検査との対応付けを参照して、個々の検査、前記検査情報、および前記特定情報を対応付けて出力するステップと、を備えることを特徴とする。
この検査オーダー管理方法によれば、検査内容が同一の検査には同一のプリセット値を割り当て、別途、プリセット値で表現されない特定情報を個々の検査に対応付けたので、プリセット値を減らすことができるとともに、プリセット値と検査内容とを対応付けることができる。このため、検査オーダーの管理負担が軽減されるとともに、柔軟な運用を図ることができる。
【0012】
前記特定情報を個々の検査に対応付けるステップにおける対応付けに対するユーザによる指示を受け付けるステップを備えてもよい。
この場合には、ユーザによる指示によって特定情報を自由に指定できる。
【0013】
前記特定情報は検査に使用する物品を指定する情報であってもよい。
【0014】
前記特定情報は前記物品の供給元を指定する情報であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の検査オーダー管理システムによれば、検査内容が同一の検査には同一のプリセット値を割り当て、別途、プリセット値で表現されない特定情報を個々の検査に対応付けたので、プリセット値を減らすことができるとともに、プリセット値と検査内容とを対応付けることができる。このため、検査オーダーの管理負担が軽減されるとともに、柔軟な運用を図ることができる。
【0016】
本発明の検査オーダー管理方法によれば、検査内容が同一の検査には同一のプリセット値を割り当て、別途、プリセット値で表現されない特定情報を個々の検査に対応付けたので、プリセット値を減らすことができるとともに、プリセット値と検査内容とを対応付けることができる。このため、検査オーダーの管理負担が軽減されるとともに、柔軟な運用を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明による検査オーダー管理システムを機能的に示すブロック図である。
【0018】
図1において、プリセット値登録手段101は、検査内容が同一の検査には同一のプリセット値を割り当てるように、プリセット値と検査情報とを対応付ける。検査オーダー登録手段102は、個々の検査とプリセット値を対応付ける。特定情報登録手段103は、プリセット値で表現されない特定情報を個々の検査に対応付ける。出力手段104は、プリセット値登録手段101による対応付け、検査オーダー登録手段102による対応付けおよび特定情報登録手段103による対応付けを参照して、個々の検査、検査情報、および特定情報を対応付けて出力する。
【0019】
受付手段105は、特定情報登録手段103による対応付けに対するユーザによる指示を受け付ける。
【0020】
以下、図2〜図7を参照して、本発明による検査オーダー管理システムを放射線業務システムに適用した一実施形態について説明する。
【0021】
図2は、本実施形態の検査オーダー管理システムの構成を示すブロック図である。
【0022】
図2に示すように、本実施形態の検査オーダー管理システムは、検査オーダーの管理に必要な処理を実行するサーバ1と、検査オーダーの情報を格納するデータベース2と、を備える。サーバ1およびデータベース2は通信回線3を介して互いに接続されている。
【0023】
また、通信回線3には、放射線を用いた各種検査を実施するための検査装置41,42,・・・と、検査オーダーの管理に必要な操作を受け付ける端末装置51,52,・・・と、検査の受け付けを含む病院内における種々の情報処理を実行する病院情報システム6と、がそれぞれ接続されている。
【0024】
図3(a)はプリセット値を登録するためのテーブルの構成を示す図である。
【0025】
このテーブルは、サーバ1に保存される。図3(a)に示すように、このテーブルにより、検査内容とプリセット値とが対応付けられる。検査内容は検査に必要な一群の検査情報として示される。検査内容とプリセット値とは一対一に対応付けられており、同一の検査内容に対し複数のプリセット値が割り当てられることはない。また、異なる検査内容に重複して同一のプリセット値が割り当てられることはない。
【0026】
図3(a)の例では、各検査内容、すなわち各プリセット値に対する検査情報として、使用する造影剤の一般名称を示す「造影剤」、使用する感光フィルムの種類(サイズや感度等)を示す「フィルム種類」、使用する感光フィルムの枚数を示す「フィルム枚数」、撮影時の各種パラメータ(放射線の照射強度、照射時間等)を示す「撮影パラメータ」等が定義される。
【0027】
図3(b)は検査オーダーを登録するためのテーブルの構成を示す図である。
【0028】
このテーブルはデータベース2に保存される。図3(b)に示すように、このテーブルにより、オーダー番号として特定される検査と、プリセット値とが対応付けられる。このテーブルの各レコードは、病院情報システム6から検査予約を受け付けた際に、サーバ1により順次作成される。
【0029】
以上2つのテーブルを参照することにより、プリセット値を介して、オーダー番号として特定される検査と、その検査内容、すなわち一群の検査情報とが対応付けられることになる。プリセット値を指定することで、すべての検査情報を一括して選択できる。
【0030】
図4は、「造影剤」(図3(a))の商品名を示すテーブルの構成を示す図である。
【0031】
このテーブルはサーバ1に保存される。この例では、造影剤「abc」として、メーカーの異なる3つの商品「KKK」、「LLL」および「MMM」が該当することを示している。これらの商品は同一成分の造影剤であり、互いに代替品として使用可能なものである。したがって、図3(a)のテーブルで規定された各プリセット値の検査において、どの商品を使用しても同一内容の検査を実施できる。
【0032】
次に、本実施形態の検査オーダー管理システムの動作について説明する。
【0033】
図5のステップS1〜ステップS2は、使用する造影剤を登録する処理を示すフローチャートである。この処理は、例えば端末装置51からの指示に従うサーバ1の制御に基づいて実行される。
【0034】
図5のステップS1では、例えば端末装置51を介して入力された指示を受け付ける。次に、ステップS2では、受け付けた指示に基づいて造影剤の商品名を登録し、処理を終了する。
【0035】
この処理では、ユーザは、例えば当日の検査開始前に実際に使用する造影剤の商品名を図4のテーブルに基づいて選択することができる(ステップS1)。ステップS2では選択された商品名が登録される。
【0036】
図5のステップS11〜ステップS16は、対象となる検査について検査情報を所定の送信先へ送信する処理を示すフローチャートである。この処理は、例えば端末装置51からの指示に従うサーバ1の制御に基づいて実行される。
【0037】
図5のステップS11では、例えば端末装置51を介して入力された指示に基づきオーダー番号を取得する。次にステップS12では、データベース2に格納された図3(b)のテーブルにアクセスし、上記オーダー番号で示される検査のプリセット値を取得する。次にステップS13では、図3(a)のテーブルにアクセスし、上記検査の検査情報を取得する。
【0038】
次にステップS14では、取得した検査情報に基づき、上記検査において、複数の商品が該当する特定の造影剤が使用されるか否か判断する。この判断が肯定されればステップS15へ進み、否定されればステップS16へスキップする。図4のテーブルに示す造影剤が、上記特定の造影剤に対応する。
【0039】
ステップS15では、使用すべき造影剤の商品名、すなわちステップS1〜ステップS2の処理で登録した商品名を取得する。
【0040】
ステップS16では、ステップS13で取得した検査情報を所定の送信先、例えば、検査室に設定された検査装置41や端末装置52、あるいは病院情報システム6等に送信する。また、登録した商品名を取得した場合(ステップS16)には、この商品名を併せて送信する。このように、本実施形態では登録されている造影剤の商品名が自動的に選択され、送信される。
【0041】
以上のように、本実施形態では、造影剤のメーカーごとに新たなプリセット値を設ける必要がないため、プリセット数を減らすことができ、プリセット値の登録、保守作業の負担が軽減される。また、同一検査に対して複数のプリセット値が割り当てられる事態を回避できる。このため、検査内容についての判断が容易となり、検査オーダーを管理し易くなる。
【0042】
また、例えば新たなメーカーの造影剤を追加する場合や、使用する造影剤が変更される場合、図4に示すテーブルを修正すれば足り、新たなプリセット値を追加する必要がない。このため、造影剤の追加や変更に対し、容易かつ柔軟な対応が可能となる。また、造影剤の商品名の登録時には、商品名自体を利用して入力操作することができる。このため、操作内容が分かりやすくなり、入力操作の負担が軽減される。さらに、商品名の送信先でも商品名自体を表示することができるため、指示が明瞭となり検査実施時の負担を軽減できる。
【0043】
上記実施形態では、造影剤の選択について例示したが、例えば、他の薬剤や感光フィルムのメーカーが複数存在する場合、あるいは同等の検査装置が複数存在する場合等にも同様の処理を適用できる。また、本実施形態では、放射線業務への適用を例示したが、適用部門は限定されない。
【0044】
本発明の適用範囲は上記実施形態に限定されることはない。本発明は、検査とプリセット値とを対応付けて検査オーダーを管理する検査オーダー管理システムおよび検査オーダー管理方法に対し、広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明による検査オーダー管理システムを機能的に示すブロック図。
【図2】本実施形態の検査オーダー管理システムの構成を示すブロック図。
【図3】テーブルの構成を示す図であり、(a)はプリセット値を登録するためのテーブルの構成を示す図、(b)は検査オーダーを登録するためのテーブルの構成を示す図。
【図4】造影剤の商品名を示すテーブルの構成を示す図。
【図5】本実施形態の検査オーダー管理システムにおける処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0046】
1 サーバ(プリセット値登録手段、検査オーダー登録手段、特定情報登録手段、出力手段、受付手段)
2 データベース(検査オーダー登録手段)
101 プリセット値登録手段
102 検査オーダー登録手段
103 特定情報登録手段
104 出力手段
105 受付手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査とプリセット値とを対応付けて検査オーダーを管理する検査オーダー管理システムにおいて、
検査内容が同一の検査には同一のプリセット値を割り当てるように、プリセット値と検査情報とを対応付けるプリセット値登録手段と、
個々の検査と前記プリセット値を対応付ける検査オーダー登録手段と、
前記プリセット値で表現されない特定情報を個々の検査に対応付ける特定情報登録手段と、
前記プリセット値登録手段による対応付け、前記検査オーダー登録手段による対応付けおよび前記特定情報登録手段による対応付けを参照して、個々の検査、前記検査情報、および前記特定情報を対応付けて出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする検査オーダー管理システム。
【請求項2】
前記特定情報登録手段による対応付けに対するユーザによる指示を受け付ける受付手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の検査オーダー管理システム。
【請求項3】
前記特定情報は検査に使用する物品を指定する情報であることを特徴とする請求項1または2に記載の検査オーダー管理システム。
【請求項4】
前記特定情報は前記物品の供給元を指定する情報であることを特徴とする請求項3に記載の検査オーダー管理システム。
【請求項5】
検査とプリセット値とを対応付けて検査オーダーを管理する検査オーダー管理方法において、
検査内容が同一の検査には同一のプリセット値を割り当てるように、プリセット値と検査情報とを対応付けるステップと、
個々の検査と前記プリセット値を対応付けるステップと、
前記プリセット値で表現されない特定情報を個々の検査に対応付けるステップと、
前記プリセット値と前記検査情報との対応付け、前記検査と前記プリセット値との対応付けおよび前記特定情報と個々の検査との対応付けを参照して、個々の検査、前記検査情報、および前記特定情報を対応付けて出力するステップと、
を備えることを特徴とする検査オーダー管理方法。
【請求項6】
前記特定情報を個々の検査に対応付けるステップにおける対応付けに対するユーザによる指示を受け付けるステップを備えることを特徴とする請求項5に記載の検査オーダー管理方法。
【請求項7】
前記特定情報は検査に使用する物品を指定する情報であることを特徴とする請求項5または6に記載の検査オーダー管理方法。
【請求項8】
前記特定情報は前記物品の供給元を指定する情報であることを特徴とする請求項7に記載の検査オーダー管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−20832(P2007−20832A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−206357(P2005−206357)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】