説明

業務連携制御装置

【課題】 システム障害等による連携システム間の影響度を即座に把握し、システム運行スケジュールの再調整を速やかに可能とすること。
【解決手段】 複数の業務処理の開始時刻、終了時刻などの業務連携関係情報を管理者端末から受付け、業務間連携管理テーブルに登録する第1の手段と、各業務処理を実行する情報処理システム名、処理名などから成る処理連携関係情報を受付け、業務連携関係情報を参照して各処理の連携スケジュールを作成し、処理連携管理テーブルに登録する第2の手段と、いずれかの情報処理システムにおける障害発生時に、障害内容および障害が発生している処理名を先行処理名および後続処理名と共に表示する第3の手段と、障害復旧後に、障害が発生した処理以降の処理を再開させる再開時刻を管理者端末から受付け、再開時刻を基準として障害が発生した処理以降の各処理の連携スケジュールを再作成して再開させる第4の手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数また単数からなる情報処理システムにおいて、それら情報処理システム内または複数の情報処理システムにおいて実行される業務処理の連携制御管理を行う業務連携制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
単数または複数からなる情報処理システム間にわたる業務の統合方法としては、下記の特許文献1のものがあげられる。
下記の特許文献1のものであれば、既存システムや関連する既存業務を容易に統合する仕掛けを提供し、統合業務として各業務をトランザクションを連携実行し管理する方法により、システムの性能低下を無くすことを目的にしている。
しかしながら、統合業務として複数のシステムを統一的に管理するのであれば、総合業務装置に接続されている各情報処理システムの運行スケジュールを詳細に把握し、各システムへのデータ転送等に使用される、ネットワーク機器や、情報処理システムが使用している演算装置、主記憶装置、出力装置、記憶媒体などのリソースの奪い合いによるシステム処理性能の低下を防止することが可能でなければ、統合業務として各システムを集中管理する意味合いが薄れてしまう。
【特許文献1】特開2001−34595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
組織内は特定の目的を果たすための各種情報処理システムが複数存在する。今日においては、情報処理システムAでの実行結果を情報処理システムBの入力情報と使用し実行結果を得るような運用形態をとる場合が多い。
このように複数の情報処理システムを使用し、特定の結果を得るために、複数の情報処理システムをネットワークを介して接続し、入力データや処理結果を情報処理システム間においてやり取りすることは、いまや、あたりまえの運用形態となっている。
【0004】
情報処理システムのダウンサイジング化により、それぞれの情報処理システムが特定の機能を持つものだけに分割されていき、組織内で稼動する情報システムは増えつづける一方である。また、それらを運用管理する部署が組織内に複数存在し、システム運用管理者も複数存在する。
ある業務を処理するにあたり、連携する他の情報処理システムや、それら情報処理システムの運行スケジュールを正しく認識している運用管理者は意外と少ない。
ここで、「業務」とは、各システムが独立して実行する各々の業務ではなく、複数のシステムにて行われる複数の処理からなる一連の情報処理を指す。
【0005】
各情報処理システムは、予め定義された運行スケジュールによって稼動している。この運行スケジュールを決定する際に考慮される、その他の情報処理システムは、直接データをやり取りすることが必要である情報処理システムのみであることが多い。
【0006】
組織内において、稼動する情報処理システムが増加するに伴って、各情報処理システムにおいて実行される各種業務の処理結果や、運行スケジュールが他の情報処理システムの運行状況に影響をあたえるケースも増加してきている。
【0007】
前述したように、各情報処理システムの運用管理者は各自が管理する情報システムと直接連携する前後の情報処理システムしか意識しておらず、各自が担当する情報処理システムに何らかの原因により性能低下やそれに起因する運行スケジュールの変更があった場合において、直接やり取りする前後のシステムの運行スケジュールへの影響のみを考慮するにとどまる。
【0008】
ある情報処理システムにおいて、障害が発生した場合に情報処理システム運用管理者がとる行動パターンを図8に示す。
図8において、障害が発生した場合、担当システムの入力データを生成すべきシステムの運用管理者からシステムの性能低下により入力データの生成が遅れるとの連絡を受ける(ステップ801)。
次に、出力結果を渡すべきシステムの運用管理者に他システムに起因する処理の遅れが発生することを連絡する(ステップ802)。
次に、各自が運用管理を担当するシステムの運行スケジュールを確認し、影響度を調査する(ステップ803)。
次に、スケジュールの変更が必要かを判断し(ステップ804)、必要であれば、担当システムの変更スケジュールを作成し、処理スケジュール案として連携先システムの運用管理者に提示する(ステップ805)。必要がなければ、ステップ807に進む。
次に、運用管理者間において、合意がなされるまでスケジューリングの調整を行い。業務間連携スケジュールを作成する(ステップ806)。
これにより、担当システムの処理実行が可能となり、処理を実行する(ステップ807)。
次に、連携先システムの有無を判断し、なければ処理を終了し、あればステップ802に戻る(ステップ808)。
図8から明らかなように、情報処理システムのスケジュール調整を行うのは人的作業であり、この作業を複数の情報システム運用管理者がそれぞれ実施するのが現状である。
このような人的作業は、組織内に情報処理システムが多く存在する組織ほど複雑になっていく。この作業が増大及び複雑化が進むにつれ、対象業務の正常化には時間を要することとなる。
【0009】
運行スケジュールが乱れることは、各情報処理システムがネットワークを介して接続されている状態において、ネット―ワーク上を伝送されるデータが予定しているトラフィック量を超えることの原因にもなり得る。
トラフィックの増加はルータやハブ、SSL暗号化装置、ファイヤーウォール等のネットワーク機器の負荷を増大させ、そのことが情報処理システム間の連携において新たな障害を生み出すことにもつながる。
【0010】
複数の情報処理システムを連携して、ひとつの業務を処理するためには、情報処理システム間、業務間、処理間のスケジューリングが重要である。
従来、人的作業によって非効率に行われてきたこの人的作業を、効率よく実現する工夫が必要である。
【0011】
図9は、従来の方法を用いて複数の情報処理システムにまたがり、一連の業務を実行する場合の例を示す図である。
各処理を実行するシステム1(910)、システム2(920)、システム3(930)とから構成されている。それぞれのシステムにて実行される処理がそれぞれ単一の処理(940)、(950)、(960)であり、これらの処理結果は(970)、(980)、(990)とされ、各システムはそれらの処理結果を処理の入力情報として使用する。
図9において、各処理は番号順に時系列にしたがって実行されるものとする。図9において処理結果(970)を生成する処理は(940)である。この処理結果(970)を入力として使用するシステムはシステム2(920)であり、その処理は(950)のみである。
システム1(910)に障害が発生した場合、処理(940)は実行されない。システム2(920)の処理(950)は処理結果(970)を入力とするので、実行可能状態にない。この場合、システム3(930)はシステム2(920)の処理(250)にて生成される処理結果(980)を必要とするが、システム1(910)が障害のため処理実行が不可能となる。
【0012】
システム1(910)、2(920)、3(930)のシステム運用管理者が同一でない場合、システム3(930)のシステム運用管理者は、システム3(930)の処理(960)が実行不可能である原因は入力データ(980)がシステム2(920)から伝送されてこない事しかわからない。
システム1(910)が連携するシステムは、システム2(920)のみであるので、処理結果(970)がシステム2(920)を介してどのように使用されるのかはわからない。
【0013】
上記のような事態が発生した場合、システム1(910)のシステム運用管理者が現状分析実施後、全てのシステム運用管理者に対応方針を伝え、各システムの運行スケジュールの調整を依頼することとなる。
また、連携対象システムのシステム運用管理者がすべて同一であった場合においても、各システムの運行スケジュールを調整するために、各システムの運行スケジュールや、障害の影響度を各システム単位に調査し、システム単位で運行スケジュールを再設定しなければならない。
このような作業を人的作業にて行うことは、効率的ではなく、対象システムが増大するほど影響度も大きくなる。
【0014】
本発明の目的は、システム障害等による連携システム間の影響度を即座に把握し、システム運行スケジュールの再調整を速やかに可能とする業務連携制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明に係る業務連携制御装置は、他の情報処理システムの処理結果を引き継いで所定の業務処理を連携して実行する複数の情報処理システムにおける業務処理の連携制御を行う業務連携制御装置であって、
複数の業務処理のそれぞれの開始時刻、終了時刻、先行業務処理名、後続業務処理名から成る業務連携関係情報を管理者端末から受付け、業務間連携管理テーブルに登録する第1の手段と、
各業務処理を実行する情報処理システム名、処理名および処理必要時間、先行処理名、後続処理名から成る処理連携関係情報を管理者端末から受付け、前記業務連携関係情報を参照して各処理の連携スケジュールを作成し、処理連携管理テーブルに登録する第2の手段と、いずれかの情報処理システムにおける障害発生時に、障害内容および障害が発生している処理名を先行処理名および後続処理名と共に表示する第3の手段と、障害復旧後に、障害が発生した処理以降の処理を再開させる再開時刻を管理者端末から受付け、再開時刻を基準として障害が発生した処理以降の各処理の連携スケジュールを再作成し、前記処理連携管理テーブルに登録し、再作成した連携スケジュールに従って処理を再開させる第4の手段とを備えることを特徴とする。
そして、前記第1の手段は、複数の業務処理を表す図形を表示装置画面上で時間軸に沿って配置する操作によって連携関係を定義する機能を備えていることを特徴とする。
また、前記第3の手段は、障害内容および障害が発生している処理名を先行処理名および後続処理名と共に時間軸に沿って図形表示する機能を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の情報処理システムが例えばネットワークを介して接続可能状態にある場合において、各情報処理システムにおける各処理の連携スケジュールを作成し、一元的に管理し、処理を実行させる。
そして、いずれかの情報処理システムに障害が発生した場合、障害内容および障害が発生している処理名を先行処理名および後続処理名と共に表示する。
これにより、影響を受けうる情報処理システムとそのシステムにおいて実行される処理、および、関連する業務を特定することが可能となり、システム障害等による連携システム間の影響度を即座に把握し、システム運行スケジュールの再調整を速やかに実施可能になる。
直接的な効果として、人的作業の効率化、間接的な効果として、システムリソースの有効活用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係るシステム連携制御装置を使用したシステムの全体構成を示す図である。
本システムは、システム連携制御装置(100)と、分散型情報処理システム1(110)と、分散型情報処理システム(120)と、分散型情報処理システム(130)と統合業務装置(1A1)それらを物理的に接続するネットワーク機器(図示せず)により構成される。
図1においてシステム1の処理(140)からシステム3の処理(160)までを「1業務」と定義する。
【0018】
システム連携制御装置(100)は、統合業務装置(101)との連携インタフェースを持ち、統合業務装置(101)が監視対象とする各システム1〜3の障害情報、運行状態(処理状況)を元にシステムの運行スケジュールを管理するシステム運行管理手段101を備えている。
【0019】
複数システムの運行スケジュールを統一的に管理制御するには、各システム1(110)、2(120)、3(130)にて実行される処理と、それらの出力結果およびそれらのインプットデータを統合的に管理しなくてはならない。
また、これらには統合的なIDを割り当てる必要がある。割り当てられた統合的な処理IDおよび業務IDは、システム連携制御装置(100)の記憶装置内に設けられるシステム運行管理テーブル104において管理される。この登録処理を行う手段は任意のものでよい。
【0020】
システム運行管理手段(101)の特徴について説明する。
システム運行管理手段(101)は、複数業務のスケジュールと業務内連携におけるスケジュールを管理する機能を持つ。本説明において「業務内連携」とは図1に示すような業務内の処理単位の連携を指す。
まず、連続する業務の運行スケジュールの作成について説明する。
【0021】
連続する業務の運行スケジュールについては、システム連携制御装置(100)に設けられるスケジュールデザイナー手段(102)を使用し、業務の運行スケジュールを決定する。
図2にスケジュールデザイナー手段のモデル図を示す。
スケジュールデザイナー手段(102)は、業務運行スケジュール定義画面(210)をシステム連携制御装置(100)のシステム運用管理者端末(以下、管理者端末)上に表示し、システム運用管理者が、各業務のスケジュールを決定・修正が可能であり、表示される情報は、時間を縦軸に備え、業務名称が記述されている箱型の図形の大きさがその業務に要する実行時間であることを指し、線で結ばれている業務が連携対象業務であり、それらの実行順序が見て取れる要件を満たすこととする。
スケジュールデザイナー手段(102)にて業務実行スケジュールおよび連携情報を登録すると、システム連携制御装置(100)の内の記憶装置内に設けられた業務間連携管理テーブル(2T1)に情報が登録される。
図2に例示する業務間連携管理テーブル(2T1)には、業務ID、業務種別、業務前連携業務ID、業務後連携業務ID、業務開始時刻、業務終了時刻が登録されるようになっている。
【0022】
業務スケジュールの決定後、システム運用管理者は業務内処理の連携定義を行う。
業務内の処理フローの決定は、スケジュールデザイナー手段(102)の図3に示す処理連携フロー定義画面(310)により行う。この機能にて定義された情報は、システム連携制御装置(100)の内の記憶装置内に設けられた処理連携管理テーブル群(3T1)に反映される。
処理連携管理テーブル群(3T1)は、図3に示すように、業務構成テーブルモデル(3T3)、処理テーブルモデル(3T4)、処理連携管理テーブルモデル(3T2)で構成され、業務構成テーブルモデル(3T3)には業務ID,システムID、処理IDの関係が登録される。
また、処理連携管理テーブルモデル(3T2)には、システムID、処理IDF、処理開始時刻、処理終了時刻が登録され、処理管理テーブルモデル(3T4)には処理ID、入力処理ID、出力処理ID、必要時間、予備時間が登録される。なお、処理連携管理テーブルモデル(3T2)には、業務1の処理以外にも各システムに多数スケジューリングされているので(処理ID3XX)、各システムの運用責任者は、自システムにスケジューリングされている処理がどの業務の処理かについて、常時把握している訳ではない。
【0023】
スケジュールデザイナー手段(102)によって定義された情報は、システム運行管理手段(101)が保持するシステム運行管理テーブル(102)に格納され、システム連携制御に使用される情報を構成する。
システム運行管理手段(101)が保持するシステム運行管理テーブル(102)を構成するデータの例を図4に示す。
これらのテーブル構成情報に、統合業務装置(1A1)が各システムを監視しており、その運行状況の情報から得ることのできる各種情報(処理ID、トランザクションNo、トランザクション結果)を反映させる。
【0024】
決定されたスケジュール情報をもとに、システム連携制御装置(100)は、統合業務装置(1A1)に処理の実行を許可する信号を送る。
統合業務装置(1A1)は、各システムの処理実行と処理結果を監視しているので、システム連携制御装置(100)にて、各システム1(110)、2(120)、3(130)の処理実行制御機能を保持する必要はない。
システム連携制御装置(100)と統合業務装置(1A1)とを接続するインタフェースについては、導入されている統合業務装置(1A1)のインタフェースに依存するとし、システム連携制御装置(100)は任意のインタフェースを介して統合業務装置(1A1)と連携するものとする。
【0025】
一連の業務定義および処理定義が完了したことで、統合業務装置(1A1)によって管理されている処理について、システム連携制御装置(100)にて確認することが可能となる。
図5に本発明のシステム運行状況確認画面モデル図を示す。
システム運用管理者は、システム連携制御装置(100)のビューア手段(103)にて、定義済みの業務間スケジュールおよび、業務内処理スケジュールに合わせた実行状況等を、システム運用管理者端末上に表示させ、業務連携確認画面モデル(510)を確認することで、現時点での運行スケジュールを確認することができる。
システム連携制御装置(1A1)に接続することのできる条件を備えていれば、システム1〜3の各運用管理者が複数であっても、各システム1〜3の運用管理者のクライアント端末にて現在の実行状況および、全体スケジュールから詳細スケジュールまでを閲覧可能にすることができる。
【0026】
業務連携確認画面モデル(510)においては、障害が発生している業務をシステム運用管理者に識別可能な情報を表示して警告する。もし、当該業務に関連するシステムが別々のシステム運用管理者によって管理されている場合、当該警告は関連する全てのシステム運用管理者に対してなされるものとする。
図5に例示する業務連携確認画面モデル(510)においては、「業務1」の箱が変色されて表示される。「業務1」の箱を拡大表示させる操作を行うと、業務内連携確認画面モデル(520)が表示され、その中に、異常終了したシステム名称、処理ID、エラーコードなどの詳細な状況が表示される。
業務内連携確認画面モデル(520)は、統合制御装置(1A1)にて取得する各情報処理システム1〜3の現在実行中の処理ID、実行終了の処理ID、処理ID単位の処理結果などをシステム連携制御装置(100)が受け取り、その情報を表示している。
図5には、業務ID、システムID、ERRCODE、開始時間、終了時間、トランザクションNoのみを表示した例を示している。
業務内連携確認画面モデル(520)を参照した場合、「業務1」において現在の状況が、システム1の処理ID340正常終了後、システム2の処理ID350にて異常終了し、その原因がERRCODE:ES020001であることが確認できる。また、その後影響を与える処理としてシステム3の処理ID360が存在することが確認できる。
【0027】
図5のような業務連携確認画面モデル(510)の状況になった場合、システム運用管理者が行うべき作業は、業務単位の再スケジューリングとシステム運行の再スケジューリングをすることである。図1において、このような場合の作業フローを提示したが、システム連携制御装置(100)はスケジュールデザイナー手段(102)を用いることで、人的負荷を軽減させる。
【0028】
システム連携制御装置(100)が管理するシステム運行管理テーブル内には、図3に例示したように、処理の開始時刻、処理に必要とされる時間、その処理から次の処理へ移るまでの予備時間とそれら処理の集合からなる業務の開始時刻、それら処理の実行時間と予備時間を合計して算出される業務必要時間と業務全体での終了時刻を保持している。
障害が発生した場合、業務内の処理連携フローをこれらの情報から再生成する。
この処理連携フローを再生成するには、障害が発生している処理の復旧時間を見極めなくてはならない。図5のケースでは、障害はシステム2の処理350で発生しているので、システム2のシステム運用管理者は、処理350の運用関係者と連携を取って、障害回復に必要とされる時間を算定する。障害回復に必要とされる時間が決定したら、この処理のリスタート時間をスケジュールデザイナー手段(102)を使用してシステム連携制御装置(100)に登録する。
この場合は、障害発生前に登録してあった処理開始時刻を処理再開可能時刻に合わせればよい。
システム連携制御装置(100)は、対象処理のリスタート時間を基準にして、処理連携テーブル群(3T1)を再構築する。そして、再構築された処理連携テーブル群(3T1)から業務間連携テーブル(2T1)を再構築する。この情報を元に、今回適用される業務運行スケジュールを自動生成し、システム運用管理者の端末に表示する。表示された新規の業務運行スケジュールはスケジュールデザイナー手段(102)によって修正が可能であるので、提示されたスケジュールを修正することも可能である。
【0029】
システム連携制御装置(100)のアクションフローを図6に示す。
システム連携制御装置(100)が行う機能の特徴は、統合業務装置(1A1)にて管理対象となるシステムの業務と、業務を構成する処理、複数の業務からなる情報処理のスケジュールをデータとして保持し、それらのスケジュールを図表形式にて表示する機能と、図表を加工する形でスケジュールを修正できる機能と、その図表形式でのデータをテーブル情報として保存することができることである。
図6に示す一連の処理において、人的作業は、ステップ(606)、(610)の判断と(608)、(611)の図表修正のみである。それ以外の処理はシステム連携制御装置(100)のプログラムが行うものである。
【0030】
図6において、まず、障害が発生した業務を含む業務連携スケジュールを表示し(ステップ601)、さらに障害が発生した処理を含む処理連携フローを表示し(ステップ602)、障害発生処理の再スタート時刻の入力を待つ(ステップ603)。
再スタート時刻が管理者端末から入力されたならば、その再スタート時刻を基準点として、処理連携管理テーブル群(3T1)を再構築する(ステップ604)。
次に、再構築された処理連携管理テーブル群(3T1)から処理連携フローを再生成し、管理者端末に表示する(ステップ605)。
次に、再生成された処理連携フローを採用するかを障害システムの運用管理者及び後続処理のシステム運用管理者に確認させ(図5の例ではシステム2,3の運用管理者)、全てのシステム運用管理者から採用する旨の指示があったならば(ステップ606)、業務間連携テーブル(2T1)を再構築する(ステップ607)。
再生成された処理連携フローを不採用とする旨の指示がいずれかのシステム管理者から入力された場合は、
再生成された処理連携フローをシステム管理者からの指示に従って修正する(ステップ608)。
この後、再構築された業務間連携テーブル(2T1)から業務連携スケジュールを再生成し、管理者端末に表示する(ステップ609)。
そして、再生成された業務連携スケジュールを採用するかを当該業務に関連するシステム運用管理者及び後続業務に関連するシステム運用管理者に確認させ(図5の例ではシステム1,2,3の運用管理者)、全てのシステム運用管理者から採用する旨の指示があったならば(ステップ610)、生成された連携制御情報を統合業務装置(1A1)に転送する(ステップ612)。
しかし、再生成された業務連携スケジュールを不採用とする旨の指示がいずれかのシステム管理者から入力された場合は、再生成された業務連携スケジュールをシステム管理者からの指示に従って修正する(ステップ611)。
【0031】
システム連携制御装置(100)のプログラム処理フローを図7に示す。
図7は、システム運用管理者が決定した再スタート時刻を基準時刻として、各種テーブルに保持している情報より、新規スケジュールを決定するプログラムの処理ステップを簡略的に示している。
まず、システム運用管理者が決定した再スタート時刻を受け付け(ステップ701)、処理必要時間と予備時間を保持している図4のテーブル(3T3)から取得し、合算した時間を合計時間として算出し、基準時刻(再スタート時刻)に加算し、算出された時刻をその処理の新終了時刻として決定する(ステップ702)。
対象処理に出力処理IDとして連携すべき処理IDが定義されていた場合(ステップ703)、新処理終了時刻がテーブル(3T2)に登録されている処理開始時刻より後であれば、それより前の時刻になるように再スタート時刻を再度入力させる(ステップ704)。
しかし、新終了時刻がテーブル(3T2)に登録されている開始時刻より前になる場合は、新終了時刻が求められた処理を対象として処理連携テーブル(3T1)の開始時刻と終了時刻を更新する(ステップ705)。
全ての業務内処理の新開始時刻が決定されたならば、処理連携管理テーブル群(3T1)に登録されたデータをもとに、新処理連携フローを生成し、管理者端末に表示する(ステップ706)。
この時点においてシステム管理者が人的判断にて、スケジュールの修正をする場合は(ステップ907)、スケジュールデザイナー手段(102)を使用して調整する(ステップ707、708)。
最終的に決定された処理連携スケジュールは、システム連携制御装置(100)のメモリ上またはディスク上の領域に一次保存される(ステップ709)。
一次保存された処理連携スケジュールの最終処理の終了時刻が業務連携スケジュールにおける対象業務の新業務終了時刻としてメモリ上またはディスク上に一次保存される(ステップ710)。
【0032】
次に、テーブル(2T1)を参照し、後連携する業務があれば(ステップ711)、後業務の業務開始時刻と新業務終了時刻を比較する(ステップ712)。新業務終了時刻が後業務の開始時刻前であれば、連携する以降の業務のスケジュール変更は発生しない。
しかし、新業務終了時刻が後業務の開始時刻以降であるならば、新業務終了時刻を基準時間として、業務構成テーブルモデル(3T3)に登録されている、その業務を構成する全ての処理に対して、ステップ902からステップ913の処理を行うことを繰り返し、業務前連携業務IDの終了時刻を当業務の開始時刻として業務内処理の再計算を行い、業務間連携管理テーブル(2T1)を更新する(ステップ714)。
この後、業務間連携管理テーブル(2T1)によって定義されている、連携が必要となる業務の全てにおいて、システム連携制御装置(100)のメモリ上またはディスク上にこれまでの処理によって構築された、新業務間連携管理テーブルと新処理連携管理テーブル群を一次保存する(ステップ7915)。
そして、それらのテーブル情報から、新業務連携スケジュールをシステム管理者端末に表示し、新業務連携スケジュールを採用するか否かの指示を待つ(ステップ716)。
システム運用管理者がスケジュールデザイナー手段(102)を使用して修正した場合は(ステップ717)、その修正後の各種情報を一次保存し、最終決定スケジュールが登録された時点で(ステップ7918)、新業務間連携テーブルを確定して登録する(ステップ719)。
なお、上記の実施形態において、各情報処理システムの運行状態は統合業務装置で監視しているが、システム連携制御装置で直接に監視するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る業務連携制御装置を適用したシステムの実施形態を示すシステム構成図である。
【図2】スケジュールデザイナー手段によって業務運行スケジュールを定義する画面の例及び定義情報の例を示す図である。
【図3】スケジュールデザイナー手段によって処理連携関係を定義する画面の例及び定義情報の例を示す図である。
【図4】業務連携関係を定義するテーブルのデータ構成図である。
【図5】システム運行状況確認画面及び障害発生時の確認画面の例を示す図である。
【図6】障害発生時におけるシステム連携制御装置の処理を示すフローチャートである。
【図7】障害発生時において業務再開時刻を受付けた以降のシステム連携制御装置の処理を示すフローチャートである。
【図8】従来の障害発生時の各システム運用管理者の作業フロー図である。
【図9】複数の情報処理システムにて業務を実行する場合のブロック図である。
【符号の説明】
【0034】
100 システム連携制御装置
101 システム運行管理手段
102 スケジュールデザイナー手段
103 ビューア手段
104 システム運行管理テーブル
110 システム1
120 システム2
130 システム3
2T1 業務間連携管理テーブル
3T1 処理連携管理テーブル群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の情報処理システムの処理結果を引き継いで所定の業務処理を連携して実行する複数の情報処理システムにおける業務処理の連携制御を行う業務連携制御装置であって、
複数の業務処理のそれぞれの開始時刻、終了時刻、先行業務処理名、後続業務処理名から成る業務連携関係情報を管理者端末から受付け、業務間連携管理テーブルに登録する第1の手段と、
各業務処理を実行する情報処理システム名、処理名および処理必要時間、先行処理名、後続処理名から成る処理連携関係情報を管理者端末から受付け、前記業務連携関係情報を参照して各処理の連携スケジュールを作成し、処理連携管理テーブルに登録する第2の手段と、
いずれかの情報処理システムにおける障害発生時に、障害内容および障害が発生している処理名を先行処理名および後続処理名と共に表示する第3の手段と、
障害復旧後に、障害が発生した処理以降の処理を再開させる再開時刻を管理者端末から受付け、再開時刻を基準として障害が発生した処理以降の各処理の連携スケジュールを再作成し、前記処理連携管理テーブルに登録し、再作成した連携スケジュールに従って処理を再開させる第4の手段と
を備えることを特徴とする業務連携制御装置。
【請求項2】
前記第1の手段は、複数の業務処理を表す図形を表示装置画面上で時間軸に沿って配置する操作によって連携関係を定義する機能を備えていることを特徴とする請求項1に記載の業務連携制御装置。
【請求項3】
前記第3の手段は、障害内容および障害が発生している処理名を先行処理名および後続処理名と共に時間軸に沿って図形表示する機能を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の業務連携制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−235833(P2006−235833A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−47336(P2005−47336)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】