説明

樹枝状配電系統における事故区間判定装置及びシステム

【課題】配電系統のセンサ異常を考慮した事故方向データから事故区間を判定する。
【解決手段】変電所開閉器に接続された樹枝状配電系統、該樹枝状配電系統の各所に配置され配電系統を適宜の区間に区分する複数の開閉器、該開閉器と接続された通信ネットワーク、該通信ネットワークと接続された事故区間判定装置を有する配電系統の事故区間判定システムにおいて、事故区間判定装置は、樹枝状配電系統の事故発生時に、複数の開閉器それぞれの設置点での事故方向を求め、樹枝状配電系統の複数の開閉器についての複数の事故方向の間の整合性判断により、異常あり開閉器を特定してその検出する事故方向を修正する第1の処理と、第1の処理において修正された事故方向を含む樹枝状配電系統の前記複数の開閉器についての複数の事故方向を用いて事故区間を判定する第2の処理を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ内蔵開閉器で区間を区分された樹枝状配電系統において、周囲の事故情報と整合の取れない開閉器の事故情報を補正し、事故配電線全体での事故方向データの整合性を確認し、事故区間を判定する樹枝状配電系統における事故区間判定装置及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
配電系統の事故区間を判定する方法として、特許文献1、特許文献2、特許文献3には、区間ごとに設けた地絡方向検出継電器の検出する地絡方向が反転する箇所を事故区間と判定する方法が開示されている。
【0003】
また、特許文献4特許文献5には、区間に接する変電所側開閉器で負荷方向への地絡電流を検出し、かつ負荷側開閉器全てで負荷方向への地絡電流を検出しない場合を事故と判定する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献6には、区間に流入する地絡電流の総和が最大の区間を事故区間に判定する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−352668号公報
【特許文献2】特開平10−032924号公報
【特許文献3】特開平07−163047号公報
【特許文献4】特開平07−015867号公報
【特許文献5】特開平05−292659号公報
【特許文献6】特開2006−258485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の方法では、開閉器にセンサ異常がある場合に、事故区間として複数区間が抽出され適切な事故区間の判定ができないという問題点があった。
【0007】
本発明はこれらの問題を解決し、開閉器のセンサ異常を推定しデータ補正を行い、事故配電線全体での事故方向データの整合性を確認した上で事故区間を判定する樹枝状配電系統における事故区間判定装置及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴は、変電所開閉器に接続された樹枝状配電系統、該樹枝状配電系統の各所に配置され配電系統を適宜の区間に区分する複数の開閉器、該開閉器と接続された通信ネットワーク、該通信ネットワークと接続された事故区間判定装置を有する配電系統の事故区間判定システムにおいて、事故区間判定装置は、樹枝状配電系統の事故発生時に、複数の開閉器それぞれの設置点での事故方向を求め、樹枝状配電系統の複数の開閉器についての複数の事故方向の間の整合性判断により、異常あり開閉器を特定してその検出する事故方向を修正する第1の処理と、第1の処理において修正された事故方向を含む樹枝状配電系統の前記複数の開閉器についての複数の事故方向を用いて事故区間を判定する第2の処理を備える。
【0009】
また、整合性判断の第1の基準として、着目する開閉器の検出する事故方向が変電所方向で、その開閉器の負荷側開閉器全数のうち事故方向が負荷方向である台数が2台以上で、その開閉器の変電所側開閉器全数のうち事故方向が変電所方向である台数が0台の場合、着目する開閉器の検出する事故方向を負荷方向に修正する。
【0010】
また、整合性判断の第2の基準として、着目する開閉器の検出する事故方向が負荷方向で、その開閉器の変電所側開閉器全数のうち事故方向が変電所方向である台数が2台以上で、その開閉器の負荷側開閉器全数のうち事故方向が負荷方向である台数が0台の場合、着目する開閉器の検出する事故方向を変電所方向に修正する。
【0011】
また、第2の処理においては、樹枝状配電系統の前記複数の開閉器の中に、事故情報を検出していない開閉器の有無を判定し、当該有無に応じて異なる事故区間判定処理を実行する。
【0012】
また、全ての開閉器が事故情報を検出し、かつ樹枝状配電系統の区間を区分する両端の開閉器の検出する事故方向がいずれも区間内部を示すときに当該区間を暫定事故区間とし、樹枝状配電系統上の暫定事故区間が1箇所であるとき、当該区間両端の開閉器を除外した全ての開閉器について、その検出する事故方向と、暫定事故区間の方向とが全て一致する場合に、前記暫定事故区間を事故区間とする。
【0013】
また、事故情報を検出していない開閉器があるとき、事故情報が検出されなかった開閉器に事故方向として変電所方向を与え、変電所からの開閉器接続順序で最初に変電所方向と判断された開閉器の手前の開閉器を切離開閉器とし、最も変電所に近い位置の切離開閉器を事故可能性有り範囲切離開閉器として事故区間切り離しを実行する。
【発明の効果】
【0014】
1つの配電線で同時に複数台のセンサ内蔵開閉器が故障する確率は低いという前提の下、周囲の開閉器の事故情報と整合の取れない開閉器の事故情報を、単純な手法で補正することが可能である。
【0015】
また、本発明の実施例によれば、事故配電線全体での事故方向データの整合性を確認した事故区間判定になっているため、従来の手法より安全サイドに立った事故区間判定が可能である。
【0016】
また、本発明の実施例によれば、センサ異常がある場合など、事故区間が1つに特定できない場合についても、事故の可能性のある範囲を健全区間から切り離すための開閉器群の抽出が可能であり、さらに、この開閉器を開放させた後、従来のような変電所からの試送電ではなく、この事故区間切離開閉器を開始位置として試送電を実施するため、健全区間の不要な停電を伴わず供給信頼度の向上が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】事故区間判定方法全体の処理フローを示す図。
【図2】配電系統にセンサ異常があるときの図1の処理ステップS2での事故方向判断結果例を示す図。
【図3】配電系統にセンサ検出なしがあるときの図1の処理ステップS2での事故方向判断結果例を示す図。
【図4】本発明の配電線事故区間判定システムの構成例を示す図。
【図5】図1の処理ステップS3におけるセンサ異常を考慮した事故方向データ補正の詳細な処理フローを示す図。
【図6a】図2の場合に図5の処理ステップS31で作成される事故方向データ一覧を示す図。
【図6b】図3の場合に図5の処理ステップS31で作成される事故方向データ一覧を示す図。
【図6c】図5の処理ステップS31で作成される事故方向データ一覧の他の例を示す図。
【図7a】図6aの場合における図1の処理ステップS5の処理を示す図。
【図7b】図6cの場合における図1の処理ステップS5の処理を示す図。
【図8a】図7aの場合における図1の処理ステップS7の処理を示す図。
【図8b】図7bの場合における図1の処理ステップS7の処理を示す図。
【図9】図1のステップS11の詳細を示す図。
【図10】配電ルートと開閉器の事故方向データの関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0019】
本発明の実施例を説明するに当り、本発明を適用可能な配電系統の一例と、典型的な事故方向判断結果について、図2と図3を用いて説明する。
【0020】
図2と図3は、同一の配電系統を示している。これらの図で、FCBは変電所に設置された開閉器、121から127は、配電系統に設けられたセンサ内蔵開閉器であり、センサ内蔵開閉器によって、配電系統が区間131から138に区分されている。なお、図示の例では、配電系統は区間135において、区間136の方向と、区間137、138の方向に分岐する分岐配電系統を示している。
【0021】
このうち図2は、センサ異常があるときの事故方向判断結果、図3はセンサ検出なしのときの事故方向判断結果を示している。センサ異常があるときの事故方向判断結果を示す図2の事例では、本来の事故区間は137であるが、このとき同時に開閉器122にセンサ異常がある場合を想定している。この事例では、各センサ内蔵開閉器121―127の検出する事故方向は、本来は想定した事故区間137の方向を示すべきところ、センサ内蔵開閉器122はその異常により、反対方向(変電所側)を示している。
【0022】
然るに、この図2の事例の場合、特許文献1の方法では、区間両端の判定方向が相違する区間を事故区間として選択するので、区間132、133、135および137の4区間を抽出する。このため、適切な事故区間の判定ができない。また、特許文献2の方法では、区間両端の判定方向がいずれも流入方向である区間を事故区間として選択するので、区間132および137の2区間が抽出される。このため、適切な事故区間の判定ができない。
【0023】
センサ検出なしのときの事故方向判断結果を示す図3の事例では、本来の事故区間は133であり、開閉器122がセンサ異常により事故電流を検出できなかった場合を想定している。この場合、特許文献3に記載の方法では、変電所側から流入する地絡電流の方が負荷側から流入する地絡電流より大きいという論理で事故区間を判定するために、事故区間として区間132を抽出してしまい、適切な事故区間の判定ができない。
【0024】
従来の手法は、いずれも区間両端に個々に設けられたセンサでの事故方向を区間単位で比較することによる区間判定手法である。
【0025】
これに対し、配電系統全体のセンサの判定結果を得、これについて整合性を論理的に判断することによりセンサ異常個所を特定することが可能である。例えば、図2の事例では、開閉器122の負荷側に事故データが負荷方向であることを示す開閉器が3台(123、124、126)ある。これに対し、開閉器122の変電所側には、事故データが変電所方向である開閉器が存在しない。この用に配電系統全体として判断すると、開閉器122のセンサ異常の可能性が高いことがわかる。
【0026】
本発明では、配電系統全体のセンサの判定結果について整合性を論理的に判断することで、センサ異常を確認し、その後に事故区間を確定するものである。つまり、本発明は整合性チェックと事故区間算出の2段階処理を行わんとするものである。
【0027】
図4は、本発明の配電線事故区間判定システムの構成例を示す図である。ここでは配電系統100のセンサ内蔵開閉器120は通信線路210、および通信ネットワーク200を介して事故区間判定装置10に結ばれている。配電系統100は、配電変電所110とセンサ内蔵開閉器120およびそれらを接続する区間130で構成されている。センサは、開閉器通過電流、開閉器到達電圧、事故方向を測定し、通信ネットワーク200を介して事故区間判定装置10に情報を送る。
【0028】
事故区間判定装置10は、表示装置11、キーボードやマウス等の入力手段12、コンピュータ(CPU)13、通信手段14、RAM15、各種データベース(プログラムデータベース21、計測データベース22、設備データベース23)から構成され、これらはバス線30に接続されている。
【0029】
コンピュータ(CPU)13は、計算プログラムを実行して表示すべき画像データの指示、各種データベース内のデータの検索等を行う。RAM15は事故方向データ修正結果、事故区間判定結果等の計算結果データを一旦格納するメモリーであり、CPU13によって必要なデータを生成して表示装置11(例えば表示ディスプレイ画面)に表示する。
【0030】
事故区間判定装置10内のデータベースには、大きく分けて2種類のデータベースが設けられている。データベースのひとつは、データを格納するデータベースであり、計測データベース22や設備データベース23といったデータベースがこれに相当する。他の一つは計測データベース22や設備データベース23に格納されたデータを用いて事故区間を決定するプログラムを格納しているプログラムデータベース21である。
【0031】
このうち、計測データベース22には、配電系統各所のセンサ内蔵開閉器120から収集した配電系統の情報(開閉器通過電流、開閉器到達電圧)や、その結果から求められた事故方向についての情報などが蓄積されている。設備データベース23には、事故方向を判断する上で必要とする基本的な情報(開閉器属性、区間属性、位相属性)などが蓄積されている。また設備データベース23には、区間とその両端の開閉器名称が関連づけて記録され、またその区間の端子数などが保持されている。
【0032】
プログラムデータベース21には、計算プログラムである事故区間判定プログラムと、事故方向データ修正プログラムが格納されている。
【0033】
図1は、プログラムデータベース21に格納された計算プログラムのうち、事故区間判定プログラムにより実現される事故区間判定方法全体の処理フローを示している。
【0034】
また図5は、プログラムデータベース21に格納された計算プログラムのうち、事故方向データ修正プログラムにより実現されるセンサ異常を考慮した事故方向データ補正の処理フローを示している。
【0035】
まず、図1の事故区間判定方法全体の処理フローを説明する。この全体フローは、大きく2つの機能に分類されている。その1つは、配電系統全体のセンサの判定結果について整合性を論理的に判断することでセンサ異常を確認する機能であり、2つめはその後に事故区間を確定する機能である。前者の整合性チェック機能は、図1のステップS3で実行されるものであり、図5のフローに詳細が示されている。後者の機能は、図1のステップS4以降の事故区間算出機能である。このように本発明は、整合性チェックと事故区間算出の2段階処理を行うものである。
【0036】
この図1の一連の処理を実行するに当り、最初のステップであるステップS1では、事故配電線に設置されているセンサ内蔵開閉器の全て(標準運用状態が切の開閉器を除く)から、事故情報を収集する。収集された情報は、計測データベース22に蓄積される。
【0037】
ステップS2では、ステップS1で収集した事故情報を基に、設備データベース23に予め蓄積されている位相特性等を使用して地絡電流方向判定を行い、事故方向データとして「変電所方向T」あるいは「負荷方向L」を与える。なお、地絡電流方向判定を行うことで得られた事故方向データは、計測データベース22に蓄積される。
【0038】
なお、ここまでの処理に関し、事故区間判定装置10はセンサ内蔵開閉器から事故電流などの情報を得て、ステップS2においてそれぞれの事故方向を演算する例を示したが、これはセンサ内蔵開閉器で事故方向を演算し、その結果を事故区間判定装置10に集約するものであってもよい。
【0039】
この地絡電流方向判定結果は、図2の事例の場合、開閉器121、123、124、126が「負荷方向L」、開閉器122、125、127が「変電所方向T」である。また、図3の事例の場合、開閉器121のみが「負荷方向L」、開閉器123、124、125、126、127が「変電所方向T」である。但し、開閉器122は、事故情報を与えていないので、いずれともしない。
【0040】
次に、ステップS3の処理に移るが、ステップS3の処理の詳細は、図5の事故方向データ修正プログラムに示されているので、図5のフローに移り、これを先に説明する。
【0041】
図5のフローにおいて、最初のステップS31では、ステップS2で判定された個々の開閉器での事故方向データ(負荷方向L、変電所方向T)から、事故方向データ一覧を作成する。これは、図2の事例の場合、図6aのようである。この図6aでは、開閉器の番号121−127ごとに、負荷方向Lまたは変電所方向Tのデータが記録される。図3の事例の場合の事故方向データ一覧は、図6bのようである。
【0042】
ステップS32では、事故方向データ一覧の開閉器各々に対して、負荷方向Lと判定した開閉器(負荷側開閉器)の全数を抽出し、それらの台数をカウントする。また、ステップS33では、事故方向データ一覧の開閉器各々に対して、変電所方向Tと判定した開閉器(変電所側開閉器)の全数を抽出し、それらの台数をカウントする。
【0043】
この結果は、図2(図6a)の事例の場合、4台が「負荷方向L」、3台が「変電所方向T」である。また、図3(図6b)の事例の場合、1台(開閉器121)が「負荷方向L」、開閉器123、124、125、126、127が「変電所方向T」である。
【0044】
ステップS34では、補正後事故方向データを作成する。補正後事故方向データとは、開閉器個々に対して、その判定結果の妥当性を評価し、事故方向の判断結果を修正するものである。具体的には、以下のような基準により修正処理を実行する。
【0045】
第1の基準は、事故方向データが「変電所方向T」で、その開閉器の負荷側開閉器全数のうち事故方向データが「負荷方向L」である台数が2台以上で、その開閉器の変電所側開閉器全数のうち事故方向データが「変電所方向T」である台数が0台の場合、「負荷方向L」に修正するというものである。
【0046】
この基準を、図6aに当てはめると、事故方向データが「変電所方向T」の開閉器は、122、125、127である。このうち、最初の開閉器122に着目すると、その負荷側開閉器全数(5台)のうち事故方向データが「負荷方向L」である台数が2台以上(123、124、126の3台)であり、その開閉器122の変電所側開閉器全数(1台)のうち事故方向データが「変電所方向T」である台数が0台である。この結果、開閉器122は、第1の基準に従って、「負荷方向L」に修正される。
【0047】
なお、同様の第1の基準を次の開閉器125あるいは127に適用すると、「その負荷側開閉器全数のうち事故方向データが「負荷方向L」である台数が2台以上」に合致せず、「負荷方向L」に修正されることはない。
【0048】
以上要するに、第1の基準は、方向判定結果を負荷方向とすべきところを、変電所方向とする誤りを発生しているセンサ内蔵開閉器を特定したものである。
【0049】
第2の基準は、事故方向データが「負荷方向L」で、その開閉器の変電所側開閉器全数のうち事故方向データが「変電所方向T」である台数が2台以上で、その開閉器の負荷側開閉器全数のうち事故方向データが「負荷方向L」である台数が0台の場合、「変電所方向T」に修正するというものである。
【0050】
結論を先に述べると、この論理は方向判定結果を変電所方向とすべきところを、負荷方向とする誤りを発生しているセンサ内蔵開閉器を特定するものである。図6cに、この事例を示しているので、この例で論理の正しさを検証する。図6cの事例は、上流側(変電所側)の区間132に事故点があるにもかかわらず、下流側(負荷側)で負荷方向と判断した誤り事例である。
【0051】
この第2の基準を、図6aに当てはめると、事故方向データが「負荷方向L」の開閉器は、121、124である。このうち、最初の開閉器121に着目すると、その開閉器121の変電所側開閉器全数が0台である。従って、このうち、事故方向データが「変電所方向T」である台数が2台以上にはなり得ない。また、その開閉器121の負荷側開閉器全数(122−127の6台)のうち事故方向データが「負荷方向L」である開閉器124がある。そのため、台数が0台ではないので、「変電所方向T」には修正できない。
【0052】
このため、この第2の基準の適用を次の開閉器124に着目すると、その開閉器124の変電所側開閉器全数(121、122、123の3台)のうち事故方向データが「変電所方向T」である台数が2台以上(122、123)で、その開閉器124の負荷側開閉器全数(125、126、127の3台)のうち事故方向データが「負荷方向L」である台数が0台である。この結果は、開閉器124の場合、「変電所方向T」に修正するというものである。
【0053】
なお、第3の基準では、上記以外の場合、事故方向データと同じにする(変更しない)というものである。
【0054】
ステップS34の一連の基準は、要するに1つの配電線で同時に複数のセンサ内蔵開閉器が故障する確率は低いという前提の下、周囲の開閉器の事故方向データと整合の取れない開閉器の事故方向データを補正する考え方を示したものである。
【0055】
図5の次のステップS35では、図1の最初のステップS1の各々の開閉器に対して、図5のステップS31で求めた事故方向データと図5のステップS34で求めた補正後事故方向データとを比較する。この比較結果は、図6a、図6cに記載されており、要するに図6aの事例では開閉器122の判断結果を変電所側Tから負荷側Lとすべきであり、図6cの事例では、開閉器124の判断結果を負荷側Lから変電所側Tとすべきである。
【0056】
次のステップS36では、判断結果が補正前後で異なっている開閉器の台数の判定を行い、事故方向データと補正事故方向データとが異なっている開閉器が一台だけの場合のみ事故方向データの補正を行う。この結果、図6aの事例では開閉器122の判断結果を変電所側から負荷側とし、図6cの事例では、開閉器124の判断結果を負荷側から変電所側とする。
【0057】
図5の最後のステップS37では、「事故方向データ」の補正を行う。具体的には、事故方向データを補正事故方向データに置き換える。
【0058】
以上の図5の一連の処理は、図4の事故区間判定装置10内のプログラムデータベース21のプログラムのうち、事故方向データ修正プログラムの実行により実現され、計測データベース22内の事故方向のデータとして、補正後の各開閉器の事故方向が新たに記憶される。これらの処理終了後に、再度図1の処理フローに戻り、ステップS4を実行する。ステップS4以降の処理では、修正された事故方向データを利用して、事故区間を特定する。
【0059】
まずステップS4では、事故情報検出なし開閉器の有無を判定し、有の場合ステップS10を実行し、無の場合ステップS5側の処理に入る。これにより、事故情報検出なし開閉器の有無に応じて、それぞれに適した事故区間算出処理を実行する。なお、図5の処理では開閉器の各種故障モードのうち、事故方向判断を誤る故障モードについて対策したが、ステップS10側では、開閉器出力が無いという故障モードについての対策を実行することになる。
【0060】
まず、ステップS4の処理で事故情報が検出されなかった開閉器が存在しないときの処理について説明する。この場合の事例には、図6aがある。
【0061】
判断後の最初のステップS5では、暫定事故区間の抽出を行う。このために、ここでは事故配電線の区間番号全数(131−138)を抽出し、当該区間に隣接する開閉器(標準運用状態が切の開閉器を除く)の事故方向データが、全て当該区間に向かう方向である区間を暫定事故区間とする。言い換えると、電流が両端から流入している区間を暫定事故区間とすることになる。なお、ここで利用する事故方向データが、ステップS3で修正された事故方向データであることは言うまでもない。
【0062】
図7は、図6の各事例のときの区間番号と、区間に隣接する開閉器の事故方向データの関係を示したものである。図7aは、図6aのものであり、区間137が暫定事故区間とされることがわかる。また、同様に図7bは、図6cのものであり、区間132が暫定事故区間とされることがわかる。なお、この図で右方向あるいは、下方向の矢印は負荷方向L、左方向及び上方向の矢印は変電所方向Tを意味する。
【0063】
ステップS6では、暫定事故区間個数の判定を行う。図7a、図7bのいずれの場合にも、暫定事故区間個数は単独(1個)であるので、この事例ではステップS7に移る。なお、暫定事故区間が複数ある場合はステップS11に移り、事故の可能性のある範囲を健全区間から切り離すための開閉器群の抽出を行う。
【0064】
ステップS7では、暫定事故区間に接しない開閉器全数での暫定事故区間方向と事故方向データの比較を行う。つまり、暫定事故区間に接しない開閉器全数について、当該開閉器から暫定事故区間を見た方向と事故方向データとを比較する。
【0065】
図8は、図7をこの観点から整理したものである。図7aの場合、図8aに示すように、暫定事故区間が137なので、これに接する開閉器126、127を除いた開閉器121−125について、当該開閉器からの暫定事故方向と、事故方向データを記載したものである。いずれの開閉器でも両者の方向が一致している。なお、開閉器125は、分岐の3端子区間に設けられた開閉器であるため、実際の事故電流は別の回路(区間137側)の負荷側に流れることが考えられるが、ここではこの開閉器から見た暫定事故方向と、事故方向データは他の分岐端子の有無に関わらず、変電所側に流れたものとする。
【0066】
同じく、図7bの場合、図8bに示すように、暫定事故区間が132なので、これに接する開閉器121、122を除いた開閉器123−127について、当該開閉器からの暫定事故方向と、事故方向データを記載したものである。いずれの開閉器でも両者の方向が一致している。
【0067】
ステップS8では、不整合有無の判定を行う。ステップS7の比較結果の中に不整合がある場合は、ステップS11に移り事故区間の判定は実施せず、事故の可能性のある範囲を健全区間から切り離すための開閉器群の抽出を行う。上記の事例では不整合となるものが存在しないので、ステップS9に移って事故区間の判定を行う。ここでは、暫定扱いとしていた暫定事故区間を、正式に事故区間として判定する。
【0068】
以上、図1の処理ステップS1から処理ステップS9の一連の処理について、途中で図5を参照しながら説明した。この説明は、一貫して図2の事故事例について説明してきた。ここでは、図3の事故事例については、図1の分岐判断ステップS4において説明を後回しにしていた。
【0069】
以上の説明で図2のセンサ異常ケースの説明が一段落したので、次に、図1の分岐判断ステップS4に戻り、図3の事故事例のときの取り扱いについて説明する。なお、ステップS4に至るまでに、図3の事故事例で準備されたデータは、ステップS2での事故方向データ(図6b)のみである。
【0070】
分岐判断ステップS4では、事故情報検出なし開閉器の有無の判定をおこなった。この判断で、図3の事例の開閉器122が事故情報検出なし開閉器であったことが判明し、次のステップS10に移った。
【0071】
ステップS10では、事故情報検出なし開閉器122への事故方向データの作成を行う。ここでは、事故情報が検出されなかった開閉器に、事故方向データとして「変電所方向T」を与える。図6bには、「信号なし」が「変電所方向」を意味するTに変更されたことを記述している。「変電所方向T」の情報を与えた上で、次のステップS11に移る。ステップS11では、事故可能性有り範囲切り替え開閉器群の抽出を実行するが、この詳細を図9に示している。
【0072】
ステップS11の詳細を示す図9において、ステップS111からステップS115の一連の処理は、要するに変電所開閉器FCBの負荷側に設置されている配電系統の開閉器の接続順番を特定することであり、これは配電系統のルートを特定したことである。このルートは、事前に接続関係が記憶されたものとしても良く、その都度確認するものであってもよい。後者とする場合に、図4の事故区間判定装置10の設備データベース23に蓄積されている開閉器接続情報(区間とその両端の開閉器の名称などの情報)が利用される。
【0073】
ここでは、事故が発生したときに、このルートを確認する場合で説明する。このために、まず図9における最初のステップS111では、図3の変電所開閉器FCBの負荷側に設置されている配電系統の直近の開閉器を抽出する。この開閉器は図3の開閉器121である。
【0074】
次のステップS112では、末端へ至るルート(1段目)の作成を行う。ここでは、具体的には、変電所開閉器FCBと、図1の最初の入力取り込みステップS1において取得した開閉器データについて、複数台開閉器の各々を組み合わせたデータを作成し、記憶させておく。
【0075】
ステップS113からステップS115の処理は、該当する負荷側開閉器が存在しなくなるまで、繰り返し実行される。例えば、最初に変電所開閉器FCBの負荷側に設置されている配電系統の直近の開閉器として、開閉器121が抽出された後は、次にこの開閉器121の負荷側の開閉器として開閉器122を抽出し、抽出した順番に末端へ至るルートを形成していく。
【0076】
なお、負荷側開閉器が存在しない場合や、存在しても標準運用状態が切の開閉器である場合はこれを抽出せず「終了」として記憶させておく。抽出される負荷側開閉器がなくなればFCBから末端へ至るルートの導出を終了する。
【0077】
これにより、FCB−121−122−123−124−125に至るルート1と、FCB−121−122−123−124−126−127に至るルート2とが抽出され記憶される。ルート抽出後は、ステップS116に移る。
【0078】
ステップS116では、抽出したFCBから各末端へ至る複数のルートのデータ各々に対して、FCBから末端の順に開閉器の事故方向データを抽出する。抽出されたルートと、開閉器の事故方向データの関係は、図6bの例では、図10のようになる。図10上段はルート1と開閉器の事故方向データの関係、下段はルート2と、開閉器の事故方向データの関係を示している。なお、開閉器122については、検出信号なしの開閉器であったために、前段のステップS10において変電所方向Tと定義されている。
【0079】
ステップS117では、切離開閉器の抽出を行う。この判断のために、ここではステップS116で求めた複数のルート(ルート1とルート2)の各々について、FCBから末端の順に事故方向データをチェックし、最初に「変電所方向T」が現れる手前の開閉器を「切離開閉器」とする。図10のルート1の事例では、開閉器122が最初に「変電所方向T」が現れた開閉器なので、その手前の開閉器121を「切離開閉器」とする。なお、図3の事例では、分岐点の手前で事故発生した事例を示しているので、2つのルートでの判断結果は同じである。
【0080】
ステップS117では、導出した「切離開閉器」複数のうち重複分を削除する。例えば、図10の2つの事例では、ルートごとに導出された開閉器は同じものであるので、重複を排除する。
【0081】
ステップS118では、残った「切離開閉器」各々に対して、変電所側開閉器全数を抽出し、変電所側開閉器の中に、ステップS118で残った「切離開閉器」のデータの何れかが存在するデータは削除する。ステップS119では、このようにして残った「切離開閉器」データが求める「事故可能性有り範囲切離開閉器」となる。つまり、「切離開閉器」が同一ルート上に複数生じているケースでは、上流側を「事故可能性有り範囲切離開閉器」とする。
【0082】
以上説明した図1の本発明の事故区間の判定では、上述の理由から開閉器122のセンサ異常(信号なし)を推定して、このデータの補正(図6bの変電所側Tの情報を与える処理)が行われる。さらに、事故電流の流入のみがある区間は区間137のみであり、なおかつ、区間137に接しない開閉器の事故方向データが全て区間137に向かうものであるという、事故配電線全体での事故方向データの整合性を確認した上で事故区間を区間137であると判定する。このように事故方向データの系統内での整合性の確認を2回実施することにより、適切な事故区間判定ができる。
【0083】
本発明の事故区間判定では、事故情報の検出がなかった開閉器が存在する場合は事故区間の特定は行わず、当該開閉器に変電所方向の事故方向データを与え、変電所から連続して事故方向データが負荷方向である開閉器群の最も変電所側の開閉器を開放するため、開閉器121は開放され、安全サイドに立った事故区間の切り離しができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明によれば、配電系統に設置されたセンサからの事故方向観測値から、事故方向データを補正し事故区間を判定する事故区間判定装置に適用できる。また、事故区間が判定できるため配電自動化システムの機能として用いることも可能である。
【符号の説明】
【0085】
10:事故区間判定装置
11:表示装置
12:入力手段
13:CPU
14:通信手段
15:RAM
21:プログラムデータ
22:計測データベース
23:設備データベース
30:バス線
100:配電系統
110:配電変電所
120:センサ内蔵開閉器
130:区間
140:事故点
200:通信ネットワーク
210:通信線路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変電所開閉器に接続された樹枝状配電系統、該樹枝状配電系統の各所に配置され配電系統を適宜の区間に区分する複数の開閉器、該開閉器と接続された通信ネットワーク、該通信ネットワークと接続された事故区間判定装置を有する配電系統の事故区間判定システムにおいて、
前記事故区間判定装置は、前記樹枝状配電系統の事故発生時に、前記複数の開閉器それぞれの設置点での事故方向を求め、前記樹枝状配電系統の前記複数の開閉器についての複数の事故方向の間の整合性判断により、異常あり開閉器を特定してその検出する事故方向を修正する第1の処理と、
該第1の処理において修正された事故方向を含む前記樹枝状配電系統の前記複数の開閉器についての複数の事故方向を用いて事故区間を判定する第2の処理を備える
ことを特徴とする配電系統の事故区間判定システム。
【請求項2】
請求項1記載の配電系統の事故区間判定システムにおいて、
前記整合性判断の第1の基準として、着目する開閉器の検出する事故方向が変電所方向で、その開閉器の負荷側開閉器全数のうち事故方向が負荷方向である台数が2台以上で、その開閉器の変電所側開閉器全数のうち事故方向が変電所方向である台数が0台の場合、前記着目する開閉器の検出する事故方向を負荷方向に修正する
ことを特徴とする配電系統の事故区間判定システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の配電系統の事故区間判定システムにおいて、
前記整合性判断の第2の基準として、着目する開閉器の検出する事故方向が負荷方向で、その開閉器の変電所側開閉器全数のうち事故方向が変電所方向である台数が2台以上で、その開閉器の負荷側開閉器全数のうち事故方向が負荷方向である台数が0台の場合、前記着目する開閉器の検出する事故方向を変電所方向に修正する
ことを特徴とする配電系統の事故区間判定システム。
【請求項4】
請求項1記載の配電系統の事故区間判定システムにおいて、
前記第2の処理においては、前記樹枝状配電系統の前記複数の開閉器の中に、事故情報を検出していない開閉器の有無を判定し、当該有無に応じて異なる事故区間判定処理を実行する
ことを特徴とする配電系統の事故区間判定システム。
【請求項5】
請求項4記載の配電系統の事故区間判定システムにおいて、
全ての開閉器が事故情報を検出し、かつ前記樹枝状配電系統の区間を区分する両端の開閉器の検出する事故方向がいずれも区間内部を示すときに当該区間を暫定事故区間とし、
前記樹枝状配電系統上の暫定事故区間が1箇所であるとき、当該区間両端の開閉器を除外した全ての開閉器について、その検出する事故方向と、暫定事故区間の方向とが全て一致する場合に、
前記暫定事故区間を事故区間とする
ことを特徴とする配電系統の事故区間判定システム。
【請求項6】
請求項4または請求項5記載の配電系統の事故区間判定システムにおいて、
事故情報を検出していない開閉器があるとき、事故情報が検出されなかった開閉器に事故方向として変電所方向を与え、
変電所からの開閉器接続順序で最初に変電所方向と判断された開閉器の手前の開閉器を切離開閉器とし、
最も変電所に近い位置の前記切離開閉器を事故可能性有り範囲切離開閉器として事故区間切り離しを実行する
ことを特徴とする配電系統の事故区間判定システム。
【請求項7】
変電所開閉器に接続された樹枝状配電系統の各所に配置され適宜の区間に区分する複数の開閉器との間が通信ネットワークで接続された配電系統の事故区間判定装置において、
前記樹枝状配電系統の事故発生時に、前記複数の開閉器それぞれの設置点での事故方向を求め、前記樹枝状配電系統の前記複数の開閉器についての複数の事故方向の間の整合性判断により、異常あり開閉器を特定してその検出する事故方向を修正する第1の処理と、
該第1の処理において修正された事故方向を含む前記樹枝状配電系統の前記複数の開閉器についての複数の事故方向を用いて事故区間を判定する第2の処理を備える
ことを特徴とする配電系統の事故区間判定装置。
【請求項8】
請求項7記載の配電系統の事故区間判定装置において、
前記整合性判断の第1の基準として、着目する開閉器の検出する事故方向が変電所方向で、その開閉器の負荷側開閉器全数のうち事故方向が負荷方向である台数が2台以上で、その開閉器の変電所側開閉器全数のうち事故方向が変電所方向である台数が0台の場合、前記着目する開閉器の検出する事故方向を負荷方向に修正する
ことを特徴とする配電系統の事故区間判定装置。
【請求項9】
請求項7または請求項8記載の配電系統の事故区間判定装置において、
前記整合性判断の第2の基準として、着目する開閉器の検出する事故方向が負荷方向で、その開閉器の変電所側開閉器全数のうち事故方向が変電所方向である台数が2台以上で、その開閉器の負荷側開閉器全数のうち事故方向が負荷方向である台数が0台の場合、前記着目する開閉器の検出する事故方向を変電所方向に修正する
ことを特徴とする配電系統の事故区間判定装置。
【請求項10】
請求項7記載の配電系統の事故区間判定装置において、
前記第2の処理においては、前記樹枝状配電系統の前記複数の開閉器の中に、事故情報を検出していない開閉器の有無を判定し、当該有無に応じて異なる事故区間判定処理を実行する
ことを特徴とする配電系統の事故区間判定装置。
【請求項11】
請求項10記載の配電系統の事故区間判定装置において、
全ての開閉器が事故情報を検出し、かつ前記樹枝状配電系統の区間を区分する両端の開閉器の検出する事故方向がいずれも区間内部を示すときに当該区間を暫定事故区間とし、
前記樹枝状配電系統上の暫定事故区間が1箇所であるとき、当該区間両端の開閉器を除外した全ての開閉器について、その検出する事故方向と、暫定事故区間の方向とが全て一致する場合に、
前記暫定事故区間を事故区間とする
ことを特徴とする配電系統の事故区間判定装置。
【請求項12】
請求項10または請求項11記載の配電系統の事故区間判定装置において、
事故情報を検出していない開閉器があるとき、事故情報が検出されなかった開閉器に事故方向として変電所方向を与え、
変電所からの開閉器接続順序で最初に変電所方向と判断された開閉器の手前の開閉器を切離開閉器とし、
最も変電所に近い位置の前記切離開閉器を事故可能性有り範囲切離開閉器として事故区間切り離しを実行する
ことを特徴とする配電系統の事故区間判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−17342(P2013−17342A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149675(P2011−149675)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】