説明

横形製袋充填機の縦シール装置

【課題】縦シール装置の清掃等の保守作業を容易に行なう。
【解決手段】背面機枠16の手前側に回動可能に枢支された可動枠36に、送りローラ12,12およびシールローラ14,14を備えるシールユニット42が配設される。シールユニット42は、可動枠36がシール位置Pに保持された状態で、送りローラおよびシールローラ14,14とによって搬送ベッド10,10のすき間Sから下方に延出するフィルムFの重合部fを挟持し得るよう位置設定される。切換機構70により係止手段の係合を解除して可動枠36を保守位置Mに向けて傾動することでシールユニット42は、送りローラ12,12およびシールローラ14,14の上面が傾斜して手前側に向く保守作業が容易な姿勢となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横形製袋充填機において筒状に成形されたフィルムの重合端縁部に縦シールを施す縦シール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
横形製袋充填機において、製袋手段によって筒状に成形されたフィルムの搬送方向に沿う重合端縁部に縦シールを施す縦シール装置は、物品がフィルムを介して載置される搬送ベッドの下方において、該搬送ベッドにおけるフィルム搬送ラインに沿って延在する細長のすき間から下方に延出するフィルムの重合端縁部を挟持して搬送方向に送る一対の送りローラと、該送りローラの下流側に近接する位置においてフィルムの重合端縁部を挟持して該フィルムを加熱シールする一対のシールローラとが設けられている。
【0003】
前記縦シール装置における各ローラは、例えば特許文献1に開示されるように、機枠に固定配置されたフレームに回転自在に配設され、機枠に配設された駆動手段に連繋されて回転駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3259088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の装置では、シールローラの交換、ヒータの交換あるいはシール面に付着したフィルムの溶融カスの清掃等の保守作業に際しては、該ローラの上方を覆うように機枠にネジ止めされている搬送ベッドを取り外してシールローラの上方を開放して行なう必要がある等の理由から作業性の改善が求められている。
【0006】
本発明は、前記した従来技術に係る縦シール装置の清掃等の保守作業を容易になし得る横形製袋充填機の縦シール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係る横形製袋充填機の縦シール装置は、
筒状に成形されて物品が供給されたフィルムを搬送しつつ該フィルムの重合部に縦シールを施す縦シール装置を備えた横形製袋充填機において、
背面機枠の手前側に配設され、物品が供給されたフィルムを載置して案内する搬送ベッドと、
該搬送ベッドの下面に近接配置され、前記フィルムの重合部に縦シールを施す一対のシールローラを備えたシールユニットと、
該シールユニットの下方における奥側に配設され、シールユニットを回動可能に支持する回動支点と、
前記シールユニットを回動して前記シールローラをシール位置と、シールローラの上面が傾斜して手前に向く姿勢となる保守位置とに位置決めする切換機構と、
該切換機構に設けられ、シールユニットをシール位置に保持する係止手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明では、前記背面機枠の手前に所定間隔離間して立設する側板を備えた可動枠を設け、前記側板に回動支点を設けると共に該側板に前記シールユニットを片持ち支持したことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明では、前記回動支点を備えて前記シールユニットを配設した可動枠を備え、前記シールローラを駆動するモータを、前記可動枠と一体回動可能に配設したことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明では、前記シールユニットは、前記シールローラの上流側に一対の送りローラを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明では、前記回動支点を備えて前記シールユニットを配設した可動枠を備え、前記切換機構は、前記背面機枠に設けた係止部材と可動枠に回動可能に支持されて係止部材と係合する係合レバーとを備えた係止手段と、係合レバーに一端側を連結して手前側に延出し、係合レバーを係止部材と係脱可能に回動する操作杆とを設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明では、前記切換機構は、可動枠の手前側に延設した横支柱と、前記操作杆の延出端部を横支柱の先端側に回動可能に連結するリンク継手と、該リンク継手にハンドルバーを取着した操作ハンドルとを備え、該操作ハンドルを、前記操作杆の延出方向と、それと交差する方向とへ回動切換えして前記係合レバーと係止部材とを係脱し得る構成としたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明では、前記シールローラをシール位置に保持した際に、背面機枠の手前側に延設した固定支持部材と並ぶ横支柱と、該横支柱を固定支持部材に移動不能に係止するロックレバーとを備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明では、前記背面機枠の手前側に延設した固定支持部材と、該固定支持部材の上部に着脱可能に載置した搬送ベッドと、該搬送ベッドを固定支持部材に位置決め保持する磁石と位置決め部材とを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、シールユニットを手前側に向けて傾けることで清掃や部品交換等の保守作業を容易に行なうことができ、保守作業に際して搬送ベッドの脱着作業を要することなく、保守作業の作業時間を短縮し得ると共に作業負荷も軽減し得る。
請求項2に係る発明によれば、シールユニットにおける背面機枠から離間する側に保守作業の邪魔となるフレームがないので保守作業が容易であり、またシール位置においてシールユニットと背面機枠との間に立った姿勢で臨む可動枠によって包装時等に発生した物品カス等の異物の背面機枠側への侵入を防止することができる。
請求項3に係る発明によれば、シールローラを駆動するモータも一体的に傾けることができ、駆動系の保守作業も容易となる。
請求項4に係る発明によれば、送りローラも一体的に傾けて同時に保守作業を行ない得る。
請求項5に係る発明によれば、係止部材と係合レバーとの機械的な係合によってシールユニットをシール位置に確実かつ簡単に保持することができる。
請求項6に係る発明によれば、保守作業に際して脱着工具を使用することなくシールユニットを作業し易い保守位置に傾けることができ、作業時間を短縮し得る。
請求項7に係る発明によれば、ロックレバーによってシールユニットをシール位置に保持し得るので、切換機構による係止手段の係脱時にシールユニット全体の重量を支える必要はなく、作業負荷を軽減し得る。
請求項8に係る発明によれば、搬送ベッドを簡単に脱着することができ、シールユニットの保守作業をより簡単かつ短時間で行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例に係る縦シール装置のシールユニットを示す平面図である。
【図2】実施例に係る縦シール装置を、可動枠を想像線で示す側面図である。
【図3】実施例に係る縦シール装置における背面機枠と可動枠との主に枢支部分を示す横断平面図である。
【図4】実施例に係る縦シール装置を一部破断して下流側から視た動作説明図であって、シールユニットをシール位置に保持した状態を示す。
【図5】実施例に係る縦シール装置を一部破断して下流側から視た動作説明図であって、操作ハンドルの操作によって係止部材と係合レバーとの係合を解除した状態を示す。
【図6】実施例に係る縦シール装置を一部破断して下流側から視た動作説明図であって、操作ハンドルの操作によってシールユニットを保守位置に傾動した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係る横形製袋充填機の縦シール装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例】
【0018】
図1および図2は、実施例に係る横形製袋充填機(以下、包装機と称す)の縦シール装置の全体構成を示すものであって、縦シール装置は製袋手段で筒状成形されて供給コンベヤから所定間隔毎に物品Wが供給されたフィルムFを搬送しつつ該フィルムFの重合部fに縦シールを施すものであって、製袋手段の下流側には物品Wが供給されたフィルムFを載置して案内する搬送ベッド10と、製袋手段により筒状に成形されたフィルムFの重合部fを挟持してフィルムを搬送する一対の送りローラ12,12と、該送りローラ12,12の下流側に配設されてフィルムFの重合部fを挟持して加熱シールする一対のシールローラ14,14を備えている。なお、フィルム搬送路を挟んだ一側方が包装機の運転操作側として設定されており、この操作側を手前、これと反対側を奥と指称するものとする。
【0019】
前記搬送ベッド10は、図1および図2に示す如く、フィルム搬送路の奥側に配設される背面機枠16の手前に延設した固定支持部材18,20の上部に着脱可能に載置される。固定支持部材18,20は、フィルム搬送方向に離間して背面機枠16に固着された第1,第2の固定支持部材18,20の夫々を備え、第1の固定支持部材18は送りローラ12とシールローラ14間における送りローラ12の下流側に近接する位置に配設され、また第2の固定支持部材20はシールローラ14の下流側に近接配置され、前記第1の固定支持部材18の上部に各搬送ベッド10における上流側の下面が載置される支柱22が立設されている。また、各搬送ベッド10における下流側の下面に対応した位置には、第2の固定支持部材20が臨み、該第2の固定支持部材20の上部に設けた係止バー23に搬送ベッド10の下面に取着した脚部24が係合される。これにより、搬送ベッド10は各固定支持部材18,20の上方に略水平に載置される。また、第1の固定支持部材18の前記各支柱間に臨む位置には、磁石26aが固着された保持ピン26が配設され、該保持ピン26に対応した搬送ベッド10の下面には、磁力で吸着可能な金属等で形成される受け座28が取着されている。それら保持ピン26と受け座28との係合によって搬送ベッド10が固定支持部材18,20に載置された状態で磁石26aにより保持される。また、前記係止バー23には、前記脚部24が係止バー23に係合した際に脚部24の両側位置を規制するための位置決め部材30が配設されている。これにより、固定支持部材18,20の上部に搬送ベッド10が位置決め保持される。
【0020】
前記搬送ベッド10は薄板状部材からなり、搬送されるフィルムFがシールローラ14,14の熱によって付着することがないように、フッ素樹脂コーティング等、耐熱性の低摩擦性を得られる各種処理を施した金属板や低摩擦性かつ耐熱性を備えたカーボンシート等を採用することが好ましい。
【0021】
図3または図4に示す如く、前記背面機枠16には、前記固定支持部材18,20より下方において、フィルム搬送方向に離間して一対のホルダ32,32が手前側に延出するように設けられる。これらホルダ32,32の前端部に、回動支点としての支点軸34を介して可動枠36の下端部が支持される。可動枠36は、平板状の側板38と、該側板38の後面下端においてフィルム搬送方向に離間して突設された一対の軸受部40,40とを備え、両軸受部40,40に支点軸34が挿通されて当該可動枠36は、図4に示すように側板38が立った略直立姿勢となるシール位置Pと、図6に示すように側板38の上端が手前に傾いた傾斜姿勢となる保守位置Mとの間を回動し得る。可動枠36を保守位置Mへ向けて手前側に傾動する際には側板38の上端が搬送ベッド10の下面に接触しないよう可動枠36の回動支点(支点軸34)が側板38の下部奥側に設定される。なお、ホルダ32の前端部には下側に向かうにつれて奥側に後退するよう傾斜するストッパ面32aが形成され、可動枠36は、該ストッパ面32aに側板38が当接することで保守位置Mに保持される。また、側板38には、上端から下方へ所定長さで延在して前記第1の固定支持部材18が挿通される切欠部38aが形成され、前記シール位置Pにおいて側板38が第1の固定支持部材18と干渉することがない。
【0022】
前記可動枠36における側板38の手前には、前記送りローラ12,12およびシールローラ14,14を備えるシールユニット42が片持ち支持される。シールユニット42は、図1および図2に示す如く、前記第1の固定支持部材18より上流側において側板38から手前側に延出するよう片持ち支持した第1の保持体44の上部に一対の送りローラ12,12が回転可能に支持され、両送りローラ12,12は、回転伝達機構を介して側板38の後面に配設した第1のサーボモータ48で回転駆動される。またシールユニット42は、第1の固定支持部材18より下流側において側板38から手前側に延出するよう片持ち支持した第2の保持体50に、一対のシールローラ14,14が回転可能に支持されている。各シールローラ14は、支持筒56の上部に回転可能に支持され、該支持筒56が腕部56aを介して水平回動し得るよう構成される。両シールローラ14,14は、回転伝達機構を介して側板38の後面に配設した第2のサーボモータ(モータ)58で回転駆動される。シールローラ14,14は、前記送りローラ12,12に対して所要の速度比で回転するよう第2のサーボモータ58が駆動制御される。なお、可動枠36に配設した図示しない駆動手段によって一対の支持筒56,56を水平回動することで、シールローラ14,14は回転伝達機構との連繋状態を維持したままフィルムFの重合部fの挟持状態を解除し得るよう構成されている。
【0023】
前記シールユニット42を前記シール位置Pと、前記保守位置Mとに回動して位置決めする切換機構70が設けられる。
以下、切換機構70について説明する。
前記可動枠36の側板38における前記切欠部38aの下部に横支柱としてのブラケット60が側板38の手前側に所要長さで延設され、該ブラケット60の先端部にリンク継手62が支点ピン64により回動可能に支持されている。操作ハンドル66におけるハンドルバー66aの一端部がリンク継手62に取着され、該操作ハンドル66は、リンク継手62を介してブラケット60に対して他端部側のグリップ部66bが後述する操作杆72の延出方向と交差する方向である下方に向く退避位置(図4参照)と、該グリップ部66bが操作杆72の延出方向である手前側を向く操作位置(図5参照)との間を回動するよう構成される。なお、シールユニット42がシール位置Pと保守位置Mとの間を回動する際に一体に回動する可動枠36のブラケット60は、前記第1の固定支持部材18の下側を移動してシール位置Pで該第1の固定支持部材18の下側に並ぶ位置に臨む。
【0024】
前記操作ハンドル66の操作位置において、図5に示す如く、前記リンク継手62の傾斜端面がブラケット60の前端斜面に当接して位置決めされると共に、操作ハンドル66の一端部がブラケット60の前端面に対向するようになっている。また、操作ハンドル66はリンク継手62に対してその延出方向へ移動自在に支持され、操作位置においてリンク継手62から突出した突出端部66cがブラケット60の前端面に設けた嵌合孔60aに挿入されて、操作ハンドル66の回動操作に際して該操作ハンドル66と可動枠36とが結合されて一体化する。また、操作ハンドル66は、図5に示すバネ68によって、常には突出端部66cがリンク継手62内に没する位置に臨み得るよう付勢されている。なお、このバネ68は省略してもよい。
【0025】
前記切換機構70には、前記操作ハンドル66に連結される操作杆72が設けられると共に、該操作杆72に連結されて回動する係合レバー74と、前記背面機枠16における第1の固定支持部材18に配設されて係合レバー74が係合される係止部材76とを備えた係止手段が設けられる。操作杆72の一方の端部は、前記側板38の長孔状に穿設された貫通孔38bに挿通されて該側板38の手前側において前記ブラケット60に一端が支持されたリンク継手62の他端側に回動可能に支持される。これにより、前記操作ハンドル66を退避位置から操作位置に向けて回動した際にリンク継手62の操作杆72との連結支点が奥側に向けて移動する。操作杆72の側板38から奥側への延出部には、側板38の上部に回動自在に支持した係合レバー74の下部が連結部材80を介して連結される。連結部材80は係合レバー74に回動自在に配設されると共に、該連結部材80の貫通孔に操作杆72が摺動自在に挿通されており、係合レバー74と操作杆72との相対的な回動が許容される。また、操作杆72の後端に配設した奥規制部材72aと連結部材80との間に圧縮バネ82等の付勢部材が介装されて、連結部材80の前側に設けた前規制部材72bに向けて連結部材80を付勢する。操作杆72が進退した際に係合レバー74が枢支軸78を中心として前後方向に回動する(図5参照)。
【0026】
前記係合レバー74には、図1に示す如く、枢支軸78より奥側へ離間した位置には、第1の固定支持部材18に向けて突出する係止ピン74aが配設され、該係止ピン74aは、係合レバー74の回動に伴って第1の固定支持部材18に固着した係止部材76の上方に形成された係合溝76aに係脱可能に係合し得る。そして、これら切換機構70の夫々の構成によって、操作ハンドル66の操作によって進退移動する操作杆72を介して係止手段の係脱を行なうことができる。
【0027】
前記第1の固定支持部材18の前端部側にロックレバー84の一端側が回動可能に支持され、該ロックレバー84の他端側に形成したフック部84aは、前記可動枠36に固着されてシール位置Pで第1の固定支持部材18の下側に並ぶブラケット60の前端部側に突設した係合ピン(係合部)61に係合するよう構成されて、該可動枠36をシール位置Pに保持し得るようになっている。またロックレバー84は、第1の固定支持部材18との間に介装された圧縮バネ86等の付勢部材によって、フック部84aが係合ピン61に係合する方向に付勢され、圧縮バネ86の弾力に抗してロックレバー84を回動して係合ピン61とフック部84aとの係合を解除することで可動枠36の保守位置Mへの傾動を許容するよう構成される。なお、ロックレバー84における前端側の操作部84bは、前記操作位置とした操作ハンドル66の上方に近接して、グリップ部66bを把持した手で操作部84bを係合解除方向へ操作し得るようになっている。また、圧縮バネ86によって係合ピン61に対する係合位置に保持されるロックレバー84は、前記可動枠36の保守位置Mからシール位置Pへの回動に際し、フック部84aに下方から当接する係合ピン61によって押上げられることで回動した後、圧縮バネ86の弾力によって係合位置に復帰することでフック部84aが係合ピン61に係合するよう構成される。
【0028】
図4ないし図6に示した如く、前記背面機枠16と、可動枠36のブラケット38cとの夫々に緩衝手段としてのダンパー88が連結支持されている。該ダンパー88は、可動枠36がシール位置Pから保守位置Mに向けて下方に傾動する際に、緩衝作用によって緩やかな移動をなし得ると共にシールユニット42の重量負荷を軽減する。
【0029】
〔実施例の作用〕
次に、前述した実施例に係る横形製袋充填機の縦シール装置の作用につき説明する。
【0030】
前記シールユニット42を清掃する等の保守作業に際して、前記グリップ部66bを把持して退避位置の操作ハンドル66を引き上げるよう回動することで、図5に示す如く、前記リンク継手62が回動して操作杆72との連結支点が奥側に向けて移動するのに伴って該操作杆72が押され、前記係合レバー74が枢支軸78を中心に回動し、前記係止ピン74aが係止部材76の係合溝76aから上方に離脱する解除位置に切り換わる。リンク継手62の傾斜端面がブラケット60の前端斜面に当接して操作ハンドル66が操作位置に位置決めされた状態で、該操作ハンドル66を奥側に押すことでその突出端部66cがブラケット60の嵌合孔60aに挿入され、操作ハンドル66は前記可動枠36に結合されて該操作ハンドル66によって可動枠36を一体的に操作可能となる。
【0031】
前記グリップ部66bを把持した手で、前記ロックレバー84の操作部84bを圧縮バネ86の弾力に抗して押下げることでフック部84aと係合ピン61との係合を解除したもとで、操作ハンドル66を下方に回動することで、前記可動枠36は上端部が手前下方に傾動して保守位置Mに至る。これにより、シールユニット42は、図6に示す如く、前記送りローラ12,12およびシールローラ14,14の上面が傾斜して前記搬送ベッド10の下方において手前側に向く姿勢に傾く。このとき、可動枠36は前記ダンパー88の緩衝作用によって保守位置Mまで緩やかに移動すると共にシールユニット42の重量負荷を軽減し、作業者の負荷軽減をなし得る。
【0032】
すなわち、シールユニット42は、送りローラ12,12およびシールローラ14,14が下降して手前側を向いて傾斜するので、従来のようにフィルム搬送路の上方からのぞき込んで作業する必要がなく、楽な作業姿勢で保守部位の視認性も高まること等、作業負荷軽減を図り得る。また、前記搬送ベッド10,10を取り外すことなく各ローラ12,14を手前側から清掃したりする等の保守作業をすることができ、作業性が改善され、また作業時間を短縮できる。更に、清掃時に出た製品カス、その他異物等が機械内部に落下してしまうことがなく、機械内部の再清掃を省いて作業負荷を軽減し得る。なお、シールユニット42は、可動枠36の手前側に片持ち支持されているから、保守位置Mに至ったシールユニット42の手前側には作業の邪魔となるフレームはなく、保守作業を容易に行ない得る。
【0033】
また、シール位置Pまで傾動した前記可動枠36における側板38の上端部は、図6に示すように前記背面機枠16から手前側に離間して、該側板38と背面機枠16との間は上方に大きく開口するので、側板38の奥側に位置する各サーボモータ48,58や回転伝達機構の保守作業も容易となる。この場合に、搬送ベッド10は固定支持部材18,20に対して磁石26aで保持されるものであるから、該搬送ベッド10を簡単に取り外すことができ、サーボモータ48,58や回転伝達機構の保守作業に手間どることなく短時間で簡単に行なうことができる。
【0034】
保守作業の完了後、前記突出端部66cを嵌合孔60aに挿入した状態で操作ハンドル66のグリップ部66bを把持して操作ハンドル66を引き上げると、前記ブラケット60の係合ピン61が前記ロックレバー84のフック部84aに下方から当接することでロックレバー84が圧縮バネ86の弾力に抗して回動し、係合ピン61がフック部84aに係合可能な位置に至ると圧縮バネ86の弾力によってロックレバー84が回動してフック部84aが係合ピン61に係合することで、前記ブラケット60が第1の固定支持部材18に移動不能に係止され、可動枠36はシール位置Pに保持される。次いで、操作ハンドル66を手前側に引いて突出端部66cをブラケット60の嵌合孔60aから引き抜いて可動枠36との連結を解除した後、該操作ハンドル66を退避位置に向けて回動することで、前記リンク継手62が回動して操作杆72との連結支点が手前側に向けて移動するのに伴って該操作杆72が手前側に引かれ、前記係合レバー74が枢支軸78を中心に回動して解除位置から係止位置に切り換えられることで、前記係止ピン61が係止部材76の係合溝76aに係合されて、可動枠36はシール位置Pに保持され、図4に示す如く、シールユニット42における送りローラ12,12およびシールローラ14,14は前記搬送ベッド10,10のすき間Sから下方に延出するフィルムFの重合部fを挟持可能な位置に臨む。なお、可動枠36における側板38は、図4に示すように、シールユニット42の奥側において立った略直立姿勢になると共に上端が搬送ベッド10の下面に近接し、該側板38から奥側へのゴミ等の侵入を防止することができる。
【0035】
前述したように、シールユニット42は、背面機枠16に対して工具を使用することなく手作業で保守作業が容易となる保守位置Mに傾け得るよう構成したから、清掃時等の保守に係る作業性が向上すると共に、背面機枠16から搬送ベッド10を脱着する手間がなく、またその作業負荷を軽減し、作業時間を短縮することができる。また、可動枠36は、ロックレバー84によりシール位置Pに保持し得るので、操作ハンドル66による係合レバー74の係止部材76に対する係脱時に可動枠全体の重量を支える必要はなく、操作ハンドル66の操作は容易となる。更に、可動枠36は、係合レバー74とロックレバー84とによってシール位置Pに保持されるから、誤って一方の部材74,84よる保持を解除してしまった場合でも可動枠36が保守位置Mに傾動することはなく安全性は高い。更にまた、係止部材76と係合レバー74との機械的な係合によって可動枠36をシール位置Pに保持するので、モータ等の駆動手段によってシール位置Pに保持する構成に比べて制御系の負担を増大することなく簡単かつ確実に保持することができる。
【0036】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得るものであって、例えば、以下のようにも変更実施可能である。
(1) 可動枠36をシール位置Pに保持する係止手段は、実施例の構成に限定されるものでなく、可動枠36をシール位置Pに保持し得るものであればその他の構成を適宜に採用することができる。
(2) 実施例では、可動枠36の奥側下部を背面機枠16に回動自在に支持したが、該可動枠36がシール位置Pと保守位置Mとの間を回動する際に、可動枠36やシールユニット42が搬送ベッド10や背面機枠16と接触干渉しない構成であれば支持位置を任意に設定できる。なお、シールユニット42を保守位置Mに傾動した際に送りローラ12,12およびシールローラ14,14をより手前側に臨ませ得る点で支持位置を奥側下部とすることが好適である。
(3) 実施例では、送りローラ12,12とシールローラ14,14とを1つの可動枠36に配設して一体的に回動する構成としたが、別々の可動枠に配設して、個々に回動させるよう構成してもよい。
(4) 実施例では、送りローラ12,12とシールローラ14,14とを駆動するサーボモータ48,58を可動枠36に配設したが、背面機枠側にサーボモータ等の駆動系を配設し、可動枠36がシール位置Pに至った際に駆動系に連繋する係脱可能なカップリング等の連繋機構により各ローラ12,14に駆動伝達を行なう構成を採用し得る。
(5) 実施例では、送りローラ12,12とシールローラ14,14とを夫々独立して駆動するサーボモータ48,58を設けるようにしたが、1つのサーボモータによって各ローラ12,14の回転速度比を変更し得る調節機構を設ける等の適宜構成を採用し得る。
(6) 実施例では、操作ハンドル66の上下方向への回動操作により係止手段の係脱を行なうよう構成したが、操作ハンドル66の回動操作方向は、左右方向等、操作杆72の延出方向と、それと交差す方向とへ回動切換えし得るものであればよい。
(7) 実施例では、退避位置から操作位置に回動した操作ハンドル66を奥側に押して突出端部66cをブラケット60の嵌合孔60aに挿入することで、操作ハンドル66をブラケット60に連結して可動枠36を一体的に操作し得るよう構成したが、例えば操作ハンドル66を横向き姿勢の退避位置から手前側に水平に回動して操作位置に至った際に、該操作ハンドル66に設けた係合部がブラケット60の被係合部に係合して両者を連結する手段を設け、この連結状態で操作ハンドル66を上下方向に回動操作することで可動枠36を一体的に回動する構成等を採用し得る。
(8) 実施例では、操作ハンドル66による手動操作によって切換機構70の係止手段を係脱するよう構成したが、モータ、エアシリンダその他の駆動手段により切換機構70の係止手段を係脱する構成を採用し得る。
(9) 実施例では、係止部材76とロックレバー84を固定側に配設し、係合レバー74と係合ピン61とを可動側に配設したが、これらの配置関係は実施例と逆であってもよく、一方が可動側に配設されると共に他方が固定側に配設される関係であればよい。
(10) 搬送ベッド10は、耐熱、低摩擦のものを採用することが好ましいが、フィルムの材質や厚み等のフィルムの性状その他の機械的特性等に応じた摩擦係数となっている各種の搬送ベッドが選択されるようにすればよい。
(11) 実施例では、搬送ベッド10を固定支持部材18,20上に磁石26aによって保持するよう構成したが、工具を用いることなく係脱可能なラッチ、ジョイント等の各種係合手段を用いることができる。
【符号の説明】
【0037】
10 搬送ベッド,12 送りローラ,14 シールローラ,16 背面機枠
18 第1の固定支持部材,20 第2の固定支持部材,26a 磁石
30 位置決め部材,34 支点軸(回動支点),36 可動枠,38 側板
42 シールユニット,58 第2のサーボモータ(モータ)
60 ブラケット(横支柱),62 リンク継手,66 操作ハンドル
66a ハンドルバー,70 切換機構,72 操作杆,74 係合レバー(係止手段)
76 係止部材(係止手段),84 ロックレバー,F フィルム,f 重合部
M 保守位置,P シール位置,W 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に成形されて物品(W)が供給されたフィルム(F)を搬送しつつ該フィルム(F)の重合部(f)に縦シールを施す縦シール装置を備えた横形製袋充填機において、
背面機枠(16)の手前側に配設され、物品(W)が供給されたフィルム(F)を載置して案内する搬送ベッド(10)と、
該搬送ベッド(10)の下面に近接配置され、前記フィルム(F)の重合部(f)に縦シールを施す一対のシールローラ(14,14)を備えたシールユニット(42)と、
該シールユニット(42)の下方における奥側に配設され、シールユニット(42)を回動可能に支持する回動支点(34)と、
前記シールユニット(42)を回動して前記シールローラ(14,14)をシール位置(P)と、シールローラ(14,14)の上面が傾斜して手前に向く姿勢となる保守位置(M)とに位置決めする切換機構(70)と、
該切換機構(70)に設けられ、シールユニット(42)をシール位置(P)に保持する係止手段(74,76)とを備えた
ことを特徴とする横形製袋充填機の縦シール装置。
【請求項2】
前記背面機枠(16)の手前に所定間隔離間して立設する側板(38)を備えた可動枠(36)を設け、前記側板(38)に回動支点(34)を設けると共に該側板(38)に前記シールユニット(42)を片持ち支持したことを特徴とする請求項1記載の横形製袋充填機の縦シール装置。
【請求項3】
前記回動支点(34)を備えて前記シールユニット(42)を配設した可動枠(36)を備え、前記シールローラ(14,14)を駆動するモータ(58)を、前記可動枠(36)と一体回動可能に配設したことを特徴とする請求項1または2記載の横形製袋充填機の縦シール装置。
【請求項4】
前記シールユニット(42)は、前記シールローラ(14,14)の上流側に一対の送りローラ(12,12)を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の横形製袋充填機の縦シール装置。
【請求項5】
前記回動支点(34)を備えて前記シールユニット(42)を配設した可動枠(36)を備え、前記切換機構(70)は、前記背面機枠(16)に設けた係止部材(76)と可動枠(36)に回動可能に支持されて係止部材(76)と係合する係合レバー(74)とを備えた係止手段と、係合レバー(74)に一端側を連結して手前側に延出し、係合レバー(74)を係止部材(76)と係脱可能に回動する操作杆(72)とを設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の横形製袋充填機の縦シール装置。
【請求項6】
前記切換機構(70)は、可動枠(36)の手前側に延設した横支柱(60)と、前記操作杆(72)の延出端部を横支柱(60)の先端側に回動可能に連結するリンク継手(62)と、該リンク継手(62)にハンドルバー(66a)を取着した操作ハンドル(66)とを備え、該操作ハンドル(66)を、前記操作杆(72)の延出方向と、それと交差する方向とへ回動切換えして前記係合レバー(74)と係止部材(76)とを係脱し得る構成としたことを特徴とする請求項5記載の横形製袋充填機の縦シール装置。
【請求項7】
前記シールローラ(14,14)をシール位置(P)に保持した際に、背面機枠(16)の手前側に延設した固定支持部材(18)と並ぶ横支柱(60)と、該横支柱(60)を固定支持部材(18)に移動不能に係止するロックレバー(84)とを備えたことを特徴とする請求項6記載の横形製袋充填機の縦シール装置。
【請求項8】
前記背面機枠(16)の手前側に延設した固定支持部材(18,20)と、該固定支持部材(18,20)の上部に着脱可能に載置した搬送ベッド(10)と、該搬送ベッド(10)を固定支持部材(18,20)に位置決め保持する磁石(26a)と位置決め部材(30)とを設けたことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の横形製袋充填機の縦シール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−213379(P2011−213379A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83018(P2010−83018)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】