説明

構造用サンドイッチ板部材の改良された形成方法

【解決手段】外板のうちの1つに溶接される少なくとも1つのスタッドにより周辺バーを接続するステップを含む構造用サンドイッチ板部材を形成する方法。スタッドは、周辺バー内の開口部を通して外板にアークスタッド溶接することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造用サンドイッチ板部材を形成する方法に関し、構造用サンドイッチ板部材は、2つの外板と、オーバーレイ技術により上記部材、及びそれにより形成される部材及び構造体の構造強度に実質的に貢献するように、十分な強度でこの外板に接合しているプラスチック又は高分子材料のコアとを備える。
【背景技術】
【0002】
参照により本明細書に組み込むものとする米国特許第5,778,813号及び米国特許第6,050,208号に、構造用サンドイッチ板部材について記載されている。上記部材は、例えば、未発泡ポリウレタンのような中間エラストマーコアと一緒に接合されている外側金属(例えば鋼)板を備える。これらのサンドイッチ板システムは、補剛鋼板、成形鋼板、鉄筋コンクリート又は鋼コンクリート複合構造の代わりとして、また、結果として得られる構造を非常に簡単にするために、多くの形状の建造物で使用することができ、重量を低減する一方で、強度及び構造性能(例えば、剛性、減衰特性など)を改善する。コアは、外板間でせん断力を伝達する。同様に参照により本明細書に組み込むものとするWO01/32414号に、他の開発されたこれら構造用サンドイッチ板部材が記載されている。上記文献に記載されているように、重量を軽減するために発泡体をコア層に内蔵することができ、剛性を改善するために横方向の金属せん断板を追加することができる。
【0003】
WO01/32414号の教示によれば、発泡体は中空であっても中実であってもよい。中空の発泡体を使用すれば、重量を大幅に軽減することができるので有利である。上記文献に記載されている発泡体は、軽量の発泡材からできているものに限定することなく、木材又は鋼鉄の箱、プラスチックの押出形材及び中空のプラスチック球のような他の材料から作ることもできる。
【0004】
国際出願WO02/20341号に、オーバーレイによるこのような部材の形成方法が記載されている。この方法の場合には、磨耗又は損傷したパネルに対して間隔を置いて新しい面板を設置し、結果としてできる空洞内に液状のプラスチック又は高分子材料を注入することにより、既存の構造を復元又は補強することができる。プラスチック又は高分子材料は、固まることにより又は硬化することにより、その間でせん断力を伝達するために、既存のパネルと新しい面板に接合する中間層を形成する。国際出願PCT/GB2003/004628号に、それにより管状構造を内部から補強するこの方法の変形例が記載されている。この変形例の方法は、インナーレイと呼ばれる場合もある。WO02/20341号に、ブリッジを修理し、補強することができる特定の方法が記載されている。これらの方法は、アンダーレイと呼ばれることもある。WO2005/108072号に、拘束梁を押さえつけるための磁石の使用が記載されている。
【0005】
周知のオーバーレイ技術(上記インナーレイ及びアンダーレイのような変形例を含む)の場合には、コア材料が注入される空洞は、補強されるパネル又は他の構造にその全長に沿って周辺バーを隅肉溶接し、次に、周辺バーに面板を突合わせ溶接することにより形成される。希なケースの場合には、構造の既存部分に新しい面板を直接隅肉溶接することができる。しかし、場合によっては、例えば、発生した熱が既存の構造、又は絶縁体のようなそれに取り付けられているものも損傷するので、既存の構造に溶接することは望ましくない場合もある。燃料蒸気のような可燃物圧力が存在する場合も、熱間加工を行えない場合がある。
【0006】
それ故、注入のための空洞(キャビティ)を別の方法で形成することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つの目的は、既存の構造への追加物としての構造用サンドイッチ板部材を形成するために、コア材料を注入するための空洞を形成するための他の方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
第1の金属板を供給(提供)するステップと、
上記第1の金属板に固定される1つ又は複数のスタッドが貫通孔内に突き出るように、上記第1の金属板と接触する少なくとも1つの貫通孔を有する少なくとも1つの周辺バーを供給(提供)するステップと、
上記スタッドに上記周辺バーを固定するステップと、
上記周辺バーに上記第2の金属板を固定して、従って上記第2の金属板が第1の金属板から隔置されて上記第1及び第2の金属板及び上記周辺バーにより囲まれる空洞を形成するステップと、
上記空洞を硬化していないプラスチック又は高分子材料で充填するステップと、
その間でせん断力を伝達するために、上記プラスチック又は高分子材料が、十分な強度で上記外板を接合するために硬化することができるようにするステップと、
を含む構造用サンドイッチ板部材を製造する方法を提供する。
【0009】
さらに、本発明は、第1及び第2の外側金属板と、その間でせん断力を伝達するために、十分な強度で上記金属板に接合されるプラスチック又は高分子材料のコアとを備える構造用サンドイッチ板部材を提供する。上記部材は、第1の金属板から突き出ているスタッドにより上記第1の金属板に固定されるバーをさらに備える。
【0010】
スタッドは、アークスタッド溶接又は上記技術の変形例の方法により取り付けることができる。スタッド溶接「ガン」を使用すれば、スタッドを非常に高速で取り付けることができ、また自動化することができる。スタッドは、周辺バーへの溶接を容易にするために拡大頭部(enlarged head)を有することができる。
【0011】
本発明の構造用サンドイッチ板部材の外板の材料、寸法及び一般的特性は、この構造用サンドイッチ板部材が設置される特定の用途により所望に応じて選択することができ、米国特許第5,778,813号及び米国特許第6,050,208号にその概要が記載されている。厚さ0.5〜20mmの鋼鉄又はステンレス鋼が通常使用され、軽量にしたい場合にはアルミニウムを使用することができる。同様に、プラスチック又は高分子コアは、例えば、米国特許第5,778,813号及び米国特許第6,050,208号に記載されているような、ポリウレタンのようなエラストマーなどの任意の適切な材料でよいが、好適には、コンパクトなもの、すなわち発泡体でないものが好ましい。スタッドの材料は、周辺バーの材料と同じもの又はそれと溶接互換性を有するものでなければならないし、スタッドの寸法は、コアの注入の際に、及び/又は、仕上がり構造の使用の際に予想される負荷により選択される。既存のパネル及び周辺バーが異なる金属からできている場合には、2つの部分からなるスタッドを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
例示的実施形態及び添付の略図を参照しながら本発明について以下に説明する。
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による構造用サンドイッチ板部材の部分断面図である。
【図2】頂部板を設置する前の図1の構造用サンドイッチ板部材の部分平面図である。
【図3】本発明のある実施形態による方法のフロー(流れ)図である。
【図4】本発明と一緒に使用することができる周辺バーの他の形式の断面図である。
【図5】本発明と一緒に使用することができる周辺バーの他の形式の断面図である。
【図6】本発明と一緒に使用することができる周辺バーの他の形式の断面図である。
【図7】本発明と一緒に使用することができる周辺バーの他の形式の断面図である。
【図8】周辺バーを取り付けるための異なる方法を使用する船舶のデッキへのオーバーレイの平面図、断面図及び詳細図である。
【図9】フレームを形成するためのその端部のところの2つの周辺バーを接合する方法である。
【0014】
数枚の図面において、類似の参照番号は類似の部材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1及び図2の構造用サンドイッチ板部材は、鋼鉄又はアルミニウムであってもよく、例えば、0.5〜20mmの範囲の厚さを有する上外板及び下外板(面板)11、12を備える。縁部板又は周辺バーは、閉じた空洞を形成するために、その外部周辺の周囲の面板11、12間に設置される。面板11、12間の空洞においては、好適には、ポリウレタンエラストマーのようなコンパクトな熱硬化性材料であることが好ましいプラスチック又は高分子材料のコア13が位置する。このコアは、15〜200mmの範囲の厚さを有することができるが、多くの用途においては、50mmの厚さが適している。
【0016】
コア13は、十分な強度で面板11、12に接合されていて、2つの面板の間で使用中に予想されるせん断力を伝達するための十分な機械的特性を有する。コア13と面板11、12との間の接合強度は、3MPaより大きくなければならないが、好適には6MPaであることが好ましく、コア材料の弾性率は、200MPaより大きくなければならないが、特に使用中高温に曝される場合には、好適には、250MPaより大きいことが好ましい。通常の使用方法で使用され、占有負荷が1.4kPa〜7.2kPa程度の床パネルのような低負荷用途の場合には、接合強度は、例えば、約0.5MPaのようにもっと低くてよい場合がある。コア層のおかげで、構造用サンドイッチ板部材は、かなり厚い板厚及び有意の追加剛性を有する補剛鋼板の強度及び負荷負担容量を有する。もちろん、板は平らでなくてもよいし、その意図する使用目的のために必要な任意の形を有することができる。
【0017】
多くの場合、下面板12は、構造用サンドイッチ板部材10が、修理又は補強として追加される、例えば、船舶又は他の海上船のような既存の構造の一部であってもよい。下面板は、図に示すように平らなものでなく、腐食、磨耗、変形しているものであってもよい。本明細書で使用する「下」及び「上」という用語は、図面内の各板の位置を指し、実際の実施形態の場合には、構造用サンドイッチ板部材10は、任意の角度又は任意の方向を向くことができることに留意されたい。
【0018】
図1及び図2は、構造用サンドイッチ板部材10の側壁の一部を形成する1つの周辺バー14を示す。図2に最もはっきりと示すように、周辺バー14は、一連の開口部(貫通孔)19を備え、下面板12は、開口部19内に突き出ている一連のスタッド15を備える。周辺バー14は、溶接17によりスタッド15に溶接され、上面板11a、11bは、突合わせ溶接18により相互に及び周辺バーに突合わせ溶接される。シリンダとして図示してあるが、スタッド15は、周辺バーへの溶接を容易にするために、拡大頭部を有することができる。
【0019】
それ故、図3は、オーバーレイとして構造用サンドイッチ板部材10を製造するための本発明のある実施形態による方法を示す。
【0020】
第1のステップは、既存の構造のパネルを形成することができる下面板12を準備するステップS1である。正確にどんな準備が必要なのかは、面板12の状態により異なるが、錆び及び他の形の腐食を除去するためのショット及びサンドブラスト、ワイヤブラシ研磨、研磨削り、化学洗浄、ひび割れ又は裂け目の修理又は充填、及び凹凸の均し作業を含む場合がある。
【0021】
次に、ステップS2において、コア材料により充填される空間の周囲の必要な位置の下面板12上に周辺バー14が設置される。周辺バーは、選択した位置をさらに強化するために、等間隔又は不等間隔であってもよい予め形成されている開口部19を有する。開口部19は、例えば、孔あけ又は打抜きにより形成することができ、間隔は0.5〜10mの範囲内であってもよいが、好適には、1〜5mであることが好ましい。
【0022】
周辺バーが所定の位置に位置すると、例えば、溶接により開口部を通して下板12にスタッド15が固定される。このことは、その目的のために、スタッド溶接ガンの頭部を収容するために、開口部19がスタッド15に対して大きくなっているアークスタッド溶接手順により簡便に行うことができる。また、ステップS2及びS3を逆にすることができる。すなわち、最初に、下板にスタッドを固定し、周辺バーをその後で設置することもできるが、図の方法を使用すれば、位置ずれしているスタッド及び/又は開口部により起こる恐れがある問題を回避することができる。所定の位置に固定された後の下板12に沿ったスタッドの高さは、好適には、周辺バー14の厚さに等しいことが好ましいか、又は周辺バーに容易に溶接ができるようにこの高さに十分近いことが好ましい。過度に長いスタッドは溶接後に短く切断することができるが、このような追加のステップは使用しないことが好ましい。
【0023】
ステップS4は、例えば、この場合も溶接により周辺バー14をスタッド15に固定するステップである。その前に、スタッドと周辺バーの間の環状ギャップの少なくとも一部を充填するために、スタッドの周囲にリング又はカラー(図示せず)を設置することが望ましい場合がある。そうすることにより、周辺バーをより正確に所定の位置に保持し、スタッドを通しての下金属板への熱の伝導が低減する。周辺バー14をスタッドに溶接する場合には、溶接部17を周辺バーの面と同一平面になるように研磨する必要がある場合がある。次に、ステップS5において、第2の上面板11a及び11bが周辺バー上に置かれて、一緒に及び周辺バーに突合わせ溶接される。頂部面板の相互突合わせ溶接及び周辺バーとの突合わせ溶接は、二段プロセスにより行うことができる。すなわち、周辺バーに第1の板を隅肉溶接し、次に、第2の板を隅肉溶接し、キャップ溶接を行うことにより行うことができる。この場合も、結果としての溶接部18を、面板11a及び11bの面と同一平面になるまで研磨することができる。
【0024】
次に必要なステップS7は、コア13を注入するステップであるが、その前に、ステップS6において、コア材料の注入及び硬化中に受ける圧力により面板が歪むのを防止するために、拘束梁を所定の位置に設置することもできる。拘束梁は、所定の位置に一時的に溶接することもできるし、又は磁気クランプ又は機械的クランプにより所定の位置に保持することもできる。注入後、ステップS8において、コア材料は硬化することもできるし、又は硬化させることもできるし、注入口の除去及び排気孔の充填のような任意の仕上げステップを行うこともできる。
【0025】
下面板12への周辺バーの隅肉溶接と比較した場合の上記方法の利点は、スタッドの溶接による熱負荷が、特にアークスタッド溶接技術を使用した場合のこのような熱負荷が遥かに低いことである。このことは、下面板12の温度がそれほど上昇しないで、その下面上の絶縁体のような感熱性構成要素の損傷を回避することができることを意味する。このことは試験により確認済みである。
【0026】
コアが硬化した後で、面板及び周辺バーが中間層13により接合されているので、多くの場合、面板への周辺バーの固定が、注入及び硬化ステップ中に受ける負荷に耐えることさえできれば十分であり、必ずしも、構造用サンドイッチ板部材10の使用中に受ける負荷に耐えることができなくてもよいことに留意されたい。
【0027】
空洞の密封性を改善するために、周辺バーと面板との間にガスケット又はシール用ストリップを設置することができる。上面板を所定の位置に設置する前に、周辺バーのところで既存のパネル間の接合に封止剤のラインを設けることができる。例えば、腐食、磨耗又は損傷のために既存のパネルがあまり平らでない場合には、このような追加の封止手段を使用することは非常に望ましいことである。
【0028】
コア材料が注入される空洞の側壁部は、構造及び周辺バーの既存部分により形成することができ、上記プロセスにより全部の周辺バーを取り付ける必要がないことを理解することができるだろう。図4〜図7は、周辺バーの種々の異なる取付手段を示す。
【0029】
図4は、周辺バー21が、一方又は両方の側面に沿って下面板12に隅肉溶接22され、上面板11a、11bが、周辺バーの頂部上で一緒に突合わせ溶接23される周知の取付方法を示す。この方法は、熱負荷を収容することができる場合に使用することができ、安いコストでしっかりと固定することができる。
【0030】
図5は、構造接着剤(図示せず)により上下の面板11、12に接合される鋼鉄の周辺バー31を示す。上面板の2つの部分11a、11bは、面板の一方の下面に固定される裏当てバー32により、周辺バー14からずれているラインに沿って一緒に突合わせ溶接23される。この方法も、下面板に熱負荷が加わるのを避ける必要がある場合に役に立つが、構造接着剤はすべての場合にいつでも簡便に使用できるとは限らない。何故なら、確実に信頼性の高い接合を行うのが難しいからである。この方法の場合、周辺バーの幅を、接合面積を大きくするためにもっと広くすることができる。
【0031】
図6の場合には、周辺バー41は、上下の面板に接着されるコア材料と同じか又は互換性を有する硬化したプラスチック又は高分子材料のバーである。空洞を確実に封止するためにシール用リップ42を使用している。図5の構成の場合のように、上面板の2つの部分11a、11bは、面板の一方の下面に固定される裏当てバー32により、周辺バー14からずれているラインに沿って一緒に突合わせ溶接23される。同様に、この方法は、下面板への熱負荷を避けるのが望ましい場合に役に立つ。
【0032】
図7の周辺バーは、鉱物綿のような耐熱材料のバーを含んでいるので、上面板11a、11bを、一方の側面から離すのではなく、その上で一緒に溶接することができる。鉱物綿のような多孔性材料は、コア材料の進入を防ぐために、及び/又は空洞の密封性を改善するために、その側面に沿って遮水性被覆を含むことができる。しかし、このような周辺バー内へのコア材料の進入を防がなくてもよい場合には、遮水性被覆を使用しなくてもよい。
【0033】
また、コアの注入及び硬化の間に周辺バーを所定の位置に保持するために、永久磁石又は電磁石を使用することもできる。何故なら、周辺バーが、接着剤の硬化後に所定の位置に保持されるからである。また、(例えば、注入及び硬化を行っている間に信頼性の高い注入を行い、圧力を低減することができるように)、大型のオーバーレイをいくつかのセクションに分割する場合には、最終構造の強度を高めるために周辺バーを使用する必要がないので、コアの硬化後の面板へのその接続は重要ではない。
【0034】
船のデッキの平面図及び種々の断面図及び詳細図A〜Fを含む図8は、周辺バーを固定するための異なる技術を含むオーバーレイジョブの一例を示す。このデッキは、デッキの下に絶縁された船倉を有する漁船のデッキであるので、デッキの下面上に絶縁体材料を含む。絶縁体は過度の熱により損傷し、熱の発散を妨げるので、デッキの上面に周辺バーを隅肉溶接すると絶縁体が損傷する恐れがある。
【0035】
このジョブの場合、D部詳細に示すように、スタッド115により既存のデッキ112に固定されている横方向に延びる周辺バー114により、デッキ100はいくつかのセクションに分割される。上面板111a、111bは、相互に及び周辺バー114に118のところで突合わせ溶接される。デッキの側縁部のところのE部詳細で、側部バー116が、従来の方法による隅肉溶接によりデッキに保持される。デッキの中央部分においては、下面上に絶縁材料が位置していて、スタッド接続によりそれに対する損傷が防止される。側縁部のところには、絶縁材料が使用されていないので、隅肉溶接を使用することができる。封止剤122は、周辺バー114と既存のデッキ112との間のすべての接合部に沿って塗布される。
【0036】
例えば、板部材又はオーバーレイのセクションの隅のようなところで周辺バーが合流する場合には、封止を必要とするギャップが存在する場合がある。このような封止は、硬化性封止剤、ガスケット又は類似のものでギャップを充填することにより、又はフレームを形成するために周辺バーを溶接することにより行うことができる。しかし、封止剤及びガスケットは、周辺バー間に構造的接合を形成しないので、注入圧力を阻止する助けにならないし、部材の強度も強化しない。一方、すでに説明したように、ある種の用途の場合には、溶接を行うことは望ましくない。図9に、これらの欠点を持たない周辺バーを接合するための他の方法を示す。
【0037】
図9に示すように、2つの周辺バー61、62は、(例えば)直角の隅で合流するが、この方法は、鋭角又は鈍角で合流するか又は一直線上に位置する周辺バーにも適用することができる。所定のサイズのノッチ63、64が、周辺バー61、62の対向側面内の所定の位置で切断されるので、周辺バーが正しく位置している場合には、これらのノッチは整合する。周辺バーの厚さに適している従来のノッチ加工機を使用することができる。周辺バー61、62が所定の位置に位置している場合には、金属片又は楔64が、2つの周辺バーを接続するために、例えば、ハンマーにより2つのノッチ内に打ち込まれる。このステップは、すでに概略説明した方法のうちの任意の方法により、下の金属板に周辺バーを固定する前又は後で実行することができる。
【0038】
この方法は、少なくとも注入力を阻止する際に少なくともそれを助けたり、結果として得られるフレームをユニットとして位置させることができるようにするのに十分なかなりの強度を有する接合部を形成する。この接合部も、注入中にコア材料が流出するのを防止するための封止部を形成する。ノッチの形成及び金属片の形成は、現場で特殊な工具を使用しなくても、必要な精度を確保するために、工場条件で行うことができる。例えば、溶接のような熱間加工を行わなくてもすむし、材料及び労力の使用を低減することによりコストを安くすることができる。
【0039】
従来、及び上記説明において、既存の磨耗、損傷又は腐食した構造を補強、修理又は修復するために、構造用サンドイッチ板部材を形成するためのオーバーレイ及び関連技術を使用してきた。構造用サンドイッチ板部材から新しい船舶又は構造物を作る目的で、各セクションが仕上がった場合に、エラストマーで充填される空洞を形成するために、隔置された金属板でセクション毎に組立て式の部材を使用してきたか、又は構造物を作ってきた。しかし、他の組立方法も使用することができる。この他の方法の場合には、構造体又はその実質的な部分は、金属の1つの層から作られる。この段階において、構造体は、多くの場合、予想される全動作負荷に耐えることができるほど丈夫ではないが、組立作業中に予想される重力及び負荷に対してそれ自身を支持することができるのには十分な強度を有する。その場合、動作負荷に耐えるための追加の支持を必要とする構造体の部分においては、未使用の構造体、すなわち、稼働前の構造体上でオーバーレイが行われる。例えば、船舶又は船は、デッキ及び内部隔壁は備えているが、上部構造は備えていないシングルスキン船体として組立てることができる。結果として得られる外殻は構造的に自立できるものであるが、上部構造又は積み荷を支持することはできない。船舶を仕様どおりにするには、船体、デッキ及び/又は隔壁の内側面又は外側面にオーバーレイが使用される。
【0040】
上記説明は本発明を制限するためのものではなく、他の修正及び変更も添付の特許請求の範囲に記載する本発明の範囲に入ることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造用サンドイッチ板部材を製造する方法であって、
第1の金属板を供給するステップと、
少なくとも1つの周辺バーを供給するステップであって、前記周辺バーが、少なくとも1つの貫通孔を有し、前記第1の金属板に固定される1つ又は複数のスタッドが前記貫通孔内に突き出るように、前記第1の金属板と接触するステップと、
前記スタッドに前記周辺バーを固定するステップと、
前記周辺バーに第2の金属板を固定して、従って前記第2の金属板が前記第1の金属板から隔置されて前記第1及び第2の金属板及び前記周辺バーにより囲まれる空洞を形成するステップと、
前記空洞を硬化していないプラスチック又は高分子材料で充填するステップと、
その間でせん断力を伝達するために、前記プラスチック又は高分子材料が、十分な強度で前記外板を接合するために硬化することができるようにするステップと、
を含む方法。
【請求項2】
少なくとも1つの周辺バーを供給する前記ステップが、前記バーを前記第1の金属板上に設置するステップと、次に、前記第1の金属板に前記スタッドを固定するステップとを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スタッドが、アークスタッド溶接により前記第1の金属板に固定される、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記周辺バーを前記スタッドに固定する前記ステップが、前記周辺バーを前記スタッドに溶接するステップを含む、
請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記周辺バーを前記スタッドに固定する前記ステップの前に、前記スタッドと前記周辺バーとの間の環状スペースを少なくとも部分的に充填するために、前記スタッドの周囲にリングを設置するステップをさらに含む、
請求項1、2、3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記又は各スタッドが、前記周辺バーの厚さに実質的に等しい長さだけ、前記第1の金属板から外側に突き出る、
前記先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記空洞の他の境界を形成する他の周辺バーを、他の方法により前記第1の金属板に固定するステップをさらに含む、
前記先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
第1及び第2の外部金属板と、それらの間でせん断力を伝達するために、十分な強度で前記金属板に接合されるプラスチック又は高分子材料のコアとを備える構造用サンドイッチ板部材であって、
前記部材が、前記第1の金属板から突き出るスタッドにより前記第1の金属板に固定されるバーをさらに備える、
構造用サンドイッチ板部材。
【請求項9】
添付の図面を参照しながら今まで説明してきたのと実質的に同じ方法で組立てられた構造用サンドイッチ板部材。
【請求項10】
添付の図面を参照しながら今まで説明してきたのと実質的に同じように構造用サンドイッチ板部材を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図3】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−504821(P2011−504821A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534543(P2010−534543)
【出願日】平成20年11月24日(2008.11.24)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003920
【国際公開番号】WO2009/068855
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(506160927)インテリジェント エンジニアリング (バハマ) リミテッド (11)
【Fターム(参考)】