説明

構造物の設置角度調整用スペーサ

【課題】構造物の設置角度を自在に調整することができ、かつ、施工性の向上を図ることができる構造物の設置角度調整用スペーサを提供すること。
【解決手段】手摺り等の構造物10を設置する際に、構造物10の連結部位(例えば、手摺りの支柱12の取付用の基礎部材13の下面)13Aに配置されて、構造物10の設置角度の調整に用いられる設置角度調整用スペーサ20は、予め用意された複数の設置角度調整用スペーサの集合からなる設置角度調整用スペーサ群のうちの一要素を構成するとともに、両側端部の厚さ寸法が異なる傾斜厚みを有し、かつ、重ね合わせて配置される前記設置角度調整用スペーサ群を構成する他のスペーサ20と係合する係合部を有し、この係合部は、スペーサ20の表裏の一方の面である下面に形成された溝部26と、他方の面である上面に形成され、溝部26と係合する突出部25とを備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物を設置する際に構造物の連結部位にスペーサを配置して構造物の設置角度を調整する構造物の設置角度調整方法およびその設置角度調整用スペーサに係り、例えば、建物の屋上のパラペット、バルコニやベランダの腰壁、屋外廊下の側壁等の各種躯体の水勾配を有する面に手摺りの支柱を取り付ける際などに利用できる。
【背景技術】
【0002】
建物等の各種構造物の躯体、例えば、建物から張り出して設けられるバルコニやベランダの腰壁、屋外に設けられる廊下や階段のサイド、屋上のパラペット等には、落下防止や歩行補助等を目的とした手摺りが設けられている。そして、これらの手摺りが設けられる躯体仕上がり面には、水勾配が形成されているのが通常である。
【0003】
従って、このような躯体仕上がり面の水勾配に対応させて手摺りの支柱を設置するにあたっては、従来より様々な設置角度調整方法が採られている。例えば、角度調整が可能な構造を持つ基礎金具を用いて手摺りの支柱を取り付ける方法が採用されており、本願出願人によっても、これに関する提案がなされている(特開平10−331375号公報参照)。
【0004】
また、手摺りの支柱を躯体仕上がり面にボルト締めで取り付ける際に、水勾配の上流側と下流側とで座金の積層枚数を変えて手摺りの支柱の設置角度を調整する方法も採られている。あるいは、このような座金に相当する平板状の小片のスペーサを現場で適宜調達し、その積層枚数を変えて手摺りの支柱の設置角度を調整することも行われている。なお、これらの現場調達される小片のスペーサは、水勾配の上流側と下流側とで積層枚数を変えて角度調整を行うために用いられるものであるという性質上、いずれも手摺りの支柱の横断面の大きさよりも小さいものであるか、または、手摺りの支柱を基礎金具を介して躯体仕上がり面に取り付ける場合には、その基礎金具の躯体仕上がり面への取付面の大きさよりも小さいものである。
【0005】
さらに、本願出願人により、躯体仕上がり面の水勾配に対応した傾斜厚みを有するスペーサを用いて手摺りの支柱を躯体仕上がり面に取り付けることにより、手摺りの支柱の下端を斜めに切断することを不要にするという提案もなされている(特開平10−252237号公報参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した角度調整が可能な構造を持つ基礎金具を用いる方法では、自在な角度調整を行うことができ、現場の状況に応じた対応も可能であるという利点はあるものの、手摺りそのものの構造が複雑化し、コストがかかるという問題が生じる。
【0007】
また、前述した座金や小片スペーサを用いて積層枚数を変化させる方法では、現場対応によるところが多く、作業を標準化できないため、施工性の向上を図ることができないという問題があった。そして、この方法では、水勾配の上流側と下流側とに座金等を積層配置するわけであるが、それらの中間位置には、何も配置されないため空洞が生じ、そのままでは外観が良好ではなく、また、積層された状態の座金等そのものも外観上好ましいものではない。このため、積層配置された座金等の周囲を覆うようにシーリングを施さなければならず、手間がかかるうえ、このようなシーリングを行うと、内部に水が溜まってしまうという問題も生じていた。
【0008】
さらに、躯体仕上がり面の水勾配に対応した傾斜厚みを有するスペーサを用いる方法では、現場における躯体仕上がり面の水勾配が設計通りに正確なものとなっている場合や、躯体仕上がり面の水勾配が正確に計測されて判明している場合等には、円滑に設置作業を行うことができるものの、現場における躯体仕上がり面の水勾配が予定とは異なる値になっていたり、あるいは時間の経過に伴う沈下や変形等の特殊な事情による状況の変化があった場合には、それらに対応することはできないという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、構造物の設置角度を自在に調整することができ、かつ、施工性の向上を図ることができる構造物の設置角度調整方法およびその設置角度調整用スペーサを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、予め用意された設置角度調整用スペーサ群のうちから、使用する設置角度調整用スペーサを適宜選択して前記目的を達成しようとするものである。
【0011】
具体的には、本発明は、構造物を設置するにあたって、少なくとも一種類の傾斜厚みを有する設置角度調整用スペーサを含む複数の設置角度調整用スペーサの集合からなる設置角度調整用スペーサ群を予め用意しておき、この設置角度調整用スペーサ群のうちから少なくとも一つの設置角度調整用スペーサを選択して構造物の連結部位に配置することにより構造物の設置角度を調整することを特徴とするものである。
【0012】
ここで、予め用意される「複数の設置角度調整用スペーサの集合からなる設置角度調整用スペーサ群」には、「傾斜厚みを有する設置角度調整用スペーサ」が「少なくとも一種類」含まれていればよい。
【0013】
従って、異なる種類の傾斜厚みを有する設置角度調整用スペーサを各種類につき一枚または複数枚ずつ用意(好ましくは、複数枚ずつ用意)しておいてもよく、あるいは、同じ種類の傾斜厚みを有する設置角度調整用スペーサのみを複数枚用意しておいてもよい。前者の場合であれば、例えば、厚みの傾斜角度が1度、3度、5度の三種類の傾斜厚みを有する設置角度調整用スペーサを各種類につき一枚または複数枚ずつ用意(好ましくは、複数枚ずつ用意)する等すればよく、後者の場合であれば、例えば、厚みの傾斜角度が1度の傾斜厚みを有する設置角度調整用スペーサを一種類だけ複数枚用意する等すればよい。
【0014】
また、「設置角度調整用スペーサ群」には、傾斜厚みを有しない平板状の均等厚みを有する設置角度調整用スペーサが含まれていてもよい。例えば、厚みの傾斜角度が1度、3度、5度の三種類の傾斜厚みを有する設置角度調整用スペーサと均等厚みを有する設置角度調整用スペーサとを用意しておいてもよく、あるいは、厚みの傾斜角度が1度の傾斜厚みを有する設置角度調整用スペーサを複数枚と均等厚みを有する設置角度調整用スペーサとを用意しておいてもよい。このように均等厚みを有する設置角度調整用スペーサを含む設置角度調整用スペーサ群を用意した場合には、構造物の設置角度の調整のみならず、構造物の高さや長さの調整をも同時に行うことができるようになり、総合的な設置姿勢の調整が可能となる。
【0015】
さらに、予め用意された「設置角度調整用スペーサ群のうちから」選択使用される設置角度調整用スペーサは、「少なくとも一つの設置角度調整用スペーサ」であればよい。
【0016】
従って、異なる種類の傾斜厚みを有する設置角度調整用スペーサを複数枚重ね合わた配置としてもよく、同じ種類の傾斜厚みを有する設置角度調整用スペーサを複数枚重ね合わた配置としてもよく、あるいはそれらの複合配置としてもよく、さらには、それらの配置に均等厚みを有する設置角度調整用スペーサを加えた配置としてもよいが、以上のような複数枚の重ね合わせ配置のみならず、結果的に、傾斜厚みを有する設置角度調整用スペーサ一枚のみの配置、あるいは均等厚みを有する設置角度調整用スペーサ一枚のみの配置となる場合であっても、本発明に含まれるものである。
【0017】
また、設置角度調整用スペーサが配置される「構造物の連結部位」とは、構造物の端部のみならず、中間部も含み、さらに、一箇所であるか複数箇所であるかは問わない。構造物の端部とは、設置すべき構造物とその構造物が設置される被設置体とが連結される部位をいい、例えば、手摺りの支柱とバルコニの腰壁等の躯体との結合箇所、あるいは、手摺りの支柱が基礎部材を介して躯体に取り付けられる場合には、その基礎部材(設置すべき構造物の一部とみなす。)と躯体との結合箇所等である。構造物の中間部とは、設置すべき構造物が複数部材で構成される場合における各構成部材同士が連結される部位をいい、例えば、意匠的効果を得ることを目的として特殊な形状とされるデザイン柱等のような分割タイプの手摺りの支柱の継ぎ目箇所、あるいは、手摺りの支柱とその取付用の基礎部材との結合箇所等である。
【0018】
このような本発明においては、予め用意された設置角度調整用スペーサ群のうちから少なくとも一つの設置角度調整用スペーサを選択して構造物の連結部位に配置するので、選択使用する設置角度調整用スペーサを適宜変更することで、構造物の設置角度を自在に調整することが可能となる。
【0019】
このため、構造物が設置される被設置体の状況に応じて、使用する設置角度調整用スペーサを選択し、構造物の設置角度を調整することができるようになるので、柔軟な現場対応も可能となる。従って、例えば、現場における躯体仕上がり面の水勾配が予定とは異なる値になっていたり、あるいは時間の経過に伴う沈下や変形等の特殊な事情による状況の変化があった場合にも、それらに対応することが可能となる。さらには、当初は構造物の設置を予定していなかった場所に、その構造物を設置する必要が生じた場合のように、完全な意味での後付けの設置となる場合であっても、容易に対応することが可能となる。
【0020】
また、従来のように躯体仕上がり面の水勾配に対応するために、座金や小片スペーサを積層配置して構造物の設置角度を調整する方法に比べ、作業の標準化を図り易いことから、施工性の向上を図ることができるようになるうえ、意匠性が高いことから、従来行っていた座金等の周囲を覆うようにシーリングを施すという手間のかかる作業を行う必要もなくなり、この点でも施工性が向上する。
【0021】
さらに、前述した角度調整が可能な構造を持つ基礎金具を用いる方法を採る場合に比べ、手摺り等の構造物の設置構造を簡易化できるため、コストの低減が図られる。
【0022】
また、本発明は、新設の構造物の設置角度の調整のみに適用されるものではなく、既設の構造物の補修等にも適用してもよい。例えば、構造物の設置後に地盤が沈下し、構造物とその構造物が設置されている被設置体との相対的な姿勢や位置関係が変化し、構造物と被設置体との間に隙間が生じた場合等には、その隙間の角度や幅に応じて適宜な設置角度調整用スペーサを選択し、隙間に配置するようにしてもよい。この際、構造物と被設置体とがボルトやビス等で固定されているような場合には、そのボルト等を取り外さなくても設置角度調整用スペーサを配置できるように、分割タイプの設置角度調整用スペーサ(組み合わされた状態で所定の大きさおよび形状を有する一枚の設置角度調整用スペーサとなるもの)を用意しておくことも有効である。なお、本発明の設置角度調整用スペーサには、このような分割タイプの設置角度調整用スペーサも含まれるものである。以上により前記目的が達成される。
【0023】
また、前述した如く、予め用意される設置角度調整用スペーサ群には、傾斜厚みを有する設置角度調整用スペーサが少なくとも一種類含まれていればよく、一種類のみであっても、重ね合わせて配置する枚数を変化させれば、自在な設置角度調整を行うという目的は達成できる。しかし、より一層の施工性の向上や、より一層の角度調整の自在性を図るという観点からは、設置角度調整用スペーサ群には、互いに厚みの傾斜角度が異なる少なくとも二種類の傾斜厚みを有する設置角度調整用スペーサが含まれていることが望ましい。
【0024】
そして、以上に述べた本発明の設置角度調整方法による設置角度調整対象となる構造物としては、建物の屋上のパラペット、バルコニやベランダの腰壁、集合住宅の屋外に設けられる廊下や階段の側壁、デパートや病院あるいは倉庫や工場等の建物内部に設けられる階段や通路の側壁、横断歩道橋の側壁、行楽地の展望台の腰壁、公園内の花壇や噴水等の仕切壁、動物園内の動物を囲う柵壁、駅のプラットホームの端部、船舶の甲板の周縁部等の各種構造物躯体に設置される手摺りの支柱が挙げられる。これらの手摺りの支柱は、通常、水勾配を有する躯体仕上がり面に取り付けられることが多いため、本発明を好適に適用することができる。
【0025】
なお、本発明は、手摺りの支柱の設置角度調整以外に適用してもよい。例えば、屋外廊下を下方から支持する支持柱の下端部とこの支持柱を立設する地上コンクリートとの間に設置角度調整用スペーサを配置して本発明を適用してもよく、屋外廊下と地上とを連絡する外階段の下端部と地上コンクリートとの間に設置角度調整用スペーサを配置して本発明を適用してもよい。また、勾配屋根の上側に置かれるバルコニを下方から支持する支持柱の下端部と勾配屋根の傾斜屋根面との間に設置角度調整用スペーサを配置して本発明を適用してもよい。
【0026】
さらに、以上に述べた本発明の構造物の設置角度調整方法を実現するために用いられる設置角度調整用スペーサとして、次のような本発明の設置角度調整用スペーサを挙げることができる。すなわち、本発明は、構造物を設置する際に構造物の連結部位に配置されて構造物の設置角度の調整に用いられる構造物の設置角度調整用スペーサであって、予め用意された複数の設置角度調整用スペーサの集合からなる設置角度調整用スペーサ群のうちの一要素を構成するとともに、両側端部の厚さ寸法が異なる傾斜厚みを有し、かつ、重ね合わせて配置される設置角度調整用スペーサ群を構成する他の設置角度調整用スペーサと係合する係合部を有することを特徴とするものである。
【0027】
ここで、設置角度調整用スペーサの材質は、合成樹脂製、金属製、セラミック製、木製等任意であり、設置すべき構造物から受ける荷重の大きさ、設置すべき構造物の種類、設置場所の状況、設置目的等に応じて適宜選択すればよい。例えば、強度や耐候性がある程度要求される場合等には、ABS(スチレンアクリルニトリル共重合体にポリブタジエンゴム粒子を均一に分散させたポリマーアロイ)等の硬質合成樹脂を好適に用いることができる。
【0028】
このように傾斜厚みを有する設置角度調整用スペーサに係合部を設け、他の設置角度調整用スペーサと係合できるようにしておけば、設置角度調整用スペーサの重ね合わせ配置を容易かつ円滑に行うことができ、施工性の向上が図られる。
【0029】
また、前述した設置角度調整用スペーサにおいて、係合部は、設置角度調整用スペーサ群を構成する他のすべての設置角度調整用スペーサの各々と係合自在とされていることが望ましい。換言すれば、設置角度調整用スペーサ群を構成する複数の設置角度調整用スペーサのすべてに共通化された係合部を設けておくことが望ましい。
【0030】
このような共通化された係合部を設けた場合には、予め用意した設置角度調整用スペーサ群のうちの任意の設置角度調整用スペーサを組み合わせることが可能となり、かつ任意の順序でそれらを重ね合わせることが可能となるため、設置角度調整の自在性がより一層向上するとともに、施工性の向上も図られる。
【0031】
さらに、前述した設置角度調整用スペーサにおいて、係合部は、表裏の面に平行な面内での被係合体のすべての相対的な平面運動を妨げる配置とされていることが望ましい。
【0032】
ここで、「被係合体」とは、係合の相手方となる対象物をいい、他の設置角度調整用スペーサが相手方となる場合、設置すべき構造物(例えば、手摺りの支柱またはその取付用の基礎部材等)が相手方となる場合、構造物が設置される被設置体(例えば、バルコニの腰壁等)が相手方となる場合のいずれの場合も含むものである。
【0033】
また、「すべての相対的な平面運動を妨げる」とは、表裏の面に沿う方向の並進運動(回転しないで一定の姿勢を保持したまま平面上で行われる二次元的な変位)を妨げ、かつ、表裏の面の法線方向を軸とした回転運動を妨げるという意味である。
【0034】
このような被係合体との二次元的ずれを防止する係合部としては、十字状に配置された溝部と突出部とを係合させるものが代表例として挙げられるが(後述の図3および図4参照)、これに限定されるものではなく、例えば、Y字状に配置された溝部と突出部とを係合させるものでもよく、あるいは表裏の面に適宜に分散配置された凹部と凸部とを係合させるもの等でもよい。
【0035】
このような被係合体との二次元的ずれを防止する係合部を設けた場合には、設置角度調整用スペーサの重ね合わせの配置作業が容易になり、施工性の向上が図られるうえ、構造物を最終的に固定する際におけるボルトの締付時の安定性や設置後の構造物の安定性が一層向上する。
【0036】
そして、前述した設置角度調整用スペーサは、構造物の連結部位の結合面の大きさおよび形状と略同じ大きさおよび形状を有することが望ましい。
【0037】
ここで、「構造物の連結部位の結合面」とは、構造物の連結部位が構造物の端部である場合には、構造物の端面、すなわち被設置体への取付面をいい、例えば、手摺りの支柱の下端面、あるいは、手摺りの支柱が基礎部材を介して躯体に取り付けられる場合には、その基礎部材の躯体への取付面等である。また、構造物の連結部位が構造物の中間部である場合には、構造物を構成する各構成部材同士の結合面をいう。
【0038】
また、結合面の形状、従って、設置角度調整用スペーサの外周形状は、長方形、正方形、三角形、円形、楕円形等、任意である。
【0039】
このように構造物の連結部位の結合面の大きさおよび形状と略同じ大きさおよび形状を有する設置角度調整用スペーサとした場合には、設置角度調整用スペーサを配置した際に、構造物の外周側面と設置角度調整用スペーサの外周側面とが略面一になり、外観がより一層良好なものとなる。なお、この意味で、本発明は、横断面がそれ程大きくない構造物、すなわち柱状または棒状の構造物に適用することが好適である。略同じ大きさおよび形状を有する設置角度調整用スペーサを用意し易いからである。
【0040】
さらに、前述した設置角度調整用スペーサは、表裏を貫通する貫通孔を有し、係合部は、表裏の一方の面に形成されて貫通孔から外周側面に至る溝部と、表裏の他方の面に形成されて前記溝部と同一形状の溝部と係合する突出部とを備えて構成されていることが望ましい。
【0041】
このように貫通孔から外周側面に至る溝部を備えた係合部とした場合には、構造物内に侵入した雨水を貫通孔から溝部を通して外部に抜くことができるようになる。なお、溝部は、水抜きとして機能させるため、貫通孔から外周側面まで連続的に形成されていることを要するが、突出部は、他の設置角度調整用スペーサの溝部と係合できればよいため、貫通孔から外周側面まで突堤状に連続的に形成されている必要はなく、断続的に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0042】
以上に述べたように本発明によれば、予め用意された設置角度調整用スペーサ群のうちから少なくとも一つの設置角度調整用スペーサを選択して構造物の連結部位に配置するので、構造物が設置される被設置体の状況に応じて、選択使用する設置角度調整用スペーサを適宜変更することにより、構造物の設置角度を自在に調整することができるうえ、従来行われていたシーリング等の手間のかかる作業を省略することができるため、施工性の向上を図ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下に本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1には、本発明の構造物の設置角度調整方法を適用して設置された本実施形態の手摺り10の縦断面図が示されている。また、図2には、手摺り10の取付構造の拡大図が示され、図3および図4には、手摺り10の設置の際に用いる設置角度調整用スペーサ20の斜視図が示されている。
【0044】
図1において、被設置体であるベランダやバルコニの腰壁等の建物躯体1には、構造物である手摺り10が設置されている。手摺り10は、突堤状の建物躯体1の上端部に沿って配置される略楕円形断面の手摺り笠木11と、この手摺り笠木11と建物躯体1との間に配置されて手摺り笠木11を支持する中空角柱状の支柱12と、この支柱12を建物躯体1に取り付けるための基礎部材13とを備えて構成されている。手摺り笠木11や支柱12は、例えばアルミ合金製の押出成形品等であり、基礎部材13は、例えばアルミやステンレス製の金具等である。なお、本実施形態では、説明の便宜上、基礎部材13についても設置すべき構造物の一部とみなす。
【0045】
図2において、建物躯体1の上端の躯体仕上がり面2は、水平面に対してα度傾斜した水勾配を有している。通常、ベランダやバルコニの腰壁等の上端面は、このように室外側から室内側に向かって流れる水勾配を有することが多い。
【0046】
コンクリート等で形成された建物躯体1の内部には、予めアンカー部材3が埋設されている。そして、支柱12の下端部12Aは、基礎部材13に嵌め込まれて固定され、基礎部材13は、二枚の設置角度調整用スペーサ20を間に挟んだ状態で、四本のビス4をアンカー部材3にねじ込むことにより建物躯体1に取付固定され、これにより支柱12は建物躯体1に立設されている。
【0047】
図3は、設置角度調整用スペーサ20を上面21の側から見た状態の斜視図であり、図4は、図3を裏返した状態、すなわち設置角度調整用スペーサ20を下面22の側から見た状態の斜視図である。設置角度調整用スペーサ20は、例えば、ABS(スチレンアクリルニトリル共重合体にポリブタジエンゴム粒子を均一に分散させたポリマーアロイ)等の硬質合成樹脂などにより形成されている。
【0048】
図3および図4において、設置角度調整用スペーサ20は、表裏の面の形状が略長方形形状のものであり、一方の端部の厚さ寸法T1と他方の端部の厚さ寸法T2とが異なる傾斜厚みを有している。厚みの傾斜角度βとしては、異なる角度のものを複数種類用意しておくことが好ましい。例えば、ここでは、β=1度、3度、5度の三種類の傾斜厚みを有する設置角度調整用スペーサ20を用意し、設置角度調整用スペーサ群を構成するものとする。また、β=0度、すなわちT1=T2となる平板状の均等厚みを有する設置角度調整用スペーサ20を用意しておいてもよい。
【0049】
設置角度調整用スペーサ20の中央には、表裏を貫通する円形の貫通孔23が設けられている。また、設置角度調整用スペーサ20の上面21には、貫通孔23から外周側面24まで連続形成された四つの突出部25が設けられている。これらの突出部25は、貫通孔23を中心として互いに90度をなす間隔で放射状に、つまり全体的に見ると十字状に配置されている。一方、設置角度調整用スペーサ20の下面22には、貫通孔23から外周側面24まで連続形成された四つの溝部26が設けられている。これらの溝部26も、貫通孔23を中心として互いに90度をなす間隔で放射状に、つまり全体的に見ると十字状に配置されている。
【0050】
そして、各々四つずつ設けられた突出部25と溝部26とは、設置角度調整用スペーサ20の表裏の同じ位置に配置され、突出部25の断面形状および大きさと溝部26の断面形状および大きさとは略一致している。また、用意する全ての設置角度調整用スペーサ20に、同一の突出部25および溝部26が設けられ、共通化が図られている。従って、一つの設置角度調整用スペーサ20の上面21と他の設置角度調整用スペーサ20の下面22とが接触するように二枚のスペーサ20を重ね合わせると、一方のスペーサ20の上面21の突出部25と他方のスペーサ20の下面22の溝部26とが係合し、両者の相対的な位置関係がこれにより定まるようになっている。このため、突出部25および溝部26は、いずれも他の設置角度調整用スペーサ20と係合する係合部として機能するものである。
【0051】
さらに、図2に示すように、基礎部材13の下面13Aにも、設置角度調整用スペーサ20の下面22の溝部26と同様な溝部13Bが設けられ、設置角度調整用スペーサ20の上面21の突出部25と係合可能となっている。従って、本実施形態においては、設置角度調整用スペーサ20の係合の相手方となる被係合体は、他の設置角度調整用スペーサ20だけではなく、基礎部材13も含まれる。
【0052】
そして、基礎部材13の下面13Aは、設置すべき構造物である手摺り10の連結部位の結合面に該当し、この下面13Aの大きさおよび形状と、設置角度調整用スペーサ20の上面21や下面22の大きさおよび形状とは、略一致している。但し、基礎部材13の下面13Aの周囲には、面取り13Cが施されているので、この面取り13Cの寸法分だけ設置角度調整用スペーサ20の方が小さくなっている。
【0053】
また、図3および図4に示すように、設置角度調整用スペーサ20の四つの角部の近傍には、ビス4を通すためのビス通し孔27が表裏を貫通して設けられている。
【0054】
このような本実施形態においては、以下のようにして複数の設置角度調整用スペーサ20からなる設置角度調整用スペーサ群を用いて手摺り10の支柱12の設置角度の調整を行う。
【0055】
先ず、建物躯体1の躯体仕上がり面2の傾斜角度α(図2参照)に応じて、用意した設置角度調整用スペーサ群の中から、使用すべき一枚または複数枚の設置角度調整用スペーサ20を選択する。この際、選択した各設置角度調整用スペーサ20の厚みの傾斜角度β(図3参照)の合計角度が、躯体仕上がり面2の傾斜角度αと一致するようにする。
【0056】
例えば、躯体仕上がり面2の傾斜角度が、α=1度の場合には、β=1度の傾斜厚みを有する設置角度調整用スペーサ20のみを一枚選択する。また、α=2度の場合には、β=1度のスペーサ20のみを二枚選択する。そして、α=3度の場合には、β=3度のスペーサ20のみを一枚選択するのが好ましいが、β=1度のスペーサ20のみを三枚選択してもよい。さらに、α=4度の場合には、β=1度のスペーサ20を一枚と、β=3度のスペーサ20を一枚とを選択するのが好ましいが、β=1度のスペーサ20のみを四枚選択してもよい。また、α=5度の場合には、β=5度のスペーサ20のみを一枚選択するのが好ましいが、β=3度のスペーサ20を一枚と、β=1度のスペーサ20を二枚とを選択してもよく、あるいは、β=1度のスペーサ20のみを五枚選択してもよい。さらに、α=6度の場合には、β=3度のスペーサ20のみを二枚選択するか、あるいは、β=5度とβ=1度のスペーサ20を各一枚ずつ選択するのが好ましいが、β=3度のスペーサ20を一枚と、β=1度のスペーサ20を三枚とを選択してもよく、あるいは、β=1度のスペーサ20のみを六枚選択してもよい。そして、躯体仕上がり面2の傾斜角度αが7度以上の場合も同様である。
【0057】
次に、選択された設置角度調整用スペーサ20を躯体仕上がり面2上における所定の連結部位に配置する。この際、選択されたスペーサ20が複数枚である場合には、各スペーサ20の突出部25と溝部26とを係合させながら重ね合わせて配置する。
【0058】
また、手摺り10の支柱12の高さ調整をも同時に行いたいときには、均等厚み(β=0度)を有する設置角度調整用スペーサ20が用意されている場合には、それを用いてもよく、あるいは、図5に示すように、厚みの傾斜角度βが等しい二枚の設置角度調整用スペーサ20を逆向きに配置して二枚合わせて均等厚みになるようにしてもよい。
【0059】
そして、基礎部材13を躯体仕上がり面2上に配置された設置角度調整用スペーサ20の上(スペーサ20が複数枚重ねて配置されている場合には、最も上側に配置されたスペーサ20の上)に載せ、四本のビス4により、基礎部材13および一枚または複数枚のスペーサ20を同時にまとめて建物躯体1に固定する(図2参照)。
【0060】
その後、支柱12を基礎部材13に固定し、さらに、支柱12に手摺り笠木11を取り付けて手摺り10の設置を完了する。これにより、支柱12は、躯体仕上がり面2に対して角度をなして取付固定され、その結果、支柱12は、水平面に対して垂直に立設した状態となる。
【0061】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、予め用意された設置角度調整用スペーサ群のうちから少なくとも一つの設置角度調整用スペーサ20を選択して配置するので、選択使用するスペーサ20を適宜変更することで、手摺り10の支柱12の設置角度を自在に調整(本実施形態では、1度単位で調整)することができる。このため、手摺り10が設置される建物躯体1の躯体仕上がり面2の状況に応じて、使用する設置角度調整用スペーサ20を選択し、支柱12の設置角度を調整することができるので、柔軟な現場対応を行うことができる。
【0062】
従って、例えば、躯体仕上がり面2の水勾配が予定とは異なる値になっていたり、あるいは時間の経過に伴う沈下や変形等の特殊な事情による状況の変化があった場合にも、それらに対応することができる。さらには、当初は手摺り10の設置を予定していなかった場所に、手摺り10を後付けで設置するような場合であっても、容易に対応することができる。
【0063】
また、従来のように躯体仕上がり面2の水勾配に対応するために、座金や小片スペーサを積層配置して支柱12の設置角度を調整する方法に比べ、作業の標準化を図り易いことから、施工性の向上を図ることができるうえ、意匠性が高いことから、従来行っていた座金等の周囲を覆うようにシーリングを施すという手間のかかる作業を省略することができ、この点でも施工性を向上できる。なお、基礎部材13の下面13Aの周囲に設けられた面取り13Cの寸法分だけ、基礎部材13の下面13Aよりも設置角度調整用スペーサ20の方が小さくなっているので(図2参照)、この寸法分に相当するように、スペーサ20の周囲にシーリングを施すようにしてもよい。
【0064】
さらに、前述した角度調整が可能な構造を持つ基礎金具を用いる方法を採る場合に比べ、簡易な構造の基礎部材13を用いることができるため、コストの低減を図ることができる。
【0065】
そして、設置角度調整用スペーサ20は、基礎部材13とともにビス4により建物躯体1に取付固定されるので、施工時間の短縮を図ることができる。
【0066】
また、本実施形態で用意した設置角度調整用スペーサ群には、厚みの傾斜角度がβ=1度、3度、5度の三種類の傾斜厚みを有する設置角度調整用スペーサ20が含まれているので、一種類の傾斜厚みを有する設置角度調整用スペーサのみを用意してその積層枚数で設置角度の調整を行う場合に比べ、より一層の施工性の向上、および、より一層の角度調整の自在性を図ることができる。
【0067】
そして、設置角度調整用スペーサ20には、係合部として機能する突出部25および溝部26が設けられているので、スペーサ20の重ね合わせ配置を容易かつ円滑に行うことができ、施工性の向上を図ることができる。
【0068】
また、突出部25および溝部26は、設置角度調整用スペーサ群を構成する複数の設置角度調整用スペーサ20のすべてに共通化されたものである。このため、予め用意した設置角度調整用スペーサ群のうちの任意のスペーサ20を組み合わせることができ、かつ、任意の順序でそれらを重ね合わせることができるため、設置角度調整の自在性をより一層向上させることができるとともに、施工性の向上を図ることもできる。
【0069】
さらに、突出部25および溝部26は、十字状に配置されているので、係合の相手方となる被係合体(他の設置角度調整用スペーサ20または基礎部材13)との二次元的ずれや回転を防ぐことができるため、設置角度調整用スペーサ20の重ね合わせの配置作業をより一層容易に行うことができ、施工性の向上をより一層図ることができるうえ、支柱12および基礎部材13を固定する際におけるビス4のねじ込み作業時の安定性や設置後の手摺り10の安定性を一層向上させることができる。
【0070】
そして、設置角度調整用スペーサ20は、基礎部材13の下面13Aの大きさおよび形状と略同じ大きさおよび形状を有しているので、スペーサ20を配置した際に、基礎部材13の外周側面とスペーサ20の外周側面とが略面一になるため、外観をより一層良好なものとすることができる。
【0071】
さらに、設置角度調整用スペーサ20は、貫通孔23を有し、溝部26は、この貫通孔23から外周側面24に至るように形成されているので、支柱12や基礎部材13の内部に溜まった雨水を、貫通孔23および溝部26を通して外部に排水することができる。なお、設置角度調整用スペーサ20を複数枚重ね合わせて配置する場合には、最も下側に配置されるスペーサ20の溝部26が水抜き経路として機能し、その他のスペーサ20の溝部26は、係合部として機能することになる。
【0072】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
【0073】
すなわち、前記実施形態では、設置角度調整用スペーサ20は、略長方形形状を有していたが、本発明の設置角度調整用スペーサは、このような形状に限定されるものではなく、円形、楕円形、正方形、三角形、六角形等、任意であり、例えば、図6に示すように、設置すべき構造物が円形断面の柱等であれば、それに応じて円形形状の設置角度調整用スペーサ40としてもよい。
【0074】
また、前記実施形態では、係合部として機能する突出部25および溝部26は、十字状に配置されていたが、このような配置に限定されるものではなく、例えば、図6に示すように、貫通孔41を中心として三方向に放射状に配置された係合部42としてもよい。このような略Y字状の配置とされた係合部42としても、係合の相手方となる被係合体との二次元的ずれや回転は、防止することができる。
【0075】
さらに、前記実施形態では、基礎部材13の下面13Aと建物躯体1の躯体仕上がり面2とを結合する箇所が、設置角度調整用スペーサ20を配置すべき箇所、つまり本発明でいう「構造物の連結部位」に該当していたが、「構造物の連結部位」は、このように構造物の端部に限らず、中間部であってもよい。
【0076】
従って、例えば、支柱12の下端部12Aと基礎部材13とを結合する箇所に設置角度調整用スペーサを配置してもよく、あるいは、図7に示すように、柱の中間位置の一箇所または複数箇所に設置角度調整用スペーサ50を介在させ、意匠的効果を挙げることを目的としたデザイン柱51を構成するようにしてもよい。
【0077】
そして、前記実施形態では、手摺り10の支柱12の設置角度調整に本発明が適用されていたが、本発明の設置角度調整方法による設置角度調整対象となる構造物は、手摺り10の支柱12に限定されるものではない。例えば、図8に示すように、集合住宅60の屋外廊下61を下方から支持する支持柱62の下端部とこの支持柱62を立設する地上コンクリート63との間に設置角度調整用スペーサ64を配置して本発明を適用してもよく、屋外廊下61と地上とを連絡する外階段65の下端部と地上コンクリート63との間に設置角度調整用スペーサ66を配置して本発明を適用してもよい。
【0078】
また、図9に示すように、下屋の勾配屋根70の上側に置かれるバルコニ71を下方から支持する支持柱72の下端部と勾配屋根70の傾斜屋根面73との間に設置角度調整用スペーサ74を配置して本発明を適用してもよい。なお、この場合には、設置角度調整用スペーサ74は、勾配屋根70の側には固定せず、支持柱72の側にのみ固定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、構造物を設置する際に構造物の連結部位にスペーサを配置して構造物の設置角度を調整する構造物の設置角度調整方法およびその設置角度調整用スペーサに係り、例えば、建物の屋上のパラペット、バルコニやベランダの腰壁、屋外廊下の側壁等の各種躯体の水勾配を有する面に手摺りの支柱を取り付ける際などに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、本発明の一実施形態の手摺りの縦断面図である。
【図2】図2は、前記実施形態の手摺りの取付構造の拡大図である。
【図3】図3は、前記実施形態の設置角度調整用スペーサを上面の側から見た状態の斜視図である。
【図4】図4は、前記実施形態の設置角度調整用スペーサを下面の側から見た状態の斜視図である。
【図5】図5は、前記実施形態の設置角度調整用スペーサの特殊な使用方法の説明図である。
【図6】図6は、本発明の第一の変形の形態を示す概略図である。
【図7】図7は、本発明の第二の変形の形態を示す立面図である。
【図8】図8は、本発明の第三の変形の形態を示す立面図である。
【図9】図9は、本発明の第四の変形の形態を示す立面図である。
【符号の説明】
【0081】
1 被設置体であるベランダやバルコニの腰壁等の建物躯体
10 構造物である手摺り
12 手摺りの支柱
13 手摺りの支柱を建物躯体に取り付けるための基礎部材(被係合体のうちの一つに該当するものでもある)
13A 連結部位の結合面に該当する基礎部材の下面
20 設置角度調整用スペーサ
21 表裏の他方の面である上面
22 表裏の一方の面である下面
23 貫通孔
24 外周側面
25 係合部として機能する突出部
26 係合部として機能する溝部
β 厚みの傾斜角度
T1,T2 両側端部の厚さ寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物を設置する際に前記構造物の連結部位に配置されて前記構造物の設置角度の調整に用いられる構造物の設置角度調整用スペーサであって、予め用意された複数の設置角度調整用スペーサの集合からなる設置角度調整用スペーサ群のうちの一要素を構成するとともに、両側端部の厚さ寸法が異なる傾斜厚みを有し、かつ、重ね合わせて配置される前記設置角度調整用スペーサ群を構成する他の設置角度調整用スペーサと係合する係合部を有することを特徴とする構造物の設置角度調整用スペーサ。
【請求項2】
請求項1に記載の構造物の設置角度調整用スペーサにおいて、前記係合部は、前記設置角度調整用スペーサ群を構成する他のすべての設置角度調整用スペーサの各々と係合自在とされていることを特徴とする構造物の設置角度調整用スペーサ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の構造物の設置角度調整用スペーサにおいて、前記係合部は、表裏の面に平行な面内での被係合体のすべての相対的な平面運動を妨げる配置とされていることを特徴とする構造物の設置角度調整用スペーサ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の構造物の設置角度調整用スペーサにおいて、前記構造物の連結部位の結合面の大きさおよび形状と略同じ大きさおよび形状を有することを特徴とする構造物の設置角度調整用スペーサ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の構造物の設置角度調整用スペーサにおいて、表裏を貫通する貫通孔を有し、前記係合部は、表裏の一方の面に形成されて前記貫通孔から外周側面に至る溝部と、表裏の他方の面に形成されて前記溝部と同一形状の溝部と係合する突出部とを備えて構成されていることを特徴とする構造物の設置角度調整用スペーサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−30439(P2009−30439A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290608(P2008−290608)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【分割の表示】特願平11−251524の分割
【原出願日】平成11年9月6日(1999.9.6)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【Fターム(参考)】