説明

構造的に安定なコンジュゲート分子を含む組成物

本発明は、約2℃と約8℃との間の温度で構造的に安定なコンジュゲート分子を含む組成物を提供する。いくつかの例では、コンジュゲート分子は、抗原、例えば、アレルゲンを含む。いくつかの例では、コンジュゲート分子は、ブタクサ抗原Amb a1を含む。本発明は、このような組成物を作製及び使用する方法を提供する。個体における免疫応答を調節する方法であって、本明細書に記載した構造的に安定なコンジュゲート分子を含む組成物を投与することを含む前記方法が本明細書中に提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2005年3月4日出願の米国仮特許出願第60/658,947号の優先権の利益を主張し、この開示は本明細書中に参照により全体として援用される。
【0002】
連邦政府支援の研究又は開発に関する陳述
利用なし。
コンパクトディスク付属物への言及
利用なし。
【背景技術】
【0003】
背景
種々の病理学、例えば、ウイルス感染、細菌感染、癌及びアレルギー反応に見られるものを消散するための免疫応答は、宿主の健康の全体に重要である。感染、癌又はアレルギー反応の成功した解決は、免疫応答のタイプ及び規模に依存するかもしれない。更なる免疫応答を引き出すために抗原を使用することによる免疫化は、感染、癌、及び/又はアレルギー反応の首尾よい解決に役立つかもしれない。免疫賦活化ポリヌクレオチド−免疫調節分子コンジュゲート組成物は、WO98/16247に開示される。抗原に連結した免疫賦活化配列を含有する免疫調節組成物は、WO01/35991に開示される。免疫賦活化配列を用いた免疫応答を調節する方法は、WO01/12223に開示される。
本明細書中に引用した全ての刊行物、参考文献、特許出願、特許刊行物及び特許は、本明細書中に参照により全体として援用される。
【発明の開示】
【0004】
簡単な概要
構造的に安定なコンジュゲート分子を含む組成物が本明細書中に提供され、このコンジュゲート分子は、コンジュゲートパートナー、及び免疫賦活化配列(ISS)を含むポリヌクレオチドを含み、そして、組成物は約6.0〜約9.0の範囲で組成物のpHを維持することができる成分をさらに含む。いくつかの例では、コンジュゲートパートナーは、抗原、例えば、アレルゲンである。他の例において、アレルゲンは、甲殻類アレルゲン、昆虫アレルゲン、哺乳動物アレルゲン、軟体動物アレルゲン、植物アレルゲン、及び真菌アレルゲンからなる群から選択される。更なる例では、アレルゲンは、植物アレルゲンのブタクサ抗原Amb a1である。いくつかの例では、コンジュゲート分子は、本明細書中に記載されるようなAICである。いくつかの例では、組成物は、直角光散乱(RALS)によって測定されるような約2℃と約8℃との間の温度で非凝集形態の約70%を超えるコンジュゲート分子を含む。他の例では、組成物は、直角光散乱(RALS)によって測定されるような約2℃と約8℃との間の温度で非凝集形態の約80%超、約90%超、約95%超、又は約97%超のコンジュゲート分子を含む。他の例では、コンジュゲートパートナーを含む組成物は、非極性成分及び負に荷電していない成分からなる群から選択されるpHを維持することができる成分を含む。更なる例では、pHを維持することができる成分は、ヒスチジンである。いくつかの例では、ヒスチジンは、約1mMと約50mMとの間の濃度で組成物中に存在する。他の例では、ヒスチジンは、約5mMと約20mMとの間の濃度で組成物中に存在する。さらに他の例では、pHを維持することができる成分は、リン酸塩である。いくつかの例では、リン酸塩は、約5mMと約50mMとの間の濃度で組成物中に存在し、そして、他の例では、約20mMと約50mMとの間である。いくつかの例では、組成物は、約6.0〜約9.0の範囲のpHを有する。いくつかの例では、組成物は、約7.0〜約8.0の範囲のpHを有し;そして、他の例では、約7.5〜約8.0の範囲である。いくつかの例では、コンジュゲート分子は、六量体モチーフAACGTTを含むISSを含む。他の例では、ISSは、モチーフGACGCTCC;GACGTCCC;GACGTTCC;GACGCCCC;AGCGTTCC;AGCGCTCC;AGCGTCCC;AGCGCCCC;AACGTCCC;AACGCCCC;AACGTTCC;AACGCTCC;GGCGTTCC;GGCGCTCC;GGCGTCCC;GGCGCCCC;GACGCTCG;GACGTCCG;GACGCCCG;GACGTTCG;AGCGCTCG;AGCGTTCG;AGCGTCCG;AGCGCCCG;AACGTCCG;AACGCCCG;AACGTTCG;AACGCTCG;GGCGTTCG;GGCGCTCG;GGCGTCCG;GGCGCCCG;GACGCT;GACGTC;GACGTT;GACGCC;GACGCU;GACGUC;GACGUU;GACGUT;GACGTU;AGCGTT;AGCGCT;AGCGTC;AGCGCC;AGCGUU;AGCGCU;AGCGUC;AGCGUT;AGCGTU;AACGTC;AACGCC;AACGTT;AACGCT;AACGUC;AACGUU;AACGCU;AACGUT;AACGTU;GGCGTT;GGCGCT;GGCGTC;GGCGCC;GGCGUU;GGCGCU;GGCGUC;GGCGUT;又はGGCGTUを含む。さらに他の例では、ISSは、配列5’−TGACTGTGAACGTTCGAGATGA−3’(配列番号1);5’−TGACCGTGAACGTTCGAGATGA−3’(配列番号2);5’−TCATCTCGAACGTTCCACAGTCA−3’(配列番号3);5’−TGACTGTGAACGTTCCAGATGA−3’(配列番号4);5’−TCCATAACGTTCGCCTAACGTTCGTC−3’(配列番号5);5’−TGACTGTGAABGTTCCAGATGA−3’(配列番号6);5’−TGACTGTGAABGTTCGAGATGA−3’(配列番号7);又は5’−TGACTGTGAABGTTBGAGATGA−3’(配列番号8)を含み、ここで、Bは5−ブロモシトシンである。更なる例では、ISSは、5’−TGACTGTGAACGTTCGAGATGA−3’を含む。
【0005】
いくつかの例では、コンジュゲートパートナーは、抗原であり、そして、なお他の例では、アレルゲンである。さらに他の例では、アレルゲンは、甲殻類アレルゲン、昆虫アレルゲン、哺乳動物アレルゲン、軟体動物アレルゲン、植物アレルゲン、及び真菌アレルゲンからなる群から選択される。更なる例では、アレルゲンは、植物アレルゲンのブタクサ抗原Amb a1である。
【0006】
いくつかの例では、コンジュゲートパートナーを含む組成物は、ヒスチジン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、プロリン及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸を含む。いくつかの例では、アミノ酸は、グリシンであり;いくつかの例では、グリシンは、約230mMと約285mMとの間の濃度で組成物中に存在する。更なる例では、組成物は、ラクトース、スクロース、マンノース、マルトース、ソルビトール、及びグルコースからなる選択される糖質を含む。いくつかの例では、糖質は、スクロースである。いくつかの例では、スクロースは、約1%と10%との間の濃度で組成物中に存在する。他の例では、糖質は、ソルビトールである。いくつかの例では、ソルビトールは、約3%と約5%との間の濃度で組成物中に存在する。さらに他の例では、コンジュゲート分子;約1mM〜約50mMの範囲の濃度のヒスチジン;及び約50mM〜約300mMの範囲の濃度のグリシンを含む組成物が、本明細書中に提供され、ここで、前記組成物は、約6.0〜約9.0の範囲のpHを有する。他の例では、約1〜10%の範囲のソルビトール又は約200mM〜約250mMの濃度のスクロースをさらに含むコンジュゲート分子を含む組成物が、本明細書中に提供される。いくつかの例では、組成物は、約7.0〜約8.0の範囲のpHを有する。更なる例では、コンジュゲート分子、5mM ヒスチジン及び285mM グリシンを約7.0と約8.0との間のpH範囲で含む組成物が、本明細書中に提供される。
【0007】
他の例では、コンジュゲートパートナー、20mM ヒスチジン及び270mM グリシンを約7.0と約8.0との間のpH範囲で含む組成物が、本明細書中に提供される。更なる例では、20mM ヒスチジン、50mM グリシン、及び3.8% ソルビトールを約7.0と約8.0との間のpH範囲で含む組成物が、本明細書中に提供される。更なる例では、20mM ヒスチジン、50mM グリシン、及び210mM スクロースを約7.0と約8.0の間のpH範囲で含む組成物が、本明細書中に提供される。本発明は、液体形態、凍結乾燥形態、及び凍結乾燥形態から再構成した液体形態で組成物を提供する。
【0008】
本発明はまた、構造的に安定なコンジュゲート分子、例えば、限定されないが、AICを含む、本明細書中に記載される組成物を作成及び使用する方法、並びにこのような組成物を含むキット及び製造品を提供する。
【0009】
発明の詳細な説明
コンジュゲート分子を含む組成物が本明細書中に記載され、ここで、コンジュゲート分子は、コンジュゲートパートナー及び免疫賦活化配列(ISS)を含むポリヌクレオチドを含む。本発明は、組成物中のコンジュゲート分子の構造的安定性が温度、塩及びpH条件に依存するという発見に部分的に基づく。本発明者らは、抗原を含むコンジュゲート分子が、リン酸ナトリウム及び塩化ナトリウムを含む組成物において2〜8℃の液体で保存される場合、経時的に凝集することを見出した。低いpHは、抗原を含むコンジュゲート分子が低イオン強度の条件下で可逆的に凝集する原因となることもまた見出した。コンジュゲート分子の凝集を最小又は減少するように開発した組成物、及びこのような組成物を製造及び使用する方法が、本明細書中に提供される。約2℃と約8℃との間の温度で構造的に安定であるコンジュゲート分子を含む組成物が、本明細書中に記載される。いくつかの例では、コンジュゲート分子は、例えば、アレルゲンのような抗原を含む。いくつかの例では、アレルゲンは、精製した短いブタクサ抗原(Amb a1)である。したがって、約2〜約8%Cで構造的に安定なAmb a1を含むコンジュゲート分子を含む組成物が、本明細書中に提供される。
【0010】
コンジュゲート分子、及び約6.0〜約9.0の範囲の組成物のpHを維持することができる成分を含む組成物が、本明細書中に記載される。いくつかの例では、組成物は、約2℃と約8℃との間の温度で非凝集形態の70%超、80%超、90%超、95%超、97%超、98%超又は99%超のコンジュゲート分子を含む。いくつかの例では、組成物は、最大約1週間、最大約2週間、最大約3週間、最大約4週間、最大約6週間、最大約8週間、最大約10週間、最大約12週間、最大約14週間、最大約16週間、最大約18週間、最大約20週間、最大約22週間、最大約24週間、最大約1年間、又は最大約2年間、非凝集形態で70%超、80%超、90%超、95%超又は97%超のコンジュゲート分子を含む。いくつかの例では、凝集は、直角光散乱(RALS)によって測定される。他の例では、組成物中のコンジュゲート分子の凝集は、RALSと併用してもよく又は併用しなくてもよい内部蛍光(IF)、外部蛍光(EF)及び/又はSEC−HPLCによって測定される。いくつかの例では、コンジュゲート分子は、抗原を含む。抗原の例は、当該技術分野に知られ、限定されないが、ペプチド、脂質、多糖、ガングリオシド、及び糖タンパク質を含む。いくつかの例では、抗原は、アレルゲンである。アレルゲンの例は、当該技術分野に知られ、本明細書中に記載され、そして、限定されないが、甲殻類アレルゲン、昆虫アレルゲン、哺乳動物アレルゲン、軟体動物アレルゲン、植物アレルゲン、及び真菌アレルゲンを含む。いくつかの例では、アレルゲンは、植物アレルゲン、例えば、ブタクサアレルゲンである。いくつかの例では、アレルゲンは、Amb a1である。したがって、約6.0〜約9.0の範囲で組成物のpHを維持することができる成分をさらに含むコンジュゲート分子を含む組成物が、本明細書中に提供され、ここで、組成物は、約2℃と約8℃との間の温度で非凝集形態の約70%超、約80%超、約90%超、約95%超又は約97%超のコンジュゲート分子を含む。他の例では、コンジュゲート分子を含む組成物は、組成物が非凝集形態でAmb a1を含む70%超、約80%超、約90%超、約95%超又は約97%超のコンジュゲート分子を含む限り、1)アミノ酸、2)糖質、3)界面活性剤、又は4)他の適した成分の1以上をさらに含んでもよい。いくつかの例では、組成物は、液体形態である。他の例では、組成物は、凍結乾燥され、そして、さらに他の例では、組成物は、凍結乾燥形態から再構成した液体形態である。
【0011】
組成物中に存在する約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満又は約3%未満のコンジュゲート分子が、約2℃と約8℃との間の温度で凝集形態であるコンジュゲート分子を含む組成物が本明細書中に記載される。いくつかの例では、組成物に存在する約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満又は約3%未満のコンジュゲート分子が、最大約1週間、最大約2週間、最大約3週間、最大約4週間、最大約6週間、最大約8週間、最大約10週間、最大約12週間、最大約14週間、最大約16週間、最大約18週間、最大約20週間、最大約22週間、最大約24週間、最大約1年間、又は最大約2年間、約2℃と約8℃との間の温度で凝集形態である。いくつかの例では、組成物中のコンジュゲート分子の凝集は、直角光散乱(RALS)によって測定される。いくつかの例では、コンジュゲート分子は、抗原を含む。一般的に、抗原は、ペプチド、脂質(例えば、コレステロールを除くステロール、脂肪酸、及びリン脂質)、多糖、ガングリオシド及び糖タンパク質である。いくつかの例では、抗原は、限定されないが、原生動物、細菌、真菌(単細胞及び多細胞を含む)、及びウイルス感染体を含む感染体由来の抗原を含む。例えば、寄生生物由来の抗原は、住血吸虫種(例えば、S.マンソニ)由来の住血吸虫卵(例えば、Sm−p40)、及びトキソプラズマ種(例えば、T.ゴンジイ)由来の抗原を含む。例えば、Stadeckerら(1998)、Parasite Immunol.20:217−221;Subausteら(1993)Curr.Opin.Immunol.5:532−527を参照されたい。いくつかの例では、抗原は、アレルゲンである。アレルゲンの例は、当該技術分野において知られ、本明細書中に記載され、そして、限定されないが、甲殻類アレルゲン、昆虫アレルゲン、哺乳動物アレルゲン、軟体動物アレルゲン、植物アレルゲン、及び真菌アレルゲンを含む。いくつかの例では、アレルゲンは、植物アレルゲン、例えば、ブタクサ抗原である。いくつかの例では、アレルゲンは、Amb a1である。したがって、Amb a1を含むコンジュゲート分子を含む組成物が本明細書中に提供され、ここで、組成物に存在する約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満又は約3%未満のコンジュゲート分子は、約2℃と約8℃との間の温度で凝集形態である。
【0012】
本明細書中に記載される構造的に安定なコンジュゲート分子を含む組成物を製造及び使用する方法が、本明細書中に提供される。哺乳動物の宿主の免疫応答を調節する方法が、本明細書中に提供され、本明細書中に記載される構造的に安定なコンジュゲート分子を含む組成物を哺乳動物の宿主に投与することを含み;医薬組成物は、構造的に安定なコンジュゲート分子を含み;キットは、構造的に安定なコンジュゲート分子を含む組成物を含み:そして、製造品は、構造的に安定なコンジュゲート分子を含む組成物を含む。いくつかの例では、製造品は、コンジュゲート分子を含む組成物を含み、ここで、組成物は、約2℃と約8℃との間の温度で非凝集形態の約70%超、約80%超、約90%超、約95%超又は約97%超のコンジュゲート分子を含む。いくつかの例では、凝集は、RALSによって測定される。他の例では、製造品は、コンジュゲート分子を含む液体組成物を含み、そして、他の例では、製造品は、コンジュゲート分子を含む凍結乾燥した組成物を含む。さらに他の例では、製造品は、構造的に安定なコンジュゲート分子を含む再構成した液体組成物(凍結乾燥した組成物から再構成される)を含む。
【0013】
一般的技術
本発明の実施は、他に指示がなければ、分子生物学(組換え技術を含む)、細胞生物学、生化学及び免疫学の慣用的な技術を使用されるであろうし、これらは当該技術分野の範囲内である。このような技術は、文献的、例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition(Sambrookら、1989);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編集、1984);Aminal Cell Culture(R.I.Freshney編集、1987);Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir&C.C.Blackwell編集);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller&M.P.Calos編集、1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら編集、1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullisら編集、1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら編集、1991);The Immunological Analysis(R.Masseyeff,W.H.Albert,及びN.A.Staines編集、Weinheim:VCH Verlags gesellschaft mbH,1993);及びGennaroら、2000、Remington:the Science and Practice of Pharmacy,20th Ed.Lipincott Williams and Wilkins:Baltimore,MDに十分に説明される。
【0014】
定義
本明細書中で使用されるとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、他に指示がない限り、複数の対象を含む。例えば、「1つの」ISSは、1又はそれより多くのISSを含む。
【0015】
用語「免疫賦活化配列」又は「ISS」は、本明細書中で使用されるとき、インビトロ、インビボ及び/又はエクスビボで測定される測定可能な免疫応答を生じるポリヌクレオチド配列を意味する。測定可能な免疫応答の例は、限定されないが、抗原特異性抗体産生、サイトカイン分泌、NK細胞、CD4+Tリンパ球、CD8+Tリンパ球、Bリンパ球等のようなリンパ球集団の活性化又は拡大を含む。好ましくは、ISS配列は、優先的にTh1タイプの応答を活性化する。本発明で使用するためのポリヌクレオチドは、少なくとも1つのISSを含有する。本明細書中で使用されるとき、「ISS」はまた、ISS含有ポリヌクレオチドに関する省略形である。
【0016】
「コンジュゲート分子」は、本明細書中で使用されるとき、ISS(即ち、ISS含有ポリヌクレオチド)及びコンジュゲートパートナーを含む分子又は複合体を意味する。いくつかの例では、ISS及びコンジュゲートパートナーは、直接的又は間接的に連結される。このようなコンジュゲート連結は、共有結合及び/又は非共有連結を含む。コンジュゲートパートナーは、限定されないが、抗原を含む。「コンジュゲート分子の集団」は、ISS−コンジュゲートパートナー(即ち、コンジュゲートパートナーに直接的若しくは間接的に連結した又は結合したISS)の群である。本発明の目的のために、このような集団は、各コンジュゲートパートナーに結合した一定数のISSを必ずしも有さず、及び有してもよく又は有しなくてもよいことが理解される。典型的には、所定の集団は、(所定の集団の様々な範囲のコンジュゲートに基づく)分子量分布、つまり、コンジュゲートパートナーにコンジュゲートした平均数のISSを有するであろう。本明細書中に記載されるコンジュゲート分子の任意の集団は、例えば、不完全なコンジュゲート及び/又は精製によって、遊離のコンジュゲートパートナー(即ち、ISSに連結していないコンジュゲートパートナー)及び/又は遊離のISS(即ち、コンジュゲートパートナーに連結していないISS)の分子を含有してもよいことが理解される。本発明の目的のために、本明細書中に記載される集団は、コンジュゲート分子を含有するが、排他的にコンジュゲート分子を含有する必要はない。本明細書中で使用されるとき、「AIC」コンジュゲート分子は、ISSにコンジュゲートしたブタクサアレルゲン、Amb a1を意味する。
【0017】
組成物中のコンジュゲート分子の構造的安定性は、コンジュゲート分子が本質的にそれを物理的安定性及び完全な状態に保持する組成物を意味する。組成物中のコンジュゲート分子の物理的安定性は、組成物中のコンジュゲート分子の凝集の量、即ち、パーセント(%)によって測定される。一般的に、組成物中のコンジュゲート分子の凝集の増加%は、組成物中のコンジュゲート分子の構造的安定性の減少と相関する。組成物中のコンジュゲート分子の構造的安定性は、組成物中にコンジュゲート分子の凝集が0%であること、又は組成物中に存在する場合、遊離の、即ち、凝集していないコンジュゲートパートナーの凝集が0%であること、又は組成物中に存在する場合、遊離の、即ち、コンジュゲートしていないISSが0%であることを必要としない。構造的に安定であるコンジュゲート分子を含む組成物は、約70%超、約80%超、約90%超、約95%超又は約97%超のコンジュゲート分子が組成物中に非凝集形態で存在する組成物を意味する。本明細書中で使用されるとき、コンジュゲート分子と比較して、句「非凝集形態」は、限定されないが、モノマー形態でコンジュゲート分子を含む。一般的に、組成物中のコンジュゲート分子のモノマーの増加%は、組成物中のコンジュゲート分子の構造的安定性の増加と相関する。したがって、構造的に安定なコンジュゲート分子を含む組成物は、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%及び少なくとも約97%のコンジュゲート分子が、約2℃と約8℃との間の温度でモノマー形態で組成物中に存在する組成物を意味し、即ち、それを含む。構造的に安定なコンジュゲート分子を含む組成物は、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満又は約3%未満のコンジュゲート分子が組成物中に凝集体として存在する組成物を意味し、即ち、それを含む。構造的安定性を測定する種々の方法は、当該技術分野において利用可能であり、本明細書中に開示され、そして、限定されないが、直角光散乱(RALS)を含み、単独で、又は当該技術分野において既知であり、本明細書中に記載され、限定されないが、IF、EF及びSEC−HPLCを含む他の方法と併用される。いくつかの例では、組成物中のコンジュゲート分子の%凝集はRALSによって測定される。「不安定化」されるコンジュゲート分子を含む組成物は、凝集形態で存在する組成物中の約30%超、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超又は約95%超のコンジュゲート分子を有するものである。
【0018】
所定の集団における所定のパラメータ(例えば、ISS含有ポリヌクレオチドの数又は質量)の「平均」は、集団のメンバーの数で割った全集団についてのパラメータの全部を意味する。例えば、コンジュゲートパートナーに結合したISS含有ポリヌクレオチドの平均数は、コンジュゲートパートナー分子の集団におけるコンジュゲートパートナー当りのISS含有ポリヌクレオチドの平均数(即ち、コンジュゲートパートナーの総数で割ったISS含有ポリヌクレオチドの全体数)を意味する。下記に記載されるように、この数は、通常、例えば分光計で測定されるコンジュゲートパートナーに対するポリヌクレオチドの重量測定に由来する。
【0019】
所定の集団に対する「中央値」の数又は重量は、集団の半分が上回り、集団の半分が下回る数又は重量を意味する。例えば、コンジュゲートパートナー当りのISS含有ポリヌクレオチドの中央値の数は、集団におけるコンジュゲートパートナーの半分がコンジュゲートパートナー当りのISS含有ポリヌクレオチドのより低い数を有し、半分がより高い数を有することを意味する。
【0020】
本明細書中で相互交換に使用されるとき、用語「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」は、一本鎖DNA(ssDNA)、二本鎖DNA(dsDNA)、一本鎖RNA(ssRNA)及び二重鎖RNA(dsRNA)、修飾したオリゴヌクレオチド及びオリゴヌクレオシド又はそれらの組合せを含む。オリゴヌクレオチドは、直線的又は環状的な形状をとることができ、あるいはオリゴヌクレオチドは、直線状又は環状セグメントを含有することができる。オリゴヌクレオチドは、一般的には、リン酸エステル連結を通じて連結されたヌクレオシドの高分子である。ヌクレオシドは、糖に結合したプリン(アデニン若しくはグアニン又はそれらの誘導体)又はピリミジン(チミン、シトシン若しくはウラシル又はそれらの誘導体)塩基からなる。DNAにおける4つのヌクレオシドユニット(又は塩基)は、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、及びデオキシシチジンと呼ばれる。ヌクレオチドは、ヌクレオシドのリン酸エステルである。
【0021】
用語「免疫調節」又は「免疫応答を調節すること」は、本明細書中で使用されるとき、免疫賦活化並びに免疫抑制効果を含む。免疫賦活化効果は、限定されないが、細胞性又は体液性免疫応答を直接的又は間接的に増加するものを含む。免疫賦活化効果の例には、限定されないが、抗原特異的抗体産生の増加;NK細胞、CD4+Tリンパ球、CD8+Tリンパ球、マクロファージ等のようなリンパ球集団の活性化又は増殖;限定されないが、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−12、IFN−α、IFN−β、IFN−γ、TNF−α等を含む免疫賦活化サイトカインの合成の増加が含まれる。免疫抑制効果は、細胞性又は体液性免疫応答を直接的又は間接的に減少するものを含む。免疫抑制効果の例には、限定されないが、IgE産生の減少のような抗原特異的抗体の産生の減少;リンパ球、又は免疫寛容に帰着するもののような免疫抑制活性を有する他の細胞集団の活性化;そして、ある種の細胞機能に対する抑制効果を有するサイトカイン合成の増加が含まれる。この一例は、IFN−γであり、IL−4誘導のIgE及びIgG1へのクラススイッチを遮断するようであり、それによってこれらの抗体のサブクラスのレベルが減少する。
【0022】
「コンジュゲートの範囲」は、所定の集団におけるコンジュゲーションの平均度合を意味する。本明細書中で記載されるとき、コンジュゲーションの程度は、構造及び/又は機能的パラメータの任意数によって、単独で又は任意の組合せで特徴付けられてもよい。
【0023】
用語「抗原」は、抗体又はT細胞抗原受容体によって特異的に認識及び結合する物質を意味する。抗原は、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、多糖、複合糖質、糖、ガングリオシド、脂質及びリン脂質;それらの部分及びそれらの組合せを含むことができる。抗原は、天然に見られるものであり得て、又は合成のものであり得る。ISSを用いた投与に適した抗原は、B細胞又はT細胞の抗原特異的応答を引き出すことができる任意の分子を含む。好ましくは、抗原は、抗原に特異的な抗体応答を発揮する。ハプテンは、「抗原」の範囲に含まれる。ハプテンは、それ自身では免疫原性ではないが、抗原決定基を含有する免疫分子とコンジュゲートした場合に免疫原性にさせる低分子量の化合物である。小分子は、抗原性にさせるためにハプテン化させるのに必要でなくてもよい。好ましくは、いくつかの例では、本発明の抗原は、ペプチド、脂質(例えば、ステロール、脂肪酸、及びリン脂質)、多糖、ヘモフィラス・インフルエンザワクチンで使用されるような多糖、ガングリオシド及び糖タンパク質を含む。
【0024】
「アジュバント」は、抗原のような免疫原に添加された場合、混合物への曝露に応じた受容者宿主における抗原に対する免疫応答を非特異的に増加又は可能にする物質を意味する。
【0025】
用語「ペプチド」は、生物学的応答、例えば、抗体産生又はサイトカイン活性を生じるのに十分な長さ及び組成であるポリペプチドであり、いずれにせよペプチドはハプテンである。典型的には、ペプチドは、長さにして少なくとも6個のアミノ酸残基である。用語「ペプチド」は、修飾したアミノ酸(天然又は非天然に発生する)をさらに含み、このような修飾は、限定されないが、リン酸化、グリコシル化、PEG化、脂質化及びメチル化を含む。
【0026】
「抗原性ペプチド」は精製した天然ペプチド、合成ペプチド、組換えタンパク質、粗製タンパク質抽出物、弱毒化又は不活化ワクチン、細胞、微生物、又はこのようなペプチドの断片を含むことができる。したがって、「抗原性ペプチド」又は「抗原ポリペプチド」は、1以上の抗原的特性を提示するポリペプチドの全部又は一部を意味する。つまり、例えば、「Amb a1抗原性ポリペプチド」又は「Amb a1ポリペプチド抗原」は、抗原的特性を提示する(即ち、抗体又はT細胞受容体に特異的に結合する)Amb a1由来のアミノ酸配列であって、その配列の全体、その配列の一部、及び/又はそれの配列の修飾である。
【0027】
「輸送分子」又は「輸送ベヒクル」は、特定の部位に及び/又は特定の時期に関してISS及び/又は抗原の輸送を促進、容認、及び/又は増加する化学的成分である。輸送ベヒクルは、免疫応答を付加的に刺激してもよく又はしなくてもよい。
【0028】
「抗原に対するアレルギー反応」は、好中球及び/又は抗原特異的IgEの発生によって一般的に特徴付けられる免疫応答、及びこれらに伴う効果を意味する。当該技術分野において周知であるように、IgEは、マスト細胞及び好塩基球上のIgE受容体に結合する。IgEによって認識される抗原に後者を曝露すると、抗原は、マスト細胞及び好塩基球上でIgEと架橋し、これらの細胞の脱顆粒を引き起こし、限定されないが、ヒスタミン放出を含む。用途「抗原に対するアレルギー反応」、「アレルギー」、及び「アレルギー条件」は、本発明の方法のいくつかの応用に同様に適切であることが理解され、意図される。本発明の方法は、アレルギー反応の阻害に同様に適しているもの、並びに、既存のアレルギー状態を治療することを含む。
【0029】
本明細書中で使用されるとき、用語「アレルゲン」は、抗原、又は患者への曝露に応じてアレルギー反応を引き出す分子、通常、タンパク質の抗原性部分を意味する。典型的には、患者は、例えば、膨疹及び発熱試験又は当該技術分野において既知の方法によって指示されるアレルゲンに過敏である。分子は、たとえ小集団の患者のみが、その分子の曝露に応じてアレルギー性(例えば、IgE)免疫応答を提示するとしてもアレルゲンと呼ばれる。多くの単離したアレルゲンが当該技術分野において既知である。これらは、限定されないが、本明細書中に提供されるものを含む。
【0030】
用語「脱感作」は、患者が感受性を示したアレルゲンの増加した投与量の投与の過程を意味する。脱感作に使用さえるアレルゲンの投与量の例は、当該技術分野に既知であり、例えば、Fornadley(1998)Otolaryngol.Clin.North Am.31:111−127を参照されたい。
【0031】
「抗原特異的免疫療法」は、抗原を伴い、そして、免疫応答の抗原特異的調節を生じる免疫療法の任意の形態を意味する。アレルギーの状態で、抗原特異的免疫療法は、限定されないが、脱感作療法を含む。
【0032】
「個体」は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。哺乳動物は、限定されないが、ヒト、霊長類、家畜、競技用動物、げっ歯類及びペットを含む。
物質の「有効量」又は「十分量」は、臨床結果を含む有益な結果又は所望の結果を生じるのに十分な量であり、例えば、「有効量」は、適用される状況に依存する。抗原に対する免疫応答を調節する組成物を投与する状況において、ISS−コンジュゲートパートナー(即ち、ISS及びコンジュゲートパートナー)を含む有効量の組成物は、抗原を単独で投与した場合に得られる免疫応答と比較してこのような調節を達成するのに十分な量である。有効量は、1回以上で投与され得る。
【0033】
用語「同時投与」は、本明細書中で使用されるとき、免疫応答を調節するのに十分に近接した時間で少なくとも2種の異なった物質の投与を意味する。好ましくは、同時投与は、少なくとも2種の異なった物質の同時投与を意味する。
【0034】
Th1応答のような免疫応答の「刺激」は、応答を引き出すこと及び/又は応答の増加から生じ得る応答における増加を意味する。
「アレルギー関連障害」は、抗原特異的IgE免疫応答の効果に起因する障害を意味する。このような効果には、限定されないが、低血圧及びショックを含むことができる。過敏症は、循環系に放出したヒスタミンが血管拡張を引き起こし、並びにその結果としての循環系からの血漿の顕著な減少を伴う毛細血管の透過性の増加のアレルギー関連障害の例である。過敏症は、全身に亘って体験される同時効果を伴った全身的に生じ得て、そして、特定の標的組織又は臓器に限定した反応を伴った局所的に生じ得る。
【0035】
「IgE関連障害」は、持続しても又はしなくてもよいIgE濃度の上昇によって、部分的に特徴付けられる生理的状態である。IgE関連障害は、限定されないが、アレルギー及びアレルギー反応、アレルギー関連障害(後述)、喘息、鼻炎、結膜炎、蕁麻疹、職、膜翅目の毒針アレルギー、及び薬物アレルギー、並びに寄生虫病を含む。用語はまた、これらの障害の関連した徴候を含む。一般的には、このような障害のIgEは、抗原特異的である。
【0036】
本明細書中で使用されるように、及び当該技術分野において十分に理解されるように、「治療」は、臨床的な結果を含む有利な結果又は所望の結果を得るためのアプローチである。本発明の目的のために、有利な結果又は所望の結果は、限定されないが、検出できる又は検出できないかに係わらず、1以上の症状の緩和又は改善、疾患の程度の縮小、疾患の安定化(即ち、悪化していない)状態、疾患の拡大の阻害、疾患の進行の遅延又は減速、疾患状態の改善又は軽減、及び鎮静(部分的又は全体的)を含む。「治療」はまた、治療を受けない場合に期待される生存と比較して、生存の長期化を意味し得る。
【0037】
疾患又は障害を「軽減すること」は、障害を治療しない場合と比較して、障害又は疾患状態の程度及び/又は望まれない臨床的徴候が減少し、そして進行の時間経過が遅くなり又は延びることを意味する。特に、アレルギーの状態で、当業者に十分に理解されるように、軽減が、アレルゲン(又は複数)に対する免疫応答の調節に応じて生じてもよい。さらに、軽減は、1回投与によって必ずしも生じることはないが、しばしば、連続投与に応じて生じる。つまり、応答又は障害を軽減するのに十分な量は、1回以上で投与されてもよい。
【0038】
ISS−コンジュゲートパートナー又はISS−抗原によって「誘発される」「抗体力価」又は「抗体量」は、コンジュゲート又は抗原の投与後の時間点で測定した所定の抗体量を意味する。
【0039】
「Th1関連抗体」は、産生及び/又はそうかがTh1免疫応答と関連する抗体である。例えば、IgG2aは、マウスにおけるTh1関連抗体である。本発明の目的のために、Th1関連抗体の測定は、1以上のこのような抗体の測定であり得る。例えば、ヒトにおいて、Th1関連抗体の測定は、IgG1及び/又はIgG3の測定を必要とし得た。
【0040】
「Th2関連抗体」は、産生及び/又は増加がTh2免疫応答と関連する抗体である。例えば、IgG1は、マウスにおけるTh2関連抗体である。本発明の目的のために、Th2関連抗体の測定は、1以上のこのような抗体の測定であり得る。例えば、ヒトにおいて、Th2関連抗体の測定は、IgG2及び/又はIgG4の測定を必要とし得た。
【0041】
サイトカイン産生、抗体産生、又はヒスタミン放出のような機能又は活性を「抑制」又は「阻害」することは、関心のある条件又はパラメータを除いて別の同じ条件と比較した場合、あるいは、別の条件と比較した場合、機能又は活性を減少することである。例えば、ヒスタミン放出を抑制するコンジュゲート分子集団は、例えば、抗原単独で誘導したヒスタミン放出と比較したヒスタミン放出の減少である。別の例では、抗体産生を抑制するコンジュゲート分子集団は、例えば、抗原単独で産生される抗体の程度及び/又は濃度と比較して、抗体の程度及び/又は濃度を減少する。
【0042】
コンジュゲート分子を含む組成物
本発明は、コンジュゲート分子を含む組成物に部分的に関連し、ここで、コンジュゲート分子は、コンジュゲートパートナー及び免疫賦活化配列(ISS)を含むポリヌクレオチドを含み、そして、本発明は、このような組成物を製造及び使用する方法に部分的に関連する。本発明はまた、構造的に安定なコンジュゲートを含む組成物、及びこのような組成物を製造及び使用する方法に部分的に関連する。本発明に包含されるISS及びコンジュゲートパートナーは、本明細書中に記載される。当業者に理解されるであろうが、本発明に包含されるコンジュゲート分子は、コンジュゲートパートナー、コンジュゲート分子に存在するISSのタイプ及び数、及びISSとコンジュゲートパートナーとの間のコンジュゲーションの平均的な程度に基づいて、異なった識別される生物学的特性を有してもよい。いくつかの例では、コンジュゲートパートナーは、抗原又はアレルゲンのようなタンパク質である。いくつかの例では、コンジュゲートパートナーは、アレルゲン、Amb a1を含む。他の例では、ISSは、6塩基よりも任意に長いポリヌクレオチド又は塩基対であり得て、いくつかの例では、配列5’−シトシン(C)、グアニン−3’(G)を含み、他の例では、配列5’−プリン、プリン、C、G、ピリミジン、ピリミジン−3’(例えば、5’−AACGTT−3’)、他の例では、15塩基又は塩基対よりも長い、そして、他の例では、長さにして20塩基又は塩基対より長い。いくつかの例では、ISSは、配列5’−プリン、プリン、C、G、ピリミジン、ピリミジン、C、G−3’;又は、配列5’−プリン、プリン、C、G、ピリミジン、ピリミジン、C、C−3’;又は配列5’−T、C、G−3’を含む。いくつかの例では、ISSは、5’−TGACTGTGAACGTTCGAGATGA−3’を含む。
【0043】
いくつかの例では、コンジュゲート分子は、5’−TGACTGTGAACGTTCGAGATGA−3’を含むISSにコンジュゲートしたAmb a1を含む。このような組成物は、例えば、コンジュゲート分子の構造的安定性を維持することが重要である場合、例えば、治療法及び診断法における使用を見出す。抗原に連結した免疫賦活化配列(ISS)を含有するコンジュゲート分子は、PCT公開WO01/35991、WO98/16247及びWO01/12223に開示され、これらの開示は、全体として参照により本明細書中に具体的に援用される。
【0044】
本発明者らは、組成物内のコンジュゲート分子の構造的安定性が温度、塩及びpH条件に依存することを発見した。アレルゲンを含むコンジュゲート分子は、組成物中のリン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、負に荷電した化合物及び/又は極性成分の存在によって、約0℃以上の温度で、液体組成物中で不安定化することを見出した。低いpHは、アレルゲンを含むコンジュゲート分子が低いイオン強度の条件下で可逆的に凝集する原因となることを見出した。
【0045】
理論にとらわれずに、コンジュゲート分子の負電荷により、ISSの存在の理由で、負に荷電していない成分又は中性電荷を有する成分又は非極性成分を含む組成物は、組成物中に存在するコンジュゲート分子の構造的安定性を維持することが望まれると信じられる。負電荷を有する成分、例えば塩化ナトリウムの添加は、ISSを含むコンジュゲート分子が凝集し、それによって不安定化される原因となるだろうことを見出した。組成物中の求核試薬、例えば、アジド、又は同等に低い塩化ナトリウムの存在は、コンジュゲート分子を不安定化させるであろうことを見出した。
【0046】
種々の組成物中にアレルゲンを含むコンジュゲート分子の構造的安定性は、本明細書中に記載されるように特徴付けられた。実験は、pH、温度、時間及び組成物条件、例えば、イオン強度、及び界面活性剤の存在の関数として、組成物中のコンジュゲート分子における可能な構造的変化を解明するように設計した。本明細書中に記載されるように、約0.1μg〜200μgの濃度範囲で、ISS(Amb a1−ISSオリゴヌクレオチドコンジュゲート、即ち「AIC」として本明細書中に言及される)に共有結合的に連結した、精製した短いブタクサ抗原、AMB a1を含むコンジュゲート分子の例示が、種々のイオン強度及び種々のpH条件を含有する組成物中に透析され、次に、コンジュゲート分子を温度変化に供しながら、内部蛍光(IF);外部蛍光(EF);及び直角光散乱(RALS)を用いることによって分析した。IF、EF、及びRALSは、本明細書中の実施例に記載される。コンジュゲート分子は、せん断応力に供され、そして、RALS及びサイズ排除クロマトグラフィーHPLC(SEC−HPLC)によって分析した。同じ方法、即ち、IF、EF、RALS、及びSEC−HPLCは、リン酸ナトリウム及び塩化ナトリウム(実施例中、PBSとして言及される)の存在下で、AICを含む組成物の凍結−融解感受性を調べるために並行して使用した。
【0047】
組成物中のAICにおける構造的変化を解明するために設計された実験の結果は、本明細書中に記載され、実施例及び表10、11及び12に含まれる。表10は、pH条件を維持するための種々の成分についての分析結果を示す。したがって、いくつかの例では、コンジュゲート分子を含む組成物のpH条件を維持するための成分は、pH7.5のヒスチジン、pH8.0のヒスチジン、pH7.5のリン酸塩、pH8.0のリン酸塩、pH7.0のリン酸塩、pH7.0のヒスチジン又はpH6.5のヒスチジンを含む。本明細書中に記載されるように、組合せ試験、即ち、コンジュゲート分子を含む組成物中の成分の組合せについて、組成物は、ヒスチジンを含むように調製した。表11は、種々のアミノ酸の分析の結果を示す。したがって、いくつかの例では、コンジュゲート分子を含む組成物での使用のためのアミノ酸は、ヒスチジン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、又はアラニンを含む。組合せ試験、即ち、コンジュゲート分子を含む組成物中の成分の組合せに関して、組成物はグリシンを含むように調製した。表12は、種々の糖質の分析の結果を示す。したがって、いくつかの例では、コンジュゲート分子を含む組成物は、糖質、例えば、ラクトース、スクロース、マンノース又はマルトースを含む。実施例6は、組合せ試験の結果を記載する。
【0048】
約2℃と約8℃との間の温度で構造的に安定なコンジュゲート分子を含む組成物が、本明細書中に提供される。いくつかの例では、組成物は、液体形態であり、そして、他の例では、凍結乾燥した形態である。構造的に安定なコンジュゲート分子及び約6.0〜約9.0の範囲で組成物のpHを維持することができる成分を含む組成物が、本明細書中に提供される。いくつかの例では、成分は、約7.0〜約8.0の範囲でpHを維持することができ、そして、他の例では、約7.5〜約7.8の範囲であり、そして、他の例では、約7.5のpHである。いくつかの例では、約6.0〜約9.0の範囲でpHを維持することができる成分は、中性電荷又は塩基性電荷を有する。いくつかの例では、約6.0〜約9.0の範囲でpHを維持することができる成分は、非極性である。いくつかの例では、約6.0〜約9.0の範囲で組成物のpHを維持することができる成分は、ヒスチジン又はリン酸塩からなる群から選択される。いくつかの例では、pHを維持することができる成分は、約2℃と約8℃との間の温度で凝集しない形態で、70%超、80%超、90%超、95%超又は97%超のコンジュゲート分子を保持するのに十分な量で組成物中に存在する。コンジュゲート分子の凝集は、本明細書中に開示される方法、例えば、直角光散乱(RALS)によって、そして、当該技術分野において既知の方法によって測定され得る。
【0049】
他の例では、コンジュゲート分子を含む組成物は、組成物が非凝集形態又はモノマー形態で70%超、80%超、90%超、95%超又は97%超のコンジュゲート分子を含む限り、1以上の1)アミノ酸、2)糖質、3)界面活性剤、及び4)他の適した医薬として許容される担体を含んでもよい。いくつかの例では、アミノ酸は、ヒスチジン、グリシン、イソロイシン、プロリン及びアラニンからなる群から選択される。いくつかの例では、アミノ酸は、ヒスチジン又はグリシンである。いくつかの例では、糖質は、ラクトース、スクロース、マンノース、マルトース、ソルビトール及びグルコースからなる群から選択される。いくつかの例では、糖質は、ソルビトール又はスクロースである。構造的に安定なコンジュゲート分子、及び約6.0〜約9.0の範囲で組成物のpHを維持することができる成分を含む組成物が、本明細書中に提供される。構造的に安定なコンジュゲート分子、約6.0〜約9.0の範囲で組成物のpHを維持することができる成分、及びアミノ酸を含む組成物が、本明細書中に提供される。構造的に安定なコンジュゲート分子、約6.0〜約9.0の範囲で組成物のpHを維持することができる成分、アミノ酸、及び糖質を含む組成物が、本明細書中に提供される。いくつかの例では、構造的に安定なコンジュゲート分子を含む組成物は、界面活性剤をさらに含む。いくつかの例では、組成物は、液体形態であり、そして、他の例では、凍結乾燥した形態である。本発明は、凍結乾燥した形態から液体形態に再構成したコンジュゲート分子を含む組成物を包含する。
【0050】
本明細書中に記載されるように、約30μg/ml及び約60μg/mlを含む濃度で本明細書に記載されるAICを含み、そして、Amb 1a(平均分子量:約65kDa)の1モル当り平均約4.0モルのISSを含む液体形態での種々の組成物の評価によって、約2℃と約8℃との間の温度でAICの構造的安定性を維持する組成物を同定した。いくつかの例では、構造的安定性は、少なくとも6時間維持された。AICを含むこれらの組成物は、限定されないが、約1mM〜約50mMの範囲のヒスチジンを含む組成物;約1mM〜約50mMの範囲のヒスチジン及び約50mM〜約300mMの範囲のグリシンを含む組成物;約1mM〜約50mMの範囲のヒスチジン及び組成物の約1%〜約5%の範囲のソルビトールを含む組成物;約1mM〜約50mMの範囲のヒスチジン、約50mM〜約300mMの範囲のグリシン、及び組成物の約1%〜約5%の範囲のソルビトールを含む組成物を含み、これらはすべて約7.0〜約8.0の範囲のpHを有する。AIC(本明細書中に記載されるように、低い(L)、中くらい(M)又は高い(H)状態であってもよい)を含む組成物が本明細書中に提供され、ここで、組成物中のAICは、約2℃〜約8℃の間の温度で構造的に安定であり、限定されないが、
・約7.0と約8.0との間のpH範囲又は約7.5のpHでの5mM ヒスチジン、285mM グリシン;
・約7.0と約8.0との間のpH範囲又は約7.5のpHでの20mM ヒスチジン、270mM グリシン;
・約7.0と約8.0との間のpH範囲又は約7.5のpHでの20mM ヒスチジン、50mM グリシン、3.8% ソルビトール;
・約7.0と約8.0との間のpH範囲又は約7.5のpHでの20mM ヒスチジン、50mM グリシン、210mM スクロース
を含む。
【0051】
本明細書中に開示した実験結果に基づいて、構造的に安定であると予測されるAICの更なる組成物を下記に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
例えば、サイズ排除(SEC−HPLC)のような分析用HPLC法とSDS−PAGEとを組み合わせたIF、EF及びRALSは、組成物中のコンジュゲート分子の構造的安定性についての条件を測定するために、pH、温度及び時間、並びに溶液条件(即ち、イオン強度、界面活性剤等)の関数として、組成物中の任意のコンジュゲート分子の振る舞いを評価するように設計することができる。
【0054】
コンジュゲートパートナー
本発明に包含されるコンジュゲートパートナーは、限定されないが、抗原、例えば、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、多糖、複合糖質、糖、ガングリオシド、脂質及びリン脂質;それらの部分及びそれらの組合せを含む。いくつかの例では、抗原は、原生動物、細菌、真菌(単細胞及び多細胞を含む)、及びウイルス感染体を含む感染体由来であり得る。例えば、寄生生物由来の抗原は、住血吸虫種(例えば、S.マンソニ)由来の住血吸虫卵(例えば、Sm−p40)、及びトキソプラズマ種(例えば、T.ゴンジイ)由来の抗原を含む。例えば、Stadeckerら(1998)、Parasite Immunol.20:217−221;Subausteら(1993)Curr.Opin.Immunol.5:532−527を参照されたい。抗原は、当該技術分野において既知の精製技術を用いてそれらの供給源から単離してもよく、より好都合には、組換え法を用いて生産してもよい。抗原性ペプチドは、精製した天然ペプチド、合成ペプチド、組換えタンパク質、粗製タンパク質抽出物、弱毒化又は不活化ウイルス、細胞、微生物、又はこのようなペプチドの断片を含むことができる。免疫調節性ペプチドは、天然であるか又は化学的若しくは酵素的に合成され得る。当該技術分野に既知の化学合成の任意の方法が適している。溶液相ペプチド合成は、中程度サイズのペプチドを構築するために使用することができ、あるいは、ペプチドの化学的構築については、固相合成を使用することができる。Athertonら(1981)Hoppe Seylers Z.Physiol.Chem.362:833−839。タンパク質分解酵素はまた、アミノ酸をカップルさせ、ペプチドを生成するために利用することができる。その代わりに、ペプチドは、細胞の生化学的機構を用いることによって、又は生物源からの分離によって得ることができる。組換えDNA技術は、ペプチドの生成のために使用することができる。ペプチドはまた、アフィニティークロマトグラフィーのような標準的な技術を用いて分離することができる。一般的には、抗原は、ペプチド、脂質(例えば、コレステロールを除くステロール、脂肪酸、及びリン脂質)、多糖、ガングリオシド及び糖タンパク質である。これらは、化学的及び酵素的方法を用いた分離及び合成を含む当該技術分野において既知のいくつかの方法を介して得ることができる。ある場合には、多くのステロール、脂肪酸及びリン脂質の場合のように、分子の抗原性部分は、商業的に利用可能である。感染体由来の抗原は、当該技術分野において既知の方法を用いて、天然のウイルス又は細菌抽出物、感染体で感染した細胞、精製したポリペプチド、組換え的に生成したポリペプチドから及び/又は合成ペプチドとして得てもよい。
【0055】
いくつかの例では、抗原はアレルゲンである。組換えアレルゲンの例は、表1に提供され、限定されないが、甲殻類アレルゲン、昆虫アレルゲン、哺乳動物アレルゲン、軟体動物アレルゲン、植物アレルゲン、及び真菌アレルゲンを含む。いくつかの例では、アレルゲンは、植物アレルゲンである。他の例では、アレルゲンは、ブタクサアレルゲンAmb a1である。多くのアレルゲンの調製は、当該技術分野において周知であり、限定されないが、ブタクサ花粉アレルゲン抗原E(Amb a1)(Rafnarら(1991)J.Biol.Chem.266:1229−1236)、主要な埃ダニアレルゲンDer pI及びDer PII(Chuaら(1988)J.Exp.Med.167:175−182;Chuaら(1990)Int.Arch.Allergy Appl.Immunol.91:124−129)、白樺花粉Bet vl(Breitenederら(1989)EMCO J.8:1935−1938)、家ネコアレルゲンFel dI(Rogersら(1993)Mol.Immunol.30:559−568)、及び樹木花粉由来のタンパク質抗原(Elsayedら(1991)Scand.J.Clin.Lab.Invest.Suppl.204:17−31)を含む。示されるように、樹木由来のアレルゲンは知られ、樺の木、ネズ、ニホンスギ由来のアレルゲンを含む。インビボ投与のための花粉からのタンパク質抗原の調製が報告されている。Malley(1989)J.Reprod.Immunol.16:173−186。表1に示されるように、いくつかの例では、アレルゲンは、食物アレルゲン、例えばピーナッツアレルゲン、例えばAra hIであり、そして、いくつかの例では、アレルゲンは、草アレルゲン、例えばライムギアレルゲン、例えばLol pIである。表1は、本発明に包含されるアレルゲンのリストを示す。
【0056】
【表2】

【0057】
【表3】

【0058】
【表4】

【0059】
【表5】

【0060】
いくつかの例では、抗原は、原生動物、細菌、真菌(単細胞及び多細胞を含む)、及びウイルス感染体を含む感染体由来である。適切なウイルス抗原の例は、本明細書中に記載され、そして、当該技術分野において既知である。細菌は、ヘモフィラス・インフルエンザ、マイコバクテリウム・ツベルクロ(登録商標)シス及びボルデテラ・ペルツシスを含む。原生動物感染体は、マラリア原虫、リーシュマニア種、トリパノソーマ種及び住血吸虫種を含む。真菌は、カンジダ・アルビカンスを含む。
【0061】
いくつかの例では、抗原は、ウイルス抗原である。ウイルス性ポリペプチド抗原は、限定されないが、HIVgagタンパク質(限定されないが、膜固定(MA)タンパク質、コアカプシド(CA)タンパク質及びヌクレオカプシド(NC)タンパク質を含む)のようなコアタンパク質、HIVポリメラーゼ、インフルエンザウイルス・マトリックス(M)タンパク質及びインフルエンザウイルス・ヌクレオシドカプシド(NP)タンパク質を含む。インフルエンザのワクチン化を検討した参考文献は、Scherle及びGerhard(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:4446−4450;Scherle及びGerhard(1986)J.Exp.Med.164:1114−1128;Granoffら(1993)Vaccine 11:S46−51;Kodihalliら(1997)J.Virol.71:3391−3396;Ahmeidaら(1993)Vaccine 11:1302−1309;Chenら(1999)Vaccine 17:653−659;Govorkova及びSmirnov(1997)Acta Virol.(1997)41:251−257;Koideら(1995)Vaccine 13:3−5;Mbawuikeら(1994)Vaccine 12:1340−1348;Tamuraら(1994)Vaccine 12:310−316;Tamuraら(1992)Eur.J.Immunol.22:477−481;Hirabayashiら(1990)Vaccine 8:595−599を含む。抗原ポリペプチドの他の例は、グループ又はサブグループ特異的抗原であり、多くの感染体について知られ、限定されないが、アデノウイルス、単純疱疹ウイルス、パピローマウイルス、呼吸器合胞体ウイルス及びポックスウイルスを含む。
【0062】
多くの抗原性ペプチド及びタンパク質が知られ、及び当該技術分野において利用可能であり;他は、慣用的な技術を用いて同定することができる。腫瘍形成に対する免疫化について、免疫調節性ペプチドは、腫瘍細胞(生存又は照射)、腫瘍細胞抽出物、例えば、Her−2/neu、Mart1、癌胎児性抗原(CEA)、ガングリオシド、ヒト乳脂肪球(HMFG)、ムチン(MUC1)、MAGE抗原、BAGE抗原、GAGE抗原、gp100、前立腺特異抗原(PSA)、及びチロシナーゼのような腫瘍抗原のタンパク質サブユニットを含むことができる。免疫を基礎とした避妊のためのワクチンは、ISSと一緒に投与した精子タンパク質を含むことによって形成され得る。Leaら(1996)Biochim.Biophys.Acta 1307:263。
【0063】
弱毒化及び不活化ウイルスは、抗原として本明細書での使用に適している。これらのウイルスの調製は、当該技術分野において周知であり、多くは、商業的に利用可能である(例えば、Physicians’Desk Reference(1998)第52版、Medical Economics Company,Inc.)。例えば、ポリオウイルスは、IPOL(登録商標)(Pasteur Merieux Connaught)及びORIMUNE(登録商標)(Lederle Laboratories)として、A型肝炎ウイルスはVAQTA(登録商標)(Merck)として、麻疹ウイルスはATTENUVAX(登録商標)(Merck)として、流行性耳下腺炎ウイルはMUMPSVAX(登録商標)(Merck)として、及び風疹ウイルスはMERUVAX(登録商標)II(Merck)として利用可能である。加えて、弱毒化及び不活化ウイルス、例えば、HIV−1、HIV−2、単純疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、ロタウイルス、ヒト及びヒト以外のパピローマウイルス及び脳機能低下ウイルスは、ペプチド抗原を提供し得る。
【0064】
いくつかの例では、抗原は、ワクシニア、アデノウイルス、及びカナリア痘のようなウイルスベクターを含む。
抗原は、当該技術分野において既知の精製技術を用いてそれらの供給源から分離してもよく、より慣用的には、組換え法を用いて生成してもよい。
【0065】
抗原性ペプチドは、精製した天然のペプチド、合成ペプチド、組換えタンパク質、粗製タンパク質抽出物、弱毒化若しくは不活化ウイルス、細胞、微生物、又はこのようなペプチドの断片を含むことができる。免疫調節性ペプチドは、天然であるか又は化学的若しくは酵素的に合成することができる。当該技術分野において既知の化学的合成の任意の方法が適している。溶液相ペプチド合成は、中程度の大きさのペプチドを構築するために使用されることができ、あるいはペプチドの化学的構築に関しては、固相合成を使用することができる。Athertonら(1981)Hoppe Seylers Z.Physiol.Chem.362:833−839。タンパク質分解酵素はまた、アミノ酸をカップルしてペプチドを生成するために利用することができる。Kullmann(1987)Enzymatic Peptide Synthesis,CRC Press,Inc.。その代わりに、ペプチドは、細胞の生化学的機構を用いることによって、又は生物原からの分離によって得ることができる。組換えDNA技術は、ペプチド生成のために使用することができる。Hamesら(1987)Transcription and Translation:A Practical Approach,IRL Press。ペプチドはまた、アフィニティークロマトグラフィーのような標準的な技術を用いて分離することができる。
【0066】
いくつかの例では、抗原は、ペプチド、脂質(例えば、ステロール、脂肪酸、及びリン脂質)、H.インフルエンザワクチンで使用されるもののような多糖、ガングリオシド及び糖タンパク質である。これらは、化学的方法及び酵素的方法を用いた分離及び合成を含む当該技術分野において既知のいくつかの方法を通じて得ることができる。ある場合には、多くのステロール、脂肪酸及びリン脂質の場合のように、分子の抗原性部分は、商業的に利用可能である。
【0067】
対象の組成物及び組成物を用いた方法に使用されるウイルス抗原の例は、限定されないが、HIV抗原を含む。このような抗原は、限定されないが、HIVエンベロープ糖タンパク質由来の抗原を含み、限定されないが、gp160、gp120及びgp41を含む。HIV遺伝子及び抗原の無数の配列が知られる。例えば、Los Alamos National Laboratory HIV Sequence Databaseは、HIVヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を収集し、管理し、そして注釈を付ける。このデータベースは、インターネットを通じてhttp://hiv-web.lanl.gov/で、そして、年1回の刊行物(Human Retrovirus and AIDS Compendium(例えば、1998年版を参照されたい)にアクセスすることができる。
【0068】
感染体由来の抗原は、当該技術分野において既知の方法を用いて、例えば、天然ウイルス若しくは細菌抽出物から、感染体で感染させた細胞から、生成したポリペプチドから、組換え的に生成したポリペプチドから、及び/又は合成ペプチドから得てもよい。
【0069】
ISS
本発明に従って、コンジュゲート分子は、少なくとも1つのISSを含有し、そして複数のISSを含むことができる。ISSは、ポリヌクレオチド内に隣接することができ、あるいはポリヌクレオチド内の追加したヌクレオチド塩基によって分別することができる。
【0070】
ISSは、当該技術分野において説明されており、そして、サイトカイン分泌、抗体産生、NK細胞活性化及びT細胞増殖のような免疫応答の種々の側面を含む標準的なアッセイを用いて容易に同定してもよい。例えば、WO97/28259;WO98/16247;WO99/11275;Kriegら(1995)Nature 374:546−549;Yamamotoら(1992a);Ballasら(1996);Klinmanら(1997);Satoら(1996);Pisetsky(1996a);Shimadaら(1986)Jpn.J.Cancer Res.77:808−816;Cowderyら(1996)J.Immunol.156:4570−4575;Romannら(1997);及びLipfordら(1997a)を参照されたい。
【0071】
ISSは、6個の塩基又は塩基対より多い任意の長さであり得て、一般的に、配列5’−シトシン、グアニン−3’を含み、より具体的には配列5’−プリン、プリン、C、G、ピリミジン、ピリミジン−3’(例えば、5’−AACGTT−3’)、好ましくは、いくつかの例では、長さにして15個の塩基又は塩基対より多く、より好ましくは、いくつかの例では、20個の塩基又は塩基対より多い。ISSはまた、配列5’−プリン、プリン、C、G、ピリミジン、ピリミジン、C、G−3’を含んでもよい。ISSはまた、配列5’−プリン、プリン、C、G、ピリミジン、ピリミジン、C、C−3’を含んでもよい。下記のポリヌクレオチド配列に示されるように、ISSはまた、配列5’−T、C、G−3’を含んでもよい。
【0072】
いくつかの例では、ISSは、下記の配列:
GACGCTCC;GACGTCCC;GACGTTCC;GACGCCCC;AGCGTTCC;AGCGCTCC;AGCGTCCC;AGCGCCCC;AACGTCCC;AACGCCCC;AACGTTCC;AACGCTCC;GGCGTTCC;GGCGCTCC;GGCGTCCC;GGCGCCCC;GACGCTCG;GACGTCCG;GACGCCCG;GACGTTCG;AGCGCTCG;AGCGTTCG;AGCGTCCG;AGCGCCCG;AACGTCCG;AACGCCCG;AACGTTCG;AACGCTCG;GGCGTTCG;GGCGCTCG;GGCGTCCG;GGCGCCCG
のいずれかを含む。
【0073】
いくつかの例では、ISSは、下記の配列:
GACGCT;GACGTC;GACGTT;GACGCC;GACGCU;GACGUC;GACGUU;GACGUT;GACGTU;AGCGTT;AGCGCT;AGCGTC;AGCGCC;AGCGUU;AGCGCU;AGCGUC;AGCGUT;AGCGTU;AACGTC;AACGCC;AACGTT;AACGCT;AACGUC;AACGUU;AACGCU;AACGUT;AACGTU;GGCGTT;GGCGCT;GGCGTC;GGCGCC;GGCGUU;GGCGCU;GGCGUC;GGCGUT;GGCGTU
のいずれかを含む。
【0074】
いくつかの例では、免疫調節ポリヌクレオチドは、配列5’−TGACTGTGAACGTTCGAGATGA−3’(配列番号1)を含む。他の例では、ISSは、配列5’−TGACCGTGAACGTTCGAGATGA−3’(配列番号2);5’−TCATCTCGAACGTTCCACAGTCA−3’(配列番号3);5’−TGACTGTGAACGTTCCAGATGA−3’(配列番号4);5’−TCCATAACGTTCGCCTAACGTTCGTC−3’(配列番号5);5’−TGACTGTGAABGTTCCAGATGA−3’(配列番号6)(ここで、Bは、5−ブロモシトシンである);5’−TGACTGTGAABGTTCGAGATGA−3’(配列番号7)(ここで、Bは、5−ブロモシトシンである);そして、5’−TGACTGTGAABGTTBGAGATGA−3’(配列番号8)(ここで、Bは、5−ブロモシトシンである)のいずれかを含む。
【0075】
ISS及び/又はISSを含有するポリヌクレオチドは、修飾を含有してもよい。ISSの修飾は、当該技術分野において既知のいずれか、限定されないが、3’OH又は5’OH基の修飾、ヌクレオチド塩基の修飾、糖成分の修飾、及びリン酸基の修飾を含む。種々のこのような修飾は、下記に記載される。
【0076】
ISSは、一本鎖又は二本鎖DNA、並びに一本鎖又は二本鎖RNA又は他の修飾したポリヌクレオチドであってもよい。ISSは、上述した六量体モチーフに存在してもよいか又はそのモチーフを超えて拡大してもよい1以上の回文領域を含んでもよく又は含まなくてもよい。ISSは、追加のフランキング配列を含んでもよく、そのいくつかは本明細書中に記載される。ISSは、天然に発生するか又は修飾された非天然に発生する塩基を含有してもよく、そして修飾した糖、リン酸塩、及び/又は末端を含有してもよい。例えば、リン酸塩修飾は、限定されないが、リン酸メチル、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート(ブリッジ又はブリッジなし)、ホスホトリエステル及びホスホロジチオエートを含み、そして、任意の組合せで使用してもよい。他のリン酸塩でない連結はまた使用されてもよい。いくつかの例では、本発明のオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート骨格を含む。この領域において既知の糖修飾、例えば、2’−アルコキシ−RNA類似体、2’−アミノ−RNA類似体及び2’−アルコキシ−又はアミノ−RNA/DNAキメラ及び本明細書中に記載される他のものはまた、作製され、そして任意のリン酸塩修飾と組み合わせてもよい。塩基修飾の例は、限定されないが、ISSのシトシンのC−5及び/又はC−6(例えば、5−ブロモシトシン、5−クロロシトシン、5−フルオロシトシン、5−ヨードシトシン)に電子求引部分の添加を含む。
【0077】
ISSは、当該技術分野において周知である技術及び核酸合成装置を用いて合成することができ、限定されないが、酵素的方法、化学的方法、及びより大きなオリゴヌクレオチド配列の分解を含む。例えば、Ausubelら(1987);及びSambrookら(1989)を参照されたい。酵素的に集結させる場合、個々のユニットは、例えば、T4 DNA又はRNAリガーゼのようなリガーゼを用いて連結することができる。米国特許第5,124,246号。オリゴヌクレオチド分解は米国特許第4,650,675号に例示されるように、オリゴヌクレオチドをヌクレアーゼに晒すことを通じて達成され得る。
【0078】
ISSはまた、慣用的なポリヌクレオチド単離手法を用いて単離することができる。このような手法は、限定されないが、共通したヌクレオチド配列を検出するためのプローブによるゲノム又はcDNAライブラリーへのハイブリダイゼーション、共通した構造的特徴を検出するための発現ライブラリーの抗体スクリーニング、及びポリメラーゼ連鎖反応による特定の天然配列の合成を含む。
【0079】
環状ISSは、単離され、組換え法を介して合成され、又は化学的に合成することができる。環状ISSは、単離を介して又は組換え法を介して得られる場合、ISSは、いくつかの例では、プラスミドであろう。より小さな環状オリゴヌクレオチドの化学的合成は、文献に記載される任意の方法を用いて実行され得る。例えば、Gaoら(1995)Nucleic Acids Res.23:2025−2029;及びWangら(1994)Nucleic Acids Res.22:2326−2333を参照されたい。
【0080】
オリゴヌクレオチド及び修飾したオリゴヌクレオチドを作製する技術は、当該技術分野において既知である。天然に発生するDNA又はRNAは、ホスホジエステル結合を含有し、一般的には、3’−末端で固体支持体に結合した成長しているオリゴヌクレオチドの5’−ヒドロキシ基に適切なホスホルアミダイトを連続的にカップリングさせ、その後、中間体の亜リン酸トリエステルをリン酸トリエステルに酸化することによって合成される。所望のオリゴヌクレオチド配列が合成されると、オリゴヌクレオチドは、支持体から除去され、リン酸トリエステル基は、リン酸ジエステルに脱保護され、そして、ヌクレオチド塩基は、アンモニア水又は他の塩基を用いて脱保護される。例えば、Beaucage(1993)“Oligodeoxyribonucleotide Synthesis”in Protocols for Oligonucleotides and Analogs,Synthesis and Properties(Agrawal編集)Humana Press,Totowa,NJ;Wanerら(1984)DNA 3:401及び米国特許第4,458,066号を参照されたい。
【0081】
ISSはまた、リン酸塩修飾したオリゴヌクレオチドを含有することができる。修飾したリン酸塩連結又は非リン酸塩連結を含有するポリヌクレオチドの合成はまた、当該技術分野において既知である。概説として、Matteucci(1997)“Oligonucleotide Analogs:an Overview”in Oligonucleotides as Therapeutic Agents,(D.J.Chadwick及びG.Cardew編集)John Wiley及びSons,New York,NYを参照されたい。本発明のオリゴヌクレオチドにおける糖又は糖類似部分に結合され得るリン誘導体(又は修飾したリン酸基)は、一リン酸塩、二リン酸塩、三リン酸塩、アルキルリン酸塩、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等であり得る。上述したリン酸塩類似体の調製、及びそれらのヌクレオチド、修飾したヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドへの導入それ自体はまた知られ、本明細書中に詳細に記載する必要はない。Peyrottesら(1996)Nucleic Acids Res.25:1841−1848;Chaturvediら(1996)Nucleic Acids Res.24:2318−2323;及び、Schultzら(1996)Nucleic Acids Res.24:2966−2973。例えば、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの合成は、酸化工程を硫化工程(Zon(1993)“Oligonucleoside Phosphorothioates”in Protocols for Oligonulceotides and Analogs,Synthesis and Properties(Agrawal編集)Humana Press,pp.165−190)に置換することを除いて、天然に発生するオリゴヌクレオチドに関して上記したのと類似する。同様に、他のリン酸塩アナログ、例えば、ホスホトリエステル(Millerら(1971)JACS 93:6657−6665)、非架橋ホスホルアミデート(Jagerら(1988)Biochem.27:7247−7246)、N3’からP5’ホスホルアミデート(Nelsonら(1997)JOC 62:7278−7287)及びホスホロジチオエート(米国特許第5,453,496号)の合成はまた、記載されている。他のリンを基礎としていない修飾オリゴヌクレオチドはまた使用することができる(Stirchakら(1989)Nucleic Acids Res.17:6129−6141)。ホスホロチオエート骨格を有するオリゴヌクレオチドは、ホスホジエステル骨格を有するものより免疫原性であり得て、宿主への注射後の分解により耐性であるようだ。Braunら(1988)J.Immunol.141:2084−2089;及び、Latimerら(1995)Mol.Immunol.32:1057−1064。
【0082】
本発明において使用されるISS含有ポリヌクレオチドは、リボヌクレオチド(唯一の又は主な糖成分としてリボースを含有する)、デオキシリボヌクレオチド(主な糖成分としてデオキシリボースを含有する)を含むことができ、あるいは、当該技術分野において知られるように、修飾した糖又は糖類似体はISSに導入され得る。つまり、リボース及びデオキシリボースに加えて、糖部分は、ペントース、デオキシペントース、ヘキソース、デオキシヘキソース、グルコース、アラビノース、キシロース、リキソース、及び糖「類似体」シクロペンチル基であり得る。糖は、ピラノシル形態又はフラノシル形態であり得る。ISSにおいて、糖部分は、いくつかの例では、リボース、デオキシリボース、アラビノース又は2’−O−アルキルリボースのフラノシドであり、そして、糖は、α又はβアノマー配置のいずれいかで、それぞれヘテロ環塩基に結合することができる。糖修飾は、限定されないが、2’−アルコキシ−RNA類似体、2’−アミノ−RNA類似体及び2’−アルコキシ−又はアミノ−RNA/DNAキメラを含む。これらの糖又は糖類似体、及びこのような糖又は類似体がヘテロ環塩基(核酸塩基)に結合されるそれぞれの「ヌクレオチド」はそれ自体の調製は知られ、このような調製が任意の特定の例に適切であり得るという程度を除いて、本明細書中に記載する必要はない。糖修飾はまた、ISSの調製においてなされ、そして任意のリン酸塩修飾と組み合わせてもよい。
【0083】
ヘテロ環塩基、又は核酸塩基は、ISSに導入され、天然に発生する主なプリン及びピリミジン塩基(即ち、ウラシル又はチミン、シトシン、アデニン及びグアニン、上述)、並びに前記の主な塩基の天然に発生し合成的な修飾であり得る。
【0084】
当業者は、種々のヘテロ環塩基及び糖部分(及び糖類似体)を含む大多数の「合成の」非天然ヌクレオチドが当該技術分野において利用可能であり、そして、本発明の他の基準が満たされる限り、ISSは、天然に発生する核酸の主要な5つの塩基成分以外の1又は複数個のヘテロ環塩基を含み得ることを認識するであろう。しかしながら、いくつかの例では、ISS中のヘテロ環塩基は、限定されないが、ウラシル−5−イル、シトシン−5−イル、アデニン−7−イル、アデニン−8−イル、グアニン−7−イル、グアニン−8−イル、4−アミノピロロ[2.3−d]ピリミジン−5−イル、2−アミノ−4−オキソピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル、2−アミノ−4−オキソピロロ[2.3−]ピリミジン−3−イル基を含み、それは、プリンが9位を介してピリミジンが1位を介して、ピロロピリミジンが7位を介して、そしてピラゾロピリミジンが1位を介してISSの糖部分に結合した場合である。
【0085】
ISSは、共通して所有される米国特許第6,562,798号(USSN324,191)及び国際出願WO99/62923に記載される少なくとも1つの修飾塩基を含んでもよい。本明細書中で使用されるとき、「修飾塩基」は、「塩基類似体」と同義であり、例えば、「修飾したシトシン」は、「シトシン類似体」と同義である。同様に、「修飾した」ヌクレオシド又はヌクレオチドは、本明細書中、ヌクレオシド又はヌクレオチド「類似体」であるものとして定義される。塩基修飾の例は、限定されないが、電子求引性部分によるISSのシトシンのC−5及び/又はC−6への添加を含む。いくつかの例では、電子求引部分はハロゲンである。このような修飾したシトシンは、限定されないが、アザシトシン、5−ブロモシトシン、ブロモウラシル、5−クロロシトシン、塩素化シトシン、シクロシトシン、シトシンアラビノシド、5−フルオロシトシン、フルオロピリミジン、フルオロウラシル、5,6−ジヒドロシトシン、5−ヨードシトシン、ヒドロキシウレア、ヨードウラシル、5−ニトロシトシン、ウラシル、及び任意の他のピリミジン類似体又は修飾したピリミジンを含むことができる。
【0086】
塩基修飾したヌクレオシドの調製、及び前駆体として前記塩基修飾したヌクレオシドを用いた修飾したオリゴヌクレオチドの合成は、例えば、米国特許第4,910,300号、第4,948,882号、及び第5,093,232号に記載されている。これらの塩基修飾したヌクレオシドは、それらがオリゴヌクレオチドの末端又は内部位置のいずれかに化学合成によて導入し得るように設計されている。このような塩基修飾したヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの末端又は内部位置のいずれかに存在し、ペプチド又は他の抗原の結合のための部位として使用され得る。それらの糖部分において修飾されたヌクレオシドはまた記載され(限定されないが、例えば、米国特許第4,849,513号、第5,015,733号、第5,118,800号、第5,118,802号を含む)、そして同様に使用することができる。
【0087】
いくつかの例では、ISS含有ポリヌクレオチドは、下記の長さ(塩基又は塩基対で):およそ10,000;5,000;2500;2000;1500;1250;1000;750;500;300;250;200;175;150;125;100;75;50;25;10のいずれかより短い。いくつかの例では、ISS含有ポリヌクレオチドは、下記の長さ(塩基又は塩基対で):およそ6;7;8;10;15;20;25;30;40;50;60;75;100;125;150;175;200;250;300;350;400;500;750;1000;2000;5000;7500;10000;20000;50000のいずれかよりも長い。いくつかの例では、ISS含有ポリヌクレオチドは、長さにして約6塩基又は塩基対より長く、かつ、長さにして約200塩基又は塩基対より短い。
【0088】
種々の構造的及び免疫調節特性を有するコンジュゲート分子集団
一般的に、本発明及び本明細書中に記載したコンジュゲート分子の分類又は集団は、下記:
(a)抗原に付着又は連結したISS含有ポリヌクレオチドの平均値の数;
(b)抗原に付着又は連結したISS含有ポリヌクレオチドの中央値の数;
(c)ISS含有ポリヌクレオチドの平均質量と抗原の平均質量の比;
(d)ISS含有ポリヌクレオチドの中央値の質量と抗原の中央値の質量の比;
(e)(i)抗原特異的抗体の抗原への結合阻害に要求されるISS−抗原コンジュゲートの濃度と(ii)抗原特異的抗体の抗原への同程度の阻害に必要とされる抗原の濃度の比(下記に記載されるように、これらの比は、通常、必要ないが、50%阻害で計算される);
(f)アレルゲンである抗原に関して、(i)抗原に感受性の個体由来の好塩基球からのヒスタミン放出に必要とされるISS−抗原コンジュゲートの濃度と(ii)抗原に感受性のある個体由来の好塩基球からのヒスタミン放出の同程度に必要とされる抗原の濃度の比;
(g)(i)ISS−抗原コンジュゲートによって誘発されるTh1関連抗体及びTh2関連抗体の総量と(ii)抗原によって誘発されるTh1関連抗体及びTh2関連抗体の総量の比;
(h)(i)ISS−抗原コンジュゲートによって誘発されるTh1関連抗体と(ii)ISS−抗原コンジュゲートによって誘発されるTh2関連抗体の比;
(i)抗原単独と比較した場合の異なるサイトカイン産生プロフィール;
(j)抗原特異的抗体産生の抑制の程度
を含む、多くの構造及び/又は機能的特性のいずれかによって区別及び/又は定義されてもよい。
【0089】
これらの分類及び本明細書中に記載される実施例の全てが記載され、及び/又は上記で列挙した特性の1つ、1より多く、及び/又は任意の組み合わせによって定義されてもよい。したがって、本発明は、構造的に安定なコンジュゲート分子の集団を含む組成物を提供し、前記コンジュゲート分子は、抗原、及び免疫賦活化配列(ISS)を含む1以上のポリヌクレオチドを含み、ここで、前記集団は、単独で又は任意に組み合わせて、本明細書中に記載された1以上の任意の特性を含む。特性(比を含む)は、当該技術分野において標準的な技術及び本明細書に記載された技術を用いて測定してもよく、そして、任意のこれらの特性は、マウス及び/又はヒトを含む脊椎動物及び哺乳動物のようなインビボ系を含む多様な系で測定されてもよいことが理解される。
【0090】
例えば、上記に従って、そしてAmb a1及びISS含有の22マーのポリヌクレオチド(5’−TGACTGTGAACGTTCGAGATGA−3’、配列番号1)のコンジュゲートに関連する観察に基づいて、「H」クラスは、下記のいずれかの特性:
(a)抗原分子当り少なくとも約5.5個、及びいくつかの例では、6個のISS含有ポリヌクレオチドの平均;
(b)(i)ISS含有のポリヌクレオチドの平均の質量と(ii)抗原の平均の質量の比が、(ii)約40に対して(i)約又は代替的に少なくとも約35、40又は45であり;
(c)(i)抗原特異的抗体の抗原への結合の50%阻害に必要なISS−抗原コンジュゲートの濃度と(ii)抗原特異的抗体の抗原への結合の50%阻害に必要な抗原抗原の濃度の比が、約3.5〜約6.0又はそれより高い(限定されないが、7.0、8.0、9.0、10.0、15、20、25、30、35、40、45、50又はそれより高い)、あるいは、その代わりに、少なくとも下記の約:3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、8.0、9.0、10、15、20、25のいずれかである(範囲として表現する場合、上限は、列挙されたものを含む任意の数であってよい);
【0091】
(d)例えば、抗原がアレルゲンである場合において、(i)抗原感受性の個体由来の好塩基球からの40%のヒスタミン放出に必要なISS−抗原コンジュゲートの濃度と(ii)抗原感受性の個体由来の好塩基球からの40%のヒスタミン放出に必要な抗原の濃度の比は、約300より大きく、約500より大きく、約750より大きく、約1000より大きく、約1250より大きく、約1400より大きく、約1500より大きい(上限が任意の数であり、限定されないが、750、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000を含む);
(e)(i)ISS−抗原コンジュゲートによって誘発され総Th1−及びTh2−関連抗体の力価(投与されたコンジュゲートの単位質量当りで誘発された抗体の観点で)と(ii)抗体によって誘発された総Th1−及びTh2−関連抗体(投与された抗原の単位質量の観点で)の比は、下記の約10、7、5、4、3.5、3.0、2.5、2.0、1.5、1.0、0.75、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1のいずれかであるか、あるいは、その代わりにそれより小さい;
(f)ISS−抗原コンジュゲートによって誘発される総Th1−及びTh2−関連抗体の力価(投与されたコンジュゲートの単位質量当り誘発された抗体の観点で)と(ii)抗原によって誘発されるTh1−及びTh2−関連抗体(投与されたコンジュゲートの量と比べて投与された苦言の単位質量の10倍という観点で)の比は、下記の約1.0、0.7、0.6、0.5、0.4、0.35、0.3、0.25、0.2、0.15、0.11、0.075、0.05、0.04、0.03、0.02、0.01のいずれかであるか、あるいは、その代わりにそれよりも小さい;
【0092】
(g)(i)ISS−抗原コンジュゲートによって誘発されたTh1−関連抗体の力価(投与されたコンジュゲートの単位質量当りの誘発された抗体の観点で)と(ii)抗原によって誘発されたTh1−関連抗体の力価(投与されたコンジュゲートの量と比べて投与された抗原の単位質量の観点で)の比は、下記:約60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5のいずれかであるか、あるいは、その代わりにそれよりも小さい;
(h)(i)ISS−抗原コンジュゲートによって誘発されたTh1−関連抗体の力価(投与されたコンジュゲートの単位質量当りの誘発された抗体の観点で)と(ii)コンジュゲートによって誘発されたTh2−関連抗体の力価の比は、下記:約4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10のいずれかであるか、あるいは、その代わりにそれよりも大きい(範囲として表現される場合、上限は、任意の数であり、列挙されたもの、並びに15、20、25、30、40、50、60、75、80、90、100のような他のものを含んでよい);
(i)同量の連結していないISS含有ポリヌクレオチド及び抗原の投与と比較して、あるいは同量の抗原のみの投与と比較して、抗原特異的抗体産生(Th1−関連抗体及び/又はTh2−関連抗体を含む)の抑制
の単独又は組合せによって定義される。
【0093】
「M」クラスは、下記のいずれかの特性:
(a)抗原分子当り平均約3〜約5個のISS含有ポリヌクレオチド;
(b)(i)ISS含有ポリヌクレオチドの平均質量と(ii)抗原の平均質量の比は、(ii)約40に対して(i)約20、約25、又は約30である;
(c)(i)抗原特異的抗体の抗原への結合の50%阻害に必要とされるISS−抗原コンジュゲートの濃度と(ii)抗原特異的抗体の抗原に対する50%阻害に必要とされる抗原の濃度の比は、約2.5〜約3.5であるか、あるいは約3.25である;
【0094】
(d)(i)抗原感受性の個体由来の好塩基球からの40%のヒスタミン放出に必要とされるISS−抗原コンジュゲートの濃度と(ii)抗原感受性の個体由来の好塩基球からの40%のヒスタミン放出に必要とされる抗原の濃度の比は、約100〜約200であるか、あるいは約100であるか、あるいは約75と約250との間である;
(e)(i)ISS−抗原コンジュゲートによって誘発された総Th1−及びTh2−関連抗体の力価(投与されたコンジュゲートの単位質量当り誘発された抗体に関する)と(ii)抗原によって誘発された総Th1−及びTh2−関連抗体(投与されたコンジュゲートの単位質量に関する)の比は、約13であるか、あるいは約10又は約12と約100との間(又は、いくつかの例では、約12〜約50)である;
(f)ISS−抗原コンジュゲートによって誘発された総Th1−及びTh2−関連抗体の力価(投与されたコンジュゲートの単位質量当り誘発された抗体に関する)と、抗原によって誘発された総Th1−及びTh2−関連抗体(投与されたコンジュゲートの量と比較して投与されたコンジュゲートの単位質量の10倍に関する)の比は、約1.3であるか、あるいは約1.0又は約1.20と約10との間(又は、いくつかの例では、約1.2〜約5.0)である;
【0095】
(g)(i)ISS−抗原コンジュゲートによって誘発されたTh1−関連抗体の力価(投与されたコンジュゲートの単位質量当り誘発された抗体に関する)と(ii)抗原によって誘発されたTh1−関連抗体の力価(投与されたコンジュゲートの量と比較して投与された抗原の単位質量に関する)の比は、約70と約500との間である;
(h)(i)ISS−抗原コンジュゲートによって誘発されたTh1−関連抗体の力価(投与されたコンジュゲートの単位質量当り誘発された抗体に関する)と(ii)コンジュゲートによって誘発されたTh2−関連抗体の力価の比は、約2と約4との間である
の単独又は組合せによって定義される。
【0096】
「L」クラスは、下記のいずれかの特性:
(a)抗原分子当り平均約3個未満のISS含有ポリヌクレオチド;
(b)(i)ISS含有ポリヌクレオチドの平均質量と(ii)抗原の平均質量の比は、(ii)約40に対して(i)約15又はその代わりに約15未満(いくつかの例では、約10又はその代わりに約10未満)である;
(c)(i)抗原特異的抗体の抗原への結合の50%阻害に必要とされるISS−抗原コンジュゲートの濃度と(ii)抗原特異的抗体の抗原への50%阻害に必要とされる抗原の濃度の比は、約2.0未満であるか、あるいはその代わりに約2.0である;
(d)抗原がアレルゲンである例については、(i)抗原感受性の個体由来の好塩基球からの40%のヒスタミン放出に必要とされるISS−抗原コンジュゲートの濃度と(ii)抗原感受性の個体由来の好塩基球からの40%のヒスタミン放出に必要とされる抗原の濃度の比は、約75未満であるか、あるいはその代わりに約75(他の例では、約60未満又はその代わりに約60)〜約200又はその代わりに〜約100である;
【0097】
(e)(i)ISS−抗原コンジュゲートによって誘発された総Th1−及びTh2−関連抗体の力価(投与されたコンジュゲートの単位質量当り誘発された抗体に関する)と(ii)抗原によって誘発された総Th1−及びTh2−関連抗体(投与されたコンジュゲートの単位質量に関する)の比は、約150であるか、あるいはその代わりに下記:約100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800のいずれかよりも大きい(範囲として表現される場合、上限は、列挙された数を含む任意の数であってよい);
(f)(i)ISS−抗原コンジュゲートによって誘発された総Th1−及びTh2−関連抗体の力価(投与されたコンジュゲートの単位質量当り誘発された抗体に関する)と(ii)抗原によって誘発された総Th1−及びTh2−関連抗体(投与されたコンジュゲートの量と比較して投与されたコンジュゲートの単位質量の10倍に関する)の比は、下記:約10、12、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80のいずれかであるか、又はその代わりにそれよりも大きい;
【0098】
(g)(i)ISS−抗原コンジュゲートによって誘発されたTh1−関連抗体の力価(投与されたコンジュゲートの単位質量当り誘発された抗体に関する)と(ii)抗原によって誘発されたTh1−関連抗体の力価の比は、約500又はそれより多く、限定されないが、約500以上、約600以上、約700以上、約800以上、約900以上、約1000以上を含む(範囲として表現される場合、上限は、任意の数であってよく、限定されないが、600、700、800、900、1000、1250、1500、1750、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000を含む);
(h)(i)ISS−抗原コンジュゲートによって誘発されたTh1−関連抗体の力価(投与されたコンジュゲートの単位質量当り誘発された抗体に関する)と(ii)コンジュゲートによって誘発されたTh2−関連抗体の力価の比は、下記:約2.0、1.5、1.25未満のいずれかである
の単独又は組合せによって定義される。
【0099】
本明細書の記載から明らかなように、多くのコンジュゲート分子の集団のいずれかが生産され得て、「L」、「M」、及び「H」の分類が、コンジュゲート分子集団のクラスのいくつかの例であることが理解される。コンジュゲーションの程度を変化及び制御する能力、即ち、免疫応答の調節のタイプを制御する能力は、本明細書中に例示したものに加えて他の集団まで拡張する。容易に測定可能な構造的及び機能的特徴が提供されれば、多くの集団のいずれかを開発することは当該技術分野において周知である。したがって、本発明はまた、下記:
(a)(i)抗原特異的抗体の抗原への結合の50%阻害に必要とされるISS−抗原コンジュゲートの濃度と(ii)抗原特異的抗体の抗原への50%阻害に必要とされる抗原の濃度の比は、約1.5、2.0、2.25、3.0、3.25、3.5、3.75、4.0、4.25、4.50、4.75、5.0、5.25、5.5、5.75、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0より大きいもののいずれかである(範囲として表現される場合、上限は、列挙したものを含むいずれかの数であってよい(例えば、コンジュゲート集団は、約2.0超、約2.0超かつ約5.5未満、約2.0超かつ約20.0未満であってよい));
【0100】
(b)(i)抗原特異的抗体の抗原への結合の50%阻害に必要とされるISS−抗原コンジュゲートの濃度と(ii)抗原特異的抗体の抗原への50%阻害に必要とされる抗原の濃度の比は、約1.5、2.0、2.25、3.0、3.25、3.5、3.75、4.0、4.25、4.50、4.75、5.0、5.25、5.5、5.75、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0未満のいずれかである(範囲として表現される場合、上限は、列挙したものを含むいずれかの数並びにゼロであってよい(例えば、コンジュゲート集団は、約5.0未満、その代わりに約5.0未満かつ約2.0超であってよい));
(c)抗原がアレルゲンである場合、(i)抗原感受性の個体由来の好塩基球からの40%のヒスタミン放出に必要とされるISS−抗原コンジュゲートの濃度と(ii)抗原感受性の個体由来の好塩基球から40%のヒスタミン放出に必要とされる抗原の濃度の比は、少なくとも下記:約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、75、80、90、95、100、120、130、140、150、175、200、225、250、275、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000、3250、3500、3750、4000、4250、4500、4750、5000のいずれかである(範囲として表現さえる場合、上限は、列挙したものを含む任意の数であってよい。その代わりに、この比は、下記:約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、75、80、90、95、100、120、130、140、150、175、200、225、250、275、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000、3250、3500、3750、4000、4250、4500、4750、5000未満のいずれかであってよい。範囲として表現される場合、下限は、列挙した任意の数並びにゼロであってよい。);
【0101】
(d)ISS−抗原コンジュゲートの単位質量当り誘発された抗体力価(より具体的には、IgG力価、例えば、Th1−及びTh2−関連IgG力価の全体)と、抗原の単位質量当り誘発された抗体力価(より具体的には、IgG力価、例えば、Th1−及びTh2−関連IgG力価の全体)の比は、下記:約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.75、1、2、5、10、15、25、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、1000、1250、1500、2000、2250、2500、2750、3000未満のいずれかである(範囲として表現される場合、上限は、列挙したものを含む任意の数であってよい。その代わりに、この比は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.75、1、1.5、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、15、25、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、1000、1250、1500、2000、2250、2500、2750、3000未満のいずれかであってよい。範囲として表現される場合、下限は、ゼロであるか又は列挙した数のいずれかであってよい。);
【0102】
(e)(単位質量当り)コンジュゲートによって誘発されたTh1−関連抗体の力価と、コンジュゲートによって誘発されたTh−2関連抗体の力価の比は、下記:約20、15、12、10、7、5、4.5、4.25、4.0、3.75、3.5、3.25、3.0、2.5、1.5、1.25、1.0、0.5未満のいずれかである(範囲として表現される場合、下限は、ゼロを含む列挙した任意の数であってよい。その代わりに、この比は、下記:0.5、0.75、1.0、1.25、1.5、2.0、2.5、3.0、3.25、3.5、4.0、4.5、5.0超のいずれかであってよい。範囲として表現される場合、上限は、列挙されたものを含む任意の数であってよい。);
(f)(単位質量当り)コンジュゲートによって誘発されたTh1−関連抗体の力価と、抗原によって誘発されたTh1−関連抗体の力価の比は、下記:5000、4500、4000、3500、3000、2500、2000、1500、1000、900、800、700、600、500、400、300、200、150、100、75、60、50、40、45、30、35、25、20、14、10、5未満のいずれかである(範囲として表現される場合、下限は、ゼロを含む列挙された任意の数であってよい。その代わりに、この比は、下記:約10、20、50、60、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、750、800、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、3000、3500、4000、4500、5000超のいずれかであってよい。範囲として表現される場合、上限は、列挙したものを含む任意の数であってよい。)
のいずれかによって特徴付けられるコンジュゲート集団を含む。
【0103】
コンジュゲーションの程度は、多くのやり方で調節することができ、その全ては当該技術分野において周知の化学的技術を使用し、本明細書にも記載される。コンジュゲーションの程度を調節する1つのやり方は、抗原上の連結部位に関連して、ISSの当量を変えることである。即ち、一定量又は数の連結部位をISSの特定量と反応させる。本明細書中に例示されるISS−Amb a1コンジュゲート分子について、例えば、マレイミド活性化Amb a1に基づいて、1モル当量のAmb a1との4モル当量の5’チオISS、7モル当量の5’チオISS、及び17モル当量お5’チオISSとの反応は、それぞれ「L」、「M」、「H」集団を生じた。コンジュゲーションの程度を調節する別のやり方は、ISSとの反応を飽和させ、抗原上の利用可能な連結の量を変えることである。連結部位は、例えば、所望数の連結部位を与えたある種の連結部分を選択すること(例えば、アミノ酸とは対照的に糖質を介して連結することを選択すること)によって、あるいは、その代わりに所望の平均的な数の連結部位が達成されるように連結を活性化する反応を調節することによって調節することができた。
【0104】
一般的に、所定の抗原は、抗原−ISS連結の性質に依存して、最大数の潜在的な連結部位を有する。コンジュゲーションの程度は、ISSを連結するために使用されるこれらの連結部位の数によって調節することができる。したがって、本発明はまた、ISS含有ポリヌクレオチドに結合した連結部位の全体数の平均的なパーセントが少なくとも下記:約5%、10%、20%、30%、33%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、82%、85%、88%、90%、92%、95%、97%、98%のいずれかである例を含む。その代わりに、本発明はまた、ISS含有ポリヌクレオチドに結合した連結部位の全体数の平均的なパーセントが少なくとも下記:約10%、20%、30%、33%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、82%、85%、88%、90%、92%、95%、97%、98%未満のいずれかである例を含む。連結部位の全体数が、結合様式によって測定される。例えば、抗原がISS含有ポリヌクレオチドに遊離アミノ酸基(例えば、リジン)を介して連結される場合、連結部位の全体数はリジンの数である。抗原がスルフィドリル基(例えば、システイン)を介して連結される場合、連結部位の全体数は遊離スルフィドリル基の全体数である。抗原が糖質部分を介して連結される場合、連結部位の全体数は糖質部分の全体数である。これらの例のいずれかに関して、ISS含有のポリヌクレオチドに結合した平均的なパーセントの連結部位は、上記で列挙した免疫調節特性のいずれかの単独又は組合せによって達成されてもよい。
【0105】
ISS−抗原コンジュゲート分子のクラスの特徴付け
コンジュゲート分子集団は、上記に列挙したものを含む多くのやり方のいずれかによって同定及び/又は特徴付けられてもよい。例えば、構造に関して、コンジュゲーションの程度は、(a)抗原分子に対する平均的な又は中央値の数のISS;(b)ISSと抗原における全体の連結部位の比;(c)ISS量(平均又は中央値のいずれか)と抗原量(平均又は中央値のいずれか)の比;(d)ISSと抗原におけるT細胞エピトープの比;(e)ISSと抗原におけるB細胞エピトープの比によって説明されてもよい。限定されないが、免疫調節を含む機能に関して、本発明のコンジュゲート分子集団は、(a)IgG応答のような抗原特異的抗体の応答の程度;(b)Th1−関連抗体とTh2−関連抗体の比;(c)ヒスタミン放出の抑制の程度;(d)抗原への結合に関する抗原特異的抗体との競合の程度;(e)Th2関連免疫応答の抑制の程度;(f)インターフェロンのようなTh1−関連サイトカインの分泌;(g)IL−4及び/又はIL−5のようなTh2−関連サイトカインの分泌に関連して特徴づけられてもよい。
【0106】
構造的特徴付け
ISS−抗原コンジュゲーションの程度は、当該技術分野において既知の任意の数のタンパク質及び核酸測定法を用いて測定されてもよい。例えば、抗原及び/又はタンパク質特異的検出技術(例えば、抗原特異的抗体及び/又はクマーシーブルー染色)及び核酸特異的検出技術(例えば、検出可能に標識したDNAプローブを用いたハイブリダイゼーション)が、コンジュゲーション反応産物を分析するために使用されてもよい。適切な定量標準を使用して、抗原に対するポリヌクレオチドの量を測定してもよい。
【0107】
ポリペプチドに結合したオリゴヌクレオチドの量はまた、コンジュゲート分子の大きさ又は分子量の測定によって決定してもよい。コンジュゲート分子サイズは、限定されないが、ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミド電気泳動(SDS−PAGE)分析及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を含む、当該技術分野において既知の方法を用いて測定されてもよい。
【0108】
ISS−抗原コンジュゲート分子は、サイズ測定及び/又は分離技術及び核酸及びタンパク質測定技術を用いて分析されてもよい。例えば、SECを用いて、コンジュゲート分子反応産物の分画後、各分画のタンパク質及び核酸含有量は、それぞれ280nm及び260nmでの分画の吸光度によって測定されてもよい。このやり方では、コンジュゲート分子の大きさ及び核酸及びタンパク質検出分析の両方の結果は、コンジュゲート分子の構造を特徴づけるために組み合わせてもよい。ポリヌクレオチド量と各コンジュゲート分子の分画中のタンパク質量の比は、抗原分子当りのISS分子の平均数を示す。
【0109】
機能的特徴付け
当該技術分野において既知の種々の方法は、ISS−抗原コンジュゲート分子の投与に応答して生じた抗体の抗原特異性及び抗体クラス及び/又は抗体のサブクラスを決定するために使用されてもよい。例えば、標準的なELISAフォーマットアッセイは、種々のISS−抗原コンジュゲート分子に応答して産生した抗体の量、特異性及び/又はタイプを検出及び測定するために使用されてもよい。このようなアッセイでは、例えば、抗原は、基質と結合し、ISS−抗原コンジュゲート分子で治療した個体由来の血清とともにインキュベートされる。次に、基質に結合した抗原に結合した抗原特異的抗体の量は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgE等に特異的な抗体のような抗体特異的試薬を用いて測定される。
【0110】
当該技術分野に既知の方法、例えば、本明細書中に記載した競合的ELISAアッセイは、抗原特異的抗体の抗原への結合の阻害に必要とされるISS−抗原コンジュゲート分子の濃度を測定するために使用されてもよい。
【0111】
当該技術分野において既知の方法は、ISS−抗原コンジュゲート分子に応答して抗原感受性の個体由来の好塩基球からのヒスタミンの放出量を測定するために使用されてもよい。例えば、本明細書中に記載されるように、細胞の培養上清中に放出されるヒスタミン量は、アレルギーの個体の血液由来の白血球がISS−アレルゲンコンジュゲート分子の種々の濃度及び/又は調製物で処置した後に測定されてもよい。
【0112】
当該技術分野において既知の方法は、ISS−抗原コンジュゲート分子の投与に応答して生じたサイトカイン産生プロフィールを測定するために使用されてもよい。例えば、インビトロでISS−コンジュゲート分子で処置した細胞の上清はサイトカインの存在について分析される。ISS−抗原コンジュゲート分子に晒されたリンパ球によって産生されるサイトカインのタイプ及び量は、標準的なELISAフォーマットアッセイを用いて測定されてもよい。ISS−抗原コンジュゲート分子に応答して産生したサイトカインのプロフィールはまた、限定されないが、細胞生存が特定のサイトカイン(例えば、IL−2)の存在に依存するもの、及び特定のサイトカイン(例えば、インターフェロン)がウイルス複製を阻害するものを含む標準的なサイトカインバイオアッセイを用いて測定されてもよい。
【0113】
コンジュゲート分子のクラスはまた、投与後の抗原特異的抗体の抑制の程度によって、又は抗原単独の投与と比較して特徴付けられてもよい。例えば、血清中の抗体濃度は、ISS−抗原コンジュゲート分子及び/又は抗原単独の投与の前後で測定されてもよい。次に、種々の時間点での抗体の濃度は、抗体抑制の程度を測定するために比較されてもよい。
【0114】
コンジュゲート分子のクラスはまた、抗体応答の程度、いくつかの例では、抗原特異的抗体応答、特にIgG応答によって特徴付けられてもよい。上述したように、クラスは、(i)コンジュゲート分子に応答して産生されるIgG抗体と(ii)抗体単独に応答して産生されるIgG抗体の比によって特徴づけられてもよい。これらの特徴付け及び例については、この比は、
(i)ISS−抗原コンジュゲート分子によって誘発されたTh1−関連抗体及びTh2−関連抗体の総量と(ii)Th1−関連抗体及びTh2−関連抗体を誘発した抗原の量の比;
(ii)(i)ISS−抗原コンジュゲート分子によって誘発されたTh1−関連抗体(又は複数)と(ii)抗原によって誘発されたTh1−関連抗体の比;
(iii)(i)ISS−抗原コンジュゲート分子によって誘発されたTh2−関連抗体(又は複数)と(ii)抗原によって誘発されたTh2−関連抗体の比
であってもよい。
【0115】
Th1−関連抗体は、Th1応答と関連した抗体である。マウスでは、例えば、IgG2aは、Th1応答と関連する。ヒトでは、IgG1及び/又はIgG3抗体は、Th1応答と関連するようである。例えば、Widheら(1998)Scand.J.Immunol.47:575−581及びde Martinoら(1999)Ann.Allergy Asthma Immunol.83:160−164を参照されたい。同様に、Th2−関連抗体は、Th2応答と関連した抗体である。マウスでは、IgG1は、Th2応答と関連する。ヒトでは、IgG2及び/又はIgG4は、Th2応答と関連するようである(Widheら(1998)及びde Martinoら(1999))。ヒト及びマウスの両方において、IgEは、Th2応答と関連する。これらの特徴付け及び例については、同じ抗体又は抗体産生レベルが抗原単独によって誘発されるものと比較される限り、任意の1以上のタイプの抗体が評価されてもよいことが理解される。
【0116】
この比を計算する1つの方法は、コンジュゲート分子の単位質量当りに産生した対象の抗体(又は複数)の量対抗原の単位質量当りに産生した同抗体(又は複数)の量に関連する。コンジュゲート分子の単位質量は、コンジュゲート分子の抗原成分の質量、コンジュゲート分子のポリヌクレオチド成分、及び/又はコンジュゲート分子の質量に関連してもよい。例えば、コンジュゲート分子が、80を占める抗原成分及び20を占めるISS成分である全分子量100を有する場合、抗体産生のレベルを計算し、及び比較する目的のための単位質量は、100、80、又は20のいずれかであってもよい。実施例は、コンジュゲート分子(Amb a1)の抗原成分の質量は、抗原産生のレベルを計算し、及び抗原単独と比較するための基礎として使用する計算を提供する。
【0117】
さらに、コンジュゲート分子によって産生される抗体対抗原によって産生される抗体との比の計算において、抗原の質量に対するコンジュゲート分子の質量は、1:1であってもよく、又はそうでなくもよい。例えば、いくつかの例では、単位質量のコンジュゲート分子によって産生される抗体は、任意の2、3、4、5、6、7、8、10、15、20、25、30、40倍の抗原の質量によって産生される抗体と比較される。例えば、Amb a1の場合において、1μgのコンジュゲート分子(抗原の量によって測定され;即ち、コンジュゲート分子中の1μgの抗原)によって産生される抗体は、10μgのAmb a1によって産生される抗体と匹敵される。
【0118】
ISS−抗原コンジュゲート
本明細書中に記載される組成物のいくつかの例では、ISS含有ポリヌクレオチドは、抗原とともにコンジュゲートされる。ISS部分は、共有的及び/又は非共有的相互作用を含む種々の方法においてコンジュゲート分子の抗体部分とカップルさせることができる。
【0119】
これらの部分との間の連結は、ISSの3’又は5’で、あるいはISSの中間位置で安定に修飾した塩基でなすことができる。抗原がペプチドであり、適した反応基(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)を含有する場合、シトシン残基のN4アミノ基と直接的に反応することができる。ISSのシトシン残基の数と位置に依存して、1以上の残基での特定のカップリングを達成することができる。
【0120】
その代わりに、修飾したオリゴヌクレオチドは、当該技術分野において知られ、末端のいずれかで、あるいは、ISSの中間位置で導入することができる。これらは、脱ブロック化した場合、対象の抗原に存在し、又はそれに結合することができる種々の官能基と反応性があるブロックされた官能基を含有することができる。
【0121】
抗原がペプチドである場合、コンジュゲート分子のこの部分は、固相化学を通じてISSの3’末端に達成することができる。例えば、ISS部分は、支持体上の前合成したポリペプチド部分に添加することができる。Haralambidisら(1990a)Nucleic Acids Res.18:493−499;及び、Haralambidisら(1990b)Nucleic Acids Res.501−505。その代わりに、ISSは、3’末端から伸張する開裂可能なリンカーを通じて固相に連結されるように合成することができる。固相からのISSの化学的開裂に応じて、末端のチオール基は、オリゴヌクレオチドの3’末端(Zuckermannら(1987)Nucleic Acids Res.15:5305−5321;及びCoreyら(1987)Science 238:1401−1403)で残存し、又は末端のアミノ基は、オリゴヌクレオチドの3’末端(Nelsonら(1989)Nucleic Acids Res.17:1781−1794)で残存する。ペプチドのアミノ基へのアミノ修飾したISSのコンジュゲーションは、Benoitら(1987)Neuromethods 6:43−72に記載されるように実行することができる。ペプチドのカルボキシル基へのチオール修飾のISSのコンジュゲーションは、Sinhaら(1991)、pp.185−210、Oligonucleotide Analogues: A Practical Approach,IRL Pressに記載されるように実行され得る。ペプチドのシステイン残基のチオール側鎖への追加したマレイミドを担持するオリゴヌクレオチドのカップリングはまた記載されている。Tungら(1991)Bioconjug.Chem.2:464−465。
【0122】
コンジュゲート分子のペプチド部分は、合成中にオリゴヌクレオチドに導入したアミン、チオール、又はカルボキシル基を介してISSの5’末端に結合することができる。いくつかの例では、オリゴヌクレオチドが個体支持体に固定される場合、一端で保護されたアミノ、チオール、又はカルボキシル、及び他端でのホスホルアミダイトを含む連結基は、5’−ヒドロキシルに共有結合される。Agrawalら(1986)Nucleic Acids Res.14:6227−6245;Connolly(1985)Nucleic Acids Res.13:4485−4502;Kremskyら(1987)Nucleic Acids Res.15:2891−2909;Connolly(1987)Nucleic Acids Res.15:3131−3139;Bischoffら(1987)Anal.Biochem.164:336−344;Blanksら(1988)Nucleic Acids Res.16:10283−10299;及び、米国特許第4,849,513号、第5,015,733号、第5,118,800号、及び第5,118,802号。脱保護後、アミン、チオール、及びカルボキシル官能性は、オリゴヌクレオチドをペプチドに共有結合させるために使用することができる。Benoitら(1987);及び、Sinhaら(1991)。
【0123】
ISS−抗原コンジュゲート分子はまた、非共有結合、例えば、イオン結合、疎水性相互作用、水素結合及び/又はファン・デル・ワールス吸引力を介して形成され得る。
非共有的に連結したコンジュゲート分子は、ビオチン−ストレプトアビジン複合体のような非共有的相互作用を含むことができる。ビオチニル基は、例えば、ISSの修飾した塩基に結合することができる。Rogetら(1989)Nucleic Acids Res.17:7643−7651。ストレプトアビジン部分のペプチド部分への導入は、ストレプトアビジンをコンジュゲートしたペプチドとビオチン化オリゴヌクレオチドの非共有結合的複合体の形成を可能にする。
【0124】
非共有結合はまた、ISSと帯電したアミノ酸のような抗原内の残基に関わるイオン相互作用を介して、あるいはオリゴヌクレオチド及び抗原の両方と相互作用することができる帯電した残基を含むリンカー部分の使用を介して、発生することができる。例えば、非共有コンジュゲーションは、一般的に負に帯電したISSと、ポリリジン、ポリアルギン及びポリヒスチジン残基のようなペプチドの正に帯電したアミノ酸残基との間に発生することができる。
【0125】
ISSと抗原との間の非共有コンジュゲーションは、それらの天然のリガンドとしてDNAと相互作用する分子のDNA結合モチーフを介して発生することができる。例えば、このようなDNA結合モチーフは、転写因子及び抗DNA抗体において見出すことができる。
【0126】
脂質へのISSの連結は、標準的な方法を用いて形成し得る。これらの方法は、限定されないが、オリゴヌクレオチド−リン脂質コンジュゲート分子(Yanagawaら(1988)Nucleic Acids Symp.Ser.19:189−192)、オリゴヌクレオチド−脂肪酸コンジュゲート分子(Grabarekら(1990)Anal.Biochem.185:131−135;及びStarosら(1986)Anal.Biochem.156:220−222)、及びオリゴヌクレオチド−ステロールコンジュゲート分子の合成ほ含む。Boujradら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5728−5731。
【0127】
オリゴ糖へのオリゴヌクレオチドの連結は、標準的な既知の方法を用いて形成し得る。これらの方法は、限定されないが、オリゴヌクレオチド−オリゴ糖コンジュゲート分子の合成を含み、ここで、オリゴ糖は、免疫グロブリンの部分である。O’Shannessyら(1985)J.Applied Biochem.7:347−355。
【0128】
ペプチド又は抗原への環状ISSの連結は、いくつかの方法で形成し得る。環状ISSは組換え又は化学的方法を用いて合成される場合、修飾したヌクレオシドが適している。Ruth(1991),pp.255−282,in Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,IRL Press。次に、標準的な連結技術は、抗原又は他のペプチドに環状ISSを接続するために使用することができる。Goodchild(1990)Bioconjug.Chem.1:165。環状ISSが分離され、又は組換え法若しくは化学的方法を用いて合成される場合、連結は、抗原又は他のペプチドへ導入した反応基(例えば、カルベン、ラジカル)を化学的に活性化又は光活性化することによって形成することができる。
【0129】
オリゴヌクレオチドにペプチド及び他の分子を連結する追加の方法は、米国特許第5,391,723号;Kessler(1992)“Nonradioactive labeling methods for nucleic acids”Kricka編集,Nonisotopic DNA Probe Techniques,Academic Press;及び、Geogheganら(1992)Bioconjug.Chem.3:138−146。
【0130】
コンジュゲート分子を含むキット
本発明はまた、構造的に安定なコンジュゲート分子、及び限定されないが、約6.0〜約9.0の範囲の組成物のpHを維持することができる成分;アミノ酸、糖質、界面活性剤、及び/又は他の医薬として許容される担体を含む本明細書中に記載される1以上の追加の成分を含む組成物を含むキットを提供する。キットは、このような組成物を含有する製造品を含んでもよく、ここで、組成物は液体であるか又は凍結乾燥した形態であってもよい。いくつかの例では、製造品は、コンジュゲート分子を含む組成物を含み、ここで、組成物は、約2℃と約8℃との間の温度で非凝集形態である約70%超、約80%超、約90%超、約95%超又は約97%超のコンジュゲート分子を含む。いくつかの例では、製造品は、アレルゲンを含む組成物を含み、キットは、前記組成物を含む少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5又は少なくとも6個の製造品を含んでもよい。いくつかの例では、アレルゲンは、Amb a1である。いくつかの例では、凝集は、RALSによって測定される。他の例では、製造品は、コンジュゲート分子を含む液体組成物を含み、そして、他の例では、コンジュゲート分子を含む凍結乾燥した組成物を含む。更に他の例では、製造品は、コンジュゲートパートナーを含む再構成した液体組成物(即ち、凍結乾燥した組成物から再構成される)を含む。本発明のキットは、場合により、それらの使用のための使用説明書(例えば、本明細書中に記載される方法のいずれかのための使用説明書)、及び/又は任意の他の適した成分を含んでもよい。
【0131】
コンジュゲート分子を含む組成物を使用及び作製するための方法
本発明はまた、構造的に安定なコンジュゲート分子を含む組成物を作製及び使用する方法を含む。本明細書に記載される構造的に安定なコンジュゲート分子を含む組成物は、(例えば、感染症、癌、及び/又はアレルギーとの関連で)免疫調節を必要としている個体への投与に本質的に有用である。したがって、本発明は、構造的に安定なコンジュゲート分子を含む医薬組成物を提供する。方法は、一般的に、個体において免疫応答を調節するのに十分な量で個体に本明細書中に記載される構造的に安定なコンジュゲート分子又はコンジュゲート分子集団を含む組成物を投与することを含む。いくつかの例では、免疫応答を調節する方法は、免疫応答の所望の調節が達成されるように、コンジュゲート分子を含む組成物を投与することを含む。免疫応答の評価は、上述した。いくつかの例では、キットは、約0.1μg〜約200μgの範囲の構造的に安定なAICを含む組成物を含む製造品を含む。他の例では、組成物は、少なくとも約10μg、20μg、30μg、40μg、50μg、60μg、70μg、80μg、90μg又は100μgであって、最大約110μg、120μg、130μg、140μg、150μg、160μg、170μg、180μg、190μg又は200μgの範囲のAICを含む。いくつかの例では、組成物は、約30μgと約60μgとの間の範囲のAICを含む。
【0132】
構造的に安定なコンジュゲート分子を含む組成物を個体に投与する工程を含む個体における免疫応答を調節するための方法が、本明細書中に提供される。いくつかの例では、コンジュゲート分子は、アレルゲンを含み、そして、他の例では、コンジュゲート分子はAmb a1を含む。更なる他の例では、コンジュゲート分子はAICである。いくつかの例では、組成物は、AIC、及び約6.0〜約9.0の範囲で組成物のpHを維持することができる成分を含み、そして、さらに、AICが組成物中で構造的に安定である限り、いずれか1又はそれより多くの下記:1)アミノ酸;2)糖質;3)界面活性剤、又は4)他の医薬として担体を含有してもよい。
【0133】
いくつかの例では、本発明は、免疫応答を調節するのに十分な量でコンジュゲート分子のいずれか又は本明細書中に記載されるコンジュゲート分子集団を個体に投与することを含む、個体における免疫応答を調節するための方法を提供する。一般的に、個体は、例えば、疾患状態又は疾患状態を発症する危険性のために、このような調節をを必要とするか又は必要となるであろう。疾患状態の例は、限定されないが、アレルギー、癌、感染症(例えば、ウイルス又は細菌感染)が含まれる。いくつかの例では、疾患状態は、アレルギーである。
【0134】
いくつかの例では、免疫調節は、ある(即ち、1又はそれより多くの)Th1−関連サイトカイン、例えば、インターフェロンγを刺激することを含む。いくつかの例では、免疫調節は、ある(即ち、1又はそれより多くの)Th2−関連サイトカイン、例えば、IL−4及び/又はIL−5の産生を抑制することを含む。これらのパラメータを測定することは、当該技術分野において標準的な方法及び上記で検討した方法を使用する。
【0135】
いくつかの例では、1(又はそれより多く)のTh1−関連サイトカインは産生され、一方、抗原特異的抗体産生は抑制される。これらのパラメータを測定することは、当該技術分野において標準的な方法及び上記で検討した方法を使用する。
【0136】
一例では、免疫調節は、1(又はそれより多く)のTh1−関連サイトカイン、例えば、インターフェロンγを刺激し、そして、抗原特異的抗体の産生を抑制することを含む。Th1−関連抗体産生、及びTh1−及びTh2−関連抗体産生の組合せを含む、種々のコンジュゲート分子集団に対する抗原特異的抗体産生の抑制の程度は、上述され、そしてこれらの方法に適用される。
【0137】
いくつかの例では、免疫調節は、ヒスタミン放出の抑制を含む。種々のコンジュゲート分子集団に対するヒスタミン放出の抑制の程度は、上述され、そしてこれらの方法に適用される。
【0138】
いくつかの例では、Th1−関連サイトカインの産生を刺激しながら、個体における抗体形成、好ましくは抗原特異的抗体形成を抑制する方法は、HクラスのISS−抗原コンジュゲート分子集団を含む組成物を個体に投与することを含み、それによって、抗体形成が抑制され、一方、Th1−関連サイトカインが刺激される。これらのパラメータを測定することは、当該技術分野において標準的な方法及び上記で検討した方法を使用する。
【0139】
いくつかの例では、本発明は、構造的に安定なコンジュゲート分子、又は本明細書中に記載されるコンジュゲート分子集団を含む組成物のいずれかを投与することを含む、個体におけるアレルギー状態を治療する方法を提供し、その中で抗原は、一般的に、抗原に対する免疫応答を調節することによって、アレルギー状態を改善又は緩和するのに十分な量のアレルゲンである。緩和は、例えば、アレルギーと関連した1以上の症状の軽減によって測定され得る。
【0140】
本発明はまた、抗原、特にアレルゲンのアレルゲン性を軽減する方法を提供し、アレルゲン性を低減させるために、本明細書中に記載される構造的に安定なコンジュゲート分子を含む組成物を必要としている患者に投与することを含む。いくつかの例では、コンジュゲート分子は、AICである。
【0141】
一般的に、特定用途に有用な構造的に安定なコンジュゲート分子を含む組成物の投与経路(又は複数)は、当業者に明確である。投与経路は、限定されないが、血管内、動脈内又は静脈内;皮下;腹腔内;臓器内(intraorganal);筋内;経口;経粘膜的;表皮性;非経口;そして胃腸等を含む。インビトロ又はエクスビボ投与に関して、化合物は、細胞及び/又は臓器に、1回のボーラスとして、反復投与によって、連続注入によって等で提供されてもよい。
【0142】
投与に関して、組成物は、好都合には単位投与形態で提供されてもよく、そして、製剤の技術分野において周知な任意の方法によって提供されてもよい。このような方法は、コンジュゲート分子又はコンジュゲート分子集団を本明細書に記載した成分と接触させる工程を含む。いずれかの適用のためにコンジュゲート分子の最適濃度を決定するために、慣用的な技術を使用してもよい。コンジュゲート分子が組成物中で引き続き構造的に安定である限り、組成物は、対象とする受容者の血液と等張な組成物を与える静菌薬及び溶質を含有してもよい水性及び非水性の等張無菌注射液を含んでもよい。構造的に安定なコンジュゲート分子を含む組成物は、エアロゾルとして提供される場合、当該技術分野において既知の高圧ガスは、液体組成物に添加されてもよい。
【0143】
上述した組成物、及び投与方法は、限定されないが、本発明の方法及び組成物を表すとを意味する。種々の組成物及び装置を提供する方法は、当業者の能力の範囲内であって、本明細書中には詳述しない。
【0144】
本発明はまた、本明細書に記載される技術及び/又は工程のいずれかを含む構造的に安定なコンジュゲート分子を含む組成物を作製するための方法を提供する。したがって、コンジュゲート分子を約6.0〜約9.0の範囲のpHを維持することができる成分と合わせることを含む、構造的に安定なコンジュゲート分子を含む組成物を製造するための方法が本明細書中に提供される。このような成分は本明細書に記載される。いくつかの例では、構造的に安定なコンジュゲート分子を含む組成物を製造する方法は、コンジュゲート分子が依然として構造的に安定である限り、いずれか1つ又はそれより多くの1)本明細書に記載されるアミノ酸;2)本明細書に記載される糖質;3)界面活性剤;及び4)医薬として許容される担体を任意の順序でコンジュゲート分子を組み合わせる工程をさらに含む。本発明はまた、構造的に安定なコンジュゲート分子を含む液体組成物を凍結乾燥させる工程を含む凍結乾燥した組成物を製造する方法を提供する。本発明はまた、凍結乾燥した組成物を再構成することを含む再構成された組成物を製造する方法を提供する。
【0145】
下記の実施例は、限定されないが、本発明を説明するように提供される。本明細書に記載されたものに加えて、本発明の種々の変更は、前記説明及び添付の図面から当業者に明確となるであろう。このような変更は、添付した請求の範囲内であることが意図される。
【実施例】
【0146】
実施例
実施例1.AIC−L、AIC−M又はAIC−Hの製造
Amb a1−ISSオリゴヌクレオチド・コンジュゲート(AIC)は、精製した短いブタクサ抗原Amb a1をホスホロチオエート免疫賦活化(ISS)オリゴヌクレオチドに共有結合的に連結させることによって製造されるタンパク質−オリゴヌクレオチドコンジュゲートである。Amb a1は、抽出及び硫酸アンモニウム沈殿によって2〜8℃で花粉から単離される。粗抽出物は、2種のクロマトグラフィー工程を介して周囲温度で行われる。Amb a1は、DEAD Sepharose Fast Flow陰イオン交換クロマトグラフィー、続くButyl Sepharose Fast Flow疎水性相互作用クロマトグラフィーによって精製される。
【0147】
架橋は、ヘテロ二官能性リンカー、スルホスクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(sSMCC)を介する。sSMCCは、ISSオリゴヌクレオチドとAmb a1との間に安定なアミド及びチオエーテル結合を形成する。AICは、1モルのAmb a1当り平均約4.0モルのISSオリゴヌクレオチドを有し、約65kDaの平均分子量を有する。Amb a1抗原(約37,800Daの分子量)は、標準的な化学的及びクロマトグラフィー技術を用いて脱脂した短いブタクサ花粉(Ambrosia artemisiifolia)から精製した。精製後、遊離のAmb a1スルフィドリルは、N−エチルマレイミド(NEM)を用いてブロックされる。次に、ブロックされたタンパク質は、s−SMCCで活性化される。pH7.2で、Amb a1アミノ基は、sSMCCのスクシンイミジルエステルと排他的に反応し、安定なアミド結合を形成し、マレイミド活性化Amb a1を生じる。Amb a1活性化反応と一致して、5’ジスルフィドISSオリゴヌクレオチドは、トリス−(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)で還元され、5’チオISSオリゴヌクレオチドを生じる。活性化されたAmb a1マレイミド基は、5’チオISSオリゴヌクレオチドのスルフィドリルと反応し、安定なチオエーテル結合を形成し、Amb a1をISSに共有的に連結させてAICを生じる。AICは、Superdex HR200ゲルろ過クロマトグラフィーによって精製される。5’ジスルフィドISSオリゴヌクレオチドは、免疫賦活化六量体モチーフ5’−AACGTTを含有し、配列5’−ジスルフィド−TGACTGTGAACGTTCGAGATGA−3’を有する。理論上の分子量は、約7500Daである。
【0148】
AIC−L、AIC−M、及びAIC−Hは、アレルゲンAmb a1及びISS含有ポリヌクレオチド5’−TGACTGTGAACGTTCGAGATGA−3’(配列番号1)の共有的コンジュゲート分子である。3つのクラス全てのコンジュゲート分子は、同じISS含有ポリヌクレオチドから製造され、同じヘテロ二官能性リンカーを使用する。Amb a1に結合したオリゴヌクレオチドの量は、コンジュゲート分子の大きさ又は分子量の測定によって決定され得る。AIC−Lは、Amb a1分子当り平均2〜3個のオリゴヌクレオチドを含有し、AIC−Mは、平均3.5〜4.5個を含有し、そして、AIC−Hは、平均>5.5個を含有する。これらの3つのクラスのAICは、記載されるように異なった生物学的特性を有する。
【0149】
5’チオISSオリゴヌクレオチドの製造及び単離
5’ジスルフィドISSオリゴヌクレオチドは、自動化シンセサイザーを用いて、調節された孔質ガラス支持体(CPG)上でホスホロチオエートとして合成した。必要とされる配列は、脱トリチル化、カップリング、酸化、及びキャッピングの標準的なβ−シアノエチルホスホロアミダイト‘DMTオフ’アプローチを用いて作製される。HSPプロセスは、HSPによって放出されるバルクな製剤として、凍結乾燥した5’−ジスルフィドISSオリゴヌクレオチドを生成する。
【0150】
トリスカルボキシエチルホスフィン(TCEP)は、周囲温度に到達するようにし、10mM NaPO4/141mM NaCl/pH7.2に溶解した。5’ジスルフィドISSオリゴヌクレオチドは、周囲温度になるようにし、同じ緩衝液に溶解させ、そして、2時間40℃でTCEP溶液で処理した。この材料は、単離工程に直接進めた。
【0151】
2種のプレパック脱塩カラムを順番に連結し、10mM NaPO4/141mM NaCl/pH 7.2緩衝液で平衡化した。5’ジスルフィドISSオリゴヌクレオチド還元混合物をカラム上に装填し、そして5’チオオリゴヌクレオチドを等張的に溶離した。
【0152】
マレイミド活性化Amb a1の製造及び単離
N−エチルマレイミド(NEM)は、周囲温度に達するようにし、そして、ジメチルスルホキシド(DMSO)中で撹拌しながら溶解した。Amb a1は、2時間20℃でNEM溶液で解凍し、処置した。スルホスクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(sSMCC)は周囲温度に達するようにし、そして、DMSOに溶解させた。NEMをブロックしたAmb a1は、2.5時間20℃でsSMCC溶液で処理した。この材料は、単離工程に直接進行した。2種のプレパック脱塩カラムを順番に連結し、10mM NaPO4/141mM NaCl/pH7.2緩衝液で平衡化した。Amb a1活性化混合物をカラム上に装填し、そしてマレイミド活性化Amb a1は等張的に溶離した。
【0153】
AIC−L、AIC−M又はAIC−Hの製造及び単離
粗製AIC−Lコンジュゲート分子は、4モル当量の5’チオISSオリゴヌクレオチドと1モル当量のマレイミド活性化Amb a1の混合物を3時間20℃でインキュベートすることによって製造した。粗製AIC−M及びAIC−Hは、同様の方法であるが、それぞれ7及び17モル当量の5’チオISSのオリゴヌクレオチドの添加によって製造した。プレパックのゲルろ過カラムは、10mM NaPO4/141mM NaCl/pH7.2の緩衝液を用いて平衡化し、粗製AIC−L、AIC−M又はAIC−Hをカラム上に装填した。AICは、10mM NaPO4/141mM NaCl/pH7.2の緩衝液で等張的に溶離した。
【0154】
実施例2:AICを含む組成物の安定性プロフィーリング分析
実施例は、pH、温度、時間及び組成物条件、例えば、イオン強度及び界面活性剤の存在の関数として、組成物内のコンジュゲート分子AIC(Amb a1当り3〜5個のISSの比)で可能な構造的変化を測定するように設計した。試験は、約2℃と約8℃との間の温度(リアルタイム安定性)、及び昇温(加速した安定性)で行った。実験は、<−60℃で凍結して保存した10mMのリン酸ナトリウム、141mMの塩化ナトリウム、pH7.2(PBS)を含有する組成物中のAICの構造的安定性を、2〜8℃で液体で保存した20mMのヒスチジン、50mMのグリシン、210mMのスクロース、pH7.5(HGS)を含有する組成物中のAICの構造的安定性と比較するように設計された。PBS及びHGS含有組成物は、全放出試験を用いて分析され、そして、インビトロでのヒスタミン放出試験を用いて追加の特徴付けがなされた。少なくとも6ヶ月のリアルタイム安定性は、HGS調合において2〜8℃で保存されたAICに関して実証された。PBS中のAICについては、AICは、10mMのリン酸ナトリウム、141mMの塩化ナトリウム、pH7.2(PBS)組成物にAICを希釈し、その後、ろ過滅菌して調製し、<−60℃で凍結して保存した。PBS中のAICに関するリアルタイム安定性試験は、<−60℃で保存した場合、少なくとも24ヶ月示された。<−60℃の保存温度が選択されたのは、AIC製剤がPBS中の2〜8℃で液体で保存された場合に経時的に凝集されることを加速された安定性試験が示したためである。この凝集は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法によって評価される12ヶ月でのAICモノマー含有量での約30%減少に帰着した。最大33%の凝集体は、マウスIgG2a抗体(本明細書中に記載される)の発生によって決定した有効性において減少にはならなかった。<−60℃及び2〜8℃の両方で保存したPBS中のAICを特徴付けるためのSEC法を用いた結果を下記の表2及び3に示される。
【0155】
表2
<−60℃及び2〜8℃での10mMのリン酸ナトリウム、141mMの塩化ナトリウム、pH7.2中のAIC30μg/mlの安定性
【0156】
【表6】

【0157】
表3
<−60℃及び2〜8℃での10mMのリン酸ナトリウム、141mMの塩化ナトリウム、pH7.2中のAIC60μg/mlの安定性
【0158】
【表7】

【0159】
AICを含む液体組成物に関する安定性プロフィール分析は、負に帯電した成分が予測された立体構造変化及び凝集に帰着するAICを不安定化することを示した。PBS調合のリン酸ナトリウム及び塩化ナトリウムの両方は、AICの凝集に寄与した。追加の安定性プロフィーリング分析は、2〜8℃で液体として構造的に安定である20mMのヒスチジン、50mMのグリシン、210mMのスクロース、pH7.5(HGS)を含有するAIC組成物の開発に帰着した。HGS中のAICに関する加速した試験は、PBS組成物中のAICと比較した場合、20〜22℃でAICモノマーの最小限の喪失を示した。<−60℃及び2〜8℃の両方で保存したAICについてのSEC法を用いた結果を下記の表4及び5に示す。
【0160】
表4
20〜22℃及び2〜8℃での20mMのヒスチジン、50mMのグリシン、210mMのスクロース、pH7.5でのAIC30μg/mlの安定性
【0161】
【表8】

【0162】
表5
20〜22℃及び2〜8℃での10mMのリン酸ナトリウム、141mMの塩化ナトリウム、pH7.2でのAIC30μg/mlの安定性
【0163】
【表9】

【0164】
2〜8℃でのHGSにおけるAICのリアルタイム安定性試験は、有意な凝集体形成なしに少なくとも2ヶ月の安定性を示した。2〜8℃で保存し、23〜27℃で加速したAICに関するSEC法を用いた結果を下記の表6及び7に示す。
【0165】
表6
23〜27℃及び2〜8℃での20mMのヒスチジン、50mMのグリシン、210mMのスクロース、pH7.5におけるAIC30μg/mlの安定性
【0166】
【表10】

【0167】
表7
23〜27℃及び2〜8℃での20mMのヒスチジン、50mMのグリシン、210mMのスクロース、pH7.5におけるAIC60μg/mlの安定性
【0168】
【表11】

【0169】
実施例3:PBS又はHGS中のAICの安定性:マウスIgG2a安定性
マウスIgG2a活性
AICの生物学的活性は、BALB/cマウスにおけるAmb a1特異的IgG2a応答を生じる能力によって測定した。Jackson Labsからの12週齢の雌性BALB/cマウスは、2週間の間隔を置いて1μg投与量のAIC(10匹のマウス/群)を用いて尾に2度、皮内に免疫した。Amb a1特異的IgG2a力価は、2週間後に2回目の免疫をして回収した血清からELISAによって測定した。Nunc Maxisorp 96ウェルプレートは、リン酸緩衝液中の1μg/ml Amb a1を用いて一晩4℃で被覆し、洗浄し、そしてブロックした。希釈した血清をプレートに装填し、4℃で一晩インキュベートした。Amb a1 IgG2a抗体は、ビオチン化ヤギ抗マウスIgG2aコンジュゲート分子を用いて検出した。ストレプトアビジン−HRPコンジュゲート分子で処置後、プレートを3,3’,5,5’テトラメチルベンジジンで発色させた。ELISAプレートリーダーでA450を測定した。A450が0.5として提供される希釈した血清の逆数として力価を計算した。10mMのリン酸ナトリウム、141mMのNaCl、pH7.2中のAIC30μg/mlに関するIgG2a活性(力価)は、112,356であり、そして、20mMのヒスチジン、50mMのグリシン、210mMのスクロース(HGS)、pH7.5中のAIC30μg/mlに関するIgG2a活性(力価)は、69,705であった。10mMのリン酸ナトリウム、141mMのNaCl、pH7.2中のAIC60μg/mlに関するIgG2a活性(力価)は、64,422であり、そして、HGS中のAIC60μg/mlに関するIgG2a活性(力価)は、58,057であった。
【0170】
実施例4:PBS又はHGS中のAICのアレルゲン性:ヒスタミン放出
実施例3に記載したAICで実行した試験に加えて、HGS及びPBS中におけるAICのインビトロでの特徴付けを行った。具体的には、これらの組成物のアレルゲン性は、インビトロでのヒスタミン放出アッセイを用いて試験した。PBS及びHGSにおけるAICのアレルゲン性は、インビトロでのヒスタミン放出アッセイを用いたAmb a1に匹敵した。このアッセイでは、白血球は、ブタクサにアレルギーである患者の血液から調製した。これらの細胞は、0.0001〜1.0μg/mlの範囲のAmb a1又はAICの濃度で45分間インキュベートした。次に、遠心によって細胞をペレットにし、上清は自動化蛍光定量法によってヒスタミン含有量について分析した。100%のヒスタミン放出は、2%のHCIO4を用いて細胞を溶菌することによって測定される。結果を表8に示す。結果は、ヒト細胞から40%のヒスタミン放出を誘導するのに必要とされる試料の濃度(Amb a1又はAIC、μg/ml)として定義されるHR40に関して表現される。結果は、両組成物中のAICが、Amb a1より59から46倍高い2つの組成物に関するHR40値でヒスタミン放出を誘導する能力を比較的減少した(59〜46倍多いAICがヒスタミン放出を誘導するのに必要とされる)ことを示す。両組成物は、コンジュゲートしていないAmb a1より非常に少ないアレルゲン誘発性である。
【0171】
表8
Amb a1及びAICによって誘導されるヒト白血球からのヒスタミン放出(HR40a
【0172】
【表12】

aHR40−40%のヒスタミン放出を誘導するのに必要とされるAmb a1又はAICの濃度
【0173】
実施例5:PBS及びHGS中のAICの安定性試験
本発明者らは、コンジュゲート分子の構造的安定性が温度、塩及びpH条件に依存することを発見した。本発明者らは、抗原を含むコンジュゲート分子が、リン酸ナトリウム及び塩化ナトリウムを含む組成物中で2〜8℃の液体で保存される場合に凝集されることを見出した。理論にとらわれずに、コンジュゲート分子の負電荷により、ISSの存在の理由で、負に帯電していない成分又は中性電荷若しくは非極性成分を有する組成物は、組成物に存在するコンジュゲート分子の構造的安定性を維持することが所望されると信じられる。種々の組成物中にアレルゲンAmb a1を含むコンジュゲート分子の構造的安定性は、本明細書中に記載されるようにIF、EF RALS、HPLC−SEC、SDS PAGEを用いて特徴付けられた。
【0174】
材料及び方法
IF、EF及びRALS法
内部蛍光(IF)は、応力誘導の立体構造変化から生じるトリプトファン環境における可能な変化を測定する。応力関連の構造的変化の効果は、非常に僅かであり得て、そして、トリプトファン(Trp)及び/又はチロシン(Tyr)及びフェニルアラニン(Phe)の内部蛍光(IF)における可能な変化を調べることによって検出されるが、コンジュゲート分子のほとんどにおいて、極性感受性Trp蛍光は、全ての内部フルオロフォアを支配する。この極性に依存した蛍光感受性は、分子が応力環境変化に供される場合に立体構造における変化を監視するために使用することができる。環境的感受性残基は、溶媒接近性、pH、及び隣接する側鎖の近接性等に影響を受け易い。つまり、純粋なトリプトファンは、極性環境中で355nm、及び非極性環境中で305nmの発光極大を有する。したがって、強度(高/低)の比は、外部刺激に対するアルフォールディング/構造的応答についての情報を得ることができる。さらに、比を用いることによって、AIC濃度における相違、及び装置の変化によって引き起こされる不正確さが排除される。IFにおいて、比が高くなればなるほど、分子はよりアンフォールドする(Trp残基はより多くの極性環境に晒される)。
【0175】
外部蛍光(EF)は、外部の、非共有的な、極性感受性蛍光プローブ、例えば、ANS(8−アニリノ−ナフタレンスルホン酸)を利用して、疎水性ドメインのコンジュゲート分子の見掛けの曝露を探索し、種々の環境応力及び条件の関数としてこのパラメータにおいて可能な変化を監視する。コンジュゲート分子の疎水性ドメインに対するアフィニティーを有する蛍光プローブは、内部蛍光を補足することができる。AIC又は種々の溶液応力によって誘導される他のコンジュゲート分子における変化は、このようなプローブが結合する疎水性ドメインにおける変化に帰着し、順番に、非共有的に結合したプローブ蛍光のスペクトル特性に影響を与えることができる。つまり、AIC又は他のコンジュゲート分子中の疎水的な裂け目へのANSの結合は、pH、イオン強度、極性、凝集等における変化によって影響され得る。AICが存在しない場合のANS蛍光は、pH及び温度と無関係である。ANSは、極性環境中で520nm、そして非極性環境中で490nmの発光極大を有する。したがって、520nmと490nmの蛍光発光の比(520/490)は、AIC又は試験した他のコンジュゲート分子における疎水性ドメインの見掛けの曝露を示し、より低い比はプローブに対して疎水的な裂け目の利用可能性を増加することを示し、したがって、より多くの分子がフォールドしないことを示す。
【0176】
直角光散乱(RALS)は、他の視覚的に透明な製剤における応力を与えたコンジュゲート分子の会合挙動における僅かな変化を検出及び監視するために採用することができる。コンジュゲート分子における立体構造変化は、極性水をできる限り排除するために分子間の会合に帰着し得る。この会合挙動は僅かであり得て、あるいは可溶性及び不溶性凝集体又は可視的な沈殿でさえ容易に検出することができる。RALSは、不溶性凝集体に転移する他の可溶性分子における巨視的変化を監視する。0〜10のスケール(最小と最大強度の装置スケール)に関して、10は、他の視覚的に透明な製剤における自己凝集を示唆し得る。
【0177】
熱応力
AIC試料は、循環するプログラム可能な水浴を用いて、2℃/分で20〜90℃で加熱した。1分間隔で、試料温度及びEF又はRALSの何れか及びIFデータを記録し、異なった応力温度での可能な立体構造変化を測定した。
【0178】
せん断応力
AIC試料は、三角形のスターラーバーを用いて円錐形のガラスバイアル中に迅速に撹拌した(300rpm、キャビテーションを避ける)。所定の時間間隔で、溶液の透明度に注意し、アリコートを取り出し、RALSによって凝集を評価し、そして、SECによって回収及び凝集体量を評価した。
【0179】
pHプロフィール
大部分のコンジュゲートの構造的安定性は、pHによって影響される。AICは、RALS、IF、及びEFを用いてpHを変化しながら可能なpH誘導の立体構造変化に関して探索された。これは、容易なpH変化を可能にする基本緩衝液(後述)にAICを透析し、次に、RALSを観察中にHCl及びNaOHを用いて滴定することによって行った。さらに、生産物の安定性は、pH条件の範囲を用いて、IF及びRALS又はEFを用いて試験した。
【0180】
実験手順
全ての実験について、RALS及びIFデータの両方は、蛍光光度計において同時に記録した。外部プローブの介在により、EF測定は、別々の実験で記録した。
【0181】
モノクロメータセッティングの決定
30pg/mLのAIC溶液は、10mMのリン酸ナトリウム、141.7mMのNaCl、pH7.2(PBS)で調製した。吸高度スキャンは、UV分光光度計を用いてこの試料において行った。最大の吸高度の波長は、258nmであることが分かった。次に、試料は、励起及び発光スキャンを用いて試験した。AICは258run(つまり、258nm)で最大吸収を提示したが、IF励起は、Trpの励起がPhe及びTyrの励起と重なるため、295nmで選択した。したがって、IF励起波長は、10nm上の最大を選択した。発光波長の比は、立体構造における変化を評価するために使用される。295nmの発光波長は、発光スキャンに基づいて選択され、最大半分の発光値を得る波長が選択された。AICについては、これらの波長は、323nm及び363nmであった。
【0182】
RALS及びEFは、波長決定を必要としない。しかしながら、RALSは、電圧決定を必要とし、使用される電圧は、AIC濃度に従って変化する。RALSは、320nmで励起及び発光波長をセットすることによって最もよく監視される。外部プローブANSは、380nmで励起され、そして発光は、490nmと520nmで観察される。ANSは、極性環境では520nm、そして非極性環境では490nmの発光最大を有する。したがって、520nmと490nmでの蛍光発光比(520/490)は、試験したAIC上の疎水性ドメインの見掛け上の曝露を示し、より低い比は、プローブに対して疎水的な裂け目の利用可能性を増加することを示す。
【0183】
外部蛍光測定に関して、ANS(8−アニリノ−ナフタレンスルホン酸)は、外部プローブとして試料に添加される。AIC立体構造の変化を追随するために必要とされるANS量を決定するために、ANSは、現在の製剤における400pL試料の薬物(30μg/mL)に滴定された。この滴定中の蛍光強度を監視することによって、10mMストックの7ALを400gLの30pg/mL試料に添加することによって得られた0.175mMのANSについての最終濃度は、最も試験に適するように決定した。
【0184】
グアニジン滴定は、立体構造変化に応じてTrp環境中での変化に起因する最大限の可能なIF強度変化を測定するために使用された。0M〜6Mの範囲のグアニジンを含有する試料を調製し(室温で30分間インキュベートする)、そして、蛍光発光スキャンを行った。スキャンは、295nmの励起を用いて観察した。3つの比は、最大の発光波長(343)、及びそのピークから+20nm及び−20nmで発光波長を用いて観察した。
【0185】
これらのスキャンは、AICが5Mを超えるグアニジン濃度で変性され、そして、存在するTrp残基が立体構造変化に応じてより高い波長で同時に蛍光を発光した。323/363比はグアニジン滴定を超えて最大の比の範囲を与えたので、この比は、全ての試験について選択された。
【0186】
AICのせん断感受性を調査するために、予備試験が30μg/mL AICの425μLを用いて実行された。PBS緩衝液中のこれらの試料は、350rpmで回転した三角形のスターラーバーを用いて円錐形のガラスバイアル(1時間点当り1バイアル)で迅速に(キャビテーションなし)混合した。所定の時間間隔(0、0.5、1、2、3、4、8、及び24時間)で、各条件からの1バイアルがマグネティックスターラーから取り出された。全ての試料は、試験が完了するまで室温に放置した。次に、溶液の透明度を観察して、凝集をRALSによって評価し、そして、回収及び分解をHPLCによって評価した。
【0187】
AICは、適度なせん断応力感受性であるように見える。RALSは、3時間で実質的に増加し、その後、RALSにおいて更なる増加は観察されなかった。つまり、この試験で使用した濃度で、短い期間のせん断は、最小の効果を有するか又は効果がないはずである。より高い濃度で、この感受性は、実質的な課題になり得ることに留意されたい。
【0188】
回収が矛盾しているけれども、%非凝集は、せん断応力試験を介して妥当であるが一定の減退(つまり、増加した%凝集体)を示した。
【0189】
PBS中の緩慢な凍結融解
PBS中のAICを特徴付けるために、繰り返しの凍結融解サイクルに対する分子の感受性を測定した。このデータはまた、試料が追加の分析前にどのように保存されるべきかを決定するために使用した。試料は、PBS中460μg/mLで−80℃で保存した。5個のエッペンドルフチューブは、PBS中、30μg/mLで1mL試料を用いて調製し、対照として凍結していない1つの200μLの試料を調製した。全ての試料は、フリーザー中のボックスに試料を置くことによって、全ての試料を−80℃でゆっくり凍結した。凍結が完了後、全ての5個の1mLのアリコートは、ベンチトップ(室温)上で融解した。次に、1つのアリコートは、IF及びRALS(同時に試験される)及びEF(全800μL)によって分析し、一方、残りの4個は、−80℃で少なくとも2時間、再凍結した。分析した200μLの残りの試料は、ラベルし、HPLCによる将来の分析のために再凍結した。この手順は、5回の凍結融解サイクルが完了するまで繰り返され、試験された。RALSの可変性は、1回目の凍結融解した試料で観察され、連続的な全ての実験における分析の直前に脱気工程を含むようにRALS法を変更する原因となった。
【0190】
RALSデータは、PBS(10mMのリン酸ナトリウム、141.7mMのNaCl、pH7.2)中のAICが、温度上昇に応じて凝集せず沈殿しないことを示す。凍結融解の繰り返しサイクルは、温度勾配に対する分子応答を変化するようには見えず、それは、試料が加熱された場合、RALSにおいて増加がなかったためである。
【0191】
それ自身による凍結及び融解の過程は、AICの凝集を変化してもよい。つまり、RALS値は分析された。
融解後すぐに各試料の初期RALSを調べることは、凍結融解に応答してAICのいくつかの凝集が存在することを示す。1回サイクルの凍結融解は、RALSを増加するのに十分である。最大増加は、3回の凍結融解後に発生した。
【0192】
IFは、Trp蛍光を測定する。Trpは極性環境では355nm、そして、非極性環境では305nmの蛍光最大を有するので、比がより低くなれば、Trp残基はより極性のある環境に晒され、そして、分子はアンフォールドする。AICにおける凍結融解の効果は、IFによって測定される。
【0193】
IF比は、温度が上昇した場合に初期に減少し、これは、温度の関数として関連した立体構造変化を示唆し、Trp残基の緩衝液への曝露を増加する原因となる。約55℃で、分子は、実質的な立体構造変化を被り、IF比の増加によって示唆される。この立体構造変化は、視覚的には蛍光光度計のキュベットで又はRALS測定のいずれかで検出可能な凝集によって達成されない。
【0194】
FTIとIFによって調べた他の試料との間の最大の相違以外で、繰り返しの凍結融解応答は、AICに影響しない。これらのデータは、RALSによって得たデータを支持する。
【0195】
外部の非共有的な極性感受性の蛍光プローブであるANSは、極性環境では520nm、そして、非極性環境では490nmの発光最大を有する。したがって、520/490比は、試験したAIC溶液の見掛け上の疎水性を示す。より高い比は、分子がより疎水性であることを示し、そして、より低い比は、分子がANS結合に関して疎水的ドメインを晒していることを示す。
【0196】
EF比は、最大約40℃まで増加するので、分子は、より少ない疎水的ドメインを晒す原因となる連続的な立体構造変化を被る。−40℃、−60℃及び−85℃でのシフトは、それらの温度でのAICの立体構造変化を反映する。
【0197】
蛍光光度計の実験後に−80℃で保存した凍結融解試料を溶解し、SEC−HPLCカラム上に注入した。
HPLCの結果は、繰り返しの凍結融解に応答して幾分僅かな分解を示唆した。
【0198】
緩慢な凍結融解試験の結論
分子がEFによってより疎水的な残基を漏出し始める温度(Tm 約40℃)は、Trp残基がそのIFプロフィールによって示されるより極性のある環境を体験し始める温度(Tm 約50℃)よりも僅かに低い。つまり、これら2つの方法は、互いに支持し、そして、AICが40℃と50℃との間でアンフォールドし始めることを示唆する。
【0199】
AICが上昇した温度の結果として体験した立体構造変化は、幾分凝集の原因となる。3つ全てのアッセイは、異なった凍結融解試料の中で同様のプロフィールを提示し、AICが繰り返しの緩慢な凍結融解に相対的に安定であることを示唆する。
【0200】
AICにおける遊離のスルフィドリル含有量の試験:PyMalアッセイ
DMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解したPyMal[N−(1−ピレン)マレイミド]は、分子中の遊離の−SH基の可能な存在を検出するために使用した外部の−SH特異的プローブである。PyMalは、遊離のスルフィドリル基と反応する場合、それは蛍光的となり、374nm及び394nmでの蛍光のピークを有する。20倍の過剰なモル数のPyMalを30μg/mlでAICの試料に添加し、試料を、分子をアンフォールドするために、6M グアニジン又は10% SDSのいずれかの存在下で30分間インキュベートした。データは、蛍光値から差し引かれた緩衝試料を有する。データは、ネガティブ状態で分子内で隠された遊離のスルチドリル基がないことを示唆し、これは、PyMal蛍光が、ネガティブなPBS及びSDSで前処理した試料を含む場合に同定されたためである。グアニジンは、PyMalとAICとの反応を抑制するように見える。PyMal蛍光は長時間増加するので、データはまた、分子が潜在的に凝集の原因となり得るネガティブな状態でされ露出した遊離のスルフィドリル基を潜在的に有することを示唆した。データは、遊離のスルフィドリルの定量可能な測定を提供しない。
【0201】
長時間AICに対するイオン強度及び温度の効果
異なったイオン強度は、時間及び温度の関数としてAICについて試験し、その後、pH試験した。一貫性を維持し、このような試験の間の比較を可能にするために、それらは、本明細書中では基本緩衝液(BB)と称する共通の緩衝系で行われる。BBは、緩衝液それ自体からの安定性影響を減少するために最小の緩衝液濃度を用いている間、容易なpH変化を促進するように設計された複数の緩衝系である。典型的には、10×強度溶液は下記のように調製される:
【0202】
【表13】

【0203】
種々のイオン強度でのBBにおけるAICの調製
使用に関して、10×BBは、1×(各緩衝液成分について2mMの最終濃度になる)に希釈し、所望の成分を添加し、そして、pHが要求されるように調整される。この明細書に提示されるイオン強度試験に関して、各BB緩衝液は、NaCl(0mM、10mM、100mM、500mM)の濃度を変化して調製され、そして、PBS組成物を適合するためにpH7.2に調整した。AIC(約300μg/条件)は、NaCl濃度を変えて、BBに対してSlide−A−Lyzer透析カセット中で透析した。透析緩衝液は、3回取り替え、2度目のインキュベーションは一晩行った。回収後、試料を希釈し、次に、UV分光光度計によって測定し、濃度を決定した。その後、試料をさらに希釈し、所望の最終濃度30μg/mlを得た。生物安全フード内で、試料は0.2gのPESフィルターを用いて15mLの滅菌チューブ中に滅菌され、次に、1.5mLの滅菌凍結用バイアル(ポリプロピレン、Corning、カタログNo.430659)中に分注した。これらの試料は、インキュベーター中の保存ボックスに設置され、翌朝まで4℃で保存された。安定性試験について、2つのセットの約1.1mLの試料を30℃に設置し、そして、1つを40℃に設置した。残った試料セットは、試料がEF、IF;RALSによって、そして、pH変化によって分析されるまで、4℃で保存した(下記を参照されたい)。
【0204】
【表14】

【0205】
上述したように調製したRALS試料によって監視された異なったイオン強度を有するろ過後のAIC製剤は、UV分光光度計によって試験し、最終濃度を確かめた。それらは、IF、RALS、及びEFによって温度勾配中に試験した。これらの試料由来のアリコートは、SEC−HPLCによる後の試験のために凍結した。
【0206】
500mM条件でのRALSにおける増加は、より高い温度で、高いイオン強度条件に設置された場合、分子が凝集体を形成することを示す。全ての他の条件は、このアッセイによって検出可能な凝集を提示しない。
【0207】
AICにおける不安定性を促進するために、提示されたイオン強度試料はまた、30℃及び40℃で7日(t7)インキュベートされ、そして、RALS、IF、及びEFによって分析された。これらの試料由来のアリコートは、SEC−HPLCによって後に試験するために凍結した。
【0208】
40℃での7日間のインキュベーションは、30℃のインキュベーションから得られた結果とほぼ同一であるように見える。唯一の相違は、40℃でインキュベートした試料中の100mM及び500mMのNaCl条件においてRALSにおける小さな増加である(図1)。これは、このより高い温度が、RALSを用いて試験したようなAIC挙動における僅かな相違を示すかもしれない。同様の結果は、14日間30℃でインキュベートした同じ製剤で観察された。図1に示されるように、500mMのNaClの製剤は、RALSによって決定される凝集における実質的な増加を提示した。
【0209】
IFによって監視される異なったイオン強度を有するAIC製剤
イオン強度のRALS試験において、試料は、RALS温度プロフィール中にIF変化について同時に試験した。
【0210】
低/高のIF発光の波長比が増加するので、トリプトファン(Trp)はより疎水的な環境で隔離されるようなより方で、分子は立体構造を変化している。より低い比は、Trp残基が極性環境にあり、比におけるこの変化が分子のアンフォールドと相関することを示す。
【0211】
温度が上昇するにつれて、AICは、全ての組成物について同じである約50℃のTmを用いて立体構造変化を提示する。しかしながら、500mMのNaCl試料は、最大の立体構造変化を提示し、その後、100mMの試料に続く。組成物は、141mMのNaClを含有し、IF比によって判断されるように、100mMの試料について観察されたものと同等な立体構造変化を提示する。これらのデータは、高いイオン強度がAIC分子の安定性に不利益であるかもしれないことを示唆する。
【0212】
AICの安定性は、t7試料を用いたIFによって試験した。
t7試料は、より低いイオン強度条件で、AIC分子が展開を示す立体構造変化を提示することを示す(グアニジン滴定に基づく)。全ての製剤は、温度上昇に伴って、同じ立体構造変化(IF比は同じTmで変化する)を提示するが、より低いイオン強度条件でのより低いIF比は、AICのTrp残基が極性環境に多く晒されることを示す。
【0213】
7日間40℃でインキュベートした試料は、30℃でインキュベートした試料で観察された上昇した温度での劇的な立体構造変化を提示しなかった。しかしながら、室温でのIF比は、30℃の試料と同様のパターンを追随した。500mMのNaCl製剤は、IFによって測定したような立体構造における実質的な変化を提示した。
【0214】
EFによって監視される異なったイオン強度を有するAIC製剤
イオン強度試料は、温度勾配の外部蛍光を用いて試験した。
7日間40℃でのインキュベーションの結果は、30℃のインキュベーションの結果と類似する。高いイオン強度組成物におけるEF比の減少は、AICが室温でこの条件でより多くの疎水性ドメインを露出するように構造変化することを示唆する。疎水性ドメインのこの増加した露出は、これらの疎水性ドメインが結合するにつれて凝集の増加へと導いてもよい。温度が上昇するにつれて、高いイオン強度の試料はより大きな立体構造変化を被る。これらのEFデータは、RALS及びIF実験からの結果を支持し、そして、高いイオン強度がAICに関して所望の条件ではないことを示唆する。
【0215】
SEC−HPLCによって試験した異なったイオン強度におけるAIC製剤
イオン強度蛍光光度計試験からの試料を凍結し、SEC−HPLCによる分析まで−80℃で保存した。
【0216】
温度を90℃まで勾配後、試料を冷却し、次にエッペンドルフチューブに移し、SEC−HPLCによる分析まで−80℃で保存した。未処理試料への追加のNaClはまた−80℃に保った。NaCl t0は、高い%非凝集を示した。
【0217】
7−30℃及びt14−30℃からの温度勾配の試料を試験した。
30℃対40℃で7日間インキュベートした試料において得られた結果において、500mM NaClの条件を除いて、実質的な差異はなかった。全体的に、%非凝集は、温度勾配に供しない試料においてより高く、そして、パーセント全回収(クロマトグラフィー由来のピーク領域によって測定される)は、温度勾配後、より低かった。
【0218】
30℃でさらに7日間(全14日)のAICのインキュベーションによって、全試料に対するパーセント回収(クロマトグラフィー由来のピーク領域によって測定される)における控え目な減少、並びに100mM及び500mMのNaCl条件に対する減少した%非凝集(即ち、増加した%凝集)に帰着した。0.1M NaClを含有するBBにおいて調合し、30℃で7日間インキュベートしたAICのクロマトグラムを215〜、260〜及び280nmについて図2A〜2Cに示す。これは、SEC−HPLCによって示されるようにAICの分解を示す。それは、分解産物の保持時間(7、10、11、13、15、16、18分)を示す。全てのアッセイは、より高いイオン強度の製剤において安定性がより小さいことを示す。
【0219】
BBにおけるAICに関するイオン強度の関数としてのpHの効果
pH滴定は、異なったイオン強度で実行した。pHが変化している間、AICの安定性を調べるために、異なったNaCl濃度でBBにおいて調製したAICを使用した。2.7mL(500mM NaClについては2.4mL)の試料調製物は、蛍光光度計のキュベットに設置し、そして、pHプローブを溶液中に入れる。これは、RALS及びIFデータを得ながら、リアルタイムのpH測定を容認した。次に、試料を5μLの1N HCl又はNaOH溶液で滴定し、約1ユニットのpH変化に帰着した。それぞれ添加後、pHを平衡にするために3分置いた。その後、pH、RALS、及びIF値を記録した。この全過程は、2時間のタイムコースに渡って行った。各条件について、試料のpHは、pH7.2からpH3、pH11まで調整し、そしてpH7.2に戻し(3→11)、あるいはpH7.2から11、3まで調整し、pH7.2まで戻した(11→3)。低いpHは、AICが低いイオン強度の条件下で可逆的に凝集する原因となる。
【0220】
pHを下げた場合、AICは、より疎水的な環境に晒されるTrp残基に帰着する可逆的な立体構造変化を受ける。0mMのNaClで、pH変化に起因するAICのRALS及びIFにおける変化は可逆的である。
【0221】
pHを500mM NaClの存在下で下げた場合、AICは、より疎水的な環境に晒されるTrp残基に帰着する不可逆的な立体構造変化を受ける。pHを初期に11まで上昇すると(始めは低くない)、この効果は、なお可逆的ではないにしても言明されるほどではない。
10mM及び100mMでのpH滴定は、高いNaCl濃度がAICに不利である場合に、NaCl濃度の効果を示す。
【0222】
AICへのイオン強度及びpH滴定の効果:SEC−HPLC分析
NaCl試料を4℃で保存した。1〜2週間後、これらの試料は、pH滴定実験で使用した。滴定後、試料を凍結し、SEC−HPLCによる分析まで−80℃で保存した。
【0223】
%非凝集は、高いNaCl濃度(500mM)で実質的に低減した(即ち、%凝集が増加した)。100mM NaCl試料は、pHを始めに11まで上昇させ、次に3まで下げた場合に、%非凝集において僅かな減少を提示した。pHを3、次に11に調整することは、100mM NaCl濃度に対して%非凝集を低減しなかった。
【0224】
モノマー回収は、HPLCへの注入前に解凍及び調製した対照試料と比較して計算した。モノマー回収は、500mM NaClで低減した。これらの500mM試料において、新しいピークが、この明細書で示されたいずれかの他のHPLCクロマトグラムにおいては大きくない約10分の保持時間で出現した。このピークは、500mM NaCl試料に関する見掛け上のパーセント全回収を実質的に増加した。これらのデータは、高いNaCl濃度がAICを不安定化させることを示唆する蛍光光度計データを支持する。
【0225】
BBにおけるAICへの時間及び温度の関数としてのpHの効果
初期のpH試験に関して、一連のBB緩衝液(0mM NaCl)は、pH3〜pH11の範囲のpHで調製した。AIC(BB pH7で75μg/mLまで希釈した製剤当り約150μg)は、新たに解凍したAIC材料を用いて4℃でpHを変化させてBBに対してSlide−A−Lyzer透析カセットにおいて透析した。透析緩衝液は、3回変化させ、一晩透析する3番目の緩衝液交換を含む。回収後、試料は、濃度を決定するためにUV分光光度計によって試験し、次に、希釈して所望の最終濃度30μg/mLを得た。生物安全フード内で、0.2μmのPESフィルターを用いて15mLの滅菌チューブに試料を無菌にし、次に、1.5mLの滅菌した凍結バイアル(ポリプロピレン、Corning、カタログNo.430659)に分注した。これらの試料は、湿度制御のインキュベーター中の保存ボックスに設置した。3セットの約1.0mLの試料を30℃の条件に設置し、そして、1セットは40℃に設置した。残った試料は、全ての試料がEF、IF、RALSによって分析されるまで、4℃で保存した。残った材料は、HPLCによるその後の分析のために凍結した。
【0226】
任意の試料を使用する前、AIC濃度を測定した。これらの結果の概要は、表9に提示される。AIC濃度は、280nmでの吸光度を用いて測定した。BBへの透析後のAIC回収の結果は、t0試料濃度を用いて示した。pH3、pH4、及びpH5試料は、変則的に高い測定値を有し(パーセント回収によって示される)、そして、そのために他の試料の結果に基づく体積を用いて希釈した。
【0227】
全ての回収は100%を超えることに留意されたい。これは、AIC測定が試料を希釈せずになされたという事実による可能性がある。つまり、UV分光光度計の読み取りは、1を優に上回っていて、正確性及び直線性が低減していた。これはまた、希釈の計算に影響され得て、多くの変化した濃度に帰着した。
【0228】
表9
pH試料:t0からt14でのAICのA280に基づくAIC濃度
【0229】
【表15】

【0230】
*PBS対照=10mM リン酸ナトリウム、141.7mM NaCl、pH7.2
AIC濃度はまた、A260を用いて決定し、結果はA280で得られた結果に類似するが同一ではなかった。安定性インキュベーションは、t0値からの濃度を実質的に変化しなかった。
【0231】
RALSによって監視される異なったpHでのAIC製剤
pH試験に関して、pH試料は、30分に亘る20℃から90℃の温度勾配中にRALSを用いて監視した。分子における不安定性を加速し、異なる製剤間の安定性を区別するために、AICは、30及び40℃で、7及び14日間(t7及びt14)でインキュベートした。異なったpHでBBに調製した試料は、温度プロフィールにおけるRALSによって調べた。
【0232】
低いpH製剤(pH3及びpH4)だけが、t0での残りの試料との相違点を提示した。これらの2種の製剤は、RALSによって測定した実質的な凝集を提示した。全ての試料は、温度勾配を適用する前に透明であった。90℃に到達後、pH3の試料だけが濁った。残りは透明のままであった。異なったpH値のBB中で調製した試料は、7日間30℃でそれらをインキュベート後、温度プロフィールにおいて再び試験した。
【0233】
RALSに基づいて、30℃で7日間インキュベーション後、低いpH(3〜5)は、RALSの読み取りによって判断されるようにAICが凝集するように誘導した。40℃で7日間インキュベーション後、極端なpH(3〜4、及び10〜11)での製剤は、凝集の形成に帰着するより小さな安定性を示した。温度上昇は、低いpH(pH4)で更なる凝集体の形成を誘導し、一方、高いpH(pH10及びpH11の両方)でAICをばらばらにした。温度は、pH6とpH9との間のpHでは凝集に影響を与えそうになかった。
【0234】
30℃で14日間のインキュベーションは、pH4での凝集の増加に帰着した。他の全ての製剤は、t0及びt7データと類似した。
RALS値はまた、異なったpHでのAIC安定性の見識を提供する。
酸性であるpH(3〜5)は、凝集体の増加に帰着し、30℃又は40℃で長時間のインキュベーションと共に増加した。アルカリ性であるpH(10及び11)では、40℃でのンキュベーションだけが凝集を引き起こした。
【0235】
IFによって監視される異なったpHでのAIC製剤
pH試料はまた、30℃及び40℃のインキュベーションの前後で、温度勾配中、IFを用いて調べた。
【0236】
pH3での製剤は、非常に高いIF比を提示した。全ての製剤は、温度遷移を提示し、Tmはより低いpH試料に対してはより低かった。これらの結果は、全体のIF比がpH3〜pH6で実質的により高いため、低いpHがAICにおける立体構造において実質的な変化を引き起こすことを示す。pH3は、さらにより高いIF比を提示した。30℃のインキュベーションでは、1.55で開始され、温度プロフィール全体で着実に上昇し、約2.3、90℃で終了した。pH7及びそれより上で、分子は、上昇した温度で立体構造変化を示さない。40℃のインキュベーション後、pH3及びpH4の両方は、プロフィールの完全な長さについてスケールから外れていた(高い)。初期のIF比は、温度プロフィールによって得られた結果を確実にする。
これらの結果は、全体のIF比がpH3〜pH6で実質的に高かったので、AICにおける立体構造の実質的な変化を引き起こすことを示す。
【0237】
EFによって監視される異なったpHでのAIC製剤
pH試料はまた、温度勾配中、そして、30℃での長期間のインキュベーションによりEFを用いて試験した。t0及びt7試料の両方は、下記に提示される。
【0238】
pH3を除いて、酸性試料は、14日間の安定性試験の全体でEF比における実質的な減少を提示し、分子がこれらのpH製剤で晒されたより疎水的なドメインを有することを指示する。これは、t0及びt7での以前の結果を支持する。図3を参照されたい。
【0239】
EF比がより低くなると、より多くの疎水性領域は外部プローブANSが結合するように晒される。データは、pH3〜pH6を有する製剤が、凝集へと導き得る疎水性の増加を引き起こす実質的な立体構造変化を誘導する。これらのデータは、RALSデータ、並びにpH滴定データによって支持される。延長したインキュベーション後のpH3でのEF比における増加は、分子の完全な分解の結果となるかもしれない。
【0240】
SEC−HPLCによって試験される異なった緩衝液を含有するAIC製剤
pH試験のために調製した試料を凍結し、HPLCによる分析まで−80℃で保存した。図4A〜4Cを参照されたい。%非凝集及びモノマー回収(MRc)はアルカリ性pH(pH7〜pH11)でより高い。MRec t0は時間0でのモノマー回収である。
【0241】
30℃で7日間のインキュベーションは、40℃のインキュベーションよりも高い%非凝集及びパーセント回収に帰着した。40℃でのインキュベーションは、pH3〜5での分子の完全な喪失、及び5を超えたpHで減少したパーセント回収が観察される程度までAICを分解した。30℃で14日間のインキュベーションは、pH8を除いて全ての試料について%非凝集の減少(即ち、凝集の増加)を引き起こした。
【0242】
14日間、30℃でのインキュベーションは、7日間のインキュベーションと比較して、pH5、pH10及びpH11の試料に実質的な影響があった。30℃での7日のインキュベーションの効果と比較して、pH6〜9での試料への緩和した効果だけがあった。安定性試験中の低いpHでのAICの完全な破壊に基づいて、AICはpH7〜9で最大の安定があることを示した。
【0243】
本明細書中に記載したアッセイは、AIC安定性に関して良好な指標となることが示され、任意のコンジュゲート分子の構造的安定性に関して良好な指標となることが予測される:RALS、IF、EF及びSEC−HPLC。上記の実験の結果に基づいて、下記のパラメータは、構造的に安定なコンジュゲート分子に対して提供する組成物の設計について追随する。試験は、pKが7と9との間の値である化合物を試験するように設計されるであろう。塩は使用されないであろう(イオン強度試験は、10mM NaClが分子の安定性を実質的に影響を与えなかったので、低い濃度が最終の製剤におけるオスモル濃度を調整するために実行可能であるかもしれないことを示唆した)。
【0244】
表10、11及び12は、RALS、EF、IF及びHPLC−SECによって試験された成分の評価に関する決定マトリックスの作成に基づいて作成した。種々の組成物中のAICにおける時間及び温度の効果は、蛍光アッセイによって分析され、そして、結果は、2つの方法のうちの1つで質的及び比較的分析によって記録した。いくつかの試験において、組成物は、各時間点での各アッセイによって判断されるように最良から最悪(例えば、1〜10、1は最高である)で番号を付した。各アッセイは、初期値、急激な温度勾配における変化、及び40℃でインキュベートした場合の長期における変化(t0(0時)対t7(7日)、t14(14日)及びt28(28日);より小さな変化はより高いスコアで与えられる)について記録した。次に、この数は、0〜100(100が最良である)のスコアに変換した。他の試験は、組成物をランキングすること以外は各アッセイからの実際の値を使用した。これら全てのスコアは平均であり、表10、11、12に記録した。HPLCの結果は、各インキュベーションの時間点、即ち、0、7日、14日及び28日についての実際の%非凝集及び回収値を0〜100の範囲で数学的に広げることによって記録した。これら全ての波長からの結果は記録のために平均した。t7、t14、及びt28のHPLCデータは、より大きな重みをこれらのデータに提供するために、個別に評価した。
【0245】
AICにおける熱応力試験は、40℃でAICが約50から約60℃の熱によるアンフォールディング遷移を10℃下回る(IF及びEF試験によって評価される)ので、この温度が加速した構造安定性試験に有用であろう。RALS実験は、AICが約75℃から約80℃で凝集し、沈殿することを示す。他のコンジュゲート分子における加速した構造安定性試験に適した温度は、分析されるべきコンジュゲート分子の熱によるアンフォールディング遷移温度を測定することによって、そして、アンフォールディング遷移温度よりも低い約10℃下回る試験の温度を維持することによって決定することができる。このような測定は、当業者に既知の方法によって、及び本明細書中に開示したIF及びEFによってなすことができる。AICのIF及びEFは、急激な温度勾配の有無で調べられる(30分、20℃から90℃)。
【0246】
pH試験からの結果は、AICがpH6.0を上回る製剤中に実質的により安定であることを示した。これらの結果に基づいて、pKa値がpH6.0〜pH8.0の範囲である異なった成分を含有する組成物を調査する試験が開始された。結果を表10に示す。表10の結果について、成分は下記の通り調製した。試料は、表10に列挙した各組成物に対して、約145μgのAICを透析することによって調製した。各組成物は、所望の値にpHを調製し、0.2μm Nalgenフィルターを用いてろ過した。透析は、300mLのビーカー中で60rpmで撹拌しながら、Slide−A−Lyzerカセット中で4℃で行い、透析緩衝液を3回交換した。無菌の緩衝液を分注し、AIC測定における対照としての使用、及びHPLCへの注入のために4℃で保存した。透析後、試料を生物安全フード中で0.2μmのPESフィルターを用いてろ過滅菌し、4つの滅菌凍結バイアルに分注した。各組成物の3セットは、30μg/mLに調製し、40℃のインキュベータに設置した。1セットは、t0試験のために即座に使用した。対照組成物は、二塩基リン酸ナトリウム20mM、pH7.2(JT Baker);安息香酸塩(Ben)は安息香酸ナトリウム20mMである(Sigma);クエン酸塩(Cit)は20mMのクエン酸ナトリウム(JT Baker);ヒスチジン(His)は20mM(Sigma);リン酸塩(Phos)は二塩基リン酸ナトリウム20mM(JT Baker);及びコハク酸塩(Suc)は20mMのスクシン酸であり、全ては指定されたpHを示す。
【0247】
表10
AICのpH条件を維持するための成分を選択するためのマトリックス
【0248】
【表16】

【0249】
キー:Deg=形成した分解産物;
*10mM リン酸ナトリウム、141.7mM NaCl、pH7.2
【0250】
結果を上に示す。決定マトリックス表から、pH7.5のヒスチジン;pH8.0のヒスチジン;pH7.5、pH8.0、pH7.0のリン酸塩;並びにpH7.0及びpH6.5のヒスチジンが組成物における使用のために選択される。
【0251】
いくつかの実験では、pH7.5のヒスチジンがコンジュゲート分子を含む組成物において使用される。AICにおける種々のアミノ酸安定化剤の効果を評価した。下記に選択されるセットは、許諾薬剤産物において注射可能な非経口的薬剤としてそれらの使用に基づいて選ばれた。試験されるべきアミノ酸を含む組成物は、20mMのヒスチジン及び50mMのアミノ酸を用いて透析のために調製され、pHは7.5に調整した。組成物は、0.2μmのNalgenフィルターを用いてろ過した。対照として、ヒスチジンのみを含有する組成物はまた、5mM、20mM及び50mMで調製した。試験した全てのアミノ酸は、Sigmaから得た。アミノ酸の結果を表11に示す。
【0252】
表11
AICについてのアミノ酸安定化剤を選択するためのマトリックス
【0253】
【表17】

【0254】
6個のアミノ酸が、組成物の開発に使用するために選択された。6個のアミノ酸は、同様の安定化効果を有していた。それらは、5mM ヒスチジン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、及びアラニンである。組合せ試験に関して、グリシンは、最初に選択されたアミノ酸であった。
【0255】
AICを潜在的に安定化することができる他の成分を調査するために、種々の糖質及び界面活性剤を調査した。これらの成分は、凍結乾燥開発が進められる場合、バルク剤として使用することができる。下記に提示した試験は、安定化剤としての10個の糖質及び4個の界面活性剤を評価した。それらは、注射可能な非経口剤としてのそれらの使用に基づいて研究のために選択された。全ての組成物は、pH7.5で20mM ヒスチジンを用いて、表12に列挙される成分と一緒に調整した。対照として、二塩基リン酸ナトリウム 20mM、pH7.2を使用し、組成物は20mMのヒスチジンを含有する。フルクトース(Fru)3%(Sigma);グルコース(Glu)3%(Sigma);ラクトース(Lac)3%(Sigma);マルトース(Mal)3%(Fru、Glu、Lac、及びMalの全ては、凍結乾燥及び液体製剤中ではMaillard反応に関与する還元糖である);マンノース(Man)3%(Sigma);マンニトール(Mtol)3%(Sigma);ソルビトール(Sor)3%(Sigma);Sucrose(Suc)3%(Sigma);トレハロース(Tre)3%(Sigma);キシリトール(Xyl)3%(Sigma);PEG3350(P3350又はP3)0.1%(Sigma);PEG4000(P4000又はP4)0.1%(Mallinckrodt);Tween20(T20)0.1%(JT Baker);及び、Tween80(T80)0.1%(JT Baker)。
【0256】
表12
AICについて糖質又は界面活性剤成分を選択するためのマトリックス
【0257】
【表18】

【0258】
*モノマー%
**全回収
【0259】
この試験からの4つの成分の選択は、ラクトース、スクロース、並びにマンノース及びマルトースである。しかしながら、スクロースは最良の全スコアを示したが、t28でのAICの%非凝集によって評価した40℃でのインキュベーションには貧弱な応答であった。安定性インキュベーションの効果は、スクロース及びソルビトールについてt28でHPLC−SECを用いて評価した。結果は、スクロールを含有する組成物がソルビトール製剤と比較して260nm及び280nmでより大きな分解産物を有することを示した。ラクトース及びマルトースは還元糖であり、マンノースがt14及びt28での貧弱なHPLC結果を有するため、組合せ試験はスクロースとソルビトールに焦点を合わせた。
【0260】
実施例6:組合せ組成物試験
組合せ試験のための組成物の調製
試験1
AICについて良好な安定化剤(即ち、コンジュゲート分子の構造安定性を提供するもの)として同定される成分を組み合わせる効果を調査するために、下記に提示さえた試験は、2種の緩衝液、2種のアミノ酸、及び2種の糖質を含む組合せを含有する組成物を評価した。これらの成分は、安定性試験の28日を通して得られたデータに基づく試験について選ばれ、試験14日を通じたデータから選ばれた糖質を除く。組成物は、評価のために必要とされる組成物の数を減少しながら、単一の成分における変化の間の比較を単純化するように設計した。組成物は、本明細書中に示された組合せ及び手段を用いて、表13(pH7.5)に列挙した成分を用いて調製した。1セットは、t0試験のために即座に使用した。
【0261】
表13
組み合わせた成分を有する組成物
【0262】
【表19】

【0263】
注記:組成物は、(組成物に対して)最終希釈し、ろ過後にオスモル濃度について分析した。
【0264】
各時間点でのAIC濃度及び回収は、280nmでの吸光度を用いて測定し、表14に提示した。
組成物は、本明細書中に記載した方法によって、RALS、IF、EF及びSEC−HPLCによって更に分析した。
組成物を選択するために、決定マトリックス表、表14を構築した。
【0265】
表14
組成物について成分を選択するための決定表
【0266】
【表20】

【0267】
*モノマー%
**全回収
【0268】
表14の結果に基づいて、組成物3、4、6、及び8を選択した(全ては同じ結果を有した)。組成物1及び2は、対照組成物であり、最終組成物として選ばれる十分なオスモル濃度を有していない。
【0269】
種々の組成物を比較すると、下記の結論が導かれる:
グリシン濃度の増加及びスクロース濃度の減少(組成物4〜6)は安定性減少の原因となる。スクロース(組成物4)に代えてマンノース(組成物9)の含有は、安定性における相当な減少を引き起こす組成物に帰着する。イソロイシン(組成物10)の添加、及びスクロース(組成物4)濃度の減少は、安定性の減少に帰着する。リン酸塩緩衝化した組成物(11〜14)は、全体としてヒスチジンを緩衝化した組成物と同様には機能しなかった。しかしながら、HPLCデータ単独では、リン酸塩緩衝化した組成物は、ほとんどヒスチジン緩衝化した組成物と同程度に機能した。5mM(組成物8)と20mM(組成物6)のヒスチジンを含有する組成物の間には差異がほとんど観察されなかったが、50mM ヒスチジン(組成物7)は、安定性に顕著な減少を引き起こした。
【0270】
試験2
組合せ試験2についての組成物の調製
良好な安定化剤として同定された成分の組合せの効果をさらに調査するために、ここに提示した試験は、1種の緩衝剤、2種のアミノ酸、及び3種の糖質を安定化剤として含有する組成物を評価した。それらは、安定性試験の28日を通して得られたデータに基づいた試験に関して選ばれた。組成物は、AICの28日のインキュベーションからのデータが、ソルビトールがスクロースよりAICをより良く安定化することを示したので、ソルビトールの使用を探索するように設計した。
【0271】
組成物は、表15に列挙した成分を用いて調製した。各組成物のpHは、7.5に調整し、次に、各組成物は、本明細書中に記載されるように調製した。
【0272】
表15
組み合わせた成分を有する組成物
【0273】
【表21】

*測定された実際のオスモル濃度
【0274】
透析及びろ過後(t0)、並びに7、14及び29日の40℃でのインキュベーション後のAIC濃度及び回収は280nmの吸光度を用いて測定した。
組成物は、本明細書中に記載されるような方法によって、RALS、IF、EF及びSEC−HPLCによってさらに分析した。
組成物を選択するために、決定マトリックス表、表16を構築した。
【0275】
【表22】

【0276】
組成物3、7、9及び10を選択した。4つ全ては同様の結果を示した。
種々の組成物を比較すると、下記の結論が導かれる。組成物10が使用のために選択された。ソルビトール濃度の増加は、組成物2対3及び組成物6対7を用いて示されるように安定性を増大した。ロイシン(組成物9)のグリシン(組成物7)への置換は、安定性において僅かな減少を引き起こした。組成物3は、グリシン及びロイシンを含まないでソルビトールを含有し、グリシン又はロイシンと組み合わせたソルビトールを用いた組成物よりも良好な安定化剤であることが提供された。リン酸塩以外のヒスチジンを含有する組成物は、それらの全体の記録(組成物5及び6)に基づいてより高い安定性を提示するが、ソルビトールと組み合わせたリン酸塩は、HPLCデータのみ(組成物3対5)を考慮した場合、ヒスチジン及びソルビトールを含有する組成物とほとんど同様にAICを安定化した。
【0277】
試験3:成分の組合せ
組合せ試験3についての組成物の調製
上記の2つの組合せ試験を再度検討後、組合せ試験は、グリシン、プロリン及びロイシンの相互作用を3%ソルビトール及び20mMヒスチジンと比較して準備した。さらに、AICは安定性のために糖質を必要としなくてもよいので、種々の塩がAIC組成物におけるイオン性調節剤として調査された。前述のイオン強度試験において、NaClは、モデル化合物として使用した。データは、安定化剤が存在しない場合に、より高いイオン強度がAICに好ましくないことを示唆するが、この組成物の反復は、安定化剤としてヒスチジンの存在下で異なった塩又は等張性調節剤と一緒に実行された。
【0278】
組成物は、示された組合せを用いて表17に列挙した成分とともに調製した。各組成物のpHを7.5に調整し、組成物は本明細書中に記載されるように調製した。
表17
組合せた成分を有する組成物
【0279】
【表23】

【0280】
*0で測定した実際のオスモル濃度
**この組成物の調製に誤りがあった。この組成物は57mM NaClであることが意図された。
【0281】
透析及びろ過後(t0)、並びに7、14及び28日の40℃でのインキュベーション後のAIC濃度及び回収は280nmの吸光度を用いて測定した。組成物は、本明細書中に記載される方法によって、RALS、IF、EF及びSEC−HPLCによってさらに分析した。
表18は、組成物の組合せを選択するためのマトリックスを選択する。
【0282】
表18
組合せを選択するためのマトリックス
【0283】
【表24】

【0284】
組合せ試験からの5種の組成物を選択した:1、3、4、5、12。組成物の全ては同様の結果であった。
種々の組成物を比較すると、下記の結論が導かれる。塩は、AICが塩の存在下で不安定であるという初期の観察と一致して等張性安定化剤として使用することができない(組成物6〜11)。組成物1は、前回のラウンドよりもこのラウンドの組成物では良好に記録されるが、十分なオスモル濃度ではない。ヒスチジン及びソルビトールを有するロイシン又はプロリンを含有する組成物(組成物3及び4)は、ロイシン又はプロリンを含まない組成物(組成物1)よりも良好な安定性を提供した。安定化について、ロイシン及びプロリンは、それらがソルビトールと組み合わされる場合、グリシンよりも良好な成分であるが(組成物3及び4対2)、グリシンは、組成物3又は4のいずれかよりもソルビトールを含まない(組成物5)良好な安定化剤である。
【0285】
試験4
3つの組合せ試験を再度検討後、最終的な組合せ試験は、所望のpHを維持することができる成分の効果を試験するために準備された。20mM ヒスチジン、pH7.5において270mM グリシンを含有する組成物は前述の試験で十分に機能したので、表19に概要した組成物を試験した。
【0286】
組成物は、示された組合せを用いて、表19に列挙された成分を用いて調製された。各組成物のpHを7.5に調整し、組成物は、本明細書中に記載の方法に従って調製された。
【0287】
表19
組合せた成分を有する組成物
【0288】
【表25】

【0289】
ヒスチジン対リン酸塩の使用が確かめられ得るように組成物を調製した。全ての時間点後のろ過後及び透析後(t0)のAIC濃度及び回収は、280nmの吸光度を用いて測定し、表20に示す。
【0290】
表20
組合せた成分を有する組成物:
280でのAICのAIC濃度
【0291】
【表26】

【0292】
28についてのタンパク質濃度は得られなかった。
組成物は、本明細書中に記載した方法によって、RALS、IF、EF及びSEC−HPLCによってさらに分析した。RAL測定の結果を図5に示す。
この試験からの組成物を選択するために、決定マトリックス表(表21)を構築した。
【0293】
表21
AICについて組合せ3種の成分を選択するためのマトリックス
【0294】
【表27】

【0295】
種々の組成物を比較すると、下記の結論が導かれる。ヒスチジンを含有する組成物(1及び3)は、リン酸塩を含有するもの(2)よりも良好な安定性を提供した。低いヒスチジン濃度及び高いグリシン濃度を有する組成物(組成物3)は、高いヒスチジン濃度及び低いグリシン濃度を有する組成物(組成物1)よりも良好な安定性を提供した。データは、NaClが存在しない場合、AICが最も安定であることを示唆する。AICに対して最良のpHは7.5(7〜9の範囲)である。AICは、実質的にせん断感受性ではない。40℃を上回る温度は、AICの分解に帰着する。熱及びpH応力は、不溶性でありかつ凝集した種を産出する。AIC組成物に関してpHを維持するための最良の成分は、ヒスチジン、pH7.5であり、次いでヒスチジン、pH8.0、及びリン酸塩、pH7.5及びpH8.0である。安定なAIC組成物についての最良の所望のアミノ酸は、5mM ヒスチジン単独、グリシン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、及びアラニンである。全体として、安定なAIC組成物についての最良の糖質は、ラクトース、スクロース、並びにマンノース及びマルトースである。マルトース及びラクトースは、還元糖である。HPLCの結果だけをみると、ソルビトール及びグルコースは、還元糖を除いて全ての糖質に亘って改善された安定性を提供した。いくつかの例では、下記の組成物は、約2℃と約8℃との間の温度で構造的に安定なAICの液体組成物に対して使用され得る:5mM ヒスチジン、285mM グリシン;20mM ヒスチジン、270mM グリシン;及び20mM ヒスチジン、50mM グリシン、及び3.8% ソルビトール。
【0296】
本発明は、直接的な説明によって、及び実施例によって詳述されている。本発明の均等物及び変更物は、当業者に明確であろうし、本発明の範囲内に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0297】
【図1】図1は、実施例5で検討したように、RALSによって測定されるイオン強度、時間及び温度の効果を示す。対照は、10mM リン酸ナトリウム、141.7mM NaCl、pH7.2である。(バーは、対照及びNaCl濃度のそれぞれについて、左から右へ、t0、t7 30C、t7 40C、t14 30Cである。)
【図2A】図2Aは、実施例5で検討したように、t7(30℃)での0.1M NaCl塩基緩衝液(BB)中のAICのSEC−HPLCクロマトグラムを示す。図2Aは215nmである。
【図2B】図2Bは、実施例5で検討したように、t7(30℃)での0.1M NaCl塩基緩衝液(BB)中のAICのSEC−HPLCクロマトグラムを示す。図2Bは260nmである。
【図2C】図2Cは、実施例5で検討したように、t7(30℃)での0.1M NaCl塩基緩衝液(BB)中のAICのSEC−HPLCクロマトグラムを示す。図2Cは280mMである。
【図3】図3は、実施例5で検討したように、外部蛍光によって測定したAICにおけるpH、時間及び温度の効果を示す。対照は、10mM リン酸ナトリウム、141.7mM NaCl、pH7.2である。(バーは、各pH値について、左から右へ、t0、t7−30、t7−40、t14−30である。)
【図4A】図4Aは、AICにおけるpHの効果を示す:t0SEC−HPLC(215nm)。対照は、10mM リン酸ナトリウム、141.7mM NaCl、pH7.2である。%MRcは、%モノマー回収である;%Tot Rcは、%全量回収であり;そして、M Rec t0は、時間0でのモノマー回収である。(図4Aに関しては、バーは、Ctl(対照)、PBS対照及び各pH値のそれぞれについて、左から右へ、%非凝集、%MRc、及び%Tot Rcである。)。
【図4B】図4Bは、AICにおけるpH、時間及び温度(40℃)の効果を示す:t7SEC−HPLC(215nm)。対照は、10mM リン酸ナトリウム、141.7mM NaCl、pH7.2である。%MRcは、%モノマー回収である;%Tot Rcは、%全量回収であり;そして、M Rec t0は、時間0でのモノマー回収である。(図4B〜4Cに関しては、バーは、Ctl(対照)、PBS対照及び各pH値のそれぞれについて、左から右へ、%非凝集、%MRc、%Tot Rc、及びM Tec t0である。)
【図4C】図4Cは、AICにおけるpH、時間及び温度(30℃)の効果を示す:t14SEC−HPLC(215nm)。対照は、10mM リン酸ナトリウム、141.7mM NaCl、pH7.2である。%MRcは、%モノマー回収である;%Tot Rcは、%全量回収であり;そして、M Rec t0は、時間0でのモノマー回収である。(図4B〜4Cに関しては、バーは、Ctl(対照)、PBS対照及び各pH値のそれぞれについて、左から右へ、%非凝集、%MRc、%Tot Rc、及びM Tec t0である。)
【図5】図5は、実施例に示されるように、RALSによって測定されるAICにおける成分、時間及び温度の組み合わせの効果を示す。PBS対照は、10mM リン酸ナトリウム、141.7mM NaCl、pH7.2である。(バーは、各組成物について、左から右へ、t0、t7、t14及びt28である。)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造的に安定なコンジュゲート分子を含む組成物であって、前記コンジュゲート分子が、コンジュゲートパートナー及び免疫賦活化配列(ISS)を含むポリヌクレオチドを含み、そして、前記組成物が、約6.0〜約9.0の範囲で組成物のpHを維持することができる成分をさらに含む前記組成物。
【請求項2】
直角光散乱(RALS)によって測定されるように約2℃と約8℃との間の温度で非凝集形態である約70%を超える前記コンジュゲート分子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
pHを維持することができる成分が、非極性成分及び負に荷電していない成分からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
pHを維持することができる成分が、ヒスチジンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ヒスチジンが、約1mMと約50mMとの間の濃度で組成物中に存在する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
ヒスチジンが、約5mMと約20mMとの間の濃度で組成物中に存在する、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
pHを維持することができる成分が、リン酸塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
リン酸塩が、約5mMと約50mMとの間の濃度で組成物中に存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
リン酸塩が、約20mMと約50mMとの間の濃度で組成物中に存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
組成物のpHが、約7.0〜約8.0の範囲にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
組成物のpHが、約7.5〜約8.0の範囲にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
ISSが、六量体モチーフAACGTTを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
ISSが、モチーフGACGCTCC;GACGTCCC;GACGTTCC;GACGCCCC;AGCGTTCC;AGCGCTCC;AGCGTCCC;AGCGCCCC;AACGTCCC;AACGCCCC;AACGTTCC;AACGCTCC;GGCGTTCC;GGCGCTCC;GGCGTCCC;GGCGCCCC;GACGCTCG;GACGTCCG;GACGCCCG;GACGTTCG;AGCGCTCG;AGCGTTCG;AGCGTCCG;AGCGCCCG;AACGTCCG;AACGCCCG;AACGTTCG;AACGCTCG;GGCGTTCG;GGCGCTCG;GGCGTCCG;GGCGCCCG;GACGCT;GACGTC;GACGTT;GACGCC;GACGCU;GACGUC;GACGUU;GACGUT;GACGTU;AGCGTT;AGCGCT;AGCGTC;AGCGCC;AGCGUU;AGCGCU;AGCGUC;AGCGUT;AGCGTU;AACGTC;AACGCC;AACGTT;AACGCT;AACGUC;AACGUU;AACGCU;AACGUT;AACGTU;GGCGTT;GGCGCT;GGCGTC;GGCGCC;GGCGUU;GGCGCU;GGCGUC;GGCGUT;又はGGCGTUを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
ISSが、配列
5’−TGACTGTGAACGTTCGAGATGA−3’(配列番号1);
5’−TGACCGTGAACGTTCGAGATGA−3’(配列番号2);
5’−TCATCTCGAACGTTCCACAGTCA−3’(配列番号3);
5’−TGACTGTGAACGTTCCAGATGA−3’(配列番号4);
5’−TCCATAACGTTCGCCTAACGTTCGTC−3’(配列番号5);
5’−TGACTGTGAABGTTCCAGATGA−3’(配列番号6);
5’−TGACTGTGAABGTTCGAGATGA−3’(配列番号7);又は
5’−TGACTGTGAABGTTBGAGATGA−3’(配列番号8)
を含み、ここで、Bが、5−ブロモシトシンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
ISSが、5’−TGACTGTGAACGTTCGAGATGA−3’を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
コンジュゲートパートナーが、抗原である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
抗原が、アレルゲンである、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
アレルゲンが、甲殻類アレルゲン、昆虫アレルゲン、哺乳動物アレルゲン、軟体動物アレルゲン、植物アレルゲン、及び真菌アレルゲンからなる群から選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
アレルゲンが、植物アレルゲンのブタクサ抗原Amb a1である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
ヒスチジン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、プロリン及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
アミノ酸が、グリシンである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
グリシンが、約230mMと約285mMとの間の濃度で組成物中に存在する、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
ラクトース、スクロース、マンノース、マルトース、ソルビトール、及びグルコースからなる群から選択される糖質をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
糖質が、スクロースである、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
スクロースが、約1%と10%との間の濃度で組成物中に存在する、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
糖質が、ソルビトールである、請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
ソルビトールが、約3%と約5%との間の濃度で組成物中に存在する、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
コンジュゲート分子;約1mM〜約50mMの範囲の濃度であるヒスチジン;及び約50mM〜約300mMの範囲の濃度であるグリシンを含み、約6.0〜約9.0の範囲のpHを有する組成物。
【請求項29】
約1〜10%の範囲でソルビトールをさらに含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
約200mM〜約250mMの濃度でスクロースをさらに含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項31】
約7.0〜約8.0の範囲でpHを有する、請求項28に記載の組成物。
【請求項32】
約7.0と約8.0との間のpH範囲で5mMのヒスチジン及び285mMのグリシンを含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項33】
約7.0と約8.0との間のpH範囲で20mMのヒスチジン及び270mMのグリシンを含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項34】
約7.0と約8.0との間のpH範囲で20mMのヒスチジン、50mMのグリシン、及び3.8%のソルビトールを含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項35】
約7.0と約8.0との間のpH範囲で20mMのヒスチジン、50mMのグリシン、及び210mMのスクロースを含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項36】
コンジュゲートパートナーが、アレルゲンである、請求項28に記載の組成物。
【請求項37】
アレルゲンが、植物アレルゲンである、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
植物アレルゲンが、ブタクサ抗原Amb a1である、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
適した条件下で請求項23に記載の組成物を凍結乾燥することによって製造される凍結乾燥した組成物。
【請求項40】
請求項29又は30に記載の組成物を含む凍結乾燥した組成物。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−531722(P2008−531722A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−558260(P2007−558260)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/007571
【国際公開番号】WO2006/096497
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(501161136)ダイナバックス テクノロジーズ コーポレイション (13)
【Fターム(参考)】