説明

検電端子付き高圧ケーブルの端末

【課題】検電端子を被覆するゴムカバーを効率よく操作可能な高圧ケーブルの端末を提供する。
【解決手段】高圧のケーブルを接続すると共に、検電端子12dを絶縁被覆するゴムカバー13を有する円筒状の端末本体1tにおいて、ゴムカバー13をその端部から巻回するように捲り上げ可能な一対の第1帯状部材2・2と、ゴムカバー13と共に巻回された巻回部を巻き戻してゴムカバー13を元の状態に復帰可能な一対の第2帯状部材3・3を備え、一対の第1帯状部材2・2の他端部を把持して、移動すると、検電端子12dを露出可能にゴムカバー13の端縁が巻回されて捲り上げることができる。一方、一対の第2帯状部材3・3の他端部を把持して、移動すると、検電端子12dを絶縁被覆可能に、ゴムカバー13を巻き戻し可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検電端子付き高圧ケーブルの端末に関する。特に、検電端子が露出するように、高圧ケーブルの端末を被覆するゴムカバーを容易に捲り上げ、又はゴムカバーを容易に復帰できる検電端子付き高圧ケーブルの端末の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電力を送電・配電する配電線は、電柱に支持されている。又、電柱は、柱上変圧器を支持している。そして、柱上変圧器は、配電線に印加された高圧の電力を家庭や事務所などで使用する電圧に変圧している。
【0003】
近年では、電線類の地中化により、市街地の中心区域では、電柱が撤去されている。そして、地下に配設された配電線の電力は、地上に設置された路上変圧器で変圧されて、家庭や事務所などで使用されている。
【0004】
このような柱上変圧器及び路上変圧器は、配電用の高圧ケーブルで電力が供給され、高圧ケーブルの端末が内部の変圧器本体に接続されている。図6は、このような高圧ケーブルの端末の構成の一例を示す図であり、図6(A)は、高圧ケーブルの端末の正面図、図6(B)は、高圧ケーブルの端末の縦断面図である。
【0005】
図6を参照すると、高圧ケーブルの端末(以下、端末と略称する)100は、円筒状の端末本体10t、ストレスコーン11、及びゴム製の絶縁筒12を備えている。ストレスコーン11は、高圧のケーブル10cの電界分布を均一にするために、ケーブル10cの端末を被覆している。絶縁筒12は、ストレスコーン11の外周と嵌合するように取り付けられている。又、ケーブル10cは、その導体線の末端に端子10bを取り付けている。そして、絶縁筒12は、端子10bを内部に配置している。
【0006】
図6を参照すると、ストレスコーン11は、半導電体からなる外部半導電層11aを外周面に形成している。又、ストレスコーン11は、ケーブル10cの被覆と電気的に接続した内部半導電層11bを内周面に形成している。そして、内部半導電層11bは、絶縁筒12の内周面に設けられた内部半導電層12bと電気的に接続している。なお、半導電体とは、絶縁性を有するゴムに導電性を有するカーボン粒子などを混入することによって、導電性をもたせた高抵抗体である。
【0007】
図6を参照すると、絶縁筒12は、ケーブル10cが接続される機器本体(例えば、変圧器本体)側(図6の上側)の外周面が外部半導電層12aで覆われている。又、絶縁筒12は、ケーブル10c側の外周面が外部半導電層12cで覆われている。外部半導電層12aと外部半導電層12cは、絶縁筒12でその外周面を隔絶している。更に、外部半導電層12aと外部半導電層12cとの間には、絶縁筒12でその外周面が隔絶されるように、輪帯状の検電端子12dを形成している。
【0008】
図6を参照して、外部半導電層12a・12c及び検電端子12dは、いずれも上述した半導電体で構成されている。外部半導電層12aは、ケーブル10cが接続される機器本体(図示せず)に圧接されている。更に、外部半導電層12aは、必要に応じて、半導電性テープを介して導通し、機器本体のケーシングを介して接地されている。又、外部半導電層12cは、ストレスコーン11を被覆する外部半導電層11aを介して接地されている。
【0009】
図6(B)を参照すると、検電端子12dは、絶縁筒12の内壁に取り付けられた内部半導電層12bと対向する位置に配置されている。検電端子12dと内部半導電層12bは、絶縁筒12の主材料であるゴムによって絶縁されている。又、外部半導電層12aと検電端子12d、及び検電端子12dと外部半導電層12cは、絶縁筒12の主材料であるゴムが外周面に露出した一組の絶縁帯12e・12eを形成している。
【0010】
図6を参照して、検電端子12dは、ケーブル10cに電力が正しく供給されているか否かを診断するために設けられている。ケーブル10cに交流電力が供給されているとき、内部半導電層12bは、端子10b、内部半導電層11bを介して交流電圧がかかり、これにより、外部半導電層12a・12cと非導通である検電端子12dに電圧が誘起される。
【0011】
図6を参照して、通常、検電端子12dを含む端末本体10tの外周面は、絶縁性を有する円筒状のゴムカバー13で覆われている。ケーブル10cに電力が正しく供給されているか否かを診断するときは、ゴムカバー13を端末本体10tの端部から捲り上げ、露出した検電端子12dに検電器の接触子を当てて、ケーブル10cを検電することができる。
【0012】
上述した構造を有する端末100は、長期間、使用していると、湿度の影響で絶縁筒12を構成する絶縁ゴムが劣化し、絶縁破壊に到る場合がある。この場合、絶縁筒12を構成する絶縁ゴムの放電振動を計測することによって、高圧ケーブルの端末の絶縁劣化を診断する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−180509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図7は、複数の高圧ケーブルの端末を備える路上変圧器の内部構成を示す斜視図である。又、図8は、複数の高圧ケーブルの端末を備える路上変圧器の内部構成を示す斜視図であり、高圧ケーブルの端末からゴムカバーを捲り上げる直前の状態図である。更に、図9は、高圧ケーブルの端末本体の正面図であり、ゴムカバーが取り外された状態図である。図10は、高圧ケーブルの端末本体の正面図であり、ゴムカバーを捲り上げている状態図である。
【0015】
図7を参照すると、路上変圧器は、地下から延出した複数の高圧のケーブル10cが端末本体10tに接続されている。これらの端末本体10tは、通常、ゴムカバー13で絶縁被覆されている(図6参照)。
【0016】
ケーブル10cを検電する場合は、最初に、図8に示されるように、絶縁手袋igを両手に着用した状態で、ゴムカバー13を把持する。次に、図10に示されるように、絶縁手袋igを両手に着用した状態で、ゴムカバー13を端末本体10tの端部から巻回するように上方に向けて捲り上げる。そして、検電端子12dが露出した状態で(図6又は図10参照)、検電端子12dに検電器の接触子を当てて、ケーブル10cを検電できる。ケーブル10cの検電が終了した後は、絶縁手袋igを両手に着用した状態で、ゴムカバー13を元の状態に復帰させる(図7参照)。
【0017】
しかしながら、検電端子12dを露出するために、ゴムカバー13を捲り上げる作業、及びゴムカバー13を元の状態に復帰させる作業は、図7に示されるように、複数の端末100が隣接しているので、大変時間のかかる効率のよくないものとなっている。ゴムカバー13を効率よく捲り上げる、及びゴムカバー13を効率よく元の状態に復帰させることが可能な検電端子付き高圧ケーブルの端末が求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0018】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、検電端子を絶縁被覆する円筒状のゴムカバーを効率よく捲り上げることができ、かつ、このゴムカバーを効率よく元の状態に復帰させることが可能な検電端子付き高圧ケーブルの端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、円筒状のゴムカバーをその端部から巻回するように捲り上げ可能な一対の第1帯状部材と、ゴムカバーと共に巻回された巻回部を巻き戻してゴムカバーを元の状態に復帰可能な一対の第2帯状部材を設けることにより、これらの課題が解決可能であると考え、これに基づいて、以下のような新たな検電端子付き高圧ケーブルの端末を発明するに至った。
【0020】
(1)本発明による検電端子付き高圧ケーブルの端末は、高圧のケーブルを接続すると共に、外周面に部分的に形成された輪帯状の検電端子を有する円筒状の端末本体と、前記検電端子を絶縁被覆する円筒状のゴムカバーと、一端部が前記端末本体の外周に対向するよう固定され、他端部が前記端末本体の軸方向と略平行に前記ゴムカバーで覆われた状態で前記ケーブルに向かって延出すると共に、前記ゴムカバーの端縁を越えて延出する一対の第1帯状部材と、一端部が前記ゴムカバーの端部の外周に対向するよう固定され、他端部が前記端末本体の軸方向と略平行に前記ケーブルと反対側に向かって延出すると共に、当該ゴムカバーの端縁が前記ケーブルと反対側に向かって巻回されると、当該ゴムカバーに巻回される一対の第2帯状部材と、を備え、一対の前記第1帯状部材の他端部を把持して、前記ケーブルと反対側に向かって移動すると、前記検電端子を露出可能に前記ゴムカバーの端縁が巻回されて捲り上げることが可能であり、一対の前記第2帯状部材の一端部側が前記ゴムカバーに巻回された状態で、一対の前記第2帯状部材の他端部を把持して、前記ケーブルに向かって移動すると、前記検電端子を絶縁被覆可能に、前記ゴムカバーを巻き戻し可能である。
【0021】
(2)一対の前記第1帯状部材は、それらの他端部に第1円環部材を有することが好ましい。
【0022】
(3)一対の前記第2帯状部材は、それらの他端部に第2円環部材を有することが好ましい。
【0023】
(4)前記端末本体は、一対の前記第1円環部材を係止可能な第1フックを前記ケーブルに向かう端部側に有することが好ましい。
【0024】
(5)前記端末本体は、一対の前記第1円環部材を係止可能な第2フックを前記ケーブルと反対側に向かう端部側に有することが好ましい。
【0025】
(6)前記端末本体は、一対の前記第2円環部材を係止可能な第3フックを前記ケーブルと反対側に向かう端部側に有することが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明による検電端子付き高圧ケーブルの端末は、円筒状のゴムカバーをその端部から巻回するように捲り上げ可能な一対の第1帯状部材を備え、これらの第1帯状部材の他端部を把持して、ケーブルと反対側に向かって移動すると、検電端子を露出可能にゴムカバーの端縁を巻回して、容易にゴムカバーを捲り上げることができる。
【0027】
又、本発明による検電端子付き高圧ケーブルの端末は、ゴムカバーの端縁がケーブルと反対側に向かって巻回されると、ゴムカバーに巻回される一対の第2帯状部材を備え、これらの第2帯状部材の他端部を把持して、ケーブルに向かって移動すると、検電端子を絶縁被覆可能に、ゴムカバーを巻き戻し、ゴムカバーを容易に元の状態に復帰できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態による高圧ケーブルの端末の構成を示す斜視図である。
【図2】前記実施形態による高圧ケーブルの端末の構成を示す正面図である。
【図3】前記実施形態による高圧ケーブルの端末の構成を示す斜視図であり、図3(A)は、端末に備わるゴムカバーが捲り上げられた状態図、図3(B)は、ゴムカバーを捲り上げるための第1帯状部材の端部に指を係止した状態図である。
【図4】前記実施形態による高圧ケーブルの端末の斜視図であり、図4(A)は、一対の第1帯状部材を用いてゴムカバーを捲り上げている状態図、図4(B)は、ゴムカバーが更に捲り上げられて、検電端子が露出した状態図、図4(C)は、ゴムカバーが最後まで捲り上げられて、検電端子が完全に露出した状態図である。
【図5】前記実施形態による高圧ケーブルの端末の斜視図であり、図5(A)は、一対の第2帯状部材を用いてゴムカバーの端部を巻戻している状態図、図5(B)は、ゴムカバーの端部が更に巻戻されて、検電端子を絶縁被覆する直前の状態図、図5(C)は、ゴムカバーの端部が更に巻戻されて、検電端子を完全に絶縁被覆した状態図である。
【図6】従来技術による高圧ケーブルの端末の構成の一例を示す図であり、図6(A)は、高圧ケーブルの端末の正面図、図6(B)は、高圧ケーブルの端末の縦断面図である。
【図7】従来技術による複数の高圧ケーブルの端末を備える路上変圧器の内部構成を示す斜視図である。
【図8】従来技術による複数の高圧ケーブルの端末を備える路上変圧器の内部構成を示す斜視図であり、高圧ケーブルの端末からゴムカバーを捲り上げる直前の状態図である。
【図9】従来技術による高圧ケーブルの端末本体の正面図であり、ゴムカバーが取り外された状態図である。
【図10】従来技術による高圧ケーブルの端末本体の正面図であり、ゴムカバーを捲り上げている状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[検電端子付き高圧ケーブルの端末の構成]
最初に、本発明の一実施形態による検電端子付き高圧ケーブルの端末の構成を説明する。図1は、本発明の一実施形態による高圧ケーブルの端末の構成を示す斜視図である。図2は、前記実施形態による箱形カットアウト用課電端子の構成を示す正面図である。
【0030】
図3は、前記実施形態による高圧ケーブルの端末の構成を示す斜視図であり、図3(A)は、端末に備わるゴムカバーが捲り上げられた状態図、図3(B)は、ゴムカバーを捲り上げるための第1帯状部材の端部に指を係止した状態図である。なお、従来技術で使用した符号と同一の符号を有する構成品は、その作用を同一とするので、以下の説明では割愛する場合がある。
【0031】
図1から図3を参照すると、本発明の一実施形態による高圧ケーブルの端末(以下、端末と略称する)10は、円筒状の端末本体1t、円筒状のゴムカバー13、一対の第1帯状部材2・2、及び一対の第2帯状部材3・3を備えている。
【0032】
図1から図3に示された端末本体1tは、図6に示された端末本体10tと実質的に同じものであるが、説明の便宜上、符号を変えて区別した。したがって、端末本体1tは、高圧のケーブル10cを接続している(図6参照)。又、端末本体1tは、輪帯状の検電端子12dを外周面に部分的に形成している(図6参照)。
【0033】
図1から図3を参照すると、通常、ゴムカバー13は、検電端子12dを絶縁被覆している。ゴムカバー13を端末本体1tの下端部から上端部に向けて巻回して、捲り上げると、検電端子12dを露出できる(図4(C)参照)。そして、露出した検電端子12dに検電器の接触子を当てて、ケーブル10cを検電できる(図6又は図7参照)。一方、巻回されたゴムカバー13の端部を下端部に向けて巻き戻すと、検電端子12dを絶縁被覆できる。
【0034】
図1から図3を参照すると、一対の第1帯状部材2・2は、それらの一端部が端末本体1tの外周に対向するよう固定されている。一対の第1帯状部材2・2の他端部は、端末本体1tの軸方向と略平行に、ゴムカバー13で覆われた状態で、ケーブル10c(図6参照)に向かって延出している。そして、一対の第1帯状部材2・2の他端部は、ゴムカバー13の端縁を越えて延出している。
【0035】
図1から図3を参照すると、一対の第2帯状部材3・3は、それらの一端部がゴムカバー13の端部の外周に対向するよう固定されている。一対の第2帯状部材3・3の他端部は、端末本体1tの軸方向と略平行にケーブル10c(図6参照)と反対側に向かって延出している。そして、一対の第2帯状部材3・3は、ゴムカバー13の端縁がケーブル10c(図6参照)と反対側に向かって巻回されると、ゴムカバー13に巻回される。
【0036】
図3を参照して、一対の第1帯状部材2・2の他端部を把持して、ケーブル10c(図6参照)と反対側に向かって移動すると、検電端子12dを露出可能にゴムカバー13の端縁が巻回されて捲り上げることができる。
【0037】
一方、図3を参照して、一対の第2帯状部材3・3の一端部側がゴムカバー13に巻回された状態で、一対の第2帯状部材3・3の他端部を把持して、ケーブル10c(図6参照)に向かって移動すると、検電端子12dを絶縁被覆可能に、ゴムカバー13を巻き戻すことができる。
【0038】
一対の第1帯状部材2・2と一対の第2帯状部材3・3の相対配置は、図1及び図2に示された状態と図3に示された状態では異なっているが、端末本体1tに対して、ゴムカバー13及び後述するバンド部材31を回転することにより、図1及び図2に示された状態と図3に示された状態のいずれの配置も可能である。
【0039】
図1から図3を参照すると、一対の第1帯状部材2・2は、それらの他端部に第1円環部材2rを有している。これらの第1円環部材2r・2rには、絶縁手袋igを両手に着用した状態で(図8参照)、両指を係合できる。
【0040】
同様に、図1から図3を参照すると、一対の第2帯状部材3・3は、それらの他端部に第2円環部材3rを有している。これらの第2円環部材3r・3rには、絶縁手袋igを両手に着用した状態で(図8参照)、両指を係合できる。
【0041】
図1又は図2を参照すると、端末本体1tは、一対の第1円環部材2r・2rを係止可能な第1フック21hをケーブル10c(図6参照)に向かう端部側に有している。実態として、これらの第1フック21h・21hは、端末本体1tの一方の端部を締結するバンド部材21の外周面から突出するように形成されている。
【0042】
又、図1又は図2を参照すると、端末本体1tは、一対の第1円環部材2r・2rを係止可能な第2フック22hをケーブル10c(図6参照)と反対側に向かう端部側に有している。実態として、これらの第2フック22h・22hは、端末本体1tの他方の端部を締結するバンド部材22の外周面から突出するように形成されている。
【0043】
図1又は図2を参照して、通常、一対の第1円環部材2r・2rは、一対の第1フック21h・21hに係止されている。一対の第1円環部材2r・2rを把持して、上方に引き上げると、これらの第1円環部材2r・2rを一対の第2フック22h・22hに係止できる。
【0044】
図1又は図2を参照すると、端末本体1tは、一対の第2円環部材3r・3rを係止可能な第3フック3hをケーブル10c(図6参照)と反対側に向かう端部側に有している。実態として、これらの第3フック3h・3hは、端末本体1tの他方の端部を締結するバンド部材31の外周面から突出するように形成されている。
【0045】
図1から図3を参照して、第1帯状部材2及び第2帯状部材3は、絶縁性を有する合成樹脂繊維が織られた屈曲自在な帯体で構成することが好ましく、屈曲自在な絶縁性を有する合成樹脂テープであってもよい。第1円環部材2r及び第2円環部材3rは、絶縁性を有する合成樹脂で成形することが好ましい。例えば、第1円環部材2rは、第1帯状部材2の端部を縫製して繋留することもでき、第1帯状部材2の端部を熱溶着して繋留することもできる。
【0046】
[検電端子付き高圧ケーブルの端末の作用]
次に、実施形態による端末10の動作を説明しながら、端末10の作用及び効果を説明する。図4は、前記実施形態による高圧ケーブルの端末の斜視図であり、図4(A)は、一対の第1帯状部材を用いてゴムカバーを捲り上げている状態図、図4(B)は、ゴムカバーが更に捲り上げられて、検電端子が露出した状態図、図4(C)は、ゴムカバーが最後まで捲り上げられて、検電端子が完全に露出した状態図である。
【0047】
図5は、前記実施形態による高圧ケーブルの端末の斜視図であり、図5(A)は、一対の第2帯状部材を用いてゴムカバーの端部を巻戻している状態図、図5(B)は、ゴムカバーの端部が更に巻戻されて、検電端子を絶縁被覆する直前の状態図、図5(C)は、ゴムカバーの端部が更に巻戻されて、検電端子を完全に絶縁被覆した状態図である。
【0048】
先に、図4を参照して、ゴムカバー13を捲り上げる動作を説明する。なお、図4では、第1フック21hなどの図示を省略している。図4(A)を参照して、最初に、一対の第1円環部材2r・2rに両指を挿入して、一対の第1帯状部材2・2を略同じ速度で上方に引き上げる。なお、両手には、絶縁手袋ig(図8参照)を着用しているものとする。
【0049】
図4(A)を参照すると、一対の第1帯状部材2・2を引き上げることによって、ゴムカバー13の端部が巻回されて捲り上げることができる。そして、この間、一対の第2帯状部材3・3は、それらの一端部側からゴムカバー13に巻回されている。
【0050】
図4(B)を参照して、一対の第1帯状部材2・2を更に引き上げると、ゴムカバー13の端部が更に捲り上げられて、検電端子12dを露出することが可能になる。
【0051】
図4(C)を参照して、一対の第1帯状部材2・2を最後まで引き上げると、ゴムカバー13の端部が最後まで捲り上げられて、検電端子12dを確実に露出できる。そして、検電端子12dに検電器の接触子を当てて、ケーブル10cを検電することができる。
【0052】
このように、実施形態による端末10は、円筒状のゴムカバー13をその端部から巻回するように捲り上げ可能な一対の第1帯状部材2・2を備え、これらの第1帯状部材2・2の他端部を把持して、上方に向かって移動すると、検電端子12dを露出可能にゴムカバー13の端縁を巻回して、容易にゴムカバー13を捲り上げることができる。
【0053】
次に、図5を参照して、ゴムカバー13を元の状態に復帰させる動作を説明する。なお、図5では、第3フック3hなどの図示を省略している。図5(A)を参照して、図4(C)に示された状態から、一対の第2円環部材3r・3rに両指を挿入して、一対の第2帯状部材3・3を略同じ速度で下方に引き下げる。
【0054】
図5(B)を参照すると、一対の第2帯状部材3・3を引き下げることによって、ゴムカバー13の端部が巻き戻されて、検電端子12dを絶縁被覆することができる。そして、この間、一対の第1帯状部材2・2は、それらの他端部側に向けてゴムカバー13に被覆されている。
【0055】
図5(B)を参照して、一対の第2帯状部材3・3を更に引き下げると、ゴムカバー13の端部が更に巻戻されて、検電端子12dを絶縁被覆することが可能になる。
【0056】
図5(C)を参照して、一対の第1帯状部材2・2を更に引き下げると、ゴムカバー13の端部が更に巻き戻されて、検電端子12dを完全に絶縁被覆できる。そして、一対の第1帯状部材2・2を最後まで引き下げると、図1又は図2に示されるように、ゴムカバー13を元の状態に復帰させることができる。
【0057】
このように、実施形態による端末10は、ゴムカバー13の端縁が巻回されると、ゴムカバー13に巻回される一対の第2帯状部材3・3を備え、これらの第2帯状部材3・3の他端部を把持して、引き下げると、検電端子12dを絶縁被覆可能に、ゴムカバー13を巻き戻し、ゴムカバー13を容易に元の状態に復帰できる。
【0058】
実施形態による検電端子付き高圧ケーブルの端末は、短時間でゴムカバーを捲り上げ、又は巻き戻すことが可能である。又、実施形態による検電端子付き高圧ケーブルの端末は、ゴムカバーを確実に捲り上げ、又は確実に巻き戻すことが可能である。更に、実施形態による検電端子付き高圧ケーブルの端末は、絶縁手袋を両手に着用した状態でも、ゴムカバーの操作が容易であるという利点がある。
【0059】
本発明による検電端子付き高圧ケーブルの端末は、路上変圧器に立設する高圧ケーブルの端末を実施例として開示したが、これに限定されない。本発明による検電端子付き高圧ケーブルの端末は、水平状態に配置してもよく、大型の変圧器や開閉器などにも適用できる。
【符号の説明】
【0060】
1t 端末本体
2 第1帯状部材
3 第2帯状部材
10 端末(検電端子付き高圧ケーブルの端末)
10c ケーブル
12d 検電端子
13 ゴムカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧のケーブルを接続すると共に、外周面に部分的に形成された輪帯状の検電端子を有する円筒状の端末本体と、
前記検電端子を絶縁被覆する円筒状のゴムカバーと、
一端部が前記端末本体の外周に対向するよう固定され、他端部が前記端末本体の軸方向と略平行に前記ゴムカバーで覆われた状態で前記ケーブルに向かって延出すると共に、前記ゴムカバーの端縁を越えて延出する一対の第1帯状部材と、
一端部が前記ゴムカバーの端部の外周に対向するよう固定され、他端部が前記端末本体の軸方向と略平行に前記ケーブルと反対側に向かって延出すると共に、当該ゴムカバーの端縁が前記ケーブルと反対側に向かって巻回されると、当該ゴムカバーに巻回される一対の第2帯状部材と、を備え、
一対の前記第1帯状部材の他端部を把持して、前記ケーブルと反対側に向かって移動すると、前記検電端子を露出可能に前記ゴムカバーの端縁が巻回されて捲り上げることが可能であり、
一対の前記第2帯状部材の一端部側が前記ゴムカバーに巻回された状態で、一対の前記第2帯状部材の他端部を把持して、前記ケーブルに向かって移動すると、前記検電端子を絶縁被覆可能に、前記ゴムカバーを巻き戻し可能な検電端子付き高圧ケーブルの端末。
【請求項2】
一対の前記第1帯状部材は、それらの他端部に第1円環部材を有する請求項1記載の検電端子付き高圧ケーブルの端末。
【請求項3】
一対の前記第2帯状部材は、それらの他端部に第2円環部材を有する請求項1又は2記載の検電端子付き高圧ケーブルの端末。
【請求項4】
前記端末本体は、一対の前記第1円環部材を係止可能な第1フックを前記ケーブルに向かう端部側に有する請求項2記載の検電端子付き高圧ケーブルの端末。
【請求項5】
前記端末本体は、一対の前記第1円環部材を係止可能な第2フックを前記ケーブルと反対側に向かう端部側に有する請求項2又は4記載の検電端子付き高圧ケーブルの端末。
【請求項6】
前記端末本体は、一対の前記第2円環部材を係止可能な第3フックを前記ケーブルと反対側に向かう端部側に有する請求項3記載の検電端子付き高圧ケーブルの端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−222966(P2012−222966A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86390(P2011−86390)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】