検査対象物撮像装置ならびにその動作制御方法およびその動作制御プログラム
【目的】検査箇所ごとに異なる妥当性条件に合致した証拠となる画像を得る。
【構成】検査箇所の検査が終了すると,証拠となる静止画として採用されるための妥当性条件33が検査端末の表示画面13に表示されながら,検査が終了した箇所が動画で撮像される。撮像された動画を構成する静止画の撮像状況をチェックしながら,撮像状況と妥当性条件とが比較され,スコア85が算出される。算出されたスコア85が所定値以上である静止画が撮像されている動画の中から抽出され,証拠の画像とされる。
【構成】検査箇所の検査が終了すると,証拠となる静止画として採用されるための妥当性条件33が検査端末の表示画面13に表示されながら,検査が終了した箇所が動画で撮像される。撮像された動画を構成する静止画の撮像状況をチェックしながら,撮像状況と妥当性条件とが比較され,スコア85が算出される。算出されたスコア85が所定値以上である静止画が撮像されている動画の中から抽出され,証拠の画像とされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,検査対象物撮像装置ならびにその動作制御方法およびその動作制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
建造物の検査においては,手軽かつ安価に建造物の目視による観察検査が可能なものがある(特許文献1)。しかしながら,デジタルカメラ,モニター,リモコン,録画装置などの既存装置を,単に結合して動作させるものにすぎない。また,動画から静止画を切り出す手間を無くし,所望の静止画の検索手間を軽減し,さらに静止画周囲の状況も確認できるシステムもある(特許文献2)。撮影時にビデオカメラの光軸を移動させ,特定の輝度変化を特徴点情報として抽出している。このようなものでは,検査箇所ごとに異なる条件で検査箇所を撮像する場合には対応できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-178276号公報
【特許文献2】特開2010-16668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
あらかじめ定められた検査箇所(点検箇所)を,検査員が巡回し,それぞれの検査箇所において検査員が検査を行い,その検査結果を記すとともに,検査箇所の証拠写真を撮像する定点検査業務では,次のような課題がある。(1)検査箇所ごとに「証拠写真」として妥当な条件が異なるので,そのような妥当な条件で検査員が証拠写真を確実に撮像することは難しい。このように,検査箇所に応じた「証拠写真として妥当な写真」を撮像すること自体が難しい。(2)ディジタル・カメラ,カメラ付き携帯電話などの撮像装置で検査箇所を撮像した場合には,それらの撮像装置に設けられている液晶表示装置に撮像した検査箇所の画像を表示して目視確認するが,そのような目視確認では証拠として妥当な画像が得られたかどうかの判断が難しい。このために,保険として一つの検査箇所で必要以上に何枚も撮像することとなるので,画像データ量が多くなる。その画像データを送信する場合には,送信の負担も大きくなる。また,多くの画像の中から妥当な画像を選択する作業も大きな負担となる。このように,証拠写真として妥当な写真が撮像できたかどうかの判断が現場では難しい。
【0005】
この発明は,検査箇所ごとに異なる妥当性条件に合致した証拠となる画像を撮像でき,検査を確実に完了することを目的とする。
【0006】
この発明による検査対象物撮像装置は,検査対象物を撮像し,検査対象物の動画を表わす動画データを出力する動画撮像装置,上記動画撮像装置の撮像位置,撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況を,上記動画撮像装置による検査対象物の撮像の間,複数回検出する撮像状況検出手段,ならびに上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出する静止画検出手段を備えていることを特徴とする。
【0007】
この発明は,上記検査対象物撮像装置に適した動作制御方法も提供している。すなわち,この方法は,動画撮像装置が,検査対象物を撮像し,検査対象物の動画を表わす動画データを出力し,撮像状況検出手段が,上記動画撮像装置の撮像位置,撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況を,上記動画撮像装置による検査対象物の撮像の間,複数回検出し,静止画検出手段が,上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである。
【0008】
この発明は,上記検査対象物撮像装置の動作制御方法を実施するための検査対象物撮像装置のコンピュータを制御するプログラムおよびそのようなプログラムを格納した記録媒体も提供している。
【0009】
この発明によると,動画撮像装置を用いて,検査対象物が撮像され(例えば,一定周期で),検査対象物の動画を表わす動画データが出力される。動画での検査対象物の撮像の間,動画撮像装置の撮像位置,検査対象物の撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況が複数回検出される。検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画が,動画撮像装置から出力された画像データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出される。検査対象物ごとに,検査の証拠となる静止画に妥当な妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画を比較的容易に得ることができる。検査員は目視による確認などをする必要なく,証拠として採用されるような静止画が得られる。検査を確実に完了できる。
【0010】
上記検査状況検出手段は,たとえば,撮像装置を検出する位置検出装置,撮像方角を検出する方角検出装置,および上下方向の撮像角度を検出する角度検出装置のうち少なくとも一つの装置を備えているものである。
【0011】
あらかじめ定められている検査対象物の撮像装置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件を表示画面に表示するように表示装置を制御する妥当性条件表示制御手段をさらに備えてもよい。
【0012】
上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる検査対象物の動画を上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御する動画表示制御手段をさらに備えてもよい。この場合,上記妥当性条件表示制御手段は,たとえば,上記表示画面に表示されている動画上に,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物への撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件を表示画面に表示するように表示装置を制御するものである。
【0013】
上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況を,上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御する撮像状況表示制御手段をさらに備えてもよい。
【0014】
上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる検査対象物の動画を上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御する動画表示制御手段をさらに備えてもよい。この場合,上記撮像状況表示制御手段は,たとえば,上記表示画面に表示されている動画上に,上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況を,上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御するものである。
【0015】
検査対象物の位置を上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御する検査対象物位置表示制御手段をさらに備えてもよい。
【0016】
上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる検査対象物の動画を上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御する動画表示制御手段をさらに備えてもよい。この場合,上記検査対象物位置表示制御手段は,たとえば,上記表示画面に表示されている動画上に検査対象物の位置を表示するものである。
【0017】
上記動画撮像装置から出力された動画データを記録媒体に記録する動画記録制御手段,上記静止画検出手段によって検出された静止画を表す静止画データを上記記録媒体に記録する静止画記録制御手段,および上記静止画記録制御手段によって静止画データが上記記録媒体に記録されたことに応じて,上記動画記録制御手段によって記録された動画データを上記記録媒体から消去する動画消去手段をさらに備えてもよい。
【0018】
上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画のうち,上記静止画検出手段によって検出する対象となる静止画を設定する検出対象静止画設定手段をさらに備えてもよい。この場合,上記静止画検出手段は,たとえば,上記検出対象静止画設定手段によって設定された静止画の中から上記妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画を検出するものである。
【0019】
上記動画撮像装置から出力された動画データを記録媒体に記録する動画記録制御手段をさらに備えてもよい。この場合,上記静止画検出手段は,たとえば,あらかじめ設定されている,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から上記妥当性条件に近い撮像状況の静止画を検出する第1の検出処理を行うか,上記動画記録制御手段の制御のもとに上記記録媒体に記録された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から上記妥当性条件に近い撮像状況の静止画を検出する第2の検出処理を行うかの設定に応じて,静止画を検出するものとなろう。
【0020】
上記妥当性条件は複数でもよい。この場合,上記撮像状況検出手段は,たとえば,複数の上記妥当性条件に対応した複数の撮像状況を検出するものであり,上記静止画検出手段は,たとえば,複数の撮像状況のうち少なくとも一つの撮像状況が複数の妥当性条件のうち一つの妥当性条件に近い静止画を検出するものとなろう。
【0021】
また,上記妥当性条件が複数の場合,上記撮像状況検出手段は,たとえば,複数の上記妥当性条件に対応した複数の撮像状況を検出するものであり,上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況と,その撮像状況に対応する妥当性条件との近似度を表わすスコアを妥当性条件ごとに算出するスコア算出手段をさらに備える。また,上記静止画検出手段は,たとえば,上記スコア算出手段によって算出されたスコアの総和が所定のスコア以上である撮像状況の静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものとなろう。
【0022】
上記スコア算出手段において妥当性条件ごとに算出されるスコアが妥当性条件に応じて重み付けされていてもよい。
【0023】
上記静止画検出手段は,たとえば,上記スコア算出手段によって算出されたスコアの総和が所定のスコア以上である撮像状況の静止画のうち,所定数の静止画を上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである。
【0024】
上記静止画検出手段は,たとえば,上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画であって,撮像アングルまたは大きさの異なる複数の静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである。
【0025】
上記スコア算出手段によって算出されたスコアを上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御するスコア表示制御手段をさらに備えてもよい。
【0026】
上記静止画検出手段により静止画が検出されたことを報知する報知手段をさらに備えてもよい。
【0027】
上記動画撮像装置から出力された動画データを記録媒体に記録する動画記録制御手段,および再生指令に応じて,上記記録媒体に記録されている動画データによって表わされる検査対象物の動画を構成する多数の静止画のうち,上記静止画検出手段によって検出された静止画を所定時間の間表示画面に表示し,上記静止画検出手段によって検出された静止画以外の静止画を上記所定時間よりも短い時間の間表示画面に表示するように表示装置を制御する再生制御手段をさらに備えてもよい。
【0028】
上記動画撮像装置から出力された動画データを記録媒体に記録する動画記録制御手段,および再生指令に応じて,上記記録媒体に記録されている動画データによって表わされる検査対象物の動画を構成する多数の静止画のうち,上記静止画検出手段によって検出された静止画を一時停止して表示画面に表示する再生表示手段,音声データまたはテキスト・データの入力手段,および上記入力手段から入力した音声データまたはテキスト・データを,上記再生表示手段に一時停止して表示されている静止画に関連づけて上記記録媒体に記録する記録制御手段をさらに備えてもよい。
【0029】
上記撮像状況検出手段は,たとえば,上記動画撮像装置の撮像位置,撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況に加えて,上記動画撮像装置から出力される動画データによって表わされる動画を構成する複数の静止画に特定人物,特定被写体もしくは所定文字が含まれているまたは含まれていないかの撮像状況を検出するものである。また,上記静止画検出手段は,たとえば,上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画であって,特定人物,特定被写体もしくは所定文字が含まれているまたは含まれていない静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである。
【0030】
上記撮像状況検出手段は,たとえば,上記動画撮像装置の撮像位置,撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況に加えて,上記動画撮像装置から出力される動画データによって表わされる動画を構成する複数の静止画の明るさの程度,ぼけの程度または文字認識の可能性の撮像状況を検出するものであり,上記静止画検出手段は,たとえば,上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画であって,明るさの程度,ぼけの程度または文字認識の程度が所定の範囲内である静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである。
【0031】
上記撮像状況検出手段は,たとえば,上記動画撮像装置の撮像位置,撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況に加えて,上記動画撮像装置から出力される動画データによって表わされる動画を構成する複数の静止画の撮像時刻を撮像状況として検出するものであり,上記静止画検出手段は,たとえば,上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画であって,所定の撮像時刻に撮像された静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである。
【0032】
サーバから送信される,上記妥当性条件を表わすデータを受信する受信手段をさらに備えてもよい。この場合,上記静止画検出手段は,たとえば,上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つであり,かつ上記受信手段によって受信したデータによって表わされる妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】地図の一例である。
【図2】検査システムの概要を示している。
【図3】検査端末の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】妥当性条件入力処理手順を示すフローチャートである。
【図5】パーソナル・コンピュータの表示画面の一例である。
【図6】パーソナル・コンピュータの表示画面の一例である。
【図7】パーソナル・コンピュータの表示画面の一例である。
【図8】妥当性条件テーブルの一例である。
【図9】管理サーバの処理手順を示すフローチャートである。
【図10】検査端末の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】検査端末の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】検査端末の表示画面の一例である。
【図13】動画を構成する静止画を示している。
【図14】動画撮像処理手順を示すフローチャートである。
【図15】検査端末の表示画面の一例である。
【図16】検査端末の処理手順の一部を示すフローチャートである。
【図17】再生処理手順を示すフローチャートである。
【実施例】
【0034】
図1は,この発明の実施例で利用される地図1を表わしている。
【0035】
この実施例では,複数の検査箇所(検査対象物,必ずしも複数でなくともよい)P1〜P7が規定されており,これらの検査箇所において検査員(図示略)が所定の検査を行うとともに,検査の証拠として検査箇所で写真(画像)を撮像する。検査員は通路(道路)を通って複数の検査箇所P1〜P7を移動する。
【0036】
検査箇所において検査したことの証拠として画像を撮像する場合,検査箇所に応じた画像を撮像すること自体が難しく,撮像した画像を目視で確認したとしても,証拠として採用するのに妥当な画像が得られたかどうかが難しい。この実施例では,検査箇所ごとに異なる妥当性条件に合致した証拠となる画像を撮像できるようにするものである。
【0037】
図2は,この実施例による検査システムの概要を示している。
【0038】
検査システムには,パーソナル・コンピュータ3,管理サーバ4および検査端末(検査対象物撮像装置)5が含まれている。パーソナル・コンピュータ3と管理サーバ4とが互いに通信可能であり,管理サーバ4と検査端末5とが互いに通信可能である。
【0039】
検査端末5は,検査員が携帯可能なものであり,上述したように,検査箇所P1〜P7に持参して検査の証拠となる画像を撮像するものである。詳しくは,後述するように,検査の証拠となる画像が得られる妥当性条件が入力される。検査箇所P1〜P7において動画で検査箇所が撮像され,入力された妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画が,撮像により得られた動画の中から抽出される。抽出された静止画が,検査の証拠となる画像として採用される。
【0040】
妥当性条件は,検査会社などに配置されているパーソナル・コンピュータ3に入力される。入力された妥当性条件は,パーソナル・コンピュータ3から管理サーバ4に送信される。妥当性条件は,さらに管理サーバ4から検査端末5に送信される。検査端末5において,妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画が動画から抽出されることとなる。
【0041】
図3は,検査端末5の電気的構成を示すブロック図である。
【0042】
検査端末5の全体の動作は,CPU10によって統括される。
【0043】
検査端末5には,検査箇所P1〜P7を撮像する撮像装置20,管理サーバ4と通信するための通信装置11,検査端末5に指令等を入力する入力装置12,表示装置13,データ等を記憶するメモリ14が含まれている。また,検査端末5には,メモリ・カード16に記録されているデータの読み取り,メモリ・カード16へのデータの書き込みを行うメモリ・カード・リーダ/ライタ15が含まれている。さらに,検査端末5には,検査端末5の位置を検出するGPS(グローバル・ポジショニング・システム)17,検査端末5が撮像する方角を検出する方角検出装置18および検査端末5が撮像する上下方向の角度を検出する角度検出装置19も含まれている。
【0044】
メモリ・カード16には,後述する動作を制御する動作プログラムが格納されている。メモリ・カード16に格納されている動作プログラムが読み取られ,読み取られた動作プログラムが検査端末5にインストールされることにより,検査端末5は,後述する動作を行う。動作プログラムは,検査端末5にあらかじめインストールされていてもよいし,通信装置11を用いてネットワークからダウンロードされていてもよい。
【0045】
図4は,パーソナル・コンピュータ3を用いて行われる妥当性条件入力処理手順を示すフローチャートである。図5から図7は,パーソナル・コンピュータ3の表示装置の表示画面30に表示される画像の一例である。
【0046】
まず,パーソナル・コンピュータ3の表示装置に上述した検査図面(地図)1(図1参照)が表示される(ステップ21)。
【0047】
パーソナル・コンピュータ3には,検査図面1を表わすデータが記憶されている。そのデータによって表わされる検査図面1が,図5に示すように,パーソナル・コンピュータ3の表示画面30に表示される。
【0048】
つづいて,検査図面1と位置情報との対応関係が設定される(図4ステップ22)。この設定は,検査図面1における位置と実際の位置とを対応づけるものである。まず,表示画面30に表示されている検査図面1の中の任意の2箇所が指定される。指定は,パーソナル・コンピュータ3のマウスなどが利用されよう。たとえば,図5に示されているように表示画面30に表示されている検査図面1の検査箇所P1およびP2が指定される。指定される2箇所は検査箇所P1およびP2以外の検査箇所でもよいし,検査箇所でなくともよい。
【0049】
図6は,検査図面1中の2箇所が指定された様子を示している。
【0050】
上述のように,2箇所が指定されると,指定された2箇所には,位置情報設定ウインドウ31および32が現れる。これらのウインドウ31および32には,緯度および経度の文字列が表示されている。一方のウインドウ31には検査箇所P1の実際の緯度および経度がパーソナル・コンピュータ1のオペレータによって入力され,他方のウインドウ32には検査箇所P2の実際の緯度および経度がパーソナル・コンピュータ1のオペレータによって入力される。指定された2箇所の実際の緯度および経度が入力されることにより,検査図面1の各箇所(検査箇所P3〜P7だけでなく,その他のすべての箇所)の実際の緯度および経度が算出できることとなる。
【0051】
つづいて,妥当性条件を入力する検査箇所がパーソナル・コンピュータ3のオペレータによって指定される(図4ステップ23)。
【0052】
図7は,検査箇所P4が指定された様子を示している。
【0053】
検査箇所P4が指定されると,指定された検査箇所P4がハッチングで示される。また,検査箇所P4の最適な撮像箇所が,パーソナル・コンピュータ3のオペレータによって指定される。指定された撮像箇所が,ばつ印36によって表示されている。また,ばつ印36で表現されている撮像箇所から検査箇所P4への撮像方向で矢印で示されている。
【0054】
さらに,指定された検査箇所P4における妥当性条件を入力するための妥当性条件入力ウインドウ33が表示画面30に表示されている。妥当性条件としては,検査箇所の緯度,検査箇所の経度,撮像箇所から検査箇所までの距離,撮像箇所から検査箇所までの撮像方角,撮像箇所から検査箇所への上下の撮像角度,撮像された画像に人物が含まれていてもよいか否か,撮像された画像の明るさなどがある。妥当性条件には,検査箇所の位置(緯度,経度),撮像方角,および撮像角度のうち少なくとも一つが含まれていればよい。
【0055】
オペレータは,パーソナル・コンピュータ3の入力装置(たとえば,キーボード)を利用して,妥当性条件を入力する(図4ステップ24)。入力された妥当性条件が妥当性条件入力ウインドウ33に表示される。
【0056】
図7に示す妥当性ウインドウ33の中では,撮像された画像に人物が含まれていてもよいか否かについての妥当性条件は,人物の画像に斜めの線が入ったアイコン34で示されている。アイコン34は,人物の画像に斜めの線が入っているために,撮像された画像に人物が含まれてしまうことは禁止されることを示している。撮像された画像に人物が含まれてもよい場合には,アイコン34は,たとえば,人物の画像に丸印が重ねられることとなろう。画像の明るさを示すアイコン35の下には「150」の数字も表示されている。この数字によって表わされる明るさ以上の明るさをもつような画像が検査箇所P4では要求されることとなる。もちろん,撮像した画像に人物が含まれてもよいか否か,または撮像した画像の明るさの妥当性条件は,アイコン34または35を利用せずに文字列で表現してもよい。
【0057】
検査箇所P1からP7までのすべての検査箇所の妥当性条件の入力が終了するまで(図5ステップ25でNO),検査箇所P1からP7までのすべての検査箇所の指定(図23ステップ23)およびそれらの検査箇所P1からP7のそれぞれの妥当性条件が同様にして入力される(図4ステップ24)。検査箇所P1からP7のすべての妥当性条件の入力が終了すると(図4ステップ25でYES),入力されたすべての検査箇所P1からP7についての妥当性条件を表わすデータがパーソナル・コンピュータ3から管理サーバ4に送信される(図4ステップ26)。
【0058】
図8は,上述のようにして入力された妥当性条件が格納された妥当性条件テーブルの一例である。
【0059】
上述のように検査箇所P1からP7のそれぞれの検査箇所に対応して妥当性条件が入力されると,検査箇所P1からP7のうち,指定された検査箇所に対応して,入力された妥当性条件が妥当性条件テーブルに格納される。このような妥当性条件テーブルを表わすデータがパーソナル・コンピュータ3から管理サーバ4に送信されることとなる。もっとも,テーブルの形態で妥当性条件を表わすデータがパーソナル・コンピュータ3から管理サーバ4に送信されなくともよい。また,検査箇所P1からP7のすべての検査箇所について妥当性条件が入力されてから,すべての検査箇所についてのすべての妥当性条件を表わすデータがパーソナル・コンピュータ3から管理サーバ4に送信されずに,妥当性条件が入力されるごとに入力された妥当性条件を表わすデータがパーソナル・コンピュータ3から管理サーバ4に送信されるようにしてもよい。
【0060】
図9から図11は,検査処理手順を示すフローチャートである。図9は,管理サーバ4の処理手順を示すフローチャート,図10および図11は,検査端末3の処理手順を示すフローチャートである。図12は,検査端末3の表示画面13(表示装置13と同じ符号を用いる)に表示される画像の一例である。
【0061】
検査員は,検査端末5を持って検査箇所P1からP7のうち,いずれかの検査箇所に向かって移動する(図10ステップ51)。検査端末5に含まれているGPS装置17,方角検出装置18および角度検出装置19によって,検査端末5の現在位置(緯度,経度),検査端末5の撮像装置20が向いている現在の方角,および検査端末5の撮像装置20の上下方向の現在の角度が検出される(図10ステップ52)。検出された現在位置,現在の方角および現在の角度を表わすデータが検査端末5から管理サーバ4に送信される(図10ステップ53)。
【0062】
検査端末5から送信された検査端末5の現在位置,現在の方角および現在の角度を表わすデータが管理サーバ4において受信されると(図9ステップ41),検査箇所P1からP7のうち検査端末5の現在位置に近い1または複数の検査箇所が検査候補箇所として抽出される(図9ステップ42)。上述のように,管理サーバ4には妥当性条件テーブル(図8参照)が記憶されている。この妥当性条件テーブルに格納されている妥当性条件に含まれている検査箇所P1からP7の位置のうち,検査端末5の現在位置に近い複数の検査箇所が検査候補箇所となる。たとえば,検査端末5の現在位置が検査箇所P4とP6との中間にある場合には,検査箇所P4およびP6が検査候補箇所となる。もちろん,検査箇所P4およびP6のみが検査候補箇所とならずに,検査端末5の現在位置から近い所定数の検査箇所が検査候補箇所となってもよいのはいうまでもない。
【0063】
検査候補箇所が決定されると,決定された検査候補箇所のうち,検査端末5の現在の方角および角度に近い検査候補箇所が検査予定箇所と決定される(図9ステップ43)。たとえば,上述したように,検査候補箇所がP4およびP6であり,検査端末5の方角が,検査候補箇所P4の検査方角に近ければ,検査候補箇所P4が検査予定箇所として決定される。また,検査候補箇所がP4およびP6であり,検査端末5の上下方向の角度が,検査候補箇所P6の検査角度に近ければ,検査候補箇所P6が検査予定箇所として決定される。検査端末5の検査方角は,複数の検査候補箇所のうち,いずれか一の検査候補箇所(例えば,検査箇所P4)の検査方角に近いが,端末5の検査角度は,他の検査候補箇所(例えば検査箇所P6)の検査角度に近い場合には,検査方角と検査角度とのいずれかを優先するかをあらかじめ定めておき,その優先度に応じて検査予定箇所を決定してもよい。また,後述するように,妥当性条件ごとにスコア化し,そのスコアにもとづいて検査予定箇所(または検査候補箇所)を決定するようにしてもよい。検査端末5の現在位置にもっとも近い検査箇所を検査予定箇所としてもよい。
【0064】
検査予定箇所が決定すると,決定された検査予定箇所の妥当性条件が妥当性条件テーブルから読み取られる(図9ステップ44)。読み取られた妥当性条件を表わすデータが管理サーバ4から検査端末5に送信される(図9ステップ45)。また,決定された検査予定箇所を表わすデータ,検査予定箇所を撮像するのに最適な位置を示すデータも管理サーバ4から検査端末5に送信される。
【0065】
管理サーバ4から送信された妥当性条件を表すデータおよび検査予定箇所を示すデータが検査端末5において受信されると(図10ステップ54),受信したデータによって表わされる妥当性条件が検査端末5の表示装置13に表示される(図10ステップ55)。
【0066】
図12は,検査端末5の表示画面13(表示装置13と同じ符号を用いる)に表示される画像の一例である。
【0067】
検査端末5の表示画面13には,検査箇所P1からP7を含む地図1が表示されている。検査端末5にも地図データがあらかじめ記憶されているのはいうまでもない。この地図1には,上述のように,検査箇所P1からP7のうち検査予定箇所(P4)が他の検査箇所と異なるように表示されている(ハッチングで示す)。また,地図1には,検査予定箇所を撮像するのに最適な位置がばつ印36によって図示されている。このばつ印36によって図示されている撮像箇所に対応して,妥当性条件表示ウインドウ33が表示されている。この妥当性条件表示ウインドウ33内に,図7に示したウインドウ33と同様に検査予定箇所の妥当性条件が表示される。さらに,地図1には,検査端末5のGPS装置17によって分る検査端末5の現在位置が星印37によって表示されている。
【0068】
その後,検査員によって検査予定箇所の検査が行われる。すると,検査終了した箇所が,検査端末5の撮像装置20を用いて動画で撮像される(ステップ56)。動画撮像においては,動画撮像のフレーム・レートごとなどの所定のタイミング(所定フレーム数ごとなどの一定周期または不定期でもよい)で,撮像状況(検査端末5の撮像位置,撮像方角,上下方向の撮像角度)を表わすデータも動画を構成する静止画と関連づけられて撮像されている。動画を構成する多数の静止画の中の一の静止画がどのような撮像状況で撮像されたものかが,後で確認できる。妥当性条件と同じように撮像状況を表示画面13に表示してもよい。撮像状況は動画上に表示してもしなくてもよい。
【0069】
図13は,動画を構成する多数の静止画S1からS(n+1)を表わしている。
【0070】
上述のように動画撮像のフレーム・レートをΔtとすると,そのフレーム・レートΔtで動画を構成する多数の静止画S1からS(n+1)が得られる。図13に示す例では,すべての静止画S1からS(n+1)が完全な一つの静止画となっているが,いわゆるフレーム間差分方式により撮像された動画では,フレーム・レートΔtごとには一つ前のフレームの画像との差分のデータが得られる。そのような動画の撮像でもよい。
【0071】
このように動画撮像により得られる多数の静止画S1からS(n+1)の撮像状況が静止画S1からS(n+1)に関連付けられる。たとえば,動画データが格納される動画ファイルのヘッダには,動画を構成する静止画S1からS(n+1)の識別データが格納されているから,その識別データに対応づけて,静止画S1からS(n+1)の撮像状況を表わすデータが動画ファイルのヘッダに格納されよう。もっとも,撮像状況を表わすデータは動画データと同じファイルに格納される必要はなく,別ファイルでもよい。動画を構成する静止画S1からS(n+1)と,それらの静止画S1からS(n+1)の撮像状況とが対応付けられればよい。
【0072】
このようにして動画が撮像されていると,動画を構成する1フレーム目の静止画の撮像状況が読み取られる(図10ステップ57)。撮像状況が所定フレームごとに記録される場合には最初に記録された撮像状況が記録される。読み取られた撮像状況と,検査した箇所の妥当性条件(上述のように検査予定箇所の妥当性条件として管理サーバ4から送信されたデータによって表わされる妥当性条件)のうちの一つ目の妥当性条件の妥当性が判定される(図11ステップ58)。たとえば,妥当性条件の中の撮像位置と,読み取られた撮像状況の中の撮像位置とが比較されて妥当性の判定が行われる。読み取られた撮像状況の中の撮像位置が妥当性条件の中の撮像位置から所定範囲内であれば,撮像位置についての妥当性条件はクリアされ,判定結果がOKとなる。
【0073】
判定結果がOKであれば(図11ステップ59でYES),その判定結果が検査端末5の表示画面13に表示される(図11ステップ60)。判定された妥当性条件以外の妥当性条件があれば(図11ステップ61でNO),次の妥当性条件について同様に判定処理が行われる(図11ステップ58)。判定結果がOKでなければ(図11ステップ59でNO),読み取られた撮像状況に対応する静止画(上述のように動画を構成する静止画である)は,検査結果を表わす証拠の画像としては不適切であると考えられるので,撮像状況が関連づけられている次の静止画が読み取られる(図10ステップ57)。少なくとも1つの妥当性条件の判定結果がOKである撮像状況の静止画を,証拠として採用される静止画としてもよい。
【0074】
他の妥当性条件が無ければ(図11ステップ61でYES),読み取られた静止画の撮像状況は妥当性条件のすべてをクリアしたものとなるので,検査結果の証拠の画像として採用される。動画撮像が終了され,撮像により得られた動画データおよび抽出された静止画を表わすデータがメモリ・カード16に記録される(図11ステップ62)。証拠として採用できる静止画が得られたことを報知してもよい。撮像によって得られた動画データはメモリ14に一時的に記憶されており,メモリ14に記録されている動画データから上述のように静止画を表わすデータが抽出されて妥当性の判定処理が行われるのはいうまでもない。また,メモリ・カード16に動画データが記録されるのであれば,上述のように証拠の画像として採用される静止画を表わすデータは,その動画データに含まれているので,必ずしも記録される必要はない。静止画を表わすデータがメモリ・カード16に記録されないのであれば,証拠の画像として採用される静止画を識別するデータがメモリ・カード16に記録される。そのような識別データを利用して,メモリ・カード16に記録されている動画データの中から静止画データを抽出(再現)できる。
【0075】
検査していない残りの検査箇所があれば(ステップ63でNO),再び図10ステップ51からの処理が繰り返される。
【0076】
上述の実施例においては,上述のように撮像条件が妥当性条件をクリアしている静止画データがメモリ・カード16に記録されれば,動画データがメモリ・カード16に記録される必要は無い。
【0077】
上述の実施例においては,動画を撮像しながら証拠として採用される静止画を抽出している(第1の検出処理)が,動画データをすべてメモリ・カード16に記録し,メモリ・カード16に記録された動画データを読み出しながら,上述のように証拠として採用される静止画を抽出する(第2の検出処理)ようにしてもよい。その場合には,いずれの処理を行なうかは入力装置12によって設定される。証拠として採用される静止画の抽出処理が終了すると,メモリ・カード16から動画データを消去するようにしてもよい。もっとも,動画データは消去されなくともよい。
【0078】
図14および図15は,変形例を示している。
【0079】
図14は動画撮像処理手順(図10ステップ56の処理手順)を示すフローチャート,図15は検査端末5の表示画面13に表示される画像の一例である。
【0080】
上述のように検査箇所(検査予定箇所)が検査端末5によって動画で撮像される(ステップ71)。すると,撮像された動画が検査端末5の表示画面13に表示される(ステップ72)。
【0081】
図15を参照して,表示画面13には,撮像した動画を表示する動画表示領域80が形成されている。動画表示領域80には,上述した妥当性条件表示ウインドウ33も表示されている。妥当性条件表示ウインドウ33には,上述したように,検査が終了し,検査の証拠となる静止画を得るための検査箇所の妥当性条件が表示されている。表示画面13に妥当性条件が表示されるので,検査員は,その妥当性条件を見ながら,証拠として適する静止画が得られるように動画の撮像を行うことができる。また,動画表示領域80には,検査端末5の撮像装置20の現在の方角を示す矢印87および妥当性条件に含まれる撮像方角を示す矢印88(ハッチングで示す)も表示される。これらの矢印87および88が一致するように検査装置5の撮像の方角を動かせば方角についての妥当性条件がクリアされることとなる。検査員は,最適な方角で撮像できるようになる。妥当性条件の上下方向の撮像角度を示す矢印などのマークと検査端末5の現在の上下方向の撮像角度を示す矢印などのマークを表示するようにしてもよい。撮像方角と同様に撮像角度についても妥当性条件をクリアできるような静止画を含む動画が得られるようになる。
【0082】
動画表示領域80の上には,モード表示領域81が形成されている。検査端末5は上述したように動画を撮像する撮像モードのほかにメモリ・カード16に記録されているデータを再生する再生モードを設定できる。モード表示領域81の左側には,撮像モードが設定されていることを示す撮像モード・アイコン82が表示されている。再生モードが設定されている場合には,撮像モード・アイコン82の代わりに再生モード・アイコンが表示される。モード表示領域81の右側には動画データが記録されることを示すアイコン83が表示されている。
【0083】
また,動画表示領域80の下には,妥当性スコア85および妥当性条件をクリアした静止画の枚数86をそれぞれ表示する領域84が形成されている。妥当性スコアは,後述のように,撮像している動画を構成する静止画が証拠の画像として採用される可能性を示す指標である。この例では,スコアが80以上となると,証拠の画像として採用される静止画となる。クリア静止画枚数は,動画を構成する静止画のうち,上述のように証拠の画像として採用される静止画として見つけられた数を示している。図10および図11に示す処理手順では,妥当性条件のすべてをクリアする静止画が見つかると処理が終了するが,妥当性条件のすべてをクリアする静止画が複数の所定数まで見つかるまで,図10および図11に示す処理が行われてもよい。そのように,妥当性条件のすべてをクリアする静止画がどの位の数見つかっているかを示すのが符号86で示すクリア静止画枚数である。妥当性条件のすべてをクリアする静止画が複数の所定数まで見つかるまで,図10および図11に示す処理が行われるようにするためには,図11のステップ61で他の妥当性条件が無いと判断された場合に,妥当性条件をクリアした静止画が所定枚数となったかの判断が行われ,この判断により所定枚数となっていない場合には図10のステップ57からの処理が再び行われればよい。
【0084】
上述した変形例では,動画表示領域80に妥当性条件を含むウインドウ33が表示されているが,妥当性条件ではなく,現在の撮像状況を動画表示領域80に表示してもよい。もっとも妥当性条件と撮像状況との両方が動画表示領域80に表示されてもよい。
【0085】
図16は,検査端末5の処理手順の一部を示すフローチャートであり,図11の処理手順の一部に対応している。
【0086】
この処理手順は,妥当性条件ごとに撮像状況をスコア化し,すべての撮像状況のスコアの総和が所定のスコア以上となるような静止画が証拠の静止画として採用されるものである。この処理において算出されたスコアの総和が図15の領域84に表示されるスコア85である。
【0087】
上述したように一の妥当性判定処理(ステップ58の処理)においては,まず,その一の妥当性条件に対応する撮像状況(例えば,撮像位置)が,読み取られた静止画から検出される(ステップ91)。続いて,検出された撮像状況がスコア化され,そのスコアが記憶される(ステップ92)。たとえば,妥当性条件に近い撮像状況ほどスコアが高くなる。正規化されたスコアを用いてもよい。記憶されたスコアから一の妥当性条件の妥当性が判定され,その判定結果が記憶される(ステップ93)。これらのスコアは,妥当性条件(撮像状況)に応じて重み付けがされてもよい。たとえば,撮像位置が重要と考えられれば,撮像位置のスコアの比率が大きくなるような重み付けが行われ,撮像方角が重要と考えられれば撮像方角のスコアの比率が大きくなるような重み付けが行われる。
【0088】
上述したように一の妥当性判定処理において得られたスコアからすべての妥当性判定処理のスコアの総和が算出され,そのスコアの総和にもとづいて,全体の妥当性判定が行われる(ステップ94)。全体の妥当性判定の結果(スコアのしきい値をクリアしたかどうかの合否,総スコア)が検査端末5の表示画面13に表示される(ステップ95)。このようにして算出されるスコアの総和が図15の領域84に表示される妥当性スコア85である。
【0089】
総スコアがスコアのしきい値をクリアしていれば,そのような撮像状況の静止画が証拠として採用されるのに合格とされる(ステップ96)。この場合も所定数の静止画が得られるまで,処理を繰り返してもよい。
【0090】
図17は,検査端末5の再生処理手順を示すフローチャートである。この再生処理手順においては,メモリ・カード16に動画データが記録されているものである。上述のように,検査の証拠として採用される静止画を表わすデータがメモリ・カード16に記録されていてもよいし,そのような静止画の識別データがメモリ・カード16に記録されていてもよい。
【0091】
メモリ・カード16に記録されている動画データが読み取られると(ステップ101),その動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画が1フレームずつ表示画面13に表示されていく。
【0092】
上述のように,検査の証拠として採用される静止画(合格静止画)が表示画面13に表示されると(ステップ102でYES),その静止画は一定時間の間表示画面13に表示され続けられる(ステップ103)。再生指令が与えられるまで一時的に停止されて表示しつづけてもよい。証拠として採用される静止画を確認できるようになる。また,静止画が一時的に停止されている場合に,入力装置12からテキスト・データを入力するようにしてもよい。入力されたテキスト・データは,表示されている静止画を表わすデータがメモリ・カード16に記録されていれば,その静止画を表わすデータが格納されている静止画ファイルのヘッダに記録されてもよいし,静止画ファイルと別のテキスト・ファイルにメモリ・カード16に記録されてもよい。その場合には,静止画ファイルにはテキスト・データが記録されるテキスト・ファイルの識別データが記録されることとなろう。メモリ・カード16に静止画ファイルが記録されていずに,証拠として採用される静止画を識別するデータが動画ファイルのヘッダに記録されている場合には,そのヘッダにテキスト・ファイルの識別データが記録されることなろう。また,テキスト・データではなく,音声データを静止画に関連づけて記録してもよい。音声データが静止画に関連づけて記録される場合には検査端末5には入力装置12にはマイクロフォンが含まれることとなろう。
【0093】
検査の証拠として採用される静止画でなければ(ステップ102でNO),検査の証拠として採用される静止画の表示時間よりも短い時間の間表示画面104に表示される(ステップ104)。もっとも,検査の証拠として採用される静止画のみを表示し,その他の静止画の表示はスキップしてもよい。
【0094】
動画が終了するまで(ステップ105でYES),ステップ102からの処理が繰り返される。
【0095】
上述の実施例においては,撮像によって得られた動画を構成する多数の静止画のすべての中から証拠となる静止画が抽出されているが,動画を構成する多数の静止画のうち,証拠となる静止画を抽出する対象となる静止画を入力装置12を用いて設定し,設定された静止画の中から証拠となる静止画を抽出するようにしてもよい。たとえば,所定フレームおきの静止画の中から証拠となる静止画を抽出してもよい。
【0096】
また,上述の実施例においては,複数の妥当性条件のすべての判定がクリアされた場合に,証拠として採用される静止画とされているが,複数の妥当性条件のうち,少なくとも一つの妥当性条件の判定がクリアされた場合に,証拠として採用される静止画としてもよい。
【0097】
さらに,上述の実施例では,証拠として採用される静止画の撮像時のアングル,大きさ(ズーム量)については言及していないが,証拠として採用される静止画が複数の場合には撮像時のアングルまたは大きさが異なるように複数の静止画が決定されることが好ましい。この場合には,上述のようにして得られる複数の静止画のうち,撮像時のアングルまたは大きさが異なる複数の静止画が証拠として採用されるようにしてもよいし,撮像時のアングルまたは大きさが異なり,かつ同一の検査箇所を撮像している複数の動画の中から撮像時のアングルまたは大きさが異なるように複数の静止画を決定するようにしてもよい。
【0098】
また,上述の実施例においては,撮像位置,撮像方角,撮像角度,静止画に人物が含まれているか,明るさが所定以上かどうかの5つが妥当性条件とされているが,これらの妥当性条件のうち,いずれか1または複数が妥当性条件でもよい。また,撮像位置,撮像方角,撮像角度,静止画に人物が含まれているか,明るさが所定以上かどうか,以外のものが妥当性条件でもよい。
【0099】
さらに,妥当性条件は,動画データによって表わされる動画を構成する複数の静止画の明るさの程度,ぼけの程度または文字認識の可能性の撮像状況でもよい。その場合には,撮像状況として,明るさの程度,ぼけの程度または文字認識の程度が所定の範囲内であるかが検出され,上述と同様の静止画の抽出処理が行われよう。明るさの程度,ぼけの程度,文字認識の可能性についてはCPU10で判断されることはいうまでもない。
【0100】
さらに,妥当性条件は,動画を構成する複数の静止画の撮像時刻でもよい。その場合には,撮像状況撮像時刻を検出する時計が検査端末5には含まれ,所定の撮像時刻に撮像された静止画が証拠の画像として採用されよう。
【符号の説明】
【0101】
5 検査端末
10 CPU
17 GPS
18 方角検出装置
19 角度検出装置
【技術分野】
【0001】
この発明は,検査対象物撮像装置ならびにその動作制御方法およびその動作制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
建造物の検査においては,手軽かつ安価に建造物の目視による観察検査が可能なものがある(特許文献1)。しかしながら,デジタルカメラ,モニター,リモコン,録画装置などの既存装置を,単に結合して動作させるものにすぎない。また,動画から静止画を切り出す手間を無くし,所望の静止画の検索手間を軽減し,さらに静止画周囲の状況も確認できるシステムもある(特許文献2)。撮影時にビデオカメラの光軸を移動させ,特定の輝度変化を特徴点情報として抽出している。このようなものでは,検査箇所ごとに異なる条件で検査箇所を撮像する場合には対応できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-178276号公報
【特許文献2】特開2010-16668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
あらかじめ定められた検査箇所(点検箇所)を,検査員が巡回し,それぞれの検査箇所において検査員が検査を行い,その検査結果を記すとともに,検査箇所の証拠写真を撮像する定点検査業務では,次のような課題がある。(1)検査箇所ごとに「証拠写真」として妥当な条件が異なるので,そのような妥当な条件で検査員が証拠写真を確実に撮像することは難しい。このように,検査箇所に応じた「証拠写真として妥当な写真」を撮像すること自体が難しい。(2)ディジタル・カメラ,カメラ付き携帯電話などの撮像装置で検査箇所を撮像した場合には,それらの撮像装置に設けられている液晶表示装置に撮像した検査箇所の画像を表示して目視確認するが,そのような目視確認では証拠として妥当な画像が得られたかどうかの判断が難しい。このために,保険として一つの検査箇所で必要以上に何枚も撮像することとなるので,画像データ量が多くなる。その画像データを送信する場合には,送信の負担も大きくなる。また,多くの画像の中から妥当な画像を選択する作業も大きな負担となる。このように,証拠写真として妥当な写真が撮像できたかどうかの判断が現場では難しい。
【0005】
この発明は,検査箇所ごとに異なる妥当性条件に合致した証拠となる画像を撮像でき,検査を確実に完了することを目的とする。
【0006】
この発明による検査対象物撮像装置は,検査対象物を撮像し,検査対象物の動画を表わす動画データを出力する動画撮像装置,上記動画撮像装置の撮像位置,撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況を,上記動画撮像装置による検査対象物の撮像の間,複数回検出する撮像状況検出手段,ならびに上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出する静止画検出手段を備えていることを特徴とする。
【0007】
この発明は,上記検査対象物撮像装置に適した動作制御方法も提供している。すなわち,この方法は,動画撮像装置が,検査対象物を撮像し,検査対象物の動画を表わす動画データを出力し,撮像状況検出手段が,上記動画撮像装置の撮像位置,撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況を,上記動画撮像装置による検査対象物の撮像の間,複数回検出し,静止画検出手段が,上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである。
【0008】
この発明は,上記検査対象物撮像装置の動作制御方法を実施するための検査対象物撮像装置のコンピュータを制御するプログラムおよびそのようなプログラムを格納した記録媒体も提供している。
【0009】
この発明によると,動画撮像装置を用いて,検査対象物が撮像され(例えば,一定周期で),検査対象物の動画を表わす動画データが出力される。動画での検査対象物の撮像の間,動画撮像装置の撮像位置,検査対象物の撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況が複数回検出される。検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画が,動画撮像装置から出力された画像データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出される。検査対象物ごとに,検査の証拠となる静止画に妥当な妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画を比較的容易に得ることができる。検査員は目視による確認などをする必要なく,証拠として採用されるような静止画が得られる。検査を確実に完了できる。
【0010】
上記検査状況検出手段は,たとえば,撮像装置を検出する位置検出装置,撮像方角を検出する方角検出装置,および上下方向の撮像角度を検出する角度検出装置のうち少なくとも一つの装置を備えているものである。
【0011】
あらかじめ定められている検査対象物の撮像装置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件を表示画面に表示するように表示装置を制御する妥当性条件表示制御手段をさらに備えてもよい。
【0012】
上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる検査対象物の動画を上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御する動画表示制御手段をさらに備えてもよい。この場合,上記妥当性条件表示制御手段は,たとえば,上記表示画面に表示されている動画上に,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物への撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件を表示画面に表示するように表示装置を制御するものである。
【0013】
上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況を,上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御する撮像状況表示制御手段をさらに備えてもよい。
【0014】
上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる検査対象物の動画を上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御する動画表示制御手段をさらに備えてもよい。この場合,上記撮像状況表示制御手段は,たとえば,上記表示画面に表示されている動画上に,上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況を,上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御するものである。
【0015】
検査対象物の位置を上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御する検査対象物位置表示制御手段をさらに備えてもよい。
【0016】
上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる検査対象物の動画を上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御する動画表示制御手段をさらに備えてもよい。この場合,上記検査対象物位置表示制御手段は,たとえば,上記表示画面に表示されている動画上に検査対象物の位置を表示するものである。
【0017】
上記動画撮像装置から出力された動画データを記録媒体に記録する動画記録制御手段,上記静止画検出手段によって検出された静止画を表す静止画データを上記記録媒体に記録する静止画記録制御手段,および上記静止画記録制御手段によって静止画データが上記記録媒体に記録されたことに応じて,上記動画記録制御手段によって記録された動画データを上記記録媒体から消去する動画消去手段をさらに備えてもよい。
【0018】
上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画のうち,上記静止画検出手段によって検出する対象となる静止画を設定する検出対象静止画設定手段をさらに備えてもよい。この場合,上記静止画検出手段は,たとえば,上記検出対象静止画設定手段によって設定された静止画の中から上記妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画を検出するものである。
【0019】
上記動画撮像装置から出力された動画データを記録媒体に記録する動画記録制御手段をさらに備えてもよい。この場合,上記静止画検出手段は,たとえば,あらかじめ設定されている,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から上記妥当性条件に近い撮像状況の静止画を検出する第1の検出処理を行うか,上記動画記録制御手段の制御のもとに上記記録媒体に記録された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から上記妥当性条件に近い撮像状況の静止画を検出する第2の検出処理を行うかの設定に応じて,静止画を検出するものとなろう。
【0020】
上記妥当性条件は複数でもよい。この場合,上記撮像状況検出手段は,たとえば,複数の上記妥当性条件に対応した複数の撮像状況を検出するものであり,上記静止画検出手段は,たとえば,複数の撮像状況のうち少なくとも一つの撮像状況が複数の妥当性条件のうち一つの妥当性条件に近い静止画を検出するものとなろう。
【0021】
また,上記妥当性条件が複数の場合,上記撮像状況検出手段は,たとえば,複数の上記妥当性条件に対応した複数の撮像状況を検出するものであり,上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況と,その撮像状況に対応する妥当性条件との近似度を表わすスコアを妥当性条件ごとに算出するスコア算出手段をさらに備える。また,上記静止画検出手段は,たとえば,上記スコア算出手段によって算出されたスコアの総和が所定のスコア以上である撮像状況の静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものとなろう。
【0022】
上記スコア算出手段において妥当性条件ごとに算出されるスコアが妥当性条件に応じて重み付けされていてもよい。
【0023】
上記静止画検出手段は,たとえば,上記スコア算出手段によって算出されたスコアの総和が所定のスコア以上である撮像状況の静止画のうち,所定数の静止画を上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである。
【0024】
上記静止画検出手段は,たとえば,上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画であって,撮像アングルまたは大きさの異なる複数の静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである。
【0025】
上記スコア算出手段によって算出されたスコアを上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御するスコア表示制御手段をさらに備えてもよい。
【0026】
上記静止画検出手段により静止画が検出されたことを報知する報知手段をさらに備えてもよい。
【0027】
上記動画撮像装置から出力された動画データを記録媒体に記録する動画記録制御手段,および再生指令に応じて,上記記録媒体に記録されている動画データによって表わされる検査対象物の動画を構成する多数の静止画のうち,上記静止画検出手段によって検出された静止画を所定時間の間表示画面に表示し,上記静止画検出手段によって検出された静止画以外の静止画を上記所定時間よりも短い時間の間表示画面に表示するように表示装置を制御する再生制御手段をさらに備えてもよい。
【0028】
上記動画撮像装置から出力された動画データを記録媒体に記録する動画記録制御手段,および再生指令に応じて,上記記録媒体に記録されている動画データによって表わされる検査対象物の動画を構成する多数の静止画のうち,上記静止画検出手段によって検出された静止画を一時停止して表示画面に表示する再生表示手段,音声データまたはテキスト・データの入力手段,および上記入力手段から入力した音声データまたはテキスト・データを,上記再生表示手段に一時停止して表示されている静止画に関連づけて上記記録媒体に記録する記録制御手段をさらに備えてもよい。
【0029】
上記撮像状況検出手段は,たとえば,上記動画撮像装置の撮像位置,撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況に加えて,上記動画撮像装置から出力される動画データによって表わされる動画を構成する複数の静止画に特定人物,特定被写体もしくは所定文字が含まれているまたは含まれていないかの撮像状況を検出するものである。また,上記静止画検出手段は,たとえば,上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画であって,特定人物,特定被写体もしくは所定文字が含まれているまたは含まれていない静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである。
【0030】
上記撮像状況検出手段は,たとえば,上記動画撮像装置の撮像位置,撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況に加えて,上記動画撮像装置から出力される動画データによって表わされる動画を構成する複数の静止画の明るさの程度,ぼけの程度または文字認識の可能性の撮像状況を検出するものであり,上記静止画検出手段は,たとえば,上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画であって,明るさの程度,ぼけの程度または文字認識の程度が所定の範囲内である静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである。
【0031】
上記撮像状況検出手段は,たとえば,上記動画撮像装置の撮像位置,撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況に加えて,上記動画撮像装置から出力される動画データによって表わされる動画を構成する複数の静止画の撮像時刻を撮像状況として検出するものであり,上記静止画検出手段は,たとえば,上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画であって,所定の撮像時刻に撮像された静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである。
【0032】
サーバから送信される,上記妥当性条件を表わすデータを受信する受信手段をさらに備えてもよい。この場合,上記静止画検出手段は,たとえば,上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つであり,かつ上記受信手段によって受信したデータによって表わされる妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】地図の一例である。
【図2】検査システムの概要を示している。
【図3】検査端末の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】妥当性条件入力処理手順を示すフローチャートである。
【図5】パーソナル・コンピュータの表示画面の一例である。
【図6】パーソナル・コンピュータの表示画面の一例である。
【図7】パーソナル・コンピュータの表示画面の一例である。
【図8】妥当性条件テーブルの一例である。
【図9】管理サーバの処理手順を示すフローチャートである。
【図10】検査端末の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】検査端末の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】検査端末の表示画面の一例である。
【図13】動画を構成する静止画を示している。
【図14】動画撮像処理手順を示すフローチャートである。
【図15】検査端末の表示画面の一例である。
【図16】検査端末の処理手順の一部を示すフローチャートである。
【図17】再生処理手順を示すフローチャートである。
【実施例】
【0034】
図1は,この発明の実施例で利用される地図1を表わしている。
【0035】
この実施例では,複数の検査箇所(検査対象物,必ずしも複数でなくともよい)P1〜P7が規定されており,これらの検査箇所において検査員(図示略)が所定の検査を行うとともに,検査の証拠として検査箇所で写真(画像)を撮像する。検査員は通路(道路)を通って複数の検査箇所P1〜P7を移動する。
【0036】
検査箇所において検査したことの証拠として画像を撮像する場合,検査箇所に応じた画像を撮像すること自体が難しく,撮像した画像を目視で確認したとしても,証拠として採用するのに妥当な画像が得られたかどうかが難しい。この実施例では,検査箇所ごとに異なる妥当性条件に合致した証拠となる画像を撮像できるようにするものである。
【0037】
図2は,この実施例による検査システムの概要を示している。
【0038】
検査システムには,パーソナル・コンピュータ3,管理サーバ4および検査端末(検査対象物撮像装置)5が含まれている。パーソナル・コンピュータ3と管理サーバ4とが互いに通信可能であり,管理サーバ4と検査端末5とが互いに通信可能である。
【0039】
検査端末5は,検査員が携帯可能なものであり,上述したように,検査箇所P1〜P7に持参して検査の証拠となる画像を撮像するものである。詳しくは,後述するように,検査の証拠となる画像が得られる妥当性条件が入力される。検査箇所P1〜P7において動画で検査箇所が撮像され,入力された妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画が,撮像により得られた動画の中から抽出される。抽出された静止画が,検査の証拠となる画像として採用される。
【0040】
妥当性条件は,検査会社などに配置されているパーソナル・コンピュータ3に入力される。入力された妥当性条件は,パーソナル・コンピュータ3から管理サーバ4に送信される。妥当性条件は,さらに管理サーバ4から検査端末5に送信される。検査端末5において,妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画が動画から抽出されることとなる。
【0041】
図3は,検査端末5の電気的構成を示すブロック図である。
【0042】
検査端末5の全体の動作は,CPU10によって統括される。
【0043】
検査端末5には,検査箇所P1〜P7を撮像する撮像装置20,管理サーバ4と通信するための通信装置11,検査端末5に指令等を入力する入力装置12,表示装置13,データ等を記憶するメモリ14が含まれている。また,検査端末5には,メモリ・カード16に記録されているデータの読み取り,メモリ・カード16へのデータの書き込みを行うメモリ・カード・リーダ/ライタ15が含まれている。さらに,検査端末5には,検査端末5の位置を検出するGPS(グローバル・ポジショニング・システム)17,検査端末5が撮像する方角を検出する方角検出装置18および検査端末5が撮像する上下方向の角度を検出する角度検出装置19も含まれている。
【0044】
メモリ・カード16には,後述する動作を制御する動作プログラムが格納されている。メモリ・カード16に格納されている動作プログラムが読み取られ,読み取られた動作プログラムが検査端末5にインストールされることにより,検査端末5は,後述する動作を行う。動作プログラムは,検査端末5にあらかじめインストールされていてもよいし,通信装置11を用いてネットワークからダウンロードされていてもよい。
【0045】
図4は,パーソナル・コンピュータ3を用いて行われる妥当性条件入力処理手順を示すフローチャートである。図5から図7は,パーソナル・コンピュータ3の表示装置の表示画面30に表示される画像の一例である。
【0046】
まず,パーソナル・コンピュータ3の表示装置に上述した検査図面(地図)1(図1参照)が表示される(ステップ21)。
【0047】
パーソナル・コンピュータ3には,検査図面1を表わすデータが記憶されている。そのデータによって表わされる検査図面1が,図5に示すように,パーソナル・コンピュータ3の表示画面30に表示される。
【0048】
つづいて,検査図面1と位置情報との対応関係が設定される(図4ステップ22)。この設定は,検査図面1における位置と実際の位置とを対応づけるものである。まず,表示画面30に表示されている検査図面1の中の任意の2箇所が指定される。指定は,パーソナル・コンピュータ3のマウスなどが利用されよう。たとえば,図5に示されているように表示画面30に表示されている検査図面1の検査箇所P1およびP2が指定される。指定される2箇所は検査箇所P1およびP2以外の検査箇所でもよいし,検査箇所でなくともよい。
【0049】
図6は,検査図面1中の2箇所が指定された様子を示している。
【0050】
上述のように,2箇所が指定されると,指定された2箇所には,位置情報設定ウインドウ31および32が現れる。これらのウインドウ31および32には,緯度および経度の文字列が表示されている。一方のウインドウ31には検査箇所P1の実際の緯度および経度がパーソナル・コンピュータ1のオペレータによって入力され,他方のウインドウ32には検査箇所P2の実際の緯度および経度がパーソナル・コンピュータ1のオペレータによって入力される。指定された2箇所の実際の緯度および経度が入力されることにより,検査図面1の各箇所(検査箇所P3〜P7だけでなく,その他のすべての箇所)の実際の緯度および経度が算出できることとなる。
【0051】
つづいて,妥当性条件を入力する検査箇所がパーソナル・コンピュータ3のオペレータによって指定される(図4ステップ23)。
【0052】
図7は,検査箇所P4が指定された様子を示している。
【0053】
検査箇所P4が指定されると,指定された検査箇所P4がハッチングで示される。また,検査箇所P4の最適な撮像箇所が,パーソナル・コンピュータ3のオペレータによって指定される。指定された撮像箇所が,ばつ印36によって表示されている。また,ばつ印36で表現されている撮像箇所から検査箇所P4への撮像方向で矢印で示されている。
【0054】
さらに,指定された検査箇所P4における妥当性条件を入力するための妥当性条件入力ウインドウ33が表示画面30に表示されている。妥当性条件としては,検査箇所の緯度,検査箇所の経度,撮像箇所から検査箇所までの距離,撮像箇所から検査箇所までの撮像方角,撮像箇所から検査箇所への上下の撮像角度,撮像された画像に人物が含まれていてもよいか否か,撮像された画像の明るさなどがある。妥当性条件には,検査箇所の位置(緯度,経度),撮像方角,および撮像角度のうち少なくとも一つが含まれていればよい。
【0055】
オペレータは,パーソナル・コンピュータ3の入力装置(たとえば,キーボード)を利用して,妥当性条件を入力する(図4ステップ24)。入力された妥当性条件が妥当性条件入力ウインドウ33に表示される。
【0056】
図7に示す妥当性ウインドウ33の中では,撮像された画像に人物が含まれていてもよいか否かについての妥当性条件は,人物の画像に斜めの線が入ったアイコン34で示されている。アイコン34は,人物の画像に斜めの線が入っているために,撮像された画像に人物が含まれてしまうことは禁止されることを示している。撮像された画像に人物が含まれてもよい場合には,アイコン34は,たとえば,人物の画像に丸印が重ねられることとなろう。画像の明るさを示すアイコン35の下には「150」の数字も表示されている。この数字によって表わされる明るさ以上の明るさをもつような画像が検査箇所P4では要求されることとなる。もちろん,撮像した画像に人物が含まれてもよいか否か,または撮像した画像の明るさの妥当性条件は,アイコン34または35を利用せずに文字列で表現してもよい。
【0057】
検査箇所P1からP7までのすべての検査箇所の妥当性条件の入力が終了するまで(図5ステップ25でNO),検査箇所P1からP7までのすべての検査箇所の指定(図23ステップ23)およびそれらの検査箇所P1からP7のそれぞれの妥当性条件が同様にして入力される(図4ステップ24)。検査箇所P1からP7のすべての妥当性条件の入力が終了すると(図4ステップ25でYES),入力されたすべての検査箇所P1からP7についての妥当性条件を表わすデータがパーソナル・コンピュータ3から管理サーバ4に送信される(図4ステップ26)。
【0058】
図8は,上述のようにして入力された妥当性条件が格納された妥当性条件テーブルの一例である。
【0059】
上述のように検査箇所P1からP7のそれぞれの検査箇所に対応して妥当性条件が入力されると,検査箇所P1からP7のうち,指定された検査箇所に対応して,入力された妥当性条件が妥当性条件テーブルに格納される。このような妥当性条件テーブルを表わすデータがパーソナル・コンピュータ3から管理サーバ4に送信されることとなる。もっとも,テーブルの形態で妥当性条件を表わすデータがパーソナル・コンピュータ3から管理サーバ4に送信されなくともよい。また,検査箇所P1からP7のすべての検査箇所について妥当性条件が入力されてから,すべての検査箇所についてのすべての妥当性条件を表わすデータがパーソナル・コンピュータ3から管理サーバ4に送信されずに,妥当性条件が入力されるごとに入力された妥当性条件を表わすデータがパーソナル・コンピュータ3から管理サーバ4に送信されるようにしてもよい。
【0060】
図9から図11は,検査処理手順を示すフローチャートである。図9は,管理サーバ4の処理手順を示すフローチャート,図10および図11は,検査端末3の処理手順を示すフローチャートである。図12は,検査端末3の表示画面13(表示装置13と同じ符号を用いる)に表示される画像の一例である。
【0061】
検査員は,検査端末5を持って検査箇所P1からP7のうち,いずれかの検査箇所に向かって移動する(図10ステップ51)。検査端末5に含まれているGPS装置17,方角検出装置18および角度検出装置19によって,検査端末5の現在位置(緯度,経度),検査端末5の撮像装置20が向いている現在の方角,および検査端末5の撮像装置20の上下方向の現在の角度が検出される(図10ステップ52)。検出された現在位置,現在の方角および現在の角度を表わすデータが検査端末5から管理サーバ4に送信される(図10ステップ53)。
【0062】
検査端末5から送信された検査端末5の現在位置,現在の方角および現在の角度を表わすデータが管理サーバ4において受信されると(図9ステップ41),検査箇所P1からP7のうち検査端末5の現在位置に近い1または複数の検査箇所が検査候補箇所として抽出される(図9ステップ42)。上述のように,管理サーバ4には妥当性条件テーブル(図8参照)が記憶されている。この妥当性条件テーブルに格納されている妥当性条件に含まれている検査箇所P1からP7の位置のうち,検査端末5の現在位置に近い複数の検査箇所が検査候補箇所となる。たとえば,検査端末5の現在位置が検査箇所P4とP6との中間にある場合には,検査箇所P4およびP6が検査候補箇所となる。もちろん,検査箇所P4およびP6のみが検査候補箇所とならずに,検査端末5の現在位置から近い所定数の検査箇所が検査候補箇所となってもよいのはいうまでもない。
【0063】
検査候補箇所が決定されると,決定された検査候補箇所のうち,検査端末5の現在の方角および角度に近い検査候補箇所が検査予定箇所と決定される(図9ステップ43)。たとえば,上述したように,検査候補箇所がP4およびP6であり,検査端末5の方角が,検査候補箇所P4の検査方角に近ければ,検査候補箇所P4が検査予定箇所として決定される。また,検査候補箇所がP4およびP6であり,検査端末5の上下方向の角度が,検査候補箇所P6の検査角度に近ければ,検査候補箇所P6が検査予定箇所として決定される。検査端末5の検査方角は,複数の検査候補箇所のうち,いずれか一の検査候補箇所(例えば,検査箇所P4)の検査方角に近いが,端末5の検査角度は,他の検査候補箇所(例えば検査箇所P6)の検査角度に近い場合には,検査方角と検査角度とのいずれかを優先するかをあらかじめ定めておき,その優先度に応じて検査予定箇所を決定してもよい。また,後述するように,妥当性条件ごとにスコア化し,そのスコアにもとづいて検査予定箇所(または検査候補箇所)を決定するようにしてもよい。検査端末5の現在位置にもっとも近い検査箇所を検査予定箇所としてもよい。
【0064】
検査予定箇所が決定すると,決定された検査予定箇所の妥当性条件が妥当性条件テーブルから読み取られる(図9ステップ44)。読み取られた妥当性条件を表わすデータが管理サーバ4から検査端末5に送信される(図9ステップ45)。また,決定された検査予定箇所を表わすデータ,検査予定箇所を撮像するのに最適な位置を示すデータも管理サーバ4から検査端末5に送信される。
【0065】
管理サーバ4から送信された妥当性条件を表すデータおよび検査予定箇所を示すデータが検査端末5において受信されると(図10ステップ54),受信したデータによって表わされる妥当性条件が検査端末5の表示装置13に表示される(図10ステップ55)。
【0066】
図12は,検査端末5の表示画面13(表示装置13と同じ符号を用いる)に表示される画像の一例である。
【0067】
検査端末5の表示画面13には,検査箇所P1からP7を含む地図1が表示されている。検査端末5にも地図データがあらかじめ記憶されているのはいうまでもない。この地図1には,上述のように,検査箇所P1からP7のうち検査予定箇所(P4)が他の検査箇所と異なるように表示されている(ハッチングで示す)。また,地図1には,検査予定箇所を撮像するのに最適な位置がばつ印36によって図示されている。このばつ印36によって図示されている撮像箇所に対応して,妥当性条件表示ウインドウ33が表示されている。この妥当性条件表示ウインドウ33内に,図7に示したウインドウ33と同様に検査予定箇所の妥当性条件が表示される。さらに,地図1には,検査端末5のGPS装置17によって分る検査端末5の現在位置が星印37によって表示されている。
【0068】
その後,検査員によって検査予定箇所の検査が行われる。すると,検査終了した箇所が,検査端末5の撮像装置20を用いて動画で撮像される(ステップ56)。動画撮像においては,動画撮像のフレーム・レートごとなどの所定のタイミング(所定フレーム数ごとなどの一定周期または不定期でもよい)で,撮像状況(検査端末5の撮像位置,撮像方角,上下方向の撮像角度)を表わすデータも動画を構成する静止画と関連づけられて撮像されている。動画を構成する多数の静止画の中の一の静止画がどのような撮像状況で撮像されたものかが,後で確認できる。妥当性条件と同じように撮像状況を表示画面13に表示してもよい。撮像状況は動画上に表示してもしなくてもよい。
【0069】
図13は,動画を構成する多数の静止画S1からS(n+1)を表わしている。
【0070】
上述のように動画撮像のフレーム・レートをΔtとすると,そのフレーム・レートΔtで動画を構成する多数の静止画S1からS(n+1)が得られる。図13に示す例では,すべての静止画S1からS(n+1)が完全な一つの静止画となっているが,いわゆるフレーム間差分方式により撮像された動画では,フレーム・レートΔtごとには一つ前のフレームの画像との差分のデータが得られる。そのような動画の撮像でもよい。
【0071】
このように動画撮像により得られる多数の静止画S1からS(n+1)の撮像状況が静止画S1からS(n+1)に関連付けられる。たとえば,動画データが格納される動画ファイルのヘッダには,動画を構成する静止画S1からS(n+1)の識別データが格納されているから,その識別データに対応づけて,静止画S1からS(n+1)の撮像状況を表わすデータが動画ファイルのヘッダに格納されよう。もっとも,撮像状況を表わすデータは動画データと同じファイルに格納される必要はなく,別ファイルでもよい。動画を構成する静止画S1からS(n+1)と,それらの静止画S1からS(n+1)の撮像状況とが対応付けられればよい。
【0072】
このようにして動画が撮像されていると,動画を構成する1フレーム目の静止画の撮像状況が読み取られる(図10ステップ57)。撮像状況が所定フレームごとに記録される場合には最初に記録された撮像状況が記録される。読み取られた撮像状況と,検査した箇所の妥当性条件(上述のように検査予定箇所の妥当性条件として管理サーバ4から送信されたデータによって表わされる妥当性条件)のうちの一つ目の妥当性条件の妥当性が判定される(図11ステップ58)。たとえば,妥当性条件の中の撮像位置と,読み取られた撮像状況の中の撮像位置とが比較されて妥当性の判定が行われる。読み取られた撮像状況の中の撮像位置が妥当性条件の中の撮像位置から所定範囲内であれば,撮像位置についての妥当性条件はクリアされ,判定結果がOKとなる。
【0073】
判定結果がOKであれば(図11ステップ59でYES),その判定結果が検査端末5の表示画面13に表示される(図11ステップ60)。判定された妥当性条件以外の妥当性条件があれば(図11ステップ61でNO),次の妥当性条件について同様に判定処理が行われる(図11ステップ58)。判定結果がOKでなければ(図11ステップ59でNO),読み取られた撮像状況に対応する静止画(上述のように動画を構成する静止画である)は,検査結果を表わす証拠の画像としては不適切であると考えられるので,撮像状況が関連づけられている次の静止画が読み取られる(図10ステップ57)。少なくとも1つの妥当性条件の判定結果がOKである撮像状況の静止画を,証拠として採用される静止画としてもよい。
【0074】
他の妥当性条件が無ければ(図11ステップ61でYES),読み取られた静止画の撮像状況は妥当性条件のすべてをクリアしたものとなるので,検査結果の証拠の画像として採用される。動画撮像が終了され,撮像により得られた動画データおよび抽出された静止画を表わすデータがメモリ・カード16に記録される(図11ステップ62)。証拠として採用できる静止画が得られたことを報知してもよい。撮像によって得られた動画データはメモリ14に一時的に記憶されており,メモリ14に記録されている動画データから上述のように静止画を表わすデータが抽出されて妥当性の判定処理が行われるのはいうまでもない。また,メモリ・カード16に動画データが記録されるのであれば,上述のように証拠の画像として採用される静止画を表わすデータは,その動画データに含まれているので,必ずしも記録される必要はない。静止画を表わすデータがメモリ・カード16に記録されないのであれば,証拠の画像として採用される静止画を識別するデータがメモリ・カード16に記録される。そのような識別データを利用して,メモリ・カード16に記録されている動画データの中から静止画データを抽出(再現)できる。
【0075】
検査していない残りの検査箇所があれば(ステップ63でNO),再び図10ステップ51からの処理が繰り返される。
【0076】
上述の実施例においては,上述のように撮像条件が妥当性条件をクリアしている静止画データがメモリ・カード16に記録されれば,動画データがメモリ・カード16に記録される必要は無い。
【0077】
上述の実施例においては,動画を撮像しながら証拠として採用される静止画を抽出している(第1の検出処理)が,動画データをすべてメモリ・カード16に記録し,メモリ・カード16に記録された動画データを読み出しながら,上述のように証拠として採用される静止画を抽出する(第2の検出処理)ようにしてもよい。その場合には,いずれの処理を行なうかは入力装置12によって設定される。証拠として採用される静止画の抽出処理が終了すると,メモリ・カード16から動画データを消去するようにしてもよい。もっとも,動画データは消去されなくともよい。
【0078】
図14および図15は,変形例を示している。
【0079】
図14は動画撮像処理手順(図10ステップ56の処理手順)を示すフローチャート,図15は検査端末5の表示画面13に表示される画像の一例である。
【0080】
上述のように検査箇所(検査予定箇所)が検査端末5によって動画で撮像される(ステップ71)。すると,撮像された動画が検査端末5の表示画面13に表示される(ステップ72)。
【0081】
図15を参照して,表示画面13には,撮像した動画を表示する動画表示領域80が形成されている。動画表示領域80には,上述した妥当性条件表示ウインドウ33も表示されている。妥当性条件表示ウインドウ33には,上述したように,検査が終了し,検査の証拠となる静止画を得るための検査箇所の妥当性条件が表示されている。表示画面13に妥当性条件が表示されるので,検査員は,その妥当性条件を見ながら,証拠として適する静止画が得られるように動画の撮像を行うことができる。また,動画表示領域80には,検査端末5の撮像装置20の現在の方角を示す矢印87および妥当性条件に含まれる撮像方角を示す矢印88(ハッチングで示す)も表示される。これらの矢印87および88が一致するように検査装置5の撮像の方角を動かせば方角についての妥当性条件がクリアされることとなる。検査員は,最適な方角で撮像できるようになる。妥当性条件の上下方向の撮像角度を示す矢印などのマークと検査端末5の現在の上下方向の撮像角度を示す矢印などのマークを表示するようにしてもよい。撮像方角と同様に撮像角度についても妥当性条件をクリアできるような静止画を含む動画が得られるようになる。
【0082】
動画表示領域80の上には,モード表示領域81が形成されている。検査端末5は上述したように動画を撮像する撮像モードのほかにメモリ・カード16に記録されているデータを再生する再生モードを設定できる。モード表示領域81の左側には,撮像モードが設定されていることを示す撮像モード・アイコン82が表示されている。再生モードが設定されている場合には,撮像モード・アイコン82の代わりに再生モード・アイコンが表示される。モード表示領域81の右側には動画データが記録されることを示すアイコン83が表示されている。
【0083】
また,動画表示領域80の下には,妥当性スコア85および妥当性条件をクリアした静止画の枚数86をそれぞれ表示する領域84が形成されている。妥当性スコアは,後述のように,撮像している動画を構成する静止画が証拠の画像として採用される可能性を示す指標である。この例では,スコアが80以上となると,証拠の画像として採用される静止画となる。クリア静止画枚数は,動画を構成する静止画のうち,上述のように証拠の画像として採用される静止画として見つけられた数を示している。図10および図11に示す処理手順では,妥当性条件のすべてをクリアする静止画が見つかると処理が終了するが,妥当性条件のすべてをクリアする静止画が複数の所定数まで見つかるまで,図10および図11に示す処理が行われてもよい。そのように,妥当性条件のすべてをクリアする静止画がどの位の数見つかっているかを示すのが符号86で示すクリア静止画枚数である。妥当性条件のすべてをクリアする静止画が複数の所定数まで見つかるまで,図10および図11に示す処理が行われるようにするためには,図11のステップ61で他の妥当性条件が無いと判断された場合に,妥当性条件をクリアした静止画が所定枚数となったかの判断が行われ,この判断により所定枚数となっていない場合には図10のステップ57からの処理が再び行われればよい。
【0084】
上述した変形例では,動画表示領域80に妥当性条件を含むウインドウ33が表示されているが,妥当性条件ではなく,現在の撮像状況を動画表示領域80に表示してもよい。もっとも妥当性条件と撮像状況との両方が動画表示領域80に表示されてもよい。
【0085】
図16は,検査端末5の処理手順の一部を示すフローチャートであり,図11の処理手順の一部に対応している。
【0086】
この処理手順は,妥当性条件ごとに撮像状況をスコア化し,すべての撮像状況のスコアの総和が所定のスコア以上となるような静止画が証拠の静止画として採用されるものである。この処理において算出されたスコアの総和が図15の領域84に表示されるスコア85である。
【0087】
上述したように一の妥当性判定処理(ステップ58の処理)においては,まず,その一の妥当性条件に対応する撮像状況(例えば,撮像位置)が,読み取られた静止画から検出される(ステップ91)。続いて,検出された撮像状況がスコア化され,そのスコアが記憶される(ステップ92)。たとえば,妥当性条件に近い撮像状況ほどスコアが高くなる。正規化されたスコアを用いてもよい。記憶されたスコアから一の妥当性条件の妥当性が判定され,その判定結果が記憶される(ステップ93)。これらのスコアは,妥当性条件(撮像状況)に応じて重み付けがされてもよい。たとえば,撮像位置が重要と考えられれば,撮像位置のスコアの比率が大きくなるような重み付けが行われ,撮像方角が重要と考えられれば撮像方角のスコアの比率が大きくなるような重み付けが行われる。
【0088】
上述したように一の妥当性判定処理において得られたスコアからすべての妥当性判定処理のスコアの総和が算出され,そのスコアの総和にもとづいて,全体の妥当性判定が行われる(ステップ94)。全体の妥当性判定の結果(スコアのしきい値をクリアしたかどうかの合否,総スコア)が検査端末5の表示画面13に表示される(ステップ95)。このようにして算出されるスコアの総和が図15の領域84に表示される妥当性スコア85である。
【0089】
総スコアがスコアのしきい値をクリアしていれば,そのような撮像状況の静止画が証拠として採用されるのに合格とされる(ステップ96)。この場合も所定数の静止画が得られるまで,処理を繰り返してもよい。
【0090】
図17は,検査端末5の再生処理手順を示すフローチャートである。この再生処理手順においては,メモリ・カード16に動画データが記録されているものである。上述のように,検査の証拠として採用される静止画を表わすデータがメモリ・カード16に記録されていてもよいし,そのような静止画の識別データがメモリ・カード16に記録されていてもよい。
【0091】
メモリ・カード16に記録されている動画データが読み取られると(ステップ101),その動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画が1フレームずつ表示画面13に表示されていく。
【0092】
上述のように,検査の証拠として採用される静止画(合格静止画)が表示画面13に表示されると(ステップ102でYES),その静止画は一定時間の間表示画面13に表示され続けられる(ステップ103)。再生指令が与えられるまで一時的に停止されて表示しつづけてもよい。証拠として採用される静止画を確認できるようになる。また,静止画が一時的に停止されている場合に,入力装置12からテキスト・データを入力するようにしてもよい。入力されたテキスト・データは,表示されている静止画を表わすデータがメモリ・カード16に記録されていれば,その静止画を表わすデータが格納されている静止画ファイルのヘッダに記録されてもよいし,静止画ファイルと別のテキスト・ファイルにメモリ・カード16に記録されてもよい。その場合には,静止画ファイルにはテキスト・データが記録されるテキスト・ファイルの識別データが記録されることとなろう。メモリ・カード16に静止画ファイルが記録されていずに,証拠として採用される静止画を識別するデータが動画ファイルのヘッダに記録されている場合には,そのヘッダにテキスト・ファイルの識別データが記録されることなろう。また,テキスト・データではなく,音声データを静止画に関連づけて記録してもよい。音声データが静止画に関連づけて記録される場合には検査端末5には入力装置12にはマイクロフォンが含まれることとなろう。
【0093】
検査の証拠として採用される静止画でなければ(ステップ102でNO),検査の証拠として採用される静止画の表示時間よりも短い時間の間表示画面104に表示される(ステップ104)。もっとも,検査の証拠として採用される静止画のみを表示し,その他の静止画の表示はスキップしてもよい。
【0094】
動画が終了するまで(ステップ105でYES),ステップ102からの処理が繰り返される。
【0095】
上述の実施例においては,撮像によって得られた動画を構成する多数の静止画のすべての中から証拠となる静止画が抽出されているが,動画を構成する多数の静止画のうち,証拠となる静止画を抽出する対象となる静止画を入力装置12を用いて設定し,設定された静止画の中から証拠となる静止画を抽出するようにしてもよい。たとえば,所定フレームおきの静止画の中から証拠となる静止画を抽出してもよい。
【0096】
また,上述の実施例においては,複数の妥当性条件のすべての判定がクリアされた場合に,証拠として採用される静止画とされているが,複数の妥当性条件のうち,少なくとも一つの妥当性条件の判定がクリアされた場合に,証拠として採用される静止画としてもよい。
【0097】
さらに,上述の実施例では,証拠として採用される静止画の撮像時のアングル,大きさ(ズーム量)については言及していないが,証拠として採用される静止画が複数の場合には撮像時のアングルまたは大きさが異なるように複数の静止画が決定されることが好ましい。この場合には,上述のようにして得られる複数の静止画のうち,撮像時のアングルまたは大きさが異なる複数の静止画が証拠として採用されるようにしてもよいし,撮像時のアングルまたは大きさが異なり,かつ同一の検査箇所を撮像している複数の動画の中から撮像時のアングルまたは大きさが異なるように複数の静止画を決定するようにしてもよい。
【0098】
また,上述の実施例においては,撮像位置,撮像方角,撮像角度,静止画に人物が含まれているか,明るさが所定以上かどうかの5つが妥当性条件とされているが,これらの妥当性条件のうち,いずれか1または複数が妥当性条件でもよい。また,撮像位置,撮像方角,撮像角度,静止画に人物が含まれているか,明るさが所定以上かどうか,以外のものが妥当性条件でもよい。
【0099】
さらに,妥当性条件は,動画データによって表わされる動画を構成する複数の静止画の明るさの程度,ぼけの程度または文字認識の可能性の撮像状況でもよい。その場合には,撮像状況として,明るさの程度,ぼけの程度または文字認識の程度が所定の範囲内であるかが検出され,上述と同様の静止画の抽出処理が行われよう。明るさの程度,ぼけの程度,文字認識の可能性についてはCPU10で判断されることはいうまでもない。
【0100】
さらに,妥当性条件は,動画を構成する複数の静止画の撮像時刻でもよい。その場合には,撮像状況撮像時刻を検出する時計が検査端末5には含まれ,所定の撮像時刻に撮像された静止画が証拠の画像として採用されよう。
【符号の説明】
【0101】
5 検査端末
10 CPU
17 GPS
18 方角検出装置
19 角度検出装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物を撮像し,検査対象物の動画を表わす動画データを出力する動画撮像装置,
上記動画撮像装置の撮像位置,撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況を,上記動画撮像装置による検査対象物の撮像の間,複数回検出する撮像状況検出手段,ならびに
上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出する静止画検出手段,
を備えた検査対象物撮像装置。
【請求項2】
上記撮像状況検出手段は,
撮像位置を検出する位置検出装置,
撮像方角を検出する方角検出装置,および
上下方向の撮像角度を検出する角度検出装置のうち少なくとも一つの装置を備えている,
請求項1に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項3】
あらかじめ定められている検査対象物の撮像装置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件を表示画面に表示するように表示装置を制御する妥当性条件表示制御手段,
をさらに備えた請求項1または2に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項4】
上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる検査対象物の動画を上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御する動画表示制御手段をさらに備え,
上記妥当性条件表示制御手段は,
上記表示画面に表示されている動画上に,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物への撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件を表示画面に表示するように表示装置を制御するものである,
請求項3に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項5】
上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況を,上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御する撮像状況表示制御手段,
をさらに備えた請求項1から4のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項6】
上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる検査対象物の動画を上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御する動画表示制御手段をさらに備え,
上記撮像状況表示制御手段は,
上記表示画面に表示されている動画上に,上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況を,上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御するものである,
請求項5に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項7】
検査対象物の位置を上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御する検査対象物位置表示制御手段,
をさらに備えた請求項1から6のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項8】
上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる検査対象物の動画を上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御する動画表示制御手段をさらに備え,
上記検査対象物位置表示制御手段は,
上記表示画面に表示されている動画上に検査対象物の位置を表示するものである,
請求項7に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項9】
上記動画撮像装置から出力された動画データを記録媒体に記録する動画記録制御手段,
上記静止画検出手段によって検出された静止画を表す静止画データを上記記録媒体に記録する静止画記録制御手段,および
上記静止画記録制御手段によって静止画データが上記記録媒体に記録されたことに応じて,上記動画記録制御手段によって記録された動画データを上記記録媒体から消去する動画消去手段,
をさらに備えた請求項1から8のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項10】
上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画のうち,上記静止画検出手段によって検出する対象となる静止画を設定する検出対象静止画設定手段をさらに備え,
上記静止画検出手段は,
上記検出対象静止画設定手段によって設定された静止画の中から上記妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画を検出するものである,
請求項1から9のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項11】
上記動画撮像装置から出力された動画データを記録媒体に記録する動画記録制御手段をさらに備え,
上記静止画検出手段は,
あらかじめ設定されている,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から上記妥当性条件に近い撮像状況の静止画を検出する第1の検出処理を行うか,上記動画記録制御手段の制御のもとに上記記録媒体に記録された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から上記妥当性条件に近い撮像状況の静止画を検出する第2の検出処理を行うかの設定に応じて,静止画を検出するものである,
請求項1から10のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項12】
上記妥当性条件は複数であり,
上記撮像状況検出手段は,
複数の上記妥当性条件に対応した複数の撮像状況を検出するものであり,
上記静止画検出手段は,
複数の撮像状況のうち少なくとも一つの撮像状況が複数の妥当性条件のうち一つの妥当性条件に近い静止画を検出するものである,
請求項1から9のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項13】
上記妥当性条件は複数であり,
上記撮像状況検出手段は,
複数の上記妥当性条件に対応した複数の撮像状況を検出するものであり,
上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況と,その撮像状況に対応する妥当性条件との近似度を表わすスコアを妥当性条件ごとに算出するスコア算出手段をさらに備え,
上記静止画検出手段は,
上記スコア算出手段によって算出されたスコアの総和が所定のスコア以上である撮像状況の静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである,
請求項1から9のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項14】
上記スコア算出手段において妥当性条件ごとに算出されるスコアが妥当性条件に応じて重み付けされている,
請求項13に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項15】
上記静止画検出手段は,
上記スコア算出手段によって算出されたスコアの総和が所定のスコア以上である撮像状況の静止画のうち,所定数の静止画を上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである,
請求項13または14に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項16】
上記静止画検出手段は,
上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画であって,撮像アングルまたは大きさの異なる複数の静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである,
請求項1から15のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項17】
上記スコア算出手段によって算出されたスコアを上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御するスコア表示制御手段,
をさらに備えた請求項13または14に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項18】
上記静止画検出手段により静止画が検出されたことを報知する報知手段,
をさらに備えた請求項1から17のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項19】
上記動画撮像装置から出力された動画データを記録媒体に記録する動画記録制御手段,および
再生指令に応じて,上記記録媒体に記録されている動画データによって表わされる検査対象物の動画を構成する多数の静止画のうち,上記静止画検出手段によって検出された静止画を所定時間の間表示画面に表示し,上記静止画検出手段によって検出された静止画以外の静止画を上記所定時間よりも短い時間の間表示画面に表示するように表示装置を制御する再生制御手段,
をさらに備えた請求項1から18のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項20】
上記動画撮像装置から出力された動画データを記録媒体に記録する動画記録制御手段,および
再生指令に応じて,上記記録媒体に記録されている動画データによって表わされる検査対象物の動画を構成する多数の静止画のうち,上記静止画検出手段によって検出された静止画を一時停止して表示画面に表示する再生表示手段,
音声データまたはテキスト・データの入力手段,および
上記入力手段から入力した音声データまたはテキスト・データを,上記再生表示手段に一時停止して表示されている静止画に関連づけて上記記録媒体に記録する記録制御手段,
をさらに備えた請求項1から19うち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項21】
上記撮像状況検出手段は,
上記動画撮像装置の撮像位置,撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況に加えて,上記動画撮像装置から出力される動画データによって表わされる動画を構成する複数の静止画に特定人物,特定被写体もしくは所定文字が含まれているまたは含まれていないかの撮像状況を検出するものであり,
上記静止画検出手段は,
上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画であって,特定人物,特定被写体もしくは所定文字が含まれているまたは含まれていない静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである,
請求項1から20のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項22】
上記撮像状況検出手段は,
上記動画撮像装置の撮像位置,撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況に加えて,上記動画撮像装置から出力される動画データによって表わされる動画を構成する複数の静止画の明るさの程度,ぼけの程度または文字認識の可能性の撮像状況を検出するものであり,
上記静止画検出手段は,
上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画であって,明るさの程度,ぼけの程度または文字認識の程度が所定の範囲内である静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである,
請求項1から20のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項23】
上記撮像状況検出手段は,
上記動画撮像装置の撮像位置,撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況に加えて,上記動画撮像装置から出力される動画データによって表わされる動画を構成する複数の静止画の撮像時刻を撮像状況として検出するものであり,
上記静止画検出手段は,
上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画であって,所定の撮像時刻に撮像された静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである,
請求項1から20のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項24】
サーバから送信される,上記妥当性条件を表わすデータを受信する受信手段をさらに備え,
上記静止画検出手段は,
上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つであり,かつ上記受信手段によって受信したデータによって表わされる妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである,
請求項1から23のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項25】
動画撮像装置が,検査対象物を撮像し,検査対象物の動画を表わす動画データを出力し,
撮像状況検出手段が,上記動画撮像装置の撮像位置,撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況を,上記動画撮像装置による検査対象物の撮像の間,複数回検出し,
静止画検出手段が,上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出し,
検査対象物撮像装置の動作制御方法。
【請求項26】
検査対象物撮像装置のコンピュータを制御するコンピュータが読み取り可能なプログラムであって,
動画撮像装置を用いて,検査対象物を撮像し,検査対象物の動画を表わす動画データを出力させ,
上記動画撮像装置の撮像位置,撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況を,検査対象物の撮像の間,複数回検出させ,
検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出させるように検査対象物撮像装置のコンピュータを制御するプログラム。
【請求項27】
請求項26に記載のプログラムを格納した記録媒体。
【請求項1】
検査対象物を撮像し,検査対象物の動画を表わす動画データを出力する動画撮像装置,
上記動画撮像装置の撮像位置,撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況を,上記動画撮像装置による検査対象物の撮像の間,複数回検出する撮像状況検出手段,ならびに
上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出する静止画検出手段,
を備えた検査対象物撮像装置。
【請求項2】
上記撮像状況検出手段は,
撮像位置を検出する位置検出装置,
撮像方角を検出する方角検出装置,および
上下方向の撮像角度を検出する角度検出装置のうち少なくとも一つの装置を備えている,
請求項1に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項3】
あらかじめ定められている検査対象物の撮像装置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件を表示画面に表示するように表示装置を制御する妥当性条件表示制御手段,
をさらに備えた請求項1または2に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項4】
上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる検査対象物の動画を上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御する動画表示制御手段をさらに備え,
上記妥当性条件表示制御手段は,
上記表示画面に表示されている動画上に,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物への撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件を表示画面に表示するように表示装置を制御するものである,
請求項3に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項5】
上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況を,上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御する撮像状況表示制御手段,
をさらに備えた請求項1から4のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項6】
上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる検査対象物の動画を上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御する動画表示制御手段をさらに備え,
上記撮像状況表示制御手段は,
上記表示画面に表示されている動画上に,上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況を,上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御するものである,
請求項5に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項7】
検査対象物の位置を上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御する検査対象物位置表示制御手段,
をさらに備えた請求項1から6のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項8】
上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる検査対象物の動画を上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御する動画表示制御手段をさらに備え,
上記検査対象物位置表示制御手段は,
上記表示画面に表示されている動画上に検査対象物の位置を表示するものである,
請求項7に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項9】
上記動画撮像装置から出力された動画データを記録媒体に記録する動画記録制御手段,
上記静止画検出手段によって検出された静止画を表す静止画データを上記記録媒体に記録する静止画記録制御手段,および
上記静止画記録制御手段によって静止画データが上記記録媒体に記録されたことに応じて,上記動画記録制御手段によって記録された動画データを上記記録媒体から消去する動画消去手段,
をさらに備えた請求項1から8のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項10】
上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画のうち,上記静止画検出手段によって検出する対象となる静止画を設定する検出対象静止画設定手段をさらに備え,
上記静止画検出手段は,
上記検出対象静止画設定手段によって設定された静止画の中から上記妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画を検出するものである,
請求項1から9のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項11】
上記動画撮像装置から出力された動画データを記録媒体に記録する動画記録制御手段をさらに備え,
上記静止画検出手段は,
あらかじめ設定されている,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から上記妥当性条件に近い撮像状況の静止画を検出する第1の検出処理を行うか,上記動画記録制御手段の制御のもとに上記記録媒体に記録された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から上記妥当性条件に近い撮像状況の静止画を検出する第2の検出処理を行うかの設定に応じて,静止画を検出するものである,
請求項1から10のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項12】
上記妥当性条件は複数であり,
上記撮像状況検出手段は,
複数の上記妥当性条件に対応した複数の撮像状況を検出するものであり,
上記静止画検出手段は,
複数の撮像状況のうち少なくとも一つの撮像状況が複数の妥当性条件のうち一つの妥当性条件に近い静止画を検出するものである,
請求項1から9のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項13】
上記妥当性条件は複数であり,
上記撮像状況検出手段は,
複数の上記妥当性条件に対応した複数の撮像状況を検出するものであり,
上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況と,その撮像状況に対応する妥当性条件との近似度を表わすスコアを妥当性条件ごとに算出するスコア算出手段をさらに備え,
上記静止画検出手段は,
上記スコア算出手段によって算出されたスコアの総和が所定のスコア以上である撮像状況の静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである,
請求項1から9のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項14】
上記スコア算出手段において妥当性条件ごとに算出されるスコアが妥当性条件に応じて重み付けされている,
請求項13に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項15】
上記静止画検出手段は,
上記スコア算出手段によって算出されたスコアの総和が所定のスコア以上である撮像状況の静止画のうち,所定数の静止画を上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである,
請求項13または14に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項16】
上記静止画検出手段は,
上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画であって,撮像アングルまたは大きさの異なる複数の静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである,
請求項1から15のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項17】
上記スコア算出手段によって算出されたスコアを上記表示画面に表示するように上記表示装置を制御するスコア表示制御手段,
をさらに備えた請求項13または14に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項18】
上記静止画検出手段により静止画が検出されたことを報知する報知手段,
をさらに備えた請求項1から17のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項19】
上記動画撮像装置から出力された動画データを記録媒体に記録する動画記録制御手段,および
再生指令に応じて,上記記録媒体に記録されている動画データによって表わされる検査対象物の動画を構成する多数の静止画のうち,上記静止画検出手段によって検出された静止画を所定時間の間表示画面に表示し,上記静止画検出手段によって検出された静止画以外の静止画を上記所定時間よりも短い時間の間表示画面に表示するように表示装置を制御する再生制御手段,
をさらに備えた請求項1から18のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項20】
上記動画撮像装置から出力された動画データを記録媒体に記録する動画記録制御手段,および
再生指令に応じて,上記記録媒体に記録されている動画データによって表わされる検査対象物の動画を構成する多数の静止画のうち,上記静止画検出手段によって検出された静止画を一時停止して表示画面に表示する再生表示手段,
音声データまたはテキスト・データの入力手段,および
上記入力手段から入力した音声データまたはテキスト・データを,上記再生表示手段に一時停止して表示されている静止画に関連づけて上記記録媒体に記録する記録制御手段,
をさらに備えた請求項1から19うち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項21】
上記撮像状況検出手段は,
上記動画撮像装置の撮像位置,撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況に加えて,上記動画撮像装置から出力される動画データによって表わされる動画を構成する複数の静止画に特定人物,特定被写体もしくは所定文字が含まれているまたは含まれていないかの撮像状況を検出するものであり,
上記静止画検出手段は,
上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画であって,特定人物,特定被写体もしくは所定文字が含まれているまたは含まれていない静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである,
請求項1から20のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項22】
上記撮像状況検出手段は,
上記動画撮像装置の撮像位置,撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況に加えて,上記動画撮像装置から出力される動画データによって表わされる動画を構成する複数の静止画の明るさの程度,ぼけの程度または文字認識の可能性の撮像状況を検出するものであり,
上記静止画検出手段は,
上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画であって,明るさの程度,ぼけの程度または文字認識の程度が所定の範囲内である静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである,
請求項1から20のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項23】
上記撮像状況検出手段は,
上記動画撮像装置の撮像位置,撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況に加えて,上記動画撮像装置から出力される動画データによって表わされる動画を構成する複数の静止画の撮像時刻を撮像状況として検出するものであり,
上記静止画検出手段は,
上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画であって,所定の撮像時刻に撮像された静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである,
請求項1から20のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項24】
サーバから送信される,上記妥当性条件を表わすデータを受信する受信手段をさらに備え,
上記静止画検出手段は,
上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つであり,かつ上記受信手段によって受信したデータによって表わされる妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出するものである,
請求項1から23のうち,いずれか一項に記載の検査対象物撮像装置。
【請求項25】
動画撮像装置が,検査対象物を撮像し,検査対象物の動画を表わす動画データを出力し,
撮像状況検出手段が,上記動画撮像装置の撮像位置,撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況を,上記動画撮像装置による検査対象物の撮像の間,複数回検出し,
静止画検出手段が,上記撮像状況検出手段によって検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出し,
検査対象物撮像装置の動作制御方法。
【請求項26】
検査対象物撮像装置のコンピュータを制御するコンピュータが読み取り可能なプログラムであって,
動画撮像装置を用いて,検査対象物を撮像し,検査対象物の動画を表わす動画データを出力させ,
上記動画撮像装置の撮像位置,撮像方角および上下方向の撮像角度のうち少なくとも一つの撮像状況を,検査対象物の撮像の間,複数回検出させ,
検出された撮像状況のうち,あらかじめ定められている検査対象物の撮像位置,検査対象物の撮像方角および検査対象物の撮像角度のうち少なくとも一つである妥当性条件に近い撮像状況で撮像された静止画を,上記動画撮像装置から出力された動画データによって表わされる動画を構成する多数の静止画の中から検出させるように検査対象物撮像装置のコンピュータを制御するプログラム。
【請求項27】
請求項26に記載のプログラムを格納した記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
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【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−227748(P2012−227748A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93845(P2011−93845)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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