説明

樹状細胞アシアロ糖タンパク質受容体(DC−ASGPR)を介して抗原提示細胞に結合する作用物質

本発明は、例えば、DC及び他の細胞を活性化できる抗DC−ASGPR抗体を作製及び使用するための組成物及び方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、樹状細胞アシアロ糖タンパク質受容体(DC−ASGPR、dendritic cell asialoglycoprotein receptor)を介して抗原提示細胞に結合する作用物質の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の範囲を限定せずに、その背景を、抗原提示との関連で説明する。
【0003】
樹状細胞は、可溶性の細胞間シグナルを提供し、その後病原体を認識することにより、自然免疫及び獲得免疫の橋渡しを制御するのに極めて重要な役割を果たす。DCのこれらの機能は、トール様受容体(TLR、toll-like receptor)及びC型レクチン又はレクチン様受容体(LLR、lectin-like receptor)により最も顕著に代表される「パターン認識受容体」(PRR、pattern recognition receptor)である特化した表面受容体の発現に大きく依存する(C. G. Figdor, Y. van Kooyk, G. J. Adema, Nat Rev Immunol 2, 77 (Feb, 2002)、E. Pyz, A. S. Marshall, S. Gordon, G. D. Brown, Ann Med 38, 242 (2006)、G. D. Brown, Nat Rev Immunol 6, 33 (Jan, 2006))。
【0004】
現在の理論的枠組において、TLRの主要な役割とは、免疫応答を開始するために、インターロイキン12(IL−12、interleukin 12)及び他の炎症性サイトカインを産生するようにDCに警告することである。C型LLRは、マクロファージ及びDCの強力な抗原捕捉及び取り込み機序の構成要素として作用する(C. G. Figdor, Y. van Kooyk, G. J. Adema, Nat Rev Immunol 2, 77 (Feb, 2002))。しかしながら、LLRは、TLRと比較して、細胞遊走(T. B. Geijtenbeek et al., Nat Immunol 1, 353 (Oct, 2000))、細胞間相互作用(T. B. Geijtenbeek et al., Cell 100, 575 (Mar 3, 2000))を含む幅広い範囲の生物学的機能を有し得る。LLRのこれらの多機能性は、LLRがTLRとは異なり、自己及び非自己の両方を認識できるという事実に起因し得る。しかしながら、多数のLLRが免疫細胞中で発現されるという重複性を含むLLRの複雑性は、個々のLLRの詳細な機能を理解するための主要な障害の1つである。加えて、これらの受容体のほとんどに対する天然リガンドは、未同定のままである。にもかかわらず、最近の研究からの証拠は、LLRが、TLRと連携して微生物感染中の免疫細胞の活性化に寄与できることを示唆している(C. F. d'Ostiani et al., J Exp Med 191, 1661 (May 15, 2000)、C. Fradin, D. Poulain, T. Jouault, Infect Immun 68, 4391 (Aug, 2000)、A. Cambi et al., Eur J Immunol 33, 532 (Feb, 2003)、M. G. Netea, J. W. Meer, I. Verschueren, B. J. Kullberg, Eur J Immunol 32, 1455 (May, 2002)、S. J. Lee et al., Science 295, 1898 (Mar 8, 2002)、N. Maeda et al., J Biol Chem 278, 5513 (Feb 21, 2003)、L. Tailleux et al., J Exp Med 197, 121 (Jan 6, 2003)、T. B. Geijtenbeek et al., J Exp Med 197, 7 (Jan 6, 2003)、A. M. Cooper et al., J Immunol 168, 1322 (Feb 1, 2002))。
【0005】
Valladeauら(The Journal of Immunology, 2001, 167: 5767-5774)は、肝臓アシアロ糖タンパク質受容体と関連する未成熟なヒト樹状細胞上の新規なLLR受容体を記述しており、それが効率的にエンドサイトーシスを媒介することを実証した。DC−ASGPRのmRNAは、免疫組織で、DC及び顆粒球で主に認められたが、T細胞、B細胞、NK細胞、又は単球では認められなかった。DC−ASGPR種は、CD34由来の先駆細胞から得られたCD14由来のDCに限定されており、CD1a由来のサブセットには存在しなかった。単球由来のDC及び扁桃間質型DCの両方は、DC−ASGPRタンパク質を発現したが、ランゲルハンス型細胞は発現しなかった。さらに、CD40活性化の際に発現が失われたため、DC−ASGPRは未成熟の特徴であった。細胞質内ドメインにおけるチロシンに基づくモチーフ及びジロイシンモチーフの存在と合致して、DC−ASGPRに対するmAbは、37℃でDCにより急速に内部移行された。最後に、細胞内DC−ASGPRは、初期エンドソームに局在化されており、受容体がリガンドの内部移行後に細胞表面へと再利用されることが示唆された。これらの知見により、未成熟なDCの特徴として及びDCの特化したAg捕捉機能に重要な別のレクチンとして、DC−ASGPR/ヒトマクロファージレクチンが同定された。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】C. G. Figdor, Y. van Kooyk, G. J. Adema, Nat Rev Immunol 2, 77 (Feb, 2002)
【非特許文献2】E. Pyz, A. S. Marshall, S. Gordon, G. D. Brown, Ann Med 38, 242 (2006)
【非特許文献3】G. D. Brown, Nat Rev Immunol 6, 33 (Jan, 2006)
【非特許文献4】T. B. Geijtenbeek et al., Nat Immunol 1, 353 (Oct, 2000)
【非特許文献5】T. B. Geijtenbeek et al., Cell 100, 575 (Mar 3, 2000)
【非特許文献6】C. F. d'Ostiani et al., J Exp Med 191, 1661 (May 15, 2000)
【非特許文献7】C. Fradin, D. Poulain, T. Jouault, Infect Immun 68, 4391 (Aug, 2000)
【非特許文献8】A. Cambi et al., Eur J Immunol 33, 532 (Feb, 2003)
【非特許文献9】M. G. Netea, J. W. Meer, I. Verschueren, B. J. Kullberg, Eur J Immunol 32, 1455 (May, 2002)
【非特許文献10】S. J. Lee et al., Science 295, 1898 (Mar 8, 2002)
【非特許文献11】N. Maeda et al., J Biol Chem 278, 5513 (Feb 21, 2003)
【非特許文献12】L. Tailleux et al., J Exp Med 197, 121 (Jan 6, 2003)
【非特許文献13】T. B. Geijtenbeek et al., J Exp Med 197, 7 (Jan 6, 2003)
【非特許文献14】A. M. Cooper et al., J Immunol 168, 1322 (Feb 1, 2002)
【非特許文献15】Valladeau et al., The Journal of Immunology, 2001, 167: 5767-5774
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
DC−ASGPRは、代用抗原のヒトDCへの内部移行を指示できることが知られているが、本発明は、DC−ASGPRの新規な生物学的活性を使用し、ある場合には抗原取り込み(例えばワクチン接種)との関連で、他の場合には、DC、B細胞、及び単球上のこの受容体を介するシグナル伝達を誘発可能なDC−ASGPRエフェクターの固有の作用を介して(単独で又は他の免疫調節分子と協調して)、免疫系において特に望ましい変化を生じさせる。本発明の開示は、DC−ASGPRを保持する細胞を活性化することが可能である固有な作用物質を開発する手段と共に、これらのシグナルを受容する細胞にその結果生じる変化の効果が、免疫系の他の細胞に対する作用に関係することを明らかにする。これらの効果は(単独で、又は他のシグナルと協調して(つまり共刺激)のいずれかで)、ある種の疾患状態の治療結果を、又はワクチン接種との関連においては防御的結果の増強を高度に予測する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、抗体−抗原複合体を形成する標的作用物質が結合したDC−ASGPR特異的抗体又はその断片を単離及び精製することにより、DC−ASGPR発現性抗原提示細胞による抗原提示の有効性を増大させる組成物及び方法を含み、この作用物質は、例えば抗体−作用物質複合体と接触した樹状細胞によりプロセシング及び提示される。一実施形態では、抗原提示細胞は樹状細胞であり、DC−ASGPR特異的抗体又はその断片はコヘリン/ドックリン(Coherin/Dockerin)対の半分に結合している。DC−ASGPR特異的抗体又はその断片はコヘリン/ドックリン対の半分にも結合でき、抗原はコヘリン/ドックリン対の相補的な半分に結合して、複合体を形成する。作用物質の非限定的な例には、1又は複数のペプチド、タンパク質、脂質、炭水化物、核酸、及びそれらの組合せが含まれる。
【0009】
作用物質は、インターロイキン、トランスフォーミング成長因子(TGF、transforming growth factor)、繊維芽細胞成長因子(FGF、fibroblast growth factor)、血小板由来成長因子(PDGF、platelet derived growth factor)、上皮成長因子(EGF、epidermal growth factor)、結合組織活性化ペプチド(CTAP、connective tissue activated peptide)、骨形成因子、並びにそのような成長因子の生理活性類似体、断片、及び誘導体、B/T細胞分化因子、B/T細胞成長因子、分裂促進サイトカイン、走化性サイトカイン、コロニー刺激因子、血管形成誘導因子、IFN−α、IFN−β、IFN−γ、IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL10、IL11、IL12、IL13、IL14、IL15、IL16、IL17、IL18など、レプチン、ミオスタチン、マクロファージ刺激タンパク質、血小板由来成長因子、TNF−α、TNF−β、NGF、CD40L、CD137L/4−1BBL、ヒトリンフォトキシン−β、G−CSF、M−CSF、GM−CSF、PDGF、IL−lα、IL1−β、IP−10、PF4、GRO、9E3、エリトロポエチン、エンドスタチン、アンギオスタチン、VEGF、並びにβトランスフォーミング成長因子(例えば、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3);骨形成タンパク質(例えば、BMP−1、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、BMP−8、BMP−9);ヘパリン結合性成長因子(繊維芽細胞成長因子(FGF)、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン様成長因子(IGF、insulin-like growth factor));インヒビン(例えば、インヒビンA、インヒビンB);増殖分化因子(例えば、GDF−1);及びアクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB)を含めたトランスフォーミング成長因子(TGF)遺伝子スーパーファミリーから選択される1又は複数のサイトカインであり得る。別の実施形態では、作用物質は、細菌性、ウィルス性、真菌性、原生動物性、又は癌性のタンパク質である抗原を含む。
【0010】
本発明は、樹状細胞による抗原提示の有効性を増大させるための組成物及び方法であって、抗体−抗原複合体を形成する抗原が結合したDC−ASGPR特異的抗体又はその断片を結合するステップを含み、その抗原が、抗体−抗原複合体と接触した樹状細胞によりプロセシング及び提示される組成物及び方法も含む。別の実施形態は、防御的又は治療的免疫応答を誘発する目的で抗原を抗原提示細胞に送達するための、DC−ASGPRに対する抗体又は他の特異的結合分子の使用である。皮膚を介したワクチン接種のための、DC−ASGPRに特異的な抗原ターゲッティング試薬の使用;同時投与又は連結されたワクチン接種用アジュバントと併用した、DC−ASGPRに特異的な抗原ターゲッティング試薬の使用、又は組換え抗原−抗体融合タンパク質として発現することができる特異的抗原の抗原ターゲッティング(ワクチン接種)目的での使用。
【0011】
別の実施形態は、患者の樹状細胞を単離するステップ;活性化量の抗DC−ASGPR抗体又はその断片及び抗原に樹状細胞を曝露して、抗原が負荷されて活性化された樹状細胞を形成するステップ;並びに抗原が負荷されて活性化された樹状細胞を患者へ再導入するステップによって、樹状細胞の有効性を増大させる方法を含む。抗原は、細菌性、ウィルス性、真菌性、原生動物性、又は癌性のタンパク質であり得る。本発明は、哺乳動物細胞から分泌された抗DC−ASGPR免疫グロブリン又はその一部、及び免疫グロブリンに結合した抗原も含む。免疫グロブリンは、コヒーシン/ドックリンドメインの半分に結合し、又はモジュールrAb担体と複合体を形成する抗原に結合した、コヒーシン−ドックリン結合対の相補的な半分、若しくは抗原との融合タンパク質であるコヒーシン−ドックリン結合対の相補的な半分を含んでもよい。抗原特異的ドメインは、全長抗体、抗体可変領域ドメイン、Fab断片、Fab’断片、F(ab)断片、及びFv断片、並びにFcドメインの一部を有するFabc断片及び/又はFab断片であり得る。抗DC−ASGPR免疫グロブリンは毒素に結合してもよく、ここで毒素は、放射性同位元素、金属、酵素、ボツリヌス毒素、破傷風、リシン、コレラ、ジフテリア、アフラトキシン、ウェルシュ菌毒素、マイコトキシン、志賀毒素、ブドウ球菌エンテロトキシンB、T2、セグイトキシン(seguitoxin)、サキシトキシン、アブリン、シアノジノシン(cyanoginosin)、α菌毒、テトロドトキシン、アコノトキシン(aconotoxin)、ヘビ毒、及びクモ毒からなる群から選択される。抗原は、免疫グロブリンとの融合タンパク質でもよく、又はそれと共有結合若しくは非共有結合で化学的に結合したものでもよい。
【0012】
本発明は、患者の樹状細胞を単離するステップ、活性化量の抗DC−ASGPR抗体又はその断片及び抗原に樹状細胞を曝露して、抗原が負荷されて活性化された樹状細胞を形成するステップ;並びに抗原が負荷されて活性化された樹状細胞を患者へ再導入するステップにより、樹状細胞の有効性を増大させるための組成物及び方法も含む。作用物質を使用して、治療的又は防御的適用で、単独で又は共活性化作用物質と共にDC−ASGPRと結合して抗原提示細胞を活性化し、防御的又は治療的ワクチン接種のために、抗原に連結されたDC−ASGPR及び/又は活性化作用物質を単独で又は共活性化作用物質と共に結合することができる。別の使用は、DC−ASGPRを介した免疫細胞の不適切な活性化から生じることが知られている又は疑われている疾患と関連した治療目的のために毒性作用物質に連結された抗DC−ASGPR作用物質、及び抗体−抗原複合体を形成する抗原が結合したDC−ASGPR特異的抗体又はその断片を有し、その抗原が抗体−抗原複合体と接触した樹状細胞によりプロセシングされ提示されるワクチンとして使用するために、DC−ASGPRに結合及び活性化することが可能な特異的抗体V領域配列を開発することである。
【0013】
本発明の特徴及び利点をより完全に理解するために、添付された図と共に本発明の詳細な説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A−1E】レクチン様受容体DC−ASGPRを介するシグナル伝達がDCを活性化し、その結果、サイトカイン及びケモカインだけでなく共刺激分子のレベルが増大することを実証する図である。図1Aは、3日間及び6日間のGM/IL−4 DCを、FITC標識ヤギ抗マウスIgGで、その後マウスモノクローナル抗ヒトDC−ASGPR抗体で染色したことを示す。図1Bは、6日間のGM/IL−4 DCを、抗DC−ASGPR mAb又は対照mAb(1〜2ug/ml)でコーティングされたプレートで、16〜18時間培養したことを示す。細胞は、蛍光染料で標識された抗CD86及びHLA−DR抗体で染色した。ヒストグラム中の白色バー及び黒色バーは、それぞれアイソタイプ対照mAb及び抗レクチンmAbで活性化された細胞を表す。図1Cは、6日間のGM/IL−4 DCを、mAbでコーティングされたプレートで12時間培養し、方法の項で説明したように、RNA単離及びAffymetrix社製Gene Chip解析に供したことを示す。抗レクチンmAbによる遺伝子発現の倍増を、対照mAbで刺激されたDCにおける遺伝子発現レベルと比較した。図1Dは、図1Bで示された実験に由来する培養上清中のサイトカイン及びケモカインを、Luminexにより測定したことを示す。図1Eは、6日間のGM/IL−4 DCを、50ng/mlの可溶性CD40Lの存在下又は非存在下で、mAbでコーティングされたプレートで16〜18時間培養し、その後抗CD83抗体で染色したことを示す。図1Eで示された実験に由来する培養上清中のサイトカイン及びケモカインを、Luminexにより測定した。示された結果は、異なる正常供与体に由来する細胞を使用した3回の独立した実験を表す。
【図2A−2D】DC上に発現したDC−ASGPRが、体液性免疫応答の増強に寄与することを示す図である。5×10個/ウェルの6日間のGM/IL−4 DCを、抗DC−ASGPR mAb又は対照mAbでコーティングされた96ウェルプレートで16〜18時間インキュベートし、その後CFSEで染色された1×10個の自己CD19B細胞を、20単位/mlのIL−2及び50nMのCpGの存在下で共培養した。図2Aは、蛍光性標識抗体で染色された6日目の細胞のFACSである。CD3及び7−AAD細胞はゲートをかけて除外した。FACSソーターによりCD38及びCFSE細胞を精製し、ギムザ染色を実施した。図2Bは、全IgM、IgG、及びIgMについて、13日目の培養上清をサンドイッチELISAにより分析したことを示す。図1Cは、5感染多重度(moi、multiplicity of infection)の加熱不活性化インフルエンザウィルス(PR8)でDCをパルスし、B細胞と共に培養したことを示す。13日目に、インフルエンザ特異的免疫グロブリン(Ig)について培養上清を分析した。図1Dは、細胞表面APRILの発現については、抗DC−ASGPR mAb又は対照mAbで培養されたDCを染色し、可溶性APRILについては、上清をアッセイしたことを示す。
【図3A−3D】B細胞上におけるDC−ASGPRの細胞表面発現が、B細胞活性化及び免疫グロブリン産生に寄与することを示す図である。図3Aは、バフィーコートに由来するPBMCを、抗CD19、抗CD3、及び抗DC−ASGPRmAb又は対照mAbで染色したことを示す。CD19及びCD3細胞にゲートをかけ、CD19B細胞上の分子の発現レベルをフローサイトメトリーにより測定した。図3Bは、バフィーコートに由来するCD19細胞を、mAbでコーティングされたプレートで12時間培養し、方法の項で説明したように、RNA単離及びAffymetrix社製Gene Chip解析に供したことを示す。抗DC−ASGPR mAbによる遺伝子発現の倍増を、対照mAbで刺激されたCD19B細胞における遺伝子発現レベルと比較した。図3Cは、CD19B細胞を、mAbでコーティングされたプレートで16〜18時間培養し、その後サイトカイン及びケモカインについて、培養上清をLuminexにより分析したことを示す。図3Dは、1×10個のCD19B細胞を、mAbでコーティングされたプレートで13日間培養したことを示す。全Igレベルは、ELISAにより測定した。データは、3つの異なる正常供与体に由来する細胞を使用した2回の繰り返し実験を表す。
【図4A−4D】精製された同種異系T細胞の増殖が、DC−ASGPRに特異的なmAbで刺激されたDCにより著しく増強されたことを示す図である。
【図5】ある種の抗DC−ASGPR mAbがDCを活性化できることを示す図である。GM−CSF/IL−4。12種の純粋な抗ASGPR mAbパネルの1つと共に、DCを24時間インキュベートした。その後、細胞表面CD86(DC活性化マーカー)の発現については細胞を試験し、分泌されたサイトカインについては上清をアッセイした。抗ASGPR mAbパネルからの3種のmAb(36、38、43)が、DCを活性化した。
【図6】異なる抗原がDC−ASGPR rAbと関連して発現され得ることを示す図である。そのような抗DC−ASGPR rAb.Docタンパク質を、任意のコヒーシン.融合タンパク質と単に混合して、rAb.融合タンパク質と全く同様に機能する、安定した非共有結合性[rAb.Doc:Coh.fusion]複合体を構築することができる。
【図7】GM−CSF/IFNa DC(5,000個/ウェル)を、10nM又は1nMの抗DC−ASGPR.Doc:Coh.インフルエンザM1、又はhIgG4.Doc:Coh.インフルエンザM1複合体で負荷した。6時間後、自己CD8T細胞(200,000個/ウェル)を培養液に添加した。8日目に、HLA−A201免疫優性ペプチドに特異的なTCRを保持する細胞の増殖について、CD8T細胞を分析した。内部の囲みは、四量体特異的CD8T細胞のパーセンテージを示す。
【図8】様々な抗体とサルASGPRとの交差反応性を実証した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の種々の実施形態の作製及び使用について以下に詳細に論じるが、本発明は、多様な特定の場面で具体化できる多数の適用可能な発明概念を提供することを理解されたい。本明細書で論じる特定の実施形態は、本発明を作製及び使用する特定の方法を例示するに過ぎず、本発明の範囲の境界を定めるものではない。
【0016】
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語を以下で定義する。本明細書で定義する用語は、本発明に関係する分野の当業者により一般的に理解される意味を有する。「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」などの用語は、単一の実体のみを指すのではなく、その特定の例を例示で使用できる一般的な種類を含む。本明細書の用語は、本発明の特定の実施形態を記述するために使用されるが、それらの使用は、特許請求の範囲で大要を記載しているのを除いて、本発明の境界を定めるものではない。
【0017】
樹状細胞(DC、dendritic cell)は、抗原特異的免疫の調節に重要な役割を果たす抗原提示細胞である(Mellman and Steinman 2001)、(J. Banchereau et al., Annu Rev Immunol 18, 767 (2000))、(Cella, Sallusto et al. 1997)。DCは、抗原を捕捉し、それらをペプチドへとプロセシングし、T細胞にこれらを提示する。したがって、抗原をDCに直接送達することは、ワクチンを改善するための重点領域である。そのような例の1つは、その後患者に再投与される自己DCへの生体外抗原負荷を使用した、DCに基づくワクチンの開発である(Banchereau, Schuler-Thurner et al. 2001)、(Steinman and Dhodapkar 2001)。ワクチン効能を改善するための別の戦略は、内部移行化DC特異的受容体に対する抗体に結合した抗原をDCに特異的にターゲッティングすることである。ワクチン接種のためにDCをターゲッティングする可能性は、重要なマウス研究により強調されている。インビボでは、オバルブミン(OVA)に結合した抗LOX−1mAbを用いたターゲッティングにより、MHCクラスI経路に向けた外来性抗原交差提示を介して、防御的なCD8T細胞応答が誘導された(Y. Delneste et al., Immunity 17, 353 (Sep, 2002))。また、抗DEC205mAbに結合したOVAは、CD40L成熟刺激と組み合わせると、DCによるMHCクラスI拘束性提示をインビボで増強し、エフェクターメモリーCD8T細胞の持続的形成に結びついた(Bonifaz, Bonnyay et al. 2004)。これらの研究は両方とも、劇的な用量節約(つまり、非常に低い抗原用量での強力な免疫応答)を示し、他のタイプのOVA免疫で通常認められるよりも広範な応答を示唆した。HIV gag抗原をDEC205を介してDCにターゲッティングする最近の研究では、これらの概念が臨床的に関連する抗原に拡張され、抗原のDCへのターゲッティングの基本特性、すなわち劇的な用量節約、単回ワクチン接種による防御的応答、並びにCD8及びCD4の両区画における抗原特異的T細胞の増殖が確認された(Trumpfheller, Finke et al. 2006)。
【0018】
本発明は、制御された多変量的な様式で、複数の抗原又はタンパク質(一次mAbから独立して工学的に作製され、発現され、精製された)の1つの単一の一次組換えmAbとの複合体形成を提供する。現在、異なるタンパク質(各々は別々に工学的に作製され、ストレプトアビジンに連結される)を、1つの一次mAbに付加することをもたらす部位特異的なビオチン化部位を工学的に作製するための方法が存在する。しかしながら、本発明は、一定の等モル比率及び位置に、別々に工学的に作製されたタンパク質の複数の組合せを一次mAbに付加することを提供する。
【0019】
本明細書で使用される場合、「モジュール型rAb担体」という用語は、多様な抗原、活性化タンパク質、又は他の抗体の、単一の組換えモノクローナル抗体(mAb、monoclonal antibody)への、制御されたモジュール付加をもたらすのに工学的に作製された、組換え抗体系を示すのに使用される。rAbは、標準的なハイブリドーマ技術、組換え抗体ディスプレイ、及びヒト化モノクローナル抗体などを使用して作製されたモノクローナル抗体でありえる。モジュール型rAb担体は、例えば、複数の抗原及び/又は抗原及び活性化サイトカインを樹状細胞(DC)にターゲッティングするのに(内部移行する受容体、例えばヒト樹状細胞受容体に対する1つの一次組換え抗体を介して)使用できる。モジュール型rAb担体は、制御及び規定された方法で、2つの異なる組換えmAbを端と端とで連結するためにも使用できる。
【0020】
「モジュール型rAb担体」の抗原結合部分は、1又は複数の可変ドメイン、1又は複数の可変及び第1の定常ドメイン、Fab断片、Fab’断片、F(ab)断片、及びFv断片、並びに同系統のモジュール型結合部分がアミノ酸配列に付加及び/又は結合されたFcドメインの一部を有するFabc断片及び/又はFab断片であり得る。モジュール型rAb担体に使用するための抗体は、任意のアイソタイプ又はクラス、サブクラス又は任意の供給源(動物及び/又は組換え)由来であり得る。
【0021】
1つの非限定的な例では、モジュール型rAb担体は、工学的に作製された組換えmAbと関連して、特定の規定されたタンパク質複合体を作製するための1又は複数のモジュール型コヒーシン−ドックリンタンパク質ドメインを有するように工学的に作製される。mAbは、mAbの抗原結合ドメインに由来する1又は複数のモジュール型コヒーシン−ドックリンタンパク質ドメインのカルボキシを含む融合タンパク質の一部である。コヒーシン−ドックリンタンパク質ドメインは、例えば、化学的架橋剤及び/又はジスルフィド結合を使用することにより、翻訳後でも結合させることができる。
【0022】
「抗原」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原の受容個体において体液性及び/又は細胞性免疫応答を開始できる分子を指す。抗原は、本発明では2つの異なる場面で使用され得る:抗体若しくはrAbの他の抗原認識ドメインの標的として、或いはモジュール型rAb担体に相補的なドックリン/コヒーシン分子の一部として、細胞若しくは標的に及び/又は細胞若しくは標的内にrAbにより運搬される分子としてである。抗原とは、通常、ワクチン接種が有利な治療となる疾患を引き起す作用物質である。抗原がMHC上に提示される場合、ペプチドは約8個〜25個のアミノ酸であることが多い。抗原には、例えば、単純な中間代謝産物、糖類、脂質、及びホルモン、並びに複合炭水化物、リン脂質、核酸、及びタンパク質などの高分子を含む任意のタイプの生体分子が含まれる。一般的な抗原の分類には、それらに制限されないが、ウィルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、原生動物及び他の寄生虫抗原、腫瘍抗原、自己免疫性疾患、アレルギー、及び移植片拒絶反応に関与する抗原、並びに他の様々な抗原が含まれる。
【0023】
モジュール型rAb担体は、任意の数の活性作用物質、例えば抗生物質、抗感染症薬、抗ウィルス剤、抗腫瘍剤、下熱剤、鎮痛剤、抗炎症剤、骨粗鬆症治療剤、酵素、サイトカイン、抗凝血剤、ポリサッカリド、コラーゲン、細胞、及び複数の先述した活性作用物質の組合せを運搬できる。本発明を使用して送達する抗生物質の例には、限定されないが、テトラサイクリン、アミノグリコシド、ペニシリン、セファロスポリン、スルホンアミド薬物、コハク酸クロラムフェニコールナトリウム、エリスロマイシン、バンコマイシン、リンコマイシン、クリンダマイシン、ナイスタチン、アムホテリシンB、アマンチジン(amantidine)、イドクスウリジン、p−アミノサリチル酸、イソニアジド、リファンピン、アンチノマイシンD(antinomycin D)、ミトラマイシン、ダウノマイシン、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、プロカルバジン、及びイミダゾールカルボキサミドなどが含まれる。
【0024】
本発明を使用して送達する抗腫瘍作用物質の例には、限定されないが、ドキソルビシン、ダウノルビシン、タキソール、及びメトトレキサートなどが含まれる。下熱剤及び鎮痛剤の例には、アスピリン、モトリン(登録商標)、イブプロフェン(登録商標)、ナプロシン(naprosyn)、及びアセトアミノフェンなどが含まれる。
【0025】
本発明を使用して送達する抗炎症剤の例には、限定されないが、NSAID、アスピリン、ステロイド、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、及びジクロフェナクNaなどが含まれる。
【0026】
本発明を使用して送達する、骨粗鬆症を治療するための治療剤並びに骨及び骨格に作用する他の因子の例には、限定されないが、カルシウム、アレンドロネート、骨GLaペプチド、副甲状腺ホルモン及びその活性断片、ヒストンH4関連骨形成増殖ペプチド並びにその突然変異、誘導体、及び類似体が含まれる。
【0027】
本発明を使用して送達する酵素及び酵素補助因子の例には、限定されないが、パンクレアーゼ、L−アスパラギナーゼ、ヒアルロニダーゼ、キモトリプシン、トリプシン、tPA、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、パンクレアチン、コラゲナーゼ、トリプシノゲン、キモトリプシノーゲン、プラスミノーゲン、ストレプトキナーゼ、アデニルシクラーゼ、及びスーパーオキシドジスムターゼ(SOD、superoxide dismutase)などが含まれる。
【0028】
本発明を使用して送達するサイトカインの例には、限定されないが、インターロイキン、トランスフォーミング成長因子(TGF)、繊維芽細胞成長因子(FGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、上皮成長因子(EGF)、結合組織活性化ペプチド(CTAP)、骨形成因子、及びそのような成長因子の生理活性類似体、断片、及び誘導体が含まれる。サイトカインは、B/T細胞分化因子、B/T細胞成長因子、分裂促進サイトカイン、走化性サイトカイン、コロニー刺激因子、血管形成誘導因子、IFN−α、IFN−β、IFN−γ、IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL10、IL11、IL12、IL13、IL14、IL15、IL16、IL17、IL18など、レプチン、ミオスタチン、マクロファージ刺激タンパク質、血小板由来成長因子、TNF−α、TNF−β、NGF、CD40L、CD137L/4−1BBL、ヒトリンフォトキシン−β、G−CSF、M−CSF、GM−CSF、PDGF、IL−lα、IL1−β、IP−10、PF4、GRO、9E3、エリトロポエチン、エンドスタチン、アンギオスタチン、VEGF、又はそれらの任意の断片若しくは組合せであり得る。他のサイトカインには、βトランスフォーミング成長因子(例えば、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3);骨形成タンパク質(例えば、BMP−1、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、BMP−8、BMP−9);ヘパリン結合性成長因子(例えば、繊維芽細胞成長因子(FGF)、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン様成長因子(IGF));インヒビン(例えば、インヒビンA、インヒビンB);増殖分化因子(例えば、GDF−1);及びアクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB)を含めたトランスフォーミング成長因子(TGF)遺伝子スーパーファミリーのメンバーが含まれる。
【0029】
本発明を使用して送達する成長因子の例には、限定されないが、哺乳動物細胞からなどのように天然供給源又は自然供給源から単離できるか、又は組換えDNA技術若しくは種々の化学的工程によるなどのように合成的に調製できる成長因子が含まれる。加えて、これらの因子の類似体、断片、又は誘導体は、それらが天然分子の生物学的活性の少なくとも一部を示すという条件で、使用することができる。例えば、類似体は、部位特異的突然変異又は他の遺伝子工学技術により改変された遺伝子の発現により調製できる。
【0030】
本発明を使用して送達する抗凝血剤の例には、限定されないが、ワルファリン、ヘパリン、及びヒルジンなどが含まれる。本発明を使用して送達する免疫系に作用する因子の例には、限定されないが、炎症及び悪性新生物を制御する因子、並びに走化性ペプチド及びブラジキニンなどの感染性微生物を攻撃する因子が含まれる。
【0031】
ウィルス抗原の例には、これらに限定されないが、例えば、gag、pol、及びenv遺伝子の遺伝子産物、Nefタンパク質、逆転写酵素、及び他のHIV構成要素などのヒト免疫不全ウィルス(HIV、human immunodeficiency virus)抗原に由来するレトロウィルス抗原などのレトロウィルス抗原;B型肝炎ウィルスのS、M、及びLタンパク質などの肝炎ウィルス抗原、B型肝炎ウィルスのプレS抗原、及びC型肝炎ウィルスRNAなどの、他の肝炎、例えば、A、B、及びC型肝炎のウィルス成分;赤血球凝集素及びノイラミニダーゼなどのインフルエンザウィルス抗原及び他のインフルエンザウィルス成分;麻疹ウィルス融合タンパク質などの麻疹ウィルス抗原及び他の麻疹ウィルス成分;タンパク質El及びE2などの風疹ウィルス抗原及び他の風疹ウィルス成分;VP7scなどのロタウィルス抗原及び他のロタウィルス成分;エンベロープ糖タンパク質Bなどのサイトメガロウィルス抗原及び他のサイトメガロウィルス抗原成分;RSV融合タンパク質、M2タンパク質などのRSウィルス抗原及び他のRSウィルス抗原成分;前初期タンパク質、糖タンパク質Dなどの単純ヘルペスウィルス抗原、及び他の単純ヘルペスウィルス抗原成分;gpI、gpIIなどの水痘帯状ヘルペスウィルス抗原、及び他の水痘帯状ヘルペスウィルス抗原成分;タンパク質E、M−E、M−E−NS1、NS1、NS1−NS2A、80%Eなどの日本脳炎ウィルス抗原、及び他の日本脳炎ウィルス抗原成分;狂犬病糖タンパク質、狂犬病核タンパク質などの狂犬病ウィルス抗原、及び他の狂犬病ウィルス抗原成分が含まれる。ウィルス抗原の追加の例については、Fundamental Virology, Second Edition, eds. Fields, B. N. and Knipe, D. M.(Raven Press, New York, 1991)を参照されたい。
【0032】
本発明のrAb−DC/DC−抗原ワクチンを使用して送達できる抗原標的には、ウィルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、又は寄生虫抗原などの抗原をコードする遺伝子が含まれる。ウィルスには、ピコルナウィルス、コロナウィルス、トガウィルス、フラビルウィルス(flavirvirus)、ラブドウィルス、パラミクソウィルス、オルトミクソウィルス、ブンヤウィルス、アレナウィルス、レオウィルス、レトロウィルス、パピロマウィルス(papilomavirus)、パルボウィルス、ヘルペスウィルス、ポックスウィルス、ヘパドナウィルス、及び海綿状ウィルス(spongiform virus)が含まれる。他のウィルス標的には、インフルエンザ、単純ヘルペスウィルス1及び2、麻疹、デング熱、天然痘、ポリオ、又はHIVが含まれる。病原体には、トリパノソーマ、サナダムシ、円虫、蠕虫、マラリアが含まれる。胎児性抗原又は前立腺特異的抗原などの腫瘍マーカーは、このような方法でターゲッティングできる。他の例には、HIV envタンパク質及びB型肝炎表面抗原が含まれる。ワクチン接種を目的とした本発明によるベクター投与には、ベクター関連抗原が、導入遺伝子の長期発現を可能にするのに十分なほど非免疫原性であることが必要とされ、強力な免疫応答がそのために望まれよう。幾つかの場合には、個体のワクチン接種が、年に1回又は2年に1回のように低頻度でしか必要とされず、感染物質に対して長期的な免疫学的防御を提供できる。ベクターにおいて及び最終的には抗原として本発明と共に使用するための生物、アレルゲン、並びに核酸及びアミノ酸配列の特定の例は、米国特許第6,541,011号明細書、参照により本明細書中に組み込まれた関連部分、特に本発明と共に使用できる生物及び特異的配列と一致する表に見出すことができる。
【0033】
本明細書中で開示されたrAbワクチンと共に使用するための細菌抗原には、これらに限定されないが、例えば、百日咳トキシン、線維状赤血球凝集素、パータクチン、FIM2、FIM3、アデニル酸シクラーゼなどの細菌抗原、及び他の百日咳細菌抗原成分;ジフテリアトキシン又はトキソイドなどのジフテリア細菌抗原、及び他のジフテリア細菌抗原成分;破傷風トキシン又はトキソイドなどの破傷風細菌抗原、及び他の破傷風細菌抗原成分;Mタンパク質のなどの連鎖球菌細菌抗原、及び他の連鎖球菌細菌抗原成分;リポポリサッカリドなどのグラム陰性桿菌細菌抗原及び他のグラム陰性細菌抗原成分、ミコール酸、熱ショックタンパク質65(HSP65、heat shock protein 65)、30kDaの主要分泌タンパク質、抗原85Aなどのマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)細菌抗原、及び他のマイコバクテリウム抗原成分;ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)細菌抗原成分;ニューモリシン、肺炎球菌カプセルポリサッカリドなどの肺炎球菌細菌抗原、及び他の肺炎球菌細菌抗原成分;カプセルポリサッカリドなどのヘモフィルスインフルエンザ細菌抗原、及び他のヘモフィルスインフルエンザ細菌抗原成分;炭疽菌防御抗原などの炭疽菌細菌抗原、及び他の炭疽菌細菌抗原成分;rompAなどのリケッチア細菌抗原、及び他のリケッチア細菌抗原成分が含まれる。また、本明細書中に記載された細菌抗原と共に、任意の他の細菌抗原、マイコバクテリア抗原、マイコプラズマ抗原、リケッチア抗原、又はクラミジア抗原が含まれる。部分的又は全体的な病原体は、ヘモフィルスインフルエンザ;熱帯熱マラリア原虫;ナイセリア・メニンギティディス(neisseria meningitidis);ストレプトコッカス・ニューモニエ(streptococcus pneumoniae);ナイセリア・ゴノロエエ(neisseria gonorrhoeae);サルモネラ血清型チフス;赤痢菌;ビブリオ・コレラエ(vibrio cholerae);デング熱;脳炎;日本脳炎;ライム病;エルシニア・ペスチス(Yersinia pestis);西ナイルウィルス;黄熱病;野兎病;肝炎(ウィルス性;細菌性);RSV(RSウィルス、respiratory syncytial virus);HPIV1及びHPIV3;アデノウィルス;天然痘;アレルギー並びに癌であってもよい。
【0034】
本発明の組成物及び方法で使用するための真菌抗原には、これらに限定されないが、例えば、カンジダ真菌抗原成分;熱ショックタンパク質60(HSP60、heat shock protein 60)などのヒストプラスマ真菌抗原、及び他のヒストプラスマ真菌抗原成分;カプセルポリサッカリドなどのクリプトコッカス真菌抗原、及び他のクリプトコッカス真菌抗原成分;小球抗原などのコクシジオデス(coccidiodes)真菌抗原、及び他のコクシジオデス真菌抗原成分;並びにトリコフィチンなどの白癬真菌抗原、及び他のコクシジオデス真菌抗原成分が含まれる。
【0035】
原生動物抗原及び他の寄生虫抗原の例には、これらに限定されないが、例えば、メロゾイド表面抗原、スポロゾイト表面抗原、スポロゾイド周囲抗原、生殖母細胞/生殖体表面抗原、血液期抗原pf155/RESAなどの熱帯熱マラリア原虫抗原、及び他のマラリア原虫抗原成分;SAG−1、p30などのトキソプラズマ抗原、及び他のトキソプラズマ抗原成分;グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、パラミオシンなどの住血吸虫抗原、及び他の住血吸虫抗原成分;gp63、リポホスホグリカン及びその関連タンパク質などの森林型熱帯リーシュマニア及び他のリーシュマニア抗原性成分、及び他のリーシュマニア抗原成分;並びに75〜77kDa抗原、56kDa抗原などのクルーズトリパノソーマ(trypanosoma cruzi)抗原、及び他のトリパノソーマ抗原成分が含まれる。
【0036】
本発明のrAbを使用してターゲッティングできる抗原は、一般的に、内部移行の可能性、免疫細胞特異性のレベル、ターゲッティングされる免疫細胞のタイプ、免疫細胞の成熟及び/又は活性化のレベルなどを含む、多数の因子に基づき選択される。樹状細胞の細胞表面マーカーの例には、それらに限定されないが、MHCクラスI、MHCクラスII、B7−2、CD18、CD29、CD31、CD43、CD44、CD45、CD54、CD58、CD83、CD86、CMRF−44、CMRF−56、DCIR及び/又はASPGRなどが含まれ、一方で幾つかの場合には、CD2、CD3、CD4、CD8、CD14、CD15、CD16、CD19、CD20、CD56、及び/又はCD57の非存在も示す。抗原提示細胞の細胞表面マーカーの例には、それらに限定されないが、MHCクラスI、MHCクラスII、CD40、CD45、B7−1、B7−2、IFN−γ受容体及びIL−2受容体、ICAM−1及び/又はFcγ受容体が含まれる。T細胞の細胞表面マーカーの例には、それらに限定されないが、CD3、CD4、CD8、CD14、CD20、CD11b、CD16、CD45、及びHLA−DRが含まれる。
【0037】
送達用の細胞表面上の標的抗原には、典型的には腫瘍組織の細胞の細胞表面、細胞質、核、及び細胞小器官などに由来する腫瘍抗原に特徴的なものが含まれる。本発明の抗体部分に対する腫瘍標的の例には、限定されないが、白血病及びリンパ腫などの血液癌、星状細胞腫又は膠芽腫などの神経性腫瘍、黒色腫、乳癌、肺癌、頭頸部癌、胃癌又は結腸癌などの消化管腫瘍、肝臓癌、膵臓癌、頚部、子宮、卵巣癌、膣癌、精巣癌、前立腺癌、又は陰茎癌などの尿生殖器腫瘍、骨腫瘍、血管腫瘍、又は口唇、鼻咽腔、咽頭及び口腔の癌、食道、直腸、胆嚢、胆管系、喉頭、肺及び気管支、膀胱、腎臓、脳、及び神経系の他の部分、甲状腺、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、及び白血病が含まれる。
【0038】
本発明を使用した抗原提示のために、単独で又は組合せで免疫細胞に送達できる抗原の例には、腫瘍タンパク質、例えば、変異癌遺伝子;腫瘍に関連したウィルスタンパク質;並びに腫瘍ムチン及び糖脂質が含まれる。腫瘍に関連したウィルスタンパク質であり得る抗原は、上記したクラスのウィルス由来のものとなる。ある種の抗原は、腫瘍の特徴であり得るか(サブセットの1つは、通常は腫瘍前駆細胞によって発現されないタンパク質である)、又は腫瘍前駆細胞で通常発現されるが、腫瘍の突然変異特徴を有するタンパク質であり得る。他の抗原には、変化した活性又は細胞内分布、例えば腫瘍抗原を生じさせる遺伝子の突然変異を有する、正常なタンパク質の突然変異変異体(複数可)が含まれる。
【0039】
腫瘍抗原の非限定的な特定の例には、CEA、前立腺特異的抗原(PSA、prostate specific antigen)、HER−2/neu、BAGE、GAGE、MAGE1〜4、6、及び12、MUC(ムチン)(例えば、MUC−1、MUC−2など)、GM2及びGD2ガングリオシド、ras、myc、チロシナーゼ、MART(黒色腫抗原)、Pmel17(gp100)、GnT−VイントロンV配列(N−アセチルグルコアミニルトランスフェラーゼVイントロンV配列)、前立腺Ca psm、PRAME(黒色腫抗原)βカテニン、MUM−1−B(黒色腫遍在性変異遺伝子産物、melanoma ubiquitous mutated gene product)、GAGE(黒色腫抗原)1、BAGE(黒色腫抗原)2〜10、c−ERB2(Her2/neu)、EBNA(エプスタイン−バーウィルス核抗原、Epstein-Barr Virus nuclear antigen)1〜6、gp75、ヒト乳頭腫ウィルス(HPV、human papilloma virus)E6及びE7、p53、肺耐性タンパク質(LRP、lung resistance protein)、Bcl−2、並びにKi−67が含まれる。加えて、免疫原性分子は、自己免疫性疾患の開始及び/又は伝播に関与する自己抗原であり得、その病態は、関連する標的器官、組織、又は細胞により発現される分子、例えばSLE又はMGに特異的な抗体の活性に主として起因する。そのような疾患では、関連自己抗原に対する進行中の抗体媒介性(つまり、Th2型)免疫応答を、細胞性(つまり、Th1型)免疫応答に向けることが望ましい場合がある。或いは、適切な自己抗原に対するTh1型応答を予防的に誘導することにより、関連する自己免疫疾患を有しないが感受性があることが疑われる対象体における自己抗原に対するTh2型応答の開始を予防又はそのレベルを減少させることが望ましい場合がある。所望の自己抗原には、限定されないが、(a)SLEに関しては、Smithタンパク質、RNPリボ核タンパク質、並びにSS−A及びSS−Bタンパク質;並びに(b)MGに関しては、アセチルコリン受容体が含まれる。1又は複数のタイプの自己免疫応答に関与する他の様々な抗原の例には、例えば、黄体形成ホルモン、濾胞刺激的ホルモン、テストステロン、成長ホルモン、プロラクチンなどの内因性ホルモン、及び他のホルモンが含まれる。
【0040】
自己免疫性疾患、アレルギー、及び移植片拒絶に関与する抗原が、本発明の組成物及び方法において使用できる。例えば、以下の自己免疫性疾患又は障害の1又は複数に関与する抗原が、本発明において使用できる:糖尿病、真性糖尿病、関節炎(関節リウマチ及び若年性関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎を含む)、多発性硬化症、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、自己免疫性甲状腺炎、皮膚炎(アトピー性皮膚炎及び湿疹性皮膚炎を含む)、乾癬、シェーグレン症候群に続いて起こる乾性角結膜炎を含むシェーグレン症候群、円形脱毛症、節足動物咬傷反応によるアレルギー反応、クローン病、アフタ性潰瘍、虹彩炎、結膜炎、角結膜炎、潰瘍性大腸炎、喘息、アレルギー性喘息、皮膚エリテマトーデス、強皮症、膣炎、直腸炎、薬疹、らい病反転反応、らい性結節性紅斑、自己免疫性ブドウ膜炎、アレルギー性脳脊髄炎、急性壊死性出血性脳障害、特発性両側性進行性感音性聴力損失、再生不良性貧血、赤芽球ろう、特発性血小板減少症、多発性軟骨炎、ヴェーゲナー肉芽腫症、慢性活動性肝炎、スティーブンズ−ジョンソン症候群、特発性スプルー、扁平苔癬、クローン病、グレーブス眼症、サルコイドーシス、原発性胆汁性肝硬変症、後部ブドウ膜炎、及び間質性肺線維症。自己免疫性疾患に関与する抗原の例には、グルタミン酸脱炭酸酵素65(GAD65、glutamic acid decarboxylase 65)、天然DNA、ミエリン塩基性タンパク質、ミエリンプロテオリピドタンパク質、アセチルコリン受容体構成要素、サイログロブリン、及び甲状腺刺激ホルモン(TSH、thyroid stimulating hormone)受容体が含まれる。アレルギーに関与する抗原の例には、スギ花粉抗原、ブタクサ花粉抗原、ライグラス花粉抗原などの花粉抗原、イエダニ抗原及びネコ抗原などの動物由来抗原、組織適合抗原、並びにペニシリン及び他の治療薬が含まれる。移植片拒絶に関与する抗原の例には、心臓、肺、肝臓、膵臓、腎臓、及び神経移植片構成要素などの移植片受容物に移植される移植片の抗原性構成要素が含まれる。抗原は、自己免疫疾患の治療に有用な改変ペプチドリガンドであり得る。
【0041】
本明細書中で使用される場合、「エピトープ(複数可)」という用語は、病原体DNA又はRNAによりコードされた、多数の病原体ポリペプチドのいずれか内に位置する、エピトープに類似した一次、二次、又は三次構造を含むペプチド又はタンパク質抗原を指す。類似性のレベルは、一般的に、そのようなポリペプチドに対するモノクローナル又はポリクローナル抗体もまた、ペプチド又はタンパク質抗原に結合、反応、又はその他の方法で認識する程度となる。例えばウェスタンブロッティング、ELISA、及びRIAなどのような種々のイムノアッセイ法が、そのような抗体と共に使用でき、それらのすべては当業者に公知である。ワクチンに使用するために好適な病原体エピトープ、及び/又はそれらの機能的な等価物の同定は、本発明の一部である。いったん単離及び同定されれば、機能的な等価物は容易に取得できる。例えば、親水性に基づいてアミノ酸配列からエピトープを同定及び調製することを教示する、参照により本明細書中に組み込まれた米国特許第4,554,101号明細書において教示されているHoppの方法が使用できる。他の幾つかの文献に記載された方法、及びそれらに基づくソフトウェアプログラムを使用して、エピトープコア配列を同定することもできる(例えば、Jameson and Wolf, 1988;Wolf et al., 1988;米国特許第4,554,101号明細書を参照)。これらの「エピトープコア配列」のアミノ酸配列は、その後、ペプチド合成又は組換え技術のいずれかを適用することにより、ペプチドに容易に組み込むことができる。
【0042】
有効成分として本発明の抗原をコードする核酸を含むワクチン組成物の調製は、液体溶液又は懸濁液のいずれかとしての注射剤として調製することができ、感染の前に液体に溶解又は懸濁するのに好適な固体形態を調製することもできる。調製物は、乳化してリポソームに封入することができる。活性免疫原成分は、薬学的に許容され、有効成分と適合する担体と混合されることが多い。
【0043】
「薬学的に許容される担体」という用語は、それが投与される対象体にアレルギー反応又は他の悪影響を引き起さない担体を指す。好適な薬学的に許容される担体には、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、又はエタノールなどの1又は複数、及びそれらの組合せが含まれる。加えて、必要に応じて、ワクチンは、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤、及び/又はワクチンの有効性を増強するアジュバントなどの少量の補助物質を含有できる。有効であり得るアジュバントの例には、それらに限定されないが、水酸化アルミニウム、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP、N-acetyl-muramyl-L-threonyl-D-isoglutamine)、N−アセチル−ノル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン、MTP−PE、及び2%のスクワレン/Tween 80エマルジョン中に、細菌から抽出された3つの成分、モノホスホリルリピドA、トレハロースジミコール酸、及び細胞壁骨格(MPL(monophosporyl lipid A)+TDM(trehalose dimycolate)+CWS(cell wall skeleton))を含有するRIBIが含まれる。アジュバントの他の例には、DDA(臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、dimethyldioctadecylammonium bromide)、フロインド完全及び不完全アジュバント、並びにQuilAが含まれる。加えて、リンホカイン(例えば、IFN−γ、IL−2、及びIL−12)などの免疫調節物質、又はポリI:Cなどの合成IFN−γ誘発因子は、本明細書中に記載のアジュバントと組み合わせて使用できる。
【0044】
医薬品には、本発明に記載されたように、血漿リポタンパク質に存在するアポリポタンパク質の特異的DNA結合部位に結合する特異的ヌクレオチド配列の単一又は複数コピーを有する裸のポリヌクレオチド(naked polynucleotide)が含まれ得る。このポリヌクレオチドは、生理活性ペプチド、アンチセンスRNA、又はリボザイムをコードしていてよく、生理学的に許容される投与可能な形態で提供されよう。本発明から生じ得る別の薬剤製品は、本明細書中に記述された方法により患者の血液又は他の供給源のいずれかから単離された高度に精製された血漿リポタンパク質画分、並びに血漿リポタンパク質に存在するアポリポタンパク質の特異的DNA結合部位に結合する特異的ヌクレオチド配列の単一又は複数コピーを含有し、生理学的に許容される投与可能な形態の精製されたリポタンパク質画分に事前に結合されたポリヌクレオチドを含み得る。
【0045】
さらに別の医薬品は、生理学的に許容される投与可能な形態の、特異的ヌクレオチド配列の単一又は複数コピーを含有するポリヌクレオチドに事前に結合された特異的DNA結合モチーフの単一又は複数コピーを含有する組換えアポリポタンパク質断片を含有する高度に精製された血漿リポタンパク質画分を含み得る。さらに別の医薬品は、生理学的に許容される投与可能な形態の、特異的ヌクレオチド配列の単一又は複数コピーを含有するポリヌクレオチドに事前に結合された特異的DNA結合モチーフの単一又は複数コピーを含有する組換えアポリポタンパク質断片を含有する高度に精製された血漿リポタンパク質画分を含み得る。
【0046】
投与される用量は、治療される対象体の体重及び健康状態、並びに投与経路及び治療の頻度に大きく依存する。高度に精製されたリポタンパク質画分に事前に結合された裸のポリヌクレオチドを含む医薬組成物は、1μgから1mgまでのポリヌクレオチド及び1μg〜100mgのタンパク質に及ぶ量で投与できる。
【0047】
rAb及びrAb複合体の投与では、患者は、化学療法剤の投与に関する一般的なプロトコールに従い、もしあれば、ベクターの毒性を考慮に入れる。治療サイクルは必要に応じて繰り返されるであろうことが予期される。記載された遺伝子治療と組み合わせて、種々の標準的治療並びに外科的介入が適用できることも企図される。
【0048】
遺伝子治療の臨床適用が企図される場合、目的の適用に適した医薬組成物として、複合体を調製することが必要となる。一般的に、これには、発熱物質並びにヒト又は動物に有害であり得るどんな他の不純物も本質的に存在しない医薬組成物を調製することが必要となろう。また、適切な塩及び緩衝液を使用して、複合体に安定性を与え、標的細胞による複雑な取り込みを可能にすることも一般に望まれる。
【0049】
本発明の水性組成物は、薬学的に許容される担体又は水性媒体に溶解又は分散された有効量の化合物を含み得る。
【0050】
そのような組成物は、接種物と呼ぶこともできる。そのような媒体及び作用物質を医薬活性物質用に使用することは、当技術分野で周知である。従来の任意の媒体又は作用物質は、有効成分と適合性がない場合を除き、治療的組成物におけるその使用が企図される。補助的な有効成分を組成物に組み込むこともできる。本発明の組成物には、古典的な医薬調製物が含まれ得る。分散剤は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物中、並びに油中で調製することもできる。通常の保管及び使用条件下では、これらの調製物は、微生物の増殖を防止するために防腐剤を含有する。
【0051】
疾患の状態。治療される特定の疾患に依存して、最大の(又は幾つかの場合では最小の)免疫応答を生じさせるための部位への抗原送達を最大化するためには、標的組織がその経路を介して入手可能である限り、本発明による治療的組成物の投与は、任意の一般的な経路を介したものとなる。投与は、一般的に、正所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、又は静脈内注射による投与となる。送達する他の区域には、経口、鼻腔、頬側、直腸、膣、又は局所が含まれる。局所投与は、皮膚癌の治療に特に有利となる。そのような組成物は、通常、生理学的に許容される担体、緩衝液、又は他の賦形剤を含む薬学的に許容される組成物として投与されよう。
【0052】
本発明のワクチン又は治療用組成物は、注射により非経口的に、例えば皮下又は筋肉内のいずれかで投与できる。他の投与方法に好適である追加的製剤には、坐剤、幾つかの場合には、経口製剤、又はエアゾール剤としての流通に好適な製剤が含まれる。経口製剤の場合、アジュバント、抗原パッケージング、又は種々の製剤への個々のサイトカインの付加を使用したT細胞サブセットの操作により、最適化された免疫応答を有する経口ワクチンの改善がもたらされる。坐剤の場合、従来の結合剤及び担体には、例えば、ポリアルキレングリコール又はトリグリセリドが含まれていてよく、そのような坐剤は、0.5%〜10%、好ましくは1%〜2%の範囲の有効成分を含有する混合物から形成され得る。経口製剤には、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプンステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、及び炭酸マグネシウムなどのような通常使用される賦形剤が含まれる。これらの組成物は、溶剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放性製剤、又は散剤の形態をとり、10%〜95%、好ましくは25〜70%の有効成分を含有する。
【0053】
本発明の核酸をコードする抗原は、中性又は塩の形態としてワクチン又は治療用組成物に製剤することができる。薬学的に許容される塩には、酸付加塩(ペプチドの遊離アミノ基と形成される)が含まれ、それらは例えば塩酸又はリン酸などの無機酸、又は酢酸、シュウ酸、酒石酸、及びマレイン酸などのような有機酸で形成される。遊離カルボキシル基と形成される塩は、例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、又は水酸化第二鉄などの無機塩基、並びにイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、及びプロカインなどの有機塩基から誘導できる。
【0054】
ワクチン又は治療用組成物は、投与製剤と適合する方法で、予防上及び/又は治療上有効であろうような量で投与される。投与される量は、例えば、抗体を合成する対象体の免疫系の能力、及び所望の防御又は治療の程度を含む、治療する対象体に依存する。好適な用量範囲は、約1mgから300mgまでの範囲、好ましくは約10mgから50mgまでの範囲などの、約0.1mgから1000mgまでの範囲を有する、1回のワクチン接種当たり数百マイクログラムのオーダーの有効成分である。初期投与及び追加免疫接種に好適な投与計画も多様であるが、初期投与に続くその後の接種又は他の投与により典型的に表される。投与に必要とされる有効成分の正確な量は、医師の判断に依存し、各対象体に特有であり得る。本発明の核酸分子又は融合ポリペプチドの治療有効量が、とりわけ、投与スケジュール、投与される抗原の単位用量、核酸分子又は融合ポリペプチドが他の治療薬と組み合わせて投与されるかどうか、受容個体の免疫状態及び健康、並びに特定の核酸分子又は融合ポリペプチドの治療的活性によって決まることは、当業者には明らかであろう。
【0055】
組成物は、単回投与スケジュール又は複数回投与スケジュールで投与することができる。複数回投与スケジュールは、ワクチン接種の主要な経過が、例えば1〜10回の別個投与、その後に、免疫応答を維持及び/又は増強するのに必要なその後の時間間隔で与えられる、例えば2回目の投与の場合は1〜4か月での他の投与、及びもし必要な場合には、数か月後の後続投与(複数可)を含むスケジュールである。防御免疫の所望のレベルを維持するためには、1〜5年、通常は3年間隔での定期的な追加免疫が望ましい。免疫の経過は、ESAT6又はST−CFと共に共培養された末梢血リンパ球(PBL、peripheral blood lymphocyte)のインビトロ増殖アッセイにより、及び初回抗原刺激を受けたリンパ球から放出されるIFN−γのレベルを測定することにより追跡できる。アッセイは、放射性ヌクレオチド、酵素、及び蛍光標識などの従来の標識を使用して実施できる。これらの技術は当業者にとって公知であり、米国特許第3,791,932号明細書、第4,174,384号明細書、及び第3,949,064号明細書に見出すことができ、関連部分は参照により組み込まれる。
【0056】
モジュール型rAb担体及び/又は結合rAb担体−(コヒーシン/ドックリン及び/又はドックリン−コヒーシン)−抗原複合体(rAb−DC/DC−抗原ワクチン)は、核酸ベクターが使用されるかどうか、最終精製タンパク質又は最終ワクチン形態が使用されるかどうかに依存して、1又は複数の「単位用量」で提供できる。単位用量は、その投与、つまり適切な経路及び治療投与計画と関連した所望の応答を生じさせるように計算された治療的組成物の所定量を含有することであると定義される。投与される量、並びに特定の経路及び製剤は、臨床技術分野における当業者の技能内である。治療される対象体、特に、対象体の免疫系の状態及び所望の防御を評価することもできる。単位用量は、単回注射として投与する必要はないが、設定された期間にわたる持続注入を含むことができる。本発明の単位用量は、DNA/kg(又はタンパク質/kg)体重によって好都合に記述することができ、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.5、1、10、50、100、1,000mg/DNA又はタンパク質/kg体重以上の間の範囲で投与される。同様に、送達されるrAb−DC/DC−抗原ワクチンの量は、約0.2から約8.0mg/kg体重まで変動し得る。したがって、特定の実施形態では、0.4mg、0.5mg、0.8mg、1.0mg、1.5mg、2.0mg、2.5mg、3.0mg、4.0mg、5.0mg、5.5mg、6.0mg、6.5mg、7.0mg、及び7.5mgのワクチンが、インビボで個体に送達できる。投与されるrAb−DC/DC−抗原の用量は、治療される対象体の体重及び健康状態、並びに投与経路及び治療の頻度に大きく依存する。リポソーム性又はウィルス性送達ベクターに事前に結合された裸のポリヌクレオチドを含む医薬組成物は、1μg〜1mgのポリヌクレオチドから1μg〜100mgのタンパク質に及ぶ量で投与できる。したがって、特定の組成物は、1μg、5μg、10μg、20μg、3.0μg、40μg 50μg、60μg、70μg、80μg、100μg、150μg、200μg、250μg、500μg、600μg、700μg、800μg、900μg、1mg、1.5mg、5mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、又は100mgのベクターに独立して結合した、約1μg、5μg、10μg、20μg、30μg、40μg、50μg、60μg、70μg、80μg、100μg、150μg、200μg、250μg、500μg、600μg、700μg、800μg、900μg、又は1,000μgの間のポリヌクレオチド又はタンパク質を含み得る。
【0057】
本発明は、インフルエンザ抗原がターゲッティングされている樹状細胞によるヒトインフルエンザ特異的T細胞の免疫刺激を測定するインビトロ細胞系で試験された。本明細書中に示された結果は、それら自身がこの系で有効でない抗原の用量での、そのような抗原特異的細胞の特異的増殖を実証する。
【0058】
本発明は、例えば、リシン、炭疽菌毒素、及びブドウ球菌Bエンテロトキシンに由来する防御抗原と複合体形成した組換えヒト化mAb(特定のヒト樹状細胞受容体に対するもの)であるモジュール型rAb担体を作製するためも使用できる。この物質の潜在的な市場は、全軍関係者のワクチン接種、及びこれらの作用物質と関連する任意の生体脅威(biothreat)に応じて大規模人口密集地に対して投与するために備蓄された保管ワクチンである。本発明は、ヒト及び動物使用の両方について、ワクチン設計一般に対する幅広い適用を有する。所望の産業には、医薬品産業及びバイオテクノロジー産業が含まれる。
【0059】
本発明は、抗原に対する強力で幅広い免疫応答を誘発する目的のために、抗原を抗原提示細胞(APC、antigen-presenting cell)に特異的にターゲッティングする(送達する)、ワクチン剤を含む組成物及び方法を含む。これらの組成物は、抗原がそれから由来した作用物質(病原体又は癌)に対する防御的又は治療的免疫応答を誘起する。加えて、本発明は、抗原提示細胞上に発現されるDC−ASGPRと呼ばれる受容体にそれらが特定的に結合することにより、直接的に又は他の作用物質と協調して、治療効果のある作用物質を生成する。
【0060】
抗体(Ab)重鎖を介して、防御抗原をコードすることが知られているか又は予想される抗原と融合した新規な組換えヒト化mAb(特定のヒト樹状細胞受容体DC−ASGPRに対する)。これらには、種々の作用物質に対するワクチン接種用の例として、インフルエンザH5N1型由来の赤血球凝集素;リシン由来の弱毒化トキシンに由来するHIV gag、炭疽菌トキシン、及びブドウ球菌Bエンテロトキシン;黒色腫抗原由来の抗原性ペプチドの「ストリング(string)」などが含まれる。本発明は、感染リスクのある又は感染した患者用の、予防的又は治療的なワクチン接種として使用できる。本発明は、ヒト及び動物使用の両方について、多数の疾患及び癌に対するワクチン接種用の幅広い適用を有する。本発明を使用できる産業には、医薬品業及びバイオテクノロジー業が含まれる。
【0061】
本発明は、ワクチン接種目的のために、抗原をAPCにターゲッティングするために使用できる。どの抗原内部移行化受容体がこの目的に最も適するかは知られていない。本発明は、この目的に関して、DC−ASGPRの特に有利な特徴について説明する。さらに、本発明は、DC−ASGPRとの結合が、免疫系を活性化して高度に予測された著しい治療上の有益性を有する点において有益であり得ることを示す。
【0062】
本発明は、ヒトDC−ASGPRに対する高親和性モノクローナル抗体の開発を含む。受容体エクトドメイン.hIgG(ヒトIgG1Fc)及びAP(ヒト胎盤アルカリホスファターゼ、human placental alkaline phosphatase)融合タンパク質を、それぞれ、マウスの免疫及びmAbのスクリーニング用に産生した。hDCIRエクトドメイン.IgG用の発現構築体は、過去に記述されており(E. E. Bates et al., J Immunol 163, 1973 (Aug 15, 1999))、分泌を指示するためにマウスSLAM(mSLAM)シグナルペプチドが使用された(Bendtsen, Nielsen et al. 2004)。hDCIRエクトドメイン.AP用の発現ベクターはPCRを使用して生成し、AP残基133〜1581位(gb|BC009647|)を増幅した一方で、近位のインフレームのXhoI部位並びに遠位のTGA終止コドン及びNotI部位を付加した。このXhoI−NotI断片は、上記のhDCIRエクトドメイン.IgGベクターのIgGコード配列を置換した。同じIg及びAPベクター系列のDC−ASGPRエクトドメイン構築体は、(bp484〜1251、gi|53832017)をコードするインサートを含有していた。DC−ASGPR融合タンパク質は、メーカーのプロトコール(1.3mlの293Fectin試薬/Lを用いた1mgの全プラスミドDNAの形質移入)に従って、FreeStyle(商標)293発現系(Invitrogen社製)を使用して産生した。rAb産生の場合、H及びL鎖をコードする等量のベクターを同時形質移入した。形質移入された細胞を3日間培養し、培養上清を回収し、新しい培地を添加して2日間インキュベーションを継続した。貯留した上清は、濾過により清澄化した。受容体エクトドメイン.hIgGは、0.1Mグリシン、pH2.7による溶出を用いたHiTrapプロテインAアフィニティクロマトグラフィーにより精製し、その後PBSに対して透析した。rAb(下記に記載の組換え抗体)は、HiTrap MabSelect(商標)カラムの使用により同様に精製した。マウスmAbは、従来の細胞融合技術により産生した。手短かに言えば、20μgの受容体エクトドメイン.hIgGFc融合タンパク質をRibiアジュバントと共に用いて、6週齢のBALB/cマウスを腹腔内的に免疫し、次いで10日後及び15日後に20μgの抗原で追加免疫した。3か月後、脾臓を採取する3日前にマウスを再び追加免疫した。或いは、30〜40日間にわたって3〜4日ごとに、Ribiアジュバント中の1〜10μgの抗原をマウスの足蹠に注射した。最終追加免疫の3〜4日後に、流入領域リンパ節を回収した。従来技術を使用して、脾臓又はリンパ節細胞に由来するB細胞を、SP2/O−Ag14細胞(Shulman, Wilde et al. 1978)に融合した。ELISAを使用し、融合パートナー単独と比較又はAPに融合した受容体エクトドメインと対比して、受容体エクトドメイン融合タンパク質について、ハイブリドーマ上清をスクリーニングした(E. E. Bates et al., J Immunol 163, 1973 (Aug 15, 1999))。その後、全長受容体cDNAをコードする発現プラスミドで一時的に形質移入された293F細胞を使用して、陽性ウェルをFACSでスクリーニングした。選択されたハイブリドーマを、CELLineフラスコ(Intergra社製)中で、単細胞クローニングし増殖させた。ハイブリドーマ上清を、等容積の1.5Mグリシン、3MNaCl、1×PBS、pH7.8と混合し、MabSelectレジンと共に回転させた。結合緩衝液でレジンを洗浄し、0.1Mグリシン、pH2.7で溶出した。2MTrisで中和した後、mAbをPBSに対して透析した。
【0063】
直接ELISAによる、精製された抗DC−ASGPRモノクローナル抗体の特徴付け。幾つかの抗DC−ASGPR mAbの相対的親和性をELISAにより決定した(つまり、DC−ASGPR.Igタンパク質をマイクロプレート表面上に固定し、(抗マウスIgG.HRP結合試薬により検出される)DC−ASGPR.Igに結合するそれらの能力について、抗体を連続用量滴定法で試験する)。この例において、PAB42及びPAB44は、他のmAbより高い親和性結合を示す。同じmAbは、マイクロプレート表面に結合されたヒトIgに有意には結合しない。これは、mAbが、DC−ASGPR.Ig融合タンパク質のDC−ASGPRエクトドメイン部分と反応することを示す(データは示さず)。
【0064】
間接ELISAによる、精製された抗DC−ASGPRモノクローナル抗体の特徴付け。次に、幾つかの抗DC−ASGPR mAbの相対的親和性をELISAにより決定した(つまり、抗DC−ASGPR mAbをマイクロプレート表面上に固定し、DC−ASGPR.AP試薬に結合するそれらの能力について、連続用量滴定法で試験する)。PAB42、PAB44、及びPAB54として列挙されたハイブリドーマ由来の上清は、他のmAbより高い親和性結合を示すことが見出された(データは示さず)。
【0065】
FACSによる抗DC−ASGPR mAbの特徴付け。細胞表面DC−ASGPRの合成を指示する発現プラスミドで形質移入された293F細胞と対比して、FACSによりmAbパネルも試験した。シグナルの平均蛍光強度は、非形質移入293F細胞と対比した類似シグナルから差し引いた。この基準では、mAbは、DC−ASGPRを保持する細胞表面に特異的に結合できる。幾つかのmAb、例えば37A7は、この点に関しては特に有利であると考えられる(データは示さず)。
【0066】
図1A〜1Dは、DC−ASGPRを介したシグナル伝達がDCを活性化することを示す。DCは、それらの活性化に依存して、誘導又は耐性のいずれかである免疫応答の結果を決定する一次免疫細胞である(J. Banchereau et al., Annu Rev Immunol 18, 767 (2000))。DC活性化におけるLLRの役割はまだ明らかではない。したがって、本発明者らは、LLR DC−ASGPRの誘発がDC活性化に帰着し得るかどうかを試験した。インビトロで3日間及び6日間培養されたGM/IL−4 DCの両方が、LOX−1、ASGPR、及びCLEC−6を発現する(図1A)。DC−ASGPRに特異的なmAbで6日間のDCを刺激し、図1Bのデータは、DC−ASGPRを介するシグナルがDCを活性化し、CD86及びHLA−DRの発現増加に帰着し得たことを示す。DC上のDC−ASGPRの誘発は、DCに由来するIL−6、MCP−1、IL−12p40、及びIL−8の産生増加にも帰着した(図1C)。他のサイトカイン及びケモカイン、TNFa、IP−10、MIP−la、及びIL−10も、DC−ASGPRを介したシグナル伝達により著しく増加し(データは示さず)、DC−ASGPRが細胞シグナルを送達してDCを活性化できることが示唆される。それと一致して、DC−ASGPR特異的mAbで刺激されたDCは、共刺激分子並びにケモカイン及びサイトカイン関連遺伝子を含む、増加したレベルの複数の遺伝子を発現した(図1D)。TLR2及びTLR4媒介性免疫細胞活性化にLLRが寄与する可能性は、過去に記述されている(T. B. Geijtenbeek et al., J Exp Med 197, 7 (Jan 6, 2003)、P. Jeannin et al., Immunity 22, 551 (May, 2005))。本発明者らは、DC−ASGPRを介したシグナルが、DCをさらに活性化するために、CD40を介したシグナルと相乗作用を示し得ることを観察した(図1E)。これが重要であるのは、LLRがインビボでのDC活性化中に共刺激分子として機能し得るためである。まとめると、図1のデータは、DC−ASGPRを介したシグナル伝達がDCを活性化することができ、DC−ASGPRが、DCを活性化するために共刺激分子として機能することを証明する。CD40−CD40L相互作用中のDC−ASGPR結合は、IL−12p70産生の劇的な増加に帰着する。
【0067】
DC−ASGPRを介して刺激されたDCは、強力な体液性免疫応答を誘導する。DCは、T細胞依存性及びT細胞非依存性B細胞応答の両方のためにシグナルを供給することにより(M. Wykes, G. MacPherson, Immunology 100, 1 (May, 2000)、M. Balazs, F. Martin, T. Zhou, J. Kearney, Immunity 17, 341 (Sep, 2002)、T. Kikuchi, S. Worgall, R. Singh, M. A. Moore, R. G. Crystal, Nat Med 6, 1154 (Oct, 2000)、B. Dubois et al., J Leukoc Biol 66, 224 (Aug, 1999))、及びB細胞に抗原を移動させることにより(H. Qi, J. G. Egen, A. Y. Huang, R. N. Germain, Science 312, 1672 (Jun 16, 2006)、A. Bergtold, D. D. Desai, A. Gavhane, R. Clynes, Immunity 23, 503 (Nov, 2005))、体液性免疫応答において重要な役割を果たす。DCに加えて、第3のシグナルとしてのTLR9を介したシグナル伝達は、効率的なB細胞応答のために必要である(C. R. Ruprecht, A. Lanzavecchia, Eur J Immunol 36, 810 (Apr, 2006)、N. L. Bernasconi, E. Traggiai, A. Lanzavecchia, Science 298, 2199 (Dec 13, 2002))。
【0068】
したがって、本発明者らは、TLR9リガンド、CpGの存在下で、DC媒介性体液性免疫応答におけるDC−ASGPRの役割を試験した。6日間のGM/IL−4 DCを抗DC−ASGPR mAbで刺激し、その後、精製されたB細胞を共培養した。図2Aで示されるように、抗DC−ASGPR mAbで活性化されたDCは、対照mAbで刺激されたDCと比較して、著しく増強されたB細胞増殖(CFSE希釈)及び形質細胞分化(CD38CD20)に帰着した。CD38CD20B細胞は、形質細胞の典型的な形態を有するが、それらはCD138を発現しない。大多数の増殖細胞は、CCR2、CCR4、CCR6、又はCCR7を発現しなかった。産生された全免疫グロブリン(Ig)の量は、ELISAにより測定された(図2B)。図2Aのデータと一致して、抗DC−ASGPRで刺激されたDCと共に培養されたB細胞は、全IgM、IgG、及びIgA産生の著しい増加に帰着した。全Igに加えて、本発明者らは、B細胞によるインフルエンザウィルス特異的IgM、IgG、及びIgAの産生については、DC−ASGPRの誘発により活性化されたDCが、対照mAbで刺激されたDCより強力であることも観察し(図2C)、これは、DC−ASGPR媒介性DC活性化が、全液性免疫応答及び抗原特異的体液性免疫応答の両方に寄与することを示唆した。本発明者らは、生体外抗原提示細胞(APC)におけるDC−ASGPRの、体液性免疫応答における役割を試験した。CD19及びCD14細胞を含む、PBMCのAPCの一部は、DC−ASGPRを発現する(追加図2)。バフィーコート由来のPBMCを、抗DC−ASGPR mAbでコーティングされたプレートで培養し、全Ig及びB細胞増殖を測定した。DCから生成されたデータ(図2A)と一致して、DC−ASGPRを介して刺激されたAPCは、TLR9リガンドの非存在下(図2dの上パネル)又は存在下で(図2Dの下パネル)、増強されたB細胞増殖及び形質細胞分化に帰着した。DC−ASGPRに対するmAbでコーティングされたプレートでPBMCを培養した際、全IgM、IgG、及びIgAも著しく増加した(図2e)。図1に示されたように、DC−ASGPRを介したシグナル伝達により活性化されたDCは、表現型を成熟させ、大量の炎症性サイトカイン及びケモカインを産生し、成熟したDC表現型及びDC由来の可溶性因子の両方は、B細胞応答の増強に寄与できた(図2)。しかしながら、DC由来Bリンパ球刺激タンパク質(BLyS、BAFF)及び増殖誘導性リガンド(APRIL、)は、DCがそれによりヒトB細胞の増殖及び機能を直接的に調節し得る重要な分子でもある(P. A. Moore et al., Science 285, 260 (Jul 9, 1999)、J. A. Gross et al., Nature 404, 995 (Apr 27, 2000)、A. Craxton, D. Magaletti, E. J. Ryan, E. A. Clark, Blood 101, 4464 (Jun 1, 2003)、I. MacLennan, C. Vinuesa, Immunity 17, 235 (Sep, 2002))。したがって、本発明者らは、DC−ASGPRを介したシグナルがBLyS及びAPRILの発現レベルを変化させ得るかどうかを試験した。図2dのデータは、DC−ASGPRを介して刺激されたDCが、増加したレベルの細胞内APRIL及び分泌APRILを発現したが、BLySは発現しなかったことを示す(示さず)。混合培養液におけるB細胞上のBLyS及びAPRIL受容体の発現レベルを測定したが、著しい変化はなかった(示さず)。
【0069】
DC−ASGPRは、B細胞活性化及びIg産生に寄与する。CD19B細胞は、DC−ASGPRを発現する(図3A)。したがって、本発明者らは、B細胞活性化におけるDC−ASGPRの役割を試験した。図3Bのデータは、DC−ASGPRを介して刺激されたB細胞が、著しく高い量のケモカインを産生したことを示す。IL−8及びMIP−1aに加えて、抗DC−ASGPR mAbでB細胞を刺激した際、対照mAbと比較してIL−6及びTNFαのわずかな増加も観察された。細胞活性化と関連する遺伝子も上方調節された(図3C)。B細胞は、DC−ASGPRを介して刺激されるとIgM、IgG、及びIgAを産生し(図3D)、DC−ASGPRが、インビボでの正常な免疫グロブリンレベルの維持に重要な役割を果たし得ることが示唆される。しかしながら、DC−ASGPRを介したシグナル伝達だけでは、著しいB細胞増殖を誘導しなかった。
【0070】
T細胞応答におけるDC−ASGPRの役割。DC−ASGPRを介して刺激されたDCは、増強されたレベルの共刺激分子を発現、増加した量のサイトカイン及びケモカインを産生し(図1を参照)、DC−ASGPRが、細胞性免疫応答と同様に体液性免疫応答にも寄与することを示唆する。これは、混合リンパ球反応(MLR、mixed lymphocyte reaction)により試験された。精製された同種異系T細胞の増殖は、DC−ASGPRに特異的なmAbで刺激されたDCにより著しく増強された(図4A)。DC−ASGPRを介して活性化されたDCは、対照mAbで刺激されたDCよりも効率的に、Mart−l特異的CD8T細胞を初回抗原刺激することもできた(図4Bの上パネル)。より重要なことに、DC−ASGPRを介したシグナル伝達は、DCがMark−1ペプチドをCD8T細胞に交差初回抗原刺激することを可能にした(図4Bの下パネル)。これは、DC−ASGPRがDC機能の増強に重要な役割を果たし、CD8T細胞に対する抗原のより良好な初回抗原刺激及び交差初回抗原刺激に帰着することを示す。T細胞応答の活性化の際にPBMC中の混合APC上に発現されたDC−ASGPRの役割は、DC−ASGPRに対するmAbで刺激されたPBMCが、対照mAbで刺激されたDCと比較して、インフルエンザM1四量体特異的CD8T細胞の頻度増加に帰着したことを示す図4Cに示されている。この増強された抗原特異的CD8T細胞応答は、図4Dのデータにより支持されて、DC−ASGPRを介して刺激されたDCが、CD4T細胞増殖を著しく増加させることを示す。
【0071】
材料及び方法
抗体及び四量体:アイソタイプ対照Abを含む、DC及びB細胞の表面染色用の抗体(Ab)は、BD Biosciences社(米国カリフォルニア州)から購入した。ELISA用のAbは、Bethyl社(米国テキサス州)から購入した。抗BLyS及び抗APRILは、PeproTech社製(米国ニュージャージー州)であった。四量体、HLA−A*0201−GILGFVFTL(配列番号1)(インフルエンザM1)、及びHLA−A*0201−ELAGIGILTV(配列番号2)(Mart−1)は、Beckman Coulter社(米国カリフォルニア州)から購入した。
【0072】
細胞及び培養:GM−CSF(100ng/ml)及びIL−4(50ng/ml)(R&D社製、米国カリフォルニア州)を含有するCellgenics社製(フランス)培地中で、正常供与体に由来する単球(1×10/ml)を培養した。3日目及び6日目のDCの場合、同量のサイトカインをそれぞれ1日目及び3日目に培地に補完した。B細胞は、ネガティブ分離キット(BD社製)で精製した。CD4及びCD8T細胞は、抗CD4又はCD8でコーティングされた磁気ビーズ(Milteniy社製、米国カリフォルニア州)で精製した。PBMCは、Percoll(商標)勾配(GE Healthcare UK Ltd社製、バッキンガムシャー、英国)を使用して、密度勾配遠心分離によりバフィーコートから単離した。DC活性化の場合、1×10個のDCを、mAbでコーティングされた96ウェルプレートで16〜18時間培養した。mAb(1〜2μg/ウェル)は、炭酸緩衝液、pH9.4で少なくとも3時間37℃でインキュベートした。培養上清を回収し、Luminex(Biorad社製、米国カリフォルニア州)によりサイトカイン/ケモカインを測定した。遺伝子分析の場合、DCは、mAbでコーティングされたプレートで8時間培養した。幾つかの実験では、50ng/mlの可溶性CD40L(R&D社製、米国カリフォルニア州)又は50nMのCpG(InVivogen社製、米国カリフォルニア州)を培養液に添加した。DC及びB細胞の共培養の場合、10%FCS及び抗生物質(Biosource社製、米国カリフォルニア州)と共にRPMI1640に再懸濁された5×10個のDCを、まず、mAbでコーティングされたプレートで少なくとも6時間培養し、その後CFSE(Molecular Probes社製、米国オレゴン州)で標識された、1×10個の精製自己B細胞を添加した。幾つかの実験では、DCを、5moi(感染多重度)の加熱不活性化インフルエンザウィルス(A/PR/8H1N1)で2時間パルスし、その後B細胞と混合した。DC及びT細胞の共培養の場合、5×10個のDCを、1×10個の精製自己CD8T細胞又は混合同種異系T細胞と共に培養した。同種異系T細胞は、インキュベーションの最後の18時間の間、1μCi/ウェルの[H]−チミジンでパルスし、その後、μ−カウンター(Wallac社製、米国ミネソタ州)でcpmを測定した。mAbでコーティングされたプレートで、5×10個のPBMC/ウェルを培養した。Mart−1及びインフルエンザM1特異的CD8T細胞の頻度は、それぞれ培養の10日目及び7日目に、抗CD8及び四量体で細胞を染色することにより測定した。10μMのMart−1ペプチド(ELAGIGILTV)(配列番号2)及び20nMのMart−1ペプチド含有組換えタンパク質(以下を参照)を、DC及びCD8T細胞培養液に添加した。20nMの精製組換えインフルエンザM1タンパク質(以下を参照)をPBMC培養液に添加した。
【0073】
モノクローナル抗体:マウスmAbは従来技術により産生した。手短かに言えば、6週齢のBALE/cマウスを、Ribiアジュバントと共に20μgの受容体エクトドメイン.hIgGFc融合タンパク質で腹腔内免疫し、その後、10日及び15日後に20μgの抗原で追加免疫した。3か月後、脾臓を採取する3日前にマウスを再び追加免疫した。或いは、30〜40日間にわたって3〜4日ごとに、Ribiアジュバント中の1〜10μgの抗原をマウスの足蹠に注射した。最終追加免疫の3〜4日後に、流入領域リンパ節を回収した。脾臓又はリンパ節細胞に由来するB細胞を、SP2/O−Ag14細胞と融合させた。ハイブリドーマ上清をスクリーニングして、融合パートナー単独又はアルカリホスファターゼに融合した受容体エクトドメインと比較して、受容体エクトドメイン融合タンパク質に対するAbを分析した(E. E. Bates et al., J Immunol 163, 1973 (Aug 15, 1999))。その後、全長受容体cDNAをコードする発現プラスミドで一時的に形質移入された293F細胞を使用して、陽性ウェルをFACSでスクリーニングした。選択されたハイブリドーマを、CELLineフラスコ(Intergra社製、米国カルフォル二ア州)中で、単細胞クローニングし増殖させた。ハイブリドーマ上清を、等容積の1.5Mグリシン、3MNaCl、1×PBS、pH7.8と混合し、MabSelectレジンと共に回転させた。結合緩衝液でレジンを洗浄し、0.1Mグリシン、pH2.7で溶出した。2MTrisで中和した後、mAbをPBSに対して透析した。
【0074】
ELISA:サンドイッチELISAを実施して、全IgM、IgG、及びIgA、並びにインフルエンザ特異的免疫グロブリン(Ig)を測定した。既知量のIg及びヒトAB血清を含有する標準ヒト血清(Bethyl社製)を、それぞれ全Ig及びインフルエンザ特異的Ig用の標準物質として使用した。試料中のインフルエンザ特異的Abの力価、単位は、同一の光学密度を示すAB血清の希釈係数として定義された。BAFF及びBLySの量は、ELISAキット(Bender MedSystem社製、米国カリフォルニア州)により測定した。
【0075】
RNA精製及び遺伝子分析:全RNAは、RNeasyカラム(Qiagen社製)で抽出し、2100型Bioanalyser(Agilent社製)で分析した。ビオチン標識cRNA標的は、Illumina totalprep標識キット(Ambion社製)を使用して調製し、Sentrix Human6 BeadChips(46K転写物)にハイブリダイズした。これらのマイクロアレイは、シリコンウェーハの表面にエッチングされた微小ウェルに内蔵された3μmビーズに取り付けられた50merからなるオリゴヌクレオチドプローブからなる。ストレプトアビジン−Cy3で染色した後、Illumina社により製造されたサブミクロン解像度スキャナー(Beadstation 500X)を使用して、アレイ表面を画像化する。遺伝子発現分析ソフトウェアプログラム、GeneSpring、バージョン7.1(Agilent社製)を使用して、データ分析を行った。
【0076】
組換えインフルエンザM1及びMART−1タンパク質の発現及び精製:PCRを使用して、開始コドンに対して遠位であるNheI部位及び終止コドンに対して遠位であるNotIを組み込む一方で、インフルエンザA/Puerto Rico/8/34/Mount Sinai (H1N1)M1遺伝子のORFを増幅した。消化された断片は、pET-28b(+)(Novagen社製)にクローニングし、M1のORFをHis6タグと共にインフレームで配置し、したがってHis.インフルエンザM1タンパク質をコードした。NcoI及びNheI部位間に挿入された、C.サーモセラム(C.thermocellum)由来のN末端169残基のコヒーシンドメインをコードするpET28b(+)誘導体(未発表)は、Coh.Hisを発現した。コヒーシン−Flex−hMART−1−ペプチドA−Hisの発現の場合、配列GACACCACCGAGGCCCGCCACCCCCACCCCCCCGTGACCACCCCCACCACCACCGACCGGAAGGGCACCACCGCCGAGGAGCTGGCCGGCATCGGCATCCTGACCGTGATCCTGGGCGGCAAGCGGACCAACAACAGCACCCCCACCAAGGGCGAATTCTGCAGATATCCATCACACTGGCGGCCG(配列番号3)(DTTEARHPHPPVTTPTTDRKGTTAEELAGIGILTVILGGKRTNNSTPTKGEFCRYPSHWRP(配列番号4)をコードする:影付の残基は、免疫優勢HLA−A2制限ペプチドであり、ペプチドを取り囲む下線の残基は、MART−1由来である)を、上記ベクターのNheI及びXhoI部位間に挿入した。120mg/LのIPTGを添加した際の対数増殖期の中間部まで200回転/分で振とうし、カナマイシン耐性(40μg/ml)で選択し37℃のLB中で増殖させた大腸菌(E.Coli)株BL21(DE3)(Novagen社製)又はT7Express(NEB社製)で、タンパク質を発現させた。3時間後、細胞を遠心分離により回収し、−80℃で保管した。各1Lの発酵液からの大腸菌細胞を、0.1mlのプロテアーゼ阻害剤カクテルII(Calbiochem社製、米国カリフォルニア州)を有する、氷冷した30mlの50mMTris、1mMEDTA pH8.0(緩衝液B)に再懸濁した。リセット期間を5分間、設定を18にして(Fisher社製Sonic Dismembrator 60)、細胞を氷上で2×5分間超音波処理し、その後、4℃で20分間、17,000r.p.m.(Sorvall社製SA-600)で回転させた。His.インフルエンザM1精製の場合、50mlの細胞溶解産物上清画分を、5mlのQセファロースビーズを通して通過させ、6.25mlの160mMTris、40mMイミダゾール、4MNaCl pH7.9をQセファロース通過物に添加した。これを、Ni++で充填された5mlのHiTrap chelating HPカラムに、4ml/分で負荷した。カラムに結合したタンパク質を、20mMNaPO、300mMNaCl pH7.6(緩衝液D)で洗浄し、その後100mMHCOONa pH4.0でさらに洗浄した。結合したタンパク質は、100mMHCOONa pH4.0で溶出した。ピーク画分を貯留し、100mMHCOONa pH5.5で平衡化された5mlのHiTrap Sカラムに4ml/分で負荷し、平衡化緩衝液で洗浄し、その後0〜1MまでのNaCl勾配を用いて50mMNaPO pH5.5中で溶出した。約500mMNaClで溶出したピーク画分を貯留した。Coh.インフルエンザM1.His精製の場合、2Lの培養液からの細胞を上記のように溶解した。遠心分離の後、2.5mlのTriton X114を上清に添加し、氷上で5分間インキュベーションした。25℃で5分間さらにインキュベーションした後、25℃での遠心分離に引き続いて上清をTriton X114から分離した。抽出を繰り返し、上清を5mlのQセファロースビーズを通して通過させ、6.25mlの160mMTris、40mMイミダゾール、4MNaCl pH7.9を、Qセファロース通過物に添加した。その後、タンパク質をNi++キレートクロマトグラフィーにより上述のように精製し、緩衝液D中の0〜500mMイミダゾールで溶出した。
【0077】
特定の抗DC−ASGPR mAbのみがDC活性化特性を有する:本発明は、DC活性化が抗DC−ASGPR抗体の一般的な特性ではなく、むしろある種の抗DC−ASGPR mAbのみがこの機能を有すことを開示する。図5は、ある種のmAbのみがDC−ASGPRを介してDCSを活性化することを示し、それは、実際のDCに対するスクリーニングにより特徴付けられなければならない。
【0078】
抗DC−ASGPR mAbのL及びH可変領域に対応する特定の配列:本発明は、治療的又は防御的製品の望ましい構成要素である抗DC−ASGPRモノクローナル抗体に対応する以下に示された特定のアミノ酸配列(例えばヒト化組換え抗体と関連した)を包含する。下記は、キメラマウスV領域−ヒトC領域組換え抗体と関連するそのような配列である。[mAnti−ASGPR_49C11_7H−LV−hIgG4H−C]は、DVQLQESGPDLVKPSQSLSLTCTVTGYSITSGYSWHWIRQFPGNKLEWMGYILFSGSTNYNPSLKSRISITRDTSKNQFFLQLNSVTTEDTATYFCARSNYGSFASWGQGTLVTVSAAKTTGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKAS(配列番号5)である。上記の配列は、mAb49C11のH鎖V領域(下線で示されている)とhIgG4のC領域との間のキメラである。[mAnti−ASGPR_49C11_7K−LV−hIgGK−C]は、対応するL鎖キメラ−QIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSHMHWYQQKSGTSPKRWIYDTSRLASGVPARFSGSGSGTSYSLTISSMEAEDAATYYCQQWSSHPWSFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号6)である。[mAnti−ASGPR_4G2.2_Hv−V−hIgG4H−C]は、QIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTNYGMNWVKQVPGKGLRWMGWMDTFTGEPTYADDFKGRFAFSLETSASTAYLQINSLKNEDTATYFCARGGILRLNYFDYWGQGTTLTVSSAKTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKAS(配列番号7)である。[mAnti−ASGPR_4G2.2_Kv−V−hIgGK−C]は、DIQMTQSSSSFSVSLGDRVTITCKASEDIYNRLGWYQQKPGNAPRLLISGATSLETGVPSRFSGSGSGKDYALSITSLQTEDLATYYCQQCWTSPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号8)である。[mAnti−ASGPR_5F10H−LV−hIgG4H−C]は、EVQLQQSGPELVKPGASVKMSCKASGYTFTDYYMKWVKQSHGKSLEWIGDINPNYGDTFYNQKFEGKATLTVDKSSRTAYMQLNSLTSEDSAVYYCGRGDYGYFDVWGAGTTVTVSSAKTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLLSLGKAS(配列番号9)である。[mAnti−ASGPR_5F10K−LV−hIgGK−C]は、DIVMTQSHKFMSTSVGDRVSITCKASQDVGTAVAWYQQKPGQSPKLLIYWASTRHTGVPDRFTGSGSGTDFTLTINNVQSEDLADYFCQQYSSNPYMFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号10)である。[mAnti−ASGPR1H11H−V−hIgG4H−C]は、QLQQSGPELVKPGASVKISCKTSGYTFTEYTMHWVRQSHGKSLEWIGGINPINGGPTYNQKFKGKATLTVDKSSSTAYMELRSLTSEDSAVYYCARWDYGSRDVMDYWGQGTSVTVSSAKTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKAS(配列番号11)である。[mAnti−ASGPR1H11K−LV−hIgGK−C]は、NIVMTQSPKSMSMSVGERVTLSCKASENVGTYVSWYQQRPEQSPKLLIYGASNRYTGVPDRFTGSGSATDFTLTISSVQAEDLADYHCGQTYSYIFTFGSGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号12)である。本発明は、これらのV領域配列、並びに例えばDC−ASGPRに対する親和性を増強するために当業者により修飾された関連配列、及び/又はヒトV領域フレームワーク配列へと組み込まれ、抗原提示細胞上のDC−ASGPRに結合できるタンパク質型の発現を指示するために発現ベクター中に工学的に作製される関連配列を起想する。
【0079】
工学的に作製された組換え抗DC−ASGPR組換え抗体−抗原融合タンパク質((rAb.抗原)は、インビトロで効果的なプロトタイプワクチンである:発現ベクターは、例えばH鎖コード配列にインフレームで融合した多様なタンパク質コード配列で構築できる。例えば、インフルエンザHA5、インフルエンザM1、HIV gag、又は癌抗原に由来する免疫優勢ペプチドなどの抗原、又はサイトカインは、本発明との関連では、DC−ASGPRを保持する抗原提示細胞の表面へと、抗原又はサイトカイン(又はトキシン)を直接的に導くために抗DC−ASGPR V領域配列を使用することに由来する有用性を有し得るrAb.抗原又はrAb.サイトカイン融合タンパク質として、引き続いて発現することができる。これは、例えば抗原の内部移行を可能にし、時には受容体の活性化を伴い、治療的又は防御的作用の開始を確実にする(例えば、強力な免疫応答の開始を介して、又は標的細胞の死滅を介して)。この概念に基づいた例示的なプロトタイプワクチンは、[mAnti−ASGPR_5F10H−LV−hIgG4H−C−Flex−FluHA5−1−6×His]又はEVQLQQSGPELVKPGASVKMSCKASGYTFTDYYMKWVKQSHGKSLEWIGDINPNYGDTFYNQKFEGKATLTVDKSSRTAYMQLNSLTSEDSAVYYCGRGDYGYFDVWGAGTTVTVSSAKTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKASDTTEPATPTTPVTTDQICIGYHANNSTEQVDTIMEKNVTVTHAQDILEKKHNGKLCDLDGVKPLILRDCSVAGWLLGNPMCDEFINVPEWSYIVEKANPVNDLCYPGDFNDYEELKHLLSRINHFEKIQIIPKSSWSSHEASLGVSSACPYQGKSSFFRNVVWLIKKNSTYPTIKRSYNNTNQEDLLVLWGIHHPNDAAEQTKLYQNPTTYISVGTSTLNQRLVPRIATRSKVNGQSGRMEFFWTILKPNDAINFESNGNFIAPEYAYKIVKKGDSTIMKSELEYGNCNTKCQTPMGAINSSMPFHNIHPLTIGECPKYVKSNRLVLAHHHHHH(配列番号13)などのH鎖ベクターを使用できる。上記の配列は、可動性リンカー配列(イタリック体で示されている)を介してトリインフルエンザHA5のHA−1ドメイン(太字で示されている)に融合した、既示のキメラH鎖に対応する。これは、上記で既示の対応するL鎖キメラ配列と同時発現できる。同様に、配列[mAnti−ASGPR_49C11_7H−LV−hIgG4H−C−Dockerin]−DVQLQESGPDLVKPSQSLSLTCTVTGYSITSGYSWHWIRQFPGNKLEWMGYILFSGSTNYNPSLKSRISITRDTSKNQFFLQLNSVTTEDTATYFCARSNYGSFASWGQGTLVTVSAAKTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKASNSPQNEVLYGDVNDDGKVNSTDLTLLKRYVLKAVSTLPSSKAEKNADVNRDGRVNSSDVTILSRYLIRVIEKLPI(配列番号14)は、上記で既示の対応するL鎖配列の同時形質移入により、rAb.ドックリン融合タンパク質を発現するために使用できる。
【0080】
図6は、異なる抗原がDC−ASGPR rAbと関連して発現され得ることを示す。そのような抗DC−ASGPR rAb.Docタンパク質は、任意のコヒーシン.融合タンパク質と単に混合して、rAb.融合タンパク質と全く同様に機能する、安定した非共有結合性の[rAb.Doc:Coh.fusion]複合体を構築できる。図6は、そのような[rAb.Doc:Coh.fusion]複合体が、DC−ASGPRを発現する細胞の表面に抗原を集中させ得ることを示す。この図は、抗DC−ASGPR.Doc:Coh.インフルエンザM1複合体が、DC−ASGPRのcDNAで形質移入した293F細胞の表面にインフルエンザM1を送達することも示す。1μg/ml(右パネル)の抗DC−ASGPR.Doc rAb(緑色で示されている)又は対照hIgG4.Doc rAb(青色で示されている)を、ビオチン化されたCoh.インフルエンザM1(2μg/ml)と共に室温で1時間インキュベートした。形質移入した293F細胞を添加し、氷上で20分間インキュベーションを継続した。その後、細胞を洗浄し、PE標識ストレプトアビジンで染色した。その後、PE蛍光について細胞を分析した。
【0081】
ドックリン:コヒーシン相互作用を介してインフルエンザM1と複合体を形成した抗DC−ASGPR rAbは、抗原をヒトDCにターゲッティングし、その結果、インフルエンザM1特異的CD8T細胞が増殖する:例えばDCに抗原を送達するデバイスとしての抗DC−ASGPR rAbの潜在的有用性を下記の図に示す。図7は、インフルエンザM1特異的CD8細胞の劇的な増殖が、インフルエンザM1に対する防御免疫応答の誘発に向けられたワクチンとしてのそのような作用物質の効力を高度に予測することを示す。
【0082】
図8は、様々な抗体とサルASGPRとの交差反応性を実証した。pIRESベクターのNheI−NotI部位にPCR産物を挿入することにより、pIRES_ASGPR-mon(サル)をクローニングした。最終産物の配列は、クローン5S10に基づく。他のほとんどのクローンは、これと類似してアミノ酸が1つ異なるか、又はこれと同一であるかのいずれかである。しかしながら、1つのクローン、5S1は、3’末端付近でAの欠失を有し、短縮された異なるC’末端を生成し、第2の変異体として使用できる。サルASGPRをクローニングするために、以下のオリゴが使用された:DC−ASGPR_MoN:gaattcgctagcCACCATGACATATGAAAACTTCCAAGACTTGGAGAGTGAGGAGAAAGTCCAAGGGG(配列番号15);及びDC−ASGPR_Mo:CGAATTCGCGGCCGCTCAGTGACTCTCCTGGCTGGCCTGGGTCAGACCAGCCTCGCAGACCC(配列番号16)、これは、GGGTCTGCGAGGCTGGTCTGACCCAGGCCAGCCAGGAGAGTCACTGAGCGGCCGCGAATTCG(配列番号17)の逆方向相補体である。当業者に知られているように、配列比較により、オーバーラップの可能性のある領域、したがって交差反応性が指摘される。
【0083】
以下の表は、DC−ASGPR 334998 200ug/ml 12.05.07 cfg#558抗ヒトIgG PEの結合を実証した。
【0084】
【表1】

【0085】

【0086】

【0087】

【0088】

【0089】

【0090】

【0091】

【0092】

【0093】

【0094】
本明細書で論じたあらゆる実施形態は、本発明の任意の方法、キット、試薬、又は組成物に関して実現し得ることが企図され、逆も同様である。さらに、本発明の組成物は、本発明の方法を達成するために使用できる。
【0095】
本明細書中に記載された特定の実施形態は、例示の目的で示されており、本発明の限定するものではないことが理解されよう。本発明の主要な特徴は、本発明の範囲から逸脱せずに、種々の実施形態において使用できる。当業者であれば、定常的な実験を行っただけで、本明細書中に記載された特定の手順に対する多数の均等な手順を認識又は確認することができよう。そのような均等な手順は、本発明の範囲内であると見なされ、特許請求の範囲により包含される。
【0096】
明細書中で言及された文献及び特許出願はすべて、本発明が属する当業者の技術レベルを示す。文献及び特許出願はすべて、参照により組み込むために個々の各文献又は特許出願があたかも特に個々に示されるのと同程度に、参照により本明細書中に組み込まれる。
【0097】
「1つの(a)」又は「1つの(an)」という単語の使用は、特許請求の範囲及び/又は本明細書において「含む」という用語と共に使用される場合、「1つ」を意味し得るが、それは、「1又は複数」、「少なくとも1つ」、及び「1つ又は1つを超えた」とも矛盾しない。特許請求の範囲における「又は」という用語の使用は、選択肢のみを指すと明示的に示されていない限り、又は選択肢が相互に排他的でない限り、「及び/又は」を意味するために使用されるが、本開示は、選択肢のみ及び「及び/又は」を指すという定義を支持する。本出願の全体にわたって、「約」という用語は、ある値が、値を決定するために使用されるデバイス、方法、又は研究対象に存在する変動に関する誤差の固有変動を含むことを示すために使用される。
【0098】
本明細書及び特許請求の範囲(複数可)で使用される場合、「含む(comprising)」(並びに、「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」など、含む(comprising)の任意の形態)、「有する(having)」(並びに、「有する(have)」及び「有する(has)」など、有する(having)の任意の形態)、「含む(including)」(並びに、「含む(includes)」及び「含む(include)」など、含む(including)の任意の形態)、又は「含有する(containing)」(並びに、「含有する(contains)」及び「含有する(contain)」など、含有する(containing)の任意の形態)という単語は、包括的又は非限定的であり、付加的、未説明の要素又は方法ステップを除外しない。
【0099】
「又はそれらの組合せ」という用語は、本明細書で使用される場合、その用語に先行する列挙された項目のすべての順列及び組合せを指す。例えば、「A、B、C、又はそれらの組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC、又はABC、及び特定の文脈で順番が重要である場合は、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、又はCABの少なくとも1つも含むと意図される。引き続きこの例で、BB、AAA、MB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、及びCABABBなどの1又は複数の項目又は用語の繰り返しを含有する組合せが、明示的に含まれる。当業者であれば、文脈からそうでないと明白でない限り、任意の組合せにおける項目又は用語の数に、典型的には制限がないことを理解するであろう。
【0100】
本明細書中で開示又は特許請求された組成物及び/又は方法のすべては、本開示に照らして、過剰な実験をせずに作製及び実行できる。本発明の組成物及び方法は好ましい実施形態の点から記載されているが、当業者であれば、本発明の概念、趣旨、及び範囲から逸脱せずに、本明細書中に記載された組成物及び/又は方法、並びにその方法のステップ又は一連のステップに変異が適用できることは明白であろう。当業者に明白なそのような類似した代替物及び変更はすべて、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の趣旨、範囲、及び概念内にあるものとする。
(参考文献)
1. C. G. Figdor, Y. van Kooyk, G. J. Adema, Nat Rev Immunol 2, 77 (Feb, 2002)
2. E. Pyz, A. S. Marshall, S. Gordon, G. D. Brown, Ann Med 38, 242 (2006)
3. G. D. Brown, Nat Rev Immunol 6, 33 (Jan, 2006)
4. T. B. Geijtenbeek et al., Nat Immunol 1, 353 (Oct, 2000)
5. T. B. Geijtenbeek et al., Cell 100, 575 (Mar 3, 2000)
6. C. F. d'Ostiani et al., J Exp Med 191, 1661 (May 15, 2000)
7. C. Fradin, D. Poulain, T. Jouault, Infect Immun 68, 4391 (Aug, 2000)
8. A. Cambi et al., Eur J Immunol 33, 532 (Feb, 2003)
9. M. G. Netea, J. W. Meer, I. Verschueren, B. J. Kullberg, Eur J Immunol 32, 1455 (May, 2002)
10. S. J. Lee et al., Science 295, 1898 (Mar 8, 2002)
11. N. Maeda et al., J Biol Chem 278, 5513 (Feb 21, 2003)
12. L. Tailleux et al., J Exp Med 197, 121 (Jan 6, 2003)
13. T. B. Geijtenbeek et al., J Exp Med 197, 7 (Jan 6, 2003)
14. A. M. Cooper et al., J Immunol 168, 1322 (Feb 1, 2002)
15. J. Banchereau et al., Annu Rev Immunol 18, 767 (2000)
16. P. Jeannin et al., Immunity 22, 551 (May, 2005)
17. B. N. Gantner, R. M. Simmons, S. J. Canavera, S. Akira, D. M. Underhill, J Exp Med 197, 1107 (May 5, 2003)
18. H. Moriwaki et al., FEBS Lett 440, 29 (Nov 27, 1998)
19. M. Wykes, G. MacPherson, Immunology 100, 1 (May, 2000)
20. M. Balazs, F. Martin, T. Zhou, J. Kearney, Immunity 17, 341 (Sep, 2002)
21. T. Kikuchi, S. Worgall, R. Singh, M. A. Moore, R. G. Crystal, Nat Med 6, 1154 (Oct, 2000)
22. B. Dubois et al., J Leukoc Biol 66, 224 (Aug, 1999)
23. H. Qi, J. G. Egen, A. Y. Huang, R. N. Germain, Science 312, 1672 (Jun 16, 2006)
24. A. Bergtold, D. D. Desai, A. Gavhane, R. Clynes, Immunity 23, 503 (Nov, 2005)
25. C. R. Ruprecht, A. Lanzavecchia, Eur J Immunol 36, 810 (Apr, 2006)
26. N. L. Bernasconi, E. Traggiai, A. Lanzavecchia, Science 298, 2199 (Dec 13, 2002)
27. P. A. Moore et al., Science 285, 260 (Jul 9, 1999)
28. J. A. Gross et al., Nature 404, 995 (Apr 27, 2000)
29. A. Craxton, D. Magaletti, E. J. Ryan, E. A. Clark, Blood 101, 4464 (Jun 1, 2003)
30. I.MacLennan, C. Vinuesa, Immunity 17, 235 (Sep, 2002)
31. J. Banchereau, R. M. Steinman, Nature 392, 245 (Mar 19, 1998)
32. J. Banchereau, P. de Paoli, A. Valle, E. Garcia, F. Rousset, Science 251, 70 (Jan 4, 1991)
33. B. Beutler et al., Annu Rev Immunol 24, 353 (2006)
34. K. Hayashida, N. Kume, M. Minami, T. Kita, FEBS Lett 511, 133 (Jan 30, 2002)
35. M. Kakutani, T. Masaki, T. Sawamura, Proc Natl Acad Sci U S A 97, 360 (Jan 4, 2000)
36. M. Colonna, J. Samaridis, L. Angman, Eur J Immunol 30, 697 (Feb, 2000)
37. J. Valladeau et al., J Immunol 167, 5767 (Nov 15, 2001)
38. G. Jego et al., Immunity 19, 225 (Aug, 2003)
39. M. N. Wykes, L. Beattie, G. G. Macpherson, D. N. Hart, Immunology 113, 318 (Nov, 2004)
40. Y. Delneste et al., Immunity 17, 353 (Sep, 2002)
41. Y. Wang et al., Immunity 15, 971 (Dec, 2001)
42. A. Asea et al., Nat Med 6, 435 (Apr, 2000)
43. H. Bausinger et al., Eur J Immunol 32, 3708 (Dec, 2002)
44. E. E. Bates et al., J Immunol 163, 1973 (Aug 15, 1999)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原提示の有効性を増大させるための方法であって、抗体−抗原複合体を形成する抗原が結合したDC−ASGPR特異的抗体又はその断片を単離及び精製するステップを含み、前記抗原が、前記抗体−抗原複合体と接触した樹状細胞によりプロセシング及び提示される方法。
【請求項2】
抗原提示細胞が樹状細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
DC−ASGPR特異的抗体又はその断片が、コヘリン/ドックリン対の半分に結合している、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
DC−ASGPR特異的抗体又はその断片がコヘリン/ドックリン対の半分に結合し、抗原が前記コヘリン/ドックリン対の相補的な半分に結合して複合体を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
抗原が、ペプチド、タンパク質、脂質、炭水化物、核酸、及びそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
抗原特異的ドメインが、MHCクラスI、MHCクラスII、CD1、CD2、CD3、CD4、CD8、CD11b、CD14、CD15、CD16、CD19、CD20、CD29、CD31、CD40、CD43、CD44、CD45、CD54、CD56、CD57、CD58、CD83、CD86、CMRF−44、CMRF−56、DCIR、DC−ASPGR、CLEC−6、CD40、BDCA−2、MARCO、DEC−205、マンノース受容体、ランゲリン、DECTIN−1、B7−1、B7−2、IFN−γ受容体及びIL−2受容体、ICAM−1、Fcγ受容体、又は抗原提示細胞により比較的特異的に発現される他の受容体から選択される免疫細胞表面タンパク質に特異的である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
抗原が、細菌性、ウィルス性、真菌性、原生動物性、又は癌性のタンパク質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
樹状細胞による抗原提示の有効性を増大させるための方法であって、抗体−抗原複合体を形成する抗原が結合したDC−ASGPR特異的抗体又はその断片を結合するステップを含み、前記抗原が前記抗体−抗原複合体と接触した樹状細胞によりプロセシング及び提示される方法。
【請求項9】
樹状細胞の有効性の増大が、同種異系CD8T細胞を使用して決定される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
防御的又は治療的免疫応答を誘発する目的で抗原を抗原提示細胞に送達するための、DC−ASGPRに対する抗体又は他の特異的結合分子の使用。
【請求項11】
皮膚を介するワクチン接種のための、DC−ASGPRに特異的な抗原ターゲッティング試薬の使用。
【請求項12】
同時投与又は連結されたワクチン接種用アジュバントと併用した、DC−ASGPRに特異的な抗原ターゲッティング試薬の使用。
【請求項13】
組換え抗原−抗体融合タンパク質として発現することができる特異的抗原の、抗原ターゲッティング(ワクチン接種)目的での使用。
【請求項14】
哺乳動物細胞から分泌された抗原特異的抗DC−ASGPR免疫グロブリン又はその断片、及び前記免疫グロブリンに結合した抗原。
【請求項15】
抗原が免疫グロブリンとの融合タンパク質である、請求項14に記載の免疫グロブリン。
【請求項16】
抗原が、細菌性、ウィルス性、真菌性、原生動物性、又は癌性のタンパク質を含む、請求項14に記載の免疫グロブリン。
【請求項17】
免疫グロブリンがコヒーシン/ドックリンドメインの半分に結合している、請求項14に記載の免疫グロブリン。
【請求項18】
モジュールrAb担体と複合体を形成する抗原に結合した、コヒーシン−ドックリン結合対の相補的な半分をさらに含む、請求項14に記載の免疫グロブリン。
【請求項19】
抗原との融合タンパク質であるコヒーシン−ドックリン結合対の相補的な半分をさらに含む、請求項14に記載の免疫グロブリン。
【請求項20】
抗原特異的ドメインが、完全長抗体、抗体可変領域ドメイン、Fab断片、Fab’断片、F(ab)2断片、及びFv断片、並びにFabc断片及び/又はFcドメインの部分を伴ったFab断片を含む、請求項14に記載の免疫グロブリン。
【請求項21】
免疫グロブリンが、放射性同位元素、金属、酵素、ボツリヌス毒素、破傷風、リシン、コレラ、ジフテリア、アフラトキシン、ウェルシュ菌毒素、マイコトキシン、志賀毒素、ブドウ球菌エンテロトキシンB、T2、セグイトキシン、サキシトキシン、アブリン、シアノジノシン、α菌毒、テトロドトキシン、アコノトキシン、ヘビ毒、及びクモ毒からなる群から選択される毒素に結合している、請求項14に記載の免疫グロブリン。
【請求項22】
抗原が免疫グロブリンとの融合タンパク質である、請求項14に記載の免疫グロブリン。
【請求項23】
抗原が、細菌性、ウィルス性、真菌性、原生動物性、又は癌性のタンパク質を含む、請求項14に記載の免疫グロブリン。
【請求項24】
抗原が、T及びB細胞リンパ増殖性疾患、卵巣癌、膵臓癌、頭頸部癌、扁平上皮癌、消化管癌、乳癌、前立腺癌、又は非小細胞肺癌から選択される癌細胞又はその一部を含む、請求項14に記載の免疫グロブリン。
【請求項25】
樹状細胞の有効性を増大させるための方法であって、
患者の樹状細胞を単離するステップと、
前記樹状細胞を活性化量の抗DC−ASGPR抗体又はその断片及び抗原に曝露して、抗原が負荷されて活性化された樹状細胞を形成するステップと、
前記抗原が負荷されて活性化された樹状細胞を前記患者に再導入するステップと
を含む方法。
【請求項26】
治療的又は防御的適用での、単独で又は共活性化作用物質と共にDC−ASGPRに関与して抗原提示細胞を活性化する作用物質の使用。
【請求項27】
防御的又は治療的ワクチン接種のために、DC−ASGPR結合性及び/又は活性化作用物質が、単独で又は共活性化作用物質と共に抗原に連結される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
特異的抗体V領域配列が、DC−ASGPRに結合し、DC−ASGPRを活性化することが可能である、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
DC−ASGPRを介する免疫細胞の不適切な活性化から生じることが知られている又は疑われている疾患と関連した治療目的での、毒性作用物質に連結された抗DC−ASGPR作用物質の使用。
【請求項30】
抗体−抗原複合体を形成する抗原が結合したDC−ASGPR特異的抗体又はその断片を含み、前記抗原が前記抗体−抗原複合体と接触した樹状細胞によりプロセシング及び提示されるワクチン。

【図1A−1E】
image rotate

【図2A−2D】
image rotate

【図3A−3D】
image rotate

【図4A−4D】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2010−518024(P2010−518024A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548484(P2009−548484)
【出願日】平成20年2月2日(2008.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/052865
【国際公開番号】WO2008/097870
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(509004712)ベイラー リサーチ インスティテュート (38)
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR RESEARCH INSTITUTE
【Fターム(参考)】