説明

極薄光学式ポインティングデバイスおよび極薄光学式ポインティングデバイスを有する個人用携帯機器

【課題】極薄光学式ポインティングデバイスおよび極薄光学式ポインティングデバイスを有する個人用携帯機器を提供する。
【解決手段】光学式ポインティングデバイスはプリント基板(508)を有する。赤外線発光ダイオード(501)はプリント基板の上面の側部に設けられている。カバープレート(503)は対象物である指の動きを検知する。照射システム(502)は赤外線発光ダイオードからカバープレートへと光を伝達する。画像形成システムレンズ(505)はカバープレートの下に位置し、反射光を集光する。光学式画像センサ(507)は対象物の反射像を受信し、対象物の動きを検知する。筒体(509)はプリント基板を覆うようにプリント基板の側部に設けられている。照射システム、カバープレートおよび画像形成システムレンズは、赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、光学式画像センサを使用した極薄光学式ポインティングデバイスおよび極薄光学式ポインティングデバイスを有する個人用携帯機器に関し、より詳しくは、携帯電話のような携帯機器に使用される極薄光学式ポインティングデバイスにおいて、まぶしさに起因するユーザの不快感を解消し、周辺光によって引き起こされる誤作動を防止する光学式ポインティングデバイスおよび光学式ポインティングデバイスを有する個人用携帯機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、個人用携帯機器はユーザインターフェース(UI)の向上に向けた大きな転機にあると考えることができる。このような現在の状況は、コンピュータシステムがディスク・オペレーティング・システム(DOS)からウィンドウズ環境へと進化したことに比較できる。
【0003】
従来の個人用携帯機器においては、コンピュータにおける場合のように自由にポインティング操作を実行することができる光学式マウスを使用することは、そのサイズと携帯性のために困難であった。
【0004】
コンピュータにおいて一般的に使用されている光学式マウスを個人用携帯機器に適用した場合、ユーザインターフェースは著しく向上するであろうと考えられる。そのため、個人用携帯機器に搭載することが可能な超小型光学式ポインティングデバイスが近年開発されてきた。
【0005】
図1は、光学式ポインティングデバイスの一例を示す図であり、コンピュータにおいて使用されている光学式マウスを小型化かつ反転させた形状を示す。
【0006】
図1に示すように、個人用携帯機器に搭載することができる光学式ポインティングデバイス100は、対象物であるユーザの指がその指を認識できるようにカバープレート103上に置かれていない場合、赤色発光ダイオード101から照射システム102を通して放射された光が、直接ユーザの目110に照射されるように構成されている。
【0007】
図1において、参照番号105は画像形成システムレンズ、106は雑光を遮断するための絞り、107は光学式画像センサ、108はプリント基板、109は筒体(筒状本体部:“body tube”)をそれぞれ示す。
【0008】
このように光104が直接ユーザの目110に照射される場合、目が長時間に渡って光にさらされると、ユーザはまぶしさなどにより眼精疲労を経験したり、視力低下を起こしたりする可能性がある。
【0009】
携帯電話のような個人用携帯機器に適用される光学式ポインティングデバイスに使用されている光源は、典型的な光学式マウスにおいて一般的に使用されている赤色発光ダイオードをそのまま使用して。赤色発光ダイオードを光源として利用することに特別な理由はないが、長年に渡って光学式マウスにおいて通常使用されてきた赤色発光ダイオードをそのまま用いるために、光学式ポインティングデバイスは基本的に光学式マウスと同じ画像センサチップを使用している。
【0010】
携帯電話に使用されている極薄光学式ポインティングデバイスは指を対象物として使用するため、典型的なコンピュータに使用されている光学式マウスのように光源が底面に向けて光を放射するのではなく、上面に向けて放射する。すなわち、光学式ポインティングデバイスは典型的な光学式マウスを反転させた状態と似た状態で使用される。
【0011】
したがって、赤色発光ダイオードからの光は直接ユーザの目に照射されるため、ユーザの視力が低下したりまぶしさが起こったりして、それによりユーザに不快感を与えるといった問題がある。
【0012】
携帯電話用の光学式ポインティングデバイスに使用されている発光ダイオードは高輝度発光ダイオードであるため、赤色発光ダイオードだけでなく、青、緑、および白色発光ダイオードも同様の問題を引き起こす。
【0013】
一方で、光学式マウスの構造を小型化かつ反転させた形状を有するポインティングデバイスは厚さに限界があるため、そのようなポインティングデバイスを薄い携帯機器に使用するのは困難であるという問題がある。上記の事実を考慮して、光路を水平方向に変えることにより極薄の構造を有する光導波路ポインティングデバイスが、本件出願よりも先に出願された韓国特許出願番号10−2004−0113266、10−2005−0000471、10−2005−0005935、10−2005−5936、10−2005−5937、10−2005−9356および10−2005−63614に開示されている。
【0014】
図2に示すように、対象物である指がその指を認識できるようにカバープレート203の上に置かれていない場合、上記の極薄光導波路の構造を有する光学式ポインティングデバイス200は、赤色発光ダイオード201から照射システム202を通して放射された光が、直接ユーザの目210に照射されるように構成されている。
【0015】
したがって、図1と同様に、ユーザがまぶしさなどが原因で眼精疲労を経験したり、視力低下を起こしたりしやすいといった問題が起こる可能性がある。
【0016】
図2において、参照番号205および211は反射面、206は平凸レンズ、207および209は凸部、208は雑光を遮断するための絞り、212は出力面、213は光学式画像センサ、214はプリント基板、216はメインプリント基板をそれぞれ示す。
【0017】
上記の問題を解決するために、光源を人間の目では感知することができない赤外線光源に変えてその光源を適用した場合、上記の視力低下やまぶしさを防止することができる。すなわち、光学式マウス用の画像センサは、400nmから700nmの波長を有する可視光線の領域と700nmから900nmの波長を有する赤外線の部分領域とにおいて機能しているため、光源を人間の目では感知することができない赤外線光源に変え、その赤外線光源を適用することが可能である。
【0018】
しかしながらこの場合、光源からユーザの目に照射された光をユーザの目が感知することだけは防ぐことができるが、外部光源によって引き起こされる光学式画像センサの誤作動の問題は防止することができない。すなわち、外部の周辺光によって引き起こされる光学式画像センサの誤作動は、赤外線発光ダイオードを光源として利用することだけでは防止することができない。このオペレーションを図3および図4を参照しつつ詳しく説明する。
【0019】
図3に示すように、太陽光由来の、もしくは外部光源310から放射された可視光線304は、読み取り領域であるカバープレート303および画像形成システムレンズ305を通過した後、光学式画像センサ307に影響を及ぼす。したがって、このような構造が光学式画像センサ307の誤作動の原因となる。
【0020】
さらに、図4に示すように、太陽光由来の、もしくは外部光源410から放射された可視光線404は、読み取り領域であるカバープレート403、反射面405と411、および平凸レンズ406を通過した後、光学式画像センサ413に影響を及ぼす。このような構造も同様に、光学式画像センサ413の誤作動の原因となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
したがって、本発明は従来技術において起こる上記の問題を考慮してなされたものであり、本発明の目的は、ユーザがまぶしさなどが原因で眼精疲労を経験したり、視力低下を起こしたりするのを防止することができると同時に、外部の周辺光によって引き起こされる光学式画像センサの誤作動を最小限に抑えることができる極薄光学式ポインティングデバイスを提供することである。
【0022】
本発明の他の目的は、極薄光学式ポインティングデバイスを有する個人用携帯機器に容易に搭載することが可能なレンズモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記の目的を達成するために、本発明は、700nmから3000nmの赤外線の波長域のみを通過させるためのバンドパスフィルタの特性を有する光学プラスチック材料を使用したレンズモジュールを光学式ポインティングデバイスに適用する点を特徴とする。
【0024】
本発明の第一実施形態に係る光学式ポインティングデバイスは、プリント基板と、プリント基板の上面の側部に設けられた赤外線発光ダイオードと、対象物である指の動きを検知するためのカバープレートと、赤外線発光ダイオードから光学式ポインティングデバイスの上部に位置するカバープレートへと光を伝達するための照射システムと、カバープレートの下に位置し、対象物から反射された光を集光するように機能する画像形成システムレンズと、対象物の反射像を受信し、対象物の動きを検知するための光学式画像センサと、プリント基板を覆うようにプリント基板の側部に設けられた筒体とを備え、照射システム、カバープレートおよび画像形成システムレンズは、ユーザの目では感知することができない赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成される。
【0025】
好ましくは、照射システム、カバープレートおよび画像形成システムレンズのうち、カバープレートと画像形成システムレンズの両方を赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成し、照射システムを赤外線の波長域と可視光線の波長域の両方を通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成することができる。
【0026】
好ましくは、照射システム、カバープレートおよび画像形成システムレンズのうち、照射システムとカバープレートの両方を赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成し、画像形成システムレンズを赤外線の波長域と可視光線の波長域の両方を通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成することができる。
【0027】
本発明の第二実施形態に係る光学式ポインティングデバイスは、プリント基板と、プリント基板の上面の側部に設けられた赤外線発光ダイオードと、対象物である指の動きを検知するためのカバープレートと、赤外線発光ダイオードから光学式ポインティングデバイスの上部に位置する前記カバープレートへと光を伝達するための照射システムと、光路を水平方向へと変化させるための少なくともひとつの平凸レンズと、対象物の反射像を受信し、対象物の動きを検知するための光学式画像センサとを備え、照射システム、カバープレートおよび平凸レンズは、ユーザの目では感知することができない赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成される。
【0028】
好ましくは、照射システム、カバープレートおよび平凸レンズのうち、カバープレートと平凸レンズの両方を赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成し、照射システムを赤外線の波長域と可視光線の波長域の両方を通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成することができる。
【0029】
好ましくは、照射システム、カバープレートおよび平凸レンズのうち、照射システムとカバープレートの両方を赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成し、平凸レンズを赤外線の波長域と可視光線の波長域の両方を通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成することができる。
【0030】
本発明の第三実施形態に係る光学式ポインティングデバイスは、プリント基板と、プリント基板を覆うように設けられた筒体と、対象物である指の動きを検知するためのカバープレートと、筒体上部の側部に位置し、カバープレートに向けて直接光を放射する赤外線発光ダイオードと、カバープレートの下に位置し、対象物から反射された光を集光するように機能する画像形成システムレンズと、対象物の反射像を受信し、対象物の動きを検知するための光学式画像センサとを備え、カバープレートおよび画像形成システムレンズは、ユーザの目では感知することができない赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成される。
【0031】
好ましくは、カバープレートを赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成し、画像形成システムレンズを赤外線の波長域と可視光線の波長域の両方を通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成することができる。
【0032】
本発明の第四実施形態に係る光学式ポインティングデバイスは、プリント基板と、対象物である指の動きを検知するためのカバープレートと、プリント基板の上面の上にプリント基板の上面と間隔を空けて設けられ、カバープレートに向けて直接光を放射するように機能する赤外線発光ダイオードと、光路を水平方向に変化させるための少なくともひとつの平凸レンズと、対象物の反射像を受信し、対象物の動きを検知するための光学式画像センサとを備え、カバープレートおよび平凸レンズは、ユーザの目では感知することができない赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成される。
【0033】
好ましくは、カバープレートを赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成し、平凸レンズを赤外線の波長域と可視光線の波長域の両方を通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成することができる。
【0034】
本発明の光学式ポインティングデバイスは、基本的に赤外線発光ダイオードを有し、赤外線もしくは可視光線の波長域を通過させることが可能な光学プラスチック材料を使用する。光学プラスチック材料としては、赤外線の波長域である700nmから3000nmの波長域のみを通過させる光学プラスチックが使用される。
【0035】
本発明の光学式ポインティングデバイスによれば、照射システムを通過した赤外線が、赤外線のみを通過させるカバープレートに向けて低放射角度で放射される。この場合、対象物である指が読み取り領域であるカバープレートの上に置かれていると、光が画像形成システムレンズを通して光学式画像センサに伝達され、指の動きが認識される。一方で、指がカバープレートの上に置かれていない場合は、光はカバープレートを通過した後、光学式ポインティングデバイスの外へと放出される。
【0036】
このようにして外部へと放出された光は赤外線の波長を有するため、ユーザはこの光を感知することができない。したがって、ユーザは眼精疲労や不快感を経験することがない。
【0037】
さらに、読み取り領域であるカバープレートが赤外線の波長域のみを通過させる光学プラスチック材料によって形成されている場合、外部の周辺光はレンズモジュールに入射することができず、それにより光学式画像センサの誤作動を防止することができる。
【0038】
さらに、赤外線の波長域のみを通過させる光学プラスチック材料がカバープレートに加えて画像形成システムレンズにも使用されている場合、外部の雑光をより効果的に遮断することができる。さらに、カバープレートが赤外線の波長域のみを通過させる光学プラスチック材料によって形成されているかどうか、また画像形成システムレンズが可視光線の波長域も通過させる通常の光学プラスチック材料によって形成されているかどうか、は問題ではない。
【0039】
本発明の光学式ポインティングデバイスの構造としては、図5に示すような光学式マウスの構造を小型化かつ反転させた形状を使用することができる。もしくは、厚さを極薄レベルまで減少させるために、図6に示すように光路を垂直方向から水平方向へと変化させる光導波路平凸レンズ型を使用することができる。光導波路平凸レンズは、対称形状を有していても非対称形状を有していてもよい。さらに、画像形成システムレンズは様々な形で光導波路平凸レンズに挿入することが可能である。
【0040】
さらに、本発明の光学式ポインティングデバイスは、図7に示すように、光学式マウスの構造を反転させた形状で、光源である発光ダイオードから放射された光が照射システムを通らずに直接カバープレートに照射される構造を有していてもよい。もしくは、本発明の光学式ポインティングデバイスは、図8に示すように、光導波路平凸レンズ型の構造で、光源である発光ダイオードから放射された光が照射システムを通らずに直接カバープレートに照射される構造を有していてもよい。
【発明の効果】
【0041】
上記のとおり、本発明に係る光学式ポインティングデバイスおよび光学式ポインティングデバイスを有する個人用携帯機器は、赤外線発光ダイオードから放射された光がユーザの目に照射される時に起こる不快感や眼精疲労を解消できるという利点がある。
【0042】
また、本発明は、外部光が照射された時に起こる可能性がある光学式画像センサの誤作動を最小限に抑えることができるという利点もある。
【0043】
さらに、本発明によって光学式ポインティングデバイスを携帯電話のような小さなサイズの携帯機器に容易に搭載することが可能になり、それにより光学式ポインティングデバイスの用途をさらに広げることができるという利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態を添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。したがって、本発明の保護範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0045】
<第一実施形態>
図5は、本発明に係る光学式ポインティングデバイスの第一実施形態を示す図であり、赤外線発光ダイオードと赤外線の波長域のみを通過させるための光学プラスチック材料を使用したレンズモジュールが、ユーザの目に向けて赤外線を放射する一例を示している。
【0046】
図5に示すように、本発明の第一実施形態は光学式ポインティングデバイス500を提供する。光学式ポインティングデバイス500は、プリント基板508と、プリント基板508の上面の側部に設けられた赤外線発光ダイオード501と、対象物である指の動きを検知するためのカバープレート503と、赤外線発光ダイオード501から光学式ポインティングデバイスの上部に位置するカバープレート503へと光を伝達するための照射システム502と、カバープレート503の下に位置し、対象物から反射された光を集光するように機能する画像形成システムレンズ505と、対象物の反射像を受信し、対象物の動きを検知するための光学式画像センサ507と、プリント基板508を覆うようにプリント基板の側部に設けられた筒体(筒状本体部:“body tube”)509と、を有し、照射システム502、カバープレート503および画像形成システムレンズ505は、ユーザの目では感知することができない赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成されている。
【0047】
照射システム502、カバープレート503および画像形成システムレンズ505から成るレンズモジュールにおいて、カバープレート503および画像形成システムレンズ505を赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成し、照射システム502を赤外線の波長域と可視光線の波長域の両方を通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成することができる。
【0048】
さらに、照射システム502、カバープレート503および画像形成システムレンズ505から成るレンズモジュールにおいて、照射システム502およびカバープレート503を赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成し、画像形成システムレンズ505を赤外線の波長域と可視光線の波長域の両方を通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成することができる。
【0049】
上記の構造によれば、たとえ赤外線がユーザの目510に照射されたとしても、ユーザの目510は赤外線の波長域を感知することができないため、ユーザはまぶしさなどによって引き起こされる眼精疲労や不快感を経験することがない。
【0050】
<第二実施形態>
図6は、本発明の第二実施形態を示す図であり、光路を水平方向に変化させる光導波路平凸レンズ型極薄光学式ポインティングデバイスにおいて、赤外線発光ダイオードと赤外線の波長域のみを通過させるための光学プラスチック材料を使用したレンズモジュールが、ユーザの目に向けて赤外線を放射する一例を示している。
【0051】
図6に示すように、本発明の第二実施形態は光学式ポインティングデバイス600を提供する。光学式ポインティングデバイス600は、プリント基板616と、プリント基板616の上面の側部に設けられた赤外線発光ダイオード601と、対象物である指の動きを検知するためのカバープレート603と、赤外線発光ダイオード601から光学式ポインティングデバイスの上部に位置するカバープレート603へと光を伝達するための照射システム602と、光路を水平方向に変化させるための少なくともひとつの平凸レンズ606と、対象物の反射像を受信し、対象物の動きを検知するための光学式画像センサ613と、を有し、照射システム602、カバープレート603および平凸レンズ606は、ユーザの目では感知することができない赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成されている。
【0052】
照射システム602、カバープレート603および平凸レンズ606から成るレンズモジュールにおいて、カバープレート603および平凸レンズ606を赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成し、照射システム602を赤外線の波長域と可視光線の波長域の両方を通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成することができる。
【0053】
さらに、照射システム602、カバープレート603および平凸レンズ606から成るレンズモジュールにおいて、照射システム602およびカバープレート603を赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成し、平凸レンズ606を赤外線の波長域と可視光線の波長域の両方を通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成することができる。
【0054】
上記の構造が採用されれば、たとえ赤外線がユーザの目610に照射されたとしても、ユーザの目610は赤外線の波長域を感知することができないため、ユーザはまぶしさなどによって引き起こされる眼精疲労や不快感を経験することがない。
【0055】
<第三実施形態>
図7は、本発明の第三実施形態を示す図であり、赤外線発光ダイオードからの光が、照射システムを通らずに直接カバープレートに照射される構造を有する光学式ポインティングデバイスにおいて、赤外線の波長域のみを通過させるための光学プラスチック材料を使用したレンズモジュールが、ユーザの目に向けて赤外線を放射する一例を示している。
【0056】
図7に示すように、本発明の第三実施形態は光学式ポインティングデバイス700を提供する。光学式ポインティングデバイス700は、プリント基板708と、プリント基板708を覆うように設けられた筒体709と、筒体709上部の側部に位置する赤外線発光ダイオード701と、対象物である指の動きを検知するためのカバープレート703と、カバープレート703の下に設けられ、対象物から反射された光を集光するように機能する画像形成システムレンズ705と、対象物の反射像を受信し、対象物の動きを検知するための光学式画像センサ707と、を有し、カバープレート703および画像形成システムレンズ705は、ユーザの目では感知することができない赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成されている。
【0057】
カバープレート703および画像形成システムレンズ705から成るレンズモジュールにおいて、カバープレート703を赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成し、画像形成システムレンズ705を赤外線の波長域と可視光線の波長域の両方を通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成することができる。
【0058】
上記の構造によれば、たとえ赤外線がユーザの目710に照射されたとしても、ユーザの目710は赤外線の波長域を感知することができないため、ユーザはまぶしさなどによって引き起こされる眼精疲労や不快感を経験することがない。
【0059】
<第四実施形態>
図8は、本発明の第四実施形態を示す図であり、赤外線発光ダイオードからの光が、照射システムを通らずに直接カバープレートに照射される光導波路平凸レンズ型光学式ポインティングデバイスにおいて、赤外線の波長域のみを通過させるための光学プラスチック材料を使用したレンズモジュールが、ユーザの目に向けて赤外線を放射する一例を示している。
【0060】
本発明の第四実施形態は光学式ポインティングデバイス800を提供する。光学式ポインティングデバイス800は、プリント基板816と、プリント基板816の上面の上にプリント基板の上面と間隔を空けて設けられた赤外線発光ダイオード801と、対象物である指の動きを検知するためのカバープレート803と、光路を水平方向に変化させるための少なくともひとつの平凸レンズ806と、対象物の反射像を受信し、対象物の動きを検知するための光学式画像センサ813と、を有し、カバープレート803および平凸レンズ806は、ユーザの目では感知することができない赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成されている。
【0061】
カバープレート803および平凸レンズ806から成るレンズモジュールにおいて、カバープレート803を赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成し、平凸レンズ806を赤外線の波長域と可視光線の波長域の両方を通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成することができる。
【0062】
上記の構造によれば、たとえ赤外線がユーザの目810に照射されたとしても、ユーザの目810は赤外線の波長域を感知することができないため、ユーザはまぶしさなどによって引き起こされる眼精疲労や不快感を経験することがない。
【0063】
図9および図10は、太陽光由来の、もしくは外部光源から放射された可視光線が、光学式ポインティングデバイスの読み取り領域であるカバープレートおよび画像形成システムレンズを通過することができない状況を示している。
【0064】
図9は、光学式マウスを小型化かつ反転させた形状を有する光学式ポインティングデバイス900を示す図である。外部光源910から放射された可視光線904は、赤外線の波長域のみを通過させるための光学プラスチック材料によって形成されたカバープレート903と画像形成システムレンズ905の両方によって遮断されるため、可視光線の光学式画像センサ907への影響を防止することができる。
【0065】
図10は、厚さを極薄レベルまで減少させるように光路を垂直方向から水平方向へと変化させるための光導波路型光学式ポインティングデバイス1000を示す図である。外部光源1010から放射された可視光線1004は、赤外線の波長域のみを通過させるための光学プラスチック材料によって形成されたカバープレート1003と平凸レンズ1006の両方によって遮断さるため、可視光線の光学式画像センサ1013への影響を防止することができる。
【0066】
一般的に、個人用携帯機器に使用される光学式ポインティングデバイスは上方を向いているため、外部から当たるさまざまなタイプの照明によって光学式画像センサが誤作動を起こす可能性が高い。
【0067】
本発明は、赤外線の波長域のみを通過させることが可能なバンドパスフィルタのような機能を有するレンズモジュールを光学式ポインティングデバイスに適用しているため、外部光源によって引き起こされる光学式画像センサの誤作動を最小限に抑えることができる。
【0068】
図11は、上記の光学プラスチックレンズモジュールを使用した光学式ポインティングデバイス1101を備える個人用携帯機器1100の一例を示す図である。
【0069】
本明細書における「個人用携帯機器」という語は、一般に、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、ハンドヘルドPC、携帯電話、MP3プレーヤーなどの各種携帯用電気および電子機器を指す。
【0070】
さらに、個人用携帯機器は、符号分割多元接続(CDMA)モジュール、ブルートゥースモジュール、赤外線通信モジュール、有線/無線ラン(LAN)カードなどの通信モジュールを備えることが可能であるとともに、所定の計算能力を保持するように、マルチメディアプレーヤー機能を果たすためのマイクロプロセッサを搭載することが可能な端末を含む。
【0071】
例示を目的として本発明の好適な実施形態を開示してきたが、添付の請求の範囲に開示されている本発明の精神と範囲から逸脱することなく、さまざまな改良、追加および置換が可能であることは当業者にとっては当然のことである。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、光学式画像センサを使用した極薄光学式ポインティングデバイスおよび極薄光学式ポインティングデバイスを有する個人用携帯機器の分野で利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】光学式マウスを反転させた形状を有する光学式ポインティングデバイスにおいて、照射システムから放射された発光ダイオードの光が目に照射される一例を示す図である。
【図2】光導波路平凸レンズ型光学式ポインティングデバイスにおいて、照射システムから放射された発光ダイオードの光が目に照射される一例を示す図である。
【図3】外部光が光学式マウスを反転させた形状を有する光学式ポインティングデバイスに照射され、画像センサのオペレーションに影響を及ぼす一例を示す図である。
【図4】外部光が光導波路平凸レンズ型光学式ポインティングデバイスに照射され、画像センサのオペレーションに影響を及ぼす一例を示す図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係る光学式ポインティングデバイスの照射システムから放射された赤外線発光ダイオードの光が目に照射される一例を示す図である。
【図6】本発明の第二実施形態に係る光導波路平凸レンズ型光学式ポインティングデバイスの照射システムから放射された赤外線発光ダイオードの光が目に照射される一例を示す図である。
【図7】本発明の第三実施形態に係る光学式ポインティングデバイスの照射システムから放射された赤外線発光ダイオードの光が目に照射される一例を示す図である。
【図8】本発明の第四実施形態に係る光導波路平凸レンズ型光学式ポインティングデバイスの照射システムから放射された赤外線発光ダイオードの光が目に照射される一例を示す図である。
【図9】外部光が光学式マウスを反転させた形状を有する光学式ポインティングデバイスに照射された場合に、赤外線の波長域以外の波長域を有する光を遮断するための光学プラスチック材料を使用して外部光を遮断するオペレーションを示す図である。
【図10】外部光が光導波路平凸レンズ型光学式ポインティングデバイスに照射された場合に、赤外線の波長域以外の波長域を有する光を遮断するための光学プラスチック材料を使用して外部光を遮断するオペレーションを示す図である。
【図11】赤外線の波長域のみを通過させる光学式ポインティングデバイスを本発明に従って適用した携帯電話を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板(508)と、
前記プリント基板(5089の上面の側部に設けられた赤外線発光ダイオード(501)と、
対象物である指の動きを検知するためのカバープレート(503)と、
前記赤外線発光ダイオード(501)から前記カバープレート(503)へと光を伝達するための照射システム(502)と、
前記カバープレート(503)の下に位置し、対象物から反射された光を集光するように機能する画像形成システムレンズ(505)と、
対象物の反射像を受信し、対象物の動きを検知するための光学式画像センサ(507)と、
前記プリント基板(508)を覆うように前記プリント基板の側部に設けられた筒体(509)と、を備え、
前記照射システム(502)、前記カバープレート(503)および前記画像形成システムレンズ(505)は、ユーザの目では感知することができない赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成されていることを特徴とする光学式ポインティングデバイス(500)。
【請求項2】
前記照射システム(502)は、赤外線の波長域と可視光線の波長域の両方を通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成されている請求項1に記載の光学式ポインティングデバイス。
【請求項3】
前記画像形成システムレンズ(505)は、赤外線の波長域と可視光線の波長域の両方を通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成されている請求項1に記載の光学式ポインティングデバイス。
【請求項4】
プリント基板(616)と、
前記プリント基板(616)の上面の側部に設けられた赤外線発光ダイオード(601)と、
対象物である指の動きを検知するためのカバープレート(603)と、
前記赤外線発光ダイオード(601)から前記カバープレート(603)へと光を伝達するための照射システム(602)と、
光路を水平方向へと変化させるための少なくともひとつの平凸レンズ(606)と、
対象物の反射像を受信し、対象物の動きを検知するための光学式画像センサ(613)と、を備え、
前記照射システム(602)、前記カバープレート(603)および前記平凸レンズ(606)は、ユーザの目では感知することができない赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成されている光学式ポインティングデバイス(600)。
【請求項5】
前記照射システム(602)は、赤外線の波長域と可視光線の波長域の両方を通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成されている請求項4に記載の光学式ポインティングデバイス。
【請求項6】
前記平凸レンズ(606)は、赤外線の波長域と可視光線の波長域の両方を通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成されている請求項4に記載の光学式ポインティングデバイス。
【請求項7】
プリント基板(708)と、
前記プリント基板(708)を覆うように設けられた筒体(709)と、
対象物である指の動きを検知するためのカバープレート(703)と、
前記筒体(709)上部の側部に位置し、前記カバープレート(703)に向けて直接光を放射する赤外線発光ダイオード701と、
前記カバープレート(703)の下に位置し、対象物から反射された光を集光するように機能する画像形成システムレンズ(705)と、
対象物の反射像を受信し、対象物の動きを検知するための光学式画像センサ(707)と、を備え、
前記カバープレート(703)および前記画像形成システムレンズ(705)は、ユーザの目では感知することができない赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成されている光学式ポインティングデバイス(700)。
【請求項8】
前記画像形成システムレンズ(705)は、赤外線の波長域と可視光線の波長域の両方を通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成されている請求項7に記載の光学式ポインティングデバイス。
【請求項9】
プリント基板(816)と、
対象物である指の動きを検知するためのカバープレート(803)と、
前記プリント基板(816)の上面の上に前記プリント基板(816)の上面と間隔を空けて設けられ、前記カバープレート(803)に向けて直接光を放射するように機能する赤外線発光ダイオード(801)と、
光路を水平方向に変化させるための少なくともひとつの平凸レンズ(806)と、
対象物の反射像を受信し、対象物の動きを検知するための光学式画像センサ(813)と、を備え、
前記カバープレート(803)および前記平凸レンズ(806)は、ユーザの目では感知することができない赤外線の波長域のみを通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成されている光学式ポインティングデバイス(800)。
【請求項10】
前記平凸レンズ(806)は、赤外線の波長域と可視光線の波長域の両方を通過させることが可能な光学プラスチック材料によって形成されている請求項9に記載の光学式ポインティングデバイス。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の光学式ポインティングデバイスを備える個人用携帯機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2009−501383(P2009−501383A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521322(P2008−521322)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【国際出願番号】PCT/KR2006/002736
【国際公開番号】WO2007/008034
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ウィンドウズ
【出願人】(507332675)クルシアルテック カンパニー リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】Crucialtec Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】165, Sechul−Ri, Baebang−Myun, Asan−Si, Chungcheongnam−Do, 336−795, Republic of Korea
【Fターム(参考)】