説明

樹脂体形成方法、発光体製造方法、樹脂体形成装置及び発光体製造装置

【課題】基板等に実装された光源の周囲に形状の均一な樹脂体の形成方法を提供する。
【解決手段】リフレクタ用ディスペンサ31のヘッド32には、環状の吐出口39が形成されている。基板12にリフレクタ22を形成する際には、まず、基板12との位置合わせを行う。そして、ヘッド32の吐出口39に所定量のリフレクタ樹脂41が突出するように、リフレクタ樹脂41を充填する。このとき、ヘッド32の吐出口39には、円環状のリフレクタ樹脂41が形成された状態となる。そして、ヘッド32を基板12側へと移動(下降)させ、その後ヘッド32を引き上げる(上昇)。以上のようにして、基板12上のLEDチップ21を囲うように円環状のリフレクタ樹脂41が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂体形成方法及び発光体製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等の固体発光素子を光源として用いた発光装置が種々実用化されてきている。このような発光装置は、照明装置や、液晶表示装置等における液晶パネルのバックライト等として広く利用されている。
この種の発光装置において、LEDからの発光光を所望とする方向に効率良く照射するために、LEDの周囲にリフレクタ(反射部材)が設けられる場合がある。この種の発光装置に使用される発光体として、凹部の底にLEDを配置した所謂パッケージ型が知られている。さらに、板状の基板等にLEDを直接実装し、LEDの周囲にリフレクタを設けた発光体も存在する。
【0003】
また、例えばLEDの保護のためや、LEDから出射される光の光路を所望とする方向に屈折させるために、可視領域に対して透明な樹脂(以下、封止樹脂と呼ぶ)にて構成される封止部材によってLEDを封止する場合がある。パッケージ型の発光体では、凹部に封止部材を注入することによってLEDを封止している。一方、基板等にLEDを直接実装したタイプの発光体では、基板上のLEDに封止部材を滴下等しても、封止部材が広がってしまいLEDを封止することが難しい。
【0004】
例えば特許文献1では、基板に実装されるLEDの周囲に反射体(リフレクタ)を形成し、さらにLEDを封止する技術が記載されている。ここで、特許文献1では、反射体を構成する樹脂を射出するディスペンサを用い、基板上のLEDを囲うようにディスペンサを一周させることで反射体を形成している。その後、透明で絶縁性を有する樹脂(封止樹脂)を反射体の内側に充填することでLEDを封止している。
【0005】
【特許文献1】特開2008−41290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図8は、従来技術を説明するための図である。
図8(a)に示す従来技術のように、基板110上に実装されるLED120に対して、樹脂を射出するディスペンサ100を用い、LED120を囲うようにディスペンサ100を一周させて樹脂体を形成すると、樹脂体130の形状が不均一となる場合がある。
例えば、図8(b)に示すように、ディスペンサ100による樹脂の射出開始部分と、一周して開始部分へと戻ってきた終点部分との間に継ぎ目が生じる場合がある。このような継ぎ目では、隙間等が生じる可能性が高い。従って、LED120を封止する際に、樹脂体130に生じた隙間から、封止部材を構成する樹脂が漏れ出してしまう畏れがある。
【0007】
また、ディスペンスの終点部分においては、ディスペンサ100は基板110から遠ざかる方向に引き上げられる。このとき、図8(c)に示すように、ディスペンサ100の先端によって樹脂体130側の樹脂が引っ張られて尖り(凸部)が生じる場合がある。そうすると、樹脂体130における尖り(凸部)によってLED120から照射された光が局所的に遮られ(反射され)、発光体としての配光が乱れてしまう。
【0008】
なお、樹脂体130に継ぎ目や尖り等が生じないように樹脂体130を構成する樹脂の粘性を低下させるという対策も考えられる。しかしながら、樹脂体130を構成する樹脂の粘性を低下させると、基板110上に樹脂体130を形成した後、樹脂体130が広がって(潰れて)しまい、硬化前の封止部材の広がりを堰き止めるという機能が保てなくなる。
【0009】
本発明は、基板等に実装された光源の周囲に形状の均一な樹脂体を形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的のもと、本発明は、固体発光素子が実装される基板に、樹脂体を形成する樹脂体形成方法であって、環状の吐出口を有するディスペンサのヘッドの吐出口に樹脂を充填する充填工程と、ヘッドの吐出口に充填されることで環状に形成された樹脂を、基板の固体発光素子が実装される位置を囲うように付着させる付着工程とを備えることを特徴とする樹脂体形成方法である。
【0011】
このような樹脂体形成方法において、充填工程では、ヘッドの吐出口から突出するように樹脂を充填し、付着工程では、吐出口に突出した環状の樹脂の表面を基板に付着させることを特徴とすることができる。また、ヘッドと基板とを相対的に近づける移動工程をさらに備え、充填工程では、ヘッドの吐出口を基板に接触させた状態にて、吐出口に樹脂を充填することを特徴とすることができる。さらに、環状の樹脂は、円環形状を有していることを特徴とすることができる。
【0012】
また、他の観点から捉えると、本発明は、基板に固体発光素子を実装する実装工程と、環状の吐出口を有するディスペンサのヘッドの吐出口に樹脂を充填する充填工程と、ヘッドの吐出口に充填されることで環状に形成された樹脂を、基板に実装された固体発光素子、あるいは基板の固体発光素子が実装される位置を囲うように付着させる付着工程とを備えることを特徴とする発光体製造方法である。
【0013】
このような発光体製造方法において、基板に形成された環状の樹脂の内側に、固体発光素子を封止する封止樹脂を注入する注入工程をさらに備えることを特徴とすることができる。ここで、環状の樹脂は、固体発光素子から照射される光を反射することを特徴とすることができる。
【0014】
さらにまた、他の観点から捉えると、本発明は、固体発光素子が実装される基板に、樹脂体を形成する樹脂体形成装置であって、樹脂を環状に形成するための環状の吐出口を有するヘッドと、樹脂供給部から供給される樹脂を吐出口に向けて供給する供給経路とを備えていることを特徴とする樹脂体形成装置である。
【0015】
ここで、ヘッドは、筒状の第1の部材と、第1の部材の内径と比較して小さく第1の部材の内側に設けられる第2の部材とを備え、第1の部材の内周と、第2の部材の外周との間の隙間によって、供給経路が形成されることを特徴とすることができる。また、ヘッドの吐出口には、基板に形成すべき樹脂体の外形に対応する溝が形成されていることを特徴とすることができる。
【0016】
さらに、他の観点から捉えると、本発明は、基板に固体発光素子が実装される発光体を製造する発光体製造装置であって、樹脂を環状に形成するための環状の吐出口を有するヘッドと、ヘッドの吐出口に環状に形成された樹脂によって、基板の固体発光素子を囲めるように、ヘッドと基板との相対的な位置を調整する位置調整部と、ヘッドと基板とを相対的に近づける駆動部とを備えていることを特徴とする発光体製造装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、基板等に実装された光源の周囲に形状の均一な樹脂体を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<実施形態1>
図1は、本実施形態の発光体10の全体構成を示す一例の図である。
図1(a)に示すように、発光体10は、複数(本実施形態では8個)の発光部11と、発光部11が取り付けられる基板12、各発光部11に電力を供給するコネクタ13とを備えている。また、図1(b)に示すように、発光部11は、固体発光素子の一例としてのLEDチップ21と、LEDチップ21からの照射される光を反射するリフレクタ22と、LEDチップ21を封止する封止部材23とを備えている。
【0019】
基板12には、発光部11におけるLEDチップ21が実装される。基板12には配線パターン(不図示)が形成されており、各LEDチップ21はボンディングワイヤ等により配線パターンと電気的に接続している。また、配線パターンは、コネクタ13に接続している。コネクタ13は、発光体10が適用される照明装置等に電気的に接続され、照明装置本体から電力供給を受けるものである。そして、発光部11における各LEDチップ21は、コネクタ13、配線パターンを介して電力供給を受けて各々発光する。
【0020】
図1(b)に示すように、樹脂体の一例としてのリフレクタ22は、LEDチップ21を囲うように基板12上に設けられる。そして、リフレクタ22は、LEDチップ21から照射された光のうち側方(例えば基板12面に沿った方向)に進行する光を、基板12とは反対側へと反射する部材である。本実施形態のリフレクタ22には、例えば酸化チタン等の白色顔料が添加された白色樹脂を用いることができる。
封止部材23は、LEDチップ21を被覆する部材である。封止部材23は、LEDチップ21を被覆することで、LEDチップ21を例えば湿気から保護する等の機能を有している。本実施形態の封止部材23の材料には、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の可視領域において透明な樹脂を用いることができる。
なお、リフレクタ22は後述するリフレクタ樹脂41によって構成され、封止部材23は後述する封止樹脂51によって構成されている。
【0021】
図2は、本実施形態の発光体10を製造する製造装置30について説明するための一例の図である。
図2に示すように、製造装置30は、基板12にリフレクタ22を形成するものである。製造装置30は、リフレクタ22の材料となるリフレクタ樹脂41を吐出するリフレクタ用ディスペンサ31と、リフレクタ樹脂41をリフレクタ用ディスペンサ31へと供給する樹脂供給部33とを備える。また、製造装置30は、本実施形態では基板12が載せられる台座34と、各部の動作を制御する制御部35とを有している。
【0022】
リフレクタ用ディスペンサ31は、図2に実線(上昇時)および破線(下降時)で示すように、台座34に対して進退可能に構成されている。このリフレクタ用ディスペンサ31の進退動作の動力源としては、図2に示すように、駆動部の一つとして機能するモータM1等を用いることができる。
また、リフレクタ用ディスペンサ31の台座34側には、ヘッド32が設けられている。ヘッド32は、樹脂供給部33から供給されたリフレクタ樹脂41を吐出する部分である。そして、製造装置30では、リフレクタ用ディスペンサ31を基板12側へと移動させ、ヘッド32から吐出されたリフレクタ樹脂41を基板12へと付着させることで基板12にリフレクタ22を形成している。なお、このヘッド32については後に詳しく説明する。
【0023】
樹脂供給部33は、リフレクタ樹脂41を貯留するタンクと、リフレクタ樹脂41をリフレクタ用ディスペンサ31に供給するポンプとを備えている。また、樹脂供給部33とリフレクタ用ディスペンサ31とは、リフレクタ樹脂41の搬送経路となる供給管33aによって接続されている。そして、樹脂供給部33は、供給管33aを介して、リフレクタ樹脂41をリフレクタ用ディスペンサ31へと供給する。
【0024】
リフレクタ樹脂41は、図1に示すリフレクタ22の材料となる樹脂である。本実施形態のリフレクタ樹脂41は、例えばシリコーン樹脂等に白色顔料を含めたものである。さらに、本実施形態では、リフレクタ樹脂41のチクソ性を高めるために、シリカを5wt.%程度添加している。なお、チクソ性を高める材料であるチクソ材としては、例えば東ソー・シリカ社製のL−300を用いることができる。このように、リフレクタ樹脂41にチクソ材を添加しているため、リフレクタ樹脂41は、例えば攪拌時や管内にて流動する時など力が加えられた状態では粘度が低く、静止状態におかれると粘度が高くなるという性質を有する。
【0025】
台座34は、基板12を載せ置く台である。本実施形態の台座34は、略水平面を移動可能に構成されている。図2に示す製造装置30では、台座34は、紙面左右方向及び紙面手前、奧側に移動することができる。この台座34の移動動作の動力源としては、図2に示すように、位置調整部の一つとして機能するモータM2等を用いることができる。これにより、台座34に載せられた基板12と、リフレクタ用ディスペンサ31とを相対的に移動させることができる。
なお、リフレクタ用ディスペンサ31を略水平面を移動可能に構成することで、台座34に載せられた基板12とリフレクタ用ディスペンサ31とを相対的に移動させるように製造装置30を構成しても良い。また、台座34を図2に示す例では上下方向に移動可能にすることで、台座34とリフレクタ用ディスペンサ31とを相対的に進退可能に構成しても構わない。
【0026】
位置調整部及び駆動部の一つとして機能する制御部35は、リフレクタ用ディスペンサ31の移動、樹脂供給部33におけるリフレクタ樹脂41の供給、台座34の移動等、各部の動作を制御する。例えば、制御部35は、予め入力されたリフレクタ用ディスペンサ31と台座34に載せられた基板12との距離に基づいて、リフレクタ用ディスペンサ31を所定のタイミングにて移動させる。また、制御部35は、基板12におけるLEDチップ21の配置(あるいはLEDチップ21が配置されるべき位置)等のデータに基づいて、台座34を所定のタイミングで移動させる。なお、制御部35における上記の機能は、プログラムにより制御されたCPU、メモリ等によって実現される。
【0027】
図3は、リフレクタ用ディスペンサ31のヘッド32を説明するための一例の図である。
図3(a)はヘッド32の内部構造を示す図であり、図3(b)は同図(a)に示すB−B線における断面図であり、図3(c)はヘッド32を同図(a)に示す矢印C方向から見た図である。
図3(a)に示すように、ヘッド32は、外側部材36aと内側部材36bとを備えている。外側部材36aの内側には、供給管33a(図2参照)からの供給されるリフレクタ樹脂41の経路となる空洞が形成されている。即ち、外側部材36aは筒形状を有している。そして、外側部材36aにおける空洞部分は、供給管33aと接続する側が狭く、ヘッド32の台座34(図2参照)と対向する端部(以下、ヘッド先端部32aと呼ぶ)が広くなるように形成されている。また、図3(b)に示すように、外側部材36aのヘッド先端部32a側の内周は略円形状となっている。
【0028】
そして、図3(a)及び(b)に示すように、ヘッド32のヘッド先端部32aの内側には、2つの支持体37によって外側部材36aに支持される内側部材36bが収容される。内側部材36bの外周は、略円形状となっている。さらに、内側部材36bの外径は、外側部材36aの内径と比較して小さく設定されている。このため、外側部材36aの内周面と内側部材36bの外周面との間には隙間が生じ、この隙間によりリフレクタ樹脂41の経路38(供給経路)が形成される。
なお、後述するようにLEDチップ21を囲うようにリフレクタ22を形成するため、内側部材36bの外径は、少なくともLEDチップ21のサイズより大きく設定される。
【0029】
以上のように、ヘッド32のヘッド先端部32aには、外側部材36aと内側部材36bとによって経路38が形成される。さらに、経路38を構成する外側部材36aの内周と内側部材36bの外周とは、それぞれ略円形状となっている。従って、図3(c)に示すように、ヘッド32においてリフレクタ樹脂41を吐出する部位(以下、吐出口39と呼ぶ)は円環形状となる。
そして、ヘッド32において、供給管33aを介してリフレクタ樹脂41が供給されると、リフレクタ樹脂41は経路38を流れて吐出口39に達する。ヘッド32の吐出口39が円環形状を有しているため、吐出口39に充填されるリフレクタ樹脂41も円環形状となる。
【0030】
ここで、本実施形態では、上記のとおりヘッド32の吐出口39に充填されるリフレクタ樹脂41が円環形状となるように構成している。ここで、所望とするリフレクタ22の形状が例えば環状の楕円形あるいは多角形等である場合、それら形状に対応させて、ヘッド32の吐出口39に充填されるリフレクタ樹脂41が所望となる形状になるようにヘッド32の吐出口39の形状を設定すれば良い。即ち、「環状」とは、円い形状のみに限定するものではなく、直線あるいは曲線等で閉じられた形状を意味するものである。
なお、図1に示す例では、基板12における複数のリフレクタ22は、各々離れて形成されているが、個々のリフレクタ22が環状に形成されていれば、複数のリフレクタ22がつながっていても構わない。
【0031】
図4は、製造装置30によって、基板12にリフレクタ22を形成する方法について説明するための一例の図である。
図4(a)に示すように、LEDチップ21が実装された基板12を台座34にセットする。そして、台座34を移動させて、リフレクタ用ディスペンサ31と、基板12上のLEDチップ21との位置合わせを行う。このとき、後述する円環状のリフレクタ樹脂41がLEDチップ21を囲うことができるように位置調整を行う。
そして、図4(b)に示すように、ヘッド32の吐出口39に所定量のリフレクタ樹脂41が突出するように、リフレクタ樹脂41を充填する。このとき、ヘッド32の吐出口39には、円環状のリフレクタ樹脂41が形成された状態となっている。
【0032】
次に、図4(c)に示すように、吐出口39に充填されるリフレクタ樹脂41の先端側が基板12に接触する程度まで、リフレクタ用ディスペンサ31を基板12側へと移動(下降)させる。そして、吐出口39における円環状のリフレクタ樹脂41が基板12に付着する。
その後、図4(d)に示すように、リフレクタ用ディスペンサ31を基板12から離れる方向に移動(上昇)させる。そうすると、基板12側に付着したリフレクタ樹脂41と、ヘッド32側のリフレクタ樹脂41とが引き離される。そして、基板12においては、LEDチップ21を囲うように円環状のリフレクタ樹脂41が形成される。この円環状のリフレクタ樹脂41は、熱処理等を行うことにより硬化してリフレクタ22となる。なお、リフレクタ樹脂41の硬化工程では、例えば常温下で放置する等の自然硬化であっても構わない。
【0033】
なお、本実施形態のように基板12に実装されるLEDチップ21が8個である等、複数のLEDチップ21が基板12に実装されている場合には、台座34を移動させて各LEDチップ21に対して円環状のリフレクタ樹脂41(リフレクタ22)を順次形成することとなる。
【0034】
以上のように、本実施形態では、リフレクタ用ディスペンサ31の基板12に対する1回の進退動作によって、環状のリフレクタ樹脂41を基板12に形成することができる。即ち、リフレクタ用ディスペンサ31によってスタンプを押すかのようにして環状のリフレクタ樹脂41(リフレクタ22)を基板12上に形成できるため、効率的にリフレクタ22の形成を行うことが可能となる。
【0035】
また、上記の例では、予めLEDチップ21が実装された基板12に対して、リフレクタ22を形成している。ここで、LEDチップ21が実装されていない基板12に対してリフレクタ22を形成しても構わない。この場合には、基板12においてLEDチップ21が実装されるべき位置を基準に、円環状のリフレクタ樹脂41(リフレクタ22)を基板12に形成すれば良い。即ち、基板12にLEDチップ21が実装されている、未だ実装されていない、にかかわらず実装される位置を囲うように円環状のリフレクタ樹脂41(リフレクタ22)を形成すれば良い。
【0036】
図5は、発光部11の封止部材23を形成する方法について説明するための一例の図である。
封止部材23を形成するには、封止部材23を構成する封止樹脂51を射出する封止用ディスペンサ50を用いる。なお、本実施形態の封止樹脂51には、例えばシリコーン樹脂を用いることができる。また、封止用ディスペンサ50は封止樹脂51を射出できれば良いので、その射出口(先端)はどのような形状でもよく、従来からの形状を用いても構わない。
【0037】
図5(a)に示すように、リフレクタ22が形成された基板12を準備する。そして、少なくともリフレクタ22の内側に封止用ディスペンサ50の射出口が位置するように、基板12と封止用ディスペンサ50との位置合わせを行う。
図5(b)に示すように、封止用ディスペンサ50を用いて、封止樹脂51をリフレクタ22の内側に滴下(ポッティング)する。このとき、リフレクタ22が液状の封止樹脂51を堰き止める機能を果たすため、リフレクタ22が形成されていない場合と比して、滴下された封止樹脂51が基板12上に広がることはない。さらに、本実施形態では、円環状のリフレクタ樹脂41をヘッド先端部32a(図3参照)に形成し、その円環状のリフレクタ樹脂41を一気に基板12に移すことでリフレクタ22を形成している。そのため、リフレクタ22では、継ぎ目等の隙間(図8(a)参照)が生じにくくなっている。従って、本実施形態においては、リフレクタ22から封止樹脂51が漏れ出すことを抑制できる。
【0038】
そして、リフレクタ22の内側に所定量の封止樹脂51を注入し終えたら、封止用ディスペンサ50による封止樹脂51の射出を止める。そして、封止樹脂51が硬化すると、図5(c)に示すように封止部材23が形成される。このようにして、図1に示すように、本実施形態の発光部11を基板12上に形成することができる。
【0039】
次に、本実施形態の発光体10の発光動作について説明する。
図示しない電源により、発光体10のコネクタ13(図1参照)を介して発光体10に電圧がかけられる。すると、各発光部11における各LEDチップ21に電流が流れる。そして、発光体10における各LEDチップ21が発光する。このとき、各発光部11のLEDチップ21から発せられた光は放射状に進行する。そして、LEDチップ21から発せられた光のうちリフレクタ22へと進行する光は、リフレクタ22で反射して基板12とは反対側へと進行する。
【0040】
ここで、本実施形態のリフレクタ22は、上述したように円環状のリフレクタ樹脂41を吐出口39に形成したうえで、その円環状のリフレクタ樹脂41を基板12に一括して転写している。従って、形成されるリフレクタ22において、尖り等の局所的な凸部(図8参照)が生じる可能性が低い。逆に言えば、円環状のリフレクタ22は、周方向に対して形状(高さ)が均一になっている。このようにリフレクタ22の形状が均一であるために、LEDチップ21から照射された光は、リフレクタ22のどの位置においても一様に反射される。従って、各発光部11における配光の乱れを抑制することが可能となる。
【0041】
<実施形態2>
実施形態2が適用されるリフレクタ用ディスペンサ31のヘッド62と、発光体10の製造方法について説明する。なお、実施形態1において説明した部材等と同様なものについては、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図6は、実施形態2のリフレクタ用ディスペンサ31のヘッド62を説明するための一例の図である。なお、図6(a)はヘッド62の内部構造を示す図であり、図6(b)は同図(a)に示す矢印D方向からヘッド62を見た図である。
【0042】
図6(a)及び(b)に示すように、実施形態2のリフレクタ用ディスペンサ31は、ヘッド62の台座34と対向する側(以下、ヘッド先端部62aと呼ぶ)に設けられる、リフレクタ樹脂41の吐出部位(以下、吐出口69と呼ぶ)の形状が実施形態1とは異なるものである。
実施形態2における吐出口69は、ヘッド先端部62a側に向かうに従って、外側部材36aの内周面と内側部材36bの外周面との幅が次第に大きくなるように構成された径大部38aを有している。この径大部38aは、基板12に形成すべきリフレクタ22の外形に対応した形状を有する溝となっている。また、本実施形態では、径大部38aの表面に対して、吐出する樹脂(本実施形態ではリフレクタ樹脂41)の接着性を低下させる処理を施している。
また、図6(a)及び(b)に示すように、ヘッド先端部62aには、凹部66が設けられている。実施形態2では、後述するように、ヘッド先端部62aが基板12と接するようにしてリフレクタ22を形成する。従って、基板12にLEDチップ21が実装されている場合に、ヘッド62によってLEDチップ21が潰れないようにする必要がある。そこで、ヘッド先端部62aにおいてLEDチップ21と対向する位置に、LEDチップ21が退避できるように凹部66を設けている。
【0043】
図7は、実施形態1の製造装置30によって、発光部11におけるリフレクタ22を形成する方法について説明するための一例の図である。
まず、LEDチップ21が実装された基板12を台座34にセットする。そして、台座34を移動させ、リフレクタ用ディスペンサ31とLEDチップ21との位置合わせを行う。
図7(a)に示すように、ヘッド先端部62aが基板12に接触するように、リフレクタ用ディスペンサ31を基板12側へと移動(下降)させる。
図7(b)に示すように、ヘッド先端部62aにおける吐出口69にリフレクタ樹脂41を供給する。このときのリフレクタ樹脂41の供給量は、径大部38aと基板12の表面とによって形成される空間がリフレクタ樹脂41で満たされる程度とする。
【0044】
そして、図7(c)に示すように、リフレクタ用ディスペンサ31を基板12から離れる方向に移動(上昇)させる。このとき、径大部38aの表面にはリフレクタ樹脂41との接着性を低下させる処理が施されているため、リフレクタ樹脂41の接着は径大部38a(吐出口69)よりも基板12の方が高くなる。従って、ヘッド62が上昇すると、基板12側のリフレクタ樹脂41と、ヘッド62側のリフレクタ樹脂41とは引き離される。
そして、基板12上のLEDチップ21を囲うように円環状のリフレクタ樹脂41が形成される。その後、円環状のリフレクタ樹脂41に熱処理等を行うことにより、リフレクタ樹脂41が硬化して、基板12にリフレクタ22が形成される。
【0045】
以上のように基板12上に形成されたリフレクタ22に対して、図5を参照しながら説明したように、封止用ディスペンサ50によって封止樹脂51をリフレクタ22の内側に注入する。そして、図1に示すようにリフレクタ22及び封止部材23を備えた発光部11を形成することができる。なお、実施形態2においても、封止樹脂51をリフレクタ22の内側に注入する際、リフレクタ22が封止樹脂51を堰き止める機能を果たすため、封止樹脂51の広がりを押さえながら、LEDチップ21を封止することができる。
また、実施形態2においても、円環状に形成されるリフレクタ22の周方向に亘って、その形状(基板12からの高さ等)を均一に形成できるため、LEDチップ21から照射される光を局所的に遮る(反射する)部分が生じにくく、発光部11としての配光の均一化を図ることができる。
【0046】
なお、リフレクタ22の内側に配置されるLEDチップ21は、複数であっても良い。また、環状の吐出口39から可視光に対して透明な樹脂を吐出するように構成することで、可視光に対して透明な樹脂体を形成しても構わない。さらに、樹脂体を構成する透明な樹脂にLEDチップ21から照射される光の波長を変換する蛍光体を添加しても良い。
また、封止部材23にLEDチップ21から照射された光の波長を変換する蛍光体を添加しても構わない。封止部材23の形状については、凹形状にしても良く、逆に凸形状にすることでレンズとしての機能を持たせても良い。
【0047】
上記の実施形態1及び2においては、板状の基板12にリフレクタ22を形成する例について説明したが、リフレクタ22を形成する対象が板状の基板に限定されるものではない。例えば、金属等を打ち抜き加工等して構成されるリードフレームをリフレクタ22の形成対象の基板として用いることもできる。
【0048】
また、製造装置30に複数のリフレクタ用ディスペンサ31を備えるように構成しても良い。例えば、製造装置30に8本のリフレクタ用ディスペンサ31を設けた場合、リフレクタ用ディスペンサ31の基板12に対する1回の進退動作によって、8個のLEDチップ21を各々囲うようにリフレクタ22を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施形態の発光体の全体構成を示す一例の図である。
【図2】本実施形態の発光体を製造する製造装置について説明するための一例の図である。
【図3】リフレクタ用ディスペンサのヘッドを説明するための一例の図である。
【図4】製造装置によって、基板にリフレクタを形成する方法について説明するための一例の図である。
【図5】発光部の封止部材を形成する方法について説明するための一例の図である。
【図6】実施形態2のリフレクタ用ディスペンサのヘッドを説明するための一例の図である。
【図7】実施形態1の製造装置によって、発光部におけるリフレクタを形成する方法について説明するための一例の図である。
【図8】従来技術を説明するための一例の図である。
【符号の説明】
【0050】
10…発光体、11…発光部、12…基板、21…LEDチップ、22…リフレクタ、23…封止部材、30…製造装置、31…リフレクタ用ディスペンサ、32…ヘッド、41…リフレクタ樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体発光素子が実装される基板に、樹脂体を形成する樹脂体形成方法であって、
環状の吐出口を有するディスペンサのヘッドの当該吐出口に樹脂を充填する充填工程と、
前記ヘッドの前記吐出口に充填されることで環状に形成された前記樹脂を、前記基板の前記固体発光素子が実装される位置を囲うように付着させる付着工程と
を備えることを特徴とする樹脂体形成方法。
【請求項2】
前記充填工程では、前記ヘッドの前記吐出口から突出するように前記樹脂を充填し、
前記付着工程では、前記吐出口に突出した環状の前記樹脂の表面を前記基板に付着させることを特徴とする請求項1に記載の樹脂体形成方法。
【請求項3】
前記ヘッドと前記基板とを相対的に近づける移動工程をさらに備え、
前記充填工程では、前記ヘッドの前記吐出口を前記基板に接触させた状態にて、当該吐出口に前記樹脂を充填することを特徴とする請求項1に記載の樹脂体形成方法。
【請求項4】
環状の前記樹脂は、円環形状を有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の樹脂体形成方法。
【請求項5】
基板に固体発光素子を実装する実装工程と、
環状の吐出口を有するディスペンサのヘッドの当該吐出口に樹脂を充填する充填工程と、
前記ヘッドの前記吐出口に充填されることで環状に形成された前記樹脂を、前記基板に実装された前記固体発光素子、あるいは前記基板の前記固体発光素子が実装される位置を囲うように付着させる付着工程と
を備えることを特徴とする発光体製造方法。
【請求項6】
前記基板に形成された環状の前記樹脂の内側に、前記固体発光素子を封止する封止樹脂を注入する注入工程をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の発光体製造方法。
【請求項7】
環状の前記樹脂は、前記固体発光素子から照射される光を反射することを特徴とする請求項5又は6に記載の発光体製造方法。
【請求項8】
固体発光素子が実装される基板に、樹脂体を形成する樹脂体形成装置であって、
樹脂を環状に形成するための環状の吐出口を有するヘッドと、
樹脂供給部から供給される樹脂を前記吐出口に向けて供給する供給経路と
を備えていることを特徴とする樹脂体形成装置。
【請求項9】
前記ヘッドは、筒状の第1の部材と、当該第1の部材の内径と比較して小さく当該第1の部材の内側に設けられる第2の部材とを備え、
前記第1の部材の内周と、前記第2の部材の外周との間の隙間によって、前記供給経路が形成されることを特徴とする請求項8に記載の樹脂体形成装置。
【請求項10】
前記ヘッドの前記吐出口には、前記基板に形成すべき前記樹脂体の外形に対応する溝が形成されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の樹脂体形成装置。
【請求項11】
基板に固体発光素子が実装される発光体を製造する発光体製造装置であって、
樹脂を環状に形成するための環状の吐出口を有するヘッドと、
前記ヘッドの前記吐出口に環状に形成された前記樹脂によって、前記基板の前記固体発光素子を囲めるように、当該ヘッドと当該基板との相対的な位置を調整する位置調整部と、
前記ヘッドと前記基板とを相対的に近づける駆動部と
を備えていることを特徴とする発光体製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−245128(P2010−245128A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89531(P2009−89531)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】