説明

構内無線システム

【課題】構内無線システムにおいて、COT外線指定発信特番とその特番時に捕捉するCOT回線をグループ化することにより、COT基板経由で上位PBXに接続する場合に、輻輳による回線捕捉失敗をほとんど無くし、少ない番号計画にすることができる手段を提供する。
【解決手段】主制御装置300に含まれるMCPパッケージ300−1は1または2以上のCOT外線指定発信特番を一つのグループとして取り扱う。発呼端末から一つのCOT外線指定発信特番が通知されるとMCPパッケージ300−1は通知されたCOT外線指定発信特番が属するグループを検索し、該グループに属するCOT外線指定発信特番のうちあいているものを用いて上位PBXに接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパーソナルハンディフォンシステム(Personal Handy Phone System:以下PHS)での内線網構築、特にCOT外線発信特番で選択するCOT回線をグループ化し、上位構内交換機(Private Bench eXchange:以下PBX)との接続時にそのグループから空き回線を捕捉する機能に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のCOT外線指定発信機能は、COT外線指定発信特番に一つのCOT回線を対応付ける。このため、その回線が使用中であった場合、再接続操作により他のCOT外線指定発信特番を押下して発信する必要が出てくる。この際、発信者は上位PBXに接続するためのCOT外線指定発信特番を多数知っている必要があった。
【0003】
特開平4−104696号公報(特許文献1)には、構内交換システムの発着制御方式において、同一の内線グループに所属する端末器における局線ボタンの設定を同一にすることにより、内線グループ毎に局線グループ対応の局線ボタンの設定を行う内容が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−104696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、COT外線指定発信機能の実際の運用面では、問題が大きい。
【0006】
図1は従来のCOT外線指定発信が不通のときの状況を説明するための概念図である。この図1のようにCOT外線指定発信特番1Aが接続不能となっている場合のことを考える。
【0007】
このシステムでは主制御装置100中にCOTパッケージ100−1、MCPパッケージ100−2、BSIFパッケージ100−3を含む。
【0008】
COTパッケージ100−1は、Central Office Transの略であり、加入者電話回線等のインターフェースをつかさどる基板である。
【0009】
MCPパッケージ100−2は、Main Control Packageの略であり、制御装置に実装され通信制御及び通話の交換制御をつかさどるパッケージである。
【0010】
BSIFパッケージ100−3は、Base Station Interfaceの略であり、MCPパッケージ100−2と無線基地局105の間の通信制御をつかさどるパッケージである。
【0011】
COT外線指定発信特番1Aが接続不能となっている場合に操作者は、上位PBX#1に接続するCOT外線指定発信特番が他に存在するかを認識している必要がある。本図上では、COT外線指定発信特番1B、1C、1Dが存在する。これらが存在すること自体を操作者は認識しておく必要がある。
【0012】
また、当該COT回線が故障していた場合や、予備のCOT外線指定発信特番が存在しない場合には、その特番ではまったく上位PBXに接続しなくなってしまう問題があった。
【0013】
本発明の目的は、構内無線システムにおいて、COT外線指定発信特番とその特番時に捕捉するCOT回線をグループ化することにより、COT基板経由で上位PBXに接続する場合に、輻輳による回線捕捉失敗をほとんど無くし、少ない番号計画にすることができる手段を提供することにある。
【0014】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0016】
本発明の代表的な実施の形態に関わる構内無線システムは、外部との回線毎に割り振られる1又は2以上のCOT外線指定発信特番を含むグループを取り扱うCOTパッケージを含み、このグループに含まれるCOT外線指定発信特番のいずれか1が発呼端末から送信された場合、MCPパッケージはこのグループに含まれる未使用のCOT回線のいずれかを用いて外部との接続を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に関わる構内無線システムを用いる事で、COT基板経由で上位PBXに接続する場合、輻輳による回線捕捉失敗をほとんど無くすことが可能となる。
【0018】
また、本発明に関わる構内無線システムを用いる事で、端末の操作者がCOT外線指定発信番号を複数記憶する必要が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来のCOT外線指定発信が不通のときの状況を説明するための概念図である。
【図2】本発明に関わる構内無線システムの構成を表す構成図である。
【図3】従来の処理を表すフローチャートである。
【図4】本発明に関わる処理を表すフローチャートである。
【図5】本発明に関わる上記図3及び図4の動作をハードウェア構成図に当てはめた概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の実施の形態においては、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明する。しかし、特に明示した場合を除き、それは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部又は全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものでなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0021】
以下、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
図2は、本発明に関わる構内無線システムの構成を表す構成図である。
【0023】
この構内無線システムは、主制御装置300、PHS位置表示端末301、サーバ302、電話端末303n、保守コンソール304、無線基地局305n、PHS端末306n、必要に応じてデータ端末307を含んで構成される。なお、上記の番号で「n」が付いている構成要素は、複数のものが並存する可能性があるものを表す。図上では別個の物であることを表す目的で、「n」の代わりに「a」「b」「c」などのアルファベットを使用している。
【0024】
主制御装置300は、本構内無線システムの制御を行う制御装置である。本発明における主制御装置300は、COT(Central Office Trunk)パッケージを含む。
【0025】
本発明におけるCOTパッケージ300−1は、COT回線をグループに分けて管理する点に特徴がある。あるグループに属するCOT回線が切断されている場合には、COTパッケージ300−1は同じグループに属するCOT回線のうち若い番号から空き回線を捜索する。そして空き回線が見つかったら、COTパッケージ300−1はCOT外線指定発信特番としてその空き回線を利用する。
【0026】
PHS位置表示端末301は回線を保持するPHS端末306nがどの無線基地局305nと接続しているかを表示するパーソナルコンピュータ等である。
【0027】
サーバ302は、データ端末307とのデータ通信を行うサーバである。
【0028】
電話端末303nは、主制御装置300に接続された固定系の電話機である。 保守コンソール304は、主制御装置300の保守を行うための端末である。
【0029】
無線基地局305nは、PHS端末306nの接続先となる無線通信用基地局である。
【0030】
次に、このシステムの動作についてフローチャートを用いて説明する。
【0031】
図3は、従来の処理を表すフローチャートである。また、図4は、本発明に関わる処理を表すフローチャートである。
【0032】
まず、従来の処理について説明する。
【0033】
PHS端末306nまたは電話端末303n(発呼端末)から主制御装置300に対して、COT外線へのCOT外線指定発信特番による発信を行おうとした際、PHS端末306n等から送信されるCOT外線指定発信特番用に設定された回線を検索する(ステップS3001)。
【0034】
ステップS3001で検索されたCOT外線指定発信特番用に設定された回線が使用中の場合には(ステップS3002:Yes)、COTパッケージ300−1は発信元のPHS端末306n等に回線使用中であることを通知する(ステップS3004)。
【0035】
一方、ステップS3001で検索されたCOT外線指定発信特番用に設定された回線が使用中でない場合には(ステップS3002:No)、COTパッケージ300−1は設定されたCOT外線指定発信特番でCOT外線を捕捉し、上位PBXに接続する。
【0036】
これに対して、本発明では以下のように処理される。
【0037】
PHS端末306nまたは電話端末303nから主制御装置300に対して、COT外線へのCOT外線指定発信特番による発信を行おうとした際、COTパッケージ300−1は指示されたCOT外線指定発信特番の含まれるグループを導出する(ステップS4001)。グループが導出できた後、COTパッケージ300−1は該グループに属するCOT外線指定発信特番が全て検出済みか確認する(ステップS4002)。
【0038】
該グループに属する未検出COT外線指定発信特番がある場合(ステップS4002:No)、COTパッケージ300−1はCOT外線指定発信特番として利用可能な回線を自動的に検索する(ステップS4003)。この際、COTパッケージ300−1は該グループに属するCOT外線指定発信特番の回線番号の若い順に空き回線を検索する。
【0039】
なお、最初に検索する対象としてPHS端末306n等から伝達されたCOT外線指定発信特番を用いても良い。またPHS端末306n等から伝達されたCOT外線指定発信特番に拘らず、COTパッケージ300−1は該グループの番号の若い順に検索しても良い。
【0040】
COTパッケージ300−1は検索した番号が使用中か否かを判定する(ステップS4004)。使用中で無い場合(ステップS4004:No)、COTパッケージ300−1は検索されたCOT外線指定発信特番でCOT外線を捕捉し、上位PBXに接続する(ステップS4005)。
【0041】
使用中の場合(ステップS4004:Yes)、再度ステップS4002から処理をやり直すこととなる。
【0042】
一方、該グループに属する未検出COT外線指定発信特番がない場合(ステップS4002:Yes)、COTパッケージ300−1は発信元のPHS端末306n等に回線使用中であることを通知する(ステップS4006)。
【0043】
最後に、図5について説明する。図5は、本発明に関わる上記図2及び図3の動作をハードウェア構成図に当てはめた概念図である。
【0044】
PHS端末306から無線基地局305に発呼があった場合、BSIFパッケージ300−3経由で初呼の存在及び該初呼に含まれる特番がMCPパッケージ300−2に送信される(図5#1)。MCPパッケージ300−2は、受け取った特番がCOT外線指定発信特番に当たるかを判定する。
【0045】
受け取った特番がCOT外線指定発信特番に当たる場合には、上位PBX#2 700bに接続するためのグループG2での接続をMCPパッケージ300−2はCOTパッケージ300−1に対して指示する(図5#2)。
【0046】
COTパッケージ300−1は該グループG2内の空き回線を探索し、空きがあるようであれば、その旨をMCPパッケージ300−2に報告する(図5#3)。この際、COTパッケージはグループG2内の小さい番号から順番に探す、大きい番号から探すなど、各種の探索方法を採用することが可能である。
【0047】
MCPパッケージ300−2は、報告を受けた空き回線を用いて外線と接続するようにCOTパッケージ300−1に対して指示する(図5#4)。COTパッケージ300−1は上記#4の指示に従って、公衆網800との接続を確立する(図5#5)。
【0048】
以上のような処理を行うことで、COT基板経由で上位PBXに接続する場合に、輻輳による回線捕捉失敗をほとんど無くすことができ、使い勝手の向上が図れる。
【0049】
またPHS端末306n等の操作者がCOT外線指定発信特番を記憶する必要が無く、少ない番号計画にすることが可能となる。
【0050】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
上記ではパーソナルハンディフォンシステム(Personal Handy Phone System:以下PHS)での内線網構築について説明したが、これに拘るものではない。本発明は、W−CDMA対応端末で実現する内線網構築技術(無線LANなどを用いたもの)のほか有線接続を利用した内線網構築にも適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
100、300…主制御装置、
100−1、300−1…COTパッケージ、100−2…MCPパッケージ、
100−3…BSIFパッケージ、
301…PHS位置表示端末、302…サーバ、303n…電話端末、
304…保守コンソール、105、305n…無線基地局、
106、306n…PHS端末、700a、700b…上位PBX、800…公衆網。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部との回線毎に割り振られる1又は2以上のCOT外線指定発信特番を含むグループを取り扱うCOTパッケージと、MCPパッケージと、を含み、
前記グループに含まれる前記COT外線指定発信特番のいずれか1が発呼端末から送信された場合、前記MCPパッケージは前記グループに含まれる未使用のCOT回線のいずれかを用いて外部との接続を行う構内無線システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−191494(P2012−191494A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54142(P2011−54142)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】