説明

検索仲介システム

【課題】情報にアクセスしようとする相手に応じて、公開する情報を制御することが可能な検索仲介システムを提供する。
【解決手段】本システムの利用者は事前に検索者として検索者情報記憶手段21に自身の情報を登録しておき、データベースの開設者は、その提供条件を提供情報の情報粒度を定めるルールとして提供条件記憶手段22に登録しておく。そして、検索受付手段23が、利用者端末10から検索要求を受け付けると、検索依頼手段24が、各データベースに検索依頼を行う。検索結果取得手段25が各データベースからの検索結果を受け取ると、検索結果提供手段26は、検索者情報記憶手段21、提供条件記憶手段22を参照して、提供すべき情報を適切な情報粒度で表されるものに加工して、利用者端末10に送信する。第三者が開示制限情報を登録することにより、第三者による開示制限も可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開設者が異なる複数のデータベースを検索するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流管理や物品所在管理の情報を企業を超えて共有することが求められている。ebXML(electronic business XML)に代表されるように、そのための基本情報の取得の仕組み、情報共有・交換の枠組みや交換される情報の項目の共通化が整備されつつある。この共通化された情報共有・交換の枠組みを利用して企業の業務情報を蓄積したデータベースを既存あるいは潜在の取引先に必要に応じて検索させることで、円滑な事業運営をはかることも始まりつつある。一方、データの保管先の仲介を行うシステム等はすでに提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−146293号公報
【0003】
自社が管理する情報を公開することは、それにより新たな顧客を開拓することができるという利点を有している。しかしながら、情報を無条件に公開すると、競合相手にも手の内を明かしてしまうことになるという問題もある。これは情報の内容はもちろん、データベースの所在自体も、潜在取引先には周知させたいが、産業スパイやクラッキング妨害などを予防するためにも競合相手など不都合な相手には秘匿しておきたいという矛盾した要求を抱えることになる。標準化されたデータ共有・交換の手法が普及しつつある今日、この恩恵として共通の基盤で結ばれることにより、これまでには出会うことの無かったより有利な取引関係が新たに結ばれる好機が潜在している。しかしながら、基盤として共通化されていてもその存在や所在を探知することは依然として困難がある。
【0004】
一方、企業間商業取引以外の一般生活者向けのインターネットショッピングサービスや、商取引を伴わない極普通のコンテンツサービスを周知するないしは紹介するサービスとして、検索エンジンが広く利用され大きな貢献を果たしている。インターネット上での企業間情報XML Webサービスの供給を告知することを主な用途としてUDDI(Universal Description, Discovery, and Integration)方式も一部では利用されている。匿名による検索エンジン利用は検索者にとって見ればワンストップで求める情報の所在が一括して取得できる利便があり望ましいサービス形態であるが、そのために匿名アクセスを前提に事前にその複写を提供することは前述の事業情報の機密性に起因する制約があるため、情報管理の点から提供者にとっては受け入れ難いものとなる。UDDIは提供されるサービスの内容を告知する手段に過ぎず、検索者が求める情報内容が実際にそのサービス提供者の下に存在しているかは、そのサービス利用契約を取り交わして交信のための手続きを終え許諾を受けた後で検索して始めてその有効無効が判明するという大きな手間を強いられることになる。
【0005】
ところで物流管理や物品所在管理の情報を企業を超えて共有することを実現するために現状ではRFID(Radio Frequency IDentification)タグを利用することが前提となっている。しかしながら、物品追跡情報の根源として、RFIDタグを、管理すべき個々の物品に貼り付けるにはそれなりのコストを要する。そこで物品の供給者あるいは物流管理情報の提供者は、このようなRFIDタグの貼付負担が物品供給者・物流管理情報提供者側に押し付けられ、その後の物流管理システムによる利益の享受者にタグ貼り付け負担コストを分散分配させることができないであろうとの危惧から、ebXMLに代表されるような情報共有・交換の仕組みの普及が妨げられているという事情がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような事情から、情報にアクセスしようとする相手に応じて、データベースへのアクセスと、公開する情報を制御することが可能であって、物流管理情報の提供者が、物流管理情報を得るためのコストを適正に物流管理情報の利用者から回収することが可能な検索仲介システムが望まれるところである。
しかしながら一方で、そのような検索仲介システムによるサービスが実現すると、データベース開設者と直接の取引関係に無い、ないしはそのデータベースに特定のアカウントを持たない検索者がデータベースを横串横断で検索できるようになるため、データベース開設者は自身から出るデータに対していかなる内容制限を加えたとしても、自らがコントロールできない他所のデータベースから自らに関するデータを第三者が収集して自社での情報管理が無意味になる可能性もある。例えば自社が販売した(または仕入れた)物品についての取引の相手が推定できる符号を含むデータが取引先のデータベースに格納されている状況で、ある検索者がこの取引に関与した企業の名称等をキーに複数のデータベースを一斉検索すると、この当事者間だけで秘匿させておきたい情報が、その検索者に知られてしまうことになる。
【0007】
そこで、本発明は、物流管理情報の提供者が、情報にアクセスしようとする相手に応じて、データベースへのアクセスと、公開する情報を制御することが可能な検索仲介システムであって、さらに、検索者に提供される物流管理情報に関与するものは誰でも、検索者に提供される情報に一定の合理的なやり方で制限を加えることが可能な検索仲介システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための第1の発明の最も基本的な態様は、開設者が異なる複数のデータベースを利用者端末から検索する際に、検索の仲介を行うシステムであって、
検索者の情報を記憶した検索者情報記憶手段と、
各データベースの提供条件を、検索結果として提供する情報の粒度を定めるルールとして記述し、これを記憶した提供条件記憶手段と、
検索者に提供されるデータについて第三者が粒度を粗くする開示制限を行うために必要な、開示制限キーを含む第三者開示制限情報を記憶する提供条件制約記憶手段と、
利用者端末からの検索要求を受け付ける検索受付手段と、
受け付けた検索要求に従って、各データベースに検索依頼を行う検索依頼手段と、
前記各データベースから得られた検索結果を取得する検索結果取得手段と、
前記検索者情報、前記提供条件に基づいて、取得した検索結果から検索者に対して公開可能なものを抽出し、あるいは公開可能な情報粒度レベルの値に変換して、さらに提供するデータが第三者が設定した開示制限キーに該当する場合には、前記第三者開示制限情報を参照して検索者に提供するデータの情報粒度レベルに必要な変換を行って、利用者端末に提供する検索結果提供手段と、
前記検索結果提供手段が抽出した提供情報の粒度と件数に基づく情報提供料とその処理手数料を算定して、検索者、前記開示制限処理を要求した第三者ならびにデータベースへの課金・配分額を算出する内容料金集計手段と、
前記内容料金集計手段が算出した課金・配分額を検索者、前記開示制限処理を要求した第三者、情報提供者の識別情報に対応付けた記録として作成記録する
課金・分配手段と、を具備することを特徴とする検索仲介システムである。
【0009】
また、上記第1の発明の検索仲介システムにおいて、前記提供条件は、検索者の登録属性及び検索者開示属性により定まる検索者カテゴリとそれに対応する粒度処理ルールの全ての組み合わせにより表現されるものとし、 前記粒度処理ルールは、データベースの各項目ごとに粒度のレベル数と、各粒度レベルごとに当該項目のオリジナル値を該粒度レベルで表示する際に適用する変換規則または置き換え語彙を定めたものであって、 前記検索結果提供手段は、取得した検索結果であるオリジナルデータから前記提供条件により検索者の検索者カテゴリを決定し、前記提供条件に従って特定の粒度処理ルールを適用して検索結果の各項目を所定の粒度レベルの表示に変換された変換済み検索結果を作成して、これを利用者端末に提供するものとすることが望ましい。
【0010】
また、前記検索受付手段は、検索要求元である検索者についての検索者情報を前記検索者情報記憶手段から抽出して、当該検索者情報で前記提供条件記憶手段を参照して、当該検索者に対して公開可能なデータベースを特定し、前記検索依頼手段は、前記特定されたデータベースに対してのみ検索依頼を行うものとしてよい。
【0011】
また、前記第三者開示制限情報は、提供するデータの特定の項目の値についての条件を記述した開示制限キー情報と、開示制限キーに該当するデータの当該項目の第三者にとって望ましい希望粒度を特定するための情報と、検索者に提供する予定のデータが開示制限キーに該当しさらに対象となる項目の粒度が前記希望粒度より細かいことにより粒度操作が必要となる場合に発動される粒度交渉を行なう際の交渉方針を定める「制限方針」、粒度交渉を終結させる方針を定める「到達方針」の4種類の情報のセットであって、
前記検索結果提供手段は、提供予定データの情報粒度が、第三者の求める「希望粒度」より細かい場合は、当該第三者が事前に定めた前記「希望粒度」、「制限方針」、「到達方針」の内容に基づいて、検索者に提供されるべき情報粒度を自動的に再決定し、この粒度に基づいて検索結果を加工して提供するように構成してもよい。
【0012】
また、前記第1の発明に係る検索仲介システムの最も基本的な態様、あるいは、より望ましい前記各態様において、さらに、通常の検索とは区別されて扱われるべき緊急特権検索に対応する機能を備えたものであることがさらに望ましい。
この緊急特権検索に対応する機能は、
権威機関の公開鍵を記録保持し、電子署名の真正性を検証する手段を備えて、受け付けた検索リクエストに送信者以外の電子署名が付されている場合は、その署名が権威機関による真正の署名であるかを検証し真正な署名である場合は、当該検索を緊急特権検索として通常の検索とは区別する情報を生成記録し、前記検索リクエストにて特定される検索対象を捜索対象事物として緊急特権検索対象データテーブルに1件のレコードとして登録する緊急特権付与手段と、
前記の検索結果提供手段であって、緊急特権検索に係る検索結果を集約する際は、前記緊急特権検索対象データテーブルを参照して捜索対象事物に該当するものを含む検索結果のレコードのみをそのままの粒度のまま残し、それ以外のレコードはすべて廃棄することにより検索結果を集約して検索者に検索結果を提供するように構成した前記検索結果提供手段とを備えることにより実現される。
【0013】
課題を解決するための第2の発明は、コンピュータを上記第1の発明に係る検索仲介システムとして動作させるソフトウエアプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、検索仲介システムを、検索者と情報提供者が設置するデータベースの間に仲介させることにより、事前に検索者の情報、データベースの提供条件を記録しておき、検索要求してきた検索者に応じて、検索した情報のうち公開可能な情報を抽出し、あるいは公開可能な形に変換して提供するようにしたので、情報にアクセスしようとする相手に応じて、公開する情報を制御することが可能となる。さらに、検索者に提供される物流管理情報に関与するものは誰でも、事前に第三者開示制限情報を検索仲介システムに登録することにより検索者に提供される情報に一定の合理的なやり方で制限を加えることを可能とすることができ、結果として検索仲介システムに情報提供しようとするデータベース開設者の参加を促し、より利便性の高いシステムとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
《第1の実施形態》
(概要) 以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係る検索仲介システムの第1の実施形態を示す構成図である。図1において、10は利用者端末、20は検索仲介システム、30a〜30cはそれぞれ独立したデータベースシステム(以下単にデータベースと記す)である。利用者端末10と検索仲介システム20はネットワーク2により接続されている。また、検索仲介システム20とデータベース30a〜30cはネットワーク3に接続される。ネットワーク2と3は同一のものであっても良い。
【0016】
利用者端末10は、検索を行う利用者が利用する端末装置であり、ネットワークを介して検索仲介システム20にアクセス可能な汎用のコンピュータで実現される。検索仲介システム20は、利用者端末10からの検索要求に応じてネットワーク上のデータベースを検索し、検索結果を利用者端末10に返信する機能を有するサーバコンピュータであり、検索者情報記憶手段21、提供条件記憶手段22、検索受付手段23、検索依頼手段24、検索結果取得手段25、検索結果提供手段26、内容料金集計手段27、課金・分配手段28を有している。
【0017】
検索者情報記憶手段21は、検索者に関する情報を記憶した記憶手段である。提供条件記憶手段22は、データベース30a〜30cの提供条件を記憶した記憶手段である。検索受付手段23は、利用者端末10からの検索要求を受け付ける機能を有している。検索依頼手段24は、利用者端末10から受け付けた検索要求に従って、データベース30a〜30cに対して検索依頼を行う機能を有している。検索結果取得手段25は、データベース30a〜30cからの検索結果を取得する機能を有している。検索結果提供手段26は、検索者情報記憶手段21に記憶された検索者情報、提供条件記憶手段22に記憶された提供条件を参照し、データベース30a〜30cから取得した検索結果のうち、検索者に公開可能な検索結果のみを抽出し、検索要求元の利用者端末10に提供する機能を有している。
【0018】
内容料金集計手段27は、検索結果提供手段26が抽出した提供情報の粒度と件数に基づく情報提供料とその処理手数料を算定して、検索者ならびにデータベースへの課金・配分を算出する機能を有している。尚、件数とは必ずしもレコード数に対応するわけではない。課金・分配手段28は、検索者への検索利用料金の請求額の記録、およびデータベース30a〜cへの情報提供報酬の分配額の記録を、それぞれ検索者、情報提供者の識別情報に対応付けた記録として作成する。この記録は、郵送等の方法または電子メールなどの電気通信的な方法により、請求額は検索者に、分配額はデータベース開設者に通知される。(図1の矢印つき破線4,5はこの通知を示す)
【0019】
データベース30a〜30cは、それぞれ異なる企業が管理し、検索仲介システム20からのアクセスを許可したデータベースである。各データベースは、互いに独立しており、検索仲介システム20を介さない限り互いの連携はない。図1において、利用者端末10と検索仲介システム20を結ぶネットワーク2、検索仲介システム20とデータベース30a〜30cを結ぶネットワーク3は同一のものであっても別のものであっても良い。利用者端末10からデータベース30a〜30cへは潜在的な通信経路としては到達可能であるが、通信先としての所在が知られておらず、またデータベース30a〜30cから見て利用者端末10は既知の関係に無いため、直接のアクセスは許可されないようになっている。データベース30a〜30cは企業が管理する重要な情報を記録したものであるので、検索仲介システム20にのみアクセスを許可している。このように、利用者端末10からデータベース30a〜30cには直接アクセスできず、必ず、検索仲介システム20を仲介することになる。逆に、この仕組みを利用することにより、検索者はデータベース30a〜30cの所在を特定する必要はなくなる。実務上においても、検索者が、データベース30a〜30cの開設者と個別にアクセス許諾契約を結ぶよう要求し交渉する必要がなくなる。
【0020】
検索仲介システム20は、ネットワークに接続されたサーバコンピュータに専用のプログラムを組み込むことにより実現される。また、検索者情報記憶手段21、提供条件記憶手段22としての情報のデータ記憶領域は、ハードディスク等の大容量記憶装置内に確保される。利用者端末10と検索仲介システム20を結ぶネットワークとしてインターネットを採用した場合には、検索仲介システム20にXML Webサービスサーバの機能を持たせておくことにより、利用者端末10からは、XML Webサービスを利用して検索仲介システム20にアクセスすることが可能となる。検索仲介システム20にXML Webサービスサーバの機能を持たせるには、検索仲介システム20を実現するコンピュータに、例えば、Apache axis(登録商標)と呼ばれるソフトウェアを組み込む。
【0021】
(データ構造)
図2は、検索者情報記憶手段21に記憶された検索者情報の一例を示す図である。本システムを利用して検索を行おうとする者は、事前に検索者自身に関する情報を検索者情報として登録しておかなければならない。本実施形態では、図2に示すように検索者情報として、検索者名、業種、所在地、年商規模、検索者情報開示条件、さらに後述する開示情報の粒度交渉に関わる項目である、需要粒度、交渉方針、到達方針、および、その他の情報を登録している。その他の情報としては、検索者の利用者端末と検索仲介システム20との間の通信を秘匿するための利用者端末を特定する公開鍵データ等が挙げられる。そして、各検索者には、検索者を特定するための検索者IDが発行され、対応付けて検索者情報記憶手段21に登録される。検索者情報開示条件は、検索者情報をデータベースの開設者に対して開示する場合の条件を定めたものであり、検索者情報の各項目単位での設定、開設者の業種に応じた設定が可能となっている。需要粒度の項目には、各情報項目ごとに検索者が希望する情報粒度が登録される。交渉方針の項目は、各データベース開設者が設定している開示粒度が、検索者の設定する需要粒度に至らない時に、検索者がより細かい粒度の情報を得るためにその代償として上積みを申し出る対価供出の事前条件が登録されている。この検索者情報開示条件は、矛盾を起こさない限り1検索者について複数の内容を設定しておくことが可能である。到達方針は、検索者とデータベース開設者が開示情報の粒度について折りあわなかった場合の交渉終了方針(いかなる仕方で妥協をするか)を定める。
【0022】
検索仲介システム20においては、検索者とデータベース開設者の関係に応じて各データベースを検索して得た情報の「粒度」をコントロールして検索者に提供することができる。すなわち、検索結果提供手段26は、図3に示すような、各データベース開設者が定めた粒度処理ルール表を保有しており、データベースに記録される各項目の値は開示粒度レベルに応じて各項目ごとに定義される粗さで表される値に変換されて検索者に提供される。後述する検索者カテゴリ別クラス対応表、クラス定義表に従って、ある検索要求時のデータベースの各項目の開示粒度レベルが決定される。図3に示すように、粒度処理ルール表には、各項目について、レベルA〜レベルdの最大7段階で、どの程度の正確さで情報を提供するかを規定してある。粒度処理を実行するためには、各DB項目にはそれぞれ粒度レベルに応じた「値」の変換ルールが定まっている。これは、図4に例示するように、各粒度レベルに応じた「値」の表現語彙または変換規則を、粒度の粗いレベルDから、最も精細なレベルAまで、階層的に予め定義することに他ならない。
【0023】
ここで、データベース30aに記録された情報の一例を図7に示す。図7に示すように、データベース30aには、記録時刻、商品ID、商品所在、在庫個数、仕入れ元、納入先の項目により1レコードの情報が記録されている。この1レコードはRFIDタグをリーダーが1回読取った時のデータに対応することが普通である。従って、リーダーが1度に複数のタグを読取った場合は、商品IDの項には、読取った複数のタグの記録内容である複数の商品IDが記録されることになる。また、この場合、内容料金集計手段27が情報提供料として算定する際の件数としては、1件ではなく商品タグの個数分の件数としてカウントする。商品所在については、図4に示すような階層構造で記録されている。データベース30a〜30cは互いに独立しており、データベース30b、30cは、図4、図7に示した構造とは異なっている場合もある。
【0024】
図4は項目「商品所在」の階層構造(各粒度レベルで表示する際の使用語彙と変換規則)を示した図である。項目「商品所在」はレベルAからレベルDの4段階の粒度レベルをもち、例えばレベルAで項目「商品所在」の値を表示する場合は、「保管区域イ」、「保管区域ロ」等の値で表示される。また、レベルBでは項目「商品所在」の値を「建屋/施設a」、「建屋/施設b」等で表示する。すなわち各粒度レベルでとりえる値のセット(語彙)は予め規定されている。また、レベルAで「保管区域イ」、「保管区域ロ」、「保管区域ハ」のいずれかで表示される値は、粒度レベルを1階層あげてレベルBで表示しなければならないときは、「建屋/施設a」に変換される。すなわち「建屋/施設a」は「保管区域イ」、「保管区域ロ」、「保管区域ハ」の置き換え語彙である。図4で示される階層構造は、下位レベルの値がより上位レベルではどんな値に置き換えられるか、すなわち、変換規則を示している。
【0025】
この情報粒度低減には検索仲介システム20によるデータ処理の演算負荷を必要とする。元来は自己都合による情報機密と経済価値を守るために各データベースが自力で変換処理を行うべきところを、検索仲介システム20に処理代行をさせていることにあたり、この粒度低減処理のためのコストは情報提供を行う側であるデータベース開設者が負担するのが妥当である。そのため、この低減処理の階層数または階層無差別に1語彙処理ごと、あるいは処理個数に由らない包括として粒度低減処理費用が内容料金集計手段27に累積されていく。検索とその応答が完了するたび、ないしは月次などの定期集計として、内容料金集計手段が累積した情報粒度低減処理費用は、同じく同手段が累積した情報提供対価報酬の各データベース開設者への分配額から相殺する形で、課金・分配手段28に送付され、同手段28の機能により、情報提供者の識別情報と関係付けて記録される。この記録に基づき電子的ないしは在来の商取引手段により決済されることにより、各データベース30a〜cはそれぞれの提供した情報の項目ごとの情報粒度と低減処理費用とその事項数の積算としての対価の配分を受けることができる。
【0026】
提供条件記憶手段22には、提供条件について、クラス定義表と、検索者カテゴリ別クラス対応表、情報提供単価表のそれぞれが記録されている。本実施形態では、クラス定義表と、検索者カテゴリ別クラス対応表により提供条件が定まることになる。図5に、クラス定義表の一例を、図6に検索者カテゴリ別クラス対応表の一例を、また、図9に情報提供単価表の一例を示す。クラス定義表は、データベースが保有する情報の各項目について、どの程度のレベルで開示するかをクラス単位で設定したものである。クラスとは、データベースの各項目についての開示粒度レベルを全項目について定めた場合のその開示粒度レベルのセットのことである。図5の例で、クラス1、クラス2、‥などと表しているのは、そのような開示粒度レベルの様々なセットにつけた名前と考えてよい。すなわち、クラス1、クラス2、‥により、ある開示粒度レベルのセットが特定される。このクラス定義表により、データベースの開設者が、どの程度の情報を公開するかを設定する際に、各項目を個別に設定することなく、簡易に各項目の開示粒度レベルを設定できるようになる。
【0027】
この機構を利用するこれらの検索者とデータベースが共通のデータ交換フォーマット規格を共有している場合、これらの情報粒度処理により初期の原本記録と変換処理後の提供データの形式が整合しない場合も生じる可能性がある。この場合、検索結果提供手段26は、原本記録とは表記書式の異なるフォーマットに変更したデータを作成し、検索者に提供することもできる。事例として、図3の商品IDが記録されている項目をレベルcの商品分類表記に変換した場合、分類の表記書式構造が商品IDとは異なる体系にあったとした場合、原初記録とは別のフォーマットに変更して回答することができる。ただし、これが共有されている規格を逸脱する場合は、検索者には事前に共通規格から拡張ないしは変更される書式についての通達がなされ、検索者の受領機能がそれを処理し解釈する仕組みを備える必要がある。
【0028】
図5の例では、クラス1が最も厳しく、クラスの番号が増えるにつれて緩やかな内容となっている。クラス1は、データベースの存在の公開も不可、データベースの開設者の業種の公開も不可である。クラス1の場合、データベースの存在の公開が不可であるため、データベースに記録された情報の各項目についても当然公開不可である。クラス2は、データベースの存在の公開は可であるが、開設者の業種の公開は不可となっており、在庫個数、商品所在はレベルDでの公開となっている。レベルについては、レベルAが最も詳細な情報を提供するものとなっており、レベルB、C、Dとなるにつれて、大まかな情報を提供するものとなっている。したがって、クラス2は、在庫個数、商品所在ともに、非常に漠然とした形での情報の提供をするものとなっている。クラス3以降は、データベースの存在、開設者の業種ともに公開可となっており、各項目については、在庫個数、商品所在について、クラス番号が増えるにしたがって詳細なレベルで公開されるものとなっていることがわかる。
【0029】
さらに、これらの項目には粒度に応じた情報提供単価が設定されている。一般には、より精細な粒度において提供される情報項目の内容に対しては、情報の正確さ・精密さの点から有用性が高く、業務機密としての経済価値が高いものとして、より粗い粒度における値付けより高額に設定することができるが、提供者の意思によりフラットな価格など任意に設定することもできる。図9は、データベース30aの情報提供単価表の例である。例えば、項目:商品IDはレベルA(記録内容そのまま)で提供を受けると1件あたり100円であるが、レベルc(商品分類)で提供を受けると1件10円になるような設定となっている。
【0030】
図6は、検索者カテゴリ別クラス対応表の一例を示したものである。検索者カテゴリとはデータベース開設者がデータベース開設者の都合により定めた検索者を識別するカテゴリである。検索者カテゴリは検索者情報として登録される検索者属性情報に基づいてデータベース開設者が任意に定義するカテゴリに、通常は、身元開示検索者かそうでないかの2通りの組合せを掛けて定められる。身元非開示検索者、身元開示検索者における“身元”とは、その検索者を特定するのに十分な情報を意味しており、本実施形態では、検索者名である。図6に示した検索者カテゴリ別クラス対応表は、ある1つのデータベースについてのものであり、各データベースについて、同様のものが設定されることになる。クラスの設定は、開設者側が任意に設定することができるが、通常、図6に示すように、身元非開示検索者に厳しいものとなっている。また、カテゴリとして検索者名を直接特定し、クラスを設定することもできる。
【0031】
カテゴリーが判定されることにより、図5の開示制限の組み合わせである項目ごとの開示粒度クラスが定まる。しかしながら、ここで提供者側が検索者カテゴリに基づき図6に従って定まるカテゴリ別クラスにより設定される開示粒度クラスは、図2に示す検索者情報記憶手段21に記録されている需要粒度、すなわち、検索者が欲求する項目ごとの情報粒度を満たさない事態が常態的に発生する。検索結果提供手段26は、このような場合に検索者が設定した需要粒度、交渉方針、到達方針に基づいて、情報提供者側と、より精細な粒度での開示を得るためにネゴシエーションする機能を備えている。これについては、システムの処理動作を説明する際に詳述する。
【0032】
(処理動作)
次に、図1に示したシステムの処理動作について説明する。まず、検索者情報記憶手段21に検索者として登録した利用者は、利用者端末10から検索仲介システム20にアクセスし、検索要求を送信する。この際、検索受付手段23は、検索者の認証を行い、検索者情報記憶手段21に登録されたどの検索者であるかを特定する。これは、例えば、検索者情報記憶手段21にパスワードを登録しておき、アクセスしてきた利用者に対して、検索者IDとパスワードを要求して行うようにすれば良い。より確実に検索者を特定し、通信を保護するためには、検索者が送信してきた検索式文書のハッシュ値を利用者端末10に発給された秘密鍵で暗号化した発信者証明を事前送付された対になる公開鍵で復号し、送付された検索式から送信時と同一のハッシュ法で求めた値と照合することも利用できる。合わせて、検索式本文も検索仲介システム20の発給した公開鍵で暗号化して送信し、受信した検索仲介システム20の秘密鍵で復号することで、系路上の通信を保護することもできる。これにより自己申告された検索者の身元が登録された本来の利用者であることが同定される。
【0033】
検索者IDが特定されたら、検索受付手段23は、その検索者IDで検索者情報記憶手段21を参照し、検索者の属性情報を取得する。ここでは、属性情報として、業種、検索者情報開示条件を取得する。続いて、検索受付手段23は、取得した属性情報で提供条件記憶手段22を参照し、その検索者に対して公開可能なデータベースのアドレスを取得する。例えば、図5、図6の例では、業種非開示検索者に対しては、クラス1に該当するのでデータベースの存在が公開不可となるため、アドレスの取得は行われない。図5、図6の例では、その他の場合には、そのデータベースのアドレスの取得が行われる。このようにして、検索受付手段23は、受け付けた検索者に対して公開可能なデータベースのアドレスを取得していく。
【0034】
提供条件記憶手段22からデータベースのアドレスを取得したら、検索依頼手段24は、利用者端末10から受信した検索要求に従った内容の検索を行うよう、アドレスを取得した全てのデータベースに検索依頼を行う。したがって、検索者の属性が、データベースの提供条件に合わない場合には、そのデータベースについてのアドレスは取得しないため、検索依頼の対象とならない。これにより検索仲介システム20において無効破棄されることが事前に確定している検索結果を得るために無用な検索処理も途上の無効トラフィックも事前に抑制される。データベース30a〜30cの全てのアドレスが取得できた場合には、データベース30a、データベース30b、データベース30c宛てに、検索依頼を送信することになる。
【0035】
データ共有・交換の手法が標準化されていて、検索を依頼されるデータベース30a〜30cが全てこれに準拠している場合は、各データベース30a〜30cにはこの共通の書式での同一内容での検索が依頼される。一方、この標準方式に従わないデータベースに対しては、そのデータベースが交信可能な通信手順および検索式書式に変換して委託する。これには事前にそのデータベースの仕様を取得して設計された変換対照表を利用したり、XSLT(XML Stylesheet Language Transformations)による変換規則を適用するなどの手法を利用する。
【0036】
各データベース30a〜30cでは、検索依頼を受信すると、検索仲介システム20からの依頼であることの認証を行った後、検索依頼を受け付ける。そして、各データベースは、受け付けた依頼内容に従って、自身のデータベース内を検索し、検索結果を得る。検索結果が得られたら、各データベース30a〜30cは、それぞれ検索結果を検索仲介システム20に送信する。このとき返信される検索結果には、検索者によっては公開を制限する必要のある事業上の機密内容が含まれている場合がある。回答にあたって実際の検索者を認識し、事業上の関係に照会して秘匿するべき内容を省略する処理を、回答するデータベース30a〜30c側で実現することも可能であるが、これには本来、自社内で活用するために開発されたデータベースシステムに当初想定外の社外向けの情報管理機能を与えるための改修を加える必要が生じるとともに、その情報管理処理負荷により本来用途への能力圧迫を招く弊害が生じる、ないしはそれを見越した余分な能力増強を迫られることがある。本発明では、検索仲介システム20において提供条件に基づいた公開内容抽出を行っているため、データベース30a〜30c側でこの秘匿処理負荷を負う必要がない。
【0037】
検索仲介システム20では、検索結果取得手段25が、データベース30a〜30cから送信された検索結果を取得する。このとき、回答するデータベースの中に標準から外れた通信手順と回答書式を要するものがある場合には、それに応じた回答手段で検索結果を取得し、標準不整合な書式から、検索式変換を行ったときと同様に事前取得したその仕様に基づく変換手段を適用することにより、他の標準法と同等の回答に整形変換することを事前処理として行うことにより、続く他の回答と同じ開示提供可能な情報の抽出が可能になる。続いて、検索結果提供手段26が、検索者情報記憶手段21に記憶された検索者情報、提供条件記憶手段22に記憶された提供条件を参照して、提供すべき検索結果を抽出する。例えば、この検索の検索者IDがA001であった場合、検索結果提供手段26は、検索者情報記憶手段21を参照し、業種「ドラッグストアチェーン」、検索者情報開示条件について「製薬業には業種のみ開示」を取得する。そして、検索結果提供手段26は、取得した情報で提供条件記憶手段22を参照する。
【0038】
ここでは、データベース30aについての処理について説明する。検索者A001は「製薬業には業種のみ開示」であるので、検索結果提供手段26は、データベース30aの開設者の業種を確認する。データベース30aの開設者が製薬業であったとすると、検索者A001の検索者情報は、データベース30aに対しては「業種のみ開示」となる。そして、検索結果提供手段26は、身元非開示検索者、業種「ドラッグストアチェーン」で検索者カテゴリ別クラス対応表(図6)を参照し、「クラス4」を取得する。さらに、この「クラス4」でクラス定義表(図5)を参照し、データベース存在の「公開可」、開設者業種の「公開可」、商品所在「レベルC」、在庫個数「レベルC」、商品ID「レベルB」を取得する。
【0039】
一方、検索者A001の求めている提供情報の粒度レベルを検索者情報記憶手段21の需要粒度の項目から求めると、例えば、商品所在「レベルD」、在庫個数「レベルB」、商品ID「レベルA」であったとする。この場合、図10に示すように、商品所在については検索者の要求する以上の開示粒度レベルでの情報提供が可能とされるが、在庫個数と商品IDについては、情報提供者が標準的に設定する開示粒度レベルは検索者の求める開示粒度レベルを満足していない。情報提供者と検索者の立場の違いにより、このような齟齬はまま起こりえるが、このような場合には検索結果提供手段26における粒度交渉処理機能が機能する。
【0040】
図11は、検索結果提供手段26の作用である開示粒度決定処理の動作を説明するフローチャートである。ここまでの動作を図11に従って説明する。まず検索者の開示条件を検索者情報記憶手段21を参照して読み込み、情報提供者の設定する検索者カテゴリ別クラス対応表およびクラス定義表から、当該検索者に対する各項目毎のデフォルト開示粒度を判定する(S100)。一方検索者情報記憶手段21の当該検索者の需要粒度の項目を参照して、当該検索者の求める核項目毎の粒度レベルを特定する(S102)。両者をつき合わせて比較する(S104)。全ての項目でデフォルト開示粒度が検索者の需要粒度レベルを満足している場合は、デフォルトの開示粒度レベルと情報単価が適用される(S106)。これに対し、先の例では図10のようなテーブルが得られるが、これによると、商品所在は需要粒度を満足するが、在庫個数と商品IDの項目は需要粒度を満足していない。したがって粒度交渉処理が動作する(S200)。この結果、粒度交渉処理結果で定まる粒度レベルと情報単価が適用される(S106)。
【0041】
次に、図12のフローチャートに従って粒度交渉処理を説明する。以下先の例と同様、検索者A001,データベースは30aとして説明する。まず、検索者の交渉方針を検索者情報記憶手段21の当該検索者の「交渉方針」の項目を参照して一時記憶する(S201)。次に、交渉方針に従い当該項目の判定開示粒度の価格に許容最大額を上乗せする(S203)。検索者A001の場合は、「20%上乗せ」となっているので、在庫個数:Cレベルの情報単価の20%増しの価格を設定する。この価格(許容最大額を上乗せした提示価格、または提示価格)が当該項目の需要粒度での単価を満足する(同額かそれを超える)かどうかを判定する(S203)。満足すれば(S205のYes)、その項目については需要粒度で情報開示を受けることし、その開示粒度レベルの単価が適用される(S207)。ここで、交渉方針の内容(項目の値)としては、「単価20%上乗せ」、「2段階まで高位粒度レベルの料金受容」、「単価20円上乗せ」などを設定できる。
【0042】
一方、提示価格をもってしても当該項目の需要粒度での単価を満足することができないときは(S205のNo)、検索者情報記憶手段21の当該検索者の到達方針を参照する(S211)。到達方針は、「最善」、「未達時不変」、「未達時検索撤回」
等のうちから一つを設定できる。到達方針が「最善」のときは(S213のYes)、提示価格以内で得られる最善粒度(最も精細な粒度)を当該項目の適用開示粒度および単価とし(S215)、S223に進む。到達方針が「未達時不変」のときは(S213のNo)、デフォルトの粒度を当該項目の適用開示粒度および単価とし(S215)、S223に進む。到達方針が「未達時検索撤回」の場合は、検索をキャンセルすることとし(S219)、直ちに粒度交渉処理を終了する。
【0043】
当該項目についての粒度と単価が決定したならば、必要な項目すべてについて粒度交渉が終わったかどうかをチェックして(S223)、まだ残っている項目があればS203に戻り次の項目について粒度交渉を繰り返す。
このようにして、検索結果提供手段26は、検索者情報記憶手段21に格納されている検索者情報と提供条件記憶手段22に記憶されている情報提供者の条件とをつき合わせて自動的に提供情報の粒度と提供コストの交渉を行うことができる。(但し、粒度交渉途中で検索撤回された場合は、そのデータベースからの情報取得はキャンセルされる。)
【0044】
この結果、商品所在に関する情報であれば、データベース30aの開設者が検索者A001に対して設定したデフォルト開示粒度レベルCの「事業所に包含」が適用される。それに伴い、検索仲介システム20に事前に通知されているないしはデータベース30a自身が検索仲介システム20からの問合せに対して都度供給するデータベース開設者の属する事業所の施設帰属関係を記述した図4に示す構造の事業所構成マスターデータを参照することで、この帰属の階層に割り当てられた段階意味属性としての「企業(大代表)事業所に包含」の階層まで、取得した商品所在情報からその帰属先を繰り上げていくことで、検索者に回答するべき指定の情報粒度に適った所在表記内容を得ることができ、これを検索者への回答として抽出することで実際の検索結果が元来持っていた商品所在の精細度と異なるデータベース30aの開設者の指定した公開範囲を順守することができる。また、在庫個数、商品IDについては、粒度交渉処理結果が適用される。つまり、情報提供者の都合だけではなく、検索者のニーズを一定限度反映した形での、あるいは情報提供者と検索者のお互いの情報開示/取得ポリシーを円満に妥協させた形での情報提供および情報取得が可能となる。
【0045】
同様に、検索者は、他のデータベースからも自身の検索者情報とデータベースの提供条件に対応したレベルの情報を取得することになる。
【0046】
公開する情報の決定について、再度説明しておく。たとえば、データベース30aの開設者の業種が製薬業である場合を考えてみる。データベース30aを検索者A003が検索する場合、図2に示すように、検索者情報開示条件が「小売、製薬業には開示」となっているので、データベース30aには検索者A003の検索者情報が開示されることになる。また、図2に示すように、検索者A003は、卸売業であるので、図6の検索者カテゴリ別クラス対応表で、情報開示検索者、卸売業を参照して、クラス6と判定される。一方、データベース30aを検索者A001が検索する場合、図2に示すように、検索者情報開示条件は「製薬業には業種のみ開示」となっている。この場合、データベース30aの開設者は製薬業であるため、業種のみ開示されることになる。そして、図6の検索者カテゴリ別クラス対応表で、身元非開示検索者、ドラッグストアチェーンを参照して、クラス4と判定される。クラス4の場合、図5に示したクラス定義表より、商品所在はレベルD、在庫個数はレベルC、商品IDはレベルBとなる。商品所在はレベルDであるので、企業名のみ公開される。在庫個数はレベルCであるので、桁数のみ公開される。商品IDはレベルBであるので、品種コードが公開される。このように、検索者が業種のみ開示している状態、すなわち匿名と実名の狭間に当たる限定的な属性開示を行っている場合であっても、適切な公開情報の抽出範囲を設定し、確実に履行させることができる。
【0047】
以上のようにして、公開すべき情報を決定し、検索結果を提供することになるが、検索者情報記憶手段21に記憶された検索者情報内の検索者情報開示条件から、事前に図8に示すような各開設者別に対する検索者−開設者対応表を作成しておくようにしても良い。図8に示すような検索者−開設者対応表を所定の記憶領域に記憶させておくことにより、検索仲介システム20は、検索者IDを特定した後、検索者−開設者対応表を参照して、即座に検索依頼を行うべきデータベースが特定できるとともに、返ってきた検索結果から検索者に回答すべき内容の特定を行う際にも、図6に示した検索者カテゴリ別クラス対応表の参照を高速に行うことが可能となる。
【0048】
(実施形態1のまとめ)
図13及び図14は、これまで詳細に説明した実施形態1のシステムの概要を端的に説明する流れ図である。左端のフローは検索者側の処理の流れを表す。中央のフローは検索仲介システム20の処理の流れを表す。右端のフローは情報提供者のデータベースサーバの処理の流れを表す。以下図13,図14により実施形態1のシステムの動作を要約する。まず検索者、情報提供者それぞれの側で検索仲介システム20に必要な情報を設定する(図14S20、S30)。検索仲介システム20はこれらの登録要求を受け付けて所与のテーブルに登録する(S700)。検索者は必要なタイミングで検索式を伴う検索要求を検索仲介システム20に発行する(図13S22)。検索仲介システム20はこれを受付け、当該検索者の検索要求を受け入れられる情報提供者を選択して、それら全てに検索要求する(S710)。このとき、検索仲介システム20は後の処理のために検索者からの検索要求の1件ごとにユニークな検索識別子を生成しこれを記憶手段に保持するととともに、情報提供者へはこの検索識別子を付して検索要求する。情報提供者側は、検索式を受けて(S32)、データベースを検索し結果を検索識別子を付して検索仲介システム20に返す(S34)。検索仲介システム20は検索要求した全ての情報提供者から提供された検索結果を受信し(S720)、その検索識別子が同一のものを集約するがその際、各情報提供者の提供情報粒度が検索者の需要粒度に満たない時は両者の粒度交渉処理を実行する(S730)。粒度交渉の結果、検索者の負担額、情報提供者への分配額を計算する(S750)。検索者へのデータ提供、課金および請求通知、情報提供者への分配金通知を行う(S760)。検索者は請求通知を受領する(S24)。情報提供者は分配金通知を受領する(S36)。
【0049】
《実施形態2》
次に本発明の第2の実施形態を説明する。
(実施形態1との相違)
第1の実施形態では、検索者と情報提供者とが提供情報について粒度交渉処理(図12、図13のS730)を行うことが含まれていた。第2の実施形態では、これに加えて、第三者による提供情報の開示制限処理が行われることが特徴である。図15及び16は、図13及び14と対比させて第2の実施形態のシステムの概要を説明する流れ図である。(図15,16で図13,14と同じステップ番号を付されている処理は第1の実施形態の処理と同じ処理がそこで行われることを表す。よってそのような処理の説明は以下適宜省略する。)図15,16の最左端に第三者のフローが追加されている。ここで第三者とは、粒度交渉処理の当事者である検索者と検索要求に応じて情報を提供する一の情報提供者以外の第三者である。したがって、1回の検索要求に応えて複数の情報提供者が情報提供する場合は、その中の一つの情報提供を行うデータベース開設者であってもよい。また、検索を行うだけの参加者であってもよい。この第三者は、第三者開示制限処理を実行するために必要な情報(第三者開示制限キーなど、詳細は後述する)を検索仲介システム20に対して事前に登録要求する(図15S10)。検索仲介システム20は、第三者が登録要求した設定情報を受付け、検索者の登録要求情報、情報提供者の登録要求情報とともにそれぞれサーバの記憶手段の所定のテーブルに記録する(S701)。検索者による検索仲介システム20への検索式発行処理(図16S22)後の、情報提供者の選択(S710)、各情報提供者でのデータベース検索(S32,S34)、検索仲介システム20の検索結果受信(S720)、検索者と検索結果を提供した情報提供者との間の粒度交渉処理(S730)は実施形態1と同様に行われる。この後、粒度交渉処理(S730)で一旦決定された、この検索者に対する各情報提供者の情報提供データについて、第三者開示制限キーに該当するデータが存在する場合には、当該情報提供者から当該検索者への提供情報について第三者開示制限処理(S740)が施される。その結果最終決定される提供情報について、検索者、第三者の負担額、各情報提供者への分配金が計算され(S751)、検索者へのデータ提供、課金および請求通知、第三者への課金および請求通知、情報提供者への分配金通知を行う(S761)。このように、第2の実施形態では、第三者の開示制限処理が施される可能性があることが第1の実施形態に係るシステムとの最大の相違である。以下、第2の実施形態に係る情報提供システムの機能構成、第三者が設定する情報、第三者開示制限処理について具体的に説明する。
【0050】
(第2の実施形態に係る情報提供システムの概要)
図17は、第2の実施形態に係る情報提供システムの構成図である。図1の番号と同じ番号の構成要素は第1の実施形態と同じ構成要素であることを表すので説明を省略し、図1と異なる部分だけ説明する。29は提供条件制約記憶手段である。検索者情報記憶手段21、提供条件記憶手段22と同様に、検索仲介システム20として稼動するサーバコンピュータの大容量記憶装置内に提供条件制約記憶手段29としての記憶領域が確保される。第三者の開示制限にかかわる必要な情報を登録する。検索結果提供手段26は、提供条件記憶手段22だけでなく提供条件制約記憶手段29の内容をも参照して提供情報を最終的に決めることになる。また、40は緊急特権付与手段、41は「権威機関」のサーバである。緊急特権付与手段40、「権威機関」については後で詳述することとし、まず、第三者開示制限も機能に絞って第2の実施形態に係る情報提供システムを説明することにする。
【0051】
(第三者開示制限のために設定する情報)
次に第三者開示制限のために設定する情報について詳しく説明する。
図18は、第三者が指定する劣化指示対象データキーテーブル(T100)である。このテーブルでは、ある参加主体が検索制限処理を発動するきっかけとなるキー情報を登録する。T100の各行は、1つの開示制限キーを特定する情報、または関連する情報を表す。T100の第1列はキーを区別する番号が記録される。第2列はキーが表す項目の種類を示す。すなわち商品IDや出荷先、商品所在など、検索結果として検索者に提供されるデータレコードのもつ項目のどれかが指定される。第3列以下はキーの詳細情報である。キーが表す項目によりその行の各列のセルに登録される情報の意味は少し異なる。キーが表す項目が商品IDの場合には、企業番号、商品品種番号、個品番号が第3列〜第5列に設定される。商品品種番号はJANコードに相当する情報、個品番号はシリアル番号(製造番号)に相当すると考えてもよい。また、キーが表す項目が商品所在の場合には、企業番号、事業所番号、施設番号が第3列〜第5列に設定される。また、キーが表す項目が出荷先の場合には、企業番号、事業所番号、施設番号が第3列〜第5列に設定される。ただし、開示制限キーの設定に当たって、第4列、第5列の指定は適宜省略することができる。その場合は図18で示すように‘*(アスタリスク)’を設定する。
【0052】
以下の説明では、データベース30xのデータベース開設者でもある参加主体Xが第三者開示制限のための情報を設定した場合として説明する。参加主体Xは自身が情報提供者でもあるので、図19に示すように参加主体Xが設定するデータフィルタクラス定義表(T105)を持つ。データベース30xは、図17のデータベース30a、30b、などと同じ検索仲介システム20からのアクセスを許可した独立したデータベースである。図17に図示はしていないが、ネットワーク3に接続される(あるいは、30b、30cのいずれかが30xであるとしてもよい)。
【0053】
図20は、参加主体Xが設定する検索者カテゴリ別制限到達目標クラス設定表(T102)である。参加主体Xは、T102により、検索者のカテゴリ別に開示制限する程度(制限到達目標クラス)とそのための開示制限処理ルールを設定する。開示制限する程度(制限到達目標クラス)は、表T102の第2行に、クラス定義表(T101)のクラスにより指定する。また、開示制限処理のルールは、表の第3行に「制限方針」を、第4行に「到達方針」を設定する。制限方針の意味するところは、検索者情報記憶手段21に記憶される粒度交渉処理のルール指定における「交渉方針」と同じである。すなわち、開示制限を要するデータがあったときに、そのデータの情報粒度が制限到達目標クラスで設定される粒度より精緻な場合には、第三者がより粗い粒度の情報とするためにその代償として申し出る対価供出の事前条件が登録されている。また、「到達方針」は、検索者情報記憶手段21に記憶される粒度交渉処理のルール指定における「到達方針」と同じである。すなわち、データベース開設者が提供する開示情報の粒度と第三者が要求する粒度について折りあわなかった場合の制限処理終了方針(いかなる仕方で妥協をするか)を定める。
【0054】
検索者がA001の場合は、業種が「ドラッグストアチェーン」であるから、表T102より、参加主体XからみてA001に提供されるデータは(参加者Xの定義する)クラス4であることが望ましいことになる。このとき(制限方針、到達方針)は(各項目一律10円限度、最善)ということになる。図19は参加者Xが定義するクラス定義表(T105)である。この表より、例えば商品IDについてはレベルBがXが希望する粒度であることがわかる。
【0055】
図21は、参加主体Xが設定するデータベース情報提供者カテゴリ別制限到達目標クラス設定表(T103)である。参加主体Xは、T103により、データベース情報提供者のカテゴリ別に開示制限する程度(制限到達目標クラス)とそのための開示制限処理ルールを設定する。開示制限する程度(制限到達目標クラス)は、表の第2行に、クラス定義表(T101)のクラスにより指定する。また、開示制限処理のルールは、表の第3行に「制限方針」を、第4行に「到達方針」を設定する。これらは検索者カテゴリ別制限到達目標クラス設定表(T102)の場合と同様である。情報提供者30aの業種が「製薬業」の場合は、表T103より、参加主体Xからみて30aから提供されるデータは(参加者Xの定義する)クラス3であることが望ましいことになる。このとき(制限方針、到達方針)は(各項別、未達時干渉撤回)ということになる。表T105より、例えば商品IDについてはレベルCがXが希望する粒度であることがわかる。
【0056】
第三者Xが第三者開示制限のために設定する情報は、劣化指示対象データキーテーブル(T100)、データフィルタクラス定義表(T101)、検索者カテゴリ別制限到達目標クラス設定表(T102)、データベース情報提供者カテゴリ別制限到達目標クラス設定表(T103)の4個のテーブルと、T102とT103のどちらを優先させるかを定めた優先指示の情報である。あるデータベース解説者から提供されるデータの中に開示制限を要するデータ(開示制限キーのいずれかに該当するデータ)が含まれていた場合に、第三者から見ると、当該データを提供する側が表T103により識別されるカテゴリと、当該データを受ける側が表T102により識別されるカテゴリと、があり、それぞれが制限到達目標クラスを有する。したがって、表T103により指定される制限到達目標クラスと表T102により指定される制限到達目標クラスとが相違する場合にいずれを優先させるかの指定を優先指示の指定として定めておかなければならない。これらの情報は、提供条件制約記憶手段29に登録され記録保持される。
【0057】
図22は、第三者データフィルター指示一覧表(T104)である。検索仲介システム20は、第三者開示制限を希望する各参加者から登録要求される情報(表T100〜T103)を提供条件制約記憶手段29に記録するとともに、すべての第三者開示制限依頼者からの依頼内容を集約した一覧表を第三者データフィルター指示一覧表(T104)として作成し提供条件制約記憶手段29に記録する。第三者データフィルター指示一覧表(T104)の各行は、開示制限処理に必要な4種のテーブル(表T100〜T103)へのリンクと、表T102と表T103のどちらを優先させるかを定めた優先指示の情報を、第三者からの1回の登録要求ごとに記録したものである。表T104において登録要求者は第1列に依頼者IDにより記録される。第2列の指示票IDは、このテーブルの各行(1レコードに対応)にユニークに振られるIDである。第三者からの1回の登録要求で設定される情報、すなわち、表T104の1行の内容である表T100〜T103へのリンクと、T102とT103のどちらを優先させるかを定めた優先指示の情報のセット(これを第三者開示制限情報セットと呼ぶことにする)は、そのつど内容を変えることが可能である。図22では、指示表ID#0087と#0088の記録は、参照する劣化指示対象データ指定キーテーブルが一方で#2557、他方は#5098でリンクされるが同一のデータベース開設者から設定されている。
【0058】
(第三者開示制限の処理フロー)
次に図24および図25により第三者による開示制限処理およびそれに伴う粒度交渉処理の詳細な動作フローを説明する。図16のS730の処理までが終了したとする。検索結果提供手段26は検索仲介システム2020の記憶手段の所定の領域に、検索者との粒度交渉処理が済んだ状態の各情報提供者から提供された情報(提供予定データ)を各情報提供者ごとに保持しているものとする。この状態で図16のS740の処理に入ると、まず、検索結果提供手段は後で参照するために検索者IDから検索者カテゴリを決めてこれを記憶保持する(図24のS300)。次に提供予定データを提供する情報提供者のうちの最初の情報提供者を定める(S305)。その提供者の提供予定データを検索結果提供手段26の作業データ記憶領域に読込む。このときその提供者のカテゴリも記録しておく(S310)。作業データ記憶領域から1件のレコードを読込み「処理対象」とし、その複製を取り「処理後」とする(S315)。
【0059】
表T101および表T100を参照して最初の開示制限キーをひとつとる(S320)。「処理対象」が開示制限キーに該当するかどうか検査する。開示制限キーは1件のレコードのある項目の条件として設定されているので、「処理対象」のある項目の値に注目することになる(S325)。該当しないときはS355にジャンプする。該当するときは、開示制限キーにより決まる該当項目の希望制限粒度を、その開示制限キーを指定している第三者開示制限情報セットを参照して決定する(S330)。この処理は、S300、S310で記録した検索者およびその時の情報提供者それぞれのカテゴリと、表T101の第5列、第6列のリンクを辿って対応する表T102,T103を参照してそれぞれの制限目標到達クラスを求め、優先指示により決定される制限目標クラスをキーにして第三者が設定するデータフィルタークラス定義表T105により該当項目のレベルを求め、このレベルをキーにして第三者が設定する粒度処理ルール表(ここでは便宜上、図3の情報提供者30aが設定しているものと同じものを想定する)を参照して当該項目の希望制限粒度が決定されることになる。
【0060】
次に、希望制限粒度と「処理対象」の該当項目の粒度(現在粒度)のどちらが粗いかを比較する(S335,S340)。現在粒度が希望制限粒度と同じかそれより粗い場合は何もする必要が無くS335にジャンプする。現在粒度が希望制限粒度より細かい場合は、粒度交渉処理および第三者が情報提供者に支払う補償料を計算する処理を行う。この処理の詳細は後述する。粒度交渉処理の結果、当該項目についての交渉後粒度が定まる(S345)。交渉後粒度と「処理後」の該当項目の粒度を比較する。「処理後」の該当項目の粒度の初期値はS315で設定した開示制限処理前の粒度である。「処理後」の該当項目の粒度よりも交渉後粒度(いまの開示制限キーにより決まった粒度)のほうが粗い場合は、「処理後」の該当項目の粒度を交渉後粒度に更新する。そうでない場合は、交渉後粒度による更新を行わない(S350)。この結果、「処理後」の各項目の粒度は、それまでに関与した開示制限キーに基づいて粒度交渉した交渉後粒度のうちのもっとも粗いレベルを維持することになる(S355)。1件のレコード=「処理対象」について、T101,T100に記録されているすべての開示制限キーに関してS325からS355を繰り返し、すべての開示制限キーについて処理し終わったならば、その時の「処理後」レコードをS315で読込んだ「処理対象」に代わる情報提供する1件のレコードとする。(S360)。以上の処理をすべての同一情報提供者が提供予定のデータのレコード(S365)、すべての情報提供者について行えば(S370)、各提供データはそのデータに関与する開示制限キーが1つ以上存在する場合に、交渉後粒度の最も粗いレベルで書き換えられることになる。
【0061】
(第三者開示制限時の粒度交渉処理、補償料計算処理)
図25は図24のS345の処理をより詳しく説明するフロー図である。希望制限粒度が、「処理対象」のその時の開示制限キーの対象となる項目の粒度(現在粒度)より粗いときに、現在粒度を希望制限粒度とできるかどうかの交渉処理および、そのために必要な補償料金を算定する。
【0062】
まず、第三者のその情報提供者またはその検索者についての制限方針および到達方針を表T103または表T102を参照して一時記憶する(S401)。どちらの表を用いるかは当該開示制限キーの属する第三者開示制限情報セットのカテゴリルール優先指示の指定(表T101の最右列の内容)による。(S330で希望制限粒度を求めた時と同じ表の方を用いる。)次に、現在粒度を希望制限粒度とするために情報提供者に支払うべきデータ1件ごとの補償額を表T200を参照して求める(S405)。この補償額が制限方針で定める限度内かどうかを検査する(S410)。限度内、または(制限方針、到達方針)=(完全達成、妥協せず)である場合は、当該項目については希望制限粒度を交渉後粒度とする(S415)。その時必要な補償額を第三者がその情報提供者に支払う補償料として積算する(S420)。この補償額が制限方針で定める限度を超える場合は、到達方針が‘最善’か‘未達時干渉撤回’かにより処理が分かれる(S430)。到達方針=‘最善’の場合は、制限方針で許容されている拠出限度額以内で得られる最も粗い粒度を表T200より求め、これを当該項目の交渉後粒度とする(S435)。その時必要な補償額を第三者がその情報提供者に支払う補償料として積算する(S436)。到達方針=‘未達時干渉撤回’の場合は、現在粒度を交渉後粒度とする。粒度を粗くしなかったので補償額の積算はしない(S440)。
【0063】
この最終粒度の決定手順は、上記の情報提供者が設定している提供情報粒度を出発点にして、制限を加えたい第三者が希望する提供情報粒度を順次比較して、より厳しい(より粗い)粒度への交渉が成立する場合に実際に提供する情報粒度を更新する手順となっているが、これは提供する粒度の決定を行うアルゴリズムの一例を示したものであり、他の実現方法も考えられる。他の方法の一つは、提供情報の各項目ごとに、情報提供者のその項目の希望粒度より粗い開示粒度を希望するすべての第三者について、各第三者がそれぞれ希望する開示粒度をそれぞれの各第三者のインデックスを付記して厳しい順に並べ直し、第三者を第三者(1)、第三者(2)、‥と順位付けする。k=1とし、情報提供者は、第三者(k)と交渉する。交渉後粒度が決まるまではk=2,3,と第三者の順位を動かしてゆく、k=nで初めて交渉後粒度が決まったならば、n<=mの順位の第三者(m)はすべて、自分が要求した開示粒度での提供は満たされたとして要求した粒度までの開示制限に要する補償額を算定するという手順である。この手順では、結果は図24のフローの場合と同じであるが、関与する第三者の数が少ないと見込めるならば、このアルゴリズムのほうが処理が速いと期待できる。
【0064】
第三者が各情報提供者に支払う補償料は最終的に内容料金集計手段27に通知される。
【0065】
図23は、情報提供者が設定する第三者粒度劣化補償料表(T200)である。この表は情報提供単価表を兼ねている。つまり図9の内容を包含している。上記、S420,S436ではこの表を参照して補償料を算出する。例えば商品IDについて、レベルBからレベルCに粒度を制限する場合は、第三者は表T200の2行6列を参照することにより1件につき30円負担しなければならないことになる。一方そのレベルで検索者に最終的に提供されるとすると、検索者は1件25円のコストを要するが当初レベルBでは50円だったから、粒度が粗くなった分だけ情報提供料はディスカウントされるわけである。内容料金集計手段27は、このように表T200を参照するなどして、参加主体X(データベース30開設者)のアカウントに付けられたフィルター処理料を課金・分配手段28に登録し、課金分配手段28は第三者開示制限処理の依頼者であるXに処理料金を請求する。依頼者がデータ提供者の一角でもある場合は、別件の検索におけるデータ提供者として受け取るべき報酬から相殺することもできる。徴収されたフィルター処理料は中継システムの処理手数料を割り引いてデータ提供者に配分される。
【0066】
図24および図25のフローチャートにより、提供情報制約記憶手段29を参照して第三者開示制限処理を行う検索結果提供手段26の動作を詳しく説明した。説明した動作では、一つの提供予定データの特定の項目が複数の異なる第三者P,Qが設定した開示制限キーに該当する場合は、開示制限処理の結果、P、Qのうちより粗い交渉後粒度のレベルに設定される。このときP,Qいずれも、自身の粒度交渉処理結果である交渉後粒度とするために要する補償料をデータベース開設者に支払う債務を負うことになる。これは、一方は他方より緩い開示制限を要求していたとしても、最も厳しい開示制限レベルにて情報提供されることによりいずれの第三者も開示制限要求した目的が達せられたと考えられることによる。しかしながら開示制限をかける第三者に、本来データベース開設者がより細かい粒度の情報を提供することによって検索者から得られたはずの対価が減少する補償をどのように課すかまではビジネスのルールに属することであり、PとQで補償料を折半するなどさまざまな実現形態が考えられよう。
【0067】
以上、本発明の好適な実施形態である実施形態2について説明した。実施形態2の態様では、検索者の希望する需要粒度に満たない場合に、その原因が情報提供者の側にあるのか、第三者が干渉した結果なのかは検索者には明示的にわからないようにできる。
【0068】
(緊急特権による検索について)
実施形態1および2の双方、特に実施形態2に係る情報提供システムにおいて、様々な関係者の利害により検索者が必要とする詳細な粒度の情報の取得を制限することが実現できる。しかし検索の背景事情によっては、このような粒度の劣化や情報の所在自体の隠蔽が社会的な利益に反する場合が起きうる。この好例として、「リコール」により欠陥を抱えた製品の所在を付きとめて、早急に回収を図らねばならない場合がある。
そこで、検索仲介システム20には、こうした公益維持を目的とした緊急事態に対応して、ほとんどの粒度制限を乗り越える「緊急特権」行使機能を備えることが要求される。こうした事件事故に関係している製造(メーカー)の単体のデータベースであれば令状など公的機関の正規の手続きに基づいて個別に捜索することが行えるが、メーカーから出荷され既に流通業者に渡ったものについては、在来の方法では一斉捜索を実施することは不可能であった。それに対して、この検索仲介システム20を介してこれらの一時保有者あるいは、自らはリコール品の保有者とは認識していない保有者の保持する情報に幅広くアクセスできるようになることで、こうした社会的要請への対応が大きく改善されることが期待される。そのためにも、公益に適った緊急検索で各種の制限を乗り越えて、秘匿される可能性のある詳細情報に到達するための特権手段は大きな意味を持つ。
以下の説明では、リコールなど特定の商品についての緊急の回収、公益利益を目的としたその他の優先的なまたは強制的な調査、あるいは法的権原を伴う捜索についての公益指令や公的承認、あるいは令状の発行を行いえる業界団体、公的機関、自治体または国の機関を「権威機関」と総称することにする。検索仲介システム20が行う検索処理のうち権威機関による真正の電子署名が付された検索リクエストによるものを「緊急特権検索」と呼ぶことにする。
【0069】
(緊急特権付与手段40について)
第2の実施形態に係る情報提供システムの検索仲介システム20は緊急特権付与手段40を備える。緊急特権付与手段40は、権威機関の署名の真正を確認し、特権を認定した配布検索式の識別子を記憶し、回答に添付される検索式識別符号との照合に備える。このために権威機関の身元証明となる電子証明書を格納する記憶手段、および権威付けられた認証局への照会手段を備える。
【0070】
(緊急特権検索の流れ)
図26は、第2の実施形態に係る情報提供システムにおける緊急特権検索の処理フローを説明する流れ図である。以下、図26により緊急特権検索の処理フローを説明する。
【0071】
まず検索者(何らかの事故の当事者等)は、事態の収拾を図るために必要な情報を得るための緊急特権検索式を作成し、定められたプロトコルにより、この検索式に権威機関の電子署名を付してもらうよう該当する権威機関にリクエストする(S80)。このリクエストには、検索者の真正性を証明するための検索者自身の電子署名も当然ながら含まれる。この電子署名による相互認証については特にその方式を限定するものではないが、今日ではPKI(公開鍵暗号基盤)の仕組みを利用するのが最も現実的である。前後するが、図26にはPKIを利用して相互認証するために、権威機関が権威機関の公開鍵を配布し、検索仲介システム20がこれを受け、自身の記憶手段に登録するとともに、情報提供者にも公開鍵を配布するステップ(S90,S800,S70)を含めて描いてある。
権威機関は、リクエストを受付け、発信者の身元を確認できたならば、その時点で当該事故の対策であることを知ることができるわけであり、受け取ったリクエストの内容である緊急特権検索式に権威機関の電子署名を付加して検索者に返信する(S92)。
【0072】
検索者は、権威機関の電子署名が付加された検索式(緊急特権検索式)による検索リクエストを検索仲介システム20に改めて発信する(S82)。
検索仲介システム20は受信した検索リクエストに通常は含まれない直接の送信者ではない電子書名が添付されていることを検出する。緊急特権付与手段40は、その電子署名が正規の権威機関によるものであるか否かを所定の手続きにより確認し、そうであれば、この権威機関が認証した検索式中にある捜索対象となっている事物、大抵は特定の製品の特定のシリアル番号あるいはロット番号、製造日時の集合か区間の事物を特定する。通常は製品の品種番号などものを特定する情報項目で捜索されると考えられるが、場合によっては、たとえばある場所にある特定の時期に保管されていたあらゆるものが環境影響で汚染されている可能性があるなど、場所と時刻をキーとした捜索が実施される可能性がある。この事物の範囲を特定するとともに、捜索物と所在を特定するために保全しなければならない情報項目と、捜索対象とは無関係で検索者が知るべきでない事物を切り分ける。その結果捜索対象を、(キー番号、キーが表す項目の種類、キーの詳細情報)の情報の組で表す。この表現形式は、劣化指示対象データキーテーブル(T100)と同じものである。すなわち、キーが表す項目の種類としては、商品IDや出荷先、商品所在など、検索結果として検索者に提供されるデータレコードのもつ項目のどれかが指定される。キーが表す項目が商品IDの場合には、企業番号、商品品種番号、個品番号が、それぞれ3番目〜5番目のデータとして設定される。この情報は、緊急特権検索対象データキーテーブル(図示せず)として劣化指示対象データキーテーブル(T100)と同様に、提供条件制約記憶手段29に登録される。
【0073】
この「緊急特権検索」であることが証明された検索式も、検索依頼手段24を通じて全ての加盟データベース30a〜30cに一斉検索が掛けられる(S810)。その際、加盟データベースへの一斉検索の1件についてユニークに付番される検索識別子が緊急特権検索であることを示すフラグとともに検索仲介システム20の所定の記憶領域(検索結果提供手段26が参照可能な記憶領域)に記録される。
【0074】
情報提供者側は、緊急特権検索の検索リクエストを受領する(S72)。情報提供者側は、通常の検索仲介システム20からの検索に回答するのと変わらずに、検索結果をそのまま検索仲介システム20に回答する(S72)。尚、これまで特に触れていなかったが、検索仲介システム20への通常の検索結果回答の際、情報提供者側で自ら自家製の粒度処理を施すということを通常の処理で行っている情報提供者も想定される。そのような情報提供者は、緊急特権検索に対して回答する場合は、自家製の粒度処理をしないで検索結果を提供することが要請される(S72)。
【0075】
検索仲介システム20は、検索結果取得手段25の働きにより各情報提供者から取得した検索結果を受領する(S820)。検索仲介システム20は検索要求した全ての情報提供者から提供された検索結果を受信し、検索結果に含まれる検索識別子をキーにして同一の検索要求についての検索結果を集約するがその際、緊急特権検索であることを示すフラグが付随している場合は、通常行う、各情報提供者の提供情報粒度が検索者の需要粒度に満たない場合の粒度交渉処理(図16のS730)および、第三者の要求による開示制限処理(図16のS740)を行わない。その代わりに、提供条件制約記憶手段29に記録された緊急特権検索対象データキーテーブルを参照し、検索結果を構成する各レコードに緊急特権検索対象に該当するものが含まれているかどうか検査する。この結果、該当するものを含むレコードについては提供されたそのままの粒度(データベースに登録されている情報の粒度)のまま検索者に提供される検索結果として集約する。一方、緊急特権検索対象に該当するものが含まれていないレコードについては、すべて廃棄される。このようにして、例えば、緊急特権検索対象事物が商品IDの場合は、該当する商品IDに係る対象物の企業番号、商品品種番号、個品番号とその所在や記録時刻などの文脈情報が1件の検索結果情報として選択され、これらが集約されて検索者への回答データが作成される(S840)。
【0076】
このとき、検索結果提供手段26は、緊急特権検索対象事物と無関係な情報が回答されないように配慮する必要がある。図7ですでに説明したように、データベース30a等には、記録時刻、商品ID、商品所在、在庫個数、仕入れ元、納入先の項目により1レコードの情報が記録されている。この1レコードはRFIDタグをリーダーが1回読取った時のデータに対応することが普通である。従って、リーダーが1度に複数のタグを読取った場合は、商品IDの項には、読取った複数のタグの記録内容である複数の商品IDが記録されることになる。したがって、1件のレコードの商品IDの項目に8個の商品IDが記録され、そのうちの1個が緊急特権検索対象事物に該当する場合も想定される。そのような場合は、他の7個の商品IDの記録は、緊急特権検索には無関係な記録であり、強制的に情報の提供を要請される筋合いのものではないため、検索結果提供手段26は、無関係な商品IDの記録を削除する。緊急特権検索対象事物が商品所在や商品所在と記録時刻の掛け合わせで特定される場合もあるが、そのような場合にはこのような配慮は特に必要ではない。
以上が緊急特権検索の流れである。
【0077】
以上、本発明の好適な実施形態である実施形態1および実施形態2について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、実施形態2については、第三者による開示制限処理(図16のS740)が実施された後に、検索者にその結果の概要、すなわち提供情報されるデータの総件数、各項目について提供される粒度とその割合、そのときの情報提供コストなどを提示して、これで準備された提供情報を検索結果として受け取るか否かを事前に確認させるステップを設けるようにしてもよい。あるいはそのときに、検索者からの申し出により粒度を改善する復活交渉処理のようなものを可能とする処理フローも考えられる。但しいずれにしても、第三者による開示制限処理を行う直前のそれまでの提供予定情報の概要、すなわち、総件数、各項目について提供される粒度とその割合等を検索者に教えない限り、検索者の希望する需要粒度に満たない原因が情報提供者の側にあるのか、第三者が干渉した結果なのかは検索者には明示的にわからない。このことは第三者が開示制限要求を出しやすくすることになり、本発明の検索仲介システムによるサービスの利便性を高める。バリエーションとしてはこのほかに、図16において、検索者と各情報提供者との粒度交渉処理(ステップS730)を省略したシステムも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に係る検索仲介システムの第1の実施形態の全体構成図である。
【図2】検索者情報記憶手段21に記憶された検索者情報の一例を示す図である。
【図3】粒度処理ルール表を示す図である。
【図4】商品情報の一項目である商品所在の階層構造を示す図である。
【図5】提供条件記憶手段22に記憶されたクラス定義表を示す図である。
【図6】提供条件記憶手段22に記憶された検索者カテゴリ別クラス対応表を示す図である。
【図7】データベース30aに記憶された情報の一例を示す図である。
【図8】検索者−開設者対応表を示す図である。
【図9】データベース30aに設定された情報提供単価表の一例である。
【図10】検索者の需要粒度と情報提供者のデフォルト粒度の対比例である。
【図11】検索結果提供手段26の機能である開示粒度決定処理の動作を説明するフローチャートである。
【図12】検索結果提供手段26の機能である粒度交渉処理の動作を説明するフローチャートである。
【図13】第1の実施形態の検索時の概要フローチャートである。
【図14】第1の実施形態の登録処理時の概要フローチャートである。
【図15】第1の実施形態の登録処理時の概要フローチャートである。
【図16】第1の実施形態の検索時の概要フローチャートである。
【図17】本発明の第2の実施形態の全体構成図である。
【図18】第三者が指定する劣化指示対象データキーテーブル(T100)である。
【図19】第三者が定義するクラス定義表(T105)である。
【図20】第三者が設定する検索者カテゴリ別制限到達目標クラス設定表(T102)である。
【図21】第三者が設定するデータベース情報提供者カテゴリ別制限到達目標クラス設定表(T103)である。
【図22】第三者データフィルター指示一覧表(T104)である。
【図23】情報提供者が設定する第三者粒度劣化補償料表(T200)である。
【図24】第三者開示制限処理の動作の流れを説明するフローチャートである。
【図25】第三者開示制限処理に伴う粒度交渉処理を説明するフローチャートである。
【図26】緊急特権検索処理の動作の流れを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
10・・・利用者端末
20・・・検索仲介システム
21・・・検索者情報記憶手段
22・・・提供条件記憶手段
23・・・検索受付手段
24・・・検索依頼手段
25・・・検索結果取得手段
26・・・検索結果提供手段
27・・・内容料金集計手段
28・・・課金・分配手段
29・・・提供条件制約記憶手段
30a〜30c・・・データベース
40・・・緊急特権付与手段
41・・・権威機関

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開設者が異なる複数のデータベースを利用者端末から検索する際に、検索の仲介を行うシステムであって、
検索者の情報を記憶した検索者情報記憶手段と、
各データベースの提供条件を、検索結果として提供する情報の粒度を定めるルールとして記述し、これを記憶した提供条件記憶手段と、
検索者に提供されるデータについて第三者が粒度を粗くする開示制限を行うために必要な、開示制限キーを含む第三者開示制限情報を記憶する提供条件制約記憶手段と、
利用者端末からの検索要求を受け付ける検索受付手段と、
受け付けた検索要求に従って、各データベースに検索依頼を行う検索依頼手段と、
前記各データベースから得られた検索結果を取得する検索結果取得手段と、
前記検索者情報、前記提供条件に基づいて、取得した検索結果から検索者に対して公開可能なものを抽出し、あるいは公開可能な情報粒度レベルの値に変換して、さらに提供するデータが第三者が設定した開示制限キーに該当する場合には、前記第三者開示制限情報を参照して検索者に提供するデータの情報粒度レベルに必要な変換を行って、利用者端末に提供する検索結果提供手段と、
前記検索結果提供手段が抽出した提供情報の粒度と件数に基づく情報提供料とその処理手数料を算定して、検索者、前記開示制限処理を要求した第三者ならびにデータベースへの課金・配分額を算出する内容料金集計手段と、
前記内容料金集計手段が算出した課金・配分額を検索者、前記開示制限処理を要求した第三者、情報提供者の識別情報に対応付けた記録として作成記録する課金・分配手段と、
を具備することを特徴とする検索仲介システム。
【請求項2】
前記提供条件は、検索者の登録属性及び検索者開示属性により定まる検索者カテゴリとそれに対応する粒度処理ルールの全ての組み合わせにより表現されるものであって、
前記粒度処理ルールは、データベースの各項目ごとに粒度のレベル数と、各粒度レベルごとに当該項目のオリジナル値を該粒度レベルで表示する際に適用する変換規則または置き換え語彙を定めたものであって、
前記検索結果提供手段は、取得した検索結果であるオリジナルデータから前記提供条件により検索者の検索者カテゴリを決定し、前記提供条件に従って特定の粒度処理ルールを適用して検索結果の各項目を所定の粒度レベルの表示に変換された変換済み検索結果を作成して、これを利用者端末に提供するものであることを特徴とする請求項1に記載の検索仲介システム。
【請求項3】
前記検索受付手段は、検索要求元である検索者についての検索者情報を前記検索者情報記憶手段から抽出して、当該検索者情報で前記提供条件記憶手段を参照して、当該検索者に対して公開可能なデータベースを特定し、
前記検索依頼手段は、前記特定されたデータベースに対してのみ検索依頼を行うものであることを特徴とする請求項2に記載の検索仲介システム。
【請求項4】
前記第三者開示制限情報は、提供するデータの特定の項目の値についての条件を記述した開示制限キー情報と、開示制限キーに該当するデータの当該項目の第三者にとって望ましい希望粒度を特定するための情報と、検索者に提供する予定のデータが開示制限キーに該当しさらに対象となる項目の粒度が前記希望粒度より細かいことにより粒度操作が必要となる場合に発動される粒度交渉を行なう際の交渉方針を定める「制限方針」、粒度交渉を終結させる方針を定める「到達方針」の4種類の情報のセットであって、
前記検索結果提供手段は、提供予定データの情報粒度が、第三者の求める「希望粒度」より細かい場合は、当該第三者が事前に定めた前記「希望粒度」、「制限方針」、「到達方針」の内容に基づいて、検索者に提供されるべき情報粒度を自動的に再決定し、この粒度に基づいて検索結果を加工して提供するものであることを特徴とする請求項3に記載の検索仲介システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の検索仲介システムにおいて通常の検索とは区別されて扱われるべき緊急特権検索に対応する機能を備えた検索仲介システムであって、
権威機関の公開鍵を記録保持し、電子署名の真正性を検証する手段を備えて、受け付けた検索リクエストに送信者以外の電子署名が付されている場合は、その署名が権威機関による真正の署名であるかを検証し真正な署名である場合は、当該検索を緊急特権検索として通常の検索とは区別する情報を生成記録し、前記検索リクエストにて特定される検索対象を捜索対象事物として緊急特権検索対象データテーブルに1件のレコードとして登録する緊急特権付与手段と、
前記検索結果提供手段は、緊急特権検索に係る検索結果を集約する際は、前記緊急特権検索対象データテーブルを参照して捜索対象事物に該当するものを含む検索結果のレコードのみをそのままの粒度のまま残し、それ以外のレコードはすべて廃棄することにより検索結果を集約して検索者に検索結果を提供するように構成した検索仲介システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の検索仲介システムとして、コンピュータを機能させるソフトウエアプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate


【公開番号】特開2009−245370(P2009−245370A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93873(P2008−93873)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】