説明

構造化フィルム及び該フィルムから作製された物品

表面構造化ポリウレタン層を備える太陽エネルギー収集アセンブリである。この構造化ポリウレタン層は、架橋可能な反応混合物と少なくとも1つの紫外線安定剤とを含む。架橋可能な反応混合物は、ポリオール、ポリイソシアネート、及び所望により触媒を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、構造化フィルム、構造化フィルムの作製方法、及び構造化フィルムを利用する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光アプリケーションにおいて使用されるエネルギー変換装置は、太陽エネルギーを別のエネルギー形態(例えば、電気又は熱)に変換する。したがって、装置の効率は太陽光線がエネルギー変換装置に効果的に透過すると増す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、表面反射を減らして透過を高めるためにエネルギー変換装置と太陽との間に反射防止面を配置することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願はエネルギー変換アセンブリを目的とする。エネルギー変換アセンブリは太陽エネルギー変換装置と、エネルギー変換装置に隣接する非集光型構造化層とを備える。この構造化層は架橋された反応混合物と、少なくとも1つの紫外線安定剤とを含む。この混合物は、ポリオールと、ポリイソシアネートと、触媒とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本明細書の実施例の項で示すデータのグラフ。
【図2】本発明の第1の実施形態の立面図。
【図3】本発明の第2の実施形態の立面図。
【図4】本発明の第3の実施形態の立面図。
【図5】本発明の第4の実施形態の立面図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書で使用するとき、用語「エネルギー変換装置」は、第1のエネルギー形態を第2のエネルギー形態に変換する装置を指す。
【0007】
本明細書で使用されるとき、用語「ポリウレタン」は、ヒドロキシル官能性材料(ヒドロキシル基−OHを含有する材料)とイソシアネート官能性材料(イソシアネート官能基−NCOを含有する材料)との縮合重合によって調製され、したがってウレタン結合(−O(CO)−NH−)を含有するポリマーを指し、(CO)はカルボニル基(C=O)を指す。
【0008】
本明細書で使用するとき、用語「構造化」は、一連の特徴を備える表面を指し、その特徴的寸法(高さ、幅、長さ)の少なくとも1つは1マイクロメートルより大きい。特徴的寸法(高さ、幅、長さ)のうち2つ又は更には3つ全てが1マイクロメートルより大きくてもよい。典型的には、構造は少なくとも1つの寸法が1ミリメートル未満であり、概して、特徴的寸法の全てが1ミリメートル未満である。
【0009】
本明細書で使用するとき、用語「非集光型」は、太陽光のような入射光が比較的均一の強度で維持され、画定された標的エリア上に光が集中しないことを指す。
【0010】
本明細書で使用される用語「接着剤」は、2つの被着体を一緒に接着するのに有用なポリマー組成物を称する。接着剤の例は、熱活性化接着剤及び感圧性接着剤である。
【0011】
熱活性化接着剤は、室温では非粘着性であるが、高温で粘着性になり、基材に接着することができるようになる。これらの接着剤は通常、室温より高いTg又は融点(Tm)を有する。温度がTg又はTmを上回ると、通常、貯蔵弾性率が低下し、接着剤が粘着性になる。
【0012】
構造用接着剤は、他の高強度材質(例えば、木材、複合材料、又は金属)を接着でき、その接着結合強度が6.0MPa(1000psi)を超える接着剤を指す。
【0013】
感圧接着剤(PSA)組成物は、(1)積極的かつ永久的粘着、(2)指圧以下の圧力での接着、(3)被着体を放さない十分な能力、及び(4)被着体からきれいに取り外すことができる十分な粘着力を含む特性を有することが、当業者には周知である。PSAとして良好に機能することが分かっている材料は、必要な粘弾性特性を示し、粘着、剥離接着、及び剪断保持力の所望のバランスをもたらすように設計並びに処方されたポリマーである。特性の適正なバランスを得るのは、単純なプロセスではない。
【0014】
本願のエネルギー変換装置は屋外環境に曝露されてもよい。構造化表面は、とりわけ例えば熱及び紫外線(UV)への曝露に抵抗する耐候性を有することができる。このことは、太陽エネルギー変換装置での使用では特に重要である。
【0015】
エネルギー変換装置は、ある一形態のエネルギー(例えば、熱又は放射のような太陽エネルギー)を別のエネルギー形態(例えば、電気)に変換する任意の品であり得る。いくつかの実施形態では、エネルギー変換装置は太陽エネルギー変換装置であり、例えば、太陽放射を熱に変換するための熱吸収装置、又は日照を電流に変換する光起電池である。
【0016】
太陽エネルギー変換装置は、広範な用途(地球上の用途及び宇宙ベースの用途の両方)に使用される。いくつかの実施形態で、太陽エネルギー変換装置は、自動車、飛行機、列車、船舶のような車両に取り付けることができる。これらの環境の多くは有機高分子材料にとって非常に有害である。
【0017】
フラットガラス又はポリマー前面層を有する太陽エネルギー変換装置は、前面反射のために、典型的には、利用可能な太陽エネルギーの3〜5%を失う。本発明の非集光型構造化表面層は表面反射を最小限にする。入射太陽光線は、構造化表面の傾斜表面によって部分的に反射される。しかし、これらの部分的に反射された太陽光線は隣接する表面構造上に向けて反射され、そこで直接に太陽エネルギー変換装置に向けて屈折されるか、完全に内部で反射されて太陽エネルギー変換装置に向かう。入射太陽光線のほとんど全てが、やがては太陽エネルギー変換装置に到達し、したがってその効率を増す。
【0018】
非集光型構造化層はエネルギー変換装置に隣接する。本願の目的上、隣接は、構造化層とエネルギー変換装置との間に、例えば、空隙、ポリマー層又はガラス層を含む1つ以上の層を有する実施形態を含む。概して、構造化層はエネルギー変換装置から1メートル未満である。いくつかの実施形態で、構造化層はエネルギー変換装置と接触している。
【0019】
構造化層は、一連の構造を備える構造化表面を含む。構造化層は単一の材料であってもよく、あるいは、構造化層が1つの材料処方を含み、基底フィルム及び接着剤が異なる材料処方を含む多層構成体であってもよい。加えて、フィルム及び接着剤の層自体が多層を含んでもよい。概して、構造化層は構造化表面を有し、反射光の実質的な部分がその表面上で別の構造と交差する。いくつかの実施形態で、一連の構造は、一連の本質的に平行な谷によって分離された一連の本質的に平行なピークを備える。構造化層の断面は様々な波形を有することができる。例えば、断面は、それぞれのピークがそれぞれの谷と同一である対称な鋸刃のパターン、又は一連の平行な谷によって分離された異なる高さの一連の平行なピーク、又は一連の平行な非対称の谷によって分離された平行な非対称のピークを有することができる。いくつかの実施形態で、ピークと谷は連続であり、他の実施形態では不連続パターンのピークと谷もまた企図される。したがって、例えば、物品の一部分でピークと谷が終端する場合もある。ピーク又は谷が物品の一端から一端へと進むにつれて、谷の幅が狭くなってもよいし、又は広くなってもよい。更に、所与のピーク又は谷の高さ及び/又は幅は、ピーク又は谷が物品の一端から一端へと進むにつれて変化してもよい。
【0020】
いくつかの実施形態で、構造化表面はエネルギー変換装置の反対側にあり、構造化表面は反射防止性である。反射防止性の構造化表面とは、本願の目的上、全ての入射角にかけての平均反射が、対応する平らな表面上での反射より少ないことを意味し、例えば、平らな表面による反射の50%未満であり、特定の実施形態では平らな表面による反射の80%未満である。
【0021】
ピークの寸法は、概して、少なくとも約10マイクロメートル(0.004インチ)の高さを有する。別の実施形態で、ピークは約250マイクロメートル(0.010インチ)程度の高さを有する。一実施形態で、ピークの高さは少なくとも約20マイクロメートル(0.0008インチ)であり、別の実施形態では、ピークの高さは最高約150マイクロメートル(0.006インチ)程度である。隣接するピークの間の間隔は、概して少なくとも約10マイクロメートル(0.0004インチ)である。別の実施形態で、その間隔は約250マイクロメートル(0.010インチ)程度である。一実施形態で、その間隔は少なくとも約20マイクロメートル(0.0008インチ)であり、いくつかの実施形態で、その間隔は約150マイクロメートル(0.006インチ)程度である。隣接するピーク間の夾角もまた様々であり得る。谷は平らでも、丸くても、放物線状でも、又はV形でもよい。ピークは概してV形であり、60度未満、いくつかの実施形態では50度未満、特定の実施形態では40度未満の頂角を有する。しかし、本願は先端に曲率半径を有するピークもまた目的とし、そのような実施形態は側面に対する最良の適合線によって測定される頂角を有する。
【0022】
いくつかの実施形態で、一連の構造物は不均一の構造物である。例えば、構造物は高さ、基底幅、ピッチ、頂角、又は他の構造的観点において異なる。そのような実施形態では、表面の平面からの構造物の勾配は表面にかけて平均すると法線から30度未満である。他の実施形態では、構造物は表面に対する法線の周囲で1つの次元において実質的に対称である。
【0023】
構造化表面は構造化ポリウレタン層を含む。ポリウレタン層は、ポリオールとポリイソシアネートと触媒とを含む反応混合物の縮合重合によって調製される。反応混合物は、縮合重合可能でなく、概して少なくとも1つの紫外線安定剤を含有する追加的成分もまた含有することができる。下記に説明するように、縮合重合反応又は硬化は、硬化表面に構造化表面を生成するために鋳型又は工具内で概して実行される。
【0024】
本開示で説明するポリウレタンポリマーはポリオールとポリイソシアネートとの縮合反応によって形成されるので、それらは少なくともポリウレタン結合を含有する。本開示で形成されるポリウレタンポリマーはポリウレタン結合のみを含有してもよく、あるいはポリ尿素結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、シリコーン結合、アクリル結合などのような他の所望の結合を含有してもよい。下記に説明するように、これらの他の任意の結合は、ポリウレタンポリマーの形成に使用されるポリオール材料又はポリイソシアネート材料に存在するため、ポリウレタンポリマーにも見られる。本開示のポリウレタンポリマーは、フリーラジカル重合によって硬化されない。例えば、ビニル又は他のフリーラジカル重合可能な末端基を伴うポリウレタンオリゴマー分子は既知の材料であり、これらの分子のフリーラジカル重合によって形成されたポリマーが「ポリウレタン」と称される場合があるが、そのようなポリマーは本開示の範囲に含まれない。
【0025】
典型的には、構造化ポリウレタン層は、所望の光学的効果をもたらすために十分なサイズである。ポリウレタン層の厚さは概して10ミリメートル以下であり、典型的にはそれよりはるかに薄い。経済的な理由により、できるだけ薄い構造化ポリウレタン層を使用することが概して望ましい。構造物に包含されるポリウレタン材料の量を最大限にし、構造化ポリウレタン層の基底を形成する構造化されていないポリウレタン材料の量を最少限にすることが望ましい場合がある。場合によっては、この基底部分は山が立ち上がる陸地と類似していることから、「ランド」と呼ばれることがある。
【0026】
非常に多種多様なポリオールを使用することができる。用語「ポリオール」は、概して少なくとも2つのヒドロキシル末端基を含み、HO−B−OH構造によって概して記述可能であり、B基は脂肪族基、芳香族基、又は芳香族基と脂肪族基との組み合わせを含有する基であってよく、多様な結合若しくは官能基を含有することができる。典型的には、HO−B−OHは、ジオール又はヒドロキシルで末端保護されたプレポリマー(ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、シリコーン、アクリル、又はポリ尿素のプレポリマーなど)である。
【0027】
有用なポリオールの例としては、ポリエステルポリオール(例えば、ラクトンポリオール)、ポリエーテルポリオール(例えば、ポリオキシアルキレンポリオール)、ポリアルキレンポリオール、これらの混合物、及びこれら由来のコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。ポリエステルポリオールは、とりわけ有用である。有用なポリエステルポリオールは直鎖及びそうでないポリエステルポリオールであり、例えば、ポリエチレンアジパート、コハク酸ポリブチレン、セバシン酸ポリヘキサメチレン、ポリヘキサメチレンドデカンジオアート、ポリネオペンチルアジパート、ポリプロピレンアジパート、ポリシクロヘキサンジメチルアジパート、及びポリε−カプロラクトンから作られるものが挙げられる。とりわけ有用なのは、King Industries(Norwalk,CT)から「K−FLEX」の商標で市販されている、K−FLEX 188又はK−FLEX A308のような脂肪族ポリエステルポリオールである。
【0028】
HO−B−OHがヒドロキシルキャップトプレポリマーである場合、種々様々な前駆体分子を用いて、所望のHO−B−OHプレポリマーを生成することができる。例えば、ポリオールを、化学量論量未満のジイソシアネートと反応させることによって、ヒドロキシルキャップトポリウレタンプレポリマーを生成することができる。適切なジイソシアネートの例には、例えば、2,6−トルエンジイソシアネート、2,5−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、メチレンビス(o−クロロフェニルジイソシアネート)、メチレンジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、ポリカルボジイミド−修飾メチレンジフェニレンジイソシアネート、(4,4’−ジイソシアナト−3,3’,5,5’−テトラエチル)ビフェニルメタン、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメトキシビフェニル、5−クロロ−2,4−トルエンジイソシアネート、1−クロロメチル−2,4−ジイソシアナトベンゼンのような芳香族ジイソシアネート、例えば、m−キシレンジイソシアネート、テトラメチル−m−キシレンジイソシアネートのような芳香族−脂肪族ジイソシアネート、例えば、1,4−ジイソシアナトブタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,12−ジイソシアナトドデカン、2−メチル−1,5ジイソシアナトペンタンのような脂肪族ジイソシアネート、並びに、例えば、メチレン−ジシクロヘキシレン−4,4’−ジイソシアネート及び3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)のような脂環式ジイソシアネートが挙げられる。耐候性の理由から、概して脂肪族及び脂環式ジイソシアネートが使用される。
【0029】
HO−B−OHプレポリマーの合成の例は、以下の反応スキーム1(式中、(CO)は、カルボニル基C=Oを表す)に示される。
【0030】
2HO−R−OH+OCN−R−NCO→HO−R−O−[(CO)N−R−N(CO)O−R−O−]
反応スキーム1
式中、nは1以上であり、ポリオール対ジイソシアネートの比によって決まり、例えば、その比が2:1である場合、nは1である。ポリオールとジカルボン酸又は二酸無水物との間の類似反応によって、エステル結合基を有するHO−B−OHプレポリマーを提供することができる。
【0031】
1分子当たり2つより多くのヒドロキシル基を有するポリオールは二以上の多官能イソシアネートとの反応によって架橋された樹脂をもたらす。架橋は、形成されたポリマーのクリープを防ぎ、所望の構造を維持するのを助ける。典型的には、ポリオールは、King Industries(Norwalk,CT)から「K−FLEX」の商標で市販されている、K−FLEX 188又はK−FLEX A308のような脂肪族ポリエステルポリオールである。
【0032】
多種多様なポリイソシアネートを使用することができる。用語「ポリイソシアネート」は、例えば、ジイソシアネートのような少なくとも2つのイソシアネート末端基を概して含む、概してOCN−Z−NCO構造によって記述され得るイソシアネート官能性材料を含み、Z基は脂肪族基、芳香族基、又は芳香族と脂肪族との組み合わせを含有する基であってもよい。適切なジイソシアネートの例には、例えば、2,6−トルエンジイソシアネート、2,5−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、メチレンビス(o−クロロフェニルジイソシアネート)、メチレンジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、ポリカルボジイミド−修飾メチレンジフェニレンジイソシアネート、(4,4’−ジイソシアナト−3,3’,5,5’−テトラエチル)ビフェニルメタン、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメトキシビフェニル、5−クロロ−2,4−トルエンジイソシアネート、1−クロロメチル−2,4−ジイソシアナトベンゼンのような芳香族ジイソシアネート、例えば、m−キシレンジイソシアネート、テトラメチル−m−キシレンジイソシアネートのような芳香族−脂肪族ジイソシアネート、例えば、1,4−ジイソシアナトブタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,12−ジイソシアナトドデカン、2−メチル−1,5ジイソシアナトペンタンのような脂肪族ジイソシアネート、並びに、例えば、メチレン−ジシクロヘキシレン−4,4’−ジイソシアネート及び3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)のような脂環式ジイソシアネートが含まれる。耐候性の理由から、概して脂肪族及び脂環式ジイソシアネートが使用される。ある程度の架橋は所望の構造化表面の維持に有用である。1つのアプローチは、2.0より多くの官能基を有するポリイソシアネートを使用することである。1つのとりわけ好適な脂肪族ポリイソシアネートは、Bayer(Pittsburgh,PA)から市販されているDESMODUR N3300Aである。
【0033】
いくつかの実施形態で、構造化層は層の厚さ全体を通して多様な架橋密度を有する。例えば、構造化層の表面はより高い架橋密度であってもよい。100kV〜150kVのような比較的低い電圧の電子ビーム照射を用い、構造化表面フィルムの表面の架橋密度を増すことができる。
【0034】
構造化ポリウレタン層の形成に使用される反応混合物は、触媒もまた含有する。触媒はポリオールとポリイソシアネートの縮合反応を促進する。ウレタンの重合での使用に概して認められている従来の触媒は、本開示での使用に好適であり得る。例えば、アルミニウム系、ビスマス系、スズ系、バナジウム系、亜鉛系、又はジルコニウム系の触媒を使用することができる。スズ系触媒はとりわけ有用である。スズ系触媒は、ポリウレタンに見られるガス放出量を大幅に低減することが分かっている。最も望ましいのは、ジブチルスズジアセテート、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジブチルスズジアセチルアセトネート、ジブチルスズジメルカプチド、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジマレエート、ジブチルスズアセトニルアセトネート及びジブチルスズオキシドのようなジブチルスズ化合物である。Air Products and Chemicals,Inc.(Allentown,PA)から市販されているジラウリン酸ジブチルスズDABCO T−12はとりわけ好適である。触媒は、少なくとも25ppm又は更には1000ppm以上の濃度で概して含まれる。およそ300ppmで合理的な硬化時間が得られる。
【0035】
あるいは、ポリオールとポリイソシアネートとの反応を無触媒で進め、電子ビーム照射によって形成されたフリーラジカルによって架橋を加速することができる。これは、触媒がポリウレタンポリマーの酸化及び光分解に寄与し得ることに関し、有利であり得る。別の実施形態で、反応混合物は上記の好ましい触媒と共に重合されてから更に電子ビーム照射によって架橋される。電子ビーム照射によって達成されるより高い架橋密度は、図1に示すように、例えばとりわけ砂塵によるなどの磨耗に対するポリウレタンの耐久性を増す。電子ビーム照射を制御して、ポリウレタン物品の大部分よりポリウレタン構造化表面の表面で架橋密度を高くすることができる。高い架橋密度は、磨耗による透過損失を最少限にするという望ましい効果を有する。例えば、表面構造化された脂肪族ポリウレタンを120kVで30メガラドの照射量に露出すると、透過損失は3%未満に減る。4〜5%の透過増加は、磨耗前のフラットガラスと比較した実施例の表面構造で測定した。表面構造の実証済みのメリットは、フラットガラスに勝る透過をもたらすことであり、磨耗による透過損失が3%以下であることが望ましい。本発明の実施例の、架橋密度の高い表面構造化されたポリウレタンは、砂塵による磨耗後にフラットガラスより優れた透過を維持する。
【0036】
脂肪族ポリウレタンは紫外線による風化に対する優れた安定性を示すが、紫外線安定剤の添加により、環境に曝露されたときの安定性を更に改善することができる。好適な紫外線安定剤の例としては、紫外線吸収剤(UVA)、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、及び酸化防止剤が含まれる。反応混合物(とりわけポリオール)に可溶性の添加剤を選択することが有用であることが見出された。Ciba(Tarrytown,NY)から入手可能なTINUVIN P、213、234、326、327、328、及び571のようなベンゾトリアゾールUVA、Ciba(Tarrytown,NY)から入手可能なTINUVIN 400及び405のようなヒドロキシルフェニルトリアジン、Ciba(Tarrytown,NY)から入手可能なTINUVIN 123、144、622、765、770のようなHALS、及びCiba(Tarrytown,NY)から入手可能な酸化防止剤IRGANOX 1010、1135及び1076はとりわけ有用である。Ciba(Tarrytown,NY)から入手可能なUVA、HALS、及び酸化防止剤を含有する製品である材料TINUVIN B75もまた好適である。
【0037】
また、構造化ポリウレタン層の形成に使用する反応混合物は、ウレタン重合反応を阻害しない又は形成された構造化ポリウレタン層の光学特性に悪影響を及ぼさない添加剤であるならば、所望により追加的に添加剤を含有することができる。反応混合物の混合、プロセス若しくはコーティングを助けるために、又は形成された構造化ポリウレタン層の最終特性を助けるために、添加剤を添加することができる。添加剤の例としては、ナノ粒子又はそれより大きい粒子を含む粒子、離型剤、低表面エネルギー剤、静電防止剤、並びにアミノシラン及びイソシアネートシランのような結合剤が含まれる。添加剤の組み合わせもまた使用できる。
【0038】
構造化表面は様々な技法によって容易に製造可能である。例えば、製造中に構造を付与することもできる。1つのアプローチでは、構造化表面のためのポリマーは、押出成形又はコーティングされる。構造化表面は、熱、真空、及び/又は圧力を利用するエンボス加工法によって形成可能である。いくつかの実施形態では、反応混合物を構造化工具に適用することが望ましい場合がある。他の技法もまた可能であり、当業者はそれらを容易に思いつくであろう。
【0039】
いくつかの実施形態で、構造化フィルムは、反応混合物層を例えば、エネルギー変換装置のような基材に適用して構造化ポリウレタン層を基材上に作り出すことによって調製される。反応混合物は基材に直接硬化させることができる。このプロセスは多様な異なる方法で達成可能であり、典型的には、透明の基材を供給する工程と、接着を促進するために透明の基材をプライミングする工程と、反応混合物を調製する工程と、反応混合物を透明の基材に適用する工程と、構造化工具を反応混合物に適用する工程と、反応混合物を重合し、工具を取り外して、透明の基材上に構造化ポリウレタン層を形成する工程と、を含むことになる。
【0040】
接着剤を使用して、構造化ポリウレタン層をエネルギー変換装置に接着させることができる。接着剤は多様な形状を取ることができ、感圧性接着剤、熱活性化接着剤、及び構造用接着剤が挙げられる。構造化層の光学特性を阻害せずに、構造化ポリウレタン層を透明の基材に接着する接着剤を選択することが望ましい。概して、有用な構造用接着剤は、透明の基材と構造化ポリウレタン層とに硬化して強い接着結合を形成する反応材料を含有する。構造用接着剤は(例えば、2液型のエポキシ接着剤のように)混合の際に又は(例えば、シアノアクリレート接着剤のように)空気への曝露の際に自ら硬化可能であるが、熱若しくは放射線(例えば、紫外線)の適用によって硬化を引き起こしてもよい。好適な構造用接着剤の例としては、エポキシ、アクリレート、シアノアクリレート、ウレタンなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、構造化ポリウレタン層の調製に使用したのと同じ反応混合物を、接着剤として使用することが望ましい場合がある。1つの利点は、硬化したポリウレタン層がその形成に使用された反応混合物と適合性を有することができることである。
【0041】
好適な熱活性接着剤及び感圧性接着剤の例としては、例えば、天然ゴム接着剤、合成ゴム接着剤、スチレンブロックコポリマー接着剤、ポリビニルエーテル接着剤、アクリル系接着剤、ポリオレフィン及びオレフィンコポリマー接着剤、シリコーン接着剤、ウレタン接着剤、又は尿素接着剤が挙げられる。
【0042】
構造用接着剤か熱活性接着剤か圧力接着剤かに関わらず、接着剤は透明の基材又は硬化した構造化ポリウレタン層のいずれかに適用可能である。接着層を形成するために、接着剤は、グラビアコーティング、カーテンコーティング、スロットコーティング、スピンコーティング、スクリーンコーティング、トランスファーコーティング、ブラシ又はローラーコーティング、スプレーコーティング、並びにインクジェット印刷、ホットメルトコーティングなどのような多様なコーティング技法によって適用可能である。接着層は、連続していても、又は不連続であってもよい。熱活性接着剤を使用する場合、熱を適用して接着層の粘着を高めることができる。接着層が透明の基材上に存在する場合は、硬化した構造化ポリウレタン層をその接着層に適用する。硬化した構造化ポリウレタン層上に接着層が存在する場合は、透明の基材をその接着層と接触させる。いくつかの実施形態では、透明の基材表面と硬化した構造化ポリウレタン層表面との両方に接着剤を適用することが望ましい場合がある。
【0043】
いくつかの実施形態では、プライマーを使用して基材への接着を改善する。例えば、Dow Corning及びMomentive Performance Materialsから入手可能なアミノプロピルシランプライマーを使用して、ガラスへの架橋ポリウレタンの接着を改善することができる。
【0044】
別の実施形態では、構造化ポリウレタン層を液体によってエネルギー変換装置に接着することができる。この実施形態では、基材及び構造化層との液体の表面相互作用を、両方の表面の良好な濡れのために選択する必要がある。このアプローチは、将来いつか構造化ポリウレタン層を容易に取り外すことが望まれる場合は特に有用である。好適な液体の選択もまた考慮することになる(低蒸発率、構造化層及び基材に対する不活性、UV安定性、UVA、HALS及び酸化防止剤、並びに静電防止剤)。
【0045】
加えて、反応混合物を基材上に又は工具上のいずれかにコーティングして基材と工具を共にし、反応混合物を硬化して構造化ポリウレタン層を形成する技法を用いて、複数の構造化ポリウレタン層を単一の透明の基材又は複数の構造化基材上に調製してもよい。そのようなプロセスをバッチ式で又は連続に行うことができる。連続プロセスの例は、複数の透明の基材を下層として用い、ツーリングフィルムを上層として用いて、ノッチバーコーターのようなコーターを用いるものである。反応混合物を透明の基材層上に連続的に導入し、下層がコーターを通過するにつれてツーリングフィルムをこのコーティング上に押圧することができる。
【0046】
図2は本願の一実施形態を示す。アセンブリ20は、構造化層21とエネルギー変換装置22とを備える。構造化層21は、エネルギー変換装置22と接触しており、いくつかの実施形態では、エネルギー変換装置22に直接硬化される。別の実施形態を図3に示す。アセンブリ30は、構造化層31と、フィルム層32と、接着層33と、エネルギー変換装置34とを備える。そのような実施形態では、エネルギー変換装置22及び34は光起電池であり得る。
【0047】
図4は本願の別の実施形態を示す。アセンブリ40は、ガラス42のような透明の基材に接着された構造化層41を備える。ここで、構造化層41とガラス42をエネルギー変換装置44と分離する空隙43が存在する。図5は、本願の別の実施形態を示し、アセンブリ50はフィルム層52上に構造化表面51を備え、接着層53を用いてそれを別のフィルム層54に接着して構造化アセンブリ55が形成される。空隙56は、構造化アセンブリ55をエネルギー変換装置57から分離する。そのような実施形態では、エネルギー変換装置44及び57は太陽熱装置であってよい。
【0048】
エネルギー変換装置、とりわけ構造化層は、外部環境に曝露され得るので、多様な有害条件にさらされやすい。例えば、外部環境への曝露は、構造化層を雨、風、ヒョウ、ユキ、氷、砂の吹きつけなど、構造化表面に外傷を与える可能性のある要素にさらす。加えて、太陽からの熱及びUVへの曝露への長期曝露もまた構造化層の劣化を引き起こす場合がある。高分子有機材料はm紫外線への繰り返しの曝露によって分解されやすい。
【0049】
太陽エネルギー変換装置のような装置では、性能の劣化又は損失を伴わずに材料が何年も機能し得ることが望ましいため、そのような装置の耐候性は概して年数によって測定される。材料は、光透過又は機械的完全性の有意な損失を伴わずに最高20年の屋外曝露に耐え得ることが望ましい。典型的な高分子有機材料は、20年のような長期間にかけて光透過又は機械的完全性の損失を伴わずに屋外曝露に耐えることはできない。
【0050】
典型的には、芳香族分子を含有するポリウレタンは紫外線への曝露により時間経過と共に黄色くなる場合があるので、構造化ポリウレタン層は脂肪族ポリウレタンを含む。加えて、耐候性を更に高めるために、少なくとも1つの紫外線安定剤が構造化ポリウレタン層内に存在する。いくつかの実施形態では紫外線安定剤の組み合わせが使用される。
【実施例】
【0051】
これらの実施例は、単にあくまで例示を目的としたものであり、添付した請求項の範囲を限定することを意味するものではない。本明細書の実施例及びその他の部分における部、百分率、比等は全て、特段の規定がない限り、重量による。
【0052】
(実施例1)
53度の頂角を有するリニアプリズムの「リブレット型」パターンを有する1つの表面を伴うポリプロピレン微細構造化表面フィルムで、3インチ(7.6cm)のコアの周囲を巻いた。Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,NY)から市販されている紫外線吸収剤のブレンド(2.0重量%の「TINUVIN 405」及び1.0重量%の「TINUVIN 123」)と、「DABCO T12」の商標でAir Products(Allentown,PA)から市販されているジブチルジラウリン酸スズ(0.03重量%)をKFLEX 188ポリオール(King Industries,Inc.(Norwalk,Connecticut)から「KFLEX 188」の商標で市販されている)に40℃で予め溶解した。この混合物28gとヘキサメチレンジイソシアネート(Bayer MaterialScience AG(Leverkusen,Germany)から「DESMODUR N3300」の商標で市販されている、平均2.4のイソシアネートを有するヘキサメチレンジイソシアネートの二量体及び三量体)22gとをプラスチックビーカー内で手動攪拌した。全ての成分を40℃に予め熱した。紫外線吸収剤及び触媒の重量%はKFLEX 188及びDesmodur 3300と添加剤に基づく。ポリプロピレンツーリングフィルムの先端を四角くし、光起電力パネルの縁にテープで貼った。流体材料を放出し、ツーリングフィルムの前にポリウレタンの小さい横傾斜を形成した。ツーリングフィルムの長さにかけて、硬化性樹脂を塗布するのに十分な手圧力をコーティングバーに付加した。ポリウレタンを150°F(65.6℃)の炉で30分間硬化させた。ポリウレタンが硬化したらパネルを冷まして室温に戻し、ツーリングフィルムを取り外して、基材上に新しく形成された微細構造化表面を露出した。ガラス片への「KFLEX 188」の「リブレット」構造の直接適用は、反射率を4.19%から0.43%に低下した。
【0053】
平均反射率(%)の測定
プラズマ処理された表面の平均反射率は、PerkinElmer Lamboda 950 UV−VIS−NIR Scanning Spectrophotometerを使用して測定された。各フィルムの1つの試料は、Yamato Black Vinyl Tape #200−38(Yamato International Corporation(Woodhaven,MI)から入手)を試料の裏側に貼り付けることによって調製された。両面からの透過率及び反射率が既定である透明なポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)フィルムを使用して、ブラックテープからの反射率を予め決定した。このブラックテープは、ブラックテープと試料との間に捕らえられた気泡がないことを確実にするためにローラーを用いて試料の裏側へ積層された。積分球検出器によって前面の合計反射率(正反射及び拡散)を測定するために、テープのない側を開口部に対するように、試料を装置内に配置した。8度の入射角で測定された反射率及び平均反射率は、400〜800nmの範囲の波長に関するブラックテープの反射率を引き算することによって計算された。
【0054】
(実施例2)
2%のTinuvin 405 UVA及び1%のTinuvin 123 HALSを有するジブチルジラウリル酸スズ触媒(実施例1と同じ)と共に、脂肪族ポリエステルポリオールKflex 188(King Industries)及びヘキサメチレンジイソシアネート系のポリイソシアネートであるDesmodur N3300(Bayer)をAEE Solar(Redway,CA)からの50ワットの光起電池モジュールの前面に適用した。53度の頂角を有するプリズムを有するポリプロピレンフィルム複製ツールを、混合物の表面上に転がして硬化した。硬化の後、ポリプロピレンプリズムフィルムを取り除いて、微細構造複製表面構造を架橋された脂肪族ウレタン上に残した。ミネソタ州Scandiaの冬至の頃に、この表面構造化されたPVモジュールを、晴れた日の日中の太陽に対して直角に整列した。光起電池モジュールの出力は、携帯型電圧/電流計で測定し、開回路電圧に閉ループ電流をかけることによって計算した後、曲線因子は前面の構造化表面フィルムによって変化されないと想定して、再度、曲線因子0.75をかけた。午前(午前9時)、正午(午後12時)、及び午後(午後3時)にPV電力出力を測定し、その結果を表1の仕様及びモデルと同じ非構造化表面の光起電池モジュール対照と比較した。
【0055】
【表1】

【0056】
(実施例3)
微細構造複製鋳造工具は、53度の頂角を有するダイヤモンドを用いて銅ロールに100マイクロメートルのピッチのリニアプリズム溝を切ることによって製作した。次いで、この金属製微細構造複製鋳造ロールを用いて、溶融ポリプロピレンをこの金属製鋳造ロール工具上に連続的に押出して急冷することによって、「リブレット」の53度リニアプリズムポリプロピレンポリマーフィルム工具を同じパターンで作製した。
【0057】
刻み目のあるバーフラットベッドコーティング装置を次の手順で用いてポリウレタンフィルムを調製した。螺旋ブレードミキサーを用いて、1368gの「KFLEX 188」を288gのTinuvin 405、144gのTinuvin 123、及び4.3gのDabco T12と共に約10分間混合した。このポリオール混合物を60℃の真空炉で15時間脱気してから、プラスチックのA部分配カートリッジに充填し、50℃の温度に保った。Desmodur N3300AをB部分配カートリッジに充填し、同様に50℃の温度に保った。A部とB部の体積測定比が、100:77を有するように可変駆動ポンプを設定した。コーティング工程の前に、長さ12インチ(30.5cm)の静的ミキサーを使用してそれら2つの成分をブレンドした。PMMAフィルムを下方の巻き解き(unwind)の上に載せ、PPリブレットツーリングフィルムを上方の巻き解きの上に載せた。5フィート/分(1.5m/分)のライン速度でフィルムをコーティングした。加熱されたプラテンオーブンは、それぞれの長さが4フィート(1.2m)の5つのゾーンを有する。最初の4つのゾーンの温度は160°F(71℃)に設定し、最後のゾーンを室温に設定した。上のライナーと下のライナーを巻き解く張力及び得られるコーティングされたフィルムを巻き取る張力は、全て20ポンド(89N)に設定した。刻み目のあるバーとフラットベッドによって形成されるニップで挟む2つのライナー間の間隙は、3ミル(0.075mm)に設定した。フィルムをコーティングしてロールに巻いた後、少なくとも3日間室温条件に慣らしてから評価した。硬化後、ポリプロピレンツーリングフィルムを取り外して、「リブレット」微細構造化架橋ポリウレタンをPMMAフィルム上に生成した。
【0058】
ASTM D968−05e1及びASTM D1003を使用して砂塵試験を行い、砂塵にさらされる前及び後の透過率(%)を測定した。3つの試料の平均は、砂塵前は98.5%T、砂塵試験後は89.7%Tであり、8.8%Tの低下であった。
【0059】
次いで、RTVシリコーン接着剤を用いてガラススライドに上述の微細構造化フィルムを積層した。次いで、多層微細構造化積層構成体を表Iに示すようにeビーム放射処置にさらした。次いで、これらのeビームにさらされた多層積層構成体を、ASTM D968−05e1に記載されているように砂塵磨耗試験にさらした。また、これらのeビームにさらされた多層積層構成体の透過率の変化をASTM D1003によって測定した結果を表2に示した。
【0060】
【表2】

【0061】
これらのデータのプロットを図1に示す。
【0062】
(実施例4)
実施例3の耐磨耗性反射防止フィルムの表面の1つに、ケイ酸化アルミニウムとアクリレートポリマーの層を交互にコーティングした。水分バリアコーティングされた耐磨耗性反射防止フィルムは、ASTM 1249に基づき50℃で1日当たり0.005g/mの水蒸気透過率を有すると期待される。
【0063】
(実施例5)
実施例4の耐磨耗性反射防止フィルムをCIGS可撓性光起電池に適用した。アルミニウムホイルのような別の水分バリア層フィルムを、可撓性光起電池の裏面にカプセル材料で貼り付けた得られた可撓性のセレン化銅インジウムガリウム(CIGS)光起電池モジュールには、10年を超える耐久性が期待される。
【0064】
本発明の趣旨及び範囲から逸脱しない、本発明の様々な修正及び変更が、当業者には明らかとなるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽エネルギー変換装置と、
前記エネルギー変換装置に隣接する非集光型構造化層とを備え、
前記構造化層が、
架橋された反応混合物を含み、前記混合物がポリオールとポリイソシアネートと触媒とを含み、かつ
少なくとも1つの紫外線安定剤を含む、エネルギー変換アセンブリ。
【請求項2】
前記構造化層が構造化表面を有し、前記構造化表面が反応混合物を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記構造化層が、前記エネルギー変換装置に対向する構造化表面を有し、前記構造化表面が反射防止性である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記構造化層が、一連の不均一な構造物を備える構造化表面を備える、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記表面にかけて前記構造物が法線から30度未満の平均勾配である、請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記構造化層が、一連の構造物を備える構造化表面を備え、前記構造物が前記表面に垂直な1つの次元において実質的に対称である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記太陽エネルギー変換装置が光起電池である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記太陽エネルギー変換装置が熱吸収装置である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記構造化層が前記エネルギー装置層と接触している、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記構造化層が前記エネルギー装置層上に直接硬化される、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記エネルギー変換装置が平らな面を有する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記エネルギー変換装置が曲面を有する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記曲面がチューブである、請求項12に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記曲面が太陽エネルギー変換装置を包囲する、請求項12に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記構造化層が脂肪族ポリウレタンを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記少なくとも1つの紫外線安定剤が、紫外線吸収剤(UVA)、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、酸化防止剤、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記紫外線安定剤がトリアジンを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記構造化層が、粒子、防カビ剤、抗真菌剤、泡止め剤、静電防止剤、結合剤、離型剤、汚れ防止剤、及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの追加的な添加剤を更に含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記構造化層が一連の構造物を備える構造化表面を備え、前記構造物が60度未満の頂角を有する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記構造化層が一連の構造物を備える構造化表面を備え、前記構造物が50度未満の頂角を有する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項21】
前記構造化層が一連の構造物を備える構造化表面を備え、前記構造物が40度未満の頂角を有する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項22】
前記ポリオールがシクロヘキサノール単位を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項23】
前記シクロヘキサノール単位がシクロヘキサンジメタノールである、請求項22に記載のアセンブリ。
【請求項24】
前記非集光型構造化層が、より高い架橋密度を前記フィルム面の表面に有する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項25】
前記非集光型構造化層が、水分バリアコーティングでコーティングされる、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項26】
前記水分バリアコーティングされた非集光型構造化層が、光起電池に取り付けられる、請求項25に記載のアセンブリ。
【請求項27】
前記光起電池が、自動車、飛行機、列車、船、レクリエーション輸送手段、又は人力車に取り付けられる、請求項7に記載のアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−509001(P2013−509001A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536871(P2012−536871)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/053039
【国際公開番号】WO2011/056401
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】