説明

標本および標本作製方法

【課題】管理が容易で、保存場所を簡易かつ迅速に特定することができる標本管理システムによる管理に適した標本を提供する。
【解決手段】標本管理システム10は、標本情報SIを入力可能な標本情報入力部12と、入力された標本情報SIを記憶可能な標本情報記憶部14と、記憶された標本情報SIの少なくとも一部を標本データSDとして出力可能な標本データ出力部16と、出力された標本データSDが付与される標本SPを保管する保管部18と、標本SPに付与された標本データSDと保管部18に付与された識別番号IDとを取得して外部に送信可能な送信部20と、これらを受信し、標本情報SIと識別番号IDを関連付けして標本情報記憶部14に記録する保管場所記録部22と、標本情報SIに基づいて保管部18の識別番号IDを検索し、標本SPが保管されている保管部18を特定する保管場所特定部24と、を有して構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標本管理システムによる管理に適した標本および標本の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、研究施設や病院等においては、研究や病理診断の材料として多種多様な標本を収集し、管理を行っている。このような研究や病理診断等に用いられる標本は、日々の収集により種類や数が著しく増大するため、標本に関する情報を記載した標本ラベル等を用いて標本を管理する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−221199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来の管理方法では、数万から数百万種類にも及ぶ膨大な数の標本の管理には限界があり、特に、脳標本は、標本の数が他の種類の標本に比べて多くなる傾向があるため、標本の管理が極めて困難であるといった問題点があった。
【0004】
また、従来の管理方法では、標本の保管場所を迅速に特定することができず、研究や病理診断において所望の標本の出し入れに多大な時間を要してしまうといった問題があった。そのため、例えば、脳標本を凍結生標本として収集した場合、保管場所からの出し入れの際に凍結生標本が解凍され、タンパク質やメッセンジャーRNAの収量が悪化してしまうケースも考えられ、標本としての価値が著しく低下してしまうおそれもあった。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、管理が容易で、保存場所を簡易かつ迅速に特定することができる、標本管理システムによる管理に適した標本を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、下記の本発明に係る標本および標本の作製方法により解決される。
【0007】
(1)すなわち、本発明は、患者から採取された生標本を固定して得られた固定標本から作製されたパラフィンブロックと、前記生標本に関する情報であって少なくとも前記患者の疾病情報および個人情報を含む標本情報の一部又は全部と前記生標本に割り当てられた標本番号とを含む標本データが付与された標本データ付与部と、を有することを特徴とする、標本である。
【0008】
(2)本発明はまた、患者から採取された生標本を固定して得られた固定標本から得られたパラフィンブロックから作製された光学顕微鏡標本と、前記生標本に関する情報であって少なくとも前記患者の疾病情報および個人情報を含む標本情報の一部又は全部と前記生標本に割り当てられた標本番号とを含む標本データが付与された標本データ付与部と、を有することを特徴とする、標本である。
【0009】
(3)本発明はまた、患者から採取された生標本を固定して得られた固定標本から作製された電子顕微鏡用ブロックと、前記生標本に関する情報であって少なくとも前記患者の疾病情報および個人情報を含む標本情報の一部又は全部と前記生標本に割り当てられた標本番号とを含む標本データが付与された標本データ付与部と、を有することを特徴とする、標本である。
【0010】
(4)本発明はまた、パラフィンブロック、光学顕微鏡標本又は電子顕微鏡用ブロックを作製する際に患者から採取された生標本から作製された新鮮凍結生標本と、前記生標本に関する情報であって少なくとも前記患者の疾病情報および個人情報を含む標本情報の一部又は全部と前記生標本に割り当てられた標本番号とを含む標本データが付与された標本データ付与部と、を有することを特徴とする、標本である。
【0011】
(5)本発明はまた、前記標本データ付与部は、1次元バーコードラベル、2次元バーコードラベル、またはICタグであることを特徴とする、(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の標本である。
【0012】
(6)本発明はまた、前記標本データ付与部は、ICタグであり、電子顕微鏡用ブロックの樹脂中に封入されていることを特徴とする、(3)に記載の標本である。
【0013】
(7)本発明はまた、前記生標本は、脳標本であることを特徴とする、(1)ないし(6)のいずれか1項に記載の標本である。
【0014】
(8)本発明はまた、前記標本に関する情報であって少なくとも前記標本が採取された患者の疾病情報および個人情報を含む標本情報を入力する標本情報入力部と、前記標本に標本番号を割り当てる標本番号割当部と、前記標本情報入力部により入力された標本情報の一部又は全部と前記標本番号割当部により割り当てられた標本番号とを含む標本データを出力する標本データ出力部と、を有する標本管理システムにおいて使用されることを特徴とする、(1)ないし(7)のいずれか1項に記載の標本である。
【0015】
(9)本発明はまた、前記標本管理システムは、前記標本情報入力部により入力された標本情報および前記標本番号割当部により割り当てた標本番号を記憶する標本情報記憶部と、前記標本情報記憶部により記憶された標本情報に基づいて前記標本番号を検索し、前記標本を特定する標本特定部と、をさらに有することを特徴とする、(8)に記載の標本である。
【0016】
(10)本発明はまた、前記標本特定部は、病理診断を目的とする検索の場合は前記標本情報のうち前記個人情報に基づく検索を利用可能とし、病理診断を目的としない検索の場合は前記標本情報のうち前記個人情報に基づく検索を利用不可能とするように構成されたことを特徴とする、(9)に記載の標本である。
【0017】
(11)本発明はまた、前記標本特定部は、予め設定されたパスワードの入力があった場合に病理診断を目的とする検索であると判断することを特徴とする、(10)に記載の標本である。
【0018】
(12)本発明はまた、前記標本管理システムは、前記標本データ出力部により出力された標本データを付与した標本を保管する保管部と、前記標本に付与された標本データと前記保管部に付与された識別番号とを取得して外部に送信する送信部と、前記送信部により送信された標本データおよび識別番号を受信し、前記標本情報と前記識別番号を関連付けして前記標本情報記憶部に記録する保管場所記録部と、前記標本情報記憶部により記憶された標本情報に基づいて前記保管部の識別番号を検索し、前記標本が保管されている保管部を特定する保管場所特定部と、をさらに有することを特徴とする、(9)ないし(11)のいずれか1項に記載の標本である。
【0019】
(13)本発明はまた、前記送信部は、前記標本データおよび前記識別番号を無線通信で前記保管場所記録部に送信することを特徴とする、(12)に記載の標本である。
【0020】
(14)本発明はまた、前記標本データは、1次元バーコードデータ、2次元バーコードデータ、または、ICタグに記録された電子データであることを特徴とする、(8)ないし(13)のいずれか1項に記載の標本である。
【0021】
(15)本発明はまた、前記標本情報は、標本を採取した部位の情報、標本の染色体の種類の情報または解剖時の器官の断片画像データをさらに含むことを特徴とする、(8)ないし(14)のいずれか1項に記載の標本である。
【0022】
(16)本発明はまた、患者から採取された生標本を固定して固定標本を作製する手順と、前記固定標本からパラフィンブロックを作製する手順と、前記生標本に関する情報であって少なくとも前記患者の疾病情報および個人情報を含む標本情報の一部又は全部と前記生標本に割り当てられた標本番号とを含む標本データを前記パラフィンブロックに付与する手順と、を有することを特徴とする、標本作製方法である。
【0023】
(17)本発明はまた、前記パラフィンブロックから光学顕微鏡標本を作製する手順と、前記標本データを前記光学顕微鏡標本に付与する手順と、をさらに有することを特徴とする、(16)に記載の標本作製方法である。
【0024】
(18)本発明はまた、患者から採取された生標本を固定して固定標本を作製する手順と、前記固定標本から電子顕微鏡用ブロックを作製する手順と、前記生標本に関する情報であって少なくとも前記患者の疾病情報および個人情報を含む標本情報の一部又は全部と前記生標本に割り当てられた標本番号とを含む標本データを前記電子顕微鏡用ブロックに付与する手順と、を有することを特徴とする、標本作製方法である。
【0025】
(19)本発明はまた、前記生標本から新鮮凍結生標本を作製する手順と、
【0026】
前記標本データを前記新鮮凍結生標本に付与する手順と、をさらに有することを特徴とする、(16)ないし(18)のいずれか1項に記載の標本作製方法である。
【0027】
(20)本発明はまた、前記生標本は、脳標本であることを特徴とする、
(16)ないし(19)のいずれか1項に記載の標本作製方法である。
【0028】
(21)本発明はまた、前記標本は、前記標本に関する情報であって少なくとも前記標本が採取された患者の疾病情報および個人情報を含む標本情報を入力する標本情報入力部と、前記標本に標本番号を割り当てる標本番号割当部と、前記標本情報入力部により入力された標本情報の一部又は全部と前記標本番号割当部により割り当てられた標本番号とを含む標本データを出力する標本データ出力部と、を有する標本管理システムにおいて使用されることを特徴とする、(16)ないし(20)のいずれか1項に記載の標本作製方法である。
【0029】
(22)本発明はまた、前記標本管理システムは、前記標本情報入力部により入力された標本情報および前記標本番号割当部により割り当てた標本番号を記憶する標本情報記憶部と、前記標本情報記憶部により記憶された標本情報に基づいて前記標本番号を検索し、前記標本を特定する標本特定部と、をさらに有することを特徴とする、(21)に記載の標本作製方法である。
【0030】
(23)本発明はまた、前記標本特定部は、病理診断を目的とする検索の場合は前記標本情報のうち前記個人情報に基づく検索を利用可能とし、病理診断を目的としない検索の場合は前記標本情報のうち前記個人情報に基づく検索を利用不可能とするように構成されたことを特徴とする、(22)に記載の標本作製方法である。
【0031】
(24)本発明はまた、前記標本特定部は、予め設定されたパスワードの入力があった場合に病理診断を目的とする検索であると判断することを特徴とする、
(23)に記載の標本作製方法である。
【0032】
(25)本発明はまた、前記標本管理システムは、前記標本データ出力部により出力された標本データを付与した標本を保管する保管部と、前記標本に付与された標本データと前記保管部に付与された識別番号とを取得して外部に送信する送信部と、前記送信部により送信された標本データおよび識別番号を受信し、前記標本情報と前記識別番号を関連付けして前記標本情報記憶部に記録する保管場所記録部と、前記標本情報記憶部により記憶された標本情報に基づいて前記保管部の識別番号を検索し、前記標本が保管されている保管部を特定する保管場所特定部と、をさらに有することを特徴とする、(21)ないし(24)のいずれか1項に記載の標本作製方法である。
【0033】
(26)本発明はまた、前記送信部は、前記標本データおよび前記識別番号を無線通信で前記保管場所記録部に送信することを特徴とする、(25)に記載の標本作製方法である。
【0034】
(27)本発明はまた、前記標本データは、1次元バーコードデータ、2次元バーコードデータ、または、ICタグに記録された電子データであることを特徴とする、(21)ないし(26)のいずれか1項に記載の標本作製方法である。
【0035】
(28)本発明はまた、前記標本情報は、標本を採取した部位の情報、標本の染色体の種類の情報または解剖時の器官の断片画像データをさらに含むことを特徴とする、(21)ないし(27)のいずれか1項に記載の標本作製方法である。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係る標本は、標本の管理が容易で、標本の保存場所を簡易かつ迅速に特定することができるという優れた効果を有する。
【0037】
なお、前記標本に付与される標本データが、2次元バーコードデータ、または、ICタグに記録された電子データであれば、標本データを簡易かつ迅速に読み取ることができ、ICタグの場合には、さらに標本データの読み書きを非接触で行うことができる。
【0038】
また、前記標本情報には、少なくとも、前記標本を採取した生物の病名や症状等の疾病情報が含まれ、前記保管場所特定部が、前記疾病情報に基づいて前記保管部を特定可能に構成されていれば、例えば、病理診断や研究において過去の症例との比較を行う必要がある場合に、アルツハイマー病や多発性硬化症等の病名や症状に関連する標本を容易に特定することができる。
【0039】
また、前記標本情報には、少なくとも、前記標本を採取した患者の氏名や年齢等の個人情報が含まれ、前記保管場所特定部が、病理診断を目的とした利用の場合には前記個人情報に基づく検索が可能に構成され、前記病理診断を目的としない利用の場合には前記個人情報に基づく検索が不可能に構成されていれば、病理診断の場合には、患者の氏名や年齢等、治療に必要な個人情報を取得することができる一方で、病理診断以外の目的で患者の個人情報を不正に取得するような行為を未然に防止することが可能となる。
【0040】
また、前記送信部は、前記標本データおよび前記識別番号を無線通信で前記保管場所記録部に送信可能に構成されていれば、通信線を敷設する手間等が不要となり、標本管理システムの導入が容易となる。
【0041】
また、本発明に係る標本は、標本の数が他の種類の標本に比べて多く、標本の管理が極めて困難な、脳の標本の管理に特に好適である。
【0042】
本発明に係る標本は、前記標本データが記録された2次元バーコードデータ、または、ICタグを備えているため、標本自体に標本に関する標本情報を持たせることができる。そのため、標本を授業等で利用する場合や、大学や施設等へ標本を貸し出す場合に、標本だけを持ち運べばよく、標本の利便性を向上させることができ、標本の種類や数が増えるほど、その利便性は高くなる。
【0043】
また、前記ICタグが、前記標本と共に樹脂に封入されていれば、標本データの読み書きを非接触で行うことができる上に、標本ラベル等を標本に貼り付ける手間が不要となる。また、ICタグは標本を樹脂で固める際に標本と共に封入すればよく、作製も容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係る標本を管理するための標本管理システムについて説明する。
【0045】
図1は、本実施形態に係る標本管理システム10の主要な構成を示す概略構成図である。
【0046】
この標本管理システム10は、標本に関する標本情報SIを入力可能な標本情報入力部12と、この標本情報入力部12によって入力された標本情報SIを記憶可能な標本情報記憶部14と、この標本情報記憶部14に記憶された標本情報SIの少なくとも一部を標本データSDとして出力可能な標本データ出力部16と、この標本データ出力部16によって出力された標本データSDが付与される標本SPを保管する保管部18と、標本SPに付与された標本データSDと保管部18に付与された識別番号IDとを取得して外部に送信可能な送信部20と、この送信部20によって送信された標本データSDおよび識別番号IDを受信し、標本情報SIと識別番号IDを関連付けして標本情報記憶部14に記録する保管場所記録部22と、標本情報記憶部14に記憶された標本情報SIに基づいて保管部18の識別番号IDを検索し、標本SPが保管されている保管部18を特定する保管場所特定部24と、を有して構成されている。
【0047】
標本情報入力部12は、本実施形態では、パーソナルコンピュータ(PC)のキーボードによって構成されるが、本発明に係る「標本情報入力部」は標本に関する標本情報を入力可能なものであればよく、標本情報入力部12としては、例えば、タッチパネル等を適用することもできる。
【0048】
また、この標本情報入力部12によって入力される標本情報SIとしては、例えば、標本の部位(例えば、脳や内臓等)の情報、標本の染色体の種類(例えば、一般染色体や免疫染色体)の情報、標本を採取した生物の病名や症状等の疾病情報、標本を採取した患者(人間)の氏名や年齢等の個人情報等を挙げることができるが、これらの情報に限定されるものではない。
【0049】
標本情報記憶部14は、本実施形態では、PCに内蔵されたハードディスク(HDD)によって構成されるが、本発明に係る「標本情報記憶部」は標本情報入力部12によって入力された標本情報SIを記憶可能なものであればよく、標本情報記憶部14としては、例えば、外付けのハードディスクや、DVDやCD等に代表される光ディスク記録媒体等を適用することもできる。
【0050】
標本データ出力部16は、本実施形態では、標本情報SIの一部を2次元バーコードデータ(標本データSD)として印刷可能なプリンタによって構成され、この標本データ出力部16により2次元バーコードデータが印刷された「標本ラベル」が作成される。なお、本発明に係る「標本データ出力部」は標本情報記憶部14に記憶された標本情報SIの少なくとも一部を標本データSDとして出力可能であればよく、標本データ出力部16としては、例えば、ICタグに標本データの書込みを行う接触式または非接触式のICタグライタ等を適用することもできる。
【0051】
また、この標本データ出力部16によって出力される標本データSDは、2次元バーコードデータに限定されるものではなく、例えば、1次元バーコードデータや、ICタグに記録された電子データ等であってもよい。
【0052】
保管部18は、本実施形態では、複数の標本棚18Aを備えた保冷庫によって構成され、この保冷庫の各標本棚18Aには、各標本棚18Aを識別するための識別番号IDが付与される。なお、識別番号IDの付与の方法は特に限定されないが、本実施形態では、識別番号IDが2次元バーコードデータとして印刷された識別ラベルが、各標本棚18Aに貼り付けられている。また、本発明に係る「保管部」は標本SPが保管可能なものであればよく、保冷庫に限定されるものではない。
【0053】
この保管部18に保管される標本SPとしては、例えば、図2に示されるように、ガラスに貼り付けた形態で顕微鏡のもとで分析される光学顕微鏡(光顕)標本や、このような光顕標本を作製するもととなるもので、病理標本として最適な部位がカッティングされ、ロウの中に封入されたパラフィンブロックや、タンパク質や核酸を採るために生の状態で急速凍結された新鮮凍結生標本や、標本を樹脂(例えば、エポキシ樹脂やアクリル樹脂)で固めて標本の先端を削りだした電子顕微鏡(電顕)用ブロック等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
通常、病理解剖では、脳や臓器のタンパク質の変質を防止するために、取り出した脳や臓器をそのままホルマリン固定液に入れて臓器を固定する。そして、固定した脳や臓器を切り出して、上述のパラフィンブロックや光顕標本を作製する。しかしながら、ホルマリンはタンパク質を強く固定してしまうので、タンパク質や核酸はホルマリンによって変性を起こし、パラフィンブロックや光顕標本からタンパク質や核酸を抽出することはほぼ不可能となってしまう。そのため、病理解剖においては、脳や臓器の少なくとも一部を上述の新鮮凍結生標本として保存することが好ましい。このような新鮮凍結生標本は、研究用としてメッセンジャーRNAやタンパク質の採取等に用いることができるだけでなく、遺伝子解析やタンパク質の映像パターンを得ることもでき、患者の病理診断にも有用である。
【0055】
本実施形態では、標本SPが光顕標本やパラフィンブロックである場合には、上述の標本ラベルが標本SPの表面に直接、貼り付けられることによって、標本SPに標本データSDが付与される。
また、標本SPが新鮮凍結生標本である場合には、標本SPは標本ラベルが貼り付けられた保存容器(例えば、シャーレ)に収容されることによって、標本SPに標本データSDが付与される。
【0056】
さらに、標本SPが電顕用ブロックである場合には、標本SPを固める樹脂の表面に標本ラベルを直接、貼り付けてもよいが、ICタグが標本SPと共に樹脂に封入されていれば、標本データの読み書きを非接触で行うことができる上に、標本ラベル等を標本に貼り付ける手間が不要となる。また、ICタグは標本を樹脂で固める際に標本と共に封入すればよく、作製も容易である。
【0057】
また、標本SPが、標本データSDが記録された2次元バーコードデータ、またはICタグを備えていれば、標本自体に標本情報を持たせることができる。すなわち、標本SPの2次元バーコードデータまたはICタグを2次元バーコードリーダーまたはICタグリーダーで読み取ることにより記録されている標本データSDを簡易に取得できるので、標本を授業等で利用する場合や、大学や施設等への標本を貸し出し等がきわめて容易になり、標本の利便性を向上させることができ、特に標本の種類や数が増えるほど、その利便性は高くなる。
【0058】
また、本発明に係る「標本」の種類は特に限定されないが、本発明に係る標本管理システムによれば、標本の管理が容易で、標本の保存場所を簡易かつ迅速に特定することができるため、標本の数が他の種類の標本に比べて多く、標本の管理が極めて困難な、脳の標本の管理に特に好適である。なお、本発明に係る「脳の標本」には、ある病気で亡くなられた患者が診断確定等の理由で解剖されたときに採取される「部検脳」や、病理組織診断を確定するために生きた患者から手術的に脳の病変部が摘出された「生検脳」が含まれる。
【0059】
さらに、標本SPの採取においては、解剖時の脳や臓器の断片写真等を撮影する場合があるが、このような断片写真等を、本発明に係る標本管理システムによって標本SPと共に管理すれば、病理診断や研究において非常に有用である。
【0060】
図1に戻って、送信部20は、本実施形態では、標本SPに付与された、2次元バーコードからなる標本データSDと、保管部18に付与された、2次元バーコードからなる識別番号IDとを読み取り可能な2次元バーコードリーダーである携帯端末によって構成され、この携帯端末は、取得した標本データSDおよび識別情報IDを光通信で外部に送信可能である。このように、送信部20が、標本データSDおよび識別番号IDを光通信で保管場所記録部22に送信可能に構成されていれば、通信線を敷設する手間等が不要となり、標本管理システム10の導入が容易となる。
【0061】
なお、本発明に係る「送信部」は標本SPに付与された標本データSDと保管部18に付与された識別番号IDとを取得して外部に送信可能なものであればよく、例えば、標本データSDおよび識別情報IDを無線通信または有線通信で外部に送信可能なものでもよい。
【0062】
保管場所記録部22は、送信部20によって送信された標本データSDおよび識別番号IDを光通信ユニット26を介して受信し、標本データSDに基づいて、標本情報記憶部14に記憶されている標本情報SIを特定する。そして、この標本情報SIと、取得した識別番号IDとを関連付けして標本情報記憶部14に記録する。
【0063】
なお、本発明に係る「保管場所記録部」は送信部20によって送信された標本データSDおよび識別番号IDを受信し、標本情報SIと識別番号IDを関連付けして標本情報記憶部14に記録可能なものでさえあれば良く、本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、送信部20から送信されるデータを光通信ユニット26を用いて光通信で受信するように構成したが、送信部から送信されるデータをイーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI、USB、IEEE1394等の規格による有線通信や、Bluetooth(ブルートゥース)、IEEE802.11、HomeRF、IrDA等の規格による無線通信で受信するように構成してもよい。
【0064】
保管場所特定部24は、標本情報記憶部14に記憶された標本情報SIに基づいて保管部18の識別番号IDを検索し、標本SPが保管されている保管部18の標本棚18Aを特定する。なお、本発明に係る「保管場所特定部」は標本情報記憶部14に記憶された標本情報SIに基づいて保管部18の識別番号IDを検索し、標本SPが保管されている保管部18の標本棚18Aを特定可能なものであれば良く、本実施形態に限定されるものではない。
【0065】
次に、本実施形態に係る標本管理システム10の作用について説明する。
【0066】
図3は標本管理システム10で用いられるソフトウエアのメインメニュー画面の一例を示したものである。
【0067】
標本管理システム10では、このソフトウエアを用いて、各種標本に関する標本情報の入力や、標本ラベルの作成、標本情報の検索等を行うことが可能となっている。
【0068】
標本管理システム10を使用する使用者は、まず、メインメニュー画面に表示される「標本ラベル情報登録」、「標本ラベル情報照会」、「マスタメンテナンス」のアイコンの中から、いずれか1つを選択する。
【0069】
例えば、メインメニュー画面において「標本ラベル情報登録」のアイコンが選択された場合には、図4に示されるような、標本ラベルの種類を選択するための標本ラベル選択画面が表示される。
【0070】
使用者は、この標本ラベル選択画面に表示される「解剖例」、「手術」、「動物」のアイコンの中から、いずれか1つを選択する。
【0071】
例えば、標本ラベル選択画面において「解剖例」のアイコンが選択された場合には、図5に示されるような、解剖例用の標本に関する標本情報を登録するための解剖例標本登録画面が表示される。また、標本ラベル選択画面において「手術」のアイコンが選択された場合には、図6に示されるような、手術用の標本に関する標本情報を登録するための手術標本登録画面が表示される。さらに、標本ラベル選択画面において「動物」のアイコンが選択された場合には、図7に示されるような、動物用の標本に関する標本情報を登録するための動物標本登録画面が表示される。
【0072】
図5に示される解剖例標本登録画面では、標本情報入力部12を用いて、症例番号、「脱灰」の文字の印刷の有無、脳の部位(例えば、脳幹や前頭葉等)、内臓器の部位(例えば、心臓や胃等)、染色名(一般染色または免疫染色)、備考等の、解剖例の標本に関する標本情報SIが入力可能となっている。なお、標本情報SIの入力が終了し、「登録」のアイコンが選択された場合には、標本番号に1〜999999999までのユニークな数値が自動的に割り当てられると共に、入力された標本情報SIが標本情報記憶部14に記憶される。また、「スライドラベル印刷」や「ブロックラベル印刷」のアイコンが選択された場合には、入力された標本情報SIの一部または全てが2次元バーコードデータに変換された後、標本データ出力部16によって解剖例用の標本ラベルが印刷される。
【0073】
図6に示される手術標本登録画面では、標本情報入力部12を用いて、検体番号、「脱灰」の文字の印刷の有無、染色名(一般染色または免疫染色)、処理方法、希釈倍率、日付、備考等の、手術用の標本に関する標本情報SIが入力可能となっている。なお、標本番号の数値の割り当て方法や、「スライドラベル印刷」および「ブロックラベル印刷」のアイコンの機能については、上述の解剖例標本登録画面と同一である。また、図7に示される動物標本登録画面は、この手術標本登録画面と同一の構成であるため、その説明は省略する。
【0074】
また、送信部20から標本データSDおよび識別番号IDを受信した場合には、保管場所記録部22が、受信した標本データSDに基づいて、標本情報記憶部14に記憶されている標本情報SIを特定すると共に、この標本情報SIと、取得した識別番号IDとを関連付けして標本情報記憶部14に記録する。
【0075】
図3に戻って、メインメニュー画面において「標本ラベル情報照会」のアイコンが選択された場合には、図8に示されるような、標本情報を検索するための標本ラベル情報検索画面が表示される。
【0076】
使用者は、この標本ラベル情報検索画面を用いて、解剖例、手術、および動物の標本に関する標本情報SIを検索することができる。例えば、標本番号を入力した後、「検索」のアイコンを選択することによって、図9に示されるような標本ラベル情報検索結果画面が表示され、標本番号から症例/検体番号、部位、染色名等の標本情報を取得することができる。また、図示はしないが、「検索」のアイコンが選択された場合、上述の保管場所特定部24は、標本情報記憶部14に記憶された標本情報SIに基づいて保管部18の識別番号IDを検索し、標本SPが保管されている保管部18の標本棚18Aを特定して、標本ラベル情報検索画面に標本棚18Aの名称や番号を表示する。これにより、標本管理システム10の利用者は、標本番号や病名、症例等から標本SPの保管場所を簡易かつ迅速に特定することができる。
【0077】
なお、保管場所特定部24が、病理診断を目的とした利用の場合には個人情報に基づく検索が可能に構成され、病理診断を目的としない利用の場合には個人情報に基づく検索が不可能に構成されていれば(例えば、パスワードの入力があった場合のみ個人情報に基づく検索が可能とすれば)、病理診断の場合には、患者の氏名や年齢等、治療に必要な個人情報を取得することができる一方で、病理診断以外の目的で患者の個人情報を取得するような不正行為を未然に防止することが可能となる。
【0078】
なお、メインメニュー画面における「マスタメンテナンス」では、標本の部位、染色名、処理方法、希釈方法等のマスタデータの登録、追加、削除等が可能となっている。
【0079】
以上説明したように、本実施形態に係る標本管理システム10は、標本に関する標本情報SIを入力可能な標本情報入力部12と、この標本情報入力部12によって入力された標本情報SIを記憶可能な標本情報記憶部14と、この標本情報記憶部14に記憶された標本情報SIの少なくとも一部を標本データSDとして出力可能な標本データ出力部16と、この標本データ出力部16によって出力された標本データSDが付与される標本SPを保管する保管部18と、標本SPに付与された標本データSDと保管部18に付与された識別番号IDとを取得して外部に送信可能な送信部20と、この送信部20によって送信された標本データSDおよび識別番号IDを受信し、標本情報SIと識別番号IDを関連付けして標本情報記憶部14に記録する保管場所記録部22と、標本情報記憶部14に記憶された標本情報SIに基づいて保管部18の識別番号IDを検索し、標本SPが保管されている保管部18を特定する保管場所特定部24と、を有して構成されているため、標本の保存場所を簡易かつ迅速に特定することができる。また、パラフィンブロック、光顕標本、電顕用ブロック、新鮮凍結生標本等の多種多様で膨大な数の標本を容易に管理することができる。
【0080】
また、標本SPに付与される標本データSDは、2次元バーコードデータ、または、ICタグに記録された電子データであるため、標本データを簡易かつ迅速に読み取ることができ、ICタグの場合には、さらに標本データの読み書きを非接触で行うことができる。
【0081】
さらに、標本情報SIには、少なくとも、標本SPを採取した生物の病名や症状等の疾病情報が含まれ、保管場所特定部24が、生物の疾病情報に基づいて保管部18を特定可能に構成されているため、例えば、病理診断や研究において過去の症例との比較を行う必要がある場合に、アルツハイマー病や多発性硬化症等の疾病情報に関連する標本を容易に特定することができる。
【0082】
本発明による標本管理システムおよび標本管理方法は、上記各手順を実行するための専用のハードウエア回路によっても、また、上記各手順を記述したプログラムをCPUが実行することによっても実現することができる。後者により本発明を実現する場合、標本管理システムを動作させる上記プログラムは、フロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ROMやハードディスク等に転送され記憶される。また、このプログラムは、たとえば、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、標本管理システムの一機能としてその装置のソフトウエアに組み込んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明に係る標本は、生物の各種標本として用いることができるが、特に脳標本として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施形態に係る標本を管理するための標本管理システムの主要な構成を示す概略構成図である。
【図2】同標本管理システムで管理される標本の一例を示した図である。
【図3】同標本管理システムで用いられるソフトウエアのメインメニュー画面の一例を示したものである。
【図4】同標本管理システムにおける標本ラベル選択画面の一例を示したものである。
【図5】同標本管理システムにおける解剖例標本登録画面の一例を示したものである。
【図6】同標本管理システムにおける手術標本登録画面の一例を示したものである。
【図7】同標本管理システムにおける動物標本登録画面の一例を示したものである。
【図8】同標本管理システムにおける標本ラベル情報検索画面の一例を示したものである。
【図9】同標本管理システムにおける標本ラベル情報検索結果画面の一例を示したものである。
【符号の説明】
【0085】
10 標本管理システム
12 標本情報入力部
14 標本情報記憶部
16 標本データ出力部
18 保管部
20 送信部
22 保管場所記録部
24 保管場所特定部
ID 識別番号
SP 標本
SD 標本データ
SI 標本情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者から採取された生標本を固定して得られた固定標本から作製されたパラフィンブロックと、
前記生標本に関する情報であって少なくとも前記患者の疾病情報および個人情報を含む標本情報の一部又は全部と前記生標本に割り当てられた標本番号とを含む標本データが付与された標本データ付与部と、
を有することを特徴とする、標本。
【請求項2】
患者から採取された生標本を固定して得られた固定標本から得られたパラフィンブロックから作製された光学顕微鏡標本と、
前記生標本に関する情報であって少なくとも前記患者の疾病情報および個人情報を含む標本情報の一部又は全部と前記生標本に割り当てられた標本番号とを含む標本データが付与された標本データ付与部と、
を有することを特徴とする、標本。
【請求項3】
患者から採取された生標本を固定して得られた固定標本から作製された電子顕微鏡用ブロックと、
前記生標本に関する情報であって少なくとも前記患者の疾病情報および個人情報を含む標本情報の一部又は全部と前記生標本に割り当てられた標本番号とを含む標本データが付与された標本データ付与部と、
を有することを特徴とする、標本。
【請求項4】
パラフィンブロック、光学顕微鏡標本又は電子顕微鏡用ブロックを作製する際に患者から採取された生標本から作製された新鮮凍結生標本と、
前記生標本に関する情報であって少なくとも前記患者の疾病情報および個人情報を含む標本情報の一部又は全部と前記生標本に割り当てられた標本番号とを含む標本データが付与された標本データ付与部と、
を有することを特徴とする、標本。
【請求項5】
前記標本データ付与部は、1次元バーコードラベル、2次元バーコードラベル、またはICタグであることを特徴とする、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の標本。
【請求項6】
前記標本データ付与部は、ICタグであり、電子顕微鏡用ブロックの樹脂中に封入されていることを特徴とする、
請求項3に記載の標本。
【請求項7】
前記生標本は、脳標本であることを特徴とする、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の標本。
【請求項8】
前記標本に関する情報であって少なくとも前記標本が採取された患者の疾病情報および個人情報を含む標本情報を入力する標本情報入力部と、
前記標本に標本番号を割り当てる標本番号割当部と、
前記標本情報入力部により入力された標本情報の一部又は全部と前記標本番号割当部により割り当てられた標本番号とを含む標本データを出力する標本データ出力部と、
を有する標本管理システムにおいて使用されることを特徴とする、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の標本。
【請求項9】
前記標本管理システムは、
前記標本情報入力部により入力された標本情報および前記標本番号割当部により割り当てた標本番号を記憶する標本情報記憶部と、
前記標本情報記憶部により記憶された標本情報に基づいて前記標本番号を検索し、前記標本を特定する標本特定部と、
をさらに有することを特徴とする、請求項8に記載の標本。
【請求項10】
前記標本特定部は、病理診断を目的とする検索の場合は前記標本情報のうち前記個人情報に基づく検索を利用可能とし、病理診断を目的としない検索の場合は前記標本情報のうち前記個人情報に基づく検索を利用不可能とするように構成されたことを特徴とする、
請求項9に記載の標本。
【請求項11】
前記標本特定部は、予め設定されたパスワードの入力があった場合に病理診断を目的とする検索であると判断することを特徴とする、
請求項10に記載の標本。
【請求項12】
前記標本管理システムは、
前記標本データ出力部により出力された標本データを付与した標本を保管する保管部と、
前記標本に付与された標本データと前記保管部に付与された識別番号とを取得して外部に送信する送信部と、
前記送信部により送信された標本データおよび識別番号を受信し、前記標本情報と前記識別番号を関連付けして前記標本情報記憶部に記録する保管場所記録部と、
前記標本情報記憶部により記憶された標本情報に基づいて前記保管部の識別番号を検索し、前記標本が保管されている保管部を特定する保管場所特定部と、
をさらに有することを特徴とする、請求項9ないし11のいずれか1項に記載の標本。
【請求項13】
前記送信部は、前記標本データおよび前記識別番号を無線通信で前記保管場所記録部に送信することを特徴とする、
請求項12に記載の標本。
【請求項14】
前記標本データは、1次元バーコードデータ、2次元バーコードデータ、または、ICタグに記録された電子データであることを特徴とする、
請求項8ないし13のいずれか1項に記載の標本。
【請求項15】
前記標本情報は、標本を採取した部位の情報、標本の染色体の種類の情報または解剖時の器官の断片画像データをさらに含むことを特徴とする、
請求項8ないし14のいずれか1項に記載の標本。
【請求項16】
患者から採取された生標本を固定して固定標本を作製する手順と、
前記固定標本からパラフィンブロックを作製する手順と、
前記生標本に関する情報であって少なくとも前記患者の疾病情報および個人情報を含む標本情報の一部又は全部と前記生標本に割り当てられた標本番号とを含む標本データを前記パラフィンブロックに付与する手順と、
を有することを特徴とする、標本作製方法。
【請求項17】
前記パラフィンブロックから光学顕微鏡標本を作製する手順と、
前記標本データを前記光学顕微鏡標本に付与する手順と、
をさらに有することを特徴とする、請求項16に記載の標本作製方法。
【請求項18】
患者から採取された生標本を固定して固定標本を作製する手順と、
前記固定標本から電子顕微鏡用ブロックを作製する手順と、
前記生標本に関する情報であって少なくとも前記患者の疾病情報および個人情報を含む標本情報の一部又は全部と前記生標本に割り当てられた標本番号とを含む標本データを前記電子顕微鏡用ブロックに付与する手順と、
を有することを特徴とする、標本作製方法。
【請求項19】
前記生標本から新鮮凍結生標本を作製する手順と、
前記標本データを前記新鮮凍結生標本に付与する手順と、
をさらに有することを特徴とする、請求項16ないし18のいずれか1項に記載の標本作製方法。
【請求項20】
前記生標本は、脳標本であることを特徴とする、
請求項16ないし19のいずれか1項に記載の標本作製方法。
【請求項21】
前記標本は、
前記標本に関する情報であって少なくとも前記標本が採取された患者の疾病情報および個人情報を含む標本情報を入力する標本情報入力部と、
前記標本に標本番号を割り当てる標本番号割当部と、
前記標本情報入力部により入力された標本情報の一部又は全部と前記標本番号割当部により割り当てられた標本番号とを含む標本データを出力する標本データ出力部と、
を有する標本管理システムにおいて使用されることを特徴とする、
請求項16ないし20のいずれか1項に記載の標本作製方法。
【請求項22】
前記標本管理システムは、
前記標本情報入力部により入力された標本情報および前記標本番号割当部により割り当てた標本番号を記憶する標本情報記憶部と、
前記標本情報記憶部により記憶された標本情報に基づいて前記標本番号を検索し、前記標本を特定する標本特定部と、
をさらに有することを特徴とする、請求項21に記載の標本作製方法。
【請求項23】
前記標本特定部は、病理診断を目的とする検索の場合は前記標本情報のうち前記個人情報に基づく検索を利用可能とし、病理診断を目的としない検索の場合は前記標本情報のうち前記個人情報に基づく検索を利用不可能とするように構成されたことを特徴とする、
請求項22に記載の標本作製方法。
【請求項24】
前記標本特定部は、予め設定されたパスワードの入力があった場合に病理診断を目的とする検索であると判断することを特徴とする、
請求項23に記載の標本作製方法。
【請求項25】
前記標本管理システムは、
前記標本データ出力部により出力された標本データを付与した標本を保管する保管部と、
前記標本に付与された標本データと前記保管部に付与された識別番号とを取得して外部に送信する送信部と、
前記送信部により送信された標本データおよび識別番号を受信し、前記標本情報と前記識別番号を関連付けして前記標本情報記憶部に記録する保管場所記録部と、
前記標本情報記憶部により記憶された標本情報に基づいて前記保管部の識別番号を検索し、前記標本が保管されている保管部を特定する保管場所特定部と、
をさらに有することを特徴とする、請求項21ないし24のいずれか1項に記載の標本作製方法。
【請求項26】
前記送信部は、前記標本データおよび前記識別番号を無線通信で前記保管場所記録部に送信することを特徴とする、
請求項25に記載の標本作製方法。
【請求項27】
前記標本データは、1次元バーコードデータ、2次元バーコードデータ、または、ICタグに記録された電子データであることを特徴とする、
請求項21ないし26のいずれか1項に記載の標本作製方法。
【請求項28】
前記標本情報は、標本を採取した部位の情報、標本の染色体の種類の情報または解剖時の器官の断片画像データをさらに含むことを特徴とする、
請求項21ないし27のいずれか1項に記載の標本作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−99855(P2011−99855A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247566(P2010−247566)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【分割の表示】特願2006−45109(P2006−45109)の分割
【原出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(304027279)国立大学法人 新潟大学 (310)
【Fターム(参考)】