極端紫外光源装置
【課題】LPP型EUV光源装置において、簡単な構成によりプラズマ発生室内の真空度や清浄度を高める。
【解決手段】液滴生成室100と、該液滴生成室と開口部101aを介して接続されているプラズマ発生室110と、プラズマ生成室内にターゲット物質を供給するノズル102と、ノズルから供給される溶融金属のターゲット物質に基づいて、繰り返し滴下する溶融金属の液滴108を生成するピエゾ素子103及びピエゾドライバ106と、生成されたターゲット物質の液滴108aが、開口部を通過するのを妨げる液滴遮断ユニット107と、液滴遮断ユニットが所定のタイミングで動作するように制御する制御部115と、レーザ光を出射するレーザ光源111と、レーザ光源から出射したレーザ光を、液滴生成室において生成され、開口部を通過してプラズマ発生室に導入されたターゲット物質の液滴108bに照射させるレンズ112とを含む。
【解決手段】液滴生成室100と、該液滴生成室と開口部101aを介して接続されているプラズマ発生室110と、プラズマ生成室内にターゲット物質を供給するノズル102と、ノズルから供給される溶融金属のターゲット物質に基づいて、繰り返し滴下する溶融金属の液滴108を生成するピエゾ素子103及びピエゾドライバ106と、生成されたターゲット物質の液滴108aが、開口部を通過するのを妨げる液滴遮断ユニット107と、液滴遮断ユニットが所定のタイミングで動作するように制御する制御部115と、レーザ光を出射するレーザ光源111と、レーザ光源から出射したレーザ光を、液滴生成室において生成され、開口部を通過してプラズマ発生室に導入されたターゲット物質の液滴108bに照射させるレンズ112とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターゲットにレーザビームを照射することにより極端紫外(EUV:extreme ultra violet)光を発生する極端紫外光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体プロセスの微細化に伴って光リソグラフィも微細化が急速に進展しており、次世代においては、100〜70nmの微細加工、更には50nm以下の微細加工が要求されるようになる。例えば、50nm以下の微細加工の要求に応えるべく、波長13nm程度のEUV光源と縮小投影反射光学系(cataoptric system)とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
【0003】
EUV光源としては、レーザビームをターゲットに照射することによって生成するプラズマを用いたLPP(laser produced plasma)光源と、放電によって生成するプラズマを用いたDPP(discharge produced plasma)光源と、軌道放射光を用いたSR(synchrotron radiation)光源との3種類がある。これらの内でも、LPP光源は、プラズマ密度をかなり大きくできるので黒体輻射に近い極めて高い輝度が得られ、ターゲット材料を選択することにより必要な波長帯のみの発光が可能であり、ほぼ等方的な角度分布を持つ点光源であるので光源の周囲に電極等の構造物がなく、2πsteradという極めて大きな捕集立体角の確保が可能であること等の利点から、数十ワット以上のパワーが要求されるEUVリソグラフィ用の光源として有力であると考えられている。
【0004】
図31は、一般的なLPP型EUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、ノズル1が配置されたプラズマ発生室2と、レーザ光源3と、レーザ光をプラズマ発生室2に導光する伝播光学系(例えば、レンズ4)と、排気ポンプ5とを含んでいる。以下、伝播光学系としてレンズを例示して説明する。
ノズル1は、加圧供給される液体又は気体のターゲット物質を噴射することにより、レーザ光照射点7を通るターゲット噴流を形成する。ターゲット物質として、キセノン(Xe)等の常温において気体の物質を用いる場合には、ノズルの上流側に、ターゲット物質を加圧冷却することにより液化させる機構を設けることもある。反対に、常温では固体である錫やリチウムを用いる場合には、ノズルの上流側に、ターゲット物質を溶融温度以上に加熱して液化させる機構が設けられる。
【0005】
また、ノズル1にピエゾ素子6を設け、ノズル1を振動させながら液体のターゲット物質を噴射させることにより、ターゲット物質の液滴(ドロップレット)8を形成することができる。即ち、レイリーの微小擾乱の安定性理論によれば、速度vで流れる直径dのターゲット噴流を、周波数fで振動させることにより擾乱させるときに、ターゲット噴流に生じた振動の波長λ(λ=v/f)が所定の条件(例えば、λ/d=4.51)を満たす場合に、均一な大きさの液滴8が、周波数fで繰り返して形成される。そのときの周波数fは、レイリー周波数と呼ばれる。
【0006】
レーザ光源3は、所定の繰り返し動作周波数でレーザ光を出力する。レーザ光源3から出力されたレーザ光は、レンズ4によってレーザ光照射点7に集光され、ターゲット噴流やドロップレットを照射する。それにより、ターゲット物質がプラズマ化してEUV光を放射する。なお、図31には、レーザ光を照射された結果、プラズマ生成に寄与した液滴の跡8aが示されている。このようにして生成されたEUV光は、例えば、半導体装置の露光を行う場合には、波長13nm〜14nmの光を高反射率で反射するMo(モリブデン)/Si(シリコン)膜が形成された曲面型集光ミラーによって集められ、反射ミラー光学系によって露光装置へ導光される。ここで、EUV光は、物質による吸収や物質との相互作用が大きいので、EUV光を減衰させないために、EUV光を露光装置等に導光する光学系や露光装置内部の投影光学系には、反射型が用いられる。
【0007】
排気ポンプ5は、プラズマ発生室2内を排気することにより所望の圧力に維持すると共に、ターゲット物質の蒸発ガス9等の不要な物質を排出する。プラズマ発生室2内には、ガス化したターゲット物質によるEUV光の吸収や、さらには、ミラー等の光学系の汚染を防止するために、例えば、キセノンを用いる場合には0.1Pa程度の高真空が要求される。
【0008】
ところで、通常、均一な液滴を形成するためにノズル1に与えられる振動の周波数fは、照射レーザ光が出力される周波数の数倍から数十倍となる。例えば、LPP型EUV光源装置において一般に用いられるYAGレーザにおける繰り返し動作周波数は、10kHz程度であるのに対し、速度約30m/sで滴下する直径約60μmの液滴を形成する場合に、振動により液滴が生成される周波数fは約110kHzとなる。そのため、生成された液滴8の多くは、レーザ光が照射されることなくレーザ光照射点7を通過してしまう。このような液滴(残留ターゲット物質)10は、排気ポンプ5によってプラズマ発生室2の外部に排出される。しかしながら、排気ポンプ5しかプラズマ発生室2に設けられていない場合には、プラズマ発生室2の内部を高真空に維持することが困難である。その結果、生成されたEUV光がプラズマ発生室2の内部においてガス化したターゲットに吸収されてしまい、EUV光の出力低下を招いてしまう。特に、EUV光リソグラフィに用いられる13.5nmのEUV光はキセノンガスに吸収され易いので、EUV光の発生効率が悪く、これが問題となっていた。
【0009】
関連する技術として、特許文献1には、後続の標的小滴(ターゲット物質の液滴)が先行の標的小滴のイオン化により影響を受けないようにするために、EUV放射線源において、自然レイリー不安定破壊周波数の理論に基づいて決定される小滴発生率で放出される小滴の内、励振レーザのパルス周波数との関係により標的とならない小滴を、イオン化された標的小滴から発生する放射線を吸収するバッファとして作用させることが開示されている。しかしながら、バッファとして作用させるとしても、不要な小滴が存在することにより、プラズマ発生室内の真空度や清浄度は低下するので、EUV光の出力低下を招くことには変わりはない。
【0010】
このような問題を解決するため、特許文献2には、図31に示すようなEUV光源装置に対して、不要なターゲット物質の液滴を回収する回収チャンバを設けることが開示されている(第10頁)。即ち、図32に示すように、排気ポンプ12が設けられた回収チャンバ11を、プラズマ発生室2の下流側に配置する。回収チャンバ11とプラズマ発生室2とは、開口部13aを有する狭窄部(スキマー又はオリフィス)13を通じて接続される。これにより、ノズル1から噴射されたターゲット物質の液滴8の内、レーザ光を照射されずにプラズマ生成に寄与しなかった液滴10は、開口部13aを通って回収チャンバ11に回収され、排気ポンプ12によって外部に排出される。この開口部13aの径や、排気ポンプ12の排気量等を適切に選択することにより、プラズマ発生室2内の真空度や清浄度を、図31に示すEUV光源装置と比較して、容易に高く維持することができる。また、トータルで2つの排気ポンプを設けることにより、各排気ポンプへの負担を小さくすることができるので、排気ポンプを小型化することができる。
【0011】
しかしながら、図32に示すEUV光源装置においても、ノズル1から噴射されてから狭窄部13を通過するまでの間に、液滴8の表面から絶えずターゲット物質が蒸発している。また、照射レーザ光のエネルギーは非常に高いので、レーザ光が照射される液滴の前後数個の範囲に位置する液滴8bは、レーザ光照射時の衝撃による変形又は位置ずれ等の影響を受ける他、最悪の場合には熱により蒸発してしまう。そのため、レーザ光が照射されない液滴の全てが回収チャンバ11に回収されるとは限らない。このようなターゲット物質の蒸発ガス9や未回収液滴は、プラズマ発生室2に設けられた排気ポンプ5によって排出しなければならない。そのため、プラズマ発生室2内の真空度を要求されるレベル(例えば、キセノンの場合には0.1Pa程度)まで低くすることは困難である。従って、このEUV光源装置においても、プラズマ発生室2内を高真空度に維持することができないので、生成されたEUV光が吸収されてしまい、EUV光の出力低下を招来するという問題が依然として残っている。
【0012】
そこで、特許文献2においては、図32に示すEUV光源装置に対し、さらに真空スペース(回収チャンバ)を設けることが開示されている。即ち、図33に示すように、排気ポンプ15が設けられた第2の回収チャンバ14を、プラズマ発生室2の上流側に配置する。回収チャンバ14とプラズマ発生室2とは、狭窄部16に形成された開口部16aを通じて接続される。これにより、ノズル1から噴射された液滴8の表面から蒸発する蒸発ガス9は排気ポンプ15によって外部に排出されるので、プラズマ発生室2の真空度や清浄度を、図32に示すEUV光源装置と比較して、高く維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−31342(図2)
【特許文献2】特表2003−518731(第1頁、第9頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、プラズマ発生室2の内部には、依然としてレーザ光が照射されない液滴10が存在している。そのような液滴は、近隣の液滴へのレーザ光照射時の衝撃によって変形又は位置ずれ等の影響を受けるのに加えて、最悪の場合には熱によって蒸発してしまう。このように、プラズマ発生室2においては意図しない蒸発等が生じうるので、不要な液滴10の全てが回収チャンバ11に回収されるとは限らない。そのため、プラズマ発生室2内を高真空度に維持することや、ガス化したターゲット物質からミラー等のチャンバ内構成部品を防御することは、やはり困難である。また、トータルで3つのチャンバ及び3つの排気ポンプが必要になるので、システムが大型化及び複雑化してしまう。
【0015】
このように、プラズマ化したターゲットが近隣のターゲットに与える影響は、特許文献1及び2に記載されているキセノンのような常温で気体のターゲット物質だけでなく、常温で固体のターゲット物質や、常温で固体の物質を含む液体のターゲット物質においても問題となっている(例えば、錫やリチウム等の溶融金属、水又はアルコールに錫や酸化銅や銅等の微小な金属粒子を分散させたもの、水にフッ化リチウムや塩化リチウム等を溶解させたイオン溶液)。これらのターゲット物質もプラズマの熱等の影響によって蒸発する可能性があるので、一旦ガス化した金属原子がミラー等のチャンバ内構成部品を汚染し、更には、EUV光源としての性能を劣化させてしまうからである。
【0016】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、LPP型EUV光源装置において、簡単な構成によりプラズマ発生室内の真空度や清浄度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る極端紫外光源装置は、レーザ光源から出力されたレーザ光をターゲット物質に照射することにより、前記ターゲット物質をプラズマ化して極端紫外光を放射させる極端紫外光源装置であって、第1のチャンバと、該第1のチャンバと開口を介して接続されている第2のチャンバと、第1のチャンバ内にターゲット物質を供給するターゲット物質供給手段と、ターゲット物質供給手段によって供給される溶融金属のターゲット物質に基づいて、繰り返し滴下する溶融金属の液滴を生成する液滴生成手段と、該液滴生成手段によって生成されたターゲット物質の液滴が前記開口を通過するのを妨げる少なくとも1つの遮断手段と、該少なくとも1つの遮断手段が所定のタイミングで動作するように前記少なくとも1つの遮断手段を制御する制御手段と、レーザ光を出射するレーザ光源と、該レーザ光源から出射したレーザ光を、前記第1のチャンバにおいて生成され、前記開口を通過して前記第2のチャンバに導入されたターゲット物質の液滴に照射させる光学系とを具備する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、生成されたターゲット物質の液滴の内、レーザ光が照射されない液滴を遮断して、余分な液滴が第2のチャンバに導入されるのを妨げるので、安価で簡単な構成により、第2のチャンバ内の真空度や清浄度を高く維持することができる。従って、プラズマ化したターゲット物質から放射される極端紫外光の出力効率を、低コストで高めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るEUV光源装置の原理を説明するための図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図3】図2に示すEUV光源装置の変形例について説明するための図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図7】図6に示すピエゾ素子及び遮断部が動作する様子を示す模式図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図9】バイモルフ型のピエゾ素子の構造を示す模式図である。
【図10】本発明の第6の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図11】図10に示すピエゾ素子及び遮断棒の動作を説明するための図である。
【図12】本発明の第7の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図13】図12に示すモータ及び遮断棒と、遮断棒の変形例を示す平面図である。
【図14】本発明の第8の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図15】図14に示すモータ及び穴開き円盤の動作を説明するための平面図である。
【図16】本発明の第9の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図17】本発明の第10の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図18】レーザ伝搬光学系によって集光されるレーザ光の断面を示す図である。
【図19】本発明の第11の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図20】本発明の第12の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図21】本発明の第13の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図22】本発明の第14の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図23】本発明の第15の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図24】本発明の第16の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図25】本発明の第17の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図26】ノズルから噴射される液滴を間引く態様について説明するための図である。
【図27】液滴遮断ユニットの駆動タイミングを制御する第1の方法について説明するための図である。
【図28】液滴遮断ユニットの駆動タイミングを制御する第2の方法について説明するための図である。
【図29】液滴遮断ユニットの駆動タイミングを制御する第3の方法について説明するための図である。
【図30】液滴遮断ユニットの駆動タイミングを制御する第4の方法について説明するための図である。
【図31】一般的なLPP型EUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図32】LPP型EUV光源装置において、液滴回収チャンバを設けた例を示す模式図である。
【図33】LPP型EUV光源装置において、第2の回収チャンバを設けた例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の原理を説明するための図であり、極端紫外(extreme ultra violet:EUV)光源装置の一部を模式的に示している。このEUV光源装置は、LPP(Laser Produced Plasma)型であり、液滴生成室100と、ピエゾドライバ106と、EUV光を生成するためのプラズマ発生が行われるプラズマ発生室110と、プラズマ発生室においてターゲット物質の液滴を照射するレーザ光を発生するレーザ光源111と、レーザ光源111から出射したレーザ光L1をレーザ光照射点113に導くレンズ112と、制御部115とを含んでいる。液滴生成室100とプラズマ発生室110とは、狭窄部101に設けられた開口部101aを通じて接続されている。
【0021】
液滴生成室100には、ピエゾ素子103が設けられたノズル102と、排気ポンプ105とが設けられている。また、ピエゾ素子103には、ピエゾ素子103に供給される駆動信号を発生するピエゾドライバ106が接続されている。さらに、液滴生成室100の内部には、滴下する液滴を遮断する液滴遮断ユニット107が配置されている。
【0022】
ノズル102は、外部から供給されるターゲット物質を、液滴生成室100内に向けて噴射する。ターゲット物質としては、溶融させた錫(Sn)やリチウム(Li)等の溶融金属、水又はアルコールに錫、酸化錫、銅等の微小な金属粒子を分散させたもの、水にフッ化リチウム(LiF)や塩化リチウム(LiCl)を溶解させたイオン溶液等が用いられる。本実施形態においては、ターゲット物質として溶融錫(Sn)を用いる場合について説明するが、それ以外のターゲット物質を用いる場合においても、本発明はチャンバの真空度及び清浄度の向上に有効である。
【0023】
ピエゾ素子103は、ピエゾドライバ106から供給される駆動信号に基づいて伸縮することにより、ノズル102に所定の周波数fの振動を与える。このように、ノズル102を介して、ノズル102から噴射されるターゲット物質の流れ(ターゲット噴流)を擾乱させることにより、繰り返して滴下するターゲット物質の液滴108を生成することができる。即ち、ターゲット噴流の速度をv、ターゲット噴流に生じた振動の波長をλ(λ=v/f)、ターゲット噴流の直径をdとした場合に、所定の条件(例えば、λ/d=4.51)を満たすときに、均一な大きさの理想的な液滴が形成される。このターゲット噴流に生じさせる擾乱の周波数fは、レイリー周波数と呼ばれている。実際には、λ/d=3〜8程度であれば、ほぼ均一な大きさの液滴が形成される。EUV光源装置において一般的に用いられるノズルから噴射されるターゲット噴流の速度vは20m/s〜30m/s程度であるので、直径が10μm〜100μm程度の液滴を形成する場合に、ノズルに与えるべき周波数は、数10kHz〜数100kHz程度となる。以下において、このようにして1秒間あたりに生成される液滴の数のことを、液滴生成周波数、又は、単に生成周波数という。
【0024】
排気ポンプ105は、液滴生成室100内を所望の真空度に維持すると共に、生成された液滴108の表面から蒸発した蒸発ガス109や、後述するように、不要となったターゲット物質を外部に排出する。
【0025】
液滴遮断ユニット107は、制御部115の制御の下、所定のタイミングで動作することにより、滴下する液滴108を破壊し、又は、その軌道を変更し、若しくは、開口部101aを液滴から遮蔽することにより、所定の液滴が開口部101aを通過するのを妨げる。
【0026】
液滴遮断ユニット107によって遮断される液滴は、次のように選択される。先に説明したように、液滴108の生成周波数は、通常、数10kHz〜数100kHz程度となるのに対し、一般的なEUV光源に求められる繰り返し周波数は、10kHz程度である。そこで、液滴108がレーザ光照射点113を通過するタイミングが、レーザ光源の繰り返し動作周波数と一致するように、液滴108を間引く。例えば、液滴108の生成周波数が100kHz、レーザの発振周波数が10kHzである場合には、液滴108を1/10に間引けば良い。即ち、9個の液滴を連続して遮断した後に、1個の液滴を通過させる動作を繰り返す。なお、図1には、液滴遮断ユニット107によって遮断すべき液滴108aと、開口部101aを通過させるべき液滴108bとが示されている。
【0027】
図1に示すように、このような液滴遮断ユニット107に、移動ステージ107aを設けても良い。液滴108の径は、通常、10μm〜100μm程度と小さいので、液滴遮断ユニット107と液滴108との距離や位置関係を調整する必要が生じるからである。移動ステージ107aは、リモートコントロール装置等を用いたチャンバ外からの制御に従い、液滴遮断ユニット107の位置をX方向、Y方向及びZ方向について微調整する。
【0028】
プラズマ発生室110には、排気ポンプ114が設けられている。排気ポンプ114は、開口部101aを通過してプラズマ発生室110に導入された液滴108bの表面から蒸発した蒸発ガス等の不要な物質を外部に排出することにより、プラズマ発生室110内を所望の真空度に維持する。
【0029】
レーザ光源111から出射したレーザ光L1は、レンズ112によって集光され、プラズマ発生室110内のレーザ光照射点113を所定の繰り返し動作周波数(例えば、10kHz)で照射する。このようなプラズマ発生室110において、所定の間隔に間引かれた液滴108bが、レーザ光照射点113を通過する際にレーザ光L1を照射されると、ターゲット物質がプラズマ化してEUV光が放射される。このようにして生成されたEUV光は、例えば、Mo/Si膜が形成された反射光学系により、露光装置等に導かれる。
【0030】
制御部115は、ノズル102の径やターゲット物質の噴射速度等に応じてピエゾドライバ106の液滴生成周波数を設定すると共に、設定された液滴生成周波数と、レーザ光源111の繰り返し動作周波数とに応じて、液滴遮断ユニット107の動作タイミングを制御する。
【0031】
図2は、本発明の第1の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、図1に示す液滴遮断ユニット107を、ピエゾ素子を用いる構造としたものである。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
図2に示すように、このEUV光源装置は、遮断棒121が取り付けられたピエゾ素子120と、ピエゾ素子120に供給される駆動信号を発生するピエゾドライバ122とを含んでいる。本実施形態においては、アクチュエータタイプのピエゾ素子を用いている。アクチュエータタイプのピエゾ素子は、印加される電圧の極性に応じた方向に伸縮する素子であり、駆動信号に対する時間応答性が高いことを特徴としている。ピエゾドライバ122は、制御部115の制御の下で、ピエゾ素子120を伸張又は収縮させるための駆動信号を、所定の時間間隔で発生する。遮断棒121は、ピエゾ素子120が伸張したときに、液滴108の軌道に達し、ピエゾ素子120が収縮したときに、液滴108の軌道から外れるように、ピエゾ素子120に対する位置及び長さを調整されている。
【0032】
生成された液滴108を間引くために、具体的には以下に示す2つの方法が考えられる。第1の方法として、レーザ光を照射されない液滴108aが遮断棒121の高さ(ターゲットが上から下へ進行する場合を例にした。以下、同様。)を通過しようとする度にピエゾ素子120を伸張させ、遮断棒121によって液滴108aを突くことにより、液滴108aを破壊し、又は、液滴108aの軌道を変更させる。反対に、レーザ光を照射される液滴108bが遮断棒121の高さを通過しようとする際には、ピエゾ素子120を駆動しない。これにより、液滴108bのみに開口部101aを通過させることができる。また、第2の方法として、液滴108aが滴下している間中、ピエゾ素子120を伸張し、遮断棒121を液滴108aの軌道に挿入しておくことにより開口部101aを液滴108aから遮蔽する。そして、液滴108bが遮断棒121の高さを通過しようとする際にのみ、ピエゾ素子120を収縮させることにより、液滴108bに開口部101aを通過させる。
【0033】
上記の第2の方法を用いる場合には、ピエゾ素子120の駆動周波数を、液滴108の生成周波数(例えば、100kHz)ではなく、レーザ光源111の繰り返し動作周波数(例えば、10kHz)に合わせれば良い。そのため、ピエゾ素子120を駆動するための消費電力を低減すると共に、ピエゾ素子120を長寿命化することができるので、図2に示すEUV光源装置の信頼性を高めることができる。
【0034】
図3は、図2に示すEUV光源装置の変形例について説明するための図である。本実施形態においては、図2に示す遮断棒121の形状や構造を変更することにより、様々な効果を付加することができる。例えば、図2に示す遮断棒121の替わりに、図3に示す遮断棒123を用いても良い。遮断棒123の液滴衝突面123aは、法線が液滴108の軌道と角度θを為すように形成されている。このように、遮断棒123の先端に傾斜をつけることにより、液滴衝突面123aに衝突した液滴108aやその残滓108cが、傾斜に沿って流れるようになる。それにより、遮断棒123上に残滓108cが滞留したり、滞留した残滓108cが固化することがなくなるので、遮断棒123の動作効率の低下を防ぐことができる。また、遮断棒の先端や液滴衝突面123a付近に、ヒータ124を設けても良い。液滴108aが衝突する領域を加熱することにより、液滴108aの残滓108cが固化して遮断棒に蓄積するのを防ぐことができる。
【0035】
図4は、本発明の第2の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、図1に示す液滴遮断ユニット107を、複数のピエゾ素子を用いる構造としたものである。なお、図4には、2つのピエゾ素子を用いる例が示されているが、3つ以上のピエゾ素子を用いても良い。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
【0036】
図4に示すように、このEUV光源装置は、遮断棒131が取り付けられたアクチュエータタイプのピエゾ素子130と、遮断棒133が取り付けられたアクチュエータタイプのピエゾ素子132と、ピエゾ素子130及び132にそれぞれ供給される駆動信号を発生するピエゾドライバ134とを含んでいる。遮断棒131及び133は、ピエゾ素子が伸張したときに、液滴108の軌道に達し、ピエゾ素子が収縮したときに、液滴108の軌道から外れるように、ピエゾ素子130及び132における位置及び長さを調整されている。
【0037】
ピエゾドライバ134は、制御部115の制御の下で、ピエゾ素子130及び132に駆動信号を同時に又は交互に供給する。これにより、遮断棒131及び133が、同時に又は交互に液滴108aを破壊し、又は、その軌道を変更し、若しくは、開口部101aを液滴108aから遮蔽する。このように、複数のピエゾ素子を用いることにより、各ピエゾ素子の駆動周波数を、1つのピエゾ素子のみを用いる場合と比較して低減することができる。例えば、図4に示すように2つのピエゾ素子を用いる場合には、駆動周波数は1/2となり、3つのピエゾ素子を用いる場合には、駆動周波数は1/3となるので、各ピエゾ素子の負担を減らし、長寿命化することが可能になる。
なお、本実施形態においても、図3に示すものと同様に、遮断棒131及び133の先端に傾斜をつけたり、ヒータを設けても良い。
【0038】
以上説明した本発明の第1及び第2の実施形態においては、ピエゾ素子に遮断棒を取り付けているが、棒の替わりに板状の遮蔽部材(遮蔽板)をピエゾ素子に取り付けても良い。この場合には、液滴の軌道に対する遮蔽板の位置調整を緩和することができる。
【0039】
図5は、本発明の第3の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。本実施形態は、図1に示す液滴遮断ユニット107として、ピエゾ素子を用いる他の具体例を示すものである。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
図5に示すEUV光源装置は、遮断部141が取り付けられたアクチュエータタイプのピエゾ素子140と、ピエゾ素子140に供給される駆動信号を発生するピエゾドライバ142とを含んでいる。遮断部141は、液滴列の方向に長さを有する遮断棒141aを含んでいる。遮断棒141aは、ピエゾ素子141が1回伸縮することにより、複数の液滴108aと衝突し、それらの液滴108aを破壊し、又は、それらの軌道を変更させる。このように、1度に複数の液滴108aを破壊等することにより、ピエゾ素子の駆動周波数を小さくすることができるので、ピエゾ素子の長寿命化を図ることができる。
【0040】
なお、本実施形態においては、遮断棒141aの替わりに、液滴列に対向する広い面積を有する遮蔽板を設けても良い。また、本実施形態においても、図3に示すものと同様に、遮断棒141aの先端に傾斜をつけたり、ヒータを設けても良い。さらに、図4に示すものと同様に、各々に遮断棒141aを含む遮断部141が取り付けられた複数のピエゾ素子を設け、それらを同時に又は交互に駆動しても良い。
【0041】
図6は、本発明の第4の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。本実施形態は、図1に示す液滴遮断ユニット107として、ピエゾ素子を用いる他の具体例を示すものである。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
図6に示すように、このEUV光源装置は、2つのアクチュエータタイプのピエゾ素子150及び151と、2つのピエゾ素子150及び151の間に取り付けられている遮断部152と、2つのピエゾ素子150及び151に供給される駆動信号を発生するピエゾドライバ153とを含んでいる。
【0042】
図7は、図6に示すピエゾ素子150及び151、並びに、遮断部152の動作を、ノズル102側(Z軸方向)から見た様子を示している。遮断部152は、ピエゾ素子150及び151に接続された移動部152aと、移動部152aに設けられた突部152bとを含んでいる。ピエゾドライバ153は、制御部115の制御の下で、レーザ光を照射されない液滴108aが通過しようとするときに、ピエゾ素子150及び151の内の一方を伸張させるための駆動信号を発生し、他方を収縮させるための駆動信号を発生する。これにより、ピエゾ素子150及び151の伸縮に伴って移動部152aが移動し、その際に突部152bが液滴108aに衝突する。
【0043】
本実施形態において、2つのピエゾ素子を用いて遮断部152を移動させる理由は次のとおりである。一般に、アクチュエータタイプのピエゾ素子は、伸張時の圧縮応力に対する機械的強度は大きいが、収縮時の引張応力に対しては機械的強度が小さい。そのため、遮断部を「押す」作用と「引く」作用との両方を行うことは、ピエゾ素子にとって大きな負担となる。そこで、2つのピエゾ素子150及び151を同期して駆動することにより、一方の素子が収縮するときの応力負担を、他方の素子が伸張することによってカバーするようにしている。これにより、ピエゾ素子150及び151の各々に対する機械的な負担を減らし、長寿命化を図ることができる。
【0044】
なお、ピエゾ素子150及び151の一方を伸張し、他方を収縮するためには、圧電体の分極の向きが互いに反対を向くようにピエゾ素子150及び151を配置し、ピエゾ素子150及び151に同じ位相の駆動信号をそれぞれ供給すれば良い。或いは、圧電体の分極が同じ向きとなるようにピエゾ素子150及び151を配置し、ピエゾ素子150及び151に互いに位相が反転する駆動信号をそれぞれ供給する方法を用いても良い。
【0045】
なお、本実施形態においても、図3に示すものと同様に、突部152bの一端に傾斜をつけたり、ヒータを設けても良い。或いは、突部152bの形状を、液滴列の方向に長さを有する面形状とすることにより、図5に示すものと同様に、複数の液滴108aを1度に破壊等できるようにしても良い。さらに、図4に示すものと同様に、遮断部及びその両端に取り付けられた2つピエゾ素子を含む複数の液滴遮断ユニットを設け、それらを交互に駆動しても良い。
【0046】
図8は、本発明の第5の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。本実施形態は、図1に示す液滴遮断ユニット107として、ピエゾ素子を用いる他の具体例を示すものである。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
図8に示すように、このEUV光源装置は、遮断棒161が取り付けられたピエゾ素子160と、ピエゾ素子に供給される駆動信号を発生するピエゾドライバ162とを含んでいる。本実施形態においては、ピエゾ素子160として、バイモルフ型やマルチモルフ型のベンディングタイプ(屈曲変位型)を用いている。
【0047】
図9の(a)及び(b)は、バイモルフ型のピエゾ素子の構造を示す模式図である。図9の(a)及び(b)において、圧電体165a及び165b、並びに、168a及び168b中に示す矢印は、分極の向きを表している。図9の(a)に示すピエゾ素子は、パラレル型と呼ばれており、2つの圧電体165a及び165bを、分極方向が同じ方向を向くように電極166を介して張り合わせ、それらの圧電体165a及び165bに電極167a及び167bをそれぞれ形成することによって作製される。このようなピエゾ素子において、電極167a及び166を介して、圧電体165aに電界EAを加え、電極167b及び166を介して、圧電体165bに電界EAとは反対向きの電界EBを加える。それにより、一方の圧電体165aは伸張し、他方の圧電体165bは収縮するので、結果として、ピエゾ素子は矢印の方向(図の右方向)に屈曲する。一方、図9の(b)に示すピエゾ素子はシリーズ型と呼ばれている。シリーズ型のピエゾ素子において、2つの圧電体168a及び168bは、分極が互いに反対方向を向くように張り合わせられている。これらの圧電体に、電極169a及び169bを介して同じ向きの電界Eを加えることにより、一方の圧電体は伸張し、他方の圧電体が収縮するので、結果として、ピエゾ素子が屈曲する。また、マルチモルフ型のピエゾ素子においては、さらに複数の圧電体が積層されている。
【0048】
再び、図8を参照すると、ピエゾドライバ162が、制御部115の制御の下で、ピエゾ素子160を駆動するための駆動信号を発生すると、ピエゾ素子160が屈曲する。その結果、ピエゾ素子160に取り付けられた遮断棒161が液滴108aと衝突して、液滴108aを破壊し、又は、軌道を変更させる。
【0049】
一般に、ベンディングタイプのピエゾ素子においては、アクチュエータタイプのピエゾ素子と比較して、遮断棒が取り付けられる先端の変位量が大きい。そのため、液滴108aをより確実に遮断することが可能になる。なお、本実施形態においても、図3に示すものと同様に、遮断棒161の先端に傾斜をつけたり、ヒータを設けても良い。また、遮断棒161の先端に、液滴列の方向に長さを有する遮断部材(遮断棒や遮断板)を設けることにより、図5に示すものと同様に、複数の液滴108aを1度に破壊等できるようにしても良い。或いは、図4に示すように、複数個のユニットを配置しても良い。
【0050】
図10は、本発明の第6の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。本実施形態は、図1に示す液滴遮断ユニット107として、ピエゾ素子を用いる他の具体例を示すものである。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
図10に示すように、このEUV光源装置は、遮断棒171が取り付けられたアクチュエータタイプのピエゾ素子170と、ピエゾドライバ172とを含んでいる。
【0051】
図11は、ピエゾ素子170及び遮断棒171を拡大して示している。遮断棒171は、支点173において回転可能に支持されていると共に、一端においてピエゾ素子170と係合している。このピエゾ素子170を、ピエゾドライバ172から供給される駆動信号によって収縮させる。その結果、図11に示すように、遮断棒171の他端(衝突点171a)が支点173を軸として回転して、液滴108aに衝突する。
【0052】
このように、本実施形態においては、梃子の原理を利用して、遮断棒171における液滴との衝突点171aを移動させる。そのため、ピエゾ素子170の変位量が小さい場合においても、支点の位置を調節することにより、衝突点171aの変位量を大きくすることができる。従って、液滴108aをより確実に破壊等することが可能になる。なお、本実施形態においても、図3に示すものと同様に、遮断棒171の衝突点171aに傾斜をつけたり、ヒータを設けても良い。或いは、遮断棒171の先端に、液滴列の方向に長さを有する遮断部を設けることにより、図5に示すものと同様に、複数の液滴108aを1度に破壊等できるようにしても良い。さらに、図4に示すものと同様に、ピエゾ素子及び固定された支点を有する遮断棒を含む複数の遮蔽ユニットを設け、それらを交互に駆動しても良い。
【0053】
図12は、本発明の第7の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、図1に示す液滴遮断ユニット107を、モータを用いる構造としたものである。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
図12に示すように、このEUV光源装置は、遮断棒181が取り付けられたモータ180と、モータ180の動作を制御するモータ制御部182とを含んでいる。また、図13の(a)は、モータ180及び遮断棒181をZ軸方向から見た図を示している。図13の(a)に示すように、モータ180は、Z軸を回転軸として回転し、それに伴い、遮断棒181は、XY平面内において回転する。遮断棒181は、液滴108の軌道を横切るように、長さを調節されている。
【0054】
モータ制御部182は、制御部115の制御の下で、モータ180を所定の速度及びタイミングで回転させる。例えば、モータ制御部182は、遮断棒181が液滴108aと衝突するタイミングで、液滴の生成周波数とほぼ等しい周波数でモータ180を回転させる。これにより、液滴108aは、回転する遮断棒181によって次々と破壊等される。反対に、モータ制御部182は、液滴108bが通過しようとするときには、モータ180の回転を停止させ、又は、回転速度を変化させる。これにより、液滴108bは、遮断棒181と衝突することなく開口部101aを通過する。
【0055】
図13の(b)〜(d)は、モータに取り付けられる遮断棒のバリエーションを示している。例えば、図13の(b)に示すように、モータ183における向かい合う位置に2つの遮断棒184を設けても良い。この場合には、図13の(a)に示すものと比較して、モータの回転速度(回転周波数)を約半分にすることができ、モータへの負担を軽くすることができる。また、図13の(c)に示すように、モータ185の周囲に複数の遮断翼186を設けても良い。さらに、図13の(d)に示すように、モータ187の周囲に、歯車状の遮断部188を設けても良い。
【0056】
なお、本実施形態においても、図3に示すものと同様に、遮断棒等の先端に傾斜をつけたり、ヒータを設けても良い。或いは、遮断棒等の先端に、液滴列の方向に長さを有する部材(遮断棒や遮断板)を取り付けることにより、図5に示すものと同様に、複数の液滴108aを1度に破壊等できるようにしても良い。さらに、図4に示すものと同様に、モータ及び遮断棒等を含む複数の遮蔽ユニットを設け、それらを同時に又は交互に駆動しても良い。
【0057】
図14は、本発明の第8の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。本実施形態は、図1に示す液滴遮断ユニット107として、モータを用いる他の具体例を示すものである。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
図14に示すように、このEUV光原装置は、穴開き円盤191が取り付けられたモータ190と、モータ190の動作を制御するモータ制御部192とを含んでいる。また、図15の(a)は、モータ190及び穴開き円盤191をZ軸方向から見た図を示している。図15の(a)に示すように、モータ190は、Z軸を回転軸として回転し、それに伴い、穴開き円盤191は、XY平面内において回転する。穴開き円盤191には、液滴108の軌道を通るように位置調節された液滴通過口191aが形成されている。
【0058】
モータ制御部192は、制御部115の制御の下で、モータ190を所定の速度及びタイミングで回転させる。例えば、モータ制御部192は、液滴108bが穴開き円盤191の高さを通過しようとするときに、液滴通過口191aが液滴108の軌道を通るようにタイミングを合わせ、液滴の生成周波数とほぼ等しい速度でモータ190を回転させる。これにより、液滴108bは、液滴通過口191aを通過して開口部101aに導かれ、一方、液滴108aは、穴開き円盤191に衝突して破壊等される。
【0059】
本実施形態において、穴開き円盤には、2つ以上の液滴通過口を形成しても良い。例えば、図15の(b)に示すように、穴開き円盤193に4つの液滴通過口193aを形成することにより、図15の(a)に示す場合と比較して、モータの回転速度を1/4にすることができ、モータへの負担を軽くすることができる。
【0060】
図16は、本発明の第9の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光原装置は、図1に示す液滴遮断ユニット107を、レーザ光源を用いる構造としたものである。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
図16に示すように、このEUV光源装置は、液滴を破壊するために用いられるレーザ光源200と、レーザ光源200から出射したレーザ光L2を液滴108の軌道上に導くレーザ伝播光学系201とを含んでいる。レーザ光源200は、制御部115の制御の下で、所定の繰り返し動作周波数及びタイミングでレーザ光L2を出射する。例えば、レーザ光源200は、液滴の生成周波数に合わせてレーザ光L2を出射すると共に、プラズマを発生させるためのレーザ光源111の繰り返し動作周波数に合わせてレーザ光L2の出射を停止する。また、レーザ伝播光学系201は、レーザ光L2を、液滴108の軌道上において所定のスポット径となるように集光する。これにより、液滴108aはレーザ光を照射されて破壊され、又は、その軌道を変更される。一方、液滴108bは、レーザ光を照射されることなく開口部101aを通過し、プラズマ発生室110に導入される。
【0061】
液滴破壊用のレーザ光L2のエネルギーは、少なくとも、液滴108aを破砕又は蒸発させることができる程度であれば十分であり、それによって破砕された液滴の残滓の大部分が開口部101aを通過しないように、残滓の軌道を変更できることが望ましい。また、レーザ光L2のエネルギーは、液滴108aを破壊する際に生じる熱衝撃により、周囲の液滴に影響を与えたり、周囲の構成部品にダメージを与えない範囲内であることが望ましい。特に、プラズマ生成室110に導入される液滴108bの速度や軌道が変化しないように留意すべきである。
【0062】
レーザ光源200としては、YAGレーザ、エキシマレーザ、炭酸ガスレーザ、半導体レーザ等、液滴を破壊する程度のエネルギーを出力できるものであれば、どのような種類のものを用いても良い。
また、レーザ光L2のスポット径は、1つの液滴を破壊し得る十分な大きさを有していれば良い。なお、レーザ伝播光学系201は、図16に示すように、液滴生成室100の外部に設けても良いし、その一部又は全部を内部に設けても良い。
【0063】
さらに、本実施形態においても、図4に示すものと同様に、液滴破壊用のレーザ光源及びレーザ伝播光学系を含む複数のユニットを設け、それらを同時に又は交互に駆動するようにしても良い。その場合には、各レーザ光源の駆動周波数を低減させることができるので、レーザ光源の長寿命化を図ることが可能になる。また、パルス繰り返し数の低いレーザ光源を用いることもできる。
【0064】
図17は、本発明の第10の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、図16に示すレーザ光源200及びレーザ伝播光学系201の替わりに、レーザ光源210及びレーザ伝播光学系211を有している。その他の構成については、図16に示すEUV光源装置と同様である。
【0065】
図17に示すように、レーザ伝播光学系211は、レーザ光源210から出射されたレーザ光L3を、液滴108の軌道上において複数の液滴を含むスポット径となるように集光する。これにより、1回のレーザ出射によって複数の液滴108aを破壊できるようになるので、レーザ光源の駆動周波数を低減して、レーザ光源210の長寿命化を図ることが可能になる。
【0066】
図18の(a)〜(c)は、レーザ伝播光学系211によって集光されたレーザ光L3のYZ平面における断面(レーザプロファイル)を示している。本実施形態においては、図18の(a)に示すように、円形のスポット形状を用いている。しかしながら、図18の(b)に示すように、液滴列方向に長い楕円形状や、図18の(c)に示すように、液滴列方向に長い矩形状を用いても良い。これらの場合には、レーザ光を狭い範囲に集中させてエネルギー密度を高くすることができるので、確実且つ効率的に液滴を破壊することができる。
【0067】
図19は、本発明の第11の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、図1に示す液滴遮断ユニット107を、高圧ガスノズルを用いる構造としたものである。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
図19に示すように、このEUV光源装置は、高圧ガスノズル220と、ガスボンベ221と、ガス供給管222と、ガス遮蔽板223と、ガス遮蔽板駆動部224と、ガス遮蔽板制御部225とを含んでいる。
【0068】
高圧ガスノズル220は、液滴を破壊するために用いられる高圧ガス(以下において、「液滴破壊ガス」ともいう)を噴射する。高圧ガスノズル220のガス噴出力は、液滴を破壊、又は、液滴の軌道を変更させることができる程度であれば良い。反対に、過剰にガスを噴出することは、液滴生成室100やプラズマ発生室110内の圧力を上昇させる要因となるので、好ましくない。
【0069】
ガスボンベ221は、ガス供給管222を介して高圧ガスノズル220にガスを供給する。液滴破壊ガスの種類としては、水素ガス(H2)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)等のように、EUV光を吸収し難い気体を用いることが望ましい。液滴破壊ガスの一部は、開口部101aを通ってプラズマ発生室110に流入する可能性があるからである。
【0070】
ガス供給管222には、コンプレッサ222aが設けられている。コンプレッサ222aは、ガスボンベ221内のガス残量が少なくなりガスの供給圧力が低下した場合に、ガスボンベ221から供給されるガスを圧縮することにより、高圧ガスノズル220に高圧ガスを供給する。
【0071】
ガス遮蔽板223には、高圧ガスノズル220から噴射されるガスを遮蔽するシャッタが設けられている。このシャッタは、ガス遮蔽板制御部225の制御の下で動作するガス遮蔽板駆動部224によって開閉される。ガス遮蔽板駆動部224は、液滴108aがシャッタ前を通過しようとするときには、シャッタを開いておく。これにより、液滴108aは、高圧ガス噴射ノズル220から噴射されたガスを吹き付けられることにより、破壊され、又は、その軌道を変更させられる。一方、ガス遮蔽板駆動部224は、液滴108bがシャッタ前を通過しようとするときに、シャッタを閉じる。これにより、液滴108bは、ガスを吹き付けられることなく、開口部101aを通過し、プラズマ発生室110に導入される。
【0072】
液滴破壊用ガスの液滴108の軌道上におけるスポット径は、図16に示すものと同様に、1回の噴射により、1つの液滴107aを破壊できる大きさでも良いし、図18の(a)〜(c)に示すものと同様に、1回の噴射により、複数の液滴107aを破壊できる大きさでも良い。このようなスポット径は、高圧ガスノズル220のノズル径と、ガスの噴射速度とを適切に選択することにより、調節することができる。
【0073】
また、本実施形態においても、図4に示すものと同様に、高圧ガスノズル及びガスボンベを含む複数のユニットを設け、複数の高圧ガスノズルから交互に液滴破壊用ガスを噴射させても良い。その場合には、液滴破壊用ガスを長時間に渡って安定して噴射させることができるので、EUV光源装置の動作の信頼性を向上させることができる。
【0074】
図20は、本発明の第12の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、図1に示すEUV光源装置に対し、破壊された液滴等を回収する回収筒をさらに設けたものである。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
【0075】
図20に示すように、このEUV光源装置は、回収筒230、及び、回収筒230と接続された排気ポンプ231を含んでいる。回収筒230及び排気ポンプ231は、液滴遮断ユニット107によって破壊された液滴の残滓や、軌道を変更された液滴を集中的に回収する。回収筒230の回収口230aは、液滴等を効率良く回収できるように、液滴破壊ポイント近傍に配置されている。具体的には、回収口230aを、液滴列を挟み、液滴遮断ユニット107に対向する位置に設けることが望ましい。
【0076】
本実施形態によれば、破壊された液滴の残滓108cや軌道を変更された液滴108aが液滴生成室100に拡散する前に、それらを回収することができる。そのため、液滴の残滓108cや蒸発ガスがプラズマ発生室110内に流入するのを抑制できるので、プラズマ発生室110内を高真空に維持することが可能になる。その結果、EUV光の出力効率を向上させるだけでなく、プラズマ発生室110に設けられている排気ポンプ114等を小型化することも可能になる。従って、EUV光源装置の性能および信頼性を向上させることが可能になる。
【0077】
なお、図20においては、液滴生成室100に、排気ポンプ105及び231が設けられているが、本実施形態においては、排気ポンプ105を省くことも可能である。即ち、排気ポンプ231に、液滴の残滓108cの回収と、液滴生成室100内部の排気との両方を兼ねさせる。それにより、EUV光源装置全体を小型化することが可能になる。
【0078】
図21は、本発明の第13の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、図1に示すEUV光源装置において、液滴遮断ユニット107を設ける替わりに、ターゲット物質を噴射するノズル102を移動させる機構を設けている。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
【0079】
図21に示すように、このEUV光源装置は、ノズル102に設けられた第2のピエゾ素子240と、ピエゾ素子240に供給される駆動信号を発生するピエゾドライバ241と、狭窄部101近傍に設けられたヒータ242とを含んでいる。
ピエゾドライバ241は、制御部115の制御の下で、ピエゾ素子240を伸縮させる駆動信号を所定のタイミングで発生する。ピエゾ素子240は、供給される駆動信号に基づいて伸縮することにより、ノズル102の位置を変位させ、又は、ノズル102の向きを傾斜させる。その結果、ノズル102から滴下する液滴108の軌道を変更することができる。制御部115は、液滴108aが滴下するときに、液滴の軌道を開口部101aの方向からずれるように、ピエゾ素子240を駆動させる。それにより、液滴108aが開口部101aを通過してプラズマ発生室110に進入するのを妨げ、液滴108bのみをプラズマ発生室110に導入することができる。
【0080】
ここで、ノズル102を傾斜させる場合に、液滴108aの軌道は、傾斜させない本来の軌道に対して非平行となる。そのため、時間の経過に伴い、液滴108aの軌道と本来の軌道とのズレΔXは次第に大きくなる。従って、ノズルを傾斜させる場合には、ノズルの位置をずらす場合と比較して、ピエゾ素子240の振幅は小さくて済むので、ピエゾ素子の負担を抑制することができる。
【0081】
ところで、軌道を変更されて狭窄部101近傍に着地した液滴108aは、即座に固化して開口部101aを塞いでしまうおそれがある。そのため、本実施形態においては、狭窄部101近傍にヒータ242を設け、液滴108aの固化を防止している。
【0082】
ピエゾ素子240の駆動方式としては、液滴108aが生成される毎にノズル102が変位又は傾斜するように、液滴の生成周波数に同期して駆動する方式を用いても良い。或いは、液滴108aが生成されている間中ノズルが変位又は傾斜した状態を保ち、液滴108bが滴下されるときにノズル102が本来の位置に戻るように、レーザ光源111の繰り返し動作周波数に同期して駆動する方式を用いても良い。なお、前者の場合には、ピエゾ素子240の駆動周波数を、均一な液滴を生成するためのピエゾ素子103による液滴生成周波数よりも小さくする必要がある。例えば、ピエゾ素子240の駆動周波数を、液滴生成周波数の1/4以下にすることが望ましい。
【0083】
図22は、本発明の第14の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、図1に示すEUV光源装置において、液滴遮断ユニット107を設ける替わりに、液滴生成室100とプラズマ発生室110とを導通している開口部を変位させる機構を設けている。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
【0084】
図22に示すように、このEUV光源装置は、開口部250aを有する狭窄部250と、狭窄部250に取り付けられたピエゾ素子251と、ピエゾ素子251に供給される駆動信号を発生するピエゾドライバ252とを含んでいる。
本実施形態において、狭窄部250は、例えば、フレキシブルチューブのように、適当な外力を加えることによって変形可能な部材によって作製されている。また、狭窄部250に外力を加える機構として、ピエゾ素子251を用いている。
【0085】
ピエゾドライバ252は、制御部115の制御の下で、ピエゾ素子251を伸張又は収縮させる駆動信号を、所定のタイミングで発生する。ピエゾ素子251は、供給される駆動信号に基づいて伸縮することにより、狭窄部250を変形させる。これにより、狭窄部250に形成された開口部250aを変位させることができる。そこで、ノズル102から液滴108aが滴下するときに、ピエゾ素子251を駆動して開口部250aの位置を液滴の軌道からずらすことにより、液滴108aがプラズマ発生室110に侵入するのを妨げることができる。一方、液滴108bが滴下するときには、開口部250aを液滴の軌道からずらすことなく、液滴108bをプラズマ発生室110に導入する。
【0086】
なお、本実施形態においても、図21に示すものと同様に、狭窄部250近傍にヒータを設けても良い。それにより、狭窄部250近傍に着地した液滴108aの固化を防止し、開口部250aが塞がれるのを防ぐことができる。
【0087】
図23は、本発明の第15の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、図1に示すEUV光源装置における液滴遮断ユニット107を、液滴の軌道を変更するための2種類の電極を用いる構造としたものである。その他の構成については、図1に示すものと同様である。
【0088】
図23に示すように、このEUV光源装置は、帯電用電極260a及び260bと、帯電用電源261と、偏向用電極262a及び262bと、偏向用電源263とを含んでいる。
帯電用電極260a及び260bは、ノズル102の近傍に、ノズル102から滴下する液滴108の軌道を挟み、対向して配置されている。また、帯電用電極260aは接地配線に接続されており、帯電用電極260bは帯電用電源261に接続されている。ノズル102から滴下した液滴108は、帯電用電極260a及び260bの間を通過する間に、帯電用電源260から、帯電用電極260a及び260bを介して電荷を供給され、帯電する。
【0089】
偏向用電極262a及び262bは、帯電用電極260a及び260bの下流に、液滴108の軌道を挟み、対向して配置されている。また、偏向用電極262aは偏向用電源263の正の高電圧の端子に接続されており、偏向用電極262bは偏向用電源263の負の高電圧の端子に接続されている。偏向用電源263は、制御部115によって制御されており、偏向用電極262a及び262bの間に電位差を与えることにより、それらの電極262a及び262bの間に電界を生成する。
【0090】
制御部115は、帯電用電極260a及び260bによって帯電させられた液滴108aが滴下してくるときに、偏向用電源263を活性化する。それにより、偏向用電極262a及び262bの間において液滴108aが偏向するので、その軌道が開口部101aからずれてしまい、液滴108aは開口部101aを通過することができなくなる。一方、制御部115は、帯電用電極260a及び260bによって帯電させられた液滴108bが滴下するときに、偏向用電源263を非活性化する。それにより、液滴108bは、偏向することなく開口部101aを通過し、プラズマ発生室110に導入される。
【0091】
ここで、本実施形態は、ターゲット物質の液滴を帯電させるため、導電性のターゲット物質を用いる場合に有効である。そのようなターゲット物質として、例えば、溶融させた錫やリチウム等の溶融金属、水又はアルコールに錫や銅等の微小な金属粒子を分散させたものや、水にフッ化リチウム(LiF)を溶解させたイオン溶液等を用いることができる。
【0092】
図24は、本発明の第16の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、図1に示すEUV光源装置における液滴遮断ユニット107を、液滴を微粒化するための電極を用いる構造としたものである。その他の構成については、図1に示すものと同様である。
【0093】
図24に示すように、このEUV光源装置は、リング状の微粒化用電極270及び微粒化用電源271を含んでいる。微粒化用電極270は、ノズル102から滴下する液滴108がリング内を通過するように配置されている。微粒化用電源271は、制御部115の制御の下で動作しており、微粒化用電極270とノズル102との間に電位差を与えることにより、ノズル102から滴下する液滴108に電圧を印加する。
【0094】
制御部115は、液滴108aが微粒化用電極270を通過しようとするときに、微粒化用電源271を活性化する。その結果、液滴108aは、過剰な電圧を印加されて破壊され、微粒化する。それによって生じたターゲット物質の微粒子108dは、液滴生成室100内に散逸し、その内の大部分は開口部101aを通過することなく排気ポンプ105に回収される。一方、制御部115は、液滴108bが微粒化用電極270を通過しようとするときには、微粒化用電源271を非活性化する。その結果、液滴108bは、微粒化されることなく開口部101aを通過し、プラズマ発生室110に導入される。
なお、本実施形態も、溶融させた錫やリチウム等の溶融金属、水又はアルコールに錫や銅等の微小な金属粒子を分散させたものや、水にフッ化リチウム(LiF)を溶解させたイオン溶液等のように、導電性のターゲット物質を用いる場合に有効である。
【0095】
図25は、本発明の第17の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、図24に示すEUV光源装置に、微粒化されたターゲット物質を捕捉する捕捉用電極280a及び280bと、捕捉用電源281とをさらに設けたものである。その他の構成については、図24に示すものと同様である。
【0096】
捕捉用電極280a及び280bは、微粒化用電極270の下流に、液滴108の軌道を挟み、対向して配置されている。捕捉用電源281は、制御部115の制御の下で動作しており、捕捉用電極280a及び280bの間に電位差を与えることにより、それらの電極280a及び280bの間に電界を形成する。
【0097】
ここで、微粒化用電極270のリング内を通過することによって微粒化されたターゲット物質の微粒子108dは、印加された電圧と微粒子の径とに応じた電荷を与えられている。制御部115は、そのようなターゲット物質の微粒子108dが、捕捉用電極280a及び280bの間を通過するタイミングで、捕捉用電源の281を活性化する。その結果、ターゲット物質の微粒子108dは、捕捉用電極280a又は280bに捕捉される。一方、制御部115は、液滴108bが捕捉用電極280a及び280bの間を通過しようとするときには、捕捉用電源281を非活性化する。その結果、液滴108bは、電極に捕捉されることなく、開口部101aを通過し、プラズマ発生室110に導入される。
【0098】
なお、本実施形態も、溶融させた錫やリチウム等の溶融金属、水又はアルコールに錫や銅等の微小な金属粒子を分散させたものや、水にフッ化リチウム(LiF)を溶解させたイオン溶液のように、導電性のターゲット物質を用いる場合に有効である。
本実施形態によれば、微粒化されたターゲット物質の内のほとんどが捕捉用電極280a及び280bに捕捉されるので、開口部101aを通ってプラズマ発生室110に流入するターゲット物質を大幅に低減することができる。
【0099】
なお、以上説明した本発明の第15〜第17の実施形態においても、図21に示すものと同様に、狭窄部101又は250の近傍にヒータを設けても良い。それにより、狭窄部101近傍に着地した液滴108aやその微粒子の固化を防止し、開口部101aが塞がれるのを防ぐことができる。
【0100】
図26は、本発明の第1〜第17の実施形態において、ノズルから噴射される液滴108を間引く態様について説明するための図である。図26の(a)〜(f)においては、液滴の生成周波数を100kHz、レーザ光の繰り返し動作周波数を10kHzとしており、生成される液滴10個の内の1個にレーザ光が照射されるものとする。図26の(a)〜(f)において、二重丸印は、生成される液滴108の内、プラズマ発生室においてレーザ光が照射される予定の液滴108bを示しており、破線の丸印は、レーザ光が照射されないため間引かれる液滴108aを示しており、実線の丸印は、レーザ光は照射されないが、間引かれない液滴108eを示している。また、矢印は、液滴108の進行方向を表している。
【0101】
図26の(a)は、参考のために、従来のEUV光源装置におけるレーザ光照射方法を示している。従来は、液滴を間引くことが行われていなかったので、不要な液滴108eがプラズマ発生室110(図1)に導入されてしまい、それが真空度や清浄度を低下させる要因の1つとなっていた。
【0102】
図26の(b)は、レーザ光が照射される液滴108b以外の全ての液滴を間引く例を示している。この例によれば、不要な液滴が開口部101aを通過するのを最小限に留めることができるので、プラズマ発生室110の真空度や清浄度を最も高く維持することが可能になる。この場合には、プラズマ発生室110内の真空度や清浄度を、図26の(a)に示す場合と比較して、約10倍にすることができる。
【0103】
図26の(c)〜(e)は、レーザ光が照射される液滴108b以外の液滴を間欠的に間引く例を示している。このように、液滴遮断ユニットの構造や動作に応じて駆動周波数を調整することにより、液滴遮断ユニットを安定して動作させることができると共に、液滴遮断ユニットを長寿命化させることができる。例えば、図26の(c)に示すように、液滴遮断ユニット107(図1)を50kHzで駆動することにより、不要な液滴を1個おきに間引くことができる。この場合には、プラズマ発生室110内の真空度や清浄度を、図26の(a)に示す場合と比較して約2倍にすることができる。また、図26の(d)に示すように、液滴遮断ユニット107を10kHzで駆動することにより、プラズマ発生室110内の真空度や清浄度を、図26の(a)に示す場合と比較して約1.1倍にすることができる。さらに、図26の(e)に示すように、液滴遮断ユニット107を5kHzで駆動することにより、プラズマ発生室110内の真空度や清浄度を、図26の(a)に示す場合と比較して約1.05倍にすることができる。
【0104】
図26の(f)は、液滴108bの前後に位置する液滴108eを残し、それ以外の液滴108aを間引く例を示している。ここで、液滴遮断ユニット107によりある液滴を破壊すると、その周辺に存在する液滴がその影響を受けて、破壊されたり、変形したり、その軌道が変更されてしまう事態が生じる可能性もある。そのため、図26の(f)においては、レーザ光が照射される予定の液滴108bがそのような影響を受けないように、その前後の液滴108eを残存させている。この残存させる液滴108eの数は、レーザ光を照射される予定の液滴108bの前後1個ずつでも良いし、複数ずつでも良い。それらの液滴数は、使用される液滴遮断ユニット107の構造や破壊力等に応じて、破壊された液滴が近隣の液滴に与える影響を考慮しつつ、プラズマ発生室110内の真空度や清浄度を図26の(a)に示す場合と比較して高くすることができる範囲で選択することが望ましい。
【0105】
図27〜30は、液滴遮断ユニットの駆動タイミングを制御する方法について説明するための図であり、本発明の第1〜第17の実施形態における制御部115(図1〜図25)の構成を具体的に示したものである。
図27には、液滴を生成するためのピエゾ素子103に供給される駆動信号を発生するピエゾドライバ106を制御する液滴生成用コントローラ300と、液滴遮断ユニット107を制御する液滴遮断用コントローラ301と、ターゲット物質を照射するレーザ光を出射するレーザ光源を制御するレーザ光源用コントローラ302とが示されている。液滴生成用コントローラ300は、例えば、100kHzで駆動信号を発生するようにピエゾドライバ106を制御している。また、レーザ光源用コントローラ302は、液滴生成用コントローラから供給されるトリガ信号に同期して、例えば、10kHzの繰り返し動作周波数でレーザ光を出射するようにレーザ光源111を制御している。また、液滴遮断用コントローラ301には、液滴遮断ユニットを動作させるための駆動周波数や、動作時間の長さや、動作周期や、動作強度等が予めプログラムされている。
【0106】
このような装置において、液滴生成用コントローラ300は、自身が動作を開始するのと同時に、液滴遮断用コントローラ301に、スタートトリガ信号を供給する。それにより、液滴遮断用コントローラ301は、予めプログラムされた動作を開始する。例えば、液滴遮断用コントローラ301において、駆動周波数として50kHzを用いることをプログラムしておくことにより、図26の(c)を用いて説明したような動作をさせることができる。このように、コントローラ300〜302における動作を、トリガ信号を用いて同期させることにより、簡単且つ安価に制御系を構成することができる。
【0107】
図28に示す構成は、図27に示す構成に対して、液滴生成用コントローラ300と液滴遮断用コントローラ301との間に、遅延部303をさらに設けたものである。遅延部303は、液滴生成用コントローラ300から出力されるスタートトリガ信号に適切な遅延を与えて、液滴遮断用コントローラ301に供給することにより、これらのコントローラ300及び301の間で動作タイミングを調整する。
【0108】
ここで、例えば、流速25m/s、生成周波数100kHzの液滴を生成する場合に、ノズル102から滴下する液滴の列において、隣接する液滴間の距離は約250μm、時間間隔は約10μsとなる。そのため、ノズル102と液滴遮断ユニット107との間の距離によっては、液滴108が液滴遮断ユニット107の高さを通過するタイミングと、液滴遮断ユニット107の動作タイミングとがずれてしまう場合がある。そこで、予め、スタートトリガ信号の発信タイミングを遅延部303によって調整しておくことにより、不要な液滴108を液滴遮断ユニット107によって確実に間引けるようになる。この遅延部303の調整は、手動で行うこともできる。或いは、遅延部303を設ける替わりに、液滴遮断用コントローラ301内において、スタートトリガ信号が活性化されてから動作開始タイミングまでの遅延時間を調整して良い。
【0109】
図29に示す構成は、図27に示す構成に対して、液滴生成用コントローラ300と、液滴遮断用コントローラ301と、レーザコントローラ302とを制御する総合コントローラ304をさらに設けたものである。
図29において、総合コントローラ304は、液滴生成用コントローラ300及び液滴遮断用コントローラ301にスタートトリガ信号を供給し、レーザコントローラ302にトリガ信号を供給する。それにより、液滴生成用コントローラ300は、設定された生成周波数で液滴の生成を開始し、液滴遮断用コントローラ301は、予めプログラムされた駆動周波数や、動作時間の長さや、動作周期や、動作強度等に従って動作を開始する。また、レーザコントローラ302は、レーザ光源111に所定の繰り返し動作周波数でレーザ発振を起こさせる。
【0110】
図30に示す構成は、図29に示す総合コントローラ304の替わりに、総合コントローラ305を設けたものである。総合コントローラ305には、液滴108の生成周波数や、液滴遮断ユニット107の駆動周波数や、動作時間の長さや、動作周期や、動作強度等がプログラムされている。総合コントローラ305は、液滴生成用コントローラ300に対し、生成周波数に応じたパルストリガ信号(例えば、100kHz)を供給し、液滴遮断用コントローラ301に対し、駆動周波数に応じたパルストリガ信号(例えば、50kHz)を供給し、レーザ光源用コントローラ302に対し、繰り返し動作周波数に応じたパルストリガ信号(例えば、10kHz)を供給する。これに応じて、液滴生成用コントローラ300は、パルストリガ信号が供給されたときに1回動作し、液滴遮断用コントローラ301は、パルストリガ信号が供給されたときに1回動作し、レーザ光源用コントローラ302は、パルストリガ信号が供給されたときに1回動作する。
【0111】
図29又は図30において、液滴108の通過タイミングと液滴遮断ユニット107の動作タイミングとの間にずれが生じるおそれがある場合には、ずれを解消するために、総合コントローラ304又は305から液滴生成用コントローラ300及び液滴遮断用コントローラ301に、所定の時間差を設けてスタートトリガ信号を供給しても良い。或いは、総合コントローラ304又は305と液滴遮断用コントローラ301との間に遅延部を設けても良いし、液滴遮断用コントローラ301内において、スタートトリガ信号が活性化されてから動作開始タイミングまでの遅延時間を調整しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、露光装置等に用いられるLPP型EUV光源装置において利用可能である。
【符号の説明】
【0113】
1、102…ノズル、2、110…プラズマ発生室、3、111、200、210…レーザ光源、4、112…レンズ、5、12、15、105、114、231…排気ポンプ、6、103、120、130、132、140、150、151、160、165a、165b、168a、168b、170、240、251…ピエゾ素子、7、113…レーザ光照射点、8、108、108a、108b、108e…液滴、108c…液滴の残滓、108d…ターゲット物質の微粒子、8a…液滴の跡、9、109…蒸発ガス、10…残留ターゲット物質、11、14…回収チャンバ、13、16、101、250…狭窄部、13a、16a、101a、250a…開口部、100…液滴生成室、106、122、134、153、162、172、241、252…ピエゾドライバ、107…液滴遮断ユニット、107a…移動ステージ、115…制御部、121、123、131、133、141a、161、171、181、184…遮断棒、124、242…ヒータ、141、152、188…遮断部、165a〜165d…圧電体、166、167a、167b、169a、169b…電極、173…支点、180、183、185、187、190…モータ、182、192…モータ制御部、186…遮断翼、191、193…穴開き円盤、201、211…レーザ伝播光学系、220…高圧ガスノズル、221…ガスボンベ、222…ガス供給管、222a…コンプレッサ、223…ガス遮蔽板、224…ガス遮蔽板駆動部、225…ガス遮蔽板制御部、230…回収筒、230a…回収口、260a、260b…帯電用電極、261…帯電用電源、262a、262b…偏向用電極、263…偏向用電源、270…微粒化用電極、271…微粒化用電源、280a、280b…捕捉用電極、281…捕捉用電源、300…液滴生成用コントローラ、301…液滴遮断用コントローラ、302…レーザ光源用コントローラ、303…遅延部、304、305…総合コントローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターゲットにレーザビームを照射することにより極端紫外(EUV:extreme ultra violet)光を発生する極端紫外光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体プロセスの微細化に伴って光リソグラフィも微細化が急速に進展しており、次世代においては、100〜70nmの微細加工、更には50nm以下の微細加工が要求されるようになる。例えば、50nm以下の微細加工の要求に応えるべく、波長13nm程度のEUV光源と縮小投影反射光学系(cataoptric system)とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
【0003】
EUV光源としては、レーザビームをターゲットに照射することによって生成するプラズマを用いたLPP(laser produced plasma)光源と、放電によって生成するプラズマを用いたDPP(discharge produced plasma)光源と、軌道放射光を用いたSR(synchrotron radiation)光源との3種類がある。これらの内でも、LPP光源は、プラズマ密度をかなり大きくできるので黒体輻射に近い極めて高い輝度が得られ、ターゲット材料を選択することにより必要な波長帯のみの発光が可能であり、ほぼ等方的な角度分布を持つ点光源であるので光源の周囲に電極等の構造物がなく、2πsteradという極めて大きな捕集立体角の確保が可能であること等の利点から、数十ワット以上のパワーが要求されるEUVリソグラフィ用の光源として有力であると考えられている。
【0004】
図31は、一般的なLPP型EUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、ノズル1が配置されたプラズマ発生室2と、レーザ光源3と、レーザ光をプラズマ発生室2に導光する伝播光学系(例えば、レンズ4)と、排気ポンプ5とを含んでいる。以下、伝播光学系としてレンズを例示して説明する。
ノズル1は、加圧供給される液体又は気体のターゲット物質を噴射することにより、レーザ光照射点7を通るターゲット噴流を形成する。ターゲット物質として、キセノン(Xe)等の常温において気体の物質を用いる場合には、ノズルの上流側に、ターゲット物質を加圧冷却することにより液化させる機構を設けることもある。反対に、常温では固体である錫やリチウムを用いる場合には、ノズルの上流側に、ターゲット物質を溶融温度以上に加熱して液化させる機構が設けられる。
【0005】
また、ノズル1にピエゾ素子6を設け、ノズル1を振動させながら液体のターゲット物質を噴射させることにより、ターゲット物質の液滴(ドロップレット)8を形成することができる。即ち、レイリーの微小擾乱の安定性理論によれば、速度vで流れる直径dのターゲット噴流を、周波数fで振動させることにより擾乱させるときに、ターゲット噴流に生じた振動の波長λ(λ=v/f)が所定の条件(例えば、λ/d=4.51)を満たす場合に、均一な大きさの液滴8が、周波数fで繰り返して形成される。そのときの周波数fは、レイリー周波数と呼ばれる。
【0006】
レーザ光源3は、所定の繰り返し動作周波数でレーザ光を出力する。レーザ光源3から出力されたレーザ光は、レンズ4によってレーザ光照射点7に集光され、ターゲット噴流やドロップレットを照射する。それにより、ターゲット物質がプラズマ化してEUV光を放射する。なお、図31には、レーザ光を照射された結果、プラズマ生成に寄与した液滴の跡8aが示されている。このようにして生成されたEUV光は、例えば、半導体装置の露光を行う場合には、波長13nm〜14nmの光を高反射率で反射するMo(モリブデン)/Si(シリコン)膜が形成された曲面型集光ミラーによって集められ、反射ミラー光学系によって露光装置へ導光される。ここで、EUV光は、物質による吸収や物質との相互作用が大きいので、EUV光を減衰させないために、EUV光を露光装置等に導光する光学系や露光装置内部の投影光学系には、反射型が用いられる。
【0007】
排気ポンプ5は、プラズマ発生室2内を排気することにより所望の圧力に維持すると共に、ターゲット物質の蒸発ガス9等の不要な物質を排出する。プラズマ発生室2内には、ガス化したターゲット物質によるEUV光の吸収や、さらには、ミラー等の光学系の汚染を防止するために、例えば、キセノンを用いる場合には0.1Pa程度の高真空が要求される。
【0008】
ところで、通常、均一な液滴を形成するためにノズル1に与えられる振動の周波数fは、照射レーザ光が出力される周波数の数倍から数十倍となる。例えば、LPP型EUV光源装置において一般に用いられるYAGレーザにおける繰り返し動作周波数は、10kHz程度であるのに対し、速度約30m/sで滴下する直径約60μmの液滴を形成する場合に、振動により液滴が生成される周波数fは約110kHzとなる。そのため、生成された液滴8の多くは、レーザ光が照射されることなくレーザ光照射点7を通過してしまう。このような液滴(残留ターゲット物質)10は、排気ポンプ5によってプラズマ発生室2の外部に排出される。しかしながら、排気ポンプ5しかプラズマ発生室2に設けられていない場合には、プラズマ発生室2の内部を高真空に維持することが困難である。その結果、生成されたEUV光がプラズマ発生室2の内部においてガス化したターゲットに吸収されてしまい、EUV光の出力低下を招いてしまう。特に、EUV光リソグラフィに用いられる13.5nmのEUV光はキセノンガスに吸収され易いので、EUV光の発生効率が悪く、これが問題となっていた。
【0009】
関連する技術として、特許文献1には、後続の標的小滴(ターゲット物質の液滴)が先行の標的小滴のイオン化により影響を受けないようにするために、EUV放射線源において、自然レイリー不安定破壊周波数の理論に基づいて決定される小滴発生率で放出される小滴の内、励振レーザのパルス周波数との関係により標的とならない小滴を、イオン化された標的小滴から発生する放射線を吸収するバッファとして作用させることが開示されている。しかしながら、バッファとして作用させるとしても、不要な小滴が存在することにより、プラズマ発生室内の真空度や清浄度は低下するので、EUV光の出力低下を招くことには変わりはない。
【0010】
このような問題を解決するため、特許文献2には、図31に示すようなEUV光源装置に対して、不要なターゲット物質の液滴を回収する回収チャンバを設けることが開示されている(第10頁)。即ち、図32に示すように、排気ポンプ12が設けられた回収チャンバ11を、プラズマ発生室2の下流側に配置する。回収チャンバ11とプラズマ発生室2とは、開口部13aを有する狭窄部(スキマー又はオリフィス)13を通じて接続される。これにより、ノズル1から噴射されたターゲット物質の液滴8の内、レーザ光を照射されずにプラズマ生成に寄与しなかった液滴10は、開口部13aを通って回収チャンバ11に回収され、排気ポンプ12によって外部に排出される。この開口部13aの径や、排気ポンプ12の排気量等を適切に選択することにより、プラズマ発生室2内の真空度や清浄度を、図31に示すEUV光源装置と比較して、容易に高く維持することができる。また、トータルで2つの排気ポンプを設けることにより、各排気ポンプへの負担を小さくすることができるので、排気ポンプを小型化することができる。
【0011】
しかしながら、図32に示すEUV光源装置においても、ノズル1から噴射されてから狭窄部13を通過するまでの間に、液滴8の表面から絶えずターゲット物質が蒸発している。また、照射レーザ光のエネルギーは非常に高いので、レーザ光が照射される液滴の前後数個の範囲に位置する液滴8bは、レーザ光照射時の衝撃による変形又は位置ずれ等の影響を受ける他、最悪の場合には熱により蒸発してしまう。そのため、レーザ光が照射されない液滴の全てが回収チャンバ11に回収されるとは限らない。このようなターゲット物質の蒸発ガス9や未回収液滴は、プラズマ発生室2に設けられた排気ポンプ5によって排出しなければならない。そのため、プラズマ発生室2内の真空度を要求されるレベル(例えば、キセノンの場合には0.1Pa程度)まで低くすることは困難である。従って、このEUV光源装置においても、プラズマ発生室2内を高真空度に維持することができないので、生成されたEUV光が吸収されてしまい、EUV光の出力低下を招来するという問題が依然として残っている。
【0012】
そこで、特許文献2においては、図32に示すEUV光源装置に対し、さらに真空スペース(回収チャンバ)を設けることが開示されている。即ち、図33に示すように、排気ポンプ15が設けられた第2の回収チャンバ14を、プラズマ発生室2の上流側に配置する。回収チャンバ14とプラズマ発生室2とは、狭窄部16に形成された開口部16aを通じて接続される。これにより、ノズル1から噴射された液滴8の表面から蒸発する蒸発ガス9は排気ポンプ15によって外部に排出されるので、プラズマ発生室2の真空度や清浄度を、図32に示すEUV光源装置と比較して、高く維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−31342(図2)
【特許文献2】特表2003−518731(第1頁、第9頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、プラズマ発生室2の内部には、依然としてレーザ光が照射されない液滴10が存在している。そのような液滴は、近隣の液滴へのレーザ光照射時の衝撃によって変形又は位置ずれ等の影響を受けるのに加えて、最悪の場合には熱によって蒸発してしまう。このように、プラズマ発生室2においては意図しない蒸発等が生じうるので、不要な液滴10の全てが回収チャンバ11に回収されるとは限らない。そのため、プラズマ発生室2内を高真空度に維持することや、ガス化したターゲット物質からミラー等のチャンバ内構成部品を防御することは、やはり困難である。また、トータルで3つのチャンバ及び3つの排気ポンプが必要になるので、システムが大型化及び複雑化してしまう。
【0015】
このように、プラズマ化したターゲットが近隣のターゲットに与える影響は、特許文献1及び2に記載されているキセノンのような常温で気体のターゲット物質だけでなく、常温で固体のターゲット物質や、常温で固体の物質を含む液体のターゲット物質においても問題となっている(例えば、錫やリチウム等の溶融金属、水又はアルコールに錫や酸化銅や銅等の微小な金属粒子を分散させたもの、水にフッ化リチウムや塩化リチウム等を溶解させたイオン溶液)。これらのターゲット物質もプラズマの熱等の影響によって蒸発する可能性があるので、一旦ガス化した金属原子がミラー等のチャンバ内構成部品を汚染し、更には、EUV光源としての性能を劣化させてしまうからである。
【0016】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、LPP型EUV光源装置において、簡単な構成によりプラズマ発生室内の真空度や清浄度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る極端紫外光源装置は、レーザ光源から出力されたレーザ光をターゲット物質に照射することにより、前記ターゲット物質をプラズマ化して極端紫外光を放射させる極端紫外光源装置であって、第1のチャンバと、該第1のチャンバと開口を介して接続されている第2のチャンバと、第1のチャンバ内にターゲット物質を供給するターゲット物質供給手段と、ターゲット物質供給手段によって供給される溶融金属のターゲット物質に基づいて、繰り返し滴下する溶融金属の液滴を生成する液滴生成手段と、該液滴生成手段によって生成されたターゲット物質の液滴が前記開口を通過するのを妨げる少なくとも1つの遮断手段と、該少なくとも1つの遮断手段が所定のタイミングで動作するように前記少なくとも1つの遮断手段を制御する制御手段と、レーザ光を出射するレーザ光源と、該レーザ光源から出射したレーザ光を、前記第1のチャンバにおいて生成され、前記開口を通過して前記第2のチャンバに導入されたターゲット物質の液滴に照射させる光学系とを具備する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、生成されたターゲット物質の液滴の内、レーザ光が照射されない液滴を遮断して、余分な液滴が第2のチャンバに導入されるのを妨げるので、安価で簡単な構成により、第2のチャンバ内の真空度や清浄度を高く維持することができる。従って、プラズマ化したターゲット物質から放射される極端紫外光の出力効率を、低コストで高めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るEUV光源装置の原理を説明するための図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図3】図2に示すEUV光源装置の変形例について説明するための図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図7】図6に示すピエゾ素子及び遮断部が動作する様子を示す模式図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図9】バイモルフ型のピエゾ素子の構造を示す模式図である。
【図10】本発明の第6の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図11】図10に示すピエゾ素子及び遮断棒の動作を説明するための図である。
【図12】本発明の第7の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図13】図12に示すモータ及び遮断棒と、遮断棒の変形例を示す平面図である。
【図14】本発明の第8の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図15】図14に示すモータ及び穴開き円盤の動作を説明するための平面図である。
【図16】本発明の第9の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図17】本発明の第10の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図18】レーザ伝搬光学系によって集光されるレーザ光の断面を示す図である。
【図19】本発明の第11の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図20】本発明の第12の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図21】本発明の第13の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図22】本発明の第14の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図23】本発明の第15の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図24】本発明の第16の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図25】本発明の第17の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図26】ノズルから噴射される液滴を間引く態様について説明するための図である。
【図27】液滴遮断ユニットの駆動タイミングを制御する第1の方法について説明するための図である。
【図28】液滴遮断ユニットの駆動タイミングを制御する第2の方法について説明するための図である。
【図29】液滴遮断ユニットの駆動タイミングを制御する第3の方法について説明するための図である。
【図30】液滴遮断ユニットの駆動タイミングを制御する第4の方法について説明するための図である。
【図31】一般的なLPP型EUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図32】LPP型EUV光源装置において、液滴回収チャンバを設けた例を示す模式図である。
【図33】LPP型EUV光源装置において、第2の回収チャンバを設けた例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の原理を説明するための図であり、極端紫外(extreme ultra violet:EUV)光源装置の一部を模式的に示している。このEUV光源装置は、LPP(Laser Produced Plasma)型であり、液滴生成室100と、ピエゾドライバ106と、EUV光を生成するためのプラズマ発生が行われるプラズマ発生室110と、プラズマ発生室においてターゲット物質の液滴を照射するレーザ光を発生するレーザ光源111と、レーザ光源111から出射したレーザ光L1をレーザ光照射点113に導くレンズ112と、制御部115とを含んでいる。液滴生成室100とプラズマ発生室110とは、狭窄部101に設けられた開口部101aを通じて接続されている。
【0021】
液滴生成室100には、ピエゾ素子103が設けられたノズル102と、排気ポンプ105とが設けられている。また、ピエゾ素子103には、ピエゾ素子103に供給される駆動信号を発生するピエゾドライバ106が接続されている。さらに、液滴生成室100の内部には、滴下する液滴を遮断する液滴遮断ユニット107が配置されている。
【0022】
ノズル102は、外部から供給されるターゲット物質を、液滴生成室100内に向けて噴射する。ターゲット物質としては、溶融させた錫(Sn)やリチウム(Li)等の溶融金属、水又はアルコールに錫、酸化錫、銅等の微小な金属粒子を分散させたもの、水にフッ化リチウム(LiF)や塩化リチウム(LiCl)を溶解させたイオン溶液等が用いられる。本実施形態においては、ターゲット物質として溶融錫(Sn)を用いる場合について説明するが、それ以外のターゲット物質を用いる場合においても、本発明はチャンバの真空度及び清浄度の向上に有効である。
【0023】
ピエゾ素子103は、ピエゾドライバ106から供給される駆動信号に基づいて伸縮することにより、ノズル102に所定の周波数fの振動を与える。このように、ノズル102を介して、ノズル102から噴射されるターゲット物質の流れ(ターゲット噴流)を擾乱させることにより、繰り返して滴下するターゲット物質の液滴108を生成することができる。即ち、ターゲット噴流の速度をv、ターゲット噴流に生じた振動の波長をλ(λ=v/f)、ターゲット噴流の直径をdとした場合に、所定の条件(例えば、λ/d=4.51)を満たすときに、均一な大きさの理想的な液滴が形成される。このターゲット噴流に生じさせる擾乱の周波数fは、レイリー周波数と呼ばれている。実際には、λ/d=3〜8程度であれば、ほぼ均一な大きさの液滴が形成される。EUV光源装置において一般的に用いられるノズルから噴射されるターゲット噴流の速度vは20m/s〜30m/s程度であるので、直径が10μm〜100μm程度の液滴を形成する場合に、ノズルに与えるべき周波数は、数10kHz〜数100kHz程度となる。以下において、このようにして1秒間あたりに生成される液滴の数のことを、液滴生成周波数、又は、単に生成周波数という。
【0024】
排気ポンプ105は、液滴生成室100内を所望の真空度に維持すると共に、生成された液滴108の表面から蒸発した蒸発ガス109や、後述するように、不要となったターゲット物質を外部に排出する。
【0025】
液滴遮断ユニット107は、制御部115の制御の下、所定のタイミングで動作することにより、滴下する液滴108を破壊し、又は、その軌道を変更し、若しくは、開口部101aを液滴から遮蔽することにより、所定の液滴が開口部101aを通過するのを妨げる。
【0026】
液滴遮断ユニット107によって遮断される液滴は、次のように選択される。先に説明したように、液滴108の生成周波数は、通常、数10kHz〜数100kHz程度となるのに対し、一般的なEUV光源に求められる繰り返し周波数は、10kHz程度である。そこで、液滴108がレーザ光照射点113を通過するタイミングが、レーザ光源の繰り返し動作周波数と一致するように、液滴108を間引く。例えば、液滴108の生成周波数が100kHz、レーザの発振周波数が10kHzである場合には、液滴108を1/10に間引けば良い。即ち、9個の液滴を連続して遮断した後に、1個の液滴を通過させる動作を繰り返す。なお、図1には、液滴遮断ユニット107によって遮断すべき液滴108aと、開口部101aを通過させるべき液滴108bとが示されている。
【0027】
図1に示すように、このような液滴遮断ユニット107に、移動ステージ107aを設けても良い。液滴108の径は、通常、10μm〜100μm程度と小さいので、液滴遮断ユニット107と液滴108との距離や位置関係を調整する必要が生じるからである。移動ステージ107aは、リモートコントロール装置等を用いたチャンバ外からの制御に従い、液滴遮断ユニット107の位置をX方向、Y方向及びZ方向について微調整する。
【0028】
プラズマ発生室110には、排気ポンプ114が設けられている。排気ポンプ114は、開口部101aを通過してプラズマ発生室110に導入された液滴108bの表面から蒸発した蒸発ガス等の不要な物質を外部に排出することにより、プラズマ発生室110内を所望の真空度に維持する。
【0029】
レーザ光源111から出射したレーザ光L1は、レンズ112によって集光され、プラズマ発生室110内のレーザ光照射点113を所定の繰り返し動作周波数(例えば、10kHz)で照射する。このようなプラズマ発生室110において、所定の間隔に間引かれた液滴108bが、レーザ光照射点113を通過する際にレーザ光L1を照射されると、ターゲット物質がプラズマ化してEUV光が放射される。このようにして生成されたEUV光は、例えば、Mo/Si膜が形成された反射光学系により、露光装置等に導かれる。
【0030】
制御部115は、ノズル102の径やターゲット物質の噴射速度等に応じてピエゾドライバ106の液滴生成周波数を設定すると共に、設定された液滴生成周波数と、レーザ光源111の繰り返し動作周波数とに応じて、液滴遮断ユニット107の動作タイミングを制御する。
【0031】
図2は、本発明の第1の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、図1に示す液滴遮断ユニット107を、ピエゾ素子を用いる構造としたものである。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
図2に示すように、このEUV光源装置は、遮断棒121が取り付けられたピエゾ素子120と、ピエゾ素子120に供給される駆動信号を発生するピエゾドライバ122とを含んでいる。本実施形態においては、アクチュエータタイプのピエゾ素子を用いている。アクチュエータタイプのピエゾ素子は、印加される電圧の極性に応じた方向に伸縮する素子であり、駆動信号に対する時間応答性が高いことを特徴としている。ピエゾドライバ122は、制御部115の制御の下で、ピエゾ素子120を伸張又は収縮させるための駆動信号を、所定の時間間隔で発生する。遮断棒121は、ピエゾ素子120が伸張したときに、液滴108の軌道に達し、ピエゾ素子120が収縮したときに、液滴108の軌道から外れるように、ピエゾ素子120に対する位置及び長さを調整されている。
【0032】
生成された液滴108を間引くために、具体的には以下に示す2つの方法が考えられる。第1の方法として、レーザ光を照射されない液滴108aが遮断棒121の高さ(ターゲットが上から下へ進行する場合を例にした。以下、同様。)を通過しようとする度にピエゾ素子120を伸張させ、遮断棒121によって液滴108aを突くことにより、液滴108aを破壊し、又は、液滴108aの軌道を変更させる。反対に、レーザ光を照射される液滴108bが遮断棒121の高さを通過しようとする際には、ピエゾ素子120を駆動しない。これにより、液滴108bのみに開口部101aを通過させることができる。また、第2の方法として、液滴108aが滴下している間中、ピエゾ素子120を伸張し、遮断棒121を液滴108aの軌道に挿入しておくことにより開口部101aを液滴108aから遮蔽する。そして、液滴108bが遮断棒121の高さを通過しようとする際にのみ、ピエゾ素子120を収縮させることにより、液滴108bに開口部101aを通過させる。
【0033】
上記の第2の方法を用いる場合には、ピエゾ素子120の駆動周波数を、液滴108の生成周波数(例えば、100kHz)ではなく、レーザ光源111の繰り返し動作周波数(例えば、10kHz)に合わせれば良い。そのため、ピエゾ素子120を駆動するための消費電力を低減すると共に、ピエゾ素子120を長寿命化することができるので、図2に示すEUV光源装置の信頼性を高めることができる。
【0034】
図3は、図2に示すEUV光源装置の変形例について説明するための図である。本実施形態においては、図2に示す遮断棒121の形状や構造を変更することにより、様々な効果を付加することができる。例えば、図2に示す遮断棒121の替わりに、図3に示す遮断棒123を用いても良い。遮断棒123の液滴衝突面123aは、法線が液滴108の軌道と角度θを為すように形成されている。このように、遮断棒123の先端に傾斜をつけることにより、液滴衝突面123aに衝突した液滴108aやその残滓108cが、傾斜に沿って流れるようになる。それにより、遮断棒123上に残滓108cが滞留したり、滞留した残滓108cが固化することがなくなるので、遮断棒123の動作効率の低下を防ぐことができる。また、遮断棒の先端や液滴衝突面123a付近に、ヒータ124を設けても良い。液滴108aが衝突する領域を加熱することにより、液滴108aの残滓108cが固化して遮断棒に蓄積するのを防ぐことができる。
【0035】
図4は、本発明の第2の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、図1に示す液滴遮断ユニット107を、複数のピエゾ素子を用いる構造としたものである。なお、図4には、2つのピエゾ素子を用いる例が示されているが、3つ以上のピエゾ素子を用いても良い。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
【0036】
図4に示すように、このEUV光源装置は、遮断棒131が取り付けられたアクチュエータタイプのピエゾ素子130と、遮断棒133が取り付けられたアクチュエータタイプのピエゾ素子132と、ピエゾ素子130及び132にそれぞれ供給される駆動信号を発生するピエゾドライバ134とを含んでいる。遮断棒131及び133は、ピエゾ素子が伸張したときに、液滴108の軌道に達し、ピエゾ素子が収縮したときに、液滴108の軌道から外れるように、ピエゾ素子130及び132における位置及び長さを調整されている。
【0037】
ピエゾドライバ134は、制御部115の制御の下で、ピエゾ素子130及び132に駆動信号を同時に又は交互に供給する。これにより、遮断棒131及び133が、同時に又は交互に液滴108aを破壊し、又は、その軌道を変更し、若しくは、開口部101aを液滴108aから遮蔽する。このように、複数のピエゾ素子を用いることにより、各ピエゾ素子の駆動周波数を、1つのピエゾ素子のみを用いる場合と比較して低減することができる。例えば、図4に示すように2つのピエゾ素子を用いる場合には、駆動周波数は1/2となり、3つのピエゾ素子を用いる場合には、駆動周波数は1/3となるので、各ピエゾ素子の負担を減らし、長寿命化することが可能になる。
なお、本実施形態においても、図3に示すものと同様に、遮断棒131及び133の先端に傾斜をつけたり、ヒータを設けても良い。
【0038】
以上説明した本発明の第1及び第2の実施形態においては、ピエゾ素子に遮断棒を取り付けているが、棒の替わりに板状の遮蔽部材(遮蔽板)をピエゾ素子に取り付けても良い。この場合には、液滴の軌道に対する遮蔽板の位置調整を緩和することができる。
【0039】
図5は、本発明の第3の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。本実施形態は、図1に示す液滴遮断ユニット107として、ピエゾ素子を用いる他の具体例を示すものである。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
図5に示すEUV光源装置は、遮断部141が取り付けられたアクチュエータタイプのピエゾ素子140と、ピエゾ素子140に供給される駆動信号を発生するピエゾドライバ142とを含んでいる。遮断部141は、液滴列の方向に長さを有する遮断棒141aを含んでいる。遮断棒141aは、ピエゾ素子141が1回伸縮することにより、複数の液滴108aと衝突し、それらの液滴108aを破壊し、又は、それらの軌道を変更させる。このように、1度に複数の液滴108aを破壊等することにより、ピエゾ素子の駆動周波数を小さくすることができるので、ピエゾ素子の長寿命化を図ることができる。
【0040】
なお、本実施形態においては、遮断棒141aの替わりに、液滴列に対向する広い面積を有する遮蔽板を設けても良い。また、本実施形態においても、図3に示すものと同様に、遮断棒141aの先端に傾斜をつけたり、ヒータを設けても良い。さらに、図4に示すものと同様に、各々に遮断棒141aを含む遮断部141が取り付けられた複数のピエゾ素子を設け、それらを同時に又は交互に駆動しても良い。
【0041】
図6は、本発明の第4の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。本実施形態は、図1に示す液滴遮断ユニット107として、ピエゾ素子を用いる他の具体例を示すものである。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
図6に示すように、このEUV光源装置は、2つのアクチュエータタイプのピエゾ素子150及び151と、2つのピエゾ素子150及び151の間に取り付けられている遮断部152と、2つのピエゾ素子150及び151に供給される駆動信号を発生するピエゾドライバ153とを含んでいる。
【0042】
図7は、図6に示すピエゾ素子150及び151、並びに、遮断部152の動作を、ノズル102側(Z軸方向)から見た様子を示している。遮断部152は、ピエゾ素子150及び151に接続された移動部152aと、移動部152aに設けられた突部152bとを含んでいる。ピエゾドライバ153は、制御部115の制御の下で、レーザ光を照射されない液滴108aが通過しようとするときに、ピエゾ素子150及び151の内の一方を伸張させるための駆動信号を発生し、他方を収縮させるための駆動信号を発生する。これにより、ピエゾ素子150及び151の伸縮に伴って移動部152aが移動し、その際に突部152bが液滴108aに衝突する。
【0043】
本実施形態において、2つのピエゾ素子を用いて遮断部152を移動させる理由は次のとおりである。一般に、アクチュエータタイプのピエゾ素子は、伸張時の圧縮応力に対する機械的強度は大きいが、収縮時の引張応力に対しては機械的強度が小さい。そのため、遮断部を「押す」作用と「引く」作用との両方を行うことは、ピエゾ素子にとって大きな負担となる。そこで、2つのピエゾ素子150及び151を同期して駆動することにより、一方の素子が収縮するときの応力負担を、他方の素子が伸張することによってカバーするようにしている。これにより、ピエゾ素子150及び151の各々に対する機械的な負担を減らし、長寿命化を図ることができる。
【0044】
なお、ピエゾ素子150及び151の一方を伸張し、他方を収縮するためには、圧電体の分極の向きが互いに反対を向くようにピエゾ素子150及び151を配置し、ピエゾ素子150及び151に同じ位相の駆動信号をそれぞれ供給すれば良い。或いは、圧電体の分極が同じ向きとなるようにピエゾ素子150及び151を配置し、ピエゾ素子150及び151に互いに位相が反転する駆動信号をそれぞれ供給する方法を用いても良い。
【0045】
なお、本実施形態においても、図3に示すものと同様に、突部152bの一端に傾斜をつけたり、ヒータを設けても良い。或いは、突部152bの形状を、液滴列の方向に長さを有する面形状とすることにより、図5に示すものと同様に、複数の液滴108aを1度に破壊等できるようにしても良い。さらに、図4に示すものと同様に、遮断部及びその両端に取り付けられた2つピエゾ素子を含む複数の液滴遮断ユニットを設け、それらを交互に駆動しても良い。
【0046】
図8は、本発明の第5の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。本実施形態は、図1に示す液滴遮断ユニット107として、ピエゾ素子を用いる他の具体例を示すものである。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
図8に示すように、このEUV光源装置は、遮断棒161が取り付けられたピエゾ素子160と、ピエゾ素子に供給される駆動信号を発生するピエゾドライバ162とを含んでいる。本実施形態においては、ピエゾ素子160として、バイモルフ型やマルチモルフ型のベンディングタイプ(屈曲変位型)を用いている。
【0047】
図9の(a)及び(b)は、バイモルフ型のピエゾ素子の構造を示す模式図である。図9の(a)及び(b)において、圧電体165a及び165b、並びに、168a及び168b中に示す矢印は、分極の向きを表している。図9の(a)に示すピエゾ素子は、パラレル型と呼ばれており、2つの圧電体165a及び165bを、分極方向が同じ方向を向くように電極166を介して張り合わせ、それらの圧電体165a及び165bに電極167a及び167bをそれぞれ形成することによって作製される。このようなピエゾ素子において、電極167a及び166を介して、圧電体165aに電界EAを加え、電極167b及び166を介して、圧電体165bに電界EAとは反対向きの電界EBを加える。それにより、一方の圧電体165aは伸張し、他方の圧電体165bは収縮するので、結果として、ピエゾ素子は矢印の方向(図の右方向)に屈曲する。一方、図9の(b)に示すピエゾ素子はシリーズ型と呼ばれている。シリーズ型のピエゾ素子において、2つの圧電体168a及び168bは、分極が互いに反対方向を向くように張り合わせられている。これらの圧電体に、電極169a及び169bを介して同じ向きの電界Eを加えることにより、一方の圧電体は伸張し、他方の圧電体が収縮するので、結果として、ピエゾ素子が屈曲する。また、マルチモルフ型のピエゾ素子においては、さらに複数の圧電体が積層されている。
【0048】
再び、図8を参照すると、ピエゾドライバ162が、制御部115の制御の下で、ピエゾ素子160を駆動するための駆動信号を発生すると、ピエゾ素子160が屈曲する。その結果、ピエゾ素子160に取り付けられた遮断棒161が液滴108aと衝突して、液滴108aを破壊し、又は、軌道を変更させる。
【0049】
一般に、ベンディングタイプのピエゾ素子においては、アクチュエータタイプのピエゾ素子と比較して、遮断棒が取り付けられる先端の変位量が大きい。そのため、液滴108aをより確実に遮断することが可能になる。なお、本実施形態においても、図3に示すものと同様に、遮断棒161の先端に傾斜をつけたり、ヒータを設けても良い。また、遮断棒161の先端に、液滴列の方向に長さを有する遮断部材(遮断棒や遮断板)を設けることにより、図5に示すものと同様に、複数の液滴108aを1度に破壊等できるようにしても良い。或いは、図4に示すように、複数個のユニットを配置しても良い。
【0050】
図10は、本発明の第6の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。本実施形態は、図1に示す液滴遮断ユニット107として、ピエゾ素子を用いる他の具体例を示すものである。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
図10に示すように、このEUV光源装置は、遮断棒171が取り付けられたアクチュエータタイプのピエゾ素子170と、ピエゾドライバ172とを含んでいる。
【0051】
図11は、ピエゾ素子170及び遮断棒171を拡大して示している。遮断棒171は、支点173において回転可能に支持されていると共に、一端においてピエゾ素子170と係合している。このピエゾ素子170を、ピエゾドライバ172から供給される駆動信号によって収縮させる。その結果、図11に示すように、遮断棒171の他端(衝突点171a)が支点173を軸として回転して、液滴108aに衝突する。
【0052】
このように、本実施形態においては、梃子の原理を利用して、遮断棒171における液滴との衝突点171aを移動させる。そのため、ピエゾ素子170の変位量が小さい場合においても、支点の位置を調節することにより、衝突点171aの変位量を大きくすることができる。従って、液滴108aをより確実に破壊等することが可能になる。なお、本実施形態においても、図3に示すものと同様に、遮断棒171の衝突点171aに傾斜をつけたり、ヒータを設けても良い。或いは、遮断棒171の先端に、液滴列の方向に長さを有する遮断部を設けることにより、図5に示すものと同様に、複数の液滴108aを1度に破壊等できるようにしても良い。さらに、図4に示すものと同様に、ピエゾ素子及び固定された支点を有する遮断棒を含む複数の遮蔽ユニットを設け、それらを交互に駆動しても良い。
【0053】
図12は、本発明の第7の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、図1に示す液滴遮断ユニット107を、モータを用いる構造としたものである。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
図12に示すように、このEUV光源装置は、遮断棒181が取り付けられたモータ180と、モータ180の動作を制御するモータ制御部182とを含んでいる。また、図13の(a)は、モータ180及び遮断棒181をZ軸方向から見た図を示している。図13の(a)に示すように、モータ180は、Z軸を回転軸として回転し、それに伴い、遮断棒181は、XY平面内において回転する。遮断棒181は、液滴108の軌道を横切るように、長さを調節されている。
【0054】
モータ制御部182は、制御部115の制御の下で、モータ180を所定の速度及びタイミングで回転させる。例えば、モータ制御部182は、遮断棒181が液滴108aと衝突するタイミングで、液滴の生成周波数とほぼ等しい周波数でモータ180を回転させる。これにより、液滴108aは、回転する遮断棒181によって次々と破壊等される。反対に、モータ制御部182は、液滴108bが通過しようとするときには、モータ180の回転を停止させ、又は、回転速度を変化させる。これにより、液滴108bは、遮断棒181と衝突することなく開口部101aを通過する。
【0055】
図13の(b)〜(d)は、モータに取り付けられる遮断棒のバリエーションを示している。例えば、図13の(b)に示すように、モータ183における向かい合う位置に2つの遮断棒184を設けても良い。この場合には、図13の(a)に示すものと比較して、モータの回転速度(回転周波数)を約半分にすることができ、モータへの負担を軽くすることができる。また、図13の(c)に示すように、モータ185の周囲に複数の遮断翼186を設けても良い。さらに、図13の(d)に示すように、モータ187の周囲に、歯車状の遮断部188を設けても良い。
【0056】
なお、本実施形態においても、図3に示すものと同様に、遮断棒等の先端に傾斜をつけたり、ヒータを設けても良い。或いは、遮断棒等の先端に、液滴列の方向に長さを有する部材(遮断棒や遮断板)を取り付けることにより、図5に示すものと同様に、複数の液滴108aを1度に破壊等できるようにしても良い。さらに、図4に示すものと同様に、モータ及び遮断棒等を含む複数の遮蔽ユニットを設け、それらを同時に又は交互に駆動しても良い。
【0057】
図14は、本発明の第8の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。本実施形態は、図1に示す液滴遮断ユニット107として、モータを用いる他の具体例を示すものである。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
図14に示すように、このEUV光原装置は、穴開き円盤191が取り付けられたモータ190と、モータ190の動作を制御するモータ制御部192とを含んでいる。また、図15の(a)は、モータ190及び穴開き円盤191をZ軸方向から見た図を示している。図15の(a)に示すように、モータ190は、Z軸を回転軸として回転し、それに伴い、穴開き円盤191は、XY平面内において回転する。穴開き円盤191には、液滴108の軌道を通るように位置調節された液滴通過口191aが形成されている。
【0058】
モータ制御部192は、制御部115の制御の下で、モータ190を所定の速度及びタイミングで回転させる。例えば、モータ制御部192は、液滴108bが穴開き円盤191の高さを通過しようとするときに、液滴通過口191aが液滴108の軌道を通るようにタイミングを合わせ、液滴の生成周波数とほぼ等しい速度でモータ190を回転させる。これにより、液滴108bは、液滴通過口191aを通過して開口部101aに導かれ、一方、液滴108aは、穴開き円盤191に衝突して破壊等される。
【0059】
本実施形態において、穴開き円盤には、2つ以上の液滴通過口を形成しても良い。例えば、図15の(b)に示すように、穴開き円盤193に4つの液滴通過口193aを形成することにより、図15の(a)に示す場合と比較して、モータの回転速度を1/4にすることができ、モータへの負担を軽くすることができる。
【0060】
図16は、本発明の第9の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光原装置は、図1に示す液滴遮断ユニット107を、レーザ光源を用いる構造としたものである。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
図16に示すように、このEUV光源装置は、液滴を破壊するために用いられるレーザ光源200と、レーザ光源200から出射したレーザ光L2を液滴108の軌道上に導くレーザ伝播光学系201とを含んでいる。レーザ光源200は、制御部115の制御の下で、所定の繰り返し動作周波数及びタイミングでレーザ光L2を出射する。例えば、レーザ光源200は、液滴の生成周波数に合わせてレーザ光L2を出射すると共に、プラズマを発生させるためのレーザ光源111の繰り返し動作周波数に合わせてレーザ光L2の出射を停止する。また、レーザ伝播光学系201は、レーザ光L2を、液滴108の軌道上において所定のスポット径となるように集光する。これにより、液滴108aはレーザ光を照射されて破壊され、又は、その軌道を変更される。一方、液滴108bは、レーザ光を照射されることなく開口部101aを通過し、プラズマ発生室110に導入される。
【0061】
液滴破壊用のレーザ光L2のエネルギーは、少なくとも、液滴108aを破砕又は蒸発させることができる程度であれば十分であり、それによって破砕された液滴の残滓の大部分が開口部101aを通過しないように、残滓の軌道を変更できることが望ましい。また、レーザ光L2のエネルギーは、液滴108aを破壊する際に生じる熱衝撃により、周囲の液滴に影響を与えたり、周囲の構成部品にダメージを与えない範囲内であることが望ましい。特に、プラズマ生成室110に導入される液滴108bの速度や軌道が変化しないように留意すべきである。
【0062】
レーザ光源200としては、YAGレーザ、エキシマレーザ、炭酸ガスレーザ、半導体レーザ等、液滴を破壊する程度のエネルギーを出力できるものであれば、どのような種類のものを用いても良い。
また、レーザ光L2のスポット径は、1つの液滴を破壊し得る十分な大きさを有していれば良い。なお、レーザ伝播光学系201は、図16に示すように、液滴生成室100の外部に設けても良いし、その一部又は全部を内部に設けても良い。
【0063】
さらに、本実施形態においても、図4に示すものと同様に、液滴破壊用のレーザ光源及びレーザ伝播光学系を含む複数のユニットを設け、それらを同時に又は交互に駆動するようにしても良い。その場合には、各レーザ光源の駆動周波数を低減させることができるので、レーザ光源の長寿命化を図ることが可能になる。また、パルス繰り返し数の低いレーザ光源を用いることもできる。
【0064】
図17は、本発明の第10の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、図16に示すレーザ光源200及びレーザ伝播光学系201の替わりに、レーザ光源210及びレーザ伝播光学系211を有している。その他の構成については、図16に示すEUV光源装置と同様である。
【0065】
図17に示すように、レーザ伝播光学系211は、レーザ光源210から出射されたレーザ光L3を、液滴108の軌道上において複数の液滴を含むスポット径となるように集光する。これにより、1回のレーザ出射によって複数の液滴108aを破壊できるようになるので、レーザ光源の駆動周波数を低減して、レーザ光源210の長寿命化を図ることが可能になる。
【0066】
図18の(a)〜(c)は、レーザ伝播光学系211によって集光されたレーザ光L3のYZ平面における断面(レーザプロファイル)を示している。本実施形態においては、図18の(a)に示すように、円形のスポット形状を用いている。しかしながら、図18の(b)に示すように、液滴列方向に長い楕円形状や、図18の(c)に示すように、液滴列方向に長い矩形状を用いても良い。これらの場合には、レーザ光を狭い範囲に集中させてエネルギー密度を高くすることができるので、確実且つ効率的に液滴を破壊することができる。
【0067】
図19は、本発明の第11の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、図1に示す液滴遮断ユニット107を、高圧ガスノズルを用いる構造としたものである。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
図19に示すように、このEUV光源装置は、高圧ガスノズル220と、ガスボンベ221と、ガス供給管222と、ガス遮蔽板223と、ガス遮蔽板駆動部224と、ガス遮蔽板制御部225とを含んでいる。
【0068】
高圧ガスノズル220は、液滴を破壊するために用いられる高圧ガス(以下において、「液滴破壊ガス」ともいう)を噴射する。高圧ガスノズル220のガス噴出力は、液滴を破壊、又は、液滴の軌道を変更させることができる程度であれば良い。反対に、過剰にガスを噴出することは、液滴生成室100やプラズマ発生室110内の圧力を上昇させる要因となるので、好ましくない。
【0069】
ガスボンベ221は、ガス供給管222を介して高圧ガスノズル220にガスを供給する。液滴破壊ガスの種類としては、水素ガス(H2)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)等のように、EUV光を吸収し難い気体を用いることが望ましい。液滴破壊ガスの一部は、開口部101aを通ってプラズマ発生室110に流入する可能性があるからである。
【0070】
ガス供給管222には、コンプレッサ222aが設けられている。コンプレッサ222aは、ガスボンベ221内のガス残量が少なくなりガスの供給圧力が低下した場合に、ガスボンベ221から供給されるガスを圧縮することにより、高圧ガスノズル220に高圧ガスを供給する。
【0071】
ガス遮蔽板223には、高圧ガスノズル220から噴射されるガスを遮蔽するシャッタが設けられている。このシャッタは、ガス遮蔽板制御部225の制御の下で動作するガス遮蔽板駆動部224によって開閉される。ガス遮蔽板駆動部224は、液滴108aがシャッタ前を通過しようとするときには、シャッタを開いておく。これにより、液滴108aは、高圧ガス噴射ノズル220から噴射されたガスを吹き付けられることにより、破壊され、又は、その軌道を変更させられる。一方、ガス遮蔽板駆動部224は、液滴108bがシャッタ前を通過しようとするときに、シャッタを閉じる。これにより、液滴108bは、ガスを吹き付けられることなく、開口部101aを通過し、プラズマ発生室110に導入される。
【0072】
液滴破壊用ガスの液滴108の軌道上におけるスポット径は、図16に示すものと同様に、1回の噴射により、1つの液滴107aを破壊できる大きさでも良いし、図18の(a)〜(c)に示すものと同様に、1回の噴射により、複数の液滴107aを破壊できる大きさでも良い。このようなスポット径は、高圧ガスノズル220のノズル径と、ガスの噴射速度とを適切に選択することにより、調節することができる。
【0073】
また、本実施形態においても、図4に示すものと同様に、高圧ガスノズル及びガスボンベを含む複数のユニットを設け、複数の高圧ガスノズルから交互に液滴破壊用ガスを噴射させても良い。その場合には、液滴破壊用ガスを長時間に渡って安定して噴射させることができるので、EUV光源装置の動作の信頼性を向上させることができる。
【0074】
図20は、本発明の第12の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、図1に示すEUV光源装置に対し、破壊された液滴等を回収する回収筒をさらに設けたものである。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
【0075】
図20に示すように、このEUV光源装置は、回収筒230、及び、回収筒230と接続された排気ポンプ231を含んでいる。回収筒230及び排気ポンプ231は、液滴遮断ユニット107によって破壊された液滴の残滓や、軌道を変更された液滴を集中的に回収する。回収筒230の回収口230aは、液滴等を効率良く回収できるように、液滴破壊ポイント近傍に配置されている。具体的には、回収口230aを、液滴列を挟み、液滴遮断ユニット107に対向する位置に設けることが望ましい。
【0076】
本実施形態によれば、破壊された液滴の残滓108cや軌道を変更された液滴108aが液滴生成室100に拡散する前に、それらを回収することができる。そのため、液滴の残滓108cや蒸発ガスがプラズマ発生室110内に流入するのを抑制できるので、プラズマ発生室110内を高真空に維持することが可能になる。その結果、EUV光の出力効率を向上させるだけでなく、プラズマ発生室110に設けられている排気ポンプ114等を小型化することも可能になる。従って、EUV光源装置の性能および信頼性を向上させることが可能になる。
【0077】
なお、図20においては、液滴生成室100に、排気ポンプ105及び231が設けられているが、本実施形態においては、排気ポンプ105を省くことも可能である。即ち、排気ポンプ231に、液滴の残滓108cの回収と、液滴生成室100内部の排気との両方を兼ねさせる。それにより、EUV光源装置全体を小型化することが可能になる。
【0078】
図21は、本発明の第13の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、図1に示すEUV光源装置において、液滴遮断ユニット107を設ける替わりに、ターゲット物質を噴射するノズル102を移動させる機構を設けている。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
【0079】
図21に示すように、このEUV光源装置は、ノズル102に設けられた第2のピエゾ素子240と、ピエゾ素子240に供給される駆動信号を発生するピエゾドライバ241と、狭窄部101近傍に設けられたヒータ242とを含んでいる。
ピエゾドライバ241は、制御部115の制御の下で、ピエゾ素子240を伸縮させる駆動信号を所定のタイミングで発生する。ピエゾ素子240は、供給される駆動信号に基づいて伸縮することにより、ノズル102の位置を変位させ、又は、ノズル102の向きを傾斜させる。その結果、ノズル102から滴下する液滴108の軌道を変更することができる。制御部115は、液滴108aが滴下するときに、液滴の軌道を開口部101aの方向からずれるように、ピエゾ素子240を駆動させる。それにより、液滴108aが開口部101aを通過してプラズマ発生室110に進入するのを妨げ、液滴108bのみをプラズマ発生室110に導入することができる。
【0080】
ここで、ノズル102を傾斜させる場合に、液滴108aの軌道は、傾斜させない本来の軌道に対して非平行となる。そのため、時間の経過に伴い、液滴108aの軌道と本来の軌道とのズレΔXは次第に大きくなる。従って、ノズルを傾斜させる場合には、ノズルの位置をずらす場合と比較して、ピエゾ素子240の振幅は小さくて済むので、ピエゾ素子の負担を抑制することができる。
【0081】
ところで、軌道を変更されて狭窄部101近傍に着地した液滴108aは、即座に固化して開口部101aを塞いでしまうおそれがある。そのため、本実施形態においては、狭窄部101近傍にヒータ242を設け、液滴108aの固化を防止している。
【0082】
ピエゾ素子240の駆動方式としては、液滴108aが生成される毎にノズル102が変位又は傾斜するように、液滴の生成周波数に同期して駆動する方式を用いても良い。或いは、液滴108aが生成されている間中ノズルが変位又は傾斜した状態を保ち、液滴108bが滴下されるときにノズル102が本来の位置に戻るように、レーザ光源111の繰り返し動作周波数に同期して駆動する方式を用いても良い。なお、前者の場合には、ピエゾ素子240の駆動周波数を、均一な液滴を生成するためのピエゾ素子103による液滴生成周波数よりも小さくする必要がある。例えば、ピエゾ素子240の駆動周波数を、液滴生成周波数の1/4以下にすることが望ましい。
【0083】
図22は、本発明の第14の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、図1に示すEUV光源装置において、液滴遮断ユニット107を設ける替わりに、液滴生成室100とプラズマ発生室110とを導通している開口部を変位させる機構を設けている。その他の構成については、図1に示すEUV光源装置と同様である。
【0084】
図22に示すように、このEUV光源装置は、開口部250aを有する狭窄部250と、狭窄部250に取り付けられたピエゾ素子251と、ピエゾ素子251に供給される駆動信号を発生するピエゾドライバ252とを含んでいる。
本実施形態において、狭窄部250は、例えば、フレキシブルチューブのように、適当な外力を加えることによって変形可能な部材によって作製されている。また、狭窄部250に外力を加える機構として、ピエゾ素子251を用いている。
【0085】
ピエゾドライバ252は、制御部115の制御の下で、ピエゾ素子251を伸張又は収縮させる駆動信号を、所定のタイミングで発生する。ピエゾ素子251は、供給される駆動信号に基づいて伸縮することにより、狭窄部250を変形させる。これにより、狭窄部250に形成された開口部250aを変位させることができる。そこで、ノズル102から液滴108aが滴下するときに、ピエゾ素子251を駆動して開口部250aの位置を液滴の軌道からずらすことにより、液滴108aがプラズマ発生室110に侵入するのを妨げることができる。一方、液滴108bが滴下するときには、開口部250aを液滴の軌道からずらすことなく、液滴108bをプラズマ発生室110に導入する。
【0086】
なお、本実施形態においても、図21に示すものと同様に、狭窄部250近傍にヒータを設けても良い。それにより、狭窄部250近傍に着地した液滴108aの固化を防止し、開口部250aが塞がれるのを防ぐことができる。
【0087】
図23は、本発明の第15の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、図1に示すEUV光源装置における液滴遮断ユニット107を、液滴の軌道を変更するための2種類の電極を用いる構造としたものである。その他の構成については、図1に示すものと同様である。
【0088】
図23に示すように、このEUV光源装置は、帯電用電極260a及び260bと、帯電用電源261と、偏向用電極262a及び262bと、偏向用電源263とを含んでいる。
帯電用電極260a及び260bは、ノズル102の近傍に、ノズル102から滴下する液滴108の軌道を挟み、対向して配置されている。また、帯電用電極260aは接地配線に接続されており、帯電用電極260bは帯電用電源261に接続されている。ノズル102から滴下した液滴108は、帯電用電極260a及び260bの間を通過する間に、帯電用電源260から、帯電用電極260a及び260bを介して電荷を供給され、帯電する。
【0089】
偏向用電極262a及び262bは、帯電用電極260a及び260bの下流に、液滴108の軌道を挟み、対向して配置されている。また、偏向用電極262aは偏向用電源263の正の高電圧の端子に接続されており、偏向用電極262bは偏向用電源263の負の高電圧の端子に接続されている。偏向用電源263は、制御部115によって制御されており、偏向用電極262a及び262bの間に電位差を与えることにより、それらの電極262a及び262bの間に電界を生成する。
【0090】
制御部115は、帯電用電極260a及び260bによって帯電させられた液滴108aが滴下してくるときに、偏向用電源263を活性化する。それにより、偏向用電極262a及び262bの間において液滴108aが偏向するので、その軌道が開口部101aからずれてしまい、液滴108aは開口部101aを通過することができなくなる。一方、制御部115は、帯電用電極260a及び260bによって帯電させられた液滴108bが滴下するときに、偏向用電源263を非活性化する。それにより、液滴108bは、偏向することなく開口部101aを通過し、プラズマ発生室110に導入される。
【0091】
ここで、本実施形態は、ターゲット物質の液滴を帯電させるため、導電性のターゲット物質を用いる場合に有効である。そのようなターゲット物質として、例えば、溶融させた錫やリチウム等の溶融金属、水又はアルコールに錫や銅等の微小な金属粒子を分散させたものや、水にフッ化リチウム(LiF)を溶解させたイオン溶液等を用いることができる。
【0092】
図24は、本発明の第16の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、図1に示すEUV光源装置における液滴遮断ユニット107を、液滴を微粒化するための電極を用いる構造としたものである。その他の構成については、図1に示すものと同様である。
【0093】
図24に示すように、このEUV光源装置は、リング状の微粒化用電極270及び微粒化用電源271を含んでいる。微粒化用電極270は、ノズル102から滴下する液滴108がリング内を通過するように配置されている。微粒化用電源271は、制御部115の制御の下で動作しており、微粒化用電極270とノズル102との間に電位差を与えることにより、ノズル102から滴下する液滴108に電圧を印加する。
【0094】
制御部115は、液滴108aが微粒化用電極270を通過しようとするときに、微粒化用電源271を活性化する。その結果、液滴108aは、過剰な電圧を印加されて破壊され、微粒化する。それによって生じたターゲット物質の微粒子108dは、液滴生成室100内に散逸し、その内の大部分は開口部101aを通過することなく排気ポンプ105に回収される。一方、制御部115は、液滴108bが微粒化用電極270を通過しようとするときには、微粒化用電源271を非活性化する。その結果、液滴108bは、微粒化されることなく開口部101aを通過し、プラズマ発生室110に導入される。
なお、本実施形態も、溶融させた錫やリチウム等の溶融金属、水又はアルコールに錫や銅等の微小な金属粒子を分散させたものや、水にフッ化リチウム(LiF)を溶解させたイオン溶液等のように、導電性のターゲット物質を用いる場合に有効である。
【0095】
図25は、本発明の第17の実施形態に係るEUV光源装置の構成を示す模式図である。このEUV光源装置は、図24に示すEUV光源装置に、微粒化されたターゲット物質を捕捉する捕捉用電極280a及び280bと、捕捉用電源281とをさらに設けたものである。その他の構成については、図24に示すものと同様である。
【0096】
捕捉用電極280a及び280bは、微粒化用電極270の下流に、液滴108の軌道を挟み、対向して配置されている。捕捉用電源281は、制御部115の制御の下で動作しており、捕捉用電極280a及び280bの間に電位差を与えることにより、それらの電極280a及び280bの間に電界を形成する。
【0097】
ここで、微粒化用電極270のリング内を通過することによって微粒化されたターゲット物質の微粒子108dは、印加された電圧と微粒子の径とに応じた電荷を与えられている。制御部115は、そのようなターゲット物質の微粒子108dが、捕捉用電極280a及び280bの間を通過するタイミングで、捕捉用電源の281を活性化する。その結果、ターゲット物質の微粒子108dは、捕捉用電極280a又は280bに捕捉される。一方、制御部115は、液滴108bが捕捉用電極280a及び280bの間を通過しようとするときには、捕捉用電源281を非活性化する。その結果、液滴108bは、電極に捕捉されることなく、開口部101aを通過し、プラズマ発生室110に導入される。
【0098】
なお、本実施形態も、溶融させた錫やリチウム等の溶融金属、水又はアルコールに錫や銅等の微小な金属粒子を分散させたものや、水にフッ化リチウム(LiF)を溶解させたイオン溶液のように、導電性のターゲット物質を用いる場合に有効である。
本実施形態によれば、微粒化されたターゲット物質の内のほとんどが捕捉用電極280a及び280bに捕捉されるので、開口部101aを通ってプラズマ発生室110に流入するターゲット物質を大幅に低減することができる。
【0099】
なお、以上説明した本発明の第15〜第17の実施形態においても、図21に示すものと同様に、狭窄部101又は250の近傍にヒータを設けても良い。それにより、狭窄部101近傍に着地した液滴108aやその微粒子の固化を防止し、開口部101aが塞がれるのを防ぐことができる。
【0100】
図26は、本発明の第1〜第17の実施形態において、ノズルから噴射される液滴108を間引く態様について説明するための図である。図26の(a)〜(f)においては、液滴の生成周波数を100kHz、レーザ光の繰り返し動作周波数を10kHzとしており、生成される液滴10個の内の1個にレーザ光が照射されるものとする。図26の(a)〜(f)において、二重丸印は、生成される液滴108の内、プラズマ発生室においてレーザ光が照射される予定の液滴108bを示しており、破線の丸印は、レーザ光が照射されないため間引かれる液滴108aを示しており、実線の丸印は、レーザ光は照射されないが、間引かれない液滴108eを示している。また、矢印は、液滴108の進行方向を表している。
【0101】
図26の(a)は、参考のために、従来のEUV光源装置におけるレーザ光照射方法を示している。従来は、液滴を間引くことが行われていなかったので、不要な液滴108eがプラズマ発生室110(図1)に導入されてしまい、それが真空度や清浄度を低下させる要因の1つとなっていた。
【0102】
図26の(b)は、レーザ光が照射される液滴108b以外の全ての液滴を間引く例を示している。この例によれば、不要な液滴が開口部101aを通過するのを最小限に留めることができるので、プラズマ発生室110の真空度や清浄度を最も高く維持することが可能になる。この場合には、プラズマ発生室110内の真空度や清浄度を、図26の(a)に示す場合と比較して、約10倍にすることができる。
【0103】
図26の(c)〜(e)は、レーザ光が照射される液滴108b以外の液滴を間欠的に間引く例を示している。このように、液滴遮断ユニットの構造や動作に応じて駆動周波数を調整することにより、液滴遮断ユニットを安定して動作させることができると共に、液滴遮断ユニットを長寿命化させることができる。例えば、図26の(c)に示すように、液滴遮断ユニット107(図1)を50kHzで駆動することにより、不要な液滴を1個おきに間引くことができる。この場合には、プラズマ発生室110内の真空度や清浄度を、図26の(a)に示す場合と比較して約2倍にすることができる。また、図26の(d)に示すように、液滴遮断ユニット107を10kHzで駆動することにより、プラズマ発生室110内の真空度や清浄度を、図26の(a)に示す場合と比較して約1.1倍にすることができる。さらに、図26の(e)に示すように、液滴遮断ユニット107を5kHzで駆動することにより、プラズマ発生室110内の真空度や清浄度を、図26の(a)に示す場合と比較して約1.05倍にすることができる。
【0104】
図26の(f)は、液滴108bの前後に位置する液滴108eを残し、それ以外の液滴108aを間引く例を示している。ここで、液滴遮断ユニット107によりある液滴を破壊すると、その周辺に存在する液滴がその影響を受けて、破壊されたり、変形したり、その軌道が変更されてしまう事態が生じる可能性もある。そのため、図26の(f)においては、レーザ光が照射される予定の液滴108bがそのような影響を受けないように、その前後の液滴108eを残存させている。この残存させる液滴108eの数は、レーザ光を照射される予定の液滴108bの前後1個ずつでも良いし、複数ずつでも良い。それらの液滴数は、使用される液滴遮断ユニット107の構造や破壊力等に応じて、破壊された液滴が近隣の液滴に与える影響を考慮しつつ、プラズマ発生室110内の真空度や清浄度を図26の(a)に示す場合と比較して高くすることができる範囲で選択することが望ましい。
【0105】
図27〜30は、液滴遮断ユニットの駆動タイミングを制御する方法について説明するための図であり、本発明の第1〜第17の実施形態における制御部115(図1〜図25)の構成を具体的に示したものである。
図27には、液滴を生成するためのピエゾ素子103に供給される駆動信号を発生するピエゾドライバ106を制御する液滴生成用コントローラ300と、液滴遮断ユニット107を制御する液滴遮断用コントローラ301と、ターゲット物質を照射するレーザ光を出射するレーザ光源を制御するレーザ光源用コントローラ302とが示されている。液滴生成用コントローラ300は、例えば、100kHzで駆動信号を発生するようにピエゾドライバ106を制御している。また、レーザ光源用コントローラ302は、液滴生成用コントローラから供給されるトリガ信号に同期して、例えば、10kHzの繰り返し動作周波数でレーザ光を出射するようにレーザ光源111を制御している。また、液滴遮断用コントローラ301には、液滴遮断ユニットを動作させるための駆動周波数や、動作時間の長さや、動作周期や、動作強度等が予めプログラムされている。
【0106】
このような装置において、液滴生成用コントローラ300は、自身が動作を開始するのと同時に、液滴遮断用コントローラ301に、スタートトリガ信号を供給する。それにより、液滴遮断用コントローラ301は、予めプログラムされた動作を開始する。例えば、液滴遮断用コントローラ301において、駆動周波数として50kHzを用いることをプログラムしておくことにより、図26の(c)を用いて説明したような動作をさせることができる。このように、コントローラ300〜302における動作を、トリガ信号を用いて同期させることにより、簡単且つ安価に制御系を構成することができる。
【0107】
図28に示す構成は、図27に示す構成に対して、液滴生成用コントローラ300と液滴遮断用コントローラ301との間に、遅延部303をさらに設けたものである。遅延部303は、液滴生成用コントローラ300から出力されるスタートトリガ信号に適切な遅延を与えて、液滴遮断用コントローラ301に供給することにより、これらのコントローラ300及び301の間で動作タイミングを調整する。
【0108】
ここで、例えば、流速25m/s、生成周波数100kHzの液滴を生成する場合に、ノズル102から滴下する液滴の列において、隣接する液滴間の距離は約250μm、時間間隔は約10μsとなる。そのため、ノズル102と液滴遮断ユニット107との間の距離によっては、液滴108が液滴遮断ユニット107の高さを通過するタイミングと、液滴遮断ユニット107の動作タイミングとがずれてしまう場合がある。そこで、予め、スタートトリガ信号の発信タイミングを遅延部303によって調整しておくことにより、不要な液滴108を液滴遮断ユニット107によって確実に間引けるようになる。この遅延部303の調整は、手動で行うこともできる。或いは、遅延部303を設ける替わりに、液滴遮断用コントローラ301内において、スタートトリガ信号が活性化されてから動作開始タイミングまでの遅延時間を調整して良い。
【0109】
図29に示す構成は、図27に示す構成に対して、液滴生成用コントローラ300と、液滴遮断用コントローラ301と、レーザコントローラ302とを制御する総合コントローラ304をさらに設けたものである。
図29において、総合コントローラ304は、液滴生成用コントローラ300及び液滴遮断用コントローラ301にスタートトリガ信号を供給し、レーザコントローラ302にトリガ信号を供給する。それにより、液滴生成用コントローラ300は、設定された生成周波数で液滴の生成を開始し、液滴遮断用コントローラ301は、予めプログラムされた駆動周波数や、動作時間の長さや、動作周期や、動作強度等に従って動作を開始する。また、レーザコントローラ302は、レーザ光源111に所定の繰り返し動作周波数でレーザ発振を起こさせる。
【0110】
図30に示す構成は、図29に示す総合コントローラ304の替わりに、総合コントローラ305を設けたものである。総合コントローラ305には、液滴108の生成周波数や、液滴遮断ユニット107の駆動周波数や、動作時間の長さや、動作周期や、動作強度等がプログラムされている。総合コントローラ305は、液滴生成用コントローラ300に対し、生成周波数に応じたパルストリガ信号(例えば、100kHz)を供給し、液滴遮断用コントローラ301に対し、駆動周波数に応じたパルストリガ信号(例えば、50kHz)を供給し、レーザ光源用コントローラ302に対し、繰り返し動作周波数に応じたパルストリガ信号(例えば、10kHz)を供給する。これに応じて、液滴生成用コントローラ300は、パルストリガ信号が供給されたときに1回動作し、液滴遮断用コントローラ301は、パルストリガ信号が供給されたときに1回動作し、レーザ光源用コントローラ302は、パルストリガ信号が供給されたときに1回動作する。
【0111】
図29又は図30において、液滴108の通過タイミングと液滴遮断ユニット107の動作タイミングとの間にずれが生じるおそれがある場合には、ずれを解消するために、総合コントローラ304又は305から液滴生成用コントローラ300及び液滴遮断用コントローラ301に、所定の時間差を設けてスタートトリガ信号を供給しても良い。或いは、総合コントローラ304又は305と液滴遮断用コントローラ301との間に遅延部を設けても良いし、液滴遮断用コントローラ301内において、スタートトリガ信号が活性化されてから動作開始タイミングまでの遅延時間を調整しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、露光装置等に用いられるLPP型EUV光源装置において利用可能である。
【符号の説明】
【0113】
1、102…ノズル、2、110…プラズマ発生室、3、111、200、210…レーザ光源、4、112…レンズ、5、12、15、105、114、231…排気ポンプ、6、103、120、130、132、140、150、151、160、165a、165b、168a、168b、170、240、251…ピエゾ素子、7、113…レーザ光照射点、8、108、108a、108b、108e…液滴、108c…液滴の残滓、108d…ターゲット物質の微粒子、8a…液滴の跡、9、109…蒸発ガス、10…残留ターゲット物質、11、14…回収チャンバ、13、16、101、250…狭窄部、13a、16a、101a、250a…開口部、100…液滴生成室、106、122、134、153、162、172、241、252…ピエゾドライバ、107…液滴遮断ユニット、107a…移動ステージ、115…制御部、121、123、131、133、141a、161、171、181、184…遮断棒、124、242…ヒータ、141、152、188…遮断部、165a〜165d…圧電体、166、167a、167b、169a、169b…電極、173…支点、180、183、185、187、190…モータ、182、192…モータ制御部、186…遮断翼、191、193…穴開き円盤、201、211…レーザ伝播光学系、220…高圧ガスノズル、221…ガスボンベ、222…ガス供給管、222a…コンプレッサ、223…ガス遮蔽板、224…ガス遮蔽板駆動部、225…ガス遮蔽板制御部、230…回収筒、230a…回収口、260a、260b…帯電用電極、261…帯電用電源、262a、262b…偏向用電極、263…偏向用電源、270…微粒化用電極、271…微粒化用電源、280a、280b…捕捉用電極、281…捕捉用電源、300…液滴生成用コントローラ、301…液滴遮断用コントローラ、302…レーザ光源用コントローラ、303…遅延部、304、305…総合コントローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源から出力されたレーザ光をターゲット物質に照射することにより、前記ターゲット物質をプラズマ化して極端紫外光を放射させる極端紫外光源装置であって、
第1のチャンバと、
前記第1のチャンバと開口を介して接続されている第2のチャンバと、
前記第1のチャンバ内にターゲット物質を供給するターゲット物質供給手段と、
前記ターゲット物質供給手段によって供給される溶融金属のターゲット物質に基づいて、繰り返し滴下する溶融金属の液滴を生成する液滴生成手段と、
前記液滴生成手段によって生成されたターゲット物質の液滴が前記開口を通過するのを妨げる少なくとも1つの遮断手段と、
前記少なくとも1つの遮断手段が所定のタイミングで動作するように前記少なくとも1つの遮断手段を制御する制御手段と、
レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射したレーザ光を、前記第1のチャンバにおいて生成され、前記開口を通過して前記第2のチャンバに導入されたターゲット物質の液滴に照射させる光学系と、
を具備する極端紫外光源装置。
【請求項2】
前記ターゲット物質供給手段が、ターゲット物質を噴射するノズルを含み、
前記液滴生成手段が、前記ノズルから噴射されるターゲット物質に所定の周波数の振動を与える手段を含む、
請求項1記載の極端紫外光源装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの遮断手段が、ターゲット物質の液滴を破壊し、又は、その軌道を変更し、若しくは、ターゲット物質の液滴から前記開口を遮蔽する、請求項1又は2記載の極端紫外光源装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの遮断手段が、ターゲット物質の液滴と衝突し、又は、ターゲット物質の液滴の軌道に挿入される遮断部材と、前記遮断部材の位置又は角度を変化させる変位手段とを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の極端紫外光源装置。
【請求項5】
前記変位手段が、前記遮断部材に取り付けられたピエゾ素子を含む、請求項4記載の極端紫外光源装置。
【請求項6】
前記変位手段が、前記遮断部材に取り付けられたモータを含む、請求項4記載の極端紫外光源装置。
【請求項7】
前記遮断部材が、棒状、板状、又は、円盤形状を有する、請求項4〜6のいずれか1項記載の極端紫外光源装置。
【請求項8】
前記遮断部材に、加熱手段が設けられている、請求項4〜7のいずれか1項記載の極端紫外光源装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの遮断手段が、ターゲット物質の液滴を照射するレーザ光を出射する第2のレーザ光源と、前記第2のレーザ光源から出射したレーザ光をターゲット物質の液滴の軌道上に伝播する伝播光学系とを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の極端紫外光源装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの遮断手段が、ターゲット物質の液滴に吹き付けられる高圧ガスを噴射するノズルと、前記ノズルに高圧ガスを供給するガス供給手段と、前記ノズルから噴射される高圧ガスをターゲットガスの液滴から遮蔽するシャッタ手段とを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の極端紫外光源装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの遮断手段によって破壊され、又は、その軌道を変更されたターゲット物質の液滴を回収する回収手段をさらに具備する請求項3〜10のいずれか1項記載の極端紫外光源装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの遮断手段が、前記ノズルの位置又は角度を変化させることにより、前記ノズルから噴射されるターゲット物質の液滴の軌道を前記開口からずらす、請求項1又は2記載の極端紫外光源装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの遮断手段が、前記ノズルに設けられた第2のピエゾ素子と、前記第2のピエゾ素子に供給される駆動信号を発生する駆動信号発生手段とを含む、請求項12記載の極端紫外光源装置。
【請求項14】
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとが、変形可能な部材に設けられた開口を介して接続されており、
前記少なくとも1つの遮断手段が、前記開口をターゲット物質の液滴の軌道からずらすように、前記部材を変形させる変形手段を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の極端紫外光源装置。
【請求項15】
前記変形手段が、前記部材に設けられたピエゾ素子と、前記ピエゾ素子に供給される駆動信号を発生する駆動信号発生手段とを含む、請求項14記載の極端紫外光源装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの遮断手段が、ターゲット物質の液滴を帯電させる電荷供給手段と、帯電した液滴を偏向するために電界を形成する電界形成手段とを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の極端紫外光源装置。
【請求項17】
前記電荷供給手段が、プラズマ発生手段を含む、請求項16記載の極端紫外光源装置。
【請求項18】
前記電荷供給手段が、電子ビーム発生手段を含む、請求項16記載の極端紫外光源装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの遮断手段が、ターゲット物質の液滴に電圧を印加することにより液滴を微粒化する微粒化手段を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の極端紫外光源装置。
【請求項20】
前記微粒化手段によって微粒化されたターゲット物質を捕捉するための電界を形成する捕捉手段をさらに具備する請求項19記載の極端紫外光源装置。
【請求項21】
前記開口の周辺を加熱する加熱手段をさらに具備する請求項1〜20のいずれか1項記載の極端紫外光源装置。
【請求項22】
前記制御手段が、前記液滴生成手段によって生成される液滴の生成周波数と、前記レーザ光源の繰り返し動作周波数とに基づいて、前記少なくとも1つの遮断手段の動作タイミングを制御する、請求項1〜21のいずれか1項記載の極端紫外光源装置。
【請求項1】
レーザ光源から出力されたレーザ光をターゲット物質に照射することにより、前記ターゲット物質をプラズマ化して極端紫外光を放射させる極端紫外光源装置であって、
第1のチャンバと、
前記第1のチャンバと開口を介して接続されている第2のチャンバと、
前記第1のチャンバ内にターゲット物質を供給するターゲット物質供給手段と、
前記ターゲット物質供給手段によって供給される溶融金属のターゲット物質に基づいて、繰り返し滴下する溶融金属の液滴を生成する液滴生成手段と、
前記液滴生成手段によって生成されたターゲット物質の液滴が前記開口を通過するのを妨げる少なくとも1つの遮断手段と、
前記少なくとも1つの遮断手段が所定のタイミングで動作するように前記少なくとも1つの遮断手段を制御する制御手段と、
レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射したレーザ光を、前記第1のチャンバにおいて生成され、前記開口を通過して前記第2のチャンバに導入されたターゲット物質の液滴に照射させる光学系と、
を具備する極端紫外光源装置。
【請求項2】
前記ターゲット物質供給手段が、ターゲット物質を噴射するノズルを含み、
前記液滴生成手段が、前記ノズルから噴射されるターゲット物質に所定の周波数の振動を与える手段を含む、
請求項1記載の極端紫外光源装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの遮断手段が、ターゲット物質の液滴を破壊し、又は、その軌道を変更し、若しくは、ターゲット物質の液滴から前記開口を遮蔽する、請求項1又は2記載の極端紫外光源装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの遮断手段が、ターゲット物質の液滴と衝突し、又は、ターゲット物質の液滴の軌道に挿入される遮断部材と、前記遮断部材の位置又は角度を変化させる変位手段とを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の極端紫外光源装置。
【請求項5】
前記変位手段が、前記遮断部材に取り付けられたピエゾ素子を含む、請求項4記載の極端紫外光源装置。
【請求項6】
前記変位手段が、前記遮断部材に取り付けられたモータを含む、請求項4記載の極端紫外光源装置。
【請求項7】
前記遮断部材が、棒状、板状、又は、円盤形状を有する、請求項4〜6のいずれか1項記載の極端紫外光源装置。
【請求項8】
前記遮断部材に、加熱手段が設けられている、請求項4〜7のいずれか1項記載の極端紫外光源装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの遮断手段が、ターゲット物質の液滴を照射するレーザ光を出射する第2のレーザ光源と、前記第2のレーザ光源から出射したレーザ光をターゲット物質の液滴の軌道上に伝播する伝播光学系とを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の極端紫外光源装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの遮断手段が、ターゲット物質の液滴に吹き付けられる高圧ガスを噴射するノズルと、前記ノズルに高圧ガスを供給するガス供給手段と、前記ノズルから噴射される高圧ガスをターゲットガスの液滴から遮蔽するシャッタ手段とを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の極端紫外光源装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの遮断手段によって破壊され、又は、その軌道を変更されたターゲット物質の液滴を回収する回収手段をさらに具備する請求項3〜10のいずれか1項記載の極端紫外光源装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの遮断手段が、前記ノズルの位置又は角度を変化させることにより、前記ノズルから噴射されるターゲット物質の液滴の軌道を前記開口からずらす、請求項1又は2記載の極端紫外光源装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの遮断手段が、前記ノズルに設けられた第2のピエゾ素子と、前記第2のピエゾ素子に供給される駆動信号を発生する駆動信号発生手段とを含む、請求項12記載の極端紫外光源装置。
【請求項14】
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとが、変形可能な部材に設けられた開口を介して接続されており、
前記少なくとも1つの遮断手段が、前記開口をターゲット物質の液滴の軌道からずらすように、前記部材を変形させる変形手段を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の極端紫外光源装置。
【請求項15】
前記変形手段が、前記部材に設けられたピエゾ素子と、前記ピエゾ素子に供給される駆動信号を発生する駆動信号発生手段とを含む、請求項14記載の極端紫外光源装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの遮断手段が、ターゲット物質の液滴を帯電させる電荷供給手段と、帯電した液滴を偏向するために電界を形成する電界形成手段とを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の極端紫外光源装置。
【請求項17】
前記電荷供給手段が、プラズマ発生手段を含む、請求項16記載の極端紫外光源装置。
【請求項18】
前記電荷供給手段が、電子ビーム発生手段を含む、請求項16記載の極端紫外光源装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの遮断手段が、ターゲット物質の液滴に電圧を印加することにより液滴を微粒化する微粒化手段を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の極端紫外光源装置。
【請求項20】
前記微粒化手段によって微粒化されたターゲット物質を捕捉するための電界を形成する捕捉手段をさらに具備する請求項19記載の極端紫外光源装置。
【請求項21】
前記開口の周辺を加熱する加熱手段をさらに具備する請求項1〜20のいずれか1項記載の極端紫外光源装置。
【請求項22】
前記制御手段が、前記液滴生成手段によって生成される液滴の生成周波数と、前記レーザ光源の繰り返し動作周波数とに基づいて、前記少なくとも1つの遮断手段の動作タイミングを制御する、請求項1〜21のいずれか1項記載の極端紫外光源装置。
【図3】
【図9】
【図18】
【図26】
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図9】
【図18】
【図26】
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2012−146682(P2012−146682A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−94542(P2012−94542)
【出願日】平成24年4月18日(2012.4.18)
【分割の表示】特願2006−15410(P2006−15410)の分割
【原出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「極端紫外線(EUV)露光システムの基盤開発」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【出願人】(300073919)ギガフォトン株式会社 (227)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月18日(2012.4.18)
【分割の表示】特願2006−15410(P2006−15410)の分割
【原出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「極端紫外線(EUV)露光システムの基盤開発」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【出願人】(300073919)ギガフォトン株式会社 (227)
【Fターム(参考)】
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