説明

構造物及びその製造方法

【課題】新たな形状を有する有用な構造物及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本技術に係る構造物は、基材と、コーティング材とを具備する。前記基材は、複数の空隙と、少なくとも前記複数の空隙を形成する表面とを有する。基材は、前記複数の空隙による空隙率が、基材の内部側から2次元状または3次元状に外部側に向かうにしたがって低くなるように形成される。前記コーティング材は、前記基材の表面に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、構造物その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の光造形物は、設計物品の3次元モデルとして用いられ、その3次元モデルにおける、設計物品の肉部に相当する部分が、中空に形成され、その中空内部がハニカム構造により形成されている。これにより3次元モデルの部位による強度のバラツキが少なくなる(例えば、特許文献1の明細書段落[0020]参照)。
【0003】
特許文献2に記載の造形物も、その内部においてハニカム構造を有している。この造形物では、そのハニカムを形成するリブで区画されるセル間を連通する連通口が形成されている。これにより、ハニカム構造の各セルに残った未硬化液の排出が容易になる(例えば、特許文献1の明細書段落[0013]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−347125号公報
【特許文献2】特開平6−114948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
構造物として、新たな形状の構造物の実現が求められている。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、新たな形状を有する有用な構造物及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本技術に係る構造物は、基材と、コーティング材とを具備する。
前記基材は、複数の空隙と、少なくとも前記複数の空隙を形成する表面とを有する。基材は、前記複数の空隙による空隙率が、基材の内部側から2次元状または3次元状に外部側に向かうにしたがって低くなるように形成される。
前記コーティング材は、前記基材の表面に形成される。
【0008】
本技術では、基材の内部側の空隙率より外部側の空隙率が低く形成されており、しかも、基材に形成されたそれらの空隙の表面にはコーティング材が形成されている。すなわち、本技術は新しい構造物を実現することができる。
【0009】
また、このような空隙率の配列及びコーティング材の適切な選択によって、有用な機能を持つ構造物を実現することができる。
【0010】
前記基材は、前記複数の空隙を連通する連通口をさらに有してもよい。これにより、コーティング材の材料が連通口を通って複数の空隙の表面に行きわたるので、コーティング材の形成が容易となる。
【0011】
前記基材は、複数の連通口を有してもよい。複数の空隙及び複数の連通口を介して、前記基材の前記表面を1周する最短距離は、前記コーティング材の厚さの100〜10000倍である。このようなコーティング材の厚さとすることにより、構造物の強度を十分に確保することができる。
【0012】
前記コーティング材は、金属層を含んでもよい。あるいは、前記コーティング材は、前記金属層の上に形成された樹脂層をさらに含んでもよい。
【0013】
前記複数の空隙は、規則的に整列するように前記基材に設けられていてもよい。これにより、基材の強度を一段と高めることができる。
【0014】
前記複数の空隙の各開口面の配置構造は、ハニカム構造であってもよい。
【0015】
本技術に係る構造物の製造方法は、エネルギー線のエネルギーで硬化する基材の材料を供給領域に供給することを含む。
前記供給領域に供給された前記材料の全領域のうち、選択された領域に前記エネルギー線を照射することで、基材が形成される。前記基材は、複数の空隙と、少なくとも前記複数の空隙を形成する表面とを有し、前記複数の空隙による空隙率が、前記基材の内部側から2次元状または3次元状に外部側に向かうにしたがって低くなるように形成される。
前記形成された基材の前記表面にコーティング材が形成される。
【0016】
前記構造物の製造方法は、ステージと、規制体とを備えた構造物形成装置を用いる。
前記規制体は、第1の方向に沿う直線状の領域を含む表面を有し、前記表面のうち前記直線状の領域が前記ステージに最も近くなるように、前記ステージに対面して配置される。
前記材料の供給工程では、前記ステージが配置される側の領域と前記直線状の領域との間の領域であるスリット領域に、前記材料が供給される。
前記基材の形成工程では、前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿って、前記規制体及び前記ステージを相対的に移動させることにより、少なくとも1層分の前記材料が硬化する。
【0017】
このように、材料が、直線状の領域(すなわち1次元領域)に規制された状態でエネルギー線の照射を受けることにより、高精度に構造物を形成することができる。
【0018】
前記基材の形成工程では、前記基材のパーツの、前記ステージに近い側である第1の側から、前記ステージに遠い側である第2の側に向かうにしたがって前記空隙率が高くなるように、前記基材のパーツが形成されてもよい。その場合、前記基材のパーツが複数形成される。そして、前記複数の基材のパーツの前記第2の側同士を接続するように、前記複数の基材のパーツが貼り合わせられる。これにより、容易かつ高精度に基材を形成することができる。
【0019】
前記基材の形成工程において、前記空隙率が、シート状基材の内部側から2次元状に外部側に向かうにしたがって低くなるように、かつ、前記複数の空隙が規則的に整列するようにシート状基材が形成されてもよい。その場合、前記シート状基材が複数用意される。そして、前記構造物の製造方法は、前記シート状基材同士の貼り合わせ面に垂直な軸を中心とした回転方向に、前記各シート状基材がずれるように、該各シート状基材を貼り合わせる工程をさらに含む。これにより、複数のシート状基材の貼り合わせ位置精度も低くてよく、また、どの位置でもどの方向からの応力に耐え得る強度を持つ構造物を実現することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上、本技術によれば、新たな形状を有する有用な構造物を実現することができ、またその製造方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本技術の第1の実施形態に係る構造物を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1においてA−A線を含む面でこの構造物を切ることにより得られる断面図である。
【図3】図3は、図1においてB−B線を含む面でこの構造物を切ることにより得られる断面図である。
【図4】図4は、図2において破線で囲まれる部分の拡大図である。
【図5】図5は、本技術の第2の実施形態に係る構造物を示す一断面図である。
【図6】図6は、本技術の第3の実施形態に係る構造物またはその主要部を示す斜視図である。
【図7】図7は、本技術の第5の実施形態に係る構造物の主要部を示す斜視図である。
【図8】図8は、図7に示す構造物を形成する単位セルを示す斜視図である。
【図9】図9は、図8に示す単位セルが、3次元状に規則的に整列されて形成された構造物を示す斜視図である
【図10】図10A及びBは、コーティング材の厚さを説明するための図である。
【図11】図11は、本技術の第6の実施形態に係る構造物の主要部を示す斜視図である。
【図12】図12は、図11に示す構造物を、2次元モデルで説明するための図である。
【図13】図13は、本技術の第7の実施形態に係る構造物の主要部を示す斜視図である。
【図14】小さい開口を含む単位セルで構成された構造物の主要部を示す斜視図である。
【図15】その小さい開口がコーティング材によって塞がれて形成された構造物の主要部を示す斜視図である。
【図16】図16は、開口を有しない単位セルであるクローズドセルと、オープンセル(セミクローズドセル)とを組み合わせて形成された構造物の主要部を示す斜視図である。
【図17】図17は、本技術の一実施形態に係る構造物形成装置を示す側面図である。
【図18】図18は、構造物形成装置をZ軸方向で見た側面図である。
【図19】図19は、構造物形成装置を示す模式的な側面図及びその制御システムの構成を示すブロック図である。
【図20】図20は、規制体を拡大して示す図である。
【図21】図21A〜Cは、構造物形成装置の動作を順に示す図である。
【図22】図22A〜Dは、その動作時における規制体及びステージの間の領域を拡大して示す図である。
【図23】図23は、複数の基材のパーツを貼り合わせて1つの基材を作製する方法について説明するための図である。
【図24】図24は、図12に示したシート状基材を複数、回転方向にずらして貼り合わせて形成された基材(構造物)を示す平面図である。
【図25】図25は、図12に示したシート状基材を直線的にずらして貼り合わせて形成された構造物をそれぞれ例示している。
【図26】図26は、図12に示したシート状基材を直線的にずらして貼り合わせて形成された構造物をそれぞれ例示している。
【図27】図27は、図12に示したシート状基材を直線的にずらして貼り合わせて形成された構造物をそれぞれ例示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本技術の実施形態を説明する。
【0023】
[構造物の第1の実施形態]
【0024】
図1は、本技術の第1の実施形態に係る構造物を示す斜視図である。図2は、図1においてA−A線を含む面でこの構造物50を切ることにより得られる断面図である。図3は、図1においてB−B線を含む面でこの構造物50を切ることにより得られる断面図である。
【0025】
この構造物50は、基材52と、この基材52の表面52aに形成されたコーティング材56(図4参照)とを備えている。
【0026】
図2及び3に示すように、基材52は、例えば直方体形状を有し、その内部に複数の空隙54を有する。これらの空隙54による空隙率が、基材52の内部側から3次元状に外部側に向かうにしたがって低くなるように、基材52が形成されている。また、各空隙54は、規則的に整列するように設けられている。空隙率は、一般的には、単位体積当りの、基材52の材料に占める空間の割合である。
【0027】
空隙が規則的に整列する、とは、空隙同士のピッチの増え方(減り方)が一定または所定の規則性があること、それら空隙の相対的な配置角度が一定または所定の規則性があること、あるいは、少なくとも一部の領域でそれらの空隙の配置の対称性が保たれていること、等を意味する。
【0028】
図4は、図2において破線で囲まれる部分Cの拡大図である。任意の2つの空隙54の間には、これら2つの空隙54間を連通する連通路(連通口)58が設けられている。この図4に示した一断面に平行な連通路58が設けられるだけでなく、任意の方向に沿って設けられる。基材52における最も外部側の空隙54のうち少なくとも1つには、外部(構造物50の周囲の空間)とその空隙54とを連通する連通路581が設けられている。各連通路58、581は、外部と、基材52の最も内部側の空隙54とが連通するように、適宜配置される。なお、図2及び3では、これらの連通路58、581の図示を省略している。
【0029】
図4に示すように、コーティング材56は、基材52を形成する表面、すなわち、基材52の外表面52b、及び各空隙54を形成する表面52a上に形成されている。つまり、コーティング材56は空隙54の内部にまで形成されている。
【0030】
コーティング材56は、例えば湿式、乾式のどちらの方式により形成されてもよい。湿式の場合、液体が連通路58、581を介して空隙54内に侵入することにより形成される。
【0031】
また、湿式の場合、例えば電解メッキ、無電解メッキにより、コーティング材56はメッキ層として形成される。あるいは、単純にメッキ槽の中に構造物50を浸す、言わばディップ方式によってコーティング材56が形成されてもよい。
【0032】
また溶融メッキとして、一旦、基材に無電解メッキ(例えば無電解ニッケルメッキ)を施し、構造物の耐熱性と濡れ性を高めたのち、溶融メッキを施し、肉厚のコーティング材を短時間で得ることもできる。
【0033】
乾式の場合、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)により、コーティング材56が形成される。
【0034】
コーティング材56は、金属、樹脂、またはこれらの混合物などでよい。金属としては、例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、チタン等が用いられる。樹脂としては、ABS、アクリル、あるいはポリエチレン系等が用いられる。あるいは、コーティング材56は、DLC(Diamond Like Carbon)であってもよい。
【0035】
以上のように、基材52の内部側の空隙率に比べ外部側の空隙率が低く形成されており、しかも、基材52に形成されたそれらの空隙54の表面52aにはコーティング材56が形成されている。すなわち、これにより新たな形状を有する構造物50を実現でき、また、コーティング材の材料の種類によっては、有用な機能を持つ構造物50を実現することができる。
【0036】
以上のような空隙率の配列により、次のような効果が得られる。例えば、構造物50に曲げ、せん断、引っ張りなど、様々な力が加えられる場合、構造物50の内部側に比べ、外部側に大きな応力がかかる場合がほとんどである。したがって、構造物50の内部側よりも外部側の基材の材料の体積を密に形成し、内部側に向かうにしたがってその体積を疎に形成する。その結果、構造物50全体(平均)の密度をできるだけ小さくしながら、その強度あるいは剛性を高めることができる。すなわち、構造物50の比強度(比剛性(単位質量当りの剛性))を高めることができる。
【0037】
本実施形態では、コーティング材56を設けることにより、コーティング材56がない構造物50と比べ、高い強度を持つ構造物50を実現することができる。
【0038】
コーティング材56の材料の種類によっては、高強度を図る目的に限られず、様々な目的で構造物50を利用することができる。例えば例えば疎水性(例えばフッ素系材料)、親水性(例えば、シリカ系、酸化チタン系の材料)、防汚性(例えばチタン系、カーボン系の材料)、耐熱性(例えばニッケル系、クロム系、チタン系)等、様々な性質を構造物50に与えることができる。
【0039】
例えば、例えば、チタン系などの高強度及び耐熱性のコーティング材56が用いられる場合、構造物50は、高回転、高圧及び高温にさらされるタービンブレードとして利用可能である。
【0040】
本実施形態では、連通口が設けられることにより、コーティング材56の材料が連通口を通って複数の空隙54の表面52aに行きわたるので、コーティング材56の形成が容易となる。
【0041】
なお、図2及び3では、空隙54の形状を四角形としたが、これは、球、楕円体、円柱、トラス形状、不規則な形状、あるいはこれらの組み合わせの形状でもよい。
【0042】
上記では、空隙54を規則的に整列されて配置されていたが、内部側から外部側に向かうにしたがって低くなるように設けられていれば、その配置は不規則あるいはランダムであってもよい。
【0043】
[構造物の第2の実施形態]
【0044】
図5は、本技術の第2の実施形態に係る構造物を示す断面図である。これ以降の説明では、図1等に示した実施形態に係る構造物50が含む部分や機能等について同様のものは説明を簡略化または省略し、異なる点を中心に説明する。
【0045】
この構造物150は、複数の空隙54を有する基材152と、この基材152の表面に形成された図示しないコーティング材とを有する。コーティング材は、上記第1の実施形態に係る構造物50と同様に、空隙154の内部にまで形成されている。
【0046】
構造物150は、上記第1の実施形態と同様に直方体形状を有する。構造物150の、図5に示した一断面においては、各空隙154のピッチは実質的に等しい。しかし、その空隙154の容積が、内部側から外部側に向かうにしたがい小さくなっている。つまり、空隙154による空隙率が、基材152の内部側から3次元状に外部側に向かうにしたがって低くなるように、基材152が形成されている。
【0047】
このような構造物150によっても、上記第1の実施形態に係る構造物150と同様の効果を得ることができる。
【0048】
上記第1及び第2の実施形態では、空隙率が、基材52、152の内部側から3次元状に外部側に向かうにしたがって低くなるように、基材52、152が形成された。しかし、空隙率が、基材52、152の内部側から2次元状に外部側に向かうにしたがって低くなるように、基材52、152が形成されてもよい。
【0049】
[構造物の第3の実施形態]
【0050】
図6は、本技術の第3の実施形態に係る構造物またはその主要部を示す斜視図である。
【0051】
この構造物60は、複数の空隙64を有する基材62と、図示しないコーティング材とを備える。構造物60は、薄い直方体形状(すなわち板状)、または薄いシート状に形成され、空隙64は基材62である板を貫通して形成されている。各空隙64の配列パターンは、図5に示したパターンと同様である。
【0052】
このように、板状またはシート状に形成された構造物60であっても、空隙率が、基材62の内部側から2次元状に外部側に向かうにしたがって低くなるように、基材62が形成されることにより、構造物60の比強度、比剛性を高めることができる。
【0053】
また、このような板状またはシート状の構造物60は、フィルターや触媒として利用することができる。
【0054】
上記第1〜3の実施形態では、構造物50、150、60の形状を直方体としたが、これに限られず任意の形状でよい。
【0055】
[構造物の第4の実施形態]
【0056】
本技術の第4の実施形態に係る構造物として、図示しないが、コーティング材が、金属層上に形成された樹脂層も含む。つまり、この構造物は、上述したような各実施形態に係る基材と、基材の表面に形成された金属層と、この金属層上に形成された樹脂層とを備える。
【0057】
この構造物の製造方法では、基材の表面に金属層を形成した後、樹脂液に、その金属層が形成された基材が含浸される。例えば繊維強化プラスチックはよく知られているが、本技術のように、金属層が形成された構造物に、さらに樹脂を含浸すると、その構造物は金属繊維強化プラスチックとなる。
【0058】
[構造物の第5の実施形態]
【0059】
図7は、本技術の第5の実施形態に係る構造物の主要部(特に構造物の内部構造)を示す斜視図である。図8は、図7に示す構造物70を形成する単位セルを示す斜視図である。
【0060】
この単位セル75は、上記各実施形態と同様に、基材72(図10B参照)と、この基材72の表面に形成されたコーティング材76(図10B参照)とを有する。
【0061】
図8に示すように、単位セル75は、6角形の上壁751、中壁753及び下壁755を有し、また、それらの壁751、753、755の各辺に対応するように6つの側面758を有する。上壁751、中壁753及び下壁755には、それぞれ開口(以下、説明の便宜上、平面開口という。)752が1つずつ形成されている。この平面開口752は、6角形に形成されている。また、1つの側面758には、2つの開口754が形成され、開口754は、隣合う側面758の開口754とそれぞれ一体的に連続した開口となるように形成されている。このような2つの側面758にまたがる一体的な1つの開口を、以下では説明の便宜上、側面開口754という。側面開口754は、長方形状(または正方形)に形成されている。
【0062】
1つの側面758に設けられる2つの側面開口754は、上壁751及び下壁755に平行な(X−Y平面に平行な)直線上にはなく、斜めにずれて配置されている。すなわち、上段における3つの側面開口754が、6角形の周囲方向に(Z軸周りに)120度間隔で配置され、下段における3つの側面開口754も同様に、その周囲方向に120度間隔で配置されている。上段の3つの側面開口754群と、下段の3つの側面開口754群は、その周囲方向に互いに60度ずれて配置されている。
【0063】
上壁751、中壁753及び6つの側面758で囲まれて形成される内部領域が1つの実質的な空隙の領域となる。また、下壁755、中壁753及び6つの側面758で囲まれて形成される内部領域が1つの実質的な空隙の領域となる。すなわち、この単位セルは、Z軸方向に沿って配列された2つの空隙を有する。
【0064】
図7に示した構造物70は、このような単位セル75が複数集められて、2次元状に規則的に整列されて形成されることにより構成される。あるいは図9に示すように、この単位セル75が、3次元状に規則的に整列されて形成された構造物170も実現可能である。
【0065】
これらの構造物70、170では、横方向及び縦方向で隣り合う各空隙が、平面開口752及び側面開口754を介して連通している。したがって、平面開口752及び側面開口754は、それぞれ連通口として機能する。このような構造を持つ単位セル75を、以下、オープンセルという。
【0066】
ここで、平面開口752の開口面積、側面開口754の開口面積、及び空隙の容積のうち少なくとも1つの値が、複数段階的に用意されることで、複数種類のオープンセルの単位セル75が用意される。このような複数種類の単位セル75の配置を適宜調整することにより、基材72の内部側から2次元状または3次元状に外部側に向かうにしたがって空隙率が低くなるように形成された構造物70、170が実現される。例えば、比較的小さい空隙容積を持つ単位セル75群が、基材72の比較的外部側に配置されるように、かつ、比較的大きい空隙容積を持つ単位セル75群が、基材72の比較的内部側に配置されるように、構造物70、170が形成されればよい。
【0067】
あるいは、図8に示した単位セルの形状と実質的に同じ形状を有し、かつ、サイズが異なる単位セルを組み合わせて基材を形成することもできる。すなわち、そのサイズの種類が複数段階で単位セルの組み合わせによって、基材の内部側から2次元状または3次元状に外部側に向かうにしたがって低くなるように形成された基材を形成することができる。
【0068】
本実施形態に係る構造物70、170も、上記各実施形態に係る構造部と同様の効果を得ることができる。
【0069】
この構造物70、170では、空隙の各開口面の配置構造がハニカム構造であるので、強度を高めることができる。
【0070】
本実施形態では、隅々にコーティング材76が行きわたるので、コーティング材76の材料によっては、高強度及び高耐熱性の両方を実現することができる。
【0071】
図10A及びBに示すように、この構造物70、170のうち、複数の空隙、平面開口752及び側面開口754を介して、基材72の表面52aを1周する最短距離d1(図10Aで破線で示す矢印の長さ)は、コーティング材の厚さd2の100〜10000倍である。図10Aで示す単位セル75における、上記複数の空隙とは、この単位セル75の上段の空隙を基準空隙として、この基準空隙に、Y軸(またはX軸)方向に沿って並んだ空隙、及び、Z軸方向に沿って並んだ空隙の、少なくとも3つの空隙を意味する。例えば厚さd2が1μmである場合、最短距離d1が10000倍とするとそれは10mmである。
【0072】
厚さd2がその100倍より小さい場合、基材72自体の厚さが薄すぎる、または細すぎるので、その分、基材72の強度が低下する。厚さd2がその10000倍より大きいと、基材72とコーティング材76との実質平面の接触面積が大きくなりすぎ、コーティング材76が剥がれやすくなるという懸念がある。コーティング材76が形成される実質平面が大きいと、基材72とコーティング材76との間にほこりや気泡が混入する可能性が高くなるので、コーティング材76が剥がれやすくなるおそれがある。
【0073】
[構造物の第6の実施形態]
【0074】
図11は、本技術の第6の実施形態に係る構造物の主要部を示す斜視図である。
【0075】
この構造物270の単位セルは、図8に示したオープンセルの単位セル75と実質的に同一である。この構造物270の中央には、単位セル75が持つ空隙より大きな空隙274が設けられている。図9に示した構造物270から、中央の7つの単位セル75が抜けることにより、このような空隙274が形成される。これにより、すべての空隙(単位セル75内の空隙及び空隙274)による空隙率が、構造物の内部側から3次元状に外部側に向かうにしたがって低くなるように形成された構造物270を実現することができる。
【0076】
また、この構造物270の7つの単位セル75が抜けて形成された空隙274の形状は、実質的に6角柱状であり、すなわちこの構造物270は自己相似形(フラクタル的な形状)を有する。
【0077】
ここで、図12に示すように、2次元モデルで構造物270を説明する。図12に示すように、最小の6角形の空隙32がハニカム構造のように規則的に整列されている。そして、実質的に6角形で、これら最小の6角形の空隙32より大きな空隙31が形成される。空隙31は、複数の空隙32の集まりにより形成される。図11に示した構造物270を2次元的に見ると、図12に示したシート状の構造物のうち、1つの空隙31及びそれを構成するその周囲の複数の空隙32で形成される部分の形状のようになる。
【0078】
本実施形態によれば、自己相似形を有するハニカム構造によって、比強度または比剛性の高い構造物270を実現することができる。
【0079】
[構造物の第7の実施形態]
【0080】
図13は、本技術の第7の実施形態に係る構造物の主要部を示す斜視図である。
【0081】
この構造物80は、上述の単位セル75より単純な形状(立方体)を有する単位セル85により形成される。単位セル85は、立方体フレーム状でなり、上下左右の8方向に向く開口(連通口)86を有するオープンセルである。このような単位セル85を用いることにより、上述のように自己相似形の構造物を実現できる。つまり、図13に示した構造物80の中央部分の1つまたは複数の単位セル85が抜けることにより、基材の空隙による空隙率が、基材の内部側から2次元状または3次元状に外部側に向かうにしたがって低くなるように形成された構造物を実現することができる。
【0082】
図14に示すように、立方体の単位セル85が有する8方向の開口86、87のうち1つの開口87の大きさが、他の開口86の大きさより小さくなるように基材が形成されてもよい。この基材の表面に、図示しないコーティング材を形成することにより、そのコーティング材の厚さによって、図15に示すように小さい開口87が塞がれて、壁88が形成される。コーティング材の厚さ及び基材のサイズ(開口87のサイズ)等が適宜設定されることにより、このような構造物280を実現可能である。
【0083】
図15に示したように、隣り合う空隙のうちの一部の空隙との開口が塞がれるように形成された構造物280を構成する単位セルを、以下、セミクローズドセルという。
【0084】
例えば、セミクローズドセルにより形成され構造物280、あるいは、上記したオープンセルとセミクローズドセルとを組み合わせて形成された構造物を、微細な流路を持つ流路デバイスとして利用することができる。流路デバイスとして構造物280が用いられる場合、その構造物280の外面位置(少なくとも底部など)にはカバーが設けられる。
【0085】
図16は、開口を有しない単位セル385であるクローズドセルと、オープンセル(セミクローズドセル)とを組み合わせて形成された構造物の主要部を示す。このような構造物380では、オープンセル及びセミクローズドセルにコーティング材が形成され、クローズドセルの内部の空隙を形成する表面にはコーティング材が形成されない。
【0086】
この構造物380では、オープンセル(またはセミクローズドセル)が、クローズドセルを支持する機能を有する。クローズドセルの内部に外界から遮断された空隙が設けられることにより、この構造物380を、例えば高い断熱性が必要な構造物として使用することができる。
【0087】
以上説明した、オープンセル、セミクローズドセル及びクローズドセルをすべて組み合わせて構造物を形成することももちろん可能である。
【0088】
[構造物の製造方法]
【0089】
図1〜16に示した構造物を、例えば造形装置の方式により形成することができる。
【0090】
造形装置は、供給された材料の全領域のうち、対象となる構造物の3次元設計データに基づいて、選択された領域にエネルギー線を照射し、供給された材料を部分的に硬化させる。これにより、任意の形状の構造物を形成することができる。
【0091】
エネルギー線としては、典型的には光であり、特に紫外線が用いられる。その場合、材料は紫外線硬化性樹脂が用いられる。エネルギー線は、紫外線に限られず、赤外線、可視光、電子線、または超音波等が挙げられる。赤外線や超音波等は、比較的造形精度が低い造形物を形成する場合に用いられればよい。光照射には、典型的にはレーザ照射が用いられる。
【0092】
しかし、1次元規制方式による造形装置(構造物形成装置)を用いることにより、実用的な速度及びコストで、高精度な構造物を形成することができる。1次元規制方式を採用した構造物形成装置は、例えば特開2011−98484号公報に記載されている。あるいは、以下に説明する装置が用いられてもよい。
【0093】
(構造物形成装置)
以下、構造物形成装置について説明する。この構造物形成装置は、基本的に造形装置の原理を用いる。構造物形成装置により形成された構造物は、模型としてだけでなく、実際の製品としても利用され得る。
【0094】
(構造物形成装置の構成)
図17は、本技術の一実施形態に係る構造物形成装置を示す側面図である。図18は、この構造物形成装置をZ軸方向で見た側面図である。図19は、構造物形成装置を示す模式的な側面図及びその制御システムの構成を示すブロック図である。図中、X、Y及びZ軸は、互いに直交する3軸である。
【0095】
構造物形成装置100は、ベース11と、ベース11に鉛直方向に立設されたY軸移動機構13と、Y軸移動機構13に接続されたZ軸移動機構15と、Z軸移動機構15に接続されたステージ14とを備える。また、構造物形成装置100は、エネルギー線として例えば紫外線等のレーザ光をステージ14に向けて照射する照射ユニット17を備える。また、構造物形成装置100は、ステージ14に対面して配置された規制体12と、レーザ光により硬化する光硬化性樹脂等の材料を、ステージ14と規制体12との間に供給する供給ノズル16とを備える。
【0096】
Y軸移動機構13は、Y軸移動モータ131(図19参照)と、ベース11に立設された支持柱134と、支持柱134にY軸方向(第2の方向)に沿って敷設されたガイドレール132と、ガイドレール132に接続され、Y軸移動モータ131によりガイドレール132に沿って移動可能な移動ベース133とを有する。
【0097】
Z軸移動機構15は、Z軸移動モータ151(図19参照)を有し、ステージ14をZ軸方向に移動させることが可能に構成されている。ステージ14は、図18に示すように例えば円形状に形成されているが、四角でも、その他の形状でも構わない。Y軸移動機構13及びZ軸移動機構15によって、ステージ14はY及びZ軸方向に沿って移動可能とされる。Z軸移動機構15により、ステージ14の表面14aと、規制体12の表面12aのうち最もステージ14に近い領域(後述する直線状の領域A1)との距離が制御される。Y軸移動機構13及びZ軸移動機構15は、移動機構として機能する。
【0098】
規制体12は、供給ノズル16からステージ14の表面14aに供給された材料のZ軸方向に沿う厚さを規制する。図20は、規制体12を拡大して示す図である。規制体12は、シリンドリカル形状の一部の形状を有する(シリンドリカルレンズ形状)。すなわち、ステージ14側に対面する、規制体12の表面12aは曲面であり、その曲面がシリンドリカル面として形成されている。
【0099】
図18に示すように、規制体12は一方向(X軸方向)に沿って長く形成されている。規制体12は、取り付け具21によって支持柱19に取り付けられている。取り付け具21には、X軸方向(第1の方向)に沿ってスリット21aが形成されており、このスリット21aを介して照射ユニット17からのレーザ光が規制体12に入射される。
【0100】
規制体12は、ガラス、アクリル、その他の透明材料により形成されている。規制体12は、エネルギー線を所定の透過率で透過させる材料であれば何でもよい。規制体12の表面12aには、材料の接触角を高める、すなわち疏水性の膜(例えばフッ素等)がコーティングされていてもよい。
【0101】
図20に示すように、ステージ14は、ステージ14側と規制体12の表面12aとの間に、スリット領域Sを形成するように、Z軸移動機構15により配置可能となっている。ステージ14の表面14aと、規制体12の表面12aのうち最もステージ14に近い部分である、X軸方向に沿った直線状の領域A1とが対面することにより、スリット領域Sが形成される。この直線状の領域A1は、規制体12の表面12aの一部である。
【0102】
この直線状の領域A1の、Y軸方向の幅は0.1〜1mmである。また、後述する照射ユニット17から照射されるレーザ光のスポット径は、1〜100μmである。しかし、直線状の領域A1の幅及びスポット径は、規制体12の大きさ、造形物(構造物)の大きさ、造形精度などによって適宜変更可能であり、それらの範囲以外の値も取り得る。
【0103】
供給ノズル16は、X軸に沿って長い形状を有している。供給ノズル16は、規制体12より上部に配置され、例えば図示しない部材により支持部材を介して支持柱19に取り付けられている。供給ノズル16として、その長手方向に沿って、光硬化性材料R(図20参照)を吐出するための図示を省略した複数の穴を有するタイプのノズルが用いられる。あるいは、供給ノズル16として、その長手方向に沿って設けられたスリットを有するスリットコートタイプのノズルが用いられてもよい。
【0104】
なお、供給ノズル16には、例えばこの供給ノズル16に光硬化性材料Rを導入するための図示しないポンプ、配管、開閉バルブ等が接続されている。
【0105】
図17に示すように、照射ユニット17は、レーザ光源171と、レーザ光源171から出射されたレーザ光のビームスポットを絞る対物レンズ172とを備える。これらレーザ光源171及び対物レンズ172は、図示しないホルダにより一体的に保持されている。対物レンズ172は、規制体12を介してスリット領域S、または、スリット領域Sを含むその近傍の領域にある光硬化性材料に焦点を合わせる。すなわち、対物レンズ172はレーザ光の焦点が少なくともスリット領域Sにある光硬化性材料Rに合致するような光軸上の位置に配置される。
【0106】
照射ユニット17により発生するレーザ光が紫外線である場合、光硬化性材料Rとして、紫外線硬化樹脂が用いられる。
【0107】
また、上記移動機構は、照射ユニット17を一体的にX軸方向に沿って移動させる、X軸移動モータ181(図19参照)を搭載したX軸移動機構(スキャン機構)18を有する。X軸移動機構18により、照射ユニット17は、レーザ光源18から出射されたレーザ光をX軸方向に沿ってスキャンすることができる。
【0108】
なお、X軸移動機構として、ポリゴンスキャナあるいはガルバノスキャナを用いてもよい。
【0109】
上記取り付け具21のスリット21aはX軸方向に沿って長く形成されている。したがって、X軸移動機構18は、レーザ光をスキャンしている時、そのスリット21aを介して規制体12にレーザ光を入射させることができる。
【0110】
Z軸移動機構15、Y軸移動機構13及びX軸移動機構18は、例えばボールネジ駆動機構、ラックアンドピニオン駆動機構、またはベルト駆動機構などにより実現することができる。
【0111】
ベース11上であって、ステージ14の下方には廃液タンク5が設けられている。廃液タンク5には、供給ノズル16から吐出され、ステージ14を伝って流れ落ちる余剰の光硬化性材料等が溜められるようになっている。
【0112】
なお、支持柱134及び支持柱19はそれぞれ2つずつ設けられたが(図18参照)、これらは、ベース11のX軸方向においてほぼ中央位置に1つずつ設けられていてもよい。
【0113】
図19に示すように、構造物形成装置100は、Z軸移動モータ151の駆動を制御するZ軸移動モータコントローラ28、Y軸移動モータ131の駆動を制御するY軸移動モータコントローラ27、X軸移動モータ181の駆動を制御するX軸移動モータコントローラ25を備える。また、構造物形成装置100は、レーザ光源171から出射されるレーザ光のパワーを制御するレーザパワーコントローラ26を備える。これらの各コントローラ25〜28の動作は、ホストコンピュータ50により統括的に制御される。図示されていないが、構造物形成装置100は、供給ノズル16に接続されたポンプや開閉バルブを駆動するためのコントローラも備えている。
【0114】
上記ホストコンピュータ50は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えている。CPUの代わりに、FPGA(Field Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のPLD(Programmable Logic Device)が用いられてもよい。各コントローラ25〜28は、これらのようなハードウェアを備えるか、またはソフトウェアによりそれぞれ構成される。
【0115】
典型的には、ホストコンピュータ50及び各コントローラ25〜28は互いに有線により接続されるが、これらコントローラのうち少なくとも1つは無線により構造物形成装置100内の制御システムに接続されてもよい。
【0116】
(構造物形成装置の動作)
次に、以上のように構成された構造物形成装置100の動作を説明する。図21A〜Cは、その動作を順に示す図である。図22A〜Dは、その動作時における規制体12及びステージ14の間の領域を拡大して示す図である。
【0117】
図21Aは、構造物形成装置100の静止状態を示し、移動ベース133が初期位置にある状態を示している。実際に造形を実行する前に、光硬化性材料Rである硬化層の1層分の厚さがホストコンピュータ50を介して設定される。そして、例えばZ軸移動モータコントローラ28の制御に応じたZ軸移動機構15の駆動により、ステージ14が、規制体12の最もステージ14に近い部分である直線状の領域A1に接触した時(図21A参照)のステージ14の高さ位置が、Z軸方向での原点として設定される。
【0118】
なお、この原点の設定時における、ステージ14のY軸方向での位置は、適宜設定可能である。
【0119】
原点が設定されると、予め設定された、光硬化性材料Rの1層の厚さ分、ステージ14が規制体12から離れる。
【0120】
ステージ14が規制体12から離れた後、ステージ14はY軸移動機構13により図21Bに示すような所定の位置である造形開始位置に移動する。この造形開始位置とは、ステージ14と規制体12の直線状の領域A1との間のスリット領域Sが形成することができるようなステージ14のY軸に沿った方向での位置である。この造形開始位置は、スリット領域Sが形成できるようなステージ14の位置であれば、形成される構造物のY軸方向での大きさにより適宜設定が変更され得る。
【0121】
ステージ14が造形開始位置に位置すると、供給ノズル16から光硬化性材料Rが吐出され、規制体12とステージ14との間に、自重により流れ落ちる。これにより、少なくともスリット領域Sに光硬化性材料Rが満たされる。光硬化性材料Rは表面張力によって、規制体12とステージ14との間に保持される。すなわち、規制体12は、直線状の領域A1によって、X軸方向に沿う1次元的な領域で光硬化性材料Rの液面を規制する。この時のスリット領域S及びその周辺の状態を図20に拡大して示す。このような状態から、レーザ光の光硬化性材料Rへの照射、つまり露光が開始される。
【0122】
照射ユニット17がレーザ光を照射する。レーザ光源171から発生したレーザ光が対物レンズ172及び規制体12を通り、スリット領域Sの光硬化性材料Rに入射する。照射ユニット17は、X軸移動モータコントローラ25の制御によりX軸に沿った方向で移動しながら、造形対象物の1層分の中のX軸方向の1列分のデータに基づき、レーザパワーコントローラ26の制御に応じて、光硬化性材料Rに対して選択的に露光していく(図22A参照)。
【0123】
具体的には、レーザパワーコントローラ26は、構造物の上記1列分のデータに応じてレーザパワーの変調信号を生成し、これをレーザ光源171に送ることで、1層分中のX軸方向の1列分の光硬化性材料Rが選択的に露光され、硬化される。少なくともスリット領域Sにある光硬化性材料Rが露光される。レーザ光の照射による露光中は、ステージ14は停止している。
【0124】
構造物の1層分の厚さは、1〜100μmであるが、この範囲に限られず適宜設定可能である。
【0125】
以上のようにして、図22Aに示すように、1列分の硬化層R0が形成される。
【0126】
光硬化性材料RのX軸方向に沿った1列分の露光が終了すると、レーザ光の照射動作が停止し、Y軸移動機構13による移動ベース133の移動によって、ステージ14がY軸に沿った方向で後方側(図21Bにおける上側)へ所定のピッチ移動する。この時、図22B及びCに示すように、ステージ14とともに硬化物R0が移動することにより、規制体12及びその硬化物R0の間にせん断力が発生し、規制体12と硬化物R0とが剥離される。上記のように規制体12の表面に疎水性の膜が形成されていることにより、この剥離はさらに容易に行われる。
【0127】
そして、1層目内における次の1列分(最初の1列に隣接する1列)の選択的な露光が上記と同様に行われる(図22D参照)。これにより、その列の硬化物R1が形成される。
【0128】
構造物形成装置100は、以上のようなレーザ光のX軸方向に沿ったスキャン照射、及び、ステージ14のY軸方向に沿ったステップ送りを繰り返すことにより、図21Cに示すように、1層分の光硬化性材料Rの選択的な硬化層、つまり1層分の硬化層R’を形成する。このように、いわゆるラスタースキャンの要領で1層分の露光処理が行われる。
【0129】
ステージ14のこのようなY軸に沿った方向における間欠的な移動のピッチは、レーザビームのスポット径にもより、つまり、構造物を形成するときの分解能にもよるが、この移動のピッチは適宜設定可能である。
【0130】
1層分の光硬化性材料Rへの露光が終了すると、ステージ14が、Z軸方向へ規制体12からさらに離れるように移動する。そして、これまで説明した動作を繰り返すことにより、硬化層R’が積層されていき、任意の形状の構造物が形成されていく。
【0131】
以上のように、規制体12の直線状の領域A1がステージ14に最も近くなるように規制体12の表面12aがシリンドリカル面に形成されているので、ステージ14がY軸方向に沿って移動することで、規制体12の直線状の領域A1はZ軸方向に沿ってステージ14から相対的に離れていくように移動する。これにより、上述のようにせん断力が発生し、規制体12から材料の硬化物(図22B、Dに示したR0やR1など)をきれいに剥がすことができる。
【0132】
従来の規制液面法では、フィルムやガラス面の歪みにより構造物の平面度が悪化していたことも問題の1つであった。これに対し本実施形態では、規制体12の表面の形状はシリンドリカル面であり、直線状の領域A1で光硬化性材料の液面が規制される。したがって、光硬化性材料Rが硬化するときの収縮力が規制体12に加えられても、規制体12に変形や歪みが発生しにくく、また、露光前における光硬化性材料Rの粘性による規制体12の変形も防止できる。これにより、硬化層の平面度を高め、また、その厚さを高精度に制御することができる。その結果、図1〜16に示したような構造物を、小さいサイズで形成することができる。
【0133】
従来の規制液面法では、フィルムやガラス面から構造物を引き剥がす工程に時間を要していた。しかし、本実施形態では、露光処理時においてステージ14のY軸に沿った方向でのステップ送りごとに規制体12から構造物が引き剥がされていく。つまり1層分の露光処理と引き剥がし処理の時間帯が重複しているので、構造物の形成にかかる時間を短縮することができる。
【0134】
本実施形態では、直線状の領域A1で光硬化性材料の液面が規制されるので、粘度の高い樹脂材料を用いても、正確な層厚で構造物を形成することができ、用いる材料の選択の幅が広がる。
【0135】
本実施形態では、規制体12の直線状の領域A1において、規制体12の、ステージ14側からの引き剥がしが、微小量ずつ断続的に(Y軸方向に沿ったステップ送りごとに)起こる。したがって、引き剥がし力が弱く、硬化物に損傷が加えられることを防止できる。つまり、硬化物が規制体12から剥がれやすい。また、そのように引き剥がし力が弱いので、硬化物がステージ14から剥がれてしまうようなことも起こらない。
【0136】
以上のように、本実施形態に係る構造物形成装置100によれば、図1〜16に示した構造物を、実用的な速度及びコストで、高精度に形成することができる。特に、構造物形成装置100は、微小で複雑な形状を有する構造物であっても、実用的な速度で高精度に構造物を形成することができる。
【0137】
[複数の基材のパーツの貼り合わせによる構造物の形成]
【0138】
図23は、複数の基材のパーツを貼り合わせて1つの基材を作製する方法について説明するための図である。
【0139】
図23Aに示すように、上記構造物形成装置100により、例えば凹部91aを有する基材パーツ91が形成される。基材パーツ91は、ステージ14に近い側である第1の側91bから、ステージ14に遠い側である第2の側91cに向かうにしたがって空隙率が高くなるように、形成される。
【0140】
このような基材パーツ91が複数、ここでは2つ形成される。そして、図23Bに示すように、各基材パーツ91の第2の側91c同士が接続されるように、これら基材パーツ91が貼り合わせられる。
【0141】
その結果、図23Cに示すように、空隙94を有する基材90が形成される。空隙94による空隙率が、基材の内部側から2次元状または3次元状に外部側に向かうにしたがって低くなるように、基材90が形成される。
【0142】
このように基材をパーツに分けて作製することにより、次のようなメリットがある。仮に、ステージ14に近い側として第2の側91cから、基材パーツ91が形成されていくとする。この場合、第2の側91cの体積がごく小さく、第1の側91bの体積が大きく重い場合、ステージ14上での基材パーツの安定性が低下する。したがって、図23Aに示したように、材料の体積の大きい方がステージ側に近い位置に配置されるようにすることにより、そのような安定性の問題を解消することができる。
【0143】
なお、上記では、説明を分かりやすくするため、本実施形態に係る基材90の形状を単純な形状にしたが、公知の造形装置または構造物形成装置100によれば、もちろん複雑な形状の基材も形成可能である。
【0144】
[複数のシート状基材の貼り合わせによる構造物の形成]
【0145】
図24は、例えば図12に示したシート状基材を複数貼り合わせて形成された基材を示す平面図である。この例では2枚のシート状基材を貼り合わせている。具体的には、シート状基材同士の貼り合わせ面に垂直な軸を中心とした回転方向に、前記各シート状基材がずれるように、該各シート状基材が貼り合わせられる。
【0146】
図25、26及び27は、図24に示すように回転方向へシート状基材をずらしたものではなく、直線的にずらして貼り合わせて形成された基材をそれぞれ例示している。図25〜27に示した例では、各シート状基材同士が重なる部分が、方向性をもって周期的に変わる。このような構造は、例えば強度的に好ましくないことがある。また、大きな基材の場合、局所的な伸び縮みになどにより、全体を同じ位置関係で貼り合わせることも難しい。
【0147】
図24に示した基材110の製造方法によれば、2枚のシート状基材の貼り合わせ位置精度も低くてよく、また、どの位置でもどの方向からの応力に耐え得る強度を持つ構造物を実現することができる。
【0148】
またこの基材110を遠くから見ると、全体的に大きな6角形を描いている部分を確認することができる。すなわち、この構造物110は、2枚のシート状基材の貼り合わせによっても、自己相似的な周期構造を保っている。この周期構造は、2枚のシート状基材の貼り合わせの回転角度に依存する。
【0149】
以上のようなシート状基材の貼り合わせによる構造物の技術は、ハニカム構造を有するシート状基材に適用される場合に限られない。シート状基材またはこれにより構成される構造物の空隙率が、そのシート状基材の内部側から外部側へ向かうにしたがって低くなっていれば、どのようなシート状基材及び構造物であってもよい。
【0150】
[その他の実施形態]
【0151】
本技術は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態が実現される。
【0152】
上記実施形態に係る構造物形成装置の規制体は、シリンドリカル形状の一部であったが、シリンドリカル形状の全部の形状を有していてもよい。その場合、その規制体はエネルギー線に対して透明な材料のソリッドタイプでもよいし、あるいは、中空タイプでもよい。
【0153】
その規制体の表面の形状は、シリンドリカル面でなくもよく、楕円面、双曲面等の曲面であってもよい。あるいはその表面は、曲面でなくても、Y軸方向で狭い幅(レーザスポット径の2〜5倍程度)を持つ平面であってもよい。
【0154】
上記実施形態では、造形時にZ軸方向において、規制体12が静止し、ステージ14が移動した。このような方式に限られず、Z軸方向において、規制体が移動し、ステージ14が静止していてもよいし、あるいは、それら両方が移動してもよい。
【0155】
上記実施形態では、構造物の1層分の硬化層を形成するために、ステージ14が鉛直方向に移動した。しかし、構造物の1層分の硬化層を形成するために、規制体及びステージが水平方向に相対的に移動してもよいし、鉛直方向の成分を含み、鉛直方向とは異なる方向、すなわち斜め方向に相対的に移動してもよい。
【0156】
上記実施形態では、構造物の1層分の硬化層を形成するために、規制体12及びステージ14が相対的に移動する方向として、規制体12の直線状の領域A1が延びる方向(第1の方向)に直交する方向であった。しかし、第2の方向は、第1の方向とは異なっていればよく、第1の方向に対して斜め方向でもよい。あるいは、規制体12の長手方向が、平面で見て(Z軸方向で見て)予め斜め方向に傾いて設置されていてもよい。
【0157】
上記実施形態では、X軸方向におして、規制体12及びステージ14は静止し、照射ユニット17がX軸方向に沿って移動したが、照射ユニットが静止し、規制体及びステージが一体的にX軸移動してもよい。
【0158】
図22、23に示した構造物以外の、上記したすべての構造物は、上記のような造形装置(構造物形成装置)により形成される場合に限られず、射出成形、または他の方法により形成されてもよい。
【0159】
以上説明した各形態の特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。
【0160】
本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)複数の空隙と、少なくとも前記複数の空隙を形成する表面とを有し、前記複数の空隙による空隙率が、基材の内部側から2次元状または3次元状に外部側に向かうにしたがって低くなるように形成された基材と、
前記基材の前記表面に形成されたコーティング材と
を具備する構造物。
(2)(1)に記載の構造物であって、
前記基材は、前記複数の空隙を連通する連通口をさらに有する
構造物。
(3)(2)に記載の構造物であって、
前記基材は、複数の連通口を有し、
複数の空隙及び複数の連通口を介して、前記基材の前記表面を1周する最短距離は、前記コーティング材の厚さの100〜10000倍である
構造物。
(4)(1)から(3)のうちいずれか1つに記載の構造物であって、
前記コーティング材は、金属層を含む
構造物。
(5)(4)に記載の構造物であって、
前記コーティング材は、前記金属層の上に形成された樹脂層をさらに含む
構造物。
(6)(1)から(5)のうちいずれか1つに記載の構造物であって、
前記複数の空隙は、規則的に整列するように前記基材に設けられている
構造物。
(7)(6)に記載の構造物であって、
前記複数の空隙の各開口面の配置構造は、ハニカム構造である
構造物。
(8)エネルギー線のエネルギーで硬化する基材の材料を供給領域に供給し、
前記供給領域に供給された前記材料の全領域のうち、選択された領域に前記エネルギー線を照射することで、複数の空隙と、少なくとも前記複数の空隙を形成する表面とを有し、前記複数の空隙による空隙率が、前記基材の内部側から2次元状または3次元状に外部側に向かうにしたがって低くなるように前記基材を形成し、
前記形成された基材の前記表面にコーティング材を形成する
構造物の製造方法。
(9)(8)に記載の構造物の製造方法であって、
ステージと、
第1の方向に沿う直線状の領域を含む表面を有し、前記表面のうち前記直線状の領域が前記ステージに最も近くなるように、前記ステージに対面して配置された規制体とを備えた構造物形成装置を用いて、
前記材料の供給工程では、前記ステージが配置される側の領域と前記直線状の領域との間の領域であるスリット領域に、前記材料を供給し、
前記基材の形成工程では、前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿って、前記規制体及び前記ステージを相対的に移動させることにより、少なくとも1層分の前記材料を硬化させる
構造物の製造方法。
(10)(9)に記載の構造物の製造方法であって、
前記基材の形成工程では、
前記基材のパーツの、前記ステージに近い側である第1の側から、前記ステージに遠い側である第2の側に向かうにしたがって前記空隙率が高くなるように、前記基材のパーツを形成し、
前記基材のパーツを複数形成し、
前記複数の基材のパーツの前記第2の側同士を接続するように、前記複数の基材のパーツを貼り合わせる
構造物の製造方法。
(11)(8)に記載の構造物の製造方法であって、
前記基材の形成工程において、前記空隙率が、シート状基材の内部側から2次元状に外部側に向かうにしたがって低くなるように、かつ、前記複数の空隙が規則的に整列するようにシート状基材を形成し、
前記シート状基材を複数用意し、
前記構造物の製造方法は、前記シート状基材同士の貼り合わせ面に垂直な軸を中心とした回転方向に、前記各シート状基材がずれるように、該各シート状基材を貼り合わせる工程をさらに含む
構造物の製造方法。
【0161】
[本技術の範囲外の形態]
【0162】
本技術の範囲からは外れるが、図8に示したような例えば1種類の単位セル75が集まって形成された構造物が実現されてもよい。すなわち、単位セル75ごとの各開口の大きさをそれぞれ一定としてもよい。あるいは、単位セル75を任意の位置に配置することにより、自由な形状の構造物を形成することができ、方向によっては曲げ剛性が異なる構造物を作製することができる。
【0163】
本技術の範囲からは外れるが、図12に示したシート状基材の空隙率、あるいは図24に示したシート状基材を貼り合わせて形成された基材の空隙率が、一定、ランダムでもよい。
【符号の説明】
【0164】
12…規制体
12a…表面
13…Y軸移動機構
14…ステージ
15…Z軸移動機構
16…供給ノズル
17…照射ユニット
18…X軸移動機構
31、32、54、94、154、274…空隙
50、60、70、80、110、150、170、270、280、380…構造物
52、62、72、90、152…基材
52a…表面
56、76…コーティング材
58、86、87、581…連通路(連通口)
91…基材パーツ
100…構造物形成装置
752…平面開口
754…側面開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の空隙と、少なくとも前記複数の空隙を形成する表面とを有し、前記複数の空隙による空隙率が、基材の内部側から2次元状または3次元状に外部側に向かうにしたがって低くなるように形成された基材と、
前記基材の前記表面に形成されたコーティング材と
を具備する構造物。
【請求項2】
請求項1に記載の構造物であって、
前記基材は、前記複数の空隙を連通する連通口をさらに有する
構造物。
【請求項3】
請求項2に記載の構造物であって、
前記基材は、複数の連通口を有し、
複数の空隙及び複数の連通口を介して、前記基材の前記表面を1周する最短距離は、前記コーティング材の厚さの100〜10000倍である
構造物。
【請求項4】
請求項1に記載の構造物であって、
前記コーティング材は、金属層を含む
構造物。
【請求項5】
請求項4に記載の構造物であって、
前記コーティング材は、前記金属層の上に形成された樹脂層をさらに含む
構造物。
【請求項6】
請求項1に記載の構造物であって、
前記複数の空隙は、規則的に整列するように前記基材に設けられている
構造物。
【請求項7】
請求項6に記載の構造物であって、
前記複数の空隙の各開口面の配置構造は、ハニカム構造である
構造物。
【請求項8】
エネルギー線のエネルギーで硬化する基材の材料を供給領域に供給し、
前記供給領域に供給された前記材料の全領域のうち、選択された領域に前記エネルギー線を照射することで、複数の空隙と、少なくとも前記複数の空隙を形成する表面とを有し、前記複数の空隙による空隙率が、前記基材の内部側から2次元状または3次元状に外部側に向かうにしたがって低くなるように前記基材を形成し、
前記形成された基材の前記表面にコーティング材を形成する
構造物の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の構造物の製造方法であって、
ステージと、
第1の方向に沿う直線状の領域を含む表面を有し、前記表面のうち前記直線状の領域が前記ステージに最も近くなるように、前記ステージに対面して配置された規制体とを備えた構造物形成装置を用いて、
前記材料の供給工程では、前記ステージが配置される側の領域と前記直線状の領域との間の領域であるスリット領域に、前記材料を供給し、
前記基材の形成工程では、前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿って、前記規制体及び前記ステージを相対的に移動させることにより、少なくとも1層分の前記材料を硬化させる
構造物の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の構造物の製造方法であって、
前記基材の形成工程では、
前記基材のパーツの、前記ステージに近い側である第1の側から、前記ステージに遠い側である第2の側に向かうにしたがって前記空隙率が高くなるように、前記基材のパーツを形成し、
前記基材のパーツを複数形成し、
前記複数の基材のパーツの前記第2の側同士を接続するように、前記複数の基材のパーツを貼り合わせる
構造物の製造方法。
【請求項11】
請求項8に記載の構造物の製造方法であって、
前記基材の形成工程において、前記空隙率が、シート状基材の内部側から2次元状に外部側に向かうにしたがって低くなるように、かつ、前記複数の空隙が規則的に整列するようにシート状基材を形成し、
前記シート状基材を複数用意し、
前記構造物の製造方法は、前記シート状基材同士の貼り合わせ面に垂直な軸を中心とした回転方向に、前記各シート状基材がずれるように、該各シート状基材を貼り合わせる工程をさらに含む
構造物の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図12】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2013−18146(P2013−18146A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151596(P2011−151596)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】