様々な金属質の外観を作り出すための金属着色インクの階調印刷
ナノ粒子金属インク、例えば、ナノシルバー等の網点を利用して、広範囲の金属質の外観を作り出すシステム及び方法が示される。本発明の模範的実施形態では、例えば、ナノシルバー等のナノ粒子金属インクを準備して、その銀インクの濃淡レベルを変え、基板表面の特性を変え、金属インクを下刷り又は重ね刷りする際に、プロセス印刷又はスポット印刷のように、少量の他の色インクを導入することにより、例えば、明るい銀色から鈍い酸化アルミニウムまでの範囲の外観を作り出すことができる。本発明の模範的実施形態では、単一の金属着色インクのインクジェット印刷を行うことができ、その金属質の外観は、所与のパッケージデザインに合うように極めて速やかに調節することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年9月4日に出願され、本明細書に参照としてそのまま組み込まれている米国暫定特許出願第61/094,103号の優先権を主張する。本出願は、発明者ダニー・リッチ、テッド・ラビット及びケント・ゼシンの「実色及び濃淡色の自動化インク色整合」と題する、2009年8月27日に出願され、本明細書にも参照としてそのまま組み込まれている米国実用特許第 号の優先権も主張する。(出願者は、本出願の整理番号が周知になった後に修正する権利を保持する。)
【0002】
本発明は、色インク作製に関連し、より具体的には、濃淡レベル、基板表面の特性及び他の色インクの有無を含む様々なパラメータを制御することにより、印刷される金属インクの外観を調節することに関する。
【背景技術】
【0003】
現在の市場で提供されている金属着色インクは、熱転写を介した転写を除いて、校正用途に広くは利用され得ない。金属顔料は、アスペクト比が大きく、つまり、その長さが幅よりも大きく、寸法が数十ミクロン又は数千ミクロンであり得る、細片として作製されることが、その理由である。これは、通常のインクジェットヘッドの狭い穴に金属片を通すのを極めて難しくする。同様に、トナー基盤型デジタル校正システムは、描画ドラム上にトナー粒子を保持する静電力又は電気力に依存する。しかしながら、金属細片は、導電性であるので、電荷が流れ出て、印刷され得る前に、トナーが描画ドラムから落ちることがあり得る。これらの問題に取り組んだ本発明者が知っている、商用の解決策はなかった。
【0004】
他方では、熱転写は、可塑性のドナーシートを利用し、その上に、顔料が分散した透明樹脂被膜が投げ掛けられる。印刷ヘッドは、加熱要素を含み、前記加熱要素は、被膜が流体状になり、続いて受容シートとの接触により転写されるまで、被膜の温度を上昇させる。これらの熱転写フィルムは、塗料フィルムとほぼ同じ方法で作製され、金属片は、可塑性シートの上に投げ掛けられる前に、高分子樹脂内に分散される。熱転写方法は、極めて低速であり、極めて高価である(試し刷りは、A3形式毎に約100.00ドルかかる)。基板にドナー塗布する描画システムは、その上、さらに高価であり得る(10,000ドルを超える)。そのようなシステムは、例えば、コダック社のアプルーバルNX及びXPのような校正用プリンタであって、例えば、http://graphics.kodak.com/US/en/product/proofing/kodak_approval/default.htm?_requestid=5068に示される。
【0005】
更に、熱転写技術を利用するときに、明るさのレベルは、ドナーロール上に現像されなければならない。これは、様々な金属顔料を有する複数のドナーロールの開発と統合を必要とする。例えば、塗布被膜は、5又は6段階である。自動車産業用パンフレットを作成するコンバータは、明るい、中間及び暗いという3段階を与え、箔シートの光沢のある前面側から研磨されていない金属シートに至るまでの外観を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術で必要とされるのは、校正用途に利用される金属インクの外観を変えるための、所望のパッケージ又は他の基板デザインに完全に合うように反復的に容易に繰り返され得る、高価ではない方法である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下の図面は、異なる基板上に金属インクが異なる濃淡被覆度で印刷され、追加の色インクがその下に(又はその上に)印刷される及び印刷されない、金属インクのスペクトル特性を表す複数のグラフを含む。
【0008】
グラフに表されるデータを生成するために、球体形状のエックスライト社のSP64分光器を利用して、印刷された試料の鏡面反射を含む(SPIN)反射特性並びに鏡面反射を除外した(SPEX)反射特性が測定された。本発明の特徴と利点は、付属の図面を示す本発明の以下の記載から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1a】本発明の模範的実施形態に従って、光沢のある基板上に印刷された金属質の銀インクに対する反射プロット(SPIN対SPEX)である。
【図1b】本発明の模範的実施形態に従って、半光沢の基板上に印刷された金属質の銀インクに対する反射プロット(SPIN対SPEX)である。
【図2a】本発明の模範的実施形態に従って、光沢のある基板上に様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPEX反射プロットである。
【図2b】本発明の模範的実施形態に従って、光沢のある基板上に様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPIN反射プロットである。
【図2c】本発明の模範的実施形態に従って、半光沢の基板上に様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPEX反射プロットである。
【図2d】本発明の模範的実施形態に従って、半光沢の基板上に様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPIN反射プロットである。
【図3a】本発明の模範的実施形態に従って、5%のシアン色を下方に有する光沢のある基板上に、様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPEX反射プロットである。
【図3b】本発明の模範的実施形態に従って、5%のシアン色を下方に有する光沢のある基板上に様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPIN反射プロットである。
【図3c】本発明の模範的実施形態に従って、5%のシアン色を下方に有する半光沢の基板上に様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPEX反射プロットである。
【図3d】本発明の模範的実施形態に従って、5%のシアン色を下方に有する半光沢の基板上に、様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPIN反射プロットである。
【図4a】本発明の模範的実施形態に従って、5%のシアン色を下方に有する光沢のある基板上に様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPEX反射プロットである。
【図4b】本発明の模範的実施形態に従って、10%のシアン色を下方に有する光沢のある基板上に、様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPIN反射プロットである。
【図4c】本発明の模範的実施形態に従って、10%のシアン色を下方に有する半光沢の基板上に、様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPEX反射プロットである。
【図4d】本発明の模範的実施形態に従って、10%のシアン色を下方に有する半光沢の基板上に、様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPEX反射プロットである。
【図5a】本発明の模範的実施形態に従って、10%のマゼンタ色を下方に有する光沢のある基板上に、様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPEX反射プロットである。
【図5b】本発明の模範的実施形態に従って、10%のマゼンタ色を下方に有する光沢のある基板上に、様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPIN反射プロットである。
【図5c】本発明の模範的実施形態に従って、10%のマゼンタ色を下方に有する半光沢の基板上に、様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPEX反射プロットである。
【図5d】本発明の模範的実施形態に従って、10%のマゼンタ色を下方に有する半光沢の基板上に、様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPIN反射プロットである。
【図6】本発明の模範的実施形態による流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ナノ粒子金属インク、例えば、ナノシルバー等の網点を利用して、広範囲の金属質の外観を作り出すシステム及び方法が示される。本発明の模範的実施形態では、例えば、ナノシルバー等のナノ粒子金属インクを準備して、その銀インクの濃淡レベルを変え、基板表面の特性を変え、金属インクを下刷り又は重ね刷りする際に、プロセス印刷又はスポット印刷のように、少量の他の色インクを導入することにより、例えば、明るい銀色から暗い酸化アルミニウムまでの範囲の外観を作り出すことができる。本発明の模範的実施形態では、単一の金属着色インクのインクジェット印刷を行うことができ、その金属質の外観は、所与のパッケージデザインに合うように極めて速やかに調節することができる。
【0011】
本発明の模範的実施形態では、単一の金属着色インクのインクジェット印刷を行うことができ、その金属質の外観は、所与のパッケージデザインに合うように極めて速やかに調節することができる。
【0012】
本発明の模範的実施形態では、濃淡レベル、基板表面の特性及び他の色インクの有無を制御することにより、インクジェット印刷金属インクの外観を調節する方法が実施され得る。通常の濃淡階調では、インクの色は、基板から、異なる量の白色を定量のインクに付加的に混合することにより明るくされる。しかしながら、金属インクが印刷されるとき、中実部分は、極めて光沢があり、研磨された金属のようであるが、そのような金属インクが濃淡階調で印刷されるとき、インクは、より淡くなるばかりでなく、ドットの分離が増すことにより、輝きのレベルが低下する。このように、制御された階調表現を適切に利用して、明るい銀インクを暗いアルミニウムインクのようにすることができる。その上、基板仕上げ特性の変化と階調表現を組み合わせることにより、並びに、金属インクに加えて他のインクを利用することにより、追加のインクは、金属インクの設定を左右し得、従って、外観も変わり得る。金属インクは、例えば、最初に下に印刷され得るか、又は、他のインクの上に印刷され得る。デジタル階調表現では、インクは、無作為に配置されたドットとして印刷され、印刷されていない基板により取り囲まれる。このように、印刷の外観は、インクドットの外観と基板の外観との組み合わせである。次に、第1インクの下に又は上に第2インクを印刷することにより、金属インクの色と外観の両方を変えることができる。
【0013】
金属着色インクで中実な領域を印刷する従来方法では、印刷の明るさは、顔料の(i)粒径と(ii)反射率の関数である。模範的なインクは、銀、金、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、プラチナ、インジウム、錫、亜鉛、チタン、クロム等のような金属群からの顔料を含み得る。本発明の模範的実施形態では、インクを着色するために、例えば、銀ナノ粒子等の高反射性の金属を利用することができる。光沢のある基板上に中実部分として印刷される場合、その結果得られるフィルムは、極めて明るく、オフセットインク、グラビアインク、又は、フレキソ印刷のアルミニウム片着色インクから通常得られるものよりも、更に明るい外観を有し得る。
【0014】
本発明の模範的実施形態では、確率的階調模様を利用してナノシルバー着色インクを濃淡段階で印刷することにより、又は、異なる基板仕上げを利用することにより、印刷の明るさは、基板の拡散反射により、ある程度暗くなり得る。
【0015】
確率的スクリーニング(又はFMスクリーニング)は、異なるドット寸法ではなく、面積当たりの基板上に配置又は噴射されるドットの頻度又は量に基づいて、濃淡階調を再現する種類のものであることに留意する。このスクリーニングは、デジタル式の再現に利用される主流の種類のスクリーニングである。
【0016】
本発明の模範的実施形態では、基板は、例えば、ナノ多孔質の又はマイクロ多孔質の、被覆された又は被覆されていない、光沢のある、半光沢の、つやのある、つや消しの基板と、重量のある又は軽量の紙と、不透明又は透明の、処理された又は未処理のフィルムとを含む。そのように、濃淡階調を調節することにより、又は、適切な明るさを作り出す適切な基板を選択することにより、あらゆるレベルの金属質の外観に整合し得る試し刷りを作成することができる。濃淡階調と基板とのそのような組み合わせは、例えば、サン・ケミカル社のスマートカラー(登録商標)総合色合いライブラリのような、色ライブラリを利用して選択され得る。
【0017】
その上、本発明の模範的実施形態では、模範的な確率的インクジェット印刷のプロセス中にプロセスインクが少量だけ金属インクと混合されるときに、又は、金属インクの表面の下に又は上にプロセスインクが印刷されるときに、金属質の外観は、色合いも変わる。
【0018】
簡単な確率的階調表現を利用して、銀のような連続的に反射性の高い金属基板から酸化アルミニウムのようなつやの弱い表面へ、インクジェットで印刷される金属着色インクの外観を変化させ得るシステムが、開示される。インクは、例えば、銀、金、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、プラチナ、インジウム、錫、亜鉛、チタン、クロム等のような金属群からの顔料を含み得る。これは、デザイン検証と原寸物試し刷りを組み上げ得るインクジェット基盤型検査校正システム内で金属インクを利用するパッケージング印刷のあらゆる効果を定量化し、ほぼ再現することができる。前述のように、濃淡階調として印刷される場合、基板の色及び光沢は、金属質の印刷の外観に影響を与える。基板表面の光沢と色を調節することにより、極めて光沢のある外観又は暗い外観を作り出し、黄色がかったものから青みがかったものへ、又は、赤みがかったものから緑がかったものへ色調を変えることができ、銀からアルミニウム又は真鍮へ、及び、明るい銅又は金から酸化した青銅へ外観を変えることができる。基板は、ナノ多孔質又はマイクロ多孔質、被覆された又は被覆されていない、光沢のある、半光沢の、つやのある、つやのない基板と、重量のある又は軽い紙と、不透明又は透明の、処理された又は未処理のフィルムとを含み得る。
【0019】
本発明の模範的実施形態では、金属質の印刷の異なる色の外観の結果は、そのように得られる。開示されたシステムでは、色合いを加えて又は加えずに、反射性の高い金属からつやの少ない表面へ、インクジェット印刷金属着色インクの外観を変えることができる。
【0020】
模範的実装では、インクジェット用のインク水性製剤の中に組み入れられた本発明のインクジェット用の銀ナノ粒子は、異なる種類の基板上に形成された。代わりに、例えば、この校正プロセスは、溶剤系又はUV硬化性インクシステムでも利用され得る。基板上にインクを堆積するために、圧電ヘッド式インクジェット技術が利用されたが、他の全ての種類のインクジェット印刷ヘッドも利用することができた。基板は、インクジェットを受容する被覆層を有する光沢の高い写真紙から、銀ナノ粒子を有する水性インクジェット用のインクを受け入れるように処理された表面を有するフィルム基板まで異なる。模範的実施形態では、圧電ヘッド式インクジェットプリンタは、インクジェットプリンタ内に別個にあるインクチャンネルを制御し、調節することができるように、走査画像プロセッサにより駆動される。RIP−走査画像プロセッサは、プリンタ内に個別のチャンネルとして存在するインクを制御し、駆動することができ、操作者は、基板上に配置されるインクの量を完全に制御することができる。
【0021】
金属質の外観は、半光沢の質感を持たせた紙上の、極めて明るい金属仕上げのほぼ鏡状の明暗に構成された金属質の外観から、つや消し基板上の暗い外観まで異なった。金属質の外観は、1つの経路上に金属インクを噴射し、別の経路を用いて下被膜又は上被膜を印刷するときに、最良の結果をもたらす。
【0022】
異なる濃淡被覆度を選択する場合、異なる外観を得ることができる。あまり光沢のない表面は、インクの割合を低くして作り出され得る。金属質の効果は、プロセスカラー又はスポットカラーのどちらか、若しくは、これらの組み合わせを極めて低い被覆度で利用して、前層を印刷し、次の工程でその上面に金属インクを噴射することにより、異なる色の有無でも、変更され得る。
【0023】
本発明のシステム及び方法により、デザイン検証と原寸物試し刷りを組み上げ得るインクジェット基盤型検査校正システム内で金属インクを利用する、あらゆるパッケージ印刷効果を定量化し、ほぼ再現することができる。
【0024】
本発明の模範的実施形態では、SPOT、顧客又はデザイナが与える金属色へ金属質の外観を整合することは、階調表現、CMYKの下刷り又は重ね刷りを利用して、又は、以下に記載されるように基板を変えて、金属の外観を調節することと組み合わせて実施され得る。本発明による模範的実施形態では、そのような最適な整合のために、例えば、ニュージャージー州、パーシパニーのサン・ケミカル社により提供されるスマートカラー(登録商標)総合色合いライブラリのような、実色インク印刷と、複数の作業基板上に様々なフィルム重量又は版回数で印刷された階調スケールとの両方が納められている、色合いライブラリ内に含まれる情報を利用することができる。
【0025】
色合いライブラリから得られる色情報の適用及び通信/伝達の創出は、以前の特許の中に、本明細書との共通の割り当てのもとで開示されている。例えば、米国特許第7,034,960号は、実色のライブラリがどのように形成されるかを記載し、米国特許第7,202,976号は、色がどのようにして色合いライブラリから電子的に伝達されるのかを開示し、米国特許第7,268,918号は、2つ以上の色合いライブラリを同時に利用して、インクと少なくとも1つの他の材料(プラスチック、塗料、布、紙)で固有の色を作り出す場合に、その分節性をどのように制御するかを開示した。同様に、同時係属中の米国特許出願第11/732,086号(米国特許出願公開番号2007/0263249号)は、色合いライブラリに濃淡色を加えることを開示する。これにより、これらの3つの米国特許の開示とこの同時係属中の公開された特許出願は、本明細書に参照としてそのまま組み込まれている。
【0026】
本発明の模範的実施形態では、電算化された、複数の特定の色表式を有する色合いライブラリを利用して、実色と、完全な階調性(中実)と印刷されていない基板との間の1つ以上の濃淡階調の両方に対して、製造基準に同時に整合する金属質の表式を見出すことができる。これは、例えば、データベース等のそのように電算化された色合いライブラリがデータ構造内に格納されている場所で、簡易なコンピュータ検索をライブラリ上で実行し、データベースに記録を要求することにより達成され得、前記データベースは、実色印刷と、特定の作製基板(例えば、透明フィルム、不透明フィルム、ボード、紙等)を利用した特定の印刷プロセスから印刷される濃淡色との両方に適した色座標(CIE L*a*b又はCIE XYZ)を有する。これらの点の各々で所望の色に整合するこの表式は、物質の固有の組成になる。
【0027】
そのようなデータベースでは、各記録は、例えば、インク表式、着色剤及び樹脂の組み合わせ、インク及び基板のスペクトル反射率、インク実色(100%色調)及び10%段階毎に0%に至るまでのインク色の色値(XYZ及びCIELAB)を含み得る。そのようなデータベースでは、濃淡は、%(0%〜100%)で特定され得るが、例えば、8ビット整数(0〜255)としても与えられ得る。
【0028】
実色及び様々な濃淡階調の両方で、所与のSPOT色に整合する適切な金属質のインク表式が得られた後に、金属質の外観は、上に記載されて、以下の実施例1〜3に例示されるような、1つ以上の技術を利用して調節され得る。これに関しては、例えば、米国特許出願公開番号第2007/0263249号に開示されるように、例えば、ナノシルバーインクを利用して金属色を単に印刷する場合、オフセット印刷又はグラビア印刷に基づいた実際のパッケージ印刷に適合しない外観を得ることになることに留意する。しかしながら、ここに開示された技術を利用して、下地の色又は濃淡レベル又はそれらの両方を変えることにより、パッケージの外観を系統的に変更して、通常の商用面で所望される外観に似た外観を得ることができる。
【0029】
本発明の模範的実施形態では、米国特許第7,034,960号、米国特許第7,202,976号、米国特許第7,268,918号又は米国特許出願第11/732,086号(米国特許出願番号第2007/0263249号)のいずれかに記載されるようなシステムを利用して、整合する金属色を得ることができ、その外観は、本開示の技術を利用して変えることができる。
【0030】
以下の実施例は、銀金属インクを利用した本発明の特定の模範的実施形態を示す。これらの実施例は、単なる実例であり、限定するものとして解釈されるべきではないと理解される。
【0031】
実施例1:異なる多孔性の基板上の銀金属インク−中実な区画
【0032】
異なる金属質の反射性の外観は、異なる多孔性の基板の上に、銀粒子を含むインクをインクジェット印刷することにより得られた。基板として、光沢ある写真紙、半光沢の基板、及びつや消し紙が含まれた。金属インクは、ディマティクス社インクジェット印刷ヘッドを利用して基板上に印刷されるインクであった。100%の中実な区画が、金属インクを用いて異なる基板上に印刷された。異なる基板上に中実に印刷された区画の金属質の外観は、観察される際に著しく変化する。留意するべきことは、様々な角度の入射での反射率を検討し、鏡面反射の(鏡状の)反射方向を付近で見ることにより、金属質の外観を作り出すことができることである。しかしながら、この効果は、2次元画像での捕獲が難しい。
【0033】
球体形状のエックスライト社のSP64分光器モデルを利用して、鏡面反射、鏡状の反射を含む(SPIN)及びそれを除外した(SPEX)、試料の反射特性を測定した。SPIN測定とSPEX測定との間の相違又は不一致は、鏡面反射の視野角がある又はない場合、反射特性が異なるという証明を与える。SPINとSPEXとの間の差が大きくなるにつれて、表面は輝くようになる。図1a及び1bで理解できるように、基板の光沢が減少するにつれて、SPIN対SPEXで測定された区画間の差が減少し、それは、印刷された区画の外観が、選択された基板の特性に応じて変わることを意味する。
【0034】
留意するべきことは、図1に示されるように、SPIN反射は、スペクトルの赤色端に向けてより高くなることである。これは、インクが下に置かれ、ドットが顔料の個別の離散点であるためである。SPINは、鏡状の表面反射を含み、SPEXは、拡散又は散乱反射のみを含む。小粒子からの散乱は、波長に逆依存しているので、短波長は、(スペクトルの赤色端に、つまり、600nm〜700nmに見られる)長波長よりも散乱されやすい。SPINモードでは、長波長の大方の鏡面反射光が得られるのに対し、短波長では、鏡面反射光は、あまり反射されず、より多くの拡散反射光が得られる。
【0035】
例2:異なる多孔性の基板上の銀金属インク−5%濃淡階調
【0036】
第2の技術では、異なる金属質の反射性の外観が、異なる多孔性の様々な基板の上に、銀ナノ粒子を含むインクを様々な濃淡階調でインクジェット印刷することにより得られた。利用された基板は、光沢のある写真紙、半光沢の紙、及びつや消し紙を含む。金属インクが、ディマティクス社のインクジェット印刷ヘッドを利用して、基板上にインクジェット印刷された。5%階調から成る濃淡階調での0%〜100%の濃淡階調区画が、異なる基板上に金属インクで印刷された。
【0037】
球体形状のエックスライトSP64分光器モデルを利用して、実施例2で印刷された試料の鏡面反射を含む(SPIN)及び鏡面反射を除外した(SPEX)反射特性を測定した。光沢のある基板に対する図2a及び2b及び半光沢の基板に対する図2c及び2dで理解できるように、SPIN対SPEX測定での鏡面反射応答は、濃淡被覆度で変化する。この傾向は、4つの異なる濃淡被覆度、100%、75%、50%及び25%を用いて示される。明確に理解できるように、SPINとSPEXとの間の差は、100%の濃淡で最大であり、25%の濃淡で最小である。従って、低い割合の濃淡値で印刷することにより、より弱い「輝き」の質感を得ることができる。
【0038】
実施例3:異なる多孔性の基板上の銀金属インクの下方に色付けされたインク
【0039】
第3の技術では、異なる金属質の反射性の外観が、着色ナノ粒子を含む色インクをインクジェット印刷し、続いて、異なる多孔性の基板上に、銀ナノ粒子を含むインクをインクジェット印刷することにより得られた。基板として、光沢のある写真紙、半光沢の紙、及びつや消し紙が含まれた。5%と10%の濃淡値の色インクが、基板上にインクジェット印刷された。金属インクは、圧電式インクジェット印刷ヘッドを利用して、前印刷された基板上に(前記色濃淡で)インクジェット印刷された。異なる基板上に印刷された区画のスペクトル特性と金属質の外観は、観察時に異なった。
【0040】
球体形状のエックスライト社のSP64分光器モデルを利用して、図3〜5中の、印刷された試料の鏡面反射を含む(SPIN)及び鏡面反射を除外した(SPEX)反射特性を測定した。図3は、銀インクの濃淡階調下の5%のシアン底色の効果を示し、図4は、銀インクの濃淡階調下の10%シアン底色の効果を示し、図5は、銀インクの濃淡階調下の10%マゼンタ底色の効果を示す。図3〜5で理解できるように、SPIN測定対SPEX測定のスペクトルの差は、金属インクで印刷する前に利用される色インクが異なることで変わる。これらの図で理解できるように、25%の金属質の銀の濃淡は、スペクトルの紫色端では最も反射性があり、スペクトルの赤色端ではわずかしか反射性がないが、100%の金属質の銀の濃淡に近い。これは、銀インクの低い(ここでは25%の)濃淡値では、緑色及び黄色波長で反射する下色のシアンが、より目に見えることになるからである。
【0041】
他のCMYKが異なる濃淡の割合で利用される場合、効果として、銀で印刷された区画は、利用されるCMYKの濃淡値の量に基づいて、それぞれ、青/シアンの色合い、ピンク/マゼンタの色合い、黄/金の色合い又は暗い/黒の色合いになる。
【0042】
上述の実施例で例示されるような、様々な技術及びそれらの様々に可変のパラメータを仮定し、本発明の模範的実施形態において、1つ以上のこれらの技術を利用して、例えば、オフセット印刷又はグラビア印刷の外観に整合するような、最終的な又は要求される整合を得ることができる。本発明のシステム及び方法は、従って、コンバータ/プリンタが、例えば、印刷の購入者が期待するものを定めるように、最終製品の外観を捉え、伝達すること目的とした校正プロセスを容易にする。
【0043】
図6は、本発明の模範的実施形態のプロセスの流れ図を示す。それに関して、601で、プロセスは開始する。605では、様々なデザイナ又はSPOT色を利用して、基板上に印刷されるように提案された画像が、受信され、検討される。これは、例えば、提案されたパッケージか、又は、場合によりその上に通常印刷される他のいずれかの基板であり得る。記載を容易にするために、以下に、図6を記述する際は、パッケージの実施例を示す。例えば、605では、提出されるパッケージの提案される外観が検討され得る。610では、金属色が望まれる場合に、その外観が定められ得る。そうではない場合、本発明の技術は必要とされないので、プロセスは、670で終了する。他方、提案されるパッケージに金属色が必要とされる場合、例えば、プロセスの流れは、615に続き、先に進む。
【0044】
615では、例えば、パッケージの色合いが定められ、620では、それが無色であるのか又は色付けされているのかを判定され得る。色付けされている場合、プロセスの流れは、625に移る。他方、無色の場合、プロセスの流れは、640に移る。
【0045】
625及び635では、例えば、色合いが選択され、印刷され得る。640では、印刷の光沢レベルを設けることができ、645では、金属インクの濃淡値を推定することができる。650では、選択された濃淡が印刷され、655では、印刷された金属色の外観が評価され得る。許容可能である場合、プロセスの流れは、670で終了する。許容可能ではない場合、プロセスの流れは、655で、635に戻り、全て上に記載されているように、下層の色合いが基板上に印刷され、次に、640で光沢レベルが選択され、645で金属色の濃淡値が選択される。
【0046】
図6に示されるプロセスの流れに関連して留意するべきことは、物理的な基板上で金属インクがどのように見えるかという電子的な印象を電子ディスプレイ上で作り出すのは難しいが、デジタルファイルが、数式を受け入れ得ることである。実際のパッケージは、必ずしもデザインは校正されないが、求められる外観を有する。プロセスは、例えば、デジタルファイル内にパントンスウォッチをビット状に入力することである。そのファイルには、パントン色に対する参照があるが、デザイナ又は他の利用者は、外部の実例に基づいて外観を判断する。そのように、655での「外観OK」工程は、実際に印刷されたパッケージを見ることを含むが、以前の工程は、全て、デジタルの範囲で動作する。従って、655での外観OKから635での色合い印刷に戻るループがあり、そのループは、外観がOKではない場合、655で実行される。実際には、650を介しての635のような、実際の基板上で繰り返して印刷する場合にのみ、所望の輝きと濃淡を有する所望の金属インクに対する100%の整合を得ることができる。
【0047】
本発明は、その特定の模範的実施形態に関して記載されたが、多くの他の変更、修正及び他の利用は、当業者に明らかである。従って、本発明が、本明細書内の特定の開示内容により限定されず、付属の請求項のみにより限定されることが好ましい。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年9月4日に出願され、本明細書に参照としてそのまま組み込まれている米国暫定特許出願第61/094,103号の優先権を主張する。本出願は、発明者ダニー・リッチ、テッド・ラビット及びケント・ゼシンの「実色及び濃淡色の自動化インク色整合」と題する、2009年8月27日に出願され、本明細書にも参照としてそのまま組み込まれている米国実用特許第 号の優先権も主張する。(出願者は、本出願の整理番号が周知になった後に修正する権利を保持する。)
【0002】
本発明は、色インク作製に関連し、より具体的には、濃淡レベル、基板表面の特性及び他の色インクの有無を含む様々なパラメータを制御することにより、印刷される金属インクの外観を調節することに関する。
【背景技術】
【0003】
現在の市場で提供されている金属着色インクは、熱転写を介した転写を除いて、校正用途に広くは利用され得ない。金属顔料は、アスペクト比が大きく、つまり、その長さが幅よりも大きく、寸法が数十ミクロン又は数千ミクロンであり得る、細片として作製されることが、その理由である。これは、通常のインクジェットヘッドの狭い穴に金属片を通すのを極めて難しくする。同様に、トナー基盤型デジタル校正システムは、描画ドラム上にトナー粒子を保持する静電力又は電気力に依存する。しかしながら、金属細片は、導電性であるので、電荷が流れ出て、印刷され得る前に、トナーが描画ドラムから落ちることがあり得る。これらの問題に取り組んだ本発明者が知っている、商用の解決策はなかった。
【0004】
他方では、熱転写は、可塑性のドナーシートを利用し、その上に、顔料が分散した透明樹脂被膜が投げ掛けられる。印刷ヘッドは、加熱要素を含み、前記加熱要素は、被膜が流体状になり、続いて受容シートとの接触により転写されるまで、被膜の温度を上昇させる。これらの熱転写フィルムは、塗料フィルムとほぼ同じ方法で作製され、金属片は、可塑性シートの上に投げ掛けられる前に、高分子樹脂内に分散される。熱転写方法は、極めて低速であり、極めて高価である(試し刷りは、A3形式毎に約100.00ドルかかる)。基板にドナー塗布する描画システムは、その上、さらに高価であり得る(10,000ドルを超える)。そのようなシステムは、例えば、コダック社のアプルーバルNX及びXPのような校正用プリンタであって、例えば、http://graphics.kodak.com/US/en/product/proofing/kodak_approval/default.htm?_requestid=5068に示される。
【0005】
更に、熱転写技術を利用するときに、明るさのレベルは、ドナーロール上に現像されなければならない。これは、様々な金属顔料を有する複数のドナーロールの開発と統合を必要とする。例えば、塗布被膜は、5又は6段階である。自動車産業用パンフレットを作成するコンバータは、明るい、中間及び暗いという3段階を与え、箔シートの光沢のある前面側から研磨されていない金属シートに至るまでの外観を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術で必要とされるのは、校正用途に利用される金属インクの外観を変えるための、所望のパッケージ又は他の基板デザインに完全に合うように反復的に容易に繰り返され得る、高価ではない方法である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下の図面は、異なる基板上に金属インクが異なる濃淡被覆度で印刷され、追加の色インクがその下に(又はその上に)印刷される及び印刷されない、金属インクのスペクトル特性を表す複数のグラフを含む。
【0008】
グラフに表されるデータを生成するために、球体形状のエックスライト社のSP64分光器を利用して、印刷された試料の鏡面反射を含む(SPIN)反射特性並びに鏡面反射を除外した(SPEX)反射特性が測定された。本発明の特徴と利点は、付属の図面を示す本発明の以下の記載から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1a】本発明の模範的実施形態に従って、光沢のある基板上に印刷された金属質の銀インクに対する反射プロット(SPIN対SPEX)である。
【図1b】本発明の模範的実施形態に従って、半光沢の基板上に印刷された金属質の銀インクに対する反射プロット(SPIN対SPEX)である。
【図2a】本発明の模範的実施形態に従って、光沢のある基板上に様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPEX反射プロットである。
【図2b】本発明の模範的実施形態に従って、光沢のある基板上に様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPIN反射プロットである。
【図2c】本発明の模範的実施形態に従って、半光沢の基板上に様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPEX反射プロットである。
【図2d】本発明の模範的実施形態に従って、半光沢の基板上に様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPIN反射プロットである。
【図3a】本発明の模範的実施形態に従って、5%のシアン色を下方に有する光沢のある基板上に、様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPEX反射プロットである。
【図3b】本発明の模範的実施形態に従って、5%のシアン色を下方に有する光沢のある基板上に様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPIN反射プロットである。
【図3c】本発明の模範的実施形態に従って、5%のシアン色を下方に有する半光沢の基板上に様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPEX反射プロットである。
【図3d】本発明の模範的実施形態に従って、5%のシアン色を下方に有する半光沢の基板上に、様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPIN反射プロットである。
【図4a】本発明の模範的実施形態に従って、5%のシアン色を下方に有する光沢のある基板上に様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPEX反射プロットである。
【図4b】本発明の模範的実施形態に従って、10%のシアン色を下方に有する光沢のある基板上に、様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPIN反射プロットである。
【図4c】本発明の模範的実施形態に従って、10%のシアン色を下方に有する半光沢の基板上に、様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPEX反射プロットである。
【図4d】本発明の模範的実施形態に従って、10%のシアン色を下方に有する半光沢の基板上に、様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPEX反射プロットである。
【図5a】本発明の模範的実施形態に従って、10%のマゼンタ色を下方に有する光沢のある基板上に、様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPEX反射プロットである。
【図5b】本発明の模範的実施形態に従って、10%のマゼンタ色を下方に有する光沢のある基板上に、様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPIN反射プロットである。
【図5c】本発明の模範的実施形態に従って、10%のマゼンタ色を下方に有する半光沢の基板上に、様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPEX反射プロットである。
【図5d】本発明の模範的実施形態に従って、10%のマゼンタ色を下方に有する半光沢の基板上に、様々な濃淡で印刷された金属質の銀インクに対するSPIN反射プロットである。
【図6】本発明の模範的実施形態による流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ナノ粒子金属インク、例えば、ナノシルバー等の網点を利用して、広範囲の金属質の外観を作り出すシステム及び方法が示される。本発明の模範的実施形態では、例えば、ナノシルバー等のナノ粒子金属インクを準備して、その銀インクの濃淡レベルを変え、基板表面の特性を変え、金属インクを下刷り又は重ね刷りする際に、プロセス印刷又はスポット印刷のように、少量の他の色インクを導入することにより、例えば、明るい銀色から暗い酸化アルミニウムまでの範囲の外観を作り出すことができる。本発明の模範的実施形態では、単一の金属着色インクのインクジェット印刷を行うことができ、その金属質の外観は、所与のパッケージデザインに合うように極めて速やかに調節することができる。
【0011】
本発明の模範的実施形態では、単一の金属着色インクのインクジェット印刷を行うことができ、その金属質の外観は、所与のパッケージデザインに合うように極めて速やかに調節することができる。
【0012】
本発明の模範的実施形態では、濃淡レベル、基板表面の特性及び他の色インクの有無を制御することにより、インクジェット印刷金属インクの外観を調節する方法が実施され得る。通常の濃淡階調では、インクの色は、基板から、異なる量の白色を定量のインクに付加的に混合することにより明るくされる。しかしながら、金属インクが印刷されるとき、中実部分は、極めて光沢があり、研磨された金属のようであるが、そのような金属インクが濃淡階調で印刷されるとき、インクは、より淡くなるばかりでなく、ドットの分離が増すことにより、輝きのレベルが低下する。このように、制御された階調表現を適切に利用して、明るい銀インクを暗いアルミニウムインクのようにすることができる。その上、基板仕上げ特性の変化と階調表現を組み合わせることにより、並びに、金属インクに加えて他のインクを利用することにより、追加のインクは、金属インクの設定を左右し得、従って、外観も変わり得る。金属インクは、例えば、最初に下に印刷され得るか、又は、他のインクの上に印刷され得る。デジタル階調表現では、インクは、無作為に配置されたドットとして印刷され、印刷されていない基板により取り囲まれる。このように、印刷の外観は、インクドットの外観と基板の外観との組み合わせである。次に、第1インクの下に又は上に第2インクを印刷することにより、金属インクの色と外観の両方を変えることができる。
【0013】
金属着色インクで中実な領域を印刷する従来方法では、印刷の明るさは、顔料の(i)粒径と(ii)反射率の関数である。模範的なインクは、銀、金、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、プラチナ、インジウム、錫、亜鉛、チタン、クロム等のような金属群からの顔料を含み得る。本発明の模範的実施形態では、インクを着色するために、例えば、銀ナノ粒子等の高反射性の金属を利用することができる。光沢のある基板上に中実部分として印刷される場合、その結果得られるフィルムは、極めて明るく、オフセットインク、グラビアインク、又は、フレキソ印刷のアルミニウム片着色インクから通常得られるものよりも、更に明るい外観を有し得る。
【0014】
本発明の模範的実施形態では、確率的階調模様を利用してナノシルバー着色インクを濃淡段階で印刷することにより、又は、異なる基板仕上げを利用することにより、印刷の明るさは、基板の拡散反射により、ある程度暗くなり得る。
【0015】
確率的スクリーニング(又はFMスクリーニング)は、異なるドット寸法ではなく、面積当たりの基板上に配置又は噴射されるドットの頻度又は量に基づいて、濃淡階調を再現する種類のものであることに留意する。このスクリーニングは、デジタル式の再現に利用される主流の種類のスクリーニングである。
【0016】
本発明の模範的実施形態では、基板は、例えば、ナノ多孔質の又はマイクロ多孔質の、被覆された又は被覆されていない、光沢のある、半光沢の、つやのある、つや消しの基板と、重量のある又は軽量の紙と、不透明又は透明の、処理された又は未処理のフィルムとを含む。そのように、濃淡階調を調節することにより、又は、適切な明るさを作り出す適切な基板を選択することにより、あらゆるレベルの金属質の外観に整合し得る試し刷りを作成することができる。濃淡階調と基板とのそのような組み合わせは、例えば、サン・ケミカル社のスマートカラー(登録商標)総合色合いライブラリのような、色ライブラリを利用して選択され得る。
【0017】
その上、本発明の模範的実施形態では、模範的な確率的インクジェット印刷のプロセス中にプロセスインクが少量だけ金属インクと混合されるときに、又は、金属インクの表面の下に又は上にプロセスインクが印刷されるときに、金属質の外観は、色合いも変わる。
【0018】
簡単な確率的階調表現を利用して、銀のような連続的に反射性の高い金属基板から酸化アルミニウムのようなつやの弱い表面へ、インクジェットで印刷される金属着色インクの外観を変化させ得るシステムが、開示される。インクは、例えば、銀、金、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、プラチナ、インジウム、錫、亜鉛、チタン、クロム等のような金属群からの顔料を含み得る。これは、デザイン検証と原寸物試し刷りを組み上げ得るインクジェット基盤型検査校正システム内で金属インクを利用するパッケージング印刷のあらゆる効果を定量化し、ほぼ再現することができる。前述のように、濃淡階調として印刷される場合、基板の色及び光沢は、金属質の印刷の外観に影響を与える。基板表面の光沢と色を調節することにより、極めて光沢のある外観又は暗い外観を作り出し、黄色がかったものから青みがかったものへ、又は、赤みがかったものから緑がかったものへ色調を変えることができ、銀からアルミニウム又は真鍮へ、及び、明るい銅又は金から酸化した青銅へ外観を変えることができる。基板は、ナノ多孔質又はマイクロ多孔質、被覆された又は被覆されていない、光沢のある、半光沢の、つやのある、つやのない基板と、重量のある又は軽い紙と、不透明又は透明の、処理された又は未処理のフィルムとを含み得る。
【0019】
本発明の模範的実施形態では、金属質の印刷の異なる色の外観の結果は、そのように得られる。開示されたシステムでは、色合いを加えて又は加えずに、反射性の高い金属からつやの少ない表面へ、インクジェット印刷金属着色インクの外観を変えることができる。
【0020】
模範的実装では、インクジェット用のインク水性製剤の中に組み入れられた本発明のインクジェット用の銀ナノ粒子は、異なる種類の基板上に形成された。代わりに、例えば、この校正プロセスは、溶剤系又はUV硬化性インクシステムでも利用され得る。基板上にインクを堆積するために、圧電ヘッド式インクジェット技術が利用されたが、他の全ての種類のインクジェット印刷ヘッドも利用することができた。基板は、インクジェットを受容する被覆層を有する光沢の高い写真紙から、銀ナノ粒子を有する水性インクジェット用のインクを受け入れるように処理された表面を有するフィルム基板まで異なる。模範的実施形態では、圧電ヘッド式インクジェットプリンタは、インクジェットプリンタ内に別個にあるインクチャンネルを制御し、調節することができるように、走査画像プロセッサにより駆動される。RIP−走査画像プロセッサは、プリンタ内に個別のチャンネルとして存在するインクを制御し、駆動することができ、操作者は、基板上に配置されるインクの量を完全に制御することができる。
【0021】
金属質の外観は、半光沢の質感を持たせた紙上の、極めて明るい金属仕上げのほぼ鏡状の明暗に構成された金属質の外観から、つや消し基板上の暗い外観まで異なった。金属質の外観は、1つの経路上に金属インクを噴射し、別の経路を用いて下被膜又は上被膜を印刷するときに、最良の結果をもたらす。
【0022】
異なる濃淡被覆度を選択する場合、異なる外観を得ることができる。あまり光沢のない表面は、インクの割合を低くして作り出され得る。金属質の効果は、プロセスカラー又はスポットカラーのどちらか、若しくは、これらの組み合わせを極めて低い被覆度で利用して、前層を印刷し、次の工程でその上面に金属インクを噴射することにより、異なる色の有無でも、変更され得る。
【0023】
本発明のシステム及び方法により、デザイン検証と原寸物試し刷りを組み上げ得るインクジェット基盤型検査校正システム内で金属インクを利用する、あらゆるパッケージ印刷効果を定量化し、ほぼ再現することができる。
【0024】
本発明の模範的実施形態では、SPOT、顧客又はデザイナが与える金属色へ金属質の外観を整合することは、階調表現、CMYKの下刷り又は重ね刷りを利用して、又は、以下に記載されるように基板を変えて、金属の外観を調節することと組み合わせて実施され得る。本発明による模範的実施形態では、そのような最適な整合のために、例えば、ニュージャージー州、パーシパニーのサン・ケミカル社により提供されるスマートカラー(登録商標)総合色合いライブラリのような、実色インク印刷と、複数の作業基板上に様々なフィルム重量又は版回数で印刷された階調スケールとの両方が納められている、色合いライブラリ内に含まれる情報を利用することができる。
【0025】
色合いライブラリから得られる色情報の適用及び通信/伝達の創出は、以前の特許の中に、本明細書との共通の割り当てのもとで開示されている。例えば、米国特許第7,034,960号は、実色のライブラリがどのように形成されるかを記載し、米国特許第7,202,976号は、色がどのようにして色合いライブラリから電子的に伝達されるのかを開示し、米国特許第7,268,918号は、2つ以上の色合いライブラリを同時に利用して、インクと少なくとも1つの他の材料(プラスチック、塗料、布、紙)で固有の色を作り出す場合に、その分節性をどのように制御するかを開示した。同様に、同時係属中の米国特許出願第11/732,086号(米国特許出願公開番号2007/0263249号)は、色合いライブラリに濃淡色を加えることを開示する。これにより、これらの3つの米国特許の開示とこの同時係属中の公開された特許出願は、本明細書に参照としてそのまま組み込まれている。
【0026】
本発明の模範的実施形態では、電算化された、複数の特定の色表式を有する色合いライブラリを利用して、実色と、完全な階調性(中実)と印刷されていない基板との間の1つ以上の濃淡階調の両方に対して、製造基準に同時に整合する金属質の表式を見出すことができる。これは、例えば、データベース等のそのように電算化された色合いライブラリがデータ構造内に格納されている場所で、簡易なコンピュータ検索をライブラリ上で実行し、データベースに記録を要求することにより達成され得、前記データベースは、実色印刷と、特定の作製基板(例えば、透明フィルム、不透明フィルム、ボード、紙等)を利用した特定の印刷プロセスから印刷される濃淡色との両方に適した色座標(CIE L*a*b又はCIE XYZ)を有する。これらの点の各々で所望の色に整合するこの表式は、物質の固有の組成になる。
【0027】
そのようなデータベースでは、各記録は、例えば、インク表式、着色剤及び樹脂の組み合わせ、インク及び基板のスペクトル反射率、インク実色(100%色調)及び10%段階毎に0%に至るまでのインク色の色値(XYZ及びCIELAB)を含み得る。そのようなデータベースでは、濃淡は、%(0%〜100%)で特定され得るが、例えば、8ビット整数(0〜255)としても与えられ得る。
【0028】
実色及び様々な濃淡階調の両方で、所与のSPOT色に整合する適切な金属質のインク表式が得られた後に、金属質の外観は、上に記載されて、以下の実施例1〜3に例示されるような、1つ以上の技術を利用して調節され得る。これに関しては、例えば、米国特許出願公開番号第2007/0263249号に開示されるように、例えば、ナノシルバーインクを利用して金属色を単に印刷する場合、オフセット印刷又はグラビア印刷に基づいた実際のパッケージ印刷に適合しない外観を得ることになることに留意する。しかしながら、ここに開示された技術を利用して、下地の色又は濃淡レベル又はそれらの両方を変えることにより、パッケージの外観を系統的に変更して、通常の商用面で所望される外観に似た外観を得ることができる。
【0029】
本発明の模範的実施形態では、米国特許第7,034,960号、米国特許第7,202,976号、米国特許第7,268,918号又は米国特許出願第11/732,086号(米国特許出願番号第2007/0263249号)のいずれかに記載されるようなシステムを利用して、整合する金属色を得ることができ、その外観は、本開示の技術を利用して変えることができる。
【0030】
以下の実施例は、銀金属インクを利用した本発明の特定の模範的実施形態を示す。これらの実施例は、単なる実例であり、限定するものとして解釈されるべきではないと理解される。
【0031】
実施例1:異なる多孔性の基板上の銀金属インク−中実な区画
【0032】
異なる金属質の反射性の外観は、異なる多孔性の基板の上に、銀粒子を含むインクをインクジェット印刷することにより得られた。基板として、光沢ある写真紙、半光沢の基板、及びつや消し紙が含まれた。金属インクは、ディマティクス社インクジェット印刷ヘッドを利用して基板上に印刷されるインクであった。100%の中実な区画が、金属インクを用いて異なる基板上に印刷された。異なる基板上に中実に印刷された区画の金属質の外観は、観察される際に著しく変化する。留意するべきことは、様々な角度の入射での反射率を検討し、鏡面反射の(鏡状の)反射方向を付近で見ることにより、金属質の外観を作り出すことができることである。しかしながら、この効果は、2次元画像での捕獲が難しい。
【0033】
球体形状のエックスライト社のSP64分光器モデルを利用して、鏡面反射、鏡状の反射を含む(SPIN)及びそれを除外した(SPEX)、試料の反射特性を測定した。SPIN測定とSPEX測定との間の相違又は不一致は、鏡面反射の視野角がある又はない場合、反射特性が異なるという証明を与える。SPINとSPEXとの間の差が大きくなるにつれて、表面は輝くようになる。図1a及び1bで理解できるように、基板の光沢が減少するにつれて、SPIN対SPEXで測定された区画間の差が減少し、それは、印刷された区画の外観が、選択された基板の特性に応じて変わることを意味する。
【0034】
留意するべきことは、図1に示されるように、SPIN反射は、スペクトルの赤色端に向けてより高くなることである。これは、インクが下に置かれ、ドットが顔料の個別の離散点であるためである。SPINは、鏡状の表面反射を含み、SPEXは、拡散又は散乱反射のみを含む。小粒子からの散乱は、波長に逆依存しているので、短波長は、(スペクトルの赤色端に、つまり、600nm〜700nmに見られる)長波長よりも散乱されやすい。SPINモードでは、長波長の大方の鏡面反射光が得られるのに対し、短波長では、鏡面反射光は、あまり反射されず、より多くの拡散反射光が得られる。
【0035】
例2:異なる多孔性の基板上の銀金属インク−5%濃淡階調
【0036】
第2の技術では、異なる金属質の反射性の外観が、異なる多孔性の様々な基板の上に、銀ナノ粒子を含むインクを様々な濃淡階調でインクジェット印刷することにより得られた。利用された基板は、光沢のある写真紙、半光沢の紙、及びつや消し紙を含む。金属インクが、ディマティクス社のインクジェット印刷ヘッドを利用して、基板上にインクジェット印刷された。5%階調から成る濃淡階調での0%〜100%の濃淡階調区画が、異なる基板上に金属インクで印刷された。
【0037】
球体形状のエックスライトSP64分光器モデルを利用して、実施例2で印刷された試料の鏡面反射を含む(SPIN)及び鏡面反射を除外した(SPEX)反射特性を測定した。光沢のある基板に対する図2a及び2b及び半光沢の基板に対する図2c及び2dで理解できるように、SPIN対SPEX測定での鏡面反射応答は、濃淡被覆度で変化する。この傾向は、4つの異なる濃淡被覆度、100%、75%、50%及び25%を用いて示される。明確に理解できるように、SPINとSPEXとの間の差は、100%の濃淡で最大であり、25%の濃淡で最小である。従って、低い割合の濃淡値で印刷することにより、より弱い「輝き」の質感を得ることができる。
【0038】
実施例3:異なる多孔性の基板上の銀金属インクの下方に色付けされたインク
【0039】
第3の技術では、異なる金属質の反射性の外観が、着色ナノ粒子を含む色インクをインクジェット印刷し、続いて、異なる多孔性の基板上に、銀ナノ粒子を含むインクをインクジェット印刷することにより得られた。基板として、光沢のある写真紙、半光沢の紙、及びつや消し紙が含まれた。5%と10%の濃淡値の色インクが、基板上にインクジェット印刷された。金属インクは、圧電式インクジェット印刷ヘッドを利用して、前印刷された基板上に(前記色濃淡で)インクジェット印刷された。異なる基板上に印刷された区画のスペクトル特性と金属質の外観は、観察時に異なった。
【0040】
球体形状のエックスライト社のSP64分光器モデルを利用して、図3〜5中の、印刷された試料の鏡面反射を含む(SPIN)及び鏡面反射を除外した(SPEX)反射特性を測定した。図3は、銀インクの濃淡階調下の5%のシアン底色の効果を示し、図4は、銀インクの濃淡階調下の10%シアン底色の効果を示し、図5は、銀インクの濃淡階調下の10%マゼンタ底色の効果を示す。図3〜5で理解できるように、SPIN測定対SPEX測定のスペクトルの差は、金属インクで印刷する前に利用される色インクが異なることで変わる。これらの図で理解できるように、25%の金属質の銀の濃淡は、スペクトルの紫色端では最も反射性があり、スペクトルの赤色端ではわずかしか反射性がないが、100%の金属質の銀の濃淡に近い。これは、銀インクの低い(ここでは25%の)濃淡値では、緑色及び黄色波長で反射する下色のシアンが、より目に見えることになるからである。
【0041】
他のCMYKが異なる濃淡の割合で利用される場合、効果として、銀で印刷された区画は、利用されるCMYKの濃淡値の量に基づいて、それぞれ、青/シアンの色合い、ピンク/マゼンタの色合い、黄/金の色合い又は暗い/黒の色合いになる。
【0042】
上述の実施例で例示されるような、様々な技術及びそれらの様々に可変のパラメータを仮定し、本発明の模範的実施形態において、1つ以上のこれらの技術を利用して、例えば、オフセット印刷又はグラビア印刷の外観に整合するような、最終的な又は要求される整合を得ることができる。本発明のシステム及び方法は、従って、コンバータ/プリンタが、例えば、印刷の購入者が期待するものを定めるように、最終製品の外観を捉え、伝達すること目的とした校正プロセスを容易にする。
【0043】
図6は、本発明の模範的実施形態のプロセスの流れ図を示す。それに関して、601で、プロセスは開始する。605では、様々なデザイナ又はSPOT色を利用して、基板上に印刷されるように提案された画像が、受信され、検討される。これは、例えば、提案されたパッケージか、又は、場合によりその上に通常印刷される他のいずれかの基板であり得る。記載を容易にするために、以下に、図6を記述する際は、パッケージの実施例を示す。例えば、605では、提出されるパッケージの提案される外観が検討され得る。610では、金属色が望まれる場合に、その外観が定められ得る。そうではない場合、本発明の技術は必要とされないので、プロセスは、670で終了する。他方、提案されるパッケージに金属色が必要とされる場合、例えば、プロセスの流れは、615に続き、先に進む。
【0044】
615では、例えば、パッケージの色合いが定められ、620では、それが無色であるのか又は色付けされているのかを判定され得る。色付けされている場合、プロセスの流れは、625に移る。他方、無色の場合、プロセスの流れは、640に移る。
【0045】
625及び635では、例えば、色合いが選択され、印刷され得る。640では、印刷の光沢レベルを設けることができ、645では、金属インクの濃淡値を推定することができる。650では、選択された濃淡が印刷され、655では、印刷された金属色の外観が評価され得る。許容可能である場合、プロセスの流れは、670で終了する。許容可能ではない場合、プロセスの流れは、655で、635に戻り、全て上に記載されているように、下層の色合いが基板上に印刷され、次に、640で光沢レベルが選択され、645で金属色の濃淡値が選択される。
【0046】
図6に示されるプロセスの流れに関連して留意するべきことは、物理的な基板上で金属インクがどのように見えるかという電子的な印象を電子ディスプレイ上で作り出すのは難しいが、デジタルファイルが、数式を受け入れ得ることである。実際のパッケージは、必ずしもデザインは校正されないが、求められる外観を有する。プロセスは、例えば、デジタルファイル内にパントンスウォッチをビット状に入力することである。そのファイルには、パントン色に対する参照があるが、デザイナ又は他の利用者は、外部の実例に基づいて外観を判断する。そのように、655での「外観OK」工程は、実際に印刷されたパッケージを見ることを含むが、以前の工程は、全て、デジタルの範囲で動作する。従って、655での外観OKから635での色合い印刷に戻るループがあり、そのループは、外観がOKではない場合、655で実行される。実際には、650を介しての635のような、実際の基板上で繰り返して印刷する場合にのみ、所望の輝きと濃淡を有する所望の金属インクに対する100%の整合を得ることができる。
【0047】
本発明は、その特定の模範的実施形態に関して記載されたが、多くの他の変更、修正及び他の利用は、当業者に明らかである。従って、本発明が、本明細書内の特定の開示内容により限定されず、付属の請求項のみにより限定されることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
校正用途において所望の結果に適合するように、印刷される金属インクの外観を調節する方法であって、
金属インクの濃淡レベルと、
基板表面の特性と、
他の非金属色インクの有無と
のうちの少なくとも1つを変化させることを含む、方法。
【請求項2】
前記濃淡レベルの変化が、確率的な階調印刷を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板表面の特性が、光沢、半光沢及びつや消しのうちの1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記他の非金属色インクの有無が、CMYKの濃淡値での前記金属インクの下刷りを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記CMYK色がシアンであり、前記濃淡値が5%及び10%のうちに1つである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記CMYK色がマゼンタであり、前記濃淡値が5%及び10%のうちの1つである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記金属インク及びいずれかのCMYKインクが、インクジェット印刷を利用して、前記基板上に印刷される、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ジェットインクプリンタが、熱インクジェット印刷、圧電式インクジェット印刷及び連続インクジェット印刷のうちの1つを実行する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記基板が、ナノ多孔性又はマイクロ多孔性の、被覆された又は被覆されていない、光沢のある、半光沢の、つやのある、つや消しの基板と、重量のある又は軽量の紙と、不透明又は透明の、処理された又は未処理のフィルムのうちの1つであって、前記金属インクが、銀、金、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金、インジウム、錫、亜鉛、チタン、クロムのうちの1つからの顔料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
金属インクの変化する外観のためのシステムであって、
確率的階調印刷を利用して印刷するように配置されるインクジェットプリンタと、
様々な光沢の基板と、
一組の非金属色インクと、
少なくとも1つの金属インクと
を含み、
所望の金属質の濃淡に整合するように、前記インクジェットプリンタが、操作中に、定められた光沢の基板上に、定められた濃淡で前記金属インクを印刷する、システム。
【請求項11】
前記インクジェットプリンタが、熱インクジェット印刷、圧電式インクジェット印刷及び連続インクジェット印刷のうちの1つを利用する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記色合い/色外観を調節するために、前記金属インクの下方に、少なくとも1つの色インクの網点を最初に印刷すること更に含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記色合い/色外観を調節するために、前記金属インクと同時に、少なくとも1つの色インクを確率的に印刷することを更に含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
データプロセッサ及びディスプレイを更に含む、請求項10〜13のうちの1項に記載のシステム。
【請求項15】
操作中に、前記基板、前記金属インクの濃淡値及び任意の下刷り色インクの濃淡値が、前記データプロセッサ及びディスプレイを介して利用者により定められる、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
印刷される金属インクの外観を所望の結果に整合させる方法であって、
印刷される基板の外観を示すデジタル情報を受信することと、
前記外観が金属色を有するかを判定することと、
前記外観が、前記金属色以外に色合いを有するかを判定することと、
色合いを選択し、印刷することと、
前記基板の光沢レベルを選択することと、
前記選択された光沢レベルを作り出すために、濃淡値を推定することと、
前記金属色を印刷することと
を含む、方法。
【請求項17】
前記印刷された金属色を評価し、許容可能でない場合、
色合いを選択し、印刷することと、
前記基板の光沢レベルを選択することと、
前記選択された光沢レベルを作り出すために、濃淡値を推定することと、
前記印刷された金属色の外観が許容され得るまで、前記金属色を印刷する
を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
色合いを選択することと、光沢レベルを選択することと、濃淡値を推定することのうちの1つが、デジタルコンピュータ又はデータプロセッサを利用して実行される、請求項16及び17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記印刷が、インクジェットプリンタを利用して行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記インクジェットプリンタが、熱インクジェット印刷、圧電式インクジェット印刷及び連続インクジェット印刷のうちの1つを利用する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記基板が、ナノ多孔性又はマイクロ多孔性、被覆された又は被覆されていない、光沢のある、半光沢の、つやのある、つやのない基板と、重量のある又は軽量の紙と、不透明の又は透明の、処理された又は未処理のフィルムのうちの1つであり、前記金属インクが、銀、金、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金、インジウム、錫、鉛、チタン、クロムのうちの1つからの顔料を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項22】
前記基板が、ナノ多孔性又はマイクロ多孔性の、被覆された又は被覆されていない、光沢のある、半光沢の、つやのある、つや消しの基板と、重量のある又は軽量の紙と、不透明の又は透明な、処理された又は未処理のフィルムのうちの1つであり、前記金属インクが、銀、金、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金、インジウム、錫、鉛、チタン、クロムのうちの1つからの顔料を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項1】
校正用途において所望の結果に適合するように、印刷される金属インクの外観を調節する方法であって、
金属インクの濃淡レベルと、
基板表面の特性と、
他の非金属色インクの有無と
のうちの少なくとも1つを変化させることを含む、方法。
【請求項2】
前記濃淡レベルの変化が、確率的な階調印刷を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板表面の特性が、光沢、半光沢及びつや消しのうちの1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記他の非金属色インクの有無が、CMYKの濃淡値での前記金属インクの下刷りを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記CMYK色がシアンであり、前記濃淡値が5%及び10%のうちに1つである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記CMYK色がマゼンタであり、前記濃淡値が5%及び10%のうちの1つである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記金属インク及びいずれかのCMYKインクが、インクジェット印刷を利用して、前記基板上に印刷される、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ジェットインクプリンタが、熱インクジェット印刷、圧電式インクジェット印刷及び連続インクジェット印刷のうちの1つを実行する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記基板が、ナノ多孔性又はマイクロ多孔性の、被覆された又は被覆されていない、光沢のある、半光沢の、つやのある、つや消しの基板と、重量のある又は軽量の紙と、不透明又は透明の、処理された又は未処理のフィルムのうちの1つであって、前記金属インクが、銀、金、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金、インジウム、錫、亜鉛、チタン、クロムのうちの1つからの顔料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
金属インクの変化する外観のためのシステムであって、
確率的階調印刷を利用して印刷するように配置されるインクジェットプリンタと、
様々な光沢の基板と、
一組の非金属色インクと、
少なくとも1つの金属インクと
を含み、
所望の金属質の濃淡に整合するように、前記インクジェットプリンタが、操作中に、定められた光沢の基板上に、定められた濃淡で前記金属インクを印刷する、システム。
【請求項11】
前記インクジェットプリンタが、熱インクジェット印刷、圧電式インクジェット印刷及び連続インクジェット印刷のうちの1つを利用する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記色合い/色外観を調節するために、前記金属インクの下方に、少なくとも1つの色インクの網点を最初に印刷すること更に含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記色合い/色外観を調節するために、前記金属インクと同時に、少なくとも1つの色インクを確率的に印刷することを更に含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
データプロセッサ及びディスプレイを更に含む、請求項10〜13のうちの1項に記載のシステム。
【請求項15】
操作中に、前記基板、前記金属インクの濃淡値及び任意の下刷り色インクの濃淡値が、前記データプロセッサ及びディスプレイを介して利用者により定められる、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
印刷される金属インクの外観を所望の結果に整合させる方法であって、
印刷される基板の外観を示すデジタル情報を受信することと、
前記外観が金属色を有するかを判定することと、
前記外観が、前記金属色以外に色合いを有するかを判定することと、
色合いを選択し、印刷することと、
前記基板の光沢レベルを選択することと、
前記選択された光沢レベルを作り出すために、濃淡値を推定することと、
前記金属色を印刷することと
を含む、方法。
【請求項17】
前記印刷された金属色を評価し、許容可能でない場合、
色合いを選択し、印刷することと、
前記基板の光沢レベルを選択することと、
前記選択された光沢レベルを作り出すために、濃淡値を推定することと、
前記印刷された金属色の外観が許容され得るまで、前記金属色を印刷する
を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
色合いを選択することと、光沢レベルを選択することと、濃淡値を推定することのうちの1つが、デジタルコンピュータ又はデータプロセッサを利用して実行される、請求項16及び17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記印刷が、インクジェットプリンタを利用して行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記インクジェットプリンタが、熱インクジェット印刷、圧電式インクジェット印刷及び連続インクジェット印刷のうちの1つを利用する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記基板が、ナノ多孔性又はマイクロ多孔性、被覆された又は被覆されていない、光沢のある、半光沢の、つやのある、つやのない基板と、重量のある又は軽量の紙と、不透明の又は透明の、処理された又は未処理のフィルムのうちの1つであり、前記金属インクが、銀、金、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金、インジウム、錫、鉛、チタン、クロムのうちの1つからの顔料を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項22】
前記基板が、ナノ多孔性又はマイクロ多孔性の、被覆された又は被覆されていない、光沢のある、半光沢の、つやのある、つや消しの基板と、重量のある又は軽量の紙と、不透明の又は透明な、処理された又は未処理のフィルムのうちの1つであり、前記金属インクが、銀、金、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金、インジウム、錫、鉛、チタン、クロムのうちの1つからの顔料を含む、請求項18に記載の方法。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6】
【公表番号】特表2012−501885(P2012−501885A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526245(P2011−526245)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/056097
【国際公開番号】WO2010/028285
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(507385165)サン ケミカル コーポレイション (17)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/056097
【国際公開番号】WO2010/028285
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(507385165)サン ケミカル コーポレイション (17)
【Fターム(参考)】
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