構真柱建込方法
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は建物の地下工事をいわゆる逆打工法で行う場合において、建物地下階部分の掘削に先立ち現場築造杭上に建込まれる構真柱の建込方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】いわゆる逆打工法においては、通常、地上1階の床・梁コンクリート打設後、地下掘削を行い、地下1階の床・梁コンクリートを打設し、順次地下2階、地下3階の順で地下掘削、床・梁工事を行う。そのため、掘削時に上階の床・梁荷重を受けるための構真柱と称する鉄骨柱を設ける。
【0003】この場合、構真柱の建込精度は非常に重要である。すなわち、構真柱は上階の荷重(1階、地下1階、地下2階、……、及び地上鉄骨工事等が開始されると、鉄骨重量、床コンクリート重量等)を受けるため、図21に示すように傾斜すると予想外の曲げモーメントが加わり、危険となる。また、図22に示すように鉄骨鉄筋コンクリート柱を構成する構真柱が傾斜すると、柱型内に納まらなくなるか、または柱の鉄筋が納まらなくなり、図22(c) のように構真柱が鉄筋に当たったり、図22(d) のように柱型から出てしまうことになる。
【0004】従来の構真柱の建込方法としては、構真柱頂部の位置確保のため、現場築造杭の施工に用いた杭掘削架台上にH形鋼を井桁に組み、トランシットで芯墨を出し、その墨を基準に構真柱をセットするのが一般的である。
【0005】また、構真柱の傾斜に対しては杭掘削時のケーシングに反力をとり、できるだけ下部にジャッキを設けて構真柱を横方向に押して移動させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した建込方法ではH形鋼の井桁の中に構真柱を挿入する際、クリアランスがあり、かつ挿入時に構真柱がH形鋼とせるために誤差が出る。
【0007】また、井桁のH形鋼を基準となるX,Y方向に直角または平行とする作業が煩雑であり、このことにより構真柱にねじれが生じる。
【0008】さらに、従来は構真柱の施工にも杭掘削架台をそのまま使用しているため、構真柱の建込みを完了した後、コンクリートが硬化するまで杭掘削架台を外すことができず、転用の効率が悪い。
【0009】傾斜の修正に関しては、ケーシング長が短い場合、傾斜を完全に修正することは困難である。また、杭掘削に用いられる孔壁安定のための泥水中で構真柱の傾斜を確認することが困難である。
【0010】本発明は従来技術における上述のような問題点の解消を図ったものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の構真柱建込方法は以下の工程を有する。なお、これらの工程は一部並行作業となったり、作業手順を入れ換えることもあり得る。
【0012】(a) 構真柱を垂直方向に案内するためのガイド部を形成した構真柱建込架台を構真柱建込位置上に設置する工程。
【0013】(b) 前記構真柱建込架台のガイド部の位置を調整する工程。
【0014】(c) 構真柱を重心で吊り上げるための構真柱建込治具を前記構真柱の上端に取付ける工程。
【0015】(d) 構真柱を前記構真柱建込治具を介して揚重装置で垂直に吊り上げ、下端先端部から前記構真柱建込架台の前記ガイド部に挿入する工程。
【0016】(e) 前記構真柱建込治具を前記構真柱建込架台のガイド部に沿って垂直に案内し、前記構真柱下端を現場築造杭の未硬化コンクリート中の所定深さまで建込む工程。
【0017】上記の構成を有する構真柱建込方法において、本発明では、構真柱建込治具の外周に、その本体の全長から構真柱の外周まで跨がり建込治具本体の長さ方向に鉛直面を形成するガイドレール部が形成されており、一方、構真柱建込架台の前記ガイド部には、構真柱建込治具を垂直に案内するに際し、構真柱建込治具のガイドレール部に当接する起倒自在なガイドローラーが設けられている。
【0018】ガイドレール部の構真柱の外周まで跨がる突出長は、構真柱の建込みに際し構真柱下端が現場築造杭の未硬化コンクリートの天端に到達する直前に、ガイドレール部の先端がガイドローラーに当接して傾きが拘束される長さとする。
【0019】このようにして構真柱および構真柱建込治具の鉛直方向からの傾きをガイドローラーにより拘束した状態で未硬化コンクリート中へ所定深さまで建込むことで、高精度の建込みをスムーズに行うことができる。
【0020】また、ガイドローラーが起倒自在であることにより、構真柱の芯合わせ時にはガイドローラーを起立させることで構真柱との衝突を回避でき、芯合わせが終了した後はガイドローラーを倒すことで構真柱の建込みが開始できる態勢になるため、現場築造杭のコンクリート打設後から短時間に構真柱建込みの施工を開始することができる。すなわち、未硬化コンクリート中への構真柱の挿入は現場築造杭のコンクリート打設後からの時間が短縮される程よいが、起倒自在なガイドローラーによってコンクリート打設から挿入までの時間が短縮される。
【0021】構真柱建込架台ガイド部は精度を確保するため、水平面内で微調整できる構造が望ましい。
【0022】構真柱を所定深さまで建込んだ状態でさらに微調整するためには、建込治具本体の上部側面に複数の受けブラケットを設け、構真柱建込架台上に設置した鉛直方向のジャッキに支持させ、これらを調整する方法を用いることができる。
【0023】
【実施例】次に、図示した実施例について説明する。
【0024】図1は本発明の概要を示したもので、建込架台10及び建込治具30を用いて、構真柱1を現場築造杭50上部に垂直に建込んで行く様子を示している。
【0025】建込架台10は構真柱建込位置の地表に設置され、中央部に構真柱1を垂直方向に案内するためのガイド部11が形成されている。建込架台10はレベル調整ジャッキ(油圧ジャッキ)20等で水平の調整を行い、また後述するようにガイド部11についても水平面内における直交する2方向及びねじれ等に対する回転の微調整ができるようにしてある。
【0026】建込治具30は治具本体を構真柱1の上部に高力ボルト等で連結し、建込治具30上端の吊治具部をローラーシャックル等を介して揚重機で吊り上げることにより、構真柱1を重心で吊り上げることができるようにしたものである。構真柱1の建込みに際しては、構真柱1を建込治具30を介して吊り上げ、構真柱1の下端から建込架台10のガイド部11に挿入する。
【0027】例えば構真柱1の断面が矩形の場合には、建込治具本体に構真柱1と外径が同一または相似な断面を有するものを用い、治具本体の外周面をガイドレール部として、建込架台10のガイド部11で垂直に案内する。構真柱1の断面が矩形以外、例えば円形断面や、H形断面、十字断面、その他の場合には構真柱1の重心に合わせて、構真柱1の断面を決定し、4隅に角形パイプあるいはアングル等でガイドレール部を設けることにより、外周部が略矩形断面となるようにし、建込架台10のガイド部11に合わせる。
【0028】図2〜図4は構真柱建込架台10の一実施例を示したもので、構真柱建込架台10のセットから構真柱1の建込みまでの、作業手順の一例を挙げると以下のようになる。
【0029】(1) 地表のアスファルトコンクリート上に設けた墨に合わせて建込架台10をセットする。
【0030】(2) 4箇所のレベル調整ジャッキ20により建込架台10を水平にセットする。
(3) 地表のアスファルトコンクリート上に設けた芯墨を下げ振り等で下部ゲージ18まで上げ、ゲージの数値を読み取る。
【0031】(4) 下部ゲージ18の数値と同じ数値を上部ゲージ19に移す(上部ゲージと下部ゲージとは建込架台が垂直であれば、ゲージ数値が同一となるようにしておく)。
【0032】(5) 建込架台10中央のガイド部11に芯出し定規をセットする(ガイド部の形状、寸法に合わせた略矩形の定規であり、ガイド部にはめ込んで水平面内の調整に利用する)。
【0033】(6) 対向する上部ゲージ19間に水糸を張る(この水糸が通り芯に平行となり、構真柱の芯を示す)。
【0034】(7) 建込架台はX,Y方向各々300mm、ねじれ8°以内については、水平面内に配した複数の油圧ジャッキ13で微調整可能となっている。油圧ジャッキ13で、前述した水糸に合わせてX,Y方向及びねじれを調整し、芯出し定規に合わせる。以上で芯出し作業が完了する。
【0035】(8) 芯出し定規を外す。
【0036】(9) 建込時に構真柱1がガイド部11のガイドローラー12に当たってずれることを防止するため、起倒式のガイドローラー12は上げておく。
【0037】(10)構真柱1を建込む。
【0038】(11)構真柱1上部の建込治具30が建込架台10位置に来た時点で、ガイドローラー12を元に戻す。
【0039】(12)構真柱1上部の建込治具30をガイドローラー12でガイドしながら、構真柱1を挿入する。
【0040】(13)建込治具30に設けたブラケット38を建込架台10に設けた治具受けジャッキ25上にセットし、正規のレベルまで治具受けジャッキ25で微調整する。以上の操作により構真柱1は位置、レベルとも正しく簡易にセットできる。
【0041】図5〜図12は構真柱建込治具30の実施例を示したものである。
【0042】図5〜図8に示した実施例は構真柱1が各先端にフランジ部を有する十字断面柱の場合である。
【0043】構真柱建込治具30は大きく分けて、吊治具部、建込治具本体、ガイドレール部の3つの部分からなる。
【0044】吊治具部は建込治具30本体の上部に設けられ、構真柱1の傾きをなくすため、計算によって重心を求め、重心が吊中心となるように吊孔31を設ける。また、構真柱1を吊った状態での垂直性を確保するため、例えば図16に示すようにローラーシッャクル40を用いるとよい。ローラーシャックル40を用いることで、図17(a) に示すように吊り上げたときに構真柱1が傾いても、重心を吊中心としているため、図17(b) に示すようにローラーシャックル40部分の回転により垂直になる。
【0045】建込治具本体に関し、従来、構真柱の上部に取り付けるタイプの建込治具は仮設であることから、精度及び構真柱との取合部を容易に考えていたが、構真柱1の自重で垂直性を保つためには建込治具30にも構真柱1と同程度の精度が必要であるのみならず、構真柱1との取合部(継手部)も完全に一体化できるものでなければならない。このため、本実施例では構真柱との取合部に4箇所のエレクションピース36を設け、各々複数本の高力ボルト37で接合する形式としている。また、建込治具本体の上部側面には、構真柱1を所定深度まで建込んだ状態で、建込架台10に対し治具受けジャッキ25を介して垂直に支持させる(図2参照)ための複数のブラケット38を設けている。
【0046】ガイドレール部33は正確に設置された建込架台の中央部に正しく構真柱1をセットするために設けられ、このガイドレール部33を建込架台ガイド部のガイドローラー12(図3参照)に当てて構真柱1を挿入して行く。ガイドローラー部は起倒式になっており、構真柱先端から挿入して行く時点では上向きに立て、構真柱1との干渉を避け、所定深さまで建込んだ状態で倒し、建込治具30のガイドレール部33に当接させる。
【0047】対向するガイドレール部33の外面寸法を数種類に統一することにより、多数ある構真柱サイズを整理し、建込架台についても数種類のガイド部またはガイドレール部を用意すればよいことになる。
【0048】ガイドレール部33の長さは、杭コンクリートの抵抗で先端が移動し、構真柱が傾くのを防ぐため、構真柱1の先端が未硬化の杭コンクリート天端に到達する直前に建込架台のガイドローラーで拘束されるように決定する。
【0049】また、ガイドレール部33は杭コンクリートが固まった後、取り外すが、上述のように長さを決定すると、ガイドレール部33先端は地表面より約2m程度となる。そのため、地表面上での作業で簡単に取り外せ、かつ精度が確保できる方法として、例えば図18に示すような納まりが考えられる。すなわち、ガイドレール部33の先端にピン34を設け、構真柱1側の受プレート5にピン用の孔6をあけ、その孔6にピン34を差し込み固定する。
【0050】図9〜図12に示した実施例は構真柱1が円形断面の鋼管柱の場合である。本実施例ではガイドレール部33が矩形をなすよう丸鋼管からなる建込治具本体30の外側に4本の角パイプをガイドレール部33として配置している。ガイドレール部33の長さや先端部の構造は上述した十字断面柱の場合と同様に考えることができる。
【0051】図13〜図15に示した実施例は構真柱1がI形鋼1aとこれと直交するT形鋼1bとで構成され、これに梁受け部2が付いた形状の場合である。
【0052】構真柱30も同様にI形鋼30aとこれと直交するT形鋼30bとで構成しているが、フランジ幅、板厚等は小さくてもよい。この場合も梁受け部2等を含めて重心を計算し、重心吊りを行う。
【0053】図19は全体工程のフローチャートであり、現場築造杭作業(掘削→1次スライム処理→孔壁測定→鉄筋籠建込み→2次スライム処理→コンクリート打設)終了後、直ちに構真柱建込架台をセットする。
【0054】図20(a) 〜(g) は図19の現場築造杭作業後の工程に相当する。
【0055】図20(a) は構真柱建込架台10のセットの様子を示したもので、例えば以下の手順で行う。作業地盤確認→構真柱芯確認(アスファルトコンクリート上の墨)→架台芯セット(架台4隅で合わせる)→レベル調整(架台取付け水準器を用い、各レベル調整ジャッキの高さを調整)→架台芯ずれの調整(架台定規を用いる)→構真柱芯位置部分調整確認(測定結果による位置調整)→構真柱レベル確認。
【0056】図20(b) は構真柱1の建込みの様子を示したもので、例えば以下の手順で行う。構真柱芯及び方向確認→構真柱レベル確認→構真柱建込み(クローラークレーン2台共吊り)→吊上げ移動→芯位置に吊込み(クローラークレーン1台)→構真柱架台挿入(吊下げ→先端コンクリート中へ挿入)→構真柱セット、レベル調整、方向確認。
【0057】図20(c) は架台10の撤去の様子を示したもので、例えば以下の手順で行う。杭コンクリート養生→構真柱頭部仮固定→位置確認固定→架台撤去→定規撤去→構真柱レベル、芯位置確認。
【0058】図20(d) は1次埋戻しの様子を示したもので、杭掘削用の泥水(安定液)を回収し、再生砕石54等で所定高さまで埋戻す。
【0059】図20(e) はケーシング51の撤去の様子を示したもので、頭部固定金物等を撤去した後、杭建込み用のケーシング51を引抜く。
【0060】図20(f) は構真柱建込治具10の撤去の様子を示したもので、構真柱建込治具10を構真柱1頭部から取外し、さらに構真柱頭部の位置を確認する。
【0061】図20(g) は2次埋戻しの様子を示したもので、砕石55等をGLレベルまで埋戻す。
【0062】構真柱建込架台は前述のように水平、X,Y方向及びねじれが簡易に微調整できるようになっている。一方、構真柱の形状は図5〜図15に示したもの以外も含めて各種あり、サイズも分かれているが、構真柱建込治具により建込架台部においては全て角形形状に置き換え、X,Y方向及びねじれを管理する。
【0063】構真柱は精度良く製造、ジョイントしたものを構真柱建込治具を使用して重心で吊ることで、自ずと垂直となり、建込架台のガイド部で垂直に案内し、現場築造杭の未硬化のコンクリート中に精度よく建込むことができる。
【0064】
【発明の効果】構真柱は現場築造杭のコンクリート打設後、短時間に建込みを完了させないと、コンクリートが硬化し、挿入不可能となるが、本発明の建込方法を用いることにより、構真柱をコンクリートが十分流動性を有する時間内に高精度で建込むことができる。
【0065】特に、構真柱建込治具の外周には、その本体の全長から構真柱の外周まで跨がり建込治具本体の長さ方向に鉛直面を形成するガイドレール部が形成されており、このガイドレール部の構真柱の外周まで跨がる突出長を、建込みに際し構真柱下端が現場築造杭の未硬化コンクリートの天端に到達する直前に、ガイドレール部の先端が構真柱建込架台のガイド部に設けられたガイドローラーに当接して傾きが拘束される長さとしてあるため、構真構真柱のガイド部への挿入開始から未硬化コンクリート中への建込みまで、構真柱を安定させながら高精度で施工できる。
【0066】また、ガイドローラーが起倒自在であるため、構真柱の芯合わせ時の構真柱との衝突を回避でき、芯合わせ終了後には短時間に施工を開始でき、現場築造杭のコンクリート打設から構真柱挿入までの時間が短縮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概要を示す鉛直断面図である。
【図2】構真柱建込架台の一実施例を示す正面図である。
【図3】構真柱建込架台の一実施例を示す平面図である。
【図4】構真柱建込架台の一実施例を示す側面図である。
【図5】構真柱建込治具の一実施例を示す正面図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【図7】図5のB−B断面図である。
【図8】構真柱と構真柱建込治具の継手の配置を示す水平断面図である。
【図9】構真柱建込治具の他の実施例を示す正面図である。
【図10】図9のC−C断面図である。
【図11】図9のD−D断面図である。
【図12】図9のE−E断面図である。
【図13】構真柱建込治具の他の実施例(上端吊治具部は省略)を示す正面図である。
【図14】図13のH−H断面図である。
【図15】構真柱と構真柱建込治具の継手の配置を示す水平断面図である。
【図16】構真柱建込治具の上端吊治具部の構造を示したもので、(a) は正面図、(b) は側面図である。
【図17】(a) 、(b) はローラーシャックルの作用を説明するための図である。
【図18】構真柱建込治具のガイドレール部先端の納まりを示す斜視図である。
【図19】構真柱建込みの全体工程のフローチャートである。
【図20】(a) 〜(g) は現場築造杭作業後の構真柱建込み作業を示す鉛直断面図である。
【図21】構真柱の垂直確保の必要性を説明するための鉛直断面図である。
【図22】構真柱の垂直確保の必要性を説明するための図であり、(a) は鉛直断面図、(b) は構真柱が正確に建込まれた場合の水平断面図、(c) 及び(d) は構真柱に傾斜が生じた場合の水平断面図である。
【符号の説明】
1…構真柱、2…梁受け部、5…受けプレート、6…孔、10…構真柱建込架台、11…ガイド部、12…ガイドローラー、13…油圧ジャッキ、18…下部ゲージ、19…上部ゲージ、20…レベル調整ジャッキ、25…治具受けジャッキ、30…構真柱建込治具、31…吊孔、33,33’…ガイドレール部、34…ピン、36…エレクションピース、37…高力ボルト、38…ブラケット、40…ローラーシャックル、50…現場築造杭、51…ケーシング、52…杭天端、53…杭余盛り天端、54,55…砕石、
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は建物の地下工事をいわゆる逆打工法で行う場合において、建物地下階部分の掘削に先立ち現場築造杭上に建込まれる構真柱の建込方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】いわゆる逆打工法においては、通常、地上1階の床・梁コンクリート打設後、地下掘削を行い、地下1階の床・梁コンクリートを打設し、順次地下2階、地下3階の順で地下掘削、床・梁工事を行う。そのため、掘削時に上階の床・梁荷重を受けるための構真柱と称する鉄骨柱を設ける。
【0003】この場合、構真柱の建込精度は非常に重要である。すなわち、構真柱は上階の荷重(1階、地下1階、地下2階、……、及び地上鉄骨工事等が開始されると、鉄骨重量、床コンクリート重量等)を受けるため、図21に示すように傾斜すると予想外の曲げモーメントが加わり、危険となる。また、図22に示すように鉄骨鉄筋コンクリート柱を構成する構真柱が傾斜すると、柱型内に納まらなくなるか、または柱の鉄筋が納まらなくなり、図22(c) のように構真柱が鉄筋に当たったり、図22(d) のように柱型から出てしまうことになる。
【0004】従来の構真柱の建込方法としては、構真柱頂部の位置確保のため、現場築造杭の施工に用いた杭掘削架台上にH形鋼を井桁に組み、トランシットで芯墨を出し、その墨を基準に構真柱をセットするのが一般的である。
【0005】また、構真柱の傾斜に対しては杭掘削時のケーシングに反力をとり、できるだけ下部にジャッキを設けて構真柱を横方向に押して移動させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した建込方法ではH形鋼の井桁の中に構真柱を挿入する際、クリアランスがあり、かつ挿入時に構真柱がH形鋼とせるために誤差が出る。
【0007】また、井桁のH形鋼を基準となるX,Y方向に直角または平行とする作業が煩雑であり、このことにより構真柱にねじれが生じる。
【0008】さらに、従来は構真柱の施工にも杭掘削架台をそのまま使用しているため、構真柱の建込みを完了した後、コンクリートが硬化するまで杭掘削架台を外すことができず、転用の効率が悪い。
【0009】傾斜の修正に関しては、ケーシング長が短い場合、傾斜を完全に修正することは困難である。また、杭掘削に用いられる孔壁安定のための泥水中で構真柱の傾斜を確認することが困難である。
【0010】本発明は従来技術における上述のような問題点の解消を図ったものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の構真柱建込方法は以下の工程を有する。なお、これらの工程は一部並行作業となったり、作業手順を入れ換えることもあり得る。
【0012】(a) 構真柱を垂直方向に案内するためのガイド部を形成した構真柱建込架台を構真柱建込位置上に設置する工程。
【0013】(b) 前記構真柱建込架台のガイド部の位置を調整する工程。
【0014】(c) 構真柱を重心で吊り上げるための構真柱建込治具を前記構真柱の上端に取付ける工程。
【0015】(d) 構真柱を前記構真柱建込治具を介して揚重装置で垂直に吊り上げ、下端先端部から前記構真柱建込架台の前記ガイド部に挿入する工程。
【0016】(e) 前記構真柱建込治具を前記構真柱建込架台のガイド部に沿って垂直に案内し、前記構真柱下端を現場築造杭の未硬化コンクリート中の所定深さまで建込む工程。
【0017】上記の構成を有する構真柱建込方法において、本発明では、構真柱建込治具の外周に、その本体の全長から構真柱の外周まで跨がり建込治具本体の長さ方向に鉛直面を形成するガイドレール部が形成されており、一方、構真柱建込架台の前記ガイド部には、構真柱建込治具を垂直に案内するに際し、構真柱建込治具のガイドレール部に当接する起倒自在なガイドローラーが設けられている。
【0018】ガイドレール部の構真柱の外周まで跨がる突出長は、構真柱の建込みに際し構真柱下端が現場築造杭の未硬化コンクリートの天端に到達する直前に、ガイドレール部の先端がガイドローラーに当接して傾きが拘束される長さとする。
【0019】このようにして構真柱および構真柱建込治具の鉛直方向からの傾きをガイドローラーにより拘束した状態で未硬化コンクリート中へ所定深さまで建込むことで、高精度の建込みをスムーズに行うことができる。
【0020】また、ガイドローラーが起倒自在であることにより、構真柱の芯合わせ時にはガイドローラーを起立させることで構真柱との衝突を回避でき、芯合わせが終了した後はガイドローラーを倒すことで構真柱の建込みが開始できる態勢になるため、現場築造杭のコンクリート打設後から短時間に構真柱建込みの施工を開始することができる。すなわち、未硬化コンクリート中への構真柱の挿入は現場築造杭のコンクリート打設後からの時間が短縮される程よいが、起倒自在なガイドローラーによってコンクリート打設から挿入までの時間が短縮される。
【0021】構真柱建込架台ガイド部は精度を確保するため、水平面内で微調整できる構造が望ましい。
【0022】構真柱を所定深さまで建込んだ状態でさらに微調整するためには、建込治具本体の上部側面に複数の受けブラケットを設け、構真柱建込架台上に設置した鉛直方向のジャッキに支持させ、これらを調整する方法を用いることができる。
【0023】
【実施例】次に、図示した実施例について説明する。
【0024】図1は本発明の概要を示したもので、建込架台10及び建込治具30を用いて、構真柱1を現場築造杭50上部に垂直に建込んで行く様子を示している。
【0025】建込架台10は構真柱建込位置の地表に設置され、中央部に構真柱1を垂直方向に案内するためのガイド部11が形成されている。建込架台10はレベル調整ジャッキ(油圧ジャッキ)20等で水平の調整を行い、また後述するようにガイド部11についても水平面内における直交する2方向及びねじれ等に対する回転の微調整ができるようにしてある。
【0026】建込治具30は治具本体を構真柱1の上部に高力ボルト等で連結し、建込治具30上端の吊治具部をローラーシャックル等を介して揚重機で吊り上げることにより、構真柱1を重心で吊り上げることができるようにしたものである。構真柱1の建込みに際しては、構真柱1を建込治具30を介して吊り上げ、構真柱1の下端から建込架台10のガイド部11に挿入する。
【0027】例えば構真柱1の断面が矩形の場合には、建込治具本体に構真柱1と外径が同一または相似な断面を有するものを用い、治具本体の外周面をガイドレール部として、建込架台10のガイド部11で垂直に案内する。構真柱1の断面が矩形以外、例えば円形断面や、H形断面、十字断面、その他の場合には構真柱1の重心に合わせて、構真柱1の断面を決定し、4隅に角形パイプあるいはアングル等でガイドレール部を設けることにより、外周部が略矩形断面となるようにし、建込架台10のガイド部11に合わせる。
【0028】図2〜図4は構真柱建込架台10の一実施例を示したもので、構真柱建込架台10のセットから構真柱1の建込みまでの、作業手順の一例を挙げると以下のようになる。
【0029】(1) 地表のアスファルトコンクリート上に設けた墨に合わせて建込架台10をセットする。
【0030】(2) 4箇所のレベル調整ジャッキ20により建込架台10を水平にセットする。
(3) 地表のアスファルトコンクリート上に設けた芯墨を下げ振り等で下部ゲージ18まで上げ、ゲージの数値を読み取る。
【0031】(4) 下部ゲージ18の数値と同じ数値を上部ゲージ19に移す(上部ゲージと下部ゲージとは建込架台が垂直であれば、ゲージ数値が同一となるようにしておく)。
【0032】(5) 建込架台10中央のガイド部11に芯出し定規をセットする(ガイド部の形状、寸法に合わせた略矩形の定規であり、ガイド部にはめ込んで水平面内の調整に利用する)。
【0033】(6) 対向する上部ゲージ19間に水糸を張る(この水糸が通り芯に平行となり、構真柱の芯を示す)。
【0034】(7) 建込架台はX,Y方向各々300mm、ねじれ8°以内については、水平面内に配した複数の油圧ジャッキ13で微調整可能となっている。油圧ジャッキ13で、前述した水糸に合わせてX,Y方向及びねじれを調整し、芯出し定規に合わせる。以上で芯出し作業が完了する。
【0035】(8) 芯出し定規を外す。
【0036】(9) 建込時に構真柱1がガイド部11のガイドローラー12に当たってずれることを防止するため、起倒式のガイドローラー12は上げておく。
【0037】(10)構真柱1を建込む。
【0038】(11)構真柱1上部の建込治具30が建込架台10位置に来た時点で、ガイドローラー12を元に戻す。
【0039】(12)構真柱1上部の建込治具30をガイドローラー12でガイドしながら、構真柱1を挿入する。
【0040】(13)建込治具30に設けたブラケット38を建込架台10に設けた治具受けジャッキ25上にセットし、正規のレベルまで治具受けジャッキ25で微調整する。以上の操作により構真柱1は位置、レベルとも正しく簡易にセットできる。
【0041】図5〜図12は構真柱建込治具30の実施例を示したものである。
【0042】図5〜図8に示した実施例は構真柱1が各先端にフランジ部を有する十字断面柱の場合である。
【0043】構真柱建込治具30は大きく分けて、吊治具部、建込治具本体、ガイドレール部の3つの部分からなる。
【0044】吊治具部は建込治具30本体の上部に設けられ、構真柱1の傾きをなくすため、計算によって重心を求め、重心が吊中心となるように吊孔31を設ける。また、構真柱1を吊った状態での垂直性を確保するため、例えば図16に示すようにローラーシッャクル40を用いるとよい。ローラーシャックル40を用いることで、図17(a) に示すように吊り上げたときに構真柱1が傾いても、重心を吊中心としているため、図17(b) に示すようにローラーシャックル40部分の回転により垂直になる。
【0045】建込治具本体に関し、従来、構真柱の上部に取り付けるタイプの建込治具は仮設であることから、精度及び構真柱との取合部を容易に考えていたが、構真柱1の自重で垂直性を保つためには建込治具30にも構真柱1と同程度の精度が必要であるのみならず、構真柱1との取合部(継手部)も完全に一体化できるものでなければならない。このため、本実施例では構真柱との取合部に4箇所のエレクションピース36を設け、各々複数本の高力ボルト37で接合する形式としている。また、建込治具本体の上部側面には、構真柱1を所定深度まで建込んだ状態で、建込架台10に対し治具受けジャッキ25を介して垂直に支持させる(図2参照)ための複数のブラケット38を設けている。
【0046】ガイドレール部33は正確に設置された建込架台の中央部に正しく構真柱1をセットするために設けられ、このガイドレール部33を建込架台ガイド部のガイドローラー12(図3参照)に当てて構真柱1を挿入して行く。ガイドローラー部は起倒式になっており、構真柱先端から挿入して行く時点では上向きに立て、構真柱1との干渉を避け、所定深さまで建込んだ状態で倒し、建込治具30のガイドレール部33に当接させる。
【0047】対向するガイドレール部33の外面寸法を数種類に統一することにより、多数ある構真柱サイズを整理し、建込架台についても数種類のガイド部またはガイドレール部を用意すればよいことになる。
【0048】ガイドレール部33の長さは、杭コンクリートの抵抗で先端が移動し、構真柱が傾くのを防ぐため、構真柱1の先端が未硬化の杭コンクリート天端に到達する直前に建込架台のガイドローラーで拘束されるように決定する。
【0049】また、ガイドレール部33は杭コンクリートが固まった後、取り外すが、上述のように長さを決定すると、ガイドレール部33先端は地表面より約2m程度となる。そのため、地表面上での作業で簡単に取り外せ、かつ精度が確保できる方法として、例えば図18に示すような納まりが考えられる。すなわち、ガイドレール部33の先端にピン34を設け、構真柱1側の受プレート5にピン用の孔6をあけ、その孔6にピン34を差し込み固定する。
【0050】図9〜図12に示した実施例は構真柱1が円形断面の鋼管柱の場合である。本実施例ではガイドレール部33が矩形をなすよう丸鋼管からなる建込治具本体30の外側に4本の角パイプをガイドレール部33として配置している。ガイドレール部33の長さや先端部の構造は上述した十字断面柱の場合と同様に考えることができる。
【0051】図13〜図15に示した実施例は構真柱1がI形鋼1aとこれと直交するT形鋼1bとで構成され、これに梁受け部2が付いた形状の場合である。
【0052】構真柱30も同様にI形鋼30aとこれと直交するT形鋼30bとで構成しているが、フランジ幅、板厚等は小さくてもよい。この場合も梁受け部2等を含めて重心を計算し、重心吊りを行う。
【0053】図19は全体工程のフローチャートであり、現場築造杭作業(掘削→1次スライム処理→孔壁測定→鉄筋籠建込み→2次スライム処理→コンクリート打設)終了後、直ちに構真柱建込架台をセットする。
【0054】図20(a) 〜(g) は図19の現場築造杭作業後の工程に相当する。
【0055】図20(a) は構真柱建込架台10のセットの様子を示したもので、例えば以下の手順で行う。作業地盤確認→構真柱芯確認(アスファルトコンクリート上の墨)→架台芯セット(架台4隅で合わせる)→レベル調整(架台取付け水準器を用い、各レベル調整ジャッキの高さを調整)→架台芯ずれの調整(架台定規を用いる)→構真柱芯位置部分調整確認(測定結果による位置調整)→構真柱レベル確認。
【0056】図20(b) は構真柱1の建込みの様子を示したもので、例えば以下の手順で行う。構真柱芯及び方向確認→構真柱レベル確認→構真柱建込み(クローラークレーン2台共吊り)→吊上げ移動→芯位置に吊込み(クローラークレーン1台)→構真柱架台挿入(吊下げ→先端コンクリート中へ挿入)→構真柱セット、レベル調整、方向確認。
【0057】図20(c) は架台10の撤去の様子を示したもので、例えば以下の手順で行う。杭コンクリート養生→構真柱頭部仮固定→位置確認固定→架台撤去→定規撤去→構真柱レベル、芯位置確認。
【0058】図20(d) は1次埋戻しの様子を示したもので、杭掘削用の泥水(安定液)を回収し、再生砕石54等で所定高さまで埋戻す。
【0059】図20(e) はケーシング51の撤去の様子を示したもので、頭部固定金物等を撤去した後、杭建込み用のケーシング51を引抜く。
【0060】図20(f) は構真柱建込治具10の撤去の様子を示したもので、構真柱建込治具10を構真柱1頭部から取外し、さらに構真柱頭部の位置を確認する。
【0061】図20(g) は2次埋戻しの様子を示したもので、砕石55等をGLレベルまで埋戻す。
【0062】構真柱建込架台は前述のように水平、X,Y方向及びねじれが簡易に微調整できるようになっている。一方、構真柱の形状は図5〜図15に示したもの以外も含めて各種あり、サイズも分かれているが、構真柱建込治具により建込架台部においては全て角形形状に置き換え、X,Y方向及びねじれを管理する。
【0063】構真柱は精度良く製造、ジョイントしたものを構真柱建込治具を使用して重心で吊ることで、自ずと垂直となり、建込架台のガイド部で垂直に案内し、現場築造杭の未硬化のコンクリート中に精度よく建込むことができる。
【0064】
【発明の効果】構真柱は現場築造杭のコンクリート打設後、短時間に建込みを完了させないと、コンクリートが硬化し、挿入不可能となるが、本発明の建込方法を用いることにより、構真柱をコンクリートが十分流動性を有する時間内に高精度で建込むことができる。
【0065】特に、構真柱建込治具の外周には、その本体の全長から構真柱の外周まで跨がり建込治具本体の長さ方向に鉛直面を形成するガイドレール部が形成されており、このガイドレール部の構真柱の外周まで跨がる突出長を、建込みに際し構真柱下端が現場築造杭の未硬化コンクリートの天端に到達する直前に、ガイドレール部の先端が構真柱建込架台のガイド部に設けられたガイドローラーに当接して傾きが拘束される長さとしてあるため、構真構真柱のガイド部への挿入開始から未硬化コンクリート中への建込みまで、構真柱を安定させながら高精度で施工できる。
【0066】また、ガイドローラーが起倒自在であるため、構真柱の芯合わせ時の構真柱との衝突を回避でき、芯合わせ終了後には短時間に施工を開始でき、現場築造杭のコンクリート打設から構真柱挿入までの時間が短縮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概要を示す鉛直断面図である。
【図2】構真柱建込架台の一実施例を示す正面図である。
【図3】構真柱建込架台の一実施例を示す平面図である。
【図4】構真柱建込架台の一実施例を示す側面図である。
【図5】構真柱建込治具の一実施例を示す正面図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【図7】図5のB−B断面図である。
【図8】構真柱と構真柱建込治具の継手の配置を示す水平断面図である。
【図9】構真柱建込治具の他の実施例を示す正面図である。
【図10】図9のC−C断面図である。
【図11】図9のD−D断面図である。
【図12】図9のE−E断面図である。
【図13】構真柱建込治具の他の実施例(上端吊治具部は省略)を示す正面図である。
【図14】図13のH−H断面図である。
【図15】構真柱と構真柱建込治具の継手の配置を示す水平断面図である。
【図16】構真柱建込治具の上端吊治具部の構造を示したもので、(a) は正面図、(b) は側面図である。
【図17】(a) 、(b) はローラーシャックルの作用を説明するための図である。
【図18】構真柱建込治具のガイドレール部先端の納まりを示す斜視図である。
【図19】構真柱建込みの全体工程のフローチャートである。
【図20】(a) 〜(g) は現場築造杭作業後の構真柱建込み作業を示す鉛直断面図である。
【図21】構真柱の垂直確保の必要性を説明するための鉛直断面図である。
【図22】構真柱の垂直確保の必要性を説明するための図であり、(a) は鉛直断面図、(b) は構真柱が正確に建込まれた場合の水平断面図、(c) 及び(d) は構真柱に傾斜が生じた場合の水平断面図である。
【符号の説明】
1…構真柱、2…梁受け部、5…受けプレート、6…孔、10…構真柱建込架台、11…ガイド部、12…ガイドローラー、13…油圧ジャッキ、18…下部ゲージ、19…上部ゲージ、20…レベル調整ジャッキ、25…治具受けジャッキ、30…構真柱建込治具、31…吊孔、33,33’…ガイドレール部、34…ピン、36…エレクションピース、37…高力ボルト、38…ブラケット、40…ローラーシャックル、50…現場築造杭、51…ケーシング、52…杭天端、53…杭余盛り天端、54,55…砕石、
【特許請求の範囲】
【請求項1】 現場築造杭のコンクリート打設後、建物の地下階部分の掘削に先立ち、主として建物の地下階部分の柱を構成する構真柱を前記現場築造杭上に垂直に建込むにあたり、(a) 前記構真柱を垂直方向に案内するためのガイド部を形成した構真柱建込架台を構真柱建込位置上に設置する工程、(b) 前記構真柱建込架台のガイド部の位置を調整する工程、(c) 前記構真柱を重心で吊り上げるための構真柱建込治具を前記構真柱の上端に取付ける工程、(d) 前記構真柱を前記構真柱建込治具を介して揚重装置で垂直に吊り上げ、下端先端部から前記構真柱建込架台の前記ガイド部に挿入する工程、及び、(e) 前記構真柱建込治具を前記構真柱建込架台のガイド部に沿って垂直に案内し、前記構真柱下端を前記現場築造杭の未硬化コンクリート中の所定深さまで建込む工程とを有する構真柱の建込方法において、前記構真柱建込治具の外周には、その本体の全長から構真柱の外周まで跨がり建込治具本体の長さ方向に鉛直面を形成するガイドレール部が形成されており、前記構真柱建込架台のガイド部には、前記構真柱建込治具を垂直に案内するに際し、前記構真柱建込治具のガイドレール部に当接する起倒自在なガイドローラーが設けられており、前記ガイドレール部の構真柱の外周まで跨がる突出長を、構真柱の建込みに際し構真柱下端が前記現場築造杭の未硬化コンクリートの天端に到達する直前に、ガイドレール部の先端が前記ガイドローラーに当接して傾きが拘束される長さとし、前記ガイドローラーにより構真柱および構真柱建込治具の鉛直方向からの傾きを拘束した状態で所定深さまで建込むことを特徴とする構真柱建込方法。
【請求項1】 現場築造杭のコンクリート打設後、建物の地下階部分の掘削に先立ち、主として建物の地下階部分の柱を構成する構真柱を前記現場築造杭上に垂直に建込むにあたり、(a) 前記構真柱を垂直方向に案内するためのガイド部を形成した構真柱建込架台を構真柱建込位置上に設置する工程、(b) 前記構真柱建込架台のガイド部の位置を調整する工程、(c) 前記構真柱を重心で吊り上げるための構真柱建込治具を前記構真柱の上端に取付ける工程、(d) 前記構真柱を前記構真柱建込治具を介して揚重装置で垂直に吊り上げ、下端先端部から前記構真柱建込架台の前記ガイド部に挿入する工程、及び、(e) 前記構真柱建込治具を前記構真柱建込架台のガイド部に沿って垂直に案内し、前記構真柱下端を前記現場築造杭の未硬化コンクリート中の所定深さまで建込む工程とを有する構真柱の建込方法において、前記構真柱建込治具の外周には、その本体の全長から構真柱の外周まで跨がり建込治具本体の長さ方向に鉛直面を形成するガイドレール部が形成されており、前記構真柱建込架台のガイド部には、前記構真柱建込治具を垂直に案内するに際し、前記構真柱建込治具のガイドレール部に当接する起倒自在なガイドローラーが設けられており、前記ガイドレール部の構真柱の外周まで跨がる突出長を、構真柱の建込みに際し構真柱下端が前記現場築造杭の未硬化コンクリートの天端に到達する直前に、ガイドレール部の先端が前記ガイドローラーに当接して傾きが拘束される長さとし、前記ガイドローラーにより構真柱および構真柱建込治具の鉛直方向からの傾きを拘束した状態で所定深さまで建込むことを特徴とする構真柱建込方法。
【図6】
【図7】
【図8】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図10】
【図11】
【図12】
【図15】
【図5】
【図9】
【図14】
【図16】
【図13】
【図19】
【図17】
【図18】
【図21】
【図20】
【図22】
【図7】
【図8】
【図1】
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【図19】
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【図18】
【図21】
【図20】
【図22】
【特許番号】第2556215号
【登録日】平成8年(1996)9月5日
【発行日】平成8年(1996)11月20日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−158282
【出願日】平成3年(1991)6月28日
【公開番号】特開平5−5312
【公開日】平成5年(1993)1月14日
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【参考文献】
【文献】特開昭57−19418(JP,A)
【文献】特開昭58−218515(JP,A)
【文献】実開平3−11757(JP,U)
【文献】実開平3−21442(JP,U)
【登録日】平成8年(1996)9月5日
【発行日】平成8年(1996)11月20日
【国際特許分類】
【出願日】平成3年(1991)6月28日
【公開番号】特開平5−5312
【公開日】平成5年(1993)1月14日
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【参考文献】
【文献】特開昭57−19418(JP,A)
【文献】特開昭58−218515(JP,A)
【文献】実開平3−11757(JP,U)
【文献】実開平3−21442(JP,U)
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