説明

検査装置における良品判定基準設定方法及び判定処理精度判定方法並びに、良品判定基準設定装置及び判定処理精度判定装置

【課題】検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する検査装置において「不良品を良品であると判定してしまう」ことをなくすことが可能な良品判定基準設定方法及び良否判定基準設定装置、検査を行っている過程で初期に設定された判定制度が維持されているかどうかを判定する判定処理の精度判定方法及び装置。
【解決手段】検査装置を用いてあらかじめ良品計量値の分布と不良品計量値の分布とを把握し両者を同一の画面上に表示して比較し良品判定基準を設定する。あらかじめ複数の良品から良品平均値MGと良品標準偏差σGとを求めておき複数の検査対象物について検査平均値MSと検査標準偏差σSとを求め良品平均値MGを中心として予め定められている範囲に設定されている良品平均範囲と検査平均値MSとを比較する及び/または良品標準偏差σGを中心として予め定められている範囲に設定されている良品標準偏差範囲と検査標準偏差σとを比較する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、検査対象物から得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する検査装置に関し、当該検査装置において、検査対象物が良品であるか不良品であるかを判定する良品判定基準を設定する良品判定基準設定方法及び、前記判定処理の精度を判定する方法、並びに、これらの方法を実行する良品判定基準設定装置及び判定処理精度判定装置に関する。特に、この発明は、検査対象物の画像を取り込む撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する画像検査装置に関し、当該画像検査装置において、検査対象物が良品であるか不良品であるかを判定する良品判定基準を設定する良品判定基準設定方法及び、前記判定処理の精度を判定する方法、並びに、これらの方法を実行する良品判定基準設定装置及び判定処理精度判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象物から得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する検査装置は従来から広く用いられている。例えば、検査対象物の画像を取り込む撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する画像検査装置が従来から飲食物容器等の品質検査などに広く使用されている。
【0003】
これは、一般的に、CCDカメラなどの撮像手段によって検査対象物を撮像し、この画像信号をデジタル化し、適当な閾値でこの画像を二値化し、例えば、画素数などから良品と不良品との判定を行うものである。
【特許文献1】特開平10−148515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した画像検査装置のような検査装置において良品と不良品との判定を行う場合、例えば、画像検査装置で画素数から良品と不良品との判定を行う場合には、予め良品判定基準を設定しておき、その良品判定基準を満たさない検査対象物が不良品とされるのが一般的である。
【0005】
これを発展させて、良品判定基準を設定する手法として、事前に、複数の良品について、当該検査装置を用いて得た複数の良品計量値が正規分布で表されると仮定し、良品平均値Mと、良品標準偏差σとを求めて良品計量値分布を得て、良品平均値M±k×良品標準偏差σ(kは正数)を良品判定基準とし、この良品判定基準を満たさないものを不良品と認定する方法が考えられる。
【0006】
例えば、検査装置が画像検査装置である場合、前記撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た複数の良品計量値が正規分布で表されると仮定して、良品平均値Mと、良品標準偏差σとを求め、図6図示のような良品計量値分布を得て、良品平均値M±k×良品標準偏差σ(kは正数)を良品判定基準とし、この良品判定基準を満たさないものを不良品と認定する手法である。
【0007】
前記のようにして良品判定基準を設定する場合、複数の不良品について、検査装置、例えば、画像検査装置を用い、前記撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た複数の不良品計量値が正規分布で表されると仮定して、不良品平均値MNGと、不良品標準偏差σNGとを求めて得た不良品計量値分布が図7のように、図6図示の良品計量値分布を挟んで表されるとすると、図7において符号103、104で表されている部分は、良品判定基準を満たしているにもかかわらず、不良品が発生する可能性が存在する範囲になる。
【0008】
この場合、前記のようにして、良品であるにもかかわらず「不良品である」と認定されて排除されてしまう良品が存在し得ることを受け入れた上で、良品判定基準を満たさないものを一律に「不良品である」と認定して排除しているにもかかわらず、良品と認定されたものの中に不良品が混入してしまう、すなわち「不良品を良品であると判定してしまう(=不良品の良品判定)」ことになる。
【0009】
このような「不良品の良品判定」は、検査ミスとして取り扱わる。検査ミスは、数万回に1回程度の可能性でしか生じないものであるが、例えば、検査対象物が人間に飲食される食品などである場合には、数万個に1個の割合ででも検査ミスが発生すれば、重大な問題になる。
【0010】
そこで、検査精度の向上を図る努力が日々なされているが、前述したように、事前に検査装置を用いて得た複数の良品計量値が正規分布で表されると仮定して、良品平均値Mと、良品標準偏差σとを求め、良品計量値分布を得て、良品平均値M±k×良品標準偏差σ(kは正数)を良品判定基準としても、複数の良品のみを対象とするのみでは、図7を用いて説明した符号103、104で示す領域のような不良品発生を避けることはできない。
【0011】
また、従来の検査装置には、その検査装置(例えば、画像検査装置)がいったん設定された良品判定基準の精度を維持し続けているかどうか、検査を行っている過程で自己診断できる機能は備えられていなかった。
【0012】
例えば、画像検査装置においては、画像取り込み用のCCDカメラの光源が経時劣化したことなどに起因する光量低下、レンズの汚れ、CCDカメラの取り付けのがた、検査対象物を搬送しているコンベアのノッキングやガイドのズレ、各種装置を接続する通信ケーブルのノイズ、などによって判定精度に変動が生じることがあるが、従来の画像検査装置には、検査を継続している過程で、これらの外乱に起因して判定精度に変動が生じているかどうか、すなわち、判定精度が維持されているか否かを判定できる機能が備えられていなかった。
【0013】
本発明は、検査対象物について検査装置で得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する検査装置において、検査対象物が良品であるか不良品であるかを判定する良品判定基準を設定する良品判定基準設定方法であって、「不良品を良品であると判定してしまう」こと、すなわち、「不良品の良品判定」を撲滅する(=統計的にゼロにする)という品質管理上の目的を達成可能にする良品判定基準設定方法及び、検査装置における良否判定基準設定装置を提案することを目的にしている。特に、検査装置が検査対象物の画像を取り込む撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する画像検査装置であるときに、検査対象物が良品であるか不良品であるかを判定する良品判定基準を設定する良品判定基準設定方法であって、「不良品を良品であると判定してしまう」こと、すなわち、「不良品の良品判定」を撲滅する(=統計的にゼロにする)という品質管理上の目的を達成可能にする良品判定基準設定方法及び、画像検査装置における良否判定基準設定装置を提案することを目的にしている。
【0014】
また、本発明は、検査対象物について検査装置を用いて得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する検査装置において、検査を行っている過程で外乱によって生じた判定精度の変動を把握し、初期に設定された判定制度が維持されているかどうかを判定する、前記の良否判定処理の精度を判定する方法及び検査装置における判定処理精度判定装置を提案することを目的にしている。特に、検査装置が検査対象物の画像を取り込む撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する画像検査装置であるときに、検査を行っている過程でCCDカメラのレンズの汚れなどの外乱によって生じた判定精度の変動を把握し、初期に設定された判定制度が維持されているかどうかを判定する、前記の良否判定処理の精度を判定する方法及び画像検査装置における判定処理精度判定装置を提案することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するため、本発明が提案する検査装置の良品判定基準設定方法は、検査対象物の良否を判定する検査装置において、検査対象物が良品であるか不良品であるかを判定する良品判定基準を設定する良品判定基準設定方法であって、複数の良品について当該検査装置を用いて得た良品計量値の分布と、複数の不良品について当該検査装置を用いて得た不良品計量値の分布とを求め、両者を比較して良品判定基準を設定するものである。
【0016】
例えば、図1図示のように、良品計量値の分布(正規分布曲線40)において、上限の良品判定基準は、上限側における不良品計量値の分布(正規分布曲線42)の下限より小さなものとし、一方、下限の良品判定基準は、下限側における不良品計量値の分布(正規分布曲線41)の上限より大きなものとして良品判定基準を設定することとするものである。
【0017】
このようにすれば、図6、図7を用いて説明したような、良品計量値の分布のみに基づいて良品判定基準を設定していた場合に比較して、良品であるにもかかわらず不良品であると判定されるものの数が増える可能性があるが、「不良品を良品であると判定してしまう」こと、すなわち、「不良品の良品判定」を統計的にゼロにすることが可能になる。
【0018】
このような本発明の検査装置における良品判定基準設定方法が実行される本発明の検査装置における良品判定基準設定装置は、検査対象物の良否を判定する検査装置における検査対象物が良品であるか不良品であるかを判定する良品判定基準を設定する良品判定基準設定装置であって、複数の良品について当該検査装置を用いて得た複数の良品計量値の分布を求める良品計量値分布生成手段と、複数の不良品について当該検査装置を用いて得た複数の不良品計量値の分布を求める不良品計量値分布生成手段と、前記良品計量値分布生成手段によって求められた良品計量値の分布と、不良品計量値分布生成手段によって求められた不良品計量値の分布とを同一の画面上に比較して表示する第一の分布状態画像表示手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0019】
この検査装置の良品判定基準設定装置における第一の分布状態画像表示手段によって、同一の画面上に良品計量値の分布と不良品計量値の分布とが、例えば、図1や図3のように、表示されるので、両者を比較して、例えば、良品計量値の分布(正規分布曲線40)において、上限の良品判定基準を、上限側における不良品計量値の分布(正規分布曲線42)の下限より小さく、一方、下限の良品判定基準を、下限側における不良品計量値の分布(正規分布曲線41)の上限より大きくして良品判定基準を設定することとができる。
【0020】
こうして、図6、図7を用いて説明したような、良品計量値の分布のみに基づいて良品判定基準を設定していた場合に比較して、良品であるにもかかわらず不良品であると判定されるものの数が増える可能性があっても、「不良品を良品であると判定してしまう」こと、すなわち、「不良品の良品判定」を統計的にゼロにすることが可能になる。
【0021】
前述した本発明の検査装置の良品判定基準設定方法及び、検査装置における良品判定基準設定装置は、検査装置が検査対象物の画像を取り込む撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する画像検査装置である場合に採用することができる。
【0022】
次に、前記目的を達成するため、本発明が提案する検査装置の他の良品判定基準設定方法は、検査対象物の良否を判定する検査装置において、検査対象物が良品であるか不良品であるかを判定する良品判定基準を設定する良品判定基準設定方法であって、複数の良品について、当該検査装置を用いて得た複数の良品計量値が正規分布で表されると仮定して、良品平均値Mと、良品標準偏差σとを求め、複数の不良品について、当該検査装置を用いて得た複数の不良品計量値が正規分布で表されると仮定して、不良品平均値MNGと、不良品標準偏差σNGとを求め、良品計量値の分布と、不良品計量値の分布とを比較して良品判定基準を設定するものである。
【0023】
ここで、良品計量値の分布と、不良品計量値の分布とを比較して良品判定基準を設定する工程は、例えば、良品計量値の分布において、MNG±kσNG(kは正数であって、好ましくは、k=3、4、5または6、より好ましくは、k=6)に相当する検査計量値を良品判定基準に設定することができる。
【0024】
また、良品計量値の分布と、不良品計量値の分布とを比較して良品判定基準を設定する工程は、良品計量値の分布と、不良品計量値の分布とを、それぞれ、同一の画面上に図1や図3図示のように表示して行うことができ、より好ましくは、同一の画面上に、M±kσ(k=1、2、3、4、5または6)の範囲と、MNG±kσNG(k=1、2、3、4、5または6)の範囲とを表示し、またkに応じて範囲を色分け表示する等して、両者を比較して行うことができる。
【0025】
そして、前記目的を達成するための前述した本発明の良品判定基準設定方法が実施される本発明の良品判定基準設定装置は、検査対象物の良否を判定する検査装置における検査対象物が良品であるか不良品であるかを判定する良品判定基準を設定する良品判定基準設定装置であって、複数の良品について、当該検査装置を用いて得た複数の良品計量値が正規分布で表されると仮定して、良品平均値Mと、良品標準偏差σとを演算する第一の良品平均値・標準偏差演算手段と、複数の不良品について、当該検査装置を用いて得た複数の不良品計量値が正規分布で表されると仮定して、不良品平均値MNGと、不良品標準偏差σNGとを演算する第一の不良品平均値・標準偏差演算手段と、良品計量値の分布と、不良品計量値の分布とを同一の画面上に比較して表示する第一の分布状態画像表示手段とを備えていることを特徴とする検査装置における良品判定基準設定装置である。
【0026】
この検査装置の良品判定基準設定装置における第一の分布状態画像表示手段によって、図1や図3のように、同一の画面上に表示された、良品計量値の分布と、不良品計量値の分布とを比較して、例えば、良品計量値の分布において、MNG±kσNG(kは正数であって、好ましくは、k=3、4、5または6、より好ましくは、k=6)に相当する検査計量値を良品判定基準に設定することができる。
【0027】
また、このように、同一の画面上に表示された良品計量値の分布と、不良品計量値の分布とは、それぞれ、M±kσ(k=1、2、3、4、5または6)の範囲と、MNG±kσNG(k=1、2、3、4、5または6)の範囲とを表示し、またkに応じて範囲を色分け表示する等して、両者を比較して行えるようにすることができる。
【0028】
発明者等の実験によれば、良品計量値の分布において、MNG±kσNG(k=6)に相当する検査計量値を良品判定基準に設定すれば、「不良品を良品であると判定してしまう」ことを撲滅すること、すなわち、「不良品の良品判定」を撲滅する(=統計的にゼロにする)ことが可能であった。
【0029】
前述した本発明の良品判定基準設定方法は、検査装置を前述した画像検査として行うことができる。すなわち、前記目的を達成するため、本発明が提案する画像検査装置の良品判定基準設定方法は、検査対象物の画像を取り込む撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する画像検査装置において、検査対象物が良品であるか不良品であるかを判定する良品判定基準を設定する良品判定基準設定方法であって、複数の良品について、当該画像検査装置を用い、前記撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た複数の良品計量値が正規分布で表されると仮定して、良品平均値Mと、良品標準偏差σとを求め、複数の不良品について、当該画像検査装置を用い、前記撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た複数の不良品計量値が正規分布で表されると仮定して、不良品平均値MNGと、不良品標準偏差σNGとを求め、良品計量値の分布と、不良品計量値の分布とを比較して良品判定基準を設定することを特徴とするものである。
【0030】
ここで、前述したように、良品計量値の分布と、不良品計量値の分布とを比較して良品判定基準を設定する工程は、例えば、良品計量値の分布において、MNG±kσNG(kは正数であって、好ましくは、k=3、4、5または6、より好ましくは、k=6)に相当する検査計量値を良品判定基準に設定することができる。
【0031】
また、良品計量値の分布と、不良品計量値の分布とを比較して良品判定基準を設定する工程は、図1や図3図示のように、良品計量値の分布と、不良品計量値の分布とを、それぞれ、同一の画面上に表示して行うことができ、より好ましくは、同一の画面上に、M±kσ(k=1、2、3、4、5または6)の範囲と、MNG±kσNG(k=1、2、3、4、5または6)の範囲とを表示し、またkに応じて範囲を色分け表示する等して、両者を比較するようにできる。
【0032】
このような本発明の良品判定基準設定方法が実施される本発明の良品判定基準設定装置は、検査対象物の画像を取り込む撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する画像検査装置における検査対象物が良品であるか不良品であるかを判定する良品判定基準を設定するものであって、複数の良品について、当該画像検査装置を用い、前記撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た複数の良品計量値が正規分布で表されると仮定して、良品平均値Mと、良品標準偏差σとを演算する第二の良品平均値・標準偏差演算手段と、複数の不良品について、当該画像検査装置を用い、前記撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た複数の不良品計量値が正規分布で表されると仮定して、不良品平均値MNGと、不良品標準偏差σNGとを演算する第二の不良品平均値・標準偏差演算手段と、良品計量値の分布と、不良品計量値の分布とを同一の画面上に比較して表示する第二の分布状態画像表示手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0033】
この画像検査装置の良品判定基準設定装置における第二の分布状態画像表示手段によって、同一の画面上に表示された、良品計量値の分布と、不良品計量値の分布とを比較して、前記と同様に、例えば、良品計量値の分布において、MNG±kσNG(kは正数であって、好ましくは、k=3、4、5または6、より好ましくは、k=6)に相当する検査計量値を良品判定基準に設定することができる。
【0034】
また、このように、同一の画面上に表示された良品計量値の分布と、不良品計量値の分布(例えば、図1や図3に図示)とは、それぞれ、M±kσ(k=1、2、3、4、5または6)の範囲と、MNG±kσNG(k=1、2、3、4、5または6)の範囲とを表示し、またkに応じて範囲を色分け表示する等して、両者を比較するようにできる。
【0035】
前述したように、発明者等の実験によれば、良品計量値の分布において、MNG±kσNG(k=6)に相当する検査計量値を良品判定基準に設定すれば、「不良品を良品であると判定してしまう」ことを撲滅すること、すなわち、「不良品の良品判定」を撲滅する(=統計的にゼロにする)ことが可能であった。
【0036】
以上説明した本発明による検査装置(例えば、画像検査装置)の良品判定基準設定方法と、検査装置(例えば、画像検査装置)の良品判定基準設定装置によれば、例えば、新しい検査装置を用いて実際に検査対象物の検査を開始する前に、本発明の検査装置の良品判定基準設定装置を用いて、本発明による検査装置の良品判定基準設定方法を実施することにより、当該新しい検査装置に最初から設定されている良品判定基準がどの程度のものであるか、すなわち、当該新しい検査装置による良品判定の精度を確認することができる。
【0037】
本発明の装置及び方法によって設定された良品判定基準(例えば、良品計量値の分布において、MNG±kσNG(kは正数であって、好ましくは、k=3、4、5または6、より好ましくは、k=6)に相当する検査計量値)と、当該新しい検査装置に最初から設定されている良品判定基準とを比較することにより、当該新しい検査装置による良品判定の精度を確認することが可能になる。
【0038】
そこで、本発明の検査装置の良品判定基準設定装置には、更に、本発明の方法によって設定した良品判定基準(例えば、良品計量値の分布において、MNG±kσNG(kは正数であって、好ましくは、k=3、4、5または6、より好ましくは、k=6)に相当する検査計量値)と、当該新しい検査装置に最初から設定されている良品判定基準とを比較する比較判定処理部を備えさせることができる。
【0039】
これは、検査装置が前述した画像検査装置である場合にも採用することができる。
【0040】
次に、前記目的を達成するために本発明が提案する検査装置の判定処理精度判定方法は、検査対象物について検査装置を用いて得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する検査装置において、前記判定処理の精度を判定する方法であって、複数の良品について、当該検査装置を用いて得た複数の良品計量値が正規分布で表されると仮定して、良品平均値Mと、良品標準偏差σとを求め、複数の検査対象物について、当該検査装置を用いて得た複数の検査計量値が正規分布で表されると仮定して、検査平均値Mと、検査標準偏差σとを求め、前記良品平均値Mを中心として予め定められている範囲に設定されている良品平均範囲と、前記検査平均値Mとを比較する、または、前記良品標準偏差σを中心として予め定められている範囲に設定されている良品標準偏差範囲と、前記検査標準偏差σとを比較する、若しくは、前記良品平均値Mを中心として予め定められている範囲に設定されている良品平均範囲と、前記検査平均値Mとを比較すると共に前記良品標準偏差σを中心として予め定められている範囲に設定されている良品標準偏差範囲と、前記検査標準偏差σとを比較することを特徴とするものである。
【0041】
そして、かかる方法を実行する本発明の検査装置における判定処理の精度を判定する判定処理精度判定装置は、検査対象物について検査装置を用いて得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する検査装置における前記判定処理の精度を判定する判定処理精度判定装置であって、複数の良品について、当該検査装置を用いて得た複数の良品計量値が正規分布で表されると仮定して、良品平均値Mと、良品標準偏差σとを演算する第一の良品平均値・標準偏差演算手段と、複数の検査対象物について、当該検査装置を用いて得た複数の検査計量値が正規分布で表されると仮定して、検査平均値Mと、検査標準偏差σとを演算する第一の検査平均値・標準偏差演算手段と、前記良品平均値Mを中心として予め定められている範囲に設定されている良品平均範囲と、前記検査平均値Mとを比較する第一の良品平均値・検査平均値比較処理手段、または、前記良品標準偏差σを中心として予め定められている範囲に設定されている良品標準偏差範囲と、前記検査標準偏差σとを比較する第一の良品標準偏差・検査標準偏差比較処理手段、若しくは、前記良品平均値Mを中心として予め定められている範囲に設定されている良品平均範囲と、前記検査平均値Mとを比較する第一の良品平均値・検査平均値比較処理手段と、良品標準偏差σを中心として予め定められている範囲に設定されている良品標準偏差範囲と、前記検査標準偏差σとを比較する第一の良品標準偏差・検査標準偏差比較処理手段との双方を備えていることを特徴とするものである。
【0042】
この本発明の検査装置の判定処理精度判定方法、検査装置における判定処理精度判定装置は、検査装置が前述した画像検査装置である場合にも適用することができる。
【0043】
すなわち、前記目的を達成するために本発明が提案する画像検査装置の判定処理精度判定方法は、検査対象物の画像を取り込む撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する画像検査装置において、前記判定処理の精度を判定する方法であって、複数の良品について、当該画像検査装置を用い、前記撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た複数の良品計量値が正規分布で表されると仮定して、良品平均値Mと、良品標準偏差σとを求め、複数の検査対象物について、当該画像検査装置を用い、前記撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た複数の検査計量値が正規分布で表されると仮定して、検査平均値Mと、検査標準偏差σとを求め、前記良品平均値Mを中心として予め定められている範囲に設定されている良品平均範囲と、前記検査平均値Mとを比較する、または、前記良品標準偏差σを中心として予め定められている範囲に設定されている良品標準偏差範囲と、前記検査標準偏差σとを比較する、若しくは、前記良品平均値Mを中心として予め定められている範囲に設定されている良品平均範囲と、前記検査平均値Mとを比較すると共に前記良品標準偏差σを中心として予め定められている範囲に設定されている良品標準偏差範囲と、前記検査標準偏差σとを比較することを特徴とするものである。
【0044】
そして、かかる方法を実行する本発明の画像検査装置における判定処理の精度を判定する判定処理精度判定装置は、検査対象物の画像を取り込む撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する画像検査装置における前記判定処理の精度を判定するものであって、複数の良品について、当該画像検査装置を用い、前記撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た複数の良品計量値が正規分布で表されると仮定して、良品平均値Mと、良品標準偏差σとを演算する第二の良品平均値・標準偏差演算手段と、複数の検査対象物について、当該画像検査装置を用い、前記撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た複数の検査計量値が正規分布で表されると仮定して、検査平均値Mと、検査標準偏差σとを演算する第二の検査平均値・標準偏差演算手段と、前記良品平均値Mを中心として予め定められている範囲に設定されている良品平均範囲と、前記検査平均値Mとを比較する第二の良品平均値・検査平均値比較処理手段、または、前記良品標準偏差σを中心として予め定められている範囲に設定されている良品標準偏差範囲と、前記検査標準偏差σとを比較する第二の良品標準偏差・検査標準偏差比較処理手段、若しくは、前記良品平均値Mを中心として予め定められている範囲に設定されている良品平均範囲と、前記検査平均値Mとを比較する第二の良品平均値・検査平均値比較処理手段と、良品標準偏差σを中心として予め定められている範囲に設定されている良品標準偏差範囲と、前記検査標準偏差σとを比較する第二の良品標準偏差・検査標準偏差比較処理手段との双方、を備えていることを特徴とするものである。
【0045】
かかる検査装置の判定処理精度判定方法と、検査装置における判定処理の精度を判定する判定処理精度判定装置、また、画像検査装置の判定処理精度判定方法と、画像検査装置における判定処理の精度を判定する判定処理精度判定装置とによれば、良品平均値Mを中心として予め定められている範囲に設定されている良品平均範囲と、前記検査平均値Mとを比較することにより、検査計量値のドリフトを把握することができる。また、良品標準偏差σを中心として予め定められている範囲に設定されている良品標準偏差範囲と、前記検査標準偏差σとを比較することにより、検査計量値のバラツキを把握することができる。
【0046】
そして、これらの検査計量値のドリフトの把握、検査計量値のバラツキの把握から、検査を行っている過程でCCDカメラのレンズの汚れなどの外乱によって生じた判定精度の変動を把握し、初期に設定された判定制度が維持されているかどうかを判定することができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、検査対象物について検査装置を用いて得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する検査装置、例えば、検査対象物の画像を取り込む撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する画像検査装置において、検査対象物が良品であるか不良品であるかを判定する良品判定基準を設定する良品判定基準設定方法であって、「不良品を良品であると判定してしまう」こと、すなわち、「不良品の良品判定」を撲滅する(=統計的にゼロにする)という品質管理上の目的を達成可能にする良品判定基準設定方法及び、検査装置における良否判定基準設定装置を提供することができる。
【0048】
また、本発明によれば、検査対象物について検査装置を用いて得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する検査装置、例えば、検査対象物の画像を取り込む撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する画像検査装置において、検査を行っている過程での外乱、例えば、CCDカメラのレンズの汚れなどの外乱によって生じた判定精度の変動を把握し、初期に設定された判定制度が維持されているかどうかを判定する、前記の良否判定処理の精度を判定する方法及び検査装置における判定処理精度判定装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、添付図面を参照して本発明の良品判定基準設定方法及び検査装置における良否判定基準設定装置、良否判定処理の精度を判定する方法及び検査装置における判定処理精度判定装置が、画像検査装置に適用される場合について説明する。
【0050】
図5は、本発明の良否判定基準設定装置2、判定処理精度判定装置3が適用される画像検査装置1における撮像部の一例を説明するものである。
【0051】
搬送コンベア101により検査対象物100が搬送されていく際に、搬送コンベア101の上側に配備されているCCDカメラ102により検査対象物100の画像を取り込むようになっている。図5の例では、検査対象物100を、直径370mmの円筒状のミルク缶とし、このミルク缶の中に粉ミルクが充填され、この粉ミルクの上に置かれているスプーンの状態について画像検査装置で検査するようになっている。
【0052】
図5中、符号103、104で示されているものは、それぞれ、ピンホールレンズ、近赤外線LEDである。リング型照明105及び、検査対象物100の上端から30mmの高さに配置されている拡散板106によって検査対象物100(直径370mmの円筒状ミルク缶)の内部に照明光が均等にあたるようになっている。
【0053】
図5図示の例では、粉ミルクの上に置かれているスプーンの状態として、スプーンの本数(正確な本数である1本が置かれているか、間違って1本も置かれていない=0本、あるいは複数本が置かれていることなどがないか)を確認するため、近赤外光によるターゲットの二値化処理を画像検査装置で行って検査するよう、符号104で表されている近赤外LEDが使用されている。粉ミルクの上に置かれるスプーンの状態として、スプーンの色(青色、黄色など、ミルク缶の中に装填されている粉ミルクの種類に対応した色のスプーンが置かれているかどうか)を確認するならば、符号104で表されている部分に白色光を採用し、画像検査装置で色の三要素(輝度、色相、色彩)にベクトル分析する処理を行って検査することができる。
【0054】
CCDカメラ102により取り込まれた検査対象物100の画像は、図8図示のように画像検査装置1を介して、あるいは、直接、良品判定基準設定装置2や判定処理精度判定装置3に送られる。
【0055】
画像検査装置1、良品判定基準設定装置2、判定処理精度判定装置3はいずれも、外部との情報交換・双方向通信を可能にするインターフェース部、キーボード及びポインティングデバイスなどからなる情報取得手段、CRT画面などの画面への画像表示部、印刷部及び前記のインターフェース部などからなる情報出力手段、記憶部、演算処理部などを備え、以下に説明する各処理動作を当該コンピュータに実行させるコンピュータプログラムの指令及び、前記の形態のような情報取得手段で取得した指令、情報に従って以下に説明する各処理動作を行うパーソナルコンピュータ等のコンピュータによって構成することができる。
【0056】
以下、検査対象物100(直径370mmの円筒状ミルク缶)の内部に装填された粉ミルクの上に置かれているスプーンの状態として、スプーンの本数(正確な本数である1本が置かれているか、間違って1本も置かれていない=0本、あるいは複数本置かれていることなどがないか)を確認する処理動作における、本発明の良品判定基準設定装置2、判定処理精度判定装置3が実行する本発明の良品判定基準設定方法、判定処理精度判定方法を説明する。
【0057】
本発明の良品判定基準設定方法においては、まず、検査対象物100として複数の良品(例えば、検査対象物100である円筒状ミルク缶の内部に装填された粉ミルクの上に置かれているスプーンの本数が正確な本数である1本)を用い、画像検査装置1のCCDカメラ102によって取り込んだ画像信号から得た複数の良品計量値が正規分布で表されると仮定して、良品平均値Mと、良品標準偏差σとを求める処理が行われる。
【0058】
この処理は、良品判定基準設定装置2におけるコンピュータの処理動作部である良品平均値・標準偏差演算手段21によって行われ、求められた良品平均値Mと、良品標準偏差σ、良品分布は記憶部にデータとして保存される。
【0059】
こうして得た良品の分布を、良品判定基準設定装置2の画像表示手段24によって良品判定基準設定装置2のCRT画面25あるいは、画像検査装置1の画像表示手段11によって画像検査装置1のCRT画面12へ画像表示すると、例えば、図1、図2に符号40で表されている正規分布曲線になる。なおこの正規分布曲線は、画像表示手段24、画像表示手段11によって、良品平均値Mから、良品標準偏差σの整数倍が加算あるいは減算される領域毎に色彩を異ならせて画像表示することができる。
【0060】
次に、本発明の良品判定基準設定方法においては、検査対象物100として複数の不良品(例えば、検査対象物100である円筒状ミルク缶の内部に装填された粉ミルクの上に置かれているスプーンの本数が不正確な本数である0本(正規の本数−1)あるいは複数本、この例では2本(正規の本数+1))を用い、画像検査装置1により、CCDカメラ102によって取り込んだ画像信号から得た複数の不良品計量値が正規分布で表されると仮定して、不良品平均値MNGと、不良品標準偏差σNGとを求める処理が行われる。
【0061】
この処理は、良品判定基準設定装置2におけるコンピュータの処理動作部である不良品平均値・標準偏差演算手段22によって行われ、求められた不良品平均値MNGと、不良品標準偏差σNG、不良品分布は記憶部にデータとして保存される。
【0062】
こうして得た不良品の分布を、良品判定基準設定装置2の画像表示手段24によって良品判定基準設定装置2のCRT画面25あるいは、画像検査装置1の画像表示手段11によって画像検査装置1のCRT画面12へ画像表示すると、例えば、図1に符号41、42で表されている正規分布曲線になる(符号41で表されている正規分布曲線が粉ミルクの上に置かれているスプーンの本数が0本、符号42で表されている正規分布曲線が粉ミルクの上に置かれているスプーンの本数が2本の場合である)。この正規分布曲線も、画像表示手段24、画像表示手段11によって、不良品平均値MNGから、不良品標準偏差σNGの整数倍が加算あるいは減算される領域毎に色彩を異ならせて画像表示することができる。
【0063】
いずれもコンピュータの処理動作部である良品判定基準設定装置2の画像表示手段24、画像検査装置1の画像表示手段11は、前記のような正規分布曲線40、41、42を、直線で表現する機能を有しており、例えば、図2図示の正規分布曲線40を、図2に符号43で表される直線に表示することができる。このように直線に表示する場合も、画像表示手段24、画像表示手段11によって、良品平均値Mから、良品標準偏差σの整数倍が加算あるいは減算される領域毎、不良品平均値MNGから、不良品標準偏差σNGの整数倍が加算あるいは減算される領域毎に色彩を異ならせて画像表示することができる。
【0064】
良品判定基準設定装置2は、コンピュータの処理動作部である分布状態画像表示手段23を備えており、この分布状態画像表示手段23によって、前記のように記憶部にデータ保存されている良品計量値の分布と、不良品計量値の分布とを同一の画面上に比較して表示することができる。
【0065】
例えば、分布状態画像表示手段23によって、図1図示のように、正規分布曲線の状態で前述した正規分布曲線40、41、42によって、良品計量値の分布と、不良品計量値の分布とを同一の画面上に比較して表示する。あるいは、図3図示のように、直線の状態で、良品計量値の分布と、不良品計量値の分布とを同一の画面上に比較して表示する。
【0066】
このようにして、本発明の良品判定基準設定方法における、良品計量値の分布と、不良品計量値の分布とを比較した良品判定基準を設定する工程が行われる。
【0067】
例えば、図1図示のように、良品計量値の分布(正規分布曲線40)において、不良品計量値の分布(正規分布曲線41)の不良品平均値であるMNGに6σNGを加算した位置を下限の良品判定基準、不良品計量値の分布(正規分布曲線42)の不良品平均値であるMNGから6σNGを減算した位置を上限の良品判定基準に設定することができる。
【0068】
発明者等の実験によれば、良品計量値(図1の正規分布曲線40)の分布において、不良品計量値の分布(図1の正規分布曲線41)の不良品平均値であるMNG+6σNGを下限の良品判定基準、不良品計量値の分布(図1の正規分布曲線42)の不良品平均値であるMNG−6σNGを上限の良品判定基準に設定すれば、「不良品を良品であると判定してしまう」ことを撲滅すること、すなわち、「不良品の良品判定」を撲滅する(=統計的にゼロにする)ことが可能であった。
【0069】
本発明の方法によれば、図6、図7図示のような手法、すなわち、良品計量値(例えば、図1の正規分布曲線40)の分布において、良品計量値の分布(図1の正規分布曲線40)における良品平均値であるMに対して良品標準偏差σの正数倍を加算あるいは減算することによって下限の良品判定基準(M−σの正数倍)と、上限の良品判定基準(M+σの正数倍)とを設定する手法に比較すれば、良品であるにもかかわらず、「不良品である」と判定される検査対象物の数が多くなるが、「不良品を良品であると判定してしまう」ことを撲滅すること、すなわち、「不良品の良品判定」を撲滅する(=統計的にゼロにする)ことが可能になる。
【0070】
前記では、良品判定基準設定装置2におけるコンピュータの処理動作部である判定基準設定処理手段27によって、良品計量値の分布(正規分布曲線40)において、不良品計量値の分布(正規分布曲線41)の不良品平均値であるMNG+kσNG(kは正数)を下限の良品判定基準、不良品計量値の分布(正規分布曲線42)の不良品平均値であるMNG−kσNG(kは正数)を上限の良品判定基準に設定する処理を行ったが、図1又は図2のように、良品判定基準設定装置2のCRT画面25に画像表示された良品計量値の分布と不良品計量値の分布との比較表示に基づいて、良品判定基準設定装置2を操作している者が、画面上で、良品計量値の分布(正規分布曲線40)から、不良品計量値の分布(正規分布曲線41)の上限と、不良品計量値の分布(正規分布曲線42)の下限に相当する位置をそれぞれ下限の良品判定基準、上限の良品判定基準に設定する処理を行うようにすることもできる。
【0071】
前述したように、画像表示手段24、画像表示手段11によって、良品平均値Mから、良品標準偏差σの整数倍が加算あるいは減算される領域毎、不良品平均値MNGから、不良品標準偏差σNGの整数倍が加算あるいは減算される領域毎に色彩を異ならせて画像表示することができるので、良品判定基準設定装置2を操作している者が、画面上で、下限の良品判定基準、上限の良品判定基準を容易に設定することができる。
【0072】
図3は、良品(図1に符号40で表されている正規分布曲線であって、粉ミルクの上に置かれているスプーンの本数が正規の1本の場合)の正規分布曲線40を直線状に表した線分43と、不良品(粉ミルクの上に置かれているスプーンの本数が正規の本数である1本−1=0の場合)の正規分布曲線を直線状に表した線分45と、不良品(粉ミルクの上に置かれているスプーンの本数が正規の本数である1本+1=2の場合)の正規分布曲線を直線状に表した線分44が画面上に表されている状態を説明するものである。線分43の下限と線分45の上限とを良品判定基準設定装置2の処理動作部が比較して下限の良品判定基準を設定し、線分43の上限と線分44の下限とをコンピュータの処理動作部が比較して上限の良品判定基準を設定するようにすることもできるし、良品判定基準設定装置2を操作している者が、画面上で、下限の良品判定基準、上限の良品判定基準を設定することもできる。
【0073】
なお、本発明の良品判定基準設定装置2に、更に、コンピュータの処理動作部からなる判定処理精度比較判定手段26を配備しておき、当該判定処理精度比較判定手段26によって、前記のように設定された下限の良品判定基準(不良品計量値の分布(正規分布曲線41)の不良品平均値であるMNG+kσNG(kは正数))及び/又は上限の良品判定基準(不良品計量値の分布(正規分布曲線42)の不良品平均値であるMNG−kσNG(kは正数))を、新規に使用開始される画像検査装置に最初から設定されている良品判定基準(一般的には、良品平均値であるM±σの正数倍)と比較し、当該新規に使用開始される画像検査装置による良品判定の精度を確認する処理を行わせることもできる。
【0074】
すなわち、新しい画像検査装置1を用いて実際に検査対象物100の検査を開始する前に、当該新しい画像検査装置1に最初から設定されている良品判定基準がどの程度のものであるか、すなわち、当該新しい画像検査装置1による良品判定の精度を、良品判定基準設定装置2によって確認することができ、この工程を、前述した本発明による検査装置の良品判定基準設定方法、画像検査装置の良品判定基準設定方法に追加することができる。
【0075】
以上、本発明の画像検査装置1における良品判定基準設定方法及び、画像検査装置1における良否判定基準設定装置2によれば、検査対象物100の画像を取り込むCCDカメラ102によって取り込んだ画像信号から得た検査計量値を基に検査対象物100の良否を判定する画像検査装置1において、「不良品を良品であると判定してしまう」こと、すなわち、「不良品の良品判定」を撲滅する(=統計的にゼロにする)という品質管理上の目的を達成可能にする良品判定基準(検査対象物100が良品であるか不良品であるかを判定する良品判定基準)を設定することができる。
【0076】
次に、本発明による画像検査装置1の判定処理精度判定方法及び、画像検査装置1における判定処理の精度を判定する判定処理精度判定装置3を説明する。
【0077】
この判定処理精度判定方法、判定処理精度判定装置3は前述した画像検査装置1が、いったん設定された良品判定基準の精度を維持し続けているかどうか、検査を行っている過程で自己診断できるようにするものである。
【0078】
例えば、検査を継続している過程で、CCDカメラ102の光源が経時劣化したことなどに起因する光量低下、レンズの汚れ、CCDカメラ102の取り付けのがた、検査対象物100を搬送している搬送コンベア101のノッキングやガイドのズレ、各種装置を接続する通信ケーブルのノイズ、などによって判定精度に変動が生じると、これらの外乱に起因して画像検査装置1の判定精度に変動が生じることがあるが、画像検査装置1に初期設定されていた判定精度が維持されているか否かを、検査を行っている過程で自己診断できるようにするものである。
【0079】
本発明の、画像検査装置1における判定処理精度判定方法においては、まず、検査対象物100として複数の良品(例えば、検査対象物100である円筒状ミルク缶の内部に装填された粉ミルクの上に置かれているスプーンの本数が正確な本数である1本)を用い、画像検査装置1のCCDカメラ102によって取り込んだ画像信号から得た複数の良品計量値が正規分布で表されると仮定して、良品平均値Mと、良品標準偏差σとを求める処理が行われる。
【0080】
この処理は、判定処理精度判定装置3におけるコンピュータの処理動作部である良品平均値・標準偏差演算手段31によって行われ、求められた良品平均値Mと、良品標準偏差σ、良品分布はデータとして記憶部に保存される。
【0081】
判定処理精度判定装置3には、コンピュータの処理動作部である良品平均範囲設定手段32が更に備えられている。この良品平均範囲設定手段32によって、判定処理精度判定装置3の記憶部に格納されているデータに基づいて、良品平均値・標準偏差演算手段31によって求められた良品平均値Mを中心として良品平均範囲が予め定められている範囲に設定される。こうして設定された良品平均範囲も判定処理精度判定装置3の記憶部に格納される。
【0082】
また、判定処理精度判定装置3には、コンピュータの処理動作部である良品標準偏差範囲設定手段33が更に備えられている。この良品標準偏差範囲設定手段33によって、判定処理精度判定装置3の記憶部に格納されているデータに基づいて、良品平均値・標準偏差演算手段31によって求められた良品標準偏差σを中心として良品標準偏差範囲が予め定められている範囲に設定される。こうして設定された良品標準偏差範囲も判定処理精度判定装置3の記憶部に格納される。
【0083】
更に、判定処理精度判定装置3は、コンピュータの処理動作部である検査平均値・標準偏差演算手段34を備えている。検査平均値・標準偏差演算手段34は、画像検査装置1複数の検査対象物100を検査している際に、CCDカメラ102によって取り込んだ画像信号から得た複数の検査計量値が正規分布で表されると仮定して、検査平均値Mと、検査標準偏差σとを演算する処理を行う。
【0084】
この判定処理精度判定装置3の演算処理によって求められた検査平均値M、検査標準偏差σ、検査計量値分布は、それぞれ判定処理精度判定装置3の記憶部に格納される。
【0085】
判定処理精度判定装置3は、画像表示手段35を備えており、前記のように検査平均値M、検査標準偏差σを求めた検査対象物の分布を、図2図示のような正規分布曲線や、これを直線状に表示した図2図示の線分43のように、判定処理精度判定装置3のCRT画面36に表示することができる。
【0086】
判定処理精度判定装置3は、コンピュータの処理動作部である良品平均値・検査平均値比較処理手段37を備えている。この良品平均値・検査平均値比較処理手段37によって、前記のように良品平均範囲設定手段32により設定されていた良品平均範囲と、検査平均値Mとが比較される処理が行われる。
【0087】
また、判定処理精度判定装置3は、コンピュータの処理動作部である良品標準偏差・検査標準偏差比較処理手段38を備えている。この良品標準偏差・検査標準偏差比較処理手段38によって、前記のように良品標準偏差範囲設定手段33により設定されていた良品標準偏差範囲と、前記検査標準偏差σとが比較される処理が行われる。
【0088】
図4は、検査平均値・標準偏差演算手段34によって検査平均値M、検査標準偏差σが求められた検査対象物の分布を、判定処理精度判定装置3のCRT画面36に、画像表示手段35により直線状の線分として表示したものであるが、この線分の下限値、上限値がそれぞれ良品平均範囲におさまっているかどうかによって、良品平均値・検査平均値比較処理手段37により、検査平均値Mと、検査平均値Mとを比較する処理を行うことができる。
【0089】
同様にして、良品標準偏差・検査標準偏差比較処理手段38により、良品標準偏差範囲設定手段33により設定されていた良品標準偏差範囲と、前記検査標準偏差σとを比較する処理を行うことができる。
【0090】
良品平均値・検査平均値比較処理手段37によって、良品平均範囲と、前記検査平均値Mとを比較することにより、検査計量値のドリフトを把握することができる。また、良品標準偏差・検査標準偏差比較処理手段38によって、良品標準偏差範囲と、前記検査標準偏差σとを比較することにより、検査計量値のバラツキを把握することができる。そこで、良品平均値・検査平均値比較処理手段37と、良品標準偏差・検査標準偏差比較処理手段38とのいずれか一方のみを備えている形態にすることもできるし、両方を備えている形態にすることもできる。
【0091】
このような画像検査装置1における判定処理の精度を判定する判定処理精度判定装置3により前述した画像検査装置1の判定処理精度判定方法を実行することにより、検査計量値のドリフト、検査計量値のバラツキを把握し、検査を行っている過程でCCDカメラのレンズの汚れなどの外乱によって生じた判定精度の変動を把握し、初期に設定された判定制度が維持されているかどうかを判定することができる。
【0092】
前述した判定処理精度判定装置3において、更に、コンピュータの処理動作部からなる警告情報生成処理部39をも備えている構成にし、前記の良品平均値・検査平均値比較処理手段37、又は、良品標準偏差・検査標準偏差比較処理手段38、或いはこれらの双方による判定処理の結果、検査平均値Mが良品平均範囲を逸脱している、又は、検査標準偏差σが良品標準偏差範囲を逸脱している、あるいはこれらの双方である場合に、警告情報生成処理部39の処理動作によって、判定処理精度判定装置3のCRT画面上に画像情報で警告を出力する、あるいは判定処理精度判定装置3の情報出力部から音声情報で警告情報を出力する構成にすることができる。
【0093】
このようにして、画像検査装置1に対して初期に設定された判定精度が維持されていないようになったならば、直ちにそれを把握し、必要な対処をとれるようになる。
【0094】
更に、前記の良品平均値・検査平均値比較処理手段37、良品標準偏差・検査標準偏差比較処理手段38は、所定の期間に所定の回数、例えば、一操業日あたりに一回、前記の比較判定処理を行うように動作させ、一方、判定処理精度判定装置3には、更に、コンピュータの処理動作部からなる判定情報記録部30をも備えている構成にして、良品平均値・検査平均値比較処理手段37、良品標準偏差・検査標準偏差比較処理手段38で日々行われた比較判定処理の結果を記録(日報)として判定処理精度判定装置3の記憶部に登録させておくようにすることができる。
【0095】
判定処理精度判定装置3の記憶部に記録されているこの記録(日報)は、必要に応じて、判定処理精度判定装置3の情報出力手段から印刷して取り出せるようにしておけば、画像検査装置1が初期に設定された判定精度の下で継続して検査を行っていたかどうかを後に確認することができる。
【0096】
以上の説明では、画像検査装置1、良品判定基準設定装置2、判定処理精度判定装置3がそれぞれ別個独立のコンピュータから構成されている場合を説明したが、コンピュータからなる画像検査装置1が、前述した各処理動作を行う良品平均値・標準偏差演算手段21、不良品平均値・標準偏差演算手段22、分布状態画像表示手段23、画像表示手段24、判定処理精度比較判定手段26、判定基準設定処理手段27、判定情報記録部30、良品平均値・標準偏差演算手段31、良品平均範囲設定手段32、良品標準偏差範囲設定手段33、検査平均値・標準偏差演算手段34、良品平均値・検査平均値比較処理手段37、良品標準偏差・検査標準偏差比較処理手段38、警告情報生成処理部39を備えているようにし、前述した良品判定基準設定方法、判定処理精度判定方法をも実行する画像検査装置にすることもできる。
【0097】
以上、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。例えば、検査対象物の重量を検査することによって「適正な重量範囲内にある検査対象品」(良品)と、「適正な重量範囲外にある検査対象品」(不良品)とを判定する検査装置、検査対象物のサイズを検査することによって「適正なサイズ内にある検査対象品」(良品)と、「適正なサイズ外にある検査対象品」(不良品)とを判定する検査装置など、種々の検査装置に本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】複数の良品(スプーン1本)、複数の不良品(スプーン0本、2本)についての画像検査装置による計量値の分布を表す図。
【図2】曲線で表される良品の分布状態を直線での表示に変換する状態を説明する図。
【図3】画面に直線で表示されている分布状態を参考にして良品判定基準を設定する工程を説明する。
【図4】画面に直線で表示されている検査平均値の分布状態を参考にして平均値のバラツキを判定する工程を説明する図。
【図5】画像検査装置の撮像手段部分を説明する側面図。
【図6】良品の分布のみに基づいて良品判定基準設定を設定する方法を説明する図。
【図7】良品の分布のみに基づいて良品判定基準設定を設定する方法を更に詳しく説明する図。
【図8】本発明の装置構成を説明する装置構成概略図。
【符号の説明】
【0099】
1 画像検査装置
11 画像表示手段
12 CRT画面
2 良品判定基準設定装置
21 良品平均値・標準偏差演算手段
22 不良品平均値・標準偏差演算手段
23 分布状態画像表示手段
24 画像表示手段
25 CRT画面
26 判定処理精度比較判定手段
27 判定基準設定処理手段
3 判定処理精度判定装置
31 良品平均値・標準偏差演算手段
32 良品平均範囲設定手段
33 良品標準偏差範囲設定手段
34 検査平均値・標準偏差演算手段
35 画像表示手段
36 CRT画面
37 良品平均値・検査平均値比較処理手段
38 良品標準偏差・検査標準偏差比較処理手段
39 警告情報生成処理部
30 判定情報記録部
40 良品の正規分布曲線(スプーンの本数が1本)
41 不良品の正規分布曲線(スプーンの本数が0本の場合)
42 不良品の正規分布曲線(スプーンの本数が2本の場合)
43 良品の正規分布曲線40を直線で表示した線分
44、45 不良品の正規分布曲線を直線状に表した線分
100 検査対象物
101 搬送コンベア
102 CCDカメラ
103 ピンホールレンズ
104 近赤外線LED
105 リング型照明
106 拡散板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の良否を判定する検査装置において、検査対象物が良品であるか不良品であるかを判定する良品判定基準を設定する良品判定基準設定方法であって、
複数の良品について当該検査装置を用いて得た良品計量値の分布と、複数の不良品について当該検査装置を用いて得た不良品計量値の分布とを求め、
両者を比較して良品判定基準を設定する検査装置の良品判定基準設定方法。
【請求項2】
検査装置が検査対象物の画像を取り込む撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する画像検査装置であることを特徴とする請求項1記載の検査装置の良品判定基準設定方法。
【請求項3】
検査対象物の良否を判定する検査装置において、検査対象物が良品であるか不良品であるかを判定する良品判定基準を設定する良品判定基準設定方法であって、
複数の良品について、当該検査装置を用いて得た複数の良品計量値が正規分布で表されると仮定して、良品平均値Mと、良品標準偏差σとを求め、
複数の不良品について、当該検査装置を用いて得た複数の不良品計量値が正規分布で表されると仮定して、不良品平均値MNGと、不良品標準偏差σNGとを求め、
良品計量値の分布と、不良品計量値の分布とを比較して良品判定基準を設定する検査装置の良品判定基準設定方法。
【請求項4】
検査対象物の画像を取り込む撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する画像検査装置において、検査対象物が良品であるか不良品であるかを判定する良品判定基準を設定する良品判定基準設定方法であって、
複数の良品について、当該画像検査装置を用い、前記撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た複数の良品計量値が正規分布で表されると仮定して、良品平均値Mと、良品標準偏差σとを求め、
複数の不良品について、当該画像検査装置を用い、前記撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た複数の不良品計量値が正規分布で表されると仮定して、不良品平均値MNGと、不良品標準偏差σNGとを求め、
良品計量値の分布と、不良品計量値の分布とを比較して良品判定基準を設定する画像検査装置の良品判定基準設定方法。
【請求項5】
検査対象物について検査装置を用いて得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する検査装置において前記判定処理の精度を判定する方法であって、
複数の良品について、当該検査装置を用いて得た複数の良品計量値が正規分布で表されると仮定して、良品平均値Mと、良品標準偏差σとを求め、
複数の検査対象物について、当該検査装置を用いて得た複数の検査計量値が正規分布で表されると仮定して、検査平均値Mと、検査標準偏差σとを求め、
前記良品平均値Mを中心として予め定められている範囲に設定されている良品平均範囲と、前記検査平均値Mとを比較する、または、
前記良品標準偏差σを中心として予め定められている範囲に設定されている良品標準偏差範囲と、前記検査標準偏差σとを比較する、若しくは、
前記良品平均値Mを中心として予め定められている範囲に設定されている良品平均範囲と、前記検査平均値Mとを比較すると共に前記良品標準偏差σを中心として予め定められている範囲に設定されている良品標準偏差範囲と、前記検査標準偏差σとを比較する、
ことを特徴とする検査装置の判定処理精度判定方法。
【請求項6】
検査対象物の画像を取り込む撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する画像検査装置において、前記判定処理の精度を判定する方法であって、
複数の良品について、当該画像検査装置を用い、前記撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た複数の良品計量値が正規分布で表されると仮定して、良品平均値Mと、良品標準偏差σとを求め、
複数の検査対象物について、当該画像検査装置を用い、前記撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た複数の検査計量値が正規分布で表されると仮定して、検査平均値Mと、検査標準偏差σとを求め、
前記良品平均値Mを中心として予め定められている範囲に設定されている良品平均範囲と、前記検査平均値Mとを比較する、または、
前記良品標準偏差σを中心として予め定められている範囲に設定されている良品標準偏差範囲と、前記検査標準偏差σとを比較する、若しくは、
前記良品平均値Mを中心として予め定められている範囲に設定されている良品平均範囲と、前記検査平均値Mとを比較すると共に前記良品標準偏差σを中心として予め定められている範囲に設定されている良品標準偏差範囲と、前記検査標準偏差σとを比較する、
ことを特徴とする画像検査装置の判定処理精度判定方法。
【請求項7】
検査対象物の良否を判定する検査装置における検査対象物が良品であるか不良品であるかを判定する良品判定基準を設定する良品判定基準設定装置であって、
複数の良品について当該検査装置を用いて得た複数の良品計量値の分布を求める良品計量値分布生成手段と、
複数の不良品について当該検査装置を用いて得た複数の不良品計量値の分布を求める不良品計量値分布生成手段と、
前記良品計量値分布生成手段によって求められた良品計量値の分布と、不良品計量値分布生成手段によって求められた不良品計量値の分布とを同一の画面上に比較して表示する第一の分布状態画像表示手段と
を備えていることを特徴とする検査装置における良品判定基準設定装置。
【請求項8】
検査装置が検査対象物の画像を取り込む撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する画像検査装置であることを特徴とする請求項7記載の検査装置における良品判定基準設定装置。
【請求項9】
検査対象物の良否を判定する検査装置における検査対象物が良品であるか不良品であるかを判定する良品判定基準を設定する良品判定基準設定装置であって、
複数の良品について、当該検査装置を用いて得た複数の良品計量値が正規分布で表されると仮定して、良品平均値Mと、良品標準偏差σとを演算する第一の良品平均値・標準偏差演算手段と、
複数の不良品について、当該検査装置を用いて得た複数の不良品計量値が正規分布で表されると仮定して、不良品平均値MNGと、不良品標準偏差σNGとを演算する第一の不良品平均値・標準偏差演算手段と、
良品計量値の分布と、不良品計量値の分布とを同一の画面上に比較して表示する第一の分布状態画像表示手段と
を備えていることを特徴とする検査装置における良品判定基準設定装置。
【請求項10】
検査対象物の画像を取り込む撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する画像検査装置における検査対象物が良品であるか不良品であるかを判定する良品判定基準を設定する良品判定基準設定装置であって、
複数の良品について、当該画像検査装置を用い、前記撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た複数の良品計量値が正規分布で表されると仮定して、良品平均値Mと、良品標準偏差σとを演算する第二の良品平均値・標準偏差演算手段と、
複数の不良品について、当該画像検査装置を用い、前記撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た複数の不良品計量値が正規分布で表されると仮定して、不良品平均値MNGと、不良品標準偏差σNGとを演算する第二の不良品平均値・標準偏差演算手段と、
良品計量値の分布と、不良品計量値の分布とを同一の画面上に比較して表示する第二の分布状態画像表示手段と
を備えていることを特徴とする画像検査装置における良品判定基準設定装置。
【請求項11】
検査対象物について検査装置を用いて得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する検査装置における前記判定処理の精度を判定する判定処理精度判定装置であって、
複数の良品について、当該検査装置を用いて得た複数の良品計量値が正規分布で表されると仮定して、良品平均値Mと、良品標準偏差σとを演算する第一の良品平均値・標準偏差演算手段と、
複数の検査対象物について、当該検査装置を用いて得た複数の検査計量値が正規分布で表されると仮定して、検査平均値Mと、検査標準偏差σとを演算する第一の検査平均値・標準偏差演算手段と、
前記良品平均値Mを中心として予め定められている範囲に設定されている良品平均範囲と、前記検査平均値Mとを比較する第一の良品平均値・検査平均値比較処理手段、または、
前記良品標準偏差σを中心として予め定められている範囲に設定されている良品標準偏差範囲と、前記検査標準偏差σとを比較する第一の良品標準偏差・検査標準偏差比較処理手段、若しくは、
前記良品平均値Mを中心として予め定められている範囲に設定されている良品平均範囲と、前記検査平均値Mとを比較する第一の良品平均値・検査平均値比較処理手段と、良品標準偏差σを中心として予め定められている範囲に設定されている良品標準偏差範囲と、前記検査標準偏差σとを比較する第一の良品標準偏差・検査標準偏差比較処理手段との双方、
を備えていることを特徴とする検査装置における判定処理の精度を判定する判定処理精度判定装置。
【請求項12】
検査対象物の画像を取り込む撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た検査計量値を基に検査対象物の良否を判定する画像検査装置における前記判定処理の精度を判定する判定処理精度判定装置であって、
複数の良品について、当該画像検査装置を用い、前記撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た複数の良品計量値が正規分布で表されると仮定して、良品平均値Mと、良品標準偏差σとを演算する第二の良品平均値・標準偏差演算手段と、
複数の検査対象物について、当該画像検査装置を用い、前記撮像手段によって取り込んだ画像信号から得た複数の検査計量値が正規分布で表されると仮定して、検査平均値Mと、検査標準偏差σとを演算する第二の検査平均値・標準偏差演算手段と、
前記良品平均値Mを中心として予め定められている範囲に設定されている良品平均範囲と、前記検査平均値Mとを比較する第二の良品平均値・検査平均値比較処理手段、または、
前記良品標準偏差σを中心として予め定められている範囲に設定されている良品標準偏差範囲と、前記検査標準偏差σとを比較する第二の良品標準偏差・検査標準偏差比較処理手段、若しくは、
前記良品平均値Mを中心として予め定められている範囲に設定されている良品平均範囲と、前記検査平均値Mとを比較する第二の良品平均値・検査平均値比較処理手段と、良品標準偏差σを中心として予め定められている範囲に設定されている良品標準偏差範囲と、前記検査標準偏差σとを比較する第二の良品標準偏差・検査標準偏差比較処理手段との双方、
を備えていることを特徴とする画像検査装置における判定処理の精度を判定する判定処理精度判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−184254(P2006−184254A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−381336(P2004−381336)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000006138)明治乳業株式会社 (265)
【Fターム(参考)】