説明

構造化されたルミネセンス変換層

光源等の装置デバイスを提示する。この装置デバイスは、OLEDデバイスおよび構造化されたルミネセンス変換層を含み、このルミネセンス変換層は前記OLEDデバイスの基板または透明電極上およびOLEDデバイスの外面上に被着されている。この構造化されたルミネセンス変換層は色変換領域および非色変換領域等の領域を含んでおり、これらの領域は特定のパターンで配置された特定の形状を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
主張する優先権
本願は、目下係争中のアメリカ合衆国特許出願第11/264,516号(2005年10月31日出願)の優先権および目下係争中のアメリカ合衆国特許出願第11/345,795号(2006年2月1日出願)の優先権を主張するものである。
【0002】
政府の権利
本発明の一部は政府の支援を得て、エネルギー省認可の契約番号DE−FC26−04NT41947の下で成された。政府は本発明において一定の権利を有する。
【0003】
背景
発光ダイオード(「LEDs」)に基づくディスプレイおよび照明システムは多様な用途を有している。このようなディスプレイおよび照明システムは複数の光電子要素(「elements」)を、例えば個々のLEDの列のように配置することによって設計される。半導体技術に基づいたLEDは、典型的に無機材料を使用してきた。しかし、最近では有機LED(「OLED」)が潜在的に代用されてきている。有機材料を使用した他の要素/デバイスの例は、有機太陽電池、有機トランジスター、有機検出器および有機レーザである。
【0004】
OLEDは典型的に2つまたはそれより多くの薄い有機層(例えば導電性有機層および発光する放射性有機層)を含み、この有機層はアノードとカソード層を分ける。正のポテンシャルを印加すると、アノードはホールを有機層スタック内に注入し、カソードは電子を注入する。注入されたホールと電子はそれぞれ反対の電極へと移動し(外部から印加された電界の影響による)、光子の放射によって放射層内で再結合する。同様のデバイス構造およびデバイス動作は、小分子有機層および/または高分子有機層から成るOLEDに適用される。これらのOLEDはそれぞれ、パッシブ/アクティブマトリクスOLEDディスプレイ内のピクセル要素、または一般的なエリア光源または照明要素等として使用される単独要素であり得る。
【0005】
個々のOLED要素またはデバイスから成るOLED光源およびOLEDディスプレイの構造は当業者にはよく知られている。ディスプレイおよび光源は1つまたは複数の共通の層を有する。これは例えば共通基板、アノードまたはカソードおよびこれらアノードとカソードの間に挟まれた1つまたは複数の共通有機層である。これはホトレジストまたは電気的セパレータ、バスライン、電荷輸送および/または電荷注入層等から成ってもよい。典型的に、透明または半透明なガラス基板が、底面発光型OLEDデバイス内で使用される。
【0006】
空気とOLEDとの間の屈折率の不整合によって、生成された光の大部分が導波モード内への全反射によって失われてしまい、自己吸収されてしまう。OLEDデバイスの発光面上に、燐光体層または散乱層を加えることによって、体積散乱メカニズムスに基づいてOLEDの出力が向上する。OLEDの発光面を粗面化することによって、光抽出も向上する。これは例えば、目下係争中で共通に割り当てられたアメリカ合衆国特許出願「Using Prismatic Microstructured Films for Image Blending in OLEDs (2005年8月29日付け出願、ベアリングシリアルナンバー11/215,548)に記載されているようにサンドブラスティングまたはエッチングによって行われる。
【0007】
さらに、照明の質は光源の演色評価数(CRI)によって定められる。CRIは、照明のもとで対象の全ての色を再現するための、光源(照明デバイス)の尺度である。CRIは照明デバイスの正規化された出力スペクトルに依存する。多くのアプリケーションでは、短い波長領域の光を放射する光源は、ルミネセンス変換材料(ダウンコンバージョン層)の1つまたは複数の層で覆われている。この材料はすなわち色変換材料であり、コーティングされていない光源と比較してより高いCRI光源を形成する。
【0008】
光源上にコーティングされた色変換材料は、光源によって放射された光子の一部を吸収し、異なる波長でこれを放射する。本願では色変換材料を、低い波長に関連する光子を吸収し、これらの全てまたはこれらの一部を(色変換材料の量子効率に依存して)高い波長で再放射する材料と規定する。光源によって放射された光子の非吸収部分と、色変換材料によって放射された光子は、コーティングされたデバイスの出力スペクトルを構成する。
【0009】
照明アプリケーションには、セリウムドーピングされたガーネット、窒化物燐光体、SrGa:Eu2+またはSrS:EU2+等のイオン燐光体、蛍光染料、量子点または共役ポリマーがしばしば、ルミネセンス変換材料として使用される。多くのアプリケーションでは、これらの材料は透明なマトリクス、例えばポリカーボネート、シリコーン、エポキシまたはPMMA(ポリメチルメタクリレート)内に溶解されているかまたは組み込まれる。色変換材料を含むこのマトリクスはしばしば直接的に光源上にコーティングされるか、またはデバイスハウジングの材料として使用される。
【0010】
従来の統一コーティングの欠点を、以下の例で説明する。例えば、フラットな光源上面上の1つまたは複数の統一のダウンコンバージョン層を考えてみる。光源の光出力はダウンコンバージョン層の光子飽和限界より下にある。この場合には、デバイスの出力スペクトルの形状は層の薄さ値と、マトリクス内の燐光体の濃度によってのみ調整可能である。多くの全ての可能な出力スペクトルはこれらの濃度または薄さ値の変化によって定められる。従って、出力スペクトルの設計において柔軟性は制限されている。
【0011】
図面の簡単な説明
図1は、本発明の少なくとも1つの実施例によるエレクトロルミネセンス(EL)装置の実施例の断面図であり、
図2A〜2Bは、本発明の実施例によるEL装置の例の斜視図および断面図であり、
図3A〜3Bは、本発明の実施例によるEL装置の例の断面図であり、
図4A〜4Fは、構造化されたルミネセンス変換層に対するパターンの例の平面図であり、
図5は、本発明の少なくとも1つの実施例によるEL装置の別の実施例の断面図であり、
図6は、本発明の少なくとも1つの実施例によるEL装置の別の例の断面図であり、
図7Aおよび7Bは、マルチエレメント光抽出およびルミネセンス変換領域または層のパターンの例の平面図である。
【0012】
詳細な説明
本発明の少なくとも1つの実施例において、エレクトロルミネセンス(EL)装置が開示されており、このエレクトロルミネセンス装置は以下のものを用いる。すなわち、
透明層を含む光源を用い、当該透明層は前記光源からの光を少なくとも部分的に透過させることができ、
構造化されたルミネセンス変換層を用い、当該ルミネセンス変換層は前記透明層の上方に配置され、当該構造化されたルミネセンス変換層は第1の色変換領域と、当該第1の色変換領域とは異なる第2の色変換領域とを含み、前記第1の色変換領域は前記光源からの光の第1のスペクトルを吸収して光の第2のスペクトルを放射し、当該光の第2のスペクトルは前記第2の領域からの光のスペクトルと結合して、前記エレクトロルミネセンス装置に対する光の全体的な出力スペクトルを与える。
【0013】
本発明の少なくとも1つの別の実施例では、透明層は光源の発光路内に配置されている。
【0014】
本発明の少なくとも1つの別の実施例では、構造化されたルミネセンス変換層は光源の外面上に配置されている。
【0015】
本発明の少なくとも1つの実施例では、光源はOLEDデバイスである。
【0016】
本発明の少なくとも1つの実施例では、用語「光」とは波長または波長領域を伴う電磁放射であり、この波長または波長領域は、紫外、可視および赤外電磁放射を含む波長領域である。
【0017】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、用語「スペクトル」とは、スペクトルのスペクトル成分を形成する波長または波長領域によってあらわされるスペクトル分布のことである。ここで異なるスペクトル成分は異なる相対的な強度を有する。仮に、第1のスペクトルおよび第2のスペクトルに対してスペクトル成分とスペクトル成分の相対的な強度がそれぞれ等しいならば、第1のスペクトルおよび第2のスペクトルは等しいと解される。ここで第1のスペクトルの絶対的な強度と第2のスペクトルの絶対的な強度は異なっていてよい。
【0018】
少なくとも1つの実施例では、構造化されたルミネセンス変換層は、物理的および/または化学的に透明層に取り付けられている。これは殊に次のことを意味している。すなわち、構造化されたルミネセンス変換層が例えば接着剤によって接着されることを意味する。これは有利には透明な接着剤または透明層へのインデックスマッチングジェルであるか、または化学的な、例えば透明層への共有結合を含む。
【0019】
本発明の種々の実施例による構造化されたルミネセンス変換層の構造は条片状領域、交差条片状(メッシュ状)領域、円形状領域、三角形状領域、または四角形状(チェック状)の領域または外形があらゆる幾何学的形状の領域またはこれらのあらゆる組み合わせを含んでよい。さらに構造化されたルミネセンス変換層の構造は、領域の不規則的なパターン、殊に、可変の大きさおよび形状を伴う第1の色変換領域と第2の領域を含むパターンを含んでよい。
【0020】
構造化されたルミネセンス変換層の領域の大きさ、すなわち領域の分割(resolution)はミリメータを下回るオーダーにあり、より詳細には100〜数100マイクロメータのオーダーにあり、さらに詳細には100マイクロメータを下回るオーダーにある。特に、EL装置が光学的な結像技術またはデバイスと組み合わされて使用されない照明の用途に対しては、構造化されたルミネセンス変換層の領域の大きさは、適度な制限のみを要する。
【0021】
本発明の少なくとも1つの実施例では、構造化されたルミネセンス変換層の領域は第1の表面(入力面)と第2の表面(出力面)をそれぞれ含む。光源の光はその入力面を通って領域内に入り、その出力面を通って領域を離れる。殊に、入力面は光源の方に向けられており、出力面は反対側にある。
【0022】
本発明の少なくとも1つの実施例では、第1の色変換領域を含む構造化されたルミネセンス変換層はさらに、非色変換領域を含む、または非色変換領域である第2の領域を含む。
【0023】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、EL装置に対する光の全出力スペクトルは第1の色変換領域によって放射される光の第2のスペクトルによって定められる。これは光の吸収されていないスペクトルと結合されている。ここでは光の吸収されていないスペクトルは、第2のスペクトルの一部であり、第2の非色変換領域を通過した光のスペクトルであってよい。
【0024】
さらに、第1の色変換領域は第2の領域によって分けられている。例えば種々の第1の色変換領域または種々の複数の第1の色変換領域は種々の非色変換領域によって、または種々の複数の非色変換領域によって分けられる。または種々の非色変換領域または種々の複数の非色変換領域は種々の第1の色変換領域によって、または種々の複数の第1の色変換領域によって分けられる。
【0025】
本発明の少なくとも1つの実施例では、非色変換領域は完全に空であるまたは材料を含んでいない、または非吸収性の、発光性の非色変換材料を含むか、または光透過材料を含むか、またはそれらの組み合わせであって、これは入射光を有意に異なるスペクトルに変化させないまたは再放射しない。この材料はガラス、シリコーン、樹脂(例えばエポキシ樹脂またはアクリル樹脂)、ポリメチルメタクリラート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、またはポリイミド等を含むポリマー、またはその他の適切な材料またはそれらの組み合わせを含んでよい。
【0026】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、色変換領域は色変換材料(例えば燐光体)を含む。色変換材料は、あるスペクトルにおける光を吸収する材料である。これは有利には、少なくとも部分的に、光源によって放射された第1のスペクトルと重なり、有利には、第1のスペクトルとは異なる他の(例えば第2の)スペクトルにおいて高い量子効率を有する光を放射する。
【0027】
色変換領域を形成するのに使用される色変換材料の例は、蛍光体および/または燐光体である。これは以下のものを含んでいてよい。しかし、これに制限されない。
・有機および無機染料
・ガーネット、有利には、式A12:Ce(ここでAはY、GdまたはTbをあらわし;XはAlまたはGaをあらわす)および式Y12:Ce(ここでXはAlまたはSiをあらわし;AはOまたはNをあらわす)によってあらわされるセリウムによってドーピングされたガーネット、
・有利には式XSiO;Euによってあらわされるオルトシリケート(ここでXはSr、BaまたはCaをあらわす)。
・窒化物、
・式XSi;Euによってあらわされるオキシニトリドシリケート(ここでXはSr、BaまたはCaをあらわす)、
・CaSi:Eu、SrSi:EuおよびCaAlSiN:Eu等のニトリドシリケート、
・SrGa:EU2+またはSrS:EU2+等のイオン燐光体、
・ペリレン、
・クマリン、
・量子点、
・蛍光染料および
・共役ポリマーである。
【0028】
さらに、色変換材料の粒子サイズは、構造化されたルミネセンス変換層の構造の分割よりも小さい。
【0029】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、色変換領域内の色変換材料はマトリクス材料内に溶解されているか、または混合されているか、または組み込まれている。マトリクス材料は有利には透明であり、非光吸収性であり、例えばガラス、シリコーン、エポキシ樹脂またはアクリル樹脂等の樹脂等、接着剤、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリメチルメタクリラート、ポリカーボネートまたはポリイミドを含むポリマーまたは別の適切な材料またはこれらの組み合わせであってよい。さらに、構造化されたルミネセンス変換層はマトリクス材料を含む。
【0030】
構造化されたルミネセンス変換層内の全ての色変換領域は、同じ材料から構成されていても、異なる材料から構成されていてもよい。例えば、色変換領域の一部分がオレンジ発光であり、別の部分が黄色発光であってよい。少なくとも1つの色変換領域は、例えば散乱粒子、燐光体粒子等を含む。
【0031】
本発明の少なくとも1つの実施例では、構造化されたルミネセンス変換層の領域は、相互に隣接している。従って構造化されたルミネセンス変換層の領域は垂直に被着されておらず、すなわち、発光路の方向に被着されておらず、むしろ各領域は光源の透明層の外面上の特定の領域を占有する。すなわち、これらの領域は横方向に配置および構造化される。構造化されたルミネセンス変換層のこれらの領域はさらに、透明層に直接的に隣接してよい。
【0032】
第1の色変換領域の表面領域と第2の領域の表面領域(または幅または他の寸法)との比は、EL装置の出力スペクトルに影響を与える。この比が加わるので、構造化された変換層を使用することによって、統一された変換層を使用する場合よりも、出力スペクトルの設計により大きい柔軟性が生じる。この柔軟性によって、効果と演色との間でより良い妥協点が見つけられる。
【0033】
A.R.Duggal,J.J.Shiang, C.M.Heller, D.F.Foust著「Applied Physics Letters 80,19 (2002)」に記載されたモデルによると、統一されたダウンコンバージョン層または色変換材料層を伴うEL装置の出力スペクトルは以下の式によって与えられる:
【数1】

ここでα(λ)は、色変換材料濃度に関連するルミネセンス変換層の吸収係数であり、δは有効光路長であり、これは層の厚さに関連するが、必ずしも層の厚さと等しいわけではない(これは散乱および他の幾何学形状的な作用による)。P(λ)は正規化されており、従って全波長にわたったその積分は一単位である。W,δは重量係数である。Cα,δ(λ)は自己吸収補正である。S(λ)は光源の放射スペクトルである。
【0034】
色混合の規則に基づいて、構造化されたルミネセンス変換層を伴う同一のEL装置の出力スペクトルは以下の式によって得られる:
【数2】

ここで構造化されたルミネセンス変換層は、光子飽和限界に達しない第1の色変換領域と、本発明の少なくとも1つの実施例に相応して非色変換領域として形成された第2の領域を含む。上記の式でx(=0・・・1)は色変換領域のサイズおよび/または構造に関連し、(1−x)は構造化されたルミネセンス変換層の非色変換領域のサイズおよび/または構造に関連する。
【0035】
重量係数Wα,δは式
【数3】

によって得られる。ここでQは、色変換領域内で使用されている色変換材料の量子効率である。
【0036】
自己吸収補正Cα,δ(λ)は式
【数4】

によって得られる。
【0037】
この上述の式は吸収プロセスに対する有効路長が、ルミネセンスに対する有効路長と等しいと仮定している。上述の式2において示されたモデルの結果、色変換領域(乗数xによってあらわされる)と非色変換領域(乗数1−xによってあらわされる)の間の差によって、出力スペクトルをより正確に調整することが可能になる。
【0038】
上述の説明と同様の説明が、第2の領域が第2の色変換領域であるケース、第2の領域が第2の色変換領域並びに非色変換領域を含んでいるケース、色変換領域が光子飽和限界に達するまたはこれを越えるケースにも当てはまる。
【0039】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、構造化されたルミネセンス変換層の第2の領域は第2の色変換領域を含む。この第2の色変換領域は、第1の色変換領域とは異なっており、光源によって放射された第1のスペクトルを有する光の少なくとも一部を吸収し、第3のスペクトルを有する光を放出する。これは次のことを意味する。すなわち、構造化されたルミネセンス変換層が第1の色変換領域と第2の色変換領域を含み、ここで第1の色変換領域によって放射された光のスペクトルは、第2の色変換領域によって放射された光のスペクトルとは異なることを意味する。殊に、第1の色変換領域によって放射された第2のスペクトルは、第2の色変換領域によって放射された第3のスペクトル内に含まれていない波長または波長領域を含み、および/または第2の色変換領域の第3のスペクトルは、第1の色変換領域によって放射された第2のスペクトル内に含まれていない波長または波長領域を含む。さらに、第2の領域は第2の色変換領域であってよい。
【0040】
さらに第1の色変換領域が、第2の色変換領域によって分けられていてよい。
【0041】
本発明の少なくとも1つの実施例では、構造化されたルミネセンス変換層の少なくとも1つの色変換領域における包含(inclusion)のために選択された色変換材料では、構造化されたルミネセンス変換層の少なくとも1つの色変換領域の光出力は光子飽和限界の下方にある。
【0042】
本発明の少なくとも1つの実施例では、構造化されたルミネセンス変換層の全ての色変換領域における包括のために選択された色変換材料では、色変換領域の光出力は光子飽和限界の下方にある。
【0043】
本発明の少なくとも1つの実施例では、構造化されたルミネセンス変換層の少なくとも1つの色変換領域における包括のために選択された色変換材料では、少なくとも1つの色変換領域の光出力は光子飽和限界に達するまたは光子飽和限界を越える。
【0044】
本発明の少なくとも1つの実施例では、構造化されたルミネセンス変換層の全ての色変換領域における包括のために選択された色変換材料では、色変換領域の光出力は光子飽和限界に達するまたは光子飽和限界を越える。
【0045】
本発明の少なくとも1つの別の実施形態では、色変換材料は次のように選択される。すなわち、光源によって放射された光の、光源内への後方散乱が色変換領域によって最小化されるように選択される。色変換材料による後方散乱は、殊に次のような場合に生じる。すなわち、光子飽和限界に達した場合または光子飽和限界を超えた場合である。さらに、後方散乱を最小化するために、色変換材料の粒子のサイズd50は有利には、少なくとも1500ナノメートルまたは最大で300ナノメートルである。さらに有利にはd50は少なくとも2000ナノメートルであり、これは色変換材料および樹脂の種類に依存する。
【0046】
粒子サイズd50は有利には平均粒子直径に基づいた数である。これは例えば、全体が本願に参照として組み込まれているSh.ShionoyaおよびW.M.Yen編集の「Phosphor Handbook (CRC Press LTC(1999), p.736-738)」に記載されており、より詳細には、全体が本発明に参照として組み込まれている、国際規格ISO9276−2に相当するドイツ連邦規格DIN66141による球面直径サイズd50(Q0)に等しい中央値である。
【0047】
少なくとも1つも別の実施形態では、第1の色変換領域および/または色変換領域および/または非色変換領域を含む第2の領域は、入射光の幾何学的な経路を変える構造を含む。特に、構造化されたルミネセンス変換層は領域、例えば第1および/または第2の領域を含む。ここで出力面は特定の幾何学的な形状を有する。特に出力面は球状、非球状、エンボス状、台形状またはプリズム状の構造またはこれらの構造の一部またはこれらのあらゆる組み合わせを含む。
【0048】
さらに、第1の領域はルミネセンス変換要素として形成される。これは特定の形状を有する出力面を含む。第2の領域は、光抽出要素として形成される。これは特定の形状を有する出力面を含む。さらにルミネセンス変換要素として形成された第1の領域および光抽出要素として形成された第2の領域は、マルチエレメント光抽出およびルミネセンス変換領域を形成する。
【0049】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、構造化されたルミネセンス変換層はマルチエレメント光抽出およびルミネセンス変換(MLELC)領域を含む。この領域は少なくとも1つの光抽出要素と少なくとも1つのルミネセンス変換要素を含む。光抽出要素は、光源からの光または少なくとも光の一部分を拡散する。ルミネセンス変換要素は少なくとも1つの第1の色変換領域を含む。この領域は光源からの光の第1のスペクトルの一部を吸収し、光の第2のスペクトルを放射する。
【0050】
有利な実施形態ではMLELC領域は、複数のルミネセンス変換要素と複数の光抽出要素を含む。
【0051】
本発明の別の有利な実施例では、ルミネセンス変換要素は色変換領域である。
【0052】
少なくとも1つのルミネセンス変換要素または複数のルミネセンス変換要素からの光の第1のスペクトルの吸収されなかった部分および光の第2のスペクトルは、少なくとも1つの光抽出要素または複数の光抽出要素からの拡散された光出力と結合し、全体的な出力スペクトルを提供する。
【0053】
MLELC層の光抽出要素は、少なくとも1つまたは複数の非色変換光透過領域を含む。
【0054】
択一的に、光抽出要素は少なくとも1つまたは複数の色変換領域を含む。本発明の少なくとも1つの実施例では、構造化されたルミネセンス変換層は複数のMLELC領域を含む、またはMLELC層を形成する。
【0055】
式1に示された統一されたダウンコンバージョンまたは色変換材料層を伴うEL装置の出力スペクトルと、式2に示された構造化されたルミネセンス変換層を伴うEL装置の出力スペクトルとの比較に関する上述の議論と類似の議論が、構造化されたルミネセンス変換層が少なくとも1つのMLELC領域を有するケース、または光抽出およびルミネセンス変換要素を伴うMLELC層であるケースにも当てはまる。
【0056】
本発明の少なくとも1つの有利な実施例では、光抽出要素は、OLEDデバイスまたは光源の透明層の屈折率と等しいまたはこれに近い屈折率(n)を有する。これは隣接しており、光をMLELC領域または層に透過させる。ルミネセンス変換要素の屈折率(n)は、nよりも低くなるように設計されている。空気とMLELC領域またはMLELC層の要素との間の屈折率を調整することによって次のことが回避される。すなわち、生成された光の一部が導波モード内への全反射によって失われ、自己吸収されてしまうことが回避される。
【0057】
本発明の少なくとも1つの別の有利な実施形態では、光抽出要素の形状は台形であるか、またはエンボスタイプのジオメトリーである。
【0058】
本発明の少なくとも1つの有利な実施形態では、ルミネセンス変換要素の有利な形状は、フラットまたはレンズ状である。
【0059】
本発明の少なくとも1つの別の有利な実施形態では、MLELC層または構造化されたルミネセンス変換層は、(複数の)光抽出要素および/または(複数の)ルミネセンス変換要素を含む。これは、殊に光源によって放射された光および色変換材料によって放射された光それぞれに対して低い吸収係数を伴う材料を含む。少なくとも1つの実施形態では、構造化されたルミネセンス変換層は基板を含む。
【0060】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、EL装置は照明用途に使用される。これは、ミリメータ領域から数センチメータまたはセンチメータの上の、横方向寸法を有していてよい。
【0061】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、EL装置は柔軟であり、エレクトロルミネセンスフィルムである。
【0062】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、構造化されたルミネセンス変換層の領域は、スクリーン印刷によって製造される。スクリーン印刷は典型的に約70マイクロメータの分割に達する。これは次のことを意味する。すなわち、例えば球または球状の領域が、この分割のオーダーにある最小半径で製造可能であるということを意味する。さらにこれは特に、例えば条片状の領域が、この分割のオーダーにある最小条片幅で製造可能であるということを意味する。スクリーン印刷は特に低コストの用途に適しており、技術的に扱いやすい。
【0063】
本発明の少なくとも1つの実施例では、構造化されたルミネセンス変換層の領域はリソグラフィ技術、例えばホトリソグラフィによって製造される。ホトリソグラフィで使用されるホトレジスト層の構造は、100ナノメートルを下回る分割を有している。従って構造化されたホトレジスト層はこのような分割のボイドを有する。例えば、構造化されたホトレジスト層は、光源の透明層上に被着される。ボイドは第1の領域を定め、色変換材料によって充填され、色変換領域である第1の領域を形成する。ボイドの充填は、選択的な被着技術または非選択的な被着技術によって行われる。選択的な被着技術のケースでは、異なるボイドが異なる材料によって充填される。その後、構造化されたホトレジスト層が除去され、第1の領域が光源の透明層上に残る。ホトレジスト層を除去した後、この第1の領域を分割する、空の第2の領域があらわれる。第2の領域は空のままであってもよいし、非色変換領域である第2の領域を形成するために透明材料が充填されてもよい。択一的に、第2の領域が、色変換領域内の色変換材料とは異なる色変換材料によって充填されてもよい。これによってさらなる、例えば第2の色変換領域が形成される。
【0064】
択一的に、ホトレジスト層内のボイドは第2の領域を定める。このボイドは色変換材料および/または非色変換材料によって充填され、第2の領域を形成する。ホトレジスト層を除去した後に、第2の領域ではない領域が色変換材料によって充填され、色変換領域である第1の領域を形成する。
【0065】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、ホトリソグラフィ技術が使用されて第1および/または第2の領域が基板上に形成される。色変換領域を伴う基板は、例えば透明接着剤、光硬化性透明接着剤またはインデックスマッチングジェルによって光源に取り付けられる。
【0066】
本発明の少なくとも1つの実施例では、色変換材料は薄膜材料内に溶解されている。薄膜材料は例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリマーまたはその他の適切なポリマーまたは材料を含む。薄膜の特別に形成された薄膜または薄膜の一部は光源の透明層に取り付けられ、色変換領域である第1の領域を形成する。この技術は特に、緩和された分割のみが要求される低コストの用途に適用される。
【0067】
本発明の少なくとも1つの実施例では、構造化されたルミネセンス変換層の色変換領域は、電気泳動によって製造される。この手法では構造化された透明な導電性層が、光源の透明層の上方に被着される。構造化された透明な導電性層は金属酸化物等の透明な導電性材料、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)またはドーピングされた導電性ポリマーを含むか、または透明な導電性材料から成る。有利には、構造化された透明な導電性層はITOから成る。構造化された透明層は構造化された透明要素を含む。これは共同で、構造化された透明層を形成する。構造化された透明な導電性層はまたは少なくとも1つの構造化された透明要素は、電界を印加するために使用される。電界によって、色変換材料(これは有利には液相であり、例えば液体混合物または溶液である)が構造化された透明な導電性層上または、色変換領域である第1の領域を形成する少なくとも1つの構造化された透明な要素上に被着されるかまたは析出される。他の構造化された透明要素に電界を加えることによって、他の液体または溶媒である他の色変換材料が、色変換領域である第2の領域を形成する構造化された透明要素上に被着される、または析出される。
【0068】
この技術の解決方法は、構造化された透明な導電性層の分割に依存する。特に、結合剤または類似の材料は、色変換材料用のマトリックスまたはサポートとして必要ではない。
【0069】
本発明の少なくとも1つの別の実施例では、構造化された透明な導電性層が透明基板上に被着される。構造化された透明な導電性層または構造化された透明要素は電界を印加するために使用され、これによって、色変換材料が、基板上の構造化された透明な導電性層上に被着される。その後、透明な基板は、例えば透明接着剤、光硬化透明接着剤またはインデックスマッチングジェルを用いて光源の透明層に取り付けられる。
【0070】
本発明の少なくとも1つの実施例では、構造化されたルミネセンス変換層はボリュームキャスティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、スクラッチング、ドクターブレーディング、ホトリソグラフィ、ラミネーティング、または他の適切な技術によって製造される。
【0071】
さらに、光抽出要素は非硬化連続層を成形することによって、またはホトリソグラフィによって製造される。ルミネセンス変換要素は、ボリュームキャスティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ホトリソグラフィ等によって製造される。
【0072】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、開示されたエレクトロルミネセンス(EL)装置は以下のものを含む:すなわち、
・光源を含み、当該光源は、該光源から少なくとも部分的に光を透過させることができる透明層を含む、
・前記透明層の上方および光源の外面上に被着された構造化されたルミネセンス変換層を含み、ここで前記構造化されたルミネセンス変換層は色変換領域と非色変換領域を含み、当該色変換領域は前記光源からの光の第1のスペクトルを吸収し、光の第2のスペクトルを放射し、光の当該第2のスペクトルは前記光源からの光の吸収されなかったスペクトルと結合し、前記エレクトロルミネセンス装置に対する全体的な出力スペクトルを提供する。
【0073】
本発明の少なくとも1つの実施例では、開示されたエレクトロルミネセンス(EL)装置は以下のものを含む:すなわち、
・光源を含み、当該光源は該光源から少なくとも部分的に光を透過させることができる透明層を含む、
・マルチエレメント光抽出およびルミネセンス変換層を含み、当該層は前記透明層の上方および前記光源の外面上に被着され、当該マルチエレメント光抽出およびルミネセンス変換層は複数の光抽出要素と複数のルミネセンス変換要素を含み、前記光抽出要素は前記光源からの光を拡散させ、さらに前記ルミネセンス変換要素は光源からの光の第1のスペクトルを吸収し、光の第2のスペクトルを放射し、さらに光の前記吸収されなかった第1のスペクトル、光の前記第2のスペクトルおよび前記拡散された光出力は前記光抽出要素によって、前記エレクトロルミネセンス装置に対する光の全体的な出力スペクトルを形成する。前記要素は相互に隣接しており、前記透明層に直接的に隣接している。
【0074】
本発明の別の実施例には、開示された実施例および特徴のあらゆる可能な1つまたは複数の組み合わせも含まれる。
【0075】
図1は、本発明の少なくとも1つの実施例に相応するエレクトロルミネセンス(EL)装置200の実施例の断面図である。EL装置200は、OLEDデバイス205および構造化されたルミネセンス変換層230を含む。OLEDデバイス205は基板208および基板208上の第1の電極211を含む。この第1の電極211は、不鮮明なアプリケーションのためにパターン化されてもよいし、またはバックライトまたは他の一般的な照明用途のためにパターン化されなくてもよい。OLEDデバイス205は、第1の電極211上に半導体スタック214も含む。この半導体スタック214は以下のうちの少なくとも1つを含む:(1)アノードバッファ層(ABL)215および(2)アクティブ発光層(EML)216である。
【0076】
図1に示されているように、OLEDデバイス205は底面発光型デバイスである。底面発光型デバイスとして、第1の電極211はアノードとして機能し、ABL215は第1の電極211上に被着され、EML216はABL215上に被着される。最終的にOLEDデバイス205は第2の電極217も含む。これは有機半導体スタック214上に被着されている。図1に示されているのとは異なる層を加えることもできる。これは例えば絶縁層、バリヤ層、電子/ホール注入および阻止層、ゲッター層等である。殊に、例えば平坦化層、水分および/または酸素吸収層およびバリヤ層等の1つまたは複数の層によるOLEDデバイス205の封入は、OLEDデバイスを保護するために加えられる。
【0077】
本発明と相応に、構造化されたルミネセンス変換層230は、OLEDデバイス205の外面上に被着される。より詳細には、図示された構成においては、構造化されたルミネセンス変換層230は基板280上に被着される。OLEDデバイス205および構造化されたルミネセンス変換層230は共同して、EL装置200を構成する。これらの層の実施例を以下でより詳細に説明する。
【0078】
基板208:
基板208は、付加的な層および電極を支持することができるあらゆる材料でありうる。底面発光型OLEDの場合には、この基板は、OLEDデバイス205によって発光された光の波長に対して透明または半透明である。有利な基板材料はガラス、石英およびプラスチックを含み、有利には薄い柔軟なガラスを含む。基板208の有利な厚さは使用されている材料およびデバイスの用途に依存する。基板208はシート状または連続した薄膜の形状に形成される。連続した薄膜は例えばRoll−to−Roll製造プロセスに使用される。この製造プロセスは特にプラスチック、金属および金属化されたプラスチック薄膜に適している。
【0079】
第1の電極211:
底面発光型構造では第1の電極211はアノードとして機能する(アノードはホール注入層として用いられる導電性層である)。典型的なアノード材料は金属(白金、金、パラジウム、インジウム等);導電性酸化物(酸化鉛、酸化スズ、酸化インジウムスズ(ITO)等);グラファイト;およびドーピングされた導電性ポリマー(ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等)である。有利には第1の電極211は酸化インジウムスズ(ITO)を含む。
【0080】
OLEDの場合には、第1の電極層211は通常は充分に薄く、透明または少なくとも半透明であり、光りの少なくとも一部を透過させることができる(底面発光型OLEDにおいて)。第1の電極211の薄さは約10nm〜1000nmであり、有利には約50nm〜約200nmであり、より有利には約100nmである。従って、第1の電極を製造するステップにおいてあらゆる薄膜被着方法が使用可能である。これは真空蒸着、スパッタリング、電子ビーム被着、化学的蒸着、エッチングおよび当業者に公知の他の技術およびそれらの組み合わせを含む。このプロセスは通常、コントロールされた雰囲気内でのベーキングまたは焼きなましステップを含み、これによってアノード層の導電性および光学的な透過性が最適化される。その後、ホトリソグラフィが使用され、所望される場合には、あらゆるパターンを第1の電極211上に定めることができる。
【0081】
ABL215:
ABL215は良好なホール導電特性を有しており、ホールを第1の電極211からEML216に効果的に注入するのに適している。ABL215はポリマーまたは小分子材料またはその他の材料を含むか、ポリマーまたは小分子材料またはその他の材料から成る。例えば、ABL215は小分子またはそのポリマー形状である第三級アミンまたカルバゾール誘導体、導電性ポリアニリン(「PANI」)、またはPEDOT:PSS、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(「PEDOT」)およびポリスチレンスルホン酸(「PSS」)(例えばHC Starck社からの「Baytron P」として入手可能)。ABL215は約5nm〜約1000nmの厚さを有し、従来では約50〜約250nmで使用されている。ABL215の他の例は有利には厚さ10〜50nmの銅フタロシアニン(CuPu)薄膜を含む。ABL材料の他の例は当業者には公知であり、容易に代用可能であり、または上述した材料と容易に組み合わせ可能である。
【0082】
ABL215は選択的被着技術または非選択的被着技術を用いて形成される。選択的被着技術の例は例えばインクジェット印刷、フレックス印刷およびスクリーン印刷である。非選択的被着技術の例は、例えば、スピンコーティング、浸し塗り、ウェブコーティングおよびスプレーコーティングである。
【0083】
EML216:
活性発光層(EML)216は有機エレクトロルミネセンス材料を含む。これは第1の電極211および第2の電極217にわたってポテンシャルが印加されると発光する。EMLは有機材料または有機金属化合物材料から製造され、ポリマー、モノマーまたは小分子エミッターまたはこれらの組み合わせまたは混合物を含む。ここで使用されているように、用語「有機」は有機金属化合物材料も含む。これらの材料内での発光は蛍光体および/または燐光体の結果として生成される。
【0084】
有機材料は1つまたは複数のポリマー、ポリマーブレンド、モノマー、オリゴマー、コポリマー、有機サイドグループ、小分子またはこれらのあらゆるブレンドを含む。EML216は例えば共役ELポリマー、例えばポリフルオレン、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリチオフェンビニレン、ポリスピロポリマーまたはポリPフェニレンビニレンまたはこれらのファミリー、コポリマー、それらの誘導体、ブレンドまたは混合物を含み、これは紫外、青、緑、黄色、オレンジ、赤、赤外、白を放射するか、または光のあらゆる単独スペクトルまたは結合スペクトルを放射する。
【0085】
EML216は連続的な薄膜であり、これは非選択的に被着された(例えばスピンコーティング、浸し塗り、スプレーコーティング、ウェブコーティング等)領域または、選択的に被着された(例えばインクジェット印刷、フレックス印刷、またはスクリーン印刷によって)非連続的な領域である。所望であればEML216を、蒸着、スパッタリング、真空蒸着等によって製造してもよい。
【0086】
EML216は1つより多くの発光要素を含むことができる(例えばホストおよびドーパント)。発光要素が2つの場合には、ホスト要素とドーパント要素との相対的な関係が調整されて、所望の色が得られる。EML216は、あらゆる所望の色の光を放射し、所望のようにポリマー、コポリマー、ドーパント、クェンチャー、および、ホールおよび電子輸送材料を含む。例えばEML216は紫外、青、赤、緑、オレンジ、黄色またはこれらの色のあらゆる所望の組み合わせの光を放射し、幾つかの用途では、白色光を生成する発光要素の組み合わせを含む。EML216は複数の別個の発光サブレイヤーを含むこともできる。
【0087】
発光する活性エレクトロルミネセンス材料を得るのに加えて、EML216は電荷輸送が可能な材料も含むこともできる。電荷輸送材料は、電荷キャリヤを輸送することができるポリマーまたは小分子を含む。これは例えば、ポリチオフェン、誘導ポリチオフェン、オリゴマーポリチオフェン、誘導オリゴマーポリチオフェン、ペンタセン、トリフェニルアミンおよびトリフェニルジアミン等である。
【0088】
第2の電極217:
底面発光構造では、第2の電極217はカソードとして機能する(すなわち電子注入層として機能する導電性層であり、低仕事関数の材料から成る)。カソードとして機能する多くの材料が当業者に知られているが、最も有利にはアルミニウム、インジウム、銀、金、マグネシウム、カルシウム、リチウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化ナトリウムおよびバリウムを含む合成物、またはこれらの組み合わせ、またはこれらの合金が使用される。アルミニウム、カルシウムとアルミニウムの組み合わせ、バリウムとアルミニウムの組み合わせ、フッ化リチウムとアルミニウムの組み合わせ、フッ化リチウムとカルシウムとアルミニウムの組み合わせ、マグネシウムと銀の組み合わせ、またはそれらの合金が特に有利である。
【0089】
有利には、第2の電極217の厚さは約10nm〜約1000nmであり、より有利には約50nm〜約500nmであり、最も有利には約100nm〜約300nmである。当業者には、第1の電極の材料が被着される多くの方法が知られているが、真空蒸着方法、例えば熱真空蒸着、スパッタリングまたは電子ビーム被着が有利である。
【0090】
付加的に第2の電極217はミラーとして機能する、または付加的なミラー層を含み、、EML216内で生成され、透明基板208から離れる方向に放射された光を基板208に向けて反射する。
【0091】
バリヤ層およびゲッター層等の他の層(図示されていない)が、電子デバイスを保護するために使用されてもよい。このような層は当業者には既知であり、ここで詳細に説明しない。
【0092】
構造化されたルミネセンス変換層230:
図示されたOLEDデバイス205は底面発光型OLEDである。従ってEML216から発光された光は基板208を通過する。本発明の種々の実施例では、構造化されたルミネセンス変換層230は基板208の露出された外面上(従って、OLEDデバイス205の外面上)に被着され、EL装置200からの光出力を修正および調整する。本発明の少なくとも1つの実施例では、構造化されたルミネセンス変換層は第1の色変換領域230Aと、第2の、非色変換領域230Bから成る。第1の色変換領域230Aは共同して、構造化されたルミネセンス変換層230に対するパターンまたは「構造」を形成する。これは、従来のエレクトロルミネセンスデバイス内で使用されている統一したダウンコンバーション層(ここでは全ての層が色変換材料を有している)から区別される。構造化されたルミネセンス変換層の構造は、本発明の種々の実施例では、条片状、交差条片状(メッシュ状)、円形、四角形(チェック状)または他のあらゆる幾何学的構造であってよい。構造の例は図4A〜4Fに示されている。
【0093】
種々の色変換領域230Aは、種々の非色変換領域230Bによって分けられている。この非色変換領域230Bは完全に空であるか、または非吸収性の発光または光透過材料(例えばガラス)を含む。色変換領域230Aはそれぞれ蛍光材料または燐光材料を含むか、またはあるスペクトルの光を吸収し、別のスペクトルの光を放射するあらゆる色変換材料を含む。色変換領域230A内の色変換材料は透明マトリクス内に組み込まれていてよい。構造化されたルミネセンス変換層230内の全ての色変換領域230Aを同じ材料から製造することも、異なる材料から製造することもできる。例えば、色変換領域230Aの一部はオレンジ発光であり、別の部分が黄色発光であってよい。色変換領域230Aと非色変換領域230Bとの比率は、EN装置の出力スペクトルに影響を与える。この比率を加えることによって、構造化された変換層の使用によって、統一された変換層が使用されている場合よりも、出力スペクトルの設計においてより大きな柔軟性が得られる。この柔軟性によって、効果と演色の間により良好な妥協点を見つけることができる。
【0094】
色変換領域230Aを形成するのに使用される色変換材料の例には、有機染料および無機染料、セリウムドーピングされたガーネット、窒化物燐光体、SrGa:Eu2+またはSrS:Eu2+等のイオン燐光体、量子点、蛍光染料または共役ポリマーが含まれる。しかし、これに制限されていない。色変換材料はそれぞれのケースにおいて透明マトリクス材料内に溶解されるかまたは混合される。この透明マトリクス材料は例えば、シリコーン、エポキシ樹脂、接着剤、ポリメチルメタクリラート、ポリカーボネート等である。
【0095】
構造化されたルミネセンス変換層230の厚さは、デバイスの所望の出力スペクトルおよび構造化されたルミネセンス変換層230内の色変換材料の濃度に依存する。色変換材料の濃度は焼入および凝固作用によって制限される。さらに、散乱作用、殊に後方散乱は色変換材料の濃度に依存する。このような効果を低減させるために、色変換材料の粒子サイズは少なくとも1500ナノメートルまたは効果的には最大で300ナノメートルが有利である。
【0096】
色変換材料の濃度は光子飽和限界に達しない程度である。この場合には、EL装置200の放射された光のスペクトルは、OLED205によって放射され、非色変換領域230Bを通過し、変換されずに色変換領域230Aを通過した光の部分のスペクトル、およびOLED205によって放射され、色変換領域230Aにおいて他の波長に変換された光の部分のスペクトルによって与えられる。
【0097】
択一的に、色変換材料の濃度は光子飽和限界に達するまたはこれを超える程度であってもよい。この場合には、EN装置200の放射された光のスペクトルは、OLED205によって放射され、非色変換領域230Bを通過した光の部分のスペクトル、およびOLEDによって放射され、色変換領域230Aにおいて他の波長に変換された光の部分のスペクトルによって与えられる。
【0098】
例えば光源は青色光を放射し、色変換領域230Aはこの光源によって放射された光を吸収し、波長の黄色領域において発光し、光子飽和限界には達しない。色変換領域230Aと非色変換領域230Bとの表面比率に依存して、色変換領域230Aにおける色変換材料の濃度および色変換領域230Aの厚さ、EL装置200の放射スペクトルが調整され、青および黄色光のあらゆる組み合わせにされ、有利には白になる。
【0099】
択一的にこの色変換領域は、赤色光を放射する色変換材料と、緑色光を放射する他の色変換材料を含む。この場合には、EL装置200の放射スペクトルは有利には暖色の白になる。
【0100】
色変換領域230A内で光子飽和限界に達するまたはこれを超える場合には、EL装置200の出力スペクトルはむしろ、色変換材料の小さい濃度変化および色変換領域230Aの厚さには無関係であり、色変換領域230Aと非色変換領域230Bの表面比率にのみ依存する。
【0101】
幾つかの実施例では、構造化されたルミネセンス変換層230Aは光学的接着剤またはインデックスマッチングジェルを用いて基板280に接着される。光学的接着剤は付加的に紫外線によって硬化される。
【0102】
例えば、色変換領域は薄膜内に含まれる。この場合に非色変換領域は空のままであるか、または透明な薄膜によって形成される。
【0103】
他の実施例では、構造化されたルミネセンス変換層230は、スクリーン印刷、インクジェット印刷、電気泳動または他の選択的な被着技術、または非選択的または選択的な被着技術と組み合わされたマスキングによって、基板208上に直接的に形成される。さらに、構造化されたルミネセンス変換層230は、架橋可能な材料を用いる。この材料はその後、基板208に化学的に結合される。
【0104】
図2Aおよび2Bは、本発明の少なくとも1つの実施例によるEL装置の例の斜視図および断面図を示している。EL装置308は光源305および構造化されたルミネセンス変換層330を含む。層330は複数の色変換領域330Aおよび非色変換領域330Bを有する。非色変換領域330Bは空の領域として示されている。
【0105】
非色変換領域の幅は「b」であり、色変換領域の幅は「a」である。「a」と「b」の比率は出力スペクトルを定め、この特別な実施例に対しては式2で上述されたように定める(ここで「b」は1−xであり、「a」はxである)。式2を参照すると、構造化されたルミネセンス変換層330の厚さはδである。示されているように、この厚さは構造化されたルミネセンス変換層230にわたって統一されている。しかし、他の実施例では、この厚さは1つの色変換領域から別の色変換領域へと変化してよい、または1つの所与の色変換領域内で変化してもよい。式2は上述のように統一の厚さ値δを想定している。色変換領域330Aは光源305から放射された光の特定のスペクトルを吸収し、光の他のスペクトルを放射する。非色変換領域330bは、スペクトル変換することなく、光源305から放射された光を通過させる。この非色変換領域330bは実際の材料を含むよりもむしろ、空であるかまたは無効なスペースである。例えば、非色変換領域330bは光学的な接着剤またはガラスまたは同様の光透過材料を含む。
【0106】
図3Aは、本発明の少なくとも1つの実施例によるEL装置の別の例の断面図を示している。EL装置309は光源305および構造化されたルミネセンス変換層330を含んでいる。層330は複数の第1の色変換領域330Aと複数の第2の色変換領域33Bを有する。第1の色変換領域330Aは色変換材料を含んでおり、この色変換材料は光源305によって放射された光を、光源305によって放射された光が第2の色変換領域330Bにおける色変換材料によって変換される波長の領域とは異なる波長の領域に変える。
【0107】
第1の色変換領域330Aまたは第2の色変換領域330Bによって光子飽和限界に達していないのは有利である。例えば光源305は主に青色光を放射し、第1の色変換領域330Aはこの青色光の一部を赤色光に変換し、第2の色変換領域330Bはこの青色光の一部を緑色光に変換する。また、これらの色変換領域330Aおよび330Bにおいて光子飽和限界には達していない。第1の色変換領域330Aと第2の色変換領域330B内の色変換材料の濃度および第1の色変換領域330Aおよび第2の色変換領域330Bの厚さに依存して、青色、赤色および緑色の光のあらゆる混合が生成可能であり、これは白を含む発光スペクトルの変化をもたらす。色変換材料の濃度は各第1の色変換領域330Aにおいて、および/または各第2の色変換領域330Bにおいて同じであってもよく、また色変換領域の間で異なっていてもよく、また同じ色変換領域において異なっていてもよい。
【0108】
図3Aでは全ての色変換領域の厚さが同じであるが、個々の色変換領域の厚さは、他の厚さと異なっていてよく、または1つの色変換領域内で異なっていてよい。
【0109】
択一的に、第1の色変換領域330Aにおいておよび第2の色変換領域330Bにおいて光子飽和限界に達している、またはこれを超えている。これは、主に変換された光のみがEL装置309によって放射されていることを意味している。第1の色変換領域330Aによって占領されている表面と第2の色変換領域330Bによって占領されている表面の比に依存して、EL装置の固定された放射スペクトルが得られる。
【0110】
例えば光源305は主に青色光を放射し、第1の色変換領域330Aは青色光を赤色光に変換し、第2の色変換領域330Bは青色光を緑色光に変換する。第1の色変換領域330Aと、第2の色変換領域330B、と非色変換領域330Cの表面の比に依存して、赤色光および緑色光のあらゆる混合が得られる。これは発光スペクトルに変化をもたらす。第1の色変換領域330Aおよび第2の色変換領域330Bにおいて、光子飽和限界に達しているので、EL装置309の発光スペクトルはむしろ個々の色変換領域の厚さの小さい変換および個々の色変換領域の色変換材料の濃度には依存しない。従って、このようなデバイスはその出力スペクトルに関して高い再現性を有し、同時に製造プロセスにおける要求は低い。
【0111】
択一的に、領域330Bは非色変換領域である。EL装置309は基本的には、図1に示されたEL装置200と類似している。ここでは、非色変換領域330Bは透明な、非色変換材料によって充填されている。この材料は光源305によって放射されたスペクトルを変えない。例えば非色変換材料はシリコーン、エポキシ樹脂またはアクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリラートおよび/またはポリカーボネートを含む。付加的に色変換領域330Aは透明な、非色変換材料を含む。これは色変換材料に対するマトリクス材料として機能する。色変換材料はこのマトリクス材料内に溶解される、混合される、またそうでない場合にはマトリクス材料内に混合される。非色変換領域330Bに対して非色変換材料を使用し、色変換領域330Aに対するマトリクス材料として非色変換材料を使用することによって、構造化されたルミネセンス変換層330Aの安定性が向上し、並びに、光源305に対する構造化されたルミネセンス変換層330Aの接着性も向上する。これは殊に、ELL装置309が柔軟であり、大きい領域を照明する装置である場合に有利である。
【0112】
図3Bは、本発明の少なくとも1つの実施例によるEL装置の別の例の断面図を示している。EL装置310は光源305および構造化されたルミネセンス変換層330を含む。層330は複数の第1の色変換領域330A、複数の第2の色変換領域330Bおよび複数の非色変換領域330Cを含む。第1の色変換領域330Aは色変換材料を含む。この色変換材料は光源305によって放射された光を、第2の色変換領域330B内の色変換材料によって変換される、光源305によって放射された光の波長の領域とは異なる波長の領域に変換する。
【0113】
図3Bにおいて非色変換領域330Cは空に示されているが、非色変換領域330Cが透明材料、例えばシリコーン、エポキシ樹脂またはアクリル性樹脂、ガラス、または他の適切な透明材料またはこれらの組み合わせはまたは混合物によって充填されてもよい。有利には第1の色変換領域330Aにおいても第2の色変換領域330Bにおいても光子飽和限界に達しているか、またはこれを超えている。色変換領域における色変換材料の小さい変化および色変換領域の厚さの小さい変化に依存して、出力スペクトルは主にルミネセンス変換層330の表面の一部によって得られる。この表面は第1の色変換領域330A、第2の色変換領域330Bおよび非色変換領域330Cによって占領されている。
【0114】
択一的に、第1の色変換領域330Aにおいてのみ、または第2の色変換領域330Bにおいてのみ、光子飽和限界に達するまたはこれを超える。
【0115】
図4A〜Fは、構造化されたルミネセンス変換層に対するパターンの例を平面図で示している。
【0116】
図4Aは、構造化されたルミネセンス変換層に対する条片状のパターンまたは構造701を示している。色変換領域730Aは成形され、非色変換領域はブランクである。このパターンは、例えば、図2Aおよび2Bに示された構造化されたルミネセンス変換層330の断面図に相当する。
【0117】
択一的に、成形された領域は第1の色変換領域730Aをあらわし、ブランクの領域は第2の色変換領域730Bをあらわし、これは例えば、図3Aに示された構造化されたルミネセンス変換層330の断面図に相当する。
【0118】
図4Bはメッシュパターンまたは構造702を示す。ここで色変換領域730Aは交差し、部分的に重畳した条片によって形成されている。この場合には、領域730Bは幾何学的形状において四角形であり(平面図から見て)、非色変換領域または、別の、例えば第2の色変換領域である。択一的に、条片状の領域730Aは非色変換領域であり、領域730Bは色変換領域である。
【0119】
図4Cは、構造化されたルミネセンス変換層に対する円形パターンまたは構造703を示している。このパターンの1つの例は、円柱状の色変換領域730Aである。これは乾燥して、水滴状に形成された薄膜になる被着によって形成される。領域730Bは非色変換領域であるか、または別の、例えば第2の色変換領域であってよい。択一的に領域730Aは非色変換領域であり、領域730Bは色変換領域であってよい。さらに円形状の領域730Aは例えば楕円状であってもよい。
【0120】
図4Dはチェック状のパターンまたは構造704を示している。ここで色変換領域730Aおよび非色変換領域730Bは交互の四角形である。択一的に、領域730Bは別の、例えば第2の色変換領域であってよい。
【0121】
図4Eは、第1の色変換領域730Aと、第2の色変換領域730Bと、非色変換領域730Cとを伴うパターンまたは構造705を示している。領域730Aおよび730Bは円形状の領域として示されているが、あらゆる他の形状または相対的サイズのものでよい。
【0122】
図4Fは、第1の色変換領域730A、第2の色変換領域730Bおよび非色変換領域730Cを伴う、条片状のパターンまたは構造706を示している。このパターンは例えば、図3Bに示された、構造化されたルミネセンス変換層330の断面図に相当する。
【0123】
図4A〜4Fに示されたパターンは単に、構造化されたルミネセンス変換層に対する可能なパターンまたは構造の例であって、限定的なものまたは網羅的なものではない。繰り返しのパターンで示されているが、構造化されたルミネセンス変換層はランダムまたは非周期的または部分的に繰り返される色変換領域および非色変換領域を有していてもよい。さらに、上述のように、色変換領域の厚さは、他の色変換領域と比較して異なっていてもよい。単独の別個の色変換領域の厚さがその幅にわたって変化してもよい。例えば、乾燥した溶液水滴の結果である色変換領域は、特定の箇所で(例えば水滴の中心箇所で)より厚く、外側領域へ向かって薄くなっていくであろう。
【0124】
図5は、本発明の少なくとも1つの実施例によるエレクトロルミネセンス(EL)装置500の実施例の断面図である。EL装置500は、OLEDデバイス505および構造化されたルミネセンス変換層503を含む。これはマルチエレメント光抽出およびルミネセンス変換(MLELC)層として形成されている。OLEDデバイス505は、基板508および、基板508上の第1の電極511を有している。第1の電極511は不鮮明なアプリケーションに対してはパターニングされ、バックライトまたはその他の一般的な照明用途に対してはパターニングされない。OLEDデバイス505は、第1の電極511上の半導体スタック514も含む。半導体スタック214は少なくとも以下のものを含む:(1)アノードバッファ層(ABL)515および(2)活性発光層(EML)516である。
【0125】
図5に示されているように、OLEDデバイス505は、底面発光型デバイスである。底面発光型デバイスとしては、第1の電極511はアノードとして機能し、ABL515は第1の電極511上に被着され、EML516はABL515上に被着される。最終的に、OLEDデバイス505は、有機半導体スタック514上に被着された第2の電極517も含む。図5に示された層以外の層、例えば絶縁層、バリヤ層、電子/ホール注入および阻止層、ゲッター層等が加えられてもよい。特に、1つまたは複数の層(例えば平坦化層、水分および/または酸素吸収層およびバリヤ層)によるOLEDデバイス505の封入が加えられ、OLEDデバイスが保護されてもよい。OLEDデバイス505は、図1に示されたOLEDデバイス205に類似している。OLED205の要素の種々の実施例、すなわち、これまで詳細に説明した基板208、第1の電極211、ABL215、EML216および第2の電極217の種々の実施例は、それぞれOLED505の要素、すなわち基板508、第1の電極511、ABL515、EML516、および第2の電極217にも当てはまる。
【0126】
本発明に相応して、MLELC層530はOLEDデバイス505の外側に被着される。より詳細には、図示の構造では、MIELC層530は基板508上に被着される。OLEDデバイス505およびMLELC層530は共同して、EL装置500を構成する。MLELC層の実施例を以下でより詳細に説明する。
【0127】
マルチエレメント光抽出およびルミネセンス変換(MLELC)層530:
図4に示されているOLEDデバイス505は、底面発光型OLEDであり、EML516から放射された光は基板508を通過する。本発明の種々の実施例では、マルチエレメント光抽出およびルミネセンス変換(MLELC)層530は、基板508の露出された外面上(従ってOLEDデバイス505の外面上)に被着されており、EL装置500からの光出力を修正し、調整する。
【0128】
本発明の少なくとも1つの実施例では、MLELC層530は少なくとも1つの光抽出要素530Aと少なくとも1つのルミネセンス変換要素530Bを含んでいる。
【0129】
各ルミネセンス変換要素530Bは少なくとも1つの色変換領域を含み、この色変換領域は蛍光体材料または燐光体材料またはあるスペクトルの光を吸収し、別のスペクトルの光を放射するあらゆる色変換材料を含んでいる。有利にはルミネセンス変換要素530Bは色変換領域である。ルミネセンス変換要素530Bの色変換領域内の色変換材料が透明マトリクス内に組み込まれてもよい。全てのルミネセンス変換要素530Bを同じ材料から構成してもよく、または異なる材料から構成してもよい。例えば、ルミネセンス変換要素530bの一部はオレンジ発光であり、他の一部が黄色発光であってよい。ルミネセンス変換要素530bを形成するのに使用される色変換材料の例は以下のものを含むが、これに制限されない。すなわち散乱粒子、有機染料および無機染料、セリウムドーピングされたガーネット、窒化物燐光体、SrGa:Eu2+またはSrS:EU2+等のイオン燐光体、量子点、蛍光染料または共役ポリマーを含む。色変換領域は各ケースにおいて透明マトリクス内に溶解されるかまたはブレンドされる。透明マトリクスは、例えばシリコーン、エポキシ樹脂、接着剤、ポリメチルメタクリラート、ポリカーボネート等である。ルミネセンス変換要素530Bの形状/幾何学的形状は平坦であるか、またはレンズ状であるか、またはそのほかのあらゆる所望の形状である。
【0130】
光抽出要素530Aは、OLEDの透明層または取り付けられる光源とほぼ等しい屈折率を有する材料を含む。図5に示された実施例では、光抽出要素530AはOLEDデバイス505の基板508の屈折率と一致する屈折率を有している。光抽出要素530Aはルミネセンス変換要素530Bの屈折率を上回る、またはそれに等しい屈折率も有するであろう。
【0131】
本発明の1つの実施例では、光抽出要素530Aは色変換材料を有していないが、むしろ非色変換領域を含む。有利にはこのケースでは、光抽出要素530Aは非色変換領域である。択一的な実施例では、光抽出要素530Aは色変換材料を含む。光抽出要素530Aの形状/幾何学的形状は台形状または現存しているようにエンボス状である。光抽出要素530Aに対する幾何学的形状の角度は光の出力結合が増大するように設計されている。有利には、光抽出要素およびルミネセンス変換要素は両方とも、光源によって放射された光および色変換材料によって放射された光それぞれに対して低い吸収係数を有している材料を含む。
【0132】
ルミネセンス変換要素530Aの表面領域(または幅または他の寸法)と、光抽出要素530Bの表面領域の比は、EL装置の全体的な出力スペクトルに影響を与える。この比を加えることによって、マルチエレメント光抽出およびルミネセンス変換層の使用によって、統一された変換層を使用する場合よりも、出力スペクトルの設計においてより大きい柔軟性が得られる。この柔軟性によって、効果と演色性との間でより良い妥協点が見つけられる。
【0133】
MLELC層530の厚さは、光抽出要素530Aとルミネセンス変換要素530Bとの間で変化する。これは、デバイスの所望の出力スペクトルおよびルミネセンス変換要素530Bにおける色変換材料の濃度に依存する。色変換材料の濃度は焼入および凝固作用によって制限される。さらに散乱効果、殊に後方散乱は色変換材料の濃度に依存する。このような作用を最小化するために、色変換材料の粒子サイズは有利には、少なくとも1500ナノメートルまたは最大で300ナノメートルが有利である。
【0134】
幾つかの実施例では、MLELC層530は基板508に、付加的に紫外線によって硬化可能な光学的接着剤またはインデックスマッチングジェルを用いて取り付けられる。他の実施例では、MLELC層530はスクリーン印刷、インクジェット印刷または他の選択的な被着技術または非選択的な被着技術と組み合わされたマスキングによって基板508上に直接的に被着される、または形成される。さらにMLELC層530は架橋可能な材料を用いることができる。この材料はその後、基板508に化学的に結合される。より詳細には、光抽出要素530Aは硬化されていない層をリソグラフィプロセスによってまたは他の物理的/化学的アプリケーションによって成形することまたはアタッチメントによって形成される。ルミネセンス変換要素530Bをボリュームキャスティング、インクジェット印刷、スクリーン印刷、シャドーマスキング等の選択的被着技術によって製造することができる。
【0135】
図6は、本発明の少なくとも1つの実施例によるEL装置の例の断面図を示している。EL装置608は光源605と構造化されたルミネセンス変換層630を含む。ここでこのルミネセンス変換層は、図4のMLELC層530と類似した、マルチエレメント光抽出およびルミネセンス変換(MLELC)層として形成されている。層630は少なくとも1つの光抽出要素630Aと少なくとも1つのルミネセンス変換要素630Bを有する。有利には光抽出要素630Aは非色変換領域であり、ルミネセンス変換要素630Bは色変換領域である。
【0136】
光源605への境界面での個々の光抽出要素の幅は「a」であり、光源605への境界面での個々のルミネセンス変換要素の幅は「b」である。「a」と「b」の比率は式2で説明されたように出力スペクトルを定めるために使用される(ここで「b」は1−xであり、「a」はxである)。示されているように、物理的な厚さは、MLELC層として形成されている構造化されたルミネセンス変換層630にわたって統一されている。しかし、他の実施例では、この厚さは、1つのルミネセンス変換要素から別のルミネセンス変換要素へと変化してもよいし、または所与のルミネセンス色変要素内で変化してもよく、光抽出要素の間で変化してもよい。ルミネセンス変換要素630Bは光源605から放射された光の第1のスペクトルを吸収し、光の第2のスペクトルを放射する。光抽出要素630Bは、有利には非色変換領域であり、スペクトル色シフトさせずに(特定のまたは小さい故意の色変化無しに)、しかし出力は増大させ、光源605から放射された光を通過させる。例えば、光抽出要素630Bは光学的な接着剤またはガラスまたは同様の光透過材料を含む。
【0137】
光抽出要素630Aおよびルミネセンス変換要素630Bの形状、機能および構成は、図5の光抽出要素530Aおよびルミネセンス変換要素530Bに対して説明したものと類似している。全体的な光出力およびスペクトルは、光の吸収されなかった第1のスペクトル、光の放射された第2のスペクトルおよび光抽出要素630Aによる光抽出の効果との組み合わせである。
【0138】
択一的に、図5およびに相応する本発明の別の実施例では、光抽出要素は第2の色変換領域を含むか、または第2の色変換領域であってよい。ルミネセンス変換要素および光抽出要素の少なくとも一部を形成する第1および/または第2の色変換領域はそれぞれ、光子飽和限界に達するまたはこれを超えていてもよく、また光子飽和限界に達しなくてもよい。
【0139】
図7Aおよび7Bは、構造化されたルミネセンス変換層のマルチエレメント光抽出およびルミネセンス変換領域に対するパターンの例を平面図で示している。さらに、構造化されたルミネセンス変換層はMLELC層のみを有していてよい。すなわち、構造化されたルミネセンス変換層はMLELC層として形成されており、示されたパターンはMLELC層にも使用可能である。
【0140】
図7Aは、マルチエレメント光抽出およびルミネセンス変換領域または層430に対するチック状のパターンを示しており、ここでは光抽出要素430Aおよびルミネセンス変換要素430Bは交互に四角形/長方形で頂部を横切る。
【0141】
図7Bはマルチエレメント光抽出およびルミネセンス変換領域または層431に対する条片状のパターンの一部を示している。ルミネセンス変換要素431Aは湾曲した表面を有しており、光抽出要素431Bはエンボス状または台形状である。このパターンは例えば、図6に示されたマルチエレメント光抽出およびルミネセンス変換層630の断面図に相当する。
【0142】
図示されていない他の択一的なパターンはメッシュパターンを含み、ここでは光抽出要素およびルミネセンス変換要素は、相互に重畳する条片である。図示されていないさらなる他のパターンは、色変換領域に対する円形パターンを含む。このパターンに対する1つの実施例は、ルミネセンス変換要素を含む色変換材料によって取り囲まれた光抽出要素に対する切断円錐形状である。
【0143】
図7Aおよび7Bに示されたパターンは、マルチエレメント光抽出要素およびルミネセンス変換領域または層の単なる例であり、制限的ものまたは網羅的なものではない。繰り返しのパターンで示されているが、マルチエレメント光抽出要素およびルミネセンス変換領域または層はランダムなまたは繰り返しではないまたは部分的に繰り返しの光抽出およびルミネセンス変換要素を有していてもよい。さらに上述のように、ルミネセンス変換要素または光抽出要素の厚さは統一でなくてよく、相互に比較して変化してよい。
【0144】
頂部発光型OLEDデバイス
図1に示され、上述された例に対する択一的な構造において、第1の電極211はカソードとして機能し(カソードは電子注入層として作用し、低い仕事関数を有する材料を含む導電性層である)する。頂部発光型OLEDの場合にはむしろ、アノードよりもカソードが基板208上に被着される。この択一的な構成では、第2の電極層217はアノードとして機能する(アノードはホール注入層として作用し、約4.5eVよりも高い仕事関数を有する材料を含む導電性層である)。頂部発光型OLEDの場合にはむしろ、カソードよりもアノードが半導体スタック214上に被着される。
【0145】
OLEDが上述したような頂部発光型である実施例では、アノードは透明かまたは半透明に製造され、半導体スタック214からの光はデバイスの頂部を通過することができる。このようなケースでは、構造化されたルミネセンス変換層は、図1に示された底面発光型OLEDのように基板208にではなく、むしろアノード217(またはガラス層、ふたまたはカバーまたはあらゆる他の材料およびアノードを封入し、保護する構造体)に接着または結合または硬化される。
【0146】
「頂部発光型」構造は、特定の構造化されたルミネセンス変換層に制限されていないので、類似の「頂部発光型」構造も、構造化されたルミネセンス変換層として、例えば図5に示されたように、MLELC層を伴うEL装置またはあらゆる構造化された他のルミネセンス変換層を伴うEL装置に使用可能である。
【0147】
これまでに説明したEL装置の組み合わせまたはアレイから製造されるOLED光源およびディスプレイは、情報ディスプレイ、一般的な産業的照明およびエリア照明、電話、プリンター、コンピュータディスプレイ、テレビおよび照明された標識等の用途内で使用可能である。
【0148】
発光デバイス製造分野の当業者には、この説明、図および実施例から、この明細書に含まれる特徴および実施例のあらゆる組み合わせも含まれ、本発明の実施例に対する修正並びに偏光も、以降の特許請求の範囲によって規定された本発明の範囲から逸脱することなく行われることが明確であろう。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明の少なくとも1つの実施例によるエレクトロルミネセンス(EL)装置の実施例の断面図
【図2】本発明の実施例によるEL装置の例の斜視図および断面図
【図3】本発明の実施例によるEL装置の例の断面図
【図4】構造化されたルミネセンス変換層に対するパターンの例の平面図
【図5】本発明の少なくとも1つの実施例によるEL装置の別の実施例の断面図
【図6】本発明の少なくとも1つの実施例によるEL装置の別の例の断面図
【図7】マルチエレメント光抽出およびルミネセンス変換領域または層のパターンの例の平面図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロルミネセンス装置(200)であって:
光源(205)と、構造化されたルミネセンス変換層(230)とを有しており、
前記光源は、該光源から光を少なくとも一部分透過させることができる透明層を有しており、
前記構造化されたルミネセンス変換層は前記透明層上方に被着されており、当該構造化されたルミネセンス変換層(230)は第1の色変換領域(230A)と、該第1の色変換領域(230A)とは異なる第2の領域(230B)とを含んでおり、
前記第1の色変換領域(230A)は前記光源(205)からの光の第1のスペクトルを吸収し、光の第2のスペクトルを放射し、当該光の第2のスペクトルは前記第2の領域(230B)からの光のスペクトルと結合して、前記エレクトロルミネセンス装置(20)に対する光の全体的な出力スペクトルを与える、
ことを特徴とするエレクトロルミネセンス装置。
【請求項2】
前記第2の領域(230B)は非色変換領域を含んでおり、当該第2の領域(230B)を通過した光によって与えられる当該第2の領域(230B)からの光のスペクトルは、光の吸収されていない第1のスペクトルである、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記非色変換領域(230B)は材料を有していない、または前記第1のスペクトルを有する光に対して非吸収性かつ透過性である非色変換材料を有している、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記非色変換領域および/または前記非色変換材料は、シリコーン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ガラス、ポリカーボネートおよびポリメチルメタクリラートのうちの少なくとも1つを含む、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記第2の領域(330B)は第2の色変換領域を含んでおり、当該第2の色変換領域は前記第1のスペクトルの少なくとも一部を有する光を吸収し、前記第1および第2のスペクトルとは異なる第3のスペクトルを有する光を放射する、請求項1から4までいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記第2の領域(330B)は第2の色変換領域である、請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記第1の色変換領域(230A)は色変換材料を含んでいる、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記第2の色変換領域(330B)は色変換材料を含んでいる、請求項5から7に記載の装置。
【請求項9】
前記構造化されたルミネセンス変換層(230)は色変換材料を含んでいる、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記色変換材料は少なくとも1つの染料を含んでいる、請求項7から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
前記色変換材料は蛍光体および/または燐光体である、請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記染料または前記色変換材料は有機である、請求項10または11記載の装置。
【請求項13】
前記色変換領域は、有機染料、無機染料、ぺリレン、クマリン、セリウムドーピングされたガーネット、窒化物燐光体、イオン燐光体、蛍光染料、量子点および共役ポリマーのうちの少なくとも1つを含んでいる、請求項1から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記色変換材料は以下のグループからの少なくとも1つの材料を含んでおり、当該グループは:
・セリウムドーピングされたガーネット
・オルトシリケート
・窒化物、
・オキシニトリドシリケート
・ニトリドシリケート
・イオン燐光体
・ペリレン
・クマリン
・量子点および
・共役ポリマーを含む、請求項7から13までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
前記色変換材料は最大で300ナノメートルの平均直径d50を有する粒子を含んでいる、請求項7から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
前記色変換材料は最小で1500ナノメートルの平均直径d50を有する粒子を含んでいる、請求項7から15までのいずれか1項記載の装置。
【請求項17】
前記色変換領域(230A)は光子飽和限界に達している、または光子飽和限界を超えている、請求項1から16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
前記第1の色変換領域(230A)は光子飽和限界に達していない、請求項1から16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項19】
前記第2の色変換領域(330B)は光子飽和限界に達している、または光子飽和限界を超えている、請求項5または6記載の装置。
【請求項20】
前記第2の色変換領域(330B)は光子飽和限界に達していない、請求項5または6記載の装置。
【請求項21】
前記第1の色変換領域は透明なマトリクス材料を含んでいる、請求項1から20までのいずれか1項記載の装置。
【請求項22】
前記第2の色変換領域(330B)は透明なマトリクス材料を含んでいる、請求項5から21までのいずれか1項記載の装置。
【請求項23】
前記構造化されたルミネセンス変換層(230)は透明なマトリクス材料を含んでいる、請求項1から22までのいずれか1項記載の装置。
【請求項24】
前記マトリクス材料は、シリコーン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリラートおよびポリカーボネートのうちの少なくとも1つである、請求項21から23までのいずれか1項記載の装置。
【請求項25】
前記マイクロ構造化された薄膜(230)は物理的および/または化学的に前記透明層に取り付けられている、請求項1から24までのいずれか1項記載の装置。
【請求項26】
前記構造化されたルミネセンス変換層(230)は物理的および/または化学的に前記透明層に取り付けられている、請求項1から25までのいずれか1項記載の装置。
【請求項27】
前記第1の色変換領域(230A)および前記第2の領域(230B)は相互に隣接しており、横方向に配置されている、請求項1から26までのいずれか1項記載の装置。
【請求項28】
前記第1の色変換領域(230A)は前記第2の領域(230B)によって分割されている、請求項1から27までのいずれか1項記載の装置。
【請求項29】
前記構造化されたルミネセンス変換層(230)は条片状、交差条片状、円形状、三角形状または四角形状の領域またはこれらの組み合わせを含んでいる、請求項1から28までのいずれか1項記載の装置。
【請求項30】
前記第1の色変換領域は複数のルミネセンス変換要素(530B)として構成されており、および/または前記第2の領域は複数の光抽出要素(530A)として構成されており、前記構造化されたルミネセンス変換層はマルチエレメント光抽出およびルミネセンス変換層(530)を形成している、請求項1から29までのいずれか1項記載の装置。
【請求項31】
前記光抽出要素(530A)は前記光源(505)からの前記光を拡散する、請求項30記載の装置。
【請求項32】
前記第2の領域からの光の前記スペクトル、光の前記第2のスペクトルおよび前記光抽出要素(530A)による前記拡散された光出力は、前記エレクトロルミネセンス装置(500)に対する光の全体的な出力スペクトルを形成する、請求項30または31記載の装置。
【請求項33】
前記光抽出要素(530A)は台形状の幾何学的形状またはエンボスタイプの幾何学的形状を有している、請求項30から32までのいずれか1項記載の装置。
【請求項34】
前記ルミネセンス変換要素(530B)はレンズ状または平坦な幾何学的形状を有している、請求項30から33までのいずれか1項記載の装置。
【請求項35】
前記複数の光抽出要素(530A)および前記複数のルミネセンス変換要素(530B)は交互のパターンで配置されている、請求項30から34までのいずれか1項記載の装置。
【請求項36】
前記複数の光抽出要素(530A)および前記複数のルミネセンス変換要素(530B)は、条片状のパターンまたはメッシュ状のパターンで配置されている、請求項30から35までのいずれか1項記載の装置。
【請求項37】
前記複数の光抽出要素(530A)および前記複数のルミネセンス変換要素(530B)は、前記複数のルミネセンス変換要素(530B)が円錐形状に区切られるように配置されている、請求項30から36までのいずれか1項記載の装置。
【請求項38】
前記光抽出要素(530A)は、前記透明層の屈折率に整合する屈折率を有している、請求項30から37までのいずれか1項記載の装置。
【請求項39】
前記光抽出要素(530A)は、前記ルミネセンス変換要素(530B)の屈折率よりも高い屈折率を有している、請求項30から38までのいずれか1項記載の装置。
【請求項40】
前記光抽出要素(530A)は、非吸収性の、光透過性材料を含んでいる、請求項30から39までのいずれか1項記載の装置。
【請求項42】
前記ルミネセンス変換要素(530B)および前記光抽出要素(530A)は、低い吸収係数を有する材料から成る、請求項30から41までのいずれか1項記載の装置。
【請求項43】
前記デバイスは光源アプリケーションの一部である、請求項1から42までのいずれか1項記載の装置。
【請求項44】
前記光源(205)はOLEDデバイスである、請求項1から43までのいずれか1項記載の装置。
【請求項45】
前記透明層は、アノード層(211)、カソード層(217)、基板(208)および前記光源(205)の封入層のうちの少なくとも1つである、請求項1から44までのいずれか1項記載の装置。
【請求項46】
前記装置(200)は柔軟である、請求項1から45までのいずれか1項記載の装置。
【請求項47】
前記構造化されたルミネセンス変換層(230)は前記光源(205)の外面上に被着されている、請求項1から46までのいずれか1項記載の装置。
【請求項48】
前記全第1の色変換領域(230A)の全体領域と、前記全第2の領域(230B)の全体領域との比は、前記装置(200)の全体的な出力スペクトルに影響を与える、請求項1から47までのいずれか1項記載の装置。
【請求項49】
エレクトロルミネセンス装置(200)であって:
光源(205)と、構造化されたルミネセンス変換層(230)とを有しており、
前記光源は、該光源(205)から光を少なくとも一部分透過させることができる透明層を有しており、
前記構造化されたルミネセンス変換層は前記透明層上方にかつ前記光源(205)の外面上に被着されており、当該構造化されたルミネセンス変換層(230)は色変換領域(230A)と、非色変換領域(230B)とを含んでおり、
前記色変換領域(230A)は前記光源(205)からの光の第1のスペクトルを吸収し、光の第2のスペクトルを放射し、当該光の第2のスペクトルは前記光源(205)からの光の吸収されていないスペクトルと結合して、前記エレクトロルミネセンス装置(20)に対する光の全体的な出力スペクトルを与える、
ことを特徴とするエレクトロルミネセンス装置。
【請求項50】
エレクトロルミネセンス装置(500)であって:
光源(505)と、マルチエレメント光抽出およびルミネセンス変換層(530)とを有しており、
前記光源は、該光源(505)からの光を少なくとも部分的に透過させることができる透明層を有しており、
前記マルチエレメント光抽出およびルミネセンス変換層は前記透明層上方にかつ前記光源(505)の外面上に被着されており、当該マルチエレメント光抽出およびルミネセンス変換層(530)は複数の光抽出要素(530A)と、複数のルミネセンス変換要素(530B)とを含んでおり、
前記光抽出要素(530A)は前記光源からの前記光を拡散し、さらに前記ルミネセンス変換要素(530B)は前記光源(505)からの光の第1のスペクトルを吸収し、光の第2のスペクトルを放射し、さらに光の前記吸収されていない第1のスペクトル、光の前記第2のスペクトルおよび前記光抽出要素(530A)による前記拡散された光出力は、前記エレクトロルミネセンス装置(500)に対する光の全体的な出力スペクトルを形成し、前記要素は相互に隣接し、かつ前記透明層に直接的に隣接する、
ことを特徴とするエレクトロルミネセンス装置。
【請求項51】
エレクトロルミネセンス装置(200)を製造する方法であって、
・第1のスペクトルを有する光を放射する光源(205)を設けるステップを有しており、当該光源は、光放射路内に被着された透明層を有しており、当該透明層は装置(200)の作動時に第1のスペクトルを有する光を少なくとも部分的に透過させることができ、
・第1の色変換領域(230A)と第2の領域(230B)を有する、構造化されたルミネセンス変換層(230)を前記光源(205)の透明層上方に形成するステップを有しており、前記第1の色変換領域(230A)は色変換材料を含んでいる、
ことを特徴とする、エレクトロルミネセンス装置を製造する方法。
【請求項52】
前記構造化されたルミネセンス変換層(230)を形成するステップは以下のステップを有しており:
・構造化されたホトレジスト層を前記光源(205)の前記透明層上方に形成するステップを有しており、当該構造化されたホトレジスト層は、前記第1の色変換領域(230A)を定める空の領域を有しており、
・色変換材料を含む材料を、前記空の第1の色変換領域(230A)内に被着させるステップを有しており、
・前記第2の領域(230B)を露出させている前記構造化されたホトレジスト層を除去するステップを有している、請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記第2の領域(330B)内に、色変換材料および非色変換材料のうちの少なくとも1つを含む材料を被着させることを含む、請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記構造化されたルミネセンス変換層(230A)を形成するステップは以下のステップを有しており:
・構造化された導電性層を前記透明層上方に形成するステップを有しており、当該構造化された導電性層は、前記第1の色変換領域(230A)を定め、
・前記構造化された導電性層に電界を加え、これによって、液体混合物または溶液からの色変換材料を含む材料を前記構造化された導電性層上に被着または析出させる、請求項51記載の方法。
【請求項55】
前記第2の領域(230B)内に、色変換材料および非色変換材料のうちの少なくとも1つを含む材料を設けることを含む、請求項54記載の方法。
【請求項56】
前記材料はスクリーン印刷またはインクジェット印刷によって設けられる、請求項51から53および55のいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2009−514178(P2009−514178A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538261(P2008−538261)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004777
【国際公開番号】WO2007/051499
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(599133716)オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (586)
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D−93055 Regensburg, Germany
【Fターム(参考)】