説明

模型飛行機

【課題】太陽電池を飛行における動力源として用いると共に、飛行時における種々の制御を行うことができる模型飛行機を提供する。
【解決手段】機体の本体5に備えられた駆動手段3が太陽電池1により生起された電力により動作されることで飛行における動力源として用いられるが、更に太陽電池1により生起された電力により機体に備えられた制御手段2、無線機8及び制御部7が動作されることで、飛行時における機体の姿勢等に係わる種々の制御を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池により生起された電力を飛行に係わる動力源として用いる模型飛行機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池を備えた模型飛行機としては、例えば機体の表面に太陽電池を設け、該受光発電器にプロペラ回転用のモーターを直接接続する回路の中間に設定時間通電するタイマースイッチを設けた模型飛行機、更に該模型飛行機において、太陽電池とモーター間の回路に充電式電池を接続した構成が開示されている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】実公平7−31835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、引用文献1に記載のような従来の模型飛行機では、太陽電池により生起された電力はプロペラの駆動に用いられるのみであり、実際の飛行時においては実施例に示されるように予め垂直尾翼や水平尾翼の曲げ角度を設定して、水平旋回や空中転回を繰り返させるものに留まっており、飛行時における機体の姿勢等、種々の制御は行うことができないものであった。
【0005】
本発明は上記の如き課題に鑑みてなされたものであり、太陽電池を飛行における動力源として用いると共に、飛行時における種々の制御を行うことができる模型飛行機を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。すなわち、本発明に係わる模型飛行機は、駆動手段を有する機体と、機体の姿勢を制御する制御手段と、機体に設けられた太陽電池と、機体に備えられた無線機と、該無線機と通信可能で機体と別個に設けられるリモートコントロール部と、前記無線機を介してリモートコントロール部から受信された指示に基づき制御手段を制御する制御部とを備え、前記駆動手段、制御手段、無線機及び制御部が太陽電池により生起された電力を用いて動作するようになされていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明に係わる模型飛行機によれば、駆動手段が太陽電池により生起された電力により動作されることで飛行における動力源として用いられるが、更に太陽電池により生起された電力により機体に備えられた制御手段、無線機及び制御部が動作されることで、飛行時における機体の姿勢等に係わる種々の制御を行うことができる。
【0008】
また更に太陽電池により生起された電力を蓄電する蓄電手段が備えられ、該蓄電手段が前記太陽電池により生起された電力を蓄電すると共に、外部電源を用いて蓄電可能となされていれば、外部電力を用いる場合と較べて充電時間に要する時間を短縮することができ好ましい。
【0009】
また前記太陽電池は、色素増感型太陽電池であれば、機体の色調を変化に富んだものとして外観を良好なものにすることができると共に、曇天時や屋内において適用することも容易なものとでき好ましい。
【0010】
上記引用文献1に記載の模型飛行機においては、太陽電池についての開示はなされておらず、出願当時の技術水準から推定するに単結晶型、多結晶型或いはアモルファス型のシリコン系の太陽電池を用いるものであると思われるが、これらのシリコン系の太陽電池は色調が暗い濃青色に限られるものであり、発電量を高めようと大きな面積を占めるものとした場合、暗い色調の部分が大きくなって外観上好ましくないものとなる恐れがあった。色素増感型太陽電池は、色素の色調により太陽電池を容易に任意の色調として、機体の色調を変化に富んだものとして外観を良好なものとすることができる。
【0011】
更に、シリコン系の太陽電池はバンドギャップが大きいために、太陽光が微弱な曇天時や、殆ど可視光線のみが存在する屋内においては殆ど発電されることがなく、曇天時や屋内において用いた場合には全く利点がなくなるが、色素増感型太陽電池は微弱な太陽光や可視光線によっても電力を生起することができ、かかる環境下においても好適に適用することが可能である。
【0012】
また前記色素増感型太陽電池は、合成樹脂基板を用いて形成されたものであれば、太陽電池を軽量なものとして機体の軽量化に寄与することができ好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係わる模型飛行機によれば、駆動手段が太陽電池により生起された電力により動作されることで飛行における動力源として用いられるが、更に太陽電池により生起された電力により機体に備えられた制御手段、無線機及び制御部が動作されることで、飛行時における機体の姿勢等に係わる種々の制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係わる最良の実施の形態について、図面に基づき以下に具体的に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係わる模型飛行機の、実施の一形態を示す説明図である。模型飛行機100は、空中を飛翔する機体10と、地上等において操作者が用いて機体をコントロールするコントローラー部20とからなり、コントローラー部20のアンテナ201から発せられる電波や赤外線等の送信波Rを機体10に取り付けられたアンテナ101が受信するようになされると共に、リモートコントロール部20に備えられた駆動制御部202及び旋回制御部203により機体の姿勢の制御に係わる信号が電波Rを通じて発せられることで、機体10の飛行が制御されるものであり。
【0016】
機体10には、本体5の先端にプロペラである駆動手段3が設けられ、本体5の中央上面には主翼61が、本体の末端付近には垂直尾翼62及び水平尾翼63が設けられ、主翼61、垂直尾翼62及び水平尾翼63にはそれぞれ飛行時の姿勢を制御する制御手段であるエルロン補助翼21、エレベータ昇降舵22及びラダー方向舵23が設けられている。主翼61には、主翼61上面が受光面となされるように太陽電池1が備えられている。
【0017】
図2は、図1に示した機体の主翼の縦断面図である。主翼61はエルロン補助翼21を除いた部位全体が透光性の合成樹脂から形成されると共に、内部が中空となされ、中空の内部に単結晶型のシリコン系太陽電池セル11が挿入されて設けられたものである。本実施形態においては太陽電池セル11はセルの状態で主翼61内に設けられているが、太陽電池セル11の周囲に透明なEVA等の充填材を設けて防水等を図るようにしてもよい。また太陽電池1を設けるのは主翼61部分のみに限定されず。本体5上面や、垂直尾翼62及び水平尾翼63の外面を受光面として設けるようにしてもよい。
【0018】
また模型飛行機100の機体10は、本実施形態の固定翼形状のものに限定されるものではなく、例えばヘリコプター等の回転翼形状のものとして、ヘリコプターの本体の上面や回転翼の上面を太陽電池の受光面としたものとしてもよい。
【0019】
図3は、本発明に係わる模型飛行機の、機体内における一連の動作を示すブロック図である。太陽電池1により生起された電力は、本体5内に設けられた制御部7を介して駆動手段3を動作させるモーター31に供給されるようになされ、制御部7はアンテナ101を介してコントローラー部20からの電波Rを受信した無線機8からの信号に基づいてモーター31の動作の強弱を制御している。同様に、制御部7を介して制御手段2を構成するエルロン補助翼21、エレベータ昇降舵22及びラダー方向舵23をそれぞれ動作させるモーター24、25及び26に太陽電池1からの電力が供給され、エルロン補助翼21、エレベータ昇降舵22及びラダー方向舵23を動作させてその角度を制御するようになされている。
【0020】
太陽電池1と制御部7との間にはリチウムポリマー電池である充放電自在な蓄電手段4が設けられており、太陽電池1により生起された電力は制御部7に直接供給されるようになされると共に、太陽電池1から蓄電手段4への蓄電及び蓄電手段4から制御部7への電力供給が行われるようになされている。蓄電手段4は充放電自在なものであればリチウムポリマー電池に限定されず、ニッケル−水素電池、電気二重層コンデンサ、鉛蓄電池などを用いてもよい。また蓄電手段4は、アダプタ等の接続手段を用いて外部電力に接続し充電可能としておけば、太陽電池1による充電が不十分であっても動作に係わる電力を補充することができ好ましい。またコントローラー部20に蓄電手段を設けておき、コントローラー部20から蓄電手段4へ充電可能としておいてもよい。
【0021】
図4は、本発明に係わる模型飛行機の、太陽電池の他の一例を示すもので、主翼の縦断面図である。太陽電池1は色素増感型太陽電池であり、主翼61の上面を形成するように透明基板12が設けられ、透明基板12の下面にはITOを蒸着して導電性被膜13上に多孔質の二酸化チタンからなる半導体層に増感色素を担持させた光電極層14が設けられ、更に光電極層14とヨウ素溶液からなる電解質層15を挟んで相対向して、白金を蒸着して形成した導電性被膜16が設けられた対向基板17が設けられて形成されているものである。透明基板12はポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の透明な合成樹脂から形成されており、透明基板12を通して光電極層14に担持された増感色素の色調が見えることで太陽電池1(主翼61)の色調が設定される。増感色素は赤色、黄色及び青色の三原色の色素を適宜の割合で配合することで任意の色調として、機体の色調を変化に富んだものとすることができる。増感色素としては、ルテニウム金属錯体色素等の金属錯体色素や、メチン色素、マーキュロクロム色素、キサンテン系色素、ポルフィリン色素、フタロシアニン色素、アゾ系色素、クマリン系色素等の有機系色素などを好適に用いることができる。
【0022】
太陽電池1は、上記と同様に本体5上面や、垂直尾翼62及び水平尾翼63の外面を受光面として設けるようにしてもよく、色素増感型太陽電池を用いることで、本体5等の外面を用いて発電量を高めることができると共に、本体5等の色調についても変化に富んだものとして外観を好ましいものとすることができる。また透明基板12や対向基板17を合成樹脂を用いて形成することで、成形が容易なものとでき、主翼61や本体5等に合わせた形状とするのが容易なものとなり得る。
【0023】
また透明基板12を合成樹脂製とすることで、ガラス製のものと比較して格段に機体10の軽量化を図ることができるが、対向基板17についても合成樹脂製のものとすれば更なる軽量化を図ることができる。透明基板12については、耐衝撃性を高める上ではポリカーボネート樹脂を用いるのが好適であり、また電解質層15にヨウ素溶液を用いた場合には、環状ポリオレフィン系樹脂を用いるのが好適である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係わる模型飛行機の、実施の一形態を示す説明図である。
【図2】図1に示した模型飛行機の、主翼の縦断面図である。
【図3】本発明に係わる模型飛行機の、一連の動作を示すブロック図である。
【図4】本発明に係わる模型飛行機に用いられる太陽電池の、他の例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 太陽電池
11 太陽電池セル
12 透明基板
17 対向基板
2 制御手段
3 駆動手段
4 蓄電手段
7 制御部
8 無線機
10 機体
20 コントローラー部
100 模型飛行機


【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動手段を有する機体と、機体の姿勢を制御する制御手段と、機体に設けられた太陽電池と、機体に備えられた無線機と、該無線機と通信可能で機体と別個に設けられるリモートコントロール部と、前記無線機を介してリモートコントロール部から受信された指示に基づき制御手段を制御する制御部とを備え、前記駆動手段、制御手段、無線機及び制御部が太陽電池により生起された電力を用いて動作するようになされていることを特徴とする模型飛行機。
【請求項2】
更に太陽電池により生起された電力を蓄電する蓄電手段が備えられ、該蓄電手段が前記太陽電池により生起された電力を蓄電すると共に、外部電源を用いて蓄電可能となされていることを特徴とする請求項1に記載の模型飛行機。
【請求項3】
前記太陽電池は、色素増感型太陽電池であることを特徴とする請求項1又は2に記載の模型飛行機。
【請求項4】
前記色素増感型太陽電池は、合成樹脂基板を用いて形成されたものであることを特徴とする請求項3に記載の模型飛行機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−136765(P2008−136765A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−328061(P2006−328061)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】