説明

構造明確なコンドロイチン4−硫酸及びその製造法

【課題】 N-アセチルガラクトサミンユニットの4位に硫酸基が100%結合しており、かつ、D-グルクロン酸ユニットも含めて他に硫酸基が結合していない構造明確なコンドロイチン4-硫酸及びその製造法の提供。
【解決手段】 (1)下記式(I)で表されるオキサゾリン誘導体にヒアルロン酸分解酵素を作用せしめることを特徴とする構造明確なコンドロイチン4-硫酸の製造法、(2)ヒアルロン酸分解酵素がほ乳類由来のヒアルロニダーゼであることを特徴とする(1)記載の構造明確なコンドロイチン4-硫酸の製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒアルロン酸分解酵素を利用した構造明確なコンドロイチン4-硫酸の酵素的製造法及び得られる構造明確なコンドロイチン4-硫酸に関する。更に詳しくは、ヒアルロン酸分解酵素であるほ乳類由来のヒアルロニダーゼを触媒とし、下記一般式(I)で表されるオキサゾリン誘導体をモノマー基質として酵素的に重合させてコンドロイチン4-硫酸を製造する方法及び得られる構造明確なコンドロイチン4-硫酸に関する。
【化3】

【背景技術】
【0002】
医薬品,化粧品,健康食品や食品添加物等に利用されているコンドロイチン硫酸は、サメやクジラの軟骨に多く含まれており、工業的にはこれらからの抽出により製造されている。また、牛や豚の気管からの抽出による製造法も実用化されている。しかし、これらの方法は、天然物からの抽出によるものであるため夾雑物が多く、コンドロイチン硫酸含有率が低い製品がほとんどである。また、医薬品用等の高純度品を得るためには、さらに多くの精製工程を要する。
加えて、天然物由来のコンドロイチン硫酸は硫酸基の分子内分布が不均一であることが知られている。一般的なコンドロイチン硫酸は、N-アセチルガラクトサミンの4位に硫酸基が結合したコンドロイチン4-硫酸構造と6位に結合したコンドロイチン6-硫酸構造が同一鎖中に存在しており、その割合も由来により様々である。他に、D-グルクロン酸の2位又は3位に硫酸基が結合したコンドロイチン硫酸や、コンドロイチン硫酸を構成する二糖ユニット中に複数の硫酸基を有するコンドロイチンポリ硫酸も存在する。
【0003】
一方、グリコサミノグリカンの一種であるコンドロイチン硫酸は、生体中タンパクと共有結合したプロテオグリカンとして存在し、生理活性物質として重要な役割を果たしている。コンドロイチン硫酸の硫酸基の位置及び硫酸化度は組織やその発達段階により大きく異なっており、硫酸化の程度とパターンがコンドロイチン硫酸の機能に大きく影響をしていると推察されている。しかし、硫酸基に由来する構造多様性のため、これまではコンドロイチン硫酸の分子レベルでの機能解明は困難であり、遅々として進んでいない。
【0004】
コンドロイチン4-硫酸(別名:コンドロイチン硫酸A)は、D-グルクロン酸と4位に硫酸基が結合したN-アセチルガラクトサミンの二糖が直鎖状に交互に結合した枝分かれのない高分子多糖である。一般的に、天然由来のコンドロイチン硫酸は上記のように硫酸基の分子内分布が不均一であり、コンドロイチン硫酸Aと称して販売されている研究用試薬でも分子内にN-アセチルガラクトサミンの6位に硫酸基が結合したコンドロイチン6-硫酸構造を10%以上有していることが知られている。したがって、コンドロイチン硫酸の硫酸基の機能解明に用いるには不十分であり、二糖繰り返し単位毎に特定の位置に必ず硫酸基が存在する構造明確なコンドロイチン硫酸の合成法の開発が期待されていた。
【0005】
しかしながら、従来のコンドロイチン硫酸の製造方法である天然材料からの抽出法では、原理的に構造明確なコンドロイチン硫酸の合成が不可能であることは明らかである。一方、特許文献1には、他の手法で得られた多糖の化学的修飾によるコンドロイチン硫酸の合成方法が開示されているが、コンドロイチン4-硫酸構造が最高で71%(硫酸基無しが7%,4位と6位が共に硫酸化された二硫酸構造が18%)、コンドロイチン6-硫酸構造が最高で71%(硫酸基無しが7%,4位と6位が共に硫酸化された二硫酸構造が18%)と、構造明確なコンドロイチン硫酸合成手法とは言い難い成績である。また、非特許文献1には、単糖誘導体からの有機合成によりN-アセチルガラクトサミンの4位と6位が共に硫酸化されているコンドロイチン硫酸Eの構造を有するオリゴ糖の合成を行った例も知られているが、最高で四糖と分子量が小さい上に、還元末端の構造が天然とは異なる化合物である。
従って、構造明確なコンドロイチン硫酸の合成の開発は幾多の試行の結果においても、これまで達成されていないという課題があった。
【特許文献1】USP 2003/0100534 A1
【非特許文献1】Sarah E.TullyらJ.Am.Chem.Soc.,126,7736(2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記の問題に鑑み、実用レベルにおいても有用性の高い構造明確で高分子量のコンドロイチン硫酸の製造法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ヒアルロン酸分解酵素を用いた酵素化学的手法による構造明確なコンドロイチン4-硫酸の新規な製造法を初めて見出した。
更に詳しくは、本発明者らは酵素化学的手法による構造明確なコンドロイチン4-硫酸の製造研究において、本来ヒアルロン酸を分解する酵素として知られているヒアルロニダーゼを酵素重合触媒とし、前出の一般式(I)で表されるコンドロシンオキサゾリン誘導体をモノマー基質とした場合に、モノマー基質が酵素的に重合されて高分子量の構造明確なコンドロイチン4-硫酸が収率よく生成することを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記一般式(I)で表されるオキサゾリン誘導体を基質モノマーとして、(1)基質モノマーにヒアルロン酸分解酵素を作用せしめることを特徴とする構造明確なコンドロイチン4-硫酸の製造法、(2)ヒアルロン酸分解酵素がほ乳類由来のヒアルロニダーゼであることを特徴とする(1)記載の構造明確なコンドロイチン4-硫酸の製造法、(3)ヒアルロン酸分解酵素がウシ睾丸由来ヒアルロニダーゼあるいは羊睾丸由来ヒアルロニダーゼであることを特徴とする(2)記載の構造明確なコンドロイチン4-硫酸の製造法、(4)基質モノマーにヒアルロン酸分解酵素を作用せしめるにあたり、pHを6〜9に調整することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の構造明確なコンドロイチン4-硫酸の製造法、(5)(1)〜(4)のいずれかの方法で製造されたN-アセチルガラクトサミンユニットの4位に硫酸基が100%結合しており、かつ、D-グルクロン酸ユニットも含めて他に硫酸基が結合していない構造明確なコンドロイチン4-硫酸、である。
【化4】

【発明の効果】
【0009】
本発明の酵素化学的コンドロイチン4-硫酸の製造法は、従来より工業的に用いられてきた生体材料からの抽出法に比較して簡便な合成法であり、且つ、反応液からの生成物の単離精製も容易である。また、生体材料からの抽出法により得られるコンドロイチン硫酸は硫酸基の分子内分布が不均一であるのに比較して、本発明のコンドロイチン4-硫酸はN-アセチルガラクトサミンユニットの4位に硫酸基が100%結合しており、かつ、D-グルクロン酸ユニットも含めて他に硫酸基が結合していない構造明確なコンドロイチン4-硫酸であるためコンドロイチン4-硫酸の標準物質に用いることができる。更に、コンドロイチン硫酸の分子レベルでの機能解明に有用なツールとしてなりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、さらに詳しく本発明を説明する。
本発明で使用する基質モノマーの合成手法を、図1に示す合成スキーム中のコンドロシンオキサゾリン誘導体(1)の合成を例として、その手順の一例を以下に記す。
すなわち、メチル(2,3,4-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシル トリクロロアセトイミデート)ウロネート(3)を糖供与体、ベンジル 2-アジド-4,6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノシド(4)を糖受容体として用い、ジクロロメタン中、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(TMSOTf)を活性化剤として、アルゴン雰囲気下-20℃にて反応させることにより、ベンジル 2-アジド-4,6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-3-O-(メチル 2,3,4-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-β-D-ガラクトピラノシド(5)を合成する。5をチオ酢酸に溶解させ、乾燥雰囲気下室温で反応させることにより、ベンジル 2-アセトアミド-4,6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-3-O-(メチル 2,3,4-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-β-D-ガラクトピラノシド(6)を合成する。6を酢酸と水の混合溶媒に溶解させ、80℃で撹拌し、ベンジル 2-アセトアミド-2-デオキシ-3-O-(メチル 2,3,4-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-β-D-ガラクトピラノシドを得る。続いてピリジン中、アルゴン雰囲気下、塩化アセチルを-40℃で滴下して得られた反応物を精製後、ジメチルホルムアミドに溶解させ、三酸化硫黄トリメチルアミンコンプレックスを添加し、アルゴン雰囲気下、50℃にて反応させ、トリエチルアンモニウム ベンジル 2-アセトアミド-6-O-アセチル-2-デオキシ-3-O-(メチル 2,3,4-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-4-O-スルフォネート-β-D-ガラクトピラノシド(7)を得る。7を脱水メタノール中、水素雰囲気下で10%水酸化パラジウム炭素を触媒とする接触水素還元によりベンジル基の脱保護を行い、続いて脱水ジクロロメタン中、アルゴン雰囲気下、トリエチルアミン,ジアミノピリジン,塩化トシルを加えて反応させることにより、2-メチル-[トリエチルアンモニウム 6-O-アセチル-1,2-ジデオキシ-3-O-(メチル 2,3,4-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-4-O-スルフォネート-α-D-ガラクトピラノ]-[2,1-d]-2-オキサゾリン(8)を得る。続いてメタノール中、水酸化ナトリウム水溶液を0℃にて滴下撹拌後、精製することにより、目的とする基質モノマーである 2-メチル-[ソジウム 1,2-ジデオキシ-3-O-(ソジウム β-D-グルコピラノシルウロネート)-4-O-スルフォネート-α-D-ガラクトピラノ]-[2,1-d]-2-オキサゾリン(1)を得ることができる。
【0011】
基質モノマーは、フリーの酸、ナトリウム,カリウム等の金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩等の形であれば特に限定されない。生成するコンドロイチン4-硫酸は、基質モノマーの塩の形態に依存し、フリーな酸あるいはナトリウム,カリウム等の金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩などの形態が含まれる。
【0012】
かくして得られるコンドロシンオキサゾリン誘導体は重合触媒としてのヒアルロン酸分解酵素の基質モノマーとして好適に使用される。酵素反応時の基質モノマー濃度は実用面から0.1%以上、好ましくは1%以上で用いられる。反応pHは5〜10、望ましくは6〜9が好適に採用される。反応温度は0℃〜50℃、通常は5℃〜40℃が好適に用いられる。
【0013】
使用するヒアルロン酸分解酵素としては、ほ乳類由来のヒアルロニダーゼが好ましく、具体的にはエンド-β-N-アセチルヘキソサミダーゼ(EC3.2.1.35)に分類されるウシ睾丸由来又は羊睾丸由来ヒアルロニダーゼなどが好適であり、該酵素を適当な担体に固定化した固定化酵素の形態で使用することも可能である。バッチ反応あるいは連続反応形式いずれも採用される。
【0014】
反応は水溶媒あるいは水溶媒にメタノール、エタノール、n-プロパノール等のアルコール類、グリセリン、ポリエチレングリコール等のポリオール類、ジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド、酢酸エチル、ジオキサン、反応に悪影響を及ぼさない各種無機塩類又はpH緩衝剤等を適宜添加した条件下でも進行する。
【0015】
上記条件下でバッチ反応を開始した場合、条件によって一概に規定できないが、数時間〜数日で反応は完了する。反応終了後、反応液を遠心分離、限外濾過、精密濾過、各種吸着カラム、溶媒沈殿及びクロマト分離などの公知精製手段を組み合わせることで高純度のコンドロイチン4-硫酸(2)を単離精製することが出来る。
分子量に関しては、基質モノマーの酵素触媒による重合反応時の条件を制御することにより様々な分子量のコンドロイチン4-硫酸を得ることが可能である。また、コンドロイチン4-硫酸を分解する酵素を用いた低分子量化も可能である。
【0016】
一般式(I)で表されるコンドロシンオキサゾリン誘導体を基質モノマーとしたヒアルロン酸分解酵素を用いた重合反応によりコンドロイチン4-硫酸が得られるのに対し、下記一般式(II)で表されるコンドロシンオキサゾリン誘導体を用いた反応を同様な方法にて行っても、重合生成物は観察されない。
【化5】

一般式(II)で表されるコンドロシンオキサゾリン誘導体が一般式(I)の基質モノマーと同様に重合した場合にはコンドロイチン6-硫酸が得られるはずである。
従って、本発明と同様な方法にて、基質モノマーであるコンドロシンオキサゾリン誘導体の硫酸基の位置のみを変えてコンドロイチン6-硫酸を合成することは不可能と考えられる。
【0017】
以下に本発明の詳細な内容について実施例で説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0018】
ベンジル 2-アジド-4,6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-3-O-(メチル 2,3,4-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-β-D-ガラクトピラノシド(5)の合成
ベンジル 2-アジド-4,6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノシド(190mg,0.488mmol)とメチル(2,3,4-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシル トリクロロアセトイミデート)ウロネート(280 mg,0.585mmol)を脱水ジクロロメタン(5.00ml)に溶解させ、モレキュラーシーブス4A(MS4A;1.00g)を加え、アルゴン雰囲気下、-20℃で30分撹拌した。これにトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(TMSOTf;0.106ml,0.585mmol)を脱水ジクロロメタン(1.00 ml)で希釈したものを-20℃で滴下し、1時間撹拌した。反応終了後トリエチルアミン(0.100ml)を加え、セライト濾過によりMS4Aを除去し、濾液をクロロホルムで希釈した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順に洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、硫酸マグネシウムをセライト濾過により除去し、濾液を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:n-ヘキサン/酢酸エチル=3/1-1/1)にて精製し、白色結晶状のベンジル 2-アジド-4,6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-3-O-(メチル 2,3,4-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-β-D-ガラクトピラノシド(270mg,0.386mmol,収率79%)を得た。
分析データは、以下の通りである。
[α]D -10°(c=1.0,CHCl3
1H NMR(400MHz,CDCl3,TMS):δ(ppm);7.54-7.52(2H, m, aromatic),7.38-7.31(8H,m,aromatic),5.56(1H,s,PhCH),5.26-5.22(2H,m,H-3’,H-4’),5.06(1H,dd,H-2’,J1',2'=7.52Hz,J2',3'=8.52Hz),4.99(1H,d,PhCH2,J=11.60Hz),4.92(1H,d,H-1’,J1',2'=7.52Hz),4.69(1H,d,PhCH2,J=11.60Hz),4.37-4.29(3H,m,H-6a,H-1,H-4),4.09-4.02(2H,m,H-6b,H-5’),3.88(1H,dd,H-2,J1,2 =8.04Hz,J2,3 =10.5Hz),3.72(3H,s,COOCH3),3.49(1H,dd,H-3,J2,3 =10.50Hz,J3,4 =3.52Hz),3.37(1H,s,H-5),2.06-2.01(9H,m,Ac)
High resolution FAB MS:計算値 [M+H]+=700.2354 m/z(C33H38N3O14
実測値 700.2357 m/z(+0.5ppm)
【実施例2】
【0019】
ベンジル 2-アセトアミド-4,6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-3-O-(メチル 2,3,4-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-β-D-ガラクトピラノシド(6)の合成
ベンジル 2-アジド-4,6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-3-O-(メチル 2,3,4-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-β-D-ガラクトピラノシド(250mg,0.358mmol)をチオ酢酸(2.50ml)に溶解させ、乾燥雰囲気下、室温で24時間反応させた。反応終了後、反応溶液を減圧留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:トルエン/酢酸エチル=1/0-1/3)にて精製し、白色結晶状のベンジル 2-アセトアミド-4,6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-3-O-(メチル 2,3,4-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-β-D-ガラクトピラノシド(220mg,0.307mmol,収率86%)を得た。
分析データは、以下の通りである。
[α]D -9.0°(c=1.0,CHCl3
1H NMR(400MHz,CDCl3,TMS):δ(ppm);7.57-7.52(2H,m,aromatic),7.37-7.30(8H,m,aromatic),5.75(1H,d,NH,JNH,2=7.03Hz),5.57(1H,s,PhCH),5.23-5.19(3H,m,H-4’,H-3’,H-1),5.01(1H,t,H-2’,J1',2'=J2',3'=8.29Hz),4.96-4.91(2H,m,PhCH2,H-1’),4.79(1H,dd,H-3,J2,3=11.5Hz,J3,4=3.53Hz),4.56(1H,d,PhCH2,J=12.10Hz),4.38-4.35(2H,m,H-6a,H-4),4.10(1H,dd,H-6b,J5,6b=1.51Hz,J6a,6b=11.80Hz),4.01(1H,d,H-5’,J4',5'=9.54Hz),3.69(3H,s,COOCH3),3.52-3.46(2H,m,H-2,H-5),2.02-2.01(9H,m,CH3CO),1.92(3H,s,CH3CONH)
High resolution FAB MS:計算値 [M+H]+=716.2554 m/z(C35H42NO15
実測値 716.2554 m/z(+0.0ppm)
【実施例3】
【0020】
トリエチルアンモニウム ベンジル 2-アセトアミド-6-O-アセチル-2-デオキシ-3-O-(メチル 2,3,4-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-4-O-スルフォネート-β-D-ガラクトピラノシド(7)の合成
ベンジル 2-アセトアミド-4,6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-3-O-(メチル 2,3,4-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-β-D-ガラクトピラノシド(696mg,0.972mmol)を酢酸(16.0ml)と水(4.00ml)の混合溶媒に溶解させ、80℃で1時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホルム/メタノール=20/1-15/1)にて精製し、ベンジル 2-アセトアミド-2-デオキシ-3-O-(メチル 2,3,4-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-β-D-ガラクトピラノシド(505mg,0.806mmol,収率87%)を得た。次に、得られた化合物(505mg,0.806mmol)をピリジン(10.0ml)に溶解させ、アルゴン雰囲気下、塩化アセチル(0.070ml,0.967mmol)を-40℃で滴下し、1.5時間反応させた後、さらに、塩化アセチル(0.035ml,0.484mmol)を滴下し、1.5時間反応させた。反応終了後、アルゴン雰囲気下、メタノール(2.00ml)を-40℃で滴下し、反応溶液を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/3-0/1)にて精製した。次に、得られた化合物をジメチルホルムアミド(10.0ml)に溶かし、三酸化硫黄トリメチルアミンコンプレックス(0.895g,6.432mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、50℃で一晩反応させた。反応終了後、メタノール(2.00ml)を加え、反応溶液を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホルム/メタノール20/1-10/1,トリエチルアミン 0.5%(v/v))にて精製し、無色非晶状のトリエチルアンモニウム ベンジル 2-アセトアミド-6-O-アセチル-2-デオキシ-3-O-(メチル 2,3,4-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-4-O-スルフォネート-β-D-ガラクトピラノシド(669mg,0.785mmol,収率80%)を得た。
分析データは、以下の通りである。
[α]D22 -26°(c=1.0,CHCl3
1H NMR(400MHz,CDCl3,TMS):δ(ppm);9.50 (1H, s, NHCH2CH3), 7.35-.7.28 (5H, m, aromatic), 6.20 (1H, br, NHCOOCH3), 5.23 (1H, t, H-3’, J2’,3’ =J3’,4’ =9.03 Hz), 5.16 (1H, t, H-4’, J3’,4’ = J4’,5’ =9.03 Hz), 5.01-4.98 (2H, m, H-2’, H-1’), 4.83 (1H, d, PhCH2, J=11.54 Hz), 4.79 (1H, s, H-4), 4.70 (1H, d, H-1, J1,2 =7.53Hz), 4.59 (1H, d, PhCH2, J=11.54Hz), 4.49-4.43 (2H, m, H-6), 4.27 (1H, d, H-3, J2,3=9.54 Hz), 4.14 (1H, d, H-5’, J4’,5’ =9.54 Hz), 3.91-3.87 (2H, m, H-2, H-5), 3.73 (3H, s, COOCH3), 3.18 (2H, q, NHCH2CH3, J=7.03 Hz), 2.08-1.94 (15H, m, CH3CO), 1.35 (3H, t, NHCH2CH3, J=7.03 Hz)
High resolution FAB MS:計算値 [M+H]+=851.3120 m/z(C36H55N2O19S)
実測値 851.3112 m/z(-1.0ppm)
【実施例4】
【0021】
2-メチル-[トリエチルアンモニウム 6-O-アセチル-1,2-ジデオキシ-3-O-(メチル 2,3,4-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-4-O-スルフォネート-α-D-ガラクトピラノ]-[2,1-d]-2-オキサゾリン(8)の合成
トリエチルアンモニウム ベンジル 2-アセトアミド-6-O-アセチル-2-デオキシ-3-O-(メチル 2,3,4-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-4-O-スルフォネート-β-D-ガラクトピラノシド(213mg,0.250mmol)をメタノール(20.0ml)に溶解させ、10%水酸化パラジウム炭素(133mg)を加え、室温で水素雰囲気下、2時間撹拌した。反応終了後、反応溶液をセライト濾過することにより10%水酸化パラジウム炭素を除去し、濾液を減圧留去した。得られた残渣を減圧下、一晩乾燥させ、得られた残渣を脱水ジクロロメタン(10.0ml)に溶解させ、室温でトリエチルアミン(0.060ml,0.230mmol)、ジメチルアミノピリジン(30.0 mg,0.138mmol)、塩化トシル(94.0mg,0.276mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、室温で9時間撹拌した後、さらに、室温でトリエチルアミン(0.060ml,0.230mmol)、ジメチルアミノピリジン(30.0mg,0.138mmol)、塩化トシル(94.0mg,0.276mmol)を加え、室温で一晩反応させた。反応終了後、反応溶液を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホルム/メタノール=20/1,トリエチルアミン 0.5%)、続いてSephadex LH-20(アマシャムバイオサイエンス(株)製)を用いたサイズ排除カラムクロマトグラフィー(移動相:メタノール,トリエチルアミン 1%)、最後にシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホルム/メタノール=20/1,トリエチルアミン 0.5%)により精製し、無色非晶状の2-メチル-[トリエチルアンモニウム 6-O-アセチル-1,2-ジデオキシ-3-O-(メチル 2,3,4-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-4-O-スルフォネート-α-D-ガラクトピラノ]-[2,1-d]-2-オキサゾリン(100mg,0.135mmol,収率54%)を得た。
分析データは、以下の通りである。
[α]D24 +4.6°(c=0.68,CHCl3
1H NMR(400MHz,CDCl3,TMS):δ(ppm);9.45 (1H, s, NHCH2CH3), 5.93 (1H, d, H-1, J1,2=6.53Hz), 5.27 (1H, t, H-3’, J2’,3’ =J3’,4’ =9.03 Hz), 5.20 (1H, t, H-4’, J3’,4’ = J4’,5’ =9.03 Hz), 5.15 (1H, d, H-1’, J1’,2’ =7.53Hz), 4.97 (H, dd, H-2’, J1’,2’ =7.53Hz, J2’,3’ =9.03 Hz), 4.81 (1H, dd, H-4, J3,4=4.52 Hz, J4,5=3.01 Hz), 4.48 (1H, dd, H-6a, J5,6a=3.51 Hz, J6a,6b=12.55 Hz), 4.39 (1H, dd, H-6b, J5,6b=9.04 Hz, J6a,6b=12.55 Hz), 4.24 (1H, ddd, H-5, J4,5=3.01 Hz, J5,6a=3.51 Hz, J5,6b=9.04 Hz), 4.20 (1H, dd, H-3, J2,3=5.52 Hz, J3,4=4.52 Hz), 4.11 (1H, d, H-5’, J4’,5’ =9.03 Hz), 4.07 (1H, dd, H-2, J1,2=6.53Hz, J2,3=5.52 Hz), 3.75 (3H, s, COOCH3), 3.19 (2H, q, NHCH2CH3, J=7.03 Hz), 2.07-2.00 (15H, m, CH3CO), 1.38 (3H, t, NHCH2CH3, J=7.03 Hz)
High resolution FAB MS:計算値 [M+H]+=743.2544 m/z(C29H47N2O18S)
実測値 743.2529 m/z(-2.1ppm)
【実施例5】
【0022】
2-メチル-[ソディウム 1,2-ジデオキシ-3-O-(ソディウム β-D-グルコピラノシルウロネート)-4-O-スルフォネート-α-D-ガラクトピラノ]-[2,1-d]-2-オキサゾリン(1)の合成
2-メチル-[トリエチルアンモニウム 6-O-アセチル-1,2-ジデオキシ-3-O-(メチル 2,3,4-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-4-O-スルフォネート-α-D-ガラクトピラノ]-[2,1-d]-2-オキサゾリン(75mg,0.101mmol)をメタノール(3.00ml)に溶解させ、1N 水酸化ナトリウム水溶液(0.303mL,0.303mmol)を0℃にて滴下し、1時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を減圧留去し、凍結乾燥させた。続いて水に溶解させ、DOWEX 50W-X8(ダウ・ケミカル社製)を加えて溶液のpHが約8になるよう調節した後に、DOWEX 50W-X8を濾過により取り除き、再び凍結乾燥させ、2-メチル-[ソディウム 1,2-ジデオキシ-3-O-(ソディウム β-D-グルコピラノシルウロネート)-4-O-スルフォネート-α-D-ガラクトピラノ]-[2,1-d]-2-オキサゾリン(41mg,純度92%)を得た。
分析データは、以下の通りである。
1H NMR(400MHz,D2O,Acetone):δ(ppm);5.89(1H, d, H-1, J1,2=6.02 Hz), 4.53 (1H, d, H-1’, J1’,2’ =8.03 Hz), 3.92-3.88 (3H, m, H-3, H-6a, H-5), 3.65-3.57 (2H, m, H-2, H-6b), 3.50 (1H, d, H-5’, J4’,5’ =9.04 Hz), 3.36-3.30 (2H, m, H-4’, H-3’), 3.19 (1H, dd, H-2’, J1’,2’=8.03 Hz, J2’,3’=8.53 Hz), 1.84 (3H, s, CH3C of oxazoline)
High resolution FAB MS:計算値 [M+Na]+=526.0219 m/z(C14H19NNa3O14S)
実測値 526.0288 m/z(+1.6ppm)
【実施例6】
【0023】
酵素触媒重合によるコンドロイチン4-硫酸の合成
基質モノマーである2-メチル-[ソディウム 1,2-ジデオキシ-3-O-(ソディウム β-D-グルコピラノシルウロネート)-4-O-スルフォネート-α-D-ガラクトピラノ]-[2,1-d]-2-オキサゾリン(5.00mg,9.93μmol)をリン酸緩衝液(50mM,pH 7.5,99μl)に溶解させ、羊精巣由来ヒアルロニダーゼ(SIGMA社製,製品番号:H6254,3720units/mg,以降、OTHと記す)を0.500mg加え、30℃で1.5時間反応を行った。反応終了後、反応液を90℃の湯浴中にて3分間加温することにより酵素を失活させた後、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)測定により重合生成物の収率と分子量を算出した。重合生成物と基質モノマーの加水分解物の面積比から算出した収率は79%,分子量マーカーとしてヒアルロン酸ナトリウム塩(Mn=800,2000,4000,50000)を用いて作成した検量線を用いて算出した分子量はMn=7200であった。SEC測定条件を以下に示す。
SEC条件
検出器 :示差検出計
カラム :Shodex OHpak SB-804HQ
カラム温度:40℃
移動相 :0.1M 硝酸ナトリウム
流量 :0.5ml/min
上記の反応液から、SEC測定と同じ条件で重合生成物の分取を行い、続いてSephadex G-10(アマシャムバイオサイエンス社製)を用いたサイズ排除クロマトグラフィー(移動相:純水)による脱塩を行い、コンドロイチン4-硫酸を精製した。得られたコンドロイチン4-硫酸の1H NMRスペクトルを図2に、13C NMRスペクトルを図3に示す。これらのスペクトルから、重合生成物は基質モノマーが位置・立体選択的開環重付加したコンドロイチン4-硫酸であり、さらに、二糖繰り返し単位のN-アセチルガラクトサミンユニットの4位に硫酸基が100%結合しており、かつ、D-グルクロン酸ユニットも含めて他に硫酸基が結合していない構造明確なコンドロイチン4-硫酸であることがわかった。
NMRスペクトルのピークの帰属は、以下の通りである。
1H NMR(400MHz,D2O,Acetone):δ(ppm);4.56 (1H, s, H-4), 4.38 (1H, d, H-1, J1,2 =6.52 Hz), 4.27 (1H, d, H-1’, J1’,2’=7.04 Hz) , 3.85-3.83 (2H, m, H-2, H-3), 3.63-3.57 (4H, m, H-6, H-5, H-4’), 3.47 (1H, d, H-5’, J4’,5’=9.04 Hz), 3.39 (1H, t, H-3’, J2’,3’= J3’,4’=7.04 Hz), 3.18 (1H, t, H-2’, J1’,2’= J2’,3’=7.04 Hz), 1.84 (3H, m, CH3CO)
13C NMR(100MHz,D2O,Acetone):δ(ppm);174.58 (C-6’), 174.07 (CH3CO), 103.35 (C-1’), 100.49 (C-1), 79.98 (C-4’), 76.28 (C-5’), 76.16 (C-4), 75.21 (C-3), 74.14 (C-5), 73.09 (C-3’), 71.82 (C-2’), 60.58 (C-6), 51.06 (C-2), 22.09 (CH3CO)
比較例1
【0024】
市販のコンドロイチン硫酸Aナトリウム塩(生化学工業社製,クジラ軟骨由来,SSG)のNMR分析を行った。本品の試薬情報には、「コンドロイチン硫酸Aはコンドロイチン4-硫酸構造を主として、コンドロイチン-6硫酸構造をも含むムコ多糖で、本品はクジラ軟骨をアルカリ抽出後、プロテアーゼ消化し、アルコール分画を行い、さらにSchillerのクロマトグラフィー法により高純度精製された製品です。」との説明に加え、一般的性質として「モル比(4-硫酸/6-硫酸) 80/20 Enzymatic analysis」と記載されている。1H NMRスペクトルを図4に、13C NMRスペクトルを図5に示す。これらのスペクトルから、本品は二糖繰り返し単位のN-アセチルガラクトサミンユニットの4位に硫酸基が結合している以外に、6位に硫酸基が結合している構造も一部有していることが確認された。
NMRスペクトルのピークの帰属は、以下の通りである。
1H NMR(400MHz,D2O,Acetone):δ(ppm);4.56 (1H, s, H-4), 4.36 (1H, br, H-1), 4.28 (1H, br, H-1’), 4.02-3.99 (2H, br, H-4, H-6 of 6-sulfated unit), 3.83(2H, m, H-2, H-3), 3.63-3.60 (4H, m, H-6, H-5, H-4’), 3.48 (1H, br, H-5’), 3.39 (1H, br, H-3’), 3.18 (1H, br, H-2’), 1.84-1.83 (3H, m, CH3CO).
13C NMR (100 MHz, D2O, acetone) d (ppm); 174.51 (C-6’), 174.01 (CH3CO), 103.25 (C-1’), 100.37 (C-1), 79.90 (C-4’), 76.12 (C-5’), 75.88 (C-4), 75.13 (C-3), 74.05 (C-5), 73.02 (C-3’), 71.75 (C-2’), 60.51 (C-6), 51.01 (C-2), 22.05 (CH3CO)
比較例2
【0025】
酵素触媒重合によるコンドロイチン6-硫酸の合成が可能であるかの検証
下記の化合物(III)を合成し、これを基質モノマーとして用いた以外は実施例6と同様の反応及び分析を行ったところ、重合生成物は観察されなかった。
【化6】

【実施例7】
【0026】
種々の酵素を用いたコンドロイチン4-硫酸の合成
重合反応における触媒酵素として、OTH又は牛精巣由来ヒアルロニダーゼ(SIGMA社製,製品番号:H3884,1010units/mg,以降、BTHと記す)を用い、反応時間をOTHは1.5時間、BTHは48時間とした以外は実施例6と同様の反応及び分析を行った結果を表1に示す。
【0027】
【表1】

【実施例8】
【0028】
コンドロイチン4-硫酸合成における反応pHの影響
重合反応において、触媒酵素としてOTHを用い、表2中に示す反応時間とし、表2中に示すpHのリン酸緩衝液を用いることにより反応pHを変更した以外は実施例6と同様の反応及び分析を行った結果を表2に示す。
【0029】
【表2】

【実施例9】
【0030】
コンドロイチン4-硫酸合成における酵素濃度の影響
重合反応において、触媒酵素であるOTHの添加量と反応時間を表3に記載の条件に変更した以外は、実施例6と同様の反応及び分析を行った結果を表3に示す。
【0031】
【表3】

【実施例10】
【0032】
コンドロイチン4-硫酸合成における反応温度の影響
重合反応において、反応温度及び反応時間を表4に記載の条件に変更した以外は、実施例6と同様の反応及び分析を行った結果を表4に示す。
【0033】
【表4】

【実施例11】
【0034】
コンドロイチン4-硫酸合成における基質モノマー濃度の影響
重合反応において、基質モノマーである2-メチル-[ソディウム 1,2-ジデオキシ-3-O-(ソディウム β-D-グルコピラノシルウロネート)-4-O-スルフォネート-α-D-ガラクトピラノ]-[2,1-d]-2-オキサゾリンの添加量及び反応時間を表5に記載の条件に変更した以外は、実施例6と同様の反応及び分析を行った結果を表5に示す。
【0035】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明のコンドロイチン4-硫酸は、化粧品、医薬品あるいは医用材料等として利用できる。また、構造明確なコンドロイチン4-硫酸であるためコンドロイチン4-硫酸の標準物質に用いることができる。更に、コンドロイチン硫酸の分子レベルでの機能解明に有用なツールとしてなりうる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】合成スキームを示す。
【図2】合成コンドロイチン4-硫酸のH NMRスペクトルを示す。
【図3】合成コンドロイチン4-硫酸の13C NMRスペクトルを示す。
【図4】市販コンドロイチン硫酸A(4-硫酸/6-硫酸=80/20)のH NMRスペクトルを示す。
【図5】市販コンドロイチン硫酸A(4-硫酸/6-硫酸=80/20)の13C NMRスペクトルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表されるオキサゾリン誘導体にヒアルロン酸分解酵素を作用せしめることを特徴とする構造明確なコンドロイチン4-硫酸の製造法。
【化1】

【請求項2】
ヒアルロン酸分解酵素がほ乳類由来のヒアルロニダーゼであることを特徴とする請求項1記載の構造明確なコンドロイチン4-硫酸の製造法。
【請求項3】
ヒアルロン酸分解酵素がウシ睾丸由来ヒアルロニダーゼあるいは羊睾丸由来ヒアルロニダーゼであることを特徴とする請求項2記載の構造明確なコンドロイチン4-硫酸の製造法。
【請求項4】
下記一般式(I)で表されるオキサゾリン誘導体にヒアルロン酸分解酵素を作用せしめるにあたり、pHを6〜9に調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の構造明確なコンドロイチン4-硫酸の製造法。
【化2】

【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法で製造されたN-アセチルガラクトサミンユニットの4位に硫酸基が100%結合しており、かつ、D-グルクロン酸ユニットも含めて他に硫酸基が結合していない構造明確なコンドロイチン4-硫酸。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−129796(P2006−129796A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−323289(P2004−323289)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年5月10日 社団法人高分子学会発行の「高分子学会予稿集 53巻1号」に発表
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【出願人】(501101268)
【Fターム(参考)】