説明

検査装置

【課題】観察対象物によらず常に安定した印刷状態の検査ができる検査装置を提供することである。
【解決手段】内部に空間を有する物体Xの外表面に印刷された文字あるいは図形の印刷状態を検査する装置であって、この物体Xの内表面に向けて発光する照明手段1と、この照明手段による放射光が当該物体Xを透過して形成される前記文字あるいは図形を観察する画像認識手段2と、この画像認識手段2の画像情報を受けて当該文字あるいは図形の印刷状態の良否を判断するコントローラ4とより構成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は物体の検査装置に関する。特に、内部に空間を有するプラスチック成形品の表面に印刷された文字や図形の良否を判断する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック成形品、例えば、ボールペンなどプラスチックペンのキャップには、製造販売会社名やペンの性質を表すための文字や図形が印刷されている。この印刷はパッド印刷機(通称、タンポ印刷機ともいわれる)により機械的、自動的かつ連続的に行われる。しかしながら、印刷された文字や図形が、所定の位置に印刷されていなかったり、あるいは、一部が欠けているなど鮮明に印刷されていないなどの印刷ミスを生じることもある。従来、このような欠陥品を発見する方法として、人間が拡大鏡などを使って目視により行っていた。
【0003】
また、印刷検査を機械的に行う方法として、印刷された文字あるいは図形に対して、白熱電球や蛍光灯などの白色光を照明させてカメラで画像を認識させるとともに、基準画像と比較して欠陥品を判断する方法があった。
【0004】
しかしながら、前者の方法は、当然とことではあるが、疲労による検査ミスを生じるし、また、検査者により検査基準がバラツクなどの問題があった。
また、後者の方法は、対象物体の種類によっては検査精度に問題があった。特に、白色の筆記用ペンのキャップの場合、白色光がキャップにより反射されてしまい、文字や図形が全く認識できないという問題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3274186号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、第一に、人間が目視で観察する場合に生ずる問題、すなわち、疲労の影響や、検査基準のバラツキという問題を解消できる検査装置を提供すること、第二に、検査対象が照明光を反射するような物体の場合でも印刷された文字や図形を確実に認識できる検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明に係る検査装置は、内部に空間を有する物体の外表面に印刷された文字あるいは図形の印刷状態を検査する装置であって、この物体の内表面に向けて発光する照明手段と、この照明手段による放射光が当該物体を透過して形成される前記文字あるいは図形を観察する画像認識手段と、この画像認識手段の画像情報を受けて当該文字あるいは図形の印刷状態の良否を判断するコントローラとより構成されることを特徴とする。
【0008】
さらに、前記物体は筆記用ペンのキャップあるいは本体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る検査装置は、物体が白色など照明光を強く反射するものであっても、当該物体の内部から光を照明するので、その透過光を使って、印刷された文字や図形を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る検査装置の概略構成を示す。
【図2】本発明に係る検査装置の概略構成を示す。
【図3】本発明の係る検査装置の対象物を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1はこの発明に係る検査装置の一実施例であって、プラスチック製カラーボールペンのキャップの検査装置の概略構成を示す。全体が箱型の照明筒10が支柱20に保持されている。照明筒10の上壁内面には画像認識手段であるカメラ2(イメージングデベロップメントシステム社製の型式UL-1460SE-C-GL)が取り付けられている。照明筒10の上壁に対向する下方側は開放されており、対象物であるプラスチック製カラーボールペンのキャップXが保持固定されるステージ3が設けられる。支柱20のステージ3近傍には照明手段であるLEDが取り付けられる。LEDは対象物Xの内部空間を照明する。具体的には、対象物Xがボールペンキャップの場合、当該キャップの差込穴から光が入射する。カメラ2は対象物Xの内表面から外に向けて透過する光によって形成される文字あるいは図形を観察する。カメラ2で観察された画像情報はコントローラ4に入力される。コントローラ4には、あらかじめ基準パターンが記憶されており、観察された画像情報と基準パターンを比較する。なお、照明筒10には外乱防止用の遮光部材を取り付けてもよい。
【0012】
図2は、対象物Xとしてボールペンキャップを使った場合のLEDから放射される光と対象物の関係を表す図面である。LEDは、例えば白色光を放射するものが採用される。ステージ3に設置された対象物XとLEDの位置関係が整うと、コントローラ4からの指令信号に基づきLEDが発光する。LEDの放射光は対象物Xの内部空間に進行し、対象物Xの内表面にて拡散、透過して外方に抜ける。図においては、便宜的に4箇所において拡散・透過する状態を示しているが、実際には、対象物Xの内表面の全域で行なわれる。なお、LEDは白色発光型に限るものではなく、他の色の光を発光するものであってもかまわない。
【0013】
本発明の検査装置は、対象物が白色、特に乳白色のプラスチック製カラーボールペンのキャップの場合に特に有効である。なぜなら、当該キャップに対して、外表面に対して光を照明した場合は、反射光を強すぎて、外表面に印刷された文字あるいは図形をカメラが認識できないからである。
【0014】
本発明は、対象物の種類に応じて、LEDの発光色以外に、さらにLEDの発光強度を変化させてもよい。さらに、LEDはRGB以外に、IR−LEDやUV−LEDを合わせて設置することもできる。
また、LEDの設置位置も検査対象である文字や図形が鮮明に観察できるべき位置であれば図に限定されるものではなく、また、検査対象に応じて位置調整することもできる。しかしながら、筆記用ペンのキャップの場合、全体計上が略円筒体であること、および文字や図形が曲面状の外表面に印刷されていることなどから、図1に示すように、キャップの穴に対向して照明することが好ましい。なお、キャップの先端にも穴が形成されている場合は、当該先端から光を入射させてもよい。
また、本発明の検査装置はタンポ印刷機に搭載されることが望ましい。タンプ印刷機により連続的に印刷を行いながら印刷状態を観察できるからである。
【0015】
図3は本発明も検査対象物を模式的に示したものである。対象物はプラスチック製のボールペンキャップであり、外表面には「ABC」の文字が印刷されている。本発明のようにキャップの内部から照明した場合は、カメラが「ABC」の文字を正しき認識できる。
【符号の説明】
【0016】
2 カメラ
3 ステージ
4 コントローラ
10 照明筒
20 支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空間を有する物体の外表面に印刷された文字あるいは図形の印刷状態を検査する装置であって、
この物体の内表面に向けて発光する照明手段と、
この照明手段による放射光が当該物体を透過して形成される前記文字あるいは図形を観察する画像認識手段と、
この画像認識手段の画像情報を受けて当該文字あるいは図形の印刷状態の良否を判断するコントローラと、
より構成されることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記物体は筆記用ペンのキャップあるいは本体であることを特徴とする請求項1の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−145181(P2011−145181A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6372(P2010−6372)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】