標的核酸の交差プライミング増幅
交差プライミング等温増幅を利用することによる標的配列の増幅方法が開示される。標的配列の増幅反応及び高速検出を行う間の増幅標的配列の標識方法も開示される。細菌、ウイルスなどの病原微生物の高速の核酸診断及び核酸検出、並びに、ヒト遺伝子疾患に関連した診断のための試薬キットも開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国特許法第119条(e)項に基づき、2009年1月6日に出願された米国仮特許出願第61/204494号の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、標的配列の交差プライマー増幅方法ならびに増幅標的配列試薬キット及び適用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
過去30年の間に、培養が難しい、又は培養することのできない病原微生物が、主な伝染源又は感染源となっている。増殖する細菌コロニー数などのマーカー、コロニーの精製分離、外部からの形態観察、並びに生理学的及び生化学的同定、さらには血清学的同定などを用いる先行技術の検出方法は、その時間がかかり面倒な工程及び他の欠点に起因して、昨今の高速、容易、高い特異性の同定要件を満たさない。従って、そうした培養が難しい、又は培養することのできない病原微生物を正確に同定し、それらの病原性細菌の核酸構造及び分子特性を分子生物学レベルで研究することにより、かかる病原性細菌の検出を大幅に向上させることがますます重要となっている。現在、高感度、高特異的かつ高速の核酸増幅技術は、臨床検体を直接検出することができる。しかしながら、これらの技術は感染症の診断においてより広く適用されており、徐々に従来の細菌又はウイルス培養に取って代わる傾向にある。
【0004】
現在用いられている核酸増幅技術では、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術が最も広く使用されている。現在、外部的な核酸増幅技術は2つのタイプに分けられ得る。第1のタイプは、保温スポット中での温度サイクリングにより特徴付けられ、PCR、リガーゼ連鎖反応(LCR)、及び転写ベース増幅システム(TAS)が含まれる。第2のタイプは、鎖置換増幅(SDA)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、転写媒介増幅(TMA)、ローリングサークル増幅(RCA)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、ヘリカーゼ依存増幅(HDA)などの等温増幅システムを含む。これらの方法はいずれも、均一温度のもとで増幅反応が行われるため、従って増幅反応に必要とされる器材が簡素化されるという共通の特徴を共有する。
【0005】
様々な核酸増幅技術の多くは、増幅される標的配列を検出するため、電気泳動法、蛍光、質量分析又は直接シーケンスなどの様々な検出方法論と結び付いている。検出技術は多くの場合に複雑な操作を伴い、費用がかかるとともに、通常、熟練した専門家によって操作されなければならない大規模な機器を必要とする。さらに、これらの技法は、広範な利用及び農村部にある第三世界の病院の多くにおける使用には適さないことが多い。本発明は、病原体並びに他の核酸を含有する生物を単純、高速、低コストで検出するため、等温核酸増幅技術と核酸検査ストリップ高速検出とを組み合わせる。
【0006】
先述のとおり、核酸増幅方法はいくつかある。PCRは、いくつかの標的配列DNA断片を酵素的に合成するため、標的配列の両側にオリゴヌクレオチドプライマーを提供することにより達成される。PCRの各サイクルは、DNA二本鎖の分離、プライマー復元及びDNAポリメラーゼにより触媒される伸長反応を含み、それによって新しく合成されたDNA断片が作られ、そのDNA断片が再び次の増幅サイクルの鋳型となることにより、標的配列のDNAの指数関数的増幅が生じ得る。現在、PCR技術は、遺伝子疾患の検出、癌の診断及び予後診断、細菌、ウイルス及び真菌感染の同定;並びに親子鑑定など、バイオテクノロジーの様々な面に広く適用されている。
【0007】
LCRはTaqリガーゼの結合能に基づく増幅であり、標的遺伝子配列の点突然変異を検出することが可能である。LCRは、PCRより容易に特定の点突然変異を同定し得る。標的配列に任意の点突然変異が存在する場合、プライマーは正確には標的配列と結合しないであろう。突然変異近傍のヌクレオチドの特殊構造が変化しているため、LCRが実行されず、増幅産物が生成されないであろう。現在、この方法は主として、一塩基の遺伝性疾患の多型及び産物の診断、微生物の特異的同定に関する研究及び癌遺伝子における点突然変異など、点突然変異に関する研究及び検出において使用されている。
【0008】
RCAは2つのタイプ:線形増幅及び指数関数的増幅に分けられる。前者は、環状DNAと相補的な反復配列の多数のDNA一本鎖を産物とする環状核酸の増幅にのみ適用可能であり得る。この技法は、マイクロアレイ上の又は固相形態の特異的シグナルの検出に適し得る。指数関数的な増幅では、増幅産物は鋳型としても働き得るため、増幅産物が指数関数的に増加する。この技法は、非環状DNAの増幅にも使用され得る。RCAの特異性は極めて高く、従って突然変異の検出及びSNPの同定に使用することができる。その使用を蛍光リアルタイム検出と統合することにより、この技法の幅広い使用を可能とすることができる。
【0009】
TMAは、等温条件下で逆転写酵素及びT7 RNAポリメラーゼを利用するRNA又はDNAの増幅である。TMAでは、標的の逆転写がプライマーの誘導下での逆転写酵素の作用により達成される。RNA逆転写酵素のH活性によりDNA−RNAハイブリッド鎖中のRNAが分解され、それにより二本鎖DNAの合成が可能となり、この二本鎖DNAがさらに、T7 RNAポリメラーゼの作用下で数千本のRNA配列に転写され得る。これらのRNAは、次のサイクルの鋳型としても働き得る。TMA反応全体が、一つの自己触媒過程である。この方法の特異性は、感度と同じく高い。反応条件が単純で、かつ増幅効率が高い。TMAは特別な増幅機器を必要とせず、全反応が1本の試験管内で行われ得るため、環境汚染が低減される。
【0010】
自家持続配列複製(3SR)と称される、核酸配列に依る増幅は、主にRNA検出に用いられる。反応は、逆転写酵素、T7 RNAポリメラーゼ、ヌクレアーゼH、及び2個の特別なプライマーに依存する。プライマーIの3’末端は標的配列と相補的であり、その5’末端はcDNA合成のためのT7 RNAポリメラーゼプロモーターを含む。プライマーIIの配列はcDNAの5’末端と相補的である。反応中、プライマーIがRNA鋳型にアニールされ、逆転写酵素の作用下でcDNAを触媒的に合成する。次にRNAはヌクレアーゼHにより加水分解され、一本鎖DNAを形成する。プライマーIIがcDNAの5’末端にアニールされ、第2のDNA鎖が合成されることにより、T7 RNAポリメラーゼプロモーターを含む二本鎖DNAが形成される。逆転写酵素を使用して試料RNA配列と同じ新しいRNA鎖が転写される。新しいRNA鎖の各々は鋳型としても働き、cDNAを合成し得る。このプロセスが繰り返され、より多くのRNA及びcDNAが形成され得る。操作は単純である;特別な機器は不要である;温度サイクリングは不要である。二本鎖DNAがプロモーター配列を一つも有しない場合、従って反応特異性が大幅に高まる場合、増幅は有効でないこともあり得る。この技術は特異的RNAの検出及び定量分析に適しており、二本鎖DNAの増幅にも適用可能である。従って、これは臨床で広く利用され得る。
【0011】
SDAは、制限エンドヌクレアーゼ及びDNAポリメラーゼの使用に頼る。SDAは一本鎖DNA鋳型を調製することが必要であり、その調製においては、断片の両末端がSDAサイクル用の酵素部位を含む目的のDNA断片が生成される。制限エンドヌクレアーゼ同定部位を含むプライマーが一本鎖標的分子と組み合わされ、切り出し酵素活性を有しないDNAポリメラーゼの作用により半リン酸化硫酸化部位を含む二本鎖DNAを形成する。保護されていないプライマー鎖が制限エンドヌクレアーゼにより切断される;一方、修飾された標的断片は変化しないままであり、DNAポリメラーゼが切れ目位置において伸長を開始して下流配列を置換することにより別のDNA一本鎖を生成し、その切れ目が制限エンドヌクレアーゼにより開裂され得る。かかる切れ目の開裂、重合及び置換手順が繰り返し循環処理されることにより、標的分子の相補鎖が多数生成される。SDAは感度が高く、かつ一本鎖分子を高速で増幅することができる;しかしながらその適用範囲は、標的配列の複雑な調製及び検出方法の限界に起因して制限されている。
【0012】
LAMPは、主としてBst大断片DNAポリメラーゼと二対の特別な内部プライマー(F1CとF2とから構成されるFIP;BICとB2とから構成されるBIP)及び一対の外部プライマー(F3及びB3)とから構成される。FIPプライマーのF2配列が標的DNAの相補配列と対形成し、ループ鎖置換反応が開始され得る。F3プライマーは鋳型のF3C領域と相補的であり、FIPにより導入されたDNA一本鎖を押し出すようにして鋳型DNAの二本鎖をもたらし、合成する。その間、BIPプライマーが押し出された一本鎖のハイブリッド形成と組み合わさることで、形成された環状構造を開裂させる。次に、B3プライマーがBIP外側の塩基と対形成し、ポリメラーゼの作用下で新しい相補鎖を形成する。置換された一本鎖DNAの両側に相補配列があるため、自己塩基対形成を起こってダンベル型DNA構造を形成することができ、このDNA構造が再生及び伸長のためのLAMP反応の開始構造として働くことができ、多数のDNA配列が繰り返しかつ代替的に生成され、多くのループを含むカリフラワー形状のステム−ループ構造DNAである増幅産物が形成され得る。LAMPは高度に特異的で高感度である。LAMPを使用した病原微生物の検出は、ピロリン酸マグネシウム沈殿生成量と生成DNA量との間に線形的な関係があるため、定性的であっても定量的であってもよい。LAMPは実験の段取りが単純であり、実験は等温下で行われるため、安定熱源として働くことのできる通常の水浴又は他の装置のみが必要となり得る。この方法は、科学研究並びにルーチンの検出ツールに適用可能性を有し得る。
【0013】
TASは、主に増幅RNAに使用される。これは、逆転写酵素、T7 RNAポリメラーゼ、ヌクレアーゼH、及び2つの特別なプライマーを利用する。プライマーIの3’末端は、増幅されるRNAと相補的であり、その5’末端はT7 RNAポリメラーゼのプロモーター情報を含む。逆転写酵素が開始点としてプライマーIを使用してcDNAを合成する。プライマーIIはこのcDNAの3’末端と相補的であり、cDNAの第2の鎖の合成に使用される。T7 RNAポリメラーゼが、二本鎖DNAを鋳型としてとることで、増幅されるRNAと同じRNAを転写し、それが次のラウンド反応の鋳型となり得る。TASは高い増幅効率を有し、かつその特異性は高い;しかし一方で、そのサイクリング過程は複雑で、逆転写酵素及びT7 RNAポリメラーゼが繰り返し加えられ得る;従って、そのさらなる研究が行われることになるであろう。
【0014】
HADは、それが巻き戻し酵素を使用してDNA鎖を分離させることから、天然のDNA複製を刺激する方法である。HADは、合成を最適化することで熱サイクラーに必要となり得る費用及び電力消費を低減するため、同じ温度下で行うことができる。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、核酸増幅反応を実行するため、鎖置換型DNAポリメラーゼの一種(好ましくはBst DNAポリメラーゼ)を数十分間にわたりある特定の一定温度(約62℃)に維持することができる等温増幅及び核酸検出方法を提供する。従って、本発明の方法は高速の核酸増幅を提供し、これは迅速かつ効率的に実行され得るものであり、全ての増幅プロセスを実行するのに一つの単純な恒温装置しか必要でなく、従って反応の複雑性が大幅に低下する(熱サイクラーが不要である)。本発明の方法はまた、核酸検出検査ストリップ検出を交差プライミング増幅と併用し、増幅及び検出プロセスを容易かつ単純に達成することを可能にする新規な高速核酸検出方法を開発する。鋳型の熱変性、長時間の温度サイクリング、手間のかかる電気泳動法及び他のプロセスは、もはや不要である。本発明の方法は、特異的で単純かつ短時間であり、ヒト遺伝子疾患に直接関係する分子に関する診断、病原微生物の検出、腫瘍又は癌の診断及び予後診断に関する評価、並びに微生物タイピングを含む応用に幅広く適用され得る。いくつかの等温増幅方法では、等温反応の前に、より高い温度で標的DNA(ゲノムDNA)を初期変性する必要がある。CPAは真に等温方法であるため、初期熱変性を必要としない。
【0016】
発明の概要
本発明は、核酸配列を増幅するための新規の技術及び方法に関する。より詳細には、本発明は、交差プライミング等温増幅(cross priming isothermal amplification)を利用することによる核酸の増幅方法に関する。さらに、本発明は、標的配列の増幅反応及び高速検出を行う間の増幅標的配列の標識方法に関する。本発明はまた、細菌、及びウイルスなどの病原微生物の核酸配列を高速検出するための試薬キットにおける本方法の使用にも関する。本発明の増幅及び検出方法は、ヒト遺伝子疾患に関連する検出及び診断にも利用することができる。
【0017】
交差プライミング増幅(CPA)は、複数の交差結合されたプライマー、典型的には対になり得る3〜8個のプライマーを使用し、ここで、DNA標的配列は、水浴又は乾式インキュベーターなどの単純な加熱装置を使用して、ある一定温度で増幅される。プライマー/検出体の数は目的及び最適化に応じて変えることができる。交差配列は、種々の適用に合致させて、プライマー/プライマー交差、又はプライマー/検出体交差、又は他の構成用に設計することができる。
【0018】
増幅産物の検出は、米国特許出願公開第2009/0181388A1号に記載されるような、アンプリコンの漏出を防止する密閉プラスチック装置に格納することができるラテラルフロー(lateral flow)ストリップにおいて実施することができる。反応中、増幅産物のハイブリッド形成と標識とが同時に行われ、それにより、アッセイ結果の視覚的表示読み取りを提供する交差コンタミネーション防止ラテラルフローDNAストリップ装置において検出可能な状態の標識された増幅標的が作られる。
【0019】
一般的なCPAでは、交差プライミング部位、交差プライミング増幅、及び検出可能な産物の生成を伴う。順方向交差プライマーセンス(PFs)プライマー及び逆方向交差プライマーアンチセンス(PRa)プライマーが、互いのプライミング配列と同じ5’配列により設計される。交差プライマーの上流に位置する置換プライマーが設計される。好ましい実施形態において、置換プライマーの濃度は交差プライマーの濃度より低い。DNAポリメラーゼ(好ましい実施形態ではBst)が交差プライマーを伸長し、置換プライマーを伸長する。置換プライマーが伸長すると、交差プライマー伸長鎖が規定した5’末端に置き換わる。この新しい鎖に関する同様の伸長/置換機構により、他方の鎖上に別のプライミング部位PFaが加わり、また他方の規定した末端が作られる。
【0020】
置換された鎖は、両末端に新しく導入されたプライミング部位を含み、その3’末端に両方の交差プライマーについてのプライミング部位を含む鋳型として機能する。新しいプライミング部位が各伸長/置換ラウンド後に導入されることによって複数のプライマー結合部位がもたらされ、それにより増幅プロセスが加速する。
【0021】
中間産物と最終産物とは混じり合い、それらは異なる長さを有し、多くの形態の二次構造(一本鎖、二本鎖、又は部分二本鎖)を有し得る。検出プローブ又はプライマーを使用して標的配列が調べられる。好ましい実施形態では、一方のプライマーが伸長可能であるのに対して他方は伸長可能ではなく、これらのプライマーが増幅産物とハイブリッドを形成する。両方の検出体に連結されている産物を検出可能であり、好ましい実施形態では、検出機構はラテラルフローストリップ検出プラットフォームを利用する。
【0022】
CPAは、DNAポリメラーゼ(Bst、クレノー、Vent exo−DNAポリメラーゼなど)の鎖置換機能を利用して二本鎖DNAを変性させる。かかるポリメラーゼの使用は、SDA、LAMP、CPA、RCA(ローリングサークル増幅)、HDA(ヘリカーゼ依存増幅)を含むほとんどの等温増幅方法に共通する。
【0023】
SDA、LAMP及びCPAは全て、いくつかのプライマーに5’テールを利用するが、SDAにおける5’テールの目的が標的へのニッキング(nicking)酵素認識部位の導入であり、LAMPにおける5’テールの目的が標的における配列の導入によるループの形成であるのに対し、CPAにおける5’テールの主な目的は、標的の両側における追加的なプライミング部位の導入である。
【0024】
SDAでは、DNA伸長は主としてニッキングに依存して遊離3’末端を作り出し、それを鋳型鎖にアニールして新しいDNAを合成する。LAMPでは、DNA伸長は主として自己フォールディングループの形成に依存し、ループの遊離3’末端を鋳型鎖にアニールして新しいDNAを合成する。CPAでは、DNA伸長は主として両方の鎖の複数のプライミング部位に対する複数のプライマーのアニーリングに依存し、それにより新しいDNAの合成を駆動する。
【0025】
本発明の方法は、標的核酸配列の増幅方法を含み、これは、
a)少なくとも第1の交差増幅プライマー及び第2の交差増幅プライマーであって、ハイブリッド形成配列と互換配列(interchanging sequence)とを含む交差増幅プライマーと、少なくとも第1の置換プライマー及び第2の置換プライマーとを設計する工程であって、第1の置換プライマーが第1の交差増幅プライマーの5’側に位置し、及び第1の置換プライマーが第1の交差増幅プライマーの5’側に位置する、工程と、
b)交差プライミングハイブリッド形成部位が標的核酸配列の末端に導入され、それにより交差増幅プライマー部位を含む標的核酸配列が産生されるように、等温条件下でDNAポリメラーゼの存在下に交差増幅プライマー及び置換プライマーを標的配列に導入することにより交差プライミング部位を生成する工程と、
c)交差ハイブリッド形成プライマーの反復的なハイブリッド形成及び伸長を介して交差増幅プライマー部位を含む標的核酸配列を増幅する工程と、
を含む。
【0026】
本発明の方法は、標的核酸配列の存在の検出方法を含み、これは、
a)少なくとも第1の交差増幅プライマー及び第2の交差増幅プライマーであって、ハイブリッド形成配列と互換配列とを含む交差増幅プライマーと、少なくとも第1の置換プライマー及び第2の置換プライマーとを設計する工程であって、第1の置換プライマーが第1の交差増幅プライマーの5’側に位置し、及び第1の置換プライマーが第1の交差増幅プライマーの5’側に位置する、工程と、
b)交差プライミングハイブリッド形成部位が標的核酸配列の末端に導入され、それにより交差増幅プライマー部位を含む標的核酸配列が産生されるように、等温条件下でDNAポリメラーゼの存在下に交差増幅プライマー及び置換プライマーを標的配列に導入することにより交差プライミング部位を生成する工程と、
c)交差ハイブリッド形成プライマーの反復的なハイブリッド形成及び伸長を介して交差増幅プライマー部位を含む標的核酸配列を増幅する工程と、
d)交差増幅プライマー部位を含む増幅された標的核酸配列に対し、第1のマーカーで標識された第1の検出プライマーと第2のマーカーで標識された第2の検出プライマーとを導入する工程であって、第1及び第2の検出プライマーの導入により両マーカーを含む二本鎖核酸分子が産生される、工程と、
e)両マーカーを含む二本鎖核酸分子を検出する工程と、
を含む。
【0027】
本発明は、病原微生物、環境微生物、微生物タイピング、ヒト、動物又は植物を検出するための感染症病原体、食品又は生物兵器を検出するための感染症病原体の検出、ヒト遺伝子疾患又は健康リスク遺伝子の検出、並びにコンタミネーションのない装置内に置かれ得る核酸ストリップによる検出のためのキットであって、交差増幅プライマーと、置換プライマーと、検出プライマーと、DNAポリメラーゼとを含む、キットも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】交差プライマー増幅の基本概念の概略図である。
【図2】交差増幅プライマー及び検出プライマー部位及び配列構成を含む、本発明の交差プライマー増幅方法の好ましい実施形態の基本プライマー設計の概略図である。
【図3A】交差プライミング部位及び規定した末端の生成を含む、交差プライミング増幅方法の開始段階の好ましい実施形態の概略図である。
【図3B】複数のプライミング部位が生成される線形構造形態を使用した交差プライミング増幅方法の増幅段階の好ましい実施形態の概略図。
【図3C】二次構造形態、複数のプライマーの結合、及び自己フォールディング及び伸長のための複数プライミング部位を使用した交差プライミング増幅方法の増幅段階の好ましい実施形態の概略図。
【図4】生成増幅産物及び二重標識された増幅産物の検出の概略図。
【図5】核酸検出検査ストリップを使用した増幅産物の一検出方法の概要を示す概略図。
【図6】検査ストリップによるクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)の増幅産物の検出結果。
【図7】検査ストリップによる結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の増幅産物の検出結果。
【図8A】一回の交差増幅の概略図。
【図8B】結核菌(Mycobacterium tuberculosis)についての標的配列、プライマー位置、及びプライマー設計、ここではXbal部位が1sと2aとの間の交差プライマーに挿入される。
【図8C】種々のプライマーの組み合わせによる増幅産物。レーン1:1s、2a及び3a;レーン2:1s、2a、3a、4s及び5a;レーン3:1s、3a、4s及び5a;レーン4:1s、2a、4s及び5a;レーン5:2a、3a、4s及び5a;(−)は、対応する反応について標的制御がないことを示す。システムは最低限3個のプライマーで機能し、そのうち少なくとも1個は交差プライマーとする。2つの矢印は2個の最小増幅産物を示し(それぞれ、1s/2a産物及び1s/3a産物)、これらは図8a及び配列決定データ(図8e)に示されるとおりの基本ユニットである。レーン3には1s/2a産物が欠けており、レーン4には1s/3a産物が欠けていることに留意されたい。交差プライマー1sが存在しないときのレーン5は産物を示さなかった。
【図8D】制限酵素Xba Iにより消化されたCPA増幅産物。レーン1、消化されなかったCPA増幅産物;レーン2、Xba Iにより消化されたCPA増幅産物。反復断片を示す高分子量産物が減少した。おそらくは増幅産物の異種接合型の二次構造に起因して、消化は完了していない。
【図8E】CPA増幅産物の配列決定。図8Cの矢印により示される2バンドを励起し、クローニングし、配列決定した。配列は、図8Aに示される最終産物に対応した。より高分子量の増幅産物は、これらの基本ユニットのタンデムリピートである(データは図示せず)。
【図9A】交差プライミング増幅(二重交差)の機構の概略図。高濃度の交差プライマー1sがアニール及び伸長し、その後、より低濃度の置換プライマー3sがアニール及び伸長し、下流鎖が置換される。置換された鎖は規定した5’であり、3)新しいプライマー結合部位が5’末端に付加される;交差プライマー2aがアニール及び伸長し、置換プライマー4aが鎖を置換する。ここで、置換された鎖は規定した3’及び5’であり、別のプライマー結合部位が5’末端に付加され、一本鎖DNAが二次構造を形成し得る;4)両方の交差プライマー1s及び交差プライマー2aを鋳型の3’にアニールすることができる。交差プライマー2aによる伸長産物は、5’末端に別のプライミング部位を付加することにより伸長される;5)他の鎖も工程4と同様;6)、7)及び8)伸長及び置換のラウンドごとにアンプリコンが伸長され、プライミング部位が繰り返し付加される。反復プライミング部位により複数のプライマーのアニール及び伸長が可能となり、増幅が促進される。反復配列はまた、二次構造及び「分枝状」DNAも形成し、これは鋳型が一本鎖構造のまま留まるのに役立つ。この段階のアンプリコンは高度に異種接合型であり、長さ及び構造が異なる。複数のDNA合成が同じ鋳型で同時に起こり得る。
【図9B】異種接合型増幅産物のゲル画像。
【図9C】HPV標的配列及びCPAプライマー設計。置換プライマーは図示せず。配列決定したアンプリコンにおける各プライマー位置を同定するためプライマータグを設計した。増幅産物をクローニングし、30個のコロニーを選択して配列決定した。CPAアンプリコン配列のうちの1つを示した。交差プライマー1s及び2aは、互いに重複していることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0029】
発明の詳細な説明
本発明は、核酸配列を増幅するための新規の技術及び方法に関する。より詳細には、本発明は、交差プライミング等温増幅を利用することによる核酸の増幅方法に関する。交差プライミング増幅と称される本発明の方法は、標的核酸の6領域に従い設計される少なくとも6タイプ(3対)の特異的プライマーを利用する。増幅方法は、限定はされないがBst DNAポリメラーゼなどの鎖置換DNAポリメラーゼを使用することにより、一定の温度下で(等温下で)行われ得る。従って、本発明の方法は、鋳型の熱変性又は温度サイクリングが不要であり得る。
【0030】
本発明の交差プライミング増幅方法の好ましい実施形態は以下の手順を含む:
プライマー設計−プライマー設計は、一対の交差増幅プライマーと、一対の置換プライマーと、一対の検出プライマーとを含み得る。
開始段階−交差プライミングハイブリッド形成部位は、増幅標的配列の各末端に導入され得る。高速増幅用の鋳型を調製するため、固定末端も生成され得る。
増幅段階−増幅は、線形構造様式又は二次構造様式のいずれかで行われ得る。いくつかのプライマーハイブリッド形成部位が生成され得るとともに、プライマーの反復的なハイブリッド形成及び伸長並びに増幅産物の自己ハイブリッド形成フォールディング及び伸長を介して、いくつかの増幅反応が同じ鋳型で同時に行われ得るように実行される。
生成された産物の検出−増幅段階において生成される検出配列を多数含む増幅産物を鋳型として選ぶことにより、検出プライマーを用いて検出用の二重標識されたDNA二本鎖分子が合成され得る。次に、核酸検出検査ストリップを使用することにより増幅産物が検出され得る。
【0031】
プライマー設計は、一対の交差増幅プライマーと、一対の置換プライマーと、一対の検出プライマーとを含み得る。本発明の方法の好ましい実施形態において、一対の交差増幅プライマー(交差増幅プライマーF及び交差増幅プライマーR)は合成される。交差増幅プライマーF及び交差増幅プライマーRは、3つのセグメントから構成され得る:
1)ハイブリッド形成配列−これらは、増幅伸長について高い特異性で鋳型とハイブリッド形成する基本配列である。
2)連結体−プライマーにおける2つの異なる配列を連結するために用いられるヌクレオチド、一般に1〜3個のモノヌクレオチド。
3)互換配列−交差増幅プライマーFのハイブリッド形成配列、これは交差増幅プライマーRの5’末端配列でもあり得る;同じように、交差増幅プライマーRのハイブリッド形成配列は交差増幅プライマーFの5’末端配列として働き得る(図2)。
【0032】
一対の置換プライマー(置換プライマーF及び置換プライマーR)は合成されてもよく、ここでは、置換プライマーFが、標的遺伝子のアンチセンス鎖と相補的な順方向外側プライマーであり、置換プライマーRが、標的遺伝子のセンス鎖と相補的な5’外側プライマーである。置換プライマーF及び置換プライマーRは、主に、等温増幅反応のなかの開始段階において置換交差増幅プライマーの鎖を伸ばすために使用される(図2)。
【0033】
一対の検出プライマー(検出プライマーF及び検出プライマーR)は合成されてもよく、ここでは、検出プライマーFが、標的遺伝子のセンス鎖と相補的な逆方向内側プライマーであり、検出プライマーRが、標的遺伝子のアンチセンス鎖と相補的な順方向内側プライマーである。プライマー対は、それぞれ少なくとも1つの異なるマーカー(好ましくはハプテン抗原)により標識され、従って標的配列を増幅すると、二重の抗原の存在によって当該増幅の産物を検出することができる(図2、図4、図5)。
【0034】
開始段階において、増幅標的配列の各末端に交差プライミングハイブリッド形成部位が導入され得るとともに、高速増幅用の所望の鋳型を調製するため固定末端が生成され得る。CPAは、DNAポリメラーゼ(Bst、クレノー、Vent exo−DNAポリメラーゼなど)の鎖置換機能を利用して二本鎖DNAを変性させる。順方向増幅プライマーFと核酸標的分子との間のハイブリッド形成を可能にするため、プライマーは、順方向プライマーFの5’末端に逆方向プライマーRのハイブリッド形成同定配列が存在するように設計される。置換機能を有するDNAポリメラーゼ伸長順方向増幅プライマーFにより二本鎖核酸が合成され得る。順方向置換プライマーFと核酸標的分子との間にハイブリッド形成を生じさせる。置換機能を有するDNAポリメラーゼ伸長置換プライマーF及び置換順方向増幅プライマーFの伸長鎖を使用して固定順方向鎖5’末端を生成する。
【0035】
鋳型としての置換増幅プライマー伸長鎖と、5’末端に順方向プライマーFのハイブリッド形成同定配列が存在する逆方向増幅プライマーRとの間でハイブリッド形成が行われ得る。置換機能を有するDNAポリメラーゼ伸長逆方向増幅プライマーRにより二本鎖核酸が合成され得る。逆方向置換プライマーRと核酸標的分子とを使用することによりハイブリッド形成が行われる。
【0036】
置換機能を有するDNAポリメラーゼ伸長置換プライマーRと逆方向増幅プライマーRの伸長鎖とを使用して固定逆方向鎖5’末端を生成する。生成された逆方向増幅プライマーR伸長鎖の両方の末端が、この時点で固定されている;増幅プライマーF及びRのハイブリッド形成配列が、高速増幅用の鋳型として働くように、それぞれ3’末端及び5’末端に導入される(図3A)
【0037】
増幅は、線形構造様式(図3B)及び/又は二次構造様式(図3C)のいずれかで実行され得る。プライマーの反復的なハイブリッド形成及び伸長並びに増幅産物の自己ハイブリッド形成フォールディング及び伸長を通じて複数のプライマーハイブリッド形成部位が生成及び増幅され、従っていくつかの増幅反応が同じ鋳型で同時に行われ得る。末端のプライマー伸長が伸長鎖を置換し、それが再び鋳型として使用されて次の増幅ラウンドに加わるため、増幅速度が大幅に高まる。
【0038】
線形構造様式では、伸長ごとに1つの新しいプライマーハイブリッド形成配列が増幅プライマーに導入され得るとともに、増幅ラウンドごとに増幅産物が長くなり得る。最終産物のほとんどが短鎖産物であり得るなか、短鎖産物の合成速度は高いため、プライマーハイブリッド形成機会が増加する。換言すれば、交差プライミング増幅方法の使用による産物は、種々の長さの増幅産物の混合物であってよく、ここでは、長鎖の増幅産物が、さらなる増幅のための複数のプライマーハイブリッド形成部位を提供することにより増幅速度を高め得るとともに、短鎖の増幅産物が最終的な検出の主目的となり得る。(図3A)。
【0039】
二次構造様式では、長鎖増幅産物に反復相補配列が存在するため、増幅産物が自己フォールディングを介して様々な複雑な二次構造を形成し得る。これらの増幅産物は、自己伸長を介して、及び一本鎖が新しい増幅産物の合成用のプライマーハイブリッド形成を提供し得るという理由から、より長くかつより複雑な構造となり得る。線形構造と二次構造とは置き換えられてもよい。一本鎖の線形構造と二次構造分子とは、ハイブリッド形成を介して互いに連結され、それにより巨大なDNAハイブリッド形成複合体を形成し得る。従って、交差プライミング増幅方法における産物は、ゲル電気泳動により決定するとき極めて複雑である。種々の長さのDNAが見出され、巨大なDNAハイブリッド形成複合体は、移動がほとんどないためにゲル電気泳動の試料用ウェルに位置する。
【0040】
増幅後、産物を様々な方法で検出することができる。好ましい実施形態において、1つ又は複数の異なるマーカーをそれぞれ含む検出プライマーが合成され得る。得られる二重標識DNA二本鎖分子は、増幅段階において生成される多数の検出配列を含む増幅産物をとることにより検出することができる。かかる二重標識DNA二本鎖分子のほとんどは、比較的短い増幅最終産物であるが、比較的大きい増幅産物又は巨大なハイブリッド形成複合体は、検出プライマーのハイブリッド形成部位を含み、それにより検出プライマーハイブリッド形成を介した二重標識を得ることができる。このようにして、それらを検出し得る(図4)。
【0041】
二重に標識された標的配列の増幅産物は、アガロースゲル電気泳動又は核酸検出検査ストリップにより検出することができる。核酸検査ストリップの検出原理の一実施形態を図5に示す。
【0042】
交差プライミング増幅を利用することによる交差プライミング増幅標的配列に関する本発明の方法であって、これは、
1)一対の交差増幅プライマーと一対の置換プライマーとを設計する工程と、
2)増幅標的配列の両末端に交差プライミングハイブリッド形成部位を導入し、固定末端を生成することにより、高速増幅用の鋳型が調製される工程と、
3)増幅が線形構造及び/又は二次構造様式で行われ;いくつかの増幅反応が同じ鋳型で同時に行われ得るように、いくつかのプライマーハイブリッド形成部位が生成され、プライマーの反復的なハイブリッド形成及び伸長並びに増幅産物の自己ハイブリッド形成フォールディング及び伸長を介して実行される工程と、
を含み得る。
【0043】
プライミング増幅標的配列に関する検出方法であって、当該方法は、
1)一対の交差増幅プライマーと一対の置換プライマーとを設計する工程と、
2)増幅標的配列の両末端に交差プライミングハイブリッド形成部位を導入し、固定末端を生成することにより、高速増幅用の鋳型が調製される工程と、
3)増幅が線形構造及び/又は二次構造様式で行われ;いくつかの増幅反応が同じ鋳型で同時に行われ得るよう、いくつかのプライマーハイブリッド形成部位が生成され、プライマーの反復的なハイブリッド形成及び伸長並びに増幅産物の自己ハイブリッド形成フォールディング及び伸長を介して実行される工程と、
4)一対の検出プライマーを設計し、検出プライマーにより、二重標識された検出用のDNA二本鎖分子が増幅期間に生成された多数の検出配列を含む増幅産物鋳型において合成される工程と、
を含み得る。
【0044】
標的配列に関する別の高速検出方法であって、当該方法は、
1)一対の交差増幅プライマーと一対の置換プライマーとを設計する工程と、
2)増幅標的配列の両末端に交差プライミングハイブリッド形成部位を導入し、固定末端を生成することにより、高速増幅用の鋳型が調製される工程と、
3)増幅が線形構造及び/又は二次構造様式で行われ;いくつかの増幅反応が同じ鋳型で同時に行われ得るように、いくつかのプライマーハイブリッド形成部位が生成され、プライマーの反復的なハイブリッド形成及び伸長並びに増幅産物の自己ハイブリッド形成フォールディング及び伸長を介して実行される工程と、
4)一対の検出プライマーを設計し、検出プライマーにより、二重標識された検出用のDNA二本鎖分子が増幅期間に生成された多数の検出配列を含む増幅産物鋳型において合成される工程と、
を含み得る。
【0045】
一対の交差増幅プライマーと一対の置換プライマーとを設計する工程は、
a)一対の交差増幅プライマー、すなわち、3つの部分:ハイブリッド形成配列と連結領域と互換配列とから主として構成される交差増幅プライマーF及び交差増幅プライマーRの設計と、
b)一対の置換プライマー、すなわち、置換プライマーF及び置換プライマーRの設計であって、前者は、標的遺伝子のアンチセンス鎖と完全に相補的な順方向外側プライマーであり、後者は、標的遺伝子のセンス鎖と完全に相補的な逆方向外側プライマーである、設計と、
を含むことができる。
【0046】
増幅標的配列の両末端に交差プライミングハイブリッド形成部位を導入し、固定末端を生成することにより、高速増幅用の鋳型が調製される工程は、
a)順方向増幅プライマーFと、5’末端に逆方向プライマーRのハイブリッド形成同定配列が存在する核酸標的分子との間にハイブリッド形成を生じさせることと、
b)二本鎖核酸が、置換機能を有するDNAポリメラーゼ伸長順方向増幅プライマーFにより合成され得ることと、
c)順方向置換プライマーFと核酸標的分子との間にハイブリッド形成を生じさせることと、
d)置換機能を有するDNAポリメラーゼ伸長置換プライマーFと置換順方向増幅プライマーFの伸長鎖とを使用して、固定された順方向鎖5’末端を生成することと、
e)鋳型としての置換増幅プライマー伸長鎖と、5’末端に順方向プライマーFのハイブリッド形成同定配列が存在する逆方向増幅プライマーRとの間でハイブリッド形成が行われ得ることと、
f)二本鎖核酸が、置換機能を有するDNAポリメラーゼ伸長逆方向増幅プライマーRにより合成され得ることと、
g)逆方向置換プライマーRと核酸標的分子とを使用することによりハイブリッド形成が行われることと、
h)置換機能を有するDNAポリメラーゼ伸長置換プライマーRと逆方向増幅プライマーRの伸長鎖とを使用して、固定された逆方向鎖5’末端を生成することであって;生成された逆方向増幅プライマーR伸長鎖の両末端はこの時点で固定され;増幅プライマーF及びRのハイブリッド形成配列が、高速増幅用の鋳型として働くよう、それぞれ3’末端及び5’末端に導入されることと、
を含むことができる。
【0047】
3)増幅が線形構造及び/又は二次構造様式で行われ;いくつかの増幅反応が同じ鋳型で同時に行われ得るように、いくつかのプライマーハイブリッド形成部位が生成され、プライマーの反復的なハイブリッド形成及び伸長並びに増幅産物の自己ハイブリッド形成フォールディング及び伸長を介して実行され;後方領域にあるこれらのプライマー伸長が伸長鎖を置換し、それが再び鋳型として働き次の増幅ラウンドに加わるため、増幅速度が大幅に高まり得る。
【0048】
以下の非限定的な例により本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0049】
実施例1
クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)の検出
1990年以降、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)に取って代わりクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)が、尿路感染症における最も一般的な病原体となっている。クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)感染症及び対応する合併症は、徐々に増加していることに伴い、従来にも増してヒトの性と生殖に関する健康に対する大きい脅威となっている。1995年、世界保健機構(World Health Organization)は、全世界に約9千万人のクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)患者がいると推定したが、これはHIV感染患者よりはごく少ないものであった。従って、高速のクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)診断を実現することには重要な意義がある。本発明特許は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)のDNAの高速検出に使用することができ、対応するプライマーに関するその具体的な設計は、以下のとおり列挙され得る:本発明者らは、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)のDNA配列及び増幅用遺伝子断片を選択する;さらに、配列に従い特異性プライマーが設計され得る。
【0050】
増幅反応の基本成分を以下に掲載する:
【0051】
【表1】
【化1】
【0052】
反応時間、温度、プライマー含量及びマグネシウム濃度の最適化を調べた。いずれの場合も、反応物は、調べるパラメータを除き一定とした。増幅反応の反応時間について、66分、68分、70分、72分、74分、76分、78分及び80分を用いて調べた。最適反応時間は約80分と思われる。
【0053】
増幅反応の反応温度について、54℃、56℃、58℃、60℃、62℃、64℃及び66℃を用いて調べた。シグナルは、反応温度が最高約60℃に至るまで上昇するに従い強まる。約60℃の後、シグナルは低下し、従って反応の最適温度は60℃前後であることが示される。
【0054】
増幅反応のプライマーF及びRの濃度について、0.8μmol、0.7μmol、0.6μmol、0.5μmol、0.4μmol、0.3μmol、0.2μmol及び0.1μmolを用いて調べた。プライマーの最適濃度は約0.4μmolであると思われる。
【0055】
増幅反応のMg2+濃度について、10mmol、9mmol、8mmol、7mmol、6mmol及び5mmolを用いて調べた。最適Mg2+濃度は約8mmolであると思われる。
【0056】
検査ストリップを使用することによる増幅産物の検出結果を図6に示す。
【0057】
実施例2
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の検出
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)(TB)ウイルスDNAを鋳型として使用した。CPA反応混合液は、5つのプライマーF3、B3、F1、F2、BIPをそれぞれ含んだ。BIPは、B1配列及びF1配列と相補的なB1c配列からなった。F1は、その5末端に標識ビオチンを有し、及び標識されたF2は、その5’末端をFitCで標識した。増幅条件は、温度、プライマー及びプローブ濃度、酵素単位、Mg++濃度、緩衝液濃度、及び反応時間について最適化した。各0.5μMのBIP、F1及びF2と、0.05μMのF3及びB3と、各0.8mMのdNTPと、1Mのベタイン(sigma)と、20mMのトリス−HCI(pH8.8)と、10mMのKClと、10mMの(NH4)2SO4と、6mMのMgSO4と、0.1%のTriton X-100と、8UのBst DNAポリメラーゼ大断片(New England Biolabs)と、特定量の二本鎖標的DNAとを含む合計20μlで最適化された反応を実行した。95℃で5分間の加熱は行うことなく、混合液を66℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、PCRチューブの蓋を開けることなく増幅産物を核酸検出ストリップにより直接検出した。
【化2】
【図1−1】
【図1−2】
【図2−1】
【図2−2】
【図3A−1】
【図3A−2】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国特許法第119条(e)項に基づき、2009年1月6日に出願された米国仮特許出願第61/204494号の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、標的配列の交差プライマー増幅方法ならびに増幅標的配列試薬キット及び適用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
過去30年の間に、培養が難しい、又は培養することのできない病原微生物が、主な伝染源又は感染源となっている。増殖する細菌コロニー数などのマーカー、コロニーの精製分離、外部からの形態観察、並びに生理学的及び生化学的同定、さらには血清学的同定などを用いる先行技術の検出方法は、その時間がかかり面倒な工程及び他の欠点に起因して、昨今の高速、容易、高い特異性の同定要件を満たさない。従って、そうした培養が難しい、又は培養することのできない病原微生物を正確に同定し、それらの病原性細菌の核酸構造及び分子特性を分子生物学レベルで研究することにより、かかる病原性細菌の検出を大幅に向上させることがますます重要となっている。現在、高感度、高特異的かつ高速の核酸増幅技術は、臨床検体を直接検出することができる。しかしながら、これらの技術は感染症の診断においてより広く適用されており、徐々に従来の細菌又はウイルス培養に取って代わる傾向にある。
【0004】
現在用いられている核酸増幅技術では、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術が最も広く使用されている。現在、外部的な核酸増幅技術は2つのタイプに分けられ得る。第1のタイプは、保温スポット中での温度サイクリングにより特徴付けられ、PCR、リガーゼ連鎖反応(LCR)、及び転写ベース増幅システム(TAS)が含まれる。第2のタイプは、鎖置換増幅(SDA)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、転写媒介増幅(TMA)、ローリングサークル増幅(RCA)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、ヘリカーゼ依存増幅(HDA)などの等温増幅システムを含む。これらの方法はいずれも、均一温度のもとで増幅反応が行われるため、従って増幅反応に必要とされる器材が簡素化されるという共通の特徴を共有する。
【0005】
様々な核酸増幅技術の多くは、増幅される標的配列を検出するため、電気泳動法、蛍光、質量分析又は直接シーケンスなどの様々な検出方法論と結び付いている。検出技術は多くの場合に複雑な操作を伴い、費用がかかるとともに、通常、熟練した専門家によって操作されなければならない大規模な機器を必要とする。さらに、これらの技法は、広範な利用及び農村部にある第三世界の病院の多くにおける使用には適さないことが多い。本発明は、病原体並びに他の核酸を含有する生物を単純、高速、低コストで検出するため、等温核酸増幅技術と核酸検査ストリップ高速検出とを組み合わせる。
【0006】
先述のとおり、核酸増幅方法はいくつかある。PCRは、いくつかの標的配列DNA断片を酵素的に合成するため、標的配列の両側にオリゴヌクレオチドプライマーを提供することにより達成される。PCRの各サイクルは、DNA二本鎖の分離、プライマー復元及びDNAポリメラーゼにより触媒される伸長反応を含み、それによって新しく合成されたDNA断片が作られ、そのDNA断片が再び次の増幅サイクルの鋳型となることにより、標的配列のDNAの指数関数的増幅が生じ得る。現在、PCR技術は、遺伝子疾患の検出、癌の診断及び予後診断、細菌、ウイルス及び真菌感染の同定;並びに親子鑑定など、バイオテクノロジーの様々な面に広く適用されている。
【0007】
LCRはTaqリガーゼの結合能に基づく増幅であり、標的遺伝子配列の点突然変異を検出することが可能である。LCRは、PCRより容易に特定の点突然変異を同定し得る。標的配列に任意の点突然変異が存在する場合、プライマーは正確には標的配列と結合しないであろう。突然変異近傍のヌクレオチドの特殊構造が変化しているため、LCRが実行されず、増幅産物が生成されないであろう。現在、この方法は主として、一塩基の遺伝性疾患の多型及び産物の診断、微生物の特異的同定に関する研究及び癌遺伝子における点突然変異など、点突然変異に関する研究及び検出において使用されている。
【0008】
RCAは2つのタイプ:線形増幅及び指数関数的増幅に分けられる。前者は、環状DNAと相補的な反復配列の多数のDNA一本鎖を産物とする環状核酸の増幅にのみ適用可能であり得る。この技法は、マイクロアレイ上の又は固相形態の特異的シグナルの検出に適し得る。指数関数的な増幅では、増幅産物は鋳型としても働き得るため、増幅産物が指数関数的に増加する。この技法は、非環状DNAの増幅にも使用され得る。RCAの特異性は極めて高く、従って突然変異の検出及びSNPの同定に使用することができる。その使用を蛍光リアルタイム検出と統合することにより、この技法の幅広い使用を可能とすることができる。
【0009】
TMAは、等温条件下で逆転写酵素及びT7 RNAポリメラーゼを利用するRNA又はDNAの増幅である。TMAでは、標的の逆転写がプライマーの誘導下での逆転写酵素の作用により達成される。RNA逆転写酵素のH活性によりDNA−RNAハイブリッド鎖中のRNAが分解され、それにより二本鎖DNAの合成が可能となり、この二本鎖DNAがさらに、T7 RNAポリメラーゼの作用下で数千本のRNA配列に転写され得る。これらのRNAは、次のサイクルの鋳型としても働き得る。TMA反応全体が、一つの自己触媒過程である。この方法の特異性は、感度と同じく高い。反応条件が単純で、かつ増幅効率が高い。TMAは特別な増幅機器を必要とせず、全反応が1本の試験管内で行われ得るため、環境汚染が低減される。
【0010】
自家持続配列複製(3SR)と称される、核酸配列に依る増幅は、主にRNA検出に用いられる。反応は、逆転写酵素、T7 RNAポリメラーゼ、ヌクレアーゼH、及び2個の特別なプライマーに依存する。プライマーIの3’末端は標的配列と相補的であり、その5’末端はcDNA合成のためのT7 RNAポリメラーゼプロモーターを含む。プライマーIIの配列はcDNAの5’末端と相補的である。反応中、プライマーIがRNA鋳型にアニールされ、逆転写酵素の作用下でcDNAを触媒的に合成する。次にRNAはヌクレアーゼHにより加水分解され、一本鎖DNAを形成する。プライマーIIがcDNAの5’末端にアニールされ、第2のDNA鎖が合成されることにより、T7 RNAポリメラーゼプロモーターを含む二本鎖DNAが形成される。逆転写酵素を使用して試料RNA配列と同じ新しいRNA鎖が転写される。新しいRNA鎖の各々は鋳型としても働き、cDNAを合成し得る。このプロセスが繰り返され、より多くのRNA及びcDNAが形成され得る。操作は単純である;特別な機器は不要である;温度サイクリングは不要である。二本鎖DNAがプロモーター配列を一つも有しない場合、従って反応特異性が大幅に高まる場合、増幅は有効でないこともあり得る。この技術は特異的RNAの検出及び定量分析に適しており、二本鎖DNAの増幅にも適用可能である。従って、これは臨床で広く利用され得る。
【0011】
SDAは、制限エンドヌクレアーゼ及びDNAポリメラーゼの使用に頼る。SDAは一本鎖DNA鋳型を調製することが必要であり、その調製においては、断片の両末端がSDAサイクル用の酵素部位を含む目的のDNA断片が生成される。制限エンドヌクレアーゼ同定部位を含むプライマーが一本鎖標的分子と組み合わされ、切り出し酵素活性を有しないDNAポリメラーゼの作用により半リン酸化硫酸化部位を含む二本鎖DNAを形成する。保護されていないプライマー鎖が制限エンドヌクレアーゼにより切断される;一方、修飾された標的断片は変化しないままであり、DNAポリメラーゼが切れ目位置において伸長を開始して下流配列を置換することにより別のDNA一本鎖を生成し、その切れ目が制限エンドヌクレアーゼにより開裂され得る。かかる切れ目の開裂、重合及び置換手順が繰り返し循環処理されることにより、標的分子の相補鎖が多数生成される。SDAは感度が高く、かつ一本鎖分子を高速で増幅することができる;しかしながらその適用範囲は、標的配列の複雑な調製及び検出方法の限界に起因して制限されている。
【0012】
LAMPは、主としてBst大断片DNAポリメラーゼと二対の特別な内部プライマー(F1CとF2とから構成されるFIP;BICとB2とから構成されるBIP)及び一対の外部プライマー(F3及びB3)とから構成される。FIPプライマーのF2配列が標的DNAの相補配列と対形成し、ループ鎖置換反応が開始され得る。F3プライマーは鋳型のF3C領域と相補的であり、FIPにより導入されたDNA一本鎖を押し出すようにして鋳型DNAの二本鎖をもたらし、合成する。その間、BIPプライマーが押し出された一本鎖のハイブリッド形成と組み合わさることで、形成された環状構造を開裂させる。次に、B3プライマーがBIP外側の塩基と対形成し、ポリメラーゼの作用下で新しい相補鎖を形成する。置換された一本鎖DNAの両側に相補配列があるため、自己塩基対形成を起こってダンベル型DNA構造を形成することができ、このDNA構造が再生及び伸長のためのLAMP反応の開始構造として働くことができ、多数のDNA配列が繰り返しかつ代替的に生成され、多くのループを含むカリフラワー形状のステム−ループ構造DNAである増幅産物が形成され得る。LAMPは高度に特異的で高感度である。LAMPを使用した病原微生物の検出は、ピロリン酸マグネシウム沈殿生成量と生成DNA量との間に線形的な関係があるため、定性的であっても定量的であってもよい。LAMPは実験の段取りが単純であり、実験は等温下で行われるため、安定熱源として働くことのできる通常の水浴又は他の装置のみが必要となり得る。この方法は、科学研究並びにルーチンの検出ツールに適用可能性を有し得る。
【0013】
TASは、主に増幅RNAに使用される。これは、逆転写酵素、T7 RNAポリメラーゼ、ヌクレアーゼH、及び2つの特別なプライマーを利用する。プライマーIの3’末端は、増幅されるRNAと相補的であり、その5’末端はT7 RNAポリメラーゼのプロモーター情報を含む。逆転写酵素が開始点としてプライマーIを使用してcDNAを合成する。プライマーIIはこのcDNAの3’末端と相補的であり、cDNAの第2の鎖の合成に使用される。T7 RNAポリメラーゼが、二本鎖DNAを鋳型としてとることで、増幅されるRNAと同じRNAを転写し、それが次のラウンド反応の鋳型となり得る。TASは高い増幅効率を有し、かつその特異性は高い;しかし一方で、そのサイクリング過程は複雑で、逆転写酵素及びT7 RNAポリメラーゼが繰り返し加えられ得る;従って、そのさらなる研究が行われることになるであろう。
【0014】
HADは、それが巻き戻し酵素を使用してDNA鎖を分離させることから、天然のDNA複製を刺激する方法である。HADは、合成を最適化することで熱サイクラーに必要となり得る費用及び電力消費を低減するため、同じ温度下で行うことができる。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、核酸増幅反応を実行するため、鎖置換型DNAポリメラーゼの一種(好ましくはBst DNAポリメラーゼ)を数十分間にわたりある特定の一定温度(約62℃)に維持することができる等温増幅及び核酸検出方法を提供する。従って、本発明の方法は高速の核酸増幅を提供し、これは迅速かつ効率的に実行され得るものであり、全ての増幅プロセスを実行するのに一つの単純な恒温装置しか必要でなく、従って反応の複雑性が大幅に低下する(熱サイクラーが不要である)。本発明の方法はまた、核酸検出検査ストリップ検出を交差プライミング増幅と併用し、増幅及び検出プロセスを容易かつ単純に達成することを可能にする新規な高速核酸検出方法を開発する。鋳型の熱変性、長時間の温度サイクリング、手間のかかる電気泳動法及び他のプロセスは、もはや不要である。本発明の方法は、特異的で単純かつ短時間であり、ヒト遺伝子疾患に直接関係する分子に関する診断、病原微生物の検出、腫瘍又は癌の診断及び予後診断に関する評価、並びに微生物タイピングを含む応用に幅広く適用され得る。いくつかの等温増幅方法では、等温反応の前に、より高い温度で標的DNA(ゲノムDNA)を初期変性する必要がある。CPAは真に等温方法であるため、初期熱変性を必要としない。
【0016】
発明の概要
本発明は、核酸配列を増幅するための新規の技術及び方法に関する。より詳細には、本発明は、交差プライミング等温増幅(cross priming isothermal amplification)を利用することによる核酸の増幅方法に関する。さらに、本発明は、標的配列の増幅反応及び高速検出を行う間の増幅標的配列の標識方法に関する。本発明はまた、細菌、及びウイルスなどの病原微生物の核酸配列を高速検出するための試薬キットにおける本方法の使用にも関する。本発明の増幅及び検出方法は、ヒト遺伝子疾患に関連する検出及び診断にも利用することができる。
【0017】
交差プライミング増幅(CPA)は、複数の交差結合されたプライマー、典型的には対になり得る3〜8個のプライマーを使用し、ここで、DNA標的配列は、水浴又は乾式インキュベーターなどの単純な加熱装置を使用して、ある一定温度で増幅される。プライマー/検出体の数は目的及び最適化に応じて変えることができる。交差配列は、種々の適用に合致させて、プライマー/プライマー交差、又はプライマー/検出体交差、又は他の構成用に設計することができる。
【0018】
増幅産物の検出は、米国特許出願公開第2009/0181388A1号に記載されるような、アンプリコンの漏出を防止する密閉プラスチック装置に格納することができるラテラルフロー(lateral flow)ストリップにおいて実施することができる。反応中、増幅産物のハイブリッド形成と標識とが同時に行われ、それにより、アッセイ結果の視覚的表示読み取りを提供する交差コンタミネーション防止ラテラルフローDNAストリップ装置において検出可能な状態の標識された増幅標的が作られる。
【0019】
一般的なCPAでは、交差プライミング部位、交差プライミング増幅、及び検出可能な産物の生成を伴う。順方向交差プライマーセンス(PFs)プライマー及び逆方向交差プライマーアンチセンス(PRa)プライマーが、互いのプライミング配列と同じ5’配列により設計される。交差プライマーの上流に位置する置換プライマーが設計される。好ましい実施形態において、置換プライマーの濃度は交差プライマーの濃度より低い。DNAポリメラーゼ(好ましい実施形態ではBst)が交差プライマーを伸長し、置換プライマーを伸長する。置換プライマーが伸長すると、交差プライマー伸長鎖が規定した5’末端に置き換わる。この新しい鎖に関する同様の伸長/置換機構により、他方の鎖上に別のプライミング部位PFaが加わり、また他方の規定した末端が作られる。
【0020】
置換された鎖は、両末端に新しく導入されたプライミング部位を含み、その3’末端に両方の交差プライマーについてのプライミング部位を含む鋳型として機能する。新しいプライミング部位が各伸長/置換ラウンド後に導入されることによって複数のプライマー結合部位がもたらされ、それにより増幅プロセスが加速する。
【0021】
中間産物と最終産物とは混じり合い、それらは異なる長さを有し、多くの形態の二次構造(一本鎖、二本鎖、又は部分二本鎖)を有し得る。検出プローブ又はプライマーを使用して標的配列が調べられる。好ましい実施形態では、一方のプライマーが伸長可能であるのに対して他方は伸長可能ではなく、これらのプライマーが増幅産物とハイブリッドを形成する。両方の検出体に連結されている産物を検出可能であり、好ましい実施形態では、検出機構はラテラルフローストリップ検出プラットフォームを利用する。
【0022】
CPAは、DNAポリメラーゼ(Bst、クレノー、Vent exo−DNAポリメラーゼなど)の鎖置換機能を利用して二本鎖DNAを変性させる。かかるポリメラーゼの使用は、SDA、LAMP、CPA、RCA(ローリングサークル増幅)、HDA(ヘリカーゼ依存増幅)を含むほとんどの等温増幅方法に共通する。
【0023】
SDA、LAMP及びCPAは全て、いくつかのプライマーに5’テールを利用するが、SDAにおける5’テールの目的が標的へのニッキング(nicking)酵素認識部位の導入であり、LAMPにおける5’テールの目的が標的における配列の導入によるループの形成であるのに対し、CPAにおける5’テールの主な目的は、標的の両側における追加的なプライミング部位の導入である。
【0024】
SDAでは、DNA伸長は主としてニッキングに依存して遊離3’末端を作り出し、それを鋳型鎖にアニールして新しいDNAを合成する。LAMPでは、DNA伸長は主として自己フォールディングループの形成に依存し、ループの遊離3’末端を鋳型鎖にアニールして新しいDNAを合成する。CPAでは、DNA伸長は主として両方の鎖の複数のプライミング部位に対する複数のプライマーのアニーリングに依存し、それにより新しいDNAの合成を駆動する。
【0025】
本発明の方法は、標的核酸配列の増幅方法を含み、これは、
a)少なくとも第1の交差増幅プライマー及び第2の交差増幅プライマーであって、ハイブリッド形成配列と互換配列(interchanging sequence)とを含む交差増幅プライマーと、少なくとも第1の置換プライマー及び第2の置換プライマーとを設計する工程であって、第1の置換プライマーが第1の交差増幅プライマーの5’側に位置し、及び第1の置換プライマーが第1の交差増幅プライマーの5’側に位置する、工程と、
b)交差プライミングハイブリッド形成部位が標的核酸配列の末端に導入され、それにより交差増幅プライマー部位を含む標的核酸配列が産生されるように、等温条件下でDNAポリメラーゼの存在下に交差増幅プライマー及び置換プライマーを標的配列に導入することにより交差プライミング部位を生成する工程と、
c)交差ハイブリッド形成プライマーの反復的なハイブリッド形成及び伸長を介して交差増幅プライマー部位を含む標的核酸配列を増幅する工程と、
を含む。
【0026】
本発明の方法は、標的核酸配列の存在の検出方法を含み、これは、
a)少なくとも第1の交差増幅プライマー及び第2の交差増幅プライマーであって、ハイブリッド形成配列と互換配列とを含む交差増幅プライマーと、少なくとも第1の置換プライマー及び第2の置換プライマーとを設計する工程であって、第1の置換プライマーが第1の交差増幅プライマーの5’側に位置し、及び第1の置換プライマーが第1の交差増幅プライマーの5’側に位置する、工程と、
b)交差プライミングハイブリッド形成部位が標的核酸配列の末端に導入され、それにより交差増幅プライマー部位を含む標的核酸配列が産生されるように、等温条件下でDNAポリメラーゼの存在下に交差増幅プライマー及び置換プライマーを標的配列に導入することにより交差プライミング部位を生成する工程と、
c)交差ハイブリッド形成プライマーの反復的なハイブリッド形成及び伸長を介して交差増幅プライマー部位を含む標的核酸配列を増幅する工程と、
d)交差増幅プライマー部位を含む増幅された標的核酸配列に対し、第1のマーカーで標識された第1の検出プライマーと第2のマーカーで標識された第2の検出プライマーとを導入する工程であって、第1及び第2の検出プライマーの導入により両マーカーを含む二本鎖核酸分子が産生される、工程と、
e)両マーカーを含む二本鎖核酸分子を検出する工程と、
を含む。
【0027】
本発明は、病原微生物、環境微生物、微生物タイピング、ヒト、動物又は植物を検出するための感染症病原体、食品又は生物兵器を検出するための感染症病原体の検出、ヒト遺伝子疾患又は健康リスク遺伝子の検出、並びにコンタミネーションのない装置内に置かれ得る核酸ストリップによる検出のためのキットであって、交差増幅プライマーと、置換プライマーと、検出プライマーと、DNAポリメラーゼとを含む、キットも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】交差プライマー増幅の基本概念の概略図である。
【図2】交差増幅プライマー及び検出プライマー部位及び配列構成を含む、本発明の交差プライマー増幅方法の好ましい実施形態の基本プライマー設計の概略図である。
【図3A】交差プライミング部位及び規定した末端の生成を含む、交差プライミング増幅方法の開始段階の好ましい実施形態の概略図である。
【図3B】複数のプライミング部位が生成される線形構造形態を使用した交差プライミング増幅方法の増幅段階の好ましい実施形態の概略図。
【図3C】二次構造形態、複数のプライマーの結合、及び自己フォールディング及び伸長のための複数プライミング部位を使用した交差プライミング増幅方法の増幅段階の好ましい実施形態の概略図。
【図4】生成増幅産物及び二重標識された増幅産物の検出の概略図。
【図5】核酸検出検査ストリップを使用した増幅産物の一検出方法の概要を示す概略図。
【図6】検査ストリップによるクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)の増幅産物の検出結果。
【図7】検査ストリップによる結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の増幅産物の検出結果。
【図8A】一回の交差増幅の概略図。
【図8B】結核菌(Mycobacterium tuberculosis)についての標的配列、プライマー位置、及びプライマー設計、ここではXbal部位が1sと2aとの間の交差プライマーに挿入される。
【図8C】種々のプライマーの組み合わせによる増幅産物。レーン1:1s、2a及び3a;レーン2:1s、2a、3a、4s及び5a;レーン3:1s、3a、4s及び5a;レーン4:1s、2a、4s及び5a;レーン5:2a、3a、4s及び5a;(−)は、対応する反応について標的制御がないことを示す。システムは最低限3個のプライマーで機能し、そのうち少なくとも1個は交差プライマーとする。2つの矢印は2個の最小増幅産物を示し(それぞれ、1s/2a産物及び1s/3a産物)、これらは図8a及び配列決定データ(図8e)に示されるとおりの基本ユニットである。レーン3には1s/2a産物が欠けており、レーン4には1s/3a産物が欠けていることに留意されたい。交差プライマー1sが存在しないときのレーン5は産物を示さなかった。
【図8D】制限酵素Xba Iにより消化されたCPA増幅産物。レーン1、消化されなかったCPA増幅産物;レーン2、Xba Iにより消化されたCPA増幅産物。反復断片を示す高分子量産物が減少した。おそらくは増幅産物の異種接合型の二次構造に起因して、消化は完了していない。
【図8E】CPA増幅産物の配列決定。図8Cの矢印により示される2バンドを励起し、クローニングし、配列決定した。配列は、図8Aに示される最終産物に対応した。より高分子量の増幅産物は、これらの基本ユニットのタンデムリピートである(データは図示せず)。
【図9A】交差プライミング増幅(二重交差)の機構の概略図。高濃度の交差プライマー1sがアニール及び伸長し、その後、より低濃度の置換プライマー3sがアニール及び伸長し、下流鎖が置換される。置換された鎖は規定した5’であり、3)新しいプライマー結合部位が5’末端に付加される;交差プライマー2aがアニール及び伸長し、置換プライマー4aが鎖を置換する。ここで、置換された鎖は規定した3’及び5’であり、別のプライマー結合部位が5’末端に付加され、一本鎖DNAが二次構造を形成し得る;4)両方の交差プライマー1s及び交差プライマー2aを鋳型の3’にアニールすることができる。交差プライマー2aによる伸長産物は、5’末端に別のプライミング部位を付加することにより伸長される;5)他の鎖も工程4と同様;6)、7)及び8)伸長及び置換のラウンドごとにアンプリコンが伸長され、プライミング部位が繰り返し付加される。反復プライミング部位により複数のプライマーのアニール及び伸長が可能となり、増幅が促進される。反復配列はまた、二次構造及び「分枝状」DNAも形成し、これは鋳型が一本鎖構造のまま留まるのに役立つ。この段階のアンプリコンは高度に異種接合型であり、長さ及び構造が異なる。複数のDNA合成が同じ鋳型で同時に起こり得る。
【図9B】異種接合型増幅産物のゲル画像。
【図9C】HPV標的配列及びCPAプライマー設計。置換プライマーは図示せず。配列決定したアンプリコンにおける各プライマー位置を同定するためプライマータグを設計した。増幅産物をクローニングし、30個のコロニーを選択して配列決定した。CPAアンプリコン配列のうちの1つを示した。交差プライマー1s及び2aは、互いに重複していることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0029】
発明の詳細な説明
本発明は、核酸配列を増幅するための新規の技術及び方法に関する。より詳細には、本発明は、交差プライミング等温増幅を利用することによる核酸の増幅方法に関する。交差プライミング増幅と称される本発明の方法は、標的核酸の6領域に従い設計される少なくとも6タイプ(3対)の特異的プライマーを利用する。増幅方法は、限定はされないがBst DNAポリメラーゼなどの鎖置換DNAポリメラーゼを使用することにより、一定の温度下で(等温下で)行われ得る。従って、本発明の方法は、鋳型の熱変性又は温度サイクリングが不要であり得る。
【0030】
本発明の交差プライミング増幅方法の好ましい実施形態は以下の手順を含む:
プライマー設計−プライマー設計は、一対の交差増幅プライマーと、一対の置換プライマーと、一対の検出プライマーとを含み得る。
開始段階−交差プライミングハイブリッド形成部位は、増幅標的配列の各末端に導入され得る。高速増幅用の鋳型を調製するため、固定末端も生成され得る。
増幅段階−増幅は、線形構造様式又は二次構造様式のいずれかで行われ得る。いくつかのプライマーハイブリッド形成部位が生成され得るとともに、プライマーの反復的なハイブリッド形成及び伸長並びに増幅産物の自己ハイブリッド形成フォールディング及び伸長を介して、いくつかの増幅反応が同じ鋳型で同時に行われ得るように実行される。
生成された産物の検出−増幅段階において生成される検出配列を多数含む増幅産物を鋳型として選ぶことにより、検出プライマーを用いて検出用の二重標識されたDNA二本鎖分子が合成され得る。次に、核酸検出検査ストリップを使用することにより増幅産物が検出され得る。
【0031】
プライマー設計は、一対の交差増幅プライマーと、一対の置換プライマーと、一対の検出プライマーとを含み得る。本発明の方法の好ましい実施形態において、一対の交差増幅プライマー(交差増幅プライマーF及び交差増幅プライマーR)は合成される。交差増幅プライマーF及び交差増幅プライマーRは、3つのセグメントから構成され得る:
1)ハイブリッド形成配列−これらは、増幅伸長について高い特異性で鋳型とハイブリッド形成する基本配列である。
2)連結体−プライマーにおける2つの異なる配列を連結するために用いられるヌクレオチド、一般に1〜3個のモノヌクレオチド。
3)互換配列−交差増幅プライマーFのハイブリッド形成配列、これは交差増幅プライマーRの5’末端配列でもあり得る;同じように、交差増幅プライマーRのハイブリッド形成配列は交差増幅プライマーFの5’末端配列として働き得る(図2)。
【0032】
一対の置換プライマー(置換プライマーF及び置換プライマーR)は合成されてもよく、ここでは、置換プライマーFが、標的遺伝子のアンチセンス鎖と相補的な順方向外側プライマーであり、置換プライマーRが、標的遺伝子のセンス鎖と相補的な5’外側プライマーである。置換プライマーF及び置換プライマーRは、主に、等温増幅反応のなかの開始段階において置換交差増幅プライマーの鎖を伸ばすために使用される(図2)。
【0033】
一対の検出プライマー(検出プライマーF及び検出プライマーR)は合成されてもよく、ここでは、検出プライマーFが、標的遺伝子のセンス鎖と相補的な逆方向内側プライマーであり、検出プライマーRが、標的遺伝子のアンチセンス鎖と相補的な順方向内側プライマーである。プライマー対は、それぞれ少なくとも1つの異なるマーカー(好ましくはハプテン抗原)により標識され、従って標的配列を増幅すると、二重の抗原の存在によって当該増幅の産物を検出することができる(図2、図4、図5)。
【0034】
開始段階において、増幅標的配列の各末端に交差プライミングハイブリッド形成部位が導入され得るとともに、高速増幅用の所望の鋳型を調製するため固定末端が生成され得る。CPAは、DNAポリメラーゼ(Bst、クレノー、Vent exo−DNAポリメラーゼなど)の鎖置換機能を利用して二本鎖DNAを変性させる。順方向増幅プライマーFと核酸標的分子との間のハイブリッド形成を可能にするため、プライマーは、順方向プライマーFの5’末端に逆方向プライマーRのハイブリッド形成同定配列が存在するように設計される。置換機能を有するDNAポリメラーゼ伸長順方向増幅プライマーFにより二本鎖核酸が合成され得る。順方向置換プライマーFと核酸標的分子との間にハイブリッド形成を生じさせる。置換機能を有するDNAポリメラーゼ伸長置換プライマーF及び置換順方向増幅プライマーFの伸長鎖を使用して固定順方向鎖5’末端を生成する。
【0035】
鋳型としての置換増幅プライマー伸長鎖と、5’末端に順方向プライマーFのハイブリッド形成同定配列が存在する逆方向増幅プライマーRとの間でハイブリッド形成が行われ得る。置換機能を有するDNAポリメラーゼ伸長逆方向増幅プライマーRにより二本鎖核酸が合成され得る。逆方向置換プライマーRと核酸標的分子とを使用することによりハイブリッド形成が行われる。
【0036】
置換機能を有するDNAポリメラーゼ伸長置換プライマーRと逆方向増幅プライマーRの伸長鎖とを使用して固定逆方向鎖5’末端を生成する。生成された逆方向増幅プライマーR伸長鎖の両方の末端が、この時点で固定されている;増幅プライマーF及びRのハイブリッド形成配列が、高速増幅用の鋳型として働くように、それぞれ3’末端及び5’末端に導入される(図3A)
【0037】
増幅は、線形構造様式(図3B)及び/又は二次構造様式(図3C)のいずれかで実行され得る。プライマーの反復的なハイブリッド形成及び伸長並びに増幅産物の自己ハイブリッド形成フォールディング及び伸長を通じて複数のプライマーハイブリッド形成部位が生成及び増幅され、従っていくつかの増幅反応が同じ鋳型で同時に行われ得る。末端のプライマー伸長が伸長鎖を置換し、それが再び鋳型として使用されて次の増幅ラウンドに加わるため、増幅速度が大幅に高まる。
【0038】
線形構造様式では、伸長ごとに1つの新しいプライマーハイブリッド形成配列が増幅プライマーに導入され得るとともに、増幅ラウンドごとに増幅産物が長くなり得る。最終産物のほとんどが短鎖産物であり得るなか、短鎖産物の合成速度は高いため、プライマーハイブリッド形成機会が増加する。換言すれば、交差プライミング増幅方法の使用による産物は、種々の長さの増幅産物の混合物であってよく、ここでは、長鎖の増幅産物が、さらなる増幅のための複数のプライマーハイブリッド形成部位を提供することにより増幅速度を高め得るとともに、短鎖の増幅産物が最終的な検出の主目的となり得る。(図3A)。
【0039】
二次構造様式では、長鎖増幅産物に反復相補配列が存在するため、増幅産物が自己フォールディングを介して様々な複雑な二次構造を形成し得る。これらの増幅産物は、自己伸長を介して、及び一本鎖が新しい増幅産物の合成用のプライマーハイブリッド形成を提供し得るという理由から、より長くかつより複雑な構造となり得る。線形構造と二次構造とは置き換えられてもよい。一本鎖の線形構造と二次構造分子とは、ハイブリッド形成を介して互いに連結され、それにより巨大なDNAハイブリッド形成複合体を形成し得る。従って、交差プライミング増幅方法における産物は、ゲル電気泳動により決定するとき極めて複雑である。種々の長さのDNAが見出され、巨大なDNAハイブリッド形成複合体は、移動がほとんどないためにゲル電気泳動の試料用ウェルに位置する。
【0040】
増幅後、産物を様々な方法で検出することができる。好ましい実施形態において、1つ又は複数の異なるマーカーをそれぞれ含む検出プライマーが合成され得る。得られる二重標識DNA二本鎖分子は、増幅段階において生成される多数の検出配列を含む増幅産物をとることにより検出することができる。かかる二重標識DNA二本鎖分子のほとんどは、比較的短い増幅最終産物であるが、比較的大きい増幅産物又は巨大なハイブリッド形成複合体は、検出プライマーのハイブリッド形成部位を含み、それにより検出プライマーハイブリッド形成を介した二重標識を得ることができる。このようにして、それらを検出し得る(図4)。
【0041】
二重に標識された標的配列の増幅産物は、アガロースゲル電気泳動又は核酸検出検査ストリップにより検出することができる。核酸検査ストリップの検出原理の一実施形態を図5に示す。
【0042】
交差プライミング増幅を利用することによる交差プライミング増幅標的配列に関する本発明の方法であって、これは、
1)一対の交差増幅プライマーと一対の置換プライマーとを設計する工程と、
2)増幅標的配列の両末端に交差プライミングハイブリッド形成部位を導入し、固定末端を生成することにより、高速増幅用の鋳型が調製される工程と、
3)増幅が線形構造及び/又は二次構造様式で行われ;いくつかの増幅反応が同じ鋳型で同時に行われ得るように、いくつかのプライマーハイブリッド形成部位が生成され、プライマーの反復的なハイブリッド形成及び伸長並びに増幅産物の自己ハイブリッド形成フォールディング及び伸長を介して実行される工程と、
を含み得る。
【0043】
プライミング増幅標的配列に関する検出方法であって、当該方法は、
1)一対の交差増幅プライマーと一対の置換プライマーとを設計する工程と、
2)増幅標的配列の両末端に交差プライミングハイブリッド形成部位を導入し、固定末端を生成することにより、高速増幅用の鋳型が調製される工程と、
3)増幅が線形構造及び/又は二次構造様式で行われ;いくつかの増幅反応が同じ鋳型で同時に行われ得るよう、いくつかのプライマーハイブリッド形成部位が生成され、プライマーの反復的なハイブリッド形成及び伸長並びに増幅産物の自己ハイブリッド形成フォールディング及び伸長を介して実行される工程と、
4)一対の検出プライマーを設計し、検出プライマーにより、二重標識された検出用のDNA二本鎖分子が増幅期間に生成された多数の検出配列を含む増幅産物鋳型において合成される工程と、
を含み得る。
【0044】
標的配列に関する別の高速検出方法であって、当該方法は、
1)一対の交差増幅プライマーと一対の置換プライマーとを設計する工程と、
2)増幅標的配列の両末端に交差プライミングハイブリッド形成部位を導入し、固定末端を生成することにより、高速増幅用の鋳型が調製される工程と、
3)増幅が線形構造及び/又は二次構造様式で行われ;いくつかの増幅反応が同じ鋳型で同時に行われ得るように、いくつかのプライマーハイブリッド形成部位が生成され、プライマーの反復的なハイブリッド形成及び伸長並びに増幅産物の自己ハイブリッド形成フォールディング及び伸長を介して実行される工程と、
4)一対の検出プライマーを設計し、検出プライマーにより、二重標識された検出用のDNA二本鎖分子が増幅期間に生成された多数の検出配列を含む増幅産物鋳型において合成される工程と、
を含み得る。
【0045】
一対の交差増幅プライマーと一対の置換プライマーとを設計する工程は、
a)一対の交差増幅プライマー、すなわち、3つの部分:ハイブリッド形成配列と連結領域と互換配列とから主として構成される交差増幅プライマーF及び交差増幅プライマーRの設計と、
b)一対の置換プライマー、すなわち、置換プライマーF及び置換プライマーRの設計であって、前者は、標的遺伝子のアンチセンス鎖と完全に相補的な順方向外側プライマーであり、後者は、標的遺伝子のセンス鎖と完全に相補的な逆方向外側プライマーである、設計と、
を含むことができる。
【0046】
増幅標的配列の両末端に交差プライミングハイブリッド形成部位を導入し、固定末端を生成することにより、高速増幅用の鋳型が調製される工程は、
a)順方向増幅プライマーFと、5’末端に逆方向プライマーRのハイブリッド形成同定配列が存在する核酸標的分子との間にハイブリッド形成を生じさせることと、
b)二本鎖核酸が、置換機能を有するDNAポリメラーゼ伸長順方向増幅プライマーFにより合成され得ることと、
c)順方向置換プライマーFと核酸標的分子との間にハイブリッド形成を生じさせることと、
d)置換機能を有するDNAポリメラーゼ伸長置換プライマーFと置換順方向増幅プライマーFの伸長鎖とを使用して、固定された順方向鎖5’末端を生成することと、
e)鋳型としての置換増幅プライマー伸長鎖と、5’末端に順方向プライマーFのハイブリッド形成同定配列が存在する逆方向増幅プライマーRとの間でハイブリッド形成が行われ得ることと、
f)二本鎖核酸が、置換機能を有するDNAポリメラーゼ伸長逆方向増幅プライマーRにより合成され得ることと、
g)逆方向置換プライマーRと核酸標的分子とを使用することによりハイブリッド形成が行われることと、
h)置換機能を有するDNAポリメラーゼ伸長置換プライマーRと逆方向増幅プライマーRの伸長鎖とを使用して、固定された逆方向鎖5’末端を生成することであって;生成された逆方向増幅プライマーR伸長鎖の両末端はこの時点で固定され;増幅プライマーF及びRのハイブリッド形成配列が、高速増幅用の鋳型として働くよう、それぞれ3’末端及び5’末端に導入されることと、
を含むことができる。
【0047】
3)増幅が線形構造及び/又は二次構造様式で行われ;いくつかの増幅反応が同じ鋳型で同時に行われ得るように、いくつかのプライマーハイブリッド形成部位が生成され、プライマーの反復的なハイブリッド形成及び伸長並びに増幅産物の自己ハイブリッド形成フォールディング及び伸長を介して実行され;後方領域にあるこれらのプライマー伸長が伸長鎖を置換し、それが再び鋳型として働き次の増幅ラウンドに加わるため、増幅速度が大幅に高まり得る。
【0048】
以下の非限定的な例により本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0049】
実施例1
クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)の検出
1990年以降、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)に取って代わりクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)が、尿路感染症における最も一般的な病原体となっている。クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)感染症及び対応する合併症は、徐々に増加していることに伴い、従来にも増してヒトの性と生殖に関する健康に対する大きい脅威となっている。1995年、世界保健機構(World Health Organization)は、全世界に約9千万人のクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)患者がいると推定したが、これはHIV感染患者よりはごく少ないものであった。従って、高速のクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)診断を実現することには重要な意義がある。本発明特許は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)のDNAの高速検出に使用することができ、対応するプライマーに関するその具体的な設計は、以下のとおり列挙され得る:本発明者らは、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)のDNA配列及び増幅用遺伝子断片を選択する;さらに、配列に従い特異性プライマーが設計され得る。
【0050】
増幅反応の基本成分を以下に掲載する:
【0051】
【表1】
【化1】
【0052】
反応時間、温度、プライマー含量及びマグネシウム濃度の最適化を調べた。いずれの場合も、反応物は、調べるパラメータを除き一定とした。増幅反応の反応時間について、66分、68分、70分、72分、74分、76分、78分及び80分を用いて調べた。最適反応時間は約80分と思われる。
【0053】
増幅反応の反応温度について、54℃、56℃、58℃、60℃、62℃、64℃及び66℃を用いて調べた。シグナルは、反応温度が最高約60℃に至るまで上昇するに従い強まる。約60℃の後、シグナルは低下し、従って反応の最適温度は60℃前後であることが示される。
【0054】
増幅反応のプライマーF及びRの濃度について、0.8μmol、0.7μmol、0.6μmol、0.5μmol、0.4μmol、0.3μmol、0.2μmol及び0.1μmolを用いて調べた。プライマーの最適濃度は約0.4μmolであると思われる。
【0055】
増幅反応のMg2+濃度について、10mmol、9mmol、8mmol、7mmol、6mmol及び5mmolを用いて調べた。最適Mg2+濃度は約8mmolであると思われる。
【0056】
検査ストリップを使用することによる増幅産物の検出結果を図6に示す。
【0057】
実施例2
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の検出
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)(TB)ウイルスDNAを鋳型として使用した。CPA反応混合液は、5つのプライマーF3、B3、F1、F2、BIPをそれぞれ含んだ。BIPは、B1配列及びF1配列と相補的なB1c配列からなった。F1は、その5末端に標識ビオチンを有し、及び標識されたF2は、その5’末端をFitCで標識した。増幅条件は、温度、プライマー及びプローブ濃度、酵素単位、Mg++濃度、緩衝液濃度、及び反応時間について最適化した。各0.5μMのBIP、F1及びF2と、0.05μMのF3及びB3と、各0.8mMのdNTPと、1Mのベタイン(sigma)と、20mMのトリス−HCI(pH8.8)と、10mMのKClと、10mMの(NH4)2SO4と、6mMのMgSO4と、0.1%のTriton X-100と、8UのBst DNAポリメラーゼ大断片(New England Biolabs)と、特定量の二本鎖標的DNAとを含む合計20μlで最適化された反応を実行した。95℃で5分間の加熱は行うことなく、混合液を66℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、PCRチューブの蓋を開けることなく増幅産物を核酸検出ストリップにより直接検出した。
【化2】
【図1−1】
【図1−2】
【図2−1】
【図2−2】
【図3A−1】
【図3A−2】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的核酸配列の増幅方法であって、
a)少なくとも第1の交差増幅プライマー及び第2の交差増幅プライマーであって、ハイブリッド形成配列と互換配列とを含む前記交差増幅プライマーと、少なくとも第1の置換プライマー及び第2の置換プライマーとを設計する工程であって、前記第1の置換プライマーが前記第1の交差増幅プライマーの5’側に位置し、第1の置換プライマーが前記第1の交差増幅プライマーの5’側に位置する、工程と、
b)交差プライミングハイブリッド形成部位が標的核酸配列の末端に導入され、それにより交差増幅プライマー部位を含む標的核酸配列が産生されるように、等温条件下でDNAポリメラーゼの存在下において前記交差増幅プライマー及び前記置換プライマーを標的配列に導入することにより、交差プライミング部位を生成する工程と、
c)前記交差ハイブリッド形成プライマーの反復的なハイブリッド形成及び伸長を介して、交差増幅プライマー部位を含む前記標的核酸配列を増幅する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
標的核酸配列の存在の検出方法であって、
a)少なくとも第1の交差増幅プライマー及び第2の交差増幅プライマーであって、ハイブリッド形成配列と互換配列とを含む交差増幅プライマーと、少なくとも第1の置換プライマー及び第2の置換プライマーとを設計する工程であって、前記第1の置換プライマーが前記第1の交差増幅プライマーの5’側に位置し、第1の置換プライマーが前記第1の交差増幅プライマーの5’側に位置する、工程と、
b)交差プライミングハイブリッド形成部位が標的核酸配列の末端に導入され、それにより交差増幅プライマー部位を含む標的核酸配列が産生されるように、等温条件下でDNAポリメラーゼの存在下において前記交差増幅プライマー及び前記置換プライマーを標的配列に導入することにより交差プライミング部位を生成する工程と、
c)前記交差ハイブリッド形成プライマーの反復的なハイブリッド形成及び伸長を介して、交差増幅プライマー部位を含む前記標的核酸配列を増幅する工程と、
d)交差増幅プライマー部位を含む前記増幅された標的核酸配列に、第1のマーカーで標識された第1の検出プライマーと第2のマーカーで標識された第2の検出プライマーとを導入する工程であって、前記第1及び第2の検出プライマーの導入により両マーカーを含む二本鎖核酸分子が産生される、工程と、
e)前記両マーカーを含む二本鎖核酸分子を検出する工程と、
を含む、方法。
【請求項3】
前記両マーカーを含む二本鎖核酸分子が、核酸試験ストリップにより検出される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の交差増幅プライマーの互換配列が、前記第2の増幅プライマーのハイブリッド形成配列と同じであり、前記第2の交差増幅プライマーの互換配列が、第1の増幅プライマーのハイブリッド形成配列と同じである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の交差増幅プライマーの互換配列が、前記第2の増幅プライマーのハイブリッド形成配列と同じであり、前記第2の交差増幅プライマーの互換配列が、前記第1の増幅プライマーのハイブリッド形成配列と同じである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の置換プライマーが、前記標的核酸配列のアンチセンス鎖と相補的であり、第2の置換プライマーが、前記標的核酸のセンス鎖と相補的である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
増幅中、線形構造様式で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
増幅中、二次構造様式で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記マーカーが、ハプテンである、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記両マーカーのプライマー増幅産物を含む二本鎖核酸分子が、2つの検出用抗原を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記DNAポリメラーゼが、Bst DNAポリメラーゼ、クレノーDNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ、及びPhi29 DNAポリメラーゼ又はそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記DNAポリメラーゼが、Bst DNAポリメラーゼ、クレノーDNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ、及びPhi29 DNAポリメラーゼ又はそれらの組み合わせから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
病原微生物、環境微生物、微生物タイピング、ヒト、動物又は植物を検出するための感染症病原体、食品又は生物兵器を検出するための感染症病原体の検出、及びヒト遺伝子疾患又は健康リスク遺伝子の検出のためのキットであって、
a)交差増幅プライマーと、
b)置換プライマーと、
c)検出プライマーと、
d)DNAポリメラーゼと、
を含む、キット。
【請求項14】
検出ストリップをさらに含む、請求項14に記載のキット。
【請求項15】
前記検出ストリップが、試料のコンタミネーションを防止する装置に封入される、請求項15に記載のキット。
【請求項16】
前記DNAポリメラーゼが、Bst DNAポリメラーゼである、請求項13に記載のキット。
【請求項17】
前記病原性生物が、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)である、請求項13に記載のキット。
【請求項18】
前記病原性生物が、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)である、請求項13に記載のキット。
【請求項1】
標的核酸配列の増幅方法であって、
a)少なくとも第1の交差増幅プライマー及び第2の交差増幅プライマーであって、ハイブリッド形成配列と互換配列とを含む前記交差増幅プライマーと、少なくとも第1の置換プライマー及び第2の置換プライマーとを設計する工程であって、前記第1の置換プライマーが前記第1の交差増幅プライマーの5’側に位置し、第1の置換プライマーが前記第1の交差増幅プライマーの5’側に位置する、工程と、
b)交差プライミングハイブリッド形成部位が標的核酸配列の末端に導入され、それにより交差増幅プライマー部位を含む標的核酸配列が産生されるように、等温条件下でDNAポリメラーゼの存在下において前記交差増幅プライマー及び前記置換プライマーを標的配列に導入することにより、交差プライミング部位を生成する工程と、
c)前記交差ハイブリッド形成プライマーの反復的なハイブリッド形成及び伸長を介して、交差増幅プライマー部位を含む前記標的核酸配列を増幅する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
標的核酸配列の存在の検出方法であって、
a)少なくとも第1の交差増幅プライマー及び第2の交差増幅プライマーであって、ハイブリッド形成配列と互換配列とを含む交差増幅プライマーと、少なくとも第1の置換プライマー及び第2の置換プライマーとを設計する工程であって、前記第1の置換プライマーが前記第1の交差増幅プライマーの5’側に位置し、第1の置換プライマーが前記第1の交差増幅プライマーの5’側に位置する、工程と、
b)交差プライミングハイブリッド形成部位が標的核酸配列の末端に導入され、それにより交差増幅プライマー部位を含む標的核酸配列が産生されるように、等温条件下でDNAポリメラーゼの存在下において前記交差増幅プライマー及び前記置換プライマーを標的配列に導入することにより交差プライミング部位を生成する工程と、
c)前記交差ハイブリッド形成プライマーの反復的なハイブリッド形成及び伸長を介して、交差増幅プライマー部位を含む前記標的核酸配列を増幅する工程と、
d)交差増幅プライマー部位を含む前記増幅された標的核酸配列に、第1のマーカーで標識された第1の検出プライマーと第2のマーカーで標識された第2の検出プライマーとを導入する工程であって、前記第1及び第2の検出プライマーの導入により両マーカーを含む二本鎖核酸分子が産生される、工程と、
e)前記両マーカーを含む二本鎖核酸分子を検出する工程と、
を含む、方法。
【請求項3】
前記両マーカーを含む二本鎖核酸分子が、核酸試験ストリップにより検出される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の交差増幅プライマーの互換配列が、前記第2の増幅プライマーのハイブリッド形成配列と同じであり、前記第2の交差増幅プライマーの互換配列が、第1の増幅プライマーのハイブリッド形成配列と同じである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の交差増幅プライマーの互換配列が、前記第2の増幅プライマーのハイブリッド形成配列と同じであり、前記第2の交差増幅プライマーの互換配列が、前記第1の増幅プライマーのハイブリッド形成配列と同じである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の置換プライマーが、前記標的核酸配列のアンチセンス鎖と相補的であり、第2の置換プライマーが、前記標的核酸のセンス鎖と相補的である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
増幅中、線形構造様式で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
増幅中、二次構造様式で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記マーカーが、ハプテンである、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記両マーカーのプライマー増幅産物を含む二本鎖核酸分子が、2つの検出用抗原を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記DNAポリメラーゼが、Bst DNAポリメラーゼ、クレノーDNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ、及びPhi29 DNAポリメラーゼ又はそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記DNAポリメラーゼが、Bst DNAポリメラーゼ、クレノーDNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ、及びPhi29 DNAポリメラーゼ又はそれらの組み合わせから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
病原微生物、環境微生物、微生物タイピング、ヒト、動物又は植物を検出するための感染症病原体、食品又は生物兵器を検出するための感染症病原体の検出、及びヒト遺伝子疾患又は健康リスク遺伝子の検出のためのキットであって、
a)交差増幅プライマーと、
b)置換プライマーと、
c)検出プライマーと、
d)DNAポリメラーゼと、
を含む、キット。
【請求項14】
検出ストリップをさらに含む、請求項14に記載のキット。
【請求項15】
前記検出ストリップが、試料のコンタミネーションを防止する装置に封入される、請求項15に記載のキット。
【請求項16】
前記DNAポリメラーゼが、Bst DNAポリメラーゼである、請求項13に記載のキット。
【請求項17】
前記病原性生物が、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)である、請求項13に記載のキット。
【請求項18】
前記病原性生物が、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)である、請求項13に記載のキット。
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9A−1】
【図9A−2】
【図9B】
【図9C】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9A−1】
【図9A−2】
【図9B】
【図9C】
【公表番号】特表2012−514461(P2012−514461A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544637(P2011−544637)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/000024
【国際公開番号】WO2010/080691
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(511137068)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/000024
【国際公開番号】WO2010/080691
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(511137068)
【Fターム(参考)】
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