説明

検査用ストリップ読取装置システムおよび方法

【課題】 検査用ストリップ読取装置システムおよび方法を提供する。
【解決手段】 フォトダイオード(D1)をバック・バイアスさせ、コンデンサー(C1)をチャージし、パルスを発生させるようにしたシステムおよび方法が開示されている。このパルスの長さはフォトダイオード(D1)に入射する光の強度に比例するものとなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は大略的に検査用ストリップを読取るためのシステムおよび方法に関し、特に一対のフォトダイオードを使用して分析検査用ストリップを読取るためのシステムおよび方法に関する。
[関連出願] 本願は、米国特許出願No.60/697765(出願日:2005年7月8日;発明の名称「検査用ストリップ読取装置回路およびファームウェア」)の優先権を主張している。
【背景技術】
【0002】
ここでは本発明の開示した具体例の背景について説明するが、この記述した背景技術は法律的に従来技術を表す、あるいは示唆することを意図するものではない。
【0003】
フォトダイオードは様々な用途に使用されている。その1つの用途は、分析検査用ストリップを読取ることである。この分析検査用ストリップは、妊娠、麻薬、タバコ、その他についてのサンプルを検査するために使用される。フォトダイオードは、検査サンプル中にこのような物質の存否を検出するため、検査用ストリップの光強度の変化又は色の変化を検出するために使用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ある用途において、2つのフォトダイオードに入射された光の強度を測定するための従来の方法は、2つのアナログ・ツウ・デジタル(A/D)チャンネルを備えたマイクロコントローラを使用することである。その場合、非常に低い電流を、前記A/Dが測定できる電圧に変換するために各フォトダイオードチャンネルについて増幅器が必要となる。この技法は比較的多数の部材を使用し製造コストが高くなる。更に、ある状況の下では、測定のダイナミックレンジが、A/Dコンバータ内のビット数により制限されることになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
図面に大略的に記載、説明されている実施例の部材は、様々に異なった構成に配置、設計され得ることが容易に理解されるであろう。すなわち、本発明のシステム、部材および方法に関し、図示した具体例についての以下の詳細な説明は、請求の範囲に記載した本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明のある具体例の代表例を示すに過ぎない。
【0006】
ここに開示した本発明のある実施例によれば、一対のフォトダイオードに入射した光の強度を測定することにより検査用ストリップを読取るためのシステムおよび方法が提供される。ここに開示したシステムの1実施例においては、一対のフォトダイオード、タイマーおよびマイクロコントローラが含まれる。他の実施例においては、一対のフォトダイオード、複数のインバータ、レジスター、コンデンサーおよびマイクロコントローラが含まれる。
【0007】
ここに開示した分析検査用ストリップ読取りシステムおよび方法の実施例においては、第1のフォトダイオードおよび第2のフォトダイオードを直列に、かつ、反対方向に向けて配置し、同時に第1のフォトダイオードを順方向にバイアスさせ、第2のフォトダイオードを逆方向にバイアスさせ、第2のフォトダイオードを通る第1の電流を測定し、同時に、第2のフォトダイオードを順方向にバイアスさせ、第1のフォトダイオードを逆方向にバイアスさせ、第1のフォトダイオードを通る第2の電流を測定することからなる。
【0008】
フォトダイオードをバック・バイアスさせ、コンデンサーをチャージし、パルスを発生させるようにしたシステムおよび方法が開示されている。このパルスの長さはフォトダイオードに入射する光の強度に比例するものとなっている。
【0009】
本発明の実施例は以下の事実を利用するものである。すなわち、フォトダイオードは逆バイアスされたとき、光の強度と比例して非常に僅かな電流を発生させるという事実である。図1に示す回路はこの方法のための基本を示している。好ましい実施例において、2つのフォトダイオードが使用されるが、単一のフォトダイオードを使用してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図面及び以下の特定の実施例の記載により、本発明の特徴およびそれを達成するための方法が明らかとなり、また発明自体が最もよく理解されるであろう。
図1に示すように、一対のフォトダイオードD1およびD2が直列で接続され、読取装置システム12のための検査用ストリップ10の近傍にて、互いに極を反対方向に背中合わせで装着されている。点AとBとの間に亘ってDCバイアスを変化させることにより、フォトダイオードD1又はD2に当る光に比例して電流が流れることになる。点Bとの関連で陽(ポジティブ)電圧を点Aに印加すると、フォトダイオードD1は逆バイアスされ、それに当る光の量に直線状に正比例する電流が発生する。この電流はフォトダイオードD2を通過することになる。なぜならば、それが順方向にバイアスされているからである。もし、点Aとの関連で陽電圧を点Bに印加した場合は、逆になり、この回路を通って流れる電流はフォトダイオードD2に当る光の量に直線状に正比例することになる。
【0011】
もし、この組合せが、バイアスが交互する発信器回路で使用される場合は、出力波形は各フォトダイオードに当る光の強度に依存する形を有することになる。本発明のシステム12の第1の実施例が図2に示されており、ここでは発信器回路14が555タイマーチップ16を使用している。この発信器回路14はフォトダイオードD1およびD2を逆方向にバイアスさせるための回路18を有している。
【0012】
このタイマー16の出力(ピン3)が高いとき、コンデンサーC1はフォトダイオードD1により発生した電流によりチャージされる。なぜならば、点AはVCCとなっており、点Bは1/3VCCとなっているからである。その差は2/3VCCである。コンデンサーC1の電圧が2/3VCCに到達したとき、出力がゼロボルトに切り替えられる。ここで、点Aはゼロボルトになり、点Bは2/3VCCとなって、その差は−2/3VCCとなる。この両方の場合において、バイアス電圧は2/3VCCで開始され、ついで1/3VCCに降下する。
【0013】
フォトダイオードD1に当る光と、時間T1との間の関係を分析した場合、以下の結果が得られる。すなわち、フォトダイオードD1により発生する電流をiとし、光の強度に直線的に比例するとした場合、i=Cdv/dtであり、静電容量Cは既知であり、dvはVCC/3であるから、iについて以下の等式が成り立つ:
【0014】
i=K/dt (ここで、KはCVCC/3に等しい定数)
【0015】
従って、tは光の強度に逆比例する。
【0016】
図2に示す回路において、時間T1はフォトダイオードD1に当る光の強度に逆比例し、時間T2はフォトダイオードD2に当る光の強度に逆比例する。
【0017】
この回路において、フォトダイオードD1およびD2の測定に際し、マイクロコントローラ21の僅か単一のデジタル入力ピンが必要とされるに過ぎない。このマイクロコントローラ21はマイクロコントローラのPIC10Fファミリーからのもの、あるいは他の同様のマイクロコントローラからのものでもよい。マイクロコントローラ21のクロックレイトおよびコンデンサーC1の値に依存する形で、前記A/D法と比較して光のレベルの巨大なダイナミックレンジを測定することができる。前記A/D法のようには速くはないが、多くの用途において、高い変換速度を必要としない。
【0018】
本発明のシステムの他の実施例が図3に示されている。これは発信器回路25を使用した読取装置システム23である。この発信器回路25はフォトダイオードD3およびD4を逆バイアスさせるための回路27を有している。この回路は、74HC04などのCMOSインバータを使用する単純なRC発信器29である。フォトダイオードD1およびD2は、出力の状態に応じて、コンデンサーCal.2dを充電ないし放電させる。すなわち、出力が高いとき、フォトダイオードD4からの電流がコンデンサーC2を、インバータ32の高い閾値に達するまで充電させる。ついで、出力が低く切り換えられ、フォトダイオードD3により発生した電流がコンデンサーC2を、インバータ32の低い閾値に達するまで放電させる。この出力は高い値に切り換え、戻され、上記プロセスが再び開始される。
【0019】
マイクロコントローラ38はカウントを行い、マイクロコントローラ38に対する入力が高い時間を判定するためカウントを行い、この時間はフォトダイオードD3についての時間T3となる。マイクロコントローラ38はカウントを行い、マイクロコントローラ38に対する入力が低い時間を判定するためカウントを行い、この時間はフォトダイオードD2についての時間T4となる。ついで、マイクロコントローラ38は時間T3およびT4を使用して検査用ストリップの湿気、テストラインの様相などの事項を決定する。
【0020】
これらの実施例の他の利点は、もしも時間T1およびT2又は時間T3およびT4が16.6ミリ秒よりもかなり長い場合に、60Hzのノイズが消去されるようになる。
【0021】
これらの回路は、コンデンサーC1およびC2における許容度およびインバータの入力閾値のため、絶対光レベルを測定するのに特に良好なものとは言えないかも知れない。しかし、マイクロコントローラ内のアプリケーションソフトウエアが光レベルの変化百分率に関するだけのものであるとすると、これら双方の回路は非常に旨く働くであろう。
【0022】
本発明の特定の実施例について記述したが、種々の異なる実施例並びに組合せが可能であること、並びにそれらも本発明の趣旨および範囲に包含されることが理解されるであろう。従って、ここに記載されている実施例は、本発明がこれら実施例に制限されることを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】検査用ストリップの読取装置システムの一部を示す非常に簡略化された模式的回路図であり、本発明の実施例に従って構成された一対のフォトダイオードを示している。
【図2】図1に示した実施例の模式的回路図である。
【図3】本発明の他の実施例の模式的回路図である。
【符号の説明】
【0024】
10 検査用ストリップ
12 読取装置システム
14 発信器回路
16 タイマー
21 マイクロコントローラ
23 読取装置システム
25 発信器回路
27 回路
29 RC発信器
32 インバータ
38 マイクロコントローラ
C1 コンデンサー
D1、D2 フォトダイオード
D3、D4 フォトダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトダイオードを逆バイアスさせること;
フォトダイオードにより発生した電流を使用してコンデンサーを充電するのに要する時間を測定すること;
コンデンサーを充電するのに要した時間を使用して検査用ストリップの状態を判定すること;
を具備してなることを特徴とする検査用ストリップを読取るための方法。
【請求項2】
第2のフォトダイオードを前記フォトダイオードに直列に接続させ、前記フォトダイオードおよび該第2のフォトダイオードを互いに反対に配向させること;
該第2のフォトダイオードを逆バイアスさせること;
該第2のフォトダイオードにより発生した電流を使用してコンデンサーを放電するのに要する時間を測定すること;
コンデンサーを放電するのに要した時間を使用して検査用ストリップの他の状態を判定すること;
を更に具備してなる請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記の判定される状態が検査用ストリップの湿気である請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記の判定される状態が検査用ストリップ上のテストラインの様相である請求項1記載の方法。
【請求項5】
フォトダイオードを逆バイアスさせることが発信器回路を利用することを含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記発信回路がタイマーを含む請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記発信回路がRC発信器および少なくとも1つのインバータを含む請求項5記載の方法。
【請求項8】
時間を測定することが発信器回路の出力をマイクロコントローラに入力することを含む請求項5記載の方法。
【請求項9】
コンデンサーを充電するのに要した時間がフォトダイオードにより検出された光の強度に関連している請求項1記載の方法。
【請求項10】
フォトダイオードを逆バイアスさせるための手段と;
フォトダイオードにより発生した電流を使用してコンデンサーを充電するのに要する時間を測定するための手段と;
コンデンサーを充電するのに要した時間を使用して検査用ストリップの状態を判定するための手段と;
を具備してなることを特徴とする検査用ストリップ読取装置システム。
【請求項11】
第2のフォトダイオードを前記フォトダイオードに直列に接続させると共に、前記フォトダイオードおよび該第2のフォトダイオードを互いに反対に配向させるための手段と;
該第2のフォトダイオードを逆バイアスさせるための手段と;
該第2のフォトダイオードにより発生した電流を使用してコンデンサーを放電するのに要する時間を測定するための手段と;
コンデンサーを放電するのに要した時間を使用して検査用ストリップの他の状態を判定するための手段と;
を更に具備してなる請求項10記載の検査用ストリップ読取装置システム。
【請求項12】
前記の判定される状態が検査用ストリップの湿気である請求項10記載の検査用ストリップ読取装置システム。
【請求項13】
前記の判定される状態が検査用ストリップ上のテストラインの様相である請求項10記載の検査用ストリップ読取装置システム。
【請求項14】
フォトダイオードを逆バイアスさせるための手段が発信器回路を含む請求項10記載の検査用ストリップ読取装置システム。
【請求項15】
前記発信回路がタイマーを含む請求項14記載の検査用ストリップ読取装置システム。
【請求項16】
前記発信回路がRC発信器および少なくとも1つのインバータを含む請求項14記載の検査用ストリップ読取装置システム。
【請求項17】
時間を測定するための手段が発信器回路の出力をマイクロコントローラに入力するための手段を含む請求項14記載の検査用ストリップ読取装置システム。
【請求項18】
コンデンサーを充電するのに要した時間がフォトダイオードにより検出された光の強度に関連している請求項10記載の検査用ストリップ読取装置システム。
【請求項19】
第1のフォトダイオードと;
該第1のフォトダイオードに直列に接続され、該第1のフォトダイオードとは反対方向に配向した第2のフォトダイオードと;
これらフォトダイオードを利用すると共に、これらフォトダイオードでの光の強度に関係する出力を発振するようにした発信器回路と;
上記発振出力を使用して検査用ストリップの少なくとも1つの状態を判定するマイクロコントローラと;
を具備してなることを特徴とする検査用ストリップ読取装置。
【請求項20】
第1のフォトダイオードの陽極が第2のフォトダイオードの陽極に電気的に接続している請求項19記載の検査用ストリップ読取装置。
【請求項21】
第1のフォトダイオードの陰極が第2のフォトダイオードの陰極に電気的に接続している請求項19記載の検査用ストリップ読取装置。
【請求項22】
前記発信回路がタイマーを含む請求項19記載の検査用ストリップ読取装置。
【請求項23】
前記発信回路が少なくとも1つのインバータを使用するRC発信器を含む請求項19記載の検査用ストリップ読取装置。
【請求項24】
前記の判定される状態が検査用ストリップの湿気である請求項19記載の検査用ストリップ読取装置。
【請求項25】
前記の判定される状態が検査用ストリップ上のテストラインの様相である請求項19記載の検査用ストリップ読取装置。
【請求項26】
少なくとも1つのフォトダイオードと;
該フォトダイオードに接続されたコンデンサーと;
該フォトダイオードを逆バイアスするための回路と;
上記の逆バイアスされたフォトダイオードを介して流れる電流を使用して上記コンデンサーを充電するのに要する時間を判定するためのマイクロプロセッサーと;
を具備してなり、
該マイクロプロセッサーが、検査用ストリップの状態を判定するため、コンデンサーを充電するのに要した時間に応答するようにしたことを特徴とする検査用ストリップを読み取るための検査用ストリップ読取装置システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−500634(P2009−500634A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520448(P2008−520448)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/026802
【国際公開番号】WO2007/008842
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(508006403)エフシーシー,エルエルシー ディー/ビー/エイ ファースト グロウス キャピタル (2)
【氏名又は名称原語表記】FCC,LLC d/b/a First Growth Capital
【住所又は居所原語表記】515 North Flagler Drive,Suite 700,West Palm Beach,FL 33401,USA
【Fターム(参考)】