説明

楽曲可視化装置、楽曲可視化方法および楽曲可視化プログラム

【課題】ユーザに対して、楽曲データの分布を直感的に把握させ、データベース内に格納されている楽曲の理解を促進させると共に、楽曲検索に要する時間を短縮する。
【解決手段】楽曲データの特徴を視覚的に表示する楽曲可視化装置10であって、データベース11から楽曲データを読み出し、読み出した楽曲データから、複数種類の特徴量を抽出する特徴量抽出部12と、抽出された各特徴量をそれぞれ一次元の座標軸に表わしたときの分布度合いを分析する特徴量分析部13と、その分布度合いに基づいて、いずれか一つ以上の座標軸を選択する座標軸選択部14と、選択された座標軸および前記座標軸に対応する特徴量を用いて、楽曲データの分布を表示する表示部15と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽曲データが有する特徴量に基づいて、特徴量に応じた楽曲データの分布を視覚的に表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、情報を可視化する技術が知られている。例えば、特許文献1では、データベース内で数値化された特徴量に対し、特異値分解して特異ベクトルを生成する。そして、特徴量の特異ベクトルを使用して次元削減し、次元削減された選択ベクトルの要素を大きい方から降順に所定数選択して可視化座標軸としている。
【0003】
また、特許文献2では、コンテンツから得られた多次元解析結果を1つの色表示を用いることでコンテンツの可視化を実施している。具体的には、三次元の特徴量をもつ解析結果をRGB値で定義される色空間へとマッピングしている。
【0004】
また、特許文献3では、楽曲のテンポや平均音数等の音響的特徴量から、人の感覚に基づく印象量を抽出し、印象情報(悲しい、激しいなど)を座標軸として用いることで楽曲を二次元マップ上に表現している。
【0005】
また、データ可視化方法を応用した楽曲検索システムとしては、以下のものが挙げられる。非特許文献1には、自己組織化マップを利用して楽曲データを二次元上にマッピングする技術が開示されている。また、非特許文献2には、楽曲から多次元音響的特徴量を抽出し、主成分分析等の多変量解析方法を用いて二次元若しくは三次元上に楽曲をマッピングする技術が開示されている。また、上記可視化に利用可能な特徴量を抽出するツールとして、非特許文献3および4に示されるようなツールが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−141165号公報
【特許文献2】特開2004−295293号公報
【特許文献3】特開2005−31644号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】E.Pampalk, S.Dixon, and G. Widmer, “Exploring music collections by browsing different views,” in ISMIR2003, pp.201-208
【非特許文献2】浜脇他“可視化技術を用いた楽曲推薦システム”,情報処理学会 春季全国大会,3N-9
【非特許文献3】jAudio: http://sourceforge.net/projects/jaudio/
【非特許文献4】MARSYAS:http://marsyas.sness.net/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1および2記載の技術では、コンテンツを解析することで得られた多次元特徴量(ベクトル)を二次元および三次元にマッピングすることができるが、座標軸の意味を人の感覚で捉えることが容易ではない。このため、ユーザが方式を熟知している場合、若しくはシステムをしばらく利用してマップを理解できた場合でなければ直感的なコンテンツの分布を把握することは困難である。
【0009】
一方、特許文献3では、人の感覚に基づく印象量を座標軸とすることで前記問題を解決することが可能となっている。しかし、マッピングするデータ(データベース内のデータ)の特徴に偏りが生じている場合には、マップのある領域に偏りが生じてしまい、データ群の微細な領域での差異を捉え難いという問題がある。例えば、「明るい−暗い」、「激しい−おとなしい」という2軸において、全てのデータが「明るい」かつ、「激しい」データであった場合、その中でさらに情報を絞り込むことは困難であり、ユーザにやさしいとは言いがたい。
【0010】
また、非特許文献1および2においては、自己組織化マップもしくは多変量解析を用いて、楽曲から抽出した多次元データを二次元または三次元へマッピングすることができるが、自己組織化マップでは、軸自体は意味をもたず、多変量解析においては軸自体の意味を把握するために多くのデータ分布から軸の意味を推測しなくてはならない。このため、ユーザが自分の求めたい楽曲を探し出すために、マップの理解をしなければならず、検索に時間がかかるという課題がある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ユーザに対して、楽曲データの分布を直感的に把握させ、データベース内に格納されている楽曲の理解を促進させると共に、楽曲検索に要する時間を短縮することができる楽曲可視化装置、楽曲可視化方法および楽曲可視化プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の楽曲可視化装置は、楽曲データの特徴を視覚的に表示する楽曲可視化装置であって、データベースから楽曲データを読み出し、前記読み出した楽曲データから、複数種類の特徴量を抽出する特徴量抽出部と、前記抽出された各特徴量をそれぞれ一次元の座標軸に表わしたときの分布度合いを分析する特徴量分析部と、前記分布度合いに基づいて、いずれか一つ以上の座標軸を選択する座標軸選択部と、前記選択された座標軸および前記座標軸に対応する特徴量を用いて、楽曲データの分布を表示する表示部と、を備えることを特徴としている。
【0013】
このように、楽曲データから抽出した特徴量を、それぞれ一次元の座標軸に表わしたときの分布度合いを分析し、その分布度合いに基づいて、いずれか一つ以上の座標軸を選択し、選択した座標軸および座標軸に対応する特徴量を用いて、楽曲データの分布を表示するので、座標軸自体に意味を持たせることができ、データベースに格納されている楽曲データに偏りがあったとしても、座標軸の意味を保持しつつ、対象となるデータベースについて最適な座標軸を選択することが可能となる。また、ユーザに対して、楽曲データの分布を直感的に理解させることが可能となる。また、ユーザの楽曲検索に要する時間の短縮と負担の軽減を図り、データベースに格納されている楽曲の理解を促進させることが可能となる。
【0014】
(2)また、本発明の楽曲可視化装置において、前記データベースに格納されている楽曲データまたは前記特徴量抽出部によって抽出された各特徴量を分類する分類処理部をさらに備え、前記表示部は、前記分類結果を表示することを特徴としている。
【0015】
このように、データベースに格納されている楽曲データまたは特徴量抽出部によって抽出された各特徴量を分類するので、データ量が膨大であっても、効率的な楽曲検索を行なうことが可能となる。
【0016】
(3)また、本発明の楽曲可視化装置において、前記座標軸選択部は、前記分布度合いに基づいて、いずれか複数の座標軸を座標軸候補として選択し、前記表示部は、ユーザの操作を契機として選択された座標軸および前記座標軸に対応する特徴量を用いて、楽曲データの分布を表示することを特徴としている。
【0017】
このように、分布度合いに基づいて、いずれか複数の座標軸を座標軸候補として選択し、ユーザの操作を契機として選択された座標軸および座標軸に対応する特徴量を用いて、楽曲データの分布を表示するので、ユーザが好みに応じて座標軸を選択することができ、選択された座標軸とその座標軸に対応する特徴量で楽曲データの分布を表示することができる。これにより、楽曲検索におけるユーザの負担を軽減させることが可能となる。
【0018】
(4)また、本発明の楽曲可視化方法は、楽曲データの特徴を視覚的に表示する楽曲可視化方法であって、特徴量抽出部において、データベースから楽曲データを読み出し、前記読み出した楽曲データから、複数種類の特徴量を抽出するステップと、特徴量分析部において、前記抽出された各特徴量をそれぞれ一次元の座標軸に表わしたときの分布度合いを分析するステップと、座標軸選択部において、前記分布度合いに基づいて、いずれか一つ以上の座標軸を選択するステップと、表示部において、前記選択された座標軸および前記座標軸に対応する特徴量を用いて、楽曲データの分布を表示するステップと、を少なくとも含むことを特徴としている。
【0019】
このように、楽曲データから抽出した特徴量を、それぞれ一次元の座標軸に表わしたときの分布度合いを分析し、その分布度合いに基づいて、いずれか一つ以上の座標軸を選択し、選択した座標軸および座標軸に対応する特徴量を用いて、楽曲データの分布を表示するので、座標軸自体に意味を持たせることができ、データベースに格納されている楽曲データに偏りがあったとしても、座標軸の意味を保持しつつ、対象となるデータベースについて最適な座標軸を選択することが可能となる。また、ユーザに対して、楽曲データの分布を直感的に理解させることが可能となる。また、ユーザの楽曲検索に要する時間の短縮と負担の軽減を図り、データベースに格納されている楽曲の理解を促進させることが可能となる。
【0020】
(5)また、本発明の楽曲可視化方法は、分類処理部において、前記データベースに格納されている楽曲データまたは前記特徴量抽出部によって抽出された各特徴量を分類するステップと、前記表示部において、前記分類結果を表示するステップと、をさらに含むことを特徴としている。
【0021】
このように、データベースに格納されている楽曲データまたは特徴量抽出部によって抽出された各特徴量を分類するので、データ量が膨大であっても、効率的な楽曲検索を行なうことが可能となる。
【0022】
(6)また、本発明の楽曲可視化プログラムは、楽曲データの特徴を視覚的に表示する楽曲可視化プログラムであって、データベースから楽曲データを読み出し、前記読み出した楽曲データから、複数種類の特徴量を抽出する処理と、前記抽出された各特徴量をそれぞれ一次元の座標軸に表わしたときの分布度合いを分析する処理と、前記分布度合いに基づいて、いずれか一つ以上の座標軸を選択する処理と、前記選択された座標軸および前記座標軸に対応する特徴量を用いて、楽曲データの分布を表示する処理と、を含む一連の処理を、コンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化されたことを特徴としている。
【0023】
このように、楽曲データから抽出した特徴量を、それぞれ一次元の座標軸に表わしたときの分布度合いを分析し、その分布度合いに基づいて、いずれか一つ以上の座標軸を選択し、選択し座標軸および座標軸に対応する特徴量を用いて、楽曲データの分布を表示するので、座標軸自体に意味を持たせることができ、データベースに格納されている楽曲データに偏りがあったとしても、座標軸の意味を保持しつつ、対象となるデータベースについて最適な座標軸を選択することが可能となる。また、ユーザに対して、楽曲データの分布を直感的に理解させることが可能となる。また、ユーザの楽曲検索に要する時間の短縮と負担の軽減を図り、データベースに格納されている楽曲の理解を促進させることが可能となる。
【0024】
(7)また、本発明の楽曲可視化プログラムは、前記データベースに格納されている楽曲データまたは前記抽出された各特徴量を分類する処理と、前記分類結果を表示する処理と、をさらに含むことを特徴としている。
【0025】
このように、データベースに格納されている楽曲データまたは特徴量抽出部によって抽出された各特徴量を分類するので、データ量が膨大であっても、効率的な楽曲検索を行なうことが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、座標軸自体に意味をもたせ、対象データベースに最適な軸を選択するので、データの分布を直感的に理解することが可能になる。また、前記方法を検索システムに適用することで、ユーザの楽曲検索に要する時間を軽減し、データベース内の楽曲理解を促進することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施形態に係る楽曲可視化装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る楽曲可視化装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】第2の実施形態に係る楽曲可視化装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】第2の実施形態に係る楽曲可視化装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】楽曲検索システムの概略を示す図である。
【図6】ユーザインタフェースの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、多次元データを二次元または三次元マッピングする際に、人間の感覚でわかりやすい座標軸を複数候補選定し、データの偏りに応じて座標軸を適応的に変化させる。これにより、マップの直感的な理解を促進することができ、データの偏りに依存しないデータ可視化技術を提供する。また、ユーザフレンドリーな楽曲検索システムを提供する。
【0029】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る楽曲可視化装置の概略構成を示すブロック図であり、図2は、第1の実施形態に係る楽曲可視化装置の動作を示すフローチャートである。図1に示すように、楽曲可視化装置10は、データベース11、特徴量抽出部12、特徴量分析部13、座標軸選択部14、および表示部15から構成されている。データベース11は、複数の楽曲データを格納する。特徴量抽出部12は、データベース11に格納されている楽曲データ(群)から、特徴量を抽出する(ステップS10)。例えば、人が直感的に理解しやすい特徴量の分類として、リズム、テンポ、ボーカルの性別、音色、調性などが挙げられる。この特徴量は、非特許文献3または4に開示されている技術を利用して抽出することができる。なお、ここで挙げた分類名を座標軸候補と呼ぶ。
【0030】
特徴量分析部13は、特徴量抽出部12によって抽出された、座標軸候補となる特徴量に対し、座標軸上での分布の度合を分析する(ステップS11)。例えば、座標軸候補ごとに多変量解析などによる次元圧縮を適用し、一次元に圧縮させ、分布の度合を分析することができる。以下、分布の度合のスコアをXとする。このXが大であれば偏りが少なく、Xが小であれば偏りが大きいと定義する。特許文献2に開示されている技術では、もともと三次元特徴量をベースにしているが、本実施形態では、次元数や特性の異なる特徴量から座標軸パラメータを一次元に変換する。これにより、様々な特徴量に適応することが可能である。
【0031】
座標軸選択部14は、特徴量分析部13における特徴量分析によって得られた座標軸候補の分布の度合に基づいて、座標軸候補から軸を選択する(ステップS12)。例えば、二次元表示であれば、スコアXの上位となる2座標軸を選定することができ、三次元表示であれば3座標軸を選定することができる。また、座標軸ごとに正規化をすることにより、スコア上位の軸において偏りが生じた場合にも対応することが可能である。これにより、データベース11に格納されている楽曲データに偏りが生じていたとしても、座標軸の意味を保持しつつ、検索対象となるデータベース11に最適な座標軸の選定を行なうことができる。
【0032】
表示部15は、座標軸選択部14によって選択された座標軸に基づいて、楽曲データを表示する(ステップS13)。これにより、座標軸として、人が直感的に理解しやすい分類の多次元特徴量の次元圧縮による一次元パラメータを用いることができ、さらに表示する際にデータベース11内の楽曲データに最適な軸を選定することができるため、対象データベースに依存せず、かつ直感的に理解しやすい楽曲データの可視化を実現することができる。
【0033】
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態に係る楽曲可視化装置の概略構成を示すブロック図であり、図4は、第2の実施形態に係る楽曲可視化装置の動作を示すフローチャートである。データベース11に格納されている楽曲データの量が膨大で、マップ上で表示データ数が多くなった際には、2段階で表示する。このため、第2の実施形態では、図1に示した第1の実施形態に分類処理部16を追加している。
【0034】
分類処理部16は、データベース11全体の楽曲について事前にカテゴリ分類を行なう。例えば、特徴量抽出ステップ(ステップS20)によって得られた特徴量群を用いて、クラスタリングを適用してカテゴリへ分類する。また、予めメタ情報が得られている場合は、メタ情報によりデータベース11内のデータを事前にカテゴリに分類することができる。なお、このカテゴリは大まかなカテゴリでよい。
【0035】
このような分類処理によって分類されたカテゴリごとに特徴量分析ステップ(ステップS23)、座標軸選択ステップ(ステップS24)、第二次表示ステップ(ステップS25)を適用することで、膨大なデータに対しても、第1の実施形態と同じメリットを得ることができる。
【0036】
なお、分類処理部16は、特徴量を抽出する必要がない場合、例えば、メタ情報を利用する場合には、特徴量を抽出することなく、分類処理を最初に行なうことができる。すなわち、処理の順番は、適宜変更することが可能である。
【0037】
次に、以上のように構成された第2の実施形態に係る楽曲可視化装置の動作について説明する。図4に示すように、特徴量抽出部12は、データベース11に格納されている楽曲データ(群)から、特徴量を抽出する(ステップS20)。例えば、人が直感的に理解しやすい特徴量の分類として、リズム、テンポ、ボーカルの性別、音色、調性などが挙げられる。この特徴量は、非特許文献3または4に開示されている技術を利用して抽出することができる。なお、ここで挙げた分類名を座標軸候補と呼ぶ。
【0038】
分類処理部16は、データベース11全体の楽曲について事前にカテゴリ分類を行なう(ステップS21)。例えば、特徴量抽出ステップ(ステップS20)によって得られた特徴量群を用いて、クラスタリングを適用してカテゴリへ分類する。
【0039】
次に、第2の実施形態では、表示部15において、第一次表示を行なう(ステップS22)。この第一次表示は、分類処理ステップ(ステップS21)によって得られたカテゴリ分類を表示する。例えば、特徴量群を用いてクラスタリングを適用した場合には、既存技術である多変量解析や、自己組織化マップなどを用いることで実現することができる。また、メタ情報による分類を用いている場合には、リスト表示や、メタ情報に基づいて二次元上で表現することができる。これにより、膨大な楽曲データ群の大まかな分類を把握できるようになり、第二次表示ステップ(ステップS25)におけるデータを制限することができる。なお、第二次表示ステップに表示するカテゴリは、複数指定することができる。
【0040】
次に、特徴量分析部13は、特徴量抽出部12によって抽出され、または分類処理部16によって分類された座標軸候補となる特徴量に対し、座標軸上での分布の度合を分析する(ステップS23)。例えば、座標軸候補ごとに多変量解析などによる次元圧縮を適用し、一次元に圧縮させ、分布の度合を分析することができる。以下、分布の度合のスコアをXとする。このXが大であれば偏りが少なく、Xが小であれば偏りが大きいと定義する。特許文献2に開示されている技術では、もともと三次元特徴量をベースにしているが、本実施形態では、次元数や特性の異なる特徴量から座標軸パラメータを一次元に変換する。これにより、様々な特徴量に適応することが可能である。
【0041】
座標軸選択部14は、特徴量分析部13における特徴量分析によって得られた座標軸候補の分布の度合に基づいて、座標軸候補から軸を選択する(ステップS24)。例えば、二次元表示であれば、スコアXの上位となる2座標軸を選定することができ、三次元表示であれば3座標軸を選定することができる。また、座標軸ごとに正規化をすることにより、スコア上位の軸において偏りが生じた場合にも対応することが可能である。これにより、データベース11に格納されている楽曲データに偏りが生じていたとしても、座標軸の意味を保持しつつ、検索対象となるデータベース11に最適な座標軸の選定を行なうことができる。
【0042】
次に、表示部15は、第二次表示を行なう(ステップS25)。すなわち、座標軸選択部14によって選択された座標軸に基づいて、楽曲データを表示する。これにより、座標軸として、人が直感的に理解しやすい分類の多次元特徴量の次元圧縮による一次元パラメータを用いることができ、さらに表示する際にデータベース11内の楽曲データに最適な軸を選定することができるため、対象データベースに依存せず、かつ直感的に理解しやすい楽曲データの可視化を実現することができる。
【0043】
図5は、本発明の楽曲可視化装置を適用した楽曲検索システムの概略構成を示す図である。入力部31は、システム利用者が、楽曲可視化装置10(または20)における表示部15によって表示されたデータ若しくはカテゴリを選択する操作を受け付ける。例えば、ポインタによる選択や、タッチパネルを有するデバイスで本システムを利用する場合は、ユーザが直接データ表示領域を触って選択することも可能とする。入力部31におけるユーザインタフェースの一例を図6に示す。図6では、座標軸(特徴量)として、例えば、楽曲のテンポと、音色が選択されている。座標軸上に表示されている丸印は、個々に楽曲データを示す。従って、図6では、テンポと音色とで定められた二次元座標上における複数の楽曲データの分布を示している。なお、入力部31では、図6に示すように、分類処理部16によって分類されたカテゴリの情報や、複数の座標軸候補が示され、ユーザはこれらの中から自由に選択することが可能である。
【0044】
楽曲再生部32は、ユーザ入力に該当する楽曲データを再生する。これにより、ユーザは、検索により得られた楽曲データのいずれか一つを試聴することができる。
【0045】
以上説明したような本発明の特徴的な動作は、コンピュータにプログラムを実行させることによって行なわれる。すなわち、本発明の楽曲可視化プログラムは、楽曲データの特徴を視覚的に表示する楽曲可視化プログラムであって、データベースから楽曲データを読み出し、前記読み出した楽曲データから、複数種類の特徴量を抽出する処理と、前記抽出された各特徴量をそれぞれ一次元の座標軸に表わしたときの分布度合いを分析する処理と、前記分布度合いに基づいて、いずれか一つ以上の座標軸を選択する処理と、前記選択された座標軸および前記座標軸に対応する特徴量を用いて、楽曲データの分布を表示する処理と、を含む一連の処理を、コンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化されたことを特徴としている。
【0046】
このように、楽曲データから抽出した特徴量を、それぞれ一次元の座標軸に表わしたときの分布度合いを分析し、その分布度合いに基づいて、いずれか一つ以上の座標軸を選択し、選択した座標軸および座標軸に対応する特徴量を用いて、楽曲データの分布を表示するので、座標軸自体に意味を持たせることができ、データベースに格納されている楽曲データに偏りがあったとしても、座標軸の意味を保持しつつ、対象となるデータベースについて最適な座標軸を選択することが可能となる。また、ユーザに対して、楽曲データの分布を直感的に理解させることが可能となる。また、ユーザの楽曲検索に要する時間の短縮と負担の軽減を図り、データベースに格納されている楽曲の理解を促進させることが可能となる。
【0047】
本発明の楽曲可視化プログラムは、前記データベースに格納されている楽曲データまたは前記抽出された各特徴量を分類する処理と、前記分類結果を表示する処理と、をさらに含んでいても良い。
【0048】
このように、データベースに格納されている楽曲データまたは特徴量抽出部によって抽出された各特徴量を分類するので、データ量が膨大であっても、効率的な楽曲検索を行なうことが可能となる。
【0049】
なお、上記実施形態において、楽曲可視化装置を機能的なブロック構成で示したが、モジュールとして表現しても技術的には等価である。
【符号の説明】
【0050】
10、20 楽曲可視化装置
11 データベース
12 特徴量抽出部
13 特徴量分析部
14 座標軸選択部
15 表示部
16 分類処理部
31 入力部
32 楽曲再生部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲データの特徴を視覚的に表示する楽曲可視化装置であって、
データベースから楽曲データを読み出し、前記読み出した楽曲データから、複数種類の特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
前記抽出された各特徴量をそれぞれ一次元の座標軸に表わしたときの分布度合いを分析する特徴量分析部と、
前記分布度合いに基づいて、いずれか一つ以上の座標軸を選択する座標軸選択部と、
前記選択された座標軸および前記座標軸に対応する特徴量を用いて、楽曲データの分布を表示する表示部と、を備えることを特徴とする楽曲可視化装置。
【請求項2】
前記データベースに格納されている楽曲データまたは前記特徴量抽出部によって抽出された各特徴量を分類する分類処理部をさらに備え、
前記表示部は、前記分類結果を表示することを特徴とする請求項1記載の楽曲可視化装置。
【請求項3】
前記座標軸選択部は、前記分布度合いに基づいて、いずれか複数の座標軸を座標軸候補として選択し、
前記表示部は、ユーザの操作を契機として選択された座標軸および前記座標軸に対応する特徴量を用いて、楽曲データの分布を表示することを特徴とする請求項1または請求項2記載の楽曲可視化装置。
【請求項4】
楽曲データの特徴を視覚的に表示する楽曲可視化方法であって、
特徴量抽出部において、データベースから楽曲データを読み出し、前記読み出した楽曲データから、複数種類の特徴量を抽出するステップと、
特徴量分析部において、前記抽出された各特徴量をそれぞれ一次元の座標軸に表わしたときの分布度合いを分析するステップと、
座標軸選択部において、前記分布度合いに基づいて、いずれか一つ以上の座標軸を選択するステップと、
表示部において、前記選択された座標軸および前記座標軸に対応する特徴量を用いて、楽曲データの分布を表示するステップと、を少なくとも含むことを特徴とする楽曲可視化方法。
【請求項5】
分類処理部において、前記データベースに格納されている楽曲データまたは前記特徴量抽出部によって抽出された各特徴量を分類するステップと、
前記表示部において、前記分類結果を表示するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項4記載の楽曲可視化方法。
【請求項6】
楽曲データの特徴を視覚的に表示する楽曲可視化プログラムであって、
データベースから楽曲データを読み出し、前記読み出した楽曲データから、複数種類の特徴量を抽出する処理と、
前記抽出された各特徴量をそれぞれ一次元の座標軸に表わしたときの分布度合いを分析する処理と、
前記分布度合いに基づいて、いずれか一つ以上の座標軸を選択する処理と、
前記選択された座標軸および前記座標軸に対応する特徴量を用いて、楽曲データの分布を表示する処理と、を含む一連の処理を、コンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化されたことを特徴とする楽曲可視化プログラム。
【請求項7】
前記データベースに格納されている楽曲データまたは前記抽出された各特徴量を分類する処理と、
前記分類結果を表示する処理と、をさらに含むことを特徴とする請求項6記載の楽曲可視化プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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